WO2020022438A1 - 網膜線維化を伴う眼疾患の処置剤 - Google Patents
網膜線維化を伴う眼疾患の処置剤 Download PDFInfo
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- an ocular disease associated with retinal fibrosis comprises administering to a subject in need of treatment for an ocular disease associated with retinal fibrosis, an anti-endoglin antibody or antigen-binding fragment thereof and a VEGF inhibitor.
- a method of treatment is provided.
- the anti-endoglin antibody or antigen-binding fragment thereof and / or the VEGF inhibitor are administered as an injection for intravitreal administration.
- Injections for intravitreal administration include isotonic agents such as sodium chloride; buffering agents such as sodium phosphate; surfactants such as polyoxyethylene sorbitan monooleate; thickeners such as methyl cellulose as required. Can be used and prepared.
- an anti-endoglin antibody or an antigen-binding fragment thereof in the manufacture of an inhibitor of retinal fibrosis used in combination with a VEGF inhibitor.
- a VEGF inhibitor in the manufacture of an inhibitor of retinal fibrosis in combination with an anti-endoglin antibody or antigen-binding fragment thereof.
- a combination of an anti-endoglin antibody or antigen-binding fragment thereof and a VEGF inhibitor in the manufacture of an inhibitor of retinal fibrosis.
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Abstract
本開示の目的は、網膜線維化の抑制方法を提供することである。本発明者らは、抗エンドグリン抗体とVEGF阻害剤を併用することにより網膜線維化を抑制し得ることを見出した。従って、VEGF阻害剤と併用される、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む網膜線維化の抑制剤が提供される。これらの抑制剤は、例えば、網膜線維化を伴う眼疾患の処置に使用し得る。
Description
本特許出願は、米国仮出願番号第62/703,676号について優先権を主張するものであり、ここに参照することによって、その全体が本明細書中へ組み込まれるものとする。
本開示は、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントとVEGF阻害剤を併用することを特徴とする、網膜線維化の抑制方法に関するものである。
本開示は、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントとVEGF阻害剤を併用することを特徴とする、網膜線維化の抑制方法に関するものである。
眼の恒常性は、体内の他の組織と同様に、正常な脈管構造、細胞外基質および多様な細胞の機能により保たれている。感染、炎症、代謝性疾患等により恒常性が乱されると、眼組織の線維化が起こり得る。眼組織の線維化は、物理的に視軸を乱したり、細胞が正常に機能できなくなるまで組織の微小環境を破壊したりすることにより、視覚に破滅的な影響を与え、世界中で失明の原因となっている。例えば、糖尿病性網膜症では、糖尿病に伴う網膜低酸素症の結果、網膜血管が無制御に増殖し、網膜線維化と牽引性網膜剥離を招く。滲出型加齢黄斑変性における網膜下出血の後にも、同様の線維化が起こり得る。現在のところ、利用可能な網膜線維化の治療薬は存在しない。
加齢黄斑変性は、高齢者の社会的失明の主原因の一つである。加齢黄斑変性は、地図状萎縮(網膜色素上皮、脈絡膜毛細血管の萎縮)を伴う萎縮型加齢黄斑変性と、網膜下または網膜色素上皮下の脈絡膜新生血管(CNV:Choroidal Neovascularization)を特徴とする滲出型加齢黄斑変性に分類される。滲出型加齢黄斑変性の主要な病態であるCNV形成には、血管内皮細胞増殖因子(VEGF:Vascular Endothelial Growth Factor)が重要な役割を果たすことが明らかになっており、現在、複数の抗VEGF薬が滲出型加齢黄斑変性治療薬として承認されている(非特許文献1~3)。
CNV膜にはエンドグリンが発現しており(非特許文献4)、血管新生に関与することが知られている。抗エンドグリン抗体は、増殖している血管内皮細胞の表面上のエンドグリンに結合し、BMPシグナル伝達を阻害し、血管内皮細胞の増殖阻害とアポトーシスを引き起こした。また、抗エンドグリン抗体は、高酸素負荷網膜血管新生モデルマウスにおいて血管新生を抑制し(非特許文献5)、右心室圧負荷モデルマウスにおいて心筋の線維化を抑制した(非特許文献6)。
特許文献1は、抗エンドグリン抗体と抗VEGF抗体の併用による血管新生関連疾患の治療に言及している。特許文献2は、抗エンドグリン抗体を含む製剤を開示しており、抗VEGF抗体との併用に言及している。特許文献3は、抗エンドグリン抗体による線維症の処置を開示している。しかしながら、抗エンドグリン抗体と抗VEGF抗体の併用による網膜線維化の抑制について具体的に研究した例は、これまで知られていない。
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2014;252(4):647-55.
N Engl J Med. 2006;355(14):1419-31.
Ophthalmology. 2012;119(12):2537-48.
Curr Eye Res. 2000;21(6):952-61.
Invest Ophthalmol Vis Sci. 2014;55(10):6490-8.
J Am Heart Assoc. 2014;3(4):1-16.
本開示の目的は、網膜線維化の抑制方法を提供することである。
本発明者らは、抗エンドグリン抗体とVEGF阻害剤を併用することにより網膜線維化を抑制し得ることを見出した。
従って、ある態様では、本開示は、VEGF阻害剤と併用される、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む網膜線維化の抑制剤を提供する。
また別の態様では、本開示は、VEGF阻害剤と併用される、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む網膜線維化を伴う眼疾患の処置剤を提供する。
また別の態様では、本開示は、VEGF阻害剤と併用される、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む網膜線維化を伴う眼疾患の処置剤を提供する。
本開示により、対象における網膜線維化の抑制が可能になる。また、眼疾患に罹患している対象において網膜線維化を抑制することにより、対象の眼疾患を処置し得る。
本明細書では、数値が「約」の用語を伴う場合、その値の±10%の範囲を含むことを意図する。例えば、「約20」は、「18~22」を含むものとする。数値の範囲は、両端点の間の全ての数値および両端点の数値を含む。範囲に関する「約」は、その範囲の両端点に適用される。従って、例えば、「約20~30」は、「18~33」を含むものとする。
特に具体的な定めのない限り、本明細書で使用される用語は、有機化学、医学、薬学、分子生物学、微生物学等の分野における当業者に一般に理解されるとおりの意味を有する。以下にいくつかの本明細書で使用される用語についての定義を記載するが、これらの定義は、本開示において、一般的な理解に優先する。
本開示において、「抗体」は、免疫系の抗原結合性タンパク質を意味する。抗原結合性領域を有する完全長の天然に存在する抗体は、ジスルフィド結合により相互に連結された2つの重鎖(H鎖)および2つの軽鎖(L鎖)を含む糖タンパク質である。各重鎖には、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域(CH)が含まれる。重鎖定常領域は、CH1、CH2、およびCH3の3つのドメインから構成される。各軽鎖には、軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域(CL)が含まれる。軽鎖定常領域は、CLという1つのドメインから構成される。VHおよびVLの領域はさらに、相補性決定領域(CDR)という超可変性を有する領域と、フレームワーク領域(FR)というある程度保存されている領域に細分することができる。VHおよびVLでは、アミノ末端からカルボキシ末端へ、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順に、3つのCDRおよび4つのFRがそれぞれ配列されている。抗原との結合にはCDR3が重要であることが知られている。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。
