WO2021117196A1

WO2021117196A1 - 立体装飾片及びその製造方法

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Publication number: WO2021117196A1
Application number: PCT/JP2019/048760
Authority: WO
Inventors: 剛司黒田
Original assignee: 剛司黒田
Priority date: 2019-12-12
Filing date: 2019-12-12
Publication date: 2021-06-17
Also published as: EP4074502A1; US20220402190A1; EP4074502A4; JP7256564B2; JPWO2021117196A1

Abstract

本発明は、嵩高且つ形状を芯材により維持できる熱可塑性合成樹脂製の立体装飾片及びその製造方法を提供する。本発明の立体装飾片は、金属蒸着層を含む上層材料から構成され、高周波誘電加熱により表面側に凸部分を有する形状に立体成形された上層成形体と、前記上層成形体の前記凸部分に充填され、流動性を有する合成樹脂を硬化させてなる芯材と、前記芯材の裏面側に溶着された基材と、を具える。

Description

立体装飾片及びその製造方法

　本発明は、衣類、バッグ、帽子、車、バイク、ボート、家電、ゲーム機などの被着体に装着される立体装飾片及びその製造方法に関するものであり、より具体的には、嵩高であり形状を芯材により維持できる立体装飾片及びその製造方法に関するものである。

　高周波誘電加熱により製造されるエンブレム、アップリケ、ステッカー等の立体装飾片が提案されている（たとえば、特許文献１参照）。

　立体装飾片は、金属蒸着層を含む上層材料と、熱可塑性合成樹脂シートや発泡樹脂シートを含む下層材料を彫刻金型と電極平板金型の間に挟みつつ、高周波誘電加熱を施し、下層材料を軟化、賦形しつつ、上層材料と下層材料を溶着させている。

特許第３２３５９４３号公報

　高級感、立体感を高めるために立体装飾片の嵩高化が求められている。嵩高の立体装飾片を製造するには、下層材料を厚くする必要があるが、高周波誘電加熱の特性として、電波が刃先や模様の角部に集中してしまうため、上層材料や下層材料が全体的に加熱されず、賦形や溶着を上手く行なうことができなかった。このため、製造できる立体装飾片は、厚さ２ｍｍ程度が限界であった。また、下層材料を省略して上層材料のみを空洞に形成し、嵩高の立体装飾片を製造することも考えられるが、上層材料は薄い材料であるから、立体形状を維持することは困難であり、押さえつけられたり、物が当たったりすることで、立体装飾片に凹みや潰れが生じることがある。

　本発明は、嵩高且つ形状を芯材により維持できる熱可塑性合成樹脂製の立体装飾片及びその製造方法を提供することを目的とする。

　本発明の立体装飾片は、
　金属蒸着層を含む上層材料から構成され、高周波誘電加熱により表面側に凸部分を有する形状に立体成形された上層成形体と、
　前記上層成形体の前記凸部分に充填され、流動性を有する合成樹脂を硬化させてなる芯材と、
　前記芯材の裏面側に溶着された基材と、
　を具える。

　前記芯材と前記基材との間には、熱可塑性合成樹脂フィルムを配置することができる。

　本発明の立体装飾片は、
　金属蒸着層を含む上層材料から構成され、高周波誘電加熱により表面側に凸部分を有する形状に立体成形された上層成形体と、
　前記上層成形体の前記凸部分に充填され、流動性を有する合成樹脂を硬化させてなる芯材と、
　前記芯材の裏面側に溶着された熱可塑性合成樹脂フィルムと、
　前記熱可塑性合成樹脂フィルムの裏面側に貼着された両面テープと、
　を具える。

　本発明の立体装飾片は、
　金属蒸着層を含む上層材料から構成され、高周波誘電加熱により表面側に凸部分を有する形状に立体成形された上層成形体と、
　前記上層成形体の裏面側に溶着され、前記上層成形体の前記凸部分に沿って裏面側に凹部分を有する基材と、
　前記凸部分に沿って凹んだ前記基材の前記凹部分に充填され、流動性を有する合成樹脂を硬化させてなる芯材と、
　を具える。

