WO2022149382A1 - 信号解析装置、信号解析方法及びプログラム - Google Patents

信号解析装置、信号解析方法及びプログラム Download PDF

Info

Publication number
WO2022149382A1
WO2022149382A1 PCT/JP2021/044327 JP2021044327W WO2022149382A1 WO 2022149382 A1 WO2022149382 A1 WO 2022149382A1 JP 2021044327 W JP2021044327 W JP 2021044327W WO 2022149382 A1 WO2022149382 A1 WO 2022149382A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
distribution function
cumulative distribution
waveform
time
heart
Prior art date
Application number
PCT/JP2021/044327
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
信吾 塚田
Original Assignee
日本電信電話株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from PCT/JP2021/000209 external-priority patent/WO2022149215A1/ja
Application filed by 日本電信電話株式会社 filed Critical 日本電信電話株式会社
Priority to CN202180089220.4A priority Critical patent/CN116615145A/zh
Priority to EP21917603.9A priority patent/EP4241691A1/en
Priority to JP2022573946A priority patent/JP7457267B2/ja
Priority to US18/265,663 priority patent/US20240057924A1/en
Publication of WO2022149382A1 publication Critical patent/WO2022149382A1/ja

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/24Detecting, measuring or recording bioelectric or biomagnetic signals of the body or parts thereof
    • A61B5/316Modalities, i.e. specific diagnostic methods
    • A61B5/318Heart-related electrical modalities, e.g. electrocardiography [ECG]
    • A61B5/346Analysis of electrocardiograms
    • A61B5/349Detecting specific parameters of the electrocardiograph cycle
    • A61B5/352Detecting R peaks, e.g. for synchronising diagnostic apparatus; Estimating R-R interval
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/24Detecting, measuring or recording bioelectric or biomagnetic signals of the body or parts thereof
    • A61B5/316Modalities, i.e. specific diagnostic methods
    • A61B5/318Heart-related electrical modalities, e.g. electrocardiography [ECG]
    • A61B5/346Analysis of electrocardiograms
    • A61B5/349Detecting specific parameters of the electrocardiograph cycle
    • A61B5/35Detecting specific parameters of the electrocardiograph cycle by template matching
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/24Detecting, measuring or recording bioelectric or biomagnetic signals of the body or parts thereof
    • A61B5/316Modalities, i.e. specific diagnostic methods
    • A61B5/318Heart-related electrical modalities, e.g. electrocardiography [ECG]
    • A61B5/346Analysis of electrocardiograms
    • A61B5/349Detecting specific parameters of the electrocardiograph cycle
    • A61B5/355Detecting T-waves

Abstract

信号解析装置は、第1単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差による波形またはその波形に水準値を加算した波形で、R波の時間波形を近似したときの、第1の単峰分布と第1累積分布関数と第2の単峰分布と第2累積分布関数の少なくとも何れかを特定するパラメータの少なくとも一部を取得し、第3単峰分布の累積分布関数である第3累積分布関数と第4単峰分布の累積分布関数である第4累積分布関数との差による波形またはその波形に水準値を加算した波形で、T波の時間波形の時間軸を逆転させた波形を近似したときの、第3の単峰分布と第3累積分布関数と第4の単峰分布と第4累積分布関数の少なくとも何れかを特定するパラメータの少なくとも一部を取得し、取得したパラメータの演算により、心臓の心筋の活動を示すパラメータを取得する解析部を備える。

