WO2019230585A1 - 避難用構造物及びそれを用いた構造物並びに移動家屋 - Google Patents

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公晴 吉田
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    • E04H9/00Buildings, groups of buildings or shelters adapted to withstand or provide protection against abnormal external influences, e.g. war-like action, earthquake or extreme climate
    • E04H9/14Buildings, groups of buildings or shelters adapted to withstand or provide protection against abnormal external influences, e.g. war-like action, earthquake or extreme climate against other dangerous influences, e.g. tornadoes, floods

Definitions

  • FIG. 10 shows a second hatch cover 271 disposed on the second hatch 270 shown in FIG.
  • the second hatch cover 271 has a function of closing the second hatch 270 and a function of releasing the closure.
  • the watertight sealability is ensured. This is to prevent water from entering into the evacuation structure 200 from the second hatch 270.

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Abstract

避難用構造物(200,400)は、金属製の骨組み構造体(200A)と、骨組み構造体の外面を覆う外壁(211)と、を含む筐体と、筐体の内部に配置され、水よりも比重の小さい浮力材(212,280,501~504)と、を有し、筐体内の浮力材を除いた空間が避難用空間(250,450)とされ、外壁に設けられて避難用空間に連通するハッチ(260,270,461~464)を開閉するハッチカバー(261,271,471~474)が設けられ、浮力材の全てが水没することで水を排除する容積に水の密度を乗じた重量が、筐体及び浮力材の総重量よりも大きい。

Description

避難用構造物及びそれを用いた構造物並びに移動家屋
 本発明は、あらゆる災害に対して一時避難する間の耐久性を有し、特に津波、洪水を含む水害時に浮上して避難用空間を確保することができる避難用構造物及びそれを用いた構造物並びに移動家屋等に関する。
 水害時に浮上する構造物が提案されている。これらの構造物は、避難用構造物や住宅の下部にフロートを配置したもの(特許文献1-5)と、水密な中空カプセルとしたもの(特許文献6-7)とに大別される。
特開2015-101862号公報 特許第6065274号公報 特許第6065275号公報 特許第6065276号公報 特許第6065277号公報 特許第6224385号公報 特許第5390040号公報
 しかし、特許文献1-5のように避難用構造物や住宅の下部にフロートを配置すると、水害時に浮上した時に構造物の安定性が悪く、横転によりフロートが最上部に変位する避難用構造物や住宅に浸水する。そのために、構造物を垂直上方に浮上案内させるガイド(4本のポールやワイヤー等)が不可欠となる。ガイドは、例えば津波の高さを考慮して設計する必要があり、大掛かりな構造でコストアップになる。
 特許文献6-7のような水密な中空カプセルは、球形または多角形等の容器を水密構造体とするために、組み立てが困難でコストアップとなる。しかも、このような中空カプセルには収容人数が制限される。
 本発明は、比較的簡易な構造でありながら、あらゆる災害に対して一時避難する間の耐久性を有し、特に津波や洪水を含む水害時に水中に沈没することなく確実に浮上して、緊急避難することのできる避難用構造物及びそれを用いた構造物並びに移動家屋を提供することを目的とする。
 (1)本発明の一態様は、
 金属製の骨組み構造体と、前記骨組み構造体の外面を覆う外壁と、を含む筐体と、
 前記筐体の内部に配置され、水よりも比重の小さい浮力材と、
を有し、
 前記筐体内の前記浮力材を除いた空間が避難用空間とされ、前記筐体は、前記外壁に設けられて前記避難用空間に連通するハッチを開閉するハッチカバーを有し、
 前記浮力材の全てが水没することで水を排除する容積に水の密度を乗じた重量が、前記筐体及び前記浮力材の総重量よりも大きい避難用構造物に関する。
 本発明の一態様によれば、金属製の骨組み構造体と外壁とを含む筐体は、津波、洪水等の水害や、風、雨、雪または土砂等のあらゆる災害に対して一時避難する間の耐久性を有する。特に津波や洪水を含む水害時に際して、水没された浮力材に作用する浮力により避難用構造物は浮上する。なぜなら、全ての浮力材が水没することで水を排除する容積Vに水の密度ρを乗じた重量が、避難用構造物の総重量よりも大きいからである。つまり、V×ρ×G(Gは重力加速度)で求まる浮力が、総重量に重力加速度を乗じた重力よりも大きければ、避難用構造物の少なくとも一部は水面から浮上する(アルキメデスの原理)。しかも避難用構造物の内部の避難用空間は緊急避難スペースとして最小限の空間を確保し、その他の空間は浮力確保のために浮力材が配置される空間として利用できる。避難用構造物に浸水があったとしても避難用構造物が沈没することがないので、避難用空間は完全防水までは必ずしも求められず、緊急避難される少なくとも数時間に亘って大量の水が一気に侵入されるものでなければよい。浮力材は筐体内部に配置されるので、従来の下部フロート構造と比較して避難用構造物の浮上時の安定性は高い。しかも、浮力材は、外界と遮断されるので経時的劣化を低減することができる。なお、本明細書において、「水」とは、海水、淡水または海水と淡水とが混在した汽水等を含むものである。