　前記芯材を形成する合成樹脂は、熱可塑性合成樹脂ゾル、熱硬化性合成樹脂、及び、常温硬化性２液性合成樹脂からなる群より選択される１の材料とすることができる。

　本発明の立体装飾片の製造方法は、
　立体図柄を有する立体装飾片の製造方法であって、
　立体図柄が彫刻された芯材成形型に、流動性を有する状態の合成樹脂を注入し、上側から電極平板金型で押圧しつつ、高周波誘電加熱を行なうことで、前記合成樹脂を前記立体図柄に合わせた凸部分を有する形状に硬化させた芯材を成形する芯材の成形ステップ、
　立体図柄が彫刻された電極彫刻凹金型と電極凸型の間に、金属蒸着層を含む上層材料を挟んで押圧し、高周波誘電加熱を行なって表面側に前記立体図柄に合わせた凸部分を有する形状に上層成形体を立体成形する上層成形体の成形ステップと、
　電極平板金型の上に基材、及び、前記基材の上に前記芯材を配置し、前記電極彫刻凹金型に前記上層成形体を保持した状態で、前記電極平板金型と前記電極彫刻凹金型を対向させ、前記上層成形体の前記部分が前記芯材の前記凸部分に被さるように前記電極彫刻凹金型を前記電極平板金型に接近させて高周波誘電加熱を行なって、前記上層成形体、前記芯材及び基材を溶着すると共に、前記上層成形体と前記芯材を前記図柄に沿って溶断する一体化ステップ、
　を有する。

　前記芯材の成形ステップは、前記成形型に、前記合成樹脂を注入し、上側から熱可塑性合成樹脂フィルムを被せ、さらに上側から電極平板金型で押圧しつつ、高周波誘電加熱を行なうことで芯材を成形することができる。

　本発明の立体装飾片の製造方法は、
　立体図柄を有する立体装飾片の製造方法であって、
　金属蒸着層を含む上層材料と基材を重ね、立体図柄が彫刻された電極彫刻凹金型と電極凸型との間に、前記上層材料が前記電極彫刻凹金型と対向するよう挟んで押圧し、高周波誘電加熱を行なって前記上層材料と前記基材を溶着させると共に、前記上層材料が成形された上層成形体と前記基材が前記立体図柄に合わせた凸部分を有する形状に成形され、前記基材側の裏面に凹部分を形成する、上層成形体と基材の一体化ステップ、
　前記電極彫刻凹金型を下側に配置し、前記上層成形体を前記基材が上向きになるように前記電極彫刻凹金型上に載置した状態で、前記基材の前記凹部分に流動性を有する合成樹脂材料を注入し、電極平板金型で押圧しつつ高周波誘電加熱を行なって、前記合成樹脂材料を硬化させて芯材を成形すると共に、前記上層成形体を前記図柄に沿って溶断する、上層成形体、基材及び芯材の一体化ステップ、
　を有する。

　本発明の立体装飾片の製造方法は、
　立体図柄を有する立体装飾片の製造方法であって、
　立体図柄が彫刻された芯材成形型に、流動性を有する合成樹脂を注入し、熱可塑性合成樹脂フィルムを被せ、上側から電極平板金型で押圧しつつ、高周波誘電加熱を行なうことで、前記合成樹脂を前記立体図柄に合わせた凸部分を有する形状に硬化させた芯材を成形すると共に、前記芯材と前記熱可塑性合成樹脂フィルムを溶着する芯材の成形ステップ、
　立体図柄が彫刻された電極彫刻凹金型と電極凸型の間に、金属蒸着層を含む上層材料を挟んで押圧し、高周波誘電加熱を行なって表面側に前記立体図柄に合わせた凸部分を有する形状に上層成形体を立体成形する上層成形体の成形ステップと、
　電極平板金型の上に下面側に離型紙が貼着された両面テープを配置し、前記両面テープの上に前記熱可塑性合成樹脂フィルムが下面側となるように前記芯材を載せ、前記電極彫刻凹金型に前記上層成形体を保持した状態で、前記電極平板金型と前記電極彫刻凹金型を対向させ、前記上層成形体の前記凸部分が前記芯材の前記凸部分に被さるように前記電極彫刻凹金型を前記電極平板金型に接近させて高周波誘電加熱を行なって、前記上層成形体と前記芯材を溶着すると共に、前記上層成形体を前記図柄に沿って溶断する一体化ステップ
　を有する。

　本発明の立体装飾片及びその製造方法によれば、金属蒸着層を含む上層材料は、上層成形体として成形された後、立体図柄に合わせた凸部分の裏面側に芯材を充填させて構成されるから、上層成形体の凸部分は、その形状を芯材により固定、維持することができる。芯材は、流動性を有する合成樹脂を硬化して形成することができるため、上層成形体の凸部分の高さを高くすることができ、嵩高の立体装飾片を作製することができる。

