WO2019065083A1

WO2019065083A1 - 吸収性物品及びその製造方法

Info

Publication number: WO2019065083A1
Application number: PCT/JP2018/032382
Authority: WO
Inventors: 昌代小幡
Original assignee: 大王製紙株式会社
Priority date: 2017-09-28
Filing date: 2018-08-31
Publication date: 2019-04-04
Also published as: JP6452777B1; JP2019063007A

Abstract

本発明の課題は、部品点数を増加せずに、ウエスト漏れを防止することである。上記課題は、背側部分（Ｂ）のウエスト側に、各サイド起き上がりギャザー（６０）の付根部分（６５）における前後方向（ＬＤ）に沿う折り返し位置（ＲＰ）で幅方向内側かつ表側に折り返され、かつ各サイド起き上がりギャザー（６０）の先端を越えて延びる、折り返しフラップ（７０）を有し、折り返しフラップ（７０）は少なくともギャザーシート（６２）を含み、これら折り返しフラップ（７０）は、ウエスト側の端部とその裏側に対向する表面とが幅方向（ＷＤ）全体にわたり接合された表面接合部（７１）を有するとともに、この表面接合部（７１）よりも股間側の全体がその裏側に対向する表面に接合されていない表面非接合部（７２）を有しており、一方の折り返しフラップ（７０）の先端部と他方の折り返しフラップ（７０）の先端部とが、表面接合部（７１）から表面非接合部（７２）にかけて接合されている、ことにより解決される。

Description

吸収性物品及びその製造方法

　本発明は、ウエスト漏れ防止を図った吸収性物品及びその製造方法に関するものである。

　使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品においては、表面の幅方向両側から立ち上がるサイド起き上がりギャザーがそれぞれ前後方向に沿って延在しているものが一般的となっている。このようなサイド起き上がりギャザーを備えることによって、横漏れ（脚周りからの漏れ）が効果的に防止される。さらに、ウエスト漏れ（背中側又は腹側からの漏れ）を防止するために、使い捨ておむつの後端部から立ち上がるウエスト起き上がりギャザーが幅方向に沿って延在しているものも知られている（例えば特許文献１，２参照）。

　しかしながら、特許文献１，２記載のウエスト起き上がりギャザーは、別途製造した部品を取り付ける必要があるため、部品点数が増加し、製造工程も複雑化する。

　他方、特許文献３記載には、腹側部分から前記背側部分にかけての幅方向両側に設けられたサイドフラップの全体が幅方向中央側に折り返されて折り返しフラップが形成され、一方の折り返しフラップの先端部と他方の折り返しフラップの先端部とが連結されるとともに、これら折り返しフラップのウエスト側の端部とその裏側に対向する表面とが幅方向全体にわたり接合されているものが開示されている。この特許文献３記載のものは、折り返しフラップと表面との間に環状に連続するポケットが形成されるものである。換言すると、折り返しフラップにより、サイド起き上がりギャザーに相当するサイド起き上がり部分とウエスト起き上がりギャザーに相当するウエスト起き上がり部分とが一体的に形成されているものである。

　しかし、特許文献３記載のような一体構造では、ウエスト起き上がり部分の動き及びサイド起き上がり部分を独立に設計することができず、設計の自由度が少ないものとなる。特に、特許文献３記載のものでは、ウエスト起き上がり部分の動き及びサイド起き上がり部分の動きが相互に影響するため、相互独立に動くものと比べてフィット性が劣る点も問題である。

特開２００８－２３７３９１号公報特開２０１４－０６８８５２号公報特開２００８－１２５５６２号公報

　そこで、本発明の主たる課題は、部品点数を増加せずに、かつサイド起き上がりギャザーの設計の自由度を維持しつつ、ウエスト漏れを防止することにある。

　上記課題を解決した吸収性物品は以下のとおりである。
　＜第１の態様＞
　前後方向中央を含む股間部と、前後方向中央より前側に延びる腹側部分と、前後方向中央より後側に延びる背側部分とを有し、
　前記股間部を含む範囲に内蔵された吸収体を有し、
　前記腹側部分から前記背側部分にかけての幅方向両側に、前記吸収体を有しないサイドフラップを有し、
　前記サイドフラップを含む領域に固定された付根部分、この付根部分から延び出た本体部分、この本体部分の前後方向両端部が倒伏状態に固定された倒伏部分、及び前記本体部分のうち前後の倒伏部分間に位置する非固定の起き上がり部分を有するギャザーシートと、前記起き上がり部分の少なくとも先端部に固定されたギャザー弾性部材とを有するサイド起き上がりギャザーとを備えた、吸収性物品において、
　前後少なくとも一方のウエスト側に、各サイド起き上がりギャザーの前記付根部分又はその側方における前後方向に沿う折り返し位置で幅方向内側かつ表側に折り返され、かつ各サイド起き上がりギャザーの先端を越えて延びる、折り返しフラップを有しており、
　前記折り返しフラップは、少なくとも前記ギャザーシートを含み、
　これら折り返しフラップは、ウエスト側の端部とその裏側に対向する表面とが幅方向全体にわたり接合された表面接合部を有するとともに、この表面接合部よりも股間側の全体がその裏側に対向する表面に接合されていない表面非接合部を有しており、一方の折り返しフラップの先端部と他方の折り返しフラップの先端部とが、前記表面接合部から表面非接合部にかけて接合されている、
　ことを特徴とする吸収性物品。

　（作用効果）
　本テープタイプ使い捨ておむつでは、折り返しフラップと表面との間が、股間側に開口するウエストポケットとなる。このような構造は、既存の部品を利用し、その寸法変更、折り返し及び接合のみで形成できるため、部品点数が増加せず、製造工程も従来のウエスト起き上がりギャザーを有するものよりは簡素となる。しかも、このウエストポケットを形成する折り返しフラップは、サイド起き上がりギャザーとは別に、その上側に形成されるため、折り返しフラップ及びサイド起き上がりギャザーの設計の自由度が高いものとなる。

　＜第２の態様＞
　前記サイドフラップは、前記折り返しフラップを有する前後方向位置に、前記折り返しフラップより裏側に位置するシートが前記股間部よりも側方に延び出たウイング部分を有している、
　第１の態様の吸収性物品。

　（作用効果）
　このように、折り返しフラップより裏側に位置するシートを股間部よりも側方に延ばしてウイング部分を形成することにより、ウイング部分を有する吸収性物品（例えばテープタイプ使い捨ておむつやパッドタイプ使い捨ておむつ、生理用ナプキン等）において、折り返しフラップによるウエストポケットを形成することができる。これに対して、特許文献３記載のものでは、サイドフラップの全層を一体的に折り返すため、側縁は前後方向に沿う直線状となり、ウイング部分を有するものとはならない。