Description

信号解析装置、信号解析方法及びプログラム
 本発明は、信号解析装置、信号解析方法及びプログラムに関する。
 本願は、2021年1月6日に国際出願されたPCT/JP2021/000209と、2021年9月9日に国際出願されたPCT/JP2021/033138とに基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
 心電図は心臓の状態を把握するために有用な情報であり、例えば心電図を用いれば対象に心不全が起きる可能性が高い状態にあるか否かを判定することができる(非特許文献1)。
田中博、「心電図逆問題における方法論」、医用電子と生体工学、1985年、23巻、3号、p.147-158
 しかしながら、心電図の波形は、心臓の状態の把握に必ずしも充分ではない場合がある。例えば、心電図の波形が似たような波形であっても心臓に関わる病の発症の仕方が異なる場合がある。このように、心電図の波形そのものを見るだけでは、病によっては心臓の状態を把握するのが難しい場合がある。例えば心不全であれば、その抑制には日常生活の中で心電図の波形により心臓の状態を観測することで発症を抑制することができる。発症を抑制する精度をより一層上げるには血液を採取する等、他の技術を用いて他の情報を取得することが考えられるが、日常生活でそれを行うことは現実的ではない。そのため、病によっては実質的に心電図の波形だけに基づいて心臓の状態を把握しなければならない場合がある。
 またこのような事情は、心電図の波形に基づいて心臓の状態を把握する場合に限らない。このような事情は、体表面に接したセンサ、体表面に近接したセンサ、体内に挿入したセンサ、体内に埋め込まれたセンサ、などで取得した心臓の拍動に関する1つのチャネルの時系列の生体情報に基づいて心臓の状態を把握する場合にも共通する。なお、心臓の拍動に関する時系列の生体情報は、例えば、心電位の変化を示す波形、心臓の圧の変化を示す波形、血流量の変化を示す波形、心音の変化を示す波形、である。なお心電図の波形も心臓の拍動に関する時系列の生体情報の一例である。
 上記事情に鑑み、本発明は、心臓の拍動に関する1つのチャネルの時系列の生体情報から、心臓の状態を把握するために有用な情報を得る技術を提供することを目的としている。
 本発明の一態様は、解析対象の心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるR波の時間区間の波形を第1対象時間波形として取得し、前記1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形を第2対象時間波形として取得する生体情報取得部と、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差による時間波形である第1近似時間波形で、または、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる時間波形である第1近似時間波形で、前記第1対象時間波形を近似したときの、前記第1の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第1累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第2の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第2累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、の少なくとも何れかを、前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータとして取得し、前記第2対象時間波形の時間軸を逆転させた波形を第2対象逆時間波形として、第3の単峰分布の累積分布関数である第3累積分布関数と第4の単峰分布の累積分布関数である第4累積分布関数との差もしくは重み付き差による波形である第2近似逆時間波形で、または、第3の単峰分布の累積分布関数である第3累積分布関数と第4の単峰分布の累積分布関数である第4累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる波形である第2近似逆時間波形で、前記第2対象逆時間波形を近似したときの、前記第3の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第3累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第4の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第4累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、の少なくとも何れかを、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータとして取得し、前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータと、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータと、の演算により、前記心臓の心筋の活動を示すパラメータを取得する解析部と、を備える信号解析装置である。
 本発明の一態様は、解析対象の心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるR波の時間区間の波形を第1対象時間波形として取得し、前記1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形を第2対象時間波形として取得する生体情報取得部と、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差による時間波形である第1近似時間波形で、または、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる時間波形である第1近似時間波形で、前記第1対象時間波形を近似したときの、前記第1の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第1累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第2の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第2累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、の少なくとも何れかを、前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータとして取得し、第3の単峰分布の累積分布関数を第3累積分布関数とし、第4の単峰分布の累積分布関数を第4累積分布関数とし、前記第3累積分布関数を1から減算した関数を第3逆累積分布関数とし、前記第4累積分布関数を1から減算した関数を第4逆累積分布関数として、前記第3逆累積分布関数と前記第4逆累積分布関数の差もしくは重み付き差による時間波形である第2近似時間波形で、または、前記第3逆累積分布関数と前記第4逆累積分布関数の差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによるによる時間波形である第2近似時間波形で、前記第2対象時間波形を近似したときの、前記第3の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第3累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第4の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第4累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、の少なくとも何れかを、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータとして取得し、前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータと、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータと、の演算により、前記心臓の心筋の活動を示すパラメータを取得する解析部と、を備える信号解析装置である。
 本発明の一態様は、解析対象の心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるR波の時間区間の波形を対象時間波形として取得する生体情報取得部と、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差による時間波形である近似時間波形で、または、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる時間波形である近似時間波形で、前記対象時間波形を近似したときの、前記第1の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第1累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータとして取得し、前記第2の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第2累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータとして取得し、前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータと、前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータと、の演算により、前記心臓の心筋の活動を示すパラメータを取得する解析部と、を備える信号解析装置である。
 本発明の一態様は、解析対象の心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形を対象時間波形として取得する生体情報取得部と、前記対象時間波形の時間軸を逆転させた波形を対象逆時間波形として、第3の単峰分布の累積分布関数である第3累積分布関数と第4の単峰分布の累積分布関数である第4累積分布関数との差もしくは重み付き差による波形である近似逆時間波形で、または、第3の単峰分布の累積分布関数である第3累積分布関数と第4の単峰分布の累積分布関数である第4累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる波形である近似逆時間波形で、前記対象逆時間波形を近似したときの、前記第3の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第3累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータとして取得し、前記第4の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第4累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータとして取得し、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータと、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータと、の演算により、前記心臓の心筋の活動を示すパラメータを取得する解析部と、を備える信号解析装置である。
 本発明の一態様は、解析対象の心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形を対象時間波形として取得する生体情報取得部と、第3の単峰分布の累積分布関数を第3累積分布関数とし、第4の単峰分布の累積分布関数を第4累積分布関数とし、前記第3累積分布関数を1から減算した関数を第3逆累積分布関数とし、前記第4累積分布関数を1から減算した関数を第4逆累積分布関数として、前記第3逆累積分布関数と前記第4逆累積分布関数の差もしくは重み付き差による時間波形である近似時間波形で、または、前記第3逆累積分布関数と前記第4逆累積分布関数の差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによるによる時間波形である近似時間波形で、前記対象時間波形を近似したときの、前記第3の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第3累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータとして取得し、前記第4の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第4累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータとして取得し、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータと、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータと、の演算により、前記心臓の心筋の活動を示すパラメータを取得する解析部と、を備える信号解析装置である。
 本発明の一態様は、解析対象の心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるR波の時間区間の波形を第1対象時間波形として取得し、前記1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形を第2対象時間波形として取得する生体情報取得ステップと、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差による時間波形である第1近似時間波形で、または、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる時間波形である第1近似時間波形で、前記第1対象時間波形を近似したときの、前記第1の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第1累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第2の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第2累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、の少なくとも何れかを、前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータとして取得し、前記第2対象時間波形の時間軸を逆転させた波形を第2対象逆時間波形として、第3の単峰分布の累積分布関数である第3累積分布関数と第4の単峰分布の累積分布関数である第4累積分布関数との差もしくは重み付き差による波形である第2近似逆時間波形で、または、第3の単峰分布の累積分布関数である第3累積分布関数と第4の単峰分布の累積分布関数である第4累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる波形である第2近似逆時間波形で、前記第2対象逆時間波形を近似したときの、前記第3の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第3累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第4の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第4累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、の少なくとも何れかを、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータとして取得し、前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータと、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータと、の演算により、前記心臓の心筋の活動を示すパラメータを取得する解析ステップと、を含む信号解析方法である。
 本発明の一態様は、解析対象の心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるR波の時間区間の波形を第1対象時間波形として取得し、前記1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形を第2対象時間波形として取得する生体情報取得ステップと、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差による時間波形である第1近似時間波形で、または、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる時間波形である第1近似時間波形で、前記第1対象時間波形を近似したときの、前記第1の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第1累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第2の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第2累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、の少なくとも何れかを、前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータとして取得し、第3の単峰分布の累積分布関数を第3累積分布関数とし、第4の単峰分布の累積分布関数を第4累積分布関数とし、前記第3累積分布関数を1から減算した関数を第3逆累積分布関数とし、前記第4累積分布関数を1から減算した関数を第4逆累積分布関数として、前記第3逆累積分布関数と前記第4逆累積分布関数の差もしくは重み付き差による時間波形である第2近似時間波形で、または、前記第3逆累積分布関数と前記第4逆累積分布関数の差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによるによる時間波形である第2近似時間波形で、前記第2対象時間波形を近似したときの、前記第3の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第3累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第4の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第4累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、の少なくとも何れかを、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータとして取得し、前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータと、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータと、の演算により、前記心臓の心筋の活動を示すパラメータを取得する解析ステップと、を含む信号解析方法である。
 本発明の一態様は、解析対象の心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるR波の時間区間の波形を対象時間波形として取得する生体情報取得ステップと、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差による時間波形である近似時間波形で、または、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる時間波形である近似時間波形で、前記対象時間波形を近似したときの、前記第1の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第1累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータとして取得し、前記第2の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第2累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータとして取得し、前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータと、前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータと、の演算により、前記心臓の心筋の活動を示すパラメータを取得する解析ステップと、を含む信号解析方法である。
 本発明の一態様は、解析対象の心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形を対象時間波形として取得する生体情報取得ステップと、前記対象時間波形の時間軸を逆転させた波形を対象逆時間波形として、第3の単峰分布の累積分布関数である第3累積分布関数と第4の単峰分布の累積分布関数である第4累積分布関数との差もしくは重み付き差による波形である近似逆時間波形で、または、第3の単峰分布の累積分布関数である第3累積分布関数と第4の単峰分布の累積分布関数である第4累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる波形である近似逆時間波形で、前記対象逆時間波形を近似したときの、前記第3の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第3累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータとして取得し、前記第4の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第4累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータとして取得し、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータと、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータと、の演算により、前記心臓の心筋の活動を示すパラメータを取得する解析ステップと、を含む信号解析方法である。
 本発明の一態様は、解析対象の心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形を対象時間波形として取得する生体情報取得ステップと、第3の単峰分布の累積分布関数を第3累積分布関数とし、第4の単峰分布の累積分布関数を第4累積分布関数とし、前記第3累積分布関数を1から減算した関数を第3逆累積分布関数とし、前記第4累積分布関数を1から減算した関数を第4逆累積分布関数として、前記第3逆累積分布関数と前記第4逆累積分布関数の差もしくは重み付き差による時間波形である近似時間波形で、または、前記第3逆累積分布関数と前記第4逆累積分布関数の差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによるによる時間波形である近似時間波形で、前記対象時間波形を近似したときの、前記第3の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第3累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータとして取得し、前記第4の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第4累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータとして取得し、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータと、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータと、の演算により、前記心臓の心筋の活動を示すパラメータを取得する解析ステップと、を含む信号解析方法である。
 本発明の一態様は、上記の信号解析装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
 本発明により、心臓の拍動に関する1つのチャネルの時系列の生体情報から、心臓の状態を把握するために有用な情報を得る技術を提供することが可能となる。
実施形態の信号解析装置1のハードウェア構成の一例を示す図。 第1対象時間波形についての、第1累積分布関数と重みを乗算した関数と、第2累積分布関数と重みを乗算した関数と、第1累積分布関数から第2累積分布関数との重み付き差である近似時間波形と、を模式的に示した図。 第2対象時間波形についての、第3逆累積分布関数と重みを乗算した関数、第4逆累積分布関数と重みを乗算した関数、第3逆累積分布関数から第4逆累積分布関数との重み付き差である近似時間波形と、を模式的に示した図。 実施形態における対象心臓の心電図の波形を4つの累積分布関数によってフィッティングした結果の一例を示す図。 実施形態における2つの累積分布関数の差分がT波の立ち下がりの波形に略同一の波形にフィッティング可能であることを説明する説明図。 第1対象時間波形についての、第1累積分布関数と重みを乗算して水準値を加算した関数と、第2累積分布関数と重みを乗算して水準値を加算した関数と、第1累積分布関数と第2累積分布関数との重み付き差に水準値を加算したものである近似時間波形と、を模式的に示した図。 第2対象時間波形についての、第3逆累積分布関数と重みを乗算して水準値を加算した関数、第4逆累積分布関数と重みを乗算して水準値を加算した関数、第3逆累積分布関数と第4逆累積分布関数との重み付き差に水準値を加算したものである近似時間波形と、を模式的に示した図。 対象時間波形に含まれているΔ波を模式的に示した図。 実施形態における制御部11の機能構成の一例を示す図。 実施形態における信号解析装置1が実行する処理の流れの一例を示すフローチャート。 実施形態における信号解析装置1の解析結果の一例を示す第1の図。 実施形態における信号解析装置1の解析結果の一例を示す第2の図。 実施形態における信号解析装置1の解析結果の一例を示す第3の図。 実施形態における信号解析装置1の解析結果の一例を示す第4の図。 実施形態の信号解析装置1によって心室性期外収縮の心電図を解析した一例の第1の説明図。 実施形態の信号解析装置1によって心室性期外収縮の心電図を解析した一例の第2の説明図。 実施形態の信号解析装置1によって心室性期外収縮の心電図を解析した一例の第3の説明図。 実施形態における信号解析装置1によってブルガダ症候群1型の脱分極期における対象心臓の心電図を解析した第1の説明図。 実施形態における信号解析装置1によってブルガダ症候群1型の脱分極期における対象心臓の心電図を解析した第2の説明図。 実施形態における信号解析装置1によってブルガダ症候群1型の脱分極期における対象心臓の心電図を解析した第3の説明図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第1の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第2の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第3の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第4の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第5の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第6の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第7の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第8の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第9の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第10の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第11の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第12の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第13の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第14の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第15の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第16の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第17の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第18の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第19の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第20の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第21の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第22の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第23の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第24の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第25の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第26の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第27の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第28の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第29の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第30の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第31の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第32の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第33の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第34の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第35の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第36の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第37の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第38の例を示す図。 実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した第39の例を示す図。
