WO2019124481A1 - 誤り訂正装置、誤り訂正方法及び光通信システム - Google Patents
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Abstract
本願発明の誤り訂正装置は、データの誤り訂正の復号を繰返し演算によって行い、誤り訂正の復号の繰返し演算を収束するまで繰り返すフル動作状態と、誤り訂正の復号の繰返し演算が所定の回数に制限されたセーブ動作状態とを有する第1訂正部と、第1訂正部の復号結果を用いて、第1訂正部の入力誤り率又は出力誤り率を推定する誤り情報推定部と、入力誤り率、出力誤り率、第1訂正部の動作時間の少なくともいずれかの情報に基づいて、第1訂正部のフル動作状態とセーブ動作状態の間の遷移を制御する制御部とを備える。 本願発明によれば、消費電力を抑えつつ伝送特性を向上させることができる誤り訂正装置を提供することができる。
Description
本発明は、コヒーレント光通信システムにおいて、消費電力を抑えつつ伝送特性を向上させることができる誤り訂正装置に関する。
コヒーレント光通信では、伝送特性向上のため、伝送途中に生じる歪及び周波数/位相変動をデジタル信号処理によって補償しており、更なる伝送特性向上のために、補償機能に加えて、送受信装置間に誤り訂正機能を設けて伝送特性におけるデータ誤りの低減を図っている。この誤り訂正機能を実現するために、送信側でデータに対して誤り訂正の符号化を行い、受信側でその符号化に対応して誤り訂正の復号を行うことが行われている。
更なる伝送レートの増加や中継距離の延長を図るためには、より誤り訂正能力の高い誤り訂正回路を使用する必要がある。しかし、誤り訂正能力の高い誤り訂正回路は、一般的に回路規模、消費電力も大きく、その大きさは、他の回路の消費電力と比較しても無視しえなくなってきている。特に、近年は、LDPC(Low Density Parity Check)やターボ符号のように、誤り訂正の復号を繰返し演算で行い、高い誤り訂正能力を得る方法が注目されており、高速のデータ伝送システムに適用されている。このような方法では、繰返し演算回数が多いほど、誤り訂正能力は高くなるが、消費電力も高くなる。
ここで、誤り訂正回路に入力されるデータの誤り率が、誤り訂正回路の誤り訂正能力を超えない場合は、誤り訂正は適正に実行されるが、一方、入力データの誤り率が、訂正能力を超えるような状況では、復号のための演算が繰り返し行われても誤り訂正が十分にできず、消費電力が常に高い状態が続いてしまうという問題があった。
誤り訂正における演算を制御することにより消費電力を低減する方法としては、例えば、繰返し演算による復号を行っても誤り訂正が十分にできない場合には、繰返し演算を停止することにより、消費電力を抑制する方法や、通信状況を表す情報に基づいて、復号の頻度を制御する方法が提案されている。また、誤り訂正の復号結果に基づいて、その誤り訂正の復号処理に要する演算量を制御する方法も提案されている(例えば、特許文献1-4参照)。
しかしながら、特許文献1、2のように、繰り返し演算を停止する方法では、消費電力を小さくすることはできるが、所望の誤り率を確保できなくなる可能性がある。また、特許文献3のように、通信状況を表す情報に基づいて、復号の頻度を制御する方法では、通信状況を把握するための構成が別途必要になり、低消費電力化を妨げるおそれもある。
特許文献4の方法では、複数の誤り訂正装置を有し、一方の誤り訂正の復号結果に基づいて、他方の誤り訂正における演算量を制御する方法であるが、ロスの少ない伝送路において、過剰な誤り訂正における演算量を低下させることにより、装置の消費電力が必要以上に増加するのを防ぐものであり、誤り訂正能力を超えるような通信状況においては、繰り返し演算による消費電力の増大を防ぐことができない場合もある。このように、従来の誤り訂正方法における低消費電力化の技術は一長一短であり、低消費電力化及び誤り訂正の最適化は実現できていない。
本発明は、上述したような課題を解決するためになされたものであり、消費電力を抑えつつ伝送特性を向上させることができる誤り訂正装置を提供することを目的とする。
