WO2021200002A1 - 顕微鏡システム、投影ユニット、及び、検卵支援方法 - Google Patents
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Abstract
顕微鏡システム1は、顕微鏡10と、ステージ11に置かれた容器40内に収容された卵胞液50の撮影画像を取得する撮影装置15と、撮影装置15で取得した撮影画像に基づいて、卵子の存在が推定される領域を特定する情報を含む補助画像を生成する画像処理装置100と、顕微鏡10の光路上の像面に形成される卵胞液50の光学画像上に、画像処理装置100で生成された補助画像を重畳する重畳装置である投影装置17と、を備える。
Description
本明細書の開示は、顕微鏡システム、投影ユニット、及び、検卵支援方法に関する。
晩婚化・晩産化が進む現在、不妊治療を受ける患者の数は年々増加しており、生殖補助医療(ART:Assisted Reproductive Technology)の需要もますます高まっている。
ARTは、体外受精(IVF:In vitro fertilization)や、卵細胞質内精子注入法(ICSI:Intracytoplasmic sperm injection)に代表される顕微授精など、ヒトから取り出した卵子と精子を体外で受精させる技術の総称であり、採取した精子を子宮に注入し体内で卵子と受精させる一般的な人工授精とは区別される。
ARTに関連する技術は、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1には、ARTの一種である顕微授精に好適な顕微鏡が記載されている。
ところで、卵子と精子を体外で受精させるARTでは、予め母体から卵子を取り出す必要がある。このため、医師が卵巣内の卵胞から卵胞液を採取し(これを採卵という。)、胚培養士が採取された卵胞液から卵子を見つけ出して回収する(これを検卵という)、といった作業が行われる。
採卵のためには、患者は医療機関へ通院しなければならない。さらに、医療機関では、膣から卵巣に採卵針が穿刺され、それによって卵巣から卵胞液が採取される。このように、採卵は、患者に肉体的にも精神的にも大きな負担を強いることになる。また、一回当たりの採卵で採取可能な卵子数も限られている。このため、不妊治療患者にとって卵子は貴重であり、医療機関には、採卵において採取された卵胞液から卵子を見逃すことなく回収することが求められる。
その一方で、採卵において採取された卵胞液中の卵子を見逃すことなく見つけ出して回収することは容易ではない。これは、卵胞から採取された卵胞液には卵子以外にも様々な細胞が含まれているためである。このため、卵子を正しく認識して回収することは熟練者であっても必ずしも容易ではなく、経験の浅い胚培養士にとっては困難な作業である。
また、検卵には実体顕微鏡が用いられるため、卵子を含む卵胞液は、検卵中インキュベータから取り出されて室内の雰囲気下で暴露される。卵子が暴露される期間は短ければ短いほどよいため、胚培養士には、検卵を可能な限り素早く、且つ、確実に行うことが求められる。
以上のような実情を踏まえ、本発明の一側面に係る目的は、検卵における卵子の探索を支援する技術を提供することである。
本発明の一態様に係る顕微鏡システムは、顕微鏡と、前記顕微鏡のステージに置かれた容器内に収容された卵胞液の撮影画像を取得する撮影装置と、前記撮影装置で取得した前記撮影画像に基づいて、卵子の存在が推定される領域を特定する情報を含む補助画像を生成する画像処理装置と、前記顕微鏡の光路上の像面に形成される前記卵胞液の光学画像上に、前記画像処理装置で生成された前記補助画像を重畳する重畳装置と、を備える。
本発明の一態様に係る投影ユニットは、顕微鏡に装着して使用される投影ユニットであって、前記顕微鏡のステージに置かれた容器内に収容された卵胞液の撮影画像に基づいて、卵子の存在が推定される領域を特定する情報を含む補助画像を生成する画像処理装置と、前記顕微鏡の光路上の像面に形成される前記卵胞液の光学画像上に、前記画像処理装置で生成された前記補助画像を重畳する重畳装置と、を備える。
本発明の一態様に係る検卵支援方法は、顕微鏡のステージに置かれた容器内に収容された卵胞液の撮影画像を取得し、前記撮影装置で取得した前記撮影画像に基づいて、卵子の存在が推定される領域を特定する情報を含む補助画像を生成し、前記顕微鏡の光路上の像面に形成される前記卵胞液の光学画像上に、生成された前記補助画像を重畳することを含む。
上記の態様によれば、検卵における卵子の探索を支援することができる。
[第1の実施形態]
図1は、顕微鏡システム1の構成を示した図である。図2は、画像処理装置100の構成を例示した図である。図3は、顕微鏡10の光学系の構成を例示した図である。顕微鏡システム1は、接眼レンズ19を覗いて試料を観察するためのシステムである。顕微鏡システム1が観察対象とする試料は、例えば、容器40に収容された卵胞液50であり、顕微鏡システム1は、例えば、不妊治療の一工程である検卵に用いられる。
図1は、顕微鏡システム1の構成を示した図である。図2は、画像処理装置100の構成を例示した図である。図3は、顕微鏡10の光学系の構成を例示した図である。顕微鏡システム1は、接眼レンズ19を覗いて試料を観察するためのシステムである。顕微鏡システム1が観察対象とする試料は、例えば、容器40に収容された卵胞液50であり、顕微鏡システム1は、例えば、不妊治療の一工程である検卵に用いられる。
顕微鏡システム1は、少なくとも、顕微鏡10と、撮影装置15と、重畳装置の一例である投影装置17と、画像処理装置100と、を備えている。顕微鏡システム1は、顕微鏡10の光学系によって卵胞液50の光学画像が形成されている像面に、投影装置17を用いて補助画像を投影することによって、光学画像上に補助画像を重畳する。補助画像には、卵子の存在が推定される領域(以降、推定領域と記す。)を特定する情報が含まれている。なお、補助画像は、撮影装置15が撮影した卵胞液の撮影画像に基づいて画像処理装置100によって作成される。
これにより、接眼レンズ19を覗いて卵胞液を観察している顕微鏡システム1の利用者は、接眼レンズ19から目を離すことなく推定領域の情報を得ることができるため、卵子を短時間で比較的容易に探し出すことが可能となる。従って、顕微鏡システム1によれば、利用者の検卵における卵子を探索する作業を支援することができる。
以下、図1から図3を参照しながら、顕微鏡システム1の構成の具体例について詳細に説明する。顕微鏡システム1は、図1に示すように、撮影装置15と投影装置17とを備える顕微鏡10と、画像処理装置100と、を備えている。
顕微鏡10は、卵胞液50が収容された容器40が載置されるステージ11と、レボルバ13に装着された対物レンズ12と、結像レンズ18と、接眼レンズ19を備えている。対物レンズ12と結像レンズ18は、卵胞液50の光学画像を像面に形成する。接眼レンズ19は、像面に形成された光学画像をさらに拡大する。顕微鏡システム1の利用者は、接眼レンズ19を用いることで光学画像が拡大された虚像を観察する。
顕微鏡10は、また、対物レンズ12と結像レンズ18の間の光路上に配置されたスプリッタ14と、スプリッタ14で分岐した光路上に配置された撮影装置15と、を備えている。スプリッタ14は、例えば、ハーフミラーなどであるが、透過率と反射率を可変する可変ビームスプリッタが用いられても良い。撮影装置15は、例えば、撮像素子を備えるデジタルカメラであり、卵胞液50の撮影画像を取得する。撮像素子は、例えば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサなどの二次元イメージセンサである。
顕微鏡10は、さらに、対物レンズ12と結像レンズ18の間の光路上に配置されたスプリッタ16と、スプリッタ16で分岐した光路上に配置された投影装置17と、を備えている。スプリッタ16は、例えば、ハーフミラーなどであるが、透過率と反射率を可変する可変ビームスプリッタが用いられても良い。投影装置17は、例えば、反射型の液晶デバイスを用いたプロジェクタ、透過型の液晶デバイスを用いたプロジェクタ、デジタルミラーデバイスを用いたプロジェクタなどである。投影装置17は、顕微鏡10の光路上の像面に画像処理装置100で生成された補助画像を投影する。なお、投影装置17は、像面に補助画像を投影することで、像面に形成される卵胞液50の光学画像上に補助画像を重畳する重畳装置の一例である。
画像処理装置100は、撮影装置15で取得した撮影画像に基づいて補助画像を生成する。画像処理装置100は、補助画像の生成に関連する機能的構成要素として、画像解析部110と、画像生成部120と、記憶部130を備えている。