抗体には、抗原に特異的に結合する1またはそれ以上の領域が含まれ、抗原結合領域を含む抗体の断片は、完全長抗体と同様に抗原を特異的に認識することが示されている。本開示において、ある抗体の「抗原結合性フラグメント」は、その抗体の抗原に特異的に結合する、抗体の一部の領域、部分またはタンパク質の断片を意味する。抗原結合性フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、または一本鎖Fv(scFv)が挙げられる。FabはVL、VH、CLおよびCH1ドメインから構成される一価の抗体フラグメントである。Fab’はVL、VH、CL、CH1ドメインおよびヒンジ部から構成される一価の抗体フラグメントである。F(ab’)2はヒンジ部のジスルフィド結合により結合した二つのFab断片を含む二価の抗体フラグメントである。Fvは抗体の単腕のVLおよびVHから構成される一価の抗体フラグメントである。Fv断片の2つのドメインであるVLおよびVHは、別々の遺伝子によりコードされており、遺伝子組換技術によりこれらのドメインをリンカーで連結して1分子のタンパク質であるscFvを作製することができる。scFvはVHおよびVLの間にリンカーを追加的に含む。前記リンカーはVHおよびVLを人為的に連結し、scFv抗体の抗原結合能を安定化するために当業界で通常利用されるペプチドである(例えば、GSリンカーは Huston et al., Methods in Enzymology, 203:46-88 (1991)、EKリンカーは、Whitlow, et al., Protein Eng., 6:989(1993) 参照)。前記リンカーは一般にグリシンおよびセリンを含み、その長さは15~18アミノ酸である。抗原結合性フラグメントの組合せも使用し得、例えば、Fab3、Diabody、Triabody、Tetrabody、Minibody、Bis-scFv、(scFv)2-Fc、intact-IgG が例示される。これらは、例えば、Holliger et al., Nature Biotechnology, 23(9):1126-36(2005) に詳述されている。
抗体または抗原結合性フラグメントは、その特性に実質的な影響を及ぼさない限り、1個または数個の、例えば、1~10個、1~5個、1個~3個、例えば2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸が置換、欠失、付加または挿入されていてもよい。例えば、定常領域やFR領域において、アミノ酸が置換、欠失、付加または挿入され得る。このような改変は、例えば、ゲノム編集法、部位特異的変異導入法(点突然変異導入およびカセット式変異導入等)、遺伝子相同組換え法、プライマー伸長法、およびPCR法等の当業者に周知の核酸の改変方法を組み合わせて、容易に実施できる。
抗体の定常ドメイン(Fcドメイン)は、抗体の抗原に対する結合には直接関与せずに、例えば、Fc受容体(FcR)との相互作用を介して、抗体依存性細胞傷害作用への抗体の関与など、各種のエフェクター機能を呈示する。Fcドメインはまた、患者への投与後に抗体のバイオアベイラビリティーに影響を与える。それらの重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを異なるクラスに割り当てることができる。これらは、免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMであり、これらのうちのいくつかを、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2へとさらに分類することができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメイン(Fcドメイン)を、それぞれ、α、δ、ε、γ、およびμと称する。異なる免疫グロブリンのクラスのサブユニットの構造並びに三次元の立体構造はよく知られている。抗体またはそれらの抗原結合断片を、それらのC末端において、任意の抗体アイソタイプ、例えば、IgG、IgA、IgE、IgDおよびIgM、並びに該アイソタイプのサブクラス、特に、IgG1、IgG2b、IgG2a、IgG3およびIgG4のいずれかに由来する免疫グロブリン重鎖の全部または一部に結合させることができる。
抗体またはその抗原結合性フラグメントは、糖鎖等によりさらに修飾されていてもよい。例えば、修飾により、インビボ(in vivo)における安定性、可溶性、バイオアベイラビリティーまたは半減期などの薬物動態特性を変化させることができる。また、抗体またはその抗原結合性フラグメントは、ヒト化抗体であってもよい。「ヒト化抗体」とは、ヒト以外の動物の抗体のVHおよびVLのCDRのアミノ酸配列をヒト抗体のVHおよびVLの適切な位置に移植した抗体を意味する。
抗エンドグリン抗体
「エンドグリン」は、CD105またはedg-1としても知られており、増殖している血管内皮細胞において高レベルで発現する、ホモ二量体のI型膜糖タンパク質である(Burrows et al., 1995, Clin. Cancer Res. 1:1623-1634)。正常組織の血管内皮細胞も、ある程度のエンドグリンを発現させる(Burrows et al., 同上;Wang et al., 1993, Int. J. Cancer 54:363-370)。ヒトのエンドグリンは、形質転換増殖因子β(TGF-β)に特異的に結合することが知られており、エンドグリンについて推測されるアミノ酸配列は、TGF-β受容体の一種であるβ-グリカンに対する高い相同性を示す。エンドグリンはまた、アクチビンAおよび骨形態形成タンパク質(BMP)-10、-9、-7および2などの他の成長因子に結合する。エンドグリン、BMPレセプターIIおよびALK1からなる複合体へのBMP-9の結合は、血管内皮細胞の増殖に必要とされるSMAD1/5/8リン酸化の過程に重要である。
「エンドグリン」は、CD105またはedg-1としても知られており、増殖している血管内皮細胞において高レベルで発現する、ホモ二量体のI型膜糖タンパク質である(Burrows et al., 1995, Clin. Cancer Res. 1:1623-1634)。正常組織の血管内皮細胞も、ある程度のエンドグリンを発現させる(Burrows et al., 同上;Wang et al., 1993, Int. J. Cancer 54:363-370)。ヒトのエンドグリンは、形質転換増殖因子β(TGF-β)に特異的に結合することが知られており、エンドグリンについて推測されるアミノ酸配列は、TGF-β受容体の一種であるβ-グリカンに対する高い相同性を示す。エンドグリンはまた、アクチビンAおよび骨形態形成タンパク質(BMP)-10、-9、-7および2などの他の成長因子に結合する。エンドグリン、BMPレセプターIIおよびALK1からなる複合体へのBMP-9の結合は、血管内皮細胞の増殖に必要とされるSMAD1/5/8リン酸化の過程に重要である。
エンドグリンはいかなる種のものであってもよく、典型的には哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル等)、特にヒトのエンドグリンである。種々の生物種由来エンドグリンのアミノ酸配列は、公知のデータベースを利用して、容易に入手できる。ヒトエンドグリン遺伝子は染色体9q34上に位置し、コード領域は14のエクソンを含有する。TGF-βと結合する能力を有する2つの異なるアイソフォーム(LおよびS)が知られている。ヒトのエンドグリンの代表的なアミノ酸配列は、GenBankアクセッション番号P17813(Lアイソフォーム)およびQ5T9B9(Sアイソフォーム)として登録されている。本開示において、「エンドグリン」は、その天然に存在する対立遺伝子およびプロセッシングを受けた形態を含む。
「抗エンドグリン抗体」は、十分な親和性および特異性でエンドグリンに結合する抗体である。例えば、出典明示により全体を本明細書の一部とする特許文献1~3;米国特許第5,928,641号;同第6,200,566号;同第6,190,660号;および同第7,097,836号に説明されている抗エンドグリン抗体を使用できる。特に、TRC105、TRC205、SN6、44G4、MJ7/18、Tec-11などの抗エンドグリン抗体が知られている(特許文献3参照)。これらの抗体の多数について、エクスビボ(ex vivo)およびインビボ(in vivo)における有効性が立証されている。
ある実施態様では、抗エンドグリン抗体はTRC105(カロツキシマブ(carotuximab)、DE-122とも呼ばれる)である。TRC105のアミノ酸配列を図1および配列番号1、2に示す。TRC105は、ヒトのエンドグリンのオーファンドメインに結合し、競合的にBMP結合を阻害し、その結果SMAD1/5/8リン酸化を阻害し、血管新生を阻害する。TRC105は、マウスエンドグリンと結合するが、マウスエンドグリンとマウスBMPの結合を妨げない。一方、抗体M1043は、マウスエンドグリンと特異的に結合し、マウスBMP結合を阻害する。従って、M1043は、マウスモデルにおいて、ヒトでのTRC105の効果を模倣する抗体である。別の実施態様では、抗エンドグリン抗体は特許文献3に記載されるTRC205である。
