WO2019074071A1 - 核酸分子発現の調節 - Google Patents

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Abstract

本発明は、標的核酸分子の少なくとも一部と相補性を有する第一の核酸分子と、前記第一の核酸分子と相補性を有する第二の核酸分子とを含み、前記第一の核酸分子が直鎖状であり、前記第二の核酸分子が環状であり、前記第一の核酸分子と前記第二の核酸分子とが少なくとも部分的に二重鎖を形成する、核酸分子二量体を提供する。

Description

核酸分子発現の調節
 本開示は、標的核酸分子の発現を調節する核酸分子、当該核酸分子を含む組成物、当該核酸分子を用いた標的核酸分子の発現を調節する方法等に関する。
 ZamecnikおよびStephensonがオリゴ核酸による遺伝子発現の配列特異的な抑制(アンチセンス法)を報告して以来(非特許文献1~2)、核酸分子を用いて遺伝子発現を制御する核酸医薬の開発が行われてきた。核酸医薬には、前記アンチセンス法に用いるアンチセンス核酸のほか、RNA干渉に用いる種々の構造の核酸分子(非特許文献3、特許文献1~4)、転写因子を標的とするデコイ核酸(非特許文献4)などがある。
WO 2009/029688 WO 2010/080129 WO 2011/103394 WO 2012/005368
Zamecnik and Stephenson, Proc Natl Acad Sci U S A. 1978;75(1):280-4 Stephenson and Zamecnik, Proc Natl Acad Sci U S A. 1978;75(1):285-8 Elbashir et al., Nature. 2001;411(6836):494-8 Yoshimura et al., Gene Ther. 2001;8(21):1635-42
 オフターゲット効果が少ない、化学的安定性が高い、設計や製造が容易である、などの利点を有する核酸医薬の開発が求められていた。
 本開示の一部の態様は以下に関する。
[1] 標的核酸分子の少なくとも一部と相補性を有する第一の核酸分子と、前記第一の核酸分子と相補性を有する第二の核酸分子とを含み、前記第一の核酸分子が直鎖状であり、前記第二の核酸分子が環状であり、前記第一の核酸分子と前記第二の核酸分子とが少なくとも部分的に二重鎖を形成する、核酸分子二量体。
[2] 第一の核酸分子が、第二の核酸分子より長い、[1]に記載の核酸分子二量体。
[3] 第一の核酸分子の3’末端または5’末端が突出を形成する、[1]または[2]に記載の核酸分子二量体。
[4] 第一の核酸分子がニックを形成する、[1]~[3]のいずれか一項に記載の核酸分子二量体。
[5] 第一の核酸分子の長さが16~30merである、[1]~[4]のいずれか一項に記載の核酸分子二量体。
[6] 第二の核酸分子の長さが9~30merである、[1]~[5]のいずれか一項に記載の核酸分子二量体。
[7] 第一の核酸分子および/または第二の核酸分子が修飾されている、[1]~[6]のいずれか一項に記載の核酸分子二量体。
[8] [1]~[7]のいずれか一項に記載の核酸分子二量体を含む組成物。
[9] [1]~[7]のいずれか一項に記載の核酸分子二量体と、1または2以上の薬学的に許容し得る添加物とを含む、医薬組成物。
[10] 標的核酸分子の発現の調節に用いるための、[1]~[7]のいずれか一項に記載の核酸分子二量体または[8]もしくは[9]に記載の組成物。
[11] 標的核酸分子に関連する疾患の処置に用いるための、[1]~[7]のいずれか一項に記載の核酸分子二量体または[8]もしくは[9]に記載の組成物。
[12] [1]~[7]のいずれか一項に記載の核酸分子二量体または[8]もしくは[9]に記載の組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、標的核酸分子に関連する疾患を処置する方法。
 本開示による核酸分子は、以下の1または2以上の効果を奏する。
(1)標的とする核酸分子の発現を調節できる。
(2)標的非相補的核酸分子によるオフターゲット効果が少ない。
(3)核酸分子による配列非特異的な細胞応答の誘導を回避できる。
(4)PKRのリン酸化誘導を回避できる。
(5)TLR経路の活性化を回避できる。
(6)血中安定性が高い。
(7)ヌクレアーゼ耐性が高い。
(8)設計が容易である。
(9)製造が容易である。
図1は、本開示の核酸分子二量体のいくつかの態様の模式図を示した図である。上側に位置する5’末端および3’末端を有する白色の構築物はTCNA、下側に位置する5’末端および3’末端を有しないグレーの構築物はTNNA、X、YまたはZが記載された粒子はヌクレオチド、粒子同士をつなぐ線はヌクレオチド間結合をそれぞれ表す。 図2は、本開示の核酸分子二量体の製造時に設定する、TNNAのライゲーション部位の例を示した図である。 図3は、TNNAが環状化されたかを変性PAGEで確認した結果を示した図である。レーン2および7は、5’リン酸化直鎖状TNNA(TN-2およびTN-5)、レーン1および6は、5’リン酸化直鎖状TNNAをRNase Rで処理したもの、レーン3および8は、5’リン酸化直鎖状TNNAをT4 RNA Ligase 1にて環状化したもの、レーン4および9は、環状化反応物をRNase Rで処理したもの、レーン5は分子量マーカーを示す。また、レーン1~4のTNNAは16mer、レーン6~9のTNNAは19merである。レーン3および8に認められる2本のバンドのうち、上側が環状化しなかった直鎖状TNNA、下側が環状化したTNNAを示す。 図4は、環状TNNA(CTNNA)と直鎖状TCNA(LTCNA)とがアニーリングしたかをネイティブPAGEで確認した結果を示した図である。レーン1は分子量マーカー、レーン2は環状TNNAのみ、レーン3は直鎖状TCNAのみ、レーン4は、環状TNNAと直鎖状TCNAとをアニーリングしたものである。レーン4に認められる2本のバンドのうち、上側のものが、環状TNNAと直鎖状TCNAとがアニーリングした環状核酸分子含有核酸分子二量体(CNA-NAD)を示す。 図5は、各種核酸分子二量体のKD効果を評価した結果を示したグラフである。 図6は、環状TNNA含有核酸分子二量体または対応する直鎖状核酸分子二量体を作用させた細胞におけるPKRのリン酸化の程度を、ウェスタンブロッティングで評価した結果を示した図である。P-PKRはリン酸化PKRを示す。 図7は、種々の核酸分子を作用させた細胞におけるTLR3経路関連遺伝子の発現量を示したグラフである。 図8は、各種核酸分子を作用させた細胞におけるTLR3経路に関連するタンパク質(TLR3、STAT1)のリン酸化を示した図である。 図9は、CTNNAおよびLTNNAのエキソヌクレアーゼ耐性を評価した結果を示したグラフである。 図10は、各種核酸分子二量体のKD効果を評価した結果を示したグラフである。縦軸は内因性コントロールHPRTで正規化したARHGAP1の発現率を示す。
 本明細書において別様に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術用語および科学用語は、当業者が通常理解しているものと同じ意味を有する。本明細書中で参照する全ての特許、出願および他の出版物(オンライン情報を含む)は、その全内容を参照により本明細書に援用する。
 また、本明細書は、2017年10月11日に出願された本願優先権主張の基礎となる日本国特許出願(特願2017-197990号)の明細書および図面に記載の内容を包含する。
 本開示は、一態様において、標的核酸分子の少なくとも一部と相補性を有する第一の核酸分子(標的相補的核酸分子(Target-Complementary Nucleic Acid:TCNA)と称することがある)と、前記第一の核酸分子と相補性を有する第二の核酸分子(標的非相補的核酸分子(Target-Non-complementary Nucleic Acid:TNNA)と称することがある)とを含み、前記第一の核酸分子が直鎖状であり、前記第二の核酸分子が環状であり、前記第一の核酸分子と前記第二の核酸分子とが少なくとも部分的に二重鎖(duplex)を形成する、核酸分子二量体(以下、「本開示の核酸分子」、「環状TNNA含有核酸分子二量体」などと称することがある)に関する。
 本開示において、「標的核酸分子」は、本開示の核酸分子による発現の調節の対象となる核酸分子を意味する。標的核酸分子としては、限定されずに、細胞内に存在するRNAおよびDNAが挙げられる。標的核酸分子は、内因性であっても外来性であってもよい。RNAとしては、限定されずに、メッセンジャーRNA(mRNA)、pre-mRNA、マイクロRNA(miRNA)、pre-miRNA、PIWI相互作用RNA(piRNA)、長鎖非コードRNA(lncRNA)、核内非コードRNA、ミトコンドリア非コードRNA、アンチセンス転写物などのRNA転写物、ウイルスRNAなどが挙げられる。DNAとしては、核DNA、ミトコンドリアDNA、ウイルスDNAなどが挙げられる。標的核酸分子は、タンパク質などの発現産物をコードしていてもよいし(例えばmRNA、ウイルスRNAなど)、していなくてもよい(例えば、miRNA、piRNA、種々の非コードRNA、アンチセンス転写物など)。また標的核酸分子は、それ自体で生理活性を有するものであってもよい(例えば、miRNA、piRNAなど)。一部の態様において、標的核酸分子がコードする発現産物は、疾患に関連するものである。一部の態様において、標的核酸分子は、RNAサイレンシングの対象となるものである。RNAサイレンシングの対象となる標的核酸分子としては、限定されずに、例えば、細胞質または核に存在するRNA転写物やウイルスRNAなどが挙げられる。別の態様において、標的核酸分子はRNA活性化(RNAa)の対象となるものである。RNA活性化の対象となる標的核酸分子としては、限定されずに、例えば、核DNAやミトコンドリアDNAなどのDNA、DNA近傍に存在する非コードRNAなどのRNAが挙げられる。
 RNAサイレンシングは、典型的には、小分子RNAによる遺伝子発現制御機構を指し、RNA干渉(RNAi)、miRNAによる遺伝子発現制御機構、piRNAによる遺伝子発現制御機構などを含む。
 RNA干渉は、典型的には、二本鎖核酸分子が誘導する、標的RNAが配列特異的に分解される現象を指す。二本鎖核酸分子は細胞内に入ると、その長さに応じてダイサーにより切断された後、Argonaute(AGO)タンパク質を含むRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に取り込まれる。RISCは、標的RNAと相補的な配列を有するアンチセンス鎖(ガイド鎖)をガイド役に標的RNAを認識し、これを切断する。標的RNAがmRNAである場合は、mRNAがコードするタンパク質等が発現されなくなり(遺伝子サイレンシング)、標的RNAがmiRNAやアンチセンス転写物である場合は、当該miRNAやアンチセンス転写物による作用が消失する。miRNAやアンチセンス転写物が、遺伝子発現の抑制に作用するものであれば、RNA干渉でmiRNAやアンチセンス転写物が分解されることにより、当該遺伝子の発現が増大する場合がある。
 miRNAによる遺伝子発現制御機構は、典型的には、miRNAが誘導する配列特異的なRNAの分解または翻訳抑制を指す。成熟miRNAはArgonaute(AGO)タンパク質を含むmiRNA誘導サイレンシング複合体(miRISC)に取り込まれ、主にシード配列(5’末端から2~8位の配列)と相補的なmRNAにmiRISCを誘導し、mRNAからの翻訳を抑制するとともに、mRNAの3’末端に存在するポリAテールを分解して短縮し、mRNAの分解を促進する。
 piRNAによる遺伝子発現制御機構は、典型的には、piRNAが誘導する配列特異的なRNAの分解を指す。piRNAは、PIWIサブファミリータンパク質であるPiwiタンパク質を含むpiRNA誘導サイレンシング複合体(piRISC)に取り込まれると核内に移行し、標的遺伝子の転写を配列特異的に抑制する。
 RNA活性化は、典型的には、遺伝子のプロモーター領域を標的とする二本鎖RNAにより、当該遺伝子の発現が増大する現象を指す(Li et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2006;103(46):17337-42)。標的となる核酸分子は、DNAであっても(上記li)、プロモーター領域と重複する転写物(例えば、非コード転写物)であってもよい(Jiao and Slack, Epigenetics. 2014;9(1):27-36)。これまでに、E-カドヘリン、p21、VEGF、プロゲステロン受容体(PR)、p53、Nanogなど、複数の遺伝子でRNA活性化が確認されている(上記Jiao and Slack)。RNA活性化をもたらす短鎖RNAを短鎖活性化RNA(saRNA)と称することがある。
 本開示において、「相補性を有する」または「相補的である」なる用語は、ある核酸分子(第1の核酸分子)が、他の核酸分子(第2の核酸分子)と、ワトソン-クリック型塩基対形成や、非ワトソン-クリック型塩基対形成などにより水素結合を形成できることを意味する。相補性は様々な程度であることができ、相補性の程度は、例えば、前記第2の核酸分子の核酸残基と水素結合(例えば、ワトソン-クリック塩基対)を形成することができる前記第1の核酸分子の連続する核酸残基のパーセンテージ(相補性パーセント)で表すことができる。例えば、第1の核酸分子および第2の核酸分子が合計10個のヌクレオチドで構成されており、第1の核酸分子を構成する10個のヌクレオチドのうち5、6、7、8、9または10ヌクレオチドが、10個のヌクレオチドを有する第2の核酸分子と塩基対を形成する場合、相補性パーセントは、それぞれ、50%、60%、70%、80%、90%または100%となる。「完全な相補性を有する」または「完全に相補的である」は、前記第1の核酸分子の全ての連続する核酸残基が、第2の核酸分子における同じ数の連続する核酸残基と水素結合することを意味する。一態様において、本開示の核酸分子二量体における第1の核酸分子は、1または2以上の標的核酸分子またはその部分に相補的なヌクレオチドを、約15~約30個またはそれ以上(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個またはそれ以上)含む。
 本開示の核酸分子におけるTCNAは、当該核酸分子二量体(二本鎖核酸分子と称することもある)を構成する核酸分子の一方であり、標的核酸分子の少なくとも一部と相補性を有する。相補性の程度は、TCNAが、RNAサイレンシングやRNA活性化などにおいて、標的核酸分子を認識できる程度であればよく、必ずしも100%の相補性は必要としない。したがって、TCNAは、標的核酸分子における標的配列とミスマッチを有してもよい。ミスマッチの個数は、TCNAと標的核酸分子の標的部位との結合自由エネルギーにもよるが、1個、2個、3個、4個、5個または6個以上であってよい。ミスマッチはTCNAのどの位置に設けてもよいが、RNAサイレンシングの効率などの観点から、5’末端に設けることが好ましい。一部の態様において、TCNAは、標的配列と100%の相補性を有する(すなわち、ミスマッチの個数は0個である)。別の態様において、TCNAは、標的配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%などの相補性を有する。特定の態様において、TCNAは、標的配列に対し、1個、2個、3個、4個、5個または6個以上のミスマッチを含む。
 TCNAがmiRNAによる遺伝子発現制御機構、または、これに類する遺伝子発現制御機構により標的核酸分子の発現を制御する場合、TCNAと標的核酸分子との相補性は、miRNAとその標的核酸分子との相補性に準ずるものであってよい。例えば、TCNAは、少なくともmiRNAのシード領域に該当する部分が標的核酸分子と相補的であってもよい。すなわち、かかるTCNAは、miRNAのシード領域に該当する部分のみが標的核酸分子と相補的である態様を含む。miRNAのシード領域に該当するTCNAの部分は、標的核酸分子と100%の相補性を有してもよいし、数個、例えば、1個、2個、3個、4個または5個、好ましくは1個のミスマッチを有してもよい。miRNAによる遺伝子発現制御機構、または、これに類する遺伝子発現制御機構により標的核酸分子の発現を制御するTCNAは、例えば、シード領域を含むmiRNA(例えば、成熟miRNA)のヌクレオチド配列を有していてもよい。かかるTCNAを含む本開示の核酸分子の標的核酸分子は、当該miRNAの標的核酸分子と同様たり得る。一般にmiRNAは複数の異なる核酸分子を標的とすることが知られており、したがって、miRNAによる遺伝子発現制御機構、または、これに類する遺伝子発現制御機構により標的核酸分子の発現を制御するTCNAを含む本開示の核酸分子も複数の標的核酸分子の発現を制御することができる。
 TCNAの長さは、本開示の核酸分子二量体がRNAサイレンシングやRNA活性化などの1または2以上の効果を達成することができれば特に限定されず、約1~約49mer、より好ましくは、約15~約30merであってもよい。ここで「mer」とは、TCNAやTNNAを構成する単量体(例えば、ヌクレオチド)の個数を表す。一部の態様において、TCNAは、RISCへの取り込みに適した長さ(例えば、約15mer~約25mer)である。別の態様において、TCNAは、ダイサー基質として適した長さ(例えば約25~約30mer)である。特定の態様において、TCNAは、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30merの長さを有する。
 TCNAは、RNA干渉の誘導に適した配列的特徴を有してもよい。かかる配列的特徴としては、(1)1位がAまたはU、(2)19位がGまたはC、(3)1~7位にAまたはUが4~7個、(4)連続するGまたはCが10個未満、(5)GC含量が30%~52%、(6)1~5位にAまたはUが3個以上、(7)内部反復配列が存在しない、(8)1位がA、(9)17位がA、(10)10位がU、(11)7位がG以外、(12)14位がAまたはU、(13)19位がU以外、(14)1位がGまたはC以外、(15)1位がG以外、およびこれらの組合せなどが挙げられる。また、TCNAは、オフターゲット効果の抑制のため、2位~8位のポリヌクレオチドが相補的な配列を有するポリヌクレオチドと二重鎖を形成した場合に、その融解温度(Tm)が低くなるよう(例えば、約30℃以下、好ましくは約25℃以下、より好ましくは約21.5℃以下となるよう)、2位~8位の配列を設計してもよい。融解温度は、例えば、G/C塩基対の数を減らすことにより低下させることができる。
 TCNAの特定の非限定例としては、表2に記載の配列番号25~31、33~35で表されるヌクレオチド配列を有するものが挙げられる。
 TCNAの別の特定の非限定例としては、表12に記載の配列番号38、表16に記載の配列番号42~43で表されるヌクレオチド配列を有するものが挙げられる。
 TCNAのさらなる特定の非限定例としては、シード領域を含むmiRNA(好ましくは成熟miRNA)のヌクレオチド配列を有するものが挙げられる。
 なお、本明細書において、ヌクレオチド配列上の位置は、特段の記載がない限り5’末端から3’末端の順に記載してある。
