WO2021131860A1

WO2021131860A1 - 接続具

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Publication number: WO2021131860A1
Application number: PCT/JP2020/046571
Authority: WO
Inventors: 立▲崎▼斉
Original assignee: 株式会社ジェイ・エム・エス
Priority date: 2019-12-27
Filing date: 2020-12-14
Publication date: 2021-07-01
Also published as: CN114929325A; JP7371495B2; EP4082597A4; EP4082597A1; CN114929325B; JP2021106791A; US20230048460A1

Abstract

オスコネクタ（１００）は、オス部材（１１０）を取り囲むフード（１２０）の内周面に第１嵌合構造（１２７）を備える。メスコネクタ（２００）は、弾性材料からなる隔壁部材（２２０）を備えたメスコネクタ本体（２１０）に回転可能に設けられた回転筒（２５０）を備える。回転筒の外周面には、第２嵌合構造（２５７）が設けられている。オスコネクタをメスコネクタに接続したとき、オス部材は隔壁部材のスリット（２２３）を貫通し、フード内にメスコネクタが挿入され、第１嵌合構造は第２嵌合構造に嵌合する。

Description

接続具

　本発明は、オスコネクタとメスコネクタとからなる接続具に関する。

　薬液を患者に投与する場合、最初に、調製された薬液をシリンジに吸引し、次いで、当該薬液を患者に留置（または挿入）されたカテーテル（またはチューブ）を介して患者に投与する。薬液が抗がん剤のような危険薬剤を含む場合がある。危険薬剤が外界に漏れ出ると、作業者が薬剤被曝してしまう。薬液移送時の薬剤被曝を防止するため、薬液の移送を閉鎖系の接続具を用いて行うことが一般的である。

　特許文献１には、オスコネクタとメスコネクタとからなる閉鎖系の接続具の一例が記載されている。

　特許文献１のオスコネクタは、棒状のオス部材と、オス部材を覆うシールドとを備える。オス部材内には薬液が流れる流路が形成されている。流路は、オス部材の先端の近傍に形成された半径方向に沿って延びた横孔を介して外界に連通している。シールドはゴム等の弾性材料からなり、その先端にオス部材が貫通可能な孔が形成されている。初期状態では、孔の内周面が、オス部材の横孔を液密に塞ぐ。オスコネクタをメスコネクタに接続すると、シールドはオス部材の長手方向に圧縮変形され、オス部材がシールドの孔を貫通してシールドから突出する。オスコネクタをメスコネクタから分離すると、シールドは直ちに初期状態に伸張する。オス部材はシールド内に収納され、横孔はシールドによって塞がれる。

　特許文献１のメスコネクタは、スリットが形成されたゴム等の弾性材料からなる自閉式の隔壁部材（セプタム）を備える。メスコネクタにオスコネクタが接続されると、オスコネクタのオス部材が隔壁部材のスリットに挿入される。オスコネクタをメスコネクタから分離すると、隔壁部材のスリットは直ちに初期状態に復帰し、スリットが液密に閉じられる。

　特許文献１の接続具を用いて、薬液の移送を行うことができる。例えば、シリンジの筒先にオスコネクタを設け、患者に留置されたカテーテルの上流端にメスコネクタを設けることができる。オスコネクタをメスコネクタに接続して、シリンジに貯留した薬液をカテーテルを介して患者に投与することができる。オスコネクタをメスコネクタから分離すると、オス部材はシールド内に収納され、また、メスコネクタのスリットは閉じられる。このため、オスコネクタ及びメスコネクタのそれぞれから薬液が外界に漏れ出ない。

ＷＯ２０１６／１３３１３９Ａ１ＷＯ２０１６／１５２８０１Ａ１

　例えば抗がん剤は、がんの種類や場所に応じて、静脈、膀胱、髄腔、消化管などに投与されることがある。カテーテルは、その先端が抗がん剤の投与部位に達するように患者に留置されている。作業者の薬剤被曝を防止する観点から、カテーテルの留置箇所にかかわらず、閉鎖系の接続具を介してカテーテルにシリンジを接続することが望まれる。

　しかしながら、接続具を構成するオスコネクタ及びメスコネクタが、カテーテルの留置部位にかかわらず同じであると、例えば、静脈に投与するように調製された薬液が貯留されたシリンジを、膀胱に留置されたカテーテルに誤って接続してしまうという誤接続事故が起こる可能性がある。

　本発明の目的は、オスコネクタとメスコネクタとからなる接続具において、オスコネクタとメスコネクタとの誤接続を簡単な方法で防止することにある。

　本発明の接続具は、互いに接続及び分離が可能なオスコネクタとメスコネクタとを備える。前記オスコネクタは、棒状のオス部材と、前記オス部材を取り囲むフードと、前記フードの内周面に設けられた第１嵌合構造とを備える。前記メスコネクタは、スリットが設けられ且つ弾性材料からなる隔壁部材を備えたメスコネクタ本体と、前記メスコネクタ本体の周りを回転可能なように前記メスコネクタ本体に設けられた回転筒と、前記回転筒の外周面に設けられた第２嵌合構造とを備える。前記オスコネクタをメスコネクタに接続したとき、前記オス部材は前記隔壁部材の前記スリットを貫通し、前記フード内に前記メスコネクタが挿入され、前記第１嵌合構造は前記第２嵌合構造に嵌合する。

　本発明によれば、オスコネクタをメスコネクタに接続したとき、第１嵌合構造は第２嵌合構造に嵌合する。このため、第１嵌合構造及び第２嵌合構造の構成を異ならせるという簡単な方法により、オスコネクタとメスコネクタとの誤接続を防止することができる。

　第２嵌合構造が、メスコネクタ本体の周りを回転可能な回転筒に設けられている。このため、第１嵌合構造が第２嵌合構造に嵌合した状態（即ち、メスコネクタにオスコネクタを接続した状態）で、メスコネクタ本体に対してオスコネクタを回転させることができる。従って、オスコネクタとメスコネクタ本体との間で回転力が伝達されない。

図１Ａは、本発明の一実施形態に係るオスコネクタの斜視図である。図１Ｂは、本発明の一実施形態に係るオスコネクタの中心軸を含む面に沿った断面図である。図１Ｃは、本発明の一実施形態に係るオスコネクタの中心軸を含む別の面に沿った断面斜視図である。図１Ｄは、本発明の一実施形態に係るオスコネクタの平面図である。図２Ａは、本発明の一実施形態に係るメスコネクタの斜視図である。図２Ｂは、本発明の一実施形態に係るメスコネクタの平面図である。図２Ｃは、本発明の一実施形態に係るメスコネクタの、図２Ｂの２Ｃ－２Ｃ線を含む面に沿った矢視断面図である。図２Ｄは、本発明の一実施形態に係るメスコネクタの分解斜視図である。図３Ａは、本発明の一実施形態に係る接続具の使用方法を説明する斜視図であって、オスコネクタをメスコネクタに接続する前の状態を示す。図３Ｂは、図３Ａの主要部の断面図である。図４Ａは、本発明の一実施形態に係る接続具の使用方法を説明する斜視図であって、オスコネクタをメスコネクタに接続した状態を示す。図４Ｂは、図４Ａの主要部の断面図である。