 (2)本発明の一態様(1)では、前記浮力材は、前記避難用空間を包囲して配置することができる。こうすると、水害時に浮上した避難用構造物が揺れたり万一横転したとしても、通常の壁体よりもクッション性の浮力材により避難民が保護される。なお、包囲とは、必ずしも避難用空間を密に包囲する必要はなく、少なくとも避難民を保護できる程度に包囲するものであれば、隣り合う浮力材間に隙間があっても良い。
 (3)本発明の一態様(1)または(2)では、前記筐体は直方体であり、前記直方体の長手軸の両端に位置する二面の前記外壁を除く少なくとも四面の前記外壁の各々に、前記ハッチを開閉する前記ハッチカバーを配置することができる。こうすると、万一、避難用構造物が横転したとしても、少なくとも四面に設けられたハッチの一つを利用して避難用空間から脱出することができる。なお、筐体が立方体であれば、六面の外壁の各々に、ハッチを開閉するハッチカバーを配置することができる。こうすると、万一、避難用構造物が横転したとしても、六面に設けられたハッチの一つを利用して避難用空間から脱出することができる。
 (4)本発明の一態様(3)では、前記少なくとも四面の前記外壁の一つに設けられた前記ハッチは、前記少なくとも四面の前記外壁の一つとは異なる前記外壁の各々に設けられた前記ハッチよりも前記二面の外壁の一方に近づけて配置され、前記少なくとも四面のパネルの他の一つに設けられた前記ハッチは、前記少なくとも四面の前記外壁の他の一つとは異なる前記外壁の各々に設けられた前記ハッチよりも前記二面のパネルの他方に近づけて配置することができる。こうすると、水害時の水面に対して避難用構造物の長手軸が交差するように避難用構造物が立った姿勢となっても、水面より浮上するいずれか一つのハッチを介して脱出可能となる。
 (5)本発明の一態様(1)~(4)では、前記筐体を外部の構造物と連結する連結部を含み、前記連結部は、前記避難用空間から連結解除が操作可能に構成することができる。避難用構造物の筐体は、平常時には連結部によって外部の構造物(例えば基礎構造等)と連結することができる。水害時に避難用構造物を浮上させるには、筐体を外部の構造物から切り離す必要が生ずる。この連結解除操作が、避難用構造物の内部から可能になる。
 (6)本発明の他の態様は、
 多目的空間を区画する多目的構造物と、
 前記多目的構造物の上に搭載される前記筐体の内部に前記浮力材が配置された請求項1乃至5のいずれか一項に記載の避難用構造物と、
を有し、
 前記浮力材の全てが水没することで水を排除する容積に水の密度を乗じた重量が、前記多目的構造物及び前記避難用構造物の総重量よりも大きい構造物に関する。
 本発明の他の態様によれば、水害時に際して、水没された浮力材に作用する浮力により、避難用構造物は多目的構造物と一体となって浮上する。その際、多目的構造物が重りとなって構造物の横転は阻止される。多目的構造物の内部は多目的空間として確保できるので、平常時には多目的空間を居住空間、レジャー用空間などとして利用できる。また、本発明の一態様(5)の避難用構造物を用いれば、水害時に一体で構造物を浮上させた後に、避難用構造物を多目的構造物と切り離すことができる。よって、連結部による連結解除操作の時間の自由度を確保することができる。
 (7)本発明の他の態様(6)では、前記多目的構造物の天井壁と前記避難用構造物の床壁とを貫通する第1ハッチと、前記避難用構造物に設けられ、前記第1ハッチを開閉する第1ハッチカバーと、前記床壁に支持され、前記多目的構造物と前記避難用構造物との間の昇降を可能とする階段と、をさらに有することができる。こうすると、緊急避難時には、第1ハッチカバーを開けて階段により多目的構造物から避難用構造物に避難することができる。
 (8)本発明の一態様(7)では、前記避難用構造物は、前記第1ハッチの周囲に設けられ、前記床より立ち上がる枠部を含み、前記第1ハッチカバーは、前記枠部に開閉可能に支持されて、前記枠部の天面をシールするシール部を含むことができる。第1ハッチカバーは枠部の天面をシールすることで、第1ハッチカバーを開閉自在としながら水密シール性を確実に確保することができる。
 (9)本発明の一態様(8)では、前記階段は折り畳みまたは伸縮可能であり、前記第1ハッチで区画される空間と、前記枠部で囲まれた空間との内部に、前記階段を収容することができる。こうすると、階段の不使用時には多目的構造物が階段により常時占有されるという不効率性を排除できる。また、階段には、階段の収容時に第1ハッチを閉鎖する蓋体を配置しても良い。こうすると、階段の不使用時には第1ハッチを蓋体により閉鎖して、多目的構造物での居住性や美観を高めることができる。
 (10)本発明のさらに他の態様は、
 車両と、
 前記車両に着脱自在に搭載される、本発明の一態様(1)~(5)のいずれかの避難用構造物と、
を有する移動家屋に関する。
 本発明の他の態様によれば、車両に搭載されて避難用構造物を運搬移動可能とすることで、津波や洪水などに対する水害を含むあらゆる災害に対して一時避難する間の耐久性を有する移動家屋を提供できる。
 (11)本発明のさらに他の態様は、
 車両と、
 前記車両に着脱自在に搭載される、本発明の他の態様(6)~(9)のいずれかの構造物と、
を有する移動家屋に関する。
 本発明の他の態様によれば、車両に搭載されて構造物を運搬移動可能とすることで、津波や洪水などの水害を含むあらゆる災害に対して一時避難する間の耐久性を有する移動家屋、特に多目的構造物と避難用構造物とが一体となった移動家屋を提供できる。