　＜第３の態様＞
　前記折り返しフラップにおける前記折り返し位置側の端部と、前記ウイング部分における前記折り返し位置の側方に隣接する部分とが接合されている、
　第２の態様の吸収性物品。

　（作用効果）
　本態様では、ウイング部分を展開すると、ウイング部分に引っ張られて折り返しフラップの非固定部分が自動的に浮き上がる。つまり、使用に際して折り返しフラップが一度表面から離れることにより、折り返しフラップが潰れたまま使用する事態を防止できる。

　＜第４の態様＞
　前記吸収性物品は、前記ウイング部分に取り付けられた連結テープを有し、
　装着状態では、前記連結テープが前記腹側部分の外面に連結される、テープタイプ使い捨ておむつである、
　第２又は３の態様の吸収性物品。

　（作用効果）
　ウイング部分を有する吸収性物品のうち、特にテープタイプ使い捨ておむつはウエスト漏れの防止が重要なものである。

　＜第５の態様＞
　前記サイド起き上がりギャザーの起き上がり部分は、前記折り返しフラップと重なる位置までウエスト側に延びており、かつ前記折り返しフラップと重なる部分が前記折り返しフラップと接合されていない、
　第１～４のいずれか１つの態様の吸収性物品。

　（作用効果）
　本態様では、サイド起き上がりギャザーの起き上がり力により、折り返しフラップの股間側が浮き上がる。つまり、サイド起き上がりギャザーの起き上がり力により、ウエストポケットの入口が開口するため、ウエスト漏れの防止性により優れるようになる。

　＜第６の態様＞
　前記吸収体の表側を覆う液透過性のトップシートと、
　前記吸収体の裏側を覆い、かつ前記吸収体の側方に延び出た液不透過性シートと、
　前記液不透過性シートの裏側を覆う外装不織布とを備えており、
　前記サイドフラップは、前記ギャザーシート、前記液不透過性シート、及び前記外装不織布を有しており、
　前記折り返しフラップは、前記ギャザーシート及び前記液不透過性シートを有し、かつ前記外装不織布を有しない、
　第１～５のいずれか１つの態様の吸収性物品。

　（作用効果）
　吸収体の裏側を覆う液不透過性シートがギャザーシートとともに折り返されて、折り返しフラップが形成されていると、ウエストポケットの少なくとも側部が液不透過性シートを有する部分となり、防水性が高いものとなるため好ましい。

　＜第７の態様＞
　前記サイドフラップの前後方向中間には、前記ギャザーシートと前記液不透過性シートとの間に、前後方向に沿って延びる脚周り弾性部材が設けられており、前記脚周り弾性部材は前記折り返しフラップ内まで延びている、
　第６の態様の吸収性物品。

　（作用効果）
　本態様では、脚周り弾性部材の収縮力により折り返しフラップの側部が浮き上がり、ウエストポケットの入口が開いた状態に維持される。

　＜第８の態様＞
　第１の態様の吸収性物品の製造方法において、
　前記折り返しフラップとなる部分を折り返さずに展開した状態となるように、各部品の組み付けを行う、第１工程と、
　前記折り返しフラップとなる部分を、前記付根部分の側縁で表側に折り返して折り返しフラップを形成し、これら折り返しフラップにおけるウエスト側の端部とその裏側に対向する表面とを幅方向全体にわたり接合して表面接合部を形成し、かつこの表面接合部よりも股間側の全体をその裏側に対向する表面に接合せずに表面非接合部を形成するとともに、一方の折り返しフラップの先端部と他方の折り返しフラップの先端部とを、前記表面接合部から表面非接合部にかけて接合する、
　ことを特徴とする、吸収性物品の製造方法。

　（作用効果）
　本態様のように、第１工程では折り返しフラップとなる部分を折り返さずに展開した状態で、各部品の組み付けを行い、その後の第２工程で、折り返しフラップとなる部分を折り返し、折り返しフラップの形成とその接合を行うことにより、簡素な工程で、第１の態様の吸収性物品を製造することができる。

　＜第９の態様＞
　第２の態様の吸収性物品の製造方法において、
　前記折り返しフラップとなる部分を折り返さずに展開した状態となるように、各部品の組み付けを行い、かつこの際に、前記折り返しフラップとなる部分をその裏側に対向する部分に接合しない、第１工程と、
　前記折り返しフラップとなる部分及びその裏側に対向する部分を、前記付根部分の側縁で表側に折り返して折り返しフラップを形成し、これら折り返しフラップにおけるウエスト側の端部とその裏側に対向する表面とを幅方向全体にわたり接合して表面接合部を形成し、かつこの表面接合部よりも股間側の全体をその裏側に対向する表面に接合せずに表面非接合部を形成するとともに、一方の折り返しフラップの先端部と他方の折り返しフラップの先端部とを、前記表面接合部から表面非接合部にかけて接合する、第２工程とを含む、
　ことを特徴とする、吸収性物品の製造方法。

　（作用効果）
　本態様では、第１工程で、折り返しフラップとなる部分をその裏側に対向する部分に接合せずに、第２工程で折り返しフラップとなる部分及びその裏側に対向する部分を一体的に折り返して、折り返しフラップを形成すると、その後、折り返しフラップと重なる部分を展開することによりウイング部分を形成できる。例えば、第２工程の後に、折り返した部分を展開せずに、必要に応じて前後方向に折り畳む等した状態で製品として包装し、販売すると、第２工程での折り返しを、販売形態への折り畳みを兼ねて行うことができ、製造工程を簡素化することができる。このようにして製造される製品は、折り返しフラップの折り位置で、それよりも幅方向外側の部分が幅方向内側に折り返されたものとなる。この製品は、例えば一般的なテープタイプ使い捨ておむつやパッドタイプ使い捨ておむつと同様に、使用者が製品のウイング部分を展開して使用する。

　以上のとおり、本発明によれば、部品点数を増加せずに、かつサイド起き上がりギャザーの設計の自由度を維持しつつ、ウエスト漏れを防止できるようになる、等の利点がもたらされる。

テープタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。テープタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。図１の６－６線断面図である。図１の７－７線断面図である。（ａ）図１の８－８線断面図、（ｂ）図１の９－９線断面図である。図１の５－５線断面図である。図１の５－５線断面図である。ウエスト伸縮シートを示す、（ａ）平面図、及び（ｂ）断面図である。テープタイプ使い捨ておむつの背側部分の装着状態を示す斜視図である。テープタイプ使い捨ておむつの製造時の変化を示す平面図である。テープタイプ使い捨ておむつの製造時の変化を示す平面図である。他の例を概略的に示すテープタイプ使い捨ておむつの斜視図である。

　＜吸収性物品の例＞
　図１～図９は、吸収性物品の一例としてのテープタイプ使い捨ておむつを示している。図中の符号Ｘは連結テープを除いたおむつの全幅を示しており、符号Ｌはおむつの全長を示しており、符号Ｆは前後方向中央より前側に位置する腹側部分を示し、符号Ｂは前後方向中央より後側に位置する背側部分を示している。また、図中の点模様部分はその表側及び裏側に位置する各構成部材を接合する接合手段としての接着剤を示しており、ホットメルト接着剤のベタ、ビード、カーテン、サミット若しくはスパイラル塗布、又はパターンコート（凸版方式でのホットメルト接着剤の転写）などにより、あるいは弾性部材の固定部分はこれに代えて又はこれとともにコームガンやシュアラップ塗布などの弾性部材の外周面への塗布により形成されるものである。ホットメルト接着剤としては、例えばＥＶＡ系、粘着ゴム系（エラストマー系）、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在するが、特に限定無く使用できる。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。

　このテープタイプ使い捨ておむつは、吸収体５６と、吸収体５６の表側を覆う液透過性のトップシート３０と、吸収体５６の裏側を覆う液不透過性シート１１と、液不透過性シートの裏側を覆い、製品外面を構成する外装不織布１２とを有するものである。外装不織布１２は省略したり、他の素材に変更したりすることができる。

　また、図示例のテープタイプ使い捨ておむつは、吸収体５６の前側及び後側にそれぞれ延出する、吸収体５６を有しない一対のエンドフラップＥＦと、吸収体５６の両側縁よりも側方にそれぞれ延出する、吸収体５６を有しない一対のサイドフラップＳＦとを有している。図示例のサイドフラップＳＦは、腹側部分Ｆ及び背側部分Ｂのウエスト側に、股間部よりも幅方向両側に延び出たウイング部分ＷＰを有しているが、腹側部分Ｆ及び背側部分Ｂの両方にウイング部分ＷＰを有しない形態としたり、背側部分Ｂはウイング部分ＷＰを有するが、腹側部分Ｆはウイング部分ＷＰを有しない形態としたりすることもできる。

　以下、各部の詳細について順に説明する。
　（連結テープ）
　背側部分Ｂにおけるウイング部分ＷＰには、腹側部分Ｆの外面に対して着脱可能に連結される連結テープ１３がそれぞれ設けられている。おむつの装着に際しては、連結テープ１３を腰の両側から腹側部分Ｆの外面に回して、連結テープ１３の連結部１３Ａを腹側部分Ｆ外面の適所に連結する。

　連結テープ１３の構造は特に限定されないが、図示例では、ウイング部分に固定されたテープ取付部１３Ｃ、及びこのテープ取付部１３Ｃから突出するテープ本体部１３Ｂをなすシート基材と、このシート基材におけるテープ本体部１３Ｂの幅方向中間部に設けられた、腹側に対する連結部１３Ａとを有し、この連結部１３Ａより先端側が摘み部となっている。

　テープ取付部１３Ｃは、図示例では外装不織布の外面に取り付けられているが、ウイング部分ＷＰを構成するシートの間に挟むと、強度が高く、かつ肌触りが問題となりにくい。

　連結部１３Ａとしては、メカニカルファスナー（面ファスナー）のフック材（雄材）を設ける他、粘着剤層を設けてもよい。フック材は、その連結面に多数の係合突起を有するものであり、係合突起の形状としては、（Ａ）レ字状、（Ｂ）Ｊ字状、（Ｃ）マッシュルーム状、（Ｄ）Ｔ字状、（Ｅ）ダブルＪ字状（Ｊ字状のものを背合わせに結合した形状のもの）等が存在するが、いずれの形状であっても良い。

　また、テープ取付部１３Ｃからテープ本体部１３Ｂまでを形成するシート基材としては、不織布、プラスチックフィルム、ポリラミ不織布、紙やこれらの複合素材を用いることができるが、繊度１．０～３．５ｄｔｅｘ、目付け２０～１００ｇ／ｍ²、厚み１ｍｍ以下のスパンボンド不織布、エアスルー不織布、又はスパンレース不織布が好ましい。

　（ターゲットシート）
　腹側部分Ｆにおける連結テープ１３の連結箇所には、連結を容易にするためのターゲットを有するターゲットシート１２Ｔを設けるのが好ましい。ターゲットシート１２Ｔは、連結部１３Ａがフック材の場合、フック材の係合突起が絡まるようなループ糸がプラスチックフィルムや不織布からなるシート基材の表面に多数設けられたものを用いることができ、また粘着材層の場合には粘着性に富むような表面が平滑なプラスチックフィルムからなるシート基材の表面に剥離処理を施したものを用いることができる。また、腹側部分Ｆにおける連結テープ１３の連結箇所が不織布からなる場合、例えば図示形態のように外装不織布１２を有する場合には、ターゲットシート１２Ｔを省略し、フック材を外装不織布１２の繊維に絡ませて連結することもできる。この場合、目印としてのターゲットシート１２Ｔを外装不織布１２と液不透過性シート１１との間に設けてもよい。

　（吸収体）
　吸収体５６は、排泄液を吸収し、保持する部分であり、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ（繊維束）を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば１００～３００ｇ／ｍ²程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば３０～１２０ｇ／ｍ²程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、１～１６ｄｔｅｘ、好ましくは１～１０ｄｔｅｘ、さらに好ましくは１～５ｄｔｅｘである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、２．５４ｃｍ当たり５～７５個、好ましくは１０～５０個、さらに好ましくは１５～５０個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いることができる。

　（高吸収性ポリマー粒子）
　吸収体５６には、少なくとも一部に高吸収性ポリマー粒子を含むことが好ましい。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、１０００μｍ以下、特に１５０～４００μｍのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が４０ｇ／ｇ以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん－アクリル酸（塩）グラフト共重合体、でんぷん－アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸（塩）重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が１０００Ｐａ以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体５６とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる

　高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が７０秒以下、特に４０秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が遅すぎると、吸収体５６内に供給された液が吸収体５６外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。