　上記の本発明の接続具の一態様では、前記第１嵌合構造が前記第２嵌合構造に嵌合しない場合には前記メスコネクタを前記フード内に挿入することができないように構成されていてもよい。かかる態様は、第１嵌合構造が第２嵌合構造に嵌合しない場合に、接続具から外界への液漏れを防止するのに有利である。

　上記の本発明の接続具の一態様では、前記第１嵌合構造は、前記オス部材の先端よりも前記オスコネクタの先端側に設けられていてもよい。かかる態様は、第１嵌合構造が第２嵌合構造に嵌合しない場合に、接続具から外界への液漏れを防止するのに有利である。

　上記の本発明の接続具の一態様では、前記第２嵌合構造は、前記メスコネクタの先端またはその近傍に設けられていてもよい。かかる態様は、第１嵌合構造が第２嵌合構造に嵌合しない場合に、接続具から外界への液漏れを防止するのに有利である。

　上記の本発明の接続具の一態様では、前記オスコネクタを前記メスコネクタに接続する過程及び前記オスコネクタを前記メスコネクタから分離する過程で、前記第１嵌合構造が前記第２嵌合構造に嵌合しながら、前記オスコネクタは前記メスコネクタに対して、前記オス部材の長手方向に移動可能であってもよい。かかる態様は、メスコネクタに対するオスコネクタの接続及び分離の操作性の向上に有利である。

　上記の本発明の接続具の一態様では、前記第１嵌合構造及び前記第２嵌合構造のうちの一方は、前記メスコネクタに対して前記オスコネクタを接続及び分離する方向に沿って延びた溝であってもよい。前記第１嵌合構造及び前記第２嵌合構造のうちの他方は、前記溝に嵌入可能な突起であってもよい。かかる態様によれば、オスコネクタをメスコネクタに接続したときに互いに嵌合し合う第１嵌合構造及び第２嵌合構造を、簡単な構成で実現できる。

　上記の本発明の接続具の一態様では、前記オスコネクタをメスコネクタに接続した状態で、前記オスコネクタは前記メスコネクタ本体に対して回転可能であってもよい。かかる態様によれば、オスコネクタとメスコネクタ本体との間で回転力が伝達されない。

　上記の本発明の接続具の一態様では、前記オスコネクタは、ロックレバーと、前記ロックレバーに設けられた爪とを更に備えていてもよい。前記爪は、前記オス部材から離れる向きに弾性的に変位可能であってもよい。前記オスコネクタをメスコネクタに接続したとき、前記爪は前記メスコネクタに係合してもよい。かかる態様は、メスコネクタからオスコネクタが意図せずに分離するのを防止するのに有利である。

　前記オスコネクタをメスコネクタに接続したとき、前記爪は前記回転筒に係合してもよい。かかる態様によれば、オスコネクタをメスコネクタに接続した状態で、オスコネクタとメスコネクタ本体との間で回転力が伝達されない。

　上記の本発明の接続具の一態様では、前記オスコネクタは、前記オス部材の長手方向に圧縮変形可能なシールドを更に備えてもよい。前記オスコネクタが前記メスコネクタに接続されていない状態では、前記シールドは、前記オス部材内に設けられた流路の開口を塞いでもよい。前記オスコネクタが前記メスコネクタに接続された状態では、前記シールドは前記オス部材の長手方向に圧縮変形され、前記オス部材が前記シールドから突出してもよい。かかる態様は、オスコネクタがメスコネクタに接続されていない状態において、オス部材の流路内の薬液が外界に漏れ出るのを防止するのに有利である。

　上記の本発明の接続具の一態様では、前記オスコネクタは、前記オス部材とは反対側に、前記オス部材と同軸に配置され且つ前記オス部材と連通した接続筒を更に備えていてもよい。前記接続筒の外周面に雄ネジが設けられていてもよい。かかる態様によれば、オスコネクタを、例えばシリンジの筒先にネジロック接続することができる。メスコネクタ本体に回転力が加えられても、その回転力によってネジロック接続の螺合が緩められることはない。

　以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態を構成する主要部材を簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の部材を備え得る。また、本発明の範囲内において、以下の各図に示された各部材を変更または省略し得る。同じ部材には、異なる図面において同じ符号が付してある。

　１．オスコネクタ
　本発明の一実施形態に係る接続具を構成するオスコネクタ１００を説明する。図１Ａは、オスコネクタ１００の斜視図である。図１Ｂは、オスコネクタ１００の断面図である。図１Ｃは、オスコネクタ１００の断面斜視図である。図１Ｂの断面と図１Ｃの断面とは、オスコネクタ１００の中心軸（図示せず）にて互いに直交する。図１Ｄは、オスコネクタ１００の平面図である。オスコネクタ１００は、オスコネクタ本体１０１とシールド１５０とを備える。オスコネクタ本体１０１は、オス部材（オスルアー）１１０、フード１２０、ロックレバー１３０、接続筒１４０を備える。

　以下の説明の便宜のため、オス部材１１０の長手方向を「上下方向」、オス部材１１０の長手方向に垂直な平面に平行な方向を「水平方向」という。但し、「上下方向」及び「水平方向」は、オスコネクタ１００の実際の使用時の向きを意味するものではない。オスコネクタ１００の中心軸（これはオス部材１１０の中心軸でもある）周りに回転する方向を「回転方向」または「周方向」という。また、中心軸に直交する直線の方向を「半径方向」といい、半径方向において、中心軸に近い側を「内側」、中心軸から遠い側を「外側」という。

　図１Ｂに示されているように、オス部材１１０は、まっすぐに延びた棒状の部材である。オス部材１１０の外周面（側面）は、本実施形態では、オス部材１１０の先端１１１に近づくにしたがって外径が小さくなるテーパ面（円錐面）である。但し、オス部材１１０の外周面の形状はこれに限定されず、任意に選択することができる。例えば、オス部材１１０の外周面は、外径がオス部材１１０の基端から先端１１１まで一定である円筒面であってもよい。あるいは、オス部材１１０の外周面は、テーパ面と円筒面との組み合わせや、任意の曲面で構成されていてもよい。

　オス部材１１０内には、オス部材１１０の長手方向に沿って流路１１２が形成されている。流路１１２は、オス部材１１０の先端１１１には開口していない。オス部材１１０の外周面の先端１１１の近傍の位置に、流路１１２と連通する２つの横孔１１３が形成されている。横孔１１３は、オス部材１１０の半径方向に沿って延び、オス部材１１０の外周面上で開口している。本実施形態では、２つの横孔１１３が一直線に沿って設けられているが、横孔１１３の数は、２つである必要はなく、１つ又は３つ以上であってもよい。

　オス部材１１０の基端からフランジ１１５が半径方向に沿って外向きに延びている。フランジ１１５は、略円形の板状部材である。フランジ１１５の外周縁から、フード１２０及びロックレバー１３０が、オス部材１１０と同じ側に向かって延びている。

　フード１２０は、中空の円筒形状を有する。フード１２０は、オス部材１１０と同軸に配置され、オス部材１１０を取り囲み、オス部材１１０から半径方向に離間している。フード１２０は、その先端１２１にて、上方（フランジ１１５とは反対側）に向かって開口している。フード１２０の先端１２１は、オス部材１１０の先端１１１よりも上下方向において接続筒１４０からより遠い位置（即ち、先端１１１よりもオスコネクタ１００の先端側）にある。