上述したような課題を解決するために、本発明に係る誤り訂正装置では、データの誤り訂正の復号を繰返し演算によって行う第1訂正部であって、誤り訂正の復号の繰返し演算を収束するまで繰り返すフル動作状態と、誤り訂正の復号の繰返し演算回数を所定の回数に適宜設定でき、かつ前記フル動作状態に比べて前記復号の繰返し演算回数が制限されたセーブ動作状態とを有する第1訂正部と、前記第1の訂正部の復号結果を用いて、前記第1訂正部の入力誤り率及び又は訂正できなかった残留誤りを示す出力誤り率を推定する誤り情報推定部と、前記入力誤り率、前記出力誤り率、前記第1訂正部の動作時間の少なくともいずれかの情報に基づいて、前記第1訂正部の前記フル動作状態と前記セーブ動作状態の間の遷移を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記フル動作状態において、前記入力誤り率が所定値を超えた場合、および前記出力誤り率が所定値を超えた場合のうち、少なくともいずれかの条件が満たされた場合に、前記第1訂正部を、前記フル動作状態から前記セーブ動作状態に遷移させ、前記セーブ動作状態において、前記復号の繰返し演算が行われている場合には、前記入力誤り率が所定値よりも小さい場合、前記出力誤り率が所定値よりも小さい場合、および前記セーブ動作状態での滞在時間が所定値を超えた場合のうち、少なくともいずれかの条件が満たされた場合に、前記第1訂正部を、前記セーブ動作状態から前記フル動作状態に遷移させ、前記セーブ動作状態において、前記復号の繰返し演算が行われていない場合には、前記セーブ動作状態での滞在時間が所定値を超えた場合に、前記第1訂正部を、前記セーブ動作状態から前記フル動作状態に遷移させる。
上述したような課題を解決するために、本発明に係る誤り訂正方法では、データの誤り訂正の復号を繰返し演算によって行う第1訂正ステップと、前記第1訂正ステップの復号結果を用いて、前記第1訂正ステップの入力誤り率及び又は訂正できなかった残留誤りを示す出力誤り率を推定するステップと、前記入力誤り率、前記出力誤り率、前記第1訂正ステップの動作時間の少なくともいずれかの情報に基づいて、誤り訂正の復号の繰返し演算を収束するまで繰り返すフル動作状態と、誤り訂正の復号の繰返し演算回数を所定の回数に適宜設定でき、かつ前記フル動作状態に比べて前記復号の繰返し演算回数が制限されたセーブ動作状態の間を遷移させるステップとを有し、前記フル動作状態と前記セーブ動作状態の間を遷移させるステップは、前記フル動作状態において、前記入力誤り率が所定値を超えた場合、および前記出力誤り率が所定値を超えた場合のうち、少なくともいずれかの条件が満たされた場合に、前記フル動作状態から前記セーブ動作状態に遷移させ、前記セーブ動作状態において、前記復号の繰返し演算が行われている場合には、前記入力誤り率が所定値よりも小さい場合、前記出力誤り率が所定値よりも小さい場合、および前記セーブ動作状態での滞在時間が所定値を超えた場合のうち、少なくともいずれかの条件が満たされた場合に、前記セーブ動作状態から前記フル動作状態に遷移させ、前記セーブ動作状態において、前記復号の繰返し演算が行われていない場合には、前記セーブ動作状態での滞在時間が所定値を超えた場合に、前記セーブ動作状態から前記フル動作状態に遷移させる。
本発明によれば、消費電力を抑えつつ伝送特性を向上することができる誤り訂正装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
<光通信システム>
図1の光通信システム1は、送信側装置2、光ファイバ伝送路100および受信側装置3によって構成されている。送信側装置2は、入力された信号の誤り訂正符号化処理を行う誤り訂正符号化モジュール4、デジタル変調等を行うデジタル信号処理モジュール5、および多重処理等を行う送信モジュール6を備える。一方、受信側装置3は、信号分離処理等を行う受信モジュール7、光電気変換、波形歪補償等を行うデジタル信号処理モジュール8、および符号化された信号の誤り訂正復号化処理を行う誤り訂正復号化モジュール9を備える。本発明の誤り訂正装置10は、受信側装置3の誤り訂正復号化モジュール9に備えられ、誤り訂正符号化された信号の誤り訂正復号を行う装置である。