　高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体５６の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、５０～３５０ｇ／ｍ²とすることができる。ポリマーの目付け量が５０ｇ／ｍ²未満では、吸収量を確保し難くなる。３５０ｇ／ｍ²を超えると、効果が飽和するばかりでなく、高吸収性ポリマー粒子の過剰によりジャリジャリした違和感を与えるようになる。

　（包装シート）
　高吸収性ポリマー粒子の抜け出しを防止するため、あるいは吸収体５６の形状維持性を高めるために、吸収体５６は包装シート５８で包んでなる吸収要素５０として内蔵させることができる。包装シート５８としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のＳＭＭＳ（スパンボンド／メルトブローン／メルトブローン／スパンボンド）不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン／ポリプロピレンなどを使用できる。繊維目付けは、５～４０ｇ／ｍ²、特に１０～３０ｇ／ｍ²のものが望ましい。

　この包装シート５８は、図３及び図５に示すように、一枚で吸収体５６の全体を包む形態とするほか、上下２枚等の複数枚のシートで吸収体５６の全体を包むようにしてもよい包装シート５８は省略することもできる。

　（トップシート）
　トップシート３０は液透過性を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを用いることができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。

　トップシート３０は、前後方向ＬＤでは製品前端から後端まで延び、幅方向ＷＤでは吸収体５６よりも側方に延びているが、例えば後述するサイド起き上がりギャザー６０の起点が吸収体５６の側縁よりも幅方向中央側に位置する場合等、必要に応じて、トップシート３０の幅を吸収体５６の全幅より短くする等、適宜の変形が可能である。

　（中間シート）
　トップシート３０を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、トップシート３０より液の透過速度が速い、中間シート（「セカンドシート」とも呼ばれている）４０を設けることができる。この中間シート４０は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高め、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止するためのものである。中間シート４０は省略することもできる。

　中間シート４０としては、トップシート３０と同様の素材や、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、ＳＭＳ不織布、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド不織布又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン（ＰＰ）でも良いが剛性の高いポリエステル（ＰＥＴ）が好ましい。目付けは１７～８０ｇ／ｍ²が好ましく、２５～６０ｇ／ｍ²がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは２．０～１０ｄｔｅｘであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。

　図示例の中間シート４０は、吸収体５６の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。また、中間シート４０は、おむつの全長にわたり設けてもよいが、図示例のように排泄位置を含む中間部分にのみ設けてもよい。

　（液不透過性シート）
　液不透過性シート１１は、透湿性を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを好適に用いることができる。また、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂又は疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート１１として用いることができる。

　液不透過性シート１１は、前後方向ＬＤ及び幅方向ＷＤにおいて吸収体５６と同じか又はより広範囲にわたり延びていることが望ましいが、他の遮水手段が存在する場合等、必要に応じて、前後方向ＬＤ及び幅方向ＷＤにおいて吸収体５６の端部を覆わない形態とすることもできる。図示例では、外装不織布１２等の他の部材が製品側縁まで延びているため、液不透過性シート１１は製品側縁まで延びていないが、製品側縁まで延びていてもよい。

　（外装不織布）
　外装不織布１２は液不透過性シート１１の裏側全体を覆い、製品外面を布のような外観とするものである。外装不織布１２としては特に限定されず、素材繊維としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法としてはスパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いることができる。ただし、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やＳＭＳ不織布、ＳＭＭＳ不織布等の長繊維不織布が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。不織布を用いる場合、その繊維目付けは１０～５０ｇ／ｍ²、特に１５～３０ｇ／ｍ²のものが望ましい。

　（ウエスト伸縮シート）
　背側部分Ｂにおける胴周り部には帯状のウエスト伸縮シート９０が設けられ、背側部分Ｂが幅方向ＷＤに弾性伸縮するものとなっていると好ましい。ウエスト伸縮シート９０は、幅方向ＷＤの両端部が非伸縮領域９６となっているとともに、これら非伸縮領域９６の間の部分は、幅方向ＷＤに伸縮する中間伸縮領域９５となっていると好ましい。ウエスト伸縮シート９０は、エンドフラップＥＦにのみ位置していてもよいが、図示例のようにエンドフラップＥＦから吸収体５６の後端部までにわたるように配置されていると、吸収体５６の後端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。

　ウエスト伸縮シート９０は、ゴムシート等のシート状弾性部材を用いても良いが、通気性の観点から不織布を用いるのが好ましい。この場合、伸縮不織布のような通気性を有するシート状弾性部材を用いることもできるが、図８に示すように、二枚の不織布等のシート層９１をホットメルト接着剤等の接着剤により貼り合わせるとともに、両シート層９１間に有孔のシート状、網状、細長状（糸状又は紐状等）等の弾性部材９２を幅方向ＷＤに沿って伸長した状態で固定したものが好適に用いられる。この場合におけるシート層９１の素材としては、外装不織布１２と同様のものを用いることができる。弾性部材９２の伸長率は１５０～２５０％程度であるのが好ましい。また、弾性部材９２として細長状（糸状又は紐状等）のものを用いる場合、太さ４２０～１１２０ｄｔｅｘのものを３～１０ｍｍの間隔９２ｄで５～１５本程度設けるのが好ましい。

　ウエスト伸縮シート９０の幅は適宜定めることができるが、図示例のように、左右のサイドフラップＳＦ間にわたる幅となっていることが好ましく、特に左右のウイング部分ＷＰ間にわたる幅となっていることが好ましい。具体的な寸法としては、ウエスト伸縮シート９０の幅は全幅Ｘの８０～９５％程度とすることが好ましい。

　ウエスト伸縮シート９０における中間伸縮領域９５及び非伸縮領域９６の寸法は適宜定めることができるが、中間伸縮領域９５の幅はテープ取付部間の幅の４５～９０％とすることが好ましく、非伸縮領域９６の幅は取付け時の縮みやめくれ防止のため５～５０ｍｍ程度とすることが好ましい。非伸縮領域９６は弾性部材９２を有しない領域としてもよいが、特開２００８－２９７４９号公報に記載されるように、中間伸縮領域９５及び非伸縮領域９６にわたり弾性部材９２を取り付けるとともに、非伸縮領域９６では弾性部材９２を切断する等により、非伸縮領域９６に弾性部材９２が残留するもののほとんど又は全く伸縮しない構造としてもよい。

　また、弾性部材９２の一部が吸収体５６を横断するように配置することもできるが、図８に示すように、弾性部材９２が吸収体５６と重なる部分の一部又は全部を切断する等により、弾性部材９２が残留するもののほとんど又は全く伸縮しない構造とすると、吸収体５６の後端部が幅方向に縮まないため、フィット性がさらに向上する。

