WO2022064878A1

WO2022064878A1 - 通信処理装置、通信処理システム、および通信制御方法、並びにプログラム

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Publication number: WO2022064878A1
Application number: PCT/JP2021/029311
Authority: WO
Inventors: 泰正中津川; 孝鈴木
Original assignee: ソニーグループ株式会社
Priority date: 2020-09-28
Filing date: 2021-08-06
Publication date: 2022-03-31
Also published as: JPWO2022064878A1; US20230360020A1

Abstract

複数のＩＣカードアプリを有するスマホ等のユーザ端末が改札や店舗端末等の決済装置とＮＦＣ通信以外のＵＷＢ通信等の通信データを用いて決済処理を行う場合、ユーザ端末が決済処理に利用する決済装置対応のＩＣカードアプリを選択する。ユーザ端末が改札や店舗端末等の決済装置からのデータを受信し、受信データに基づいて自装置がＵＷＢ通信等、特定通信方式に従った通信データの処理が可能な特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを有するか否かの検索処理を実行し、検出したアプリの識別子（ＡＩＤ）を取得して、決済装置に送信する。決済装置は、ユーザ端末から受信したＡＩＤを格納したセレクトコマンドをユーザ端末に送信し、ユーザ端末がセレクトコマンドに従ってＩＣカードアプリを起動する。

Description

通信処理装置、通信処理システム、および通信制御方法、並びにプログラム

　本開示は、通信処理装置、通信処理システム、および通信制御方法、並びにプログラムに関する。さらに詳細には、スマホ（スマートフォン）等のユーザ端末にインストールされたＩＣカードアプリと決済端末等との通信を、ＵＷＢ通信等、様々な通信路を介して実行して決済処理等を行なうことを可能とした通信処理装置、通信処理システム、および通信制御方法、並びにプログラムに関する。

　近年、キャッシュレス決済機能を持つスマホ（スマートホン）等の携帯端末の利用が拡大している。
　キャッシュレス決済機能を有する携帯端末を利用することで、現金を持ち歩くことなく、買い物や飲食等の決済、あるいは電車や、バスへの乗車を簡単に行うことが可能となる。

　例えば駅の改札を通過する場合、ユーザがポケットやバッグに入れたスマホ等のユーザ端末を取り出して、改札に取り付けられたリーダライタ（Ｒ／Ｗ）にかざすことで、ユーザ端末と改札のリーダライタとが近接通信を行い、決済処理が行われる。

　現在、スマホ等のユーザ端末とリーダライタ（Ｒ／Ｗ）との通信の多くは、例えば近距離無線通信規格の１つであるＮＦＣ（Ｎｅａｒ　Ｆｉｅｌｄ　Ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎ）規格に従って行われている。

　なお、ＮＦＣ規格には、さらに細分化された下位の規格としてＴｙｐｅ　Ａ、Ｔｙｐｅ　Ｂ、Ｔｙｐｅ－Ｆ等の複数の異なる規格がある。
　Ｔｙｐｅ－Ｆは、ソニーの開発した非接触ＩＣカード技術方式であるＦｅｌｉＣａ（登録商標）で利用されている通信規格であり、様々な電子マネー型ＩＣカードや、ＩＣカードアプリをインストールしたスマホ等のユーザ端末と、リーダライタ（Ｒ／Ｗ）間の通信において、広く利用されている。

　このＴｙｐｅ－ＦのＮＦＣ通信を行う場合、Ｔｙｐｅ－Ｆ固有のコマンドが利用される。このＴｙｐｅ－Ｆ固有のコマンドを利用することで、例えばスマホ等のユーザ端末に複数の異なるＩＣカードアプリがインストールされている場合でも、その中から１つのＩＣカードアプリを選択して決済を行うことができる。

　具体的には、例えば、交通系ＩＣカードアプリと、流通系ＩＣカードアプリの２つがインストールされたユーザ端末を、鉄道の改札のリーダライタ（Ｒ／Ｗ）に近づけてかざした場合、鉄道の改札のリーダライタ（Ｒ／Ｗ）はＴｙｐｅ－Ｆ固有コマンドをユーザ端末に送信する。

　ユーザ端末はこのコマンド解析結果に基づいて、鉄道の改札の通過に必要な決済処理を行う交通系ＩＣカードアプリを選択し、選択した交通系ＩＣカードアプリと鉄道の改札のリーダライタ（Ｒ／Ｗ）間の通信および決済処理を行う。
　このように、Ｔｙｐｅ－Ｆ固有コマンドを利用することで、ＩＣカードアプリの選択適用処理が実現される。

　しかし、このＴｙｐｅ－Ｆ固有コマンドは、ＮＦＣ通信において利用可能なコマンドとして規格化されており、その他の通信方式において利用することができない。

　例えば、例えば超広帯域無線通信であるＵＷＢ（Ｕｌｔｒａ　Ｗｉｄｅ　Ｂａｎｄ）通信や、低消費電力型のブルートゥース（登録商標）通信であるＢＬＥ（Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ　Ｌｏｗ　Ｅｎｅｒｇｙ）通信においては、上記のＴｙｐｅ－Ｆ固有コマンドが利用できない。

　従って、ユーザ端末と改札や店舗等の決済端末（Ｒ／Ｗ）が、ＮＦＣ通信以外のＵＷＢ通信やＢＬＥ通信を利用して決済処理を行おうとしても、ユーザ端末は、ユーザ端末にインストールされた複数のＩＣカードアプリから、決済端末に応じた１つの正しいＩＣカードアプリを選択して決済処理を行うことができないという問題がある。

　ＵＷＢ通信やＢＬＥ通信は、ＮＦＣ通信より通信可能範囲が広いため、例えば、ユーザがポケットやバッグに入れたスマホ等のユーザ端末を取り出すことなく、ユーザが改札を通過するタイミングで、ユーザ端末と改札側Ｒ／Ｗ間での無線通信を行うことが可能となる。このような決済システムは、タッチレス決済システムと呼ばれる。

　なお、タッチレス決済システムについて開示した従来技術として、例えば特許文献１（国際公開ＷＯ２０１９／０４９６２３号公報）や、特許文献２（米国特許ＵＳ８８５６０４５号公報）等がある。

　しかし、上述したように、複数のＩＣカードアプリから、１つのアプリ選択を実現するＴｙｐｅ－Ｆ固有コマンドは、ＮＦＣ通信以外の通信規格での利用ができないため、ＵＷＢ通信やＢＬＥ通信を適用したタッチレス決済をスムーズに行うことができないという問題がある。

国際公開ＷＯ２０１９／０４９６２３号公報米国特許ＵＳ８８５６０４５号公報

　本開示は、例えば、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、ＮＦＣ通信以外の通信を利用した場合にも、決済端末に応じたＩＣカードアプリを選択して決済等の処理を行うことを可能とした通信処理装置、通信処理システム、および通信制御方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。

　本開示の第１の側面は、
　外部装置からの受信データに基づいて、自装置が特定の通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行可能な特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを有するか否かの検索処理を実行し、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、検索処理結果を前記外部装置に通知し、
　前記外部装置と、検出した特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションとの間で前記特定通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行させる通信制御部を有する通信処理装置にある。

　さらに、本開示の第２の側面は、
　ユーザ端末と決済端末を有する通信処理システムであり、
　前記ユーザ端末が、
　前記決済端末からの受信データに基づいて、自装置が特定の通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行可能な特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを有するか否かの検索処理を実行し、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、検索処理結果を前記決済端末に送信し、
　前記決済端末が、
　前記検索処理結果の受信後、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを通信相手として指定したデータ処理要求を前記ユーザ端末に送信し、
　前記ユーザ端末は、
　前記決済端末からのデータ処理要求に応じて、前記決済端末と前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションとの間で前記特定通信方式に従った通信データを用いたデータ処理を実行する通信処理システムにある。

　さらに、本開示の第３の側面は、
　通信処理装置において実行する通信制御方法であり、
　通信制御部が、
　外部装置からの受信データに基づいて、自装置が特定の通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行可能な特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを有するか否かの検索処理を実行し、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、検索処理結果を前記外部装置に通知し、
　前記外部装置と、検出した特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションとの間で前記特定通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行させる通信制御方法にある。

　さらに、本開示の第４の側面は、
　ユーザ端末と決済端末を有する通信処理システムにおいて実行する通信制御方法であり、
　前記ユーザ端末が、
　前記決済端末からの受信データに基づいて、自装置が特定の通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行可能な特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを有するか否かの検索処理を実行し、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、検索処理結果を前記決済端末に送信し、
　前記決済端末が、
　前記検索処理結果の受信後、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを通信相手として指定したデータ処理要求を前記ユーザ端末に送信し、
　前記ユーザ端末が、
　前記決済端末からのデータ処理要求に応じて、前記決済端末と前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションとの間で前記特定通信方式に従った通信データを用いたデータ処理を実行する通信制御方法にある。

　さらに、本開示の第５の側面は、
　通信処理装置において情報処理を実行させるプログラムであり、
　通信制御部に、
　外部装置からの受信データに基づいて、自装置が特定の通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行可能な特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを有するか否かの検索処理と、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、検索処理結果を前記外部装置に通知する処理と、
　前記外部装置と、検出した特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションとの間で前記特定通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行させるプログラムにある。

　なお、本開示のプログラムは、例えば、様々なプログラム・コードを実行可能な情報処理装置やコンピュータ・システムに対して、コンピュータ可読な形式で提供する記憶媒体、通信媒体によって提供可能なプログラムである。このようなプログラムをコンピュータ可読な形式で提供することにより、情報処理装置やコンピュータ・システム上でプログラムに応じた処理が実現される。

　本開示のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本開示の実施例や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。なお、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。

　本開示の一実施例の構成によれば、複数のＩＣカードアプリを有するスマホ等のユーザ端末が改札や店舗端末等の決済装置とＮＦＣ通信以外のＵＷＢ通信等の通信データを用いて決済処理を行う場合、ユーザ端末が決済処理に利用する決済装置対応のＩＣカードアプリを選択する構成が実現される。
　具体的には例えば、ユーザ端末が改札や店舗端末等の決済装置からのデータを受信し、受信データに基づいて自装置がＵＷＢ通信等、特定通信方式に従った通信データの処理が可能な特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを有するか否かの検索処理を実行し、検出したアプリの識別子（ＡＩＤ）を取得して、決済装置に送信する。決済装置は、ユーザ端末から受信したＡＩＤを格納したセレクトコマンドをユーザ端末に送信し、ユーザ端末がセレクトコマンドに従ってＩＣカードアプリを起動する。
複数のＩＣカードアプリを有するスマホ等のユーザ端末が改札や店舗端末等の決済装置とＮＦＣ通信以外のＵＷＢ通信等の通信データを用いて決済処理を行う場合、ユーザ端末が決済処理に利用する決済装置対応のＩＣカードアプリを選択する。
　本構成により、複数のＩＣカードアプリを有するスマホ等のユーザ端末が改札や店舗端末等の決済装置とＮＦＣ通信以外のＵＷＢ通信等の通信データを用いて決済処理を行う場合、ユーザ端末が決済処理に利用する決済装置対応のＩＣカードアプリを選択する構成が実現される。
　なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また付加的な効果があってもよい。

ユーザ端末に格納されるＩＣカードアプリの例について説明する図である。ユーザ端末内部のセキュアエレメント（ＳＥ）の構成例について説明する図である。ＮＦＣ通信による決済処理を行うユーザ端末と決済端末の構成例について説明する図である。ユーザ端末のセキュアエレメントのソフトウェアスタックの一例について説明する図である。本開示のユーザ端末と決済端末の構成例について説明する図である。本開示のユーザ端末のセキュアエレメントのソフトウェアスタックの一例について説明する図である。本開示のユーザ端末に格納されたＩＣカードアプリの例とＩＣカードアプリの属性情報の例について説明する図である。本開示のユーザ端末に格納されるＵＷＢ対応アプリケーション登録データの一例について説明する図である。本開示のユーザ端末内のＵＷＢ通信データ解析アプリの属性情報の例について説明する図である。本開示のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するシーケンス図である。本開示のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するシーケンス図である。本開示のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するシーケンス図である。本開示のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するシーケンス図である。本開示のユーザ端末が決済端末に送信する応答パケットのデータ構成例について説明する図である。本開示のユーザ端末が決済端末に送信する応答パケットのデータ構成例について説明する図である。本開示のユーザ端末が決済端末に送信する応答パケットのデータ構成例について説明する図である。本開示のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するシーケンス図である。本開示のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するシーケンス図である。本開示のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するシーケンス図である。本開示のユーザ端末が決済端末から受信するパケットのデータ構成例について説明する図である。本開示のユーザ端末がメモリに格納するＩＣカードアプリけーしょん登録データの一例について説明する図である。本開示のユーザ端末に格納されたＩＣカードアプリの例とＩＣカードアプリの属性情報の例について説明する図である。本開示のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するフローチャートを示す図である。本開示の実施例２のユーザ端末と決済端末の構成例について説明する図である。本開示の実施例２のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するシーケンス図である。本開示の実施例２のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するシーケンス図である。本開示の実施例２のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するシーケンス図である。本開示の実施例２のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するシーケンス図である。本開示の実施例２のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するシーケンス図である。本開示の実施例２のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するフローチャートを示す図である。本開示の実施例２のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するシーケンス図である。本開示の実施例２のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するシーケンス図である。本開示の実施例３のユーザ端末と決済端末の構成例について説明する図である。本開示の実施例３のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するシーケンス図である。本開示の実施例３のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するシーケンス図である。本開示の実施例３のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するシーケンス図である。本開示の実施例３のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するシーケンス図である。本開示の実施例３のユーザ端末が決済端末に送信するパケットのデータ構成例について説明する図である。本開示の実施例３のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するシーケンス図である。本開示の実施例３のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するシーケンス図である。本開示の実施例３のユーザ端末が実行する処理の処理シーケンスについて説明するフローチャートを示す図である。ユーザ端末や決済端末を構成する通信処理装置のハードウェア構成例について説明する図である。

　以下、図面を参照しながら本開示の通信処理装置、通信処理システム、および通信制御方法、並びにプログラムの詳細について説明する。なお、説明は以下の項目に従って行なう。
　１．ユーザ端末におけるＩＣカードアプリの利用構成例について
　２．ＮＦＣ通信におけるＴｙｐｅ－Ｆコマンドを適用したＩＣカードアプリの選択と決済処理の概要について
　３．（実施例１）本開示の実施例１の通信処理装置の構成と処理例について
　４．本開示の実施例１の通信処理装置（ユーザ端末）のセキュアエレメント内のアプリの構成例について
　５．本開示の実施例１の通信処理装置が実行する処理のシーケンスについて
　６．（実施例２）本開示の実施例２の通信処理装置の構成と処理例について
　７．実施例２の通信処理装置が実行する処理のシーケンスについて
　８．（実施例３）本開示の実施例３の通信処理装置の構成と処理例について
　９．通信処理装置の構成例について
　１０．本開示の構成のまとめ

　　［１．ユーザ端末におけるＩＣカードアプリの利用構成例について］
　まず、ユーザ端末におけるＩＣカードアプリの利用構成例について説明する。

　昨今、スマホ（スマートフォン）等のユーザ端末には、様々なＩＣカードアプリ（アプリケーション）がインストールされ利用されている。
　ＩＣカードアプリには、例えば電子マネーアプリや、交通系ＩＣカードアプリ、スーパーマーケット等が発行する流通系ＩＣカードアプリ等、様々な種類がある。

　図１は、あるユーザのユーザ端末１０にインストールされたＩＣカードアプリの例を示す図である。
　図１に示すように、スマホ等のユーザ端末１０には、複数の異なるＩＣカードアプリがインストールされている。
　図１には、以下の４種類のＩＣカードアプリがインストールされている例を示している。
　交通系ＩＣカードＡアプリ１１Ａ
　交通系ＩＣカードＢアプリ１１Ｂ
　流通系ＩＣカードＰアプリ１１Ｐ
　流通系ＩＣカードＱアプリ１１Ｑ

　これらは、それぞれ異なるサービスプロバイダが提供するＩＣカードアプリである。ユーザは、各サービスプロバイダの管理する店舗や改札に備えられたリーダライタにスマホ等のユーザ端末１０を近づけて近接通信を行う。リーダライタは、所定料金をユーザ端末１０内のメモリに記録されたチャージ、あるいは予め連携された銀行口座やクレジットカード会社の管理口座から差し引く処理を行う。すなわちチャージ金額等の書き換えを実行する。

　これらのＩＣカードアプリは、例えばユーザ端末１０内に構成されるセキュアエレメント（ＳＥ）内にインストールされ、セキュアエレメント（ＳＥ）内に構成されるセキュアメモリに各ＩＣカードアプリ対応の残高情報等のセキュアデータを記録し、さらに決済処理等に応じて残高情報の更新処理などを実行する。

　図２にユーザ端末１０内に構成されるセキュアエレメント（ＳＥ）２０の構成例を示す。
　図２に示すように、セキュアエレメント（ＳＥ）２０は、図１を参照して説明した複数のＩＣカードアプリ１１と、各ＩＣカードアプリに対応する残高情報等を記録したセキュアメモリ２２を有している。

　図２に示す例は、図１を参照して説明した４つのＩＣカードアプリ各々に対応する４つの電子マネー残高記録領域が設定されたセキュアメモリ２２の例である。
　電子マネーＡ残高記録領域２２Ａは、交通系ＩＣカードＡアプリ２１Ａに対応する残高情報記録領域である。
　電子マネーＢ残高記録領域２２Ｂは、交通系ＩＣカードＢアプリ２１Ｂに対応する残高情報記録領域である。
　電子マネーＰ残高記録領域２２Ｐは、流通系ＩＣカードＰアプリ２１Ｐに対応する残高情報記録領域である。
　電子マネーＱ残高記録領域２２Ｑは、流通系ＩＣカードＱアプリ２１Ｑに対応する残高情報記録領域である。

　このように、ユーザ端末１０は、各サービスプロバイダが提供するＩＣカードアプリに対応する残高情報を個別に記録した電子マネー残高記録領域が設定されたセキュアメモリ２２を有する。

　各サービスプロバイダの管理する店舗や改札に備えられたリーダライタにスマホ等のユーザ端末２０を近づけると、リーダライタは、サービスプロバイダに対応する残高記録領域の残高情報を書き換える処理を実行する。
　この処理により、所定の利用料金の減額処理や、チャージ処理等を行うことができる。これらの処理は、サービスプロバイダ単位の処理となる。

　　［２．ＮＦＣ通信におけるＴｙｐｅ－Ｆコマンドを適用したＩＣカードアプリの選択と決済処理の概要について］
　次に、現在、広く行われているＮＦＣ通信におけるＴｙｐｅ－Ｆコマンドを適用したＩＣカードアプリの選択と決済処理の概要について説明する。

　図３は、スマホ等のユーザ端末１０と、決済端末５０の構成例を示すブロック図である。
　決済端末５０は、例えば駅の改札や店舗に設置されたリーダライタ（Ｒ／Ｗ）を含む装置であり、スマホ等のユーザ端末１０との近接通信を実行して決済処理を行う。

　スマホ等のユーザ端末１０と決済端末５０は、近距離無線通信規格の１つであるＮＦＣ（Ｎｅａｒ　Ｆｉｅｌｄ　Ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎ）規格のＴｙｐｅ－Ｆ規格に従った無線通信を実行して、決済処理を行う。

　前述したように、ＮＦＣ規格には細分化された下位規格としてＴｙｐｅ　Ａ、Ｔｙｐｅ　Ｂ、Ｔｙｐｅ－Ｆ等の複数の異なる規格がある。Ｔｙｐｅ－Ｆは、ソニーの開発した非接触ＩＣカード技術方式であるＦｅｌｉＣａ（登録商標）で利用されている通信規格である。