 本開示の核酸分子二量体におけるTNNAは、当該核酸分子二量体を構成する鎖の一方であり、TCNAと相補性を有する。相補性の程度は、核酸分子二量体が、RNAサイレンシングやRNA活性化などの1または2以上の作用を発揮できる程度であればよく、必ずしも100%の相補性は必要としない。したがって、TNNAは、TCNAとミスマッチを有してもよい。ミスマッチの個数は、TNNAとTCNAとの結合自由エネルギーにもよるが、1個、2個、3個、4個、5個または6個以上であってよい。ミスマッチはTNNAのどの位置に設けてもよい。一部の態様において、TNNAは、TCNAと100%の相補性を有する(すなわち、ミスマッチの個数は0個である)。別の態様において、TNNAは、TCNAと、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または、少なくとも約99%などの相補性を有する。特定の態様において、TNNAは、TCNAに対し、1個、2個、3個、4個、5個または6個以上のミスマッチを含む。
 TNNAの長さは、本開示の核酸分子二量体がRNAサイレンシングやRNA活性化などの1または2以上の効果を達成することができれば特に限定されず、約2~約49mer、より好ましくは、約9~約30merであってもよい。一部の態様において、TNNAは、TCNAのRISCへの取り込みに適した長さ(例えば、約15~約25mer)である。別の態様において、TNNAは、ダイサー基質として適した長さ(例えば約25~約30mer)である。特定の態様において、TNNAは、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30merの長さを有する。また、TNNAの長さを16mer以下とすることにより、環状のTNNAがヌクレアーゼなどにより切断され、本開示の核酸分子二量体が直鎖状になった場合でも、TNNAによるオフターゲット効果を抑制することができる。
 TNNAの塩基配列は、TCNAと二重鎖を形成するため、TCNAの塩基配列に依存するところが大きいが、環状構造を形成するために、以下のような配列的特徴を有してもよい。例えば、TNNAの塩基配列は、TNNAを環状化したときに環内で二重鎖の形成をもたらすような単純配列の繰り返し、同一塩基の連続、回文構造などが生じないように設計することができる。単純配列の繰り返しは、例えば3回以下、好ましくは2回以下とすることができ、同一塩基の連続は、例えば5個以下、好ましくは4個以下とすることができる。また、環内で対形成可能な塩基数はTNNAの全塩基数の約80%以下、好ましくは約75%以下、より好ましくは約70%以下とすることができ、環内でG/C対形成可能な塩基数はTNNAの全塩基数の約40%以下、好ましくは約35%以下、より好ましくは約30%以下、さらに好ましくは約25%以下とすることができる。環内で最も長い連続した対形成が可能な塩基数はTNNAの全塩基数の約60%以下、好ましくは約55%以下、より好ましくは約50%以下、さらに好ましくは約45%以下とすることができる。環内で対形成可能な塩基の数は、例えば、TNNAの塩基配列を中心で折り返した場合に、対向する塩基の中で互いに相補的なものの数を計数することなどにより決定することができる。
 例えば、塩基数16のTNNAの配列を
01020304050607080910111213141516
(式中、Xnはヌクレオチド、nはヌクレオチドの番号をそれぞれ表す)と表した場合、これを中心(X08とX09との間)で折り返すと、
0102030405060708
1615141312111009
となる。ここで例えば、X02とX15、X04とX13、X05とX12、X06とX11の4対が互いに相補的である場合、環内で対形成可能な塩基数は8個、TNNAの全塩基数の50%となり、環内で最も長い連続した対形成が可能な塩基数は、X04とX13、X05とX12、X06とX11の6個、全塩基数の37.5%となる。
 環状TNNAは、特定の5’および3’末端を有しないため、環内で対形成可能な塩基数などの各数値の最大値は、折り返す位置を1塩基ずつずらしながら、すべての可能な折り返し位置について同様に対形成が可能な塩基数を決定することにより決定することができる。例えば、上記の配列で、折り返し位置を1塩基ずらすと、
0203040506070809
0116151413121110
または
1601020304050607
1514131211100908
となり、この状態で対形成が可能な塩基数を決定する。
 塩基数が奇数であるTNNAについては、例えば塩基数17のTNNAを例にとると、
010203040506070809
1716151413121110
または
0102030405060708
171615141312111009
と折り返し、塩基数が偶数の場合と同様の計数を行うことができる。
 TNNAの特定の非限定例としては、表1に記載の配列番号1~11で表されるヌクレオチド配列を有するものが挙げられる。
 TNNAの別の特定の非限定例としては、表12に記載の配列番号37、表15に記載の配列番号41で表されるヌクレオチド配列を有するものが挙げられる。
 TNNAのさらなる特定の非限定例としては、シード領域を含むmiRNA(好ましくは成熟miRNA)のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有するものが挙げられる。
 本開示の核酸分子二量体において、TCNAは直鎖状である。直鎖状であるとは、TCNAが修飾されたかまたは修飾されていない5’末端と3’末端とを有し、これらの末端同士が共有結合により結合していないことを意味する。また、本開示の核酸分子二量体において、TNNAは環状である。環状であるとは、TNNAを構成するヌクレオチドなどの単量体がすべて互いに結合し、5’末端と3’末端とを有さず、かつ、環状となったTNNA内で二重鎖領域が形成されないことを意味する。なお、環状TNNAは実際には5’末端および3’末端を有しないが、特定の位置で単量体同士の結合が切断され、5’末端および3’末端が形成されたとした箇所(例えば、環状TNNAが、直鎖状TNNAを環状化して得られたものである場合は、環状化される前の直鎖状TNNAにおいて5’末端および3’末端であった箇所)を、便宜上環状TNNAの5’末端および3’末端と称することがある。
 環状TNNAが、直鎖状TNNAを環状化して得られたものである場合、直鎖状TNNAにおいて5’末端および3’末端であった単量体同士は、典型的にはホスホジエステル結合により結合しているが、他の様式で結合していてもよい。他の結合様式としては、例えば、ホスホロチオエート、3’-(または-5’)デオキシ-3’-(または-5’)チオ-ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレネート、3’-(または-5’)デオキシホスフィネート、ボラノホスフェート、3’-(または-5’)デオキシ-3’-(または5’-)アミノホスホルアミデート、水素ホスホネート、ボラノリン酸エステル、ホスホルアミデート、アルキルまたはアリールホスホネート、ホスホトリエステル、リン結合、アミド結合、モルホリノ、2’-5’結合などの修飾されたヌクレオチド間結合、ジスルフィド結合、スペーサーを介した結合などが挙げられる。
 直鎖状環状TNNAの5’末端と3’末端とをスペーサーを介して結合する場合、環状化TNNAとTCNAとをアニーリングしたときに、TNNAのスペーサーが、TCNAに導入されたスペーサーと同様の位置になるか、TCNAと重複しない位置になるよう設計することが好ましい。TCNAと重複しない位置とは、例えば、TCNAが突出を有しない場合は、TCNAの5’末端と3’末端との間、TCNAが5’突出を有する場合は、TCNAの3’末端と5’突出の基部との間、TCNAが3’突出を有する場合は、TCNAの5’末端と3’突出の基部との間、TCNAが両端に突出を有する場合は、TCNAの2つの突出の基部の間などである。スペーサーとしては、無塩基ヌクレオチド、ポリエーテル(例えばポリエチレングリコールなど)、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、グリセリンなどがあげられる。
 直鎖状TNNAの両末端の単量体同士の結合の位置は特に限定されず、環状化されたTNNAの任意の位置に設定することができる。なお、環状TNNAを構成する他の単量体同士の結合と区別するため、上記結合を「末端間結合」と称する場合がある。末端間結合の位置は、例えば、直鎖状TNNAの配列設計により調節することができる。末端間結合は、環状TNNAにおける他の単量体間の結合と同じであっても異なってもよい。
 TNNAが環状であることは、例えば、NMRやAFMなどによるTNNAの立体構造の解析や、エキソヌクレアーゼによる耐性の評価(直鎖状核酸分子との比較)、電気泳動によるバンド位置の解析(直鎖状核酸分子との比較)、TCNAとのアニーリングの評価(二重鎖が形成されていると、適切にアニーリングしない)などにより確認することができる。
 本開示の核酸分子二量体において、TCNAとTNNAとは、少なくとも部分的に二重鎖領域(相補結合領域と称することもある)を形成する。「二重鎖領域」は、相補的か実質的に相補的な2個の核酸分子の核酸残基が、ワトソン-クリック型塩基対形成により水素結合している領域、または、相補的か実質的に相補的な2個の核酸分子が、それらの間での二重鎖を可能にする他の任意の方法によって結合している領域を指す。一部の態様において、二重鎖領域は、TCNAおよび/またはTNNAの全長にわたって形成される。この態様において、例えば、TCNAとTNNAの長さが同じ場合は、TCNAとTNNAの両方の全長にわたって二重鎖領域が形成され、TCNAがTNNAより長い場合は、TNNAの全長にわたって二重鎖領域が形成され、TNNAがTCNAより長い場合は、TCNAの全長にわたって二重鎖領域が形成される。
 別の態様において、二重鎖領域は、両核酸分子の一部に形成される。二重鎖領域内で100%の相補性は必要とされず、実質的な相補性が許容される。実質的な相補性は、生物学的条件下でアニーリングできる核酸分子間の相補性を指す。2個の核酸分子が生物学的条件下でアニーリングができるかを実験的に決定する技法は、当該技術分野において周知である。あるいは、2個の核酸分子を合成し、生物学的条件下で反応させ、これらが互いにアニーリングするかを決定することができる。本開示の核酸分子二量体において、二重鎖領域の長さは、各核酸分子の長さにもよるが、約1~約49mer、約1~約30mer、約15~約30mer等であってよい。特定の態様において、二重鎖領域の長さは、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30mer等であってよい。本開示の核酸分子二量体は、典型的には単一の二重鎖領域を有するが、複数の二重鎖領域を有してもよい。二重鎖領域における核酸残基は、典型的にはすべてワトソン-クリック型塩基対形成により水素結合しているが、水素結合していない核酸残基がバルジループ、内部ループ、ブランチループなどを形成していてもよい。
 一部の態様において、本開示の核酸分子二量体におけるTCNAはTNNAより長く、ニックを形成する。本開示の核酸分子二量体において、TCNAがニックを形成するとは、例えば、TNNA上にTCNAが二重鎖形成を介して重なり、TNNAを覆っていると見たときに、TNNAの連続する2個の単量体の間の結合が、TCNAにより覆われていないことを意味する。ニックの非限定例は、例えば、図1のA1におけるTCNAの3’末端のヌクレオチドと、5’突出の基部のヌクレオチドとの間の間隙、図1のB1におけるTCNAの5’末端のヌクレオチドと、3’突出の基部のヌクレオチドとの間の間隙、図1のC3におけるTCNAの5’突出の基部のヌクレオチドと、3’突出の基部のヌクレオチドとの間の間隙、図1のD1におけるTCNAの5’末端のヌクレオチドと、3’末端のヌクレオチドとの間の間隙などが挙げられる。
 この態様において、TCNAの5’末端部分と3’末端部分とが二重鎖(ステム)を形成しないこと、TCNAがバルジループおよび/またはブランチループを形成しないこと、TCNAとTNNAとが内部ループを形成しないこと、および/または、TCNAがギャップを形成しないことが好ましい。本開示の核酸分子二量体において、TCNAがギャップを形成するとは、例えば、TNNAの連続する3個以上のヌクレオチドで形成される領域の各端に位置するヌクレオチドに対してTCNAの2個のヌクレオチドが塩基対を形成しているときに、このTCNAの2個のヌクレオチド同士が互いに結合していないこと、また、TNNA上にTCNAが二重鎖形成を介して重なり、TNNAを覆っていると見たときに、TNNAの連続する3個以上の単量体の間の結合が、TCNAにより覆われていないことを意味する。ギャップの非限定例は、例えば、図1のG3におけるTCNAの3’突出の基部のヌクレオチドと、5’末端のヌクレオチドとの間の間隙などが挙げられる。一態様において、TCNAは、その5’末端部分および3’末端部分の少なくとも一方が突出を形成する。突出の長さは、限定されずに、例えば、1~10mer、1~5mer、1~3merなど、より具体的には、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10mer等であってよい。突出は、TCNAの5’および/または3’末端に、TNNAとミスマッチなヌクレオチドを設けることなどにより形成することができる。
 特定の態様において、TCNAがTNNAより長い本開示の核酸分子二量体は、17merのTCNAと16merのTNNA、18merのTCNAと16merのTNNA、19merのTCNAと16merのTNNA、20merのTCNAと16merのTNNA、21merのTCNAと16merのTNNA、22merのTCNAと16merのTNNA、23merのTCNAと16merのTNNA、24merのTCNAと16merのTNNA、25merのTCNAと16merのTNNA、26merのTCNAと16merのTNNA、27merのTCNAと16merのTNNA、28merのTCNAと16merのTNNA、29merのTCNAと16merのTNNA、30merのTCNAと16merのTNNA、18merのTCNAと17merのTNNA、19merのTCNAと17merのTNNA、20merのTCNAと17merのTNNA、21merのTCNAと17merのTNNA、22merのTCNAと17merのTNNA、23merのTCNAと17merのTNNA、24merのTCNAと17merのTNNA、25merのTCNAと17merのTNNA、26merのTCNAと17merのTNNA、27merのTCNAと17merのTNNA、28merのTCNAと17merのTNNA、29merのTCNAと17merのTNNA、30merのTCNAと17merのTNNA、19merのTCNAと18merのTNNA、20merのTCNAと18merのTNNA、21merのTCNAと18merのTNNA、22merのTCNAと18merのTNNA、23merのTCNAと18merのTNNA、24merのTCNAと18merのTNNA、25merのTCNAと18merのTNNA、26merのTCNAと18merのTNNA、27merのTCNAと18merのTNNA、28merのTCNAと18merのTNNA、29merのTCNAと18merのTNNA、30merのTCNAと18merのTNNA、20merのTCNAと19merのTNNA、21merのTCNAと19merのTNNA、22merのTCNAと19merのTNNA、23merのTCNAと19merのTNNA、24merのTCNAと19merのTNNA、25merのTCNAと19merのTNNA、26merのTCNAと19merのTNNA、27merのTCNAと19merのTNNA、28merのTCNAと19merのTNNA、29merのTCNAと19merのTNNA、30merのTCNAと19merのTNNA、21merのTCNAと20merのTNNA、22merのTCNAと20merのTNNA、23merのTCNAと20merのTNNA、24merのTCNAと20merのTNNA、25merのTCNAと20merのTNNA、26merのTCNAと20merのTNNA、27merのTCNAと20merのTNNA、28merのTCNAと20merのTNNA、29merのTCNAと20merのTNNA、30merのTCNAと20merのTNNA、22merのTCNAと21merのTNNA、23merのTCNAと21merのTNNA、24merのTCNAと21merのTNNA、25merのTCNAと21merのTNNA、26merのTCNAと21merのTNNA、27merのTCNAと21merのTNNA、28merのTCNAと21merのTNNA、29merのTCNAと21merのTNNA、30merのTCNAと21merのTNNA、23merのTCNAと22merのTNNA、24merのTCNAと22merのTNNA、25merのTCNAと22merのTNNA、26merのTCNAと22merのTNNA、27merのTCNAと22merのTNNA、28merのTCNAと22merのTNNA、29merのTCNAと22merのTNNA、30merのTCNAと22merのTNNA、24merのTCNAと23merのTNNA、25merのTCNAと23merのTNNA、26merのTCNAと23merのTNNA、27merのTCNAと23merのTNNA、28merのTCNAと23merのTNNA、29merのTCNAと23merのTNNA、30merのTCNAと23merのTNNA、25merのTCNAと24merのTNNA、26merのTCNAと24merのTNNA、27merのTCNAと24merのTNNA、28merのTCNAと24merのTNNA、29merのTCNAと24merのTNNA、30merのTCNAと24merのTNNA、26merのTCNAと25merのTNNA、27merのTCNAと25merのTNNA、28merのTCNAと25merのTNNA、29merのTCNAと25merのTNNA、30merのTCNAと25merのTNNA、27merのTCNAと26merのTNNA、28merのTCNAと26merのTNNA、29merのTCNAと26merのTNNA、30merのTCNAと26merのTNNA、28merのTCNAと27merのTNNA、29merのTCNAと27merのTNNA、30merのTCNAと27merのTNNA、29merのTCNAと28merのTNNA、30merのTCNAと28merのTNNA、または、30merのTCNAと29merのTNNAとを含む。
 本開示の核酸分子二量体の、TCNAがTNNAより長く、TCNAの5’末端部分または3’末端部分のいずれか1つが突出を形成する態様におけるTCNAとTNNAとの関係を以下に構造式で示す。式中、Yは突出部を形成するヌクレオチド(非修飾ヌクレオチドおよび修飾ヌクレオチドを包含する。以下同様)、Xは二重鎖領域を形成するヌクレオチド、数字はヌクレオチドの数を表す。また、mは1~10、好ましくは1~5、nは5~39、好ましくは14~29、oは1~10、好ましくは1~5、n’は5~38、好ましくは14~28、ただし、m+n、n+oおよびm+n’+oは、それぞれ独立して15~49、好ましくは15~30である。なお、環状化TNNAは、便宜上5’末端および3’末端を有するかのように記載されているが、実際には、上述のとおり5’末端と3’末端とは共有結合により結合され、末端は存在しない。これは、以下の同様の構造式においても該当する。