図1の光通信システム1は、送信側装置2、光ファイバ伝送路100および受信側装置3によって構成されている。送信側装置2は、入力された信号の誤り訂正符号化処理を行う誤り訂正符号化モジュール4、デジタル変調等を行うデジタル信号処理モジュール5、および多重処理等を行う送信モジュール6を備える。一方、受信側装置3は、信号分離処理等を行う受信モジュール7、光電気変換、波形歪補償等を行うデジタル信号処理モジュール8、および符号化された信号の誤り訂正復号化処理を行う誤り訂正復号化モジュール9を備える。本発明の誤り訂正装置10は、受信側装置3の誤り訂正復号化モジュール9に備えられ、誤り訂正符号化された信号の誤り訂正復号を行う装置である。
<本発明の第1の実施の形態>
図2の誤り訂正装置10は、第1訂正部20、誤り情報推定部40、制御部50から構成されている。第1訂正部20は、データの誤り訂正の復号を繰返し演算にて実行する誤り訂正部である。消費電力は、復号の際の繰返し演算回数に応じて増加するので、入力された信号の誤り率が大きい場合には、繰返し演算回数が増加して、消費電力が大きくなる。ここで、誤り訂正の復号を繰返し演算にて実行する誤り訂正としては、LDPCやターボ符号があるがそれらに限定されるものではない。
図2の誤り訂正装置10は、第1訂正部20、誤り情報推定部40、制御部50から構成されている。第1訂正部20は、データの誤り訂正の復号を繰返し演算にて実行する誤り訂正部である。消費電力は、復号の際の繰返し演算回数に応じて増加するので、入力された信号の誤り率が大きい場合には、繰返し演算回数が増加して、消費電力が大きくなる。ここで、誤り訂正の復号を繰返し演算にて実行する誤り訂正としては、LDPCやターボ符号があるがそれらに限定されるものではない。
誤り情報推定部40は、第1訂正部20の入力誤り率を誤り情報として推定する。第1訂正部20の入力信号の誤りは、第1訂正部20の復号動作において訂正されるので、入力誤り率は、第1訂正部20における復号結果から推定することができる。例えば、第1訂正部20での訂正ビット数/全入力ビット数を、ビット誤り率として定義して入力誤り率を推定すればよい。
図3において、フル動作状態は、第1訂正部20の復号の繰返し演算回数を回路としての処理能力の限界まで設定した状態であり、復号の繰返し演算を収束するまで繰り返す状態である。一方、セーブ動作状態は、第1訂正部20の復号の繰返し演算回数をフル動作状態に比べて低減し、復号の繰返し演算が所定の回数に制限された状態である。ここで、フル動作状態における復号の繰返し演算回数は、回路としての処理能力の限界値だけでなく、伝送路の通信状況に応じて所望の誤り訂正能力を確保するのに十分な値を設定することもできる。また、セーブ動作状態における復号の繰返し演算回数は適宜設定することができ、完全なオフ(演算回数ゼロ)も、設定値として許容される。
図4において、制御部50は、誤り情報推定部40で推定された誤り情報とセーブ動作状態の動作時間に基づいて、第1訂正部20の動作状態を制御する。誤り情報推定部40で推定された誤り情報が、第1訂正部20の復号結果から推定した入力誤り率である。セーブ動作状態の動作時間がセーブ動作状態の滞在時間の場合、フル動作状態において、入力誤り率>所定値#1の場合には、伝送路における通信状況が第1訂正部20の誤り訂正能力を超えると判断し、制御部50は、第1訂正部20を、セーブ動作状態へ遷移させる。ここで、所定値#1としては、例えば、第1訂正部20における誤り訂正能力相当の値を設定すればよい。
一方、制御部50は、セーブ動作状態において、セーブ動作状態滞在時間>所定値#2の場合には、第1訂正部の動作状態をフル動作状態へ遷移させる。所定値#2の時間が経過する毎に第1訂正部の動作状態をフル動作状態に遷移させることにより、伝送路の通信状況が回復し、第1訂正部の訂正能力が有効か否かを所定の時間毎に判定することができる。ここで、所定値#2の値としては、伝送路の通信状況に応じて適宜設定すればよく、例えば、伝送路の通信状況が回復することを想定した値を設定することができる。