　図３に示すようにユーザ端末１０は、セキュアエレメント２０と、ＮＦＣ通信部３１を有する。決済端末５０は、決済端末コントローラ５１と、ＮＦＣ通信部５２を有する。

　ユーザ端末１０のセキュアエレメント２０は、コマンド解析部３２と、ＩＣカードアプリ群３３を有する。ＩＣカードアプリ群３３は、複数のＩＣカードアプリによって構成され、例えば図１、図２を参照して説明したような交通系ＩＣカードアプリや流通系ＩＣカードアプリ等、様々なＩＣカードアプリによって構成される。

　ユーザ端末１０のＮＦＣ通信部３１と、決済端末５０のＮＦＣ通信部５２が、所定距離、例えば数ｃｍまで近づくと、各通信部間で無線通信が開始される。
　すなわち、近距離無線通信規格の１つであるＮＦＣ規格に従った無線通信が開始される。

　まず、決済端末５０の決済端末コントローラ５１の制御によって、決済端末５０のＮＦＣ通信部５２からポーリング信号が出力される。このポーリング信号は、通信相手となる通信端末を検出するための信号である。
　このポーリング信号には、上述のＴｙｐｅ－Ｆ規格において規定されたＴｙｐｅ－Ｆ固有コマンドが含まれている。

　ユーザ端末１０のＮＦＣ通信部３１は、Ｔｙｐｅ－Ｆ固有コマンドを含むポーリング信号を受信すると、受信信号をセキュアエレメント２０内のコマンド解析部３２に入力する。
　セキュアエレメント２０内のコマンド解析部３２は、決済端末５０から受信したＴｙｐｅ－Ｆ固有コマンドを含むポーリング信号を解析する。

　コマンド解析部３２は、ポーリング信号に含まれるＴｙｐｅ－Ｆ固有コマンドを解析して、決済端末の種類に応じたＩＣカードアプリ指定情報（ＡＩＤ：Ａｐｐｌｉｃａｔｉｏｎ　ＩＤ）を生成する。例えばＴｙｐｅ－Ｆ固有コマンドの解析により、決済端末５０が鉄道会社Ａの改札の装置であることが解析された場合は、鉄道会社Ａの決済処理に利用可能なＩＣカードアプリのＩＣカードアプリ指定情報（ＡＩＤ）を生成する。コマンド解析部３２の解析結果に従って、ＩＣカードアプリ群３３から１つのＩＣカードアプリが選択され起動される。

　その後は、選択された１つのＩＣカードアプリがＮＦＣ通信部３１を介して決済端末５０との間でＮＦＣ通信を実行して、決済処理に必要となる一連の処理、例えば認証処理、残高確認処理、利用料金引き落とし処理、残高更新処理等を実行する。

　図４は、セキュアエレメント（ＳＥ）２０のソフトウェアスタックの例を示す図である。
　図４に示すように、セキュアエレメント（ＳＥ）２０のソフトウェアスタックは、最下層にハードウェア（ＨＷ）レイヤ、その上位レイヤとしてセキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）レイヤ、さらに最上位に各種のアプリケーションによって構成されるアプリケーションレイヤを設定した構成を有する。

　最下層のハードウェア（ＨＷ）レイヤには、例えばセキュアエレメント内のセキュアメモリや、セキュアエレメント外の通信部、すなわち図３に示すＮＦＣ通信部３１が含まれる。

　図３に示すセキュアエレメント２０のコマンド解析部３２は、最下層のハードウェア（ＨＷ）レイヤと、セキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）レイヤの中間に位置する。すなわち、コマンド解析部３２の処理の一部は、ハードウェア（ＨＷ）レイヤにおいて実行され、一部はセキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）レイヤにおいて実行される。

　最上位のアプリケーションレイヤは、図３に示すＩＣカードアプリ群３３に含まれる様々なＩＣカードアプリａ～ｎによって構成される。
　最上位のアプリケーションレイヤのＩＣカードアプリａ～ｎは、セキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）レイヤを介して、セキュアエレメント内のセキュアメモリや、セキュアエレメント外の通信部にアクセスして、メモリデータの更新処理や、外部装置との通信処理を実行する。

　上述したように、コマンド解析部３２は、決済端末５０の送信するＴｙｐｅ－Ｆ固有コマンドを含むポーリング信号を、ＮＦＣ通信部３１を介して受信し、解析する。
　コマンド解析部３２は、ポーリング信号に含まれるＴｙｐｅ－Ｆ固有コマンドを解析して、ＩＣカードアプリ指定情報（ＡＩＤ：Ａｐｐｌｉｃａｔｉｏｎ　ＩＤ）を生成する。

　コマンド解析部３２が生成したＩＣカードアプリ指定情報（ＡＩＤ）は、セキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）に渡され、セキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）は、最上位レイヤであるアプリケーションレイヤから、コマンド解析部３２が生成したＩＣカードアプリ指定情報（ＡＩＤ）に対応する１つのＩＣカードアプリを選択して起動する。

　その後、選択された１つのＩＣカードアプリがセキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）とＮＦＣ通信部３１を介して決済端末５０との間でＮＦＣ通信を実行し、決済処理に必要となる一連の処理、例えば認証処理、残高確認処理、利用料金引き落とし処理、残高更新処理等を実行する。

　前述したように、Ｔｙｐｅ－Ｆは、ソニーの開発した非接触ＩＣカード技術方式であるＦｅｌｉＣａ（登録商標）で利用されているＮＦＣ規格の下位規格であり、様々な電子マネー型ＩＣカードや、ＩＣカードアプリをインストールしたスマホ等のユーザ端末と、リーダライタ（Ｒ／Ｗ）間の通信において、広く利用されている。

　このＴｙｐｅ－ＦのＮＦＣ通信を行うことで、Ｔｙｐｅ－Ｆ固有のコマンドを含むポーリング信号の解析によるＩＣアプリ選択処理が可能となる。
　例えば、交通系ＩＣカードアプリと、流通系ＩＣカードアプリの２つがインストールされたユーザ端末を、鉄道の改札のリーダライタ（Ｒ／Ｗ）に近づけてかざした場合、図３に示すコマンド解析部３２が、鉄道の改札のリーダライタ（Ｒ／Ｗ）からユーザ端末に送信されるＴｙｐｅ－Ｆ固有のコマンドを含むポーリング信号の解析を行う。この解析結果に基づいて、鉄道の改札の通過に必要な決済処理を行う交通系ＩＣカードアプリが選択され、選択した交通系ＩＣカードアプリと鉄道の改札のリーダライタ（Ｒ／Ｗ）間の通信および決済処理を行うことが可能となる。

　しかし、図３、図４を参照して説明したコマンド解析部３２は、ＮＦＣ通信規格の下位規格であるＴｙｐｅ－Ｆ通信規格において規定された通信パケットフォーマットに従った通信パケットを解析することはできるが、フォーマットの異なるパケットは解析できない。
　すなわち、コマンド解析部３２は、ＮＦＣ－Ｔｙｐｅ－Ｆ規格と異なるパケットフォーマットの通信パケットの解析を行うことはできない。

　例えば、例えば超広帯域無線通信であるＵＷＢ（Ｕｌｔｒａ　Ｗｉｄｅ　Ｂａｎｄ）通信や、低消費電力型のブルートゥース（登録商標）通信であるＢＬＥ（Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ　Ｌｏｗ　Ｅｎｅｒｇｙ）通信では、ＮＦＣのＴｙｐｅ－Ｆ通信規格が規定するパケットフォーマットとは異なるフォーマットの通信パケットが利用される。
　図３に示すコマンド解析部３２は、このような異なるフォーマットのパケットの解析を行うことができない。

　従って、ユーザ端末と改札や店舗等の決済端末（Ｒ／Ｗ）が、ＮＦＣ通信以外のＵＷＢ通信やＢＬＥ通信を利用して通信を行っても、ユーザ端末にインストールされた複数のＩＣカードアプリから、決済端末の種類に応じた１つのＩＣカードアプリを選択して処理を行うことができない。

　なお、ＵＷＢ通信やＢＬＥ通信は、ＮＦＣ通信より通信可能範囲が広いため、例えば、ユーザがポケットやバッグに入れたスマホ等のユーザ端末を取り出すことなく、ユーザが改札を通過するタイミングで、ユーザ端末と改札側Ｒ／Ｗ間での無線通信を行うことが可能となる。

　本開示の構成は、ＮＦＣ通信以外のＵＷＢ通信やＢＬＥ通信を利用した場合にも、ユーザ端末にインストールされた複数のＩＣカードアプリから１つのＩＣカードアプリを選択して処理を行うことを可能とするものである。
　以下、この本開示の構成と処理について説明する。

　　［３．（実施例１）本開示の実施例１の通信処理装置の構成と処理例について］
　次に、本開示の実施例１の通信処理装置の構成と処理例について説明する。

　図５は、本開示の実施例１の通信処理装置であるユーザ端末１００と、ユーザ端末１００と通信を行う決済端末２００の構成例を示すブロック図である。

　決済端末２００は、例えば駅の改札や店舗に設置されたリーダライタ（Ｒ／Ｗ）を含む装置であり、スマホ等のユーザ端末１００との近接通信を実行して決済処理を行う。

　スマホ等のユーザ端末１００と決済端末２００は、各々３つの異なる通信部を有している。すなわち、図５に示すユーザ端末１００は、ＮＦＣ通信部１１１、ＵＷＢ通信部１１２、ＢＬＥ通信部１１３を有している。同様に決済端末２００もＮＦＣ通信部２１１、ＵＷＢ通信部２１２、ＢＬＥ通信部２１３を有している。

　ユーザ端末１００のＮＦＣ通信部１１１と、決済端末２００のＮＦＣ通信部２１１間では、図３を参照して説明したと同様、近距離無線通信規格の１つであるＮＦＣ（Ｎｅａｒ　Ｆｉｅｌｄ　Ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎ）規格のＴｙｐｅ－Ｆ規格に従った無線通信を実行する。

　ユーザ端末１００のＵＷＢ通信部１１２と、決済端末２００のＵＷＢ通信部２１２間では、超広帯域無線通信であるＵＷＢ（Ｕｌｔｒａ　Ｗｉｄｅ　Ｂａｎｄ）通信を実行する。

　ＵＷＢ通信は、ＩＥＥＥ８０２．１５．４ｚにおいて規定されている通信規格であり、通信許容距離は約１０ｍ程度である。また、ＵＷＢ通信規格には、セキュリティを保ちながらデバイス位置を解析する「セキュア測距」方式についての規定がある。
　「セキュア測距」は、共通鍵を利用した暗号化データの送受信により、通信装置間の距離や角度をセキュアに計測することを可能とした技術である。

　決済端末２００は、ユーザ端末１００がＵＷＢ通信可能距離（約１０ｍ）まで近づくと、ＵＷＢ通信によりユーザ端末１００を検出して、ユーザ端末１００のセキュア測距を開始し、その後、継続的にユーザ端末１００の位置を解析する処理を行う。具体的な処理シーケンスについては後段で説明する。

　ユーザ端末１００のＢＬＥ通信部１１３と、決済端末２００のＢＬＥ通信部２１３間では、低消費電力型のブルートゥース（登録商標）通信であるＢＬＥ（Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ　Ｌｏｗ　Ｅｎｅｒｇｙ）通信を実行する。

　ＢＬＥ通信の通信許容距離はクラスによって多少異なるが、約数１０ｍ程度である。
　ＢＬＥ通信は、数１０ｍ範囲内のデバイス検知や通信接続の確立、データ通信に適した通信手段である。
　ＢＬＥ通信規格には、デバイス検知のためのブロードキャストパケットとして、ＡＤＶ＿ＩＮＤパケット（Ｇｅｎｅｒａｌ　Ａｄｖｅｒｔｉｓｉｎｇ　Ｉｎｄｉｃａｔｉｏｎパケット）が規定されている。

　決済端末２００は、ユーザ端末１００がＢＬＥ通信可能距離（数１０ｍ）まで近づくと、ＢＬＥ通信によりユーザ端末１００を検出して、ユーザ端末１００とのＢＬＥ通信を確立することができる。

　図５に示すようにユーザ端末１００は、ＮＦＣ通信部１１１、ＵＷＢ通信部１１２、ＢＬＥ通信部１１３、これら３つの通信部の他、ユーザ端末コントローラ（ＤＨ：Ｄｅｖｉｃｅ　Ｈｏｓｔ）１０１と、セキュアエレメント１２０を有している。
　決済端末２００は、ＮＦＣ通信部２１１、ＵＷＢ通信部２１２、ＢＬＥ通信部２１３、これら３つの通信部の他、決済端末コントローラ２０１を有している。

　ユーザ端末１００のセキュアエレメント１２０は、複数のＩＣカードアプリによって構成されるＩＣカードアプリ群１２１と、コマンド解析部１２２と、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３を有する。
　ＩＣカードアプリ群１２１には、図１、図２を参照して説明したような交通系ＩＣカードアプリや流通系ＩＣカードアプリ等、様々なＩＣカードアプリが含まれる。

　ユーザ端末１００のＮＦＣ通信部１１１と、決済端末２００のＮＦＣ通信部２１１間で実行するＮＦＣ通信は、先に図３を参照して説明した処理と同様の処理となる。
　すなわち、ユーザ端末１００のＮＦＣ通信部１１１と、決済端末２００のＮＦＣ通信部２１１が、所定距離、例えば数ｃｍまで近づくと、ＮＦＣ規格に従った無線通信が開始される。

　図５に示すユーザ端末１００と決済端末２００は、ＮＦＣ通信部以外のＢＬＥ通信部やＵＷＢ通信部を有しており、ユーザ端末１００と決済端末２００との距離が数ｍ～数１０ｍ内になると、これらの通信部を介した通信が可能となる。

　ユーザ端末１００は、ＵＷＢ通信を利用して、図３を参照して説明したＮＦＣ通信において利用されるＴｙｐｅ－Ｆ固有コマンドによるＩＣカードアプリ選択処理と同様の処理を実現する。
　図５に示すユーザ端末１００のセキュアエレメント１２０内のＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３が、決済端末２００から送信されるＵＷＢ通信データを解析し、ＩＣカードアプリの選択処理を実行する。

　図６は、図５に示すユーザ端末１００のセキュアエレメント（ＳＥ）１２０のソフトウェアスタックの例を示す図である。
　図６に示すように、セキュアエレメント（ＳＥ）１２０のソフトウェアスタックは、最下層にハードウェア（ＨＷ）レイヤ、その上位レイヤとしてセキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）レイヤ、さらに最上位に各種のアプリケーションによって構成されるアプリケーションレイヤを設定した構成を有する。

　最下層のハードウェア（ＨＷ）レイヤには、例えばセキュアエレメント内のセキュアメモリや、セキュアエレメント外の通信部、すなわち図５に示すＮＦＣ通信部１１１やＵＷＢ通信部１１２が含まれる。

　図５に示すセキュアエレメント１２０のコマンド解析部１２２は、最下層のハードウェア（ＨＷ）レイヤと、セキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）レイヤの中間に位置する。すなわち、コマンド解析部１２２の処理の一部は、ハードウェア（ＨＷ）レイヤにおいて実行され、一部はセキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）レイヤにおいて実行される。

　最上位のアプリケーションレイヤには、図５に示すＩＣカードアプリ群１２１に含まれる様々なＩＣカードアプリａ～ｎと、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３が含まれる。
　最上位のアプリケーションレイヤのＩＣカードアプリａ～ｎと、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、セキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）層を介して、セキュアエレメント内のセキュアメモリや、セキュアエレメント外の通信部にアクセスして、メモリデータの更新処理や、外部装置との通信処理を実行する。

　図５に示すセキュアエレメント１２０のコマンド解析部１２２は、ＮＦＣ通信部１１１を介して決済端末２００から受信するＴｙｐｅ－Ｆ固有コマンドを含むポーリング信号を解析してＴｙｐｅ－Ｆ固有コマンドのＩＣカードアプリ指定情報を取り出して、セキュアエレメント１２０に格納された複数のＩＣカードアプリから１つのＩＣカードアプリを選択して起動させる。この処理は、図３に示す従来構成と同様の処理である。

　図５に示すユーザ端末１００は、さらにセキュアエレメント１２０のＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３が、決済端末２００から送信されるＵＷＢ通信データを解析し、ＩＣカードアプリの選択処理を実行する。
　この処理を行うことで、ＮＦＣ通信が開始可能となる前に、ＵＷＢ通信による決済処理を行うことが可能となる。

　図５に示すユーザ端末１００と決済端末２００間で実行される通信シーケンスの概要について説明する。

　なお、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、決済端末２００のＮＦＣ通信部２１１、ＵＷＢ通信部２１２、ＢＬＥ通信部２１３の各通信部の通信制御を行う。
　決済端末コントローラ２０１は、まず、ＢＬＥ通信部２１３からユーザ端末検出とＢＬＥ通信コネクション確立要求パケットであるアドバータイズ（Ａｄｖｅｒｔｉｓｅ）パケットをブロードキャストする。ＢＬＥ通信規格には、デバイス検知のためのブロードキャストパケットとして、ＡＤＶ＿ＩＮＤパケット（Ｇｅｎｅｒａｌ　Ａｄｖｅｒｔｉｓｉｎｇ　Ｉｎｄｉｃａｔｉｏｎパケット）が規定されている。

　ＢＬＥ通信可能領域に入ってきたユーザ端末１００は、決済端末２００が送信するアドバータイズパケットを受信すると、ユーザ端末識別子を含む応答パケットを決済端末２００に送信する。決済端末２００は、ユーザ端末１００の送信した応答パケットからユーザ端末識別子を取得することで、ユーザ端末１００を検出する。

　ユーザ端末が検出されると、決済端末２００は、次にユーザ端末１００の位置識別処理を開始する。
　決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ユーザ端末１００の位置識別処理を行うために、ＵＷＢ（Ｕｌｔｒａ　Ｗｉｄｅ　Ｂａｎｄ）通信を利用する。

　前述したように、ＵＷＢ通信はセキュリティを保ちながらデバイス位置を解析する「セキュア測距」方式について規定している。「セキュア測距」は、共通鍵を利用した暗号化データの送受信により、通信装置間の距離や角度をセキュアに計測することを可能とした技術である。

　決済端末２００は、ＢＬＥ通信によりユーザ端末を検出すると、検出したユーザ端末１００の位置を識別するためのＵＷＢ通信信号を出力し、決済端末２００のＵＷＢ通信部２１２と、ユーザ端末１００のＵＷＢ通信部１１２との通信を確立して、ユーザ端末１００の位置識別処理を継続的に実行する。

　なお、決済端末２００のＵＷＢ通信部２１２は、ＵＷＢ通信によるセキュア測距において、ＴｏＡ（Ｔｉｍｅ　ｏｆ　Ａｒｒｉｖａｌ）と、ＡｏＡ（Ａｎｇｌｅ　ｏｆ　Ａｒｒｉｖａｌ）これらのデータ解析を行う。
　ＴｏＡ（Ｔｉｍｅ　ｏｆ　Ａｒｒｉｖａｌ）は、ＵＷＢ信号の送受信時間に相当し、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、この時間に基づいて、決済端末２００からユーザ端末１００までの距離を解析する。

　ＡｏＡ（Ａｎｇｌｅ　ｏｆ　Ａｒｒｉｖａｌ）は、ユーザ端末１００の送信信号が決済端末２００に入力する角度情報である。決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、この角度に基づいて、ユーザ端末１００の方向を解析する。
　決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、これらＴｏＡ，ＡｏＡの解析によりユーザ端末１００の位置を識別する。