(A)5’突出型
5’ Y 3’(直鎖状TCNA)
3’    5’(環状TNNA)
(B)3’突出型
5’ X 3’(直鎖状TCNA)
3’ X   5’(環状TNNA)
(C)5’および3’突出型
5’ Yn’ 3’(直鎖状TCNA)
3’   n’   5’(環状TNNA)
 本開示の核酸分子二量体の一部の好ましい態様におけるTCNAとTNNAとの関係を以下に示す。なお、Yは突出部を形成するヌクレオチド、Xは二重鎖領域を形成するヌクレオチド、上段は直鎖状TCNA、下段は環状TNNAを表す。また、図1にA1、B1、C3の模式図を示す。
(A1)5’突出型、TCNA19mer、TNNA16mer
5’ YYYXXXXXXXXXXXXXXXX 3’
3’    XXXXXXXXXXXXXXXX 5’
(A2)5’突出型、TCNA20mer、TNNA16mer
5’ YYYYXXXXXXXXXXXXXXXX 3’
3’     XXXXXXXXXXXXXXXX 5’
(A3)5’突出型、TCNA21mer、TNNA16mer
5’ YYYYYXXXXXXXXXXXXXXXX 3’
3’      XXXXXXXXXXXXXXXX 5’
(A4)5’突出型、TCNA22mer、TNNA16mer
5’ YYYYYYXXXXXXXXXXXXXXXX 3’
3’       XXXXXXXXXXXXXXXX 5’
(A5)5’突出型、TCNA23mer、TNNA16mer
5’ YYYYYYYXXXXXXXXXXXXXXXX 3’
3’        XXXXXXXXXXXXXXXX 5’
(A6)5’突出型、TCNA24mer、TNNA16mer
5’ YYYYYYYYXXXXXXXXXXXXXXXX 3’
3’         XXXXXXXXXXXXXXXX 5’
(A7)5’突出型、TCNA25mer、TNNA16mer
5’ YYYYYYYYYXXXXXXXXXXXXXXXX 3’
3’          XXXXXXXXXXXXXXXX 5’
(A8)5’突出型、TCNA20mer、TNNA19mer
5’ YXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 3’
3’  XXXXXXXXXXXXXXXXXXX 5’
(A9)5’突出型、TCNA21mer、TNNA19mer
5’ YYXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 3’
3’   XXXXXXXXXXXXXXXXXXX 5’
(A10)5’突出型、TCNA22mer、TNNA19mer
5’ YYYXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 3’
3’    XXXXXXXXXXXXXXXXXXX 5’
(A11)5’突出型、TCNA23mer、TNNA19mer
5’ YYYYXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 3’
3’     XXXXXXXXXXXXXXXXXXX 5’
(A12)5’突出型、TCNA24mer、TNNA19mer
5’ YYYYYXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 3’
3’      XXXXXXXXXXXXXXXXXXX 5’
(A13)5’突出型、TCNA25mer、TNNA19mer
5’ YYYYYYXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 3’
3’       XXXXXXXXXXXXXXXXXXX 5’
(B1)3’突出型、TCNA19mer、TNNA16mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXYYY 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXX    5’
(B2)3’突出型、TCNA20mer、TNNA16mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXYYYY 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXX     5’
(B3)3’突出型、TCNA21mer、TNNA16mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXYYYYY 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXX      5’
(B4)3’突出型、TCNA22mer、TNNA16mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXYYYYYY 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXX       5’
(B5)3’突出型、TCNA23mer、TNNA16mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXYYYYYYY 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXX        5’
(B6)3’突出型、TCNA24mer、TNNA16mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXYYYYYYYY 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXX         5’
(B7)3’突出型、TCNA25mer、TNNA16mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXYYYYYYYYY 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXX          5’
(B8)3’突出型、TCNA20mer、TNNA19mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXY 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXX  5’
(B9)3’突出型、TCNA21mer、TNNA19mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXYY 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXX   5’
(B10)3’突出型、TCNA22mer、TNNA19mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXYYY 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXX    5’
(B11)3’突出型、TCNA23mer、TNNA19mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXYYYY 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXX     5’
(B12)3’突出型、TCNA24mer、TNNA19mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXYYYYY 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXX      5’
(B13)3’突出型、TCNA25mer、TNNA19mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXYYYYYY 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXX       5’
(C1)5’および3’突出型、TCNA19mer、TNNA16mer
5’ YXXXXXXXXXXXXXXXXYY 3’
3’  XXXXXXXXXXXXXXXX   5’
(C2)5’および3’突出型、TCNA20mer、TNNA16mer
5’ YYXXXXXXXXXXXXXXXXYY 3’
3’   XXXXXXXXXXXXXXXX   5’
(C3)5’および3’突出型、TCNA21mer、TNNA16mer
5’ YYXXXXXXXXXXXXXXXXYYY 3’
3’   XXXXXXXXXXXXXXXX    5’
(C4)5’および3’突出型、TCNA22mer、TNNA16mer
5’ YYYXXXXXXXXXXXXXXXXYYY 3’
3’    XXXXXXXXXXXXXXXX    5’
(C5)5’および3’突出型、TCNA23mer、TNNA16mer
5’ YYYXXXXXXXXXXXXXXXXYYYY 3’
3’    XXXXXXXXXXXXXXXX     5’
(C6)5’および3’突出型、TCNA24mer、TNNA16mer
5’ YYYYXXXXXXXXXXXXXXXXYYYY 3’
3’     XXXXXXXXXXXXXXXX     5’
(C7)5’および3’突出型、TCNA25mer、TNNA16mer
5’ YYYYXXXXXXXXXXXXXXXXYYYYY 3’
3’     XXXXXXXXXXXXXXXX      5’
(C8)5’および3’突出型、TCNA21mer、TNNA19mer
5’ YXXXXXXXXXXXXXXXXXXXY 3’
3’  XXXXXXXXXXXXXXXXXXX  5’
(C9)5’および3’突出型、TCNA22mer、TNNA19mer
5’ YXXXXXXXXXXXXXXXXXXXYY 3’
3’  XXXXXXXXXXXXXXXXXXX   5’
(C10)5’および3’突出型、TCNA23mer、TNNA19mer
5’ YYXXXXXXXXXXXXXXXXXXXYY 3’
3’   XXXXXXXXXXXXXXXXXXX   5’
(C11)5’および3’突出型、TCNA24mer、TNNA19mer
5’ YYXXXXXXXXXXXXXXXXXXXYYY 3’
3’   XXXXXXXXXXXXXXXXXXX    5’
(C12)5’および3’突出型、TCNA25mer、TNNA19mer
5’ YYYXXXXXXXXXXXXXXXXXXXYYY 3’
3’    XXXXXXXXXXXXXXXXXXX    5’
 特定の理論に縛られることは望まないが、上記のようにTCNAがTNNAより長い態様は、TNNAがヌクレアーゼなどにより切断され、核酸分子二量体が直鎖状になった場合でも、TCNAのRISCへの取り込みがTNNAよりも選好され、TNNAによるオフターゲット効果が回避されることが考えられる。
 一部の態様において、本開示の核酸分子二量体におけるTCNAはTNNAと同じ長さであり、TCNAがニックを形成する。したがって、この態様において、TCNAは突出、ギャップ、バルジループおよびブランチループのいずれも形成せず、TCNAがそれ自体で二重鎖を形成することもない。TCNAとTNNAとが内部ループを形成しないことが好ましい。特定の態様において、TCNAがTNNAと同じ長さである本開示の核酸分子二量体は、17merのTCNAと17merのTNNA、18merのTCNAと18merのTNNA、19merのTCNAと19merのTNNA、20merのTCNAと20merのTNNA、21merのTCNAと21merのTNNA、22merのTCNAと22merのTNNA、23merのTCNAと23merのTNNA、24merのTCNAと24merのTNNA、25merのTCNAと25merのTNNA、26merのTCNAと26merのTNNA、27merのTCNAと27merのTNNA、28merのTCNAと28merのTNNA、29merのTCNAと29merのTNNA、または、30merのTCNAと30merのTNNAとを含む。
 TCNAがTNNAと同じ長さであり、ニックを形成する、本開示の核酸分子二量体の一部の好ましい態様におけるTCNAとTNNAとの関係を以下に示す。Xは二重鎖領域を形成するヌクレオチド、上段は直鎖状TCNA、下段は環状TNNAを表す。また、図1にD1の模式図を示す。
(D1)TCNA18mer、TNNA18mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXXX 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXXX 5’
(D2)TCNA19mer、TNNA19mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXX 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXX 5’
(D3)TCNA20mer、TNNA20mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 5’
(D4)TCNA21mer、TNNA21mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 5’
(D5)TCNA22mer、TNNA22mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 5’
(D6)TCNA23mer、TNNA23mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 5’
(D7)TCNA24mer、TNNA24mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 5’
(D8)TCNA25mer、TNNA25mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 5’
 一部の態様において、本開示の核酸分子二量体におけるTCNAはギャップを形成する。ギャップの長さは、限定されずに、例えば、1~10mer、1~5mer、1~3merなど、より具体的には、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10merなどであってよい。TCNAの長さは、TNNAより長くても、TNNAより短くても、または、TNNAと同じであってもよい。TCNAは、その5’末端部分または3’末端部分のいずれか1つが突出を形成してもよい。突出の長さは、限定されずに、例えば、1~10mer、1~5mer、1~3merなど、より具体的には、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10merなどであってよい。TCNAの長さがTNNAより長いか、TNNAと同じ場合、TCNAの5’末端部分および/または3’末端部分は通常突出を形成する。この態様において、TCNAの5’末端部分と3’末端部分が二重鎖を形成しないこと、および、TCNAがバルジループおよび/またはブランチループを形成しないこと、TCNAとTNNAとが内部ループを形成しないことが好ましい。
 特定の態様において、TCNAがTNNAより短い本開示の核酸分子二量体は、17merのTNNAと16merのTCNA、18merのTNNAと16merのTCNA、19merのTNNAと16merのTCNA、20merのTNNAと16merのTCNA、21merのTNNAと16merのTCNA、22merのTNNAと16merのTCNA、23merのTNNAと16merのTCNA、24merのTNNAと16merのTCNA、25merのTNNAと16merのTCNA、26merのTNNAと16merのTCNA、27merのTNNAと16merのTCNA、28merのTNNAと16merのTCNA、29merのTNNAと16merのTCNA、30merのTNNAと16merのTCNA、18merのTNNAと17merのTCNA、19merのTNNAと17merのTCNA、20merのTNNAと17merのTCNA、21merのTNNAと17merのTCNA、22merのTNNAと17merのTCNA、23merのTNNAと17merのTCNA、24merのTNNAと17merのTCNA、25merのTNNAと17merのTCNA、26merのTNNAと17merのTCNA、27merのTNNAと17merのTCNA、28merのTNNAと17merのTCNA、29merのTNNAと17merのTCNA、30merのTNNAと17merのTCNA、19merのTNNAと18merのTCNA、20merのTNNAと18merのTCNA、21merのTNNAと18merのTCNA、22merのTNNAと18merのTCNA、23merのTNNAと18merのTCNA、24merのTNNAと18merのTCNA、25merのTNNAと18merのTCNA、26merのTNNAと18merのTCNA、27merのTNNAと18merのTCNA、28merのTNNAと18merのTCNA、29merのTNNAと18merのTCNA、30merのTNNAと18merのTCNA、20merのTNNAと19merのTCNA、21merのTNNAと19merのTCNA、22merのTNNAと19merのTCNA、23merのTNNAと19merのTCNA、24merのTNNAと19merのTCNA、25merのTNNAと19merのTCNA、26merのTNNAと19merのTCNA、27merのTNNAと19merのTCNA、28merのTNNAと19merのTCNA、29merのTNNAと19merのTCNA、30merのTNNAと19merのTCNA、21merのTNNAと20merのTCNA、22merのTNNAと20merのTCNA、23merのTNNAと20merのTCNA、24merのTNNAと20merのTCNA、25merのTNNAと20merのTCNA、26merのTNNAと20merのTCNA、27merのTNNAと20merのTCNA、28merのTNNAと20merのTCNA、29merのTNNAと20merのTCNA、30merのTNNAと20merのTCNA、22merのTNNAと21merのTCNA、23merのTNNAと21merのTCNA、24merのTNNAと21merのTCNA、25merのTNNAと21merのTCNA、26merのTNNAと21merのTCNA、27merのTNNAと21merのTCNA、28merのTNNAと21merのTCNA、29merのTNNAと21merのTCNA、30merのTNNAと21merのTCNA、23merのTNNAと22merのTCNA、24merのTNNAと22merのTCNA、25merのTNNAと22merのTCNA、26merのTNNAと22merのTCNA、27merのTNNAと22merのTCNA、28merのTNNAと22merのTCNA、29merのTNNAと22merのTCNA、30merのTNNAと22merのTCNA、24merのTNNAと23merのTCNA、25merのTNNAと23merのTCNA、26merのTNNAと23merのTCNA、27merのTNNAと23merのTCNA、28merのTNNAと23merのTCNA、29merのTNNAと23merのTCNA、30merのTNNAと23merのTCNA、25merのTNNAと24merのTCNA、26merのTNNAと24merのTCNA、27merのTNNAと24merのTCNA、28merのTNNAと24merのTCNA、29merのTNNAと24merのTCNA、30merのTNNAと24merのTCNA、26merのTNNAと25merのTCNA、27merのTNNAと25merのTCNA、28merのTNNAと25merのTCNA、29merのTNNAと25merのTCNA、30merのTNNAと25merのTCNA、27merのTNNAと26merのTCNA、28merのTNNAと26merのTCNA、29merのTNNAと26merのTCNA、30merのTNNAと26merのTCNA、28merのTNNAと27merのTCNA、29merのTNNAと27merのTCNA、30merのTNNAと27merのTCNA、29merのTNNAと28merのTCNA、30merのTNNAと28merのTCNA、または、30merのTNNAと29merのTCNAとを含む。TCNAがTNNAより長い本開示の核酸分子二量体およびTCNAがTNNAと同じ長さである本開示の核酸分子二量体の特定の態様については上記に記載したとおりである。