　ウエスト伸縮シート９０は、図示形態では、液不透過性シート１１と外装不織布１２との間に配置されているが、この配置に特に限定されるものではない。例えば、ウエスト伸縮シート９０は液不透過性シート１１と吸収要素５０との間に配置されていてもよいし、外装不織布１２の外側に設けてもよい。また、外装不織布１２を複数枚のシート層を重ねて形成する場合には、ウエスト伸縮シート９０全体を、外装不織布１２のシート層間に設けても良い。

　図示しないが、腹側部分Ｆにも、幅方向ＷＤに伸縮するウエスト伸縮シート９０が設けられていると、胴周りに対するフィット性がより一層良好となるため好ましい。

　（平面ギャザー）
　各サイドフラップＳＦには、糸ゴム等の細長状弾性部材からなる脚周り弾性部材６４が前後方向ＬＤに沿って伸長された状態で固定されており、これにより各サイドフラップＳＦの脚周り部分が平面ギャザーとして構成されている。脚周り弾性部材６４は、図示例のように、ギャザーシート６２の接合部分のうち接合始端近傍の幅方向外側において、ギャザーシート６２と液不透過性シート１１との間に設けるほか、サイドフラップＳＦにおける液不透過性シート１１と外装不織布１２との間に設けることもできる。脚周り弾性部材６４は、図示例のように各側で複数本設ける他、各側に１本のみ設けることもできる。

　（サイド起き上がりギャザー）
　トップシート３０上を伝わって横方向に移動する排泄物を阻止し、いわゆる横漏れを防止するために、表面の幅方向ＷＤの両側には、装着者の肌側に立ち上がるサイド起き上がりギャザー６０が設けられている。

　サイド起き上がりギャザー６０は、サイドフラップＳＦを含む領域に固定された付根部分６５と、この付根部分６５より延び出る本体部分６６と、本体部分６６の前後端部が倒伏状態に固定されて形成された倒伏部分６７と、本体部分６６における前後の倒伏部分６７の間に位置する非固定の起き上がり部分６８と、起き上がり部分６８の少なくとも先端部に前後方向ＬＤに沿って取り付けられたギャザー弾性部材６３とを有するものである。図示例のサイド起き上がりギャザー６０は、先端で二つ折りされるとともに、表側の層が付根部分６５（図示例では製品側縁）を経て後述の折り返しフラップまで延び、裏側の層が本体部分６６と付根部分６５との境界近傍まで延びるギャザーシート６２により形成されている。ギャザー弾性部材６３は、このギャザーシート６２における表側の層と裏側の層との間に挟まれている。

　ギャザーシート６２としてはスパンボンド不織布（ＳＳ、ＳＳＳ等）やＳＭＳ不織布（ＳＭＳ、ＳＳＭＭＳ等）、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコーンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは１０～３０ｇ／ｍ²程度とするのが好ましい。

　ギャザー弾性部材６３としては糸ゴム等の細長状の弾性部材を用いることができる。合成糸ゴムを用いる場合は、太さは４７０～１２４０ｄｔｅｘが好ましく、６２０～９４０ｄｔｅｘがより好ましい。固定時の伸長率は、１５０～３５０％が好ましく、２００～３００％がより好ましい。ギャザー弾性部材６３は、図示例のように幅方向ＷＤに間隔を空けて複数本設ける他、先端部に１本のみ設けることもできる。

　倒伏部分６７は、ホットメルト接着剤、又はこれに代えて若しくはこれとともにヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段を用い、倒伏状態に固定することができる。同様に、付根部分６５も、ホットメルト接着剤、又はこれに代えて若しくはこれとともにヒートシールや超音波シール等の素材溶着により固定することができる。

　このような、サイド起き上がりギャザー６０では、付根部分６５から延びる本体部分６６は、倒伏部分６７では倒伏状態に固定されているものの、その間の部分は非固定の起き上がり部分６８であり、この起き上がり部分６８が弾性部材６３の収縮力により収縮して起き上がり、身体表面に密着する。

　（折り返しフラップ）
　特徴的には、図１、図５（ａ）、図６及び図９に示すように、背側部分Ｂのウエスト側に、各サイド起き上がりギャザー６０の付根部分６５における前後方向ＬＤに沿う折り返し位置ＲＰで幅方向内側かつ表側に折り返され、かつ各サイド起き上がりギャザー６０の先端を越えて延びる、折り返しフラップ７０を有している。そして、これら折り返しフラップ７０は、ウエスト側の端部とその裏側に対向する表面とが幅方向ＷＤ全体にわたり接合された表面接合部７１を有するとともに、この表面接合部７１よりも股間側の全体がその裏側に対向する表面に接合されていない表面非接合部７２とされている。また、一方の折り返しフラップ７０の先端部と他方の折り返しフラップ７０の先端部との重なり部分が、表面接合部７１から表面非接合部７２にかけて接合され、フラップ連結部７３が設けられている。

　これにより、図５（ａ）、図６及び図９に示すように、折り返しフラップ７０とトップシート３０との間が、股間側に開口するウエストポケット７４となる。このような構造は、既存の部品を利用し、その寸法変更、折り返し及び接合のみで形成できるため、部品点数が増加せず、製造工程も従来のウエスト起き上がりギャザーを有するものよりは簡素となる。しかも、このウエストポケット７４を形成する折り返しフラップ７０は、サイド起き上がりギャザー６０とは別に、その上側に形成されるため、折り返しフラップ７０及びサイド起き上がりギャザー６０の設計の自由度が高いものとなる。

　折り返しフラップ７０によるウエストポケット７４は、図１に示すように、背側部分Ｂのみに設けるほか、図１２（ａ）に示すように腹側部分Ｆ及び背側部分Ｂの両方に設けたり、図１２（ｂ）に示すように腹側部分Ｆのみに設けたりすることもできる。

　フラップ連結部７３における折り返しフラップ７０の先端部同士の接合、及び表面接合部７１における折り返しフラップ７０とトップシート３０との接合には、ホットメルト接着剤を用いる他、超音波シールやヒートシール等の素材溶着を用いることもできる。折り返しフラップ７０の先端部同士の接合は、表面接合部７１から表面非接合部７２にかけて接合されていれば、表面非接合部７２の股間側の一部（特に接着剤塗布が困難な端部）は接合さていなくてもよい。

