WO2022124369A1

WO2022124369A1 - 薬剤フィーダ

Info

Publication number: WO2022124369A1
Application number: PCT/JP2021/045336
Authority: WO
Inventors: 義人大村; 俊治大ヶ谷
Original assignee: 株式会社トーショー
Priority date: 2020-12-11
Filing date: 2021-12-09
Publication date: 2022-06-16
Also published as: EP4260839A1; US20240016703A1; AU2021397601A1; CA3205054A1

Abstract

本発明は、脆い薬剤でも毀損しない範囲で且つ簡便な手法で錠剤高さ規制機構の高さ規制機能を適度に回復させることができる薬剤フィーダを提供する。整列規制機構は、環状上端面の上方に垂れ下がっている複数の垂下物を有して、複数の垂下物により、薬剤の高さに対して高さ寸法を規制する錠剤高さ規制機構１６００を含んでいる。複数の垂下物には、下端部が横に押されると変形する１以上の変形垂下物１６１２，１６３２と、上端部が揺動可能に支持されていて下端部が横に押されても変形しない１以上の非変形垂下物１６２３が含まれている。

Description

薬剤フィーダ

　本発明は、病院や薬局等で行われる調剤を自動化するために、錠剤やアンプル剤といった粒状固形物の薬剤を自動供給する薬剤フィーダに関するものである。

　特許第６７３６０７５号公報（特許文献１）の図５，図７、図１０及び図９には、本願の図１３～図１４に示す従来の錠剤フィーダ１０が開示されている。本願の図１３が該公報の図９に対応し、本願の図１４が該公報の図１０に対応し、本願の図１３が該公報の該公報の図５の一部に対応し、本願の図１４が該公報の図７に対応する。従って本願の図１３～図１４には、該公報に付された符号と同じ符号が付してある。

　従来の最初の錠剤フィーダ１０は、上方に向かって開口する開口部を有する内部空間及びこの開口部を囲む環状上端面２３を備え、内部空間内を上下方向に延びる仮想の縦線ＰＬを中心として回転可能な外側回転体２２と、外側回転体２０の内部空間内に配置され、複数の固形の薬剤を上面部に載せた状態で、縦線ＰＬに対して傾いた仮想の傾斜線を中心として回転可能で、回転しているときに複数の薬剤を外側回転体２０の環状上端面２３上に移動させる内側傾斜回転体３０を備えている。また錠剤フィーダ１０は、外側回転体２２の環状上端面２３上に移動した複数の薬剤を、外側回転体２０が回転しているときに環状上端面２３の回転方向に沿って整列させる整列規制機構７０を備えている。
本願発明の構成や課題などの理解に役立つ部分を、図面を引用して具体的に説明する（図１１参照）。図１１は、薬剤フィーダ１０のほぼ全容を示しており、図１１（Ａ）が平面図、図１１（Ｂ）が縦断正面図である。

　図１１の薬剤フィーダ１０は、前述の外側回転体２０と内側傾斜回転体３０の他に、内側傾斜回転体３０と外側回転体２０とを回転可能に支持する支承機構４０と、それらの回転の駆動を担う回転駆動機構５０と、周壁１１の上側に設けられた錠剤高さ規制機構６０及び横幅規制機構７０を備えている。支承機構４０によって、外側回転体２０は鉛直線を中心として軸回転しうる状態に保たれ、内側傾斜回転体３０は鉛直から傾いた傾斜線を中心として軸回転しうる状態に保たれる。

　支承機構４０は、各所に分散して配設された複数の部材４１～４３からなり、それには例えばラジアル軸受などを主体とした受動部材４１が幾つかと、例えば硬質ゴム製Ｏリングなどの輪状体・環状体からなる回転伝動部材４２，４３とが含まれている。回転駆動機構５０は、回転容器２０＋３０の下に配置された回転駆動部材５１と、回転駆動部材５１を軸回転させる回転駆動モータ５４とを具備しており、径の異なる回転伝動部材４２，４３を介する摩擦伝動にて外側回転体２０を相対的に高速で軸回転させるとともに、内側傾斜回転体３０を相対的に低速で軸回転させるようになっている。

　錠剤高さ規制機構６０は、揺動支点の基端部６１から揺動端の先端部６２まで延びた細長い棒材を主体としたものであり、基端部６１が支持部６３によって周壁１１や外側回転体２０の上方で支持されており、そこを中心にして先端部６２が上下に揺動しうるようになっている。先端部６２寄りの部分が少し曲がっており、常態では先端部６２が斜め下向きの状態で自重により軽く内側傾斜回転体３０の周縁部３３に乗っているので、その周縁部３３から外側回転体２０の環状上端面２３へ滑り落ちることなく周縁部３３に乗ったまま運ばれて来た薬剤の多くが、先端部６２に当接するとともに、その反作用の付勢力によって内側傾斜回転体３０の央部３２へ戻されるが、それが円滑に行われなければ薬剤破損等の回避のため先端部６２が揺動して上方へ逃げるようにもなっている。

　横幅規制機構７０は、外側回転体２０の環状上端面２３の回転方向を基準として錠剤高さ規制機構６０より進行先に設置された第１規制部材７１と、それよりも更に進行先に設置された第２規制部材７２と、それら第１規制部材７１と第２規制部材７２との何れにもピン状の回転許容軸部材等を介して連結されているリンク機構７３と、サンプル薬剤を収容しうる型置場７４とを具備している。第１規制部材７１も、第２規制部材７２も、揺動中心部が周壁１１側に位置するとともに、揺動端部が外側回転体２０の環状上端面２３の上に位置しているので、その環状上端面２３の上の薬剤搬送経路幅を外周側から狭めるものとなっている。

　しかも、第１規制部材７１と第２規制部材７２は、何れも揺動にて環状上端面２３の上の薬剤搬送経路幅の狭め量を可変調整しうるものであるが、リンク機構７３の長手方向進退に応じて両規制部材７１，７２が同時かつ同様に揺動するので、両規制部材７１，７２による薬剤搬送経路幅の狭め量の調整量が連動するものともなっている。さらに、型置場７４にサンプル薬剤を収容してから、それに向けてリンク機構７３を動かすと、リンク機構７３が長手方向に進んで先端をサンプル薬剤に当接させて止められるが、そのときに第１規制部材７１の揺動端部と第２規制部材７２の揺動端部が何れも環状上端面２３の上の薬剤搬送経路幅をサンプル薬剤に倣って薬剤一個相当分に狭めるようにもなっている。

　また、そのような規制機構７０より更なる進行先では、周壁１１に、それを上下に貫通する落下排出口１４が形成されており、そこへ外側回転体２０の環状上端面２３の上の薬剤を外側回転体２０の回転にて送り込むために周壁１１には排出ガイド１３も設けられている。この排出ガイド１３の先端部には、そこより下側に延び且つ先にも延びて最先端となる搬送面ガイド１２が形成されていて、薬剤が排出ガイド１３に当接した反動で内側傾斜回転体３０の方へ不所望に落下するといったことを防止するようになっている。

　図１２は、改良された従来の薬剤フィーダ１００の全体構成を示す縦断面図である。図１３は、図１３の横幅規制機構７０を改良した新しい横幅規制機構７００の構成を示し、図１３（Ａ）が、型用薬剤５ａを型置場７４に置いたときの横幅規制機構７００に係る平面図、図１３（Ｂ）が、第１規制部材７１０の平面図と端面図である。図１４は、図１０に示される錠剤高さ規制機構６０を改良した錠剤高さ規制機構６００の構成を示しており、図１４（Ａ）が、錠剤高さ規制機構６００とその設置先部分とに係る外観斜視図であり、図１４（Ｂ）が、錠剤高さ規制機構６００の第１規制部材６１０に係る正面図であり、図１４（Ｃ）が、錠剤高さ規制機構６００の第２規制部材６２０に係る正面図である。

　図１２の改良された薬剤フィーダ１００が、改良前の図１３の薬剤フィーダ１０と相違する点としては、回転駆動機構５０が二つの回転駆動モータ５４ａ，５４ｂを具備して外側回転体２０の回転と内側傾斜回転体３０の回転とを個別に制御できるようになったことや、外側回転体２０がそれを上下に分解しなくても内側傾斜回転体３０を抜き差しできる椀状の一体物になったこと、内側傾斜回転体３０の着脱を検出する内側傾斜回転体装着検出手段５５が追加されたこと、落下排出口１４の下方の薬剤落下検出手段５６が明示されたこと等が挙げられる。

　横幅規制機構７００は、図１１（Ａ）及び（Ｂ）に示された最初の錠剤フィーダ１０の横幅規制機構７０と同様の型用薬剤５ａをセットする型置場７４や、第１及び第２規制部材７１，７２を連動させるリンク機構７３を備えている。また図１１の第１規制部材７１と第２規制部材７２には改良が施されて、それぞれ図１３（Ａ）～（Ｃ）の第１規制部材７１０と第２規制部材７２０になっている。第１規制部材７１０，第２規制部材７２０は同形なので、第１規制部材７１０を詳述する。第１規制部材７１０は、図１３（Ａ）で左端の揺動中心部が図１２の周壁１１側に位置し、右端の揺動端部が外側回転体２０の環状上端面２３の上方に位置し、リンク機構７３の長手方向進退に応じて環状上端面２３の上の薬剤搬送経路幅を外周側から狭める横幅規制機能を発揮するものとなっている。

　しかも、第１規制部材７１０は（図１３（Ｂ）参照）、内周側面部に、横幅規制機能を担う下段部分７１１だけでなく、上段部分７１２も形成されている。上段部分７１２は、下段部分７１１よりも内周側に張り出しており、上段部分７１２と下段部分７１１との間は傾斜面になっている。そのため、第１規制部材７１０は、下段部分７１１がリンク機構７３の状態に応じた厳密な横幅規制機能を行うのに加えて、上段部分７１２が緩やかな高さ規制を行うものとなる。第２規制部材７２０も同様である。

　図１４に示した錠剤高さ規制機構６００は、外側回転体２０の環状上端面２３の薬剤搬送経路において横幅規制機構７００の上流に配設された第１規制部材６１０と、横幅規制機構７００と並ぶ位置に配設された第２規制部材６２０とを具備している。第１及び第２の規制部材６１０，６２０のいずれも、図１１（Ｂ）の錠剤高さ規制機構６０の規制部材６２と同様に、排出ガイド１３を含むとともに横幅規制機構７００を支持する板体に対して、装着されている。

　第１規制部材６１０は（図１４（Ａ），（Ｂ）参照）、手動のネジ機構にて上下位置を調整しうる短めの支持部材６１１と、その先端寄り部位に取り付けられて支持部材６１１に随伴して上下する前段垂下物６１２（第１形の垂下物）とを具備している。前段垂下物６１２は（図１４（Ｂ）参照）、複数の大玉６１３（図では二個の球体）を緩く連結して鎖状にしたものである。第１規制部材６１０では、二個の前段垂下物６１２が、支持部材６１１から環状上端面２３０の薬剤搬送経路の上方へ横並び状態で垂れ下がり、通常は前段垂下物６１２の下端が薬剤の高さより少しだけ高くなるように上下位置が調整される。