図１は、第１実施形態の立体装飾片の平面図である。図２は、図１の線Ａ－Ａ’に沿う断面図である。図３は、第１実施形態による、（ａ）芯材成形型の平面図、（ｂ）は線Ｂ－Ｂ’に沿う断面図である。図４は、芯材の断面図である。図５は、（ａ）上部電極凹金型の平面図、（ｂ）は線Ｃ－Ｃ’に沿う断面図である。図６は、（ａ）下部電極凸型の平面図、（ｂ）は線Ｄ－Ｄ’に沿う断面図である。図７は、上層成形体を形成するステップを示す説明図である。図８は、上層成形体、芯材及び基材を一体化するステップを示す説明図である。図９は、第２実施形態の立体装飾片の断面図である。図１０は、第２実施形態による、上層成形体と基材の一体化ステップを示す説明図である。図１１は、図１０に続く上層成形体と基材の一体化ステップを示す説明図である。図１２は、基材の凹部分に芯材を充填し、一体化するステップを示す説明図である。図１３は、第３実施形態の立体装飾片の断面図である。図１４は、第３実施形態による、（ａ）芯材成形型の平面図、（ｂ）は線Ｅ－Ｅ’に沿う断面図である。図１５は、芯材の断面図である。図１６は、（ａ）上部電極凹金型の平面図、（ｂ）は線Ｆ－Ｆ’に沿う断面図である。図１７は、（ａ）下部電極凸型の平面図、（ｂ）は線Ｇ－Ｇ’に沿う断面図である。図１８は、上層成形体を形成するステップを示す説明図である。図１９は、上層成形体、芯材及び基材（両面テープ）を一体化するステップを示す説明図である。

　以下、本発明の立体装飾片１０及びその製造方法について、図面を参照しながら説明を行なう。なお、各図に示す立体装飾片１０や金型の厚み、大きさ、凹凸、形状、図柄などは一例であり、種々の図柄等を採用することができ、また、説明のために厚みなどは誇張して示している部分もある。

＜第１実施形態＞
　本発明の立体装飾片１０は、表面側から見た図１に示すように、布帛等からなる基材４０の上に、立体図柄を構成する上層成形体２０を具える。立体装飾片１０は、図１の線Ａ－Ａ’に沿う断面図２に示すように、上層成形体２０は、基材４０から離れる方向に膨らんだ立体図柄に沿って内側に凸部分２３が形成されている。上層成形体２０と基材４０との間には、凸部分２３に芯材３０が充填されている。芯材３０は硬化しており、立体装飾片１０の形状、すなわち、上層成形体２０の形状を固定、維持し、上層成形体２０を内側から押して上層成形体２０の凹みや潰れを防止している。上層成形体２０と芯材３０、芯材３０と基材４０は、たとえば溶着により一体化している。

　上層成形体２０は、熱可塑性合成樹脂フィルムと、金属蒸着層を含む積層フィルムからなるシート状の上層材料２１を立体形状に成形して構成することができる。熱可塑性合成樹脂フィルムは、たとえばポリ塩化ビニル、ポリウレタン等の軟質の熱可塑性合成樹脂を例示できる。また、金属蒸着層の金属材料としてインジウムを例示できる。そして、金属蒸着層は、金属材料を熱可塑性合成樹脂フィルムに蒸着することで上層材料２１に設けることができる。なお、上層材料２１には、金属蒸着層の下面に、必要に応じて接着剤層や、エチレン－ビニルアルコール共重合体（ＥＶＯＨ）フィルムの如き移染防止フィルムや接着剤層を介在させ、また、熱可塑性合成樹脂フィルムを重ねた構成とすることもできる。

　上層材料２１の上面には、透明カラーインク、マット、グロスインクなどにより、所望の模様、所望の色で印刷を行なうこともできる。さらには、これら印刷の上から、紫外線硬化型の透明ＵＶインク等をスクリーン印刷することで、細線模様を付加し、モール刺繍の如き高級感、重厚さ、精緻さ、色彩の深み、金属感、さらには、微細な凹凸などを表現することもできる。

　芯材３０は、流動性を有する合成樹脂材料３１を硬化させて構成することができる。合成樹脂材料３１は、後述するとおり、予め金型で上層成形体２０の凸部分２３の立体形状に沿って成形、硬化させたものを当該凸部分２３に嵌めて一体化することで上層成形体２０の形状を固定、維持する。芯材３０に採用できる合成樹脂材料として、熱可塑性合成樹脂ゾル、熱硬化性合成樹脂、常温硬化性２液性合成樹脂を例示することができるが、これに限定されるものではない。

　基材４０は、布や織物などの布帛、不織布、或いは、両面テープ等を挙げることができる。基材４０は、布帛に不織布を重ねたもの、布帛に両面テープを重ねたものであってもよい。