 図1は、実施形態の信号解析装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。以下、説明の簡単のため、心電図の1つのチャネルの波形に基づき解析を行う場合を例に信号解析装置1を説明する。しかしながら、信号解析装置1は心電図の波形に限らず心臓の拍動に関する時系列の生体情報に基づけば同様の解析が可能である。なお、心臓の拍動に関する時系列の生体情報は、例えば、心電位の変化を示す波形、心臓の圧の変化を示す波形、血流量の変化を示す波形、心音の変化を示す波形、である。そのため、信号解析装置1は、体表面から取得した電気信号の波形に限らず、体表面に接したセンサ、体表面に近接したセンサ、体内に挿入したセンサ、体内に埋め込まれたセンサ、などを用いて、体表面であるか体内であるかなどにかかわらず、どこかのポイントから取得した心周期を示す波形であれば、どのようなものを用いてもよい。
 すなわち、信号解析装置1は、心電図の波形に代えて、心臓の圧の変化を示す波形を心臓の拍動に関する時系列の生体情報として用いてもよい。また、信号解析装置1は、心電図の波形に代えて血流量の変化を示す波形を心臓の拍動に関する時系列の生体情報として用いてもよい。また、信号解析装置1は、心電図の波形に代えて、心音の変化を示す波形を心臓の拍動に関する時系列の生体情報として用いてもよい。なお、心電図の波形も心臓の拍動に関する時系列の生体情報の一例である。なお、心臓の拍動に関する時系列の生体情報は、心臓の周期的な拍動に関する時系列の生体情報であってもよい。
 信号解析装置1は、解析対象の心臓(以下「対象心臓」という。)の心電図の波形を取得する。信号解析装置1は取得した心電図の波形に基づき、対象心臓の心筋の外側の層(以下「心筋外層」という。)の活動を示すパラメータ(以下「心筋外層パラメータ」という。)と、対象心臓の心筋の内側の層(以下「心筋内層」という。)の活動を示すパラメータ(以下「心筋内層パラメータ」という。)と、の少なくとも何れかを含む対象心臓の心筋の活動を示すパラメータ(以下「心筋活動パラメータ」という。)を取得する。
 ここで、心筋の活動と心電図の波形との関係について説明する。医学の分野では心起電力双極子モデル(参考文献1)という心筋の動きと心電図との関係を説明するモデルが知られている。心起電力双極子モデルによれば、心筋は心筋外層と心筋内層の2層でモデル化される。
 参考文献1:田中義文「成り立ちから理解する心電図波形 心筋の活動電位を読み解く」学研メディカル秀潤社(2012)
 心起電力双極子モデルでは、心筋外層と心筋内層とはそれぞれ異なる起電力の発生源としてモデル化される。心起電力双極子モデルによれば、心外膜側心筋活動電位と心内膜側心筋活動電位との合成波が体表面で観測される体表面の電位の時間変化に略一致する。体表面の電位の時間変化を表すグラフが心電図の波形である。心外膜側心筋活動電位は、カテーテル電極の挿入を行うことで心筋外層の拍動によって生じた起電力の変化を直接測定した結果である。心内膜側心筋活動電位は、カテーテル電極の挿入を行うことで心筋内層の拍動によって生じた起電力の変化を直接測定した結果である。ここまでが心起電力双極子モデルの概略の説明である。
 ところで、心起電力双極子モデルにおける心筋外層は細胞の集合である。そのため心筋外層の1回の拍動における心筋外層の細胞の拍動のタイミングは必ずしも全ての細胞で同一ではなく、拍動のタイミングには分布が存在する可能性がある。このことは心筋内層についても同様である。すなわち、心筋内層の1回の拍動における心筋内層の細胞の拍動のタイミングは必ずしも全ての細胞で同一ではなく、拍動のタイミングには分布が存在する可能性がある。しかしながらこれらのような、細胞の拍動のタイミングに分布が存在する可能性は心起電力双極子モデルでは想定されていない。
 また、各細胞と体表面にある電極との距離にも分布が存在し、各細胞と体表面にある電極との間の体組織の構成も同一ではない。そのため、心筋外層の細胞の興奮が心電図の波形に反映される変換効率は必ずしも全ての細胞で同一ではなく、拍動が心電図の波形に反映される変換効率には分布が存在する可能性がある。同様に、心筋内層の細胞の興奮が心電図の波形に反映される変換効率は必ずしも全ての細胞で同一ではなく、拍動が心電図の波形に反映される変換効率には分布が存在する可能性がある。しかしながら、細胞の拍動が心電図の波形に反映される変換効率に分布が存在する可能性は、心起電力双極子モデルでは想定されていない。
 信号解析装置1では、細胞の拍動のタイミングに分布が存在する可能性と、細胞の拍動が心電図の波形に反映される変換効率に分布が存在する可能性と、を考慮して、心筋外層の各細胞の拍動の開始が心電図の波形に表れるタイミングの分布と、心筋内層の各細胞の拍動の開始が心電図の波形に表れるタイミングの分布と、心筋外層の各細胞の拍動の終了が心電図の波形に表れるタイミングの分布と、心筋内層の各細胞の拍動の終了が心電図の波形に表れるタイミングの分布と、のそれぞれがガウス分布であると仮定した解析を行う。すなわち、信号解析装置1では、心筋内層の全細胞による心筋内層の活動の開始が心電図の波形に累積ガウス分布として含まれ、心筋外層の全細胞による心筋外層の活動の開始が心電図の波形に累積ガウス分布として含まれ、心筋内層の全細胞による心筋内層の活動の終了が心電図の波形に累積ガウス分布として含まれ、心筋外層の全細胞による心筋外層の活動の終了が心電図の波形に累積ガウス分布として含まれる、と仮定した解析を行う。
 なお、信号解析装置1では累積ガウス分布関数を用いるのがよいが、累積ガウス分布関数に代えて、シグモイド関数、ゴンペルツ関数、ロジスティック関数などを用いてもよい。すなわち、信号解析装置1では、累積ガウス分布関数に代えて、単峰分布の累積分布関数、すなわち、値が最大値となる時刻までは値が単調増加し、値が最大値となった時刻以降は値が単調減少する分布に対応する累積分布関数を用いるようにしてもよい。ただし、信号解析装置1が用いる累積分布関数は、累積分布関数の形状を表すパラメータ、または、累積分布関数の累積元である単峰分布の形状を表すパラメータ、で形状を特定可能な累積分布関数とする必要がある。以下では、累積分布関数の形状を表すパラメータ(すなわち、累積分布関数を特定するパラメータ)のことを累積分布関数の形状パラメータといい、単峰分布の形状を表すパラメータ(すなわち、単峰分布を特定するパラメータ)のことを単峰分布の形状パラメータという。ただし、当然ながら、累積分布関数の形状パラメータと単峰分布の形状パラメータは実質的には同じものである。例えば、信号解析装置1が用いる累積分布関数が累積ガウス分布関数である場合であれば、累積ガウス分布関数の累積元であるガウス分布の標準偏差(もしくは分散)と平均値が、単峰分布の形状パラメータであり、累積分布関数の形状パラメータでもある。
 信号解析装置1は、取得した対象心臓の心電図の1周期分の波形に含まれるR波とT波の何れかの時間区間の波形を対象時間波形として、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と、第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数と、の差または重み付き差による時間波形(以下、「近似時間波形」という)で対象時間波形を近似したときの、第1の単峰分布を特定するパラメータまたは第1累積分布関数を特定するパラメータと、第2の単峰分布を特定するパラメータまたは第2累積分布関数を特定するパラメータと、を対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得する、すなわち、心筋活動パラメータとして取得する。以下では、近似時間波形で対象時間波形を近似すること、すなわち近似時間波形を特定すること、を「フィッティング」といい、近似時間波形に含まれる第1累積分布関数と第2累積分布関数のことを「フィッティング結果」という。なお、信号解析装置1は、重み付き差で近似する場合には、第1累積分布関数に与える重みと、第2累積分布関数に与える重み、も対象時間波形の特徴を表すパラメータ(すなわち、心筋活動パラメータ)として取得してもよいし、第1累積分布関数に与える重みと、第2累積分布関数に与える重みと、の比、も対象時間波形の特徴を表すパラメータ(すなわち、心筋活動パラメータ)として取得してもよい。
 第1累積分布関数と第2累積分布関数の差による近似時間波形で対象時間波形を近似する場合であれば、例えば、信号解析装置1は、第1累積分布関数の複数個(M個)の候補それぞれについての累積分布関数を特定するパラメータと、第2累積分布関数の複数個(N個)の候補それぞれについての累積分布関数を特定するパラメータと、の組み合わせ(M×N通り)それぞれを用いて、第1累積分布関数と第2累積分布関数との差による時間波形(以下、「候補時間波形」という)を生成して、生成したM×N通りの候補時間波形のうちの対象時間波形に最も近い候補時間波形を近似時間波形として特定して、特定した近似時間波形の生成に用いた第1累積分布関数の候補を特定するパラメータと第2累積分布関数の候補を特定するパラメータを、対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得する。対象時間波形に最も近い候補時間波形を近似時間波形として特定する処理は、例えば、候補時間波形と対象時間波形の二乗誤差が最小となる候補時間波形を特定する処理により行えばよい。
 または、例えば、信号解析装置1は、対象時間波形を近似する第1累積分布関数の候補と第2累積分布関数の候補との差による時間波形である候補時間波形を得ることと、候補時間波形と対象時間波形の二乗誤差が小さくなる方向に各累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも何れかを更新することと、を、二乗誤差が所定の基準以下となるまで繰り返すか、または、所定の回数だけ繰り返すことで、最終的に得た候補時間波形を近似時間波形として特定して、特定した近似時間波形の生成に用いた第1累積分布関数の候補を特定するパラメータと第2累積分布関数の候補を特定するパラメータを、対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得する。
 第1累積分布関数と第2累積分布関数の重み付き差による近似時間波形で対象時間波形を近似する場合であれば、例えば、信号解析装置1は、第1累積分布関数の複数個(M個)の候補それぞれについての累積分布関数を特定するパラメータと、第2累積分布関数の複数個(N個)の候補それぞれについての累積分布関数を特定するパラメータと、第1累積分布関数に与える重みの複数個(K個)の候補と、第2累積分布関数に与える重みの複数個(L個)の候補と、の組み合わせ(K×L×M×N通り)それぞれを用いて、第1累積分布関数と第2累積分布関数との重み付き差による時間波形である候補時間波形を生成して、生成したK×L×M×N通りの候補時間波形のうちの対象時間波形に最も近い候補時間波形を近似時間波形として特定して、特定した近似時間波形の生成に用いた第1累積分布関数の候補を特定するパラメータと第2累積分布関数の候補を特定するパラメータと第1累積分布関数に与える重みと第2累積分布関数に与える重みとを、対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得する。
 または、例えば、信号解析装置1は、対象時間波形を近似する第1累積分布関数の候補と第2累積分布関数の候補との重み付き差による時間波形である候補時間波形を得ることと、候補時間波形と対象時間波形の二乗誤差が小さくなる方向に各累積分布関数を特定するパラメータと各累積分布関数に与える重みの少なくとも何れかを更新することと、を、二乗誤差が所定の基準以下となるまで繰り返すか、または、所定の回数だけ繰り返すこととで、最終的に得た候補時間波形を近似時間波形として特定して、特定した近似時間波形の生成に用いた第1累積分布関数の候補を特定するパラメータと第2累積分布関数の候補を特定するパラメータと第1累積分布関数に与える重みと第2累積分布関数に与える重みとを、対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得する。
 以下、取得した対象心臓の心電図の1周期分の波形に含まれる対象時間波形の特徴を表すパラメータを取得する処理を、心筋活動情報パラメータ取得処理という。
 時刻を表す情報をxとすると、第1の単峰分布と第2の単峰分布としてガウス分布を用いる場合には、第1の単峰分布は以下の式(1)で表され、第1累積分布関数f1(x)は式(2)で表され、第2の単峰分布は式(3)で表され、第2累積分布関数f2(x)は式(4)で表される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000004
 式(1)は平均がμ1であり標準偏差がσ1(分散がσ1 )であるガウス分布(正規分布)である。式(3)は平均がμ2であり標準偏差がσ2(分散がσ2 )であるガウス分布(正規分布)である。式(2)は式(1)の累積分布関数である。式(4)は式(3)の累積分布関数である。"erf"はシグモイド関数(誤差関数)である。時刻を表す情報xの単位は任意であり、例えば、心電図の1周期分の波形を始端としたサンプル番号や相対時刻を、時刻を表す情報xとして用いればよい。
 第1累積分布関数と第2累積分布関数の差は、例えば以下の式(5)で表される。以下の式(5)で表される関数は、第1累積分布関数から第2累積分布関数を減算した関数である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000005
 すなわち、第1累積分布関数と第2累積分布関数との差である近似時間波形で対象時間波形を近似したときには、第1の単峰分布を特定するパラメータまたは第1累積分布関数を特定するパラメータである平均μ1と標準偏差σ1と、第2の単峰分布または第2累積分布関数を特定するパラメータである平均μ2と標準偏差σ2と、を対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得する。なお、標準偏差がパラメータとして取得される代わりに、分散がパラメータとして取得されてもよい。このことは、標準偏差がパラメータとして取得されることについての以降の記載箇所についても同様である。
 第1累積分布関数と第2累積分布関数の重み付き差は、第1累積分布関数の重みをk1とし、第2累積分布関数の重みをk2として、例えば以下の式(6)で表される。以下の式(6)で表される関数は、第1累積分布関数に重みk1を乗算した関数から、第2累積分布関数に重みk2を乗算した関数を減算した関数である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000006
 すなわち、第1累積分布関数と第2累積分布関数との重み付き差である近似時間波形で対象時間波形を近似したときには、第1の単峰分布を特定するパラメータまたは第1累積分布関数を特定するパラメータである平均μ1と標準偏差σ1と、第2の単峰分布を特定するパラメータまたは第2累積分布関数を特定するパラメータである平均μ2と標準偏差σ2と、を対象時間波形の特徴を表すパラメータとして少なくとも取得する。なお、第1累積分布関数の重みk1と第2累積分布関数の重みk2、または、第1累積分布関数の重みk1と第2累積分布関数の重みk2との比(k1/k2、または、k2/k1)、も対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得してもよい。
 式(6)の関数が第1累積分布関数に重みk1を乗算した関数から第2累積分布関数に重みk2を乗算した関数を減算した関数であることからすると、重みk1と重みk2は共に正の値である。ただし、対象心臓が特異な状態にある場合には、フィッティングにより得られる重みk1と重みk2の少なくとも何れかが正の値ではない可能性も否定できない。したがって、信号解析装置1は、重みk1と重みk2が共に正の値となるようにフィッティングしてもよいが、重みk1と重みk2が共に正の値となるようにフィッティングするのは必須ではない。
 なお、信号解析装置1は、取得した対象心臓の心電図の1周期分の波形に含まれるR波とT波のうちの、R波を第1対象時間波形とし、T波を第2対象時間波形として、第1対象時間波形と第2対象時間波形のそれぞれについて、上述した対象時間波形の特徴を表すパラメータを取得するとよい。
 例えば、第1対象時間波形(すなわち、R波)を第1累積分布関数と第2累積分布関数との差で近似する場合には、式(7)で表される第1累積分布関数fa(x)から式(8)で表される第2累積分布関数fb(x)を減算した関数である式(9)の近似時間波形で第1対象時間波形を近似して、第1累積分布関数を特定するパラメータである平均μaと標準偏差σaと、第2累積分布関数を特定するパラメータである平均μbと標準偏差σbと、を第1対象時間波形(すなわち、R波)の特徴を表すパラメータとして取得する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000007
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000008
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000009
 例えば、第1対象時間波形(すなわち、R波)を第1累積分布関数と第2累積分布関数との重み付き差で近似する場合には、式(7)で表される第1累積分布関数fa(x)に重みkaを乗算した関数から式(8)で表される第2累積分布関数fb(x)に重みkbを乗算した関数を減算した関数である式(10)の近似時間波形で第1対象時間波形を近似して、第1累積分布関数を特定するパラメータである平均μaと標準偏差σaと、第2累積分布関数を特定するパラメータである平均μbと標準偏差σbと、を第1対象時間波形(すなわち、R波)の特徴を表すパラメータとして少なくとも取得する。なお、第1累積分布関数の重みkaと第2累積分布関数の重みkb、または、第1累積分布関数の重みkaと第2累積分布関数の重みkbとの比(ka/kb、または、kb/ka)、も第1対象時間波形(すなわち、R波)の特徴を表すパラメータの特徴を表すパラメータとして取得してもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000010
 式(10)の関数が第1累積分布関数に重みkaを乗算した関数から第2累積分布関数に重みkbを乗算した関数を減算した関数であることからすると、重みkaと重みkbは共に正の値である。ただし、対象心臓が特異な状態にある場合には、フィッティングにより得られる重みkaと重みkbの少なくとも何れかが正の値ではない可能性も否定できない。したがって、信号解析装置1は、重みkaと重みkbが共に正の値となるようにフィッティングしてもよいが、重みkaと重みkbが共に正の値となるようにフィッティングするのは必須ではない。
 R波は心筋の全細胞の興奮がガウス分布に従って順次開始すること対応するものであるので、R波については、上述した通りに時間の順方向の対象時間波形を2つの累積ガウス分布の差または重み付き差の近似時間波形で近似すればよい。一方、T波は心筋の全細胞の興奮がガウス分布に従って順次覚めることに対応するものであることからすると、T波はR波とは時間軸において逆方向の現象であると解釈できる。すなわち、T波については、対象時間波形の時間軸を逆転させた波形を累積ガウス分布の差または重み付き差で近似すればよいことになる。以下ではこれを第1の方法という。また、T波は心筋の全細胞が興奮している状態からガウス分布に従って覚めることに対応するものであることからすると、T波については、時間の順方向の対象時間波形を2つの関数(1から累積ガウス分布を減算した関数)の差または重み付き差で近似すればよいともいえる。以下ではこれを第2の方法という。以下では第1の方法と第2の方法の具体例を説明するが、上述したR波についての累積分布関数と、以下で説明するT波についての累積分布関数と、の混同を避けるために、以下では、T波については、上述した第1累積分布関数を第3累積分布関数とよび、上述した第2累積分布関数を第4累積分布関数とよんで説明を行う。
 第2対象時間波形(すなわち、T波)を第1の方法を用いて第3累積分布関数と第4累積分布関数との差で近似する場合には、時刻を逆方向に表す情報をx'とし、第2対象時間波形の時間軸を逆転させた波形を第2対象逆時間波形とよぶとして、式(11)で表される第3累積分布関数fe(x')から式(12)で表される第4累積分布関数fg(x')を減算した関数である式(13)の近似逆時間波形で第2対象逆時間波形を近似して、第3累積分布関数を特定するパラメータである平均μeと標準偏差σeと、第4累積分布関数を特定するパラメータである平均μgと標準偏差σgと、を第2対象時間波形(すなわち、T波)の特徴を表すパラメータとして取得する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000011
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000012
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000013
 例えば、第2対象時間波形(すなわち、T波)を第1の方法を用いて第3累積分布関数と第4累積分布関数との重み付き差で近似する場合には、式(11)で表される第3累積分布関数fe(x')に重みkeを乗算した関数から式(12)で表される第4累積分布関数fg(x')に重みkgを乗算した関数を減算した関数である式(14)の近似逆時間波形で第2対象逆時間波形を近似して、第3累積分布関数を特定するパラメータである平均μeと標準偏差σeと、第4累積分布関数を特定するパラメータである平均μgと標準偏差σgと、を第2対象時間波形(すなわち、T波)の特徴を表すパラメータとして少なくとも取得する。なお、第3累積分布関数の重みkeと第4累積分布関数の重みkg、または、第3累積分布関数の重みkeと第4累積分布関数の重みkgとの比(ke/kg、または、kg/ke)、も第2対象時間波形(すなわち、T波)の特徴を表すパラメータとして取得してもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000014
 式(14)の関数が第3累積分布関数に重みkeを乗算した関数から第4累積分布関数に重みkgを乗算した関数を減算した関数であることからすると、重みkeと重みkgは共に正の値である。ただし、対象心臓が特異な状態にある場合には、フィッティングにより得られる重みkeと重みkgの少なくとも何れかが正の値ではない可能性も否定できない。したがって、信号解析装置1は、重みkeと重みkgが共に正の値となるようにフィッティングしてもよいが、重みkeと重みkgが共に正の値となるようにフィッティングするのは必須ではない。
 例えば、第2対象時間波形(すなわち、T波)を、第2の方法を用いて、1から式(15)で表される第3累積分布関数fc(x)を減算した関数f'c(x)(以下、「第3逆累積分布関数」という)と、1から式(16)で表される第4累積分布関数fd(x)を減算した関数f'd(x)(以下、「第4逆累積分布関数」という)との差で近似する場合には、第3逆累積分布関数f'c(x)から第4逆累積分布関数f'd(x)を減算した関数である式(17)の近似時間波形で第2対象時間波形を近似して、第3累積分布関数を特定するパラメータである平均μcと標準偏差σcと、第4累積分布関数を特定するパラメータである平均μdと標準偏差σdと、を第2対象時間波形(すなわち、T波)の特徴を表すパラメータとして取得する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000015
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000016
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000017
 例えば、第2対象時間波形(すなわち、T波)を、第2の方法を用いて、第3逆累積分布関数と第4逆累積分布関数との重み付き差で近似する場合には、第3逆累積分布関数f'c(x)に重みkcを乗算した関数から第4逆累積分布関数f'd(x)に重みkdを乗算した関数を減算した関数である式(18)の近似時間波形で第2対象時間波形を近似して、第3累積分布関数を特定するパラメータである平均μcと標準偏差σcと、第4累積分布関数を特定するパラメータである平均μdと標準偏差σdと、を第2対象時間波形(すなわち、T波)の特徴を表すパラメータとして取得する。なお、第3逆累積分布関数の重みkcと第4逆累積分布関数の重みkd、または、第3逆累積分布関数の重みkcと第4逆累積分布関数の重みkdとの比(kc/kd、または、kd/kc)、も第2対象時間波形(すなわち、T波)の特徴を表すパラメータとして取得してもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000018