画像解析部110は、撮影画像に対して卵子を対象とする物体検出を含む画像解析を行う。具体的には、画像解析部110は、例えば、記憶部130に記憶されている学習済みモデルを用いて物体検出を行う。学習済みモデルのアルゴリズムは、特に限定しないが、例えば、SSD、YOLO、FasterR-CNNなどの深層学習モデルであってもよい。
画像生成部120は、画像解析部110の画像解析の結果に基づいて、卵子の存在が推定される領域(推定領域)を特定する情報を含む補助画像を生成する。具体的には、画像生成部120は、推定領域にバウンディングボックスを有する画像を補助画像として生成する。
記憶部130は、入力画像に対する卵子の位置を学習した学習済みモデルを記憶する。即ち、学習済みモデルは、卵子に分類された対象を検出し、少なくとも卵子の位置情報を出力する。より具体的には、学習済みモデルは、卵子の位置情報と、卵子の確からしさを示す分類の確率(classification confidence)と、を出力する。
画像処理装置100は、汎用のコンピュータであっても、専用のコンピュータであってもよい。画像処理装置100は、特にこの構成に限定されるものではないが、例えば、図2に示すような物理構成を有してもよい。具体的には、画像処理装置100は、プロセッサ101と、記憶装置102と、入力装置103と、出力装置104と、通信装置105と、を備えてもよく、それらが互いにバス106によって接続されてもよい。
プロセッサ101は、ハードウェアを含んでもよく、ハードウェアは例えば、デジタル信号を処理するための回路およびアナログ信号を処理するための回路のうちの少なくとも1つを含んでもよい。プロセッサ101は、例えば、回路基板上に、1つまたは複数の回路デバイス(例えば、IC)または1つまたは複数の回路素子(例えば、抵抗器、コンデンサ)を含むことができる。プロセッサ101は、CPU(central processing unit)であってもよい。また、プロセッサ101には、GPU(Graphics processing unit)及びDSP(Digital Signal Processor)を含む様々なタイプのプロセッサが使用されてもよい。プロセッサ101は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)を有するハードウェア回路であってもよい。プロセッサ101は、アナログ信号を処理するための増幅回路、フィルタ回路などを含むことができる。プロセッサ101は、記憶装置102に記憶されているプログラムを実行することで、上述した画像解析部110及び画像生成部120として機能する。
記憶装置102は、メモリ及び/又はその他の記憶装置を含んでもよい。メモリは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)であってもよい。メモリは、SRAM(Static Randam Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリであってもよい。記憶装置102は、例えば、レジスタ、ハードディスク装置のような磁気記憶装置、光学ディスク装置のような光学記憶装置、内部または外部ハードディスクドライブ、ソリッドステート記憶装置、CD-ROM、DVD、他の光学または磁気ディスク記憶装置、または、他の記憶装置であってもよい。記憶装置102は、プロセッサ101によって実行されるプログラム、学習済みモデル、その他のデータを記憶し、上述した記憶部130として機能する。なお、記憶装置102は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体の一例である。
入力装置103は、顕微鏡システム1の利用者(例えば、胚培養士)が操作する装置である。入力装置103は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、音声入力装置、フットペダルなどであり、入力装置103に対する操作に応じた操作信号をプロセッサ101へ出力する。
出力装置104は、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRTディスプレイ、LEDマトリクスパネルなどの表示装置である。出力装置104は、さらに、音声を出力するスピーカーなどの音声出力装置、光を出力するランプやライトなどの発光装置、振動を出力するバイブレータなどの振動装置などを含んでもよい。
通信装置105は、顕微鏡10やその他の装置とデータをやり取りする装置である。通信装置105は、有線でデータをやり取りする通信装置であってもよく、無線でデータをやり取りする通信装置であってもよい。記憶装置102に記憶されるプログラムや学習済みモデルは、通信装置105がインターネット経由で他の装置から取得したものであってもよい。
なお、顕微鏡10を用いて行う検卵は、比較的低い観察倍率で胚培養士が接眼レンズ19を覗き込みながら行う作業である。このため、顕微鏡10は、低倍率下で対象を立体的に観察可能な実体顕微鏡であることが望ましい。より具体的には、例えば、図3に示すように、スプリッタ14aと撮影装置15aとスプリッタ16aと投影装置17aと結像レンズ18aと接眼レンズ19aを含む左目系と、スプリッタ14bと撮影装置15bとスプリッタ16bと投影装置17bと結像レンズ18bと接眼レンズ19bを含む右目系と、を有する双眼実体顕微鏡であることが望ましい。
図4は、本実施形態に係る学習処理の一例を示したフローチャートである。図5は、学習用データセットの作成画面の一例を示した図である。図6は、学習用データセットに含まれる画像を例示した図である。以下、図4から図6を参照しながら、記憶部130に記憶されている学習済みモデルを構築するための学習処理について説明する。なお、図4に示す学習処理は、画像処理装置100とは別のコンピュータで行われてもよく、画像処理装置100は、完成した学習済みモデルをネットワーク経由や記録媒体経由で取得してもよい。
図4に示す処理が開始されると、図5に示すウィンドウW1が表示される。図5に示すウィンドウW1は、学習用データセットの作成画面であり、ウィンドウW1には、卵胞液の画像ファイルを選択する領域R1と、領域R1で選択された画像ファイルに対応する卵胞液の画像を表示する領域R2と、が含まれている。
学習済みモデルを構築する作業者が領域R1にリストされている複数の画像ファイルから1つの画像ファイルを選択すると、コンピュータは、選択した画像ファイルに対応する卵胞液の静止画を領域R2に表示する(ステップS1)。なお、作業者は、例えば、経験豊富な胚培養士などである。その後、作業者は、領域R2に表示されている静止画から卵子を見つけ出して、図5に示すように、卵子を含む領域に矩形のボックスBを付して、ファイルを保存する操作を行う。作業者の保存操作を検出すると、コンピュータは、学習用データセットを作成する(ステップS2)。具体的には、コンピュータは、領域R2に表示されている画像から矩形のボックスBで囲まれた領域を切り出して、学習用データセットに追加する。ステップS1とステップS2が複数の静止画に対して繰り返し行われることで、十分な量の学習用データセットが準備される。
なお、卵子は卵胞内では卵丘細胞に取り囲まれているが、卵胞内から吸引される採卵時などに卵丘細胞が剥がれ落ちてしまうことがある。従って、検卵時に見つかる卵子は、卵丘細胞に取り囲まれているものもあれば、卵丘細胞が剥がれ落ち卵子を取り囲む放射冠がむき出しになっているものもある。このため、学習用データセットに含まれる画像には、卵丘細胞に取り囲まれた卵子の画像と、卵丘細胞から剥がれた卵子の画像と、の両方が含まれていることが望ましい。
なお、図6に示すデータセットDSに含まれるデータD1は、卵丘細胞が剥がれた卵子の画像の一例である。卵子E1の周りを透明帯E2と放射冠E3が取り囲んでいる様子が写っている。一方、データD2は、卵丘細胞に取り囲まれた卵子の画像の一例である。卵子E1(透明帯E2、放射冠E3)が卵丘細胞E4に取り囲まれている様子が写っている。
十分な量の学習用データセットが準備されると、コンピュータは、学習用データセットを用いて、卵子を対象として物体検出を行うモデルに学習させる(ステップS3)。つまり、モデルを訓練し、検証し、テストする。なお、ステップS2で作成されたデータセットは、訓練データ兼検証データと、テストデータと、に分けてもよい。その場合、訓練データ兼検証データを、クロスバリデーション(交差検証)を用いて訓練と検証の両方に使用されることが望ましい。なお、訓練データとは、モデルの訓練に使用されるデータであり、検証データとは、モデルの検証に使用されるデータである。また、テストデータとは、モデルのテストに使用されるデータである。
コンピュータは、以上の処理をモデルがテストをクリアするまで繰り返し、クリアすると、つまり、学習が終了すると、図4の処理を終了する。図4の処理が行われることで、十分に訓練され、一定の性能が保証された学習済みモデルを得ることができる。得られた学習済みモデルは、画像処理装置100の記憶部130に記憶される。