　なお、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ユーザ端末１００の検出後、決済処理が開始または終了するまで、例えば決済端末２００の設置された改札を通過するまで、ユーザ端末位置識別処理を継続して実行する。

　決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ＵＷＢ通信によるセキュア測距の実行に並行して、ＵＷＢ通信によるＩＣカードアプリの選択とＩＣカードアプリとの通信を実行して決済処理などを行う。

　ＵＷＢ通信によるＩＣカードアプリの選択とＩＣカードアプリとの通信処理のシーケンスの概要について説明する。
　決済端末２００は、まず、ユーザ端末１００のセキュアメモリ１２０のＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３とのＵＷＢ通信を開始する。

　ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３とのＵＷＢ通信に成功すると、その後、決済端末２００は、ユーザ端末１００のＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３に対して、決済処理に利用するＩＣカードアプリの指定情報（ＡＩＤ：アプリケーションＩＤ）の問合せパケットを送信する。

　ユーザ端末１００のＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、決済端末２００から受信した問合せパケットに応じて、決済端末２００との決済処理に利用可能なＩＣカードアプリの指定情報（ＡＩＤ）を格納した応答パケットを生成して決済端末２００に送信する。

　次に、決済端末２００は、ユーザ端末から受信したＩＣカードアプリの指定情報（ＡＩＤ）を格納したＩＣカードアプリ選択コマンド（ＳＥＬＥＣＴコマンド）パケットをＵＷＢ通信によりユーザ端末１００に送信する。

　ユーザ端末１００のＵＷＢ通信部１１２は、決済端末２００から送信されたＩＣカードアプリ選択コマンド（ＳＥＬＥＣＴコマンド）パケットを受信すると、セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０に受信パケットを渡す。

　セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０は、パケット内のＳＥＬＥＣＴコマンドを認識し、パケット内に格納された通信要求対象アプリのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を取得する。
　セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０は、ＳＥＬＥＣＴコマンドから取得したアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）に対応する１つのアプリケーション、すなわち、ＵＷＢ通信対応のＩＣカードアプリを選択して起動する。

　その後、選択された１つのＩＣカードアプリがセキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）とＵＷＢ通信部１１２を介して決済端末２００との間でＵＷＢ通信を実行し、決済処理に必要となる一連の処理、例えば認証処理、残高確認処理、利用料金引き落とし処理、残高更新処理等を実行する。

　本開示のユーザ端末１００に設定されるＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、図６に示すように、アプリケーションレイヤの１つのアプリであり、ハードウェアやセキアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）を変更する必要がない。例えばユーザが所有する既存のスマホにいつでもインストールすることができるというメリットがある。
　すなわち図６に示す最上位のアプリケーションレイヤのＩＣカードアプリと同様、ユーザが自由にインストール、アンインストールすることが可能である。

　前述したように、ＵＷＢ通信は通信可能距離が約１０ｍ程度であり、通信可能距離が数ｃｍであるＮＦＣ通信と異なり、ユーザ端末１００が決済端末２００とが密接していなくても通信が可能となる。

　従って、ユーザのスマホ（ユーザ端末１００）にＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３をインストールしておくことで、ユーザのバッグに入れたスマホが、改札から数ｍ離れた位置で、改札に備えられた決済端末とのＵＷＢ通信による決済処理を行うことが可能となり、ユーザはバッグに入れたスマホ等のユーザ端末を取り出すことなく、決済処理を行って改札を通過することが可能となる。

　また、店舗等の決済端末を利用した決済の場合も同様であり、ユーザは、店舗の決済端末にスマホ等のユーザ端末をかざすことなく、店舗の決済端末に近づいて通りすぎる間に決済処理を完了させることが可能となる。

　　［４．本開示の実施例１の通信処理装置（ユーザ端末）のセキュアエレメント内のアプリの構成例について］
　次に、本開示の実施例１の通信処理装置（ユーザ端末）のセキュアエレメント内のアプリの構成例について説明する。

　図７は、図５に示すユーザ端末１００のセキュアエレメント１２０のＩＣカードアプリ群１２１内のＩＣカードプリの例と、各ＩＣカードアプリに設定された属性情報を説明する図である。
　なお、図７に示すＩＣカードアプリは一例であり、ユーザ端末各々が格納するＩＣカードアプリは、それぞれ異なる設定となる。

　図７は、ＩＣカードアプリ群１２１に以下のＩＣカードアプリが格納された例を示している。
　（Ａ）交通事業者Ａ（サービスＩＤ＝１）対応ＩＣカードアプリ
　（ａ１）カード１
　（ａ２）カード２
　（Ｂ）流通事業者Ｂ（サービスＩＤ＝２）対応ＩＣカードアプリ
　（ｂ１）カード３
　（Ｃ）電子マネー事業者Ｃ（サービスＩＤ＝３）対応ＩＣカードアプリ
　（ｃ１）カード４
　（ｃ２）カード５
　（Ｄ）交通事業者Ｄ（サービスＩＤ＝４）対応ＩＣカードアプリ
　（ｄ１）カード６
　（ｄ２）カード７
　（ｄ３）カード８

　図５に示すユーザ端末１００のセキュアエレメント１２０のＩＣカードアプリ群１２１内のＩＣカードプリとして、これら８枚（カード１～８）のＩＣカードアプリが格納（インストール）されている。

　ＩＣカードアプリの各々には、各ＩＣカードアプリの属性情報として以下の情報が記録されている。
　（属性情報１）サービスＩＤ
　（属性情報２）ＡＩＤ（アプリケーションＩＤ）
　（属性情報３）ＵＷＢ通信対応有無情報

　（属性情報１）サービスＩＤは、ＩＣカードアプリを利用して受けられるサービスの識別子である。例えば、「交通事業者Ａ対応ＩＣカードアプリ」であれば、交通事業者Ａの管理する鉄道やバス等の交通機関の利用サービスが受けられ、このサービスのサービスＩＤがサービスＩＤ＝１である。図７に示すように、「交通事業者Ａ対応ＩＣカードアプリ」の２種類カードアプリ、すなわち、（ａ１）カード１、（ａ２）カード２には同一のサービスＩＤが設定される。

　（属性情報２）ＡＩＤ（アプリケーションＩＤ）は、ＩＣカードアプリのアプリケーション種類を示す識別子である。
　図７に示す「交通事業者Ａ対応ＩＣカードアプリ」の２種類カードアプリ、（ａ１）カード１、（ａ２）カード２には、各々異なるＡＩＤ（アプリケーションＩＤ）が設定されている。
　これら２つのカードアプリ、（ａ１）カード１、（ａ２）カード２は利用可能なサービスは同一であるが、アプリケーションとして異なる処理プログラムが設定されていることを意味する。

　具体的には、（ａ１）カード１は、ＵＷＢ通信データの処理ができないカードアプリであり、（ａ２）カード２は、ＵＷＢ通信データの処理ができるカードアプリである。
　このＵＷＢ通信データの処理可否情報が、
　（属性情報３）ＵＷＢ通信対応有無情報
　として記録される。

　（ａ１）カード１は、ＵＷＢ対応＝無であり、ＵＷＢ通信データの処理ができないカードアプリであることを示している。
　一方、（ａ２）カード２は、ＵＷＮ対応＝有であり、通信ＵＷＢ通信データの処理ができるカードアプリであることを示している。

　このように、ＩＣカードアプリの各々には、各ＩＣカードアプリの属性情報として以下の情報が記録されている。
　（属性情報１）サービスＩＤ
　（属性情報２）ＡＩＤ（アプリケーションＩＤ）
　（属性情報３）ＵＷＢ通信対応有無情報

　このＩＣカードアプリの属性情報の少なくとも一部は、「ＩＣカードアプリ属性情報登録テーブル」として、ユーザ端末１００内のメモリに記録される。
　図８に「ＩＣカードアプリ属性情報登録テーブル」の一例を示す。
　図８に示す「ＩＣカードアプリ属性情報登録テーブル」の例は、「ＵＷＢ対応アプリケーション登録データ」であり、ＵＷＢ対応＝有のＩＣカードアプリのサービスＩＤと、アプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）との対応データを登録したテーブルである。

　例えば、図８に示すような「ＵＷＢ対応アプリケーション登録データ」が、ユーザ端末１００内のメモリに記録される。
　ユーザ端末１００のセキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０のＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、例えば、メモリに記録された図８に示すような「ＵＷＢ対応アプリケーション登録データ」を参照して、ＵＷＢ通信可能なＩＣカードアプリのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を取得して、決済端末２００に通知する処理などを行う。

　なお、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３も、ＩＣカードアプリと同様、セキュアエレメント（ＳＥ）１２０に格納されるアプリケーションであり、ＩＣカードアプリと同様、アプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を有している。
　図９にＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３のアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）の設定例を示す。
　図９に示すように、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３には、
　ＡＩＤ＝Ｃｎｔ
　例えば、このようなアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）が設定される。

　　［５．本開示の実施例１の通信処理装置が実行する処理のシーケンスについて］
　次に、本開示の実施例１の通信処理装置が実行する処理のシーケンスについて説明する。

　以下の処理のシーケンスについて、順次、説明する。
　（１）ユーザによるユーザ端末に対するＵＷＢ対応ＩＣカードアプリの登録処理シーケンス
　（２）ユーザ端末から決済端末に対するＵＷＢ対応ＩＣカードアプリの通知処理シーケンス
　（３）ユーザ端末のＵＷＢ対応ＩＣカードアプリと、決済端末とのＵＷＢ通信による決済処理シーケンス

　　（５－（１）ユーザによるユーザ端末に対するＵＷＢ対応ＩＣカードアプリの登録処理シーケンス）
　まず、（１）ユーザによるユーザ端末に対するＵＷＢ対応ＩＣカードアプリの登録処理シーケンスについて説明する。

　この処理は、セキュアエレメント（ＳＥ）１２０内のＩＣカードアプリ群１２１の１つのＩＣカードアプリを先に図８を参照して説明したテーブル、すなわち「ＵＷＢ対応アプリケーション登録データ」テーブルに記録して、ＵＷＢ通信による決済可能ＩＣカードアプリとして利用可能とするための処理である。

　なお、「ＵＷＢ対応アプリケーション登録データ」に対するＩＣカードアプリの属性情報記録処理は、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３自らが実行する構成としてもよいし、図１０を参照して説明するシーケンスに従って、ユーザ要求に応じて実行する構成としてもよい。

　図１０は、ユーザによるユーザ端末に対するＵＷＢ対応ＩＣカードアプリの登録処理シーケンスを説明するシーケンス図である。

　図１０には、左端にユーザ１５０、右側にユーザ端末１００を示し、ユーザ端末１００の構成要素として、左から、
　ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１、
　ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３、
　ＩＣカード１アプリ（ＡＩＤ＝１１）１２１ａ、
　ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂ、
　ＩＣカード３アプリ（ＡＩＤ＝２１）１２１ｃ、
　これらを示している。

　図１０に示すステップＳ１０１～Ｓ１０４の各処理の詳細について、順次、説明する。
　　（ステップＳ１０１～Ｓ１０２）
　まず、ユーザ１５０は、ステップＳ１０１において、ＵＷＢ対応ＩＣカードアプリとして登録する特定のカードアプリの指定情報を入力する。
　なお、この処理は、例えばユーザがユーザ端末に新たにインストールしたＩＣカードアプリをＵＷＢ対応ＩＣカードアプリとして登録する場合に実行される。

　ユーザは、新たにインストールしたＩＣカードアプリの情報をユーザ端末１００の表示部に表示し、表示されたＩＣカードアプリを「ＵＷＢ対応ＩＣカードアプリ」としてユーザ端末１００登録する登録要求を入力する。
　例えば「ＵＷＢ対応ＩＣカードアプリとして登録」といった表示のあるアイコンをタップする。

　このタップ処理により、ユーザ端末１００の表示部に表示中のＩＣカードアプリの属性情報がＩＣカードアプリから読み出され、ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１を介して、ステップＳ１０２において、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３に入力される。

　なお、ここでは、一例として、アプリケーション識別子（ＡＩＤ）＝１２のＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂが登録対象として指定されたものとする。

　　（ステップＳ１０３）
　次に、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、ステップＳ１０３において、ユーザから指定されたＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）の存在確認を実行する。

　ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、ステップＳ１０３において、セキュアエレメント（ＳＥ）１２０のＩＣカードアプリ群１２１を参照し、ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）が存在するか否かを確認する。

　ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）の存在が確認された場合は、ステップＳ１０４に進む。
　一方、ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）の存在が確認されなかった場合は、ステップＳ１０４に進むことなく、エラーメッセージをユーザ端末１００の表示部に出力して処理を終了する。

　　（ステップＳ１０４）
　ユーザからＵＷＢ通信適用カードとして登録要求のあったＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）の存在が確認された場合は、ステップＳ１０４に進む。

　この場合、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、ステップＳ１０４において、ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）を、先に図８を参照して説明したテーブル、すなわち「ＵＷＢ対応アプリケーション登録データ」テーブルに登録する。

　このテーブル登録処理によって、ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）は、ＵＷＢ通信による決済処理可能なＩＣカードアプリとして有効化されることになる。

　　（５－（２）ユーザ端末から決済端末に対するＵＷＢ対応ＩＣカードアプリの通知処理シーケンス）
　次に、（２）ユーザ端末から決済端末に対するＵＷＢ対応ＩＣカードアプリの通知処理シーケンスについて説明する。

　図１１～図１３を参照して、ユーザ端末から決済端末に対するＵＷＢ対応ＩＣカードアプリの通知処理シーケンスについて説明する。

　図１１～図１３には、左端に決済端末２００、右側にユーザ端末１００を示している。
　決済端末２００の構成要素として、左から、
　決済端末コントローラ２０１、
　ＵＷＢ通信部２１２、
　ＢＬＥ通信部２１３、
　これらの各構成要素を示している。

　一方、ユーザ端末１００の構成要素として、左から、
　ＢＬＥ通信部１１３、
　ＵＷＢ通信部１１２、
　セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０、
　ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂ、
　ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３、
　ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１、
　これらを示している。

　図１１～図１３に示すステップＳ２０１以下の処理の詳細について、順次、説明する。
　　（ステップＳ２０１）
　まず、ステップＳ２０１において、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ＢＬＥ通信部２１３からユーザ端末検出とＢＬＥ通信コネクション確立要求パケットであるアドバータイズ（Ａｄｖｅｒｔｉｓｅ）パケットをブロードキャストする。

　前述したように、ＢＬＥ通信規格には、デバイス検知のためのブロードキャストパケットとして、ＡＤＶ＿ＩＮＤパケット（Ｇｅｎｅｒａｌ　Ａｄｖｅｒｔｉｓｉｎｇ　Ｉｎｄｉｃａｔｉｏｎパケット）が規定されている。
　ステップＳ２０１において、決済端末２００は、ＢＬＥ通信部２１３からアドバータイズ（Ａｄｖｅｒｔｉｓｅ）パケットをブロードキャストする。

　　（ステップＳ２０２）
　ＢＬＥ通信可能領域（例えば数１０ｍ）に入ってきたユーザ端末１００は、決済端末２００が送信するアドバータイズパケットを受信すると、ステップＳ２０２において、ユーザ端末識別子を含む応答パケットを決済端末２００に送信する。決済端末２００は、ユーザ端末１００の送信した応答パケットからユーザ端末識別子を取得することで、ユーザ端末１００を検出する。

　ユーザ端末が検出されると、決済端末２００は、次にユーザ端末１００の位置識別処理を開始するため、ユーザ端末１００からユーザ端末位置解析用データを取得する処理を行う。

　前述したように、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ユーザ端末１００の位置識別処理を行うために、ＵＷＢ（Ｕｌｔｒａ　Ｗｉｄｅ　Ｂａｎｄ）通信を利用する。

　　（ステップＳ２０３～Ｓ２０５）
　次に、ステップＳ２０３において、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ＵＷＢ通信部２１２を介して、ユーザ端末１００のＵＷＢ通信部１１２との間でＵＷＢ通信を適用したユーザ端末位置識別処理を開始する。

　決済端末２００は、ステップＳ２０１～Ｓ２０２でＢＬＥ通信によりユーザ端末を検出すると、ステップＳ２０３において、検出したユーザ端末１００の位置を識別するためのＵＷＢ通信信号を出力し、決済端末２００のＵＷＢ通信部２１２と、ユーザ端末１００のＵＷＢ通信部１１２との通信を確立して、ユーザ端末１００の位置識別処理を開始し、その後、ユーザ端末位置識別処理を継続的に実行する。

　なお、前述したように、決済端末２００のＵＷＢ通信部２１２は、ＵＷＢ通信によるセキュア測距において、ＴｏＡ（Ｔｉｍｅ　ｏｆ　Ａｒｒｉｖａｌ）と、ＡｏＡ（Ａｎｇｌｅ　ｏｆ　Ａｒｒｉｖａｌ）これらのデータ解析を行う。
　ＴｏＡ（Ｔｉｍｅ　ｏｆ　Ａｒｒｉｖａｌ）は、ＵＷＢ信号の送受信時間に相当し、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、この時間に基づいて、決済端末２００からユーザ端末１００までの距離を解析する。

　　（ステップＳ２１１）
　次に、図１２に示すステップＳ２１１の処理について説明する。
　決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ステップＳ２１１において、ＵＷＢ通信部２１２を介したＵＷＢ通信により、ユーザ端末１００のＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３との通信要求パケットを出力する。

　この通信要求パケットは、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３のアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ＝Ｃｎｔ）を記録したＳＥＬＥＣＴコマンドを格納したＵＷＢ通信パケットである。なお、ＳＥＬＥＣＴコマンドとは、ＩＳＯ７８１６－４で規定されたコマンドであり、パケット内に通信要求対象アプリのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を格納して、指定アプリケーションを通信相手として要求するコマンドである。

　　（ステップＳ２１２）
　ユーザ端末１００のＵＷＢ通信部１１２は、ステップＳ２１１で決済端末２００から送信されたＳＥＬＥＣＴコマンドパケットを受信すると、セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０に受信パケットを渡す。

　セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０は、パケット内のＳＥＬＥＣＴコマンドを認識し、パケット内に格納された通信要求対象アプリのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ＝Ｃｎｔ）を取得する。
　このＡＩＤは、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３のアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ＝Ｃｎｔ）である。
　セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０は、このＡＩＤ＝Ｃｎｔに対応するアプリケーション、すなわち、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３を選択起動する。

　　（ステップＳ２１３）
　ステップＳ２１２において、セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０によるアプリ選択起動処理によって起動されたＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、ステップＳ２１３において、起動したことを示す起動応答をセキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０に出力する。

　　（ステップＳ２１４）
　ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３から、起動応答を入力したセキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０は、ステップＳ２１４において、ＵＷＢ通信部１１２を介して、決済端末２００に対して、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３の起動処理に成功したことを通知する。

　この通知データは、決済端末２００のＵＷＢ通信部２１２介して決済端末コントローラ２０１に入力され、決済端末コントローラ２０１は、ユーザ端末１００のＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３とのＵＷＢ通信が可能となったことを確認する。

　　（ステップＳ２２１）
　決済端末コントローラ２０１が、ユーザ端末１００のＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３とのＵＷＢ通信が可能となったことを確認すると、決済端末コントローラ２０１は、ステップＳ２２１において以下の処理を行う。