ある実施態様では、抗エンドグリン抗体は、アミノ酸配列DAWMD(配列番号3)からなるVH-CDR1、アミノ酸配列EX1RSX2ASNHATYYAESVKG(ここで、X1はAまたはIであり、X2は、K、QまたはRである)(配列番号4)からなるVH-CDR2およびアミノ酸配列WRRFFDS(配列番号5)からなるVH-CDR3を含む重鎖、並びに、アミノ酸配列RASSSVSYMH(配列番号6)からなるVL-CDR1、アミノ酸配列AX3SNLAS(ここで、X3はTまたはSである)(配列番号7)からなるVL-CDR2およびアミノ酸配列QQWSSNPLT(配列番号8)からなるVL-CDR3を含む軽鎖からなる。ある実施態様では、X1はIであり、X2はKであり、X3はTである。ある実施態様では、X1はAであり、X2はKであり、X3はTである。
ある実施態様では、抗エンドグリン抗体は、配列番号9~14のいずれかに示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および/または、配列番号15~23のいずれかに示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。ある実施態様では、抗エンドグリン抗体は、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含むVH、および/または、配列番号15に示されるアミノ酸配列を含むVLを含む。ある実施態様では、抗エンドグリン抗体は、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含むVH、および/または、配列番号23に示されるアミノ酸配列を含むVLを含む。これらのVHおよびVLのアミノ酸配列のうちの相補性決定領域(CDR)以外の配列は、他のアミノ酸配列、例えばヒトまたは他の動物に由来する抗体のフレームワークのアミノ酸配列により置換されていてもよい。
ある実施態様では、重鎖可変領域は、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含み、
(a)第49位におけるグリシン(G)のアラニン(A)またはセリン(S)による置換;
(b)第51位におけるアラニン(A)のイソロイシン(I)による置換;
(c)第54位におけるリジン(K)のアルギニン(R)またはアスパラギン(Q)による置換;および、
(d)第81位におけるロイシン(L)のバリン(V)による置換
からなる群から選択される1または複数の修飾を含んでもよい。
(a)第49位におけるグリシン(G)のアラニン(A)またはセリン(S)による置換;
(b)第51位におけるアラニン(A)のイソロイシン(I)による置換;
(c)第54位におけるリジン(K)のアルギニン(R)またはアスパラギン(Q)による置換;および、
(d)第81位におけるロイシン(L)のバリン(V)による置換
からなる群から選択される1または複数の修飾を含んでもよい。
ある実施態様では、軽鎖可変領域は、配列番号15に示されるアミノ酸配列を含み、
(a)第4位におけるメチオニン(M)のロイシン(L)による置換;
(b)第19位におけるアラニン(A)のバリン(V)による置換;
(c)第22位におけるトレオニン(T)のセリン(S)による置換;
(d)第47位におけるアラニン(A)のイソロイシン(I)による置換;および、
(e)第50位におけるトレオニン(T)のセリン(S)による置換
からなる群から選択される1または複数の修飾を含んでもよい。
(a)第4位におけるメチオニン(M)のロイシン(L)による置換;
(b)第19位におけるアラニン(A)のバリン(V)による置換;
(c)第22位におけるトレオニン(T)のセリン(S)による置換;
(d)第47位におけるアラニン(A)のイソロイシン(I)による置換;および、
(e)第50位におけるトレオニン(T)のセリン(S)による置換
からなる群から選択される1または複数の修飾を含んでもよい。
ある実施態様では、抗エンドグリン抗体は、配列番号24または25に示されるアミノ酸配列を含む重鎖定常領域(Fc)、および/または、配列番号26に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域(CL)を含む。ある実施態様では、抗エンドグリン抗体は、配列番号24に示されるアミノ酸配列を含むFc、および/または、配列番号26に示されるアミノ酸配列を含むCLを含む。ある実施態様では、抗エンドグリン抗体は、配列番号25に示されるアミノ酸配列を含むFc、および/または、配列番号26に示されるアミノ酸配列を含むCLを含む。
VEGF阻害剤
血管内皮増殖因子(VEGF)は、インビトロで内皮細胞の増殖および移動を、インビボで血管透過および血管新生を誘導することが知られている。また、VEGFは、新たに形成される血管中で内皮細胞の抗アポトーシス因子としても機能する。VEGFファミリーは、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E、VEGF-Fおよび胎盤増殖因子(PIGF)の7つのメンバーを含む。これらは全て、VEGF相同性ドメイン中に8個のシステイン残基の共通構造を有する。VEGF-Aに関して、6個の異なるアイソフォームが存在し、VEGF-A165が主なアイソフォームである。これらのアイソフォームの血管新生における機能は重複している。VEGFファミリーの各メンバーは異なる物理的および生物学的性質を有し、それらは特異的チロシンキナーゼ受容体を介して作用する。VEGFに関する3つの高親和性受容体、VEGFR-1/Flt1(fms様チロシンキナーゼ-1)、VEGFR-2/Kdr/Flk-1(受容体/胎児肝臓キナーゼ-1を含有するキナーゼ挿入ドメイン)およびVEGFR-3が知られている。これらの受容体はPDGF受容体ファミリーに分類される。VEGFR-1およびVEGFR-2は、高い親和性でVEGF-A165と結合する。
血管内皮増殖因子(VEGF)は、インビトロで内皮細胞の増殖および移動を、インビボで血管透過および血管新生を誘導することが知られている。また、VEGFは、新たに形成される血管中で内皮細胞の抗アポトーシス因子としても機能する。VEGFファミリーは、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E、VEGF-Fおよび胎盤増殖因子(PIGF)の7つのメンバーを含む。これらは全て、VEGF相同性ドメイン中に8個のシステイン残基の共通構造を有する。VEGF-Aに関して、6個の異なるアイソフォームが存在し、VEGF-A165が主なアイソフォームである。これらのアイソフォームの血管新生における機能は重複している。VEGFファミリーの各メンバーは異なる物理的および生物学的性質を有し、それらは特異的チロシンキナーゼ受容体を介して作用する。VEGFに関する3つの高親和性受容体、VEGFR-1/Flt1(fms様チロシンキナーゼ-1)、VEGFR-2/Kdr/Flk-1(受容体/胎児肝臓キナーゼ-1を含有するキナーゼ挿入ドメイン)およびVEGFR-3が知られている。これらの受容体はPDGF受容体ファミリーに分類される。VEGFR-1およびVEGFR-2は、高い親和性でVEGF-A165と結合する。
VEGFはいかなる種のものであってもよく、典型的には哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル等)、特にヒトのVEGFである。種々の生物種由来VEGFのアミノ酸配列は、公知のデータベースを利用して、容易に入手できる。例えば、Leung et al., Science, 246:1306(1989) および Houck et al, Mol. Endocrin., 5:1806(1991) に記載されているように、ヒトVEGF-Aは165アミノ酸からなり、関連する121、189および206アミノ酸の形態も存在する。165アミノ酸のヒトVEGFのアミノ酸8~109または1~109に相当するポリペプチドも、ヒトVEGF-Aに含まれる。ヒトのVEGF-Aの代表的なアミノ酸配列は、GenBankアクセッション番号P15692として登録されている。本開示において、「VEGF」は、その天然に存在する対立遺伝子およびプロセッシングを受けた形態を含む。
本開示において、「VEGF阻害剤」は、VEGFもしくは1種もしくは複数のVEGF受容体またはそれらをコードする核酸への結合により、VEGF活性を中和、遮断、阻害、抑止、低減または干渉することができる分子を意味する。好ましくは、VEGF阻害剤は、VEGFまたはVEGF受容体に結合する。VEGF阻害剤には、抗VEGF抗体およびそれらの抗原結合性フラグメント、VEGFまたはVEGF受容体に結合し、リガンド-受容体相互作用を遮断するポリペプチド(例えばイムノアドヘシン、ペプチボディ)、抗VEGF受容体抗体およびVEGF受容体アンタゴニスト、例えばVEGFRチロシンキナーゼの小分子阻害剤、VEGFに結合するアプタマー、およびVEGFまたはVEGF受容体をコードする核酸配列にストリンジェント条件下でハイブリダイズする核酸(例えばRNAi)が含まれる。