このように、本実施の形態によれば、第1訂正部の入力誤り率と動作状態の滞在時間に基づいて、第1訂正部の動作状態を制御するように構成したので、伝送路の通信状況が訂正能力を超えるような状況においても、簡易な構成で誤り訂正と低消費電力化の最適化が実現可能となる。
なお、上記本実施の形態の説明では、誤り情報として入力誤り率を使用したが、出力誤り率を使用することも可能である。その場合には、例えば、第1訂正部20の復号動作ができている場合には、第1訂正部の復号動作の中で作られるBIP(Bit Interleaved Parity)値を用いればよい。BIPは、誤り検出に用いられるパリティ・チェック方法であり、情報をブロックに分けてブロック内にエラーがあるかどうかを検出するものである。BIP値を用いれば、第1訂正部の出力における誤り率を推定することができる。第1訂正部の動作状態の遷移条件として、入力誤り率又は出力誤り率と滞在時間とを組合せた遷移条件を用いることが可能である。
また、誤り情報や滞在時間と所定値との比較を行う場合、その条件を満足する状態がある設定された保護時間以上続くことを遷移条件としてもよい。これにより、遷移のばたつきを減らし安定な制御が実現できる。他の実施の形態においても同様である。
<本発明の第2の実施の形態>
図5の第2の実施の形態の誤り訂正装置10では、第1の実施の形態の第1訂正部20に加えて、第1訂正部20の出力に対して誤り訂正を行い、第1訂正部20の残留誤りを訂正する第2訂正部30を備える。第1訂正部20は、図1の第1訂正部20と同様に、データの誤り訂正の復号を繰返し演算にて実行する誤り訂正部である。
図5の第2の実施の形態の誤り訂正装置10では、第1の実施の形態の第1訂正部20に加えて、第1訂正部20の出力に対して誤り訂正を行い、第1訂正部20の残留誤りを訂正する第2訂正部30を備える。第1訂正部20は、図1の第1訂正部20と同様に、データの誤り訂正の復号を繰返し演算にて実行する誤り訂正部である。
第2訂正部30は、第1訂正部20の残留誤りを訂正する誤り訂正部である。第2訂正部30は、消費電力が第1訂正部20よりも低くなるように構成される。例えば、繰返し演算を行わないリードソロモン符号やBCH符号等を用いてもよいが、それらに限定されるものではない。
図5の例における誤り情報推定部40は、第1訂正部20の出力誤り率を誤り情報として推定する。第1訂正部20の出力誤り率とは、第1訂正部20の出力信号における誤り率のことである。第1訂正部20において訂正できなった誤りは、その出力に残留誤りとして残され、この残留誤りは、第2訂正部30の復号動作によって訂正される。そのため第1訂正部20の出力誤り率は、第2訂正部30における復号結果から推定することができる。例えば、第2訂正部30の復号動作が、所定の長さの符号毎に行われる場合、符号毎に完全に誤りが訂正できたか、或いは誤りが残留したかを「0」、「1」で集計し、誤りが残留した符号の数/全符号数を符号誤り率として定義して出力誤り率を推定することができる。
また、第2訂正部30において、誤りを訂正したビット数を集計した誤り訂正ビット数を用いて誤り情報を推定してもよい。さらに、第1訂正部20の復号動作ができている場合には、第1訂正部20の復号動作の中で作られるBIP値を用いて誤り情報を推定してもよい。
図6において、第1の実施の形態と同様に、フル動作状態は、第1訂正部20の復号の繰返し演算回数を回路としての処理能力の限界まで設定した状態であり、復号の繰返し演算を収束するまで繰り返す状態である。一方、セーブ動作状態は、第1訂正部20の復号の繰返し演算回数をフル動作状態に比べて低減し、復号の繰返し演算が所定の回数に制限された状態である。ここで、フル動作状態における復号の繰返し演算回数は、回路としての処理能力の限界値だけでなく、伝送路の通信状況に応じて所望の誤り訂正能力を確保するのに十分な値を設定することもできる。また、セーブ動作状態における復号の繰返し演算回数は適宜設定することができ、完全なオフ(演算回数ゼロ)も、設定値として許容される。