 式(18)の関数が第3逆累積分布関数に重みkcを乗算した関数から第4逆累積分布関数に重みkdを乗算した関数を減算した関数であることからすると、重みkcと重みkdは共に正の値である。ただし、対象心臓が特異な状態にある場合には、フィッティングにより得られる重みkcと重みkdの少なくとも何れかが正の値ではない可能性も否定できない。したがって、信号解析装置1は、重みkcと重みkdが共に正の値となるようにフィッティングしてもよいが、重みkcと重みkdが共に正の値となるようにフィッティングするのは必須ではない。
 なお、式(17)の近似時間波形は、第4累積分布関数fd(x)から第3累積分布関数fc(x)を減算した関数であるので、第3累積分布関数fc(x)と第4累積分布関数fd(x)の差である。また、式(18)の近似時間波形は、第3累積分布関数fc(x)と第4累積分布関数fd(x)の重み付き差に定数項が加算されたものであり、曲線部分の形状は第3累積分布関数fc(x)と第4累積分布関数fd(x)の重み付き差と同じである。また、上述したように、T波はR波とは時間軸において逆方向の現象であると解釈でき、T波については、対象時間波形の時間軸を逆転させた波形を第3累積分布関数fe(x)と第4累積分布関数fg(x)の差または重み付き差で近似できる。これらのことから、T波についての以降の説明箇所では、累積分布関数と逆累積分布関数を併記せずに、単に累積分布関数のみを用いた説明を行うことがある。
 図2は、第1対象時間波形(すなわち、R波)についての、第1累積分布関数fa(x)と重みkaを乗算した関数kafa(x)と、第2累積分布関数fb(x)と重みkbを乗算した関数kbfb(x)と、第1累積分布関数と第2累積分布関数との重み付き差である近似時間波形kafa(x)-kbfb(x)と、を模式的に示した図である。一点鎖線が第1累積分布関数fa(x)と重みkaを乗算した関数kafa(x)であり、二点鎖線が第2累積分布関数fb(x)と重みkbを乗算した関数kbfb(x)であり、破線が近似時間波形kafa(x)-kbfb(x)である。この近似時間波形kafa(x)-kbfb(x)が、第1対象時間波形(すなわち、R波)を近似した波形である。
 図3は、第2対象時間波形(すなわち、T波)についての、第3逆累積分布関数f'c(x)=1-fc(x)と重みkcを乗算した関数kcf'c(x)、第4逆累積分布関数f'd(x)=1-fd(x)と重みkdを乗算した関数kdf'd(x)、第3逆累積分布関数と第4逆累積分布関数との重み付き差である近似時間波形kcf'c(x)-kdf'd(x)と、を模式的に示した図である。一点鎖線が第3逆累積分布関数f'c(x)=1-fc(x)と重みkcを乗算した関数kcf'c(x)であり、二点鎖線が第4逆累積分布関数f'd(x)=1-fd(x)と重みkdを乗算した関数kdf'd(x)であり、破線が近似時間波形kcf'c(x)-kdf'd(x)である。この近似時間波形kcf'c(x)-kdf'd(x)が、第2対象時間波形(すなわち、T波)を近似した波形である。
 図4は、実施形態における対象心臓の心電図の1周期分の波形に含まれるR波を第1対象時間波形としT波を第2対象時間波形として、第1対象時間波形と第2対象時間波形のそれぞれを2つの累積分布関数の差によってフィッティングした結果を模式的に示す図である。図4の横軸は時刻を表し、縦軸は電位を表す。横軸と縦軸との単位はいずれも任意単位(arbitrary unit)である。
 図4は、具体的には、第1対象時間波形(すなわち、R波)を第1累積分布関数と第2累積分布関数の差によってフィッティングし、第2対象時間波形(すなわち、T波)を第3累積分布関数と第4累積分布関数の差によってフィッティングした例である。第1累積分布関数の定義域と第2累積分布関数の定義域とは同一であり、第1対象時間波形(すなわち、R波)の時間区間である時刻T1から時刻T3である。第3累積分布関数の定義域と第4累積分布関数の定義域とは同一であり時刻T4から時刻T6である。
 図4における“第1フィッティング結果”と“第2フィッティング結果”は、R波に対するフィッティングの結果である。図4における“第3フィッティング結果”と“第4フィッティング結果”は、T波に対するフィッティングの結果である。
 図4において“第1フィッティング結果”は、心電図の第1対象時間波形(すなわち、R波)へのフィッティングの結果のうちの第1累積分布関数を示す。図4において“第2フィッティング結果”は、心電図の第1対象時間波形(すなわち、R波)へのフィッティングの結果のうちの第2累積分布関数を示す。図4において“第3フィッティング結果”は、心電図の第2対象時間波形(すなわち、T波)へのフィッティングの結果のうちの第3累積分布関数を示す。図4において“第4フィッティング結果”は、心電図の第2対象時間波形(すなわち、T波)へのフィッティングの結果のうちの第4累積分布関数を示す。図4において“体表面の電位”は、フィッティング対象の心電図の波形を表す。
 なお、信号解析装置1は、第1対象時間波形(すなわち、R波)の時間区間にも第2対象時間波形(すなわち、T波)の時間区間にも属さない時刻T3から時刻T4の期間については、信号解析装置1はフィッティングを行わない。なお、信号解析装置1においてフィッティングが行われない期間については、図4では、時刻T3における第1フィッティング結果と時刻T4における第3フィッティング結果とを繋ぐ線、時刻T3における第2フィッティング結果と時刻T4における第4フィッティング結果とを繋ぐ線、で表現している。すなわち、信号解析装置1がフィッティング結果を表示する場合には、図4のように、信号解析装置1は、時刻T3における第1フィッティング結果と時刻T4における第3フィッティング結果、および、時刻T3における第2フィッティング結果と時刻T4における第4フィッティング結果、を定数関数や一次関数等の予め定められた関数で繋いだ線を表示すればよい。
 なお、信号解析装置1がフィッティング結果を表示する場合には、時刻T3における第1フィッティング結果と時刻T4における第3フィッティング結果を同じ値で表示できるように、重みの値を補正してもよい。すなわち、時刻T3における実際の第1フィッティング結果はkafa(T3)であり、時刻T4における実際の第3フィッティング結果はkcf'c(T4)であるが、kafa(T3)=α1kcf'c(T4)を満たすα1を求めて、重みkcに代えてα1kcを用いてフィッティング結果を表示してもよく、重みkaに代えてka1を用いてフィッティング結果を表示してもよい。同様に、信号解析装置1がフィッティング結果を表示する場合には、時刻T3における第2フィッティング結果と時刻T4における第4フィッティング結果を同じ値で表示できるように、重みの値を補正してもよい。すなわち、時刻T3における第2フィッティング結果はkbfb(T3)であり、時刻T4における第4フィッティング結果はkdf'd(T4)であるが、kbfb(T3)=α2kdf'd(T4)を満たすα2を求めて、重みkdに代えてα2kdを用いてフィッティング結果を表示してもよく、重みkbに代えてkb2を用いてフィッティング結果を表示してもよい。
 なお、第1対象時間波形に対するフィッティングと第2対象時間波形に対するフィッティングとは、個別に実行されなくてもよい。すなわち、第1対象時間波形及び第2対象時間波形に対するフィッティングは、これらの両方に対するフィッティングとして、まとめて実行されてもよい。例えば、信号解析装置1は、第1対象時間波形及び第2対象時間波形に対するフィッティングをまとめて実行する場合には、時刻T3における第1フィッティング結果と時刻T4における第3フィッティング結果との差が小さくなるようにすることと、時刻T3における第2フィッティング結果と時刻T4における第4フィッティング結果との差が小さくなるようにすることと、も考慮したフィッティングを実行するのがよい。
 図5は、T波を第3逆累積分布関数から第4逆累積分布関数を減算した関数で近似して、第3逆累積分布関数と第4逆累積分布関数を表示したり、各累積分布関数を特定するパラメータを表示したりすることで、T波の典型的な特徴を可視化できることを説明する説明図である。図5は、画像G1、画像G2、画像G3及び画像G4の4つの画像を示す。画像G1~画像G4の各画像は、横軸を時刻、縦軸を電位とするグラフを示す。図5の画像G1~画像G4の各画像の横軸と縦軸との単位はいずれも任意単位(arbitrary unit)である。
 図5の“第1関数”は、第3逆累積分布関数の一例である。図5の“第2関数”は、第4逆累積分布関数の一例である。図5の“第3関数”は、“第1関数”から“第2関数”を引き算した関数、すなわち、第3逆累積分布関数から第4逆累積分布関数を減算した関数、を表す。図5の“第3関数”は、正常な心臓のT波の形状に略同一の形状である。
 図5の“第4関数”は、第3逆累積分布関数の一例である。図5の“第5関数”は、第4逆累積分布関数の一例である。図5の“第6関数”は、“第4関数”から“第5関数”を引き算した関数、すなわち、第3逆累積分布関数から第4逆累積分布関数を減算した関数、を表す。図5の“第6関数”は、T波の異常な典型的な3パタンのうちの1つのT波の減高の形状に略同一の形状である。図5の画像G2における第3逆累積分布関数の立ち下がり部分と第4逆累積分布関数の立ち下がり部分の間隔は、正常な心臓の画像G1における第3逆累積分布関数の立ち下がり部分と第4逆累積分布関数の立ち下がり部分の間隔よりも狭くなっており、このことにより、T波減高において、心筋内層の活動からの心筋外層の活動の遅れが小さいことが可視化される。
 図5の“第7関数”は、第3逆累積分布関数の一例である。図5の“第8関数”は、第4逆累積分布関数の一例である。図5の“第9関数”は、“第7関数”から“第8関数”を引き算した関数、すなわち、第3逆累積分布関数から第4逆累積分布関数を減算した関数、を表す。図5の“第9関数”は、T波の異常な典型的な3パタンのうちの1つのT波の増高の形状に略同一の形状である。図5の画像G3における第3逆累積分布関数の立ち下がり部分と第4逆累積分布関数の立ち下がり部分の間隔は、正常な心臓の画像G1における第3逆累積分布関数の立ち下り部分と第4逆累積分布関数の立ち下り部分の間隔よりも広くなっており、このことにより、T波の増高において、心筋内層の活動からの心筋外層の活動の遅れが大きいことが可視化される。
 図5の“第10関数”は、第3逆累積分布関数の一例である。図5の“第11関数”は、第4逆累積分布関数の一例である。図5の“第12関数”は、“第10関数”から“第11関数”を引き算した関数、すなわち、第3逆累積分布関数から第4逆累積分布関数を減算した関数、を表す。図5の“第12関数”は、T波の異常な典型的な3パタンのうちの1つの陰性のT波の形状に略同一の形状である。図5の画像G4における第3逆累積分布関数の立ち下がり部分と第4逆累積分布関数の立ち下がり部分の順序は、正常な心臓の画像G1における第3逆累積分布関数の立ち下り部分と第4逆累積分布関数の立ち下り部分の順序と逆になっており、このことにより、陰性のT波において、心筋内層よりも心筋外層が先に活動の終了をしていることが可視化される。
 第3逆累積分布関数から第4逆累積分布関数を減算した関数は、“第3関数”、“第6関数”、“第9関数”のように縦軸方向の幅と横軸方向の幅との異なる波を表現可能である。また第3逆累積分布関数から第4逆累積分布関数を減算した関数は、“第12関数”のように陰性の波を表現可能である。すなわち、第3逆累積分布関数から第4逆累積分布関数を減算した関数でT波を近似することで、または、時間軸を逆転させて第3累積分布関数から第4累積分布関数を減算した関数でT波を近似することで、T波に含まれる心筋内層と心筋外層のそれぞれの活動および心筋内層と心筋外層の活動の関係を表現することが可能である。このことは、R波について第1累積分布関数から第2累積分布関数を減算した関数で近似した場合も同様である。
 このように、信号解析装置1は、2つの累積分布関数の差または重み付き差によって対象心臓の心電図のR波またはT波の波形をフィッティングする。そして信号解析装置1は、フィッティングにより特定された近似時間波形を特定するパラメータを心筋の活動を示すパラメータとして取得する。
 〔2つの累積分布関数の差または重み付き差に値を加算したものによる近似〕
 信号解析装置1は、取得した対象心臓の心電図の1周期分の波形に含まれるR波とT波の何れかの時間区間の波形を対象時間波形として、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差に値(以下「水準値」という。)を加算したものによる時間波形を、近似時間波形としてもよい。この場合には、近似時間波形で対象時間波形を近似したときの、第1の単峰分布を特定するパラメータまたは第1累積分布関数を特定するパラメータと、第2の単峰分布を特定するパラメータまたは第2累積分布関数を特定するパラメータと、に加えて、水準値も対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得する。もちろん、重み付き差で近似する場合には、第1累積分布関数に与える重みと第2累積分布関数に与える重みも対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得するようにしてもよいし、第1累積分布関数に与える重みと、第2累積分布関数に与える重みと、の比、も対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得するようにしてもよい。
 重み付き差を用いる場合であれば、例えば、信号解析装置1は、第1累積分布関数の複数個(M個)の候補それぞれについての累積分布関数を特定するパラメータと、第2累積分布関数の複数個(N個)の候補それぞれについての累積分布関数を特定するパラメータと、第1累積分布関数に与える重みの複数個(K個)の候補と、第2累積分布関数に与える重みの複数個(L個)の候補と、水準値の複数個(J個)の候補と、の組み合わせ(J×K×L×M×N通り)それぞれを用いて、第1累積分布関数と第2累積分布関数との重み付き差に水準値を加算したものによる時間波形である候補時間波形を生成して、生成したJ×K×L×M×N通りの候補時間波形のうちの対象時間波形に最も近い候補時間波形を近似時間波形として特定して、特定した近似時間波形の生成に用いた第1累積分布関数の候補を特定するパラメータと第2累積分布関数の候補を特定するパラメータと第1累積分布関数に与える重みと第2累積分布関数に与える重みと水準値とを、対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得する。
 または、例えば、信号解析装置1は、対象時間波形を近似する第1累積分布関数の候補と第2累積分布関数の候補との重み付き差に水準値を加算したものによる時間波形である候補時間波形を得ることと、候補時間波形と対象時間波形の二乗誤差が小さくなる方向に各累積分布関数を特定するパラメータと各累積分布関数に与える重みと水準値の少なくとも何れかを更新することと、を、二乗誤差が所定の基準以下となるまで繰り返すか、または、所定の回数だけ繰り返して、最終的に得た候補時間波形を近似時間波形として特定して、特定した近似時間波形の生成に用いた第1累積分布関数の候補を特定するパラメータと第2累積分布関数の候補を特定するパラメータと第1累積分布関数に与える重みと第2累積分布関数に与える重みと水準値とを、対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得する。
 なお、フィッティングの前に水準値を定めるようにしてもよい。この場合には、信号解析装置1は、まず、対象時間波形がR波である場合には対象時間波形の始端(図4における時刻T1に相当)の電位を水準値とし、対象時間波形がT波である場合には対象時間波形の終端(図4における時刻T6に相当)の電位を水準値として取得する。そして、信号解析装置1は、第1累積分布関数の複数個(M個)の候補それぞれについての累積分布関数を特定するパラメータと、第2累積分布関数の複数個(N個)の候補それぞれについての累積分布関数を特定するパラメータと、第1累積分布関数に与える重みの複数個(K個)の候補と、第2累積分布関数に与える重みの複数個(L個)の候補と、の組み合わせ(K×L×M×N通り)それぞれを用いて、第1累積分布関数と第2累積分布関数との重み付き差に水準値を加算したものによる時間波形である候補時間波形を生成して、生成したK×L×M×N通りの候補時間波形のうちの対象時間波形に最も近い候補時間波形を近似時間波形として特定して、特定した近似時間波形の生成に用いた第1累積分布関数の候補を特定するパラメータと第2累積分布関数の候補を特定するパラメータと第1累積分布関数に与える重みと第2累積分布関数に与える重みと、最初の処理で決定した水準値とを、対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得する。
 または、例えば、信号解析装置1は、まず、対象時間波形がR波である場合には対象時間波形の始端(図4における時刻T1に相当)の電位を水準値とし、対象時間波形がT波である場合には対象時間波形の終端(図4における時刻T6に相当)の電位を水準値として取得する。そして、信号解析装置1は、対象時間波形を近似する第1累積分布関数の候補と第2累積分布関数の候補との重み付き差に水準値を加算したものによる時間波形である候補時間波形を得ることと、候補時間波形と対象時間波形の二乗誤差が小さくなる方向に各累積分布関数を特定するパラメータと各累積分布関数に与える重みの少なくとも何れかを更新することと、を、二乗誤差が所定の基準以下となるまで繰り返すか、または、所定の回数だけ繰り返して、最終的に得た候補時間波形を近似時間波形として特定して、特定した近似時間波形の生成に用いた第1累積分布関数の候補を特定するパラメータと第2累積分布関数の候補を特定するパラメータと第1累積分布関数に与える重みと第2累積分布関数に与える重みと、最初の処理で決定した水準値とを、対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得する。
 水準値をβとすると、第1累積分布関数と第2累積分布関数の重み付き差に水準値を加算したものは、例えば、以下の式(19)で表される。以下の式(19)で表される関数は、第1累積分布関数に重みk1を乗算した関数から第2累積分布関数に重みk2を乗算した関数を減算して水準値βを加算した関数である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000019
 第1累積分布関数と第2累積分布関数との重み付き差に水準値を加算した式(19)の近似時間波形で対象時間波形を近似したときには、第1の単峰分布を特定するパラメータまたは第1累積分布関数を特定するパラメータである平均μ1と標準偏差σ1と、第2の単峰分布を特定するパラメータまたは第2累積分布関数を特定するパラメータである平均μ2と標準偏差σ2と、水準値βと、を対象時間波形の特徴を表すパラメータとして少なくとも取得する。なお、第1累積分布関数の重みk1と第2累積分布関数の重みk2、または、第1累積分布関数の重みk1と第2累積分布関数の重みk2との比(k1/k2、または、k2/k1)、も対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得してもよい。
 式(19)の関数が第1累積分布関数に重みk1を乗算した関数から第2累積分布関数に重みk2を乗算した関数を減算して水準値βを加算した関数であることからすると、重みk1と重みk2は共に正の値である。ただし、対象心臓が特異な状態にある場合には、フィッティングにより得られる重みk1と重みk2の少なくとも何れかが正の値ではない可能性も否定できない。したがって、信号解析装置1は、重みk1と重みk2が共に正の値となるようにフィッティングしてもよいが、重みk1と重みk2が共に正の値となるようにフィッティングするのは必須ではない。
 信号解析装置1は、取得した対象心臓の心電図の1周期分の波形に含まれるR波とT波のうちの、R波を第1対象時間波形とし、T波を第2対象時間波形として、第1対象時間波形と第2対象時間波形のそれぞれについて、上述した対象時間波形の特徴を表すパラメータを取得するとよい。
 例えば、第1対象時間波形(すなわち、R波)を第1累積分布関数と第2累積分布関数との重み付き差に水準値を加算した関数で近似する場合には、第1対象時間波形の始端の電位を水準値βRとして、式(7)で表される第1累積分布関数fa(x)に重みkaを乗算した関数からから式(8)で表される第2累積分布関数fb(x)に重みkbを乗算した関数を減算して水準値βRを加算した関数である式(20)の近似時間波形で第1対象時間波形を近似して、第1累積分布関数を特定するパラメータである平均μaと標準偏差σaと、第2累積分布関数を特定するパラメータである平均μbと標準偏差σbと、水準値βRと、を第1対象時間波形(すなわち、R波)の特徴を表すパラメータとして少なくとも取得する。なお、第1累積分布関数の重みkaと第2累積分布関数の重みkb、または、第1累積分布関数の重みkaと第2累積分布関数の重みkbとの比(ka/kb、または、kb/ka)、も第1対象時間波形(すなわち、R波)の特徴を表すパラメータの特徴を表すパラメータとして取得してもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000020
 式(20)の関数が第1累積分布関数に重みkaを乗算した関数から第2累積分布関数に重みkbを乗算した関数を減算して水準値βRを加算した関数であることからすると、重みkaと重みkbは共に正の値である。ただし、対象心臓が特異な状態にある場合には、フィッティングにより得られる重みkaと重みkbの少なくとも何れかが正の値ではない可能性も否定できない。したがって、信号解析装置1は、重みkaと重みkbが共に正の値となるようにフィッティングしてもよいが、重みkaと重みkbが共に正の値となるようにフィッティングするのは必須ではない。
 例えば、第2対象時間波形(すなわち、T波)の時間軸を逆転させた波形である第2対象逆時間波形を第3累積分布関数と第4累積分布関数との重み付き差に水準値を加算した関数で近似する場合には、第2対象時間波形の終端の電位を水準値βTとして、式(11)で表される第3累積分布関数fe(x')に重みkeを乗算した関数から式(12)で表される第4逆累積分布関数fg(x')に重みkgを乗算した関数を減算して水準値βTを加算した関数である式(21)の近似逆時間波形で第2対象逆時間波形を近似して、第3累積分布関数を特定するパラメータである平均μeと標準偏差σeと、第4累積分布関数を特定するパラメータである平均μgと標準偏差σgと、水準値βTと、を第2対象時間波形(すなわち、T波)の特徴を表すパラメータとして少なくとも取得する。なお、第3累積分布関数の重みkeと第4累積分布関数の重みkg、または、第3累積分布関数の重みkeと第4累積分布関数の重みkgとの比(ke/kg、または、kg/ke)、も第2対象時間波形(すなわち、T波)の特徴を表すパラメータの特徴を表すパラメータとして取得してもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000021
 式(21)の関数が第3累積分布関数に重みkeを乗算した関数から第4累積分布関数に重みkgを乗算した関数を減算して水準値βTを加算した関数であることからすると、重みkeと重みkgは共に正の値である。ただし、対象心臓が特異な状態にある場合には、フィッティングにより得られる重みkeと重みkgの少なくとも何れかが正の値ではない可能性も否定できない。したがって、信号解析装置1は、重みkeと重みkgが共に正の値となるようにフィッティングしてもよいが、重みkeと重みkgが共に正の値となるようにフィッティングするのは必須ではない。
 例えば、第2対象時間波形(すなわち、T波)について、1から第3累積分布関数を減算した関数(すなわち、第3逆累積分布関数)と、1から第4累積分布関数を減算した関数(すなわち、第4逆累積分布関数)と、の重み付き差に水準値を加算した関数で近似する場合には、第2対象時間波形の終端の電位を水準値βTとして、第3逆累積分布関数f'c(x)に重みkcを乗算した関数から第4逆累積分布関数f'd(x)に重みkdを乗算した関数を減算して水準値βTを加算した関数である式(22)の近似時間波形で第2対象時間波形を近似して、第3累積分布関数を特定するパラメータである平均μcと標準偏差σcと、第4累積分布関数を特定するパラメータである平均μdと標準偏差σdと、水準値βTと、を第2対象時間波形(すなわち、T波)の特徴を表すパラメータとして取得する。なお、第3逆累積分布関数の重みkcと第4逆累積分布関数の重みkd、または、第3逆累積分布関数の重みkcと第4逆累積分布関数の重みkdとの比(kc/kd、または、kd/kc)、も第2対象時間波形(すなわち、T波)の特徴を表すパラメータとして取得してもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000022
 式(22)の関数が第3逆累積分布関数に重みkcを乗算した関数から第4逆累積分布関数に重みkdを乗算した関数を減算して水準値βTを加算した関数であることからすると、重みkcと重みkdは共に正の値である。ただし、対象心臓が特異な状態にある場合には、フィッティングにより得られる重みkcと重みkdの少なくとも何れかが正の値ではない可能性も否定できない。したがって、信号解析装置1は、重みkcと重みkdが共に正の値となるようにフィッティングしてもよいが、重みkcと重みkdが共に正の値となるようにフィッティングするのは必須ではない。
 図6は、第1対象時間波形(すなわち、R波)についての、第1累積分布関数fa(x)と重みkaを乗算して水準値βRを加算した関数kafa(x)+βRと、第2累積分布関数fb(x)と重みkbを乗算して水準値βRを加算した関数kbfb(x)+βRと、第1累積分布関数と第2累積分布関数との重み付き差に水準値βRを加算したものである近似時間波形kafa(x)-kbfb(x)+βRと、を模式的に示した図である。一点鎖線が第1累積分布関数fa(x)と重みkaを乗算して水準値βRを加算した関数kafa(x)+βRであり、二点鎖線が第2累積分布関数fb(x)と重みkbを乗算して水準値βRを加算した関数kbfb(x)+βRであり、破線が近似時間波形kafa(x)-kbfb(x)+βRである。この近似時間波形kafa(x)-kbfb(x)+βRが、第1対象時間波形(すなわち、R波)を近似した波形である。
 図7は、第2対象時間波形(すなわち、T波)についての、第3逆累積分布関数f'c(x)=1-fc(x)と重みkcを乗算して水準値βTを加算した関数kcf'c(x)+βT、第4逆累積分布関数f'd(x)=1-fd(x)と重みkdを乗算して水準値βTを加算した関数kdf'd(x)+βT、第3逆累積分布関数と第4逆累積分布関数との重み付き差に水準値βTを加算したものである近似時間波形kcf'c(x)-kdf'd(x)+βTと、を模式的に示した図である。一点鎖線が第3逆累積分布関数f'c(x)=1-fc(x)と重みkcを乗算して水準値βTを加算した関数kcf'c(x)+βTであり、二点鎖線が第4逆累積分布関数f'd(x)=1-fd(x)と重みkdを乗算して水準値βTを加算した関数kdf'd(x)+βTであり、破線が近似時間波形kcf'c(x)-kdf'd(x)+βTである。この近似時間波形kcf'c(x)-kdf'd(x)+βTが、第2対象時間波形(すなわち、T波)を近似した波形である。
 なお、R波(正確にはQRS波)の始端の電位である水準値βRは、R波の始端における直流成分の大きさを表す値であり、冠動脈に異常がある場合には、水準値βRがマイナス側に下降する場合がある。また、T波の終端の電位である水準値βTは、T波の終端における直流成分の大きさを表す値であり、心筋の再分極に異常がある場合には、水準値βTがプラス側に上昇する場合がある。
 〔対象時間波形と近似時間波形の差について近似〕
 特殊な状態のR波やT波を対象時間波形とする場合には、上述した近似時間波形では対象時間波形を近似できない部分(以下、「残差部分」という)が残ることがある。例えば、対象心臓に早期再分極や伝導障害(副伝導路等)が生じている場合には、図8に破線で示すようなΔ波が対象時間波形(R波)に含まれていることがある。このΔ波の部分は、上述した近似時間波形では対象時間波形を近似できずに、残差部分として残る。この残差部分も心臓の何らかの活動に起因する時間波形であることからすると、信号解析装置1では、この残差部分について、累積ガウス分布、または、累積ガウス分布に重みを乗算した関数、または、累積ガウス分布の差、または、累積ガウス分布の重み付き差、であると仮定した解析を行うとよい。
 すなわち、信号解析装置1は、対象時間波形と近似時間波形の差である残差時間波形について、ある単峰分布(便宜的に「第5の単峰分布」という)の累積分布関数(便宜的に「第5累積分布関数」という)または第5累積分布関数に重みを乗算した関数で残差時間波形を近似したときの、第5の単峰分布を特定するパラメータまたは第5累積分布関数を特定するパラメータも、対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得してもよい。