　上層成形体２０の成形、芯材３０の成形と硬化、上層成形体２０と芯材３０、芯材３０と基材４０の溶着は、高周波誘電加熱により行なうことができる。もちろん、これらの成形等には、圧縮成形、注型成形、その他の公知の成形方法を採用することもできる。しかしながら、金型を加熱して成形した場合には、１０分或いはそれ以上の時間が掛かるが、高周波誘電加熱を採用することで、加熱時間は１０～３０秒程度で済ませることができるため、高周波誘電加熱の採用が極めて有効である。

　第１実施形態の立体装飾片１０は、芯材３０の成形ステップ、上層成形体２０の成形ステップ、上層成形体２０、芯材３０及び基材４０との一体化ステップにより製造することができる。各ステップについて、以下で説明する。

＜芯材３０の成形ステップ＞
　芯材３０の成形ステップでは、合成樹脂材料３１を立体装飾片１０の形状、すなわち、上層成形体２０の凸部分２３の形状に合わせて成形させ、硬化させて、芯材３０を得る。図３は、芯材３０を成形する金型の実施形態を示しており、図３（ａ）は、芯材成形型５０の平面図、図３（ｂ）は、芯材成形型５０と電極平板金型５４のＢ－Ｂ’に沿う断面図を示している。図３に示すように、芯材成形型５０には、形成すべき立体装飾片１０の立体図柄に対応して凹んだ凹模様５１が彫刻されている。本実施形態では、凹模様５１は、星形立体図柄と当該星形立体図柄を囲む植物型立体図柄であり、星形立体図柄と植物型立体図柄は、島状に離れて形成されている。

　なお、成形された芯材３０を後述するステップで他の金型に位置決めするために、芯材成形型５０には、凹模様５１の外側に位置決め用のトンボ５２を凹設しておくことが望ましい。

　芯材成形型５０と電極平板金型５４は、相対的に接近、離間可能な構成となっており、図示の実施形態では、凹模様５１が上向きとなるように配置された芯材成形型５０に対して、電極平板金型５４が降下して接近、上昇して離間する構成としている。

　芯材成形型５０と電極平板金型５４は、それぞれ高周波誘電発振器に連繋されており、芯材成形型５０と電極平板金型５４を接近させた状態で、これら金型間に高周波電圧を印加することで、金型間に配置された誘電体（本実施形態では合成樹脂材料３１）の高周波誘電加熱を行なうことができる。

　然して、図３（ｂ）に示すように、芯材成形型５０の凹模様５１に流動性のある状態の合成樹脂材料３１、たとえば熱可塑性合成樹脂ゾルを注入する。合成樹脂材料３１を注入した後、必要に応じて、芯材成形型５０の上から、たとえば熱可塑性合成樹脂フィルムなどのフィルム３３を載置する。本実施形態では、凹模様５１が芯材成形型５０に離間して島状に形成されているため、島状に離間して形成される芯材３０どうしが分離しないように１枚のフィルム３３に載せるようにしている。従って、芯材３０が１つに繋がっている場合にはフィルム３３は省略できる。また、芯材成形型５０は、凹模様５１どうしが繋がる凹みを形成し、当該凹みに合成樹脂材料３１を注入して、凹模様５１に形成される芯材３０どうしを連繋するようにしてもよい。

　そして、芯材成形型５０と電極平板金型５４を接近させ、高周波誘電加熱を行ない、冷却を施すことで、合成樹脂材料３１が成形、硬化する。高周波誘電加熱が完了すると、電極平板金型５４を離間させて、芯材成形型５０から成形、硬化した芯材３０を取り出す。図４は、取り出された芯材３０を示している。芯材３０は、立体形状に合わせた立体部がフィルム３３により連繋された形態であることがわかる。また、フィルム３３には、芯材成形型５０のトンボ５２に相当する位置に位置決め用突起３４が形成できていることがわかる。

＜上層成形体２０の成形＞
　次に、上層成形体２０の成形方法について説明する。なお、上層成形体２０の成形は、上記した芯材３０の成形、硬化と前後又は並行して実施できる。

　図５乃至図７は、上層成形体２０を形成する金型の断面図である。金型は、図７に示すように、接近、離間可能に配置された上部電極彫刻凹金型６０（図５）と、下部電極凸型７０を載置した電極平板金型７４（図６）から構成することができる。上部電極彫刻凹金型６０は、図５（ａ）及び線Ｃ－Ｃ’に沿う断面図５（ｂ）に示すように、形成される上層成形体２０の立体形状に合わせた凹部６１を有し、当該凹部６１の外周に上層成形体２０を切断可能な溶断刃６２を具えた形態とすることができる。また、下部電極凸型７０は、図６（ａ）及び線Ｄ－Ｄ’に沿う断面図６（ｂ）に示すように、上層成形体２０の立体図柄に対応した形状の凸部７１を有しており、電極平板金型７４の上に載置して使用することができる。なお、電極平板金型７４は、芯材成形型５０の電極平板金型５４を援用してもよい。