図7において、制御部50は、誤り情報推定部40で推定された誤り情報とセーブ動作状態の動作時間に基づいて、第1訂正部20の動作状態を制御する。誤り情報推定部40で推定された誤り情報が、第2訂正部30の復号結果から算出した第1訂正部20の出力誤り率の場合、フル動作状態において、出力誤り率>所定値#3の場合には、制御部50は、第1訂正部20の動作が冗長と判断し、第1訂正部20を、セーブ動作状態へ遷移させる。ここで、所定値#3は、比較的高い誤り率が設定される。
一方、制御部50は、セーブ動作状態において、出力誤り率<所定値#4の場合には、第1訂正部20で誤り訂正が可能と判断し、第1訂正部の動作状態をフル動作状態へ遷移させる。ここで、所定値#4としては、例えば、第1訂正部20における誤り訂正能力相当の値が設定される。
このように、本実施の形態によれば、第1訂正部の出力誤り率を、消費電力の低い第2訂正部の復号結果を用いて推定し、第1訂正部の動作状態を制御するように構成したので、伝送路の通信状況が訂正能力を超えるような状況においても、誤り訂正と低消費電力化の最適化が実現可能となる。
なお、上記本実施の形態の説明では、誤り情報として出力誤り率を使用したが、入力誤り率を使用することも可能である。さらに、セーブ動作状態からフル動作状態に遷移する際の遷移条件として、セーブ動作状態の滞在時間を用いることもできる。第1訂正部の動作状態の遷移条件としては、入力誤り率又は出力誤り率、入力誤り率と出力誤り率の組み合わせ、あるいは、入力誤り率又は出力誤り率と滞在時間とを組合せた遷移条件を用いることが可能である。
<本発明の第3の実施の形態>
図8、9を用いて、本発明の第3の実施の形態を説明する。第3の実施の形態では、第2の実施の形態の誤り訂正装置10と同様の構成を用いる。誤り情報推定部40は、第1の実施の形態で示した第1訂正部20の入力誤り率を誤り情報として推定する機能と、第2の実施の形態で示した第1訂正部20の出力誤り率を誤り情報として推定する機能の両方を有する。制御部50は、第1、第2の実施の形態と同様に、誤り情報推定部40からの誤り情報及びセーブ動作状態の動作時間に基づいて、第1訂正部20の動作状態を制御する。
図8、9を用いて、本発明の第3の実施の形態を説明する。第3の実施の形態では、第2の実施の形態の誤り訂正装置10と同様の構成を用いる。誤り情報推定部40は、第1の実施の形態で示した第1訂正部20の入力誤り率を誤り情報として推定する機能と、第2の実施の形態で示した第1訂正部20の出力誤り率を誤り情報として推定する機能の両方を有する。制御部50は、第1、第2の実施の形態と同様に、誤り情報推定部40からの誤り情報及びセーブ動作状態の動作時間に基づいて、第1訂正部20の動作状態を制御する。
図8の第3の実施の形態では、第1訂正部20は、第1のフル動作状態に加えて、第2のフル動作状態を有する。第1、第2のフル動作状態は、第1、第2の実施の形態におけるフル動作状態と同様に、第1訂正部20の復号の繰返し演算回数を回路としての処理能力の限界まで設定した状態であり、復号の繰返し演算を収束するまで繰り返す状態である。ここで、第2のフル動作状態における誤り率の測定時間は、第1のフル動作状態の誤り率測定時間よりも短く設定されており、それにより第2のフル動作状態における消費電力は、第1のフル動作状態における消費電力よりも小さくすることができる。ここで、フル動作状態における復号の繰返し演算回数は、回路としての処理能力の限界値だけでなく、伝送路の通信状況に応じて所望の誤り訂正能力を確保するのに十分な値を設定することもできる。
セーブ動作状態は、第1訂正部20の復号の繰返し演算回数を、第1、第2のフル動作状態に比べて低減し、復号の繰返し演算が所定の回数に制限された状態である。ここで、セーブ動作状態における復号の繰返し演算回数は適宜設定することができ、完全なオフ(演算回数ゼロ)も、設定値として許容される。