図7は、本実施形態に係る検卵支援処理の一例を示したフローチャートである。図8は、本実施形態に係る補助画像生成処理の一例を示したフローチャートである。図9は、接眼レンズ19から見える画像の一例である。以下、図7から図9を参照しながら、顕微鏡システム1で行われる検卵支援方法について説明する。
図7に示す検卵支援処理は、顕微鏡システム1の利用者が、ステージ11に卵胞液50が収容された容器40を配置し、検卵を開始することによって開始される。
図7に示す検卵支援処理が開始されると、顕微鏡システム1は、まず、光学画像を像面に投影する(ステップS11)。ここでは、対物レンズ12と結像レンズ18を含む光学系が、卵胞液50からの光に基づいて、顕微鏡10の光路上に、例えば、図9に示すような、卵胞液50の光学画像O1を形成する。
顕微鏡システム1は、ステップS11と同時に、撮影画像を取得する(ステップS12)。ここでは、撮影装置15は、卵胞液50からの光に基づいて卵胞液の撮影画像を取得し、撮影画像を画像処理装置100へ出力する。
その後、顕微鏡システム1は、図8に示す補助画像生成処理を行う(ステップS13)。補助画像生成処理では、画像処理装置100は、まず、撮影画像から卵子を検出する(ステップS21)。ここでは、画像解析部110が、撮影画像を入力画像として学習済みモデルに入力することで、卵子を対象とする物体検出を行う。
その後、画像処理装置100は、卵子が検出された領域にバウンディングボックスを有する画像を補助画像として生成し(ステップS22)、補助画像生成処理を終了する。ここでは、画像生成部120は、画像解析部110による物体検出結果に基づいて、補助画像A1を生成する。より具体的には、画像生成部120は、物体検出において対象の位置情報とともに画像解析部110から出力される分類の確率が閾値以上の対象のみを卵子と判断してもよく、閾値以上の分類の確率を有する対象が存在する領域にバウンディングボックスを有する補助画像A1を生成してもよい。図9に示す補助画像A1には、物体検出による卵子が存在すると推定された2つの領域にバウンディングボックスが形成された様子が示されている。
補助画像生成処理を終了すると、顕微鏡システム1は、光学画像上に補助画像を重畳し(ステップS14)、図7に示す処理を終了する。ここでは、投影装置17は、光学画像O1が形成された像面にステップS13で生成された補助画像A1を投影し、それによって、光学画像O1上に補助画像A1を重畳する。
これにより、顕微鏡システム1の利用者である胚培養士は、接眼レンズ19を覗くことで、図9に示すような、光学画像O1と補助画像A1が重畳した画像を見ながら、卵子を探索することができる。このため、経験の浅い胚培養士であっても、卵丘細胞から離れて孤立した卵子など、見落としがちな卵子を確実に発見することができる。従って、顕微鏡システム1によれば、検卵における卵子の探索を支援することができる。
なお、図9では、物体検出により卵子が存在すると推定された推定領域にバウンディングボックスを有する補助画像A1を例示したが、補助画像は、推定領域を特定する情報を含んでいればよい。そのため、矩形のバウンディングボックスの代わりに、推定領域を、例えば丸など任意の形状で囲んでもよい。また、推定領域を囲む代わりに、矢印などで推定領域を指し示すなど、その他の方法で、卵子が存在する領域を特定してもよい。
図10は、接眼レンズ19から見える画像の別の例である。図9では、推定領域を特定する情報のみを含む補助画像A1を例示したが、画像解析部110から出力される情報には、対象の位置情報に加えて、分類の確率が含まれるのが通常である。このため、画像生成部120は、対象の位置情報に加えて分類の確率を用いて補助画像を生成してもよく、補助画像は、例えば、図10に示すように、推定領域を特定する情報(バウンディングボックス)に加えて、卵子として分類された確率の情報を含んでもよい。図10に示す補助画像A2の場合、1つ目のバウンディングボックス内の卵子は95%の確率で卵子に分類されたこと、2つ目のバウンディングボックス内の卵子は80%の確率で卵子に分類されたことが示されている。図10に示すように、分類の確率が表示されることで、胚培養士は、卵子を探索するときに、自身の初期の見解と分類の確率とを踏まえて卵子か否かについての最終的な判断を下すことができる。また、分類の確率の高いものから優先して確認することで、検卵時間の短縮も期待できる。
[第2の実施形態]
図11は、本実施形態に係る補助画像生成処理の一例を示したフローチャートである。図12は、接眼レンズ19から見える画像の更に別の例である。本実施形態に係る顕微鏡システム(以降、単に顕微鏡システムと記す。)は、画像解析部110が、物体検出に加えて、撮影画像よりも前に取得された別の撮像画像内で検出された卵子の現在位置を推定する物体追跡を行う点が、図1に示す顕微鏡システム1とは異なっている。即ち、本実施形態では、画像解析部110は、物体検出と物体追跡とを含む画像解析を行う。また、本実施形態に係る検卵支援処理は、図8に示す補助画像生成処理の代わりに、図11に示す補助画像生成処理を含む点を除き、図7に示す検卵支援処理と同様である。以下、図11及び図12を参照しながら、本実施形態に係る顕微鏡システムで行われる検卵支援方法について、補助画像生成処理に注目して説明する。
図11は、本実施形態に係る補助画像生成処理の一例を示したフローチャートである。図12は、接眼レンズ19から見える画像の更に別の例である。本実施形態に係る顕微鏡システム(以降、単に顕微鏡システムと記す。)は、画像解析部110が、物体検出に加えて、撮影画像よりも前に取得された別の撮像画像内で検出された卵子の現在位置を推定する物体追跡を行う点が、図1に示す顕微鏡システム1とは異なっている。即ち、本実施形態では、画像解析部110は、物体検出と物体追跡とを含む画像解析を行う。また、本実施形態に係る検卵支援処理は、図8に示す補助画像生成処理の代わりに、図11に示す補助画像生成処理を含む点を除き、図7に示す検卵支援処理と同様である。以下、図11及び図12を参照しながら、本実施形態に係る顕微鏡システムで行われる検卵支援方法について、補助画像生成処理に注目して説明する。
顕微鏡システムは、図7に示すステップS12の処理を終了すると、図11に示す補助画像生成処理を行う。補助画像生成処理では、画像処理装置100は、まず、撮影画像から卵子を検出する(ステップS31)。この処理は、図8のステップS21と同様である。
次に、画像処理装置100は、以前に検出された卵子の現在位置を推定する(ステップ32)。ここでは、画像解析部110は、卵子を対象とする物体追跡を行う。具体的には、画像解析部110は、最新の撮影画像を含む複数フレームの撮影画像に基づいて、卵子の現在位置を推定する。また、画像解析部110は、物体検出において出力された分類の確率が閾値以上の対象のみを卵子と判断してもよく、卵子と判断された対象のみを物体追跡の対象としてもよい。なお、物体追跡の具体的方法は特に限定しないが、追跡対象が他の物体の背後に隠れてしまうオクルージョンに対してロバストな方法が採用されることが望ましい。例えば、カルマンフィルタやパーティクルフィルタなどを用いて卵子の現在位置を推定してもよい。また、容器のオプティカルフローを算出し、算出したオプティカルフローから卵子の現在位置を推定してもよい。
その後、画像処理装置100は、卵子が検出された領域にバウンディングボックスを有し、且つ、推定した現在位置を含む領域に第2のバウンディングボックスを有する画像を補助画像として生成し(ステップS33)、補助画像生成処理を終了する。ここでは、画像生成部120は、画像解析部110による物体検出結果と物体追跡結果とに基づいて、補助画像を生成する。具体的には、画像生成部120は、例えば、図12に示すように、視野内の卵子が全て物体検出で検出されている間は、矩形のバウンディングボックスのみを有する補助画像(補助画像A11、補助画像A12)を生成し、一部の卵子が他の細胞の背後に隠れてしまった場合には、矩形のバウンディングボックスと扇形のバウンディングボックスを有する補助画像(補助画像A13)を生成してもよい。なお、矩形のバウンディングボックスは、物体検出で推定された推定領域を示し、扇形のバウンディングボックスは、物体追跡で推定された卵子の現在位置を含む領域を示している。
補助画像生成処理を終了すると、顕微鏡システムは、光学画像上に補助画像を重畳し(ステップS14)、図7に示す処理を終了する。これにより、利用者が容器を動かした結果、一部の卵子が他の細胞の背後に隠れてしまった場合であっても、例えば、図12に示すように、隠れた卵子の存在を見逃すことなく利用者に通知することができる。なお、図12は、容器を動かすことで像面に形成される光学画像が光学画像O11、光学画像O12、光学画像O13のように変化したときに、像面に投影される補助画像が補助画像A11、補助画像A12、補助画像A13のように変化した様子を示している。