　第２規制部材６２０は（図１４（Ａ），（Ｃ）参照）、これも手動で上下位置を調整しうる長めの支持部材６２１と、その先端寄り部位に取り付けられて支持部材６２１に随伴して上下する中段垂下物６２２及び後段垂下物６３２（何れも第１形の垂下物）と、支持部材６２１の上下位置調整を担う手動調整機構６５０とを具備している。中段垂下物６２２は（図１４（Ｃ）参照）、複数の中玉６２３（図では三個の球体）を緩く連結して鎖状にしたものであるが、中玉６２３が小粒になり連結個数が増えている。後段垂下物６３２も、やはり複数（図では手前七個と奥六個）の小玉６３３を緩く連結して鎖状にしたものであり、小玉６３３が更に小粒になり連結個数が増えている。

　手動調整機構６５０は、支持部材６２１を手動操作にて上げてそれと下限設定機構６５１との間隙を広げてから、下限設定機構６５１の上に型用薬剤５ｂ（上述した型置場７４に置いた図１３（Ａ）の型用薬剤５ａとは別物であるが同形の薬剤の一つ）を載置し、それから手動操作にて支持部材６２１を型用薬剤５ｂに軽く当たるところまで下げると、支持部材６２１の上下位置が型用薬剤５ｂに対応した位置に来るようになっている。下限設定機構６５１には、目盛部材６５２が付設されている（図１４（ｃ）参照）。

特許第６７３６０７５号公報

　従来の薬剤フィーダでは、形状や材質の異なる種々の薬剤について長時間に及んで使用したところ、稀にではあるが、次のような状況が生じる。すなわち複数個の薬剤が上下に重なったままの謂わば多段状態になった薬剤が、解れにくい状態のまま、前段の錠剤高さ規制の高さ規制を逃れて、後段の横幅規制機構に至ることがある。この場合に、多段状態になった薬剤が横幅規制機構の高さ規制機能によっても解されることなく、さらには横幅規制機構の幅規制機能によって外側回転体の薬剤搬送経路から内方の内側傾斜回転体の上へ落とされるときに長時間を費やしたりしたときなどに、それが引き金となって後に続く多数の薬剤が外側回転体の薬剤搬送経路の上に留まり続ける状態が発生する場合がある。

　そのような渋滞状態とも言えるような状況が発生した場合、横幅規制機構から落下排出口への薬剤搬送頻度が減少することから、薬剤の順次排出機能が予想を超えて損なわれることになる。その結果、処理能力が不所望な程度にまで低下したり、更には、薬剤排出検出の不所望なタイムアウトによって、フィーダ内の全薬剤の排出が完了してフィーダが空になったとの誤判定を招くことにもなりかねない。そこで、脆い薬剤でも毀損しない範囲で且つ簡便な手法で錠剤高さ規制機構の高さ規制機能を適度に回復させることが課題となっている。

　本発明の薬剤フィーダは、上方に向かって開口する開口部を有する内部空間及び開口部を囲む環状上端面を備え、内部空間内を上下方向に延びる仮想の縦線を中心として回転可能な外側回転体と、外側回転体の内部空間内に配置され、複数の固形の薬剤を上面部に載せた状態で、縦線に対して傾いた仮想の傾斜線を中心として回転可能で、回転しているときに複数の薬剤を外側回転体の環状上端面２３上に移動させる内側傾斜回転体０と、外側回転体の環状上端面上に移動した複数の薬剤を、外側回転体が回転しているときに環状上端面の回転方向に沿って整列させる整列規制機構を備えている。なお、上記の仮想の縦線は、仮想のものであり、既述した鉛直線が典型的であるが、外側回転体の薬剤移送機能を損なわないほど少しなら鉛直線から傾いていても良い。

　整列規制機構は、環状上端面の上方に垂れ下がっている複数の垂下物を有して、複数の垂下物により、薬剤の高さに対して高さ寸法を規制する錠剤高さ規制機構を含んでいる。複数の垂下物には、下端部が横に押されると変形する１以上の変形垂下物と、上端部が揺動可能に支持されていて下端部が横に押されても変形しない１以上の非変形垂下物が含まれている。

　本発明の薬剤フィーダによれば、薬剤の重なりを穏やかに解消するための複数の垂下物として、下端部が横に押されると変形しうる変形垂下物ばかりでなく、上端部が緩く支持されていて下端部が横に押されると変形せずに揺動しうる非変形垂下物も設けられて、両者が併用される。何れの垂下物も、外側回転体によって搬送されて来た重なった薬剤が当接すると、重なった薬剤に当接して重なりを解くような反力を作用させる。反力の発生及び反力の作用の態様は、垂下物の変形と垂下物の揺動とでは、異なることから同質の反力の作用態様を繰り返す場合よりも、重なった薬剤の重なり解消効果を期待することができる。また、重なった薬剤に当接した垂下物の端部が揺動により横に逃げるので、垂下物の端部が上方へ逃げるものより、過剰反力が発生し難い。したがって、本発明によれば、脆い薬剤でも毀損しない範囲で且つ簡便な手法で錠剤高さ規制機構の高さ規制機能を適度に回復させることができる。

　また、本発明の薬剤フィーダにあっては、変形垂下物の位置と非変形垂下物の位置が、外側回転体の周方向から見て位置を異にしている。また複数の垂下物は、１以上の変形垂下物、１以上の非変形垂下物、別の１以上の変形垂下物の順番で、周方向に並んでいるのが好ましい。このようにすると複数の垂下物を何れも薬剤搬送経路上に無理なく配置することができる。また複数種類のタイプの異なる複数の垂下物は、形状及び構造が異なるが故に、重なった複数の錠剤に当たったときに複数の錠剤に与える衝撃の態様が異なる。特に、複数種類のタイプの異なる複数の垂下物が周方向から見て位置を異にして配置されると、これら複数種類のタイプの異なる複数の垂下物から、異なった「重なった状態を解消するための作用（以下重畳薬剤の解し作用という）」を、時間差を持って重なった錠剤に与えることができるので、複数の「重畳薬剤の解し作用」が相殺しあうといった不所望な事態の発生を、簡便に回避することもできる。

　さらに、１以上の変形垂下物は、環状上端面上にあって重なった複数の錠剤が当接したときに、下端部が該錠剤の外周面に添いながら変形し且つ重なった複数の錠剤の重なりを解く反力を発生する構造を有しているのが好ましい。また１以上の非変形垂下物は、環状上端面上にあって重なった複数の錠剤が当接したときに、重なった複数の錠剤の重なりを解く反力を発生し且つ下端部に沿って外側回転体の開口部側へ錠剤を移動させる構造を有しているのが好ましい。

　より具体的には、錠剤高さ規制機構は複数の垂下物の上端部をそれぞれ支持する１以上の支持アームを備えており、支持アームには、非変形垂下物の上端部が貫通する上下方向に貫通する貫通孔が形成されている構造を採用することができる。この場合、非変形垂下物の上端部と下端部の間には、上端部と同じ方向に突出する突出部を設ける。そして、貫通孔の下には、突出部が緩く嵌合され且つ重なった錠剤が下端部に当接したときに、非変形垂下物）が限定された範囲内で揺動するように突出部の動きを制限するスリット部を設けるのが好ましい。このようにすると、重なった錠剤が下端部に当接したときに、下端部が僅かに揺動して錠剤に与える反力に変動を生じさせて重畳薬剤を解す作用を強めることができる。

　非変形垂下物は、その全部または下端部を含む部分が板状であり、下端部が、突出部と一緒に第１の仮想平面内に位置する第１の部分と該該１の部分に連続し且つ第１の仮想平面と所定の角度θを持って交差する第２の仮想平面内に位置する第２の部分とを備えているのが好ましい。この場合、スリット部は、第１の部分が外側回転体の回転方向に沿って延び、且つ第２の部分が第１の部分より回転方向の後方側に位置して外側回転体の径方向外側に向かって延びるように非変形垂下物を位置決めする。このようにすると、非変形垂下物の下端部を外側回転体の環状上端面の移動方向（薬剤移送方向）に対して傾斜させることになる。この下端部の傾斜は、非変形垂下物の揺動によって変動する。そしてこの揺動の範囲を限定しているために、他の薬剤の上に乗った状態で移送されてきた薬剤の移送方向が、非変形垂下物との当接によって外側回転体の内周側へスムーズに変えられる。その結果、非変形垂下物の設置により簡便な構成でも重畳薬剤の解し作用と余剰薬剤を外側回転体の内部空間内に戻す作用とが強化される。

　また、分離可能な複数の部材を並設して非変形垂下物を構成すれば、薬剤当接時に複数の部材が僅かながらもズレたり細かく離接したりもすることから、薬剤に対する複数の部材からの反力の総量が同じでも、反力のピークは下がる傾向が見られる。その結果、この構成によれば、薬剤への不所望な衝撃等を抑制しつつ重畳薬剤の解し作用を強化することができる。

　また、複数の部材をすべて同じ板材形状にすれば、非変形垂下物の製造負担が軽減される。また同一形状の複数の板材の並設により非変形垂下物を構成すれば、複数の板材を密接した状態で配置することが（稠密配置まで）容易に行える。

　本発明の薬剤フィーダは、外側回転体の回転制御を行う制御部と、外側回転体によって落下排出口へ運ばれて落下した薬剤を検出する薬剤落下検出手段を更に備えていてもよい。整列規制機構は、外側回転体の環状上端面上の薬剤搬送経路の横幅を規制する横幅規制機構を含んでいる。横幅規制機構は、制御部の制御指令に応じて横幅の規制量を加減するように構成されている。薬剤落下検出手段により検出する薬剤検出間隔が正常時間隔より大きな設定値である渋滞時間隔に達すると、横幅規制機構は、制御部の制御指令に応じて、横幅を拡大させるようになっている。なお、上記の薬剤検出間隔には、外側回転体の回転開始から薬剤落下検出手段の薬剤検出までの時間間隔と、薬剤落下検出手段による前の薬剤検出から次の薬剤検出までの時間間隔のいずれもが含まれる。

　なお制御部からの制御指令により、横幅規制機構が横幅を拡大させた後に、薬剤落下検出手段が薬剤落下を検出すると、この検出に応じた制御部からの制御指令により横幅規制機構が横幅を拡大前に戻すようにしてもよい。

　外側回転体によって落下排出口へ運ばれて落下した薬剤の薬剤検出間隔は、正常な薬剤排出動作の下では、既知の正常時間隔（正常時の時間間隔）かそれに近い時間になる。しかしながら薬剤検出間隔が、正常時の時間感覚よりも長い渋滞時間隔（渋滞時の時間間隔）に達したときには、外側回転体の環状上端面の薬剤搬送経路において不所望な薬剤の渋滞状態が発生している可能性が高い。そこで横幅規制機構が作動して薬剤搬送経路の横幅が広げられると、横幅規制機構の脇を薬剤が通過することへの規制が一時的に緩和される。その結果、多数の薬剤が横幅規制機構の所で詰まって搬送方向に連なる薬剤の渋滞状態が発生したときには、そのことが検出されて、渋滞の先頭の薬剤が前進し易くなる。そして、先頭の薬剤の僅かな動きが後続の薬剤同士の押し合い状態を緩和し、薬剤の連なり状態が変化するので、薬剤の渋滞状態の解消に役立つ。しかも、横幅規制機構を少し動作させることで簡便に薬剤の渋滞状態を緩和できる上、不所望な薬剤同士の押し合いが緩和されるので、薬剤が脆いものであっても、薬剤が毀損するおそれは無い。したがって、このようにすれば、脆い薬剤でも毀損しない範囲で且つ簡便な手法で横幅規制機構の幅規制機能の発揮により、薬剤の渋滞を解消することができる。

