WO2022003823A1

WO2022003823A1 - スライダー構造体およびスライダーカバー

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Publication number: WO2022003823A1
Application number: PCT/JP2020/025660
Authority: WO
Inventors: 直幸伊藤; 謙一吉江; 彦傑王
Original assignee: Ykk株式会社
Priority date: 2020-06-30
Filing date: 2020-06-30
Publication date: 2022-01-06
Also published as: CN115348827A

Abstract

スライダー構造体（１，１Ｂ）は、第一スライダー（５０，５０Ｂ）、第二スライダー（６０，６０Ｂ）およびスライダーカバー（１０，１０Ｂ）を備える。スライダーカバー（１０，１０Ｂ）は、紐類取付部（２４，２４Ｂ）を有した下カバー（２０，２０Ｂ）に上カバー（３０，３０Ｂ）を係合して構成される。下カバー（２０，２０Ｂ）と上カバー（３０，３０Ｂ）との間には、操作具（５）を連結可能な操作連結部（４０，４０Ｂ）が構成される。

Description

スライダー構造体およびスライダーカバー

　本発明は、衣服の腹部周りや袖部周りなどの寸法を調整するアジャスタブルジッパーに用いられるスライダー構造体およびスライダーカバーに関する。

　従来、物品の第１位置に配される操作部の操作により、紐類を介して物品の第２位置を変更させる紐端固着部位変更具が知られている（特許文献１参照）。紐端固着部位変更具は、互いに紐類６または離脱するエレメント列を有する２つのテープと、各エレメント列が挿通される第１、第２スライダーと、第１、第２スライダーを連結する連結部材とを備えており、連結部材には紐類の一端部が取り付けられ、この紐類の他端部は物品の第２位置に取り付けられている。連結部材は、第１、第２スライダーを上方から被覆するカバー体と、第１、第２スライダーを連結する連結体とを備えており、連結体はカバー体に取り付けられている。この紐端固着部位変更具では、物品の第１位置にある操作部の操作によって第１、第２スライダーがスライド移動し、物品の第２位置が変更されるようになっている。

　また、物品の特定の部分の巻き上げの程度を調整するダブルスライダージッパーが知られている（特許文献２参照）。ダブルスライダージッパーは、２つのテープのエレメント列が挿通される第１、第２スライダーと、第１、第２スライダーを接続する補助コネクタとを備えており、補助コネクタおよび物品の特定の部分はベルトでつながれている。補助コネクタは、第１、第２スライダーを下方から収容する接続ベースと、接続ベースに係合されて第１、第２スライダーを上方から押さえる接続カバーとを備えている。このダブルスライダージッパーは、第１スライダーの引手を操作することでスライド移動し、物品の特定の部分を巻き上げるようになっている。

国際公開第２００６／１３７２９３号中国実用新案第２０９２３５１２０号

　ところで、特許文献１に記載の紐端固着部位変更具では、第１、第２スライダーの下方は連結部材によって被覆されていないので、物品が衣服等である場合に第１、第２スライダーが身体に当たって異物感が生じるおそれがある。

　また、特許文献２に記載のダブルスライダージッパーでは、２つのテープへの連結形態によっては、接続カバーで覆われていない部分において第１、第２スライダーが外部に露出して見栄えが悪くなるおそれがある。

　本発明の目的は、異物感を軽減できると共に見栄えをよくできるスライダー構造体およびスライダーカバーを提供することにある。

　本発明のスライダー構造体は、一対のテープに沿って設けられたエレメント列同士を紐類および離間するスライド移動可能な第一スライダーおよび第二スライダーと、前記第一スライダーおよび前記第二スライダー同士を対向させて保持するスライダーカバーとを備えており、前記スライダーカバーは、前記第一スライダーおよび前記第二スライダーを下方から覆う下カバーと、前記下カバーと係合し且つ前記第一スライダーおよび前記第二スライダーを上方から覆う上カバーとを備えており、前記下カバーは、紐類を取付可能な紐類取付部を有しており、前記下カバーおよび前記上カバーの間には、前記第一スライダーおよび前記第二スライダーをスライド操作する操作具を連結可能な操作連結部が構成される。

　本発明のスライダー構造体では、前記第一スライダーは、前記エレメント列が挿通されるスライダー胴体と、前記エレメント列に対してスライド方向に係合するロック部材と、前記ロック部材の係合状態および非係合状態を切替える切替具とを備えており、前記操作連結部においては、前記切替具を係合状態から非係合状態に切替え操作可能に前記操作具が前記切替具の下方に配置されていてもよい。

　本発明のスライダー構造体では、前記上カバーのうち前記第二スライダー側の部分は、前記切替具の上方に位置していると共に上下方向に弾性変形可能に形成されていてもよい。

　本発明のスライダー構造体では、前記下カバーには、先端に係合部を有して上方に突出した係合突部が形成されており、前記上カバーには、前記係合部が配置される係合溝部と、前記係合部を前記係合溝部へ案内する係合案内部と、前記係合溝部に連続した弾性片部とが形成されており、前記弾性片部は、前記係合案内部に案内される前記係合部によって押上げ可能に構成されていてもよい。

　本発明のスライダー構造体では、前記係合案内部は、前記係合部をスライド方向に案内するスライド案内面と、前記スライド案内面に連続して上方に傾斜した傾斜案内面と、前記傾斜案内面に連続して前記係合部を下方から受ける係合受け面とを有しており、前記弾性片部は、前記スライド案内面に案内される前記係合部が圧接する配置とされていてもよい。