　折り返しフラップ７０の折り返し位置ＲＰは適宜定めれば良く、サイド起き上がりギャザー６０の付根部分６５に位置していることが好ましいが、付根部分６５よりも側方に位置していてもよい。また、折り返し位置ＲＰはサイドフラップＳＦに位置していることが望ましい。

　図７に示すように、折り返しフラップ７０における折り返し位置ＲＰ側の端部と、ウイング部分ＷＰにおける折り返し位置ＲＰの側方に隣接する部分とが接合されていると、ウイング部分ＷＰを展開したとき、ウイング部分ＷＰに引っ張られて折り返しフラップ７０の非固定部分が自動的に浮き上がる。つまり、使用に際して折り返しフラップ７０が一度表面から離れることにより、折り返しフラップ７０が潰れたまま使用する事態を防止できる。特に、この接合幅が、折り返し位置ＲＰ間の折り返しフラップ７０の幅方向ＷＤ寸法の０．１～０．７倍程度であると、通常の場合、装着状態で折り返しフラップ７０の非固定部分が浮き上がり、ウエストポケット７４の入口が開いた状態になる。これに対して、図６に示すように折り返しフラップ７０における折り返し位置ＲＰ側の端部と、ウイング部分ＷＰにおける折り返し位置ＲＰの側方に隣接する部分とが接合されていないと、上記折り返しフラップ７０の浮き上がり作用はないものとなる。

　折り返しフラップ７０はサイドフラップＳＦの構成部材のすべてを折り返してもよい。ただし、その場合、おむつの側縁が前後方向ＬＤに沿う直線状となり、ウイング部分ＷＰを有するものとはならない。これに対して、図示例のように折り返しフラップ７０を有する前後方向ＬＤ位置で、折り返しフラップ７０より裏側に位置するシート（図示例では、ウエスト伸縮シート９０及び外装不織布１２）を股間部よりも側方に延ばすことにより、ウイング部分ＷＰを形成しつつ、折り返しフラップ７０によるウエストポケット７４を形成することができる。この場合、ウイング部分ＷＰの外形は外装不織布１２により形成され、その中に部分的にウエスト伸縮シート９０を有する部分があるため、連結テープ１３のテープ取付部１３Ｃは、ウイング部分ＷＰにおけるウエスト伸縮シート９０と重なる部分に取り付けられていると、取り付け強度が高くなるため好ましい。

　図示例は、後述の製造方法を想定したものであるため、折り返しフラップ７０の形状は、折り返しフラップ７０の折り返し位置ＲＰよりも側方の部分と同形（折り返し位置ＲＰについて左右対称）の部分と、その先端から延び出た延長部分とを有するものとなっているが、これに限定されるものではなく、任意の形状を採用することができる。なお、図示例のように、折り返しフラップ７０の下縁が幅方向ＷＤ中央に向かうにつれてウエスト側に位置するような曲線であると、フィット性に優れたものとなる。

　サイド起き上がりギャザー６０の起き上がり部分６８は、折り返しフラップ７０と重なる位置までウエスト側に延びていなくてもよい。また、サイド起き上がりギャザー６０と折り返しフラップ７０とは、それらの重なり部分で部分的又は全体的に接合されていてもよい。しかし、図示例のように、サイド起き上がりギャザー６０の起き上がり部分６８が折り返しフラップ７０と重なる位置までウエスト側に延び、かつ折り返しフラップ７０と重なる部分が折り返しフラップ７０と接合されていないと、サイド起き上がりギャザー６０の起き上がり力により、折り返しフラップ７０の股間側が浮き上がる。つまり、サイド起き上がりギャザー６０の起き上がり力により、ウエストポケット７４の入口が開口するため、ウエスト漏れの防止性により優れるようになる。サイド起き上がりギャザー６０の起き上がり部分６８における折り返しフラップ７０と重なる部分の前後方向ＬＤ寸法は、折り返しフラップ７０の非固定部分の前後方向ＬＤ寸法の１／３～２／３程度とすることが好ましい。

　折り返しフラップ７０はギャザーシート６２を含む限り、ギャザーシート６２のみで構成されていてもよく、この場合、液不透過性シート１１はウイング部分ＷＰを構成することになるが、図示例のように、折り返しフラップ７０がギャザーシート６２だけでなく液不透過性シート１１を含むのは一つの好ましい形態である。このように、吸収体５６の裏側を覆う液不透過性シート１１がギャザーシート６２とともに折り返されて、折り返しフラップ７０が形成されていると、ウエストポケット７４の少なくとも側部が液不透過性シート１１を有する部分となり、防水性が高いものとなる。

　この場合において、図示例のように脚周り弾性部材６４をギャザーシート６２と液不透過性シート１１との間に配置し、脚周り弾性部材６４を折り返しフラップ７０内まで延ばすと、脚周り弾性部材６４の収縮力により折り返しフラップ７０の側部が浮き上がり、ウエストポケット７４の入口が開いた状態に維持されるため好ましい。

　＜製造方法について＞
　他方、上述のテープタイプ使い捨ておむつは、次のような製造方法により、製造ラインで連続的に製造できるようになる。すなわち、先ず、折り返しフラップ７０となる部分を折り返さずに展開した状態となるように、各部品の組み付けを行う。図１０は、ギャザーシート６２をＣＤ方向に二つ折りするとともに、その間にギャザー弾性部材６３を取り付けたサイド起き上がりギャザー６０（図１～図６参照）を、裏側の部材（図１～図６に示す例では、トップシート３０の幅方向両端部、液不透過性シート１１の幅方向両端部、外装不織布１２の幅方向両端部）に組み付けた状態を示している。この組み付けの際、折り返しフラップ７０となる部分７００（図１～図６に示す例の場合、ギャザーシート６２、トップシート３０、及び液不透過性シート１１）は、その裏側に対向する部分（図１～図６に示す例の場合、外装不織布１２及びウエスト伸縮シート９０）に接合しない。

　また、設計にもよるが、通常のテープタイプ使い捨ておむつの場合、折り返しフラップ７０同士を連結可能とするために、折り返しフラップ７０の幅方向寸法を、折り返し位置ＲＰの幅方向外側の部分よりも大きくすることが望ましい。よって、図１０に示す例では、ギャザーシート６２の幅をＣＤ方向外側に延ばし、ギャザーシート６２の側縁が外装不織布１２の側縁からはみ出すようにしている。この時点では、ギャザーシート６２の側縁が前後方向ＬＤに沿って直線状に残っており、ウイング部分ＷＰは形成されていない。