本実施形態においても、補助画像が投影されるため、胚培養士は、見落としがちな卵子を確実に発見することができる。従って、本実施形態に係る顕微鏡システムによっても、顕微鏡システム1と同様に、検卵における卵子の探索を支援することができる。
また、検卵中、胚培養士は、容器を動かして視野を別の場所へ移動する、容器を振って他の細胞の背後に隠れた卵子を動かす、などの作業を行うことがある。このような作業によって卵子が容器内で移動することで新たに卵子を物体検出によって検出することができる場合がある一方で、これまで検出されていた卵子が他の細胞の背後に隠れて見えなくなってしまうこともある。本実施形態に係る顕微鏡システムによれば、卵子を対象とした物体追跡が行われるため、隠れた卵子の存在も利用者に通知することができる。このため、本実施形態に係る顕微鏡システムによれば、検卵における卵子の探索をさらに強力に支援することができる。
[第3の実施形態]
図13は、本実施形態に係る補助画像生成処理の一例を示したフローチャートである。図14は、接眼レンズ19から見える画像の更に別の例である。本実施形態に係る顕微鏡システム(以降、単に顕微鏡システムと記す。)は、画像解析部110が、物体検出に加えて物体追跡を行う点は、第2の実態形態に係る顕微鏡システムと同様である。顕微鏡システムは、視野内の卵子の存在に加えて、視野外に移動した卵子の存在も利用者に通知する点が、第2の実施形態に係る顕微鏡システムとは異なっている。より具体的には、顕微鏡システムは、図11に示す補助画像生成処理の代わりに、図13に示す補助画像生成処理を含む検卵支援処理を行う。以下、図13及び図14を参照しながら、本実施形態に係る顕微鏡システムで行われる検卵支援方法について、補助画像生成処理に注目して説明する。
図13は、本実施形態に係る補助画像生成処理の一例を示したフローチャートである。図14は、接眼レンズ19から見える画像の更に別の例である。本実施形態に係る顕微鏡システム(以降、単に顕微鏡システムと記す。)は、画像解析部110が、物体検出に加えて物体追跡を行う点は、第2の実態形態に係る顕微鏡システムと同様である。顕微鏡システムは、視野内の卵子の存在に加えて、視野外に移動した卵子の存在も利用者に通知する点が、第2の実施形態に係る顕微鏡システムとは異なっている。より具体的には、顕微鏡システムは、図11に示す補助画像生成処理の代わりに、図13に示す補助画像生成処理を含む検卵支援処理を行う。以下、図13及び図14を参照しながら、本実施形態に係る顕微鏡システムで行われる検卵支援方法について、補助画像生成処理に注目して説明する。
顕微鏡システムは、図7に示すステップS12の処理を終了すると、図13に示す補助画像生成処理を行う。補助画像生成処理では、画像処理装置100は、まず、撮影画像から卵子を検出し(ステップS41)、以前に検出された卵子の現在位置を推定する(ステップ42)。これらの処理は、図11のステップS31とステップS32の処理と同様である。
その後、画像処理装置100は、卵子が検出された領域にバウンディングボックスを有し、推定した視野内の現在位置を含む領域に第2のバウンディングボックスを有し、且つ、推定した視野外の現在位置の方向を指す情報を有する画像を補助画像として生成し(ステップS43)、補助画像生成処理を終了する。ここでは、画像生成部120は、画像解析部110による物体検出結果と物体追跡結果とに基づいて、補助画像を生成する。具体的には、画像生成部120は、例えば、図14に示すように、卵子が全て物体検出で検出されている間は、矩形のバウンディングボックスのみを有する補助画像(補助画像A21、補助画像A22)を生成し、一部の卵子が他の細胞の背後に隠れてしまった場合には、矩形のバウンディングボックスと扇形のバウンディングボックスを有する補助画像(補助画像A23)を生成し、一部の卵子が視野外へ移動してしまった場合には、矩形のバウンディングボックスと矢印マークを有する補助画像(補助画像A24)を生成する。なお。矢印マークは、物体追跡で推定された視野外の現在位置の方向を指す情報の一例であり、視野外の卵子が存在する方向を表す情報の一例である。
補助画像生成処理を終了すると、顕微鏡システムは、光学画像上に補助画像を重畳し(ステップS14)、図7に示す処理を終了する。これにより、利用者が容器を動かした結果、一部の卵子が他の細胞の背後に隠れてしまった場合や視野外に移動してしまった場合であっても、例えば、図14に示すように、隠れた卵子や視野外の卵子の存在を見逃すことなく利用者に通知することができる。なお、図14は、容器を動かすことで像面に形成される光学画像が光学画像O21、光学画像O22、光学画像O23、光学画像O24のように変化したときに、像面に投影される補助画像が補助画像A21、補助画像A22、補助画像A23、補助画像A24のように変化した様子を示している。
本実施形態においても、補助画像が投影されるため、胚培養士は、見落としがちな卵子を確実に発見することができる。また、本実施形態に係る顕微鏡システムによれば、卵子を対象とした物体追跡が行われるため、隠れた卵子の存在や視野外へ移動した卵子の存在も利用者に通知することができる。このため、本実施形態に係る顕微鏡システムによれば、検卵における卵子の探索をさらに強力に支援することができる。
[第4の実施形態]
図15は、学習用データセットの作成画面の別の例を示した図である。図16は、学習用データセットの作成画面の更に別の例を示した図である。図17は、本実施形態に係る補助画像生成処理の一例を示したフローチャートである。図18は、接眼レンズ19から見える画像の更に別の例である。本実施形態に係る顕微鏡システム(以降、単に顕微鏡システムと記す。)は、画像解析部110が、物体検出によって、卵子を、検卵における採取対象としての推奨度が異なる複数のクラスに分けて検出する点が、図1に示す顕微鏡システム1とは異なっている。また、本実施形態に係る検卵支援処理は、図8に示す補助画像生成処理の代わりに、図17に示す補助画像生成処理を含む点を除き、図7に示す検卵支援処理と同様である。
図15は、学習用データセットの作成画面の別の例を示した図である。図16は、学習用データセットの作成画面の更に別の例を示した図である。図17は、本実施形態に係る補助画像生成処理の一例を示したフローチャートである。図18は、接眼レンズ19から見える画像の更に別の例である。本実施形態に係る顕微鏡システム(以降、単に顕微鏡システムと記す。)は、画像解析部110が、物体検出によって、卵子を、検卵における採取対象としての推奨度が異なる複数のクラスに分けて検出する点が、図1に示す顕微鏡システム1とは異なっている。また、本実施形態に係る検卵支援処理は、図8に示す補助画像生成処理の代わりに、図17に示す補助画像生成処理を含む点を除き、図7に示す検卵支援処理と同様である。
まず、図15及び図16を参照しながら、本実施形態に係る顕微鏡システムの記憶部130に記憶されている学習済みモデルを構築するための学習処理について説明する。学習処理の手順は、基本的には、図4に示す手順と同様である。このため、図4に示す手順との相違点に注目して学習処理について説明する。
本実施形態では、作業者は、図15に示すウィンドウW2上で、領域R2に表示されている静止画から卵子を見つけ出して卵子を含む領域に矩形のボックスBを付した後に、さらに、検卵における採取対象としての推奨度を判断して推奨度情報を入力欄Cに入力する。そして、作業者の保存操作を検出すると、コンピュータは、領域R2に表示されている画像から矩形のボックスBで囲まれた領域を切り出し、入力された推奨度情報に応じたクラスの画像として、学習用データセットに追加する。なお、作業者によって入力される推奨度情報は、卵子の成熟度情報であってもよく、例えば、GV期卵である変性卵を示す“GV”、MI期卵である未成熟卵を示す“MI”、MII期卵である成熟卵を示す“MII”を含んでもよい。さらに、作業者は、例えば、過熟卵、中等度成熟卵、異常卵などを区別して、推奨度情報を入力してもよい。
このようにして得られたデータセットを用いて学習することで、卵子を、検卵における採取対象としての推奨度が異なる複数のクラスに分けて検出する学習済みモデルを構築することができる。これにより、記憶装置102には、入力画像に対する少なくとも卵子の位置と卵子の複数のクラスとを学習した学習済みモデルが記憶される。なお、図16に示すように、卵子を含む領域に矩形のボックスBを付したことが検出されると、学習用データセットの作成画面(ウィンドウW2)上に、成熟度の異なる卵子のサンプル画像を含む領域R3が表示されてもよい。このようなサンプル画像を表示することで、作業者による卵子の推奨度の判断を支援してもよい。