　上部電極彫刻凹金型６０は、高周波誘電発振器に連繋されており、下部電極凸型７０は電極平板金型７４を介して高周波誘電発振器に連繋されている。そして、下部電極凸型７０に上部電極彫刻凹金型６０を接近させた状態で、これら金型間に高周波電圧を印加することで、金型間に高周波誘電加熱を行なうことができる。

　然して、図７（ａ）に示すように、離間状態にある上部電極彫刻凹金型６０と下部電極凸型７０との間に、上層成形体２０を形成するシート状の上層材料２１を挟み、金型６０，７０間に高周波誘電加熱を行なうことで、図７（ｂ）に示すように、上層材料２１は、金型６０，７０の凹部６１と凸部７１の立体図柄に合わせた立体形状を有する上層成形体２０として成形される。なお、上層成形体２０は次のステップにて芯材３０及び基材４０と一体化する際に、再度、上部電極彫刻凹金型６０に装着、位置決めする必要があるから、上部電極彫刻凹金型６０には、トンボなどの位置決め、位置合わせ用の突起や凹みを設けておくことが望ましい。或いは、上部電極彫刻凹金型６０に成形された上層成形体２０を成形した後、上層成形体２０を上部電極彫刻凹金型６０から取り外さずに、テープなどで上層成形体２０を上部電極彫刻凹金型６０に留めた状態で、次のステップに移行することが望ましい。

＜上層成形体２０、芯材３０及び基材４０の一体化ステップ＞
　続いて、上記により得られた芯材３０と上層成形体２０を基材４０上で一体化すると共に、芯材３０と上層成形体２０の不要部分を溶断刃６２により切断し、除去可能な状態とする。

　本ステップでは、上層成形体２０の成形ステップで用いた上部電極彫刻凹金型６０と電極平板金型７４と援用することができる。具体的には、図７の状態から図８に示すように、下部電極凸型７０を電極平板金型７４から取り外す。この状態から、電極平板金型７４の上に、基材４０を載せ、その上に芯材３０を載置する。芯材３０は、位置決め突起（図示せず）等により電極平板金型７４に位置合わせし、一体化される上層成形体２０の凸部分２３に上手く嵌まり込むようにする。

　そして、テープ等により上層成形体２０が取り付けられた上部電極彫刻凹金型６０を上部から電極平板金型７４に接近させ、図８に示すように、芯材３０を上層成形体２０の凸部分２３に挿入する。この状態から、さらに上部電極彫刻凹金型６０を電極平板金型７４に押しつけ、高周波誘電加熱を行なうことで、上層成形体２０は芯材３０と一体化、さらには、基材４０は芯材３０と一体化すると共に、上層成形体２０は溶断刃６２により所望の立体形状に溶断される。

　然して、一体化された上層成形体２０、芯材３０及び基材４０から、上層成形体２０の不要箇所を除去することで、図１及び図２に示すように立体形状を有する上層成形体２０の内側の凸部分２３に芯材３０が充填され、基材４０と連繋された立体装飾片１０が得られる。なお、基材４０も鋏やカッター、トムソン抜きなどで所望形状に切断すればよい。

　得られた立体装飾片１０は、上層成形体２０の凸部分２３の内側に芯材３０が充填されているから、その立体形状を固定、維持することができる。この立体形状は、従前のように下層材料を賦形したものではない。すなわち、芯材３０は予め立体形状に成形しているから、下層材料の賦形に比べて厚さを厚く形成でき、立体装飾片１０の嵩高化を達成することができる。たとえば、立体装飾片１０は、基材４０を除いた厚さを３ｍｍ～１０ｍｍ超とすることができる。また、本実施形態では、基材４０は、平坦形状であり、次に示す実施形態のように上層成形体２０の形状に合わせた凹凸はないので、基材４０に皺が発生することも防止できる。

＜第２実施形態＞
　上記第１実施形態では、図１及び図２に示すように、基材４０の上に芯材３０、そしてその上に上層成形体２０を形成している。本実施形態では、図９に示すように、芯材３０の上に基材４０と上層成形体２０を被せた構成とした立体装飾片１０を作製する。なお、各層の材料等、第１実施形態と同様である部分は、適宜説明を省略する。

　芯材３０は、上記第１実施形態と同様の要領で作製する。

＜上層成形体２０と基材４０の一体成形＞
　上層成形体２０と基材４０は、図１０及び図１１に示すように、第１実施形態の図５及び図６で説明した上部電極彫刻凹金型６０と下部電極凸型７０を採用できる。下部電極凸型７０は電極平板金型７４の上に載置している。