 本開示の核酸分子二量体の、TCNAがギャップを形成する態様におけるTCNAとTNNAとの関係を以下に構造式で示す。式中、Yは突出部を形成するヌクレオチド、Xは二重鎖領域を形成するヌクレオチド、ZはTCNAによるギャップの形成によりTCNAのヌクレオチドと塩基対を形成しないTNNAのヌクレオチド、数字はヌクレオチドの数を表す。また、mは1~10、好ましくは1~5、nは5~39、好ましくは14~29、oは1~10、好ましくは1~5、n’は5~38、好ましくは14~28、pは1~10、好ましくは1~5、qは1~11、好ましくは1~6、ただし、m+n、n+o、m+n’+o、n+pおよびn’+qは、それぞれ独立して15~49、好ましくは15~30である。なお、ZpおよびZqは便宜上TNNAの5’側に記載したが、上記のとおり実際の環状TNNAには5’末端も3’末端も存在しないため、ZpおよびZqは3’末端に位置していると見ることもできる。
(E)ギャップ・非突出型
5’ X   3’(直鎖状TCNA)
3’ X 5’(環状TNNA)
(F)ギャップ・5’突出型
5’ Y   3’(直鎖状TCNA)
3’    5’(環状TNNA)
(G)ギャップ・3’突出型
5’ X 3’(直鎖状TCNA)
3’ X 5’(環状TNNA)
(H)ギャップ・5’および3’突出型
5’ Yn’ 3’(直鎖状TCNA)
3’   n’ 5’(環状TNNA)
 本開示の核酸分子二量体の一部の好ましい態様におけるTCNAとTNNAとの関係を以下に示す。なお、Yは突出部を形成するヌクレオチド、Xは二重鎖領域を形成するヌクレオチド、ZはTCNAによるギャップの形成によりTCNAのヌクレオチドと塩基対を形成しないTNNAのヌクレオチド、上段は直鎖状TCNA、下段は環状TNNAを表す。また、図1にG3の模式図を示す。
(E1)ギャップ・非突出型、TCNA19mer、TNNA21mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXX   3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXZZ 5’
(E2)ギャップ・非突出型、TCNA19mer、TNNA23mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXX     3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXZZZZ 5’
(E3)ギャップ・非突出型、TCNA19mer、TNNA25mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXX       3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXZZZZZZ 5’
(E4)ギャップ・非突出型、TCNA21mer、TNNA23mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX   3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXZZ 5’
(E5)ギャップ・非突出型、TCNA21mer、TNNA25mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX     3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXZZZZ 5’
(F1)ギャップ・5’突出型、TCNA19mer、TNNA19mer
5’ YYYXXXXXXXXXXXXXXXX    3’
3’    XXXXXXXXXXXXXXXXZZZ 5’
(F2)ギャップ・5’突出型、TCNA19mer、TNNA18mer
5’ YYYXXXXXXXXXXXXXXXX   3’
3’    XXXXXXXXXXXXXXXXZZ 5’
(F3)ギャップ・5’突出型、TCNA19mer、TNNA16mer
5’ YYYYXXXXXXXXXXXXXXX  3’
3’     XXXXXXXXXXXXXXXZ 5’
(F4)ギャップ・5’突出型、TCNA21mer、TNNA21mer
5’ YYYXXXXXXXXXXXXXXXXXX    3’
3’    XXXXXXXXXXXXXXXXXXZZZ 5’
(F5)ギャップ・5’突出型、TCNA21mer、TNNA19mer
5’ YYYXXXXXXXXXXXXXXXXXX  3’
3’    XXXXXXXXXXXXXXXXXXZ 5’
(F6)ギャップ・5’突出型、TCNA21mer、TNNA18mer
5’ YYYYXXXXXXXXXXXXXXXXX  3’
3’     XXXXXXXXXXXXXXXXXZ 5’
(F7)ギャップ・5’突出型、TCNA21mer、TNNA16mer
5’ YYYYYYXXXXXXXXXXXXXXX  3’
3’       XXXXXXXXXXXXXXXZ 5’
(G1)ギャップ・3’突出型、TCNA19mer、TNNA19mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXYYY 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXZZZ 5’
(G2)ギャップ・3’突出型、TCNA19mer、TNNA18mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXYYY 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXZZ  5’
(G3)ギャップ・3’突出型、TCNA19mer、TNNA16mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXYYYY 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXZ    5’
(G4)ギャップ・3’突出型、TCNA21mer、TNNA21mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXYYY 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXZZZ 5’
(G5)ギャップ・3’突出型、TCNA21mer、TNNA19mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXYYY 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXXXZ   5’
(G6)ギャップ・3’突出型、TCNA21mer、TNNA18mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXXXYYYY 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXXXZ    5’
(G7)ギャップ・3’突出型、TCNA21mer、TNNA16mer
5’ XXXXXXXXXXXXXXXYYYYYY 3’
3’ XXXXXXXXXXXXXXXZ      5’
(H1)ギャップ・5’および3’突出型、TCNA19mer、TNNA19mer
5’ YXXXXXXXXXXXXXXXXYY  3’
3’  XXXXXXXXXXXXXXXXZZZ 5’
(H2)ギャップ・5’および3’突出型、TCNA19mer、TNNA18mer
5’ YYXXXXXXXXXXXXXXXYY  3’
3’   XXXXXXXXXXXXXXXZZZ 5’
(H3)ギャップ・5’および3’突出型、TCNA19mer、TNNA16mer
5’ YYXXXXXXXXXXXXXXYYY 3’
3’   XXXXXXXXXXXXXXZZ  5’
(H4)ギャップ・5’および3’突出型、TCNA21mer、TNNA21mer
5’ YXXXXXXXXXXXXXXXXXXYY  3’
3’  XXXXXXXXXXXXXXXXXXZZZ 5’
(H5)ギャップ・5’および3’突出型、TCNA21mer、TNNA19mer
5’ YYXXXXXXXXXXXXXXXXXYY 3’
3’   XXXXXXXXXXXXXXXXXZZ 5’
(H6)ギャップ・5’および3’突出型、TCNA21mer、TNNA18mer
5’ YYXXXXXXXXXXXXXXXXXYY 3’
3’   XXXXXXXXXXXXXXXXXZ  5’
(H7)ギャップ・5’および3’突出型、TCNA21mer、TNNA16mer
5’ YYYXXXXXXXXXXXXXXXYYY 3’
3’    XXXXXXXXXXXXXXXZ   5’
 本開示の核酸分子二量体のTCNAおよびTNNAは、非修飾ヌクレオチドおよび/または修飾ヌクレオチドを含んでいてもよい。本明細書において、非修飾ヌクレオチドおよび修飾ヌクレオチドを、単に「ヌクレオチド」と総称することがある。非修飾ヌクレオチドは、天然に存在するDNAやRNAを構成するヌクレオチド、すなわち、核酸塩基(アデニン、グアニン、ウラシル、チミン、シトシン)と、糖(リボース、デオキシリボース)と、リン酸基とから構成されるものを指す。非修飾ヌクレオチドで構成される非修飾核酸分子において、隣接する2個の非修飾ヌクレオチド同士は通常ホスホジエステル結合により一方の非修飾ヌクレオチドの3’位と他方の非修飾ヌクレオチドの5’位が連結されている。非修飾ヌクレオチドは、非修飾リボヌクレオチドであっても、非修飾デオキシリボヌクレオチドであってもよく、非修飾核酸分子は、非修飾リボヌクレオチドのみ、非修飾デオキシリボヌクレオチドのみ、または、非修飾リボヌクレオチドおよび非修飾デオキシリボヌクレオチドの両方で構成されていてもよい。
 修飾ヌクレオチドは、非修飾ヌクレオチドに対して化学的修飾を含むヌクレオチドを指す。修飾ヌクレオチドは、人工的に合成したものであっても、天然に存在するものであってもよい。修飾ヌクレオチドは、その核酸塩基、糖、バックボーン(ヌクレオチド間結合)、5’末端および/または3’末端が修飾されたものを包含する。修飾ヌクレオチドは、上記部位のいずれか1つが修飾されたもののほか、上記部位の2つ以上が修飾されたものも含む。
 核酸塩基に対する修飾としては、限定されずに、例えば、2,4-ジフルオロトルイル、2,6-ジアミノ、5-ブロモ、5-ヨード、2-チオ、ジヒドロ、5-プロピニル、および、5-メチル修飾、脱塩基などが挙げられる。また、修飾核酸塩基としては、限定されずに、例えば、キサンチン、ヒポキサンチン、イノシン、2-アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6-メチル誘導体および他のアルキル誘導体、ユニバーサル塩基、アデニンおよびグアニンの2-プロピル誘導体および他のアルキル誘導体、5-ハロウラシルおよび5-ハロシトシン、5-プロピニルウラシルおよび5-プロピニルシトシン、6-アゾウラシル、6-アゾシトシンおよび6-アゾチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、アミノ、チオール、チオアルキル、ヒドロキシルおよび他の8-置換アデニンおよびグアニン、5-トリフルオロメチルおよび他の5-置換ウラシルおよび5-置換シトシン、7-メチルグアニン、アシクロヌクレオチド、デアザプリン、プリンおよびピリミジンの複素環置換アナログ、例えばアミノエチオキシフェノキサジン、プリンおよびピリミジンの誘導体(例えば1-アルキル誘導体、1-アルケニル誘導体、複素芳香環誘導体および1-アルキニル誘導体)およびその互変異性体、8-オキソ-N6-メチルアデニン、7-ジアザキサンチン、5-メチルシトシン、5-メチルウラシル、5(1-プロピニル)ウラシル、5-(1-プロピニル)シトシン、4,4-エタノシトシン、非プリン塩基および非ピリミジン塩基、例えば2-アミノピリジンおよびトリアジン、無塩基ヌクレオチド、デオキシ無塩基ヌクレオチド、逆位無塩基ヌクレオチド、逆位デオキシ無塩基ヌクレオチドなどが挙げられる。
 糖に対する修飾としては、限定されずに、2’位の修飾、例えば、2’-O-アルキル修飾(例えば、2’-O-メチル修飾、2’-O-エチル修飾等)、2’-メトキシエトキシ修飾、2’-メトキシエチル修飾、2’-デオキシ修飾、2’-ハロゲン修飾(2’-フルオロ修飾、2’-クロロ修飾、2’-ブロモ修飾等)、2’-O-アリル修飾、2’-アミノ修飾、2’-S-アルキル修飾、2’-O-[2(メチルアミノ)-2-オキソエチル]修飾、2’-アルコキシ修飾、2’-O-2-メトキシエチル、2’-アリルオキシ(-OCHCH=CH)、2’-プロパルギル、2’-プロピル、2’-O-(N-メチルカルバメート)修飾、2’-O-(2,4-ジニトロフェニル)修飾、2’-デオキシ-2’-フルオロ-β-D-アラビノ修飾など、4’位の修飾、例えば、4’チオ修飾、4’-C-ヒドロキシメチル修飾など、その他、エチニル、エテニル、プロペニル、CF、シアノ、イミダゾール、カルボキシレート、チオエート、C~C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリルまたはアラルキル、OCF、OCN、O-、S-またはN-アルキル、O-、S-またはN-アルケニル、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノまたは置換シリルなどが挙げられる。上記以外の修飾糖としては、例えば、ロックド核酸(LNA)、オキセタン-LNA(OXE)、アンロックド核酸(UNA)、エチレン架橋核酸(ENA)、アルトリトール核酸(ANA)、ヘキシトール核酸(HNA)などが挙げられる。
 本開示において、アルキル基は、飽和脂肪族基を含み、これは直鎖アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなど)、分枝鎖アルキル基(イソプロピル、tert-ブチル、イソブチルなど)、シクロアルキル(脂環式)基(シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキル置換シクロアルキル基を含む。一部の態様において、直鎖または分枝鎖アルキルはその骨格に6個またはそれ未満の炭素原子を有し(例えば、直鎖についてはC~C、分枝鎖についてはC~C)、より好ましくは4個またはそれ未満の炭素原子を有する。同様に、好ましいシクロアルキルは、その環構造中に3~8個の炭素原子を有してもよく、より好ましくは5個または6個の炭素を環構造中に有してもよい。用語C~Cは、1~6個の炭素原子を含有するアルキル基を含む。アルキル基は、置換アルキル基、例えば、炭化水素骨格の1個または2個以上の炭素上で水素に置換する置換基を有するアルキル部分であってもよい。かかる置換基は、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、硫酸塩、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは、芳香族部分または複素環式芳香族部分を含んでもよい。
 本開示において、アルコキシ基は、酸素原子に共有結合的に連結した、置換および非置換アルキル、アルケニルおよびアルキニル基を含む。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、ブトキシおよびペントキシ基を含む。置換アルコキシ基の例は、ハロゲン化アルコキシ基を含む。アルコキシ基は、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、硫酸塩、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族部分または複素環式芳香族部分で置換されていてもよい。ハロゲン置換アルコキシ基の例は、限定されずに、フルオロメトキシに、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシなどを含む。
 本開示において、ハロゲンは、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素を含む。
 修飾バックボーンとしては、限定されずに、例えば、ホスホロチオエート、チオリン酸-D-リボース体、トリエステル、チオエート、2’-5’結合(5’-2’または2’5’ヌクレオチドまたは2’5’リボヌクレオチドとも称する)、PACE、PNA、3’-(または-5’)デオキシ-3’-(または-5’)チオ-ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレネート、3’-(または-5’)デオキシホスフィネート、ボラノホスフェート、3’-(または-5’)デオキシ-3’-(または5’-)アミノホスホルアミデート、水素ホスホネート、ホスホネート、ボラノリン酸エステル、ホスホルアミデート、アルキルまたはアリールホスホネートおよびホスホトリエステル修飾、アルキルホスホトリエステル、ホスホトリエステルリン結合、5’-エトキシホスホジエステル、P-アルキルオキシホスホトリエステル、メチルホスホネートなど、および非リン含有結合、例えば、炭酸塩、カルバメート、シリル、硫黄、スルホネート、スルホンアミド、ホルムアセタール、チオホルムアセチル、オキシム、メチレンイミノ、メチレンメチルイミノ、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾおよびメチレンオキシメチルイミノなどが挙げられる。