　フード１２０の内周面（オス部材１１０に対向する面）は、オス部材１１０の長手方向において内径が一定である円筒面である。フード１２０の内周面の内径は、オスコネクタ１００が接続されるメスコネクタ２００（特にその回転筒２５０、後述する図２Ａ参照）の外径よりわずかに大きい。フード１２０の内周面から、４本のリブ（突起）１２７が、オス部材１１０に向かって突出している。４本のリブ１２７は、周方向に離間して配置されている。リブ１２７は、フード１２０の先端１２１またはその近傍から、オス部材１１０の長手方向に平行にフランジ１１５まで延びている。リブ１２７の上端は、オス部材１１０の先端１１１よりも上下方向において接続筒１４０からより遠い位置（即ち、先端１１１よりもオスコネクタ１００の先端側）にある。

　ロックレバー１３０は、オス部材１１０に半径方向に対向している。ロックレバー１３０は、細長い薄板形状（短冊形状）を有し、その長手方向はオス部材１１０の長手方向に対して略平行である。

　ロックレバー１３０は、片持ち支持構造を有し、その固定端（基端）はフランジ１１５に固定されている。ロックレバー１３０の自由端（先端）またはその近傍に、オス部材１０に向かって突出した爪１３２が設けられている。爪１３２は、その突端（オス部材１１０に最も近い部分）より上側（フランジ１１５とは反対側）に、傾斜面１３２ａを備える。傾斜面１３２ａは、爪１３２の突端に向かってフランジ１１５に近づくように傾斜している。爪１３２は、フード１２０の内周面よりもオス部材１１０側に突出している。

　操作アーム１３５が、ロックレバー１３０のオス部材１１０とは反対側の面から外側（オス部材１１０とは反対側）に向かって突出している。操作アーム１３５は、ロックレバー１３０の固定端と自由端との間の位置から、ロックレバー１３０から離間しながら、固定端（またはフランジ１１５）を越えて接続筒１４０側に延びている。操作アーム１３５の先端には操作部１３６が設けられている。操作アーム１３５は、実質的に剛体と見なしうる程度の機械的強度を有している。

　ロックレバー１３０は、弾性的に曲げ変形可能であり、これにより、オス部材１１０の中心軸を含む面内で揺動可能である。例えば、操作部１３６に半径方向内向きの力Ｆを印加すると、爪１３２は、略半径方向に沿ってオス部材１１０から離れるように矢印Ａの向き（半径方向外向き）に移動する。ロックレバー１３０のうち、固定端と操作アーム１３５が接続された箇所との間の部分は弾性部１３１である。操作部１３６に力Ｆを印加したとき、主として弾性部１３１が弾性的に曲げ変形する。

　フード１２０に、フード１２０を半径方向に貫通する開口１２３が設けられている。開口１２３は、略逆「Ｕ」字形状を有する。開口１２３は、フード１２０の先端１２１には達していない。開口１２３は、ロックレバー１３０が揺動可能なように、ロックレバー１３０をフード１２０から離間させている。ロックレバー１３０は、フード１２０が沿う円筒面にほぼ沿って開口１２３内に配置されている。

　接続筒１４０が、フランジ１１５から、下方（オス部材１１０とは反対側）に向かって延びている。接続筒１４０は、オス部材１１０と同軸の略円筒形状を有し、オス部材１１０の流路１１２と連通している。接続筒１４０の内周面１４１は、フランジ１１５から離れるにしたがって内径が大きくなるメステーパ面（例えば６％テーパ面）である。接続筒１４０の外周面には、雄ネジ１４２が設けられている。接続筒１４０及び雄ネジ１４２は例えばＩＳＯ５９４－２に準拠していてもよい。内周面１４１及び雄ネジ１４２を備えた接続筒１４０は、オスコネクタ１００の基端部を構成する。

　オスコネクタ本体１０１は、硬質の材料からなることが好ましい。具体的には、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、硬質ポリ塩化ビニル等の樹脂材料を用いうる。オスコネクタ本体１０１は、このような樹脂材料を用いて射出成形法等により全体を一部品として一体的に製造することができる。

　シールド１５０は、フード１２０内に、オス部材１１０を覆うように配置されている。シールド１５０は、頭部１５１、周壁１５５、基部１５８をこの順に備える。シールド１５０は、外力によって比較的容易に変形可能であり、且つ、外力を取り除くと直ちに変形前の状態（初期状態）に回復するように、弾性（あるいは可撓性）を有する軟質材料（いわゆるエラストマー）からなる。使用しうる軟質材料としては、制限はないが、軟質ポリ塩化ビニル、熱可塑性エラストマー（例えばスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等）、ゴム（例えばイソプレンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム等）を例示することができる。シールド１５０は、上記の材料を用いて、全体を一部品として一体的に製造することができる。

　周壁１５５は、全体として中空の筒形状を有している。周壁１５５は、シールド１５０に上下方向の圧縮力が印加されると、その上下方向寸法が短縮するように弾性的に圧縮変形し（後述する図４Ｂ参照）、圧縮力から解放されると直ちに初期状態に復帰するように構成される（例えば、特許文献１参照）。

　頭部１５１は、周壁１５５の内部空間と連通した内腔１５２を有する。内腔１５２の内周面は、オス部材１１０の外周面に密着するように、オス部材１１０の外周面に沿った形状を有することが好ましい。本実施形態では、内腔１５２の内周面は、その内径が上下方向において一定である円筒面である。内腔１５２の最深部には、頭部１５１を上下方向に貫通するスリット１５３が形成されている。スリット１５３は、「－」（マイナス）字の平面視形状を有する直線状の切り込みである。頭部１５１の上面には、円錐面状（またはキノコ状もしくは傘状）の凸部１５４が上方に向かって突出している。スリット１５３は凸部１５４の中央の頂部を通る。

　基部１５８は、周壁１５５の下端から半径方向外向きに突出している。基部１５８をフランジ１１５上に載置し、環状の固定リング（図示せず）を基部１５８上に被せる。固定リングは、オスコネクタ本体１０１に係止される。かくして、シールド１５０はオスコネクタ本体１０１に固定される。但し、シールド１５０のオスコネクタ本体１０１に対する固定方法はこれに限定されず、任意である。固定方法に応じて基部１５８の構成は適宜変更しうる。

　シールド１５０の内腔１５２内にオス部材１１０の先端１１１及びその近傍部分が挿入される。内腔１５２の内周面はオス部材１１０によって拡径され、オス部材１１０に密着している。オス部材１１０の先端１１１は、シールド１５０のスリット１５３から上下方向に離間している。先端１１１と内腔１５２の内周面とで規定された液密な空間が形成されている。図１Ｃに示されているように、オス部材１１０の横孔１１３は、内腔１５２の内周面によって液密に塞がれている。

　図１Ａ～図１Ｄは、初期状態のオスコネクタ１００を示している。初期状態では、シールド１５０は上下方向に実質的に圧縮変形されておらず、スリット１５３は液密に閉じ、ロックレバー１３０は曲げ変形していない。