 または、信号解析装置1は、対象時間波形と近似時間波形の差である残差時間波形について、ある単峰分布(便宜的に「第5の単峰分布」という)の累積分布関数(便宜的に「第5累積分布関数」という)と、第5の単峰分布とは別の単峰分布(便宜的に「第6の単峰分布」という)の累積分布関数(便宜的に「第6累積分布関数」という)との差または重み付き差による時間波形(以下、「近似残差時間波形」という)で残差時間波形を近似したときの、第5の単峰分布を特定するパラメータまたは第5累積分布関数を特定するパラメータと、第6の単峰分布を特定するパラメータまたは第6累積分布関数を特定するパラメータ、も対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得してもよい。
 より具体的には、式(23)で表される第5の単峰分布の累積分布関数である第5累積分布関数で残差時間波形を近似する場合には、信号解析装置1は、対象時間波形と近似時間波形の差である残差時間波形について、式(24)で表される第5累積分布関数の近似時間波形f5(x)で残差時間波形を近似して、上述した対象時間波形の特徴を表す各パラメータに加えて、第5累積分布関数を特定するパラメータである平均μ5と標準偏差σ5も、対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000023
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000024
 第5累積分布関数に重みを乗算した関数で残差時間波形を近似する場合には、信号解析装置1は、対象時間波形と近似時間波形の差である残差時間波形について、式(24)で表される第5累積分布関数f5(x)に重みk5を乗算した関数の近似時間波形k5f5(x)で残差時間波形を近似して、上述した対象時間波形の特徴を表す各パラメータに加えて、第5累積分布関数を特定するパラメータである平均μ5と標準偏差σ5も、対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得してもよい。信号解析装置1は、さらに、重みk5も対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得してもよい。
 第5累積分布関数と、式(25)で表される第6の単峰分布の累積分布関数である第6累積分布関数と、の差で残差時間波形を近似する場合には、例えば、信号解析装置1は、対象時間波形と近似時間波形の差である残差時間波形について、式(24)で表される第5累積分布関数から式(26)で表される第6累積分布関数を減算した波形である近似時間波形f5(x)-f6(x)で残差時間波形を近似して、上述した対象時間波形の特徴を表す各パラメータに加えて、第5累積分布関数を特定するパラメータである平均μ5と標準偏差σ5と、第6累積分布関数を特定するパラメータである平均μ6と標準偏差σ6も、対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000025
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000026
 第5累積分布関数と第6累積分布関数の重み付き差で残差時間波形を近似する場合には、信号解析装置1は、対象時間波形と近似時間波形の差である残差時間波形について、第5累積分布関数f5(x)に重みk5を乗算した関数k5f5(x)から第6累積分布関数f6(x)に重みk6を乗算した関数k6f6(x)を減算した波形である近似時間波形k5f5(x)-k6f6(x)で残差時間波形を近似して、上述した対象時間波形の特徴を表す各パラメータに加えて、第5累積分布関数を特定するパラメータである平均μ5と標準偏差σ5と、第6累積分布関数を特定するパラメータである平均μ6と標準偏差σ6も、対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得する。信号解析装置1は、さらに、重みk5と重みk6、または、重みk5と重みk6の比(k5/k6またはk6/k5)も、対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得してもよい。
 第5累積分布関数に重みk5を乗算した関数から第6累積分布関数に重みk6を乗算した近似時間波形で残差時間波形を近似することからすると、重みk5と重みk6は共に正の値である。ただし、対象心臓が特異な状態にある場合には、フィッティングにより得られる重みk5と重みk6の少なくとも何れかが正の値ではない可能性も否定できない。したがって、信号解析装置1は、重みk5と重みk6が共に正の値となるようにフィッティングしてもよいが、重みk5と重みk6が共に正の値となるようにフィッティングするのは必須ではない。
 図1の説明に戻る。信号解析装置1は、バスで接続されたCPU等のプロセッサ91とメモリ92とを備える制御部11を備え、プログラムを実行する。信号解析装置1は、プログラムの実行によって制御部11、入力部12、通信部13、記憶部14及び出力部15を備える装置として機能する。
 より具体的には、プロセッサ91が記憶部14に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ92に記憶させる。プロセッサ91が、メモリ92に記憶させたプログラムを実行することによって、信号解析装置1は、制御部11、入力部12、通信部13、記憶部14及び出力部15を備える装置として機能する。
 制御部11は、信号解析装置1が備える各種機能部の動作を制御する。制御部11は、例えば心筋活動情報パラメータ取得処理を実行する。制御部11は、例えば出力部15の動作を制御し、出力部15に心筋活動情報パラメータ取得処理の取得結果を出力させる。制御部11は、例えば心筋活動情報パラメータ取得処理の実行により生じた各種情報を記憶部14に記録する。
 入力部12は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成される。入力部12は、これらの入力装置を信号解析装置1に接続するインタフェースとして構成されてもよい。入力部12は、信号解析装置1に対する各種情報の入力を受け付ける。
 入力部12には、例えばフィッティングに用いる各累積分布関数の複数個の候補について、各累積分布関数が表す分布の形状を示す情報(以下「分布形状指定情報」という。)が入力される。
 なお、分布形状指定情報は予め記憶部14が記憶済みであってもよい。このような場合、記憶部14が記憶済みの分布形状指定情報については、入力部12から入力される必要はない。以下、説明の簡単のため記憶部14が分布形状指定情報を予め記憶済みの場合を例に信号解析装置1を説明する。
 通信部13は、信号解析装置1を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部13は、有線又は無線を介して外部装置と通信する。外部装置は、例えば対象心臓の心電図の波形の送信元の装置である。対象心臓の心電図の波形の送信元の装置は、例えば心電図測定装置である。通信部13は、例えば外部装置が心電図測定装置である場合、通信により心電図測定装置から心電図の波形を取得する。なお、心電図の波形は入力部12に入力されてもよい。
 記憶部14は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの非一時的コンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部14は信号解析装置1に関する各種情報を記憶する。記憶部14は、例えば入力部12又は通信部13を介して入力された情報を記憶する。記憶部14は、例えば入力部12又は通信部13を介して入力された心電図を記憶する。記憶部14は、例えば心筋活動情報パラメータ取得処理の実行により生じた各種情報を記憶する。
 出力部15は、各種情報を出力する。出力部15は、例えばCRT(Cathode  Ray    Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。出力部15は、これらの表示装置を信号解析装置1に接続するインタフェースとして構成されてもよい。出力部15は、例えば入力部12に入力された情報を出力する。出力部15は、例えば入力部12又は通信部13に入力された心電図を表示してもよい。出力部15は、例えば心筋活動情報パラメータ取得処理の実行結果を表示してもよい。
 図9は、実施形態における制御部11の機能構成の一例を示す図である。制御部11は、心電図取得部110、フィッティング情報取得部120、解析部130及び記録部140を備える。
 心電図取得部110は、入力部12又は通信部13に入力された対象心臓の心電図の波形から、1周期分の波形を取得して、解析部130に対して出力する。対象心臓の心電図の波形は、複数拍分(複数周期分)の波形が時系列に並んだ波形である。対象心臓に異常が生じている場合でも、心電図の波形に含まれる全ての拍の波形が特殊な波形となっているのではなく、心電図の波形に含まれるいずれかの少数の拍の波形のみが特徴的な波形となっていることが多い。心筋活動情報パラメータ取得処理では、この特徴的な波形を対象とするのがよい。そこで、心電図取得部110は、対象心臓の心電図の波形から、特徴的な波形である1周期分の波形を取得する。例えば、心電図取得部110は、類似性や特異性を判定する公知の技術を用いて、対象心臓の心電図の波形から特徴的な波形である1周期分の波形を取得すればよい。また例えば、心電図取得部110は、出力部15に心電図の波形を表示させて、医師などの利用者による1周期分の波形の指定を入力部12に受け付けさせて、入力部12が受け付けた指定に対応する1周期分の波形を心電図の波形から取得するようにしてもよい。
 心電図取得部110は、1周期分の波形を、所定のサンプリング周波数でサンプリングしたディジタルの時系列データとして出力する。所定のサンプリング周波数とは、フィッティング情報取得部120における処理で用いる信号のサンプリング周波数であり、例えば250Hzである。入力された心電図の波形が所定のサンプリング周波数でサンプリングされたものである場合には、心電図取得部110は、入力された心電図の波形のディジタルの時系列データから、1周期分の波形のディジタルの時系列データを切り出して出力すればよい。入力された心電図の波形が所定のサンプリング周波数とは異なるンプリング周波数でサンプリングされたものである場合には、心電図取得部110は、入力された心電図の波形のディジタルの時系列データから、1周期分の波形のディジタルの時系列データを切り出して、所定のサンプリング周波数に変換してから出力すればよい。
 心電図取得部110は、さらに、心電図の1周期分の波形に含まれるR波の時間区間とT波の時間区間を特定して、R波の時間区間を特定する情報と、T波の時間区間を特定する情報も取得して解析部130に対して出力する。例えば、心電図取得部110は、公知の技術によって、R波の始端とR波の終端とT波の始端とT波の終端を特定して、特定したR波の始端とR波の終端とT波の始端とT波の終端のそれぞれに対応するサンプル番号や波形の始端からの相対時刻などをR波の時間区間を特定する情報とT波の時間区間を特定する情報として取得すればよい。なお、本明細書におけるR波は、正確にはQRS波のことを指している。R波の始端(すなわちQRS波の始端)が波形のうちのどの点であるのかについては様々な解釈が存在するのは事実であるものの、心電図取得部110は、いずれかの公知技術によって特定したものをR波の始端とすればよい。
 なお、対象心臓の心電図の波形において、時間の経過に応じて変化する特徴的な波形が現れる場合がある。そこで、心電図取得部110は、心筋活動情報パラメータ取得処理が行われる対象の波形として、複数周期分の波形を、対象心臓の心電図の波形から取得してもよい。すなわち、心電図取得部110は、予め定められた長期の時系列の波形(トレンドグラフ)を、対象心臓の心電図の波形から取得して、取得した波形に含まれる各周期の波形についての、波形と当該波形に含まれるR波の時間区間を特定する情報と当該波形に含まれるT波の時間区間を特定する情報とを解析部130に対して出力するようにしてもよい。
 フィッティング情報取得部120は、分布形状指定情報を取得する。分布形状指定情報が記憶部14に記憶されている場合、フィッティング情報取得部120は、分布形状指定情報を記憶部14から読み出す。
 解析部130は、フィッティング部131及び心筋活動情報パラメータ取得部132を備える。
 フィッティング部131は、分布形状指定情報によって示される累積分布関数の候補を用いて、心電図取得部110が取得した心電図の1周期分の波形に含まれるR波とT波の少なくとも何れかの時間区間の波形である対象時間波形に対してフィッティングを行う。
 心筋活動情報パラメータ取得部132は、フィッティング部131によるフィッティングの結果に基づき対象時間波形の特徴を表すパラメータを取得する。心筋活動情報パラメータ取得部132は、対象時間波形の特徴を表すパラメータとして、例えば、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と、第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数と、の差または重み付き差による時間波形である近似時間波形で対象時間波形を近似したときの、第1の単峰分布を特定するパラメータまたは第1累積分布関数を特定するパラメータと、第2の単峰分布を特定するパラメータまたは第2累積分布関数を特定するパラメータを取得する。心筋活動情報パラメータ取得部132が取得した対象時間波形の特徴を表すパラメータは、心筋活動パラメータの一例である。
 このように解析部130は、対象心臓の心電図の1周期分の波形に含まれるR波とT波の少なくとも何れかの時間区間の波形である対象時間波形と分布候補情報とに基づき、心筋活動パラメータを取得する。
 記憶部14は、制御部11が実行した処理によって生じた各種情報を記憶部14に記録する。
 図10は、実施形態における信号解析装置1が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。心電図取得部110が、入力部12又は通信部13を介して対象心臓の心電図の1周期分の波形とR波の時間区間を特定する情報とT波の時間区間を特定する情報を取得する(ステップS101)。次にフィッティング情報取得部120が、分布形状指定情報を取得する(ステップS102)。次にフィッティング部131が分布形状指定情報によって示される累積分布関数の候補を用いて、ステップS101で取得された心電図の1周期分の波形に含まれるR波とT波の少なくとも何れかの時間区間の波形である対象時間波形に対してフィッティングを行う(ステップS103)。次に、心筋活動情報パラメータ取得部132が、フィッティング結果に基づき、心筋活動パラメータを取得する(ステップS104)。取得された心筋活動パラメータが出力部15に出力される(ステップS105)。
 ステップS105では、各対象時間波形に対するフィッティング結果のグラフを表示してもよい。また、ステップS102の処理は、ステップS103の処理の実行前に実行されればよく、ステップS101の実行前であってもよい。ステップS103及びステップS104の処理が解析部130の実行する処理の一例である。
 図11は、実施形態における信号解析装置1の解析結果の一例を示す第1の図である。より具体的には、図11は、動作が正常である対象心臓の心電図の波形に対する信号解析装置1による解析結果の一例である。図11の横軸は時刻を表し、縦軸は電位を表す。縦軸の単位は、任意単位(arbitrary unit)である。
 図11は、動作が正常である対象心臓の心電図の脱分極のR波に対して第1フィッティング及び第2フィッティングを行った結果と、動作が正常である対象心臓の心電図の再分極相のT波に対して第4フィッティング及び第3フィッティングを行った結果とを、時刻T3における第1フィッティング結果と時刻T4における第3フィッティング結果を同じ値となるように重みkaに代えてka1を用い、時刻T3における第2フィッティング結果と時刻T4における第4フィッティング結果を同じ値となるように重みkbに代えてkb2を用いて表示した一例を示す。以下では、重みを変更した第1フィッティング結果と第3フィッティング結果を直線を介して連結したものを心筋内層活動近似関数とよび、重みを変更した第2フィッティング結果と第4フィッティング結果を直線を介して連結したものを心筋外層活動近似関数とよぶ。
 図11は、正常な心臓の脱分極において、心筋内層は心筋外層よりも早く活動(すなわち、イオンチャネルの活動)が開始し急速に進むこと、心筋内層のイオンチャネルの活動が開始するタイミングよりも僅かに遅れて心筋外層が活動を開始すること、心筋内層のイオンチャネルの活動が開始するタイミングと心筋外層が活動を開始するタイミングとの差分は陽性で鋭いR波となること、に対応している。すなわち、心筋内層活動近似関数のうちの第1フィッティング結果の部分心筋内層活動近似関数の平均値と標準偏差と、心筋外層活動近似関数のうちの第2フィッティング結果の部分の平均値と標準偏差は、正常な心臓の脱分極におけるイオンチャネルの活動のタイミングと活動の進み具合を表すパラメータである。
 また、図11は、正常な心臓の再分極相において、心筋外層は心筋内層よりも早くイオンチャネルの活動の不活性化が開始すること、心筋内層の不活性化は心筋外層の不活性化に遅れて開始すること、心筋外層の不活性化と心筋内層の不活性化の両者は緩やかに進むこと、心筋内層の不活性化と心筋外層の不活性化の差分は陽性で緩やかなT波となること、に対応している。すなわち、心筋外層活動近似関数のうちの第4フィッティング結果の部分の平均値と標準偏差と、心筋内層活動近似関数のうちの第3フィッティング結果の部分の平均値と標準偏差は、正常な心臓の再分極相におけるイオンチャネルの活動不活性化のタイミングと不活性化の進み具合を表すパラメータである。以上のように、第1から4のフィッティングにより得られた心筋内層活動近似関数と心筋外層活動近似関数は、脱分極のイオンチャネルの集合的な活性化と、再分極相のイオンチャネルの集合的な不活性化のタイミングと進み具合に対応しており、各関数の各フィッティング結果の平均値と標準偏差は心筋の活動を表すパラメータである。
 図11の心筋内層活動近似関数及び心筋外層活動近似関数の形状は、動作が正常である対象心臓の心筋に対して、カテーテル電極の挿入を行うことで直接測定した心筋の起電力の計測結果に略一致する。このことは、信号解析装置1によれば、カテーテル電極を挿入することなく、心電図だけから心筋の活動を表す情報を取得可能であることを示す。
 図12は、実施形態における信号解析装置1の解析結果の一例を示す第2の図である。より具体的には、図12は、動作が正常である対象心臓の心電図の波形に対する信号解析装置1による解析結果の一例である。
 図12は、グラフG5、グラフG6及び結果G7の3つの結果を示す。図12において、“内層側累積分布関数”は心筋内層に存在するイオンチャネルの集合的なチャネル活動タイミング分布を表す関数のフィッティング結果を示す。図12において、“外層側累積分布関数”は心筋外層に存在するイオンチャネルの集合的なチャネル活動タイミング分布を表す関数のフィッティング結果を示す。図12において、“体表面の電位”は、体表面の電位の時間変化を表す関数であって、心電図の波形である。図12の横軸は時刻を表し、縦軸は電位を表す。横軸と縦軸との単位はいずれも任意単位(arbitrary unit)である。なお、図12~図14の各横軸の1目盛の間隔が表す時間の長さは同じである。また、図12~図14の縦軸はいずれも、1が累積ガウス分布の最大値を表す。
 グラフG5は、1回の拍動で生じる心電図の波形の全てを表す。グラフG6は、グラフG5の一部であってT波の領域の拡大図を示す。T波の領域は図12において領域A1と示されている領域である。結果G7は、内層側累積分布関数の累積元であるガウス分布と外層側累積分布関数の累積元であるガウス分布の2つのガウス分布の統計量を示す。結果G7の各値は2つのガウス分布の統計量、を表す。2つのガウス分布の統計量とは、具体的には、内層側累積分布関数と外層側累積分布関数の累積元であるガウス分布の平均値及び標準偏差である。
 図13は、実施形態における信号解析装置1の解析結果の一例を示す第3の図である。より具体的には、図13は、動作がT延長3型である対象心臓の心電図の波形に対する信号解析装置1による解析結果の一例である。
 図13は、グラフG8、グラフG9及び結果G10の3つの結果を示す。図13において、“内層側累積分布関数”は心筋内層に存在するチャネルの集合的なチャネル活動タイミング分布を表す関数のフィッティング結果を示す。図13において、“外層側累積分布関数”は心筋外層に存在するチャネルの集合的なチャネル活動タイミング分布を表す関数のフィッティング結果を示す。図13において、“体表面の電位”は、体表面の電位の時間変化を表す関数であって、心電図の波形である。図13の横軸は時刻を表し、縦軸は電位を表す。横軸と縦軸との単位はいずれも任意単位(arbitrary unit)である。
 グラフG8は、1回の拍動で生じる心電図の波形の全てを表す。グラフG9は、グラフG8の一部であってT波の領域の拡大図を示す。T波の領域は図13において領域A2と示されている領域である。結果G10は、内層側累積分布関数の累積元であるガウス分布と外層側累積分布関数の累積元であるガウス分布の2つのガウス分布の統計量を示す。結果G10の各値は2つのガウス分布の統計量すなわち内層側累積分布関数と外層側累積分布関数の累積元であるガウス分布の平均値及び標準偏差を表す。
 図13の内層側累積分布関数及び外層側累積分布関数の形状は、カテーテル電極の挿入を行うことで動作がT延長3型である対象心臓の心筋外層の拍動によって生じた起電力の変化を直接測定した結果に略一致する。このことは、信号解析装置1によれば、カテーテル電極を挿入することなく、心電図だけから心筋の活動を表す情報を取得可能であることを示す。
 図14は、実施形態における信号解析装置1の解析結果の一例を示す第4の図である。より具体的には、図14は、動作がQT延長1型である対象心臓の心電図の波形に対する信号解析装置1による解析結果の一例である。
 図14は、グラフG11、グラフG12及び結果G13の3つの結果を示す。図14において、“内層側累積分布関数”は心筋内層に存在するチャネルの集合的なチャネル活動タイミング分布を表す関数のフィッティング結果を示す。図14において、“外層側累積分布関数”は心筋外層に存在するチャネルの集合的なチャネル活動タイミング分布を表す関数のフィッティング結果を示す。図14において、“体表面の電位”は、体表面の電位の時間変化を表す関数であって、心電図の波形である。図14の横軸は時刻を表し、縦軸は電位を表す。横軸と縦軸との単位はいずれも任意単位(arbitrary unit)である。
 グラフG11は、1回の拍動で生じる心電図の波形の全てを表す。グラフG12は、グラフG11の一部であってT波の領域の拡大図を示す。T波の領域は図13において領域A3と示されている領域である。結果G13は、内層側累積分布関数の累積元であるガウス分布と外層側累積分布関数の累積元であるガウス分布の2つのガウス分布の統計量を示す。結果G13の各値は2つのガウス分布の統計量を表す。2つのガウス分布の統計量とは、具体的には、内層側累積分布関数と外層側累積分布関数の累積元であるガウス分布の平均値及び標準偏差である。
 図14の内層側累積分布関数及び外層側累積分布関数の形状は、カテーテル電極の挿入を行うことで動作がQT延長3型である対象心臓の心筋外層の拍動によって生じた起電力の変化を直接測定した結果に略一致する。このことは、信号解析装置1によれば、カテーテル電極を挿入することなく、心電図だけから心筋の活動を表す情報を取得可能であることを示す。
 なお、図14は、突然死と関連するチャネル電流特性の信号解析装置1による推定結果の一例でもある。
 図15~図17を用いて、心室性期外収縮の心電図に対しても信号解析装置1によって、心電図だけから心筋の活動を表す情報を取得可能であることを説明する。図15~図17の横軸は時刻(秒)を表し、縦軸は電位(mV)を表す。
 図15は、実施形態の信号解析装置1によって心室性期外収縮の心電図を解析した一例を説明するための第1の説明図である。図16は、実施形態の信号解析装置1によって心室性期外収縮の心電図を解析した一例の第2の説明図である。図17は、実施形態の信号解析装置1によって心室性期外収縮の心電図を解析した一例の第3の説明図である。
 より具体的には図15は、体表面の心電位を示す。すなわち図15は、心電図に記録された正常な一回の心拍と2連発の心室性期外収縮を示す。より具体的には図16は、信号解析装置1によって解析した心室性期外収縮の脱分極の内層側累積分布関数と再分極相の内層側累積分布関数を含む心筋内層活動近似関数と、信号解析装置1によって解析した心室性期外収縮の脱分極の外層側累積分布関数と再分極相の外層側累積分布関数を含む心筋外層活動近似関数と、を示す。より具体的には図17は、実際に計測された心電図の心室性期外収縮の波形の一例を示す。
 図16は、脱分極の内層側累積分布関数は外層側累積分布関数に先行し、両者の標準偏差は正常な心拍よりも大きく興奮の広がりが緩やかであることを示す。この分析結果は裾の広いR波の波形の特徴と一致する。
 図16は、再分極相においては内層側累積分布関数が外層側累積分布関数よりも早く不活性化が開始していることに対応しており、再分極相における2つの累積分布関数の平均の値の大小関係として内層側と外層側の不活性化の順が示されている。図16の内層側累積分布関数から外層側累積分布関数を減算した関数は再分極相の大きな陰性のT波の特徴と一致し、図17に示すように、内層側累積分布関数から外層側累積分布関数を減算して得た波形は実際に計測された心電図の心室性期外収縮の波形と略一致する。
 なお図15~図17の結果は、心筋の興奮の変更伝導、早期再分極もしくは再分極の遅延により、巨大波や陰性電位の生じる例に対して、信号解析装置1による解析が対応することを示している。なお、図15~図17において、脱分極相の内層側累積分布関数の平均μは-1であり、標準偏差σは0.32である。また、図15~図17において、脱分極の外層側累積分布関数の平均μは-0.8であり、標準偏差σは0.21である。また、図15~図17において、再分極相の内層側累積分布関数の平均μは1であり、標準偏差σは1である。また、図15~図17において、再分極相の外層側累積分布関数の平均μは2.99であり、標準偏差σは0.7である。
 図18~図20を用いて、ブルガダ症候群1型の脱分極期の対象心臓の心電図に対しても信号解析装置1によって、心電図だけから心筋の活動を表す情報を取得可能であることを説明する。図18~図20の縦軸はミリボルト単位の電位を表す。
 図18は、実施形態における信号解析装置1によってブルガダ症候群1型の脱分極期における対象心臓の心電図を解析した一例を説明するための第1の説明図である。図19は、実施形態における信号解析装置1によってブルガダ症候群1型の脱分極期における対象心臓の心電図を解析した一例の第2の説明図である。図20は、実施形態における信号解析装置1によってブルガダ症候群1型の脱分極期における対象心臓の心電図を解析した一例の第3の説明図である。
 より具体的には図18は、ブルガダ症候群の胸部第2誘導の心電図を示す。図18において、内枠W1は脱分極相、内枠W2が再分極相の区分を示す。このことは図19についても同様である。すなわち、図19においても内枠W1は脱分極相を表し、内枠W2が再分極相を表す。
 より具体的には、図19は信号解析装置1によって分析した、脱分極と、再分極相における、内層側累積分布関数と外層側累積分布関数とを示す。図19に示す例においては、内層側累積分布関数の再分極相は脱分極相に続いて開始しており、早期再分極の特徴を示している。一方、図19の例において外層側累積分布関数の電位振幅については脱分極相と再分極相とに差が認められる。また図19は、外層側累積分布関数の脱分極相と再分極相とのギャップと異方性とを示している。このように、信号解析装置1は、ブルガダ症候群の対象心臓の心電図が示す波形の特徴である早期再分極や、脱分極と再分極との異方性を、内層側累積分布関数と外層側累積分布関数の脱分極相と再分極相の平均と標準偏差、外層側累積分布関数に与える重みの内層側累積分布関数に与える重みに対する比(内外層比)によって表すことができる。
 図20は解析の結果と実測値との比較である。より具体的には図20は、図19の脱分極相と再分極相とにおける、内層側累積分布関数と外層側累積分布関数との差を示す。また図20は心電図の実測値も示す。最後尾を除き、解析結果と実測値はほぼ一致している。最後尾とは、遅い時間の電位を意味する。
 なお、図18~図20において、脱分極相の内層側累積分布関数の平均μは15であり、標準偏差σは0.15である。また、図18~図20において、脱分極相の外層側累積分布関数の平均μは14であり、標準偏差σは0.25である。また、図18~図20において、脱分極相の内外層比は0.45である。また、図18~図20において、再分極相の内層側累積分布関数の平均μは25であり、標準偏差σは0.25である。また、図18~図20において、再分極相の外層側累積分布関数の平均μは20であり、標準偏差σは0.5である。