　制御部からの制御指令に応じて、横幅規制機構は、横幅の拡大を段階的に行うようにしてもよい。薬剤搬送経路の横幅の拡大を、連続的でなく段階的に行うようにすれば、規制対象になった薬剤が間欠的に横方向に移動することから、移動時には薬剤同士の摩擦が抑制されるとともに薬剤同士の押し合い状態も緩和される。その結果、横幅の拡大を段階的に行うと、薬剤の横方向への移動と移動の合間には、薬剤の整列状態が整えられるので、薬剤への衝撃を抑えて無理なく而も効率良く薬剤の渋滞状態を解消することができる。

　本発明の薬剤フィーダは、薬剤を挟んで寸法を測るための採寸機構と、採寸機構の可動部を移動させる採寸用駆動機構とを更に備えていてもよい。この場合、横幅規制機構は、採寸機構の可動部と連動して横幅の初期値を設定するように構成されているのが好ましい。そして制御部が採寸用駆動機構を動作させることで、採寸機構の採寸部に置かれた薬剤の薬剤寸法データを取得すると、制御部は寸法データに基づいて横幅の規制を横幅規制機構に行わせる制御指令を出力する。このようにすると、横幅規制機構と採寸機構の可動部とを連動させて、採寸用駆動部材が可動部を移動させる横幅規制機構も作動するようにしたことにより、採寸機構に置かれた薬剤の寸法データを取得することに加えて、その寸法データに基づいて薬剤搬送経路の横幅を一時緩和することまでも、制御部が採寸用駆動部材を制御することで具現される。また、採寸に用いた薬剤を採寸後に採寸機構から取り出して内側傾斜回転体の上に移すことで、薬剤を無駄なく自動調剤に用いることができる。更には、採寸用駆動部材の動作量から寸法データを取得や算出することで採寸機構を簡素化することもできる。

　錠剤高さ規制機構は、複数の垂下物を昇降させる昇降機構を含んでおり、採寸機構により取得した薬剤寸法データを保持する第１データ記憶手段と、上位装置からデータ送信されて来た薬剤寸法データを取得してそれを保持する第２データ記憶手段を更に具備しているのが好ましい。この場合、第１データ記憶手段と第２データ記憶手段の何れか一方が保持している薬剤寸法データに基づいて横幅規制機構に横幅の規制を行わせるとともに錠剤高さ規制機構の昇降機構に高さの規制を行わせるようにすればよい。

　このようにすると、錠剤高さ規制機構にて複数の垂下物を昇降させるようにしたことに加えて、横幅規制機構と採寸機構の可動部とを連動させ、その可動部を採寸用駆動部材が移動させると、採寸機構ばかりか横幅規制機構も作動するようにもしたことにより、採寸機構に置かれた薬剤の寸法データを取得することに加えて、その寸法データに基づいて薬剤搬送経路の横幅ばかりか薬剤搬送経路の上の薬剤通過高さを規制するという三つの機能までも、制御部が二つの規制機構を制御することで具現される。しかも、採寸機構を用いて薬剤寸法データを得る第１データ記憶手段にとどまらず、上位装置等からデータ送受信にて薬剤寸法データを得る第２データ記憶手段も具備したことにより、薬剤搬送経路の横幅と高さの規制に必要な薬剤寸法データを上位装置等が既に保持しているときには、そのデータを受信することで速やかに薬剤逐次排出動作を開始することができる。その結果、採寸を行って必要な薬剤寸法データを取得するのは、必要な薬剤寸法データを上位装置等が保持していないときにだけ行えば足りるので、総体的な薬剤分包能力の向上に役立つ。したがって、このようにすれば採寸作業やデータ設定等の作業負担が軽減される。

　採寸にて得た薬剤寸法データと受信にて得た薬剤寸法データとを同時に使用することが必須でないことから、第１データ記憶手段と第２データ記憶手段とはデータ記憶メモリを共用することができる。

　制御部が、第１データ記憶手段から薬剤寸法データを取得したときには、薬剤寸法データを上位装置へデータ送信するのが好ましい。このようにすれば、それ以降の同一薬剤の逐次排出に際しては上位装置から必要なデータを受信することができるので、採寸動作を省いて薬剤の逐次排出動作を速やかに開始することができる。

　本発明は、調剤システムとしても把握することができる。この調剤システムは、本発明の薬剤フィーダを薬剤収納庫に搭載した薬剤分包機と、処方箋の情報に基づいた処方データと各種薬剤のデータを纏めた薬品マスタとを保持した調剤サーバとを備えている。調剤サーバと薬剤分包機とはデータ送受信可能であり、薬剤分包機の制御部と薬剤フィーダの制御部とがデータ送受信可能である。薬剤分包機が、前記薬剤フィーダにて処理する薬剤を含んだ調剤指示データを調剤サーバから受信したとき、調剤指示データに薬剤に係る薬剤寸法データが含まれているか否かを調べて、含まれていれば当該薬剤寸法データを薬剤フィーダに対してデータ送信し、含まれていなければ薬剤フィーダに対して採寸機構による薬剤寸法データの取得を指示するとともに薬剤フィーダから送信されてきた薬剤寸法データを調剤サーバへ転送する。

　このようにすれば、具体的には薬剤フィーダで処理する薬剤について調剤サーバが薬剤寸法データを既に保持しているときには、そのデータを含んだ調剤指示が調剤サーバから薬剤分包機へ送られる。薬剤分包機では、薬剤フィーダが薬剤寸法データを受け取って速やかに薬剤逐次排出動作を開始できることから、採寸を先行させる必要がないので、時間の損失が無いという利点が得られる。

　また、薬剤フィーダで処理する薬剤について調剤サーバが薬剤寸法データを未だ保持していないときには、調剤サーバから薬剤分包機へ送られる調剤指示では薬剤寸法データが不足するが、その場合には改良フィーダにて採寸を行うことで必要なデータが揃って調剤を実行できる。しかも、その薬剤寸法データが調剤サーバに送られるので、以後は、その調剤サーバ管理下の総ての改良フィーダが薬剤寸法データを活用することができる。

（Ａ）は本発明の第１の実施の形態の薬剤フィーダの錠剤高さ規制機構とその周辺部の構造に係る外観斜視図であり、（Ｂ）は錠剤高さ規制機構だけの外観斜視図である。（Ａ）乃至（Ｅ）は、単体の中段垂下物としての非変形垂下物の平面図、正面図、左側面図、背面図及び右側面図である。（Ａ）乃至（Ｅ）は、二個の中段垂下物を隣り合わせ状態で並設した複合中段垂下物の平面図、正面図、左側面図、背面図及び右側面図である。（Ａ）乃至（Ｃ）は、それぞれ中段垂下物の垂下状態を説明するために用いる図である。採寸機構と横幅規制機構の関係を説明するために用いる図である。（Ａ）及び（Ｂ）は、何れも、採寸機構の外観斜視図である。（Ａ）乃至（Ｄ）は、何れも採寸機構の可動式挟持部と横幅規制機構のリンク機構との連動状態を示す平面図である。複合中段垂下物の所に来た薬剤を仕分けしている錠剤高さ規制機構などに係る外観斜視図である。（Ａ）は薬剤を仕分けしている複合中段垂下物の揺動状態を示す平面図であり、（Ｂ）は正面図であり、（Ｃ）は薬剤を仕分けしている複合中段垂下物の下端部と錠剤の関係を示す図である。（Ａ）は調剤システムの構成を示す模式図であり、（Ｂ）はカセットを取り外したカセット着脱式の薬剤フィーダの正面図である。（Ａ）は従来の薬剤フィーダの要部構造の平面図であり、（Ｂ）はその縦断正面図である。従来の薬剤フィーダの要部構造を示す縦断正面図である。（Ａ）は従来の薬剤フィーダの規制機構の構造において、型用薬剤を型置場に置いたときの平面図であり、（Ｂ）及び（Ｃ）は第１規制部材に係る平面図と端面図である。（Ａ）は従来の薬剤フィーダの錠剤高さ規制機構の構造と設置先部分とに係る斜視図であり、（Ｂ）は第１規制部材の正面図であり、（Ｃ）は第２規制部材の正面図である。

　以下、本発明の薬剤フィーダの実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお以下の説明では、図１１～図１４に示した背景技術の欄で説明した公知の構造と重複するものについては、繰り返しとなる説明を割愛し、以下、従来との相違点を中心に説明する。

　（第１の実施の形態）
　図１は、第１の実施の形態の薬剤フィーダ１１００の要部の構造を示し、図１（Ａ）が錠剤高さ規制機構１６００とその周辺部の構造に係る外観斜視図であり、図１（Ｂ）が錠剤高さ規制機構１６００だけの外観斜視図である。また、図２（Ａ）乃至（Ｅ）は、単体の中段垂下物１６２３としての非変形垂下物の平面図、正面図、左側面図、背面図及び右側面図である。図３（Ａ）乃至（Ｅ）は、二個の中段垂下物（非変形垂下物）１６２３，１６２３を隣り合わせ状態で並設した複合中段垂下物１６２２の平面図、正面図、左側面図、背面図及び右側面図である。

　図１に示した薬剤フィーダ１１００は、基本的な構成は図１１及び図１２に示した従来の薬剤フィーダ１０，１００の構成と同様の構成を有している。具体的には、図１１及び図１４に示した公知の筐体の周壁１１と同様の筐体の周壁１０１１と、図１１及び図１４に示した公知の外側回転体２０と同じく仮想の縦線を中心として軸回転可能な外側の外側回転体１０２０と、公知の内側傾斜回転体３０と同じく仮想の縦線から傾いた傾斜線を中心として軸回転可能な状態で外側回転体１０２０の内側に装備されて外側回転体１０２０の中空を塞ぐ内側傾斜回転体１０３０を薬剤フィーダ１１００は備えている。

　また、薬剤フィーダ１１００は（図１（Ａ）参照）、内側傾斜回転体１０３０の回転によって内側傾斜回転体１０３０の上から外側回転体１０２０の環状上端面２３の上へ運び上げられた固形の薬剤を外側回転体１０２０の回転時に整列させる錠剤高さ規制機構１６００および横幅規制機構１７００も備えている。横幅規制機構１７００は、薬剤搬送経路の横幅を電動にて可変調整できる構造を有している。横幅規制機構１７００の基本的な構造は公知の横幅規制機構７００の構造と同じであり、外側回転体１０２０の環状上端面２３の上の薬剤搬送経路の横幅を規制するとともに薬剤に対する最終的な高さ規制も行うようになっている。