抗VEGF抗体は、VEGF阻害剤の1種である。本開示において、「抗VEGF抗体」は、十分な親和性および特異性でVEGFに結合する抗体を意味する。ある実施態様では、抗VEGF抗体はVEGF-Aに特異的な抗体、例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブまたはブロルシズマブである。VEGF-Aに特異的な抗体と共通のCDRを有する抗体およびそれらの抗原結合性フラグメントも使用し得る。
VEGF阻害剤の他の例としては、アフリベルセプト、コンベルセプト、アビシパーペゴール(Abicipar pegol)、ペガプタニブナトリウム、スニチニブ、ソラフェニブ、アキシチニブ、ペガプタニブ、パゾパニブ、PTK787、SU11248、AG-013736、Bay439006、ZD-6474、CP632、CP-547632、AZD-2171、CDP-171、SU-14813、CHIR-258、AEE-788、SB786034、BAY579352、CDP-791、EG-3306、GW-786034、RWJ-417975/CT6758およびKRN-633などが挙げられる。ある実施態様では、VEGF阻害剤は、ラニビズマブ、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、アフリベルセプト、コンベルセプトおよびアビシパーペゴールからなる群から選択されるVEGF-A阻害剤である。
製造方法
本開示の抗エンドグリン抗体もしくはその抗原結合性フラグメントまたは抗VEGF阻害剤は、購入してもよく、当業者に公知の方法、例えば、遺伝子工学的手法または化学合成等の各種手段を用いて製造してもよい。遺伝子工学的手法には、例えば、抗エンドグリン抗体もしくはその抗原結合性フラグメントまたは抗VEGF阻害剤をコードする核酸を含有する複製可能なクローニングベクターまたは発現ベクターを作製すること、当業者に公知の適当な方法でこのベクターを宿主細胞に導入すること、宿主細胞を培養して核酸を発現させること、得られたポリペプチドを回収し、精製することが含まれる。核酸が複数の核酸分子からなる場合は、それぞれの核酸分子を含む複数のベクターの組合せ(セット)を宿主細胞に導入してもよく、または、複数の核酸を含む1つのベクターを宿主細胞に導入してもよい。目的のポリペプチドにペプチドタグを連結させ、ペプチドタグを使用してポリペプチドを精製してもよい。
本開示の抗エンドグリン抗体もしくはその抗原結合性フラグメントまたは抗VEGF阻害剤は、購入してもよく、当業者に公知の方法、例えば、遺伝子工学的手法または化学合成等の各種手段を用いて製造してもよい。遺伝子工学的手法には、例えば、抗エンドグリン抗体もしくはその抗原結合性フラグメントまたは抗VEGF阻害剤をコードする核酸を含有する複製可能なクローニングベクターまたは発現ベクターを作製すること、当業者に公知の適当な方法でこのベクターを宿主細胞に導入すること、宿主細胞を培養して核酸を発現させること、得られたポリペプチドを回収し、精製することが含まれる。核酸が複数の核酸分子からなる場合は、それぞれの核酸分子を含む複数のベクターの組合せ(セット)を宿主細胞に導入してもよく、または、複数の核酸を含む1つのベクターを宿主細胞に導入してもよい。目的のポリペプチドにペプチドタグを連結させ、ペプチドタグを使用してポリペプチドを精製してもよい。
使用する宿主細胞に適する制御配列を含むベクターを使用し得る。制御配列としては、転写のプロモーター配列、転写を制御するための任意のオペレーター配列、リボソーム結合部位をコードする配列、エンハンサー配列、ポリアデニル化配列、および転写や翻訳の終了を制御する配列等が含まれる。ベクターは、さらに、当業者に公知の各種の配列、例えば、制限酵素切断部位、薬剤耐性遺伝子等のマーカー遺伝子(選択遺伝子)、シグナル配列、リーダー配列等を含んでもよい。これらの各種配列または部位は、発現させるポリペプチドの種類、使用する宿主細胞、培養培地等の条件に応じて、当業者が適宜選択して使用することができる。
ベクターは、宿主のゲノムに組み込まれるベクター、組み込まれないベクター、細胞質に存在して自律的に複製するエピソーマルベクターのいずれであってもよい。例えば、レトロウイルスベクター(例えば、オンコレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、シュードタイプベクター)、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、シミアンウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、センダイウイルスベクター、エプスタイン-バーウイルス(EBV)ベクター、HSVベクターなどのウイルスベクターを使用できる。感染した細胞中でウイルスが自己複製できないように、複製能を欠損させたウイルスベクターが好適である。また、リポソームおよび陽イオン脂質などのトランスフェクション試薬を利用して宿主細胞に核酸を導入してもよい。リン酸カルシウム形質移入、DEAE-デキストラン、エレクトロポレーション、パーティクルボンバードメントなどの方法も核酸導入に使用し得る。
宿主細胞としては当業者に公知の任意の細胞を使用することができる。例えば、代表的な宿主細胞として、大腸菌等の原核細胞、および、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、ヒト由来細胞などの哺乳動物細胞、酵母、昆虫細胞等の真核細胞を挙げることができる。
宿主細胞で発現された抗体等のタンパク質は、宿主細胞の培養培地、宿主細胞の抽出物および/または溶解物から精製できる。精製方法は当業者に公知の任意の方法を適宜組み合わせて行うことができる。例えば、遠心分離、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、イオン交換カラム上での分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカでのクロマトグラフィー、ヘパリンセファロースでのクロマトグラフィー、陰イオンまたは陽イオン樹脂クロマトグラフィー(ポリアスパラギン酸カラム等)、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、硫酸アンモニウム沈殿、およびアフィニティクロマトグラフィーによって精製し得る。
従って、ある態様では、上記の抗エンドグリン抗体もしくはその抗原結合性フラグメントまたはVEGF阻害剤をコードする核酸、当該核酸を含むベクター、当該核酸またはベクターを含む宿主細胞、および/または、当該宿主細胞の抽出物および/または溶解物が提供される。核酸は、コードするアミノ酸配列を変更させずに、宿主細胞に適したコドン(至適コドン)を使用するように改変されていてもよい。このように至適コドンに改変することによって、宿主細胞におけるポリペプチドの発現効率が向上し得る。
使用方法
後述する実施例により立証される通り、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントとVEGF阻害剤を併用することにより、網膜の線維化が抑制される。従って、ある態様では、網膜線維化の抑制を必要としている対象に抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントおよびVEGF阻害剤を投与することを含む、網膜線維化の抑制方法が提供される。本開示において、「網膜線維化の抑制」とは、対象の網膜の線維化を防止すること、線維化の進行を遅延、停止もしくは抑制すること、および/または、線維化を改善することを意味する。網膜線維化は、眼疾患、例えば下記に挙げられる眼疾患の症状の1つであってもよい。
後述する実施例により立証される通り、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントとVEGF阻害剤を併用することにより、網膜の線維化が抑制される。従って、ある態様では、網膜線維化の抑制を必要としている対象に抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントおよびVEGF阻害剤を投与することを含む、網膜線維化の抑制方法が提供される。本開示において、「網膜線維化の抑制」とは、対象の網膜の線維化を防止すること、線維化の進行を遅延、停止もしくは抑制すること、および/または、線維化を改善することを意味する。網膜線維化は、眼疾患、例えば下記に挙げられる眼疾患の症状の1つであってもよい。
抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントとVEGF阻害剤の併用は、その網膜線維化抑制効果により、例えば、網膜線維化を伴う眼疾患の処置および/または予防に有用である。従って、ある態様では、網膜線維化を伴う眼疾患の処置を必要としている対象に抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントおよびVEGF阻害剤を投与することを含む、網膜線維化を伴う眼疾患の処置方法が提供される。網膜線維化を伴う眼疾患には、例えば、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、増殖性硝子体網膜症、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、未熟児網膜症、網膜剥離、網膜色素上皮剥離、ぶどう膜炎、虚血性視神経症が含まれる。ある実施態様では、網膜線維化を伴う眼疾患は加齢黄斑変性、特に滲出型加齢黄斑変性である。
本明細書で使用されるとき、「処置する」または「処置」は、網膜線維化を伴う眼疾患に罹患している対象において、眼疾患の進行を遅延、停止もしくは抑制すること、および/または、その症状を軽減、緩和、改善または除去することを意味する。