　次いで、トップシート３０における折り返しフラップ７０のウエスト側の端部となる部分に、ホットメルト接着剤ＨＭ１を塗布するとともに、ウイング部分ＷＰを形成するために、ＭＤ方向中間におけるＣＤ方向両側部が脚周りに沿うように切除される。図示例では、ホットメルト接着剤ＨＭ１の塗布が切除より先になっているが、逆でも良い。

　その後、図１１に示すように、一方の折り返しフラップ７０となる部分７００及びその裏側に対向する部分を、ＣＤ方向における所定の折り返し位置ＲＰ（付け根部分又はそのＣＤ方向外側）で表側に折り返して折り返しフラップ７０を形成し、その先端部上にホットメルト接着剤ＨＭ２を塗布する。続いて、他方の折り返しフラップ７０となる部分７００及びその裏側に対向する部分を、所定の折り返し位置ＲＰ（付け根部分又はそのＣＤ方向外側）で表側に折り返して折り返しフラップ７０を形成する。この際、これら折り返しフラップ７０をトップシート３０側に押し付ける。これにより、これら折り返しフラップ７０におけるウエスト側の端部とその裏側に対向するトップシート３０とが、予めトップシート３０に塗布しておいたホットメルト接着剤ＨＭ１により幅方向ＷＤにわたり接合され、表面接合部７１が形成される。ここで、この表面接合部７１よりも股間側の全体、その裏側に対向するトップシート３０にはホットメルト接着剤ＨＭ１が塗布されていないため、これらは接合されずに表面非接合部７２が形成される。さらに、一方の折り返しフラップ７０の先端部と他方の折り返しフラップ７０の先端部とが、予め一方の折り返しフラップ７０の先端部に塗布しておいたホットメルト接着剤ＨＭ２により表面接合部７１から表面非接合部７２にかけて接合され、フラップ連結部７３が形成される。

　このように、折り返しフラップ７０となる部分７００をその裏側に対向する部分に接合せずに、折り返しフラップ７０となる部分７００及びその裏側に対向する部分を一体的に折り返して、折り返しフラップ７０を形成すると、折り返しフラップ７０と重なる部分を展開することによりウイング部分ＷＰを形成できる。例えば、折り返しフラップ７０を形成した後に、そのまま折り返しフラップ７０と重なる部分を展開することなく、必要に応じて前後方向ＬＤに２つ折り、３つ折り、４つ折り等した状態で製品として包装し、販売することもできる。これにより、折り返しフラップ７０の形成を、販売形態への折り畳みを兼ねて行うことができ、製造工程を簡素化することができる。このようにして製造される製品は、折り返しフラップ７０の折り位置で、それよりも幅方向外側の部分が幅方向内側に折り返されたものとなる。この製品は、例えば一般的なテープタイプ使い捨ておむつやパッドタイプ使い捨ておむつと同様に、使用者が製品のウイング部分ＷＰを展開して使用する。これは、ギャザーシート６２のＣＤ方向寸法及びホットメルト接着剤の塗布以外は、従来と基本的に同様の製造方法で連続的に製造し、使用できることを意味する。また、このような製造方法は、パッドタイプ使い捨ておむつや生理用ナプキンにも応用できることはいうまでもない。

　なお、図１０及び図１１では、理解を容易にするために、個々の使い捨ておむつの部分の変化を示しているが、実際の製造ラインでは、使い捨ておむつの前後方向ＬＤがＭＤ方向となるように個々の使い捨ておむつとなる部分がＭＤ方向に繰り返し連続する連続体の状態で、各工程が行われた後、個々の使い捨ておむつの境界となる部分で切断され、個々の使い捨ておむつが製造される。

　また、図１０及び図１１では図面を分かりやすくするために連結テープ１３の図示を省略しているが、連結テープ１３は折り返しフラップ７０の形成前に取り付けることが望ましい。しかし、その場合、連結テープ１３をＣＤ方向に突出する形態で取り付けると、その後の折り返しが困難となる。そこで、図６に示すように、連結テープ１３を断面Ｚ字状をなすように折り畳んだ状態で、かつ折り返し部分（折り返しフラップ７０となる部分７００及びその裏側に対向する部分）より側方に突出する部分を有しないように、取り付けるのも好ましい。

　他方、図示例は、ウイング部分ＷＰを有するテープタイプ使い捨ておむつを製造するものであるため、折り返しフラップ７０となる部分７００をその裏側に対向する部分に接合していないが、接合してもよい。その場合、折り返し部分（ＣＤ方向の側部）全体が折り返しフラップ７０となるため、製品の側縁は前後方向ＬＤ（ＭＤ方向）に沿う直線状となる。

　＜明細書中の用語の説明＞
　明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
　・「前後（縦）方向ＬＤ」とは腹側（前側）と背側（後側）を結ぶ方向を意味し、「幅方向ＷＤ」とは前後方向と直交する方向（左右方向）を意味する。

　・「ＭＤ方向」及び「ＣＤ方向」とは、製造ラインにおける流れ方向（ＭＤ方向）及びこれと直交する横方向（ＣＤ方向）を意味する。

　・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。

　・「伸長率」は、自然長を１００％としたときの値を意味する。

　・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿（尿素：２ｗｔ％、塩化ナトリウム：０．８ｗｔ％、塩化カルシウム二水和物：０．０３ｗｔ％、硫酸マグネシウム七水和物：０．０８ｗｔ％、及びイオン交換水：９７．０９ｗｔ％）４９．０ｇに、高吸収性ポリマーを１．０ｇ加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを４０℃×６０％ＲＨの恒温恒湿槽内に３時間放置したあと常温にもどし、カードメーター（Ｉ．ｔｅｃｈｎｏ　Ｅｎｇｉｎｅｅｒｉｎｇ社製：Ｃｕｒｄｍｅｔｅｒ－ＭＡＸ　ＭＥ－５００）でゲル強度を測定する。

　・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態（試験場所は、温度２３±１℃、相対湿度５０±２％）の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を温度１００℃の環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が０．０％の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から、試料採取用の型板(１００ｍｍ×１００ｍｍ)を使用し、１００ｍｍ×１００ｍｍの寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、１００倍して１平米あたりの重さを算出し、目付けとする。

　・「厚み」は、自動厚み測定器（ＫＥＳ－Ｇ５　ハンディー圧縮試験機）を用い、荷重：０．０９８Ｎ／ｃｍ²、及び加圧面積：２ｃｍ²の条件下で自動測定する。

　・「吸水量」は、ＪＩＳ　Ｋ７２２３－１９９６「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。

　・「吸水速度」は、２ｇの高吸収性ポリマー及び５０ｇの生理食塩水を使用して、ＪＩＳ　Ｋ７２２４‐１９９６「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。