　［錠剤高さ規制機構］
　錠剤高さ規制機構１６００は（図１（Ａ）の散点模様を付した部分及び図１（Ｂ）参照）、外側回転体１０２０の環状上端面２３の上の薬剤に対して通過可能な高さを厳密でなく、ゆるく規制するためのものである。本実施の形態では、外側回転体１０２０の環状上端面２３の上方に垂れ下がる三種類の垂下物として、３個の大玉６１３を縦に連ねて曲折自在な公知の２本の前段垂下物６１２と、後で詳述する板状の中段垂下物１６２３を二枚横並びにして構成した複合中段垂下物１６２２と、複数の小玉６３３を縦に連ねて曲折自在な３本の後段垂下物６３２を具備している。本実施の形態では、２本の前段垂下物６１２及び３本の後段垂下物６３２が、下端部が横に押されると変形する１以上の変形垂下物を構成しており、複合中段垂下物１６２２が、上端部が揺動可能に支持されていて下端部が横に押されても変形しない１以上の非変形垂下物を構成している。２本の前段垂下物６１２、複合中段垂下物１６２２及び３本の後段垂下物６３２は、環状上端面２３の回転方向の上流から下流に間隔をあけて即ち周方向に間隔をあけて配設されている。２本の前段垂下物６１２、複合中段垂下物１６２２及び３本の後段垂下物６３２を外側回転体１０２０の周方向から見たそれぞれの位置は異なっている。即ち、それぞれの位置は、前記周方向から見て径方向に異なっている。

　複数の前段垂下物６１２を吊り下げ保持する支持アーム１６１１は短めであるのに対し、複合中段垂下物１６２２と後段垂下物６３２とを吊り下げ保持する支持アーム１６２１は長めで横幅規制機構１７００を跨いでいる。両支持アーム１６１１，１６２１は一体物から作られているので或いは緊結されているので、支持アーム１６１１を含む第１規制部材１６１０と支持アーム１６２１を含む第２規制部材１６２０も一体化している。そのため、本実施の形態では、図１及び図５に示すように電動モータ１６３０により上下動動作をする昇降機構１６３１により、第１規制部材１６１０及び第２規制部材１６２０が一緒に上下方向に移動して、三種の垂下物６１２，１６２２，６３２の下端位置を纏めて上下に自動調整することができる。すなわちモータ１６３０（仕分用駆動部材）を作動させると、その駆動によって昇降機構１６３１の昇降用ネジ１６４０が軸回転し、それに応動して一体物の支持アーム１６１１，１６２１が昇降する。

　前段垂下物６１２と後段垂下物６３２は、外側回転体１０２０の環状上端面２３によって搬送されて来た薬剤が前段垂下物６１２と後段垂下物６３２の下端部に衝突して横に押されると、衝突した薬剤を押しとどめつつも衝撃は緩和する。そして前段垂下物６１２と後段垂下物６３２は、全体的には弓なりになり、下端部ほど容易に大きく変形する。このような変形が発生することから、前段垂下物６１２と後段垂下物６３２は１以上の変形垂下物を構成する。

　これに対し、縦に細長い板状体から構成され且つ変形しづらい中段垂下物１６２３を重ねた複合中段垂下物１６２２は、その上端部（１６２３ａ）が支持アーム１６２１の貫通孔１６２１ａの所に緩く嵌合した状態で引っ掛けられて、緩く吊り下げられている。この複合中段垂下物１６２２は、その下端部を横に押されると変形せずに揺動しうる単体の非変形垂下物を構成する。詳しく説明すると、複合中段垂下物１６２２を構成する２枚の中段垂下物１６２３の上端部１６２３ａを揺動可能に支持する支持アーム１６２１には、上下方向に延びる貫通孔１６２１ａが形成されている。２枚の中段垂下物１６２３の上端部１６２３ａは、貫通孔１６２１ａ内を緩く貫通する貫通部１６２３ｇと該貫通部に連続して貫通孔１６２１ａの上側開口部を囲む支持アーム１６２１の上面部分と係合する係合部１６２３ｆを備えている。また中段垂下物１６２３の上端部１６２３ａと下端部１６２３ｄｃ間には、上端部１６２３ａと同じ方向に突出する突出部１６２３ｂを設けられている。そして、図４（Ａ）乃至（Ｃ）に示すように、貫通孔１６２１ａの下には、スリット１６２４ａを備えたスリット部１６２４が固定されている。スリット部１６２４のスリット１６２４ａには、突出部１６２３ｂが緩く嵌合され且つ重なった錠剤が下端部１６２３ｃに当接したときに、中段垂下物１６２３が限定された範囲内で揺動するように突出部１６２３ｂを有する中段垂下物１６２３の動きを制限する形状を有している。このようなスリット部１６２４を設けると、錠剤が下端部１６２３ｃに当接したときに、下端部１６２３ｃが僅かに揺動して錠剤に与える反力に変動を生じさせて、重畳薬剤を解す作用を強めることができる。

　図２に示すように、中段垂下物１６２３は、その全部または下端部１６２３ｃを含む部分が板状であり、下端部１６２３ｃが、突出部１６２３ｂと一緒に第１の仮想平面ＰＳ１内に位置する第１の部分１６２３ｃ1と該該１の部分１６２３ｃ1に連続し且つ第１の仮想平面ＰＳ１と所定の角度θを持って交差する第２の仮想平面ＰＳ２内に位置する第２の部分１６２３ｃ2とを備えている。この場合、スリット部１６２４は、第１の部分１６２３ｃ1が外側回転体１０２０の回転方向に沿って延び、且つ第２の部分１６２３ｃ2が第１の部分１６２３ｃ1より回転方向の後方側に位置して外側回転体１０２０の径方向外側に向かって延びるように中段垂下物１６２３を位置決めするために用いられている。スリット部１６２４を用いると、中段垂下物１６２３の下端部１６２３ｃを外側回転体１０２０の環状上端面の移動方向（薬剤移送方向）に対して傾斜させることになる。この下端部１６２３ｃの傾斜は、中段垂下物１６２３の揺動によって変動する。この揺動の範囲は、スリット１６２４ａの幅寸法により限定される。

　図３に示すように、中段垂下物１６２３を二枚（複数枚）、密だが分離容易な状態で横に並べた複合中段垂下物１６２２は、複数並設の１以上の非変形垂下物を構成する。複合中段垂下物１６２２は、前段垂下物６１２や後段垂下物６３２とは変形状況が異なるため、重なっている複数薬剤の重なりを解く際の作用内容が異なるものとなる。

　支持アーム１６２１による複合中段垂下物１６２２の保持状態を以下に説明する（図１（Ｂ），図２，図３参照）。複合中段垂下物１６２２の下端部を振る揺動動作については、衝撃緩和のためには比較的大きめに許容される。仮想の縦軸を中心にして回る謂わば自転状回転については、上述のスリット１６２４ａによって揺れ幅が小さく抑えられている。

　図２（Ａ）乃至（Ｅ）に示すように、中段垂下物１６２３の典型的な構成例は、縦長平板部１６２３ｅと、その上端から少しだけ横に突き出た上端部１６２３ａと、縦長の平板部１６２３ｅの中央部から上端部１６２３ａと同じ方向に突き出た突出部１６２３ｂと、縦長平板部１６２３ｅの下端から長めに突き出た下端部１６２３ｃとを具えている。縦長平板部１６２３ｅと上端部１６２３ａと突出部１６２３ｂは第１の仮想平面ＰＳ１内に属している。これに対し、下端部１６２３ｃの第２の部分１６２３ｃ2 は、上端部１６２３ａや突出部１６２３ｂが突き出る方向と同じ方向に突き出ているが、第１の仮想平面ＰＳ１内には位置しておらず、第１の仮想平面ＰＳ１と交差する第２の仮想平面ＰＳ２内に位置している。この例では、下端部１６２３ｃの斜交当接面１６２３ｄと第１の仮想平面ＰＳ１との間の角度が約３０゜になっている。

　図３（Ａ）乃至（Ｅ）の複合中段垂下物１６２２は、図２の中段垂下物１６２３を二枚重ね合わせたものである。複合中段垂下物１６２２は、支持アーム１６２１に上端部が取り付けられた状態で、二枚の中段垂下物１６２３の大部分がぴったり重なった状態になって、外側回転体１０２０の環状上端面２３の上方に垂れ下がる。二枚の中段垂下物１６２３の下端部１６２３ｃのうち一方の中段垂下物１６２３が薬剤５の当接を受ける斜交当接面１６２３ｄを備える。

　［採寸機構と横幅規制機構の連動関係］
　図５は、採寸機構１７４０と横幅規制機構１７００の関係を説明するために用いる図であり、図６（Ａ）及び（Ｂ）は、何れも、採寸機構１７４０の外観斜視図である。また、図７（Ａ）～（Ｄ）は、何れも採寸機構１７４０の可動式挟持部１７４２と横幅規制機構１７００のリンク機構７３との連動状態を示す平面図である。図５に示した制御部１８００は、採寸機構１７４０と横幅規制機構１７００の制御を担うものであり、マイクロプロセッサ等を用いて構成されている。制御部１８００は、マイクロプロセッサを中心にして、錠剤高さ規制機構１６００に制御指令を出力する高さ規制部１８０１と、採寸機構１７４０及び横幅規制機構１７００に制御指令を出力する採寸・横幅規制部１８０２と、回転駆動モータ５４ａ及び５４ｂに制御指令を回転駆動部１８０３と、薬剤落下検出手段５６からの信号を処理して制御信号を出力する薬剤落下検出部１８０４と、後述する第１データを記憶する第１データ記憶手段ＤＭ１と第２データを記憶する第２データ記憶手段ＭＤ２を内部に備えている。

　図５において、横幅規制機構１７００（散点模様部分を参照）の基本的な構造部分は、公知のリンク機構７３と第１規制部材７１０と第２規制部材７２０と付勢バネとを具備した既述の横幅規制機構７００を改良したものである（図１３参照）。横幅規制機構１７００は外側回転体１０２０の環状上端面２３の上の薬剤搬送経路に対して横幅を規制するとともに薬剤に対する最終的な高さ規制も行うが、電動になった採寸機構１７４０と連動することで薬剤搬送経路の横幅を電動で可変調整できるようになっている。

　図６（Ａ）及び（Ｂ）に示すように、採寸機構１７４０は、固定の挟持部１７４１（静止部）と、固定の挟持部１７４１に対して進退しうる可動の挟持部１７４２（可動部）と、可動の挟持部１７４２と一緒に移動する載置部１７４３（伝動部）及び長穴部１７４４（案内部）と、この長穴部１７４４の長穴に挿入されていて載置部１７４３の移動方向ひいては可動の挟持部１７４２の移動方向を規制する固定の挿入部１７４５（案内部）と、可動の挟持部１７４２を固定の挟持部１７４１に当接させる向きに載置部１７４３を付勢する図示しないバネを具備している。自由状態では固定の挟持部１７４１と可動の挟持部１７４２とが当接しあい（図６（Ｂ）参照）、可動の挟持部１７４２や載置部１７４３をバネ付勢に反する向きに押すと可動の挟持部１７４２が固定の挟持部１７４１から離れるようになっている（図６（Ａ）参照）。

　採寸機構１７４０の下方には、図１２に示す回転駆動モータ５４ａ，５４ｂと同様に制御部１８００の採寸・横幅規制部１８０２から制御指令を受けるモータ１７５０（規制用駆動部材、採寸用駆動部材）が配設されている（図５参照）。このモータ１７５０の回転動作に応じて揺動する揺動部材１７５１（伝動部）と（図６（Ａ）参照）、原点に位置している揺動部材１７５１を検出する原点検出部材１７５２も配設されている（図６（Ｂ）参照）。そして、モータ１７５０を所定の向きに動作させると、二つの挟持部１７４１，１７４２の間隙が広がり、モータ１７５０を逆回転させたり、自由状態にすると、二つの挟持部１７４１，１７４２の間隙が狭まって二つの両挟持部１７４１，１７４２が当接しあう。この状態が原点検出部材１７５２によって検出され、その検出信号が制御部１８００に送られる。