本明細書で使用されるとき、「予防する」または「予防」は、対象において、特に、網膜線維化を伴う眼疾患に罹患する可能性が高いが、未だ罹患していない対象において、網膜線維化を伴う眼疾患の発症を防止すること、および/または、網膜線維化を伴う眼疾患を発症する可能性を低減することを意味する。網膜線維化を伴う眼疾患に罹る可能性が高いが、未だ罹患していない対象には、例えば、糖尿病、高血圧または喫煙などのリスク因子を有する対象が含まれる。
網膜線維化の抑制または網膜線維化を伴う眼疾患の処置および/または予防の対象としては、動物、典型的には哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル等)、特にヒトが挙げられる。
抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメント(第1の成分)とVEGF阻害剤(第2の成分)を「併用する」ことは、第1の成分および第2の成分を含有する投与剤形、または、各成分を別個に含有する投与剤形の組合せを対象に投与することを意味する。即ち、第1の成分と第2の成分は、これらを両方とも含む組成物の形態で投与されてもよく、それぞれ別々に含む組成物の組合せとして投与されてもよい。第1の成分と第2の成分は同時に投与されてもよく、連続的に投与されてもよく、あるいは、第1の成分と第2の成分が同じ目的(即ち、網膜線維化の抑制または網膜線維化を伴う眼疾患の処置)のために使用される限り、いずれか一方を遅延して投与してもよい。
抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントおよびVEGF阻害剤の投与方法は特に限定されず、経口投与、非経腸投与、注射、輸液、点眼、前眼房内、硝子体内投与等の一般的な投与経路を経ることができ、硝子体内投与が好ましい。両成分の投与経路は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、両成分を硝子体内投与してもよく、一方を硝子体内投与し、他方を別の投与経路で、例えば静脈内に投与してもよい。
経口投与の剤形としては、顆粒剤、細粒剤、粉剤、被覆錠剤、錠剤、坐剤、散剤、カプセル剤、マイクロカプセル剤、チュアブル剤、液剤、懸濁剤、乳濁液などが挙げられる。注射による投与の剤形としては、静脈注射用、点滴投与用、眼内注射用、活性物質の放出を延長する製剤などが挙げられる。硝子体内投与用の剤形としては、液剤、懸濁剤、乳濁液などが挙げられる。
これらの剤形は、有効成分を常法により製剤化することによって製造される。さらに製剤上の必要に応じて、医薬的に許容し得る各種の製剤用物質を配合することができる。製剤用物質は製剤の剤形により適宜選択でき、例えば、緩衝化剤、界面活性剤、安定化剤、防腐剤、賦形剤、希釈剤、添加剤、崩壊剤、結合剤、被覆剤、潤滑剤、滑沢剤、風味剤、甘味剤、可溶化剤等が挙げられる。
ある実施態様では、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントおよび/またはVEGF阻害剤を硝子体内投与用の注射剤として投与する。硝子体内投与用の注射剤は、塩化ナトリウム等の等張化剤;リン酸ナトリウム等の緩衝化剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等の界面活性剤;メチルセルロース等の増粘剤等を必要に応じて用い、調製することができる。
抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントおよび/またはVEGF阻害剤の投与量および投与回数は、有効量が対象に投与されるように、投与対象の動物種、健康状態、年齢、体重、投与経路、投与形態等に応じて当業者が適宜設定できる。例えば、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントとVEGF阻害剤の投与量の比は、質量比で、1:100~100:1、1:50~50:1、1:30~30:1、1:25~25:1、1:10~10:1、1:5~5:1、1:3~3:1または1:2~2:1、例えば、約1:1であり得る。
1種またはそれ以上の抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントと、1種またはそれ以上のVEGF阻害剤を併用し得る。また、1種またはそれ以上のさらなる有効成分、特に、眼疾患の処置および/または予防のための有効成分と併用してもよい。併用に適する有効成分には、例えば、抗炎症剤、抗菌剤、抗真菌剤、免疫抑制剤、抗ウイルス剤が含まれる。
抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントとVEGF阻害剤の併用に加えて、薬物療法以外の眼疾患の治療法を実施することもできる。適する治療法には、例えば、外科手術、光線力学療法、遺伝子治療、再生医療、角膜移植、レーザー治療が含まれる。
ある態様では、網膜線維化の抑制においてVEGF阻害剤と共に使用するための抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントが提供される。別の態様では、網膜線維化の抑制において抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントと共に使用するためのVEGF阻害剤が提供される。別の態様では、網膜線維化の抑制における使用のための、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントおよびVEGF阻害剤の組合せが提供される。
ある態様では、VEGF阻害剤と併用される網膜線維化の抑制剤の製造における、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントの使用が提供される。別の態様では、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントと併用される網膜線維化の抑制剤の製造における、VEGF阻害剤の使用が提供される。別の態様では、網膜線維化の抑制剤の製造における、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントおよびVEGF阻害剤の組合せの使用が提供される。
ある態様では、網膜線維化を伴う眼疾患の処置においてVEGF阻害剤と共に使用するための抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントが提供される。別の態様では、網膜線維化を伴う眼疾患の処置において抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントと共に使用するためのVEGF阻害剤が提供される。別の態様では、網膜線維化を伴う眼疾患の処置における使用のための、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントおよびVEGF阻害剤の組合せが提供される。
ある態様では、VEGF阻害剤と併用される網膜線維化を伴う眼疾患の処置剤の製造における、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントの使用が提供される。別の態様では、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントと併用される網膜線維化を伴う眼疾患の処置剤の製造における、VEGF阻害剤の使用が提供される。別の態様では、網膜線維化を伴う眼疾患の処置剤の製造における、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントおよびVEGF阻害剤の組合せの使用が提供される。
ある態様では、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む第1の部分、および、VEGF阻害剤を含む第2の部分を含み、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントと、VEGF阻害剤が併用されることを特徴とする、網膜線維化を抑制するためのキットが提供される。
ある態様では、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む第1の部分、および/または、VEGF阻害剤を含む第2の部分を含み、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントと、VEGF阻害剤が併用されることを特徴とする、網膜線維化を伴う眼疾患を処置するためのキットが提供される。
キットは、さらに、使用のための説明を含む添付文書(例えば、文書、テープ、CD-ROM等)等の、商業的見地および使用者の見地から望ましいその他の材料をさらに含み得る。キットの部分または材料は、ラベルを有する容器に含まれ得る。好適な容器には、ボトル、バイアル、シリンジ、試験管、プレート、メンブレン等が含まれる。容器は、ガラス、プラスチックなどの多様な材料から形成されていてよい。
本開示は、例えば、下記の実施態様を提供する。
[1]抗エンドグリン抗体もしくはその抗原結合性フラグメント、および/または、VEGF阻害剤を含む網膜線維化の抑制剤であって、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントと、VEGF阻害剤を併用することを特徴とする、抑制剤。
[2]VEGF阻害剤と併用される、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む網膜線維化の抑制剤。
