WO2023095761A1 - ガラス振動板、振動子付きガラス振動板及び車両用振動板 - Google Patents

ガラス振動板、振動子付きガラス振動板及び車両用振動板 Download PDF

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Abstract

ガラス振動板に強い衝撃が加わっても、振動子の位置ずれ及び脱落を抑制でき、常に安定して振動子を保持できるガラス振動板、振動子付きガラス振動板及び車両用振動板を提供する。ガラス振動板は、第1主面、第2主面、及び第1主面と第2主面とを接続する端面を有するガラス板構成体と、第1主面の一部および第2主面の一部にそれぞれ固定されるとともに、端面と対向する部分を含んで連続する構造を有するマウント部と、マウント部にガラス板構成体を振動させる振動子が取り付けられる振動子取付部と、を有する。

Description

ガラス振動板、振動子付きガラス振動板及び車両用振動板
 本発明は、ガラス振動板、振動子付きガラス振動板及び車両用振動板に関する。
 近年、様々な板状の部材を振動させてスピーカとして機能させる技術が検討されている。例えば、電子機器用部材、車両用窓部材、車両等の輸送機械の内装用部材を、エキサイタ(振動子,アクチュエータ)によって振動させることで所望の音響が得られる。特に、車両用部材のうち、開閉式のドアパネルに対して、このようなエキサイタによって振動させる技術を適用した例が知られている。
 例えば、特許文献1には、電気的に振動を発生させる複数個のエキサイタをガラス板表面に装着した構造体を、ドアの内装材に組み込む例が開示されている。また、特許文献2には、振動子からの振動を、一端部がエキサイタに接続された振動伝達部を経由して振動板(ガラス基板)に伝達するように、振動伝達部の他端部のロッド保持部材をガラス基板面に接着固定した構成が開示されている。
国際公開第2020/137978号 国際公開第2019/172076号
 しかしながら、開閉式のドア等の部材に組み込まれるガラス面に、エキサイタ(以下、振動子という)を装着する場合、ドア等の開閉、特に、ドア閉めによる衝撃によって、ガラス面と振動子との間に大きな応力(引張応力)が生じる。この衝撃が繰り返されることで、振動子には、ガラス面に対する位置ずれが生じ、これに起因した音響再生品質の劣化や、振動子がガラス面から脱落する等の問題が発生する。
 また、図27に示すように、ガラス板91に接着層93によってマウント部95が接合され、このマウント部95に振動子97が固定された構造では、特に接着層93の経年劣化による接着強度の低下が問題となる。この場合、ガラス板91の板厚方向に衝撃が繰り返し加わると、接着層93に部分的な凝集破壊が発生して、亀裂が発生したり、発生した亀裂が進展したりする。
 そこで本発明は、ガラス振動板に強い衝撃が加わっても、振動子の位置ずれ及び脱落を抑制でき、常に安定して振動子を保持できるガラス振動板、振動子付きガラス振動板及び車両用振動板の提供を目的とする。
 本発明は下記の構成からなる。
(1) 第1主面、第2主面、及び前記第1主面と前記第2主面とを接続する端面を有するガラス板構成体と、
 前記第1主面の一部および前記第2主面の一部にそれぞれ固定されるとともに、前記端面と対向する部分を含んで連続する構造を有するマウント部と、
 前記マウント部に前記ガラス板構成体を振動させる振動子が取り付けられる振動子取付部と、を有するガラス振動板。
(2) (1)に記載のガラス振動板と、前記振動子取付部に固定される振動子と、を有する、振動子付きガラス振動板。
(3) (2)に記載の振動子付きガラス振動板が、車両用窓ガラスに用いられる、車両用振動板。
 本発明によれば、ガラス振動板に強い衝撃が加わっても、振動子の位置ずれ及び脱落を抑制でき、常に安定して振動子を保持できる
図1は、振動子付きガラス振動板の概略平面図である。 図2は、図1に示す振動子付きガラス振動板のII-II線における概略断面図である。 図3Aは、振動子付きガラス振動板に衝撃が加わった場合の応力の発生状況を示す説明図である。 図3Bは、振動子付きガラス振動板に衝撃が加わった場合の応力の発生状況を示す説明図である。 図4Aは、マウント部をガラス板構成体に接合する変形例を示す、振動子付きガラス振動板の概略断面図である。 図4Bは、マウント部をガラス板構成体に接合する変形例を示す、振動子付きガラス振動板の概略断面図である。 図4Cは、マウント部をガラス板構成体に接合する変形例を示す、振動子付きガラス振動板の概略断面図である。 図4Dは、マウント部をガラス板構成体に接合する変形例を示す、振動子付きガラス振動板の概略断面図である。 図5は、図4Cの要部を振動子側から見た場合の振動子付きガラス振動板の一部平面図である。 図6Aは、マウント部への振動子の配置例を示す、振動子付きガラス振動板の概略断面図である。 図6Bは、マウント部への振動子の配置例を示す、振動子付きガラス振動板の概略断面図である。 図6Cは、マウント部への振動子の配置例を示す、振動子付きガラス振動板の概略断面図である。 図6Dは、マウント部への振動子の配置例を示す、振動子付きガラス振動板の概略断面図である。 図7Aは、マウント部に形成した凹部に振動子を設けた構成を示す概略断面図である。 図7Bは、マウント部に形成した凸部に振動子を設けた構成を示す概略断面図である。 図7Cは、マウント部に形成した凹部及び凸部を含む振動子取付部に、振動子を設けた構成を示す概略断面図である。 図8Aは、マウント部に振動子をねじ接続により取り付けた振動子取付部の構成を示す概略断面図である。 図8Bは、マウント部に振動子をねじ接続により取り付けた振動子取付部の構成を示す概略断面図である。 図9は、振動子をマウント部に固定する他の形態を示す概略断面図である。 図10は、マウント部に形成された貫通孔に振動子を駆動するための信号線を収容した様子を示す概略断面図である。 図11は、振動子をマウント部に固定する他の形態を示す概略断面図である。 図12Aは、複数の部材を有して構成されるマウント部の構成を示す概略断面図である。 図12Bは、複数の部材を有して構成されるマウント部の他の構成を示す概略断面図である。 図12Cは、複数の部材を有して構成されるマウント部の他の構成を示す概略断面図である。 図12Dは、複数の部材を有して構成されるマウント部の他の構成を示す概略断面図である。 図13Aは、マウント部を構成する複数の部材同士がインロー構造で組み合わされた状態を示す概略断面図である。 図13Bは、図13Aに示す凹部と凸部の形状を異ならせたマウント部の概略断面図である。 図14は、突出片の突出高さが異なるマウント部の構成を示す概略断面図である。 図15は、ガラス板構成体の一端部を繊維複合材料で覆って形成したマウント部の構成を示す概略断面図である。 図16Aは、マウント部を配置したガラス板構成体を例示する模式的な平面図である。 図16Bは、マウント部を配置したガラス板構成体を例示する模式的な平面図である。 図16Cは、マウント部を配置したガラス板構成体を例示する模式的な平面図である。 図16Dは、マウント部を配置したガラス板構成体を例示する模式的な平面図である。 図17は、マウント部が外ねじを有する場合の構成を示す概略断面図である。 図18は、マウント部が複数の外ねじを有する場合の構成を示す概略断面図である。 図19は、変形例1に係る振動子付きガラス振動板の概略平面図である。 図20は、図19に示すガラス板構成体とマウント部の分解斜視図である。 図21は、図19に示すXXI-XXI線に沿った断面図である。 図22は、図19に示すXXII-XXII線に沿った断面図である。 図23は、変形例2に係る振動子付きガラス振動板の概略平面図である。 図24は、図23に示すガラス板構成体とマウント部の分解斜視図である。 図25は、図23に示すXXV-XXV線に沿った断面図である。 図26は、ガラス板構成体を合わせガラスとした振動子付きガラス振動板の概略断面図である。 図27は、従来構造のガラス振動板を示す概略断面図である。
 以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<振動子付きガラス振動板の構成>
 図1は、振動子付きガラス振動板100の概略平面図である。
 振動子付きガラス振動板100は、ガラス振動板11と、振動を発生する振動子13とを備える。ガラス振動板11は、ガラス板構成体15と、振動子13をガラス板構成体15に固定するマウント部17とを有する。この振動子付きガラス振動板100は、振動子13の駆動によりガラス振動板11を振動させて所望の音響を発生させる。
 振動子13は、振動子本体に接触する対象物を振動板として利用し、振動板から音を発生させる加振装置である。この振動子13としては、エキサイタ等の公知のアクチュエータを使用できる。
 例えば、振動子付きガラス振動板100を車両のサイドウインドウとして設ける場合、ベルトラインBLよりも下方の昇降機構(不図示)との接続部19側に、振動子13を配置する。これにより、車室内にガラス板構成体15から発生する音響を供給できる。なお、詳細は後述するが、振動子付きガラス振動板100の用途はこれに限らない。
 図2は、図1に示す振動子付きガラス振動板100のII-II線における概略断面図である。
 ガラス板構成体15は、第1主面15a、および第2主面15b、並びに第1主面15aと第2主面15bとを接続する端面15cを有する。ここでは、ガラス板構成体15を単一のガラス板(単板ガラス)として例示しているが、合わせガラス等、他の形態でもよい。
 本構成のマウント部17は、ガラス板構成体15の側面視において、互いに対向する一対の突出片21a,21bを有した挟み込み部17aを備えるとともに、ガラス板構成体15の端面15cと対向する部分を含んで連続する構造を有する。突出片21aの内側面は、ガラス板構成体15の第1主面15aの一部に固定され、突出片21bの内側面は、ガラス板構成体15の第2主面15bの一部に固定される。ガラス板構成体15の端面15cは、一対の突出片21a,21b同士の間の底面17bに対向する。
 マウント部17は、ガラス板構成体15の第1主面15aからの厚さ、およびガラス板構成体15の第2主面15bからの厚さ、の少なくとも一方、即ち、ガラス板構成体15の第1主面15aからの突出片21aの厚さ、およびガラス板構成体15の第2主面15bからの突出片21bの厚さ、の少なくとも一方は、30mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましく、20mm以下が更に好ましい。これにより、薄肉な構成にでき、外部の部材と接触する等の問題を低減でき、振動子付きガラス振動板100の省スペース化を実現しやすくなる。