本発明の第1実施形態である構造物の斜視図である。 図1に示す構造物の正面パネルを外した斜視図である。 図1に示す構造物の多目的構造物の骨組構造を示す斜視図である。 図3に示す骨組構造体の外側および内側に設けられる正面パネルの分解斜視氏図である。 多目的構造物の間取りの一例を示す平面図である。 図1に示す構造物の避難用構造物の骨組構造を示す斜視図である。 図6に示す骨組構造体の外側および内側に設けられる正面パネルの分解斜視氏図である。 第1ハッチおよび階段の斜視図である。 第1ハッチの斜視図である。 第2ハッチの斜視図である。 本発明の第2実施形態である移動家屋の斜視図である。 多目的構造物の運搬を示す図である。 避難用構造物の運搬と、避難用構造物のみを備えた本発明の第2実施形態である移動家屋とを示す図である。 本発明の第3実施形態に係る避難用構造物の斜視図である。 本発明の第3実施形態に係る避難用構造物を図14とは異なる方向から見た斜視図である。 避難用構造物の正面パネルおよび裏面パネルの内壁面に配置される浮力材の分解斜視図である。 避難用構造物の内部に配置される浮力材の分解斜視図である。 避難用構造物の避難用空間の最表面に配置される浮力材の分解斜視図である。 本発明の第3実施形態に係る避難用構造物が多目的構造物に連結された構造物の一部を切断した斜視図である。 2つのフレームを連結/解除する連結部の斜視図である。 連結部を拡大して示す斜視図である。 連結部の断面図である。 フランジを省略したボルト挿通部の斜視図である。 フランジを省略した埋め込みナット部の斜視図である。 避難用構造物を基礎構造物(基礎フレーム)の上に設置した設置例を示す図である。 避難用構造物を階上フレームの上に設置した設置例を示す図である。 避難用構造物を含む居住施設を示す図である。
 以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
 1. 第1実施形態
 1.1. 構造物の概要
 図1は、本発明の第1実施形態である構造物1を示す。構造物1は、居住、レジャー用途などの多目的空間を区画する多目的構造物100と、避難用空間を区画する避難用構造物200とを有する。多目的構造物100の正面パネル110には、出入口2や窓3が設けられる。多目的構造物100の裏面パネル(図示せず)や側面パネルにも窓3を設けることができる。避難用構造物200の天井パネル230には、避難時の出入口となるハッチ(第2ハッチ)270(図2参照)のハッチカバー271が設けられる。構造物1は、例えば、長さが12m、奥行きが2.2m、高さが4.2mであるが、サイズは収容人数などに応じて適宜変更可能である。
 この構造物1は、あらゆる災害に対して一時避難する間の耐久性を有する耐久性を有すると共に、特に津波、洪水を含む水害時に、避難用構造物200の天井パネル230が水位より低くなるよう水中に完全に没することなく、浮上する。多目的構造物100及び避難用構造物200が水没することで水を排除する容積に水の密度を乗じた重量が、多目的構造物100及び避難用構造物200の総重量に基づく重力以上であるからである。
 ここで、本明細書では、水とは、海水、淡水または海水と淡水とが混在した汽水等のいずれであっても良い。構造物1の設計上では、密度が1,000kg/mである比重が1の約4℃通常の水により浮力を計算する。こうすれば、これよりも比重の大きい海水や汽水ではより大きな浮力が得られるので問題はない。
 この構造物1によれば、津波、洪水を含む水害時に多目的構造物100及び避難用構造物200が水没しても、水没された多目的構造物100及び避難用構造物200に作用する浮力により構造物1は浮上する。この浮力が総重量よりも大きければ、避難用構造物200の少なくとも一部は水面から浮上する。しかも多目的構造物100が重りとなって構造物1の転覆は阻止される。
 図2は、多目的構造物100及び避難用構造物200の内部空間を示している。多目的構造物100は、正面パネル110、裏面パネル(図示せず)、床パネル120、天井パネル130及び両側の側面パネル140で区画される多目的空間150を有する。ただし、多目的構造物100は、多目的空間150に設備が設けられていない状態を示している。避難用構造物200は、正面パネル210、裏面パネル(図示せず)、床パネル220、天井パネル230及び両側の側面パネル240で区画され避難用空間250を有する。避難用構造物250の床パネル220と多目的構造物100の天井パネル130と(パネル130,220を総称して、1階と2階とを仕切る仕切り壁部ともいう)を貫通して、第1ハッチ260が設けられている。また、避難用構造物200の天井パネル230を貫通して第2ハッチ270が設けられている。第1ハッチ260には第1ハッチカバー261(図8及び図9参照)が設けられ、第2ハッチ270には第2ハッチカバー271(図1及び図10参照)が設けられる。第1ハッチ260及び第1ハッチカバー261を介して多目的構造物100から避難用構造物200への人の移動を可能にするために、多目的構造物100の天井パネル130または避難用構造物200の床パネル120に、階段160が設けられている。
 本実施形態では、避難用構造物200の内部に、比重が1未満の浮力材280を配置することができる。この浮力材280は、少なくとも1種類、例えば2種類の大きさの所定の形状例えば直方体で形成された浮力材280A,280Bを含むことができる。避難用構造物200の内部で、浮力材280A,280Bを縦横に密に配置することができる。本実施形態では、避難用構造物200の内部空間のうちの四隅と、第2ハッチ270を除いて領域の天井パネル230に、浮力材280を配置している。仮に全ての浮力材280が水没すると、浮力材280の総体積に比例した浮力を確保できる。図2では、避難用構造物200の内部空間のうち浮力材280を除いた空間が避難用空間250として確保される。
 1.2. 多目的構造物
 多目的構造物100について、図3~図5も参照して説明する。図3に、多目的構造物100の骨組構造体100Aを示す。図3に示すように、骨組構造体100Aは、図1に示す正面パネル110、裏面パネル(図示せず)、床パネル120、天井パネル130及び両側の側面パネル140を、鉄鋼又は非鉄金属などの金属で形成される柱や梁等の骨組材101を、垂直材または水平材として組み合わせた骨組構造を有する。骨組材101は、例えば溶接により連結される。本実施形態では、例えば鋼材SUSを用い、溶接により骨組構造体100Aを形成している。