[3]抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントと併用される、VEGF阻害剤を含む網膜線維化の抑制剤。
[4]眼疾患の処置のための、第1項~第3項のいずれかに記載の抑制剤。
[5]抗エンドグリン抗体もしくはその抗原結合性フラグメント、および/または、VEGF阻害剤を含む網膜線維化を伴う眼疾患の処置剤であって、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントと、VEGF阻害剤を併用することを特徴とする、処置剤。
[6]VEGF阻害剤と併用される、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む網膜線維化を伴う眼疾患の処置剤。
[7]抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントと併用される、VEGF阻害剤を含む網膜線維化を伴う眼疾患の処置剤。
[8]眼疾患が、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、増殖性硝子体網膜症、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、未熟児網膜症、網膜剥離、網膜色素上皮剥離、ぶどう膜炎、虚血性視神経症からなる群から選択される、第4項~第7項のいずれかに記載の処置剤。
[9]眼疾患が加齢黄斑変性である、第4項~第8項のいずれかに記載の処置剤。
[10]眼疾患が滲出型加齢黄斑変性である、第4項~第9項のいずれかに記載の処置剤。
[1]抗エンドグリン抗体もしくはその抗原結合性フラグメント、および/または、VEGF阻害剤を含む網膜線維化の抑制剤であって、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントと、VEGF阻害剤を併用することを特徴とする、抑制剤。
[2]VEGF阻害剤と併用される、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む網膜線維化の抑制剤。
[3]抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントと併用される、VEGF阻害剤を含む網膜線維化の抑制剤。
[4]眼疾患の処置のための、第1項~第3項のいずれかに記載の抑制剤。
[5]抗エンドグリン抗体もしくはその抗原結合性フラグメント、および/または、VEGF阻害剤を含む網膜線維化を伴う眼疾患の処置剤であって、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントと、VEGF阻害剤を併用することを特徴とする、処置剤。
[6]VEGF阻害剤と併用される、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む網膜線維化を伴う眼疾患の処置剤。
[7]抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントと併用される、VEGF阻害剤を含む網膜線維化を伴う眼疾患の処置剤。
[8]眼疾患が、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、増殖性硝子体網膜症、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、未熟児網膜症、網膜剥離、網膜色素上皮剥離、ぶどう膜炎、虚血性視神経症からなる群から選択される、第4項~第7項のいずれかに記載の処置剤。
[9]眼疾患が加齢黄斑変性である、第4項~第8項のいずれかに記載の処置剤。
[10]眼疾患が滲出型加齢黄斑変性である、第4項~第9項のいずれかに記載の処置剤。
[11]抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントが、重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含み、
重鎖可変領域が、アミノ酸配列DAWMD(配列番号3)からなるVH-CDR1、アミノ酸配列EX1RSX2ASNHATYYAESVKG(ここで、X1はAまたはIであり、X2は、K、QまたはRである)(配列番号4)からなるVH-CDR2およびアミノ酸配列WRRFFDS(配列番号5)からなるVH-CDR3を含み、かつ、
軽鎖可変領域が、アミノ酸配列RASSSVSYMH(配列番号6)からなるVL-CDR1、アミノ酸配列AX3SNLAS(ここで、X3はTまたはSである)(配列番号7)からなるVL-CDR2およびアミノ酸配列QQWSSNPLT(配列番号8)からなるVL-CDR3を含む、
第1項~第10項のいずれかに記載の処置剤または抑制剤。
[12]X1がIであり、X2がKであり、X3がTである、第11項に記載の処置剤または抑制剤。
[13]抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントが、配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号23のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、第1項~第12項のいずれかに記載の処置剤または抑制剤。
[14]抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントが、配列番号24に記載のアミノ酸配列を有する重鎖定常領域、および/または、配列番号26に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖定常領域を含む、第1項~第13項のいずれかに記載の処置剤または抑制剤。
[15]抗エンドグリン抗体がTRC105である、第1項~第14項のいずれかに記載の処置剤または抑制剤。
[16]VEGF阻害剤がVEGF-A阻害剤である、第1項~第15項のいずれかに記載の処置剤または抑制剤。
[17]VEGF阻害剤が、ラニビズマブ、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、アフリベルセプト、コンベルセプトおよびアビシパーペゴールからなる群から選択される、第1項~第16項のいずれかに記載の処置剤または抑制剤。
[18]VEGF阻害剤が、抗VEGF抗体またはその抗原結合性フラグメントである、第1項~第17項のいずれかに記載の処置剤または抑制剤。
[19]抗VEGF抗体が、ラニビズマブ、ベバシズマブまたはブロルシズマブである、第18項に記載の処置剤または抑制剤。
[20]抗VEGF抗体がラニビズマブである、第18項または第19項に記載の処置剤または抑制剤。
[21]硝子体内投与用である、第1項~第20項のいずれかに記載の処置剤または抑制剤。
重鎖可変領域が、アミノ酸配列DAWMD(配列番号3)からなるVH-CDR1、アミノ酸配列EX1RSX2ASNHATYYAESVKG(ここで、X1はAまたはIであり、X2は、K、QまたはRである)(配列番号4)からなるVH-CDR2およびアミノ酸配列WRRFFDS(配列番号5)からなるVH-CDR3を含み、かつ、
軽鎖可変領域が、アミノ酸配列RASSSVSYMH(配列番号6)からなるVL-CDR1、アミノ酸配列AX3SNLAS(ここで、X3はTまたはSである)(配列番号7)からなるVL-CDR2およびアミノ酸配列QQWSSNPLT(配列番号8)からなるVL-CDR3を含む、
第1項~第10項のいずれかに記載の処置剤または抑制剤。
[12]X1がIであり、X2がKであり、X3がTである、第11項に記載の処置剤または抑制剤。
[13]抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントが、配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号23のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、第1項~第12項のいずれかに記載の処置剤または抑制剤。
[14]抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントが、配列番号24に記載のアミノ酸配列を有する重鎖定常領域、および/または、配列番号26に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖定常領域を含む、第1項~第13項のいずれかに記載の処置剤または抑制剤。
[15]抗エンドグリン抗体がTRC105である、第1項~第14項のいずれかに記載の処置剤または抑制剤。
[16]VEGF阻害剤がVEGF-A阻害剤である、第1項~第15項のいずれかに記載の処置剤または抑制剤。
[17]VEGF阻害剤が、ラニビズマブ、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、アフリベルセプト、コンベルセプトおよびアビシパーペゴールからなる群から選択される、第1項~第16項のいずれかに記載の処置剤または抑制剤。
[18]VEGF阻害剤が、抗VEGF抗体またはその抗原結合性フラグメントである、第1項~第17項のいずれかに記載の処置剤または抑制剤。
[19]抗VEGF抗体が、ラニビズマブ、ベバシズマブまたはブロルシズマブである、第18項に記載の処置剤または抑制剤。
[20]抗VEGF抗体がラニビズマブである、第18項または第19項に記載の処置剤または抑制剤。