　・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態（試験場所は、温度２３±１℃、相対湿度５０±２％）の試験室又は装置内で行うものとする。

　・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。

　本発明は、上記例のようなテープタイプ使い捨ておむつの他、パンツタイプ使い捨ておむつやパッドタイプ使い捨ておむつ等、使い捨ておむつ全般に適用できるものであり、また、生理用ナプキン等の他の吸収性物品にも適用できることはいうまでもない。

　Ｂ…背側部分、ＥＦ…エンドフラップ、Ｆ…腹側部分、ＬＤ…前後方向、ＲＰ…折り返し位置、ＳＦ…サイドフラップ、ＷＤ…幅方向、ＷＰ…ウイング部分、１１…液不透過性シート、１２…外装不織布、１２Ｔ…ターゲットシート、１３…連結テープ、１３Ａ…連結部、１３Ｂ…テープ本体部、１３Ｃ…テープ取付部、３０…トップシート、４０…中間シート、５０…吸収要素、５６…吸収体、５８…包装シート、６０…サイド起き上がりギャザー、６２…ギャザーシート、６３…ギャザー弾性部材、６４…脚周り弾性部材、６５…付根部分、６８…起き上がり部分、７０…折り返しフラップ、７１…表面接合部、７２…表面非接合部、７３…フラップ連結部、７４…ウエストポケット、９０…ウエスト伸縮シート、９５…中間伸縮領域、９６…非伸縮領域。

Claims

　前後方向中央を含む股間部と、前後方向中央より前側に延びる腹側部分と、前後方向中央より後側に延びる背側部分とを有し、
　前記股間部を含む範囲に内蔵された吸収体を有し、
　前記腹側部分から前記背側部分にかけての幅方向両側に、前記吸収体を有しないサイドフラップを有し、
　前記サイドフラップを含む領域に固定された付根部分、この付根部分から延び出た本体部分、この本体部分の前後方向両端部が倒伏状態に固定された倒伏部分、及び前記本体部分のうち前後の倒伏部分間に位置する非固定の起き上がり部分を有するギャザーシートと、前記起き上がり部分の少なくとも先端部に固定されたギャザー弾性部材とを有するサイド起き上がりギャザーとを備えた、吸収性物品において、
　前後少なくとも一方のウエスト側に、各サイド起き上がりギャザーの前記付根部分又はその側方における前後方向に沿う折り返し位置で幅方向内側かつ表側に折り返され、かつ各サイド起き上がりギャザーの先端を越えて延びる、折り返しフラップを有しており、
　前記折り返しフラップは、少なくとも前記ギャザーシートを含み、
　これら折り返しフラップは、ウエスト側の端部とその裏側に対向する表面とが幅方向全体にわたり接合された表面接合部を有するとともに、この表面接合部よりも股間側の全体がその裏側に対向する表面に接合されていない表面非接合部を有しており、一方の折り返しフラップの先端部と他方の折り返しフラップの先端部とが、前記表面接合部から表面非接合部にかけて接合されている、
　ことを特徴とする吸収性物品。
　前記サイドフラップは、前記折り返しフラップを有する前後方向位置に、前記折り返しフラップより裏側に位置するシートが前記股間部よりも側方に延び出たウイング部分を有している、
　請求項１記載の吸収性物品。
　前記折り返しフラップにおける前記折り返し位置側の端部と、前記ウイング部分における前記折り返し位置の側方に隣接する部分とが接合されている、
　請求項２記載の吸収性物品。
　前記吸収性物品は、前記ウイング部分に取り付けられた連結テープを有し、
　装着状態では、前記連結テープが前記腹側部分の外面に連結される、テープタイプ使い捨ておむつである、
　請求項２又は３記載の吸収性物品。
　前記サイド起き上がりギャザーの起き上がり部分は、前記折り返しフラップと重なる位置までウエスト側に延びており、かつ前記折り返しフラップと重なる部分が前記折り返しフラップと接合されていない、
　請求項１～４のいずれか１項に記載の吸収性物品。
　前記吸収体の表側を覆う液透過性のトップシートと、
　前記吸収体の裏側を覆い、かつ前記吸収体の側方に延び出た液不透過性シートと、
　前記液不透過性シートの裏側を覆う外装不織布とを備えており、
　前記サイドフラップは、前記ギャザーシート、前記液不透過性シート、及び前記外装不織布を有しており、
　前記折り返しフラップは、前記ギャザーシート及び前記液不透過性シートを有し、かつ前記外装不織布を有しない、
　請求項１～５のいずれか１項に記載の吸収性物品。
　前記サイドフラップの前後方向中間には、前記ギャザーシートと前記液不透過性シートとの間に、前後方向に沿って延びる脚周り弾性部材が設けられており、前記脚周り弾性部材は前記折り返しフラップ内まで延びている、
　請求項６記載の吸収性物品。
　請求項１記載の吸収性物品の製造方法において、
　前記折り返しフラップとなる部分を折り返さずに展開した状態となるように、各部品の組み付けを行う、第１工程と、
　前記折り返しフラップとなる部分を、前記付根部分の側縁で表側に折り返して折り返しフラップを形成し、これら折り返しフラップにおけるウエスト側の端部とその裏側に対向する表面とを幅方向全体にわたり接合して表面接合部を形成し、かつこの表面接合部よりも股間側の全体をその裏側に対向する表面に接合せずに表面非接合部を形成するとともに、一方の折り返しフラップの先端部と他方の折り返しフラップの先端部とを、前記表面接合部から表面非接合部にかけて接合する、
　ことを特徴とする、吸収性物品の製造方法。
　請求項２記載の吸収性物品の製造方法において、
　前記折り返しフラップとなる部分を折り返さずに展開した状態となるように、各部品の組み付けを行い、かつこの際に、前記折り返しフラップとなる部分をその裏側に対向する部分に接合しない、第１工程と、
　前記折り返しフラップとなる部分及びその裏側に対向する部分を、前記付根部分の側縁で表側に折り返して折り返しフラップを形成し、これら折り返しフラップにおけるウエスト側の端部とその裏側に対向する表面とを幅方向全体にわたり接合して表面接合部を形成し、かつこの表面接合部よりも股間側の全体をその裏側に対向する表面に接合せずに表面非接合部を形成するとともに、一方の折り返しフラップの先端部と他方の折り返しフラップの先端部とを、前記表面接合部から表面非接合部にかけて接合する、第２工程とを含む、
　ことを特徴とする、吸収性物品の製造方法。