　そして、上層材料２１と基材４０は、図１０に示すように、基材４０が下側となるように重ね、下部電極凸型７０側に基材４０、その上に上層材料２１となるように金型間に基材４０と上層材料２１を配置する。この状態で、図１１に示すように上部電極彫刻凹金型６０を接近させて、上層材料２１に高周波誘電加熱を行なう。これにより、上層材料２１と基材４０は、上部電極彫刻凹金型６０に沿った凸部分２３を有する形状、すなわち、基材４０に下部電極凸型７０の凸部７１に沿った凹部分４２を有する形状に変形、成形される。この状態で上層材料２１を冷却して硬化させることにより、上層成形体２０と基材４０を立体形状に一体化することができる。

＜上層成形体２０、基材４０及び芯材３０の一体化ステップ＞
　続いて、図１２に示すように、上層成形体２０及び基材４０が取り付けられた上部電極彫刻凹金型６０を裏返し、基材４０の凹部分４２に予め成形された芯材３０を重ね、芯材３０を基材４０の凹部分４２に挿入する。そして、上側から電極平板金型７４を接近させ、押し付けながら上部電極彫刻凹金型６０と電極平板金型７４との間で高周波誘電加熱を行なう。これにより、基材４０は芯材３０と一体化し、また、上層成形体２０は溶断刃６２により所望の立体形状に溶断される。

　然して、一体化された上層成形体２０、基材４０及び芯材３０から、上層成形体２０の不要箇所を除去することで、図９に示すような断面を有する立体装飾片１０を得ることができる。立体装飾片１０は、上層成形体２０と基材４０が立体形状を有し、基材４０の内側の凸部分２３に芯材３０が充填された形態であり、上層成形体２０の立体形状は、芯材３０により固定、維持される。

　上記のように、立体装飾片１０は、上層成形体２０及び基材４０の立体形状を芯材３０により固定、維持することができる。この立体形状は、従前のように下層材料を賦形したものではない。すなわち、芯材３０は予め立体形状に成形しているから、下層材料の賦形に比べて厚さを厚く形成でき、立体装飾片１０の嵩高化を達成することができる。たとえば、立体装飾片１０は、厚さを３ｍｍ～１０ｍｍ超とすることができる。

＜第３実施形態＞
　第１実施形態では、基材４０として布帛を用いているが、本実施形態では、基材４０として布帛に代えて両面テープ４４を採用する。図１３は、第３実施形態により得られる完成品の立体装飾片１０の断面図である。両面テープ４４は、表裏両面が貼着面であるテープであり、本実施形態では、車のボディなどに立体装飾片１０を直接貼着するために、片面に離型紙４５が貼着されたものである。その他、第１実施形態と同様の箇所については適宜説明を省略する。なお、本実施形態では、図１４等に示すように、第１実施形態、第２実施形態とは異なる立体図柄であって、具体的には、アルファベットの「ＵＬＴＲＡ」を立体図柄として採用する。

＜芯材３０の成形、硬化ステップ＞
　図１４は、第３実施形態の芯材３０を成形する金型の断面図を示している。図１４（ａ）は、芯材成形型５０の平面図、図１４（ｂ）は、芯材成形型５０と電極平板金型５４の線Ｅ－Ｅ’に沿う断面図を示している。図１４（ａ）に示すように、芯材成形型５０には、形成すべき立体装飾片１０の立体図柄「ＵＬＴＲＡ」に対応して凹んだ凹模様５１が彫刻されている。

　そして、第１実施形態と同様、図１４（ｂ）に示すように、合成樹脂材料３１を流動性のある状態で芯材成形型５０の凹模様５１に合成樹脂材料３１を注入する。そして、注入された合成樹脂材料３１の上に熱可塑性合成樹脂フィルム等のフィルム３３を被せる。

　この状態で、芯材成形型５０と電極平板金型５４を接近させ、高周波誘電加熱を行ない、冷却を施すことで、合成樹脂材料３１を成形、硬化させ、フィルム３３と一体化させる。高周波誘電加熱が完了すると、電極平板金型５４を離間させて、芯材成形型５０から成形、硬化した芯材３０を取り出す。図１５に示すように、芯材３０は、立体形状に合わせて島状に離れた部分がフィルム３３により連繋されていることがわかる。