　決済端末コントローラ２０１は、ユーザ端末１００に対して、ＵＷＢ通信部２１２を介して、ＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）の問合せコマンドを送信する。
　すなわち、決済端末２００の提供するサービス（サービスＩＤ＝１）に対応する決済処理をＵＷＢ通信で実行可能なアプリＩＤ（ＡＩＤ）を問合せるコマンドを送信する。

　なお、このＩＣカードアプリのＡＩＤ問合せコマンドは、ＵＷＢ通信で利用可能なパケットフレームとして規定されたＡＰＤＵ（Ａｐｐｌｉｃａｔｉｏｎ　Ｐｒｏｔｏｃｏｌ　Ｄａｔａ　Ｕｎｉｔ）を利用して送信される。
　ＡＰＤＵとは、ＩＳＯ７８１６－４で規定されたパケットフレーム構成であり、ＵＷＢ通信で利用可能なパケットフレーム構成である。

　　（ステップＳ２２２）
　ユーザ端末１００のＵＷＢ通信部１１２は、ステップＳ２２２において、決済端末２００が送信したＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せコマンドを受信し、受信コマンドをセキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）１２０を介して、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３に入力する。

　セキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）１２０は、ステップＳ２１１において決済端末２００から受信したＳＥＬＥＣＴコマンド内のアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ＝Ｃｎｔ）に従って起動済みのＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３に対して、ＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せコマンドを入力する。

　　（ステップＳ２２３）
　決済端末２００が送信したＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せコマンドを入力したＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、ステップＳ２２３において以下の処理を実行する。

　ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリを検索して、検索されたアプリのアプリＩＤ（ＡＩＤ＝１２）を取得する。
　例えば先に図８を参照して説明したＵＷＢ対応アプリケーション登録データを参照して、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を検索する。

　図８に示す例では、サービスＩＤ＝１をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）は、ＡＩＤ＝１２であり、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、このアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ＝１２）を取得する。

　　（ステップＳ２２４）
　次に、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、ステップＳ２２４において、ステップＳ２２３で取得したアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ＝１２）を格納した応答パケットを生成して決済端末２００に送信する。
　応答パケットは、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３からセキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）１２０、ＵＷＢ通信部１１２を介して送信され、決済端末２００のＵＷＢ通信部２１２において受信されて決済端末コントローラ２０１に入力される。

　決済端末２００からのＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せコマンドに対して、ユーザ端末１００のＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３が生成する応答パケットのデータ構成の一例を図１４に示す。

　図１４に示すように応答パケットは、例えば以下のデータを格納したパケットとして構成される。
　（データＤ１）決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）対応の処理を実行可能なＩＣカードアプリの存在有無（有り＝１、無し＝０）
　（データＤ２）決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリの存在有無（有り＝１、無し＝０）
　（データＤ３）決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリのアプリＩＤ（ＡＩＤ＝１２）
　（データＤ４）決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）対応の残高（オプション）
　（データＤ５）決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリに対応付けられたＩＣカード固有識別子（ＩＤｍ）（オプション）

　（データＤ１）は、ＵＷＢ通信に限らず、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）対応の処理を実行可能なＩＣカードアプリの存在有無を示すデータであり、有り＝１、無し＝０のいずれかの値を設定する。
　（データＤ２）は、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリの存在有無を示すデータであり、有り＝１、無し＝０のいずれかの値を設定する。

　（データＤ３）は、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリのアプリＩＤを記録する。この例では、アプリＩＤ（ＡＩＤ＝１２）を記録する。

　（データＤ４）と（データＤ５）は、オプションデータであり、必須ではない。
　（データＤ４）は、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）対応の残高である。
　（データＤ５）は、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリに対応付けられたＩＣカード固有識別子（ＩＤｍ）である。

　なお、ＩＣカード固有識別子（ＩＤｍ）はユーザ端末１００にインストールＩＣカードアプリの固有識別子であり、同じ種類のアプリであってもユーザ端末にインストールされたアプリごとに異なる識別子である。
　これに対して、アプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）は、アプリケーションの種類に応じて設定されるＩＤであり、ユーザ端末１００が異なっても同一種類のアプリである場合は、同じＩＤ（ＡＩＤ）が設定される。

　（データＤ４）の残高情報、すなわち決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）対応の残高は、セキュアエレメント（ＳＥ）２００内のセキュアメモリに記録されており、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３がセキュアメモリから残高を読み取って応答パケットに記録する。
　（データＤ５）のＩＣカード固有識別子（ＩＤｍ）、すなわち、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリに対応付けられたＩＣカード固有識別子（ＩＤｍ）は、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３がセキュアメモリ２００のＩＣカードアプリ群１２１内のＡＩＤ＝１２のＩＣカードアプリの属性情報を読み取って応答パケットに記録する。

　図１４に示す応答パケットのデータ例は、ユーザ端末１００が、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリを有している場合の応答パケットの例である。

　ユーザ端末１００が、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリを有していない場合の応答パケットは異なるデータ構成となる。
　図１５、図１６を参照してユーザ端末１００が、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリを有していない場合の応答パケットのデータ構成例について説明する。

　図１５は、ＵＷＢ通信のみならず、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）を実行可能なＩＣカードアプリを有していない場合の応答パケットのデータ構成例である。
　図１６は、ＵＷＢ通信で決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）を実行可能なＩＣカードアプリは有していないが、その他の通信、例えばＮＦＣ通信で実行可能なＩＣカードアプリを有する場合の応答パケットのデータ構成例である。

　図１５に示すパケット例は、（データＤ１）＝０であり、ＵＷＢ通信に限らず決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）を実行可能なＩＣカードアプリを有していないことを示している。
　このパケットではデータＤ１～Ｄ５の全てに０が設定される。

　一方、図１６に示すパケット例は、（データＤ１）＝１、（データＤ２）＝０であり、ＵＷＢ通信で決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）を実行可能なＩＣカードアプリは有していないが、その他の通信、例えばＮＦＣ通信で実行可能なＩＣカードアプリを有することを示している。
　この場合、ＵＷＢ通信対応のＩＣカードアプリのＡＩＤ設定部である（データＤ３）と、ＩＣカード固有識別子（ＩＤｍ）設定部である（データＤ５）にはＡＩＤやＩＤｍが記録されない。

　（データＤ４）＝決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）対応の残高にも［０］を記録する。あるいは例えばＮＦＣ対応のＩＣカードアプリの残高を記録してもよい。

　このように、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、ステップＳ２２４において、ステップＳ２２３で取得したアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ＝１２）を格納したお応答パケットを生成して決済端末２００に送信する。
　ユーザ端末１００が、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリを有している場合は、図１４に示す応答パケット、有していない場合は、図１５、図１６に示すような応答パケットを生成して決済端末２００に送信する。

　　（ステップＳ２２５）
　ユーザ端末１００から応答パケットを受信した決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ステップＳ２２５において、受信した応答パケットの解析処理を実行する。具体的には、サービスＩＤ＝１をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリのアプリＩＤ（ＡＩＤ＝１２）を取得する処理を実行する。
　なお、応答パケットに残高情報が記録されている場合は、残高確認処理等も実行する。

　　（５－（３）ユーザ端末のＵＷＢ対応ＩＣカードアプリと、決済端末とのＵＷＢ通信による決済処理シーケンス）
　次に、（３）ユーザ端末のＵＷＢ対応ＩＣカードアプリと、決済端末とのＵＷＢ通信による決済処理シーケンスについて説明する。

　図１７～図１８を参照して、ユーザ端末のＵＷＢ対応ＩＣカードアプリと、決済端末とのＵＷＢ通信による決済処理シーケンスについて説明する。

　図１７～図１８には、左端に決済端末２００、右側にユーザ端末１００を示している。
　決済端末２００の構成要素として、左から、
　決済端末コントローラ２０１、
　ＵＷＢ通信部２１２、
　ＢＬＥ通信部２１３、
　これらの各構成要素を示している。

　図１７～図１８に示すステップＳ２３１以下の処理の詳細について、順次、説明する。
　なお、ステップＳ２３１の開始時点で、決済端末２００とユーザ端末１００はＵＷＢ通信セッションを確立しており、決済端末２００は、ＵＷＢ通信を適用したユーザ端末位置確認処理を継続中である。

　　（ステップＳ２３１）
　まず、ステップＳ２３１において、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ＵＷＢ通信によるユーザ端末位置確認結果を参照して、ユーザ端末１００が、予め規定した規定距離内、例えば改札ゲート内に入ったか否かを確認し、確認するとステップＳ２３２以下の処理（決済処理）を開始する。

　　（ステップＳ２３２）
　ユーザ端末１００が、予め規定した規定距離内、例えば改札ゲート内に入ったことが確認されると、まず、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ステップＳ２３２において、サービスＩＤ＝１をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリとの通信要求を、ＵＷＢ通信部２１２を介して、ユーザ端末１００に送信する。
　具体的には、アプリＩＤ（ＡＩＤ＝１２）を格納したＳＥＬＥＣＴコマンドを生成して送信する。

　　（ステップＳ２３３）
　ユーザ端末１００のＵＷＢ通信部１１２は、ステップＳ２３２で決済端末２００から送信されたＳＥＬＥＣＴコマンドパケットを受信すると、セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０に受信パケットを渡す。

　セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０は、パケット内のＳＥＬＥＣＴコマンドを認識し、パケット内に格納された通信要求対象アプリのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ＝１２）を取得する。
　このＡＩＤは、先のステップＳ２２３～Ｓ２２４においてユーザ端末１００のＵＷＢ通信データ解析アプリが取得し、決済端末２００に通知したＵＷＢ通信対応のＩＣカードアプリのＡＩＤである。
　セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０は、このＡＩＤ＝１２に対応するアプリケーション、すなわち、ＵＷＢ通信対応のＩＣカードアプリ（ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂ）を選択起動する。

　　（ステップＳ２３３～Ｓ２３４）
　ステップＳ２３２において、セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０によるアプリ選択起動処理によって起動されたＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂは、ステップＳ２３３において、自身が起動したことを示す起動応答パケットを生成して、ステップＳ２３４において、セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０、ＵＷＢ通信部１１２を介して決済端末２００に送信する。

　この送信データは、決済端末２００のＵＷＢ通信部２１２介して決済端末コントローラ２０１に入力され、決済端末コントローラ２０１は、ユーザ端末１００のＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂとのＵＷＢ通信が可能となったことを確認する。

　　（ステップＳ２４１）
　決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ステップＳ２４１において、ユーザ端末１００からの応答パケットに基づいてＵＷＢ通信対応ＩＣカードアプリとの通信セッションが確立されたことを確認し、決済処理、またはユーザ入場許可確認処理等のために必要となるＩＣカードアプリとの通信処理、データ処理開始する。

　　（ステップＳ２４２～Ｓ２４４）
　ステップＳ２４２～Ｓ２４４の処理は、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１と、ユーザ端末１００のＵＷＢ通信に対応したＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）とのＵＷＢ通信を適用した認証、決済処理のシーケンスである。

　ステップＳ２４２ａ～ｃにおける認証処理、
　ステップＳ２４３ａ～ｃにおける、ユーザ端末１００からのデータ読み出し処理、
　ステップＳ２４４ａ～ｃにおけるユーザ端末１００に対するデータ書き込み処理、
　例えばこれらの一連の処理が実行される。

　なお、これらの一連の処理はＵＷＢ通信を用いて実行される。例えば、ＵＷＢ通信で利用可能なパケットフレームとして規定されたＡＰＤＵ（Ａｐｐｌｉｃａｔｉｏｎ　Ｐｒｏｔｏｃｏｌ　Ｄａｔａ　Ｕｎｉｔ）を利用して送信される。前述したように、ＡＰＤＵとは、ＩＳＯ７８１６－４で規定されたパケットフレーム構成であり、ＵＷＢ通信で利用可能なパケットフレーム構成である。

　ステップＳ２４３ａ～ｃにおける、ユーザ端末１００からのデータ読み出し処理では、例えばユーザ端末１００のセキュアエレメント１２０内のセキュアメモリからＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂ対応の残高情報の読み出しなどが行われる。

　ステップＳ２４４ａ～ｃにおけるユーザ端末１００に対するデータ書き込み処理では、例えばユーザ端末１００のセキュアエレメント１２０内のセキュアメモリのＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂ対応の残高情報の更新処理、すなわち決済金額を減額した更新金額の書き込み処理が実行される。

　　（ステップＳ２４５）
　ステップＳ２４２～Ｓ２４４の一連の処理が完了すると、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ステップＳ２４５において、決済処理、またはユーザ入場許可確認処理等のために必要となるＩＣカードアプリとの通信処理、データ処理完了を確認して処理を終了する。

　なお、例えば改札の場合、ステップＳ２４２～Ｓ２４４の一連の処理が完了すると、ゲートの扉をオープンする処理を実行してユーザの通過を可能にする処理なども実行される。

　先に、図１４等を参照して説明したユーザ端末１００が決済端末２００に送信するＵＷＢ通信対応ＩＣカードアプリのアブリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を記録したパケットにＡＩＤのみならず、ＩＣカードアプリの固有識別子である（ＩＤｍ）を格納する例について説明した。

　このＩＣカードアプリ固有識別子（ＩＤｍ）を決済端末２００に通知することで、例えば図１８に示すステップＳ２４２～Ｓ２４４の途中でユーザ端末１００と決済端末２００とのＵＷＢ通信が途絶えた場合の処理負荷を低減することができる。
　以下、図１９を参照して、この具体例について説明する。

　図１９には、先に図１８を参照して説明したステップＳ２４２ａ以下の処理、すなわち認証処理や決済処理の実行ステップであるステップＳ２４２ａ以下の処理を示している。

　決済端末２００がステップＳ２４２ａにおいて、認証有給パケットをユーザ端末１００に送信した後、決済端末２００とユーザ端末１００間のＵＷＢ通信が途切れてしまったとする。
　この場合、ユーザ端末１００は、ステップＳ２７１においてＵＷＢ通信の接続が切れたことを検出すると、ステップＳ２７２において決済端末２００とのＵＷＢ通信の再接続を行う。

　ＵＷＢ通信が再接続されると、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ステップＳ２７３において、先のステップＳ２２４においてユーザ端末１００から受信した応答パケットに格納されていたＩＣカードアプリ固有識別子（ＩＤｍ）を格納した認証要求を送信する。

　例えば図２０に示すようなパケット（ＡＰＤＵパケット）を送信する。
　図２０に示すようにパケットは、ＩＣカードアプリ固有識別子（ＩＤｍ）と認証コマンドを含むパケットである。
　ユーザ端末１００のＵＷＢ通信部１１２はこのパケットをセキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）１２０に出力する。

　セキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）１２０は、パケット内のＩＣカードアプリ固有識別子（ＩＤｍ）を取得し、ユーザ端末１００のメモリに格納されているＩＣカードアプリ固有識別子（ＩＤｍ）とアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）との対応データを参照して、受信パケットに格納されたＩＣカードアプリ固有識別子（ＩＤｍ）に対応するアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を取得する。

　ユーザ端末１００のメモリに格納されているＩＣカードアプリ固有識別子（ＩＤｍ）とアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）との対応データの具体例を図２１に示す。
　ユーザ端末１００のメモリには、例えば図２１に示すように、サービスＩＤ、ＩＣカードアプリ固有識別子（ＩＤｍ）、アプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）、ＵＷＢ通信対応（対応＝１、非対応＝０）、これらのデータを対応付けたＩＣカードアプリケーション登録データが記録されている。

　ユーザ端末１００のセキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）１２０は、この対応データを参照して、決済端末２００から受信したパケットに格納されているＩＣカードアプリ固有識別子（ＩＤｍ）に対応するアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を取得し、取得したアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を持つＩＣカードアプリケーションに決済端末２００から再送された認証要求を渡すことが可能となり、その後の認証処理、決済処理を継続させることが可能となる。

　すなわち、再度、決済端末２００が、ＩＣカードアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を格納したセレクトコマンドを再送してＩＣカードアプリを再起動させるといった処理を省略することが可能となる。

　なお、図２２に示すように、ＩＣカードアプリ固有識別子（ＩＤｍ）は、ユーザ端末１００のセキュアエレメント（ＳＥ）１２０のＩＣカードアプリ群１２１に格納されたＩＣカードアプリの属性情報として記録されている情報である。

　次に、図２３に示すフローチャートを参照して、ユーザ端末１００のＵＷＢ通信データ解析アプリが、決済端末２００からのＵＷＢ通信対応ＩＣカードアプリのアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せに対して実行する処理のシーケンスについて説明する。
　すなわち、図２３に示すフローチャートは、図１３に示すステップＳ２２２～Ｓ２２４において実行する処理の詳細シーケンスである。
　図２４に示すフローチャートの各ステップの処理について、順次、説明する。

　　（ステップＳ３０１）
　まず、ユーザ端末１００のＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、ステップＳ３０１において、決済端末２００が送信したＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せコマンドを入力する。

　なお、決済端末２００が送信したＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せコマンドは、ユーザ端末１００のＵＷＢ通信部１１２と、セキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）１２０を介して、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３に入力される。

　　（ステップＳ３０２）
　決済端末２００が送信したＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せコマンドを入力したＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、ステップＳ３０２において、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリを検索する。

　例えば先に図８を参照して説明したＵＷＢ対応アプリケーション登録データを参照して、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を検索する。

　　（ステップＳ３０３）
　ステップＳ３０３は判定ステップである。
　ステップＳ３０２における検索処理において、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリが検出された場合は、ステップＳ３０４に進む。
　一方、検出されなかった場合はステップＳ３０５に進む。

　　（ステップＳ３０４）
　ステップＳ３０２における検索処理において、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリが検出された場合は、ステップＳ３０４の処理を実行する。

　この場合、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、ステップＳ３０４において、ステップＳ３０２の検索処理において取得したアプリケーションＩＤ、すなわち決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を格納した応答パケットを生成して決済端末２００に送信する。

　ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３が生成する応答パケットは、例えば、先に図１４を参照して説明した以下のデータを格納したパケットとして構成される。
　（データＤ１）決済端末２００の提供サービス対応の処理を実行可能なＩＣカードアプリの存在有無（有り＝１、無し＝０）
　（データＤ２）決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリの存在有無（有り＝１、無し＝０）
　（データＤ３）決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリのアプリＩＤ
　（データＤ４）決済端末２００の提供サービス対応の残高（オプション）
　（データＤ５）決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリに対応付けられたＩＣカード固有識別子（ＩＤｍ）（オプション）

　　（ステップＳ３０５）
　一方、ステップＳ３０２における検索処理において、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリが検出されなかった場合は、ステップＳ３０５の処理を実行する。

　この場合、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、ステップＳ３０５において、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリが検出されなかったことを示す応答パケットを生成して決済端末２００に送信する。

　この応答パケットは例えば先に図１５、図１６を参照して説明したデータ構成を有するパケットである。

　ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３がステップＳ３０４において生成したＡＩＤを格納した応答パケットが決済端末２００に送信された場合、その後、決済端末２００は応答パケットに格納されたアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を格納したセレクトコマンドをユーザ端末１００に送信する。
　ユーザ端末１００のセキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）はこのセレクトコマンドに従ってパケットに格納されたアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）によって特定されるＩＣカードアプリを起動する。その後、起動されたＩＣカードアプリと決済端末間でＵＷＢ通信による認証処理、決済処理を行うことが可能となる。

　このように、本開示のユーザ端末１００は、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３が、決済端末２００に対して、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を通知する。
　決済端末２００は、この通知によって得られたＡＩＤを指定しセレクトコマンドを出力して、特定のＩＣカードアプリ、すなわち、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリを起動させてＵＷＢ通信による通信処理を開始し、ＵＷＢ通信による認証処理や決済処理を行うことが可能となる。