 図21から図59は、公開されている心電図データのライブラリ<https://physionet.org/about/database/>を用いて、信号解析装置1による分析を行った結果を示す。図21から図59は、心電位に対する、信号解析装置1による解析の実行の結果得られた、内層側累積分布関数と外層側累積分布関数と、フィッティングの結果を示す。
 図21から図59はそれぞれ、実施形態における信号解析装置1によって心電図を解析した一例を示す図である。各図に記載の被決定点は図の左から順にそれぞれ、心電位のQ点、R点、S点、T開始点、T終了点を表す。被決定点は、変曲点検知及びピーク検出アルゴリズムによって決定された。図21~図59の各図は、脱分極相(QRS波)の区間と再分極相(T波)の区間とに対して得られた、各区間における内層側累積分布関数と外層側累積分布関数とを示す。図21~図59は、様々なQRS波とT波に対して、信号解析装置1は、内層側累積分布関数と外層側累積分布関数の平均と標準偏差の調節により、略同一の形状を示し得ることを示す。図21~図59の下の図は、心電図の原波形とフィッティングの結果を表す。なお、図21~図59の各結果は300Hzのサンプリングの結果である。そのため、図21~図59の各図の横軸は原点が0秒を表し、値1が3.33ミリ秒を表す。
 このように構成された信号解析装置1は、対象心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるR波とT波の何れかの時間区間の波形を対象時間波形として、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と、第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数と、の差または重み付き差による時間波形である近似時間波形で対象時間波形を近似したときの、第1の単峰分布を特定するパラメータまたは第1累積分布関数を特定するパラメータと、第2の単峰分布を特定するパラメータまたは第2累積分布関数を特定するパラメータと、を対象時間波形の特徴を表すパラメータとして取得する。第1累積分布関数は対象心臓の心筋内層の活動を示す情報であり、第2累積分布関数は対象心臓の心筋外層の活動を示す情報である。したがって、第1累積分布関数の形状を表すパラメータは対象心臓の心筋内層の活動を示すパラメータ(心筋内層パラメータ)であり、第2累積分布関数の形状を表すパラメータは対象心臓の心筋外層の活動を示すパラメータ(心筋外層パラメータ)である。これらのパラメータのような対象心臓の心筋内層の活動の特徴を端的に示す情報と対象心臓の心筋外層の活動の特徴を端的に示す情報は、心電図の波形の従来の解析によっては得られない。そのため、信号解析装置1によれば、心電図の波形から心臓の状態を把握するために有用な情報を得ることができる。
 〔一部のパラメータのみの取得〕
 対象心臓の心筋内層の活動の特徴のみを把握したい場合には、心筋内層パラメータのみが信号解析装置1によって取得されるようにしてもよいし、対象心臓の心筋外層の活動の特徴のみを把握したい場合には、心筋外層パラメータのみが信号解析装置1によって取得されるようにしてもよい。また、累積分布関数の形状を表すパラメータの一部のパラメータのみが心筋内層パラメータや心筋外層パラメータとして信号解析装置1によって取得されるようにしてもよい。
 例えば、信号解析装置1の解析部130の心筋活動情報パラメータ取得部132は、対象心臓のR波の時間区間の波形である第1対象時間波形を、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差による時間波形である第1近似時間波形で、または、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる時間波形である第1近似時間波形で、近似したときの、第1の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、第1累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、第2の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、第2累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、の少なくとも何れかを対象心臓の心筋の活動を示すパラメータである心筋活動パラメータとして取得する。
 例えば、第1の単峰分布と第2の単峰分布が共にガウス分布である場合であれば、心筋活動情報パラメータ取得部132は、第1の単峰分布の平均値、第1の単峰分布の標準偏差もしくは分散、第2の単峰分布の平均値、第2の単峰分布の標準偏差もしくは分散、の少なくとも何れかを心筋活動パラメータとして取得すればよい。なお、ガウス分布の平均値は、単峰分布において頻度の値が最大値となる時刻であり、単峰分布の累積分布関数の傾きが最大となる時刻である。したがって、例えば、心筋活動情報パラメータ取得部132は、第1の単峰分布と第2の単峰分布がガウス分布である否かにかかわらず、第1の単峰分布の最大値に対応する時刻、第1累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、第2の単峰分布の最大値に対応する時刻、第2累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、の少なくとも何れかを心筋活動パラメータとして取得すればよい。
 例えば、信号解析装置1の解析部130の心筋活動情報パラメータ取得部132は、対象心臓のT波の時間区間の波形である第2対象時間波形の時間軸を逆転させた波形である第2対象逆時間波形を、第3の単峰分布の累積分布関数である第3累積分布関数と第4の単峰分布の累積分布関数である第4累積分布関数との差もしくは重み付き差による波形である第2近似逆時間波形で、または、第3の単峰分布の累積分布関数である第3累積分布関数と第4の単峰分布の累積分布関数である第4累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる波形である第2近似逆時間波形で、近似したときの、第3の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、第3累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、第4の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、第4累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、の少なくとも何れかを対象心臓の心筋の活動を示すパラメータである心筋活動パラメータとして取得する。
 例えば、第3の単峰分布と第4の単峰分布が共にガウス分布である場合であれば、心筋活動情報パラメータ取得部132は、第3の単峰分布の平均値、第3の単峰分布の標準偏差もしくは分散、第4の単峰分布の平均値、第4の単峰分布の標準偏差もしくは分散、の少なくとも何れかを心筋活動パラメータとして取得すればよい。また例えば、心筋活動情報パラメータ取得部132は、第3の単峰分布と第4の単峰分布がガウス分布である否かにかかわらず、第3の単峰分布の分布の最大値に対応する時刻、第3累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、第4の単峰分布の最大値に対応する時刻、第4累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、の少なくとも何れかを心筋活動パラメータとして取得すればよい。なお、心筋活動情報パラメータ取得部132は、心筋活動パラメータとして時刻を取得する場合には、時間軸を逆転させた波形に対する近似を行う場合であっても、時刻を逆方向に表す情報(上述した例のx'の値)ではなく、時刻(上述した例のxの値)を取得する。
 例えば、信号解析装置1の解析部130の心筋活動情報パラメータ取得部132は、第3の単峰分布の累積分布関数を第3累積分布関数とし、第4の単峰分布の累積分布関数を第4累積分布関数とし、第3累積分布関数を1から減算した関数を第3逆累積分布関数とし、第4累積分布関数を1から減算した関数を第4逆累積分布関数として、対象心臓のT波の時間区間の波形である第2対象時間波形を、第3逆累積分布関数と第4逆累積分布関数との差もしくは重み付き差による波形である第2近似時間波形で、または、第3逆累積分布関数と第4逆累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる波形である第2近似時間波形で、近似したときの、第3の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、第3累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、第4の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、第4累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、の少なくとも何れかを対象心臓の心筋の活動を示すパラメータである心筋活動パラメータとして取得する。
 例えば、第3の単峰分布と第4の単峰分布が共にガウス分布である場合であれば、心筋活動情報パラメータ取得部132は、第3の単峰分布の平均値、第3の単峰分布の標準偏差もしくは分散、第4の単峰分布の平均値、第4の単峰分布の標準偏差もしくは分散、の少なくとも何れかを心筋活動パラメータとして取得すればよい。また例えば、心筋活動情報パラメータ取得部132は、第3の単峰分布と第4の単峰分布がガウス分布であるか否かにかかわらず、第3の単峰分布の最大値に対応する時刻、第3累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、第4の単峰分布の最大値に対応する時刻、第4累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、の少なくとも何れかを心筋活動パラメータとして取得すればよい。
 同様に、例えば、信号解析装置1の解析部130の心筋活動情報パラメータ取得部132が更に、第1対象時間波形と第1近似時間波形との差の時間波形である残差時間波形、または、第2対象時間波形と第2近似時間波形との差の時間波形である残差時間波形、または、第2対象時間波形と、第2近似逆時間波形の時間軸を反転させた波形である第2近似時間波形と、の差の時間波形である残差時間波形、を、第5の単峰分布の累積分布関数である第5累積分布関数もしくは第5累積分布関数に重みを乗算したものによる時間波形である近似残差時間波形で近似する場合には、第5の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、第5累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、の少なくとも何れかも、対象心臓の心筋の活動を示すパラメータである心筋活動パラメータとして取得する。
 例えば、第5の単峰分布がガウス分布である場合であれば、心筋活動情報パラメータ取得部132は、第5の単峰分布の平均値、第5の単峰分布の標準偏差もしくは分散、の少なくとも何れかを心筋活動パラメータとして取得すればよい。また例えば、心筋活動情報パラメータ取得部132は、第5の単峰分布がガウス分布であるか否かにかかわらず、第5の単峰分布の最大値に対応する時刻、第5累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、の何れかを心筋活動パラメータとして取得すればよい。
 また例えば、信号解析装置1の解析部130の心筋活動情報パラメータ取得部132が更に、残差時間波形を第5の単峰分布の累積分布関数である第5累積分布関数と第6の単峰分布の累積分布関数である第6累積分布関数との差もしくは重み付き差による時間波形である近似残差時間波形で近似する場合には、第5の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、第5累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、第6の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、第6累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、の少なくとも何れかを対象心臓の心筋の活動を示すパラメータである心筋活動パラメータとして取得する。
 例えば、第5の単峰分布と第6の単峰分布が共にガウス分布である場合であれば、心筋活動情報パラメータ取得部132は、第5の単峰分布の平均値、第5の単峰分布の標準偏差もしくは分散、第6の単峰分布の平均値、第6の単峰分布の標準偏差もしくは分散、の少なくとも何れかを心筋活動パラメータとして取得すればよい。また例えば、心筋活動情報パラメータ取得部132は、第5の単峰分布と第6の単峰分布がガウス分布であるか否かにかかわらず、第5の単峰分布の最大値に対応する時刻、第5累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、第6の単峰分布の最大値に対応する時刻、第6累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、の少なくとも何れかを心筋活動パラメータとして取得すればよい。
 〔フィッティングによって得られたパラメータ同士の演算による心筋活動パラメータの取得〕
 対象心臓の心筋の活動の特徴は、上述したフィッティングにより得られたパラメータに表れるだけではなく、フィッティングにより得られたパラメータ同士の演算により得られる値に端的に表れることがある。したがって、フィッティングにより得られたパラメータ同士の演算により得られる値が心筋活動パラメータとして信号解析装置1によって取得されるようにしてもよい。フィッティングにより得られたパラメータとは、単峰分布を特定するパラメータもしくは累積分布関数を特定するパラメータ、重み、水準値、のうちの少なくとも何れかのことである。単峰分布を特定するパラメータもしくは累積分布関数を特定するパラメータとは、単峰分布がガウス分布である場合には、平均と標準偏差(もしくは分散)の少なくとも何れかである。単峰分布がガウス分布であるか否かにかかわらず、単峰分布の最大値に対応する時刻は単峰分布を特定するパラメータの一例であり、単峰分布の累積分布関数の最大傾きに対応する時刻は累積分布関数を特定するパラメータの一例である。
 例えば、信号解析装置1の解析部130の心筋活動情報パラメータ取得部132は、対象心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるR波の時間区間の波形についての上述したフィッティングによって得られた心筋活動パラメータ(すなわち、R波の時間区間における対象心臓の心筋の活動を示すパラメータ)と、当該1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形についての上述したフィッティングによって得られた心筋活動パラメータ(すなわち、T波の時間区間における対象心臓の心筋の活動を示すパラメータ)との演算によって、対象心臓の心筋の活動を示すパラメータ(前述した各パラメータとは異なるパラメータ)を取得してもよい。
 また例えば、信号解析装置1の解析部130の心筋活動情報パラメータ取得部132は、対象心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるR波の時間区間の波形についての上述したフィッティングによって得られた対象心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータと、当該フィッティングによって得られた対象心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータと、の演算によって、対象心臓の心筋の活動を示すパラメータ(前述した各パラメータとは異なるパラメータ)を取得してもよい。
 また例えば、信号解析装置1の解析部130の心筋活動情報パラメータ取得部132は、対象心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形についての上述したフィッティングによって得られた対象心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータと、当該フィッティングによって得られた対象心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータと、の演算によって、対象心臓の心筋の活動を示すパラメータ(前述した各パラメータとは異なるパラメータ)を取得してもよい。
 以下、第1から第4の単峰分布がすべてガウス分布である場合に、フィッティングにより得られた平均同士の演算により得られる値を心筋活動パラメータとする例を説明する。第1から第4の単峰分布がガウス分布でない場合には、下記の例における「平均」を、「単峰分布において値が最大となる時刻」すなわち「単峰分布の最大値に対応する時刻」、「累積分布関数において傾きが最大となる時刻」すなわち「累積分布関数の最大傾きに対応する時刻」、などと読み替えて実施すればよい。
(1)脱分極から再分極に切り替わるまでの時間を表すパラメータ
 心筋の内層もしくは外層の脱分極から心筋の内層もしくは外層の再分極に切り替わるまでの時間が極端に短い場合や極端に長い場合に、不整脈により突然死に至る可能性があることが知られている。すなわち心筋の脱分極から再分極に切り替わる時間の短縮もしくは延長は、心筋に何らかの病的な状態が発生している可能性を示している場合がある。したがって、信号解析装置1は、心筋の内層もしくは外層の脱分極から心筋の内層もしくは外層の再分極に切り替わるまでの時間を心筋活動パラメータとして取得するとよく、具体的には、以下の(1A)から(1D)の4つのパラメータの少なくとも何れかを心筋活動パラメータとして取得するとよい。
(1A)心筋の内層の脱分極から心筋の内層の再分極に切り替わるまでの時間を表すパラメータ
 信号解析装置1の解析部130の心筋活動情報パラメータ取得部132は、対象心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるR波の時間区間の波形である第1対象時間波形についての上述したフィッティングによって得られた第1の単峰分布の平均と、当該1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形である第2対象時間波形についての上述したフィッティングによって得られた第3の単峰分布の平均と、の差を心筋活動パラメータとして取得してもよい。例えば、上述した例のように第1の単峰分布の平均がμaであり、第3の単峰分布の平均がμcであるとすると、心筋活動情報パラメータ取得部132は|μa-μc|を心筋活動パラメータとして取得してもよい。なお、μcのほうがμaよりも時間的に後であることからすると、心筋活動情報パラメータ取得部132はμc-μaを心筋活動パラメータとして取得してもよい。この心筋活動パラメータは、心筋の内層の脱分極から心筋の内層の再分極に切り替わるまでの時間を表すパラメータである。
(1B)心筋の外層の脱分極から心筋の外層の再分極に切り替わるまでの時間を表すパラメータ
 信号解析装置1の解析部130の心筋活動情報パラメータ取得部132は、対象心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるR波の時間区間の波形である第1対象時間波形についての上述したフィッティングによって得られた第2の単峰分布の平均と、当該1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形である第2対象時間波形についての上述したフィッティングによって得られた第4の単峰分布の平均と、の差を心筋活動パラメータとして取得してもよい。例えば、上述した例のように第2の単峰分布の平均がμbであり、第4の単峰分布の平均がμdであるとすると、心筋活動情報パラメータ取得部132は|μb-μd|を心筋活動パラメータとして取得してもよい。なお、μdのほうがμbよりも時間的に後であることからすると、心筋活動情報パラメータ取得部132はμd-μbを心筋活動パラメータとして取得してもよい。この心筋活動パラメータは、心筋の外層の脱分極から心筋の外層の再分極に切り替わるまでの時間を表すパラメータである。
(1C)心筋の外層の脱分極から心筋の内層の再分極に切り替わるまでの時間を表すパラメータ
 信号解析装置1の解析部130の心筋活動情報パラメータ取得部132は、対象心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるR波の時間区間の波形である第1対象時間波形についての上述したフィッティングによって得られた第2の単峰分布の平均と、当該1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形である第2対象時間波形についての上述したフィッティングによって得られた第3の単峰分布の平均と、の差を心筋活動パラメータとして取得してもよい。例えば、上述した例のように第2の単峰分布の平均がμbであり、第3の単峰分布の平均がμcであるとすると、心筋活動情報パラメータ取得部132は|μb-μc|を心筋活動パラメータとして取得してもよい。なお、μcのほうがμbよりも時間的に後であることからすると、心筋活動情報パラメータ取得部132はμc-μbを心筋活動パラメータとして取得してもよい。この心筋活動パラメータは、心筋の外層の脱分極から心筋の内層の再分極に切り替わるまでの時間を表すパラメータである。
(1D)心筋の内層の脱分極から心筋の外層の再分極に切り替わるまでの時間を表すパラメータ
 信号解析装置1の解析部130の心筋活動情報パラメータ取得部132は、対象心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるR波の時間区間の波形である第1対象時間波形についての上述したフィッティングによって得られた第1の単峰分布の平均と、当該1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形である第2対象時間波形についての上述したフィッティングによって得られた第4の単峰分布の平均と、の差を心筋活動パラメータとして取得してもよい。例えば、上述した例のように第1の単峰分布の平均がμaであり、第4の単峰分布の平均がμdであるとすると、心筋活動情報パラメータ取得部132は|μa-μd|を心筋活動パラメータとして取得してもよい。なお、μdのほうがμaよりも時間的に後であることからすると、心筋活動情報パラメータ取得部132はμd-μaを心筋活動パラメータとして取得してもよい。この心筋活動パラメータは、心筋の内層の脱分極から心筋の外層の再分極に切り替わるまでの時間を表すパラメータである。
 (2)脱分極における内層の活動と外層の活動の時間差と順序を表すパラメータ
 脱分極における内層の活動と外層の活動の時間差が正常よりも長い場合は心筋の興奮の伝導に遅延やブロックなどの障害が発生しているか、興奮の始まる場所や興奮の伝わる順番が正常のパタンと異なっている可能性があり、特に心筋の刺激伝導系の障害や心筋の虚血状態、期外収縮の存在を示唆している。したがって、信号解析装置1は、脱分極における内層の活動と外層の活動の時間差と順序を表すパラメータを心筋活動パラメータとして取得するとよい。具体的には、信号解析装置1の解析部130の心筋活動情報パラメータ取得部132は、対象心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるR波の時間区間の波形である第1対象時間波形についての上述したフィッティングによって得られた第1の単峰分布の平均と第2の単峰分布の平均との差を心筋活動パラメータとして取得してもよい。例えば、上述した例のように第1の単峰分布の平均がμaであり、第2の単峰分布の平均がμbであるとすると、心筋活動情報パラメータ取得部132はμa-μbもしくはμb-μaを心筋活動パラメータとして取得してもよい。
 (3)再分極における内層の活動と外層の活動の時間差と順序を表すパラメータ
 再分極における内層の活動と外層の活動の時間差が延長または短縮する場合に、心筋に何らかの異常が発生している可能性がある。したがって、信号解析装置1は、再分極における内層の活動と外層の活動の時間差と順序を表すパラメータを心筋活動パラメータとして取得するとよい。具体的には、信号解析装置1の解析部130の心筋活動情報パラメータ取得部132は、対象心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形である第2対象時間波形についての上述したフィッティングによって得られた第3の単峰分布の平均と第4の単峰分布の平均との差を心筋活動パラメータとして取得してもよい。例えば、上述した例のように第3の単峰分布の平均がμcであり、第4の単峰分布の平均がμdであるとすると、心筋活動情報パラメータ取得部132はμc-μdもしくはμd-μcを心筋活動パラメータとして取得してもよい。
 (心筋活動パラメータの補正)
 なお、心筋活動情報パラメータ取得部132が取得した上述した心筋活動パラメータのうちの時間方向の幅に関する心筋活動パラメータには、心臓の活動を表す従来のパラメータのうちの時間方向の幅に関するパラメータ(例えばQT間隔)と同様に、心拍数による変動の影響や年齢や性別などの個人差の影響が認められるという特徴がある。時間方向の幅に関する従来のパラメータについては、心拍数による変動の影響や個人差の影響を低減するための補正をして、補正後の値を心臓の活動を評価するためのパラメータとして用いることが知られている。そこで、心筋活動情報パラメータ取得部132が取得した心筋活動パラメータについても、心拍数による変動の影響や個人差の影響を低減するための補正をして、補正後の値を心筋の活動を評価するためのパラメータとしてもよい。例えば、心拍数による変動に対しては、上述したフィッティングにより取得した心筋活動パラメータに対して、隣接するR棘とR棘の時間間隔(以下「RR間隔」という。)を基に線形もしくは非線形の演算により補正して、補正後の値を心筋活動パラメータとして用いてもよい。また、個人差に対しては、上述したフィッティングにより取得した心筋活動パラメータに対して、各個人の心電図データからRR間隔と上述した心筋活動パラメータの関係を求めて補正を行って、補正後の値を心筋活動パラメータとしてもよい。この補正は、信号解析装置1がフィッティングにより取得した心筋活動パラメータを出力した後に別装置が行うようにしてもよいし、信号解析装置1が行うようにしてもよい。信号解析装置1が心筋活動パラメータの補正を行う場合には、例えば、心筋活動情報パラメータ取得部132が、上述したフィッティングにより取得した心筋活動パラメータに対して補正を行って、補正後の値を心筋活動パラメータとして出力するようにすればよい。なお、信号解析装置1内で補正が行われる場合には、上述したフィッティングにより取得した心筋活動パラメータは、結果的には装置内で取得される中間的なパラメータとなっているが、装置外に出力される場合と同様に心筋の活動を表すパラメータであることに変わりはない。
 (変形例)
 なお、心電図は、心起電力ベクトルに近い誘導の心電図が好ましい。心起電力ベクトルに近い誘導の心電図は、例えばII誘導や、V4誘導や、V5誘導などの心電位の立体的な情報を取得可能な心電図が好ましい。心電図が多チャネルであるほど情報量が増えるので、心電図はチャネル数が多いほど望ましい。すなわち、多チャネルの心電図の各チャネルの波形を対象として信号解析装置1に解析を行って、各チャネルについての解析結果である心筋活動パラメータを得るようにしてもよい。
 なお、信号解析装置1は、ネットワークを介して通信可能に接続された複数台の情報処理装置を用いて実装されてもよい。この場合、信号解析装置1が備える各機能部は、複数の情報処理装置に分散して実装されてもよい。
 なお、心電図取得部110は生体情報取得部の一例である。
 なお、信号解析装置1の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
 以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
1…信号解析装置、11…制御部、12…入力部、13…通信部、14…記憶部、15…出力部、91…プロセッサ、92…メモリ、110…心電図取得部、120…フィッティング情報取得部、130…解析部、131…フィッティング部、132…心筋活動情報パラメータ取得部、140…記録部