 図4に示すように、骨組構造体100Aの外側および内側に、各種パネルを設けることで、図1に示す正面パネル110、裏面パネル(図示せず)、床パネル120、天井パネル130及び両側の側面パネル140が構築される。図4は、正面パネル110の分解斜視図である。図4に示すように、骨組構造体100Aの外壁として、金属またはその他の耐久材から成る外壁プレート111が設けられる。外壁プレート111は、例えば鋼材SUSを用い、骨組構造体100Aに溶接される。このように、本実施形態では、金属製の骨組み構造体100Aと外壁プレート111とで筐体を形成することから、多目的構造物100はあらゆる災害に対して一時避難する間の耐久性を有する。
 骨組構造体100Aの内壁として、骨組構造体100Aに近い側から順に、例えば、断熱プレートとしての例えばガラス繊維プレート112、鋼材プレート113、石膏ボード114が設けられる。内壁を形成する各プレートは接着剤等で接合され、かつ、骨組構造体100Aに接合される。石膏ボード114には、適宜内装材を配置することができる。
 図5は、多目的構造物100の多目的空間150のレイアウトの一例を示している。多目的空間150には、例えば居住目的のための各種付帯設備が設けられる。図5の例えば矢印Aの位置に、給排水や電気のための接続部を配置することができる。
 なお、多目的構造物100の床パネル120は、例えば鋼材プレートに合板ベニヤ板を張り付けて形成され、天井パネル130は、例えば鋼材プレートの上に石膏ボードを張り付けて形成している。
 1.3. 避難用構造物
 避難用構造物200について、図6及び図7も参照して説明する。図6に、避難用構造物200の骨組構造体200Aを示す。図6に示すように、骨組構造体200Aは、図1に示す正面パネル210、裏面パネル(図示せず)、床パネル220、天井パネル230及び両側の側面パネル240を、金属で形成される柱や梁等の骨組材201を、垂直材、水平材または斜め材として組み合わせた骨組構造を有する点で、多目的構造物100の骨組構造体100Aと同じである。骨組材201は、骨組材102と同様に形成され、本実施形態では鋼材SUSを用い、溶接により骨組構造体200Aを形成している。
 図7示すように、骨組構造体200Aの外側および内側に、各種パネルを設けることで、図1に示す正面パネル210、裏面パネル(図示せず)、床パネル220、天井パネル230及び両側の側面パネル240が構築される。図7は、正面パネル210の分解斜視図である。図7に示すように、骨組構造体200Aの外壁として、外壁プレート211が設けられる。金属またはその他の耐久材から成る外壁プレート211は、例えば鋼材SUSを用い、骨組構造体100Aに溶接される。この際、好ましくは、多目的構造物100よりも溶接ポイントの数を増やし、好ましくは骨組材201が外壁プレート211と接触する位置に亘って全周溶接することで、避難用構造物200の液密シール性を高めることができる。なお、骨組構造体200Aと外壁プレート211とで、避難用構造物200の筐体が構成される。このように、本実施形態では、金属製の骨組み構造体200Aと外壁プレート211とで筐体を形成することから、避難用構造物200もまたあらゆる災害に対して一時避難する間の耐久性を有する。
 第1実施形態では、骨組構造体200Aの内壁として、骨組構造体200Aに近い側から順に、比重が1未満の浮力材プレート例えばポリスチレンプレート212、鋼材プレート213、石膏ボード214が設けられる。内壁を形成する各プレートは接着剤等で接合され、かつ、骨組構造体200Aに接合される。石膏ボード214には、適宜内装材を配置することができる。このように、避難用構造物200の正面パネル210、裏面パネル(図示せず)、床パネル220、天井パネル230及び両側の側面パネル240の一部または全部に、浮力材プレート212が配置されることで、構造物1に作用する浮力を大きくすることができる。また、浮力材プレート212を、外壁プレート(外壁材)211と鋼材プレート213及び石膏ボード214(これらを内壁材ともいう)との間に配置することで、浮力材212は外界と遮断されて経時的劣化を低減することができる。なお、浮力材プレートは、多目的構造物100のパネル210~240の一部または全部に配置しても良い。
 なお、避難用構造物200の床パネル2120は、例えば鋼材プレートに合板ベニヤ板を張り付けて形成され、天井パネル2130は、例えば2枚の鋼材プレートで形成している。
 1.4. ハッチ構造
 図8は、第1ハッチ260に配置される第1ハッチカバー261と、階段160を示している。第1ハッチカバー261は、第1ハッチ260を閉鎖する機能と閉鎖を解除する機能とを有する。特に、第1ハッチカバー261により第1ハッチ260を閉鎖した時には、水密シール性が確保されることが好ましい。多目的構造物100から避難用構造物200への浸水を防止するためである。
 開閉可能な第1ハッチカバー261の水密シール性を確保する構造を図8に示す。避難用構造物200は、第1ハッチ260の周囲に設けられ、床パネル220より立ち上がる枠部290を有する。図9に示すように、第1ハッチカバー261は、枠部290に開閉案内機構262,263,264を介して開閉可能に支持されている。開閉案内機構262,263はガススプリングとしても良い。第1ハッチカバー261の裏面には、弾性を有するシール材265が、枠部290の天面291に沿って配置される。これとは異なり、シール材は、枠部290の天面291側に配置しても良い。要は、第1ハッチカバー261を閉鎖した時、枠部290の天面291をシールするシール部が存在すればよい。第1ハッチカバー261の裏面には、取っ手266と、閉鎖ロック機構267を設けることができる。こうすると、避難時に、多目的構造物100側から取っ手266を操作することで、閉鎖ロック機構267を解除して第1ハッチカバー261を開くことができる。なお、特に必要がない限り、第1ハッチカバー261を避難用構造物200側から開放操作する機構は不要である。