　２．メスコネクタ
　本発明の一実施形態に係る接続具を構成するメスコネクタ２００を説明する。図２Ａは、メスコネクタ２００の斜視図である。図２Ｂはメスコネクタ２００の平面図である。図２Ｃはメスコネクタ２００の断面図である。図２Ｃの断面は、図２Ｂの２Ｃ－２Ｃ線に沿っており、該断面はメスコネクタ２００の中心軸（図示せず）を含む。図２Ｄはメスコネクタ２００の分解斜視図である。以下の説明の便宜のため、メスコネクタ２００の中心軸と平行な方向を「上下方向」、該中心軸に垂直な平面に平行な方向を「水平方向」という。但し、「上下方向」及び「水平方向」は、メスコネクタ２００の実際の使用時の向きを意味するものではない。中心軸周りに回転する方向を「回転方向」または「周方向」という。また、メスコネクタ２００の中心軸に直交する直線の方向を「半径方向」といい、半径方向において、中心軸に近い側を「内側」、中心軸から遠い側を「外側」という。

　図２Ｄに示されているように、メスコネクタ２００は、メスコネクタ本体２１０と回転筒２５０とを備える。図２Ｃに示されているように、メスコネクタ本体２１０は、隔壁部材（以下「セプタム」という）２２０とハウジング２３０とを備える。ハウジング２３０は、ハウジングベース２３１とキャップ２４０とを備える。

　セプタム２２０は、円形の薄板形状を有する。セプタム２２０の中央には、セプタム２２０を厚さ方向に貫通する直線状のスリット（切り込み）２２３が形成されている。セプタム２２０は、外力によって比較的容易に変形可能であり、且つ、外力を取り除くと直ちに変形前の状態（初期状態）に復帰するように、弾性（あるいは可撓性）を有する軟質材料（いわゆるエラストマー）からなる。使用しうる軟質材料としては、制限はないが、軟質ポリ塩化ビニル、熱可塑性エラストマー（例えばスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等）、ゴム（例えばイソプレンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム等）を例示することができる。セプタム２２０は、上記の材料を用いて、全体を一部品として一体的に製造することができる。図２Ａ～図２Ｄは、初期状態のメスコネクタ２００を示している。初期状態では、スリット２２３は液密に閉じられている。スリット２２３が形成されたセプタム２２０を備えたメスコネクタ２００は、一般にニードルレスポートと呼ばれる。

　ハウジングベース２３１は、全体として略中空筒形状を有し、流路２３２が中心軸に沿ってハウジングベース２３１を貫通している。ハウジングベース２３１の上部は、流路２３２を規定する内筒２３３と、内筒２３３から半径方向外側に離間した外筒（第１外筒）２３４とからなる二重筒構造を有する。内筒２３３及び外筒２３４は、いずれも略円筒形状を有し、同軸に配置されている。セプタム２２０は、内筒２３３の先端に、流路２３２を塞ぐように載置される。セプタム２２０にキャップ２４０が被せられる。キャップ２４０の天板２４１から延びた係止筒２４４が、内筒２３３と外筒２３４との間に挿入され、外筒２３４に固定される。これにより、セプタム２２０は、ハウジングベース２３１（特にその内筒２３３）とキャップ２４０（特にその天板２４１）とによって上下方向に挟持される。キャップ２４０の円形の天板２４１の中央には円形の開口２４２が形成されている。セプタム２２０のスリット２２３が設けられた領域が開口２４２を介して露出している（図２Ａ参照）。

　ハウジングベース２３１の下部は、流路２３２を規定する中空のオスルアー２３７と、オスルアー２３７を取り囲む外筒（第２外筒）２３８とを備える。オスルアー２３７の外周面は、先端に近づくにしたがって（即ち、セプタム２２０から離れるにしたがって）外径が小さくなるオステーパ面（例えば６％テーパ面）である。外筒２３８は、略円筒形状を有し、オスルアー２３７と同軸に、オスルアー２３７から半径方向に離間して配置されている。外筒２３８の内周面には、雌ネジ２３９が設けられている。オスルアー２３７、外筒２３８、雌ネジ２３９は、例えばＩＳＯ５９４－２に準拠していてもよい。なお、ハウジングベース２３１の下部の構成は、これに限定されず、任意である。ハウジングベース２３１の下部は、メスコネクタ２００（メスコネクタ本体２１０）の基端部を構成する。

　図２Ｄに示されているように、外筒２３４の外周面は、円筒面２３５を備える。円筒面２３５に対して下側に隣接して、環状溝２３６が設けられている。環状溝２３６は、ハウジングベース２３１の周方向に沿って全周にわたって連続している。

　ハウジングベース２３１及びキャップ２４０は、硬質の材料からなることが好ましい。具体的には、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、硬質ポリ塩化ビニル等の樹脂材料を用いうる。ハウジングベース２３１及びキャップ２４０のそれぞれは、これらの樹脂材料を用いて射出成形法等により全体を一部品として一体的に製造することができる。

　回転筒２５０は、中空の略円筒形状を有する。回転筒２５０の内周面に、環状突起２５６が内側に向かって突出している。環状突起２５６は、周方向に沿って延びている。回転筒２５０の内周面は、環状突起２５６に対して上側に隣接して、円筒面２５５を備える。環状突起２５６での回転筒２５０の内径は、メスコネクタ本体２１０の円筒面２３５の外径より小さい。円筒面２５５の内径は、円筒面２３５の外径よりわずかに大きい。

　回転筒２５０の外周面には、４本の溝（またはスリット）２５７が設けられている。４本の溝２５７は、周方向に離間して配置されている。溝２５７は、回転筒２５０の先端（図２Ｄにおいて回転筒２５０の上端）から、回転筒２５０の中心軸と平行に下方に向かって所定の長さで延びている。

　回転筒２５０に、回転筒２５０を半径方向に貫通する開口２５２が設けられている。開口２５２は、溝２５７が設けられていない領域に配置されている。開口２５２の開口形状は、略矩形である。案内溝２５３が、回転筒２５０の外周面に設けられている。案内溝２５３は、回転筒２５０の上端から開口２５２まで延びている。案内溝２５３の幅（周方向寸法）は、上下方向において一定であり、開口２５２の周方向寸法と同じである。

　メスコネクタ本体２１０は、回転筒２５０に、回転筒２５０の下側から挿入される（図２Ｄ参照）。回転筒２５０を半径方向に貫通するスリット２５９（図２Ｄ、図３Ｂ参照）が、回転筒２５０の下端から環状突起２５６よりも高い位置にまで延びている。スリット２５９は、環状突起２５６が円筒面２３５上を通過するときに回転筒２５０が拡径するように変形するのを容易にする。

　図２Ｃに示されるように、回転筒２５０がメスコネクタ本体２１０に装着されると、回転筒２５０の環状突起２５６が、メスコネクタ本体２１０の環状溝２３６に嵌入する。回転筒２５０はメスコネクタ本体２１０に対して上下方向に位置決めされる。回転筒２５０の先端とキャップ２４０の天板２４１とは、略同一高さにある。