　この構成によって、ユーザ端末１００と決済端末２００は、ＮＦＣ通信が可能な数ｃｍまで近づくことなく、ＵＷＢ通信が可能な数ｍ以内の距離で通信を開始し決済処理を行うことが可能となり、例えばユーザはバッグからスマホ等のユーザ端末１００を取り出すことなく、決済処理を行い、改札等のゲートを通過することができる。
　また、店舗端末を利用した決済処理もスマホ等のユーザ端末１００を取り出すことなく行うことが可能となる。

　　［６．（実施例２）本開示の実施例２の通信処理装置の構成と処理例について］
　次に、本開示の実施例２の通信処理装置の構成と処理例について説明する。

　図２４は、本開示の実施例２の通信処理装置であるユーザ端末３００と、ユーザ端末３００と通信を行う決済端末２００の構成例を示すブロック図である。
　図２４に示す実施例２のユーザ端末３００は、先に実施例１として説明した図５に示すユーザ端末１００のセキュアエレメント（ＳＥ）１２０内のＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３を有していない。

　先に説明した実施例１では、ユーザ端末１００のセキュアエレメント（ＳＥ）１２０内のＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３が、決済端末２００の提供サービスを処理可能なＵＷＢ対応ＩＣカードアプリのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を検索して、決済端末２００に通知する処理を実行していた。

　これに対して、図２４に示す本実施例２のユーザ端末３００は、ユーザ端末コントローラ１０１が、決済端末２００の提供サービスを処理可能なＵＷＢ対応ＩＣカードアプリのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を検索して、決済端末２００に通知する処理を実行する。

　まず、図２４を参照して、本実施例２の構成について説明する。
　図２４に示す決済端末２００は、例えば駅の改札や店舗に設置されたリーダライタ（Ｒ／Ｗ）を含む装置であり、スマホ等のユーザ端末３００との近接通信を実行して決済処理を行う。

　スマホ等のユーザ端末３００と決済端末２００は、各々３つの異なる通信部を有している。すなわち、図２４に示すユーザ端末３００は、ＮＦＣ通信部１１１、ＵＷＢ通信部１１２、ＢＬＥ通信部１１３を有している。同様に決済端末２００もＮＦＣ通信部２１１、ＵＷＢ通信部２１２、ＢＬＥ通信部２１３を有している。

　ユーザ端末３００のＮＦＣ通信部１１１と、決済端末２００のＮＦＣ通信部２１１間では、図３を参照して説明したと同様、近距離無線通信規格の１つであるＮＦＣ（Ｎｅａｒ　Ｆｉｅｌｄ　Ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎ）規格のＴｙｐｅ－Ｆ規格に従った無線通信を実行する。

　ユーザ端末３００のＵＷＢ通信部１１２と、決済端末２００のＵＷＢ通信部２１２間では、超広帯域無線通信であるＵＷＢ（Ｕｌｔｒａ　Ｗｉｄｅ　Ｂａｎｄ）通信を実行する。
　ユーザ端末３００のＢＬＥ通信部１１３と、決済端末２００のＢＬＥ通信部２１３間では、低消費電力型のブルートゥース（登録商標）通信であるＢＬＥ（Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ　Ｌｏｗ　Ｅｎｅｒｇｙ）通信を実行する。

　決済端末２００は、ユーザ端末３００がＢＬＥ通信可能距離（数１０ｍ）まで近づくと、ＢＬＥ通信によりユーザ端末３００を検出して、ユーザ端末３００とのＢＬＥ通信を確立することができる。

　図２４に示すようにユーザ端末３００は、ＮＦＣ通信部１１１、ＵＷＢ通信部１１２、ＢＬＥ通信部１１３、これら３つの通信部の他、ユーザ端末コントローラ（ＤＨ：Ｄｅｖｉｃｅ　Ｈｏｓｔ）１０１と、セキュアエレメント１２０を有している。
　決済端末２００は、ＮＦＣ通信部２１１、ＵＷＢ通信部２１２、ＢＬＥ通信部２１３、これら３つの通信部の他、決済端末コントローラ２０１を有している。

　ユーザ端末３００のセキュアエレメント１２０は、複数のＩＣカードアプリによって構成されるＩＣカードアプリ群１２１と、コマンド解析部１２２を有する。
　ＩＣカードアプリ群１２１には、図１、図２を参照して説明したような交通系ＩＣカードアプリや流通系ＩＣカードアプリ等、様々なＩＣカードアプリが含まれる。

　ユーザ端末３００のＮＦＣ通信部１１１と、決済端末２００のＮＦＣ通信部２１１間で実行するＮＦＣ通信は、先に図３を参照して説明した処理と同様の処理となる。
　すなわち、ユーザ端末３００のＮＦＣ通信部１１１と、決済端末２００のＮＦＣ通信部２１１が、所定距離、例えば数ｃｍまで近づくと、ＮＦＣ規格に従った無線通信が開始される。

　図２４に示すユーザ端末３００と決済端末２００は、ＮＦＣ通信部以外のＢＬＥ通信部やＵＷＢ通信部を有しており、ユーザ端末３００と決済端末２００との距離が数ｍ～数１０ｍ内になると、これらの通信部を介した通信が可能となる。

　ユーザ端末３００は、例えばＢＬＥ通信を利用して、図３を参照して説明したＮＦＣ通信において利用されるＴｙｐｅ－Ｆ固有コマンドによるＩＣカードアプリ選択処理と同様の処理を実現する。
　図２４に示すユーザ端末３００のユーザ端末コントローラ１０１が、決済端末２００から送信されるＢＬＥ通信データを解析し、ＩＣカードアプリの選択処理を実行する。

　図２４に示すセキュアエレメント１２０のコマンド解析部１２２は、ＮＦＣ通信部１１１を介して決済端末２００から受信するＴｙｐｅ－Ｆ固有コマンドを含むポーリング信号を解析してＴｙｐｅ－Ｆ固有コマンドのＩＣカードアプリ指定情報を取り出して、セキュアエレメント１２０に格納された複数のＩＣカードアプリから１つのＩＣカードアプリを選択して起動させる。この処理は、図３に示す従来構成と同様の処理である。

　図２４に示すユーザ端末３００は、さらにユーザ端末コントローラ１０１が、決済端末２００から送信されるＢＬＥ通信データを解析し、ＩＣカードアプリの選択処理を実行する。
　この処理を行うことで、ＮＦＣ通信が開始可能となる前に、ＵＷＢ通信による決済処理を行うことが可能となる。

　図２４に示すユーザ端末３００と決済端末２００間で実行される通信シーケンスの概要について説明する。

　ＢＬＥ通信可能領域に入ってきたユーザ端末３００は、決済端末２００が送信するアドバータイズパケットを受信すると、ユーザ端末識別子を含む応答パケットを決済端末２００に送信する。決済端末２００は、ユーザ端末３００の送信した応答パケットからユーザ端末識別子を取得することで、ユーザ端末３００を検出する。

　ユーザ端末が検出されると、決済端末２００は、次にユーザ端末３００の位置識別処理を開始する。
　決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ユーザ端末３００の位置識別処理を行うために、ＵＷＢ（Ｕｌｔｒａ　Ｗｉｄｅ　Ｂａｎｄ）通信を利用する。

　決済端末２００は、ＢＬＥ通信によりユーザ端末を検出すると、検出したユーザ端末３００の位置を識別するためのＵＷＢ通信信号を出力し、決済端末２００のＵＷＢ通信部２１２と、ユーザ端末３００のＵＷＢ通信部１１２との通信を確立して、ユーザ端末３００の位置識別処理を継続的に実行する。

　なお、決済端末２００のＵＷＢ通信部２１２は、ＵＷＢ通信によるセキュア測距において、ＴｏＡ（Ｔｉｍｅ　ｏｆ　Ａｒｒｉｖａｌ）と、ＡｏＡ（Ａｎｇｌｅ　ｏｆ　Ａｒｒｉｖａｌ）これらのデータ解析を行う。
　ＴｏＡ（Ｔｉｍｅ　ｏｆ　Ａｒｒｉｖａｌ）は、ＵＷＢ信号の送受信時間に相当し、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、この時間に基づいて、決済端末２００からユーザ端末３００までの距離を解析する。

　ＡｏＡ（Ａｎｇｌｅ　ｏｆ　Ａｒｒｉｖａｌ）は、ユーザ端末３００の送信信号が決済端末２００に入力する角度情報である。決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、この角度に基づいて、ユーザ端末３００の方向を解析する。
　決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、これらＴｏＡ，ＡｏＡの解析によりユーザ端末３００の位置を識別する。

　なお、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ユーザ端末３００の検出後、決済処理が開始または終了するまで、例えば決済端末２００の設置された改札を通過するまで、ユーザ端末位置識別処理を継続して実行する。

　決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ＵＷＢ通信によるセキュア測距の実行に並行して、ＢＬＥ通信とＵＷＢ通信によるＩＣカードアプリの選択とＩＣカードアプリとの通信を実行して決済処理などを行う。

　ＢＬＥ通信によるＩＣカードアプリの選択とＵＷＢ通信によるＩＣカードアプリとの通信処理のシーケンスの概要について説明する。
　決済端末２００は、まず、ユーザ端末３００のユーザ端末コントローラ１０１とのＢＬＥ通信を開始する。

　ユーザ端末コントローラ１０１とのＢＬＥ通信に成功すると、その後、決済端末２００は、ユーザ端末３００のユーザ端末コントローラ１０１に対して、決済処理に利用するＩＣカードアプリの指定情報（ＡＩＤ：アプリケーションＩＤ）の問合せパケットを送信する。

　ユーザ端末３００のユーザ端末コントローラ１０１は、決済端末２００から受信した問合せパケットに応じて、決済端末２００との決済処理に利用可能なＩＣカードアプリの指定情報（ＡＩＤ）を格納した応答パケットを生成して決済端末２００に送信する。

　次に、決済端末２００は、ユーザ端末から受信したＩＣカードアプリの指定情報（ＡＩＤ）を格納したＩＣカードアプリ選択コマンド（ＳＥＬＥＣＴコマンド）パケットをＵＷＢ通信によりユーザ端末３００に送信する。

　ユーザ端末３００のユーザ端末コントローラ１０１は、決済端末２００から受信したＩＣカードアプリの指定情報（ＡＩＤ）を格納したＩＣカードアプリ選択コマンド（ＳＥＬＥＣＴコマンド）からＩＣカードアプリ指定情報（ＡＩＤ）を取得する。

　ユーザ端末３００のユーザ端末コントローラ１０１は、ＩＣカードアプリ選択コマンド（ＳＥＬＥＣＴコマンド）から取得したＩＣカードアプリ指定情報（ＡＩＤ）をセキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）に渡す。セキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）は、ユーザ端末コントローラ１０１から受領したＩＣカードアプリ指定情報（ＡＩＤ）に対応する１つのＩＣカードアプリを選択して起動する。

　このように、本実施例２では、ユーザ端末３００のユーザ端末コントローラ１０１が、決済端末２００の提供サービスを処理可能なＵＷＢ対応ＩＣカードアプリのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を検索して、決済端末２００に通知する処理を実行する。
　この処理は、例えば１つのアプリケーションプログラムをユーザ端末コントローラ１０１において実行することで実現可能である。
　このアプリケーションプログラムは、実施例１において説明したＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３と同様、例えばユーザが所有する既存のスマホにいつでもインストールすることができるというメリットがある。

　前述したように、ＵＷＢ通信は通信可能距離が約１０ｍ程度であり、通信可能距離が数ｃｍであるＮＦＣ通信と異なり、ユーザ端末３００が決済端末２００とが密接していなくても通信が可能となる。

　従って、ユーザのスマホ（ユーザ端末３００）に上述の処理を実行するアプリケーションプログラムをインストールしておくことで、ユーザのバッグに入れたスマホが、改札から数ｍ離れた位置で、改札に備えられた決済端末とのＵＷＢ通信による決済処理を行うことが可能となり、ユーザはバッグに入れたスマホ等のユーザ端末を取り出すことなく、決済処理を行って改札を通過することが可能となる。

　　［７．実施例２の通信処理装置が実行する処理のシーケンスについて］
　次に、実施例２の通信処理装置、すなわち図２４に示すユーザ端末３００が実行する処理のシーケンスについて説明する。

　以下の処理のシーケンスについて、順次、説明する。
　（１）ユーザによるユーザ端末に対するＵＷＢ対応ＩＣカードアプリの登録処理シーケンス
　（２）ユーザ端末から決済端末に対するＵＷＢ対応ＩＣカードアプリの通知処理シーケンス
　（３）ユーザ端末のＵＷＢ対応ＩＣカードアプリと、決済端末とのＵＷＢ通信による決済処理シーケンス
　（４）ユーザ端末のＵＷＢ対応ＩＣカードアプリと、決済端末との通信を、ユーザ端末コントローラを介したＢＬＥ通信により実行する決済処理シーケンス

　　（７－（１）ユーザによるユーザ端末に対するＵＷＢ対応ＩＣカードアプリの登録処理シーケンス）
　まず、（１）ユーザによるユーザ端末に対するＵＷＢ対応ＩＣカードアプリの登録処理シーケンスについて説明する。

　なお、「ＵＷＢ対応アプリケーション登録データ」に対するＩＣカードアプリの属性情報記録処理は、ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１自らが実行する構成としてもよいし、図２５を参照して説明するシーケンスに従って、ユーザ要求に応じて実行する構成としてもよい。

　図２５は、ユーザによるユーザ端末に対するＵＷＢ対応ＩＣカードアプリの登録処理シーケンスを説明するシーケンス図である。

　図２５には、左端にユーザ１５０、右側にユーザ端末３００を示し、ユーザ端末３００の構成要素として、左から、
　ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１、
　ＩＣカード１アプリ（ＡＩＤ＝１１）１２１ａ、
　ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂ、
　ＩＣカード３アプリ（ＡＩＤ＝２１）１２１ｃ、
　これらを示している。

　図２５に示すステップＳ４０１～Ｓ４０３の各処理の詳細について、順次、説明する。
　　（ステップＳ４０１～Ｓ４０２）
　まず、ユーザ１５０は、ステップＳ４０１において、ＵＷＢ対応ＩＣカードアプリとして登録する特定のカードアプリの指定情報を入力する。
　なお、この処理は、例えばユーザがユーザ端末に新たにインストールしたＩＣカードアプリをＵＷＢ対応ＩＣカードアプリとして登録する場合に実行される。

　ユーザは、新たにインストールしたＩＣカードアプリの情報をユーザ端末３００の表示部に表示し、表示されたＩＣカードアプリを「ＵＷＢ対応ＩＣカードアプリ」としてユーザ端末３００登録する登録要求を入力する。
　例えば「ＵＷＢ対応ＩＣカードアプリとして登録」といった表示のあるアイコンをタップする。

　このタップ処理により、ユーザ端末３００の表示部に表示中のＩＣカードアプリの属性情報がＩＣカードアプリから読み出され、ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１に入力される。

　　（ステップＳ４０２）
　次に、ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１は、ステップＳ４０２において、ユーザから指定されたＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）の存在確認を実行する。

　ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１は、ステップＳ４０２において、セキュアエレメント（ＳＥ）１２０のＩＣカードアプリ群１２１を参照し、ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）が存在するか否かを確認する。

　ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）の存在が確認された場合は、ステップＳ４０３に進む。
　一方、ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）の存在が確認されなかった場合は、ステップＳ４０３に進むことなく、エラーメッセージをユーザ端末３００の表示部に出力して処理を終了する。

　　（ステップＳ４０３）
　ユーザからＵＷＢ通信適用カードとして登録要求のあったＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）の存在が確認された場合は、ステップＳ４０３に進む。

　この場合、ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１は、ステップＳ４０３において、ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）を、先に図８を参照して説明したテーブル、すなわち「ＵＷＢ対応アプリケーション登録データ」テーブルに登録する。

　　（７－（２）ユーザ端末から決済端末に対するＵＷＢ対応ＩＣカードアプリの通知処理シーケンス）
　次に、（２）ユーザ端末から決済端末に対するＵＷＢ対応ＩＣカードアプリの通知処理シーケンスについて説明する。

　図２６～図２７を参照して、ユーザ端末から決済端末に対するＵＷＢ対応ＩＣカードアプリの通知処理シーケンスについて説明する。

　図２６～図２７には、左端に決済端末２００、右側にユーザ端末３００を示している。
　決済端末２００の構成要素として、左から、
　決済端末コントローラ２０１、
　ＵＷＢ通信部２１２、
　ＢＬＥ通信部２１３、
　これらの各構成要素を示している。

　一方、ユーザ端末３００の構成要素として、左から、
　ＢＬＥ通信部１１３、
　ＵＷＢ通信部１１２、
　セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０、
　ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂ、
　ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１、
　これらを示している。

　図２６～図２７に示すステップＳ４１１以下の処理の詳細について、順次、説明する。
　　（ステップＳ４１１）
　まず、ステップＳ４１１において、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ＢＬＥ通信部２１３からユーザ端末検出とＢＬＥ通信コネクション確立要求パケットであるアドバータイズ（Ａｄｖｅｒｔｉｓｅ）パケットをブロードキャストする。

　前述したように、ＢＬＥ通信規格には、デバイス検知のためのブロードキャストパケットとして、ＡＤＶ＿ＩＮＤパケット（Ｇｅｎｅｒａｌ　Ａｄｖｅｒｔｉｓｉｎｇ　Ｉｎｄｉｃａｔｉｏｎパケット）が規定されている。
　ステップＳ４１１において、決済端末２００は、ＢＬＥ通信部２１３からアドバータイズ（Ａｄｖｅｒｔｉｓｅ）パケットをブロードキャストする。

　　（ステップＳ４１２）
　ＢＬＥ通信可能領域（例えば数１０ｍ）に入ってきたユーザ端末３００は、決済端末２００が送信するアドバータイズパケットを受信すると、ステップＳ４１２において、ユーザ端末識別子を含む応答パケットを決済端末２００に送信する。決済端末２００は、ユーザ端末３００の送信した応答パケットからユーザ端末識別子を取得することで、ユーザ端末３００を検出する。

　ユーザ端末が検出されると、決済端末２００は、次にユーザ端末３００の位置識別処理を開始するため、ユーザ端末３００からユーザ端末位置解析用データを取得する処理を行う。

　前述したように、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ユーザ端末３００の位置識別処理を行うために、ＵＷＢ（Ｕｌｔｒａ　Ｗｉｄｅ　Ｂａｎｄ）通信を利用する。

　　（ステップＳ４１３～Ｓ４１５）
　次に、ステップＳ４１３において、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ＵＷＢ通信部２１２を介して、ユーザ端末３００のＵＷＢ通信部１１２との間でＵＷＢ通信を適用したユーザ端末位置識別処理を開始する。

　決済端末２００は、ステップＳ４１１～Ｓ４１２でＢＬＥ通信によりユーザ端末を検出すると、ステップＳ４１３において、検出したユーザ端末３００の位置を識別するためのＵＷＢ通信信号を出力し、決済端末２００のＵＷＢ通信部２１２と、ユーザ端末３００のＵＷＢ通信部１１２との通信を確立して、ユーザ端末３００の位置識別処理を開始し、その後、ユーザ端末位置識別処理を継続的に実行する。

　なお、前述したように、決済端末２００のＵＷＢ通信部２１２は、ＵＷＢ通信によるセキュア測距において、ＴｏＡ（Ｔｉｍｅ　ｏｆ　Ａｒｒｉｖａｌ）と、ＡｏＡ（Ａｎｇｌｅ　ｏｆ　Ａｒｒｉｖａｌ）これらのデータ解析を行う。
　ＴｏＡ（Ｔｉｍｅ　ｏｆ　Ａｒｒｉｖａｌ）は、ＵＷＢ信号の送受信時間に相当し、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、この時間に基づいて、決済端末２００からユーザ端末３００までの距離を解析する。