次に、図17及び図18を参照しながら、本実施形態に係る顕微鏡システムで行われる検卵支援方法について、補助画像生成処理に注目して説明する。
顕微鏡システムは、図7に示すステップS12の処理を終了すると、図17に示す補助画像生成処理を行う。補助画像生成処理では、画像処理装置100は、まず、撮影画像から卵子を検出する(ステップS51)。この処理は、図8のステップS21の処理と同様である。
その後、画像処理装置100は、推定領域に卵子のクラスが付されたバウンディングボックスを有する画像を補助画像として生成し(ステップS52)、補助画像生成処理を終了する。ここでは、画像生成部120は、画像解析部110による物体検出結果に基づいて、補助画像を生成する。具体的には、画像生成部120は、例えば、図18に示すように、矩形のバウンディングボックスの近くに卵子のクラスを特定する情報(GV、MI、MII)を有する補助画像A31を生成する。
補助画像生成処理を終了すると、顕微鏡システムは、光学画像上に補助画像を重畳し(ステップS14)、図7に示す処理を終了する。ここでは、投影装置17は、例えば、図18に示すように、光学画像O31上に補助画像A31を重畳する。これにより、顕微鏡システムによれば、推定領域とともにその領域に存在する卵子の推奨度も利用者に通知することができる。このため、例えば、全ての卵子を採取する必要がない場合などに、採取すべき卵子の選別を容易に行うことが可能となる。
なお、本実施形態では、卵子のクラスを特定する文字情報を表示することで推奨度を利用者に通知する例を示したが、例えば、卵子のクラスに応じた色でバウンディングボックスを作成することで推奨度を利用者に通知してもよい。また、卵子のクラスに応じた形状でバウンディングボックスを作成することで推奨度を利用者に通知してもよい。
[第5の実施形態]
図19は、本実施形態に係る補助画像生成処理の一例を示したフローチャートである。図20は、接眼レンズ19から見える画像の更に別の例である。本実施形態に係る顕微鏡システム(以降、単に顕微鏡システムと記す。)は、画像解析部110が物体検出で検出された卵子の大きさを算出する点が、第4の実施形態に係る顕微鏡システムとは異なる。また、顕微鏡システムは、図17に示す補助画像生成処理の代わりに、図19に示す補助画像生成処理を含む検卵支援処理を行う。以下、図19及び図20を参照しながら、本実施形態に係る顕微鏡システムで行われる検卵支援方法について、補助画像生成処理に注目して説明する。
図19は、本実施形態に係る補助画像生成処理の一例を示したフローチャートである。図20は、接眼レンズ19から見える画像の更に別の例である。本実施形態に係る顕微鏡システム(以降、単に顕微鏡システムと記す。)は、画像解析部110が物体検出で検出された卵子の大きさを算出する点が、第4の実施形態に係る顕微鏡システムとは異なる。また、顕微鏡システムは、図17に示す補助画像生成処理の代わりに、図19に示す補助画像生成処理を含む検卵支援処理を行う。以下、図19及び図20を参照しながら、本実施形態に係る顕微鏡システムで行われる検卵支援方法について、補助画像生成処理に注目して説明する。
顕微鏡システムは、図7に示すステップS12の処理を終了すると、図19に示す補助画像生成処理を行う。補助画像生成処理では、画像処理装置100は、まず、撮影画像から卵子を検出する(ステップS61)。この処理は、図8のステップS21の処理と同様である。
次に、画像処理装置100は、卵子の大きさを算出する(ステップS62)。ここでは、画像解析部110は、例えば、物体検出で検出した推奨領域の面積から卵子の大きさを算出してもよい。また、推奨領域を取り囲むバウンディングボックスの大きさから卵子の大きさを算出してもよい。なお、大きさは、直径など長さの単位で算出されてもよく、面積の単位で算出されてもよい。
その後、画像処理装置100は、推定領域に卵子のクラスと大きさが付されたバウンディングボックスを有する画像を補助画像として生成し(ステップS63)、補助画像生成処理を終了する。ここでは、画像生成部120は、例えば、図20に示すように、矩形のバウンディングボックスの近くに卵子のクラスを特定する情報(GV、MI、MII)と卵子の大きさを特定する情報(90μm、100μm、120μm)を有する補助画像A41を生成する。
補助画像生成処理を終了すると、顕微鏡システムは、光学画像上に補助画像を重畳し(ステップS14)、図7に示す処理を終了する。ここでは、投影装置17は、例えば、図20に示すように、光学画像O41上に補助画像A41を重畳する。これにより、顕微鏡システムによれば、推定領域とともにその領域に存在する卵子の推奨度と大きさを利用者に通知することができる。このため、例えば、全ての卵子を採取する必要がない場合などに、採取すべき卵子の選別を容易に行うことが可能となる。
なお、本実施形態に係る顕微鏡システムは、さらに、物体追跡を行ってもよい。その場合、物体検出で検出された卵子と物体追跡で現在位置が推定された卵子で表示態様を異ならせてもよい。例えば、図21に示すように、物体検出で検出された卵子については、推奨度情報(クラス)と大きさを表示してもよく、物体追跡によって現在位置が推定された卵子については、推奨度情報(クラス)のみを表示してもよい。なお、図21には、光学画像O51上に補助画像A51が重畳された様子が示されている。また、補助画像A51には、物体検出で検出された卵子にはクラスと大きさが付され、物体追跡で存在が推定された卵子にはクラスのみが付されている。
[第6の実施形態]
図22は、顕微鏡システム2の構成を示した図である。図23は、本実施形態に係る検卵支援処理の一例を示したフローチャートである。顕微鏡システム2は、物体検出での卵子の検出を報知する報知装置200を備える点が、顕微鏡システム1とは異なっている。報知装置200は、例えば、音声を出力するスピーカーなどの音声出力装置、光を出力するランプやライトなどの発光装置、振動を出力するバイブレータなどの振動装置などである。また、顕微鏡システム2は、図7に示す検卵支援処理の代わりに、図23に示す検卵支援処理を行う。以下、図22及び図23を参照しながら、顕微鏡システム2で行われる検卵支援方法について説明する。
図22は、顕微鏡システム2の構成を示した図である。図23は、本実施形態に係る検卵支援処理の一例を示したフローチャートである。顕微鏡システム2は、物体検出での卵子の検出を報知する報知装置200を備える点が、顕微鏡システム1とは異なっている。報知装置200は、例えば、音声を出力するスピーカーなどの音声出力装置、光を出力するランプやライトなどの発光装置、振動を出力するバイブレータなどの振動装置などである。また、顕微鏡システム2は、図7に示す検卵支援処理の代わりに、図23に示す検卵支援処理を行う。以下、図22及び図23を参照しながら、顕微鏡システム2で行われる検卵支援方法について説明する。
図23に示すステップS71からステップS74の処理は、図7に示すステップS11からステップS14の処理と同様である。ステップS74で補助画像が重畳されると、画像処理装置100は、ステップS73の物体検出において卵子が検出されたか否かを判定し(ステップS75)、卵子が検出されたと判定されると(ステップS75YES)、報知装置200が物体検出での卵子の検出を報知する(ステップS76)。報知方法は、特に限定しないが、報知装置200は、例えば、注意を喚起するために警告音などを発してもよく、注意を喚起するために光を発光してもよい。また、音声で卵子の検出を報知してもよい。なお、画像処理装置100の出力装置104が報知装置200を兼ねてもよい。
本実施形態に係る顕微鏡システム2によっても、第1の実施形態に係る顕微鏡システム1と同様に、検卵における卵子の探索を支援することができる。また、補助画像を投影することによって利用者へ視覚的に卵子の存在を報知することに加えて、報知装置200で卵子検出を報知することで、より確実に利用者に卵子の存在を知らせることができる。
[第7の実施形態]
図24は、顕微鏡システム3の構成を示した図である。図25は、本実施形態に係る検卵支援処理の一例を示したフローチャートである。図26は、接眼レンズ19から見える画像の更に別の例である。顕微鏡システム3は、顕微鏡10の代わりに顕微鏡20を備える点が顕微鏡システム1とは異なっている。また、顕微鏡20は、撮影装置21を備える点が顕微鏡10とは異なっている。なお、撮影装置21は、容器40を含むステージ11上方の空間の撮影画像(第2の撮影画像)の動画を取得し録画する装置であり、第2の撮影装置である。撮影装置21は、主に胚培養士のステージ11上での作業を撮影する目的で設置されている。顕微鏡システム3は、図7に示す検卵支援処理の代わりに、図25に示す検卵支援処理を行う。以下、図24から図26を参照しながら、本実施形態に係る顕微鏡システム3で行われる検卵支援方法について説明する。