 振動子付きガラス振動板100において、マウント部17には、ガラス板構成体15を振動させる振動子13を取り付けるための、振動子取付部23が設けられる。ここで示す振動子取付部23は、ガラス板構成体15の第1主面15aの平面視において、マウント部17のうち、第1主面15aと対向する少なくとも一部と重なる位置に形成すると好ましく、全部と重なる位置に形成するとより好ましい。その場合、振動子13からの振動を高効率でガラス板構成体15に伝達できる。
 マウント部17の突出片21aの内側面とガラス板構成体15の第1主面15aとの間の少なくとも一部には、第1接着層25が設けられる。突出片21bの内側面とガラス板構成体15の第2主面15bとの間の少なくとも一部には、第2接着層27が設けられる。第1接着層25と第2接着層27は、ガラス板構成体15をマウント部17の挟み込み部17aに挟み込んだ状態で固定する。
 上記構成の振動子付きガラス振動板100では、マウント部17がガラス板構成体15の側面視においてU字形に形成されている。そのため、ガラス振動板11にガラス板構成体15の板厚方向に衝撃が加わっても、第1接着層25及び第2接着層27への引張応力が緩和される。
 図3A、図3Bは、振動子付きガラス振動板100に衝撃が加わった場合の応力の発生状況を示す説明図である。以下の説明においては、同一の部位又は同一の部材については、同一の符号を付与することで、その説明を簡略化、又は省略する。
 例えば、振動子付きガラス振動板100を自動車のドア部材に組み込んだ場合、ドアの開閉、特にドア閉め時には、大きな衝撃が生じることがある。
 図3Aに示すように、ドア閉め時において、振動子付きガラス振動板100に矢印D1方向の衝撃が加わると、振動子13の質量に応じた慣性力によって、マウント部17には振動子13からの引張力Ftが発生する。この引張力Ftは、マウント部17の振動子13側の突出片21aに負荷が加わる。しかし、このマウント部17によれば、突出片21aと一体に形成された突出片21bが、第2接着層27を介してガラス板構成体15を矢印D1方向に力fbで押圧するため、突出片21aは、第1接着層25から矢印D1方向に向けて引張力Fpより小さな力fa(=Ft-fb)で牽引される。したがって、第1接着層25に加わる引張応力は、引張力Ftから力fbを減じた力faに応じた分だけで済む。また、第2接着層27には接着層の破断が発生しにくい圧縮応力のみが加わる。
 このように、振動子付きガラス振動板100に大きな衝撃が加わっても、第1接着層25に加わる引張応力が低減され、第2接着層27には引張応力が働かない。そのため、振動子付きガラス振動板100に衝撃が加わっても、第1接着層25及び第2接着層27に亀裂等の損傷が発生しにくくなり、マウント部17は、振動子13を安定してガラス板構成体15に固着しやすくなる。
 また、上記した効果は、ドア開き時に振動子付きガラス振動板100に衝撃が加わった場合、振動子13が図3Aと逆側に配置された構成でドア閉め時に衝撃が加わった場合、のいずれについても同様の効果を奏する。
 図3Bに示すように、振動子付きガラス振動板100に矢印D2方向の衝撃が加わると、振動子13からマウント部17に向けて圧縮力Fcが発生する。この圧縮力Fcは、マウント部17の振動子13側の突出片21aを、第1接着層25を介してガラス板構成体15を押圧する力faと、突出片21aと一体に形成された突出片21bが、第2接着層27を介してガラス板構成体15から矢印D2方向に牽引される力fbとなる。したがって、第2接着層27に加わる引張応力は、圧縮力Fcから力faを減じた力fbに応じた分だけで済む。また、第1接着層25には接着層の破断が発生しにくい圧縮応力のみが加わる。
<マウント部>
 マウント部17は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金、チタン又はチタン合金、ステンレス鋼等の金属材料、セラミックス、ガラス、石材、木材、樹脂材料、繊維複合材料等から選ばれる1つ又は複数の素材で形成できる。樹脂材料としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ウレタン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン66、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリプロピレン(PP)、ABS樹脂等が使用でき、成形性に優れた構成にできる。さらに、上記材料にガラス繊維や炭素繊維などを複合させた繊維強化プラスチックを用いてもよい。上記材料を使用することで、マウント部17に割れ等の発生を抑制でき、十分な接続強度が得られる。
 繊維複合材料としては、アラミド繊維、炭素繊維等の繊維材を網目状に配置して、樹脂材料により一体成形した強化繊維複合材が挙げられる。繊維複合材料を使用することで、マウント部の強度を維持しつつ軽量化が図れる。また、網目状の繊維材を含む繊維複合材料は、特有の振動伝達特性を有しており、これにより、マウント部からのノイズが低減され、良好な音響再生品質が得られる。
 マウント部17は、25℃でのヤング率は、1×10Pa以上が好ましく、50×10Pa以上がより好ましく、100×10Pa以上が更に好ましい。マウント部17のヤング率は高いほど好ましいが、上限として、例えば1×1012Pa以下が好ましい。
 また、マウント部17における、ガラス板厚方向の縦波音速値は、高いほど振動した際の高周波音域の再現性が向上することから2.0×10m/s以上が好ましく、3.0×10m/s以上がより好ましく、4.0×10m/s以上が更に好ましい。上限は特に限定されないが、該縦波音速値は、7.0×10m/s以下が好ましい。
 ここで、縦波音速値とは、振動板中で縦波が伝搬する速度をいう。縦波音速値、及びヤング率は、日本工業規格(JIS R 1602-1995)に記載された超音波パルス法等により測定できる。
<接着層>
 第1接着層25及び第2接着層27の材料としては、熱硬化型接着剤、光硬化型接着剤、湿気硬化型接着剤、嫌気性硬化型接着剤、熱可塑型接着剤、2液混合硬化型接着剤等の各種の接着剤を使用できる。熱硬化型接着剤の場合、接着剤中に入れる材料の種類や比率を工夫することで架橋密度を上げられ、硬化後の耐熱性の向上、耐薬品性、耐湿性の向上を図れる。光硬化型接着剤の場合、紫外線照射により瞬間接着できるため、接着作業時間の短縮が図れる。熱可塑型の場合、例えば、第1接着層25及び第2接着層27の材料としては、接着剤でなく、フィルム材料を熱可塑させて接着する群の材質でもよく、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ウレタン、シリコーン等でもよい。
 また、第1接着層25及び第2接着層27の材料としては、ガラスとの接合時において、線膨張差によるガラス割れを防止する観点から、使用温度域(-40℃~90℃)で、低硬度のものが好ましい。したがって、第1接着層25及び第2接着層27のヤング率は、0.01MPa以上、100MPa以下が好ましい。
 第1接着層25及び第2接着層27の厚さは、1μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、50μm以上が更に好ましい。また、第1接着層25及び第2接着層27の厚さは、5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、1.5mm以下が更に好ましい。各接着層が上記範囲であると、接合後のマウント部17がガラス板主面との平行度を維持しつつ、十分な接合強度が得られる。
<接着層の変形例>
 上記した図2に示す振動子付きガラス振動板100の構成は一例であって、種々の構成に変更できる。
 図4Aは、マウント部17をガラス板構成体15に接合する接着層の変形例を示す、振動子付きガラス振動板100Aの概略断面図である。
 本変形例の振動子付きガラス振動板100Aは、ガラス板構成体15の端面15cと、端面15cに対向するマウント部17の挟み込み部17aの底面17b(U字形のマウント部17の底面に相当)との間の少なくとも一部に第3接着層29を有する。つまり、ガラス板構成体15は、板厚方向Dtにマウント部17と接着されることに加えて、板厚方向に直交する第1主面15a(第2主面15b)の面方向Dfにもマウント部17と接着される。その場合、接着層Ad(第1接着層25,第2接着層27,第3接着層29)には、スペーサーが含まれていてもよい。スペーサーは、樹脂、金属、木材、セラミックス、ガラス、石材のうち少なくとも1つ以上からなる材料からなり、例えば、ゴム、ゲルなどの軟質材料であるのがより好ましい。
 この構成によれば、第3接着層29によりマウント部17がガラス板構成体15の面方向Dfに接着されるため、面方向Dfに作用する外力に対しても接合強度を高められる。また、ガラス板構成体15の3面がマウント部17に固定されるため、第1主面15a(第2主面15b)の面内でのマウント部17の変位が拘束される。これにより、マウント部17とガラス板構成体15との、より強固な接合形態が得られる。
 図4B~図4Dは、マウント部17をガラス板構成体15に接合する変形例を示す、振動子付きガラス振動板100B~100Dの概略断面図である。
 図4Bに示す振動子付きガラス振動板100Bには、ガラス板構成体15に板厚方向Dtに貫通する貫通孔30が形成され、貫通孔30に接着層が充填されている。他の構成は前述した図4Aに示す振動子付きガラス振動板100Aと同様である。
 貫通孔30は、マウント部17と板厚方向Dtに重なる領域内に形成される。貫通孔30と振動子13とは、板厚方向Dtに重ならない位置に配置することで、振動子13からの振動をガラス板構成体15に高効率で伝達しやすくなるため好ましい。また、設置スペースの制約等により、振動子13の少なくとも一部が貫通孔30と板厚方向Dtに重なってしまう場合もあるが、振動子13とガラス板構成体15との重なりを所定の面積以上確保できればよい。また、貫通孔30の形状は、ガラス板構成体15の平面視で円形であるが、これに限らない。