図8において、出力誤り率Aは、第1のフル動作状態における第1訂正部の出力誤り率であり、第1訂正部20が第1のフル動作状態へ遷移した後の時間T1の間における測定結果に基づいて推定される。一方、出力誤り率Bは、第2のフル動作状態における第1訂正部の出力誤り率であり、第1訂正部20が第2のフル動作状態へ遷移した後の、時間T1より短い時間T2の間における測定結果に基づいて推定される。時間T1、T2としては、例えば、時間T1を数msecに、時間T2を数百μsecに設定することができる。第2の実施の形態において述べたように、第1訂正部20の出力誤り率A、Bは、第1訂正部20よりも消費電力の低い第2訂正部30における復号結果から推定することができる。
時間T2を時間T1に比べて短い時間に設定することにより、第2のフル動作状態における出力誤り率Bは、第1のフル動作状態における出力誤り率Aに比べて、より短時間の測定により推定できるので、より小さい消費電力で出力誤り率を推定することができる。なお、時間T1、T2の値は、上述した例に限定されず、許容される消費電力と必要な測定精度との兼ね合いを考慮して適宜設定することができる。
制御部50は、誤り情報推定部40で推定された誤り情報とセーブ動作状態の動作時間に基づいて、第1訂正部20の動作状態を制御する。図8、9の例では、制御部50は、第1訂正部20の出力誤り率と、セーブ動作状態の滞在時間とに基づき、第1訂正部20の動作状態を遷移させる。出力誤り率としては、第1のフル動作状態における時間T1で測定された出力誤り率Aと、第2のフル動作状態における時間T2で測定された出力誤り率Bが使用される。
図9において、制御部50は、第1のフル動作状態において、出力誤り率A>所定値#5の場合には、第1訂正部20の動作が冗長と判断し、第1訂正部20を、セーブ動作状態へ遷移させる。セーブ動作状態においては、セーブ動作状態滞在時間>所定値#6の場合、第1訂正部の動作状態を第2のフル動作状態へ遷移させる。
次に、第2のフル動作状態においては、出力誤り率B≦所定値#7の場合、第1訂正部20で誤り訂正が可能と判断し、第1訂正部20の動作状態を、第2のフル動作状態から第1のフル動作状態へ遷移させる。一方、出力誤り率B>所定値#7の場合には、フル動作状態における誤り訂正が不可能と判断し、セーブ動作状態へ遷移させる。このように、本実施の形態は、第1のフル動作状態に遷移する前に、第1訂正部20で誤り訂正が可能か否かを第2のフル動作状態において事前に確認するものである。第2のフル動作状態における確認時間を短く設定することにより、より低い消費電力で確認動作を実行することができる。
このように、本実施の形態によれば、第1訂正部の出力誤り率を、消費電力の低い第2訂正部の復号結果を用いて推定し、第1訂正部の動作状態を制御するように構成したので、伝送路の通信状況が訂正能力を超えるような状況においても、誤り訂正と低消費電力化の最適化が実現可能となる。
さらに、本実施の形態では、第1のフル動作状態に加えて第2のフル動作状態を設けて、第1訂正部における誤り訂正が可能かどうかを確認するようにしたので、第2の実施の形態に比べてさらに低消費電力化を図ることが可能となる。
なお、上記本実施の形態の説明では、誤り情報として出力誤り率を使用したが、入力誤り率を使用することも可能である。第1訂正部の動作状態の遷移条件としては、入力誤り率又は出力誤り率、入力誤り率と出力誤り率の組み合わせ、あるいは、入力誤り率又は出力誤り率と滞在時間とを組合せた遷移条件を用いることが可能である。
<繰り返し演算回数の制御>
図10の例では、第1訂正部の動作状態が、セーブ動作状態からフル動作状態へ遷移する場合、復号の際の繰り返し演算回数を、所定のステップで徐々に増加させ、一方、フル動作状態からセーブ動作状態へ移行する場合にも、復号の際の繰返し演算回数を、所定のステップで徐々に減少させるように制御する。これにより、復号の際の繰り返し演算回数の時間的な変化が緩やかとなり、フル動作状態とセーブ動作状態の間の遷移時間をより長くすることができる。
