WO2020234925A1

WO2020234925A1 - 側部パッド付き眼鏡フレーム

Info

Publication number: WO2020234925A1
Application number: PCT/JP2019/019697
Authority: WO
Inventors: 真三田村
Original assignee: Tamura Shinzo
Priority date: 2019-05-17
Filing date: 2019-05-17
Publication date: 2020-11-26

Abstract

一対の耳かけ部（１ａ）付きのテンプル（１）が、テンプル（１）の閉じる方向に対向する一対のなだらかな山形の側部パッド（３）を、着用者の側頭部に当たるように所定位置に備えており、フロント部（４）には鼻当てを備えていない眼鏡フレームである。側部パッド（３）は、基部（３ａ）と、山形のパッド本体（３ｂ）と、テンプル（１）に沿ってパッド本体（３ｂ）と基部（３ａ）とを接続すると共にテンプル（１）に沿わせる角度（θ）を調整可能なフレキシブル接続部（３ｃ）とを有している。

Description

側部パッド付き眼鏡フレーム

　この発明は、眼鏡フレームのテンプルに側頭部支持用のパッドを備えた側部パッド付き眼鏡フレームに関するものである。

　一般に、眼鏡のフレームは、眼鏡レンズを保持するフロント部と、このフロント部の左右両端に蝶番を介して一対のテンプル部の各基端を連結し、前記蝶番の回転軸の周りに前記一対のテンプル部の先端が適当な距離に開くように旋回させて、前記フロント部の中央に設けた鼻当てと、前記テンプル部の後端の耳かけ部（モダン部とも別称される。）で眼鏡使用者の顔面に係止する。

　このとき、眼鏡は、モダン部と鼻当てで支持されており、レンズを嵌めたフロント部の主な荷重をフロント部の直下の鼻当てで受ける。

　そのため、眼鏡を長時間着用すると、着用者は、顔面の鼻骨の上部（以下、鼻上部と略称する。）に圧迫感や違和感を感じ、また汗や皮脂で鼻当てが鼻上部から滑り落ちやすくなり、女性は鼻上部に化粧崩れを起こし、眼鏡を常用する子供にとっては成長する鼻骨を変形させる要因となる場合もある。

　眼鏡着用者が鼻上部に受ける圧迫感や鼻上部から鼻当てがずり落ちやすい等の眼鏡着用者の不便を軽減するために、鼻当てに代えて、または鼻当てと共に側頭部支持用のパッドを設けた眼鏡フレームが知られている。

　そのような眼鏡フレームとして、テンプルの中程に設けたパッドの位置を調整するために、テンプルに形成した長孔や溝にスライド可能なアーム状の部品を介して、テンプルより下方の位置にパッドを配置したものが知られている（特許文献１）。

　しかしこのような眼鏡フレームは、着用者の側頭部にテンプルが配置される位置より、さらに下方にある頬骨に対してパッド部を当てて支持される。このような眼鏡フレームは、パッド部が眼鏡フレームから離れた位置にあって、パッド部が目立つので、日常的に用いる眼鏡フレームとしては、外観上に違和感があった。

　また、眼鏡フレームのフロント部に取り付けられる第１テンプルの内側に、第２テンプルを設け、この第２テンプルを内外方向に弾性的に変位可能とした眼鏡フレームが知られている(特許文献２)。

　この眼鏡フレームのテンプルは、いわゆるストレートテンプルと称され、テンプルの後端側の耳かけ部が下方に湾曲せずに真っ直ぐに延びた眼鏡フレームに適用されるものであり、耳の裏側付近の後頭部側面に、第２テンプルのばねの弾性力が作用すると、ホールド性はある程度まで改善される。しかしながら、ストレートテンプルは、眼鏡フレームのフロント部の荷重を鼻当てで支持する必要があり、また鼻当ての負荷を充分に軽減できるものではなかった。

　また、図６に示すように、テンプル１０の内側に板ばね１１を弓なりに張り出すように湾曲させ、板ばね１１全体を側頭部に当てて支持する眼鏡フレームＣが知られている(特許文献３)。

　この眼鏡フレームは、板ばね１１の後端部をテンプル１０と一体に固定し、板ばね１１の前端部はテンプル内側に設けた筒状ガイドに差し込んで前後にスライド可能とし、板ばね１１の中程の部分を側頭部に湾曲状に弾性変形させて圧接するか、または板ばね１１に代えて、表面を前記同様の湾曲面に形成したシリコン樹脂やゴム等の弾性素材の成形体をテンプル１０の内側沿わせて設け、湾曲面を側頭部に圧接させていた。