　本発明のスライダー構造体では、前記第一スライダーおよび前記第二スライダーの双方は、スライダー胴体によって構成されていてもよい。

　本発明のスライダー構造体では、前記下カバーの下面は平坦面で形成されていてもよい。

　本発明のスライダーカバーは、第一スライダーおよび第二スライダー同士を対向させて保持するスライダーカバーであって、前記第一スライダーおよび前記第二スライダーを下方から覆う下カバーと、前記下カバーと係合し且つ前記第一スライダーおよび前記第二スライダーを上方から覆う上カバーとを備えており、前記下カバーは、紐類を取付可能な紐類取付部を有しており、前記下カバーおよび前記上カバーの間には、前記第一スライダーおよび前記第二スライダーをスライド操作する操作具を連結可能な操作連結部が構成される。

　本発明によれば、異物感を軽減できると共に見栄えをよくできるスライダー構造体およびスライダーカバーを提供することができる。

本発明の第１実施形態に係るスライダーカバーを示す斜視図。第１実施形態に係るスライダーカバーを示す側面図。第１実施形態に係るスライダーカバーを示す縦断面図。第１実施形態における下カバーを示す斜視図。第１実施形態における下カバーを示す平面図。第１実施形態に係るスライダーカバーの使用形態を示す縦断面図。第１実施形態に係るスライダーカバーの動作を示す説明図。本発明の第２実施形態に係るスライダーカバーを示す斜視図。第２実施形態に係るスライダーカバーを示す側面図。第２実施形態に係るスライダーカバーを示す縦断面図。第２実施形態における下カバーを示す斜視図。第２実施形態における下カバーを示す平面図。第２実施形態に係るスライダーカバーの使用形態を示す縦断面図。第２実施形態に係るスライダーカバーの組立てを示す説明図。

［第１実施形態の構成］
　以下、本発明の第１実施形態を図面に基づいて説明する。
　図１から図５において、第１実施形態に係るスライダーカバー１０は、合成樹脂製の下カバー２０および上カバー３０の二部材によって構成されており、図６に示すようにスライダーカバー１０によって第一スライダー５０および第二スライダー６０を保持することでスライダー構造体１が構成されている。スライダー構造体１は、物品としての衣服の腹部周りや袖部周りなどの寸法を調整するアジャスタブルジッパーに用いられる。
　以下の説明において、スライダー構造体１がスライド移動するスライド方向をＸ軸方向とし、Ｘ軸方向に直交する方向をＹ軸方向（左右方向、幅方向）とし、Ｘ軸方向およびＹ軸方向に直交する方向をＺ軸方向（上下方向、厚さ方向）とする。

　第一スライダー５０は、一対のテープ２に沿って設けられた互いに噛合および離間可能なエレメント列３が挿通されるスライダー胴体５１と、スライダー胴体５１に装着されたロック部材としてのロックピン５２および切替具５３とによって構成されている。

　スライダー胴体５１は、柱部５１１によって上板部５１２および下板部５１３が一体に連結されてなり、上板部５１２の上面にはロックピン５２および切替具５３が装着される装着部５１４が形成されている。

　ロックピン５２は、上板部５１２および下板部５１３の間に出没する係合端部５２１と、係合端部５２１を出没可能とする板バネ部５２２とを有している。なお、板バネ部５２２に限らず、係合端部５２１を出没可能に付勢する巻きバネ等の付勢部を有していてもよい。

　切替具５３は、板状に形成されていると共に装着部５１４に回動可能に装着される軸部５３１を有している。軸部５３１は、ロックピン５２の板バネ部５２２と上板部５１２との間に配置されている。切替具５３には装着部５１４の一部および後述する係合突部２３が配置される孔部５３２が形成されている。また、切替具５３には、孔部５３２よりも先端側に離れた位置には、上カバー３０の後述する抜止部３１２が配置される抜止孔部５３３が形成されている。

　このように構成された第一スライダー５０では、上板部５１２および下板部５１３の間に一対のテープ２のエレメント列３が挿通される。ロックピン５２の係合端部５２１は上板部５１２から下方に突出してエレメント列３にＸ軸方向に係合した係合状態とされる。このため、スライダー構造体１は一対のテープ２に沿ってスライド移動不能な状態とされて所定位置に保たれる。
　また、後述する操作具５の操作によって切替具５３の軸部５３１が上方に引き上げられると、ロックピン５２の板バネ部５２２が上方に弾性変形されて係合端部５２１が上板部５１２内に没入してエレメント列３との係合が外れた非係合状態とされる。このため、スライダー構造体１は一対のテープ２に沿ってスライド移動可能な状態とされる。
　なお、第一スライダー５０には、既存のスライドファスナーにおけるロック機構付きスライダーを採用可能であるので、第一スライダー５０を新たに専用設計する必要がなくコスト削減を図れる。