 図8に示す階段160の上端部は、仕切り壁部130,230に回動自在に支持される。階段160は、折り畳みまたは伸縮可能であり、第1ハッチ260で区画される空間と、枠部290で囲まれた空間との内部に、収容することができる。こうすると、階段160の不使用時には、多目的構造物200が階段160により常時占有されるという不効率性を排除できる。階段160には、階段160の収容時に第1ハッチ260を閉鎖する蓋体161を配置しても良い。こうすると、階段の不使用時には第1ハッチ260を蓋体161により閉鎖して、多目的構造物100での居住性や美観を高めることができる。
 図10は、図1に示す第2ハッチ270に配置される第2ハッチカバー271を示している。第2ハッチカバー271は、第2ハッチ270を閉鎖する機能と閉鎖を解除する機能とを有する。特に、第2ハッチカバー271により第2ハッチ270を閉鎖した時には、水密シール性が確保されることが好ましい。第2ハッチ270から避難用構造物200への浸水を防止するためである。
 開閉可能な第2ハッチカバー271の水密シール性を確保する構造を図10に示す。避難用構造物200は、第2ハッチ270の周囲に設けられ、天井パネル230より立ち上がる枠部292を有する。図10に示すように、第2ハッチカバー271は、枠部292に開閉案内機構272,273,274を介して開閉可能に支持されている。開閉案内機構272,273はガススプリングとしても良い。第2ハッチカバー271の裏面には、弾性を有するシール材275が、枠部292の天面293に沿って配置される。これとは異なり、シール材は、枠部292の天面293側に配置しても良い。要は、第2ハッチカバー271を閉鎖した時、枠部292の天面293をシールするシール部が存在すればよい。第2ハッチカバー271の裏面には、取っ手276と、閉鎖ロック機構277を設けることができる。こうすると、避難中に、避難用構造物200側から取っ手266を操作することで、閉鎖ロック機構267を解除して第2ハッチカバー271を開くことができる。されにより、構造物1から外部に脱出することができる。必要により、第2ハッチカバー271の表面側にも取っ手を設け、避難用構造物200の天井側から解放操作できるようにしても良い。それにより、第1ハッチ260だけでなく第2ハッチ270も避難口として利用できる。
 1.5. 浮力計算
 1.5.1. 構造物1の総重量W1に基づく重力F1
 図1の構造物1の総重量W1は、15,644.33kgである。その内訳の材料別の重量は次の通りである。
 (1)骨組構造体100A及び200Aの重量 =6,710,11kg
 (2)鋼材の重量              =6,175.14kg
 (3)断熱材の重量             =  114,64kg
 (4)浮力材の重量             =  976.27kg
 (5)石膏材の重量             =  762.17kg
 (6)床用ベニヤ板の重量          =  826.00kg
 構造物1の総重量W1による重力F1は、重力加速度をG(9.81m/s)とすると、W1×Gである。
 (7)構造物1の総重量W1よる重力F1  =153,472.74N
 1.5.2. 避難時に構造物1内にある構造物1以外の総重量W2に基づく重力F2
 避難時に構造物1内にある構造物1以外の総重量W2として、避難者と、その他(備品家具材、食料、機器等)を想定したとき、総重量W2は2,350kgであると想定した。その内訳次の通りである。
 (8)人員一人70kg×5名        =  350kg
 (9)その他                =2,000kg
 (10)構造物1以外の総重量W2に基づく重力F2=23,053.50N
 1.5.3. 浮力F3
 構造物1の全部または一部を水中に配した時、構造物1が排除した水の質量の大きさだけ軽くなる(アルキメデスの原理)。よって、浮力F3は、V(構造物1が排除した水の体積)×ρ(水の密度)×G(重力加速度)となる。以下の計算では、浮力材212,280のみが排除した水の体積を、構造物1が排除した水の体積として計算する。実際には、浮力材212,280以外の部材も水を排除するのでより大きな浮力が得られるが、浮力計算には含めないものとする。こうして計算すると、多目的構造物100と避難用構造物200の内部空間に浸水したとしても、構造物1は沈没せずに浮上することになり、安全性が高まる。
 浮力F3は、浮力材212,280の体積Vと、水の密度ρと、重力加速度G(9.81m/S)の積、つまり、C=V×ρ×Gである。
 (11)浮力材212,280の総体積V=21,695m
 (12)水の密度ρ          =1,000kg/m
 (13)浮力F3=V×ρ×G    =212,827.95N
 1.5.4. 構造物1の浮上
 1.5.4.1. 浮力材による浮力
 上述した(7)と(13)との対比から、構造物1の総重量による重力F1よりも浮力F3が大きい(F3>F1)ことから、浮力F3と釣り合う位置で構造物1は沈没することなく浮上することが分かる。つまり、浮力材212,280が水没することで、水を排除する容積Vに水の密度ρを乗じた重量(V×ρ)が、構造物1の総重量W1よりも大きいからである。本実施形態では、水害時を考慮しても、(7)+(10)と(13)との対比から、構造物1に避難者や各種設備を加えた総重量(W1+W2)に基づく重力F1+F2(=176,526.24N)よりも、浮力F3が大きい(F3>F1+F2)ことから、水害時にも構造物1は沈没することなく浮上することが分かる。
 1.5.4.2. 浮力材及び避難用空間による浮力
 避難用構造物200の水密シール性が高ければ、避難中に亘って避難用構造物200の避難用空間250には浸水しない。よって、少なくとも避難用空間250の容量に基づく浮力を利用することができる。
 本実施形態では、避難用空間250の容積は、多目的構造物100の体積(52.80m)から浮力材280等の避難用構造物200内アイテム体積(25.37m)を差し引いた値である27.43mである。ここで、避難用空間250の容積に基づく浮力F4は、次の通りとなる。