 5’末端および/または3’末端修飾としては、例えば、5’末端および/または3’末端へのキャッピング部分の付加や、5’末端および/または3’末端のリン酸基の修飾、例えば、[3~3’]-逆位デオキシリボース、デオキシリボヌクレオチド、[5’-3’]-3’-デオキシリボヌクレオチド、[5’-3’]-リボヌクレオチド、[5’-3’]-3’-O-メチルリボヌクレオチド、3’-グリセリル、[3’-5’]-3’-デオキシリボヌクレオチド、[3’-3’]-デオキシリボヌクレオチド、[5’-2’]-デオキシリボヌクレオチドおよび[5-3’]-ジデオキシリボヌクレオチドなどが挙げられる。キャッピング部分の非限定例としては、例えば、無塩基ヌクレオチド、デオキシ無塩基ヌクレオチド、逆位(デオキシ)無塩基ヌクレオチド、炭化水素(アルキル)部分およびその誘導体、ミラーヌクレオチド(L-DNAまたはL-RNA)、LNAおよびエチレン架橋核酸を含む架橋核酸、結合修飾ヌクレオチド(例えばPACE)および塩基修飾ヌクレオチド、グリセリル、ジヌクレオチド、非環式ヌクレオチド、アミノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、CN、CF、メトキシ、イミダゾール、カルボキシレート、チオエート、C~C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリルまたはアラルキル、OCF、OCN、O-、S-またはN-アルキル、O-、S-またはN-アルケニル、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノまたは置換シリルなどが挙げられる。キャッピング部分は、非ヌクレオチド突出として機能することもできる。
 本開示における修飾ヌクレオチドには、2’-デオキシリボヌクレオチド、2’-O-メチルリボヌクレオチド、2’-デオキシ-2’-フルオロリボヌクレオチド、ユニバーサル塩基ヌクレオチド、非環式ヌクレオチド、5-C-メチルヌクレオチド、ビオチン基、および末端グリセリルおよび/または逆位デオキシ無塩基残基を含むヌクレオチド、立体障害分子、例えば、蛍光分子などを含むヌクレオチド、3’-デオキシアデノシン(コルジセピン)、3’-アジド-3’-デオキシチミジン(AZT)、2’,3’-ジデオキシイノシン(ddI)、2’,3’-ジデオキシ-3’-チアシチジン(3TC)、2’,3’-ジデヒドロ-2’,3’-ジデオキシチミジン(d4T)、および3’-アジド-3’-デオキシチミジン(AZT)、2’,3’-ジデオキシ-3’-チアシチジン(3TC)または2’,3’-ジデヒドロ-2’,3’-ジデオキシチミジン(d4T)を含むヌクレオチド、ノーザンコンフォメーションを有するヌクレオチド、2’-メチルチオエチル、2’-デオキシ-2’-フルオロヌクレオチド、2’-デオキシ-2’-クロロヌクレオチド、2’-アジドヌクレオチド、および2’-O-メチルヌクレオチド、6員環ヌクレオチドアナログ(例えば、WO 2006/047842等に記載のヘキシトールおよびアルトリトールヌクレオチドモノマーを含むもの)、ミラーヌクレオチド(例えば、L-DNA(L-デオキシリボアデノシン-3’-ホスフェート(ミラーdA)、L-デオキシリボシチジン-3’-ホスフェート(ミラーdC)、L-デオキシリボグアノシン-3’-ホスフェート(ミラーdG)、L-デオキシリボチミジン-3’-ホスフェート(鏡像チミジン))およびL-RNA(L-リボアデノシン-3’-ホスフェート(ミラーrA)、L-リボシチジン-3’-ホスフェート(ミラーrC)、L-リボグアノシン-3’-ホスフェート(ミラーrG)、L-リボウラシル-3’-ホスフェート(ミラーdU)等)が包含される。
 修飾ヌクレオチドの非限定例は、例えば、Gaglione and Messere, Mini Rev Med Chem. 2010;10(7):578-95、Deleavey and Damha, Chem Biol. 2012;19(8):937-54、Bramsen and Kjems, J.Front Genet. 2012;3:154などにも記載されている。
 一部の態様において、本開示の核酸分子二量体のTCNAおよび/またはTNNAは、非修飾ヌクレオチドから構成され、修飾ヌクレオチドを含まない。別の態様において、本開示の核酸分子二量体のTCNAおよび/またはTNNAは、非修飾ヌクレオチドと修飾ヌクレオチドの両方を含む。別の態様において、本開示の核酸分子二量体のTCNAおよび/またはTNNAは、修飾ヌクレオチドから構成され、非修飾ヌクレオチドを含まない。
 修飾ヌクレオチドを含む本開示の核酸分子二量体は、上記の修飾を少なくも1つ有していてもよく、上記の2以上の修飾の組合せを有していてもよい。修飾は、本明細書に開示される核酸分子二量体の1または2以上の核酸分子、例えば、TNNA、TCNAまたはこれらの両方に存在してもよい。一部の態様において、TCNAは修飾ヌクレオチドを含んでもよく、TNNAは非修飾ヌクレオチドのみを含んでもよい。別の態様において、TCNAは非修飾ヌクレオチドのみを含んでもよく、TNNAは修飾ヌクレオチドを含んでもよい。本開示の核酸分子二量体は、核酸分子における総ヌクレオチドに対し、約5%~約100%の非修飾ヌクレオチド(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約100%の非修飾ヌクレオチド)を含んでもよい。また、本開示の核酸分子二量体は、核酸分子における総ヌクレオチドに対し、約5%~約100%の修飾ヌクレオチド(例えば約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約100%の修飾ヌクレオチド)を含んでもよい。核酸分子に存在する非修飾ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドの実際のパーセンテージは、核酸分子に存在するヌクレオチドの総数に依存する。非修飾ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドのパーセンテージ(非修飾または修飾パーセント)は、TNNA、TCNAまたはTNNAおよびTCNAの両方に存在するヌクレオチドの総数に基づくことができる。
 一部の態様において、修飾は、本開示の核酸分子の標的核酸分子発現調節活性を増大させるため、および/または核酸分子のin vivoでの安定性、特に血清中の安定性を増大させるため、および/または核酸分子の生体利用能を増大させるために用いてもよい。
 本開示の核酸分子二量体の特定の非限定例は、表3に記載されている。
 本開示の核酸分子二量体は標識されていてもいなくてもよい。標識化により、標的部位への送達の成否や、生体内での位置などをモニタリングすることが可能となり、試験・研究のみならず、臨床適用においても有用である。標識は、当業者に公知な任意のもの、例えば、任意の放射性同位体、磁性体、気体もしくは生理条件下で気体を発生する物質、核磁気共鳴する元素(例えば、水素、リン、ナトリウム、フッ素等)、核磁気共鳴する元素の緩和時間に影響を与える物質(例えば、金属原子もしくはこれを含む化合物)、標識化物質に結合する物質(例えば抗体など)、蛍光物質、フルオロフォア、化学発光物質、ビオチンもしくはその誘導体、アビジンもしくはその誘導体、酵素などから選択することができる。
 本開示の核酸分子二量体は、配列特異的に標的核酸分子の発現を調節することができる。標的核酸分子の発現は、標的核酸分子の機能の発現を含む。したがって、標的核酸分子の発現は、例えば、標的核酸分子が発現産物(例えば、タンパク質およびRNA分子などの核酸分子)をコードしている場合は、発現産物の生成を含み、標的核酸分子がそれ自体で生理活性を有する場合は、その生理活性の発現を含む。標的核酸分子の発現の調節は、標的核酸分子がコードする発現産物の生成の調節や、標的核酸分子が有する生理活性の調節を含む。発現の調節は、発現の抑制および発現の増大を含む。調節の程度は、本開示の核酸分子二量体を作用させない場合の標的核酸分子の発現量を基準とした場合に、本開示の核酸分子二量体を作用させた場合の標的核酸分子の発現量が、前記基準値の約±50%以上、好ましくは約±60%以上、より好ましくは約±65%以上、さらに好ましくは約±70%以上、特に好ましくは約±75%以上となる程度であってよい。したがって、本開示の核酸分子二量体は、標的核酸分子の発現を調節するために使用することができる。また、標的核酸分子の発現が疾患に関連している場合、本開示の核酸分子二量体は、標的核酸分子の発現に関連する疾患の処置のために使用することができる。
 一部の態様において、本開示の核酸分子二量体は、RNAサイレンシングにより標的核酸分子の発現を抑制することができる。抑制の程度は、本開示の核酸分子二量体を作用させない場合の標的核酸分子の発現量を100%とした場合に、本開示の核酸分子二量体を作用させた場合の標的核酸分子の発現量が、約50%以下、好ましくは約40%以下、より好ましくは約35%以下、さらに好ましくは約30%以下、特に好ましくは約25%以下となる程度であってよい。この態様における本開示の核酸分子二量体は、標的核酸分子の発現を抑制するために使用することができる。また、標的核酸分子の発現が疾患に関連しており、標的核酸分子の発現の抑制がその疾患の改善に有用である場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、標的核酸分子の発現に関連する疾患の処置のために使用することができる。
 別の態様において、本開示の核酸分子二量体は、RNAaにより標的核酸分子の発現を増大させることができる。増大の程度は、本開示の核酸分子二量体を作用させない場合の標的核酸分子の発現量を100%とした場合に、本開示の核酸分子二量体を作用させた場合の標的核酸分子の発現量が、約120%以上、好ましくは約130%以上、より好ましくは約150%以上、さらに好ましくは約180%以上、特に好ましくは約200%以上となる程度であってよい。この態様における本開示の核酸分子二量体は、標的核酸分子の発現を増大するために使用することができる。また、標的核酸分子の発現が疾患に関連しており、標的核酸分子の発現の増大がその疾患の改善に有用である場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、標的核酸分子の発現に関連する疾患の処置のために使用することができる。
 一部の態様において、本開示の核酸分子二量体は、TNNAによるオフターゲット効果が少ない。より具体的には、本開示の核酸分子二量体は、TNNAによるオフターゲット効果が、TNNAが非環状の同様の核酸分子二量体、例えば、TNNAが直鎖状の同様の(例えば、同じ塩基配列を有する)核酸分子二量体に比べ少ない。したがって、本開示の核酸分子二量体のTNNAは、オフターゲット効果を回避するための配列設計上の工夫などを講じる必要性が低い。この態様における本開示の核酸分子二量体は、TNNAによるオフターゲット効果を回避しながら、標的核酸分子の発現を調節するために使用することができ、標的核酸分子の発現が疾患に関連している場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、TNNAによるオフターゲット効果を回避しながら、標的核酸分子の発現に関連する疾患を処置するために使用することができる。また、本開示の核酸分子二量体が、RNAサイレンシングなどにより標的核酸分子の発現を抑制することができる場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、TNNAによるオフターゲット効果を回避しながら、標的核酸分子の発現を抑制するために使用することができ、標的核酸分子の発現が疾患に関連しており、標的核酸分子の発現の抑制がその疾患の改善に有用である場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、TNNAによるオフターゲット効果を回避しながら、標的核酸分子の発現に関連する疾患を処置するために使用することができる。また、本開示の核酸分子二量体が、RNAaなどにより標的核酸分子の発現を増大させることができる場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、TNNAによるオフターゲット効果を回避しながら、標的核酸分子の発現を増大させるために使用することができ、標的核酸分子の発現が疾患に関連しており、標的核酸分子の発現の増大がその疾患の改善に有用である場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、TNNAによるオフターゲット効果を回避しながら、標的核酸分子の発現に関連する疾患を処置するために使用することができる。
 一部の態様において、本開示の核酸分子二量体は、細胞に投与した場合、PKR(二本鎖RNA依存性プロテインキナーゼ)のリン酸化を回避することができる。すなわち、本開示の核酸分子二量体を細胞に投与しても、PKRのリン酸化が誘導されないか、誘導されたとしても、TNNAが非環状の同様の核酸分子二量体、例えば、TNNAが直鎖状の同様の(例えば、同じ塩基配列を有する)核酸分子二量体に比べ、その程度が低い。この態様における本開示の核酸分子二量体は、PKRのリン酸化を回避しながら、標的核酸分子の発現を調節するために使用することができ、標的核酸分子の発現が疾患に関連している場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、PKRのリン酸化を回避しながら、標的核酸分子の発現に関連する疾患を処置するために使用することができる。また、本開示の核酸分子二量体が、RNAサイレンシングなどにより標的核酸分子の発現を抑制することができる場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、PKRのリン酸化を回避しながら、標的核酸分子の発現を抑制するために使用することができ、標的核酸分子の発現が疾患に関連しており、標的核酸分子の発現の抑制がその疾患の改善に有用である場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、PKRのリン酸化を回避しながら、標的核酸分子の発現に関連する疾患を処置するために使用することができる。また、本開示の核酸分子二量体が、RNAaなどにより標的核酸分子の発現を増大させることができる場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、PKRのリン酸化を回避しながら、標的核酸分子の発現を増大させるために使用することができ、標的核酸分子の発現が疾患に関連しており、標的核酸分子の発現の増大がその疾患の改善に有用である場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、PKRのリン酸化を回避しながら、標的核酸分子の発現に関連する疾患を処置するために使用することができる。
 一部の態様において、本開示の核酸分子二量体は、細胞に投与した場合、TLR3経路の活性化を回避できる。すなわち、本開示の核酸分子二量体を細胞に投与しても、TLR3経路の活性化が誘導されないか、誘導されたとしても、TNNAが非環状の同様の核酸分子二量体、例えば、TNNAが直鎖状の同様の(例えば、同じ塩基配列を有する)核酸分子二量体に比べ、その程度が低い。この態様における本開示の核酸分子二量体は、TLR3経路の活性化を回避しながら、標的核酸分子の発現を調節するために使用することができ、標的核酸分子の発現が疾患に関連している場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、TLR3経路の活性化を回避しながら、標的核酸分子の発現に関連する疾患を処置するために使用することができる。また、本開示の核酸分子二量体が、RNAサイレンシングなどにより標的核酸分子の発現を抑制することができる場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、TLR3経路の活性化を回避しながら、標的核酸分子の発現を抑制するために使用することができ、標的核酸分子の発現が疾患に関連しており、標的核酸分子の発現の抑制がその疾患の改善に有用である場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、TLR3経路の活性化を回避しながら、標的核酸分子の発現に関連する疾患を処置するために使用することができる。また、本開示の核酸分子二量体が、RNAaなどにより標的核酸分子の発現を増大させることができる場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、TLR3経路の活性化を回避しながら、標的核酸分子の発現を増大させるために使用することができ、標的核酸分子の発現が疾患に関連しており、標的核酸分子の発現の増大がその疾患の改善に有用である場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、TLR3経路の活性化を回避しながら、標的核酸分子の発現に関連する疾患を処置するために使用することができる。
 特定の態様において、本開示の核酸分子二量体は、細胞に投与した場合、TNNAによるオフターゲット効果、PKRのリン酸化およびTLR3経路の活性化を回避できる。したがって、この態様における本開示の核酸分子二量体は、TNNAによるオフターゲット効果、PKRのリン酸化およびTLR3経路の活性化を回避しながら、標的核酸分子の発現を調節するために使用することができ、標的核酸分子の発現が疾患に関連している場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、TNNAによるオフターゲット効果、PKRのリン酸化およびTLR3経路の活性化を回避しながら、標的核酸分子の発現に関連する疾患を処置するために使用することができる。また、本開示の核酸分子二量体が、RNAサイレンシングなどにより標的核酸分子の発現を抑制することができる場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、TNNAによるオフターゲット効果、PKRのリン酸化およびTLR3経路の活性化を回避しながら、標的核酸分子の発現を抑制するために使用することができ、標的核酸分子の発現が疾患に関連しており、標的核酸分子の発現の抑制がその疾患の改善に有用である場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、TNNAによるオフターゲット効果、PKRのリン酸化およびTLR3経路の活性化を回避しながら、標的核酸分子の発現に関連する疾患を処置するために使用することができる。また、本開示の核酸分子二量体が、RNAaなどにより標的核酸分子の発現を増大させることができる場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、TNNAによるオフターゲット効果、PKRのリン酸化およびTLR3経路の活性化を回避しながら、標的核酸分子の発現を増大させるために使用することができ、標的核酸分子の発現が疾患に関連しており、標的核酸分子の発現の増大がその疾患の改善に有用である場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、TNNAによるオフターゲット効果、PKRのリン酸化およびTLR3経路の活性化を回避しながら、標的核酸分子の発現に関連する疾患を処置するために使用することができる。