 この構成によれば、貫通孔30の内部に充填された接着層Adによって、ガラス板構成体15とマウント部17とを接合することで、貫通孔30内の接着層Adによるアンカー効果が得られ、相互の接合強度をより高められる。
 貫通孔30が形成されたガラス板構成体15にマウント部17を固定する場合、貫通孔30に脱落防止用の棒状部材を挿通させてもよい。
 図4Cに示す振動子付きガラス振動板100Cにおいては、マウント部17に、ガラス板構成体15の貫通孔30と同軸となる位置に、平面視で円形の貫通孔32が形成されている。図5は、図4Cの要部を振動子13側から見た場合の振動子付きガラス振動板の一部平面図である。ガラス板構成体15とマウント部17は、各貫通孔30,32に棒状部材34を挿通させ、マウント部17の内側と貫通孔30内を接着材層Adで充填させることで相互に接合される。棒状部材34は、丸棒でもよく、ボルト又はリベット等の締結部材でもよい。
 この構成によれば、ガラス板構成体15とマウント部17とが棒状部材34を介して接合されるため、例えば、ガラス板構成体15の板面に垂直な断面がU字形のマウント部17の内部から、板面方向の外側へガラス板構成体15が抜け出ようとした場合、棒状部材34による抜け止めのアンカー効果が得られる。これにより、ガラス板構成体15とマウント部17との接合強度をより高められる。
 図4Dに示す振動子付きガラス振動板100Dにおいては、棒状部材34の一端に振動子13と締結する締結部24が設けられ、締結部24に振動子13が固定された以外は、図4Cに示す構成と同様である。締結部24は、振動子13と接続するためのねじ、接着材層等の接続機構であればよく、その接合形態は限定されない。
 この構成によれば、棒状部材34と振動子13とが締結部24により一体に固定される。そのため、棒状部材34と振動子13のハンドリング性を向上できる上、棒状部材34を貫通孔30に挿入する作業と、振動子13をマウント部17に取り付ける作業とを纏めて実施でき。各部材の接合工程を簡略化できる。また、棒状部材34は、マウント部17のガラス板構成体15からの脱落を防止するだけでなく、振動子13からの振動をガラス板構成体15に高効率で伝達する効果も奏する。
<振動子の配置例>
 図6A~図6Dは、各々、マウント部への振動子13の他の配置例を示す、振動子付きガラス振動板100E,100F,100G,100Hの概略断面図である。ここでは、前述した第3接着層29については省略して示している。
 図6Aに示すマウント部17Aは、前述した底面17bから(面方向Dfに)互いに対向して突出する一対の突出片21a,21b(ガラス側突出片ともいう)を有した挟み込み部17aと、ガラス側突出片21a,21bの突出方向とは反対方向(図6Aにおいて下方向)に延びる反ガラス側突出片17cとを備える。このマウント部17Aは、ガラス板構成体15の断面視(又は側面視)において小文字のy字形状(μ字形状ともいう)に形成されている。一対のガラス側突出片21a,21b同士の間には、ガラス板構成体15が挟持される。また、反ガラス側突出片17cには振動子13が設けられる。振動子13は、振動子取付部(不図示)を介して、図6Aに示すように、反ガラス側突出片17cのガラス板構成体15側とは板厚方向Dtに関して反対側の面に設けてもよく、その逆のガラス板構成体15側の面に設けてもよい。振動子13は、ガラス板構成体15側の後者の面のみに設けると、振動子付きガラス振動板の薄型化が図れる。
 この構成の振動子付きガラス振動板100Eによれば、振動子13からの振動が一対の突出片21a,21bからガラス板構成体15の第1主面15aと第2主面15bの双方に均等に伝達されるため、振動が等方的に伝播され、均質な音響効果が得られる。なお、振動子13は、突出片21aと反ガラス側突出片17cの両方に跨る位置に配置されてもよい。
 図6Bに示すマウント部17Bは、一対の突出片21a,21b(ガラス側突出片ともいう)を有した挟み込み部17aと、ガラス側突出片21a,21bの突出方向とは反対方向(図6Bにおいて下方向)に延びる反ガラス側突出片17cとを備える。この場合の反ガラス側突出片17cは、ガラス板構成体15の第1主面15aと第2主面15bの板厚方向Dtの中間位置に設けられている。つまり、マウント部17Bは、ガラス板構成体15の断面視(又は側面視)において大文字のY字形状に形成されている。
 反ガラス側突出片17cは、板厚方向Dtに貫通する貫通孔36を有する。この貫通孔36に、頭部38aと、頭部38aよりも小径で貫通孔36に挿入可能な軸部38bとを有する接合部材38の軸部38bが挿入される。軸部38bの先端には雄ねじが形成され、振動子13に形成された雌ねじと噛み合うことで、振動子13を反ガラス側突出片17cに締結してもよい。また、ねじによる締結以外にも、適宜な接着層を設けたり、互いに係合させる係合部を双方に設けたりしてもよい。
 この構成の振動子付きガラス振動板100Fによれば、板厚方向Dtへの振動子13の突出を抑制でき、板厚方向Dtにスペースの余裕が得られる。これにより、車両のドアの内部等の狭いスペースであっても容易に設置が可能となり、設置自由度を向上できる。
 なお、ガラス側突出片21a,21bの基部側の底面17bとガラス板構成体15の端面15cとの間には、第3接着層29を設けてもよい。
 図6Cに示すマウント部17Cは、前述した底面17bから(面方向Dfに)互いに対向して突出する一対のガラス側突出片21a,21bを有した挟み込み部17aと、ガラス側突出片21a,21bの突出方向の逆方向に延び、互いに対向する一対の反ガラス側突出片17c,17dとを備える。このマウント部17Cは、ガラス板構成体15の断面視(又は側面視)においてH字形状に形成されている。マウント部17Cの反ガラス側突出片17cと反ガラス側突出片17dとに挟まれた内側に振動子13が設けられる。つまり、振動子13を取り受ける振動子取付部(不図示)は、反ガラス側突出片17c,17dのいずれの内側面に設けてもよい。
 この構成の振動子付きガラス振動板100Gによれば、図5Aに示す場合と同様に、振動子13からの振動がガラス板構成体15の第1主面15aと第2主面15bの双方に等方的に伝播され、均質な音響効果が得られる。そして、振動子13が一対の反ガラス側突出片17c,17dの間に配置されるため、ガラス板構成体15の側面視で、振動子取付部から突起する部分を有さない。これにより、ガラス板構成体15からの板厚方向Dtへの突出が抑えられ、振動子付きガラス振動板の薄型化が図れる。
 図6Dに示すマウント部17Dは、前述した底面17bから(面方向Dfに)突出する一対のガラス側突出片21a,21bを有した挟み込み部17aと、ガラス側突出片21a,21bの突出方向とは反対方向に延びる基部17eとを備える。このマウント部17Dの基部17eに振動子13が設けられる。振動子13を取り受ける振動子取付部(不図示)は、基部17eの一方のガラス側突出片21a側の面と、他方のガラス側突出片21b側の面のいずれに設けてもよい。
 この構成の振動子付きガラス振動板100Hによれば、図6Aに示す場合と同様に、振動子13からの振動がガラス板構成体15の第1主面15aと第2主面15bの双方に等方的に伝播され、均質な音響効果が得られる。そして、振動子13が厚肉の基部17eに配置されるため、更に均等に振動が伝達される。なお、振動子13は、突出片21aと基部17eの両方(又は、突出片21bと基部17eの両方)に跨る位置に配置されてもよい。
<振動子取付部の形状の例>
 振動子取付部は、マウント部の平坦面に設ける構成に限らず、マウント部が凹凸面を有する場合、その凹凸面に設けてもよい。
 図7Aは、マウント部17Eに形成した凹部31に振動子13を設けた構成を示す概略断面図である。
 マウント部17Eの振動子取付部23Aは、突出片21aに設けられた凹部(溝)31を含んでもよい。振動子13は、この凹部31に挿入されてマウント部17Eに取り付けられる。
 この振動子付きガラス振動板100Iの場合、振動子取付部23Aの少なくとも一部に凹部31を有し、この凹部31に振動子13が収容されるため、振動子13の板厚方向Dtへの突出を抑えられ、振動子付きガラス振動板の薄型化が図れる。
 図7Bは、マウント部17Fに形成した凸部33に振動子13を設けた構成を示す概略断面図である。
 マウント部17Fの振動子取付部23Bは、突出片21aに設けた凸部33を含んでもよい。この凸部33に振動子13が取り付けられる。
 この振動子付きガラス振動板100Jの場合、振動子13からの振動が凸部33に集中的に伝播され、効率よくガラス板構成体15に振動を伝達できる。
 図7Cは、マウント部17Gに形成した凹部31及び凸部33を含む振動子取付部23Cに、振動子13を設けた構成を示す概略断面図である。
 マウント部17Gの振動子取付部23Cは、突出片21aに設けた凹部(溝)31及び凸部33により構成されてもよい。
 この振動子付きガラス振動板100Kの場合、振動子13が凹部31に係合する突起部13aを有することで、突起部13aを凹部31に挿入して、振動子13をマウント部17Gの規定の位置へ容易に位置決めできる。
 上記した図7A~図7Cに示す振動子取付部23A,23B,23Cは、振動子13をマウント部17E,17F,17Gに接着剤により接合する構造でもよく、ねじ、テーパー嵌合等の差し込み式の接続、リベット等を用いたかしめ接続、クランプを用いた接続、等の機械的に接合する構造でもよい。振動子13がマウント部に機械的に取り付けられる場合、振動子13をマウント部からの着脱が可能となり、振動子13の交換が容易となる。なお、本明細書において「着脱が可能」とは、マウント部に振動子13を非破壊的に取り付け、取り外しが可能である、という意味である。
<振動子の固定>
 図8A、図8Bは、マウント部17Hに振動子13をねじ接続により取り付けた振動子取付部の構成を示す概略断面図である。
 図8Aに示すように、マウント部17Hの突出片21aには板厚方向Dtに沿って貫通孔35が形成され、貫通孔35の内周面には雌ねじ37が形成されている。振動子13は円柱状の部分を有して形成され、円柱外周面には、雌ねじ37と噛み合う雄ねじ39が形成されている。
 図8Bに示すように、マウント部17Hの貫通孔35に振動子13をねじ接続すると、突出片21aの板厚方向Dtの厚さtmよりも厚い厚さtsを有する振動子13が、マウント部17Hに締め付けられて固定される。