　第二スライダー６０は、一対のテープ２のエレメント列３が挿通されるスライダー胴体６１によって構成されている。
　スライダー胴体６１は、柱部６１１によって上板部６１２および下板部６１３が一体に連結されてなる。このスライダー胴体６１には前述したロックピン５２や切替具５３は装着されないので、装着部５１４に相当する構成は上板部６１２に形成されておらず、起伏の少ない概ね平坦な上面で形成される。
　なお、第二スライダー６０には、既存のスライドファスナーにおけるスライダー胴体を採用可能であるのでコスト削減を図れる。また、前述した装着部５１４に相当する構成がない分、スライダー構造体１のＺ軸方向における厚さ寸法を小さくすることが容易である。

　下カバー２０は、第一スライダー５０および第二スライダー６０を下方から覆って配置される下カバー本体部２１と、第一スライダー５０および第二スライダー６０が配置される一対の下保持溝部２２と、上カバー３０と係合する係合部２３１を先端に有した係合突部２３と、紐類６（図６参照）を取付可能な紐類取付部２４とを有している。ここで、紐類６は、衣服などの物品の特定の部位に連結され、スライダー構造体１のスライド移動によって前記特定の部位を引き締めたり緩めたりするものである。

　下カバー本体部２１の下面２１１は平坦面で形成されている。紐類取付部２４は、下カバー本体部２１のうちＸ軸方向において第一スライダー５０が配置される側の端部に形成された取付孔部によって構成されている。

　一対の下保持溝部２２は、下カバー本体部２１のうち上カバー３０に対して対向する面に形成されており、スライダー胴体５１，６１の下板部５１３，６１３の形状に応じた溝形状とされている。一対の下保持溝部２２は互いにＸ軸方向に対向して配置されており、一対の下保持溝部２２に配置されるスライダー胴体５１，６１は、図５に示すように肩口同士が対向して位置する。

　係合突部２３は、下カバー本体部２１から上方に突出して形成されており、一対の下保持溝部２２の間に配置されている。係合部２３１は、係合突部２３からＹ軸方向両側に突出している。

　上カバー３０は、第一スライダー５０および第二スライダー６０を上方から覆って配置される上カバー本体部３１と、第一スライダー５０および第二スライダー６０が配置される上保持溝部３２と、下カバー２０の一対の係合部２３１が配置される一対の係合溝部３３と、一対の係合溝部３３において一対の係合部２３１と係合する一対の被係合部３４とを有している。

　上カバー本体部３１には、切替具５３の抜止孔部５３３に配置される抜止部３１２が下方に突出して形成されている。

　上保持溝部３２は、上カバー本体部３１のうち下カバー２０に対して対向する面に形成されており、スライダー胴体５１の上板部５１２、装着部５１４および切替具５３とスライダー胴体６１の上板部６１２に応じた溝形状とされている。

　一対の係合溝部３３は、上カバー本体部３１のＸ軸方向における中央部分に上下貫通して形成されており、互いにＹ軸方向に対向して配置されている。また、一対の係合溝部３３の開口３３１は、上カバー本体部３１のＹ軸方向における両縁部に形成されている。

　このように一対の係合溝部３３が形成、配置されているので、上カバー本体部３１のうち一対の係合溝部３３の間にある中央部分のＹ軸方向における幅寸法は、当該中央部分に対してＸ軸方向における両側にある端側部分におけるＹ軸方向における幅寸法よりも小さくなっている。このため、上カバー本体部３１の中央部分はＺ軸方向に弾性変形可能であり、上カバー３０のうち第二スライダー６０側の部分は操作具５による切替具５３の引上げに応じて図７に示すようにＺ軸方向に弾性変形可能となっている。

　一対の被係合部３４は、一対の係合溝部３３のうち開口３３１よりもスライダー胴体５１側の部分に形成されている。一対の被係合部３４の上部には下カバー２０の一対の係合部２３１がそれぞれ配置されることで当該一対の係合部２３１とスナップフィット式に係合される。

　スライダーカバー１０は、前述した下カバー２０の係合部２３１と上カバー３０の被係合部３４とを係合することによって構成される。この係合は次の通りに行われる。

　まず、上カバー３０を下カバー２０に対して上方の位置であってＸ軸方向においてスライダー胴体５１側に寄った位置に配置し、続いて、Ｚ軸方向において上カバー３０を下カバー２０に接近させ、一対の係合部２３１を一対の係合溝部３３に配置する。

　次に、上カバー３０を下カバー２０に対してスライダー胴体６１側にＸ軸方向に移動させ、一対の係合部２３１を一対の被係合部３４に係合する。これにより、一対の係合部２３１は、一対の被係合部３４とＸ軸方向およびＺ軸方向に係合し、且つ、一対の係合溝部３３とＹ軸方向に係合する。

　下カバー２０および上カバー３０の係合状態では、下カバー２０および上カバー３０の間には、スライダー構造体１を一対のテープ２に沿ってＸ軸方向にスライド操作する操作具５を連結可能な操作連結部４０が構成される。
　この操作連結部４０は第一スライダー５０および第二スライダー６０が対向するＸ軸方向における中央位置、本実施形態では上カバー３０のＸ軸方向における中央位置に配置されている。
　なお、操作具５は操作紐等で構成されるが、材料や構成は自由に選択可能である。

　以下、スライダー構造体１の組立手順を説明する。
　まず、一対のテープ２のエレメント列３が挿通された状態の第一スライダー５０および第二スライダー６０を準備する。スライダー胴体５１，６１の肩口同士は対向して配置する。