[21]硝子体内投与用である、第1項~第20項のいずれかに記載の処置剤または抑制剤。
本明細書で引用するすべての文献は、出典明示により本明細書の一部とする。
上記の説明は、すべて非限定的なものであり、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲から逸脱せずに、変更することができる。さらに、下記の実施例は、すべて非限定的な実施例であり、本発明を説明するためだけに供されるものである。
上記の説明は、すべて非限定的なものであり、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲から逸脱せずに、変更することができる。さらに、下記の実施例は、すべて非限定的な実施例であり、本発明を説明するためだけに供されるものである。
遺伝子改変マウスにおけるミュラー細胞障害の誘導
ミュラー細胞は、網膜の恒常性の維持に必須の多数の機能を有するグリア細胞である。ミュラー細胞の障害を誘導できるマウスモデルを構築するために、以前に記載された通りに(Shen W, Fruttiger M, Zhu L, et al., The Journal of neuroscience, 2012;32:15715-27; Shen W, Lee SR, Araujo J, et al. Glia. 2014;62:1110-24; Shen W, Zhu L, Lee SR, et al. Journal of neuroinflammation. 2013;10:137)、Rlbp-CreER-DTA176遺伝子改変マウスを生成した。簡潔に述べると、ミュラー細胞特異的な遺伝子ターゲティングのために、Cre/Lox-Pアプローチにより、細胞特異的プロモーターとしてレチンアルデヒド結合タンパク質1(Rlbp1)遺伝子の調節領域の一部を使用する誘導可能遺伝子改変モデルを使用した。また、弱毒型のジフテリア毒素断片A(DTA176)遺伝子を有する遺伝子改変系統のマウスである、Rosa-DTA176マウスを使用した。Rlbp1-CreERマウスとRosa-DTA176マウスを交配し、Rlbp-CreER-DTA176遺伝子改変マウスを生成した。8~10週齢のRlbp-CreER-DTA176マウスにおいて、タモキシフェンの腹腔内注射により、弱毒型のジフテリア毒素断片A(DTA176)をミュラー細胞特異的に発現させ、ミュラー細胞の障害を誘導した。Rlbp-CreER-DTA176遺伝子改変マウスにおいてミュラー細胞の障害を誘導すると、網膜血管新生、血管の漏出、網膜の線維化などの異常が生じ、一方で光受容体が破壊されることが知られている(Shen W, Fruttiger M, Zhu L, et al. 2012(上述)、Shen W, Zhu L, Lee SR, et al. 2013(上述))。タモキシフェン投与をしないRlbp-CreER-DTA176遺伝子改変マウスを対照として使用した。
ミュラー細胞は、網膜の恒常性の維持に必須の多数の機能を有するグリア細胞である。ミュラー細胞の障害を誘導できるマウスモデルを構築するために、以前に記載された通りに(Shen W, Fruttiger M, Zhu L, et al., The Journal of neuroscience, 2012;32:15715-27; Shen W, Lee SR, Araujo J, et al. Glia. 2014;62:1110-24; Shen W, Zhu L, Lee SR, et al. Journal of neuroinflammation. 2013;10:137)、Rlbp-CreER-DTA176遺伝子改変マウスを生成した。簡潔に述べると、ミュラー細胞特異的な遺伝子ターゲティングのために、Cre/Lox-Pアプローチにより、細胞特異的プロモーターとしてレチンアルデヒド結合タンパク質1(Rlbp1)遺伝子の調節領域の一部を使用する誘導可能遺伝子改変モデルを使用した。また、弱毒型のジフテリア毒素断片A(DTA176)遺伝子を有する遺伝子改変系統のマウスである、Rosa-DTA176マウスを使用した。Rlbp1-CreERマウスとRosa-DTA176マウスを交配し、Rlbp-CreER-DTA176遺伝子改変マウスを生成した。8~10週齢のRlbp-CreER-DTA176マウスにおいて、タモキシフェンの腹腔内注射により、弱毒型のジフテリア毒素断片A(DTA176)をミュラー細胞特異的に発現させ、ミュラー細胞の障害を誘導した。Rlbp-CreER-DTA176遺伝子改変マウスにおいてミュラー細胞の障害を誘導すると、網膜血管新生、血管の漏出、網膜の線維化などの異常が生じ、一方で光受容体が破壊されることが知られている(Shen W, Fruttiger M, Zhu L, et al. 2012(上述)、Shen W, Zhu L, Lee SR, et al. 2013(上述))。タモキシフェン投与をしないRlbp-CreER-DTA176遺伝子改変マウスを対照として使用した。
被験薬物の硝子体内注射
以前に記載された通りに(Shen W, Fruttiger M, Zhu L, et al. 2012(上述)、Shen W, Lee SR, Araujo J, et al. 2014(上述)、Shen W, Zhu L, Lee SR, et al. 2013(上述))、マウスをケタミン(48mg/kg)およびメデトミジン(0.6mg/kg)で麻酔し、1%トロピカミドおよび0.5%フェニレフリンの1~2滴の点眼により瞳孔を散大させた後、32ゲージ針を装着したハミルトンシリンジを使用して、被験薬物の硝子体内注射を実施した。硝子体内注射は、ミュラー細胞障害誘導の7日前、並びに、ミュラー細胞障害誘導の4週後および8週後に実施した。各眼に、抗マウスエンドグリンモノクローナル抗体(M1043(Nolan-Stevaux O, Zhong W, Culp S, et al. PloS one. 2012;7:e50920 参照)、2.7μg/μl)、抗VEGF-A抗体である抗マウスVEGF164抗体(2.5μg/μl、R&D Systems、#AF-493-NA)または両抗体の混合剤を、2μl/eye注射した。なお、両抗体の混合剤は、各抗体の2倍濃縮液をそれぞれ等量混合して調製した。対照として、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を同様に注射した。
以前に記載された通りに(Shen W, Fruttiger M, Zhu L, et al. 2012(上述)、Shen W, Lee SR, Araujo J, et al. 2014(上述)、Shen W, Zhu L, Lee SR, et al. 2013(上述))、マウスをケタミン(48mg/kg)およびメデトミジン(0.6mg/kg)で麻酔し、1%トロピカミドおよび0.5%フェニレフリンの1~2滴の点眼により瞳孔を散大させた後、32ゲージ針を装着したハミルトンシリンジを使用して、被験薬物の硝子体内注射を実施した。硝子体内注射は、ミュラー細胞障害誘導の7日前、並びに、ミュラー細胞障害誘導の4週後および8週後に実施した。各眼に、抗マウスエンドグリンモノクローナル抗体(M1043(Nolan-Stevaux O, Zhong W, Culp S, et al. PloS one. 2012;7:e50920 参照)、2.7μg/μl)、抗VEGF-A抗体である抗マウスVEGF164抗体(2.5μg/μl、R&D Systems、#AF-493-NA)または両抗体の混合剤を、2μl/eye注射した。なお、両抗体の混合剤は、各抗体の2倍濃縮液をそれぞれ等量混合して調製した。対照として、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を同様に注射した。
蛍光眼底造影検査
網膜の脈管構造の変化をモニターするために、以前に記載された通りに(Shen W, Fruttiger M, Zhu L, et al. 2012(上述)、Shen W, Lee SR, Araujo J, et al. 2014(上述))、ミュラー細胞障害誘導の6週後および10週後に蛍光眼底造影検査(FFA)を実施した。具体的には、各マウスにおいて、10%フルオレセインナトリウム0.05mlの腹腔内注射後、2~5分の間に画像を取得した。ミュラー細胞障害の誘導、硝子体内注射およびFFAのスケジュールを図2に示す。
網膜の脈管構造の変化をモニターするために、以前に記載された通りに(Shen W, Fruttiger M, Zhu L, et al. 2012(上述)、Shen W, Lee SR, Araujo J, et al. 2014(上述))、ミュラー細胞障害誘導の6週後および10週後に蛍光眼底造影検査(FFA)を実施した。具体的には、各マウスにおいて、10%フルオレセインナトリウム0.05mlの腹腔内注射後、2~5分の間に画像を取得した。ミュラー細胞障害の誘導、硝子体内注射およびFFAのスケジュールを図2に示す。
ミュラー細胞障害誘導の6および10週後の代表的なFFA画像を図3に示す。ミュラー細胞障害誘導の6週間後のFFAにおいて、PBSのみを投与されたMCKOマウス(A)では強い集中的な血管漏出を伴う病変が多数見られ、抗エンドグリン抗体(C)または抗VEGF抗体(E)を投与されたマウスでは病変は少なく、抗エンドグリン抗体と抗VEGF抗体を併用したマウス(G)では病変は見られなかった。ミュラー細胞障害誘導の10週間後のFFAにおいて、PBSのみを投与されたMCKOマウス(B)では病変が多数見られ、抗エンドグリン抗体を投与されたマウス(D)では少数の病変が見られ、抗VEGF抗体を投与されたマウス(F)では強い病変はなくびまん性の漏出が見られ、抗エンドグリン抗体と抗VEGF抗体を併用したマウス(H)ではこれらの異常は見られなかった。