 上記構成の振動子付きガラス振動板100Lによれば、マウント部17Hが振動子13との機械的接続によって補強され、全体の曲げ剛性が向上する。よって、例えばドア閉め時の衝撃により大きな引張応力がマウント部17Hに生じても、マウント部17Hが変形しにくくなる。なお、図8A、図8Bにおいて、振動子13は円柱状で示されているが、断面がT字状の構成やL字状の構成を有してもよい。振動子13の断面がT字状の場合、ガラス板構成体15の平面視で、振動子13の外縁が、円柱の外縁と同心円の関係を有してもよい。
 詳細には、マウント部17Hの突出片21aの断面二次モーメントIは、式(1)で表され、突出片21a(21b)に生じる撓み(曲率半径ρ)は、式(2)で表される。式(1)、式(2)によれば、ドア閉め時の引張応力に対する強度を向上させるには、マウント部17Hの突出片21aにおけるヤング率Eと断面二次モーメントIを増加させればよい。
 I=bh/12  ・・・(1)
 1/ρ=M/(EI) ・・・(2)
 ここで、上記の各パラメータは以下の通りである。
 b:突出片21aの幅(図1参照:面方向Df及び板厚方向Dtと直交する方向の幅)
 h:突出片21aの厚さ(図2参照:板厚方向Dtの厚さ)
 M:衝撃により突出片21aに発生する曲げモーメント
 図9は、振動子13をマウント部17Iに固定する他の形態を示す概略断面図である。
 振動子付きガラス振動板100Mは、マウント部17Iの突出片21aに板厚方向Dtから見て円形の凹部31が形成される。凹部31の側面には雌ねじ37が形成され、振動子13の外周面には雄ねじ39が形成される。また、マウント部17Iには、凹部31の側面からガラス板構成体15の面方向Dfに貫通する貫通孔41が形成される。この貫通孔41には、止めねじ43が挿入される。止めねじ43は、振動子13とマウント部17Iとのねじの緩みを規制して、振動子13を凹部31内に固定する。この構成によれば、振動子13のマウント部17Iからの位置ずれや脱落をより一層、抑制できる。
 なお、貫通孔41は、内周面に雌ねじが形成されたねじ孔でもよく、貫通孔41の軸方向から見て直径が一定の円形孔でもよく、凹部31側に向けて径が漸減するテーパー状の内周面を有する孔でもよい。貫通孔41は目的に応じて種々の用途に利用できる。また、止めねじ43は、頭部が平坦で且つ薄く形成された低頭ねじ(スリムヘッドねじ)が好ましい。止めねじ43は、皿小ねじ、トラス小ねじでもよいが、特に止めねじ43が低頭ねじである場合、皿小ねじの場合のように貫通孔41にテーパー加工を施す必要がなく、施工性を向上でき好ましい。また、止めねじ43が低頭ねじである場合、トラス小ねじの場合のように板面からのねじ頭部の突出が抑えられ、施工後の表面が面一に近くなる。このことは、以下に説明するタッピングねじ47(図11)、固定ねじ51(図12A~図12D)についても同様である。
 図10は、マウント部17Jに形成された貫通孔41に振動子13を駆動するための信号線45を収容した様子を示す概略断面図である。
 貫通孔41は、振動子13を凹部31に固定するためでなく、振動子13に接続される信号線45等をマウント部17Jの外部に引き出す孔として利用してもよい。
 この振動子付きガラス振動板100Nによれば、実使用時において信号線45が貫通孔41内に収容されるので、省スペース化が図れるとともに、信号線45(の少なくとも一部)と外部の部材との接触を防ぎ、周囲環境等による信号線45の損傷を抑制できる。
 図11は、振動子13をマウント部17Kに固定する他の形態を示す概略断面図である。
 振動子付きガラス振動板100Pは、マウント部17Kの突出片21aの凹部31にねじにより締結された振動子13を、タッピングねじ47をねじ込んで固定している。これによれば、マウント部17Kに予め貫通孔を設ける必要がなく、使用条件等により必要に応じてタッピングねじ47で振動子13を固定できる。
<複数の部材を有して構成されるマウント部>
 マウント部17は、上記した連続する一体形に限らず複数の部材から構成されてもよい。
 図12Aは、複数の部材を有して構成される、より具体的には複数の部材が組み立てられて構成されるマウント部17Lを示す概略断面図である。
 マウント部17Lは、断面視(又は側面視)で、ガラス板構成体15の第1主面15aに対向する突出片21aと、第2主面15bに対向する突出片21bと、端面15cに対向する基部17eとを備える。突出片21bと基部17eとは一体に構成され、断面視(又は側面視)でL字形状を有する。突出片21aは、突出片21b及び基部17eとは別体に構成され、突出片21aの一端部が、基部17eの底面17bに沿って延びる面に配置される。
 基部17eと突出片21aとは、固定ねじ51によって面方向Dfにねじ止めされてもよく、第1接着層25、第2接着層27等の接着剤のみにより接合されてもよく、ねじ止めと接着剤の両方を用いてもよい。これにより、一対の突出片21a,21bが互いに対向して挟み込み部17aを形成する。なお、ここで示すマウント部17Lは、図9に示すマウント部17Iと同様の凹部31を有するが、これに限らず前述した他の形態のマウント部の形態でもよい。また、突出片21aは、ねじ止め以外の他の手段によって基部17eと機械的に接合してもよい。
 本構成によれば、マウント部17Lが複数の部材で構成されるため、挟み込み部17aの幅寸法を自在に調整できるため汎用性が向上し、第1接着層25及び第2接着層27の設置が容易となり、施工性が向上する。また、マウント部17Lの分解が容易となり、ガラス板構成体15からマウント部17Lを容易に取り外しできる。そして、L字形状の部材を含むことで、複数の部材に必要となる機械的な接合箇所の数が抑えられ、この点でも施工性を向上できる。
 図12B、図12C,図12Dは、複数の部材を有して構成される他のマウント部の構成を示す概略断面図である。
 図12Bに示すマウント部17Mは、ガラス板構成体15の平面視において、突出片21aが基部17eを覆うように延びて形成されており、固定ねじ51が、板厚方向Dtに突出片21aから基部17eに向けてねじ止めされている。
 図12Cに示すマウント部17Nは、突出片21aと基部17eとが一体に形成され、ガラス板構成体15の平面視において、突出片21bが基部17eを覆うように延びて形成されている。固定ねじ51が、板厚方向Dtに突出片21bから基部17eに向けてねじ止めされている。
 図12Dに示すマウント部17Oは、突出片21aと基部17eとが一体に形成され、突出片21bの一端部が、基部17eの底面17bに沿って延びる面に配置されている。固定ねじ51が面方向Dfに基部17eから突出片21bに向けてねじ止めされている。
 上記したマウント部17M,17N,17Oによっても、図12Aに示すマウント部17Lと同様に、汎用性、施工性が向上し、マウント部の分解が容易になる。
 マウント部が、複数の部材を組み立てて構成される場合、各部材同士は、互いに係合し合う凸部と凹部とを有して摺動自在に組み合わされる構成でもよい。
 図13Aは、マウント部17Pを構成する複数の部材同士がインロー構造で組み合わされた状態を示す概略断面図である。図13Aに示すマウント部17Pは、図12Aに示すマウント部17Lの構成から固定ねじ51を省略して示したものであり、突出片21aと基部17eとをインロー構造で組み合わせている。マウント部17Pの基部17eには溝状の凹部81が設けられ、この凹部81に係合する凸部83が突出片21aに設けられている。凸部83は基部17e側の先端に向かって幅寸法が漸増している。また、凹部81は、凸部83の幅寸法に対応するように、溝底に向かうほど溝幅が広がる形状を有している。凸部83と凹部81は、基部17eの底面17bを図13Aの奥行き方向(紙面垂直方向)に沿って直線状に延びて形成されている。つまり、凸部83と凹部81は、互いに係合してその長手方向へ摺動自在に組み合わされている。
 本構成によれば、突出片21aと基部17eとを、凹部81と凸部83との係合によって組み合わせることで、双方の位置決め精度と接合強度が高められる。また、基部17eと突出片21aとを、互いにスライドさせて装着する作業で接合でき、組み立ての作業性を向上できる。なお、凹部81と凸部83は、基部17eに凸部を設け、突出片21aに凹部を設けた構成にしてもよい。その場合も上記同様に、位置決め精度、接合強度及び組み立ての作業性をそれぞれ向上できる。また、突出片21aは、凹部81と凸部83との摩擦によって位置ずれが抑えられ、さらに第1接着層25によりガラス板構成体15に固定されるため、確実に基部17eから抜け止めされる。なお、凹部81と凸部83との界面には、接着層を介してさらにこれらを固定してもよい。その接着層としては、例えば、第1接着層25と同じ材料を使用できる。
 凹部81と凸部83の形状はこれに限らない。
 図13Bは、図13Aに示す凹部81と凸部83とは異なる断面形状を有するマウント部17Pの概略断面図である。突出片21aには、基部17e側の先端から基部17e側へ突出する柱部85と、柱部85の先端部に設けられて、柱部85より幅広のフランジ部87とが設けられ、柱部85とフランジ部87は凸部84を構成する。この凸部84に係合する凹部82が基部17eに設けられている。
 凸部84は、その長手方向に垂直な断面視でT字形状を有し、凹部82に係合された際に基部17eから抜け止めされる。なお、フランジ部87は、柱部85の両脇から突出するT字形状に限らず、一方の側から突出するL字形状等の他の形状でもよい。
 凹部82は、凸部84の柱部85とフランジ部87に対応する断面形状を有する。これにより、基部17eと突出片21aとがインロー構造で組み合わされる。なお、この場合も、突出片21aに凹部を設け、基部17eに凸部を設けた構成にしてもよい。
 本構成によれば、断面形状がT字形等のフランジ部87によって凸部84と凹部82との係合が強固になり、基部17eと突出片21aとを、高い接合強度で組み付けできる。なお、図13A、図13Bに示す構成は、図12Aに示すマウント部17Lをベースとしているが、これに限らず、図12B~図12Dに示す突出片21a又は21bと基部17eとの間に適用してもよい。また、突出片21a又は21bと基部17eとを固定ねじ51を併用して固定してもよい。
<他の形状のマウント部>
 上記に例示したマウント部の形状は、いずれも突出片21a,21bが同じ高さ(面方向Dfの長さ)であるが、必ずしも同じ高さに限らない。
 図14は、突出片21a,21bの突出高さが異なるマウント部17Qの構成を示す概略断面図である。