図24は、顕微鏡システム3の構成を示した図である。図25は、本実施形態に係る検卵支援処理の一例を示したフローチャートである。図26は、接眼レンズ19から見える画像の更に別の例である。顕微鏡システム3は、顕微鏡10の代わりに顕微鏡20を備える点が顕微鏡システム1とは異なっている。また、顕微鏡20は、撮影装置21を備える点が顕微鏡10とは異なっている。なお、撮影装置21は、容器40を含むステージ11上方の空間の撮影画像(第2の撮影画像)の動画を取得し録画する装置であり、第2の撮影装置である。撮影装置21は、主に胚培養士のステージ11上での作業を撮影する目的で設置されている。顕微鏡システム3は、図7に示す検卵支援処理の代わりに、図25に示す検卵支援処理を行う。以下、図24から図26を参照しながら、本実施形態に係る顕微鏡システム3で行われる検卵支援方法について説明する。
図25に示すステップS81、ステップS82、ステップS84の処理は、図7に示すステップS11からステップS13の処理と同様である。顕微鏡システム3は、ステップS83において、撮影装置21でステージ11上方の空間の第2の撮影画像を取得する。なお、ここでは、静止画ではなく動画を撮影する。ステップS84で補助画像が生成されると、画像処理装置100は、ステップS84での物体検出において卵子が検出されたか否かを判定し(ステップS85)、卵子が検出されていないと判定されると(ステップS85NO)、投影装置17を制御して、投影装置17が光学画像上に補助画像を重畳する(ステップS86)。なお、ステップS86の処理は、図7に示すステップS14の処理と同様である。一方、画像処理装置100は、卵子が検出されたと判定されると(ステップS85YES)、投影装置17を制御して、投影装置17が光学画像上に補助画像と第2の撮影画像の動画を重畳する(ステップS87)。つまり、画像処理装置100の制御下で、撮影装置21が、物体検出で卵子が検出された時刻のフレームを含む第2の撮影画像の動画を録画し、投影装置17が、図26に示すように、録画した動画A62を補助画像A61とともに光学画像O62に重畳する。なお、図26は、卵子が検出されない光学画像O61から卵子が検出された光学画像O62に像面に形成される光学画像が変化したときに、卵子検出直前の胚培養士の作業が記録された動画A62が補助画像A61とともに表示されている様子を示している。
本実施形態に係る顕微鏡システム3によっても、第1の実施形態に係る顕微鏡システム1と同様に、検卵における卵子の探索を支援することができる。また、顕微鏡システム3では、卵子を検出するために胚培養士が行った作業の詳細、例えば、容器の傾け方や動かし方などの情報が動画を用いて胚培養士に提供される。このため、顕微鏡システム3によれば、胚培養士に卵子を発見するための望ましい作業手順などを学ぶ機会を提供することができる。
[第8の実施形態]
図27は、本実施形態に係る補助画像生成処理の一例を示したフローチャートである。図28は、接眼レンズ19から見える画像の更に別の例である。本実施形態に係る顕微鏡システム(以降、単に顕微鏡システムと記す。)は、画像解析部110が、物体検出と物体追跡に加えて、卵胞液50から卵子が採取されたことを認識する処理を行う点が、第3の実態形態に係る顕微鏡システムと異なっている。また、顕微鏡システムは、図13に示す補助画像生成処理の代わりに、図27に示す補助画像生成処理を含む検卵支援処理を行う。以下、図27及び図28を参照しながら、本実施形態に係る顕微鏡システムで行われる検卵支援方法について、補助画像生成処理に注目して説明する。
図27は、本実施形態に係る補助画像生成処理の一例を示したフローチャートである。図28は、接眼レンズ19から見える画像の更に別の例である。本実施形態に係る顕微鏡システム(以降、単に顕微鏡システムと記す。)は、画像解析部110が、物体検出と物体追跡に加えて、卵胞液50から卵子が採取されたことを認識する処理を行う点が、第3の実態形態に係る顕微鏡システムと異なっている。また、顕微鏡システムは、図13に示す補助画像生成処理の代わりに、図27に示す補助画像生成処理を含む検卵支援処理を行う。以下、図27及び図28を参照しながら、本実施形態に係る顕微鏡システムで行われる検卵支援方法について、補助画像生成処理に注目して説明する。
図27に示すステップS91の処理は、図13に示すステップS41の処理と同様である。次に、画像処理装置100は、卵子の採取を検出する(ステップS92)。具体的には、画像解析部110は、撮影装置15で撮影された撮影画像の動画に基づいて、卵胞液50から卵子が採取されたことを認識する処理を行う。さらに、画像処理装置100は、以前に検出された卵子の現在位置を推定する(ステップS93)。ステップS93の処理は、ステップS92で採取された卵子を追跡対象から除外する点を除き、図13に示すステップS42の処理と同様である。
その後、画像処理装置100は、卵子が検出された領域にバウンディングボックスを有し、推定した視野内の現在位置を含む領域に第2のバウンディングボックスを有し、推定した視野外の現在位置の方向を指す矢印マークを有し、且つ、検卵状況を表す情報を含む画像を補助画像として生成し(ステップS94)、補助画像生成処理を終了する。補助画像に含まれる検卵状況を表す情報は、例えば、図28に示すように、検出された卵子数と採取済み卵子数を含むことが望ましい。
補助画像生成処理を終了すると、顕微鏡システムは、光学画像上に補助画像を重畳し(ステップS14)、図7に示す処理を終了する。なお、図28には、ピペットで卵子を採取する前後の様子が示されている。卵子採取前の光学画像O71には、検出卵子数4、採取済み卵子数0を示す補助画像A71が重畳されているのに対して、卵子採取後の光学画像O72には、検出卵子数3、採取済み卵子数1を示す補助画像A72が重畳されている。このように、顕微鏡システムによれば、採取された卵子数が自動的にカウントされて検卵状況が補助画像を用いて利用者の視野内に提供される。このため、利用者は、採取すべき卵子数(つまり、検出された卵子数)と現在までに採取済みの卵子数とを、常に確認しながら検卵作業を行うことができる。
[第9の実施形態]
図29は、顕微鏡システム4の構成を示した図である。図30は、本実施形態に係る検卵支援処理の一例を示したフローチャートである。図31は、接眼レンズ19から見える画像の更に別の例である。顕微鏡システム4は、識別装置300を備える点が顕微鏡システム1とは異なっている。また、識別装置300は、例えば、QRコード(登録商標)リーダーなどであり、容器40に付加された識別情報を取得する装置である。顕微鏡システム4は、図7に示す検卵支援処理の代わりに、図30に示す検卵支援処理を行う。以下、図29から図31を参照しながら、本実施形態に係る顕微鏡システム4で行われる検卵支援方法について説明する。
図29は、顕微鏡システム4の構成を示した図である。図30は、本実施形態に係る検卵支援処理の一例を示したフローチャートである。図31は、接眼レンズ19から見える画像の更に別の例である。顕微鏡システム4は、識別装置300を備える点が顕微鏡システム1とは異なっている。また、識別装置300は、例えば、QRコード(登録商標)リーダーなどであり、容器40に付加された識別情報を取得する装置である。顕微鏡システム4は、図7に示す検卵支援処理の代わりに、図30に示す検卵支援処理を行う。以下、図29から図31を参照しながら、本実施形態に係る顕微鏡システム4で行われる検卵支援方法について説明する。
顕微鏡システム4は、まず、識別情報を取得する(ステップS101)。ここでは、胚培養士は例えば、容器40をステージ11に配置する前に、容器40に付された識別ラベル(QRコード)を識別装置300に近づける。これにより、識別装置300が識別ラベルを読み取って、識別情報を取得する。なお、識別情報には、容器40内の卵胞液50の提供者の情報、又は、提供者の情報が格納されている場所を示すリンク情報が含まれている。取得した識別情報は、識別装置300から画像処理装置100へ出力される。
次に、顕微鏡システム4は、ステップS102からステップS104の処理を行う。なお、ステップS102からステップS104の処理は、図7に示すステップS11からステップS13の処理と同様である。
さらに、顕微鏡システム4は、第2の補助画像を生成する(ステップS105)。ここでは、画像生成部120は、ステップS101で取得した識別情報に基づいて、例えば、図31に示すような、卵胞液50の提供者の情報を含む第2の補助画像A82を生成する。なお、第2の補助画像A82は、識別情報に基づいて生成される点が、撮影画像に基づいて生成される補助画像とは異なっている。第2の補助画像A82には、卵胞液50の提供者のID、氏名、卵胞液50を採取した卵胞(卵巣)の位置、卵胞液50の採取の順番、採取量などの情報が含まれている。