　次に、下カバー２０を第一スライダー５０および第二スライダー６０の下方に配置し、一対の下保持溝部２２にスライダー胴体５１，６１の下板部５１３，６１３をそれぞれ配置すると共に、係合突部２３をスライダー胴体５１，６１の間に通す。

　次に、スライダー胴体５１，６１の間に操作具５を配置し、切替具５３を第二スライダー６０側に倒すことで操作具５を切替具５３の下方に配置する。このとき、切替具５３の孔部５３２には第一スライダー５０の装着部５１４の一部および係合突部２３の先端が差し込まれる。また、第一スライダー５０の切替具５３は第二スライダー６０の上板部６１２上に配置される。上板部６１２には、装着部５１４に相当する構成がなく、切替具５３も装着されていないので、これらを備える場合と比べて、スライダー構造体１のＸ軸方向における寸法を小さくできる。

　次に、上カバー３０を第一スライダー５０および第二スライダー６０の上方に配置し、操作具５を一対の係合溝部３３に通し、上保持溝部３２に第一スライダー５０の装着部５１４、ロックピン５２および切替具５３を配置しつつ、前述したように上カバー３０の被係合部３４を下カバー２０の係合部２３１に係合させる。ここで、上カバー３０のＸ軸方向における中央部分よりも第二スライダー６０側の端側部分は切替具５３に当たりつつ上方に弾性変形して持ち上げられるが、被係合部３４に係合部２３１が係合する際に抜止部３１２が切替具５３の抜止孔部５３３に差し込まれ、前述したように持ち上げられていた上カバー３０は元の状態に戻る。抜止部３１２は上カバー３０が下カバー２０に対してＸ軸方向に移動することを規制しており、これにより被係合部３４の係合部２３１に対する抜止めとして機能する。

　下カバー２０および上カバー３０の係合状態では、スライダーカバー１０は、第一スライダー５０および第二スライダー６０を上方および下方から覆うと共に、第一スライダー５０の上板部５１２の側面と第二スライダー６０の上板部６１２の側面とを覆って配置される。第一スライダー５０および第二スライダー６０は一対の下保持溝部２２および上保持溝部３２によって対向状態で保持される。また、下カバー２０および上カバー３０の間には、前述した操作連結部４０が構成される。操作連結部４０は、本実施形態では、下カバー２０の係合突部２３、第二スライダー６０および第一スライダー５０の切替具５３によって構成されており、これらに区画されるＹ軸方向に沿ったスリットに操作具５が通されている。

　前述したように組み立てたスライダー構造体１は、第一スライダー５０および第二スライダー６０に一対のテープ２のエレメント列３が挿通され、紐類取付部２４に取り付けられる紐類６が衣服などの特定の部位に連結されることで、衣服などの特定の部位の寸法を調整し、引き締めたり緩めたりするアジャスタブルジッパーに用いられる。

　アジャスタブルジッパーにおいて操作具５をスライド操作しない平常時には、図６に示すように、ロックピン５２がエレメント列３に対して係合状態にあるので、スライダー構造体１はスライド移動不能であり、その位置を保持する。このため、紐類６が連結された衣服などの特定の部位の寸法は一定に維持される。

　アジャスタブルジッパーにおいて操作具５をＸ軸方向にスライド操作すると、図７に示すように、操作具５によって切替具５３が上方に引き上げられ、切替具５３によってロックピン５２の板バネ部５２２が上方に弾性変形されてロックピン５２の係合端部５２１が上板部５１２内に没入し、係合端部５２１とエレメント列３との係合が解除されて非係合状態となる。ここで、切替具５３が引き上げられた際には、上カバー本体部３１にも弾性変形が生じ、特に上カバー本体部３１のうちＹ軸方向における幅寸法が小さい中央部分で弾性変形が大きく生じて、第二スライダー６０側の端側部分が上方に持ち上げられる。このように、上カバー本体部３１の特に中央部分よりも第二スライダー６０側の端側部分が切替具５３の引き上げに追従するので、抜止部３１２が抜止孔部５３３に差し込まれた状態が維持されることで、上カバー３０が抜止めされる。

　操作具５を続けてスライド操作すると、スライダー構造体１は一対のテープ２に沿ってスライド移動する。操作具５は、操作連結部４０から一対の係合溝部３３に通されているので、操作具５をスライド操作しても操作具５がスライダー構造体１からＸ軸方向に抜けることはない。このスライド移動においては、第一スライダー５０および第二スライダー６０のうちの一方は一対のエレメント列３同士の噛合を解除してＹ軸方向に離間させ、第一スライダー５０および第二スライダー６０のうちの他方は一対のエレメント列３同士を噛合する。このため、スライダー構造体１がスライド移動しても、一対のテープ２のうちスライダー構造体１が配置されていない部分では噛合状態が維持される。このようにスライダー構造体１をスライド移動することで、紐類６が連結された衣服などの特定の部位の寸法を調整する。

　なお、操作具５のスライド操作を終了すると、切替具５３は上カバー本体部３１が弾性変形状態から元に戻ることで下カバー２０側に押し下げられてロックピン５２の板バネ部５２２が復元し、これにより、係合端部５２１が上板部５１２から突出してエレメント列３と係合した係合状態となる。