 このマウント部17Qの突出片21a,21bは、底面17bからのガラス板構成体15に板面に沿った突出高さが、突出片21bより突出片21aが高い。つまり、マウント部17Qは、板厚方向Dtの断面形状がJ字形となっている。
 このマウント部17Qによれば、突出片21bの面方向Dfの長さが突出片21aの面方向Dfの長さよりも短いため、マウント部17Qをガラス板構成体15に設置する際に、周囲の部材との干渉が生じにくくなる。また、突出片21aを突出片21bより長くすることで、不図示の振動子の取り付け面積を拡大でき、取り付け可能な振動子の選択肢が増える。なお、マウント部17Qのガラス板構成体15の端面15cに対向する底面17bは、ガラス板構成体15の端面15cとの間に第3接着層29を設けると好ましい。その場合、マウント部17Qとガラス板構成体15との接着面積が増加して、接着強度をより向上できる。
<マウント部の他の形態>
 マウント部は、軽量化、音響再生性能の向上の面から、曲げ強度を必要以上に低下させない範囲で1つ又は複数の貫通孔が形成されてもよい。また、マウント部には、アクチュエータとの締結のため、ヘリサート等の締結機構が備えられていてもよい。
 更に、マウント部に繊維複合材料を用いる場合、ガラス板構成体15を上記した繊維複合材料で覆ってもよい。
 図15は、ガラス板構成体15の一端部を繊維複合材料で覆って形成したマウント部17Rの構成を示す概略断面図である。
 マウント部17Rは、ガラス板構成体15の一端部を覆う繊維複合材料層55と、繊維複合材料層55のガラス板構成体15の反対側の面に接合された支持部57とを備える。支持部57には、不図示の振動子が取り付けられる。繊維複合材料層55は、ガラス板構成体15の第1主面15aから端面15cを経て第2主面15bまで覆って連続的に設けられる。
 このマウント部17Rによれば、比較的高い強度を有する繊維複合材料層55を使用することで、薄型化してもガラス板構成体15を十分な強度で支持でき、全体の小型化、軽量化が更に図れる。
<ガラス板へのマウント部の設置>
 マウント部は、ガラス板構成体15の任意の位置に配置できるが、外縁の一部又は外縁の近傍に配置するのが好ましい。平面視におけるガラス板構成体15の形状は、特に限定されないが、例えば、四角形、又は四角形に凹凸、曲線形状等が追加された略四角形であると好ましい。その場合、マウント部は、四角形又は略四角形の一辺の外縁に沿って配置できる。前述のように、ガラス板構成体15がサイドウインドウである場合(図1参照)、ベルトラインBLよりも下方にマウント部及び振動子を配置すると、乗員から視認されないので好ましい。
 図16A,図16B,図16C、図16Dは、各々、マウント部を配置したガラス板構成体15を例示する模式的な平面図である。
 図16Aに示すマウント部17Sは、ガラス板構成体15のいずれか一辺(図16Aにおける下辺)の端面15cに連続して配置されている。マウント部17Sのいずれかの外縁の面と、ガラス板構成体15の端面15cとが面一となることで、マウント部17Sがガラス板構成体15からはみ出すことがなく、周囲部材との接触等の干渉を抑制できる。
 マウント部17Sの一部は、ガラス板構成体15の板厚方向に貫通する1つ又は複数の貫通孔60が設けられてもよい。なお、貫通孔60は、マウント部17S全てを貫通する孔に限らず、厚さ方向の途中まで凹状になっている孔の構成も含む。マウント部17Sが貫通孔60を含む場合、軽量化が可能となる。また、マウント部17Sは、ガラス板構成体15側に凸部が設けられ、凸部と貫通孔60とを係合させると、マウント部17Sをガラス板構成体15に容易に位置決めでき、相互の接合強度を向上できる。
 図16Bに示すマウント部17Tは、図16Aに示すマウント部17Sが配置される一辺とは異なる他の一辺の端面15cに連続して配置されている。このように、マウント部17Tは、ガラス板構成体15の任意の辺に配置できる。
 図16Cに示すマウント部17Uは、ガラス板構成体15の端面15cと対向するガラス端対向面が、ガラス板構成体15のマウント部17Uが配置される一辺の端面位置と一致している。例えば、ガラス板構成体15は、車両用窓ガラスとして取り付けた場合に、車両用窓ガラスの下辺の端面位置とマウント部17Uのガラス端対向面とを一致させる。これにより、マウント部17Uをガラス板構成体15の端面15cから被せて取り付ける簡単な作業で、マウント部17Uを所望の取付位置に設置できる。
 また、本構成では、ガラス板構成体15を平面視した場合にU字状に形成され、振動子13がマウント部17Uと板厚方向に重ならないように配置されている。つまり、U字形のマウント部17Uが振動子13を囲むように配置することで、振動子13がガラス板構成体15に接する。
 このマウント部17Uによれば、振動子13からの振動がマウント部17Uを介さずにガラス板構成体15に伝達されるため、振動伝達効率が向上し、また、マウント部17U自体の振動が抑制されて良好な音響再生品質が得られる。
 図16Dに示すマウント部17Vは、ガラス板構成体15を平面視した場合に環状(図16Dでは三角形状を例示)に形成され、振動子13がマウント部17Vと板厚方向に重ならないように配置されている。環状のマウント部17Vが振動子13を囲んで配置され、振動子13がガラス板構成体15に接していることで、図16Cの場合と同様に、振動伝達特性が向上し、良好な音響再生品質が得られる。なお、マウント部17Vの環状の形状は、任意に決定できる。
<振動子とマウント部との他の接合形態>
 振動子13をマウント部に機械的に接合する場合、前述したマウント部側に雌ねじを設ける内ねじの構成に限らず、マウント部側に雄ねじを設けた外ねじの構成でもよい。
 図17は、マウント部17Wが外ねじを有する場合の構成を示す概略断面図である。
 このマウント部17Wは凸部33を有する。凸部33は、その外周面に雄ねじ61が形成されたねじ軸である。一方、振動子13は凹部63を有する。凹部31の内壁面には雌ねじ65が形成されている。これにより、マウント部17Wの雄ねじ61と振動子13の雌ねじ65とによって、振動子13がマウント部17Wにねじ接合される。
 図18は、マウント部17Xが複数の外ねじを有する場合の構成を示す概略断面図である。
 このマウント部17Xは、複数(例えば2つ)の凸部33A,33Bを有する。凸部33A,33Bの外周には、それぞれ雄ねじ61が形成されている。一方、振動子13は、振動子本体67Aと、押さえ部材67Bとを有し、それぞれの内壁面に雌ねじ65が形成された凹部63を有する。振動子本体67を一方の凸部33Aにねじ接合した後、押さえ部材67Bを他方の凸部33Bにねじ接合することで、押さえ部材67Bの鍔部69が振動子本体67Aをマウント部17Xに向けて押し付けられる。これにより、振動子本体67Aがマウント部17Xに強固に固定される。その結果、振動伝達効率が向上し、良好な音響再生品質が得られる。また、マウント部17Xには、複数の凸部33A,33Bに、それぞれ異なる振動子を取り付けた構成でもよい。
<ガラス板構成体とマウント部との他の取付構造>
 次に、ガラス板構成体に設けた切欠き部にマウント部を固定する変形例1,2について説明する。(変形例1)
 図19は、変形例1に係る振動子付きガラス振動板101の概略平面図である。変形例1のガラス板構成体15Bは、ベルトラインBLよりも下方の領域において、外周の端面からガラス板構成体15Bの重心側に延伸して形成された切欠き部18を有する。
 図20は、図19に示すガラス板構成体15Bとマウント部17Yの分解斜視図である。図20は振動子13を省略して示している。ガラス板構成体15Bに設けた切欠き部18は、ガラス板構成体15Bの第1主面15aの平面視においてU字形に切欠かれた溝である。マウント部17Yは、前述した突出片となる一対の板部48,49と、係合部50とを有する。一対の板部48,49は、ガラス板構成体15Bの一方の主面15aと他方の主面15bを挟み込んで配置される。係合部50は、一対の板部48,49同士の間に設けられる。板部48,49と係合部50とは一体に構成されている。例えば、マウント部17Yは、樹脂材料の一体成形品でもよく、金属製の板部48,49を樹脂材料の係合部50により接合して一体化したものでもよい。
 一対の板部48,49は、それぞれ平板状であり、ガラス板構成体15Bの板厚と略等しいか僅かに広い幅の隙間Waを挟んで互いに平行に配置される。板部48,49を平面視した場合の係合部50は、ガラス板構成体15Bを平面視した場合の切欠き部18の平面形状と等しいU字形となっている。そのため、ガラス板構成体15Bの切欠き部18に沿ってマウント部17Yの係合部50を挿入して、マウント部17Yをガラス板構成体15Bに装着した際、係合部50が切欠き部18に嵌まり、マウント部17Yがガラス板構成体15Bに対して位置決めされる。切欠き部18の溝幅と、切欠き部18への挿入方向に直交する係合部50の幅とは、略等しい幅Wbが好ましい。その場合、切欠き部18に係合部50を挿入した際のガタつきを抑制できる。
 図21は、図19に示すXXI-XXI線に沿った断面図である。図22は、図19に示すXXII-XXII線に沿った断面図である。図21,図22に示すように、マウント部17Yは、ガラス板構成体15Bに第1接着層25及び第2接着層27により接着される。第1接着層25、第2接着層27は、マウント部17Yの板部48,49のガラス板構成体15Bに対向する全面に設けることが好ましい。また、図示はしないが、マウント部17Yとガラス板構成体15Bの端面との間の少なくとも一部に第3接着層(図4の第3接着層29参照)を設けてもよい。
 上記した構成によれば、ガラス板構成体15Bに切欠き部18を形成する必要がある。切欠き部は、ガラス板構成体15Bの外周を形成する工程で設けてもよく、その後の工程で別途、設けてもよい。後者の場合、例えば、ガラス板構成体15Bの外周の端面から内周側に向けてエンドミル等の切削工具によって切削する加工で済み、板面の垂直方向からドリルで孔開け加工する場合と比較してガラス加工が容易となる。また、切欠き部18が一方向に沿った溝形状であることで、円形の孔の場合と比較して応力集中が軽減されやすくなる。さらに、切欠き部18の周囲が板部48,49に覆われて接着されるため、マウント部17Yとガラス板構成体15Bとの接合強度が向上する。また、切欠き部18の溝底と係合部50の先端とが半円状の曲面形状であるため、係合部50が溝底に突き当てられても力が分散し、ガラス板構成体15Bに損傷が及びにくくなる。