　一旦、環状突起２５６が環状溝２３６に嵌入すると、メスコネクタ本体２１０から回転筒２５０を分離することは困難である。環状突起２５６が環状溝２３６に嵌入した状態で、回転筒２５０はメスコネクタ本体２１０の周りを自由に回転可能である。回転筒２５０の円筒面２５５は、メスコネクタ本体２１０の円筒面２３５に半径方向に対向し、円筒面２３５上を摺動する。

　回転筒２５０は、硬質の材料からなることが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、スチレンエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ブチレンスチレンブロック共重合体等の樹脂材料を用いうる。回転筒２５０をメスコネクタ本体２１０に装着するときの回転筒２５０の変形容易性や、ロックレバー１３０の爪１３２が回転筒２５０に係合される（図４Ｂ参照）ことに対する耐久性を考慮すると、回転筒２５０の材料は靭性を有することが好ましく、この観点から、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。回転筒２５０は、上記の樹脂材料を用いて射出成形法等により全体を一部品として一体的に製造することができる。

　３．接続具
　本発明の一実施形態に係る接続具１は、オスコネクタ１００（図１Ａ～図１Ｄ参照）とメスコネクタ２００（図２Ａ～図２Ｄ参照）とで構成される。接続具１は、薬液を患者に投与する際に使用することができる。接続具１の使用方法を説明する。

　図３Ａは、接続具１の使用方法を説明する斜視図である。図３Ｂは、図３Ａの主要部の断面図である。図３Ｂの断面は、オスコネクタ１００及びメスコネクタ２００に共通する中心軸（図示せず）とロックレバー１３０とに沿っている。

　オスコネクタ１００は、シリンジ１８０の外筒１８１の筒先１８２に接続されている。図３Ｂに示されているように、筒先１８２は、オスルアー１８３と、オスルアー１８３を取り囲むロック筒１８４とを備える。オスルアー１８３は、シリンジ１８０（または外筒１８１）の内腔と連通している。オスルアー１８３の外周面は、先端に向かって外径が小さくなるオステーパ面（例えば６％テーパ面）である。ロック筒１８４の内周面には雌ネジ１８５が設けられている。オスコネクタ１００の接続筒１４０が、オスルアー１８３とロック筒１８４との間の隙間に挿入される。接続筒１４０の内周面（メステーパ面）１４１とオスルアー１８３のオステーパ面とがテーパ嵌合し、接続筒１４０の雄ネジ１４２がロック筒１８４の雌ネジ１８５に螺合する。接続筒１４０と筒先１８２とは、いわゆるネジロック接続により強固に接続される。接続筒１４０と筒先１８２との接続は、ＩＳＯ５９４－２に準拠していてもよい。シリンジ１８０内には、薬液が貯留されている。

　メスコネクタ２００は、カテーテル（図示せず）の上流端に設けられている。カテーテルは患者に挿入され、その先端は所望する部位（例えば静脈、膀胱、髄腔、または消化管）に達している。本実施形態では、カテーテルの上流端に設けられたコネクタ（図示せず）に、メスコネクタ２００（メスコネクタ本体２１０）の基端部（オスルアー２３７及び外筒２３８）が接続される。カテーテルのコネクタは、接続筒１４０と概略同様の構成を有し、当該コネクタとメスコネクタ２００とはＩＳＯ５９４－２に準拠して接続される。但し、カテーテルとメスコネクタ２００との接続部分の構成は本実施形態に限定されず、任意に変更しうる。メスコネクタ２００の基端部は、カテーテルの上流端に設けられたコネクタの構成に応じて適宜変更しうる。

　図３Ａに示すように、オスコネクタ１００の先端をメスコネクタ２００の先端に同軸に対向させる。作業者は、例えば、一方の手（例えば右手）で外筒１８１又はフード１２０を把持し、他方の手（例えば左手）で回転筒２５０を把持することができる。回転筒２５０の案内溝２５３及び開口２５２の周方向位置がロックレバー１３０に一致するように、オスコネクタ１００及び回転筒２５０を互いに周方向に位置合わせする。回転筒２５０はメスコネクタ本体２１０に対して自由に回転可能であるので、回転筒２５０を回転させても、メスコネクタ２００に接続されたカテーテルは捩れない。従って、オスコネクタ１００と回転筒２５０との周方向の位置合わせは容易である。

　そして、メスコネクタ２００を、オスコネクタ１００のフード１２０内に挿入し押し込む。

　図３Ｂから理解できるように、メスコネクタ２００（特に、天板２４１及びセプタム２２０）は、シールド１５０の凸部１５４に衝突し、頭部１５１をシリンジ１８０側に移動させる。オス部材１１０は、シールド１５０のスリット１５３を貫通し、更に、セプタム２２０のスリット２２３に進入する。これと並行して、回転筒２５０の案内溝２５３の先端２５３ａ（図２Ａ参照）が、ロックレバー１３０の爪１３２の傾斜面１３２ａ（図１Ｂ及び図１Ｃ参照）に当接する。先端２５３ａは、傾斜面１３２ａ上を摺動しながら、爪１３２がオス部材１１０から離れる向き（図１Ｂの矢印Ａの向き）にロックレバー１３０を弾性的に曲げ変形させる。その後、爪１３２は、案内溝２５３上を摺動する。爪１３２が案内溝２５３を通過し終えると、ロックレバー１３０が弾性回復し、爪１３２は開口２５２に嵌入する。

　図４Ａは、オスコネクタ１００がメスコネクタ２００に接続された接続具１の斜視図である。図４Ｂは、図４Ａの主要部の断面図である。オス部材１１０は、シールド１５０のスリット１５３（図１Ｂ参照）、及び、セプタム２２０のスリット２２３（図２Ｃ参照）を順に貫通している。シールド１５０の凸部１５４（図１Ｂ参照）が、キャップ２４０の開口２４２（図２Ｃ参照）内に進入している。セプタム２２０は、オス部材１１０及びシールド１５０によって流路２３２内へ大きく変形されている。オス部材１１０の横孔１１３は、流路２３２内に露出している。オス部材１１０の流路１１２とメスコネクタ２００の流路２３２とが連通している。シールド１５０は、上下方向の圧縮力を受け、その上下方向寸法が縮小するように、特に周壁１５５が圧縮変形されている。ロックレバー１３０は、初期状態と実質的に同じ状態に回復している。ロックレバー１３０の爪１３２は、回転筒２５０に係合している（ロック状態）。オスコネクタ１００とメスコネクタ２００との間に引張り力を加えても、オスコネクタ１００をメスコネクタ２００から分離することはできない。

　オスコネクタ１００の４本のリブ１２７（図１Ｄ参照）及び回転筒２５０の４本の溝２５７（図２Ｂ参照）は、図３Ａのように回転筒２５０の案内溝２５３及び開口２５２に対してロックレバー１３０（特にその爪１３２）を周方向に位置合わせしたとき、４本のリブ１２７の周方向位置が、４本の溝２５７の周方向位置に一致するように配置されている。このため、図示を省略するが、オスコネクタ１００をメスコネクタ２００に接続したとき（図４Ａ及び図４Ｂ参照）、リブ１２７は溝２５７に嵌入する。