最後に、顕微鏡システム4は、光学画像上に補助画像と第2の補助画像を重畳し(ステップS106)、図30に示す処理を終了する。なお、図31には、光学画像O81と補助画像A81と第2の補助画像A82が重畳した様子が示されている。このように、顕微鏡システム4によれば、検卵中に患者情報を確認することができるため、試料の取り違えなどを未然に防止することができる。
[第10の実施形態]
図32は、顕微鏡システム5の構成を示した図である。図33は、本実施形態に係る検卵支援処理の一例を示したフローチャートである。図34は、接眼レンズ19から見える画像の更に別の例である。顕微鏡システム5は、検出装置400を備える点が顕微鏡システム1とは異なっている。また、検出装置400は、例えば、容器40がステージ11に置かれたことを検出するセンサなどであり、検卵の開始を検出する装置である。顕微鏡システム5は、図7に示す検卵支援処理の代わりに、図33に示す検卵支援処理を行う。以下、図32から図34を参照しながら、本実施形態に係る顕微鏡システム5で行われる検卵支援方法について説明する。
図32は、顕微鏡システム5の構成を示した図である。図33は、本実施形態に係る検卵支援処理の一例を示したフローチャートである。図34は、接眼レンズ19から見える画像の更に別の例である。顕微鏡システム5は、検出装置400を備える点が顕微鏡システム1とは異なっている。また、検出装置400は、例えば、容器40がステージ11に置かれたことを検出するセンサなどであり、検卵の開始を検出する装置である。顕微鏡システム5は、図7に示す検卵支援処理の代わりに、図33に示す検卵支援処理を行う。以下、図32から図34を参照しながら、本実施形態に係る顕微鏡システム5で行われる検卵支援方法について説明する。
まず、容器40がステージ11に置かれたことを検出装置400が検出すると、顕微鏡システム5は、タイマでの測定を開始する(ステップS111)。なお、タイマは、例えば、プロセッサ101に含まれていてもよく、所定のイベントを検知してからの経過時間を計測する。この例では、タイマは、検出装置400からの検出信号を検知してからの経過時間を計測する。
次に、顕微鏡システム5は、ステップS112からステップS114の処理を行う。なお、ステップS112及びステップS113の処理は、図7に示すステップS11及びステップS12の処理と同様である。また、ステップS114の処理は、図27に示す補助画像生成処理と同様である。
さらに、顕微鏡システム5は、第3の補助画像を生成する(ステップS115)。ここでは、画像生成部120は、例えば、図34に示すような、タイマで計測された経過時間を含む第3の補助画像A92を生成する。なお、第3の補助画像A92は、タイマでの計測結果に基づいて生成される点が、撮影画像に基づいて生成される補助画像とは異なっている。
最後に、顕微鏡システム5(投影装置17)は、光学画像上に補助画像と第3の補助画像を重畳し(ステップS116)、図33に示す処理を終了する。なお、図34には、光学画像O91と補助画像A91と第3の補助画像A92が重畳した様子が示されている。このように、顕微鏡システムによれば、利用者は、検卵開始からの経過時間を常に確認しながら検卵作業を行うことができる。
なお、本実施形態では、検卵の開始を検出装置400で自動的に検出する例を示したが、検卵の開始は、例えば、入力装置103からの操作信号に基づいて検出されてもよい。即ち、入力装置103が検出装置400として機能としてもよい。
[第11の実施形態]
図35は、顕微鏡システム6の構成を示した図である。図36は、本実施形態に係る補助画像生成処理の一例を示したフローチャートである。図37から図39のそれぞれは、接眼レンズ19から見える画像の更に別の例である。顕微鏡システム6は、卵子の検出を報知する報知装置200(第1の報知装置)に加えて推奨操作を報知する第2の報知装置500を備える点と、画像解析部110が物体検出に加えて推奨操作を推定する処理を行う点が顕微鏡システム2とは異なっている。第2の報知装置500は、例えば、音声を出力するスピーカーなどの音声出力装置である。また、顕微鏡システム6は、図23に示す検卵支援処理において、図36に示す補助画像生成処理を行う点が、顕微鏡システム2とは異なる。以下、図35から図39を参照しながら、顕微鏡システム6で行われる検卵支援方法について説明する。
図35は、顕微鏡システム6の構成を示した図である。図36は、本実施形態に係る補助画像生成処理の一例を示したフローチャートである。図37から図39のそれぞれは、接眼レンズ19から見える画像の更に別の例である。顕微鏡システム6は、卵子の検出を報知する報知装置200(第1の報知装置)に加えて推奨操作を報知する第2の報知装置500を備える点と、画像解析部110が物体検出に加えて推奨操作を推定する処理を行う点が顕微鏡システム2とは異なっている。第2の報知装置500は、例えば、音声を出力するスピーカーなどの音声出力装置である。また、顕微鏡システム6は、図23に示す検卵支援処理において、図36に示す補助画像生成処理を行う点が、顕微鏡システム2とは異なる。以下、図35から図39を参照しながら、顕微鏡システム6で行われる検卵支援方法について説明する。
顕微鏡システム6は、図23に示すステップS72の処理を終了すると、図36に示す補助画像生成処理を行う。補助画像生成処理では、画像処理装置100は、まず、撮影画像から卵子を検出する(ステップS121)。この処理は、図8のステップS21の処理と同様である。
次に、画像処理装置100は、撮影画像から推奨操作を推定する(ステップS122)。ここでは、画像解析部110が、撮影画像に基づいて検卵中に行うべき推奨操作を推定する。この処理は、例えば、学習済みモデルによって実現されてもよい。例えば、図37に示すような光学画像O101が得られる状況では、泡が多く卵子を見つけ出すことが難しい。このため、画像解析部110は、容器40を振る操作を推奨操作として推定してもよい。また、例えば、図38に示すような光学画像O111が得られる状況では、画像のコントラストが低く卵子を見つけ出すことが難しい。このため、画像解析部110は、焦準部を操作してフォーカスを調整する操作を推奨操作として推定してもよい。また、例えば、検卵開始から所定時間以上経過している状況では、許容される検卵時間を超えているため、画像解析部110は、現在の卵胞液50での検卵中止を推奨操作として推定してもよい。
その後、画像処理装置100は、ステップS122で推奨操作が推定されたか否かを判定する(ステップS123)。推奨操作が推定されなかった、つまり、推奨操作がない場合には(ステップS123NO)、画像処理装置100は、卵子が検出された領域にバウンディングボックスを有する画像を補助画像として生成し(ステップS124)、補助画像生成処理を終了する。なお、ステップS124の処理は、図8のステップS22の処理と同様である。
推奨操作が推定された、つまり、推奨操作がある場合には(ステップS123YES)、画像処理装置100は、卵子が検出された領域にバウンディングボックスを有し、且つ、推奨操作を表す情報を含む画像を補助画像として生成し(ステップS125)、補助画像生成処理を終了する。ここでは、画像生成部120は、容器40を振る操作が推奨操作として推定されている場合であれば、例えば、図37に示す補助画像A101を生成する。また、画像生成部120は、フォーカスを調整する操作が推奨操作として推定されている場合であれば、例えば、図38に示す補助画像A111を生成する。また、画像生成部120は、検卵を中止する操作が推奨操作として推定されている場合であれば、例えば、図39に示す補助画像A122を生成する。
その後、顕微鏡システム6(投影装置17)は、光学画像上に補助画像を重畳する。これにより、図37から図39に示すように、推奨操作が利用者に通知される。さらに、顕微鏡システム6は、卵子が検出された場合には報知装置200を用いて卵子の検出を報知し、推奨操作が推定された場合には第2の報知装置500を用いて推奨操作を報知する。これにより、利用者は、より確実に推奨操作を認識することができる。
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするための具体例を示したものであり、本発明の実施形態はこれらに限定されるものではない。顕微鏡システム、投影ユニット、及び、検卵支援方法は、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