これらの画像に、以下の基準でスコア付けした(図4)。0:血管からの異常漏出のない正常なパターンのフルオレセイン眼底造影像、1:びまん性漏出が見られ、容易に病変を同定できるが、強い集中的な血管漏出はない、2:3個以下の強い集中的な血管漏出を伴う病変が見られる、3:4~6個の強い集中的な血管漏出を伴う病変が見られる、4:7個以上の強い集中的な血管漏出を伴う病変が見られる。スコアの平均値を図4に示す。抗エンドグリン抗体または抗VEGF抗体を投与されたマウスでは、PBSのみを投与されたマウスよりも有意にスコアが低く、抗エンドグリン抗体と抗VEGF抗体を併用したマウスではさらに低かった。
ミュラー細胞障害誘導の12週後に眼球を摘出し、網膜ホールマウント標本の免疫染色のために、眼杯を切開し、4%パラホルムアルデヒド中で1時間固定し、4℃でPBS中に置いた。翌日、網膜を単離し、グリオーシスを検出するための抗GFAP抗体(ウサギポリクローナル、1:250、Dako#Z0334)またはミクログリアを検出するための抗イオン化カルシウム結合アダプター分子1(Iba1)抗体(1:400、Wako#019-19741)を含有する溶液中で、標本をインキュベートした。網膜ホールマウント標本を共焦点レーザー走査顕微鏡にて観察・撮影し、以前に記載された通り(Shen W, Fruttiger M, Zhu L, et al. 2012(上述)、Shen W, Lee SR, Araujo J, et al. 2014(上述)、Shen W, Zhu L, Lee SR, et al. 2013(上述))、顕微鏡像を定量的に分析した。
結果を図5および6に示す。GFAPは、組織の線維化の前段階であるグリア細胞浸潤の指標として知られている。抗エンドグリン抗体または抗VEGF抗体を投与されたマウスでは、PBSのみを投与されたマウスよりも有意に抗GFAP抗体で染色された面積が小さく、抗エンドグリン抗体と抗VEGF抗体を併用したマウスではさらに小さかった。Iba1は炎症に関連するミクログリアのマーカーとして知られている。抗エンドグリン抗体または抗VEGF抗体を投与されたマウスでは、PBSのみを投与されたマウスよりも有意に抗Iba1抗体で染色された面積が小さく、抗エンドグリン抗体と抗VEGF抗体を併用したマウスではさらに小さかった。これらの結果は、抗エンドグリン抗体と抗VEGF抗体の併用により、網膜線維化の進行が抑制されることを示唆する。
ウェスタンブロッティング
ミュラー細胞障害誘導の12週後に眼球を摘出して網膜組織を採取し、網膜における標的タンパク質の発現量を評価するためにウェスタンブロッティングを実施した。具体的には、網膜サンプルをSDS-ポリアクリルアミドゲルにて電気泳動し、分離されたタンパク質をPVDFメンブレンに転写した後、標的タンパク質に対する一次抗体(VEGF-A(Novus Biologicals、Cat# NB100-664)、TGFβ-pan(CST、Cat# 3711)、Smad3(CST、Cat# 9523)、P-Smad3(CST、Cat# 9520))とインキュベートした。その後、一次抗体に対応するホースラディッシュペルオキシダーゼコンジュゲート2次抗体とインキュベートし、標的タンパク質を G:Box BioImaging system(Syngene)を使用して可視化、定量化した。なお、α/β-チューブリン(CST、Cat# 2148)の発現量を用いて、標的タンパク質の発現量を補正した。
ミュラー細胞障害誘導の12週後に眼球を摘出して網膜組織を採取し、網膜における標的タンパク質の発現量を評価するためにウェスタンブロッティングを実施した。具体的には、網膜サンプルをSDS-ポリアクリルアミドゲルにて電気泳動し、分離されたタンパク質をPVDFメンブレンに転写した後、標的タンパク質に対する一次抗体(VEGF-A(Novus Biologicals、Cat# NB100-664)、TGFβ-pan(CST、Cat# 3711)、Smad3(CST、Cat# 9523)、P-Smad3(CST、Cat# 9520))とインキュベートした。その後、一次抗体に対応するホースラディッシュペルオキシダーゼコンジュゲート2次抗体とインキュベートし、標的タンパク質を G:Box BioImaging system(Syngene)を使用して可視化、定量化した。なお、α/β-チューブリン(CST、Cat# 2148)の発現量を用いて、標的タンパク質の発現量を補正した。
結果を図7に示す。MCKOマウスでは、対照マウスと比較してTGF-βおよびVEGF-Aの発現が高かった。MCKOマウスと対照マウスでSmad3の発現量には差が見られなかったが、リン酸化Smad3の量はMCKOマウスで有意に高かった。抗エンドグリン抗体または抗VEGF抗体を投与されたマウスでは、PBSのみを投与されたマウスよりも有意にリン酸化Smad3の量が少なく、抗エンドグリン抗体と抗VEGF抗体を併用したマウスではさらに少なかった。Smad3のリン酸化は組織の線維化の指標として知られている。従って、これらの結果は、抗エンドグリン抗体と抗VEGF抗体の併用により、網膜の線維化が抑制されることを示唆する。
本開示は、網膜線維化の抑制方法を提供するものであり、医療の分野で利用され得る。例えば、網膜線維化を伴う眼疾患の処置および/または予防、特に加齢黄斑変性の処置に利用されることが期待される。
Claims (15)
- VEGF阻害剤と併用される、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む網膜線維化を伴う眼疾患の処置剤。
- 抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントが、重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含み、
重鎖可変領域が、アミノ酸配列DAWMD(配列番号3)からなるVH-CDR1、アミノ酸配列EX1RSX2ASNHATYYAESVKG(ここで、X1はAまたはIであり、X2は、K、QまたはRである)(配列番号4)からなるVH-CDR2およびアミノ酸配列WRRFFDS(配列番号5)からなるVH-CDR3を含み、かつ、
軽鎖可変領域が、アミノ酸配列RASSSVSYMH(配列番号6)からなるVL-CDR1、アミノ酸配列AX3SNLAS(ここで、X3はTまたはSである)(配列番号7)からなるVL-CDR2およびアミノ酸配列QQWSSNPLT(配列番号8)からなるVL-CDR3を含む、
請求項1に記載の処置剤。 - X1がIであり、X2がKであり、X3がTである、請求項2に記載の処置剤。
- 抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントが、配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号23のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~3のいずれかに記載の処置剤。
- 抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントが、配列番号24に記載のアミノ酸配列を有する重鎖定常領域、および/または、配列番号26に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖定常領域を含む、請求項1~4のいずれかに記載の処置剤。
- 抗エンドグリン抗体がTRC105である、請求項1~5のいずれかに記載の処置剤。
- VEGF阻害剤が抗VEGF抗体またはその抗原結合性フラグメントである、請求項1~6のいずれかに記載の処置剤。
- 抗VEGF抗体が、ラニビズマブ、ベバシズマブまたはブロルシズマブである、請求項7に記載の処置剤。
- 抗VEGF抗体がラニビズマブである、請求項7または8に記載の処置剤。
- 眼疾患が、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、増殖性硝子体網膜症、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、未熟児網膜症、網膜剥離、網膜色素上皮剥離、ぶどう膜炎、虚血性視神経症からなる群から選択される、請求項1~9のいずれかに記載の処置剤。
- 眼疾患が加齢黄斑変性である、請求項1~10のいずれかに記載の処置剤。
- 眼疾患が滲出型加齢黄斑変性である、請求項1~11のいずれかに記載の処置剤。
- 硝子体内投与用である、請求項1~12のいずれかに記載の処置剤。
- VEGF阻害剤と併用される網膜線維化を伴う眼疾患の処置用の医薬を製造するための、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントの使用。
- VEGF阻害剤と併用される、抗エンドグリン抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む網膜線維化の抑制剤。
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CN114181972A (zh) * | 2021-11-23 | 2022-03-15 | 上海本导基因技术有限公司 | 适用于难治性血管新生性眼疾病基因治疗的慢病毒载体 |
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