　このような採寸機構１７４０は、例えばマイクロプロセッサ等からなる制御部１８００の採寸・横幅規制部１８０２の制御下で、薬剤を挟んで寸法を測るための採寸機構として機能したり、薬剤搬送経路の横幅の規制量を増減させる機構としても機能する。採寸機構としての機能は（図７参照）、可動の挟持部１７４２を指先等で移動させて固定の挟持部１７４１と可動の挟持部１７４２とを離してからその間に薬剤５ａを置いて可動の挟持部１７４２を自由にすると両部材１７４１，１７４２間の距離が薬剤５ａの寸法に一致するので、その距離を測定して錠剤の寸法とするといったことで具現化される（図７（Ａ），（Ｂ））。

　距離の測定は、電子式の測定器などを付設することで行っても良いが、本例では、制御部１８００の回転駆動部１８０３がモータ１７５０の回転位相データを取得して距離に換算することで安価に実現している。例えば、モータ１７５０を載置部１７４３のバネ付勢力より弱い駆動力で作動させて、揺動部材１７５１を載置部１７４３に軽く当接させ、それによって揺動部材１７５１が止まったときに、モータ１７５０の回転位相データを取得することで所望のデータが得られる。また、薬剤５ａの横幅や（図７（Ａ）参照）、薬剤５ａの厚み（図７（Ｂ）参照）、薬剤５ａの長さ（図示せず）といった測定値が、制御部１８００によって取得され、第１データとして第１データ記憶手段ＤＭ１に保持される。

　このように、制御部１８００は、モータ１７５０を制御することで、採寸機構１７４０に置かれた薬剤５ａの寸法データを取得することができるようになっている。また、採寸後に薬剤５ａを採寸機構１７４０から取り除くと（図７（Ｃ）参照）、バネ付勢によって可動の挟持部１７４２が固定の挟持部１７４１のところまで移動する。制御部１８００からの制御指令によってモータ１７５０をバネの付勢力より強い駆動力で作動させることで、薬剤５ａが無くても、薬剤５ａの横幅に対応した位置や、その他の位置へ、可動の挟持部１７４２を移動させることもできる（図７（Ｄ）参照）。

　可動の挟持部１７４２の支持部か或いは載置部１７４３の後端部がリンク機構７３の前端部と対偶連結されている。そのため、制御部１８００の制御とモータ１７５０の駆動により可動の挟持部１７４２を移動させると、それに連動してリンク機構７３が長手方向に進退する。これによって、既述のように、第１，第２規制部材７１０，７２０によって規制される薬剤搬送経路の横幅、すなわち外側回転体１０２０の環状上端面２３の上に乗って移動する薬剤に許容される横幅が、外周側から拡縮される。環状上端面２３の上の薬剤に対する横幅の規制量の増減は、制御部１８００の制御下で、しかも採寸機構１７４０に薬剤５ａが無い状態でも、行うことができるようになっている。そのため、第１，第２規制部材７１０，７２０による環状上端面２３上の薬剤に対する横幅の規制幅を決めるために採寸機構１７４０に置かれた薬剤５ａも直ちに且つ無駄なく調剤に供することができる。

　制御部１８００（薬剤フィーダの制御部）の採寸・横幅規制部１８０２は（図５参照）、採寸機構１７４０で採寸した薬剤の横幅値（薬剤寸法データ）を用いて採寸機構１７４０のモータ１７５０ひいては横幅規制機構１７００の第１，第２規制部材７１０，７２０を作動させることにより、外側回転体１０２０の環状上端面２３の上の薬剤搬送経路幅（薬剤搬送経路の横幅）を、例えば薬剤の横幅に一致させるか又は所定係数を乗じて算出した近似幅あるいはそれより少し狭めの横幅など適宜な幅に設定する制御指令を出力する。これは薬剤の排出を始める前の初期設定処理の一つである。薬剤排出動作中には、既述したような回転速度制御や薬剤排出検出なども行うようになっている。

　それに加え、この制御部１８００は、手順が複雑ではないのでフローチャートでの図示などは割愛したが、薬剤排出動作中でも必要に応じて次の薬剤渋滞の検出と薬剤搬送経路幅の緩和（薬剤搬送経路の横幅の拡大）も行うようになっている。薬剤渋滞の検出では、薬剤落下検出手段５６の検出信号に基づいて行われ、落下排出口１４から落下した薬剤の検出タイミングに係る時間間隔が既定の渋滞時間隔に到達しなければ「薬剤渋滞が未発生」とし、その時間間隔が渋滞時間隔に到達すると「薬剤渋滞が発生」とする。ここで、渋滞時間隔は、試運転等で既知の正常時間隔に誤判定防止用の増分を加えて予め決定された時間間隔の設定値である。

　また、薬剤搬送経路の横幅の拡大は、薬剤搬送経路の上の薬剤に対する横幅の規制を緩和することであり、具体的には、第１，第２規制部材７１０，７２０の下段部分７１１，７２１（図１３参照）の先端が外側回転体１０２０の環状上端面２３の直ぐ上方で外周側から内周側へ最も入り込む距離について、その距離を減少させて薬剤搬送経路の幅を広めることで実現される。この薬剤フィーダ１１００にあっては（図５参照）、大抵は採寸機構１７４０が薬剤５ａの無い空の状態のときに行うが（図７（Ｃ），（Ｄ）参照）、制御部１８００がモータ１７５０を作動させると、横幅規制機構１７００の可動の挟持部１７４２が進退し、それに応じてリンク機構７３さらには第１，第２規制部材７１０，７２０が応動することを利用して、採寸用モータ１７５０の兼用を実現している。

　さらに、制御部１８００の採寸・横幅規制部１８０２は、そのような横幅の拡大を、単調でなく、段階的に行なえるようにもなっている。その段階数や、段階毎の増加量、さらには各段階の時間などが、パラメータの初期設定や設定変更などで指定できるようになっている。一例を挙げると、段階数を４段階に設定し、段階毎の増加量を一律で５％に設定し、各段階の時間を一律で３秒と設定した場合、制御部１８００は、薬剤渋滞の発生を検出すると、先ず、３秒経過後に幅規制を５％緩和して該当箇所の薬剤搬送経路の横幅を当初の１０５％に広める。それから更に３秒経過後に幅規制を更に５％緩和して該当箇所の薬剤搬送経路の横幅を当初の１１０％に広めるようになっている。

　それから更に３秒経過後に幅規制を更に５％緩和して該当箇所の薬剤搬送経路の横幅を当初の１１５％に広め、更に３秒経過後に幅規制を更に５％緩和して該当箇所の薬剤搬送経路の横幅を当初の１２０％に広めるようになっている。なお、薬剤が不所望な横並び状態になるのを回避するために、規制を最高に緩和した場合でも薬剤搬送経路の横幅を薬剤の横幅の１．５倍未満にとどめるといった制約を課すようにもなっている。また、制御部１８００の薬剤落下検出部１８０４は、図１２に示すように横幅規制緩和の過程のどこかで落下排出口１４からの薬剤排出が薬剤落下検出手段５６により検出されると、第１，第２規制部材７１０，７２０を本来の設定位置に戻し、横幅の規制緩和を終了するが、更に時間が経過してタイムアウトしたときには、薬剤フィーダ１１００が空になったと判定するようになっている。

　この薬剤フィーダ１１００について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図８は、薬剤フィーダ１１００の動作状態、そのなかでも特に錠剤高さ規制機構１６００の動作状態を示しており、且つ薬剤５のうち複合中段垂下物１６２２の所に来た薬剤５ｂ，５ｃを仕分けしている錠剤高さ規制機構１６００を含む外観斜視図である。さらに、図９は、薬剤５ｂ，５ｃを仕分けしている複合中段垂下物１６２２の揺動状態を示し、図９（Ａ）が平面図、図９（Ｂ）が正面図である。薬剤フィーダ１１００を調剤に使用するに先だち、制御部１８００に薬剤の形状データのうち少なくとも横幅と厚みとを保持させておくことが必要である。予めデータ入力されていた場合は省けるが、そうでない場合は、採寸とデータ設定とを行う。採寸は別の機器で行い、その寸法値を薬剤フィーダ１１００に手動でデータ入力しても良いが、この薬剤フィーダ１１００では、薬剤５ａを横倒しにして採寸機構１７４０にセットしてから（図７（Ａ）参照）、横幅測定モードで動作させると、薬剤５ａの横幅に係る採寸とデータ設定とが自動で行われる（図５の第１データ記憶手段ＤＭ１）。また、薬剤５ａを縦にして採寸機構１７４０にセットしてから（図７（Ｂ）参照）、厚み測定モードで動作させると、薬剤の厚みに係る採寸とデータ設定とが自動で行われる（図５参照）。その後、薬剤５ａは採寸機構１７４０から取り出して回転容器に入れることで調剤対象に含めることができる（図７（Ｃ）参照）。

　次に、薬剤フィーダ１１００を準備モードで動作させると、錠剤高さ規制機構１６００については、制御部１８００の高さ規制部１８０１が薬剤の厚みデータに基づいてモータ１６３０を動作させ、それに従って錠剤高さ規制機構１６００が昇降機構１６３１を昇降させて、前段垂下物６１２と複合中段垂下物１６２２と後段垂下物６３２の高さを薬剤５ａの厚みに適合させる。また、横幅規制機構１７００については、制御部１８００の高さ規制部１８０１が薬剤５ａの横幅データに基づいてモータ１７５０を動作させ、それに従って横幅規制機構１７００が動作して第１，第２規制部材７１０，７２０（図１３）が揺動し、それによって外側回転体１０２０の環状上端面２３の上の薬剤搬送経路の該当箇所の横幅が薬剤の横幅に適合させられる。

　次に、必要数かそれ以上の多数の薬剤５を薬剤フィーダ１１００に投入し、具体的には外側回転体１０２０に囲まれた内側傾斜回転体１０３０の上に薬剤５を投入し、薬剤フィーダ１１００を調剤モードで動作させる。薬剤５が、次々に、内側傾斜回転体１０３０によって持ち上げられて外側回転体１０２０の環状上端面２３（薬剤搬送経路）の上に載り移り（図８参照）、外側回転体１０２０の回転に伴って前段垂下物６１２と中段垂下物１６２３と後段垂下物６３２の順にその下を潜り抜けようとする。

　そのとき、重なり合うことなく単独で環状上端面２３に載っている薬剤５は、前後の垂下物６１２，６３２とはほとんど干渉することなく、干渉したとしても環状上端面２３の上で僅かに移動する程度にとどまり、中間の中段垂下物１６２３とは全く干渉することなく、それら垂下物の下を通過する。これに対し、上下に重なった薬剤５ｂ，５ｃについては（図８参照）、上側の薬剤５ｂが、前段垂下物６１２に当接し、その反力で重なりを崩されることもある。下端部を横に押されると変形しうる前段垂下物６１２の当たりは薬剤５を傷つけないように弱めになっているので、重なりが崩れず残ることもある。