 なお、ここで示す切欠き部18は、相対向する面同士が平行となる内側面を有するU字形であるが、これに限らない。切欠き部18は、例えば、ガラス板構成体15Bの平面視において、重心側から外周の端面に向けて拡幅する形状でもよい。切欠き部18は、例えば、ガラス板構成体15Bの外周のうち、ベルトラインBLと平行な下端部よりも、ベルトラインBL側に切欠かれた溝であれば、とくに形状は問わない。その場合、係合部50の形状も切欠き部18の形状に対応した形状にする。つまり、係合部50と切欠き部18の形状は、係合部50がガラス板構成体15Bの端面から切欠き部18に挿入できる形状であればよい。
 また、変形例1に係る振動子付きガラス振動板101において、振動子取付部は、ガラス板構成体15Bの平面視において、第1主面15aの少なくとも一部と重なってもよく、第1主面の全部と重なってもよく、さらに、第1主面15aと重ならなくてもよい。振動子取付部が第1主面15aの全てと重ならない場合、該振動子取付部が切欠き部18の一部または全てと重なる配置でもよく、ガラス板構成体15Bの端面15c(図2参照)よりも外側でもよい。この場合、マウント部17Yは、ガラス板構成体15Bの断面視において、上述のY字形状やH字形状等、種々の形状を適用でき、後述する変形例2においても同様である。
(変形例2)
 図23は、変形例2に係る振動子付きガラス振動板102の概略平面図である。変形例2のガラス板構成体15Cは、ベルトラインBLよりも下方の領域において、ガラス板構成体15Cの外周となる端面からガラス板構成体15Cの重心側に延伸して形成され、重心側に向けて幅広となる切欠き部20を有する。
 図24は、図23に示すガラス板構成体15Cとマウント部17Zの分解斜視図である。図24は振動子13を省略して示している。ガラス板構成体15Cに設けた切欠き部20は、幅広溝部20aと延伸溝部20bとを有する。幅広溝部20aは、ガラス板構成体15Cの第1主面15aの平面視において略円形である。延伸溝部20bは、幅広溝部20aの一部からガラス板構成体15Cの端面に向かって形成される。つまり、延伸溝部20bの先端に幅広溝部20aが形成されている。幅広溝部20aの最大溝幅は、延伸溝部20bの長手方向に直交する幅よりも広い。
 マウント部17Zは、一対の板部48A,49Aと係合部50Aを有する。板部48A,49Aは、変形例1と同様に平板状であり、ガラス板構成体15Cの一方の主面15aと他方の主面15bを挟み込むように、互いに平行に配置される。係合部50Aは、板部48A,49A同士の間に設けられる。係合部50Aの形状は、板部49Aを平面視した場合に、ガラス板構成体15Cに設けた切欠き部20の平面形状と等しくされている。板部49Aと係合部50Aは一体に構成され、板部48Aは板部49A及び係合部50Aとは別体に構成される。
 板部49Aに設けられた係合部50Aを、ガラス板構成体11Cの切欠き部20にガラス板構成体11Cの一方の主面15a側から板厚方向に挿入すると、係合部50Aと切欠き部20とが互いに係合する。この状態で、板部48Aをガラス板構成体11Cの他方の主面15b側に配置して、固定ねじ52等の締結部材によって板部48Aと板部49Aとを接合する。また、板部48Aと板部49Aとの対向面には前述した第1接着層25、第2接着層27が設けられる。これにより、マウント部17Zはガラス板構成体11Cを板厚方向に挟んでガラス板構成体11Cに固定される。マウント部17Zの上記した板部48A,49A及び係合部50Aは、樹脂材料の一体成形品で構成してもよい。また、板部48A,49Aを金属製とし、一方の板部48Aに樹脂材料の係合部50Aを一体に成形した構成にしてもよい。また、図示はしないが、マウント部17Zとガラス板構成体15Cの端面との間の少なくとも一部に第3接着層(図4の第3接着層29参照)を設けてもよい。さらに、マウント部17Zは、固定ねじ52に加えて、係合部50Aと板部48Aとを接着層によって接着されてもよく、固定ねじ52を設けずに、係合部50Aと板部48Aとを接着層によって接着されてもよい。
 図25は、図23に示すXXV-XXV線に沿った断面図である。なお、図23に示すXXII-XXII線に沿った断面は図22と同様である。図25に示すように、マウント部17Zは、ガラス板構成体15Cに第1接着層25及び第2接着層27により接着される。第1接着層25、第2接着層27は、マウント部17Zの板部47A,49Aの全面に設けることが好ましい。
 上記した構成によれば、ガラス板構成体11Cの板面の垂直方向から孔開けする場合と比較して、切欠き部20を形成する際のガラス加工が容易となる。また、切欠き部20がガラス板構成体11Cの端面まで形成されるため、応力集中が軽減されやすい。そして、ガラス板構成体11Cの第1主面の平面視において、切欠き部20と係合部50Aの各平面形状は、マウント部17Zをガラス板構成体11Cの板面方向へ引き抜くことと、板面内での回転とを防止する形状となる。そのため、マウント部17Zとガラス板構成体11Cとの高い係合強度が得られる。また、マウント部17Zの装着時に、マウント部17Zをガラス板構成体11Cの板面方向へスライドさせる必要がない。そのため、装着時の作業スペースの確保が難しい場合であっても、マウント部17Zをガラス板構成体11Cに容易に取付けできる。よって、マウント部17Zの取付可能な適用対象を拡大できる。また、マウント部17Zが接着剤と固定ねじ52とによってガラス板構成体11Cに固定されるため、振動等による経時変化が生じにくく、より安定して接合強度を維持できる。
 なお、変形例1,変形例2においては、マウント部17Y,17Zをガラス板構成体15B,15Cの下辺となる端面に設けた構成を例示しているが、マウント部17Y,17Zの取付位置はベルトラインBLよりも下方であればよく、例えば、ガラス板構成体15B,15Cの側面(車両前方又は車両後方)に設けてもよい。その場合、切欠き部18,20がガラス板構成体15B,15Cの側面に形成される。
<ガラス板構成体>
 ガラス板構成体は、上述のように単板ガラスでもよいし、合わせガラスでもよい。
 図26は、ガラス板構成体を合わせガラスとした振動子付きガラス振動板100Qの概略断面図である。
 振動子付きガラス振動板100Qは、図2に示す振動子付きガラス振動板100のガラス板構成体15が、合わせガラスのガラス板構成体15Aとなっている。それ以外は、振動子付きガラス振動板100と同様の構成である。ガラス板構成体15Aが合わせガラスであることで、振動子13からの振動による音響再生能力を向上できる。
 合わせガラスで構成されたガラス板構成体15Aは、第1ガラス板71と第2ガラス板73(以下、一対のガラス板71,73ともいう)が積層され、これらのガラス板71,73の間に中間層75を含んで構成される。ガラス板構成体15Aの板面の形状は任意であり、適用する部位に応じて正方形、長方形、平行四辺形、台形、その他の多角形、円形、楕円形、又は、これら形状が組み合わされた形状でもよい。ガラス板構成体15Aの総厚は、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、4mm以上が更に好ましい。これにより、車両用、建築物用として適用した場合にも、必要十分な強度が得られる。
 中間層75は、ガラス板71,73が共振した場合に、ガラス板71,73の共振を抑制する、またはガラス板71,73の共振の揺れを減衰させる。ガラス板構成体15Aは、中間層75の存在により、ガラス板単独の場合と比べて損失係数を高められる。
 ガラス板構成体15Aを構成するガラス板71,73及び中間層75は、例えば、国際公開第2017/175682号に開示される各材料および物性のもの(液体層からなる中間層など)を適用できる。
 また、ガラス板71,73とは、無機ガラスである他に、有機ガラスでもよい。有機ガラスとしては、一般的な透明樹脂として、PMMA系樹脂、PC系樹脂、PS系樹脂、PET系樹脂、PVC系樹脂、セルロース系樹脂等が使用できる。樹脂材料としては、平面板状や曲面板状に成型できる樹脂材料が好ましい。複合材料や繊維材料としては、高硬度フィラーを複合した樹脂材料や炭素繊維、ケブラー繊維などが好ましい。
 中間層75としては、液体や液晶等の流体からなる流体層、ゲル状体又は固体フィルムが好ましい。なお、「流体」とは、液体、半固体、固体粉末と液体との混合物、固体のゲル(ゼリー状物質)に液体を含浸させたもの等、液体を含む流動性を有するものを全て包含する意味とする。
 なお、中間層75にゲル状物質を用いる場合、好ましい材料とは下記のような特性(1)~(3)のいずれかを満たす物質である。(1)中間層75の厚さが1mm以下、(2)温度25℃における圧縮貯蔵弾性率が1.0×10Pa以下、(3)温度25℃、1Hzにおいて、圧縮貯蔵弾性率が圧縮損失弾性率よりも高い。
 本構成においては、特性(1)、(2)、(3)を満たすことで中間層75の流動性を抑えつつ、損失係数が向上する。一般的に、中間層75を厚くしてガラス振動板の損失係数を向上させる場合、中間層75が厚くなるに従い、ガラス振動板11の音速値が低下していくトレードオフ関係にある。これに対し本構成では、中間層75の材料が特性(2)を満たすことで、中間層75が薄い場合に、ガラス振動板においてより損失係数が高くなることに加え、高い音速値を確保できる。
 また、中間層75に固体フィルムを用いる場合、中間層75の材料としては、合わせガラスの中間膜として好適に用いられるポリビニルブチラール樹脂(PVB)、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー(COP)等が挙げられる。
 また、ガラス板構成体を構成する単板ガラスや、合わせガラスのガラス板の少なくとも1枚に、物理強化ガラス板(風冷強化ガラス板)や化学強化ガラス板も使用できる。これは、ガラス板構成体の破壊を防ぐのに有用である。合わせガラスからなるガラス板構成体の強度を高めたい場合には、ガラス板構成体15Aの最表面に位置するガラス板を物理強化ガラス板または化学強化ガラス板とすると好ましく、構成するガラス板の全てが物理強化ガラス板または化学強化ガラス板がより好ましい。
 ガラス板構成体15Aは、平面状でもよく、曲面状でもよい。