［第２実施形態の構成］
　以下、本発明の第２実施形態を図面に基づいて説明する。
　図８から図１２において、第２実施形態に係るスライダーカバー１０Ｂは、合成樹脂製の下カバー２０Ｂおよび上カバー３０Ｂの二部材によって構成されており、図１３に示すようにスライダーカバー１０Ｂによって第一スライダー５０Ｂおよび第二スライダー６０Ｂを保持することでスライダー構造体１Ｂが構成されている。スライダー構造体１Ｂはスライダー構造体１と同様に前述したアジャスタブルジッパーとして用いられる。
　図８から図１４において、Ｘ軸方向はスライダー構造体１Ｂのスライド方向とし、Ｘ軸方向に直交するＹ軸方向はスライダー構造体１Ｂの幅方向（左右方向）とし、Ｘ軸方向およびＹ軸方向に直交するＺ軸方向をスライダー構造体１Ｂの厚さ方向（上下方向）とする。

　第一スライダー５０Ｂおよび第二スライダー６０Ｂは、前述した第二スライダー６０とそれぞれ同様に構成されているので、これと同符号を図面に付して詳細な説明を省略する。

　下カバー２０Ｂは、第一スライダー５０Ｂおよび第二スライダー６０Ｂを下方から覆って配置される下カバー本体部２１Ｂと、第一スライダー５０Ｂおよび第二スライダー６０Ｂが配置される一対の下保持溝部２２Ｂと、上カバー３０Ｂと係合する係合部２３２Ｂを先端に有した係合突部２３Ｂと、紐類６を取付可能な紐類取付部２４Ｂとを有している。紐類６は前述同様に衣服などの物品の特定の部位に連結されるものである。

　下カバー本体部２１Ｂの下面２１１Ｂは平坦面で形成されている。紐類取付部２４Ｂは、下カバー本体部２１ＢのうちＸ軸方向において第二スライダー６０Ｂが配置される側の端部に形成された取付孔部によって構成されている。

　一対の下保持溝部２２Ｂは、下カバー本体部２１Ｂのうち上カバー３０Ｂに対して対向する面に形成されており、スライダー胴体６１の下板部５１３，６１３の形状に応じた溝形状とされている。一対の下保持溝部２２Ｂは互いにＸ軸方向に対向して配置されており、一対の下保持溝部２２Ｂにそれぞれ配置されるスライダー胴体６１は、図１２に示すように肩口同士が対向して位置する。

　係合突部２３Ｂは、下カバー本体部２１Ｂから上方に突出して形成されており、一対の下保持溝部２２Ｂの間に配置されている。係合部２３２Ｂは、係合突部２３Ｂの先端からＹ軸方向両側に突出している。この係合突部２３ＢはＸ軸方向からみて略Ｔ字状に形成されている。

　上カバー３０Ｂは、第一スライダー５０Ｂおよび第二スライダー６０Ｂを上方から覆って配置される上カバー本体部３１Ｂと、第一スライダー５０Ｂおよび第二スライダー６０Ｂが配置される上保持溝部３２Ｂと、下カバー２０Ｂの係合部２３２Ｂが配置される係合溝部３５Ｂと、係合部２３２Ｂを係合溝部３５Ｂへ案内する係合案内部３６Ｂと、係合溝部３５Ｂに連続した弾性片部３７Ｂとを有している。上カバー本体部３１Ｂの上面３１１Ｂは平坦面によって形成されている。

　上保持溝部３２Ｂは、上カバー本体部３１Ｂのうち下カバー２０Ｂに対して対向する面に形成されており、第一スライダー５０Ｂおよび第二スライダー６０Ｂのそれぞれのスライダー胴体６１の上板部６１２に応じた溝形状とされている。

　係合溝部３５Ｂは、図９および図１０に示すように、上カバー本体部３１ＢのＸ軸方向における中央部分にあり、上カバー本体部３１Ｂおよび弾性片部３７Ｂの一端から上方に立ち上げられた一対の立上げ片部３５１と、一対の立上げ片部３５１に連続した上片部３５２とによって構成されている。この係合溝部３５Ｂは、上カバー本体部３１Ｂの平坦な上面３１１Ｂから上方に突出していると共に、Ｙ軸方向に左右貫通している。

　係合案内部３６Ｂは、図１０に示すように、上カバー本体部３１Ｂのうち上保持溝部３２Ｂを形成する左右の内側面３１３ＢからそれぞれＹ軸方向に突出して形成されており、図１４に示すように下カバー２０Ｂの係合部２３２ＢをＸ軸方向に案内するスライド案内面３６１と、スライド案内面３６１に連続して上方に傾斜した傾斜案内面３６２と、図１３に示すように傾斜案内面３６２に連続して係合部２３２Ｂを下方から受ける係合受け面３６３とを有している。スライド案内面３６１は第一スライダー５０Ｂ側に配置されており、係合受け面３６３は第二スライダー６０Ｂ側に配置されていると共にスライド案内面３６１よりも高い位置に配置されている。