　上下に重なったまま前段垂下物６１２を通過した薬剤５ｂ，５ｃが複合中段垂下物１６２２のところへ運ばれて来ると（図９参照）、上側の薬剤５ｂが、複合中段垂下物１６２２の下端部１６２３ｃの斜交当接面１６２３ｄに当接し、その反力によって前方への直進を拒まれることから、上側の薬剤５ｂは下端部１６２３ｃの第２の部分１６２３ｃ2の斜交当接面１６２３ｄや第２の部分１６２３ｃ1の表面に沿うようして移動する。このように上側の薬剤５ｂの進行方向が外側回転体１０２０の内周側へ向けられるため、外側回転体１０２０の環状上端面２３から内側へ進んで、上側の薬剤５ｂは、内側傾斜回転体１０３０の上へ落下することが多い（図９（Ｂ）一点鎖線を参照）。

　下側の薬剤５ｃは、複合中段垂下物１６２２の下を潜って通過することが多いが、薬剤５ｂと一緒に外側回転体１０２０の環状上端面２３から落下することもある。複合中段垂下物１６２２は、下端部を横に押されても変形しないので、薬剤５ｂ，５ｃの重なりを解す能力は他の垂下物６１２，６３２より優れている。しかしそれでも薬剤を傷つけないために薬剤との当接時の衝撃やその後の圧力を揺動することで緩和するようになっているので、稀には薬剤５ｂ，５ｃが重なったまま複合中段垂下物１６２２を押しのけて通過することもある。その場合には、後段垂下物６３２による穏やかな重なり解し作用が施され、それでも崩れなかった場合にだけ、薬剤５ｂ，５ｃの重なりに対し、既述した後方の横幅規制機構１７００によって、緩やかな高さ規制に加え、外側回転体１０２０の環状上端面２３の薬剤搬送経路の幅を外周側から狭める横幅規制も、作用する。そのため、薬剤５ｂ，５ｃの重なりが解消されるか、薬剤５ｂ，５ｃが重なったまま外側回転体１０２０の環状上端面２３の上から内側傾斜回転体１０３０の上へ強制移動させられるので、重なった薬剤が薬剤搬送経路から落下排出口１４へ送り込まれることはない。

　さらに、二枚の中段垂下物１６２３を密接配置してなる一組の複合中段垂下物１６２２の作動について図９（Ａ）乃至（Ｃ）に基づいて説明する。外側回転体１０２０による薬剤５ｂ，５ｃの重なりの進行方向（二点鎖線を参照）に対して当接干渉部分が傾斜しているため、詳しくは、複合中段垂下物１６２２の斜交当接面１６２３ｄ（当接面および前半の倣い面）は角度θ１程度傾いているのに対し、複合中段垂下物１６２２の縦長平板部１６２３ｅ（後半の倣い面）は角度θ２しか傾いておらず、角度θ１が角度θ２より大きいので（θ１＞θ２）、複合中段垂下物１６２２に当接した薬剤５ｂ，５ｃの重なりに対し、前半には強めの崩し力が作用し、後半には外側回転体１０２０の上から内側傾斜回転体１０３０の上へ薬剤５ｂを追い出す力が強化されるので、重なった薬剤が薬剤搬送経路から無くなる割合が高まる。

　しかも、複合中段垂下物１６２２を成す２枚の中段垂下物１６２３，１６２３が自由状態では密に接しているが（図３（Ｂ）参照）、２枚の中段垂下物１６２３，１６２３は分離可能なものなので、斜交当接面１６２３ｄに薬剤５ｂが当接したときには（図９参照）、上端部１６２３ａはほとんど移動しないで下端部１６２３ｃ（１６２３ｄ）が揺動するのに加え、同時に微細な摺動や離接を繰り返すことも行うので、当接時の衝撃やその後の摩擦力なども低減緩和されることになる。こうして、薬剤５ｂ，５ｃの重なりが高い確度で無理なく解消され、落下排出口１４から薬剤５が一つずつ落下排出される。

　ところで、そのような逐次薬剤排出中に第１規制部材７１０や第２規制部材７２０の所で稀とはいえ薬剤渋滞が発生すると、薬剤落下検出手段５６による落下薬剤の検出が途絶えてしまい、それによるタイムアウトを制御部１８００の薬剤落下検出部１８０４が検出する。この検出に基づいて、制御部１８００の薬剤落下検出部１８０４の制御に従って上述の薬剤搬送経路の横幅の緩和動作が行われる。その結果、以前は速やかには解消できなかった薬剤渋滞でもタイムアウト前に解消されることが多くなり、高い確率で収容薬剤を残さず自動排出することができる。

　［調剤システム］
　図１０は、本発明の薬剤フィーダ１１００を用いた調剤システムの具体的な構成を示している。図１０（Ａ）は、調剤システムの構成を示す模式図であり、薬剤フィーダ１１００には揺動開閉式の上蓋も図示した。図１０（Ｂ）は、カセットを取り外したカセット着脱式の薬剤フィーダ２１１０の正面図である。また、図５は、上述したように、薬剤フィーダ１１００の機構部に係る外観斜視図と、制御部１８００（薬剤フィーダの制御部）の機能ブロック図である。薬剤フィーダ１１００に関し、図５の構成の説明では割愛して後回しにした事項について説明する。薬剤フィーダ１１００の制御部１８００（薬剤フィーダの制御部）は、組み込み先の薬剤分包機２０００のコントローラ２３００（薬剤分包機の制御部）とＬＡＮケーブル等で通信可能に接続されていて（図１０（Ａ）矢付き一点鎖線を参照）、コントローラ２３００を通信相手としてデータを送受信できるものとなっている。そして図５に示すように、コントローラ２３００から、薬剤の横幅や厚みの既定値を含む薬剤寸法データを受信したときには、その薬剤寸法データを、そのうちでも特に薬剤の横幅の値と厚みの値とを、第２データとして第２データ記憶手段ＤＭ２に保持する。

　また図５に示すように、薬剤フィーダ１１００の制御部１８００は、図１０（Ａ）に示した薬剤分包機２０００のコントローラ２３００から採寸実行指示を受信すると、採寸動作を採寸機構兼用の採寸機構１７４０に行わせるとともに、その薬剤採寸にて取得した第１データ（薬剤寸法データ・薬剤の横幅や厚みの測定値）を上述のように第１データ記憶手段ＤＭ１に保持する。また制御部１８００は、上述の第２データに係るデータ送信の実行元に該当するコントローラ２３００へ、第１データをデータ送信する。

　さらに、薬剤フィーダ１１００は、第１データを取得・保持した後は、その薬剤寸法データに基づいて、モータ１６３０，１７５０を制御することで、横幅規制機構１７００には外側回転体１０２０の環状上端面２３の上の薬剤搬送経路の横幅を規制させるとともに、錠剤高さ規制機構１６００には外側回転体１０２０の環状上端面２３の上の薬剤に対して通過可能な高さを規制させる。それに加え、薬剤フィーダ１１００は、第２データを取得・保持した後でも、その薬剤寸法データに基づき、同様にして、横幅規制機構１７００に薬剤搬送経路の横幅を規制させるとともに、錠剤高さ規制機構１６００に薬剤搬送経路の上の通過可能な高さを規制させる。

　図１０の調剤サーバ３０００は、ＬＡＮ等を介して上位の処方オーダリングシステムＯＳや下位の薬剤分包機２０００とのデータ送受信が可能になっている。調剤サーバ３０００は、プログラムの実行によって、処方オーダリングシステムＯＳから処方データを受けて保持し、処方データに基づき薬剤分包機２０００や図示しない他の薬剤分包機もあれば何れか該当するものに対して調剤指示を出す。また、調剤サーバ３０００は、薬剤分包機２０００の上位装置として、薬剤分包機２０００からその動作状態を示すデータが得られると、そのデータを分包機ステータスとしてデータ保持する。また調剤サーバ３０００は、検索や更新の容易な適宜なデータベースからなる薬品マスタも保持している。この薬品マスタには、各種の薬剤に係る既知の薬品情報が予め登録されている。

　さらに、この調剤サーバ３０００の薬品マスタは、薬品情報の一部として薬剤の横幅と高さとを各薬剤毎にデータ保持できるように拡張されている。また薬品マスタにはそれぞれの薬剤情報ごとに、横幅値と高さ値とのデータ保持領域が確保されていて、横幅値と高さ値とが既に判明していて登録済みのときにはその値がデータ保持される。さらに薬品マスタには、薬剤の横幅値や高さ値が未だ判明していないときには、両値をデータ保持するためのデータ保持領域が確保されるか、未定状態を示す仮の値が設定される。

　調剤サーバ３０００は、薬剤分包機２０００に対して調剤指示を出すときに、調剤対象の薬剤情報を薬品マスタから取得するに際して薬剤の横幅と高さの判明値（薬剤寸法データ・薬剤の横幅や厚みの既定値）がデータ保持されていれば当該データも調剤指示に含めたうえで調剤指示を出す。しかし当該データが薬品マスタに保持されていないときには、当該データを含まないままの調剤指示を薬剤分包機２０００のコントローラ２３００へ送信する。また、逆に薬剤分包機２０００のコントローラ２３００から送信されて来た第１データ（薬剤寸法データ・薬剤の横幅や厚みの測定値）を調剤サーバ３０００が受け取ると、調剤サーバ３０００はそれを該当薬剤に係る判明値として薬品マスタにデータ登録する。

　薬剤分包機２０００には、筐体内の電装スペースにコントローラ２３００（制御部）が格納され、筐体の下段に落下薬剤収集機構や包装機などが格納され、筐体の上段部分に複数の薬剤フィーダ配設庫２１００（特定錠剤専用タイプ）が個別引出可能に装備されている。薬剤フィーダ配設庫２１００は、多数のカセット着脱式薬剤フィーダ２１１０（特定錠剤専用タイプ）と、それらから排出された薬剤を落下薬剤収集機構へ導く落下案内機構とを具備している。図１０（Ｂ）に示すように、薬剤フィーダ２１１０は、固定のベース２１１２と着脱式のカセット２１１１との組からなる。薬剤フィーダ２１１０は、カセット装着状態でコントローラ２３００の制御によってベース２１１２内のモータが作動させられると、カセット２１１１が従動することで薬剤を一つずつ落下排出する。

　また、この薬剤分包機２０００は、既述の薬剤分包機と異なって、容器部とベースとが一体化していて全体が固定的に設置されるタイプの薬剤フィーダ１１００も複数装備している。薬剤フィーダ１１００の複数装備は必須ではないが単一より複数の方が選択や使い分けができて便利である。図示の例では、一部の薬剤フィーダ配設庫２１００を置き換える態様で、筐体の上段部分の一部（図では右端部）に、複数（図では上下３段）の薬剤フィーダ列設棚２２００が組み込まれている。さらに、それぞれの薬剤フィーダ列設棚２２００に、前後一列に並んだ状態で、複数個（図では４個）の薬剤フィーダ１１００（多種錠剤適応タイプ）が搭載されている。

　また、薬剤分包機２０００は、コントローラ２３００の制御下で操作入力や画面表示の機能を担うタッチパネル２４００も装備している。薬剤分包機２０００のコントローラ２３００は、調剤サーバ３０００から調剤指示を受けると、可能な範囲で自動処理するが、必要に応じて調剤作業者への案内等を画面表示し、調剤作業者から指示を受けるように構成されている。例えば、特定錠剤専用タイプの薬剤フィーダ２１１０に保持されていない薬剤が調剤指示の対象に含まれているため、多種錠剤適応タイプの薬剤フィーダ１１００を調剤実行先に選定したときには、調剤作業者の手助けが必要であれば、薬剤分包機２０００は、該当する薬剤フィーダ１１００への薬剤投入指示を画面に表示させたり、該当する薬剤フィーダ１１００で薬剤の横幅や厚みを測定するための補助作業の手順を表示する。