＜上層成形体２０の成形＞
　本実施形態においても、上層成形体２０の成形は、芯材３０の成形、硬化と前後又は平行して実施することができる。

　図１６、図１７は、上層成形体２０を形成する金型の断面図である。第１実施形態と同様、金型は、上部電極彫刻凹金型６０（図１６）と、電極平板金型７４の上に載置された下部電極凸型７０（図１６）から構成することができる。上部電極彫刻凹金型６０は、図１６（ａ）及び線Ｆ－Ｆ’に沿う断面図１６（ｂ）に示すように、形成される上層成形体２０の立体形状に合わせた凹部６１を有し、当該凹部６１の外周に上層成形体２０を切断可能な溶断刃６２を具えた形態とすることができる。また、下部電極凸型７０は、図１７（ａ）及び線Ｇ－Ｇ’に沿う断面図１７（ｂ）に示すように、上層成形体２０の立体図柄に対応した凸部７１を有し、電極平板金型７４の上に載置して使用することができる。何れの金型も高周波誘電発振器に連繋されている。

　然して、図１８（ａ）に示すように、離間状態にある上部電極彫刻凹金型６０と下部電極凸型７０との間に、上層成形体２０を形成するシート状の上層材料２１を挟み、金型６０，７０を接近させて高周波誘電加熱を行なうことで、図１８（ｂ）に示すように、上層材料２１は、金型６０，７０の凹部６１と凸部７１の立体図柄に合わせた立体形状を有する上層成形体２０として成形される。なお、上層成形体２０の成形が完了すると、上部電極彫刻凹金型６０と共に上層成形体２０を一旦上昇させる。このとき、図１８（ｂ）に示すように、上層成形体２０はテープで貼着する等により上部電極彫刻凹金型６０と一体に上昇させるようにすることが望ましい。

＜上層成形体２０、芯材３０、両面テープ４４の一体化ステップ＞
　続いて、下部電極凸型７０を電極平板金型７４から取り外す。そして、電極平板金型７４の上に下面側が離型紙４５である両面テープ４４を載置し、その上に芯材３０（図１５）を貼着させる。両面テープ４４は、電極平板金型７４の上で芯材３０を貼着してもよいが、予め両面テープ４４に芯材３０を貼着してから電極平板金型７４の上に載せるようにしてもよい。芯材３０は、位置決め突起（図示せず）等により電極平板金型７４に位置合わせし、一体化される上層成形体２０の突部分に上手く嵌まり込むようにする。

　この状態から、図１９に示すように、上部電極彫刻凹金型６０を上層成形体２０と共に降下させ、芯材３０を上層成形体２０の凸部分２３に嵌める。この状態から、さらに上部電極彫刻凹金型６０を降下させつつ高周波誘電加熱を行なうことで、芯材３０は上層成形体２０と一体化されると共に、上層成形体２０は溶断刃６２により所望の立体形状に溶断される。

　然して、一体化された上層成形体２０、芯材３０及び両面テープ４４から、上層成形体２０の不要箇所を除去することで、図１３に示すように立体形状を有する上層成形体２０の内側の凸部分２３に芯材３０が充填され、両面テープ４４に貼着された立体装飾片１０が得られる。得られた立体装飾片１０は、離型紙４５を剥がし、車のボディなどにエンブレムとして貼着すればよい。

　上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。

　たとえば、上層成形体２０の不要部分の除去は、高周波溶断に代えて、トムソンキスカットやレーザーキスカット等により実施することもできる。

１０　立体装飾片
２０　上層成形体
３０　芯材
４０　基材
４４　両面テープ
５０　芯材成形型
５４　電極平板金型
６０　上部電極彫刻凹金型
７０　下部電極凸型
７４　電極平板金型