　　（ステップＳ４２１）
　次に、図２７に示すステップＳ４２１の処理について説明する。
　決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ステップＳ４２１において、ＢＬＥ通信部２１３を介したＢＬＥ通信により、ユーザ端末３００のユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１に対して、ＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）の問合せコマンドを送信する。

　すなわち、決済端末２００の提供するサービス（サービスＩＤ＝１）に対応する決済処理をＵＷＢ通信で実行可能なアプリＩＤ（ＡＩＤ）を問合せるコマンドを送信する。

　なお、このＩＣカードアプリのＡＩＤ問合せコマンドは、ＢＬＥ通信で利用可能なパケットフレームとして規定されたＡＰＤＵ（Ａｐｐｌｉｃａｔｉｏｎ　Ｐｒｏｔｏｃｏｌ　Ｄａｔａ　Ｕｎｉｔ）を利用して送信される。
　ＡＰＤＵとは、ＩＳＯ７８１６－４で規定されたパケットフレーム構成であり、ＢＬＥ通信で利用可能なパケットフレーム構成である。

　　（ステップＳ４２２）
　ユーザ端末３００のＢＬＥ通信部１１３は、ステップＳ４２２において、決済端末２００が送信したＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せコマンドを受信し、受信コマンドをユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１に入力する。

　　（ステップＳ４２３）
　決済端末２００が送信したＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せコマンドを入力したユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１は、ステップＳ４２３において以下の処理を実行する。

　ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１は、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリを検索して、検索されたアプリのアプリＩＤ（ＡＩＤ＝１２）を取得する。
　例えば先に図８を参照して説明したＵＷＢ対応アプリケーション登録データを参照して、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を検索する。

　図８に示す例では、サービスＩＤ＝１をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）は、ＡＩＤ＝１２であり、ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１は、このアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ＝１２）を取得する。

　　（ステップＳ４２４）
　次に、ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１は、ステップＳ４２４において、ステップＳ４２３で取得したアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ＝１２）を格納した応答パケットを生成して決済端末２００に送信する。
　応答パケットは、ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１からＢＬＥ通信部１１３を介して送信され、決済端末２００のＢＬＥ通信部２１３において受信されて決済端末コントローラ２０１に入力される。

　なお、決済端末２００からのＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せコマンドに対して、ユーザ端末３００のユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１が生成する応答パケットのデータ構成は、先に図１４～図１６を参照して説明した構成と同様の構成である。

　すなわち、先に図１４を参照して説明したように、応答パケットは、例えば以下のデータを格納したパケットとして構成される。
　（データＤ１）決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）対応の処理を実行可能なＩＣカードアプリの存在有無（有り＝１、無し＝０）
　（データＤ２）決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリの存在有無（有り＝１、無し＝０）
　（データＤ３）決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリのアプリＩＤ（ＡＩＤ＝１２）
　（データＤ４）決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）対応の残高（オプション）
　（データＤ５）決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリに対応付けられたＩＣカード固有識別子（ＩＤｍ）（オプション）

　ユーザ端末３００が、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリを有している場合は、図１４に示す応答パケット、有していない場合は、図１５、図１６に示すような応答パケットを生成して決済端末２００に送信する。

　　（ステップＳ４２４）
　ユーザ端末３００から応答パケットを受信した決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ステップＳ４２４において、受信した応答パケットの解析処理を実行する。具体的には、サービスＩＤ＝１をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリのアプリＩＤ（ＡＩＤ＝１２）を取得する処理を実行する。
　なお、応答パケットに残高情報が記録されている場合は、残高確認処理等も実行する。

　　（７－（３）ユーザ端末のＵＷＢ対応ＩＣカードアプリと、決済端末とのＵＷＢ通信による決済処理シーケンス）
　次に、（３）ユーザ端末のＵＷＢ対応ＩＣカードアプリと、決済端末とのＵＷＢ通信による決済処理シーケンスについて説明する。

　図２８～図２９を参照して、ユーザ端末のＵＷＢ対応ＩＣカードアプリと、決済端末とのＵＷＢ通信による決済処理シーケンスについて説明する。

　図２８～図２９には、左端に決済端末２００、右側にユーザ端末３００を示している。
　決済端末２００の構成要素として、左から、
　決済端末コントローラ２０１、
　ＵＷＢ通信部２１２、
　ＢＬＥ通信部２１３、
　これらの各構成要素を示している。

　図２８～図２９に示すステップＳ４３１以下の処理の詳細について、順次、説明する。
　なお、ステップＳ４３１の開始時点で、決済端末２００とユーザ端末３００はＵＷＢ通信セッションを確立しており、決済端末２００は、ＵＷＢ通信を適用したユーザ端末位置確認処理を継続中である。

　　（ステップＳ４３１）
　まず、ステップＳ４３１において、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ＵＷＢ通信によるユーザ端末位置確認結果を参照して、ユーザ端末３００が、予め規定した規定距離内、例えば改札ゲート内に入ったか否かを確認し、確認するとステップＳ４３２以下の処理（決済処理）を開始する。

　　（ステップＳ４３２）
　ユーザ端末３００が、予め規定した規定距離内、例えば改札ゲート内に入ったことが確認されると、まず、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ステップＳ４３２において、サービスＩＤ＝１をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリとの通信要求を、ＵＷＢ通信部２１２を介して、ユーザ端末３００に送信する。
　具体的には、アプリＩＤ（ＡＩＤ＝１２）を格納したＳＥＬＥＣＴコマンドを生成して送信する。

　　（ステップＳ４３３）
　ユーザ端末３００のＵＷＢ通信部１１２は、ステップＳ４３２で決済端末２００から送信されたＳＥＬＥＣＴコマンドパケットを受信すると、セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０に受信パケットを渡す。

　セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０は、パケット内のＳＥＬＥＣＴコマンドを認識し、パケット内に格納された通信要求対象アプリのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ＝１２）を取得する。
　このＡＩＤは、先のステップＳ４２２～Ｓ４２３においてユーザ端末３００のユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１が取得し、決済端末２００に通知したＵＷＢ通信対応のＩＣカードアプリのＡＩＤである。
　セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０は、このＡＩＤ＝１２に対応するアプリケーション、すなわち、ＵＷＢ通信対応のＩＣカードアプリ（ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂ）を選択起動する。

　　（ステップＳ４３３～Ｓ４３４）
　ステップＳ４３２において、セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０によるアプリ選択起動処理によって起動されたＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂは、ステップＳ４３３において、自身が起動したことを示す起動応答パケットを生成して、ステップＳ４３４において、セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０、ＵＷＢ通信部１１２を介して決済端末２００に送信する。

　この送信データは、決済端末２００のＵＷＢ通信部２１２介して決済端末コントローラ２０１に入力され、決済端末コントローラ２０１は、ユーザ端末３００のＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂとのＵＷＢ通信が可能となったことを確認する。

　　（ステップＳ４４１）
　決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ステップＳ４４１において、ユーザ端末３００からの応答パケットに基づいてＵＷＢ通信対応ＩＣカードアプリとの通信セッションが確立されたことを確認し、決済処理、またはユーザ入場許可確認処理等のために必要となるＩＣカードアプリとの通信処理、データ処理開始する。

　　（ステップＳ４４２～Ｓ４４４）
　ステップＳ４４２～Ｓ４４４の処理は、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１と、ユーザ端末３００のＵＷＢ通信に対応したＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂとのＵＷＢ通信を適用した認証、決済処理のシーケンスである。

　ステップＳ４４２ａ～ｃにおける認証処理、
　ステップＳ４４３ａ～ｃにおける、ユーザ端末３００からのデータ読み出し処理、
　ステップＳ４４４ａ～ｃにおけるユーザ端末３００に対するデータ書き込み処理、
　例えばこれらの一連の処理が実行される。

　ステップＳ４４３ａ～ｃにおける、ユーザ端末３００からのデータ読み出し処理では、例えばユーザ端末３００のセキュアエレメント１２０内のセキュアメモリからＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂ対応の残高情報の読み出しなどが行われる。

　ステップＳ４４４ａ～ｃにおけるユーザ端末３００に対するデータ書き込み処理では、例えばユーザ端末３００のセキュアエレメント１２０内のセキュアメモリのＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂ対応の残高情報の更新処理、すなわち決済金額を減額した更新金額の書き込み処理が実行される。

　　（ステップＳ４４５）
　ステップＳ４４２～Ｓ４４４の一連の処理が完了すると、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ステップＳ４４５において、決済処理、またはユーザ入場許可確認処理等のために必要となるＩＣカードアプリとの通信処理、データ処理完了を確認して処理を終了する。

　なお、例えば改札の場合、ステップＳ４４２～Ｓ４４４の一連の処理が完了すると、ゲートの扉をオープンする処理を実行してユーザの通過を可能にする処理なども実行される。

　次に、図３０に示すフローチャートを参照して、ユーザ端末３００のユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１が、決済端末２００からのＵＷＢ通信対応ＩＣカードアプリのアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せに対して実行する処理のシーケンスについて説明する。
　すなわち、図３０に示すフローチャートは、図２７に示すステップＳ４２１～Ｓ４２３において実行する処理の詳細シーケンスである。
　図３０に示すフローチャートの各ステップの処理について、順次、説明する。

　　（ステップＳ４５１）
　まず、ユーザ端末３００のユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１は、ステップＳ４５１において、決済端末２００が送信したＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せコマンドを入力する。

　なお、決済端末２００が送信したＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せコマンドは、ユーザ端末３００のＢＬＥ通信部１１３を介して、ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１に入力される。

　　（ステップＳ４５２）
　決済端末２００が送信したＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せコマンドを入力したユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１は、ステップＳ４５２において、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリを検索する。

　　（ステップＳ４５３）
　ステップＳ４５３は判定ステップである。
　ステップＳ４５２における検索処理において、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリが検出された場合は、ステップＳ４５４に進む。
　一方、検出されなかった場合はステップＳ４５５に進む。

　　（ステップＳ４５４）
　ステップＳ４５２における検索処理において、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリが検出された場合は、ステップＳ４５４の処理を実行する。

　この場合、ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１は、ステップＳ４５４において、ステップＳ４５２の検索処理において取得したアプリケーションＩＤ、すなわち決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を格納した応答パケットを生成して決済端末２００に送信する。

　ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１が生成する応答パケットは、例えば、先に図１４を参照して説明した以下のデータを格納したパケットとして構成される。
　（データＤ１）決済端末２００の提供サービス対応の処理を実行可能なＩＣカードアプリの存在有無（有り＝１、無し＝０）
　（データＤ２）決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリの存在有無（有り＝１、無し＝０）
　（データＤ３）決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリのアプリＩＤ
　（データＤ４）決済端末２００の提供サービス対応の残高（オプション）
　（データＤ５）決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリに対応付けられたＩＣカード固有識別子（ＩＤｍ）（オプション）

　　（ステップＳ４５５）
　一方、ステップＳ４５２における検索処理において、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリが検出されなかった場合は、ステップＳ４５５の処理を実行する。

　この場合、ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１は、ステップＳ４５５において、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリが検出されなかったことを示す応答パケットを生成して決済端末２００に送信する。

　ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１がステップＳ４５４において生成したＡＩＤを格納した応答パケットが決済端末２００に送信された場合、その後、決済端末２００は応答パケットに格納されたアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を格納したセレクトコマンドをユーザ端末３００に送信する。
　ユーザ端末３００のセキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）はこのセレクトコマンドに従ってパケットに格納されたアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）によって特定されるＩＣカードアプリを起動する。その後、起動されたＩＣカードアプリと決済端末間でＵＷＢ通信による認証処理、決済処理を行うことが可能となる。

　このように、本実施例のユーザ端末３００は、ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１が、決済端末２００に対して、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を通知する。
　決済端末２００は、この通知によって得られたＡＩＤを指定しセレクトコマンドを出力して、特定のＩＣカードアプリ、すなわち、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリを起動させてＵＷＢ通信による通信処理を開始し、ＵＷＢ通信による認証処理や決済処理を行うことが可能となる。

　この構成によって、ユーザ端末３００と決済端末２００は、ＮＦＣ通信が可能な数ｃｍまで近づくことなく、ＵＷＢ通信が可能な数ｍ以内の距離で通信を開始し決済処理を行うことが可能となり、例えばユーザはバッグからスマホ等のユーザ端末３００を取り出すことなく、決済処理を行い、改札等のゲートを通過することができる。
　また、店舗端末を利用した決済処理もスマホ等のユーザ端末３００を取り出すことなく行うことが可能となる。

　　（７－（４）ユーザ端末のＵＷＢ対応ＩＣカードアプリと、決済端末との通信を、ユーザ端末コントローラを介したＢＬＥ通信により実行する決済処理シーケンス）
　次に、（４）ユーザ端末のＵＷＢ対応ＩＣカードアプリと、決済端末との通信を、ユーザ端末コントローラを介したＢＬＥ通信により実行する決済処理シーケンスについて説明する。

　先に図２８～図２９を参照して説明した処理は、ユーザ端末のＵＷＢ対応ＩＣカードアプリと、決済端末とがＵＷＢ通信を実行して決済処理を行うシーケンスであった。
　以下に説明するシーケンスは、この図２８～図２９を参照して説明した処理に置き換えて実行することを可能とした処理である。

　すなわち、ユーザ端末のＵＷＢ対応ＩＣカードアプリと、決済端末との通信を、ユーザ端末コントローラを介したＢＬＥ通信により実行する決済処理シーケンスである。
　以下、この処理シーケンスについて、図３１へ図３２を参照して説明する。
　なお、図３１～図３２に示す処理シーケンスの前に、図２５～図２７に示すシーケンスに従った処理が実行されているものとする。

　図３１～図３２には、左端に決済端末２００、右側にユーザ端末３００を示している。
　決済端末２００の構成要素として、左から、
　決済端末コントローラ２０１、
　ＵＷＢ通信部２１２、
　ＢＬＥ通信部２１３、
　これらの各構成要素を示している。

　図３１～図３２に示すステップＳ４７１以下の処理の詳細について、順次、説明する。
　なお、ステップＳ４７１の開始時点で、決済端末２００とユーザ端末３００はＵＷＢ通信セッションを確立しており、決済端末２００は、ＵＷＢ通信を適用したユーザ端末位置確認処理を継続中である。

　　（ステップＳ４７１）
　まず、ステップＳ４７１において、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ＵＷＢ通信によるユーザ端末位置確認結果を参照して、ユーザ端末３００が、予め規定した規定距離内、例えば改札ゲート内に入ったか否かを確認し、確認するとステップＳ４７２以下の処理（決済処理）を開始する。

　　（ステップＳ４７２）
　ユーザ端末３００が、予め規定した規定距離内、例えば改札ゲート内に入ったことが確認されると、まず、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ステップＳ４７２において、サービスＩＤ＝１をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリとの通信要求を、ＢＬＥ通信部２１３を介して、ユーザ端末３００に送信する。
　具体的には、アプリＩＤ（ＡＩＤ＝１２）を格納したＳＥＬＥＣＴコマンドを生成して送信する。

　　（ステップＳ４７３）
　ユーザ端末３００のＢＬＥ通信部１１３は、ステップＳ４７２で決済端末２００から送信されたＳＥＬＥＣＴコマンドパケットを受信すると、ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１に受信パケットを渡す。

　ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１は、受信パケットを、セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０に転送する。セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０は、パケット内のＳＥＬＥＣＴコマンドを認識し、パケット内に格納された通信要求対象アプリのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ＝１２）を取得する。
　このＡＩＤは、先に図２７を参照して説明したステップＳ４２２～Ｓ４２３においてユーザ端末３００のユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１が取得し、決済端末２００に通知したＵＷＢ通信対応のＩＣカードアプリのＡＩＤである。
　セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０は、このＡＩＤ＝１２に対応するアプリケーション、すなわち、ＵＷＢ通信対応のＩＣカードアプリ（ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂ）を選択起動する。

　　（ステップＳ４７３～Ｓ４７４）
　ステップＳ４７２において、セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０によるアプリ選択起動処理によって起動されたＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂは、ステップＳ４７３において、自身が起動したことを示す起動応答パケットを生成して、ステップＳ４７４において、セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０、ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１、ＢＬＥ通信部１１３を介して決済端末２００に送信する。

　この送信データは、決済端末２００のＢＬＥ通信部２１３介して決済端末コントローラ２０１に入力され、決済端末コントローラ２０１は、ユーザ端末３００のＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂとの通信が可能となったことを確認する。

　　（ステップＳ４８１）
　決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ステップＳ４８１において、ユーザ端末３００からの応答パケットに基づいてＵＷＢ通信対応ＩＣカードアプリとの通信セッションが確立されたことを確認し、決済処理、またはユーザ入場許可確認処理等のために必要となるＩＣカードアプリとの通信処理、データ処理開始する。

　　（ステップＳ４８２～Ｓ４８４）
　ステップＳ４８２～Ｓ４８４の処理は、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１と、ユーザ端末３００のＵＷＢ通信に対応したＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂとの通信を、ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１を介して実行する認証、決済処理のシーケンスである。

　ステップＳ４８２ａ～ｃにおける認証処理、
　ステップＳ４８３ａ～ｃにおける、ユーザ端末３００からのデータ読み出し処理、
　ステップＳ４８４ａ～ｃにおけるユーザ端末３００に対するデータ書き込み処理、
　例えばこれらの一連の処理が実行される。

　なお、これらの一連の処理は、ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１を介したＢＬＥ通信によって実行される。
　例えば、ＢＬＥ通信で利用可能なパケットフレームとして規定されたＡＰＤＵ（Ａｐｐｌｉｃａｔｉｏｎ　Ｐｒｏｔｏｃｏｌ　Ｄａｔａ　Ｕｎｉｔ）を利用して送信される。前述したように、ＡＰＤＵとは、ＩＳＯ７８１６－４で規定されたパケットフレーム構成であり、ＢＬＥ通信で利用可能なパケットフレーム構成である。

　ステップＳ４８３ａ～ｃにおける、ユーザ端末３００からのデータ読み出し処理では、例えばユーザ端末３００のセキュアエレメント１２０内のセキュアメモリからＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂ対応の残高情報の読み出しなどが行われる。

　ステップＳ４８４ａ～ｃにおけるユーザ端末３００に対するデータ書き込み処理では、例えばユーザ端末３００のセキュアエレメント１２０内のセキュアメモリのＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂ対応の残高情報の更新処理、すなわち決済金額を減額した更新金額の書き込み処理が実行される。

　　（ステップＳ４８５）
　ステップＳ４８２～Ｓ４８４の一連の処理が完了すると、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ステップＳ４８５において、決済処理、またはユーザ入場許可確認処理等のために必要となるＩＣカードアプリとの通信処理、データ処理完了を確認して処理を終了する。

　なお、例えば改札の場合、ステップＳ４８２～Ｓ４８４の一連の処理が完了すると、ゲートの扉をオープンする処理を実行してユーザの通過を可能にする処理なども実行される。

　　［８．（実施例３）本開示の実施例３の通信処理装置の構成と処理例について］
　次に、本開示の実施例３の通信処理装置の構成と処理例について説明する。

　図３３は、本開示の実施例３の通信処理装置であるユーザ端末４００と、ユーザ端末４００と通信を行う決済端末２００の構成例を示すブロック図である。
　図３３に示す実施例３のユーザ端末４００は、先に実施例１として説明した図５に示すユーザ端末１００と異なり、ユーザ端末４００のセキュアエレメント（ＳＥ）１２０内のＩＣカードアプリ群１２１内のＩＣカードアプリが、直接、ＵＷＢ通信部１１２を介して決済端末２００と通信を行うことができない構成となっている。