　この調剤システムについて、その使用態様及び動作を説明する。タッチパネル２４００の操作等にて薬剤分包機２０００に対し調剤サーバ３０００から調剤指示が送信される。調剤指示を薬剤分包機２０００のコントローラ２３００が受信すると、その調剤指示の内容は確認のためタッチパネル２４００に表示される。調剤指示のうち自動調剤の対象となる薬剤が薬剤フィーダ配設庫２１００の薬剤フィーダ２１１０に収容されている場合は、コントローラ２３００によって自動で適切な割り付けが行われて、準備が整う。調剤作業者がタッチパネル２４００を操作して確認を済ませると、調剤対象の薬剤が、薬剤フィーダ２１１０から自動排出され、落下しながら収集されて包装装置に至り、そこで分包紙に区分けして収容される。

　なお、自動調剤対象の薬剤が、何れかの薬剤フィーダ２１１０で取り扱えるものであるが、何れの薬剤フィーダ２１１０にも収容されていなかったときには、該当する薬剤フィーダ２１１０に対して対象薬剤を収容するか或いは何れかの薬剤フィーダ１１００を選択してそれに対象薬剤を収容することを調剤作業者に促す表示がタッチパネル２４００になされる。調剤作業者が薬剤フィーダ２１１０を選択した場合は、薬剤フィーダ２１１０に対象薬剤を投入してから確認のパネル操作を行うと、上述のように自動調剤が遂行される。

　これに対し、調剤作業者が薬剤フィーダ１１００を選択した場合は、後述のようにして薬剤フィーダ１１００に対象薬剤を投入してから、確認操作を行う。また、自動調剤対象の薬剤がどの薬剤フィーダ２１１０でも取り扱えないものである場合や、自動調剤対象の薬剤を取り扱える薬剤フィーダ２１１０が既に効能等の相違により混在させてはいけない他の薬剤によって占められているような場合には、その時点で割り当て可能な薬剤フィーダ１１００がリストやマップでタッチパネル２４００の画面に表示される。調剤作業者は、先ず、は適宜な薬剤フィーダ１１００を画面操作で選択する。その選択に応じて薬剤分包機２０００のコントローラ２３００が薬剤フィーダ１１００のセットアップ処理を行う。自動調剤対象の薬剤の寸法データが調剤サーバ３０００の薬品マスタに保持されているか否かで処理内容が異なるので、ここでは二つに場合分けて説明する。自動調剤対象の薬剤の寸法データが既に調剤サーバ３０００に保持されている場合には、該当する薬剤寸法データが、調剤指示に含められて薬剤分包機２０００のコントローラ２３００に送信され、更に該当する薬剤フィーダ１１００に転送される。薬剤フィーダ１１００の錠剤高さ規制機構１６００及び横幅規制機構１７００は、転送された薬剤寸法データに基づき自動で、薬剤搬送経路の上の薬剤が通過可能な高さや横幅を規制する態勢を整える。

　また、このセットアップ処理と並行して、薬剤分包機２０００ではタッチパネル２４００に薬剤の名称や処方個数に加え薬剤寸法データが画面表示される。また図示しないロック機構の解除動作も行われて、該当する薬剤フィーダ列設棚２２００が引き出し可能になる。このことが図示しないＬＥＤの点滅等で調剤作業者に知らされるので、調剤作業者は、該当する薬剤フィーダ列設棚２２００を引き出し、図示しない個別のＬＥＤ点灯等にて明示された該当の薬剤フィーダ１１００［図１０（Ｂ）では最下段の薬剤フィーダ列設棚２２００の手前から二番目の薬剤フィーダ１１００］の上蓋を開ける。

　調剤作業者は、薬剤フィーダ１１００の上面の採寸機構１７４０の目盛の指し位置を見たり、規制部材７１０，７２０や垂下物６１２，１６２３，６３２の位置を見ることで、薬剤寸法データ利用の自動セットアップ完了を概ねではあるが目視でも確認することができる。その後、調剤作業者は、該当する薬剤フィーダ１１００に対して、内側傾斜回転体１０３０の上の空間へ自動調剤対象の薬剤を投入し、必要量の投入を終えたら上蓋を閉める。更に、調剤作業者が、引き出した薬剤フィーダ列設棚２２００を薬剤分包機２０００の筐体内へ押し戻すと、タッチパネル２４００の画面に自動調剤の準備完了の表示が自動でなされる。調剤作業者は、準備完了の表示を確認してから、タッチパネル２４００の画面操作等で薬剤分包機２０００に自動調剤を開始させる。

　一方、自動調剤対象の薬剤の寸法データが未だ調剤サーバ３０００に保持されていない場合には、以下のようになる。先ず、調剤サーバ３０００から薬剤分包機２０００への調剤指示に薬剤寸法データが含まれていないことを確認した薬剤分包機２０００のコントローラ２３００の制御によって、薬剤の横幅や厚みを測定する作業手順がタッチパネル２４００に表示される。その表示に従って、調剤作業者が薬剤フィーダ１１００の採寸機構１７４０に薬剤を置いてからタッチパネル２４００の画面操作を行うと、薬剤の横幅や厚みの一方が測定される（図７（Ａ）参照）。次に、薬剤の姿勢を変えて（図７（Ｂ）参照）、同様のことを行うと、薬剤の横幅や厚みの他方が測定される。

　人手介在の採寸が済むと、薬剤フィーダ１１００のセットアップに必要な薬剤寸法データが、薬剤フィーダ１１００の制御部１８００の第１データ記憶手段ＤＭ１に保持される。しかも、その薬剤寸法データは、薬剤フィーダ１１００の制御部１８００から薬剤分包機２０００のコントローラ２３００に送信され、更に調剤サーバ３０００に転送されて、該当する薬剤と関連づけて薬品マスタにデータとして保持される。そのため、以後は、採寸を行った薬剤フィーダ１１００はもちろんのこと、データ保持済みの調剤サーバ３０００とデータ送受信を行う何れかの薬剤分包機に搭載された多数の薬剤フィーダ１１００なら何れであっても、同一薬剤については薬剤寸法データ利用の自動セットアップを利用できるようになる。

　また、人手介在の採寸を終えると、薬剤寸法データを調剤サーバ３０００が保持していた場合について上述した自動セットアップ完了後の状態と同様になるので、以後は上述したのと同じく、調剤作業者は、内側傾斜回転体１０３０の上の空間へ自動調剤対象の薬剤を投入し、必要量の投入を終えたら上蓋を閉める。更に、先ほど引き出した薬剤フィーダ列設棚２２００を薬剤分包機２０００の筐体内へ調剤作業者が押し戻すと、タッチパネル２４００の画面に自動調剤の準備完了の表示が自動でなされる。調剤作業者は、その表示を確認してから、画面操作等で薬剤分包機２０００に自動調剤を開始させる。自動調剤開始後は、何れの場合であれ、処方指示に従って適切な薬剤フィーダ２１１０，１１００から適量の薬剤が排出され、更に排出された薬剤は包装装置によって分包される。

　［その他］
　上記実施の形態は、薬剤フィーダ１１００にて薬剤採寸が行われたときには、得られた薬剤寸法データが薬剤分包機２０００経由で調剤サーバ３０００へデータ送信され、以後は薬剤寸法データが繰り返し使用されるようになっていた。しかし調剤サーバ３０００が保持する薬剤寸法データは、固定されている必要は無く、例えば、調剤サーバ３０００の端末操作等にて人為的に微調整や再設定を行っても良く、パラメータ等で指定された複数回の薬剤採寸を纏めて或いは間欠的に行って平均値を薬剤寸法データとして採用するようにしても良い。

　上記実施の形態では、タッチパネル２４００での表示事項として、調剤作業者への案内や、該当する薬剤フィーダ１１００への薬剤投入指示、該当する薬剤フィーダ１１００で薬剤の横幅や厚みを測定するための補助作業の手順を例示したが、その他、該当する薬剤フィーダ１１００に係る調剤作業者の手順の適否、該当する薬剤フィーダ１１００が薬剤分包機２０００の筐体から前方へ引き出された状態で薬剤排出を高速で行う回収動作に係る動作状況などが表示されるようにしても良い。また、同様の引き出し状態で薬剤排出を通常速度で行う試験動作に係る動作状況が表示されるようにしても良く、その場合、画面の表示や実機の動作状況を監視や確認することで、薬剤寸法データの微調整の必要の有無や程度を比較的容易に把握することができる。

　上記実施例では、薬剤分包機２０００に薬剤手撒きユニット（例えば特開２００７－２９７０６６号参照）が装備されていなかったが、多くの薬剤分包機のように、薬剤分包機２０００の筐体の上段部分の下端部の辺りに薬剤手撒きユニットが装備されていても良い。その場合には、コントローラ２３００が、薬剤排出を実行させるユニットを選出するときに、薬剤フィーダ２１１０を可能なら優先して選出し、それが駄目なら薬剤フィーダ１１００を選出し、何れも駄目なときに薬剤手撒きユニットを選出する、といった順で処理することで、薬剤分包機２０００にとって楽に取り扱える薬剤の種類が更に増加する。

　上記実施の形態では、一つの薬剤フィーダ１１００それぞれに一組の機構部１０２０～１７５２と一つの制御部１８００とが組み込まれていたが、制御部１８００の処理能力が十分に高くメモリもＩ／Ｏポートも十分に多いような場合には、一つの制御部１８００にマルチタスク用の制御プログラムを搭載する等のことで、一つ又は少数の制御部１８００がそれより多数の機構部１０２０～１７５２に係る制御等を行うようにしても良い。

　上記実施の形態では、薬剤渋滞時に行われる薬剤搬送経路の横幅緩和量が５％ずつ４回まで繰り返して増加されるようになっていたが、繰り返しの回数は、４回に限られる訳でなく、それより多くても少なくても良い。一回当たりの調整量も、５％に限られる訳でなく、それより多くても少なくても良い。増加の仕方も、単調な増加に限られる訳でなく、トータルの緩和量を抑えつつ渋滞の薬剤列に対する渋滞解消を強化するべく、例えば６％増した次は３％減らすといったことを繰り返すようにしても良い。

　上記実施の形態では、多数の薬剤５を薬剤フィーダ１１００にランダム投入するタイミングが、錠剤高さ規制機構１６００に係る高さ調整と横幅規制機構１７００に係る横幅調整との何れよりも後になっていたが、その順序は必須でない。薬剤フィーダ１１００を調剤モードで動作させる前であれば、薬剤フィーダ１１００への多数薬剤の投入と、錠剤高さ規制機構１６００に係る高さ調整と、横幅規制機構１７００に係る横幅調整は、どの順で行っても良い。

　上記実施の形態では、錠剤高さ規制機構１６００のうち、第２規制部材１６２０の支持アーム１６２１部分だけが跨ぎ規制部材になっており、第１規制部材１６１０の支持アーム１６１１は跨ぎ規制部材になっていなかった、しかし、これは必須でなく、第１規制部材１６１０の支持アーム１６１１も跨ぎ規制部材になっていても良い。