 (14)浮力F4=(避難用空間250の容積)×(水の密度ρ)×(重力加速度)
         =27.43m×1000kg/m×9.81m/s
         =269,088.30N
  一方、避難用空間250の容積内の空気による重力F5は、次の通りとなる。
 (15)重力F5=(避難用空間250の容積)×(空気の密度)×(重力加速度)
    =27.43m×1.225kg/m×9.81m/s
    =329.633N
  よって、避難用空間250の容積に伴う実質の浮力F6は、次の通りとなる。
 (16)浮力F6=F4-F5=269,088.30N-329.633N
          =268,758.67N
 従って、浮力材による浮力F3と避難用空間250による浮力F6との合成浮力F7は、次の通りとなる。
 (17)浮力F7=F3+F6=212,827.95N+268,758.67N
          =481,586.62N
 よって、(7)+(10)と(17)との対比から、F7>F1+F2であるから、水害時にも構造物1は沈没することなく浮上することが分かる。
 1.5.5. 避難用構造物200単体の浮上
  避難用構造物200単体の総重量W3は、7,584.8kgである。よって、避難用構造物200単体の総重量W3による重力F8は、次の通りである。
 (18)重力F8=7,584.8kg×9.81m/s
         =74,406.89N
 一方、避難用構造物200単体にも、少なくとも浮力F3またはF7が作用する。そして、(13)と(18)との対比からF3>F8及び(17)と(18)との対比からF7>F8が成立することから、避難用構造物200が多目的構造物100から切り離されても、避難用構造物200単体でも沈没することなく浮上することが分かる。こうすると、構造物1の安全性や信頼性が向上する。また、多目的構造物100と切り離された状態での避難用構造物200のみでの利用可能性が確保される。
 水害時に避難用構造物200を多目的構造物100から切り離すためには、多目的構造物100と避難用構造物200とを連結する連結部を含む。連結部は避難用構造物200の内部から連結解除が操作可能に構成することが好ましい。連結部について、図20~図22を用いて後述する。
 2.第2実施形態
 図11は本発明の第2実施形態である移動家屋の斜視図である。図11において、移動家屋300は、車両310の荷台320に、多目的構造物100と避難用構造物200とを備えた構造物1が搭載されている。構造物1の運搬時には、構造物1を荷台320に固定する。移住地に到着したら、構造物1の荷台320に対する固定を解除する。それにより、構造物1は水害時に水没することなく浮上する。このような移動家屋300は、車両310の全高に高さ制限のない国や地域にて利用可能である。また、地球温暖化により水害発生地域については特区として規制緩和され、移動家屋300の利用が認められることもある。
 車両310の全高に高さ制限がある場合には、図12及び図13に示すように、移動家屋300を多目的構造物100と避難用構造物200とに分離して、車両310により運搬することもできる。なお、図12に示すように、車両310と、車両310の荷台320に支持された多目的構造物100とで、移動家屋を構成しても良い。あるいは、図13に示すように、車両310と、車両310の荷台320に支持された避難用構造物200とで、移動家屋を構成しても良い。このとき、避難用構造物200は、図20~図22を用いて後述する連結部800により荷台320に連結しても良い。
 3.第3実施形態
 3.1.避難用構造物の構造
 図14~図22は、第1,第2実施形態における避難用構造物200に代えて(図19)、あるいは単体で(図14、図15)使用される避難用構造物400を示している。避難用構造物400が第1,第2実施形態における避難用構造物200と外観上で異なる点は、図14、図15及び図19に示すように、天井パネル430に第1ハッチ461を、床面パネル420に第2ハッチ462を、正面パネル410に第3ハッチ463を、裏面パネル440に第4ハッチ464を有し、これら第1~第4ハッチ461~464を開閉する第1~第4ハッチカバー471~474を有する点である。よって、直方体の避難用構造物400が単体で使用され、水害時にパネル410~440のうちのどの面が上向き面となっても、第1~第4ハッチ461~464の一つを介して脱出可能となる。
 さらに、第1~第4ハッチ461~464のうちの少なくとも2つのハッチ463,464は、避難用構造物400の長手軸の両端にある側面パネル401,402側に近い位置に開口させることができる。こうすると、水害時の水面に対して避難用構造物400の長手軸が交差するように避難用構造物400が立った姿勢となっても、水面より浮上する長手軸の一方に位置するハッチ463またはハッチ464を介して脱出可能となる。なお、第1~第4ハッチカバー471~474は第1実施形態の第1,第2ハッチ260,270と同様にカバー閉鎖時には水密構造が確立される。図19に示すように、第1ハッチカバー471を開放して第1ハッチ461からの脱出を容易とするために、階段480を配置することができる。また、第2ハッチ462には、第1実施形態と同様に階段160等を設けることができる。
 避難用構造物400が第1,第2実施形態における避難用構造物200と内部構造で異なる点は、浮力材の配置である。図16~図18は、避難用構造物400に用いられる浮力材を示している。ここで、避難用構造物400は、図7に示す第1実施形態の避難用構造物200の骨組構造体200Aと、図8に示す外壁プレート111(ただし、第3,第4ハッチ463,464が追加される)とで形成される筐体を有することができる。よって、この避難構造物400もまた、あらゆる災害に対して一時避難する間の耐久性を有する。そして、図16に示すように、正面パネル410と裏面パネル420の内壁面を形成する浮力材501,502が設けられる。また、図16に示す浮力材501,502に囲まれる空間の内部には、図17に示す浮力材503が設けられる。また、これら浮力材501~503により、図19に示すように避難用構造物400の内部に避難用空間450が画定される。本実施形態ではさらに、避難用空間450の境界面には、図18に示す浮力材504をさらに設けることができる。この浮力材504は、避難用空間450の床壁、天井壁及び周壁を形成する。これら浮力材501~504により、避難用空間450を包囲することができる。本実施形態では、これら浮力材501~503には、密度が水よりも小さい(比重が1未満)材料、例えば密度45kg/mのポリスチレンが用いられ、浮力材504には例えば密度45kg/mのポリウレタン(例えば厚さ10cm)が用いられる。このように、避難用空間450の境界面が浮力材で形成されることで、避難優構造物400が水害時にどのような姿勢で浮上したとしても、避難者を傷つけることがない。