図40は、顕微鏡システム7の構成を示した図である。上述した実施形態では、対物レンズ12と接眼レンズ19の間の光路から分岐した光路上に配置された投影装置17を例示したが、補助画像を重畳する装置は、図40に示すように、対物レンズ12と接眼レンズ19の間の光路上に配置されてもよい。顕微鏡システム7は、光学画像が形成される像面上に表示装置31を含む顕微鏡30と、画像処理装置100と、を備えている。表示装置31は、透過型の画像表示装置であり、像面上に直接補助画像を表示することで、光学画像上に補助画像を重畳する重畳装置の一例である。顕微鏡システム7によっても、顕微鏡システム1と同様に、検卵における利用者による卵子の探索を支援することができる。
図41は、顕微鏡システム8の構成を示した図である。上述した実施形態では、撮影装置15と投影装置17が顕微鏡10に設けられ、顕微鏡10から独立した画像処理装置100が撮影装置15と投影装置17とデータをやり取りすることで、補助画像を光学画像上に重畳する例を示したが、撮影装置と投影装置と画像処理装置は、図41に示すように、一体に構成されてもよい。
図41に示すように、顕微鏡60の顕微鏡本体70と鏡筒80との間に装着される投影ユニット600が撮影装置15と投影装置17と画像処理装置(画像解析部110、画像生成部120、記憶部130)を備えてもよい。このような投影ユニット600を用いることで、既存の顕微鏡に補助画像を重畳する機能を容易に追加することが可能となる。
1~8・・・顕微鏡システム、10、20、30、60・・・顕微鏡、11・・・ステージ
、12・・・対物レンズ、15、15a、15b、21・・・撮影装置、17、17a、17b・・・投影装置、18、18a、18b・・・結像レンズ、19・・・接眼レンズ、31・・・表示装置、40・・・容器、50・・・卵胞液、70・・・顕微鏡本体、80・・・鏡筒、100・・・画像処理装置、101・・・プロセッサ、102・・・記憶装置、110・・・画像解析部、120・・・画像生成部、130・・・記憶部、200・・・報知装置、300・・・識別装置、400・・・検出装置、500・・・第2の報知装置、600・・・投影ユニット
、12・・・対物レンズ、15、15a、15b、21・・・撮影装置、17、17a、17b・・・投影装置、18、18a、18b・・・結像レンズ、19・・・接眼レンズ、31・・・表示装置、40・・・容器、50・・・卵胞液、70・・・顕微鏡本体、80・・・鏡筒、100・・・画像処理装置、101・・・プロセッサ、102・・・記憶装置、110・・・画像解析部、120・・・画像生成部、130・・・記憶部、200・・・報知装置、300・・・識別装置、400・・・検出装置、500・・・第2の報知装置、600・・・投影ユニット
Claims (20)
- 顕微鏡と、
前記顕微鏡のステージに置かれた容器内に収容された卵胞液の撮影画像を取得する撮影装置と、
前記撮影装置で取得した前記撮影画像に基づいて、卵子の存在が推定される領域を特定する情報を含む補助画像を生成する画像処理装置と、
前記顕微鏡の光路上の像面に形成される前記卵胞液の光学画像上に、前記画像処理装置で生成された前記補助画像を重畳する重畳装置と、を備える
ことを特徴とする顕微鏡システム。 - 請求項1に記載の顕微鏡システムにおいて、
前記画像処理装置は、
前記撮影画像に対して卵子を対象とする物体検出を含む画像解析を行う画像解析部と、
前記画像解析の結果に基づいて、前記補助画像を生成する画像生成部と、を備える
ことを特徴とする顕微鏡システム。 - 請求項1に記載の顕微鏡システムにおいて、
前記画像処理装置は、
前記撮影画像に対して卵子を対象とする物体検出と、前記撮影画像よりも前に取得された別の撮像画像内で検出された卵子の現在位置を推定する物体追跡と、を含む画像解析を行う画像解析部と、
前記画像解析の結果に基づいて、前記補助画像を生成する画像生成部と、を備える
ことを特徴とする顕微鏡システム。 - 請求項3に記載の顕微鏡システムにおいて、
前記補助画像は、前記物体追跡で推定された卵子の現在位置が前記顕微鏡の視野外にあるとき、さらに、前記視野外の卵子の存在を表す情報を含む
ことを特徴とする顕微鏡システム。 - 請求項4に記載の顕微鏡システムにおいて、
前記視野外の卵子の存在を表す情報は、前記視野外の卵子が存在する方向を表す情報を含む
ことを特徴とする顕微鏡システム。 - 請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の顕微鏡システムにおいて、
前記画像解析部は、前記物体検出によって、卵子を、検卵における採取対象としての推奨度が異なる複数のクラスに分けて検出し、
前記補助画像は、さらに、前記存在が推定される卵子のクラスを特定する情報を含む
ことを特徴とする顕微鏡システム。 - 請求項6に記載の顕微鏡システムにおいて、
前記複数のクラスは、成熟卵を示すクラスと、未成熟卵を示すクラスと、変性卵を示すクラスを含む
ことを特徴とする顕微鏡システム。 - 請求項2乃至請求項7のいずれか1項に記載の顕微鏡システムにおいて、さらに、
前記物体検出での卵子の検出を報知する第1の報知装置を備える
ことを特徴とする顕微鏡システム。 - 請求項2乃至請求項8のいずれか1項に記載の顕微鏡システムにおいて、
前記画像解析は、さらに、前記撮影画像に基づいて検卵中に行うべき推奨操作を推定する処理を含み、
前記顕微鏡システムは、さらに、推定された推奨操作を報知する第2の報知装置を備える
ことを特徴とする顕微鏡システム。 - 請求項2乃至請求項9のいずれか1項に記載の顕微鏡システムにおいて、
前記画像解析は、さらに、前記撮影装置で撮影された撮影画像の動画に基づいて、前記卵胞液から卵子が採取されたことを認識する処理を含む
ことを特徴とする顕微鏡システム。 - 請求項10に記載の顕微鏡システムにおいて、
前記補助画像は、さらに、検出された卵子数と、採取済み卵子数と、を含む検卵状況を表す情報を含む
ことを特徴とする顕微鏡システム。 - 請求項2乃至請求項11のいずれか1項に記載の顕微鏡システムにおいて、さらに、
前記容器を含む前記ステージ上方の空間の第2の撮影画像の動画であって、前記物体検出で卵子が検出された時刻のフレームを含む第2の撮影画像の動画を録画する第2の撮影装置を備える
ことを特徴とする顕微鏡システム。 - 請求項12に記載の顕微鏡システムにおいて、
前記重畳装置は、前記光学画像上に前記補助画像と前記第2の撮影画像の動画とを重畳する
ことを特徴とする顕微鏡システム。 - 請求項2乃至請求項13のいずれか1項に記載の顕微鏡システムにおいて、さらに、
前記容器に付加された識別情報を取得する識別装置と、を備え、
前記画像生成部は、前記識別情報に基づいて前記卵胞液の提供者の情報を含む第2の補助画像を生成し、
前記重畳装置は、前記光学画像上に前記補助画像と前記第2の補助画像とを重畳する
ことを特徴とする顕微鏡システム。 - 請求項2乃至請求項14のいずれか1項に記載の顕微鏡システムにおいて、さらに、
所定のイベントを検知してからの経過時間を計測するタイマを備え、
前記画像生成部は、前記タイマで計測された経過時間を含む第3の補助画像を生成し、
前記重畳装置は、前記光学画像上に前記補助画像と前記第3の補助画像とを重畳する
ことを特徴とする顕微鏡システム。 - 請求項2乃至請求項15のいずれか1項に記載の顕微鏡システムにおいて、
前記画像処理装置は、さらに、入力画像に対する少なくとも卵子の位置を学習した学習済みモデルを記憶する記憶部を備え、
前記画像解析部は、前記記憶部に記憶されている前記学習済みモデルを用いて前記物体検出を行う
ことを特徴とする顕微鏡システム。 - 請求項2乃至請求項15のいずれか1項に記載の顕微鏡システムにおいて、
前記画像処理装置は、さらに、入力画像に対する少なくとも卵子の位置と前記卵子の複数のクラスとを学習した学習済みモデルを記憶する記憶部を備え、
前記画像解析部は、前記記憶部に記憶されている前記学習済みモデルを用いて前記物体検出を行う
ことを特徴とする顕微鏡システム。 - 請求項1乃至請求項17のいずれか1項に記載の顕微鏡システムにおいて、
前記顕微鏡は、接眼レンズを備える実体顕微鏡である
ことを特徴とする顕微鏡システム。 - 顕微鏡に装着して使用される投影ユニットであって、
前記顕微鏡のステージに置かれた容器内に収容された卵胞液の撮影画像に基づいて、卵子の存在が推定される領域を特定する情報を含む補助画像を生成する画像処理装置と、
前記顕微鏡の光路上の像面に形成される前記卵胞液の光学画像上に、前記画像処理装置で生成された前記補助画像を重畳する重畳装置と、を備える
ことを特徴とする投影ユニット。 - 顕微鏡のステージに置かれた容器内に収容された卵胞液の撮影画像を取得し、
取得した前記撮影画像に基づいて、卵子の存在が推定される領域を特定する情報を含む補助画像を生成し、
前記顕微鏡の光路上の像面に形成される前記卵胞液の光学画像上に、生成された前記補助画像を重畳する
ことを特徴とする検卵支援方法。
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