　オスコネクタ１００をメスコネクタ２００に接続した状態（図４Ａ及び図４Ｂ参照）で、シリンジ１８０のプランジャ１８８を押し込んで、シリンジ１８０内の薬液を、オスコネクタ１００、メスコネクタ２００を介して患者に投与する。

　メスコネクタ２００からオスコネクタ１００を分離するためには、ロックレバー１３０の操作部１３６を半径方向内向き（図１Ｂの矢印Ｆの向き）に押す。ロックレバー１３０が弾性的に曲げ変形し、爪１３２が半径方向外向きに移動する。爪１３２が開口２５２から脱出し、回転筒２５０に対する爪１３２の係合が解除される（非ロック状態）。この状態で、オスコネクタ１００とメスコネクタ２００とを互いに離れる向きに引っ張れば、オスコネクタ１００をメスコネクタ２００から分離することができる。セプタム２２０は、オス部材１１０が抜き去られると直ちに弾性回復し、スリット２２３は液密に閉じられる。シールド１５０は自身の弾性回復力によって伸張する。オス部材１１０はシールド１５０内に収納され、横孔１１３はシールド１５０によって塞がれる。スリット１５３は、オス部材１１０が引き抜かれると直ちに液密に閉じられる。操作部１３６への力を解除すると、ロックレバー１３０は弾性回復する。オスコネクタ１００及びメスコネクタ２００はそれぞれ初期状態（図１Ａ～図１Ｄ、図２Ａ～図２Ｄ、図３Ａ～図３Ｂ参照）に戻る。

　一般に、複数の患者が入院している病院では、薬剤師が各患者の投与部位に応じて調製した薬液をシリンジに吸引する。その後、看護師がシリンジ内の薬液を、患者に留置されたカテーテルを介して患者に投与する。この場合、シリンジをいずれのカテーテルにも接続可能であると、例えば、静脈に投与することを意図して調製された薬液が貯留されたシリンジを、看護師が誤って膀胱に留置されたカテーテルに接続してしまうという誤接続事故が起こりうる。

　本実施形態の接続具１は、上記の事故を防止することが可能である。以下にこれを説明する。

　上述したように、オスコネクタ１００のフード１２０の内周面には、４本のリブ１２７が設けられている。メスコネクタ２００の回転筒２５０の外周面には４本の溝２５７が設けられている。フード１２０にメスコネクタ２００を挿入したとき、４本のリブ１２７が４本の溝２５７にそれぞれ嵌入する。このため、メスコネクタ２００にオスコネクタ１００を接続することができる。もし、フード１２０のリブ１２７に対応する溝２５７が回転筒２５０に設けられていない場合、フード１２０にメスコネクタ２００を挿入することができず、このため、メスコネクタ２００にオスコネクタ１００を接続することができない。

　本実施形態では回転筒２５０に４本の溝２５７が設けられている。本実施形態において、例えば、４本の溝２５７のうちの少なくとも１本の溝２５７を省略したり、４本の溝２５７のうちの少なくとも１本の溝２５７の周方向の位置を変更したり、４本の溝２５７のうちの少なくとも１本の溝２５７の幅を狭くしたり、または、４本の溝２５７のうちの少なくとも１本の溝２５７の深さを浅くしたり等すれば、メスコネクタ２００にオスコネクタ１００を接続することができない。

　また、本実施形態ではフード１２０に４本のリブ１２７が設けられている。本実施形態において、例えば、少なくとも１本のリブ１２７を追加したり、４本のリブ１２７のうちの少なくとも１本のリブ１２７の周方向の位置を変更したり、４本のリブ１２７のうちの少なくとも１本のリブ１２７の幅を太くしたり、または、４本のリブ１２７のうちの少なくとも１本のリブ１２７の突出高さを高くしたり等すれば、メスコネクタ２００にオスコネクタ１００を接続することができない。

　従って、薬液を投与する部位（例えば、静脈、膀胱、髄腔、または消化管など）ごとに、フード１２０に設けられるリブ１２７の数、周方向の位置、寸法（幅、突出高さ）等と、回転筒２５０に設けられる溝２５７の数、周方向の位置、寸法（幅、深さ）等とを規格化する。即ち、薬液を投与する部位ごとにリブ１２７及び溝２５７の数、周方向の位置、寸法等が異なる複数の規格に準拠した接続具１を準備する。これにより、オスコネクタは、当該オスコネクタと同じ規格に準拠したメスコネクタのみに選択的に接続することができる。ある規格（例えば静脈投与用の規格）に準拠したオスコネクタ１００を、これとは別の規格（例えば膀胱投与用の規格）に準拠したメスコネクタ２００に接続することはできない。その結果、上記の誤接続事故を防止することができる。

　リブ１２７の数、周方向の位置、寸法等のみが異なる複数種類のオスコネクタ１００を製造すること、及び、溝２５７の数、周方向の位置、寸法等のみが異なる複数種類のメスコネクタ２００を製造することは、比較的容易である。このため、本実施形態によれば、簡単且つ低コストに誤接続事故を防止することができる。

　リブ１２７及び溝２５７は、同じ規格に準拠したオスコネクタとメスコネクタとは接続することができ、且つ、異なる規格に準拠したオスコネクタとメスコネクタとは接続することができないように構成されていればよい。このような選択的な接続を可能にするリブ１２７及び溝２５７の特徴は、その数、周方向の位置、寸法に限定されない。例えば、リブ１２７及び溝２５７の断面形状（水平面に沿った断面での形状）を、規格ごとに異ならせてもよい。従って、各規格において規定されるリブ１２７及び溝２５７特徴は、数、周方向の位置、寸法に限定されず、任意である。本実施形態で示したリブ１２７及び溝２５７の数、周方向の位置、寸法は例示に過ぎず、本発明ではこれらを任意に変更しうる。一般には、リブ１２７及び溝２５７の数を異ならせることによりオスコネクタとメスコネクタとの選択的な接続を実現することが好ましい。作業者はリブ１２７及び溝２５７の数の違いに容易に気付くことができ、また、リブ１２７及び溝２５７の数が異なるオスコネクタ１００及びメスコネクタ２００を製造することは比較的容易であるからである。

　本実施形態では、リブ１２７は、フード１２０の先端１２１またはその近傍から延びており、リブ１２７の上端（始端）はオス部材１１０の先端１１１よりも上下方向において接続筒１４０からより遠い位置（即ち、先端１１１よりもオスコネクタ１００の先端側）にある（図１Ａ～図１Ｃ参照）。また、溝２５７はメスコネクタ２００の先端（天板２４１の位置）又はその近傍から延びている（図２Ａ参照）。このため、オスコネクタ１００を、このオスコネクタ１００が準拠する規格とは異なる規格に準拠したメスコネクタ２００に接続しようとした場合（即ち、誤接続をしようとした場合）、リブ１２７を溝２５７に嵌入させることができないので、メスコネクタ２００をフード１２０に実質的に挿入することができない。本実施形態とは異なり、リブ１２７がフード１２０の先端１２１から後退した位置から延びていた場合、及び／又は、溝２５７がメスコネクタ２００の先端から離れた位置から延びていた場合には、リブ１２７を溝２５７に嵌入させることができなくても、メスコネクタ２００の一部をフード１２０に挿入することが可能である。これにより、シールド１５０の凸部１５４がセプタム２２０に当接して、シールド１５０のスリット１５３及び／又はセプタム２２０のスリット２２３が開かれ、薬液が外界に漏れ出るかも知れない。薬液が危険薬剤を含む場合、作業者が薬剤被曝してしまう。本実施形態は、これらを防止することができる。