図10の例では、第1訂正部の動作状態が、セーブ動作状態からフル動作状態へ遷移する場合、復号の際の繰り返し演算回数を、所定のステップで徐々に増加させ、一方、フル動作状態からセーブ動作状態へ移行する場合にも、復号の際の繰返し演算回数を、所定のステップで徐々に減少させるように制御する。これにより、復号の際の繰り返し演算回数の時間的な変化が緩やかとなり、フル動作状態とセーブ動作状態の間の遷移時間をより長くすることができる。
復号の際の繰返し演算回数の急激な変化は、消費電力や供給電流の急激な変化を招き、供給電圧の急激な変化を引き起こし、供給電源を共通にする他の回路の動作への悪影響も懸念される。図10のように、復号の際の繰り返し演算回数を徐々に変化させれば、供給電圧の急激な変化を防止し、他の回路の動作に及ぼす悪影響も低減することが可能となる。繰り返し演算回数の変化のステップやフル動作状態とセーブ動作状態の間の遷移時間は、適宜設定することが可能であり、例えば、遷移時間を数百μsecに設定することができる。
本発明は、コヒーレント光通信システムにおいて、消費電力を抑えつつ伝送特性を向上することができる誤り訂正装置として利用することができる。
1…光通信システム、2…送信側装置、3…受信側装置、4…誤り訂正符号化モジュール、5…デジタル信号処理モジュール、6…送信モジュール、7…受信モジュール、8…デジタル信号処理モジュール、9…誤り訂正復号化モジュール、10…誤り訂正装置、20…第1訂正部、30…第2訂正部、40…誤り情報推定部、50…制御部、100…光ファイバ伝送路。
Claims (11)
- データの誤り訂正の復号を繰返し演算によって行う第1訂正部であって、誤り訂正の復号の繰返し演算を収束するまで繰り返すフル動作状態と、誤り訂正の復号の繰返し演算回数を所定の回数に適宜設定でき、かつ前記フル動作状態に比べて前記復号の繰返し演算回数が制限されたセーブ動作状態とを有する第1訂正部と、
前記第1の訂正部の復号結果を用いて、前記第1訂正部の入力誤り率及び又は訂正できなかった残留誤りを示す出力誤り率を推定する誤り情報推定部と、
前記入力誤り率、前記出力誤り率、前記第1訂正部の動作時間の少なくともいずれかの情報に基づいて、前記第1訂正部の前記フル動作状態と前記セーブ動作状態の間の遷移を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記フル動作状態において、
前記入力誤り率が所定値を超えた場合、および前記出力誤り率が所定値を超えた場合のうち、少なくともいずれかの条件が満たされた場合に、前記第1訂正部を、前記フル動作状態から前記セーブ動作状態に遷移させ、
前記セーブ動作状態において、前記復号の繰返し演算が行われている場合には、
前記入力誤り率が所定値よりも小さい場合、前記出力誤り率が所定値よりも小さい場合、および前記セーブ動作状態での滞在時間が所定値を超えた場合のうち、少なくともいずれかの条件が満たされた場合に、前記第1訂正部を、前記セーブ動作状態から前記フル動作状態に遷移させ、
前記セーブ動作状態において、前記復号の繰返し演算が行われていない場合には、
前記セーブ動作状態での滞在時間が所定値を超えた場合に、前記第1訂正部を、前記セーブ動作状態から前記フル動作状態に遷移させる
誤り訂正装置。 - 前記制御部は、前記第1訂正部の入力誤り率が第1の所定値を超えた場合に、前記第1訂正部を、前記フル動作状態から前記セーブ動作状態に遷移させ、前記セーブ動作状態での滞在時間が第2の所定値を超えた場合に、前記第1訂正部を、前記セーブ動作状態から前記フル動作状態に遷移させること
を特徴とする請求項1記載の誤り訂正装置。 - 前記第1訂正部の入力誤り率は、前記第1訂正部の復号における誤りの訂正ビット数に基づいて推定され、前記第1訂正部の出力誤り率は、前記第1訂正部の復号におけるBIP値に基づいて推定されることを特徴とする請求項1または2に記載の誤り訂正装置。
- 前記第1訂正部の復号出力に対して誤り訂正を行い、第1訂正部よりも消費電力の低い第2訂正部をさらに備え、
前記誤り情報推定部は、前記第1訂正部または前記第2訂正部の復号結果を用いて、前記第1訂正部の出力の誤り率を推定すること、