Claims

　金属蒸着層を含む上層材料から構成され、高周波誘電加熱により表面側に凸部分を有する形状に立体成形された上層成形体と、
　前記上層成形体の前記凸部分に充填され、流動性を有する合成樹脂を硬化させてなる芯材と、
　前記芯材の裏面側に溶着された基材と、
　を具える立体装飾片。
　前記芯材と前記基材との間には、熱可塑性合成樹脂フィルムが配置されている、
　請求項１に記載の立体装飾片。
　金属蒸着層を含む上層材料から構成され、高周波誘電加熱により表面側に凸部分を有する形状に立体成形された上層成形体と、
　前記上層成形体の前記凸部分に充填され、流動性を有する合成樹脂を硬化させてなる芯材と、
　前記芯材の裏面側に溶着された熱可塑性合成樹脂フィルムと、
　前記熱可塑性合成樹脂フィルムの裏面側に貼着された両面テープと、
　を具える立体装飾片。
　金属蒸着層を含む上層材料から構成され、高周波誘電加熱により表面側に凸部分を有する形状に立体成形された上層成形体と、
　前記上層成形体の裏面側に溶着され、前記上層成形体の前記凸部分に沿って裏面側に凹部分を有する基材と、
　前記凸部分に沿って凹んだ前記基材の前記凹部分に充填され、流動性を有する合成樹脂を硬化させてなる芯材と、
　を具える立体装飾片。
　前記芯材を形成する合成樹脂は、熱可塑性合成樹脂ゾル、熱硬化性合成樹脂、及び、常温硬化性２液性合成樹脂からなる群より選択される１の材料である、
　請求項１乃至請求項４の何れかに記載の立体装飾片。
　立体図柄を有する立体装飾片の製造方法であって、
　立体図柄が彫刻された芯材成形型に、流動性を有する状態の合成樹脂を注入し、上側から電極平板金型で押圧しつつ、高周波誘電加熱を行なうことで、前記合成樹脂を前記立体図柄に合わせた凸部分を有する形状に硬化させた芯材を成形する芯材の成形ステップ、
　立体図柄が彫刻された電極彫刻凹金型と電極凸型の間に、金属蒸着層を含む上層材料を挟んで押圧し、高周波誘電加熱を行なって表面側に前記立体図柄に合わせた凸部分を有する形状に上層成形体を立体成形する上層成形体の成形ステップと、
　電極平板金型の上に基材、及び、前記基材の上に前記芯材を配置し、前記電極彫刻凹金型に前記上層成形体を保持した状態で、前記電極平板金型と前記電極彫刻凹金型を対向させ、前記上層成形体の前記部分が前記芯材の前記凸部分に被さるように前記電極彫刻凹金型を前記電極平板金型に接近させて高周波誘電加熱を行なって、前記上層成形体、前記芯材及び基材を溶着すると共に、前記上層成形体と前記芯材を前記図柄に沿って溶断する一体化ステップ、
　を有する、
　立体装飾片の製造方法。
　前記芯材の成形ステップは、前記成形型に、前記合成樹脂を注入し、上側から熱可塑性合成樹脂フィルムを被せ、さらに上側から電極平板金型で押圧しつつ、高周波誘電加熱を行なうことで芯材を成形する、
　請求項６に記載の立体装飾片の製造方法。
　立体図柄を有する立体装飾片の製造方法であって、
　金属蒸着層を含む上層材料と基材を重ね、立体図柄が彫刻された電極彫刻凹金型と電極凸型との間に、前記上層材料が前記電極彫刻凹金型と対向するよう挟んで押圧し、高周波誘電加熱を行なって前記上層材料と前記基材を溶着させると共に、前記上層材料が成形された上層成形体と前記基材が前記立体図柄に合わせた凸部分を有する形状に成形され、前記基材側の裏面に凹部分を形成する、上層成形体と基材の一体化ステップ、
　前記電極彫刻凹金型を下側に配置し、前記上層成形体を前記基材が上向きになるように前記電極彫刻凹金型上に載置した状態で、前記基材の前記凹部分に流動性を有する合成樹脂材料を注入し、電極平板金型で押圧しつつ高周波誘電加熱を行なって、前記合成樹脂材料を硬化させて芯材を成形すると共に、前記上層成形体を前記図柄に沿って溶断する、上層成形体、基材及び芯材の一体化ステップ、
　を有する、
　立体装飾片の製造方法。
　立体図柄を有する立体装飾片の製造方法であって、
　立体図柄が彫刻された芯材成形型に、流動性を有する合成樹脂を注入し、熱可塑性合成樹脂フィルムを被せ、上側から電極平板金型で押圧しつつ、高周波誘電加熱を行なうことで、前記合成樹脂を前記立体図柄に合わせた凸部分を有する形状に硬化させた芯材を成形すると共に、前記芯材と前記熱可塑性合成樹脂フィルムを溶着する芯材の成形ステップ、
　立体図柄が彫刻された電極彫刻凹金型と電極凸型の間に、金属蒸着層を含む上層材料を挟んで押圧し、高周波誘電加熱を行なって表面側に前記立体図柄に合わせた凸部分を有する形状に上層成形体を立体成形する上層成形体の成形ステップと、
　電極平板金型の上に下面側に離型紙が貼着された両面テープを配置し、前記両面テープの上に前記熱可塑性合成樹脂フィルムが下面側となるように前記芯材を載せ、前記電極彫刻凹金型に前記上層成形体を保持した状態で、前記電極平板金型と前記電極彫刻凹金型を対向させ、前記上層成形体の前記凸部分が前記芯材の前記凸部分に被さるように前記電極彫刻凹金型を前記電極平板金型に接近させて高周波誘電加熱を行なって、前記上層成形体と前記芯材を溶着すると共に、前記上層成形体を前記図柄に沿って溶断する一体化ステップ
　を有する、
　立体装飾片の製造方法。