 PKRは二本鎖RNAと配列非特異的に結合すると自己リン酸化してNF-κBなどの基質をリン酸化し、インターフェロンなどの産生をもたらす。また、TLR3も二本鎖RNAと配列非特異的に結合すると自己リン酸化してNF-κBなどの基質をリン酸化し、インターフェロンなどの産生をもたらす。このように、PKRおよびTLR3は、核酸分子(特に二本鎖RNA分子)による配列非特異的な細胞応答(例えば自然免疫)の誘導プロセスにおいて、最も上流に位置するセンサー分子としての役割を果たしていると考えられており、PKRのリン酸化およびTLR3経路の活性化を回避できる本開示の核酸分子二量体は、かかる細胞応答の誘導を、そのプロセスの最も上流から回避することができる。したがって、一部の態様において、本開示の核酸分子二量体は、核酸分子による配列非特異的な細胞応答(例えば自然免疫)の誘導を回避することができる。また、この態様における本開示の核酸分子二量体は、前記細胞応答の誘導を回避しながら、標的核酸分子の発現を調節するために使用することができ、標的核酸分子の発現が疾患に関連している場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、前記細胞応答の誘導を回避しながら、標的核酸分子の発現に関連する疾患を処置するために使用することができる。また、本開示の核酸分子二量体が、RNAサイレンシングなどにより標的核酸分子の発現を抑制することができる場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、前記細胞応答の誘導を回避しながら、標的核酸分子の発現を抑制するために使用することができ、標的核酸分子の発現が疾患に関連しており、標的核酸分子の発現の抑制がその疾患の改善に有用である場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、前記細胞応答の誘導を回避しながら、標的核酸分子の発現に関連する疾患を処置するために使用することができる。また、本開示の核酸分子二量体が、RNAaなどにより標的核酸分子の発現を増大させることができる場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、前記細胞応答の誘導を回避しながら、標的核酸分子の発現を増大させるために使用することができ、標的核酸分子の発現が疾患に関連しており、標的核酸分子の発現の増大がその疾患の改善に有用である場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、前記細胞応答の誘導を回避しながら、標的核酸分子の発現に関連する疾患を処置するために使用することができる。
 一部の態様において、本開示の核酸分子二量体は、細胞に投与した場合、CCL5、CXCL10、IFNβ1、IL1β、IL6、IL10、IL13、TNFおよびCXCR4から選択される遺伝子の少なくとも1つの発現増強を回避できる。すなわち、本開示の核酸分子二量体を細胞に投与しても、上記遺伝子の発現が増強されないか、増強されたとしても、TNNAが非環状の同様の核酸分子二量体、例えば、TNNAが直鎖状の同様の(例えば、同じ塩基配列を有する)核酸分子二量体に比べ、その程度が低い。この態様における本開示の核酸分子二量体は、上記遺伝子の少なくとも1つの発現増強を回避しながら、標的核酸分子の発現を調節するために使用することができ、標的核酸分子の発現が疾患に関連している場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、上記遺伝子の少なくとも1つの発現増強を回避しながら、標的核酸分子の発現に関連する疾患を処置するために使用することができる。また、本開示の核酸分子二量体が、RNAサイレンシングなどにより標的核酸分子の発現を抑制することができる場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、上記遺伝子の少なくとも1つの発現増強を回避しながら、標的核酸分子の発現を抑制するために使用することができ、標的核酸分子の発現が疾患に関連しており、標的核酸分子の発現の抑制がその疾患の改善に有用である場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、上記遺伝子の少なくとも1つの発現増強を回避しながら、標的核酸分子の発現に関連する疾患を処置するために使用することができる。また、本開示の核酸分子二量体が、RNAaなどにより標的核酸分子の発現を増大させることができる場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、上記遺伝子の少なくとも1つの発現増強を回避しながら、標的核酸分子の発現を増大させるために使用することができ、標的核酸分子の発現が疾患に関連しており、標的核酸分子の発現の増大がその疾患の改善に有用である場合、この態様における本開示の核酸分子二量体は、上記遺伝子の少なくとも1つの発現増強を回避しながら、標的核酸分子の発現に関連する疾患を処置するために使用することができる。
 本開示の核酸分子二量体は、限定されずに、例えば、直鎖状のTNNAを環状化する工程と、環状化したTNNAに直鎖状のTCNAをアニーリングする工程とを含む方法により製造することができる。直鎖状のTNNAを環状化して得た環状TNNAを含む環状TNNA含有核酸分子二量体を、「TNNA環状化核酸分子二量体」と称することがある。直鎖状のTNNAを環状化する工程は、直鎖状の核酸分子を環状化する既知の任意の手法により達成することができる。かかる手法としては、限定されずに、例えば、リガーゼなどによる酵素的ライゲーション、および、BrCN、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCまたはEDACなどと略す場合がある)、イミダゾール、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-メシチレンスルホニル-3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール(MSNT)などによる化学ライゲーションなどが挙げられる。
 酵素的ライゲーションは、例えば、5’末端にリン酸基を、3’末端に水酸基をそれぞれ有する直鎖状のTNNAにリガーゼ(ライゲーションするヌクレオチドの種類に応じて、例えば、RNAリガーゼやDNAリガーゼなど)を作用させて行うことができる。反応温度は酵素の至適温度またはその近傍の温度が好ましい。反応時間は特に限定されず、所望の程度のライゲーションが行われるよう適宜調整することができるが、例えば、6時間~36時間、12時間~24時間等の範囲であってよい。ライゲーション反応にはATPが必要となることがある。リガーゼは各種市販されており、反応条件は製造者による指示に従うことが好ましい。所望の程度のライゲーションが得られたら、リガーゼが後続の反応に影響を与えないよう、リガーゼを加熱などにより失活させてもよい。
 化学ライゲーションとしては、様々な手法が知られている。BrCNによるライゲーションは、5’末端または3’末端にリン酸基を有する直鎖状のTNNAに、BrCN、イミダゾールおよび2価金属イオン(例えば、Mn2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Mg2+、Fe2+など)を加え、所定時間反応させて行うことができる(例えば、Dolinnaya et al., Nucleic Acids Res. 1993;21(23):5403-7、Wang and Kool, Nucleic Acids Res. 1994;22(12):2326-33等)。EDCによるライゲーションは、直鎖状のTNNAを緩衝液(例えば、2-モルホリノエタンスルホン酸塩とMgClを含む緩衝液等)中でEDCとインキュベートすることにより行うことができる(例えば、Dolinnaya et al., Nucleic Acids Res. 1988;16(9):3721-38)。EDCによるライゲーションは、3’末端にアミノ基またはリン酸基を有する直鎖状のTNNAを用いることで、反応速度を向上させることができる。MSNTによるライゲーションは、Micura, Chem Eur J. 1999;5(7):2077-82などに記載されている。
 環状化したTNNAは、ライゲーション反応物から精製して、TCNAとのアニーリングに使用することができる。精製には、透析などの既知の任意の核酸精製手法を用いることができる。ライゲーション反応物が未反応の直鎖状TNNAを含む場合、反応物をエキソヌクレアーゼなどの直鎖状核酸分子を選択的に分解する酵素で処理することにより直鎖状TNNAを分解し、環状TNNAを濃縮したり、反応物中の核酸分子を電気泳動(例えば、変性PAGE)などで分離し、環状TNNAに該当するバンドを切り出したりして、直鎖状TNNAを排除してもよい。
 環状TNNAと直鎖状TCNAとのアニーリングは、既知の任意の手法で行うことができる。アニーリングは、限定されずに、例えば、アニーリングバッファーに溶解したTNNAおよびTCNAを、約70℃~約90℃で約1分~約5分加熱し、その後、約37℃で0.5~2時間インキュベートすることにより行ってもよい。アニーリングが行われたかどうかは、例えば、電気泳動(例えば、PAGE)などで確認することができる。
 直鎖状のTNNAは、そのまま(すなわち、直鎖状のまま)ではTCNAとのアニーリングが困難だが、環状化するとTCNAとのアニーリングが容易となるように(例えば、直鎖状のTNNAを環状化する際のライゲーション部位(すなわち、直鎖状のTNNAの5’末端および3’末端)が、環状化したTNNAをTCNAとアニーリングした場合に、TCNAにより形成されるニックまたはギャップと一致しないように)設計することができる。直鎖状のTNNAをこのように設計することにより、直鎖状TNNAの環状化反応後に、環状化されずに残った直鎖状TNNAが反応物に混入していたとしても、直鎖状TNNAの配列は、TCNAの相補配列とは大きく異なるものとなり、TCNAとアニーリングして直鎖状の核酸分子二量体を形成する可能性が低くなるため、本開示の環状TNNA含有核酸分子二量体を高純度で得ることができるとともに、直鎖状TNNAによるオフターゲット効果を回避することが可能となり、有利である。このことは、非環状化TNNAをエキソヌクレアーゼなどにより酵素的に除去する場合に特に有利である。したがって、本開示は、直鎖状のままではTCNAとのアニーリングが困難だが、環状化するとTCNAとのアニーリングが容易となる直鎖状TNNA(例えば、直鎖状のTNNAを環状化する際のライゲーション部位が、環状化したTNNAをTCNAとアニーリングした場合に、TCNAにより形成されるニックまたはギャップと一致しないように設計された直鎖状TNNA)を提供する工程を含む、純度の高い環状TNNA含有核酸分子二量体の製造方法を提供する。当該製造方法により得た環状TNNA含有核酸分子二量体の純度は、上記の直鎖状TNNAを用いずに製造した環状TNNA含有核酸分子二量体の純度より高い。本開示はまた、このように純度の高い環状TNNA含有核酸分子二量体にも関する。上記の純度は、環状TNNA含有核酸分子二量体の製造工程における最終生成物に占める環状TNNA含有核酸分子二量体の割合を指し、最終生成物中の環状TNNA含有核酸分子二量体のモル数を、最終生成物の全モル数で除したり、最終生成物中の環状TNNA含有核酸分子二量体の質量を、最終生成物の全質量で除したりして算出することができる。質量に基づく純度は、例えば、最終生成物のクロマトグラム(例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で得たもの)における環状TNNA含有核酸分子二量体のピーク面積を最終生成物の全ピーク面積で除したピーク比などに基づいて算出することができる。
 上記のような直鎖状のTNNAを得るには、例えば、直鎖状のTNNAとTCNAの対応する部分との間に形成される連続する相補的領域に含まれる核酸塩基の数または割合(例えば、TNNAまたはTCNAに含まれる全核酸塩基に対する割合)が所定の値以下となるよう、直鎖状TNNAを設計することができる。直鎖状のTNNAとTCNAの対応する部分との間に形成される連続する相補的領域に含まれる核酸塩基数のTNNAに含まれる全核酸塩基数に対する割合は、例えば、約75%以下、約70%以下、約65%以下、約60%以下、約55%以下、約54%以下、約53%以下などであってよい。かかる設計手法の非限定例を以下に示す。なお、以下の各配列において、XnはTCNAに含まれる核酸塩基、YnはTNNAに含まれる核酸塩基、nはTCNAに含まれる核酸塩基の5’末端からの位置を示す。Ynは、nが同じ数であるXnと相補的である(例えば、YはXと相補的である)。
(1)直鎖状TNNAとTCNAの対応する部分との間に形成される連続する相補的領域に含まれる核酸塩基対の割合の最大値が、TNNAに含まれる全核酸塩基の100%である場合
TCNA:5’ X10111213141516171819 3’
TNNA:3’ Y10111213141516 5’
 上記の例では、TNNAの16位~1位(5’から3’の順)の全ての核酸塩基が、TCNAの対応する部分(1位~16位)の全ての核酸塩基と相補的であり、直鎖状TNNAとTCNAの対応する部分との間に形成される連続する相補的領域に含まれる核酸塩基数は16である。したがって、これらの核酸塩基数の、TNNAに含まれる全核酸塩基数に対する割合(%)は、16÷16×100=100(%)である。
(2)直鎖状TNNAとTCNAの対応する部分との間に形成される連続する相補的領域に含まれる核酸塩基対の割合の最大値が、TNNAに含まれる全核酸塩基の50%である場合
TCNA:5’ X10111213141516171819 3’
TNNA:3’ Y10111213141516 5’
 上記の例では、TNNAの8位~1位(Y)の全ての核酸塩基が、TCNAの対応する部分(1位~8位)の全ての核酸塩基(X)と相補的であり、TNNAの16位~10位(Y10111213141516)の全ての核酸塩基が、TCNAの対応する部分(10位~16位)の全ての核酸塩基(X10111213141516)と相補的である。したがって、直鎖状TNNAとTCNAの対応する部分との間に形成される連続する相補的領域に含まれる核酸塩基数は最大で8であり、これらの核酸塩基数の、TNNAに含まれる全核酸塩基数に対する割合(%)は、8÷16×100=50(%)である。この割合が50%であるTNNAが、TCNAの対応する部分との間に形成される連続する相補的領域に含まれる核酸塩基対の割合の最大値が最も低くなる。
(3)直鎖状TNNAとTCNAの対応する部分との間に形成される連続する相補的領域に含まれる核酸塩基対の割合の最大値が、TNNAに含まれる全核酸塩基の75%である場合
TCNA:5’ X10111213141516171819 3’
TNNA:3’ Y10111213141516 5’
 上記の例では、TNNAの4位~1位(Y)の全ての核酸塩基が、TCNAの対応する部分(1位~4位)の全ての核酸塩基(X)と相補的であり、TNNAの16位~5位(Y10111213141516)の全ての核酸塩基が、TCNAの対応する部分(5位~16位)の全ての核酸塩基(X10111213141516)と相補的である。したがって、直鎖状TNNAとTCNAの対応する部分との間に形成される連続する相補的領域に含まれる核酸塩基数は最大で12であり、これらの核酸塩基数の、TNNAに含まれる全核酸塩基数に対する割合(%)は、12÷16×100=75(%)である。
 上記のような直鎖状のTNNAを得る別のアプローチとしては、直鎖状TNNAを環状化する際のライゲーション部位(すなわち、直鎖状TNNAの5’末端および3’末端)が、環状化したTNNAをTCNAとアニーリングした場合に、TCNAにより形成されるニックまたはギャップとは異なる位置となるように直鎖状TNNAを設計することが挙げられる。ライゲーション部位がニックまたはギャップから離れた位置となるよう設計することが好ましく、ニックまたはギャップの反対側かその近傍となるよう設計することが特に好ましい。ここで、反対側とは、例えば、TNNAを構成する全単量体を円周上に均等に並べた場合、円の中心に対してニックまたはギャップの中点と点対称になるTNNA上の位置を意味する。図2に好ましいライゲーション部位の非限定例を示す。図2に示す核酸分子二量体は、TCNAがニックおよび5’突出を有するものであり、ニックの反対側となるTNNAにおける位置は4となる。ニックの反対側の近傍は、例えば、1~3および5~7、2~3および5~6、3および5などであってよい。TNNAを構成するヌクレオチドの数が奇数個の場合、ニックの反対側となるTNNAにおける位置は、ニックの丁度反対側に位置するヌクレオチドの3’側または5’側となる。
 本開示の核酸分子二量体は、作用部位への送達を補助、促進または容易化する作用を有する既知の任意の送達担体とともに送達または投与されてもよいし、これらの送達担体なしで直接送達または投与されてもよい。送達担体としては、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターを用いることができる。非ウイルスベクターとしては、限定されずに、例えば、ポリマー粒子、脂質粒子、無機粒子などの粒子状担体が挙げられる。粒子としては、大きさがナノレベルのナノ粒子を用いることができる。ポリマー粒子としては、限定されずに、例えば、カチオン性ポリマー、ポリアミドアミン(PAMAM)、キトサン、シクロデキストリン、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(乳酸-コ-カプロラクトン酸)(PLCA)、ポリ(βアミノエステル)、アテロコラーゲンなどのポリマーを含むものが挙げられる。カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリリジン(例えば、ポリ-L-リジン(PLL))、ポリエチレンイミン(PEI)、これらの誘導体などが挙げられる。ポリエチレンイミンの誘導体としては、例えば、ポリエチレンイミン-ポリエチレングリコールコポリマー(PEI-PEG)、ポリエチレンイミン-ポリエチレングリコール-N-アセチルガラクトサミン(PEI-PEG-GAL)、ポリエチレンイミン-ポリエチレングリコール-トリ-N-アセチルガラクトサミン(PEI-PEG-triGAL)、グラフトPEI、例えば、ガラクトースPEI、コレステロールPEI、抗体誘導体化PEIなどが挙げられる。アミンを含むポリマーは、エンドソームに取り込まれた際に、エンドソーム脱出に有利なプロトンスポンジ効果を発揮し得る。
 脂質粒子にはリポソームや非リポソーム型脂質粒子などが含まれる。リポソームは脂質二重膜で包まれた内腔を有する小胞であり、非リポソーム型脂質粒子は、このような構造を有しない脂質粒子である。脂質粒子は、カチオン性脂質、イオン化可能(ionizable)脂質、ヘルパー脂質などを含んでいてもよい。カチオン性脂質は、負の電荷を有する核酸分子などを細胞内に導入するのに特に有用である。カチオン性脂質の非限定例としては、N-(α-トリメチルアンモニオアセチル)-ジドデシル-D-グルタメートクロリド(TMAG)、N,N’,N’’,N’’’-テトラメチル-N,N’,N’’,N’’’-テトラパルミチルスペルミン(TMTPS)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、ジドデシルアンモニウムブロミド(DDAB)、1,2-ジオレイルオキシ-3-トリメチルアンモニオプロパン(DOTAP)、3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(DC-Chol)、1,2-ジミリストイルオキシプロピル-3-ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、O,O’-ジテトラデカノイル-N-(α-トリメチルアンモニオアセチル)ジエタノールアミンクロリド(DC-6-14)などが挙げられる。他に有用なカチオン性脂質の例はWO 2012/170952などにも記載されている。