　本発明の薬剤フィーダは、錠剤分包機に搭載された多数の整列盤回転タイプ薬剤フィーダのうち一部のもの或いは全部を代替するのに用いても良く、薬剤フィーダを一個か少数個しか搭載しない錠剤分割器に搭載しても良く、さらには薬瓶へ錠剤等の薬剤を充填する装置などにおいて逐次送出した薬剤の個数を数え上げる錠剤カウンタ（薬剤カウンタ）などに搭載しても良い。

Claims

　上方に向かって開口する開口部を有する内部空間及び前記開口部を囲む環状上端面を備え、前記内部空間内を上下方向に延びる仮想の縦線を中心として回転可能な外側回転体と、
　前記外側回転体の前記内部空間内に配置され、複数の固形の薬剤を上面部に載せた状態で、前記縦線に対して傾いた仮想の傾斜線を中心として回転可能で、回転しているときに前記複数の薬剤を前記外側回転体の前記環状上端面上に移動させる内側傾斜回転体と、
　前記外側回転体の前記環状上端面上に移動した複数の薬剤を、前記外側回転体が回転しているときに前記環状上端面の回転方向に沿って整列させる整列規制機構を備えた薬剤フィーダであって、
　前記整列規制機構が、前記環状上端面の上方に垂れ下がっている複数の垂下物を有して、前記複数の垂下物により、前記薬剤の高さに対して高さ寸法を規制する錠剤高さ規制機構を含んでおり、
　前記複数の垂下物には、下端部が横に押されると変形する１以上の変形垂下物と、上端部が揺動可能に支持されていて下端部が横に押されても変形しない１以上の非変形垂下物が含まれており、
　前記外側回転体の回転制御を行う制御部と、前記外側回転体によって落下排出口へ運ばれて落下した薬剤を検出する薬剤落下検出手段を更に備えており、
前記整列規制機構が、前記外側回転体の前記環状上端面上の薬剤搬送経路の横幅を規制する横幅規制機構を含んでおり、
　前記横幅規制機構は、前記制御部の制御指令に応じて前記横幅の規制量を加減するように構成されており、
　前記薬剤落下検出手段により検出する薬剤検出間隔が正常時間隔より大きな設定値である渋滞時間隔に達すると、前記横幅規制機構は、前記制御部の制御指令に応じて、前記横幅を拡大させるようになっており、
　薬剤を挟んで寸法を測るための採寸機構と、前記採寸機構の可動部を移動させる採寸用駆動機構とを更に備えており、
　前記横幅規制機構は、前記採寸機構の前記可動部と連動して前記横幅の初期値を設定するように構成されており、
　前記制御部が前記採寸用駆動機構を動作させることで、前記採寸機構の採寸部に置かれた前記薬剤の薬剤寸法データを取得すると、前記制御部は前記薬剤寸法データに基づいて前記横幅の規制を前記横幅規制機構に行わせる前記制御指令を出力し、
　前記錠剤高さ規制機構は、前記複数の垂下物を昇降させる昇降機構を含んでおり、
　前記採寸機構により取得した前記薬剤寸法データを保持する第１データ記憶手段と、
　上位装置からデータ送信されて来た薬剤寸法データを取得してそれを保持する第２データ記憶手段を更に具備しており、
　前記第１データ記憶手段と前記第２データ記憶手段との何れか一方が保持している薬剤寸法データに基づいて前記横幅規制機構に前記横幅の規制を行わせるとともに前記錠剤高さ規制機構の前記昇降機構に高さの規制を行わせることを特徴とする薬剤フィーダ。
　上方に向かって開口する開口部を有する内部空間及び前記開口部を囲む環状上端面を備え、前記内部空間内を上下方向に延びる仮想の縦線を中心として回転可能な外側回転体と、
　前記外側回転体の前記内部空間内に配置され、複数の固形の薬剤を上面部に載せた状態で、前記縦線に対して傾いた仮想の傾斜線を中心として回転可能で、回転しているときに前記複数の薬剤を前記外側回転体の前記環状上端面上に移動させる内側傾斜回転体と、
　前記外側回転体の前記環状上端面上に移動した複数の薬剤を、前記外側回転体が回転しているときに前記環状上端面の回転方向に沿って整列させる整列規制機構を備えた薬剤フィーダであって、
　前記整列規制機構が、前記環状上端面の上方に垂れ下がっている複数の垂下物を有して、前記複数の垂下物により、前記薬剤の高さに対して高さ寸法を規制する錠剤高さ規制機構を含んでおり、
　前記複数の垂下物には、下端部が横に押されると変形する１以上の変形垂下物と、上端部が揺動可能に支持されていて下端部が横に押されても変形しない１以上の非変形垂下物が含まれていることを特徴とする薬剤フィーダ。
　前記１以上の変形垂下物の位置と前記非変形垂下物の位置が、前記外側回転体の周方向から見てそれぞれ位置を異にしていることを特徴とする請求項１または２に記載の薬剤フィーダ。
　前記１以上の変形垂下物の位置と前記非変形垂下物の位置が、前記外側回転体の周方向及び径方向から見てそれぞれ位置を異にしていることを特徴とする請求項１または２に記載の薬剤フィーダ。
　前記複数の垂下物は、前記１以上の変形垂下物、前記１以上の非変形垂下物、別の前記１以上の変形垂下物の順番で、前記周方向に並んでいる請求項３に記載の薬剤フィーダ。
　前記１以上の変形垂下物は、前記環状上端面上にあって重なった複数の錠剤が当接したときに、前記下端部が該錠剤の外周面に添いながら変形し且つ前記重なった複数の錠剤の重なりを解く反力を発生する構造を有しており、
　前記１以上の非変形垂下物は、前記環状上端面上にあって重なった複数の錠剤が当接したときに、前記重なった複数の錠剤の重なりを解く反力を発生し且つ前記下端部に沿って前記外側回転体の前記開口部側へ前記錠剤を移動させる構造を有している請求項１または２に記載の薬剤フィーダ。
　前記錠剤高さ規制機構は前記複数の垂下物の上端部をそれぞれ支持する１以上の支持アームを備えており、
　前記支持アームには、前記非変形垂下物の前記上端部が貫通する上下方向に貫通する貫通孔が形成されており、
　前記非変形垂下物の前記上端部と前記下端部の間には、前記上端部と同じ方向に突出する突出部が設けられており、
　前記貫通孔の下には、前記突出部が緩く嵌合され且つ前記重なった錠剤が前記下端部に当接したときに、前記非変形垂下物が限定された範囲内で揺動するように前記突出部の動きを制限するスリット部を設けられている請求項１または２に記載の薬剤フィーダ。
　前記非変形垂下物は、その全部または前記下端部を含む部分が板状であり、
　前記下端部が、前記突出部と一緒に第１の仮想平面内に位置する第１の部分と該１の部分に連続し且つ第１の仮想平面と所定の角度θを持って交差する第２の仮想平面内に位置する第２の部分とを備えており、
　前記スリット部は、前記第１の部分が前記外側回転体の回転方向に沿って延び、且つ前記第２の部分が前記第１の部分より前記回転方向の後方側に位置して前記外側回転体の径方向外側に向かって延びるように前記非変形垂下物を位置決めしていることを特徴とする請求項７に記載の薬剤フィーダ。
　前記非変形垂下物が、並設された分離可能な複数の部材からなるものであることを特徴とする請求項１または２に記載の薬剤フィーダ。
　前記非変形垂下物が、分離可能な状態で並設された複数枚の同一形状の板材からなるものである、ことを特徴とする請求項１または２に記載の薬剤フィーダ。
　前記外側回転体の回転制御を行う制御部と、
　前記外側回転体によって落下排出口へ運ばれて落下した薬剤を検出する薬剤落下検出手段を更に備え、
　前記整列規制機構が、前記外側回転体の前記環状上端面上の薬剤搬送経路の横幅を規制する横幅規制機構を含んでおり、
　前記横幅規制機構は、前記制御部の制御指令に応じて前記横幅の規制量を加減するように構成されており、
　前記薬剤落下検出手段により検出する薬剤検出間隔が正常時間隔より大きな設定値である渋滞時間隔に達すると、前記横幅規制機構は、前記制御部からの制御指令に応じて、前記横幅を拡大させるようになっている、ことを特徴とする請求項１または２に記載の薬剤フィーダ。
　前記制御部からの制御指令により、前記横幅規制機構が前記横幅を拡大させた後に、前記薬剤落下検出手段が薬剤落下を検出すると、この検出に応じた前記制御部からの制御指令により前記横幅規制機構が前記横幅を拡大前に戻すことを特徴とする請求項１１に記載の薬剤フィーダ。
　前記制御部からの制御指令に応じて、前記横幅規制機構は、前記横幅の拡大を段階的に行うことを特徴とする請求項１１または１２に記載の薬剤フィーダ。
　薬剤を挟んで寸法を測るための採寸機構と、前記採寸機構の可動部を移動させる採寸用駆動機構とを更に備えており、
　前記横幅規制機構は、前記採寸機構の前記可動部と連動して前記横幅の初期値を設定するように構成されており、
　前記制御部が前記採寸用駆動機構を動作させることで、前記採寸機構の採寸部に置かれた前記薬剤の薬剤寸法データを取得すると、前記制御部は前記薬剤寸法データに基づいて前記横幅の規制を前記横幅規制機構に行わせる前記制御指令を出力することを特徴とする請求項１１に記載の薬剤フィーダ。
　前記錠剤高さ規制機構は、前記複数の垂下物を昇降させる昇降機構を含んでおり、
　前記採寸機構により取得した前記薬剤寸法データを保持する第１データ記憶手段と、
　上位装置からデータ送信されて来た薬剤寸法データを取得してそれを保持する第２データ記憶手段を更に具備しており、
　前記第１データ記憶手段と前記第２データ記憶手段との何れか一方が保持している薬剤寸法データに基づいて前記横幅規制機構に前記横幅の規制を行わせるとともに前記錠剤高さ規制機構の前記昇降機構に高さの規制を行わせることを特徴とする請求項１または２に記載の薬剤フィーダ。
　前記第１データ記憶手段と前記第２データ記憶手段とがデータ記憶メモリを共用していることを特徴とする請求項１５に記載の薬剤フィーダ。
　前記制御部が、前記第１データ記憶手段から前記薬剤寸法データを取得したときには、前記薬剤寸法データを前記上位装置にデータ送信することを特徴とする請求項１５に記載の薬剤フィーダ。
　請求項１７に記載の薬剤フィーダを薬剤収納庫に搭載した薬剤分包機と、
　処方箋の情報に基づいた処方データと各種薬剤のデータを纏めた薬品マスタとを保持した調剤サーバとを備え、
　前記調剤サーバと前記薬剤分包機とがデータ送受信可能であり、前記薬剤分包機の制御部と前記薬剤フィーダの前記制御部とがデータ送受信可能であり、
　前記薬剤分包機が、前記薬剤フィーダにて処理する薬剤を含んだ調剤指示データを前記調剤サーバから受信したとき、前記調剤指示データに前記薬剤に係る薬剤寸法データが含まれているか否かを調べて、含まれていれば当該薬剤寸法データを前記薬剤フィーダに対してデータ送信し、含まれていなければ前記薬剤フィーダに対して前記採寸機構による薬剤寸法データの取得を指示するとともに前記薬剤フィーダから送信されてきた薬剤寸法データを前記調剤サーバへ転送することを特徴とする調剤システム。