を特徴とする請求項1記載の誤り訂正装置。 - 前記制御部は、前記第1訂正部の出力誤り率が第3の所定値を超えた場合に、前記第1訂正部を、前記フル動作状態から前記セーブ動作状態に遷移させ、前記出力誤り率が第4の所定値よりも小さい場合に、前記第1訂正部を、前記セーブ動作状態から前記フル動作状態に遷移させること
を特徴とする請求項4に記載の誤り訂正装置。 - 前記第1訂正部は、
誤り訂正の復号の繰返し演算を収束するまで繰り返す第1及び第2のフル動作状態と、前記セーブ動作状態とを有し、
前記制御部は、
前記第2訂正部の復号結果の第1の時間の間の測定に基づいて前記誤り情報推定部からの誤り情報として推定した前記第1訂正部の第1の出力誤り率が第5の所定値を超えた場合に、前記第1訂正部を、前記第1のフル動作状態から前記セーブ動作状態に遷移させ、
前記セーブ動作状態での滞在時間が第6の所定値を超えた場合に、前記第1訂正部を、前記セーブ動作状態から前記第2のフル動作状態に遷移させ、
前記第2訂正部の復号結果の前記第1の時間よりも短い第2の時間の間の測定に基づいて、前記誤り情報推定部からの誤り情報として推定した前記第1訂正部の第2の出力誤り率が第7の所定値より小さい場合に、前記第1訂正部を、前記第2のフル動作状態から前記第1のフル動作状態に遷移させ、
前記第2の出力誤り率が第7の所定値より大きい場合に、前記第1訂正部を、前記第2のフル動作状態から前記セーブ動作状態に遷移させること
を特徴とする請求項4記載の誤り訂正装置。 - 前記第1訂正部の入力誤り率は、前記第1訂正部の復号における誤りの訂正ビット数に基づいて推定され、前記第1訂正部の出力誤り率は、前記第1訂正部の復号におけるBIP値、前記第2訂正部の復号における、誤りが残留する符号数、誤りの訂正ビット数のいずれかに基づいて推定されること
を特徴とする請求項4~6の何れか1項に記載の誤り訂正装置。 - 前記第1訂正部のフル動作状態とセーブ動作状態との間の状態遷移において、前記第1訂正部の復号の繰返し演算回数を徐々に増加、或いは減少させること
を特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の誤り訂正装置。 - 前記第1訂正部のフル動作状態とセーブ動作状態との間の状態遷移において、状態遷移のための条件を満足する状態が所定の時間以上続くことを状態遷移の条件とすること
を特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の誤り訂正装置。 - データの誤り訂正の復号を繰返し演算によって行う第1訂正ステップと、
前記第1訂正ステップの復号結果を用いて、前記第1訂正ステップの入力誤り率及び又は訂正できなかった残留誤りを示す出力誤り率を推定するステップと、
前記入力誤り率、前記出力誤り率、前記第1訂正ステップの動作時間の少なくともいずれかの情報に基づいて、誤り訂正の復号の繰返し演算を収束するまで繰り返すフル動作状態と、誤り訂正の復号の繰返し演算回数を所定の回数に適宜設定でき、かつ前記フル動作状態に比べて前記復号の繰返し演算回数が制限されたセーブ動作状態の間を遷移させるステップと
を有し、
前記フル動作状態と前記セーブ動作状態の間を遷移させるステップは、
前記フル動作状態において、
前記入力誤り率が所定値を超えた場合、および前記出力誤り率が所定値を超えた場合のうち、少なくともいずれかの条件が満たされた場合に、前記フル動作状態から前記セーブ動作状態に遷移させ、
前記セーブ動作状態において、前記復号の繰返し演算が行われている場合には、
前記入力誤り率が所定値よりも小さい場合、前記出力誤り率が所定値よりも小さい場合、および前記セーブ動作状態での滞在時間が所定値を超えた場合のうち、少なくともいずれかの条件が満たされた場合に、前記セーブ動作状態から前記フル動作状態に遷移させ、
前記セーブ動作状態において、前記復号の繰返し演算が行われていない場合には、
前記セーブ動作状態での滞在時間が所定値を超えた場合に、前記セーブ動作状態から前記フル動作状態に遷移させる
誤り訂正方法。 - 請求項1~9の何れか1項に記載の誤り訂正装置を備えた光通信システム。
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