 イオン化可能脂質としては、イオン化可能カチオン性脂質が挙げられる。イオン化可能カチオン性脂質は、PKa以上のpHでは非イオン性であるが、PKaより低いpHでカチオン性となる性質を有する。イオン化可能脂質は3級アミンを有することがある。アミンを含むことで、エンドソームに取り込まれた際にエンドソーム脱出に有利なプロトンスポンジ効果を発揮し得る。一部の態様において、イオン化可能カチオン性脂質のPKaは、7.0以上、7.5以上、7.6以上、7.8以上、8.0以上などであってよい。イオン化可能脂質の非限定例としては、DLinDAP、DLinDMA、DLinKDMA、DLinKC2-DMAなどが挙げられる。他に有用なイオン化可能カチオン性脂質の例はWO 2013/185116などにも記載されている。
 ヘルパー脂質は、脂質粒子の安定化などに寄与する脂質である。ヘルパー脂質は電荷的に中性であってもよい。ヘルパー脂質の非限定例としては、コレステロール、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、オレオイルパルミトイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジフィタノイルホスファチジルエタノールアミン(DPhPE)、ジステロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、PEG脂質などが挙げられる。
 無機粒子としては、例えば、金ナノ粒子、量子ドット、シリカナノ粒子、酸化鉄ナノ粒子(例えば、超常磁性酸化鉄ナノ粒子(SPION))、ナノチューブ(例えば、カーボンナノチューブ(CNT))、ナノダイヤモンド、フラーレンなどが挙げられる。
 上記粒子担体には種々の修飾を加えることができる。例えば、PEGによるステルス化、標的化リガンドによる標的化、細胞透過ペプチド(CPP)による修飾などが挙げられる。
 本開示の核酸分子二量体に、上記のポリマーや、標的化リガンド、CPPなどの機能的部分を結合させ、コンジュゲートとすることもできる。これにより、上記の担体を用いることなく、本開示の核酸分子二量体を製剤化することが可能となる。かかる機能的部分はTCNAおよびTNNAのいずれに結合させてもよいが、標的核酸分子に直接作用しないと考えられるTNNAに結合させることが好ましい。機能的部分はTNNAの任意の部分に結合させることができる。特定の態様において、機能的部分はTCNAがニックまたはギャップを形成しているTNNAの部分に結合させる。別の態様において、機能的部分はTCNAがニックまたはギャップを形成している箇所から離れたTNNAの部分、例えば、ニックまたはギャップの反対側のTNNAの部分に結合させる。
 本開示の核酸分子二量体は皮膚適用、経皮適用または注射(静脈注射、皮内注射、皮下注射、筋肉注射、動脈注射、点滴注射等)を介して、全身投与あるいは関係する組織にex vivoまたはin vivoで、局所投与することができる。本開示の核酸分子二量体は、肺送達、例えば、関連する肺組織への核酸分子の迅速な局所取り込みをもたらす吸入装置または噴霧器によって投与されるエアゾールまたは噴霧乾燥製剤の吸入などによって投与することができる。本開示の核酸分子二量体はまた、中枢神経系(CNS)または末梢神経系(PNS)に投与することができる。CNSへの核酸分子の送達は、限定されずに、クモ膜下および脳室内投与、カテーテルおよびポンプの移植、損傷部位または病変部位への直接注射または灌流、脳動脈系への注射、または血液脳関門の化学的または浸透圧的開放などにより行うことができる。
 本開示の核酸分子二量体は、目的に適した送達システムにより送達することができる。送達システムは、例えば、水性および非水性のゲル、クリーム、複エマルション、マイクロエマルション、リポソーム、軟膏、水性および非水性の溶液、ローション、エアゾール、炭化水素基剤およびパウダーなどを含んでもよく、賦形剤、例えば可溶化剤、浸透促進剤(例えば脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族アルコールおよびアミノ酸など)および親水性ポリマー(例えばポリカルボフィルおよびポリビニルピロリドンなど)を含むことができる。一態様において、薬学的に許容し得る担体は、リポソームまたは経皮促進剤である。
 送達システムは、パッチ、錠剤、坐薬、ペッサリー、ゲルおよびクリームを含んでもよく、賦形剤、例えば可溶化剤および促進剤(例えばプロピレングリコール、胆汁酸塩およびアミノ酸など)、および他のビヒクル(例えば、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステルおよび誘導体、および親水性ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒアルロン酸など)を含むことができる。
 本開示の核酸分子二量体の送達に有用な手法やシステムは、例えば、Rettig and Behlke, Mol Ther. 2012;20(3):483-512、Kraft et al., J Pharm Sci. 2014;103(1):29-52、Hong and Nam, Theranostics. 2014;4(12):1211-32、Kaczmarek et al., Genome Med. 2017;9(1):60 などに記載されている。
 本開示の一部の態様は、本開示の核酸分子二量体を含む組成物に関する(以下、本開示の組成物と称することがある)。本開示の組成物に含まれる核酸分子二量体は、同一種であっても、2種以上の異なるものであってもよい。本開示の組成物が2種以上の異なる核酸分子二量体を含む場合、核酸分子二量体は異なる標的核酸分子に対するものであっても、同一の標的核酸分子の異なる配列(領域)に対するものであってもよい。本開示の組成物は、本開示の核酸分子二量体に加え、上述の任意の担体、希釈剤、送達ビヒクル、送達システムなどを含んでもよい。本開示の組成物は、標的核酸分子に関連する疾患の処置に使用できる。したがって、本開示の組成物は、標的核酸分子に関連する疾患の処置のための医薬組成物となり得る(以下、本開示の医薬組成物と称することがある)。本開示の医薬組成物は、1または2以上の薬学的に許容し得る添加物(例えば、界面活性剤、担体、希釈剤、賦形剤など)を含んでもよい。薬学的に許容し得る添加物は医薬分野でよく知られており、例えば、その全体を本明細書に援用するRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA (1990)などに記載されている。
 一部の態様において、本開示の医薬組成物は、本開示の核酸分子二量体と同様、標的核酸分子の発現に関連する疾患の処置のために使用することができる。特定の態様において、本開示の医薬組成物は、TNNAによるオフターゲット効果、PKRのリン酸化、TLR3経路の活性化および核酸分子による配列非特異的な細胞応答(例えば自然免疫)の誘導の少なくとも1つを回避しながら、標的核酸分子の発現に関連する疾患を処置するために使用することができる。また、本開示の医薬組成物は、CCL5、CXCL10、IFNβ1、IL1β、IL6、IL10、IL13、TNFおよびCXCR4から選択される遺伝子の少なくとも1つの発現増強を回避しながら、標的核酸分子の発現に関連する疾患を処置するために使用することができる。
 本開示において、「処置」は、疾患の治癒、一時的寛解または予防などを目的とする医学的に許容される全ての種類の予防的および/または治療的介入を包含するものとする。例えば、「処置」は、標的核酸分子に関連する疾患の進行の遅延または停止、病変の退縮または消失、当該疾患発症の予防または再発の防止などを含む、種々の目的の医学的に許容される介入を包含する。したがって、前記核酸分子二量体および医薬組成物には、標的核酸分子に関連する疾患を治療するための医薬組成物、および標的核酸分子に関連する疾患を予防するための医薬組成物が含まれる。
 本開示の核酸分子二量体または医薬組成物は、経口および非経口の両方を包含する種々の経路、例えば、限定することなく、経口、頬側、口腔内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、局所、直腸、動脈内、門脈内、心室内、経粘膜、経皮、鼻腔内、腹腔内、気道内、肺内および子宮内等の経路で投与してもよく、各投与経路に適した剤形に製剤してもよい。かかる剤形および製剤方法は任意の公知のものを適宜採用することができる(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA (1990)などを参照)。
 例えば、経口投与に適した剤形としては、限定することなく、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤、ゲル剤、シロップ剤などが挙げられ、また非経口投与に適した剤形としては、溶液性注射剤、懸濁性注射剤、乳濁性注射剤、用時調製型注射剤などの注射剤が挙げられる。非経口投与用製剤は、水性または非水性の等張性無菌溶液または懸濁液の形態であることができる。
 本開示に係る組成物は、いずれの形態で供給されてもよいが、保存安定性の観点から、用時調製可能な形態、例えば、医療の現場あるいはその近傍において、医師および/または薬剤師、看護士、もしくはその他のパラメディカルなどによって調製され得る形態で提供されてもよい。この場合、前記組成物は、これらに必須の構成要素の少なくとも1つを含む1個または2個以上の容器として提供され、使用の前、例えば、24時間前以内、好ましくは3時間前以内、そしてより好ましくは使用の直前に調製される。調製に際しては、調製する場所において通常入手可能な試薬、溶媒、調剤器具などを適宜使用することができる。
 本開示のさらなる態様は、本開示に係る組成物、またはその構成要素を含む、前記組成物を調製するための、標的核酸分子に関連する疾患を処置するためのキットまたはパック、ならびに、そのようなキットまたはパックの形で提供される前記組成物、またはその必要構成要素にも関する。かかるキットまたはパックに含まれる、組成物の各構成要素は、前記組成物について上記したとおりである。本キットは、上記のほか、組成物の調製方法や使用方法(例えば、投与方法等)などに関する指示、例えば、使用説明書や、使用方法に関する情報を記録した媒体、例えば、フレキシブルディスク、CD、DVD、ブルーレイディスク、メモリーカード、USBメモリーなどをさらに含んでいてもよい。また、かかるキットまたはパックは、組成物を完成するための構成要素の全てを含んでいてもよいが、必ずしも全ての構成要素を含んでいなくてもよい。したがって、前記キットまたはパックは、医療現場や、実験施設などで通常入手可能な試薬や溶媒、例えば、無菌水や、生理食塩水、ブドウ糖溶液などを含んでいなくてもよい。
 本開示の別の態様は、標的核酸分子に関連する疾患を処置する方法であって、該方法が、前記疾患を処置する薬物を含む有効量の本開示に係る核酸分子二量体または医薬組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、前記方法に関する(以下、「本開示の処置方法」と称することがある)。ここで、有効量とは、例えば、当該疾患の発症および再発を予防し、または当該疾患を治癒する量である。
 前記処置方法において対象に投与する核酸分子二量体または医薬組成物の具体的な用量は、投与を要する対象に関する種々の条件、例えば、標的の種類、方法の目的、治療内容、疾患の種類、症状の重篤度、対象の一般健康状態、年齢、体重、対象の性別、食事、投与の時期および頻度、併用している医薬、治療への反応性、および治療に対するコンプライアンスなどを考慮して決定され得る。医薬組成物の1日総投与量は、限定されずに、例えば、核酸分子二量体の量として約1μg/kg~約1000mg/体重kg、約10μg/kg~約100mg/体重kg、約100μg/kg~約10mg/体重kgであってもよい。あるいは、投与量は患者の表面積に基づいて計算してもよい。
 投与経路としては、経口および非経口の両方を包含する種々の経路、例えば、経口、頬側、口腔内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、局所、直腸、動脈内、門脈内、心室内、経粘膜、経皮、鼻腔内、腹腔内、気道内、肺内および子宮内等の経路が含まれる。
 投与頻度は、用いる製剤または組成物の性状や、上記のような対象の条件によって異なるが、例えば、1日多数回(すなわち1日2、3、4回または5回以上)、1日1回、数日毎(すなわち2、3、4、5、6、7日毎など)、1週間に数回(例えば、1週間に2、3、4回など)、1週間毎、数週間毎(すなわち2、3、4週間毎など)であってもよい。
 本開示において、用語「対象」は、任意の生物個体、好ましくは動物、さらに好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはヒトの個体を意味する。対象は健常(例えば、特定のまたは任意の疾患を有しない)であっても、何らかの疾患に罹患していてもよいものとするが、標的核酸分子に関連する疾患の処置等が企図される場合には、典型的には当該疾患に罹患しているか、罹患するリスクを有する対象を意味する。
 本開示の別の態様は、標的核酸分子の発現を調節する方法であって、該方法が、標的核酸分子を含む細胞に、有効量の本開示に係る核酸分子二量体または医薬組成物を投与する工程を含む、前記方法に関する(以下、「本開示の発現調節方法」と称することがある)。ここで、有効量とは、例えば、当該標的核酸分子の発現を検出可能な程度に調節できる量である。標的核酸分子の発現は、それがタンパク質の産生に係るものであれば、既知のタンパク質検出手法、例えば、限定されずに、抗体を利用した免疫沈降法、EIA(enzyme immunoassay)(例えば、ELISA(emzyme-linked immunosorbent assay)など)、RIA(radio immuno assay)(例えば、IRMA(immunoradiometric assay)、RAST(radioallergosorbent test)、RIST(radioimmunosorbent test)など)、ウェスタンブロッティング法、免疫組織化学法、免疫細胞化学法、フローサイトメトリー法などにより検出することができる。標的核酸分子の発現が核酸分子の産生に係るものであれば、既知の核酸分子検出手法、例えば、限定されずに、当該核酸分子もしくはそのユニークな断片に特異的にハイブリダイズする核酸を利用した、種々のハイブリダイゼーション法、ノーザンブロット法、サザンブロット法、種々のPCR法などにより検出することができる。また、標的核酸分子の発現が生理活性の発現である場合は、当該生理活性の既知の任意の検出手法により検出することができる。本開示の発現調節方法は、in vitro、ex vivoまたはin vivoで行うことができる。細胞への核酸分子二量体または医薬組成物の投与は、既知の任意の手法、例えば、in vivoの場合は、本開示の処置方法について上記したような経口および非経口の両方を包含する種々の経路で行うことができ、in vitroまたはex vivoの場合は、細胞を含む媒体(例えば、培養培地など)に核酸分子二量体または医薬組成物を添加することなどにより行うことができる。
 以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
例1:環状核酸分子含有核酸分子二量体(circular nucleic acid molecule-containing nucleic acid molecule dimer、CNA-NAD)の製造
 CNA-NADは、直鎖状の標的非相補的核酸分子(target non-complementary nucleic acid、TNNA)を環状化し、これに直鎖状の標的相補的核酸分子(target complementary nucleic acid、TCNA)をアニーリングすることにより製造した。
(1)使用配列
 TNNAは、以下の配列のものを用いた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 TCNAは以下のものを用いた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
  表中、A、C、GおよびUはRNAを、dA、dC、dGおよびdTはDNAを、Pはリン酸基を、はLNAをそれぞれ示す。
(2)TNNAの環状化
 製造者の指示に従い、RNAリガーゼ(T4 RNA Ligase 1、NEB)と、5‘末端にリン酸基、3’末端に水酸基をそれぞれ有する直鎖状のTNNAとを、ATPの存在下、37℃で16時間反応させ、TNNAの5’末端と3‘末端とをライゲーションした。反応終了後、反応物を65℃で15分インキュベートし、RNAリガーゼを失活させた。反応物を20%T変性ポリアクリルアミド/尿素ゲルにアプライし、250Vで90分電気泳動した。ゲルを0.5μg/mLのエチジウムブロマイドで15分染色し、UVでバンドを検出した。ラダーマーカーとして、DynaMarker(R) Small RNA II Easy Load(BioDynamics Laboratory)を使用した。TNNAとしてTN-2およびTN-5を使用した電気泳動の結果を図3に示す。なお、非環状化対照としては、ライゲーション前のTNNAを、環状化対照として、TN-2およびTN-5を上記のとおり環状化した後、環状化核酸分子を濃縮するためにRNase R(Epicentre)で処理したものをそれぞれ用いた。図3より、5‘末端にリン酸基を有するTNNA(TN-2およびTN-5)が環状化されたことが分かる。環状化核酸分子のバンドを切り出し、ゲル粉砕後、37℃で4時間以上水に溶出させ、Dr. GenTLE(R) Precipitation Carrier (TAKARA BIO)にて共沈し、精製した。これをRNase Free水に溶解し、環状(circular)TNNA(CTNNA)として以後の実験に使用した。
(3)アニーリング
 上記(2)で得たCTNNAを含む核酸分子溶液6μLと、CTNNAと同モル濃度の直鎖状(linear)TCNA(LTCNA)をRNase Free水に溶解した核酸分子溶液各6μLと、アニーリングバッファーであるTris-EDTAバッファー(10mM Tris-HCl、50mM NaCl、1mM EDTA)3μLとを混合し、80℃で5分間、次いで、37℃で1時間反応させた。アニーリングの確認のため、反応物をネイティブPAGEで分析した。反応物を20%ポリアクリルアミドゲルにアプライし、200Vで70分電気泳動した。ゲルを0.5μg/mLのエチジウムブロマイドで15分染色し、UVでバンドを検出した。ラダーマーカーとして、DynaMarker(R) Small RNA II Easy Load(BioDynamics Laboratory)を使用した。TNNAとしてTN-2、TCNAとしてTC-1を使用した電気泳動の結果を図4に示す。同図に示す結果から、CTNNAとLTCNAとがアニーリングしたことが確認された。