　弾性片部３７Ｂは、係合案内部３６Ｂに案内される係合部２３２Ｂによって押上げ可能となるように、上カバー本体部３１Ｂのうち第一スライダー５０Ｂ側の端側部分からＸ軸方向に延びて立上げ片部３５１に連続しており、Ｚ軸方向に弾性変形可能に構成されている。ここで、スライダーカバー１０Ｂを構成した状態においては、弾性片部３７Ｂからスライド案内面３６１までのＺ軸方向における寸法は、係合部２３２Ｂの厚さ寸法よりも小さい。このため、後述するように下カバー２０Ｂに上カバー３０Ｂを係合する際には、弾性片部３７Ｂは、図１４に示すように傾斜案内面３６２に案内される係合部２３２Ｂが圧接して上方に弾性変形した状態となり、図１３に示すように係合部２３２Ｂが係合受け面３６３に受けられると、弾性片部３７Ｂは係合部２３２Ｂから外れて元の状態となる。このように弾性片部３７Ｂを弾性変形して下カバー２０Ｂｂに上カバー３０Ｂを係合するので、スライダー構造体１ＢのＺ軸方向の厚さ寸法が大きくなることを抑えることができる。
　なお、弾性片部３７Ｂの上面は上面３１１Ｂに沿って平坦に形成されている。また、弾性片部３７Ｂおよび係合溝部３５Ｂは上カバー３０ＢのＹ軸方向における中央位置に配置されている。

　スライダーカバー１０Ｂは、前述した下カバー２０Ｂの係合部２３２Ｂと上カバー３０Ｂの係合溝部３５Ｂとを係合することによって構成される。この係合は次の通りに行われる。

　まず、上カバー３０Ｂを下カバー２０Ｂに対して上方の位置であってＸ軸方向において第二スライダー６０Ｂ側に寄った位置に配置し、Ｚ軸方向において上カバー３０Ｂを下カバー２０Ｂに接近させ、上カバー３０Ｂの弾性片部３７Ｂに係合部２３２Ｂを押し当てさせ、弾性片部３７Ｂを上方に弾性変形させつつ係合部２３２Ｂを係合案内部３６Ｂのスライド案内面３６１に載せ、図１４に示す状態とする。

　次に、上カバー３０Ｂを下カバー２０Ｂに対して第一スライダー５０Ｂ側にＸ軸方向に移動させ、係合部２３２Ｂをスライド案内面３６１に沿って案内し、傾斜案内面３６２によって斜め上に案内し、そして、係合部２３２Ｂの下面を係合受け面３６３で下方から受ける。このとき、弾性片部３７Ｂが係合部２３２Ｂから外れて元に戻ると共に係合溝部３５Ｂに係合部２３２Ｂが配置され、図１３に示す係合状態となる。この係合状態では、係合部２３２ＢのＹ軸方向に沿った前面および後面は一対の立上げ片部３５１に対してＸ軸方向に係合し、係合部２３２ＢのＸ軸方向に沿った左右の側面は上カバー本体部３１Ｂの内側面３１３Ｂに対してＹ軸方向に係合し、且つ、係合部２３２Ｂの下面は係合受け面３６３に対してＺ軸方向に係合する。

　下カバー２０Ｂおよび上カバー３０Ｂの係合状態では、下カバー２０Ｂおよび上カバー３０Ｂの間には、スライダー構造体１Ｂを一対のテープ２に沿ってＸ軸方向にスライド操作する操作紐等の操作具５を連結可能な操作連結部４０Ｂが構成される。本実施形態では、操作連結部４０Ｂは、係合溝部３５Ｂおよび係合部２３２Ｂによって構成される。
　この操作連結部４０Ｂは第一スライダー５０Ｂおよび第二スライダー６０Ｂが対向するＸ軸方向における中央位置、本実施形態では上カバー３０ＢのＸ軸方向における中央位置に配置されている。

　以下、スライダー構造体１Ｂの組立手順を説明する。
　まず、一対のテープ２のエレメント列３が挿通された状態の第一スライダー５０Ｂおよび第二スライダー６０Ｂを準備する。各スライダー胴体６１の肩口同士は対向して配置する。

　次に、下カバー２０Ｂを第一スライダー５０Ｂおよび第二スライダー６０Ｂの下方に配置し、一対の下保持溝部２２Ｂに各スライダー胴体６１の下板部６１３をそれぞれ配置すると共に、係合突部２３Ｂを各スライダー胴体６１の間に通す。

　次に、上カバー３０Ｂを第一スライダー５０Ｂおよび第二スライダー６０Ｂの上方に配置し、上保持溝部３２Ｂに第一スライダー５０Ｂおよび第二スライダー６０Ｂの上板部６１２を配置しつつ、前述したように上カバー３０Ｂの係合溝部３５Ｂを下カバー２０Ｂの係合部２３２Ｂに係合させる。

　下カバー２０Ｂおよび上カバー３０Ｂの係合状態では、スライダーカバー１０Ｂは、第一スライダー５０Ｂおよび第二スライダー６０Ｂを上方および下方から覆うと共に、第一スライダー５０Ｂおよび第二スライダー６０Ｂのそれぞれの上板部６１２の側面を覆って配置される。第一スライダー５０Ｂおよび第二スライダー６０Ｂは一対の下保持溝部２２Ｂおよび上保持溝部３２Ｂによって対向状態で保持される。上カバー本体部３１Ｂは、上保持溝部３２Ｂに配置された第一スライダー５０Ｂおよび第二スライダー６０Ｂの上板部６１２に当てられる。また、下カバー２０Ｂおよび上カバー３０Ｂの間には、操作連結部４０Ｂが構成され、ここに操作具５が通されて連結する。