国際公開第２００９／０９０７３３号特開２０１３－１６０９２６号公報特開２００３－１２１８００号公報

　しかし、特許文献３に記載された眼鏡フレームは、板ばね１１の前端部分がテンプル１０の長手方向にスライドさせてもあまり大きく形状を変えることはできないので、着用者の側頭部に対して接触する面積や位置を調整することは難しく、また着用者の側頭部の形状の個人差に充分に対応できない。

　また、このような眼鏡フレームの板ばねと頭部側面との接触面積は常に大きく、また密接しやすいので、眼鏡フレームを長時間使用すると、皮膚が圧迫され、また通気性のない皮膚は汗ばんで不快感を受けやすいという問題点がある。

　また、特許文献１に示されるようなパッド部は、眼鏡フレームから離れた位置に配置され、付属品としてかなり目立つので、日常的に使用する眼鏡フレームとしては、外観が通常の眼鏡フレームとはかなり異なるため、違和感がある。

　特許文献２のように第２のテンプルを第１のテンプルの内側に同様な形状で設けたものは、鼻当てを有しない眼鏡フレームの装着時のホールド性を向上させることはできない。

　そこで、この発明の課題は、上記したように鼻当てを必要としない側部パッド付き眼鏡フレームが、着用者の側頭部に対する支持機能が目立たないようにテンプルと一体的な構造で設けた側部パッドを安定した姿勢で圧接させ、しかも圧接力の調整が容易であり、眼鏡の様々な日常的な使用状態において、側部パッドを広い面積で密着させなくてもホールド性に優れ、使用感も支持機能にも優れた側部パッド付き眼鏡フレームとすることである。

　上記の課題を解決するために、この発明においては、眼鏡フレームの一対の耳かけ部付きテンプルが、長手方向の中程にテンプルの閉じる方向に対向する一対の側部パッドを備え、この側部パッドは、前記テンプルに固定された基部と、パッド本体と、このパッド本体をテンプル内側に沿わせて前記基部に接続すると共に前記テンプルに沿わせる角度を調整可能なフレキシブル接続部とを有する側部パッド付き眼鏡フレームとしたのである。

　上記したように構成されるこの発明の側部パッド付き眼鏡フレームは、テンプルの閉じる方向に対向する一対の側部パッドを備え、パッド本体を、テンプルの内側に沿わせて設けるので、外観上、側部パッドがテンプルと一体的に構成される。そのため、眼鏡フレームに付属する側部パッドが目立たない構造で側部パッドを備えた眼鏡フレームになる。

　また、一対の耳かけ部付きテンプルが、閉じる方向に対向する一対の側部パッドをテンプルの内側に沿わせて設けているので、側頭部の片側ずつ耳かけ部と側部パッドの２点で支持され、眼鏡フレームの支持機能が安定し、鼻当てがなくても顔面ホールド性に優れている。

　また、側部パッドは、フレキシブル接続部によって、パッド本体と前記基部とを接続し、フレキシブル接続部の柔軟性によって、使用者はテンプルの開閉方向に接続角度を調整できる。その際、パッド本体の形状は変化することがないので、予め調整済みの正しい形状のパッド本体が、誤って形状を変えることによって起こりやすい不具合を防止する。
　このようにして眼鏡フレームの側頭部に対するパッド本体の圧接力を正しく調整でき、頭部側面に過剰な圧力や不適切な形状のパッド本体が皮膚に圧接することがないので、所要の顔面ホールド性を発揮させると共に使用感も向上する。

　上記パッド本体が、なだらかな山形の圧接面を有するパッド本体であることにより、パッド本体の側頭部に対して圧接する面積を適度に少なくし、またパッド本体と側頭部との通気性も確保して過度に密着させず、汗ばむことなく使用感を向上させる。

　また、パッド本体が、弾性素材からなるパッド本体であることにより、使用者の動きに応じた眼鏡フレームの左右及び上下の揺れや振動を吸収し、ホールド性により優れた側部パッド付き眼鏡フレームを構成することができる。

　すなわち、上記構造の支持具付き眼鏡フレームは、眼鏡の着用者が様々な姿勢で作業するときや、様々なスポーツで着用する場合に、ずり落ちないように安定して支持され、しかも着用者は、顔面の鼻上部に眼鏡の荷重を受けないので、その部分に圧迫感や眼鏡の荷重を感じない。

　また、フレキシブル接続部が、合成樹脂と軟質金属の複合素材で構成されたものでは、
塑性変形可能なフレキシブル接続部となっており、使用者の側頭部に対する側部パッドが安定した姿勢で圧接し、しかも圧接力の調整が容易で確実に行なえる。