　リブ１２７はオスコネクタ１００の中心軸方向に沿って延び、溝２５７はメスコネクタ２００の中心軸方向に沿って延びている。このため、オスコネクタ１００をメスコネクタ２００に接続する過程及びオスコネクタ１００をメスコネクタ２００から分離する過程で、リブ１２７が溝２５７に嵌入しながら、オスコネクタ１００はメスコネクタ２００（メスコネクタ本体２１０及び回転筒２５０）に対して、中心軸方向（即ち、オス部材１１０の長手方向）に移動可能である。これにより、メスコネクタ２００（メスコネクタ本体２１０及び回転筒２５０）に対してオスコネクタ１００を該中心軸方向に単に移動（並進運動）させるだけで、メスコネクタ２００に対するオスコネクタ１００の接続及び分離が可能である。これは、接続及び分離の操作性の向上に有利である。

　メスコネクタ２００は、メスコネクタ本体２１０の周りを回転可能な回転筒２５０を備え、溝２５７及び開口２５２は回転筒２５０に設けられている。このため、オスコネクタ１００をメスコネクタ２００に接続した状態（図４Ａ、図４Ｂ参照）、即ち、リブ１２７が溝２５７に嵌入し且つロックレバー１３０の爪１３２が開口２５２に嵌入した状態で、オスコネクタ１００とメスコネクタ本体２１０との間で回転力の伝達が遮断される。例えば、メスコネクタ本体２１０に接続されたカテーテルが捩れていても、その捩れによって接続筒１４０と筒先１８２との間のネジロック接続の螺合（図４Ｂ参照）が緩められることはない。また、オスコネクタ１００及びシリンジ１８０を回転させても、メスコネクタ本体２１０に接続されたカテーテルに捩れが生じず、また、カテーテルの捩れ反力を受けて接続筒１４０と筒先１８２との間のネジロック接続の螺合が緩むこともない。ネジロック接続の螺合が緩むと、薬液が外界に漏れ出るかも知れない。薬液が危険薬剤を含む場合、作業者が薬剤被曝してしまう。本実施形態は、これらを防止することができる。

　オスコネクタ１００は、爪１３２が設けられたロックレバー１３０を備えている。爪１３２をメスコネクタ２００に係合させることにより、メスコネクタ２００にオスコネクタ１００が接続された状態が安定的に維持される。爪１３２を備えたロックレバー１３０は、メスコネクタ２００からオスコネクタ１００が意図せずに分離して、オスコネクタ１００及び／又はメスコネクタ２００から薬液が漏れ出るという事態の発生を防止するのに有利である。薬液が危険薬剤を含む場合には、作業者の薬剤被曝を防止できる。

　ロックレバー１３０の爪１３２は、メスコネクタ本体２１０ではなく、回転筒２５０に係合する。これにより、上述したように、爪１３２が回転筒２５０に係合した状態で、オスコネクタ１００とメスコネクタ本体２１０との間で回転力の伝達が遮断される。

　オスコネクタ１００は、オス部材１１０の横孔１１３を塞ぐシールド１５０を備えている。このため、オスコネクタ１００は、従来のオスコネクタ（特許文献１参照）と同様に、メスコネクタ２００に接続されていない状態において流路１１２内の薬液が外界に漏れ出るのを防止することができる。また、メスコネクタ２００は、スリット２２３が形成されたセプタム２２０を備えている。このため、メスコネクタ２００は、従来のメスコネクタ（特許文献１参照）と同様に、オスコネクタ１００が接続されていない状態において流路２３２内の薬液が外界に漏れ出るのを防止することができる。従って、オスコネクタ１００とメスコネクタ２００とを備えた接続具１を閉鎖系の接続具として使用することができる。シリンジ１８０内の薬液をメスコネクタ２００に接続されたカテーテルへ移送する一連の作業において、薬液が外界に漏れ出るが防止される。薬液が危険薬剤を含む場合であっても、作業者が薬剤被曝することはない。

　４．各種の変更例
　本発明は、上記の実施形態に限定されず、適宜変更することができる。

　上記の実施形態では、オスコネクタとメスコネクタとの選択的な接続を実現するために、オスコネクタ１００にリブ１２７を設け、メスコネクタ２００に溝２５７を設けた。但し、本発明はこれに限定されない。例えば、オスコネクタ１００のフード１２０の内周面に溝を設け、メスコネクタ２００の回転筒２５０の外周面に、当該溝に嵌入可能なリブを設けてもよい。一般に、オスコネクタをメスコネクタに接続するときに互いに嵌合し合う嵌合構造をオスコネクタ及びメスコネクタのそれぞれに設ければ、選択的な接続を実現することが可能である。オスコネクタに設けられる第１嵌合構造とメスコネクタに設けられる第２嵌合構造とが嵌合した状態で、第１嵌合構造が第２嵌合構造に対して中心軸方向に相対的に移動可能であることが好ましい。第１嵌合構造の第２嵌合構造に対する嵌合は、メスコネクタがオスコネクタのフードに挿入されている限り維持されることが好ましい。第１嵌合構造及び第２嵌合構造のうちの一方は凸（例えばリブ）であってもよく、第１嵌合構造及び第２嵌合構造のうちの他方は、該凸が嵌入する凹（例えば溝）であってもよい。凸及び凹の中心軸方向の長さは任意であるが、凸及び凹のうちの少なくとも一方は、中心軸方向に沿って延びていることが好ましい。

　上記の実施形態では、薬液を投与する部位ごとにリブ１２７及び溝２５７を異ならせたが、本発明はこれに限定されない。例えば、オスコネクタ及びメスコネクタを流れる液体の種類ごとにリブ１２７及び溝２５７を異ならせてもよい。

　上記の実施形態では、ロックレバー１３０の爪１３２は、回転筒２５０に係合したが、本発明はこれに限定されない。爪１３２は、メスコネクタ本体２１０（ハウジングベース２３１）に係合してもよい。例えば、回転筒２５０よりも基端部側（オスルアー２３７側）で露出されたメスコネクタ本体２１０の外周面に段差（または凹部）を設け、この段差（または凹部）に爪１３２を係合させることができる。爪１３２がメスコネクタ本体２１０に係合することは、メスコネクタ２００にオスコネクタ１００を接続した状態において両者間に加えられるより大きな引張り力に対抗するのに有利である。爪１３２が係合する段差（または凹部）は、メスコネクタ本体２１０の周方向の全周にわたって連続していてもよい。これにより、爪１３２がメスコネクタ本体２１０に係合しながらオスコネクタ１００はメスコネクタ本体２１０に対して回転可能になるので、上記の実施形態と同様に、オスコネクタ１００とメスコネクタ本体２１０との間で回転力の伝達が遮断される。