　前述したように組み立てたスライダー構造体１Ｂは、第一スライダー５０Ｂおよび第二スライダー６０Ｂに一対のテープ２のエレメント列３が挿通され、紐類取付部２４Ｂに取り付けられる紐類６が衣服などの特定の部位に連結されることで、衣服などの特定の部位の寸法を調整し、引き締めたり緩めたりするアジャスタブルジッパーに用いられる。

　アジャスタブルジッパーにおいて操作具５をＸ軸方向にスライド操作すると、スライダー構造体１Ｂは一対のテープ２に沿ってスライド移動する。このスライド移動においては、第一スライダー５０Ｂおよび第二スライダー６０Ｂのうちの一方は一対のエレメント列３同士の噛合を解除してＹ軸方向に離間させ、第一スライダー５０Ｂおよび第二スライダー６０Ｂのうちの他方は一対のエレメント列３同士を噛合する。このため、スライダー構造体１Ｂがスライド移動しても、一対のテープ２のうちスライダー構造体１Ｂが配置されていない部分では噛合状態が維持される。このようにスライダー構造体１Ｂをスライド移動することで、紐類６が連結された衣服などの特定の部位の寸法を調整する。

　なお、操作具５のスライド操作を終了すると、スライダー構造体１Ｂのスライド移動は停止してその位置に留まる。

［変形例］
　第１実施形態では、紐類取付部２４が下カバー本体部２１のうち第一スライダー５０側の端部に形成されているが、第二スライダー６０側の端部に形成されていてもよい。また、第２実施形態では、紐類取付部２４Ｂが下カバー本体部２１Ｂのうち第二スライダー６０Ｂ側の端部に形成されているが、第一スライダー５０Ｂ側の端部に形成されていてもよい。
　第１、第２実施形態では、下カバー本体部２１，２１Ｂの下面２１１，２１１Ｂは、一様な平坦面によって形成されているが、これに限られず概ね平坦であればよく、各種意匠を有した面で形成してもよい。
　第１、第２実施形態では、下カバー２０，２０Ｂおよび上カバー３０，３０Ｂは合成樹脂製であるが、これに限らず、互いに係合可能であれば金属製その他の各種の材料によって形成されていてもよい。
　第１実施形態では、紐類取付部２４は、下カバー本体部２１のうちＸ軸方向において第一スライダー５０が配置される側の端部に形成されているが、これに限らず、前記端部に対して反対側の端部や、下カバー本体部２１のＸ軸方向における両端部に形成されていてもよく、また、下カバー本体部２１のＹ軸方向における両縁または一方縁に形成されていてもよい。
　第２実施形態では、紐類取付部２４Ｂは、下カバー本体部２１ＢのうちＸ軸方向において第二スライダー６０Ｂが配置される側の端部に形成されているが、これに限らず、前記端部に対して反対側の端部や、下カバー本体部２１ＢのＸ軸方向における両端部に形成されていてもよく、また、下カバー本体部２１ＢのＹ軸方向における両縁または一方縁に形成されていてもよい。

［作用効果］
　前述したスライダー構造体１，１Ｂは、第一スライダー５０，５０Ｂおよび第二スライダー６０，６０Ｂを上方からだけでなく下方からも覆うので、衣服の裏側において第一スライダー５０，５０Ｂおよび第二スライダー６０，６０Ｂが身体に直接に当たることによる異物感をなくすことができると共に見栄えをよくできる。更に下カバー２０，２０Ｂの下面２１１，２１１を平坦面で形成することで異物感をより軽減できる。
　また、操作具５が連結される操作連結部４０，４０Ｂが第一スライダー５０，５０Ｂおよび第二スライダー６０，６０Ｂが対向するＸ軸方向における中央位置に配置されるので、操作具５をスライド操作した際に、スライダー構造体１，１ＢがＸ軸方向に対してＺ軸方向（衣服等の表裏方向）に傾くことを抑制でき、スライダー構造体１，１Ｂを安定してスライド移動でき、操作性を向上できる。加えて、スライダーカバー１０，１０Ｂを下カバー２０，２０Ｂおよび上カバー３０，３０Ｂの二部材で構成するので、部品点数を抑えてコスト削減できると共に、二部材より多くを組み合わせる必要がないので組立性を向上できる。

　１…スライダー構造体、１０…スライダーカバー、１０Ｂ…スライダーカバー、１Ｂ…スライダー構造体、２…テープ、２０…下カバー、２０Ｂ…下カバー、２１…下カバー本体部、２１１…下面、２１１Ｂ…下面、２１Ｂ…下カバー本体部、２２…下保持溝部、２２Ｂ…下保持溝部、２３…係合突部、２３１…係合部、２３２Ｂ…係合部、２３Ｂ…係合突部、２４…紐類取付部、２４Ｂ…紐類取付部、３…エレメント列、３０…上カバー、３０Ｂ…上カバー、３１…上カバー本体部、３１１Ｂ…上面、３１２…抜止部、３１３Ｂ…内側面、３１Ｂ…上カバー本体部、３２…上保持溝部、３２Ｂ…上保持溝部、３３…係合溝部、３３１…開口、３４…被係合部、３５１…立上げ片部、３５２…上片部、３５Ｂ…係合溝部、３６１…スライド案内面、３６２…傾斜案内面、３６３…係合受け面、３６Ｂ…係合案内部、３７Ｂ…弾性片部、４０…操作連結部、４０Ｂ…操作連結部、５…操作具、５０…第一スライダー、５０Ｂ…第一スライダー、５１…スライダー胴体、５１１…柱部、５１２…上板部、５１３…下板部、５１４…装着部、５２…ロックピン、５２１…係合端部、５２２…板バネ部、５３…切替具、５３１…軸部、５３２…孔部、５３３…抜止孔部、６…紐類、６０…第二スライダー、６０Ｂ…第二スライダー、６１…スライダー胴体、６１１…柱部、６１２…上板部、６１３…下板部。