　ユーザ端末４００のセキュアエレメント（ＳＥ）１２０内のＩＣカードアプリ群１２１内のＩＣカードアプリは、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３、あるいはユーザ端末コントローラ１０１を介してＵＷＢ通信を行う構成となっている。
　その他の構成は、先に図５を参照して説明した構成と同様の構成である。

　図３４以下を参照して、実施例３の通信処理装置、すなわち図３３に示すユーザ端末４００が実行する処理のシーケンスについて説明する。

　　（８－（１）ユーザによるユーザ端末に対するＵＷＢ対応ＩＣカードアプリの登録処理シーケンス）
　まず、（１）ユーザによるユーザ端末に対するＵＷＢ対応ＩＣカードアプリの登録処理シーケンスについて説明する。

　なお、「ＵＷＢ対応アプリケーション登録データ」に対するＩＣカードアプリの属性情報記録処理は、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３自らが実行する構成としてもよいし、図３４を参照して説明するシーケンスに従って、ユーザ要求に応じて実行する構成としてもよい。

　図３４は、ユーザによるユーザ端末に対するＵＷＢ対応ＩＣカードアプリの登録処理シーケンスを説明するシーケンス図である。

　図３４には、左端にユーザ１５０、右側にユーザ端末４００を示し、ユーザ端末４００の構成要素として、左から、
　ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１、
　ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３、
　ＩＣカード１アプリ（ＡＩＤ＝１１）１２１ａ、
　ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂ、
　ＩＣカード３アプリ（ＡＩＤ＝２１）１２１ｃ、
　これらを示している。

　図３４に示すステップＳ６０１～Ｓ６０４の各処理の詳細について、順次、説明する。
　　（ステップＳ６０１～Ｓ６０２）
　まず、ユーザ１５０は、ステップＳ６０１において、ＵＷＢ対応ＩＣカードアプリとして登録する特定のカードアプリの指定情報を入力する。
　なお、この処理は、例えばユーザがユーザ端末に新たにインストールしたＩＣカードアプリをＵＷＢ対応ＩＣカードアプリとして登録する場合に実行される。

　ユーザは、新たにインストールしたＩＣカードアプリの情報をユーザ端末４００の表示部に表示し、表示されたＩＣカードアプリを「ＵＷＢ対応ＩＣカードアプリ」としてユーザ端末４００登録する登録要求を入力する。
　例えば「ＵＷＢ対応ＩＣカードアプリとして登録」といった表示のあるアイコンをタップする。

　このタップ処理により、ユーザ端末４００の表示部に表示中のＩＣカードアプリの属性情報がＩＣカードアプリから読み出され、ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１を介して、ステップＳ６０２において、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３に入力される。

　　（ステップＳ６０３）
　次に、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、ステップＳ６０３において、ユーザから指定されたＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）の存在確認を実行する。

　ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、ステップＳ６０３において、セキュアエレメント（ＳＥ）１２０のＩＣカードアプリ群１２１を参照し、ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）が存在するか否かを確認する。

　ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）の存在が確認された場合は、ステップＳ６０４に進む。
　一方、ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）の存在が確認されなかった場合は、ステップＳ６０４に進むことなく、エラーメッセージをユーザ端末４００の表示部に出力して処理を終了する。

　　（ステップＳ６０４）
　ユーザからＵＷＢ通信適用カードとして登録要求のあったＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）の存在が確認された場合は、ステップＳ６０４に進む。

　この場合、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、ステップＳ６０４において、ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）を、先に図８を参照して説明したテーブル、すなわち「ＵＷＢ対応アプリケーション登録データ」テーブルに登録する。

　　（８－（２）ユーザ端末から決済端末に対するＵＷＢ対応ＩＣカードアプリの通知処理シーケンス）
　次に、（２）ユーザ端末から決済端末に対するＵＷＢ対応ＩＣカードアプリの通知処理シーケンスについて説明する。

　図３５～図３７を参照して、ユーザ端末から決済端末に対するＵＷＢ対応ＩＣカードアプリの通知処理シーケンスについて説明する。

　図３５～図３７には、左端に決済端末２００、右側にユーザ端末４００を示している。
　決済端末２００の構成要素として、左から、
　決済端末コントローラ２０１、
　ＵＷＢ通信部２１２、
　ＢＬＥ通信部２１３、
　これらの各構成要素を示している。

　一方、ユーザ端末４００の構成要素として、左から、
　ＢＬＥ通信部１１３、
　ＵＷＢ通信部１１２、
　セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０、
　ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂ、
　ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３、
　ユーザ端末コントローラ（ＤＨ内通信制御部）１０１、
　これらを示している。

　図３５～図３７に示すステップＳ７０１以下の処理の詳細について、順次、説明する。
　　（ステップＳ７０１）
　まず、ステップＳ７０１において、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ＢＬＥ通信部２１３からユーザ端末検出とＢＬＥ通信コネクション確立要求パケットであるアドバータイズ（Ａｄｖｅｒｔｉｓｅ）パケットをブロードキャストする。

　前述したように、ＢＬＥ通信規格には、デバイス検知のためのブロードキャストパケットとして、ＡＤＶ＿ＩＮＤパケット（Ｇｅｎｅｒａｌ　Ａｄｖｅｒｔｉｓｉｎｇ　Ｉｎｄｉｃａｔｉｏｎパケット）が規定されている。
　ステップＳ７０１において、決済端末２００は、ＢＬＥ通信部２１３からアドバータイズ（Ａｄｖｅｒｔｉｓｅ）パケットをブロードキャストする。

　　（ステップＳ７０２）
　ＢＬＥ通信可能領域（例えば数１０ｍ）に入ってきたユーザ端末４００は、決済端末２００が送信するアドバータイズパケットを受信すると、ステップＳ７０２において、ユーザ端末識別子を含む応答パケットを決済端末２００に送信する。決済端末２００は、ユーザ端末４００の送信した応答パケットからユーザ端末識別子を取得することで、ユーザ端末４００を検出する。

　ユーザ端末が検出されると、決済端末２００は、次にユーザ端末４００の位置識別処理を開始するため、ユーザ端末４００からユーザ端末位置解析用データを取得する処理を行う。

　前述したように、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ユーザ端末４００の位置識別処理を行うために、ＵＷＢ（Ｕｌｔｒａ　Ｗｉｄｅ　Ｂａｎｄ）通信を利用する。

　　（ステップＳ７０３～Ｓ７０５）
　次に、ステップＳ７０３において、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ＵＷＢ通信部２１２を介して、ユーザ端末４００のＵＷＢ通信部１１２との間でＵＷＢ通信を適用したユーザ端末位置識別処理を開始する。

　決済端末２００は、ステップＳ７０１～Ｓ７０２でＢＬＥ通信によりユーザ端末を検出すると、ステップＳ７０３において、検出したユーザ端末４００の位置を識別するためのＵＷＢ通信信号を出力し、決済端末２００のＵＷＢ通信部２１２と、ユーザ端末４００のＵＷＢ通信部１１２との通信を確立して、ユーザ端末４００の位置識別処理を開始し、その後、ユーザ端末位置識別処理を継続的に実行する。

　なお、前述したように、決済端末２００のＵＷＢ通信部２１２は、ＵＷＢ通信によるセキュア測距において、ＴｏＡ（Ｔｉｍｅ　ｏｆ　Ａｒｒｉｖａｌ）と、ＡｏＡ（Ａｎｇｌｅ　ｏｆ　Ａｒｒｉｖａｌ）これらのデータ解析を行う。
　ＴｏＡ（Ｔｉｍｅ　ｏｆ　Ａｒｒｉｖａｌ）は、ＵＷＢ信号の送受信時間に相当し、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、この時間に基づいて、決済端末２００からユーザ端末４００までの距離を解析する。

　ＡｏＡ（Ａｎｇｌｅ　ｏｆ　Ａｒｒｉｖａｌ）は、ユーザ端末４００の送信信号が決済端末２００に入力する角度情報である。決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、この角度に基づいて、ユーザ端末４００の方向を解析する。
　決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、これらＴｏＡ，ＡｏＡの解析によりユーザ端末４００の位置を識別する。

　なお、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ユーザ端末４００の検出後、決済処理が開始または終了するまで、例えば決済端末２００の設置された改札を通過するまで、ユーザ端末位置識別処理を継続して実行する。

　　（ステップＳ７１１）
　次に、図３６に示すステップＳ７１１の処理について説明する。
　決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ステップＳ７１１において、ＵＷＢ通信部２１２を介したＵＷＢ通信により、ユーザ端末４００のＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３との通信要求パケットを出力する。

　　（ステップＳ７１２）
　ユーザ端末４００のＵＷＢ通信部１１２は、ステップＳ７１１で決済端末２００から送信されたＳＥＬＥＣＴコマンドパケットを受信すると、セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０に受信パケットを渡す。

　　（ステップＳ７１３）
　ステップＳ７１２において、セキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０によるアプリ選択起動処理によって起動されたＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、ステップＳ７１３において、起動したことを示す起動応答をセキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０に出力する。

　　（ステップＳ７１４）
　ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３から、起動応答を入力したセキュアエレメント（ＳＥ－ＯＳ）１２０は、ステップＳ７１４において、ＵＷＢ通信部１１２を介して、決済端末２００に対して、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３の起動処理に成功したことを通知する。

　この通知データは、決済端末２００のＵＷＢ通信部２１２介して決済端末コントローラ２０１に入力され、決済端末コントローラ２０１は、ユーザ端末４００のＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３とのＵＷＢ通信が可能となったことを確認する。

　　（ステップＳ７２１）
　決済端末コントローラ２０１が、ユーザ端末４００のＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３とのＵＷＢ通信が可能となったことを確認すると、決済端末コントローラ２０１は、ステップＳ７２１において以下の処理を行う。

　決済端末コントローラ２０１は、ユーザ端末４００に対して、ＵＷＢ通信部２１２を介して、ＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）の問合せコマンドを送信する。
　すなわち、決済端末２００の提供するサービス（サービスＩＤ＝１）に対応する決済処理をＵＷＢ通信で実行可能なアプリＩＤ（ＡＩＤ）を問合せるコマンドを送信する。

　　（ステップＳ７２２）
　ユーザ端末４００のＵＷＢ通信部１１２は、ステップＳ７２２において、決済端末２００が送信したＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せコマンドを受信し、受信コマンドをセキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）１２０を介して、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３に入力する。

　セキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）１２０は、ステップＳ７１１において決済端末２００から受信したＳＥＬＥＣＴコマンド内のアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ＝Ｃｎｔ）に従って起動済みのＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３に対して、ＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せコマンドを入力する。

　　（ステップＳ７２３）
　決済端末２００が送信したＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せコマンドを入力したＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、ステップＳ７２３において以下の処理を実行する。

　ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリを検索して、検索されたアプリを決済端末２００とのＵＷＢ通信データの転送先に設定する。

　例えば、先に図８や図２１を参照して説明したＩＣカードアプリケーション登録データを参照して、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリを検索する。

　図８に示す例では、サービスＩＤ＝１をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）は、ＡＩＤ＝１２であり、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、このＩＣカードアプリ（ＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂ）を、決済端末２００とのＵＷＢ通信データの転送先に設定する。

　　（ステップＳ７２４）
　次に、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、ステップＳ７２４において、ステップＳ７２３で検索したサービスＩＤ＝１をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリの検索結果情報（アプリ存在有無情報）を格納した応答パケットを生成して決済端末２００に送信する。
　応答パケットは、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３からセキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）１２０、ＵＷＢ通信部１１２を介して送信され、決済端末２００のＵＷＢ通信部２１２において受信されて決済端末コントローラ２０１に入力される。

　決済端末２００からのＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せコマンドに対して、ユーザ端末４００のＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３が生成する応答パケットのデータ構成の一例を図３８に示す。

　図３８に示すように応答パケットは、例えば以下のデータを格納したパケットとして構成される。
　（データＤ１）決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）対応の処理を実行可能なＩＣカードアプリの存在有無（有り＝１、無し＝０）
　（データＤ２）決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリの存在有無（有り＝１、無し＝０）
　（データＤ３）決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）対応の残高（オプション）
　（データＤ４）決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリに対応付けられたＩＣカード固有識別子（ＩＤｍ）（オプション）

　（データＤ３）と（データＤ４）は、オプションデータであり、必須ではない。
　（データＤ３）は、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）対応の残高である。
　（データＤ４）は、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリに対応付けられたＩＣカード固有識別子（ＩＤｍ）である。

　なお、ＩＣカード固有識別子（ＩＤｍ）はユーザ端末４００にインストールＩＣカードアプリの固有識別子であり、同じ種類のアプリであってもユーザ端末ごとに異なる識別子である。
　これに対して、アプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）は、アプリケーションの種類に応じて設定されるＩＤであり、ユーザ端末４００が異なっても同一のアプリである場合は、同じＩＤ（ＡＩＤ）が設定される。

　（データＤ３）の残高情報、すなわち決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）対応の残高は、セキュアエレメント（ＳＥ）２００内のセキュアメモリに記録されており、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３がセキュアメモリから残高を読み取って応答パケットに記録する。
　（データＤ４）のＩＣカード固有識別子（ＩＤｍ）、すなわち、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリに対応付けられたＩＣカード固有識別子（ＩＤｍ）は、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３がセキュアメモリ２００のＩＣカードアプリ群１２１内のＡＩＤ＝１２のＩＣカードアプリの属性情報を読み取って応答パケットに記録する。

　なお、図３８に示す応答パケットのデータ例は、ユーザ端末４００が、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリを有している場合の応答パケットの例である。

　ユーザ端末４００が、決済端末２００の提供サービス（サービスＩＤ＝１）をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリを有していない場合の応答パケットは、例えば図３８に示すデータＤ１～４の全てが０に設定されたデータ構成となる。

　このように、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、ステップＳ７２４において、ステップＳ７２３で検索したサービスＩＤ＝１をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリの検索結果情報（アプリ存在有無情報）を格納した応答パケットを生成して決済端末２００に送信する。

　　（ステップＳ７２５）
　ユーザ端末４００から応答パケットを受信した決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ステップＳ７２５において、受信した応答パケットの解析処理を実行する。具体的には、サービスＩＤ＝１をＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリの存在有無を確認する。
　なお、応答パケットに残高情報が記録されている場合は、残高確認処理等も実行する。

　　（８－（３）ユーザ端末のＵＷＢ対応ＩＣカードアプリと、決済端末とのＵＷＢ通信による決済処理シーケンス）
　次に、（３）ユーザ端末のＵＷＢ対応ＩＣカードアプリと、決済端末とのＵＷＢ通信による決済処理シーケンスについて説明する。

　図３９～図４０を参照して、ユーザ端末のＵＷＢ対応ＩＣカードアプリと、決済端末とのＵＷＢ通信による決済処理シーケンスについて説明する。

　図３９～図４０には、左端に決済端末２００、右側にユーザ端末４００を示している。
　決済端末２００の構成要素として、左から、
　決済端末コントローラ２０１、
　ＵＷＢ通信部２１２、
　ＢＬＥ通信部２１３、
　これらの各構成要素を示している。

　図３９～図４０に示すステップＳ７４０以下の処理の詳細について、順次、説明する。
　なお、ステップＳ７３１の開始時点で、決済端末２００とユーザ端末４００はＵＷＢ通信セッションを確立しており、決済端末２００は、ＵＷＢ通信を適用したユーザ端末位置確認処理を継続中である。

　　（ステップＳ７４０）
　まず、ステップＳ７４０において、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ＵＷＢ通信によるユーザ端末位置確認結果を参照して、ユーザ端末４００が、予め規定した規定距離内、例えば改札ゲート内に入ったか否かを確認し、確認するとステップＳ７４１以下の処理（決済処理）を開始する。

　　（ステップＳ７４１）
　決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ユーザ端末４００が規程距離に入ったことを確認した後、ステップＳ７４１において、決済処理、またはユーザ入場許可確認処理等のために必要となるＩＣカードアプリとの通信処理、データ処理開始する。

　　（ステップＳ７４２～Ｓ７４４）
　ステップＳ７４２～Ｓ７４４の処理は、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１と、ユーザ端末４００のＵＷＢ通信に対応したＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂとの通信を、ユーザ端末４００のＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３を介して実行する認証、決済処理のシーケンスである。

　ステップＳ７４２ａ～ｃにおける認証処理、
　ステップＳ７４３ａ～ｃにおける、ユーザ端末４００からのデータ読み出し処理、
　ステップＳ７４４ａ～ｃにおけるユーザ端末４００に対するデータ書き込み処理、
　例えばこれらの一連の処理が実行される。

　ステップＳ７４３ａ～ｃにおける、ユーザ端末４００からのデータ読み出し処理では、例えばユーザ端末４００のセキュアエレメント１２０内のセキュアメモリからＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂ対応の残高情報の読み出しなどが行われる。

　ステップＳ７４４ａ～ｃにおけるユーザ端末４００に対するデータ書き込み処理では、例えばユーザ端末４００のセキュアエレメント１２０内のセキュアメモリのＩＣカード２アプリ（ＡＩＤ＝１２）１２１ｂ対応の残高情報の更新処理、すなわち決済金額を減額した更新金額の書き込み処理が実行される。

　　（ステップＳ７４５）
　ステップＳ７４２～Ｓ７４４の一連の処理が完了すると、決済端末２００の決済端末コントローラ２０１は、ステップＳ７４５において、決済処理、またはユーザ入場許可確認処理等のために必要となるＩＣカードアプリとの通信処理、データ処理完了を確認して処理を終了する。

　なお、例えば改札の場合、ステップＳ７４２～Ｓ７４４の一連の処理が完了すると、ゲートの扉をオープンする処理を実行してユーザの通過を可能にする処理なども実行される。

　次に、図４１に示すフローチャートを参照して、ユーザ端末４００のＵＷＢ通信データ解析アプリが、決済端末２００からのＵＷＢ通信対応ＩＣカードアプリのアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せに対して実行する処理のシーケンスについて説明する。
　すなわち、図４１に示すフローチャートは、図３７に示すステップＳ７２２～Ｓ７２４において実行する処理の詳細シーケンスである。
　図４１に示すフローチャートの各ステップの処理について、順次、説明する。

　　（ステップＳ８０１）
　まず、ユーザ端末４００のＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、ステップＳ８０１において、決済端末２００が送信したＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せコマンドを入力する。

　なお、決済端末２００が送信したＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せコマンドは、ユーザ端末４００のＵＷＢ通信部１１２と、セキュアエレメントＯＳ（ＳＥ－ＯＳ）１２０を介して、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３に入力される。

　　（ステップＳ８０２）
　決済端末２００が送信したＩＣカードアプリＩＤ（ＡＩＤ）問合せコマンドを入力したＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、ステップＳ８０２において、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリを検索する。

　　（ステップＳ８０３）
　ステップＳ８０３は判定ステップである。
　ステップＳ８０２における検索処理において、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリが検出された場合は、ステップＳ８０４に進む。
　一方、検出されなかった場合はステップＳ８０５に進む。

　　（ステップＳ８０４）
　ステップＳ８０２における検索処理において、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリが検出された場合は、ステップＳ８０４の処理を実行する。

　この場合、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、ステップＳ８０４において、ステップＳ８０２の検索処理において検索されたアプリを決済端末２００とのＵＷＢ通信データの転送先に設定する。さらに、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリを有することを示す応答パケットを生成して決済端末２００に送信する。

　ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３が生成する応答パケットは、例えば、先に図３８を参照して説明した以下のデータを格納したパケットとして構成される。
　（データＤ１）決済端末２００の提供サービス対応の処理を実行可能なＩＣカードアプリの存在有無（有り＝１、無し＝０）
　（データＤ２）決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリの存在有無（有り＝１、無し＝０）
　（データＤ３）決済端末２００の提供サービス対応の残高（オプション）
　（データＤ４）決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリに対応付けられたＩＣカード固有識別子（ＩＤｍ）（オプション）

　　（ステップＳ８０５）
　一方、ステップＳ８０２における検索処理において、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリが検出されなかった場合は、ステップＳ８０５の処理を実行する。

　この場合、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、ステップＳ８０５において、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリが検出されなかったことを示す応答パケットを生成して決済端末２００に送信する。

　ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３がステップＳ８０４において、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリを有することを示す応答パケットを生成して決済端末２００に送信した場合、その後、決済端末２００はＵＷＢ通信による決済処理を開始する。
　なお、この実施例では、決済端末２００はユーザ端末４００のＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３とＵＷＢ通信を行う。

　このように、本実施例では、ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３は、決済端末２００に対して、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を通知することなく、決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリの存在有無情報を通知する。

　その後の、済端末２００はユーザ端末４００のＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）１２３を介して決済端末２００の提供サービスをＵＷＢ通信で実行可能なＩＣカードアプリとの通信を実行して、ＵＷＢ通信による認証処理や決済処理を行う。

　この構成によって、ユーザ端末４００と決済端末２００は、ＮＦＣ通信が可能な数ｃｍまで近づくことなく、ＵＷＢ通信が可能な数ｍ以内の距離で通信を開始し決済処理を行うことが可能となり、例えばユーザはバッグからスマホ等のユーザ端末４００を取り出すことなく、決済処理を行い、改札等のゲートを通過することができる。
　また、店舗端末を利用した決済処理もスマホ等のユーザ端末４００を取り出すことなく行うことが可能となる。

　　［９．通信処理装置のハードウェア構成例について］
　次に、本開示のユーザ端末や決済端末を構成する通信処理装置のハードウェア構成例について説明する。

　図４２は、本開示のユーザ端末や決済端末を構成する通信処理装置のハードウェアの一構成例を示す図である。

　図４２に示すハードウェア構成について説明する。
　ＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ　Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ　Ｕｎｉｔ）５０１は、ＲＯＭ（Ｒｅａｄ　Ｏｎｌｙ　Ｍｅｍｏｒｙ）５０２、または記憶部５０８に記憶されているログラムに従って各種の処理を実行する制御部やデータ処理部として機能する。例えば、上述した実施例において説明したシーケンスに従った処理を実行する。ＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ　Ａｃｃｅｓｓ　Ｍｅｍｏｒｙ）５０３には、ＣＰＵ５０１が実行するプログラムやデータなどが記憶される。これらのＣＰＵ５０１、ＲＯＭ５０２、およびＲＡＭ５０３は、バス５０４により相互に接続されている。

　ＣＰＵ５０１はバス５０４を介して入出力インタフェース５０５に接続され、入出力インタフェース５０５には、各種スイッチ、ＵＩ、キーボード、マウス、マイクロホン、カメラなどよりなる入力部５０６、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部５０７が接続されている。ＣＰＵ５０１は、入力部５０６から入力される指令に対応して各種の処理を実行し、処理結果を例えば出力部５０７に出力する。

　入出力インタフェース５０５に接続されている記憶部５０８は、例えばフラッシュメモリ、ハードディスク等からなり、ＣＰＵ５０１が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。通信部５０９は、Ｗｉ－Ｆｉ通信、ブルートゥース（登録商標）（ＢＴ）通信、ＵＷＢ通信、その他インターネットやローカルエリアネットワークなどのネットワークを介したデータ通信の送受信部として機能し、外部の装置と通信する。

　入出力インタフェース５０５に接続されているドライブ５１０は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいはメモリカード等の半導体メモリなどのリムーバブルメディア５１１を駆動し、データの記録あるいは読み取りを実行する。

　　［１０．本開示の構成のまとめ］
　以上、特定の実施例を参照しながら、本開示の実施例について詳解してきた。しかしながら、本開示の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本開示の要旨を判断するためには、特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。

　なお、本明細書において開示した技術は、以下のような構成をとることができる。
　（１）　外部装置からの受信データに基づいて、自装置が特定の通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行可能な特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを有するか否かの検索処理を実行し、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、検索処理結果を前記外部装置に通知し、
　前記外部装置と、検出した特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションとの間で前記特定通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行させる通信制御部を有する通信処理装置。

　（２）　前記通信制御部は、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、検出した特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を前記外部装置に通知する（１）に記載の通信処理装置。

　（３）　前記通信制御部は、
　前記外部装置から、前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を格納したセレクトコマンドを受信し、
　受信したセレクトコマンドに格納されたアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）に従って、起動するＩＣカードアプリケーションを決定する処理を実行する（２）に記載の通信処理装置。

　（４）　前記ＩＣカードアプリケーションは、
　セキュアメモリに格納されたＩＣカードアプリケーションであり、
　前記通信制御部は、
　前記セキュアメモリに格納されたＩＣカードアプリケーションの起動制御を実行するセキュアメモリＯＳに対して、前記セレクトコマンドから取得したアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を出力する（３）に記載の通信処理装置。

　（５）　前記セキュアメモリＯＳは、
　前記通信制御部から入力したアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）に対応するＩＣカードアプリケーションの起動処理を実行する（４）に記載の通信処理装置。

　（６）　前記通信制御部は、
　前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションの起動後、
　前記外部装置と、前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーション間の通信データの中継処理を実行することなく、前記外部装置と前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーション間の通信処理を実行させる（１）～（５）いずれかに記載の通信処理装置。

　（７）　前記通信制御部は、
　前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションの起動後、
　前記外部装置と、前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーション間の通信データの中継処理を実行する（１）～（６）いずれかに記載の通信処理装置。

　（８）　前記外部装置と、前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーション間の通信データは、
　ＵＷＢ（Ｕｌｔｒａ　Ｗｉｄｅ　Ｂａｎｄ）通信方式、またはＢＬＥ（Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ　Ｌｏｗ　Ｅｎｅｒｇｙ）通信方式に従った通信データであり、
　前記通信制御部は、
　ＵＷＢ通信方式、またはＢＬＥ通信方式に従った通信データの中継処理を実行する（７）に記載の通信処理装置。

　（９）　前記通信制御部は、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、
　検出した特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを、前記特定通信方式に従った前記外部装置との通信相手先として設定する（１）～（８）いずれかに記載の通信処理装置。

　（１０）　前記通信制御部は、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを有することを示すアプリ存在情報を前記外部装置に通知する（１）～（９）いずれかに記載の通信処理装置。

　（１１）　前記特定の通信方式は、ＵＷＢ（Ｕｌｔｒａ　Ｗｉｄｅ　Ｂａｎｄ）通信方式であり、
　前記通信制御部は、
　ＵＷＢ通信方式対応ＩＣカードアプリケーションの検索処理を実行する（１）～（１０）いずれかに記載の通信処理装置。

　（１２）　前記ＩＣカードアプリケーションは、
　セキュアメモリに格納されたＩＣカードアプリケーションであり、
　前記通信制御部は、
　前記セキュアメモリ内に構成された通信制御部である（１）～（１１）いずれかに記載の通信処理装置。

　（１３）　前記ＩＣカードアプリケーションは、
　セキュアメモリに格納されたＩＣカードアプリケーションであり、
　前記通信制御部は、
　前記セキュアメモリ外に構成された通信制御部である（１）～（１２）いずれかに記載の通信処理装置。

　（１４）　前記通信処理装置は、
　前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを登録したアプリケーション登録データを格納したメモリを有し、
　前記通信制御部は、
　前記アプリケーション登録データを参照して特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを有するか否かの検索処理を実行する（１）～（１３）いずれかに記載の通信処理装置。

　（１５）　前記外部装置は、決済端末であり、
　前記通信処理装置は、前記決済端末との通信による決済処理を実行する（１）～（１４）いずれかに記載の通信処理装置。

　（１６）　ユーザ端末と決済端末を有する通信処理システムであり、
　前記ユーザ端末が、
　前記決済端末からの受信データに基づいて、自装置が特定の通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行可能な特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを有するか否かの検索処理を実行し、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、検索処理結果を前記決済端末に送信し、
　前記決済端末が、
　前記検索処理結果の受信後、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを通信相手として指定したデータ処理要求を前記ユーザ端末に送信し、
　前記ユーザ端末は、
　前記決済端末からのデータ処理要求に応じて、前記決済端末と前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションとの間で前記特定通信方式に従った通信データを用いたデータ処理を実行する通信処理システム。

　（１７）　前記ユーザ端末は、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、検出した特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を前記決済端末に送信し、
　前記決済端末は、
　前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を格納したセレクトコマンドを前記ユーザ端末に送信し、
　前記ユーザ端末は、
　前記決済端末から受信したセレクトコマンドに格納されたアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）に従って、起動するＩＣカードアプリケーションを決定して起動する（１６）に記載の通信処理システム。

　（１８）　通信処理装置において実行する通信制御方法であり、
　通信制御部が、
　外部装置からの受信データに基づいて、自装置が特定の通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行可能な特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを有するか否かの検索処理を実行し、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、検索処理結果を前記外部装置に通知し、
　前記外部装置と、検出した特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションとの間で前記特定通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行させる通信制御方法。

　（１９）　ユーザ端末と決済端末を有する通信処理システムにおいて実行する通信制御方法であり、
　前記ユーザ端末が、
　前記決済端末からの受信データに基づいて、自装置が特定の通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行可能な特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを有するか否かの検索処理を実行し、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、検索処理結果を前記決済端末に送信し、
　前記決済端末が、
　前記検索処理結果の受信後、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを通信相手として指定したデータ処理要求を前記ユーザ端末に送信し、
　前記ユーザ端末が、
　前記決済端末からのデータ処理要求に応じて、前記決済端末と前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションとの間で前記特定通信方式に従った通信データを用いたデータ処理を実行する通信制御方法。

　（２０）　通信処理装置において情報処理を実行させるプログラムであり、
　通信制御部に、
　外部装置からの受信データに基づいて、自装置が特定の通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行可能な特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを有するか否かの検索処理と、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、検索処理結果を前記外部装置に通知する処理と、
　前記外部装置と、検出した特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションとの間で前記特定通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行させるプログラム。

　また、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。例えば、プログラムは記録媒体に予め記録しておくことができる。記録媒体からコンピュータにインストールする他、ＬＡＮ（Ｌｏｃａｌ　Ａｒｅａ　Ｎｅｔｗｏｒｋ）、インターネットといったネットワークを介してプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。

　なお、明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。また、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。

　以上、説明したように、本開示の一実施例の構成によれば、複数のＩＣカードアプリを有するスマホ等のユーザ端末が改札や店舗端末等の決済装置とＮＦＣ通信以外のＵＷＢ通信等の通信データを用いて決済処理を行う場合、ユーザ端末が決済処理に利用する決済装置対応のＩＣカードアプリを選択する構成が実現される。
　具体的には例えば、ユーザ端末が改札や店舗端末等の決済装置からのデータを受信し、受信データに基づいて自装置がＵＷＢ通信等、特定通信方式に従った通信データの処理が可能な特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを有するか否かの検索処理を実行し、検出したアプリの識別子（ＡＩＤ）を取得して、決済装置に送信する。決済装置は、ユーザ端末から受信したＡＩＤを格納したセレクトコマンドをユーザ端末に送信し、ユーザ端末がセレクトコマンドに従ってＩＣカードアプリを起動する。
複数のＩＣカードアプリを有するスマホ等のユーザ端末が改札や店舗端末等の決済装置とＮＦＣ通信以外のＵＷＢ通信等の通信データを用いて決済処理を行う場合、ユーザ端末が決済処理に利用する決済装置対応のＩＣカードアプリを選択する。
　本構成により、複数のＩＣカードアプリを有するスマホ等のユーザ端末が改札や店舗端末等の決済装置とＮＦＣ通信以外のＵＷＢ通信等の通信データを用いて決済処理を行う場合、ユーザ端末が決済処理に利用する決済装置対応のＩＣカードアプリを選択する構成が実現される。

　　１０　ユーザ端末
　　１１　ＩＣカードアプリ
　　２０　セキュアエレメント（ＳＥ）
　　２２　セキュアメモリ
　　３１　ＮＦＣ通信部
　　３２　コマンド解析部
　　３３　ＩＣカードアプリ群
　　５０　決済端末
　　５１　決済端末コントローラ
　　５２　ＮＦＣ通信部
　１００，３００，４００　ユーザ端末
　１０１　ユーザ端末コミントローラ（ＤＨ内通信制御部）
　１１１　ＮＦＣ通信部
　１１２　ＵＷＢ通信部
　１１３　ＢＬＥ通信部
　１２０　セキュアエレメント
　１２１　ＩＣカードアプリ群
　１２２　コマンド解析部
　１２３　ＵＷＢ通信データ解析アプリ（ＳＥ内通信制御部）
　２００　決済端末
　２０１　決済端末コントローラ
　２１１　ＮＦＣ通信部
　２１２　ＵＷＢ通信部
　２１３　ＢＬＥ通信部
　５０１　ＣＰＵ
　５０２　ＲＯＭ
　５０３　ＲＡＭ
　５０４　バス
　５０５　入出力インタフェース
　５０６　入力部
　５０７　出力部
　５０８　記憶部
　５０９　通信部
　５１０　ドライブ
　５１１　リムーバブルメディア

Claims

　外部装置からの受信データに基づいて、自装置が特定の通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行可能な特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを有するか否かの検索処理を実行し、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、検索処理結果を前記外部装置に通知し、
　前記外部装置と、検出した特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションとの間で前記特定通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行させる通信制御部を有する通信処理装置。
　前記通信制御部は、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、検出した特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を前記外部装置に通知する請求項１に記載の通信処理装置。
　前記通信制御部は、
　前記外部装置から、前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を格納したセレクトコマンドを受信し、
　受信したセレクトコマンドに格納されたアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）に従って、起動するＩＣカードアプリケーションを決定する処理を実行する請求項２に記載の通信処理装置。
　前記ＩＣカードアプリケーションは、
　セキュアメモリに格納されたＩＣカードアプリケーションであり、
　前記通信制御部は、
　前記セキュアメモリに格納されたＩＣカードアプリケーションの起動制御を実行するセキュアメモリＯＳに対して、前記セレクトコマンドから取得したアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を出力する請求項３に記載の通信処理装置。
　前記セキュアメモリＯＳは、
　前記通信制御部から入力したアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）に対応するＩＣカードアプリケーションの起動処理を実行する請求項４に記載の通信処理装置。
　前記通信制御部は、
　前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションの起動後、
　前記外部装置と、前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーション間の通信データの中継処理を実行することなく、前記外部装置と前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーション間の通信処理を実行させる請求項１に記載の通信処理装置。
　前記通信制御部は、
　前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションの起動後、
　前記外部装置と、前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーション間の通信データの中継処理を実行する請求項１に記載の通信処理装置。
　前記外部装置と、前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーション間の通信データは、
　ＵＷＢ（Ｕｌｔｒａ　Ｗｉｄｅ　Ｂａｎｄ）通信方式、またはＢＬＥ（Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ　Ｌｏｗ　Ｅｎｅｒｇｙ）通信方式に従った通信データであり、
　前記通信制御部は、
　ＵＷＢ通信方式、またはＢＬＥ通信方式に従った通信データの中継処理を実行する請求項７に記載の通信処理装置。
　前記通信制御部は、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、
　検出した特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを、前記特定通信方式に従った前記外部装置との通信相手先として設定する請求項１に記載の通信処理装置。
　前記通信制御部は、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを有することを示すアプリ存在情報を前記外部装置に通知する請求項１に記載の通信処理装置。
　前記特定の通信方式は、ＵＷＢ（Ｕｌｔｒａ　Ｗｉｄｅ　Ｂａｎｄ）通信方式であり、
　前記通信制御部は、
　ＵＷＢ通信方式対応ＩＣカードアプリケーションの検索処理を実行する請求項１に記載の通信処理装置。
　前記ＩＣカードアプリケーションは、
　セキュアメモリに格納されたＩＣカードアプリケーションであり、
　前記通信制御部は、
　前記セキュアメモリ内に構成された通信制御部である請求項１に記載の通信処理装置。
　前記ＩＣカードアプリケーションは、
　セキュアメモリに格納されたＩＣカードアプリケーションであり、
　前記通信制御部は、
　前記セキュアメモリ外に構成された通信制御部である請求項１に記載の通信処理装置。
　前記通信処理装置は、
　前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを登録したアプリケーション登録データを格納したメモリを有し、
　前記通信制御部は、
　前記アプリケーション登録データを参照して特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを有するか否かの検索処理を実行する請求項１に記載の通信処理装置。
　前記外部装置は、決済端末であり、
　前記通信処理装置は、前記決済端末との通信による決済処理を実行する請求項１に記載の通信処理装置。
　ユーザ端末と決済端末を有する通信処理システムであり、
　前記ユーザ端末が、
　前記決済端末からの受信データに基づいて、自装置が特定の通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行可能な特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを有するか否かの検索処理を実行し、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、検索処理結果を前記決済端末に送信し、
　前記決済端末が、
　前記検索処理結果の受信後、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを通信相手として指定したデータ処理要求を前記ユーザ端末に送信し、
　前記ユーザ端末は、
　前記決済端末からのデータ処理要求に応じて、前記決済端末と前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションとの間で前記特定通信方式に従った通信データを用いたデータ処理を実行する通信処理システム。
　前記ユーザ端末は、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、検出した特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を前記決済端末に送信し、
　前記決済端末は、
　前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションのアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）を格納したセレクトコマンドを前記ユーザ端末に送信し、
　前記ユーザ端末は、
　前記決済端末から受信したセレクトコマンドに格納されたアプリケーションＩＤ（ＡＩＤ）に従って、起動するＩＣカードアプリケーションを決定して起動する請求項１６に記載の通信処理システム。
　通信処理装置において実行する通信制御方法であり、
　通信制御部が、
　外部装置からの受信データに基づいて、自装置が特定の通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行可能な特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを有するか否かの検索処理を実行し、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、検索処理結果を前記外部装置に通知し、
　前記外部装置と、検出した特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションとの間で前記特定通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行させる通信制御方法。
　ユーザ端末と決済端末を有する通信処理システムにおいて実行する通信制御方法であり、
　前記ユーザ端末が、
　前記決済端末からの受信データに基づいて、自装置が特定の通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行可能な特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを有するか否かの検索処理を実行し、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、検索処理結果を前記決済端末に送信し、
　前記決済端末が、
　前記検索処理結果の受信後、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを通信相手として指定したデータ処理要求を前記ユーザ端末に送信し、
　前記ユーザ端末が、
　前記決済端末からのデータ処理要求に応じて、前記決済端末と前記特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションとの間で前記特定通信方式に従った通信データを用いたデータ処理を実行する通信制御方法。
　通信処理装置において情報処理を実行させるプログラムであり、
　通信制御部に、
　外部装置からの受信データに基づいて、自装置が特定の通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行可能な特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを有するか否かの検索処理と、
　前記検索処理の結果、特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションを検出した場合、検索処理結果を前記外部装置に通知する処理と、
　前記外部装置と、検出した特定通信方式対応ＩＣカードアプリケーションとの間で前記特定通信方式に従った通信を伴うデータ処理を実行させるプログラム。