 3.2.連結部
 図20~図22は、水害時に避難用構造物200,400の避難用空間150,450の内部から操作可能な連結部800を示している。連結部800の操作により、避難用構造物200,400を、図13に示す車両310の荷台320、図19に示す多目的構造物100、図25に示す基礎構造(基礎フレーム)600Aまたは図26に示す階上フレーム600B等から、切り離すことが可能となる。連結部800は、図19に拡大して示すように、少なくとも連結/非連結時には床パネルの複数か所(図19では8か所)にて露出される。図20において、フレーム600は多目的構造物100の天井パネル230またはフレーム600A,600Bの一部であり、フレーム700は避難用構造物200,400の床パネル220,420の構成要素である。図20に示す2つの連結部800は、フレーム700をフレーム600に対して着脱自在に連結する。
 図21及び図22に示すように、連結部800は、フレーム600にフランジ810と一体化された埋め込みナット部820(図24も参照)を有する。フランジ810をフレーム600に接合例えば溶接することで、埋め込みナット部820がフレーム600に固定される。連結部800は、例えば上下のフランジ830,840によりフレーム700に接合例えば溶接されるボルト挿通部850を有する(図23も参照)。ボルト挿通部850には、シール部として例えば3つのOリング860が配置される。連結部800は、ボルト挿通部850に挿通され、埋め込みナット部820に螺合されるボルト870を有する。ボルト870は、ボルト挿通部850に挿通されてOリング860により水密シールされる軸部871と、埋め込みナット部820に螺合されるボルト部872と、軸部871の上端に設けられた頭部873とを有する。避難用空間150,450の内部から頭部873をスパナ等で回転操作することで、フレーム700をフレーム600から切り離すことができる。フレーム700をフレーム600から切り離した後も、軸部871がOリングにより水密シールされる状態でボルト870を残存させておければ、ボルト挿通部850からの進水を防止できる。
 なお、連結部800は、ボルト&ナットの他、既知の締結構造を採用することができる。連結部800は、例えば断面が逆T字型の係止部を、フレーム600,700に形成されたスリット溝に挿入し、係止部を例えば90度回転させるものでも良い。それにより係止部の逆T字型の水平軸を、フレーム600に形成されたアンダーカット部に移動させる。こうして、係止部はフレーム600により上下方向への移動が規制されるので、避難用構造物200,400を多目的構造物100の天井パネル230または基礎構造に連結することができる。逆T字型の係止部を逆回転させれば連結は解除される。
 3.3.浮力計算
 3.3.1.避難用構造物400自体の総重量による重力F9
 避難用構造物400の総重量は7,349kgであり各部の重量は次の通りである。
 (1)骨組構造体200Aの重量       =2,812.80kg
 (2)鋼材の重量              =2,992.80kg
 (3)浮力材の重量             =1,131.03kg
 (4)床用ベニヤ板の重量          =  413.00kg
 構造物1の総重量W1による重力F9は、重力加速度をG(9.81m/s)とすると、W1×Gである。
 (5)構造物400の総重量W1よる重力F9 =72,099.87N
 3.3.2.避難用構造物400内部の総重量による重力F10
 避難時に避難用構造物400内にある構造物400以外の総重量W2に基づく重力F2
 避難時に構造物1内にある構造物1以外の総重量W2として、避難者と、その他(備品家具材、食料、機器等)を想定したとき、総重量W2は2,350kgであると想定した。その内訳次の通りである。
 (6)人員一人70kg×5名         =  350kg
 (7)構造物400以外の総重量W2に基づく重力F10=3,430N
 3.3.3 浮力F11
 浮力F11は、V(構造物400が排除した水の体積)×ρ(水の密度)×G(重力加速度)となる。以下の計算では、浮力材501~504のみが排除した水の体積を、構造物400が排除した水の体積として計算する。実際には、浮力材501~504以外の部材も水を排除するのでより大きな浮力が得られるが、浮力計算には含めないものとする。こうして計算すると、避難用構造物400の内部空間に浸水したとしても、構造物400は沈没せずに浮上することになり、安全性が高まる。
 浮力F11は、浮力材501~504の体積Vと、水の密度ρと、重力加速度G(9.81m/S)の積、つまり、C=V×ρ×Gである。
 (8)浮力材501~504の総体積V=20.584m
 (9)水の密度ρ          =1,000kg/m
 (10)浮力F11=V×ρ×G    =201,929.08 N
 浮力F11>F9+F10=75,529.87Nであるから、避難用構造物400は単体で浮上することが分かる。
 なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。