　オスコネクタ１００に設けられるロックレバー１３０の構成も、上記の実施形態に限定されない。上記のロックレバー１３０に代えて、オスコネクタに設けられる公知のロックレバー（例えば、特許文献１参照）を本発明に適用することができる。ロックレバーの数は、１つに限定されず、２つ以上であってもよい。爪１３２が半径方向に移動するとき、ロックレバーでは１３０なく、ロックレバー１３０を支持するフランジ１１５が弾性的に曲げ変形してもよい。

　フード１２０の先端の開口の形状は、メスコネクタ２００をフード１２０に対して挿抜可能であり、且つ、フード１２０に挿入されたメスコネクタ２００を水平方向に位置決めすることができるように設定される。フード１２０の先端の開口の形状は、上記の実施形態のような円形に限定されない。例えば、回転筒２５０の外周面の水平面に沿った断面形状が楕円形であってもよく、この場合、フード１２０の先端の開口の形状は、回転筒２５０の楕円形と略同じ楕円形であることが好ましい。

　フード１２０の内周面の断面形状は、中心軸方向に一定である必要はなく、例えばフランジ１１５に近づくにしたがってフード１２０の内径が増大してもよい。

　オスコネクタ１００に設けられるシールド１５０の構成も、上記の実施形態に限定されない。シールド１５０の先端に、自閉式のスリット１５３に代えて、オス部材１１０の先端１１１を露出させる孔（特許文献１参照）が設けられていてもよい。本発明では、オスコネクタ１００がシールド１５０を備えていなくてもよい。

　本発明のオスコネクタは、シリンジ１８０以外の部材（例えば、柔軟なチューブ、各種容器）に接続されてもよい。オスコネクタが接続される部材に応じて、オスコネクタの基端部（接続筒１４０）の構成を適宜変更しうる。

　メスコネクタの構成も、上記の実施形態に限定されない。例えば、ハウジングベース２３１に対するキャップ２４０の固定部分の構造（内筒２３３、外筒２３４、係止筒２４４）は、任意に変更しうる。円筒面２３５（図２Ｄ参照）が、キャップ２４０によって構成されていてもよい。

　メスコネクタの回転筒２５０の構成も任意に変更しうる。例えば、開口２５２に代えて、回転筒２５０を半径方向に貫通していない凹部が回転筒２５０の外周面に設けられていてもよい。案内溝２５３を省略してもよい。

　本発明のメスコネクタは、患者に挿入されたカテーテル以外の部材（例えば、柔軟なチューブ）に接続されてもよい。メスコネクタが接続される部材に応じて、メスコネクタの基端部（オスルアー２３７、外筒２３８、雌ネジ２３９）の構成を適宜変更しうる。また、本発明のメスコネクタは、チューブの末端に接続される必要はなく、例えばチューブの途中に混注ポートとして設けられてもよい。あるいは、本発明のメスコネクタは、バイアルに装着されるアダプタ（例えば特許文献２参照）に設けられていてもよい。

　本発明の接続具を流れる液体に制限はない。当該液体は、危険薬剤を含まない薬液や、血液、栄養剤、水（生理食塩水を含む）、各種溶液などであってもよい。

　本発明は、液体が流れる流路を形成するために広範囲に利用することができる。特に、オスコネクタとメスコネクタとの誤接続を防止する必要がある場合に好ましく利用することができる。本発明は、医療分野において好ましく利用することができるが、これ以外に、食品、化学、機械など液体を取り扱う分野においても利用することができる。

１　接続具
１００　オスコネクタ
１１０　オス部材
１１１　オス部材の先端
１１３　横孔（流路の開口）
１１２　オス部材の流路
１２０　フード
１２７　リブ（突起、第１嵌合構造）
１３０　ロックレバー
１３２　爪
１４０　接続筒
１４２　雄ネジ
１５０　シールド
２００　メスコネクタ
２１０　メスコネクタ本体
２２０　セプタム（隔壁部材）
２２３　スリット
２５０　回転筒
２５７　溝（第２嵌合構造）

Claims

　互いに接続及び分離が可能なオスコネクタとメスコネクタとを備えた接続具であって、
　前記オスコネクタは、
　　棒状のオス部材と、
　　前記オス部材を取り囲むフードと、
　　前記フードの内周面に設けられた第１嵌合構造とを備え、
　前記メスコネクタは、
　　スリットが設けられ且つ弾性材料からなる隔壁部材を備えたメスコネクタ本体と、
　　前記メスコネクタ本体の周りを回転可能なように前記メスコネクタ本体に設けられた回転筒と、
　　前記回転筒の外周面に設けられた第２嵌合構造とを備え、
　前記オスコネクタを前記メスコネクタに接続したとき、前記オス部材は前記隔壁部材の前記スリットを貫通し、前記フード内に前記メスコネクタが挿入され、前記第１嵌合構造は前記第２嵌合構造に嵌合することを特徴とする接続具。
　前記第１嵌合構造が前記第２嵌合構造に嵌合しない場合には前記メスコネクタを前記フード内に挿入することができない請求項１に記載の接続具。
　前記第１嵌合構造は、前記オス部材の先端よりも前記オスコネクタの先端側に設けられている請求項１又は２に記載の接続具。
　前記第２嵌合構造は、前記メスコネクタの先端またはその近傍に設けられている請求項１～３のいずれか一項に記載の接続具。
　前記オスコネクタを前記メスコネクタに接続する過程及び前記オスコネクタを前記メスコネクタから分離する過程で、前記第１嵌合構造が前記第２嵌合構造に嵌合しながら、前記オスコネクタは前記メスコネクタに対して、前記オス部材の長手方向に移動可能である請求項１～４のいずれか一項に記載の接続具。
　前記第１嵌合構造及び前記第２嵌合構造のうちの一方は、前記メスコネクタに対して前記オスコネクタを接続及び分離する方向に沿って延びた溝であり、
　前記第１嵌合構造及び前記第２嵌合構造のうちの他方は、前記溝に嵌入可能な突起である請求項１～５のいずれか一項に記載の接続具。
　前記オスコネクタをメスコネクタに接続した状態で、前記オスコネクタは前記メスコネクタ本体に対して回転可能である請求項１～６のいずれか一項に記載の接続具。
　前記オスコネクタは、ロックレバーと、前記ロックレバーに設けられた爪とを更に備え、
　前記爪は、前記オス部材から離れる向きに弾性的に変位可能であり、
　前記オスコネクタをメスコネクタに接続したとき、前記爪は前記メスコネクタに係合する請求項１～７のいずれか一項に記載の接続具。
　前記オスコネクタをメスコネクタに接続したとき、前記爪は前記回転筒に係合する請求項８に記載の接続具。
　前記オスコネクタは、前記オス部材の長手方向に圧縮変形可能なシールドを更に備え、
　前記オスコネクタが前記メスコネクタに接続されていない状態では、前記シールドは、前記オス部材内に設けられた流路の開口を塞ぎ、
　前記オスコネクタが前記メスコネクタに接続された状態では、前記シールドは前記オス部材の長手方向に圧縮変形され、前記オス部材が前記シールドから突出する請求項１～９のいずれか一項に記載の接続具。
　前記オスコネクタは、前記オス部材とは反対側に、前記オス部材と同軸に配置され且つ前記オス部材と連通した接続筒を更に備え、
　前記接続筒の外周面に雄ネジが設けられている請求項１～１０のいずれか一項に記載の接続具。