Claims (17)

  1.  解析対象の心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるR波の時間区間の波形を第1対象時間波形として取得し、前記1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形を第2対象時間波形として取得する生体情報取得部と、
     第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差による時間波形である第1近似時間波形で、または、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる時間波形である第1近似時間波形で、前記第1対象時間波形を近似したときの、前記第1の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第1累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第2の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第2累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、の少なくとも何れかを、前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータとして取得し、
     前記第2対象時間波形の時間軸を逆転させた波形を第2対象逆時間波形として、
     第3の単峰分布の累積分布関数である第3累積分布関数と第4の単峰分布の累積分布関数である第4累積分布関数との差もしくは重み付き差による波形である第2近似逆時間波形で、または、第3の単峰分布の累積分布関数である第3累積分布関数と第4の単峰分布の累積分布関数である第4累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる波形である第2近似逆時間波形で、前記第2対象逆時間波形を近似したときの、前記第3の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第3累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第4の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第4累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、の少なくとも何れかを、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータとして取得し、
     前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータと、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータと、の演算により、前記心臓の心筋の活動を示すパラメータを取得する解析部と、
     を備える信号解析装置。
  2.  解析対象の心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるR波の時間区間の波形を第1対象時間波形として取得し、前記1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形を第2対象時間波形として取得する生体情報取得部と、
     第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差による時間波形である第1近似時間波形で、または、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる時間波形である第1近似時間波形で、前記第1対象時間波形を近似したときの、前記第1の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第1累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第2の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第2累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、の少なくとも何れかを、前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータとして取得し、
     第3の単峰分布の累積分布関数を第3累積分布関数とし、第4の単峰分布の累積分布関数を第4累積分布関数とし、前記第3累積分布関数を1から減算した関数を第3逆累積分布関数とし、前記第4累積分布関数を1から減算した関数を第4逆累積分布関数として、
     前記第3逆累積分布関数と前記第4逆累積分布関数の差もしくは重み付き差による時間波形である第2近似時間波形で、または、前記第3逆累積分布関数と前記第4逆累積分布関数の差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによるによる時間波形である第2近似時間波形で、前記第2対象時間波形を近似したときの、前記第3の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第3累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第4の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第4累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、の少なくとも何れかを、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータとして取得し、
     前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータと、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータと、の演算により、前記心臓の心筋の活動を示すパラメータを取得する解析部と、
     を備える信号解析装置。
  3.  前記解析部は、
     前記第1の単峰分布の最大値に対応する時刻、前記第1累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、前記第2の単峰分布の最大値に対応する時刻、前記第2累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、の何れかを前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータの1つである第1時刻として取得し、
     前記第3の単峰分布の最大値に対応する時刻、前記第3累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、前記第4の単峰分布の最大値に対応する時刻、前記第4累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、の何れかを前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータの1つである第2時刻として取得し、
     前記第1時刻と前記第2時刻との差を前記心臓の心筋の活動を示すパラメータとして取得する
     請求項1または2に記載の信号解析装置。
  4.  解析対象の心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるR波の時間区間の波形を対象時間波形として取得する生体情報取得部と、
     第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差による時間波形である近似時間波形で、または、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる時間波形である近似時間波形で、前記対象時間波形を近似したときの、前記第1の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第1累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータとして取得し、前記第2の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第2累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータとして取得し、
     前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータと、前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータと、の演算により、前記心臓の心筋の活動を示すパラメータを取得する解析部と、
     を備える信号解析装置。
  5.  前記解析部は、
     前記第1の単峰分布の最大値に対応する時刻、前記第1累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、の何れかを前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータの1つである第1時刻として取得し、
     前記第2の単峰分布の最大値に対応する時刻、前記第2累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、の何れかを前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータの1つである第2時刻として取得し、
     前記第1時刻と前記第2時刻との差を前記心臓の心筋の活動を示すパラメータとして取得する
     請求項4に記載の信号解析装置。
  6.  解析対象の心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形を対象時間波形として取得する生体情報取得部と、
     前記対象時間波形の時間軸を逆転させた波形を対象逆時間波形として、
     第3の単峰分布の累積分布関数である第3累積分布関数と第4の単峰分布の累積分布関数である第4累積分布関数との差もしくは重み付き差による波形である近似逆時間波形で、または、第3の単峰分布の累積分布関数である第3累積分布関数と第4の単峰分布の累積分布関数である第4累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる波形である近似逆時間波形で、前記対象逆時間波形を近似したときの、前記第3の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第3累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータとして取得し、前記第4の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第4累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータとして取得し、
     前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータと、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータと、の演算により、前記心臓の心筋の活動を示すパラメータを取得する解析部と、
     を備える信号解析装置。
  7.  解析対象の心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形を対象時間波形として取得する生体情報取得部と、
     第3の単峰分布の累積分布関数を第3累積分布関数とし、第4の単峰分布の累積分布関数を第4累積分布関数とし、前記第3累積分布関数を1から減算した関数を第3逆累積分布関数とし、前記第4累積分布関数を1から減算した関数を第4逆累積分布関数として、
     前記第3逆累積分布関数と前記第4逆累積分布関数の差もしくは重み付き差による時間波形である近似時間波形で、または、前記第3逆累積分布関数と前記第4逆累積分布関数の差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによるによる時間波形である近似時間波形で、前記対象時間波形を近似したときの、前記第3の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第3累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータとして取得し、前記第4の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第4累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータとして取得し、
     前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータと、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータと、の演算により、前記心臓の心筋の活動を示すパラメータを取得する解析部と、
     を備える信号解析装置。
  8.  前記解析部は、
     前記第3の単峰分布の最大値に対応する時刻、前記第3累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、の何れかを前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータの1つである第1時刻として取得し、
     前記第4の単峰分布の最大値に対応する時刻、前記第4累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、の何れかを前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータの1つである第2時刻として取得し、
     前記第1時刻と前記第2時刻との差を前記心臓の心筋の活動を示すパラメータとして取得する
     請求項6または7に記載の信号解析装置。
  9.  解析対象の心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるR波の時間区間の波形を第1対象時間波形として取得し、前記1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形を第2対象時間波形として取得する生体情報取得ステップと、
     第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差による時間波形である第1近似時間波形で、または、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる時間波形である第1近似時間波形で、前記第1対象時間波形を近似したときの、前記第1の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第1累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第2の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第2累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、の少なくとも何れかを、前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータとして取得し、
     前記第2対象時間波形の時間軸を逆転させた波形を第2対象逆時間波形として、
     第3の単峰分布の累積分布関数である第3累積分布関数と第4の単峰分布の累積分布関数である第4累積分布関数との差もしくは重み付き差による波形である第2近似逆時間波形で、または、第3の単峰分布の累積分布関数である第3累積分布関数と第4の単峰分布の累積分布関数である第4累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる波形である第2近似逆時間波形で、前記第2対象逆時間波形を近似したときの、前記第3の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第3累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第4の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第4累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、の少なくとも何れかを、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータとして取得し、
     前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータと、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータと、の演算により、前記心臓の心筋の活動を示すパラメータを取得する解析ステップと、
     を含む信号解析方法。
  10.  解析対象の心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるR波の時間区間の波形を第1対象時間波形として取得し、前記1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形を第2対象時間波形として取得する生体情報取得ステップと、
     第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差による時間波形である第1近似時間波形で、または、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる時間波形である第1近似時間波形で、前記第1対象時間波形を近似したときの、前記第1の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第1累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第2の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第2累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、の少なくとも何れかを、前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータとして取得し、
     第3の単峰分布の累積分布関数を第3累積分布関数とし、第4の単峰分布の累積分布関数を第4累積分布関数とし、前記第3累積分布関数を1から減算した関数を第3逆累積分布関数とし、前記第4累積分布関数を1から減算した関数を第4逆累積分布関数として、
     前記第3逆累積分布関数と前記第4逆累積分布関数の差もしくは重み付き差による時間波形である第2近似時間波形で、または、前記第3逆累積分布関数と前記第4逆累積分布関数の差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによるによる時間波形である第2近似時間波形で、前記第2対象時間波形を近似したときの、前記第3の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第3累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第4の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、前記第4累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータ、の少なくとも何れかを、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータとして取得し、
     前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータと、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータと、の演算により、前記心臓の心筋の活動を示すパラメータを取得する解析ステップと、
     を含む信号解析方法。
  11.  前記解析ステップは、
     前記第1の単峰分布の最大値に対応する時刻、前記第1累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、前記第2の単峰分布の最大値に対応する時刻、前記第2累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、の何れかを前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータの1つである第1時刻として取得し、
     前記第3の単峰分布の最大値に対応する時刻、前記第3累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、前記第4の単峰分布の最大値に対応する時刻、前記第4累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、の何れかを前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の活動を示すパラメータの1つである第2時刻として取得し、
     前記第1時刻と前記第2時刻との差を前記心臓の心筋の活動を示すパラメータとして取得することを含む、
     請求項9または10に記載の信号解析方法。
  12.  解析対象の心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるR波の時間区間の波形を対象時間波形として取得する生体情報取得ステップと、
     第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差による時間波形である近似時間波形で、または、第1の単峰分布の累積分布関数である第1累積分布関数と第2の単峰分布の累積分布関数である第2累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる時間波形である近似時間波形で、前記対象時間波形を近似したときの、前記第1の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第1累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータとして取得し、前記第2の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第2累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータとして取得し、
     前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータと、前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータと、の演算により、前記心臓の心筋の活動を示すパラメータを取得する解析ステップと、
     を含む信号解析方法。
  13.  前記解析ステップは、
     前記第1の単峰分布の最大値に対応する時刻、前記第1累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、の何れかを前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータの1つである第1時刻として取得し、
     前記第2の単峰分布の最大値に対応する時刻、前記第2累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、の何れかを前記R波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータの1つである第2時刻として取得し、
     前記第1時刻と前記第2時刻との差を前記心臓の心筋の活動を示すパラメータとして取得することを含む、
     請求項12に記載の信号解析方法。
  14.  解析対象の心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形を対象時間波形として取得する生体情報取得ステップと、
     前記対象時間波形の時間軸を逆転させた波形を対象逆時間波形として、
     第3の単峰分布の累積分布関数である第3累積分布関数と第4の単峰分布の累積分布関数である第4累積分布関数との差もしくは重み付き差による波形である近似逆時間波形で、または、第3の単峰分布の累積分布関数である第3累積分布関数と第4の単峰分布の累積分布関数である第4累積分布関数との差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによる波形である近似逆時間波形で、前記対象逆時間波形を近似したときの、前記第3の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第3累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータとして取得し、前記第4の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第4累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータとして取得し、
     前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータと、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータと、の演算により、前記心臓の心筋の活動を示すパラメータを取得する解析ステップと、
     を含む信号解析方法。
  15.  解析対象の心臓の心周期を示す1周期分の波形に含まれるT波の時間区間の波形を対象時間波形として取得する生体情報取得ステップと、
     第3の単峰分布の累積分布関数を第3累積分布関数とし、第4の単峰分布の累積分布関数を第4累積分布関数とし、前記第3累積分布関数を1から減算した関数を第3逆累積分布関数とし、前記第4累積分布関数を1から減算した関数を第4逆累積分布関数として、
     前記第3逆累積分布関数と前記第4逆累積分布関数の差もしくは重み付き差による時間波形である近似時間波形で、または、前記第3逆累積分布関数と前記第4逆累積分布関数の差もしくは重み付き差に水準値を加算したものによるによる時間波形である近似時間波形で、前記対象時間波形を近似したときの、前記第3の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第3累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータとして取得し、前記第4の単峰分布を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータと前記第4累積分布関数を特定するパラメータの少なくとも一部のパラメータとのうちの少なくとも何れかを前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータとして取得し、
     前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータと、前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータと、の演算により、前記心臓の心筋の活動を示すパラメータを取得する解析ステップと、
     を含む信号解析方法。
  16.  前記解析ステップは、
     前記第3の単峰分布の最大値に対応する時刻、前記第3累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、の何れかを前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の内層の活動を示すパラメータの1つである第1時刻として取得し、
     前記第4の単峰分布の最大値に対応する時刻、前記第4累積分布関数の最大傾きに対応する時刻、の何れかを前記T波の時間区間における前記心臓の心筋の外層の活動を示すパラメータの1つである第2時刻として取得し、
     前記第1時刻と前記第2時刻との差を前記心臓の心筋の活動を示すパラメータとして取得することを含む、
     請求項14または15に記載の信号解析方法。
  17.  請求項1から8のいずれか一項に記載の信号解析装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
PCT/JP2021/044327 2021-01-06 2021-12-02 信号解析装置、信号解析方法及びプログラム WO2022149382A1 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
CN202180089220.4A CN116615145A (zh) 2021-01-06 2021-12-02 信号解析装置、信号解析方法和程序
EP21917603.9A EP4241691A1 (en) 2021-01-06 2021-12-02 Signal analysis device, signal analysis method, and program
JP2022573946A JP7457267B2 (ja) 2021-01-06 2021-12-02 信号解析装置、信号解析方法及びプログラム
US18/265,663 US20240057924A1 (en) 2021-01-06 2021-12-02 Signal analyzing apparatus, signal analyzing method and program