 避難用構造物200,400は、図1、図11、図13、図19、図25及び図26以外にも、様々な設置例が考えられる。一例として、図27に、1階エリア910と2階エリア920とを有する居住用施設900を示す。1階エリア910と2階エリア920とは階段930で連結され、2階エリア920は安全柵940で囲むことができる。図27の2階エリア920に、避難用構造物400が設置される。避難用構造物400に代えて、避難用構造物200としても良い。避難用構造物400(200)は、2階エリア920の床に着脱自在に連結しても良いし、あるいは、図19に示す状態で多目的構造物100に積層して配置しても良い。1階エリア910には、多目的構造物100の他、多目的構造物100と同様にして構成される居住用構造物950,960や駐車スペースが設けられる。2階エリア920には、避難用構造物400の他、多目的構造物100と同様にして構成される居住用構造物970が配置される。
 また、避難用構造物200,400の収容人数は、浮力計算では5名としたが、これに限定されるものではない。避難構造体200,400は、骨組み構造体、外壁、少なくとも一つのハッチ及びハッチカバーの他、適宜他の部材例えば内壁等を追加しても良い。外壁や内壁は、最外面の外壁プレートと最内面の内壁プレートに加え、それらの間の中間壁として、例えば断熱壁や、浮力材で形成される壁等を適宜追加することができる。
 1 構造体、2 出入口、3 窓、 100 多目的構造物、110 正面パネル、111 外壁プレート、112 断熱プレート、113 鋼材プレート、114 石膏ボート、120 床パネル、130 天井パネル、130,230 仕切り壁部、140 側面パネル、150 多目的空間、160 階段、161 蓋体、 200 避難用構造物、210 正面パネル、211 外壁プレート、212 浮力材プレート、213 鋼材プレート、214 石膏ボート、220 床パネル、230 天井パネル、240 側面パネル、250 避難用空間、260 第1ハッチ、261 第1ハッチカバー、270
 第2ハッチ、271 第2ハッチカバー、280A,280B 浮力材、290 枠部、291 天面、292 枠部、293 天面、 300 移動家屋、310 車両、320 荷台、400 避難用構造物、401,402 側面パネル、410 正面パネル、420 床パネル、430 天井パネル、440 裏面パネル、450 避難用空間、461~464 第1~第4ハッチ、471~474 第1~第4ハッチカバー、480
 階段、501~504 浮力材、600,700 フレーム、800 連結部

Claims (11)

  1.  金属製の骨組み構造体と、前記骨組み構造体の外面を覆う外壁と、を含む筐体と、
     前記筐体の内部に配置され、水よりも比重の小さい浮力材と、
    を有し、
     前記筐体内の前記浮力材を除いた空間が避難用空間とされ、前記筐体は、前記外壁に設けられて前記避難用空間に連通するハッチを開閉するハッチカバーを有し、
     前記浮力材の全てが水没することで水を排除する容積に水の密度を乗じた重量が、前記筐体及び前記浮力材の総重量よりも大きいことを特徴とする避難用構造物。
  2.  請求項1において、
     前記浮力材は、前記避難用空間を包囲して配置されることを特徴とする避難用構造物。
  3.  請求項1または2において、
     前記筐体は直方体であり、
     前記直方体の長手軸の両端に位置する二面の前記外壁を除く少なくとも四面の前記外壁の各々に、前記ハッチを開閉する前記ハッチカバーが配置されることを特徴とする避難用構造物。
  4.  請求項3において、
     前記少なくとも四面の前記外壁の一つに設けられた前記ハッチは、前記少なくとも四面の前記外壁の一つとは異なる前記外壁の各々に設けられた前記ハッチよりも前記二面の外壁の一方に近づけて配置され、
     前記少なくとも四面のパネルの他の一つに設けられた前記ハッチは、前記少なくとも四面の前記外壁の他の一つとは異なる前記外壁の各々に設けられた前記ハッチよりも前記二面のパネルの他方に近づけて配置されることを特徴とする避難用構造物。
  5.  請求項1乃至4のいずれか一項において、
     前記筐体を外部の構造物と連結する連結部を含み、
     前記連結部は、前記避難用空間から連結解除が操作可能に構成されていることを特徴とする避難用構造物。
  6.  多目的空間を区画する多目的構造物と、
     前記多目的構造物の上に搭載される前記筐体の内部に前記浮力材が配置された請求項1乃至5のいずれか一項に記載の避難用構造物と、
    を有し、
     前記浮力材の全てが水中に没することで水を排除する容積に水の密度を乗じた重量が、前記多目的構造物及び前記避難用構造物の総重量よりも大きいことを特徴とする構造物。
  7.  請求項6において、
     前記多目的構造物の天井壁と前記避難用構造物の床壁とを貫通する第1ハッチと、
     前記避難用構造物に設けられ、前記第1ハッチを開閉する第1ハッチカバーと、
     前記床壁に支持され、前記多目的構造物と前記避難用構造物との間の昇降を可能とする階段と、
     をさらに有することを特徴とする構造物。
  8.  請求項7において、
     前記避難用構造物は、前記第1ハッチの周囲に設けられ、前記床より立ち上がる枠部を含み、
     前記第1ハッチカバーは、前記枠部に開閉可能に支持されて、前記枠部の天面をシールするシール部を含むことを特徴とする構造物。
  9.  請求項8において、
     前記階段は折り畳みまたは伸縮可能であり、前記第1ハッチで区画される空間と、前記枠部で囲まれた空間との内部に、前記階段が収容可能であることを特徴とする構造物。
  10.  車両と、
     前記車両に着脱自在に搭載される請求項1乃至5のいずれか一項に記載の避難用構造物と、
    を有することを特徴とする移動家屋。
  11.  車両と、
     前記車両に着脱自在に搭載される請求項6乃至9のいずれか一項に記載の構造物と、
    を有することを特徴とする移動家屋。
PCT/JP2019/020611 2018-05-28 2019-05-24 避難用構造物及びそれを用いた構造物並びに移動家屋 WO2019230585A1 (ja)

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