 ガラス板構成体15Aは、例えば、設置場所に合わせて湾曲(屈曲)するような曲面状でもよい。また、図示はしないが、平面状の部分と曲面状の部分とを共に備える形状でもよい。つまり、ガラス板構成体15Aは、少なくとも一部に凹状または凸状に曲がった湾曲部を有する三次元形状でもよい。このように、設置場所に合わせて三次元形状とすることで、設置場所における外観を良好にでき、意匠性を高められる。
 上記した各種の振動子付きガラス振動板は、上記した各種のガラス板構成体の一方の主面に振動子13がマウント部17を介して接続されるが、合わせガラスに単板の領域を設け、この単板の領域にマウント部17を介して振動子13を接続してもよい。つまり、ガラス板構成体の一対のガラス板71,73のうち、一方のガラス板の外縁が他方のガラス板よりも外側に延びた構成とする。また、一方のガラス板と中間層の端部に(不図示の)シール材を設けてもよい。その場合、シール材が中間層を密封し、該シール材が底面17bの一部となり、底面17bと対向するように配置された、上述のマウント部17を介して振動子13が取り付けられてもよい。
 この構成によれば、振動子13が単一のガラス板を振動させるため、複数枚のガラス板71,73を同時に振動させる場合と比較して、エネルギー効率を高めてガラス振動板を加振できる。
<振動子付きガラス振動板の適用例>
 以上説明した振動子付きガラス振動板は、種々の用途に適用できる。
 例えば、振動子付きガラス振動板のガラス振動板は、車両用窓ガラスでもよい。
 ガラス振動板で構成される車両用窓ガラスは、車両におけるフロントサイドウインドウ、リアサイドウインドウ、ウィンドシールド、リアウインドウ、ルーフグレージング、フロントクォーターウインドウ等でもよい。振動子付きガラス振動板を車両用窓ガラスに使用することで、車室内へ所望の音響を供給できる。
 そして、ガラス振動板は、車両の内装用ガラスでもよい。内装用ガラスとしては、例えば、ダッシュボード、センターコンソール、天井、ドアトリム、ピラー内張りパネル、サンバイザー等の各種内装材に設けられるものが挙げられる。
 また、ガラス振動板は、音波振動により撥水性、耐着雪性、耐着氷性、防汚性を向上させた車両用窓、建築物用窓、構造部材、化粧板として使用できる。
 そして、振動子付きガラス振動板は、車載用又は機載用のスピーカでもよい。
 振動子付きガラス振動板は、例えば電子機器用部材として、フルレンジスピーカ、15Hz~200Hz帯の低音再生用スピーカ、振動板の面積が0.2m以上の大型スピーカ、平面型スピーカ、円筒型スピーカ、透明スピーカ、スピーカとして機能するモバイル機器用カバーガラス、TVディスプレイ用カバーガラス、映像スクリーン、映像信号と音声信号とが同一の面から生じるディスプレイ、ウェアラブルディスプレイ用スピーカ、電光表示器、照明器具、等に利用できる。スピーカは、音楽用でもよく、警報音用等でもよい。
 さらに、振動子付きガラス振動板は、騒音低減用のアクティブノイズコントロール用の振動板として構成されてもよい。また、振動検出素子を設けてマイクロフォン用の振動板、振動センサ等としても機能できる。
 以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 第1主面、第2主面、及び前記第1主面と前記第2主面とを接続する端面を有するガラス板構成体と、
 前記第1主面の一部および前記第2主面の一部にそれぞれ固定されるとともに、前記端面と対向する部分を含んで連続する構造を有するマウント部と、
 前記マウント部に前記ガラス板構成体を振動させる振動子が取り付けられる振動子取付部と、を有するガラス振動板。
 このガラス振動板によれば、ガラス板構成体の第1主面と第2主面とが、その一部をマウント部に固定され、マウント部に取り付けられた振動子によってガラス板構成体が振動して、ガラス板構成体から所望の音響が発生する。このガラス振動板によれば、ガラス板構成体の第1主面と第2主面がマウント部に固定されるため、ガラス振動板に板厚方向の衝撃が加わった場合でも、振動子をマウント部から脱落させることなく確実に支持できる。
(2) 前記マウント部と前記ガラス板構成体の前記第1主面との間の少なくとも一部に第1接着層を有し、
 前記マウント部と前記ガラス板構成体の前記第2主面との間の少なくとも一部に第2接着層を有する、(1)に記載のガラス振動板。
 このガラス振動板によれば、ガラス振動板に板厚方向の衝撃が加わった場合でも、第1接着層及び第2接着層に負荷される引張応力が緩和され、各接着層に引張によるき裂等が発生したり、き裂が進展したりするのを防止できる。
(3) 前記マウント部と前記ガラス板構成体の前記端面との間の少なくとも一部に第3接着層を有する、(2)に記載のガラス振動板。
 このガラス振動板によれば、ガラス板構成体の端面がマウント部に第3接着層により接合されるため、ガラス板構成体とマウント部との接合強度を向上できる。
(4) 前記マウント部は、前記ガラス板構成体の前記第1主面からの厚さ、および前記ガラス板構成体の前記第2主面からの厚さ、の少なくとも一方が30mm以下である、(1)から(3)のいずれか1つに記載のガラス振動板。
 このガラス振動板によれば、マウント部を薄肉な構成にでき、外部の部材との干渉を軽減できる。
(5) 前記振動子取付部は、前記ガラス板構成体の前記第1主面の平面視において、前記マウント部のうち、前記第1主面と対向する少なくとも一部と重なる位置に形成される、(1)から(4)のいずれか1つに記載のガラス振動板。
 このガラス振動板によれば、振動子からの振動を高効率でガラス板構成体に伝達できる。
(6) 前記振動子取付部は、前記ガラス板構成体の前記第1主面の平面視において、前記マウント部のうち、前記第1主面側で、前記ガラス板構成体の前記端面よりも外側の位置に形成される、(1)から(4)のいずれか1つに記載のガラス振動板。
 このガラス振動板によれば、振動子の取り付け自由度が向上する。
(7) 前記マウント部は、前記ガラス板構成体の断面視において、互いに対向する一対のガラス側突出片と、前記ガラス側突出片の突出方向の逆方向に延びる一対の反ガラス側突出片とを備えたH字形状に形成され、
 前記ガラス板構成体は、前記一対のガラス側突出片同士の間に支持され、
 前記振動子取付部は、前記一対の反ガラス側突出片に挟まれた内側に形成される、(6)に記載のガラス振動板。
 このガラス振動板によれば、振動子をガラス板構成体と板厚方向に重ならない位置に配置でき、しかも、板厚方向への突出が抑えられ、薄肉化が図れる。
(8) 前記マウント部は、前記ガラス板構成体の断面視において、互いに対向する一対のガラス側突出片と、前記ガラス側突出片の突出方向の逆方向に延びる反ガラス側突出片とを備えるY字形状に形成され、
 前記ガラス板構成体は、前記一対のガラス側突出片同士の間に支持され、
 前記振動子取付部は、前記反ガラス側突出片の前記ガラス板構成体側とは反対側の面に形成される、(6)に記載のガラス振動板。
 このガラス振動板によれば、振動子をガラス板構成体と板厚方向に重ならない位置に配置できる。
(9) 前記マウント部は、前記ガラス板構成体の断面視において、互いに対向する一対のガラス側突出片と、前記一対のガラス側突出片同士の間に設けられた係合部とを有し、
 前記ガラス板構成体は、前記端面から前記ガラス板構成体の重心側に延伸して形成された切欠き部を有し、
 前記一対のガラス側突出片は、前記ガラス板構成体を板厚方向に挟み込み、
 前記係合部は、前記ガラス板構成体の前記切欠き部に係合する、(1)から(8)のいずれか1つに記載のガラス振動板。
 このガラス振動板によれば、マウント部をガラス板構成体に取付けるためのガラス加工が容易となる。また、ガラス板構成体の応力集中が軽減されやすくなる。
(10) 前記切欠き部は、前記端面から前記ガラス板構成体の重心側に延伸して形成された延伸溝部と、前記延伸溝部の先端に形成され前記延伸溝部よりも幅広の幅広溝部とを有し、
 前記係合部は、前記延伸溝部と前記幅広溝部に係合する、(9)に記載のガラス振動板。
 このガラス振動板によれば、マウント部とガラス板構成体との高い係合強度が得られる。
(11) 前記マウント部において、前記振動子取付部の少なくとも一部は凹部を有する、(1)から(10)のいずれか1つに記載のガラス振動板。
 このガラス振動板によれば、振動子が凹部に挿入されて板厚方向への突出が抑えられるため、全体の薄肉化が図れる。
(12) 前記マウント部は、前記凹部の側面に貫通孔を有する、(11)に記載のガラス振動板。
 このガラス振動板によれば、凹部に貫通する貫通孔が形成されることで、貫通孔を種々の用途に利用できる。
(13) 前記マウント部において、前記振動子取付部の少なくとも一部は凸部を有する、(1)から(12)のいずれか1つに記載のガラス振動板。
 このガラス振動板によれば、振動子からの振動が凸部に集中的に伝播され、効率よくガラス板構成体に振動を伝達できる。
(14) 前記振動子取付部は、内周面に雌ねじが形成されたねじ孔、又は外周面に雄ねじが形成されたねじ軸を有する、(11)から(13)のいずれか1つに記載のガラス振動板。
 このガラス振動板によれば、ねじ孔またはねじ軸を用いて、振動子をねじ接続することで、振動子を着脱自在に、且つ強固にマウント部へ固定できる。
(15) 前記マウント部は、繊維複合材料を含んで構成される、(1)から(14)のいずれか1つに記載のガラス振動板。
 このガラス振動板によれば、マウント部の強度を維持しつつ軽量化が図れる。また、繊維材を網目状に配置した繊維複合材料は、特有の振動伝達特性を有し、これにより、マウント部からのノイズが低減され、良好な音響再生能力が発揮される。
(16) 前記マウント部は、ヤング率が1×10[Pa]以上である、(1)から(15)のいずれか1つに記載のガラス振動板。
 このガラス振動板によれば、マウント部に加わる衝撃に対する強度を向上できる。
(17) 前記マウント部は、厚さ方向の縦波音速値が2.0×10[m/s]以上である、(1)から(16)のいずれか1つに記載のガラス振動板。
 このガラス振動板によれば、振動した際の高周波音域の再現性が向上する。
(18) 前記マウント部は、互いに分離可能な複数の部材を含んで構成される、(1)から(17)のいずれか1項に記載のガラス振動板。
 このガラス振動板によれば、例えばマウント部が挟み込むガラス板構成体の厚さを自在に調整でき、汎用性を向上できる。
(19) 前記複数の部材同士は、機械的に接合されている、(18)に記載のガラス振動板。
 このガラス振動板によれば、マウント部の分解が容易となり、ガラス板構成体からマウント部を容易に取り外しできる。