　この発明の側部パッド付き眼鏡フレームは、パッド本体をテンプル内側に沿わせて基部に接続し、パッド本体と基部とをフレキシブル接続部で接続して、このフレキシブル接続部でテンプルに沿わせる角度を調整するので、側部パッドは、側頭部に対する支持機能が目立たない構造で使用者の側頭部に対し安定した姿勢で圧接し、また圧接力の調整が容易である。そのため、側部パッド付き眼鏡フレームは、様々な日常的な使用状態において、側頭部からの支持機能が安定し、ホールド性に優れており、使用感も向上したものになるという利点がある。

第１実施形態を示す側部パッド付き眼鏡フレームの斜視図第１実施形態の使用状態を説明する平面図第１実施形態のテンプル及び側部パッドを拡大して示す斜視図第２実施形態を示す側部パッド付き眼鏡フレームの斜視図第２実施形態のテンプル及び側部パッドを拡大して示す平面図従来例のテンプル及び側部パッドを拡大して示す平面図

　この発明の実施形態を以下に添付図面に基づいて説明する。
　図１－３に示すように、第１実施形態の側部パッド付き眼鏡フレームＡは、一対の耳かけ部１ａ付きのテンプル１が、蝶番２によって開閉されるテンプル１の閉じる方向に対向する一対のなだらかな山形の側部パッド３を設け、これを着用者の側頭部Ｈに当るように所定位置に備えており、フロント部４には鼻当てを備えていないものである。

　図３に示されるように、テンプル１は、断面方形状である程度の厚み（横方向）と幅（縦方向）があり、側部パッド３は、このようなテンプル１に固定された基部３ａと、山形のパッド本体３ｂと、テンプル１に沿ってパッド本体３ｂと基部３ａとを接続すると共にテンプル１に沿わせる角度θを調整可能なフレキシブル接続部３ｃとを有している。
　パッド本体３ｂは、なだらかな山形の１つあるものを例示したが、２つ以上の山部が谷部を介して連続している波板状のものであってもよい。

　パッド本体３ｂと、基部３ａと、フレキシブル接続部３ｃの主要素材として共通して使用できる素材として、眼鏡の着用者が素手で弾性変形または塑性変形させることが可能な柔軟性を有する周知の軟質合成樹脂、弾性ゴム、銅、チタン等の比較的軟質な金属板等を用いた帯板(パンチングメタルも含めて言う)状、棒状、線状材を用いることができる。

　上記弾性ゴムの具体例としては、天然ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の弾性ゴムまたは周知の熱可塑性エラストマーが挙げられる。熱可塑性エラストマーは、ポリマーの構成が、熱可塑性のある末端ブロックと弾性のある中間ブロックで構成されており、熱可塑性樹脂と同様に溶融成形が可能である。

　軟質合成樹脂としては、低密度ポリオレフィン、軟質ポリ乳酸、軟質塩化ビニル、ポリアミド樹脂などの可撓性を有する軟質プラスチックが挙げられる。軟質合成樹脂は、特に硬さ調整が容易にできるポリウレタン樹脂や、シリコーンゴム等からなる板状または棒状の素材を採用することが好ましい。

　このような側部パッド３の全体の形態は、眼鏡フレームＡの側面から見て、テンプル１の内側に隠れる程度の幅の帯板等であることが好ましく、図示した厚み（横方向）と幅（縦方向）のある方形断面のテンプル１と同程度の厚みと幅のある帯板状に形成することもでき、それより薄い厚みで細幅のものであってもよい。

　帯板状の一端の基部３ａは、テンプル１の長手方向の前部の内側に、接着、嵌め合わせ、または小ねじ５ａによるねじ止めなどの周知手段によって固定できる。

　パッド本体３ｂは、できれば素手などでは簡単に塑性変形しない硬さのものであり、すなわち、眼鏡フレームの使用状態において、所定形状を維持できる素材で形成することが好ましい。

　パッド本体３ｂの適切な形状は、眼鏡の製造または販売サービスを行なう者によって、予め調製されていることが好ましく、専門の技術者以外がみだりに形状を変更できないようにしておくことが、適切な使用感が得られる品質を維持するためにも好ましい。

　そのような硬さのパッド本体３ｂは、複合成形などの周知の成形方法によって、前記主要な素材の内部に、鋼材等の硬質金属、木材、セラミック、カーボン等の強化繊維、硬質プラスチックなどを埋設しておくことで、前記主要な素材が変形しやすい軟質または弾性材料からなるものであっても、通常の使用状態や、フレキシブル接続部３ｃを変形させる調整時にも変形しない硬さに設けることができる。