Claims

　一対のテープ（２）に沿って設けられたエレメント列（３）同士を紐類および離間するスライド移動可能な第一スライダー（５０，５０Ｂ）および第二スライダー（６０，６０Ｂ）と、前記第一スライダー（５０，５０Ｂ）および前記第二スライダー（６０，６０Ｂ）同士を対向させて保持するスライダーカバー（１０，１０Ｂ）とを備えており、
　前記スライダーカバー（１０，１０Ｂ）は、前記第一スライダー（５０，５０Ｂ）および前記第二スライダー（６０，６０Ｂ）を下方から覆う下カバー（２０，２０Ｂ）と、前記下カバー（２０，２０Ｂ）と係合し且つ前記第一スライダー（５０，５０Ｂ）および前記第二スライダー（６０，６０Ｂ）を上方から覆う上カバー（３０，３０Ｂ）とを備えており、
　前記下カバー（２０，２０Ｂ）は、紐類（６）を取付可能な紐類取付部（２４，２４Ｂ）を有しており、
　前記下カバー（２０，２０Ｂ）および前記上カバー（３０，３０Ｂ）の間には、前記第一スライダー（５０，５０Ｂ）および前記第二スライダー（６０，６０Ｂ）をスライド操作する操作具（５）を連結可能な操作連結部（４０，４０Ｂ）が構成されるスライダー構造体。
　前記第一スライダー（５０，５０Ｂ）は、前記エレメント列（３）が挿通されるスライダー胴体（５１）と、前記エレメント列（３）に対してスライド方向に係合するロック部材（５２）と、前記ロック部材（５２）の係合状態および非係合状態を切替える切替具（５３）とを備えており、
　前記操作連結部（４０）においては、前記切替具（５３）を前記ロック部材（５２）を係合状態から非係合状態に切替え操作可能に前記操作具（５）が前記切替具（５３）の下方に配置される請求項１に記載のスライダー構造体。
　前記上カバー（３０）のうち前記第二スライダー（６０）側の部分は、前記切替具（５３）の上方に位置していると共に上下方向に弾性変形可能に形成される請求項２に記載のスライダー構造体。
　前記下カバー（２０Ｂ）には、先端に係合部（２３２Ｂ）を有して上方に突出した係合突部（２３Ｂ）が形成されており、
　前記上カバー（３０Ｂ）には、前記係合部（２３２Ｂ）が配置される係合溝部（３５Ｂ）と、前記係合部（２３２Ｂ）を前記係合溝部（３５Ｂ）へ案内する係合案内部（３６Ｂ）と、前記係合溝部（３５Ｂ）に連続した弾性片部（３７Ｂ）とが形成されており、
　前記弾性片部（３７Ｂ）は、前記係合案内部（３６Ｂ）に案内される前記係合部（２３２Ｂ）によって押上げ可能に構成される請求項１に記載のスライダー構造体。
　前記係合案内部（３６Ｂ）は、前記係合部（２３２Ｂ）をスライド方向に案内するスライド案内面（３６１）と、前記スライド案内面（３６１）に連続して上方に傾斜した傾斜案内面（３６２）と、前記傾斜案内面（３６２）に連続して前記係合部（２３２Ｂ）を下方から受ける係合受け面（３６３）とを有しており、
　前記弾性片部（３７Ｂ）は、前記スライド案内面（３６１）に案内される前記係合部（２３２Ｂ）が圧接する配置とされる請求項４に記載のスライダー構造体。
　前記第一スライダー（５０Ｂ）および前記第二スライダー（６０Ｂ）の双方は、スライダー胴体（６１）によって構成される請求項４または請求項５に記載のスライダー構造体。
　前記下カバー（２０，２０Ｂ）の下面（２１１，２１１Ｂ）は平坦面で形成される請求項１から請求項６のいずれか一項に記載のスライダー構造体。
　第一スライダー（５０，５０Ｂ）および第二スライダー（６０，６０Ｂ）同士を対向させて保持するスライダーカバー（１０，１０Ｂ）であって、
　前記第一スライダー（５０，５０Ｂ）および前記第二スライダー（６０，６０Ｂ）を下方から覆う下カバー（２０，２０Ｂ）と、前記下カバー（２０，２０Ｂ）と係合し且つ前記第一スライダー（５０，５０Ｂ）および前記第二スライダー（６０，６０Ｂ）を上方から覆う上カバー（３０，３０Ｂ）とを備えており、
　前記下カバー（２０，２０Ｂ）は、紐類（６）を取付可能な紐類取付部（２４，２４Ｂ）を有しており、
　前記下カバー（２０，２０Ｂ）および前記上カバー（３０，３０Ｂ）の間には、前記第一スライダー（５０，５０Ｂ）および前記第二スライダー（６０，６０Ｂ）をスライド操作する操作具（５）を連結可能な操作連結部（４０，４０Ｂ）が構成されるスライダーカバー。