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2021/000209 WO2022149215A1 (ja) 2021-01-06 2021-01-06 信号解析装置、信号解析方法及びプログラム
JPPCT/JP2021/000209 2021-01-06
PCT/JP2021/033138 WO2022149307A1 (ja) 2021-01-06 2021-09-09 信号解析装置、信号解析方法及びプログラム
JPPCT/JP2021/033138 2021-09-09

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2022149382A1 true WO2022149382A1 (ja) 2022-07-14

Family

ID=82357403

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP2021/044316 WO2022149381A1 (ja) 2021-01-06 2021-12-02 信号解析装置、信号解析方法及びプログラム
PCT/JP2021/044327 WO2022149382A1 (ja) 2021-01-06 2021-12-02 信号解析装置、信号解析方法及びプログラム

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP2021/044316 WO2022149381A1 (ja) 2021-01-06 2021-12-02 信号解析装置、信号解析方法及びプログラム

Country Status (4)

Country Link
US (2) US20240016433A1 (ja)
EP (2) EP4241691A1 (ja)
JP (2) JP7457267B2 (ja)
WO (2) WO2022149381A1 (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016533231A (ja) * 2013-10-14 2016-10-27 カオスキー プロプライエタリー リミテッド 非定常信号の機能要素への分解

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016533231A (ja) * 2013-10-14 2016-10-27 カオスキー プロプライエタリー リミテッド 非定常信号の機能要素への分解

Non-Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
BERGELT JULIA, HAMKER FRED H: "Spatial updating of attention across eye movements: A neuro-computational approach", JOURNAL OF VISION, ASSOCIATION FOR RESEARCH IN VISION AND OPHTHALMOLOGY, US, vol. 19, no. 7, 1 July 2019 (2019-07-01), US , pages 1 - 23, XP055949178, ISSN: 1534-7362, DOI: 10.1167/19.7.10 *
DÖSSEL OLAF, LUONGO GIORGIO, NAGEL CLAUDIA, LOEWE AXEL: "Computer Modeling of the Heart for ECG Interpretation—A Review", HEARTS, vol. 2, no. 3, pages 350 - 368, XP055949184, DOI: 10.3390/hearts2030028 *
HIROSHI TANAKA: "On the Inverse Solution of Electrocardiology", MEDICAL ELECTRONICS AND BIOLOGICAL ENGINEERING, vol. 23, no. 3, 1985, pages 147 - 158, XP009538878, DOI: 10.11239/jsmbe1963.23.147
KARCZEWICZ, M. GABBOUJ, M.: "ECG data compression by spline approximation", SIGNAL PROCESSING, ELSEVIER, AMSTERDAM, NL, vol. 59, no. 1, 1 May 1997 (1997-05-01), AMSTERDAM, NL, pages 43 - 59, XP004075302, ISSN: 0165-1684, DOI: 10.1016/S0165-1684(97)00037-6 *
MOHAMMAD SAAD BILLAH ; TAHMIDA BINTE MAHMUD ; FARHANA SHARMIN SNIGDHA ; MUHAMMAD ABDULLAH ARAFAT: "A novel method to model ECG beats using Gaussian functions", BIOMEDICAL ENGINEERING AND INFORMATICS (BMEI), 2011 4TH INTERNATIONAL CONFERENCE ON, IEEE, 15 October 2011 (2011-10-15), pages 612 - 616, XP032071565, ISBN: 978-1-4244-9351-7, DOI: 10.1109/BMEI.2011.6098409 *
YOSHIFUMI TANAKA: "Understand from the constitution, electrocardiogram waveform, reading activity potential of myocardium", 2012, GAKKEN MEDICAL SHUJUNSHA CO.

Also Published As

Publication number Publication date
JP7457266B2 (ja) 2024-03-28
JPWO2022149381A1 (ja) 2022-07-14
US20240016433A1 (en) 2024-01-18
US20240057924A1 (en) 2024-02-22
JPWO2022149382A1 (ja) 2022-07-14
EP4238498A1 (en) 2023-09-06
JP7457267B2 (ja) 2024-03-28
EP4241691A1 (en) 2023-09-13
WO2022149381A1 (ja) 2022-07-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4759115B2 (ja) 心電図信号の交代を数量化するシステムおよび方法
US7167745B2 (en) Methods for quantifying the morphology and amplitude of cardiac action potential alternans
JP5236200B2 (ja) Ecg形態及び時系列の解析及び編集のための方法及び装置
KR101910982B1 (ko) 개인화된 생체 신호 패턴을 이용한 생체 신호의 동잡음 제거 방법 및 장치
CN109843165B (zh) 心跳检测方法和心跳检测设备
US10945623B2 (en) Heartbeat detection method and heartbeat detection device
JP2018011819A (ja) 生体信号処理方法および装置
Kotas et al. Averaging of nonlinearly aligned signal cycles for noise suppression
WO2022149382A1 (ja) 信号解析装置、信号解析方法及びプログラム
WO2022149307A1 (ja) 信号解析装置、信号解析方法及びプログラム
KR102574331B1 (ko) 멀티스케일 누적 잔여 분산 엔트로피 기반 향상된 심박변이율 정량화 방법
WO2023248308A1 (ja) 学習装置、情報提供装置、学習方法、情報提供方法及びプログラム
CN115828056A (zh) 一种心电图特征信号提取方法及终端
KR101498581B1 (ko) 비침습적 심방신호 추정 시스템 및 방법
WO2023243090A1 (ja) 信号合成装置、信号合成方法及びプログラム
JP6173905B2 (ja) Twa測定装置及びtwa測定装置の作動方法
CN116615145A (zh) 信号解析装置、信号解析方法和程序
JP2021030080A (ja) 心電図のrピークを決定する方法
KR20200055582A (ko) 심전도 신호 진단 파라미터 추출 디바이스 및 추출 방법
US9662027B2 (en) Methodology for assessing the bounded-input bounded-output instability in QT interval dynamics: application to clinical ECG with ventricular tachycardia
Mayapur Detection and classification of heart defects
Al Touma et al. Detection of cardiovascular abnormalities through 5-lead system algorithm
Vinurajkumar et al. Analysis of ventricular Tachycardia by predicting the QTI instability using ARMAX modelling Technique
Riasi Prediction of ventricular fibrillation using complexity analysis of T Wave from surface electrocardiogram
Sastry et al. Advanced signal processing applications of the ECG: T-wave alternans, heart rate variability, and the signal averaged ECG

Legal Events

Date Code Title Description
121 Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application

Ref document number: 21917603

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1

ENP Entry into the national phase

Ref document number: 2022573946

Country of ref document: JP

Kind code of ref document: A

WWE Wipo information: entry into national phase

Ref document number: 18265663

Country of ref document: US

ENP Entry into the national phase

Ref document number: 2021917603

Country of ref document: EP

Effective date: 20230609

WWE Wipo information: entry into national phase

Ref document number: 202180089220.4

Country of ref document: CN

NENP Non-entry into the national phase

Ref country code: DE