　またパッド本体３ｂと基部３ａとを接続するフレキシブル接続部３ｃは、左右一対のテンプル１の開閉面内で、テンプル１に沿わせる角度θを調整可能な可撓性を有する素材で形成している。

　パッド本体３ｂと基部３ａとを接続するフレキシブル接続部３ｃは、それぞれを部品として予め作製しておき、接着や嵌め合わせまたは継手を介して連結してもよいが、要所に芯金５などをインサート成型するなど、成型可能な樹脂等を共通する主要材料として用いた複合成形によって一体的に設けることもできる。

　フレキシブル接続部３ｃは、テンプル１の前部に固定される基部３ａからテンプル１の長手方向に沿って中央に向かって伸び、パッド本体３ｂのなだらかな山形の斜面の中程に接続され、選択的に採用された素材によって、手で変形させて曲げてテンプル１に沿わせる角度θを調整可能なフレキシブル性を有している。

　このようなフレキシブル性は、前述したように手で弾性変形または塑性変形させることができる程度に、軟質合成樹脂、弾性ゴム等の成形材料を主材料とし、さらに銅、チタン等の比較的軟質な金属板からなる芯金５（図３）等を補強用の副材料として複合し、例えばフレキシブル接続部３ｃに埋設するか、またはラミネートなどにより積層し、またはこれらを要所に接着や嵌め合わせ等によって一体的に組み合わせて設けることにより、接続部に所要のフレキシブル性を持たせることができる。

　図４及び図５に示すように、第２実施形態のパッド付き眼鏡フレームＢは、第１実施形態における厚み（横方向）と幅（縦方向）のある方形断面のテンプル１に代えて、針金状の金属線材からなるテンプル６を採用したものであり、さらに第１実施形態における山形の側部パッド３の基部３ａには、テンプル６の貫通孔７を形成し、挿し通したテンプル６を接着により固定している。

　なお、貫通孔７の内壁面をねじ面で形成し、テンプル６の前端に近い所要部にもねじ面を形成してこれらをねじ結合により取り付けて固定してもよい。

　第２実施形態の上記以外の構成は、第１実施形態とほぼ同じであり、蝶番２によって開閉するテンプル６の外側に配置される基部３ａの先端面は、テンプル６が最も開いた状態で、フロント部４のよろい部４ａに当たって接する。

　第２実施形態においても側部パッド３は、テンプル６に固定された基部３ａと、山形のパッド本体３ｂと、テンプル６に沿ってパッド本体３ｂと基部３ａとを接続すると共にテンプル６に沿わせる角度θを調整可能なフレキシブル接続部３ｃとを有し、この部分には可撓性のある芯金５が内臓されている。

　上記したように構成される第１及び第２実施形態の支持具付き眼鏡フレームは、パッド
本体３ｂをテンプル１，６の内側に沿わせて配置し、パッド本体３ｂと基部３ａとをフレキシブル接続部３ｃで接続してテンプル１，６に沿わせる角度を調整するので、外観上こめかみ部に対する支持機能が目立たず、使用者の側頭部に側部パッド３が安定した姿勢で圧接され、圧接力の調整が容易なものである。

　なお、上記したように構成される第１及び第２実施形態の支持具付き眼鏡フレームは、いずれも、鼻当て部を設けていないものを図示しているが、特に必要な場合はフロント部に鼻当て部を設けてもよいのは勿論である。

１、６　テンプル
１ａ　耳かけ部
２　蝶番
３　側部パッド
３ａ　基部
３ｂ　パッド本体
３ｃ　フレキシブル接続部
４　フロント部
５　芯金
５ａ　小ねじ
７　貫通孔
Ｈ　側頭部

Claims

　眼鏡フレームの一対の耳かけ部付きテンプルが、長手方向の中程にテンプルの閉じる方向に対向する一対の側部パッドを備え、この側部パッドは、前記テンプルに固定された基部と、パッド本体と、このパッド本体をテンプル内側に沿わせて前記基部に接続すると共に前記テンプルに沿わせる角度を調整可能なフレキシブル接続部とを有する側部パッド付き眼鏡フレーム。
　上記パッド本体が、なだらかな山形の圧接面を有するパッド本体である請求項１に記載のパッド付き眼鏡フレーム。
　上記パッド本体が、弾性素材からなるパッド本体である請求項１または２に記載の側部パッド付き眼鏡フレーム。
　上記フレキシブル接続部が、合成樹脂と軟質金属の複合素材からなるフレキシブル接続部である請求項１～３のいずれかに記載の側部パッド付き眼鏡フレーム。