(20) 前記複数の部材のうち、少なくともいずれかは、前記ガラス板構成体の断面視においてL字形状を有する、(18)または(19)に記載のガラス振動板。
 このガラス振動板によれば、複数の部材に必要となる機械的な接合箇所の数が抑えられ、施工性を向上できる。
(21) 前記ガラス板構成体は、第1ガラス板、および第2ガラス板、並びに前記第1ガラス板と前記第2ガラス板との間に挟持された中間層を有する合わせガラスである、(1)から(20)のいずれか1つに記載のガラス振動板。
 このガラス振動板によれば、振動子からの振動による音響再生能力を向上できる。
(22) (1)から(21)のいずれか1つに記載のガラス振動板と、前記振動子取付部に固定される振動子と、を有する、振動子付きガラス振動板。
 この振動子付きガラス振動板によれば、振動子からの振動が、マウント部を介してガラス板構成体に伝達され、ガラス板構成体から所望の音響が得られる。
(23) 前記振動子は、前記ガラス板構成体の側面視で前記振動子取付部から突起する部分を有しない、(22)に記載の振動子付きガラス振動板。
 この振動子付きガラス振動板によれば、ガラス板構成体からの板厚方向への突出が抑えられ、全体の薄型化が図れる。
(24) (22)または(23)に記載の振動子付きガラス振動板が、車両用窓ガラスに用いられる、車両用振動板。
 この車両用振動板によれば、車両用窓ガラスに使用することで、車室内への所望の音響が供給可能となる。
(25) 前記マウント部の前記ガラス板構成体の前記端面と対向するガラス端対向面は、前記車両用窓ガラスを車両に取り付けた際の前記車両用窓ガラスの下辺の端面位置と一致する、(24)に記載の車両用振動板。
 この車両用振動板によれば、マウント部をガラス板構成体の端面から被せて取り付ける簡単な作業で、規定の取付位置にマウント部を設置できる。
(26) 前記車両用窓ガラスは、前記第1主面を車内側とするサイドガラスである、(24)または(25)に記載の車両用振動板。
 この車両用振動板によれば、サイドガラスから車室内へ所望の音響が供給可能となる。
 本出願は、2022年3月23日出願の日本特許出願(特願2022-047289)、及び2021年11月24日出願の日本特許出願(特願2021-190405)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。
 11 ガラス振動板
 13 振動子
 13a 突起部
 15,15A,15B,15C ガラス板構成体
 15a 第1主面
 15b 第2主面
 15c 端面
 17,17A,17B,17C,17D,17E,17F,17G,17H,17I,17J,17K,17L,17M,17N,17O,17P,17P,17Q,17R,17S,17T,17U,17V,17W,17X,17Y,17Z マウント部
 17a 挟み込み部
 17b 底面
 17c 反ガラス側突出片
 17d 反ガラス側突出片
 17e 基部
 18,20 切欠き部
 19 接続部
 21a ガラス側突出片(突出片)
 21b ガラス側突出片(突出片)
 23,23A,23B,23C,23D 振動子取付部
 25 第1接着層
 27 第2接着層
 29 第3接着層
 30 貫通孔
 31 凹部
 32 貫通孔
 33,33A,33B 凸部
 34 棒状部材
 35 貫通孔
 36 貫通孔
 37 雌ねじ
 38 接合部材
 38a 頭部
 38b 軸部
 39 雄ねじ
 41 貫通孔
 43 止めねじ
 45 信号線
 47 タッピングねじ
 48,48A,49,49A 板部(突出片)
 50,50A 係合部
 51,52 固定ねじ
 55 繊維複合材料層
 57 支持部
 59 外縁
 60 貫通孔
 61 雄ねじ
 63 凹部
 65 雌ねじ
 67A 振動子本体
 67B 押さえ部材
 69 鍔部
 71 第1ガラス板
 73 第2ガラス板
 75 中間層
 81,82 凹部
 83,84 凸部
 85 柱部
 87 フランジ部
100,100A,100B,100C,100D,100E,100F,100G,100H,100I,100J,100K,100L,100M,100N,100P,100Q,101,102 振動子付きガラス振動板

Claims (26)

  1.  第1主面、第2主面、及び前記第1主面と前記第2主面とを接続する端面を有するガラス板構成体と、
     前記第1主面の一部および前記第2主面の一部にそれぞれ固定されるとともに、前記端面と対向する部分を含んで連続する構造を有するマウント部と、
     前記マウント部に前記ガラス板構成体を振動させる振動子が取り付けられる振動子取付部と、を有するガラス振動板。
  2.  前記マウント部と前記ガラス板構成体の前記第1主面との間の少なくとも一部に第1接着層を有し、
     前記マウント部と前記ガラス板構成体の前記第2主面との間の少なくとも一部に第2接着層を有する、請求項1に記載のガラス振動板。
  3.  前記マウント部と前記ガラス板構成体の前記端面との間の少なくとも一部に第3接着層を有する、請求項2に記載のガラス振動板。
  4.  前記マウント部は、前記ガラス板構成体の前記第1主面からの厚さ、および前記ガラス板構成体の前記第2主面からの厚さ、の少なくとも一方が30mm以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載のガラス振動板。
  5.  前記振動子取付部は、前記ガラス板構成体の前記第1主面の平面視において、前記マウント部のうち、前記第1主面と対向する少なくとも一部と重なる位置に形成される、請求項1から4のいずれか1項に記載のガラス振動板。
  6.  前記振動子取付部は、前記ガラス板構成体の前記第1主面の平面視において、前記マウント部のうち、前記第1主面側で、前記ガラス板構成体の前記端面よりも外側の位置に形成される、請求項1から4のいずれか1項に記載のガラス振動板。
  7.  前記マウント部は、前記ガラス板構成体の断面視において、互いに対向する一対のガラス側突出片と、前記ガラス側突出片の突出方向の逆方向に延びる一対の反ガラス側突出片とを備えたH字形状に形成され、
     前記ガラス板構成体は、前記一対のガラス側突出片同士の間に支持され、
     前記振動子取付部は、前記一対の反ガラス側突出片に挟まれた内側に形成される、請求項6に記載のガラス振動板。
  8.  前記マウント部は、前記ガラス板構成体の断面視において、互いに対向する一対のガラス側突出片と、前記ガラス側突出片の突出方向の逆方向に延びる反ガラス側突出片とを備えるY字形状に形成され、
     前記ガラス板構成体は、前記一対のガラス側突出片同士の間に支持され、
     前記振動子取付部は、前記反ガラス側突出片の前記ガラス板構成体側とは反対側の面に形成される、請求項6に記載のガラス振動板。
  9.  前記マウント部は、前記ガラス板構成体の断面視において、互いに対向する一対のガラス側突出片と、前記一対のガラス側突出片同士の間に設けられた係合部とを有し、
     前記ガラス板構成体は、前記端面から前記ガラス板構成体の重心側に延伸して形成された切欠き部を有し、
     前記一対のガラス側突出片は、前記ガラス板構成体を板厚方向に挟み込み、
     前記係合部は、前記ガラス板構成体の前記切欠き部に係合する、請求項1から8のいずれか1項に記載のガラス振動板。
  10.  前記切欠き部は、前記端面から前記ガラス板構成体の重心側に延伸して形成された延伸溝部と、前記延伸溝部の先端に形成され前記延伸溝部よりも幅広の幅広溝部とを有し、
     前記係合部は、前記延伸溝部と前記幅広溝部に係合する、請求項9に記載のガラス振動板。
  11.  前記マウント部において、前記振動子取付部の少なくとも一部は凹部を有する、請求項1から10のいずれか1項に記載のガラス振動板。
  12.  前記マウント部は、前記凹部の側面に貫通孔を有する、請求項11に記載のガラス振動板。
  13.  前記マウント部において、前記振動子取付部の少なくとも一部は凸部を有する、請求項1から12のいずれか1項に記載のガラス振動板。
  14.  前記振動子取付部は、内周面に雌ねじが形成されたねじ孔、又は外周面に雄ねじが形成されたねじ軸を有する、請求項9から13のいずれか1項に記載のガラス振動板。
  15.  前記マウント部は、繊維複合材料を含んで構成される、請求項1から14のいずれか1項に記載のガラス振動板。
  16.  前記マウント部は、ヤング率が1×10[Pa]以上である、請求項1から15のいずれか1項に記載のガラス振動板。
  17.  前記マウント部は、厚さ方向の縦波音速値が2.0×10[m/s]以上である、請求項1から16のいずれか1項に記載のガラス振動板。
  18.  前記マウント部は、互いに分離可能な複数の部材を含んで構成される、請求項1から17のいずれか1項に記載のガラス振動板。
  19.  前記複数の部材同士は、機械的に接合されている、請求項18に記載のガラス振動板。
  20.  前記複数の部材のうち、少なくともいずれかは、前記ガラス板構成体の断面視においてL字形状を有する、請求項18または19に記載のガラス振動板。
  21.  前記ガラス板構成体は、第1ガラス板、および第2ガラス板、並びに前記第1ガラス板と前記第2ガラス板との間に挟持された中間層を有する合わせガラスである、請求項1から20のいずれか1項に記載のガラス振動板。
  22.  請求項1から21のいずれか1項に記載のガラス振動板と、前記振動子取付部に固定される振動子と、を有する、振動子付きガラス振動板。
  23.  前記振動子は、前記ガラス板構成体の側面視で前記振動子取付部から突起する部分を有しない、請求項22に記載の振動子付きガラス振動板。
  24.  請求項22または23に記載の振動子付きガラス振動板が、車両用窓ガラスに用いられる、車両用振動板。
  25.  前記マウント部の前記ガラス板構成体の前記端面と対向するガラス端対向面は、前記車両用窓ガラスを車両に取り付けた際の前記車両用窓ガラスの下辺の端面位置と一致する、請求項24に記載の車両用振動板。
  26.  前記車両用窓ガラスは、前記第1主面を車内側とするサイドガラスである、請求項24または25に記載の車両用振動板。
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