 上記の手法により、以下のCNA-NADを製造した。なお、以下の表における「長さ(TN/TC)」は、「TNNAの長さ/TCNAの長さ」を表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 TNNAの代わりにTCNAを環状化した以外は上記と同様にして、以下のCNA-NADを製造した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 また、TNNAもTCNAも環状化せず、直鎖状TNNAと直鎖状TCNAとを上記(3)のようにアニーリングして、以下の核酸分子二量体を製造した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
例2:環状TNNA含有核酸分子二量体のノックダウン効果(1)
 A549細胞を0.1×10個/ウェルの密度で24ウェルプレートに播種し、10%FBS含有Dulbecco's modified Eagle's medium(DMEM、Sigma-Aldrich)中37℃、5%CO下でインキュベートした。翌日、製造者のプロトコルに従い、Opti-MEM(Sigma-Aldrich)培地中にLipofectamine RNAiMAX Transfection Reagent(Thermo Fisher Scientific)と各核酸分子とを含む試料を、核酸分子の終濃度が10nMになるようにA549細胞培養物に加え、5時間トランスフェクションを行った。トランスフェクション後、培地を10%FBS含有DMEM培地に置換した。トランスフェクション開始から24時間後に、RNeasy Mini Kit(QIAGEN)を用いてRNAを抽出し、SuperScript VILO Master Mix(Thermo Fisher Scientific)を用いて逆転写反応を行った後、SYBR Green PCR Master Mix(Thermo Fisher Scientific)を用いてリアルタイムPCRを行い、PLK1の発現量を測定した。結果を下表に示す。表中、mRNA残存率は、未処理群(NT)におけるmRNAの残存率を100%とした場合の比率(%)で表示し、10nMのRNA濃度でのmRNA残存率が30%以下を合格(〇)と判定した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 上記のとおり、環状TNNA含有核酸分子二量体により、ノックダウン効果が十分に得られることが分かる。
例3:環状TNNA含有核酸分子二量体のノックダウン効果(2)
 突出やギャップの有無が異なる、種々の構造を有する環状TNNA含有核酸分子二量体のノックダウン効果を検討した。簡潔には、A549細胞を2×10個/ウェルの密度で96ウェルプレートに播種し、図5に示す各核酸分子二量体の終濃度を20nMとした以外は例2と同様にして、各核酸分子二量体のノックダウン効果をmRNA残存率により評価した。図5に示す結果から、環状TNNA含有核酸分子二量体が、突出の有無や、TCNAがニックを有するかギャップを有するかに拘わらず、十分なノックダウン効果を奏することが分かる。
例4:環状TNNA含有核酸分子二量体のノックダウン効果(3)
 TCNAに修飾を有する環状TNNA含有核酸分子二量体のノックダウン効果を検討した。簡潔には、核酸分子二量体として、表7に記載のものを使用した以外は例2と同様にして、各核酸分子二量体のノックダウン効果を評価した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
  表7に示す結果から、環状TNNA含有核酸分子二量体は、TCNAが修飾されていても十分なノックダウン効果を奏することが分かる。
例5:環状TNNA含有核酸分子二量体のノックダウン効果(4)
 別の核酸分子を標的とする環状TNNA含有核酸分子二量体のノックダウン効果を検討した。簡潔には、A549細胞を2.5×10個/ウェルの密度で6ウェルプレートに播種し、表8に示す各核酸分子二量体の終濃度を20nMとした以外は例2と同様にして、各核酸分子二量体のノックダウン効果をmRNA残存率により評価した。結果を表8に示す。数値は、各測定値をGAPDHの測定値で正規化し、トランスフェクション試薬のみ加えたMock対照(Mock)を100とした場合の相対値である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
 
 上表に示す結果から、環状TNNA含有核酸分子二量体が、異なる標的核酸分子に対しても十分なノックダウン効果を奏することが分かる。
例6:環状TNNA含有核酸分子二量体によるオフターゲット効果の回避
 環状TNNA含有核酸分子二量体と、これに対応するTCNA環状化核酸分子二量体のノックダウン効果を比較することにより、TNNAによるオフターゲット効果の有無を評価した。環状TNNA含有核酸分子二量体としてCL-4、TCNA環状化核酸分子二量体としてLC-1を用い、例2と同様にmRNA残存率を測定した。結果を下表に示す。mRNA残存率の表示は例2と同様である。また、1nMの濃度でmRNA残存率が40%以下を示したものを合格(〇)と判定した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
 
 上記結果からRNAサイレンシングを誘導する核酸分子(TCNA)を環状にし、TNNAを直鎖状にした場合にはmRNA残存率が低下しなかったが、逆にTCNAを直鎖状にし、TNNAを環状にした場合にはmRNA残存率が低下したことが分かる。このことより、TNNAを環状化(TCNAは直鎖状)した場合、TNNA由来のオフターゲット効果が抑制できることが示唆される。
例7:環状TNNA含有核酸分子二量体によるPKRリン酸化の回避
 環状TNNA含有核酸分子二量体により、PKRの活性化(リン酸化)が回避できるかどうかを評価した。A549細胞を0.25×10個/ウェルの密度で6ウェルプレートに播種し、10%FBS含有DMEM培地中、37℃、5%CO下でインキュベートした。翌日、製造者のプロトコルに従い、Opti-MEM(Sigma)培地中にLipofectamine RNAiMAX Transfection Reagent(Thermo Fisher Scientific)と各核酸分子二量体とを含む試料を、核酸分子二量体の終濃度が20nMになるようにA549細胞培養物に加え、5時間トランスフェクションを行った。トランスフェクション後、培地を10%FBS含有DMEM培地に置換した。トランスフェクション開始から24時間後に、培養物の一部を用い、例2と同様にしてPLK1のmRNA残存率を測定した。
 また、トランスフェクション開始から72時間後に、培養物をLysis Bufferに溶解してタンパク質を抽出し、リン酸化PKRを検出するためにウェスタンブロッティングに供した。Lysis Bufferの組成は、合計10ml中、1%NP-40(NP-40 Alternative PROTEIN GRADE Detergent, 10 % Solution, Sterile - Filtered、CALBIOCHEM)100μL、1M Tris-HCl(pH7.5)500μL、5M NaCl 300μL、0.5M EDTA(pH8.0)20μL、dialyzed water 9.08mL、Complete, Mini, EDTA - free(Roche)1錠、Phos STOP(Roche)1錠であった。ブロットメンブレンを5%のPhosphoBLOCKER Blocking Reagent(Cell Biolabs、AKR-103)でブロッキングし、一次抗体(抗P-PKR抗体(ab32036、1/1000希釈)、抗PKR抗体(ab32052、1/1000希釈)および抗GAPDH抗体(ab8245、1/5000希釈))、次いで二次抗体(ECL抗ウサギIgG抗体、1/4000希釈)と反応させ、Amersham ECL Primeウェスタンブロッティング検出試薬(GE Healthcare、RPN2232)を用いてバンドを検出した。mRNA残存率の結果を表10に、ウェスタンブロッティングの結果を図6にそれぞれ示す。なお、表中、mRNA残存率は、未処理群(NT)におけるmRNAの残存率を100%とした場合の比率(%)で表示し、20nMのRNA濃度でmRNA残存率KD効率が25%以下を示したものを合格(〇)と判定した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
 
 図6の結果から、環状TNNA含有核酸分子二量体を作用させた細胞におけるPKRのリン酸化の程度は、対応する直鎖状核酸分子二量体に比べ、顕著に小さいことが分かる。
例8:環状TNNA含有核酸分子二量体によるTLR3経路活性化の回避
 環状TNNA含有核酸分子二量体により、TLR3経路の活性化(関連遺伝子の発現誘導)が回避できるかどうかを種々の手法で評価した。
(1)定量PCRによる評価
 A549細胞を0.25×10個/ウェルの密度で6ウェルプレートに播種し、10%FBS含有DMEM培地中37℃、5%CO下でインキュベートした。翌日、製造者のプロトコルに従いOpti-MEM(Sigma)培地中にLipofectamine RNAiMAX Transfection Reagent(Thermo Fisher Scientific)と各核酸分子とを含む試料を、核酸分子二量体の終濃度が20nMになるようにA549細胞培養物に加え、6時間トランスフェクションを行った。トランスフェクション後、培地を10%FBS含有DMEM培地に置換した。トランスフェクション開始から24時間後に、培養物の一部を用い、例2と同様にして、TLR3経路に関連するCCL5、CXCL10、IFNα1、IFNβ1、IL6、IL10およびTNFの発現量を測定した。対照として、未処理対照(NT)およびトランスフェクション試薬のみ加えたMock対照(Mock)を用いた。図7に示す結果から、環状TNNA含有核酸分子二量体が、古典的siRNAや非対称直鎖状核酸分子二量体と比べ、TLR3経路関連遺伝子の発現誘導が少ないことが分かる。
(2)PCRアレイによる評価
 A549細胞を0.25×10個/ウェルの密度で6ウェルプレートに播種し、10%FBS含有DMEM培地中、37℃、5%CO下でインキュベートした。翌日、製造者のプロトコルに従いOpti-MEM(Sigma)培地中にLipofectamine RNAiMAX Transfection Reagent(Thermo Fisher Scientific)と各核酸分子とを含む試料を、核酸分子二量体の終濃度が20nMになるようにA549細胞培養物に加え、5時間トランスフェクションを行った。トランスフェクション後、培地を10%FBS含有DMEM培地に置換した。トランスフェクション開始から24時間後に、RNeasy Mini Kit(QIAGEN)を用いてRNAを抽出し、RT2 First strand kit(QIAGEN)を用いて逆転写反応を行った後、RT2 Profiler PCR array(QIAGEN)を用いてリアルタイムPCRを行い、TLR3経路に関連する遺伝子のmRNA発現量を測定した。下表は、NTと各核酸分子との間で発現量に2倍以上の差がある遺伝子についての結果を示す。なお、数値は、ハウスキーピング遺伝子(ACTB/B2M/GAPDH/HPRT1)の平均値で補正し、未処理対照(NT)を1とした倍率である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011
 同表に示す結果から、TLR3経路下流に発現する遺伝子(CCL2、CCL5、IL1B)の発現が環状TNNA含有核酸分子二量体を作用させた細胞において、古典的siRNAや非対称直鎖核酸分子二量体と比べ誘導されないことが分かる。
(3)ウェスタンブロットによる評価
 A549細胞を0.25×10個/ウェルの密度で6ウェルプレートに播種し、10%FBS含有DMEM培地中、37℃、5%CO下でインキュベートした。翌日、製造者のプロトコルに従いOpti-MEM(Sigma)培地中にLipofectamine RNAiMAX Transfection Reagent(Thermo Fisher Scientific)と各核酸分子二量体とを含む試料を、核酸分子二量体の終濃度が20nMになるようにA549細胞培養物に加え、6時間トランスフェクションを行った。トランスフェクション開始から6時間後に、例7と同様に培養物をLysis Bufferに溶解してタンパク質を抽出し、TLR3経路に関連するタンパク質のリン酸化を検出するためにウェスタンブロッティングに供した。ブロットメンブレンを5%のPhosphoBLOCKER Blocking Reagent(Cell Biolabs、AKR-103)でブロッキングし、一次抗体(抗P-TLR3抗体(NBP2-24904、1/1000希釈)、抗TLR3抗体(ab62566、1/1000希釈)、GAPDH(ab8245、1/5000希釈)、抗P-STAT1抗体(SC-8394、1/200希釈)、抗STAT-1抗体(SC-464、1/200希釈))、次いで二次抗体(ECL抗ウサギIgG抗体、1/4000希釈、ECL抗マウスIgG抗体、1/2000希釈)と反応させ、Amersham ECL Primeウェスタンブロッティング検出試薬(GE Healthcare、RPN2232)を用いてバンドを検出した。図8に示す結果から、TLR3経路に関連するタンパク質(TLR3、STAT1)のリン酸化が、環状TNNA含有核酸分子二量体を作用させた細胞において、古典的siRNAや非対称直鎖核酸分子二量体と比べ誘導されていないことから、本経路が活性化されていないことが分かる。
例9:エキソヌクレアーゼ耐性の評価
 環状化核酸分子のエキソヌクレアーゼに対する安定性を評価した。エキソヌクレアーゼ溶液(RNase R、Epicentre、4.5U)に環状または直鎖状TNNAを20μMとなるように加え、全体量を100μLとした。サンプルを37℃でインキュベートし、0、5、10、20および40分経過後にそれぞれサンプルの一部を回収し、-80℃で保存した。全サンプル回収後、各サンプルを20%変性ポリアクリルアミドゲルにアプライし、200Vで70分電気泳動した。ゲルを0.5μg/mLのエチジウムブロマイドで15分染色し、UVでバンド量を評価した。図9に示す結果から、環状核酸分子が、直鎖状核酸分子に比べエキソヌクレアーゼへの耐性が顕著に高いことが分かる。
例10:環状TNNA含有核酸分子二量体のノックダウン効果(5)
 別の核酸分子を標的とするTNNA環状化核酸分子二量体のノックダウン効果を検討した。核酸分子二量体として、MT1MMPを標的とする表12~表13に示すものを使用した。各核酸分子二量体は、例1と同様の方法で調製した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000012
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000013
 細胞としてMDA-MB231、核酸分子二量体として表12~表13に示すものをそれぞれ用い、MT1MMPの発現量を測定対象とした以外は例2と同様にして、前記核酸分子二量体によるMT1MMPのノックダウン効果を評価した。結果を表14に示す。表中、mRNA残存率は、未処理群(NT)におけるmRNAの残存率を100%とした場合の比率(%)で表示し、10nMのRNA濃度でのmRNA残存率が30%以下を合格(〇)と判定した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000014
 上記のとおり、環状TNNA含有核酸分子二量体によるノックダウン効果が、特定の遺伝子に限定されないことが分かる。
例11:miRNAの配列を含む環状TNNA含有核酸分子二量体のノックダウン効果
 miRNAのヌクレオチド配列を含むTNNA環状化核酸分子二量体のノックダウン効果を検討した。miRNAのヌクレオチド配列としてhsa-miR-34a-5pの配列を用いた。各核酸分子二量体は、例1と同様の方法で調製した。使用した配列を表15に、各核酸分子二量体の構成を表16にそれぞれ示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000015
 
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000016
 
 細胞としてHCT116、核酸分子二量体として表15~表16に示すものをそれぞれ用い、ARHGAP1の発現量を測定対象とした以外は例3と同様にして、前記核酸分子二量体によるARHGAP1のノックダウン効果を評価した。ARHGAP1はmiR-34aの標的遺伝子であり、miR-34aによりその発現が抑制されることが知られている(Matsui et al., Mol Ther. 2016;24(5):946-55)。図10の結果が示すとおり、いずれの環状TNNA含有核酸分子二量体も、未処理群(NT)に比べ、顕著なノックダウン効果を示した。
 多数の様々な改変が、本発明の精神から逸脱せずになされ得ることを当業者は理解する。したがって、本明細書に記載された本発明の形態は例示にすぎず、本発明の範囲を制限する意図がないことを理解すべきである。

Claims (12)

  1.  標的核酸分子の少なくとも一部と相補性を有する第一の核酸分子と、前記第一の核酸分子と相補性を有する第二の核酸分子とを含み、前記第一の核酸分子が直鎖状であり、前記第二の核酸分子が環状であり、前記第一の核酸分子と前記第二の核酸分子とが少なくとも部分的に二重鎖を形成する、核酸分子二量体。
  2.  第一の核酸分子が、第二の核酸分子より長い、請求項1に記載の核酸分子二量体。
  3.  第一の核酸分子の3’末端または5’末端が突出を形成する、請求項1または2に記載の核酸分子二量体。
  4.  第一の核酸分子がニックを形成する、請求項1~3のいずれか一項に記載の核酸分子二量体。
  5.  第一の核酸分子の長さが16~30merである、請求項1~4のいずれか一項に記載の核酸分子二量体。
  6.  第二の核酸分子の長さが9~30merである、請求項1~5のいずれか一項に記載の核酸分子二量体。
  7.  第一の核酸分子および/または第二の核酸分子が修飾されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の核酸分子二量体。
  8.  請求項1~7のいずれか一項に記載の核酸分子二量体を含む組成物。
  9.  請求項1~7のいずれか一項に記載の核酸分子二量体と、1または2以上の薬学的に許容し得る添加物とを含む、医薬組成物。
  10.  標的核酸分子の発現の調節に用いるための、請求項1~7のいずれか一項に記載の核酸分子二量体または請求項8もしくは9に記載の組成物。
  11.  標的核酸分子に関連する疾患の処置に用いるための、請求項1~7のいずれか一項に記載の核酸分子二量体または請求項8もしくは9に記載の組成物。
  12.  請求項1~7のいずれか一項に記載の核酸分子二量体または請求項8もしくは9に記載の組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、標的核酸分子に関連する疾患を処置する方法。
     
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