WO2019026722A1

WO2019026722A1 - 画像処理装置および制御プログラム

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Publication number: WO2019026722A1
Application number: PCT/JP2018/027858
Authority: WO
Inventors: 誠司福田
Original assignee: シャープ株式会社
Priority date: 2017-08-01
Filing date: 2018-07-25
Publication date: 2019-02-07

Abstract

指紋認証におけるセキュリティを向上させる。スマートフォン（１）は、第１画像に含まれるユーザ（Ｕ）の指の像から、ユーザ（Ｕ）の指紋を含む領域である隠蔽対象領域を抽出する指紋部分抽出部（１３）と、指紋の像の少なくとも一部を隠蔽するように隠蔽対象領域を画像処理し、第２画像を生成する画像処理部（１４）と、を備えている。

Description

画像処理装置および制御プログラム

　本発明の一態様は、生体の像を含む画像を処理する画像処理装置に関する。

　近年、指紋等の生体情報に基づいて個人を認証する生体認証技術において、様々な工夫が提案されている。例えば、特許文献１には、生体情報の偽造による成りすましを防止することを一目的とする認証装置が開示されている。具体的には、特許文献１の認証装置は、画像に含まれる生体のジェスチャが示す情報に基づいて、当該生体を認証する。

日本国公開特許公報「特開２０１７－４９８６７号公報（２０１７年３月９日公開）」

　但し、指紋認証においてセキュリティを向上させるための手法については、なお改善の余地がある。本発明の一態様は、指紋認証におけるセキュリティを向上させることを目的とする。

　上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る画像処理装置は、生体の像を含む画像を第１画像として、上記第１画像に含まれる上記生体の指の像から、当該生体の指紋の像を含む領域である隠蔽対象領域を抽出する抽出部と、上記指紋の像の少なくとも一部を隠蔽するように上記隠蔽対象領域を画像処理し、第２画像を生成する画像処理部と、を備えている。

　本発明の一態様に係る画像処理装置によれば、指紋認証におけるセキュリティを向上させることが可能となる。

実施形態１に係るスマートフォンの要部の構成を示す機能ブロック図である。指紋を例示する図である。（ａ）～（ｍ）はそれぞれ、図１のスマートフォンにおける指紋部分抽出部および画像処理部の動作の例を説明するための図である。（ａ）～（ｃ）はそれぞれ、図１のスマートフォンを用いた指紋隠蔽処理の実験例を示す図である。実施形態２に係るスマートフォンの要部の構成を示す機能ブロック図である。実施形態３に係るスマートフォンの要部の構成を示す機能ブロック図である。

　〔実施形態１〕
　以下、実施形態１について説明する。以降の各実施形態において、実施形態１にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、以下では、公知技術と同様の事項については説明を適宜省略する。

　（スマートフォン１の概要）
　図１は、実施形態１のスマートフォン１（画像処理装置）の要部の構成を示す機能ブロック図である。スマートフォン１は、制御部１０、撮像部８０、表示部８１、通信部８２、および記憶部９０を備える。

　制御部１０は、スマートフォン１の各部を統括的に制御する。制御部１０は、画像取得部１１、指識別部１２（指判定部）、指紋部分抽出部１３（抽出部）、および画像処理部１４を備える。撮像部８０は、ユーザＵ（生体）の像を含む画像（以下、第１画像ＩＭＧ１とも称する）を撮像する。

　以下、第１画像ＩＭＧ１において、ユーザＵの指Ｆの像が含まれており、かつ、当該指Ｆの指紋ＦＰの像が含まれている場合を主に例示する。当該第１画像ＩＭＧ１の例としては、（ｉ）ユーザＵがピースサインをしているシーンが撮影された画像、および、（ｉｉ）ユーザＵが掌に特定の被写体（例：小動物または小型の商品）を載せたシーンが撮影された画像が挙げられる。

　以下に述べるように、スマートフォン１は、第１画像ＩＭＧ１を処理し、第２画像ＩＭＧ２を生成できる。以下では、第１画像ＩＭＧ１が特定画像でなく、第２画像ＩＭＧ２が特定画像である場合を主に例示する。特定画像とは、指紋ＦＰの像が含まれている場合の第１画像ＩＭＧ１に比べて、画像認証による当該指紋ＦＰの認証成功率が低い画像である。

　特定画像は、指紋ＦＰによるユーザＵの識別を行うことが不可能または困難である画像とも表現できる。以下に述べるように、指紋ＦＰの画像認証には、公知の指紋認証技術が用いられてよい。指紋ＦＰの認証を行う機能は、スマートフォン１に付与されていてもよい。あるいは、指紋ＦＰの認証は、スマートフォン１とは別の装置（認証装置）によって行われてもよい。

　実施形態１では、生体として人（ユーザＵ）を例示する。但し、本発明の一態様に係る生体は、人に限定されず、犬または猫等の動物であってもよい。当該生体は、指紋認証技術を適用することにより、各個体を識別できるものであればよい。

　表示部８１は、各種の画像を表示する。例えば、表示部８１は、スマートフォン１の入力部（不図示）に対するユーザＵの操作に応じて、記憶部９０に格納された所望の画像（例：第１画像ＩＭＧ１または第２画像ＩＭＧ２）を、表示部８１に表示させる。なお、表示部８１としてタッチパネルを用いた場合、表示部８１と入力部とを一体化できる。

　通信部８２は、スマートフォン１が外部装置との通信を行うための通信インターフェースである。通信部８２は、例えば、不図示の無線通信ネットワークを介して、外部装置と通信を行う。

　一例として、スマートフォン１は、上記所望の画像が添付された電子メールを、外部装置（例：ユーザＵとは別のユーザが所持するスマートフォン）に送信できる。あるいは、スマートフォン１は、上記所望の画像を外部装置（例：ＳＮＳ（Social Network System）の管理サーバ）に送信することにより、当該画像をＳＮＳ上にアップロードすることもできる。

　記憶部９０には、特定画像（第２画像ＩＭＧ２）を格納するための領域として、特定画像データ格納領域９５が設けられている。記憶部９０には、撮像部８０によって撮像された第１画像が格納されてもよい（後述の画像データ格納領域９４を参照）。

　（スマートフォン１の動作の一例）
　まず、撮像部８０は、ユーザＵを撮像し、第１画像ＩＭＧ１を生成する。画像取得部１１は、撮像部８０から第１画像ＩＭＧ１を取得する。指識別部１２は、第１画像にユーザＵの指Ｆの像が含まれているか否かを判定する。

　指識別部１２において、指Ｆの有無の判定処理には、公知の指識別アルゴリズムが用いられてよい。例えば、指識別部１２は、第１画像中から指Ｆおよびその周辺に固有の特徴（例：手、指、および爪のそれぞれの形状および色）が含まれる領域を抽出することで、当該指Ｆを識別する。

　指識別アルゴリズムには、画像中の各物体（オブジェクト）の見た目の特徴を、直接的に幾何学的に比較する方法（例：線形判別分析）が用いられてよい。あるいは、指識別アルゴリズムには、画像を統計的に数値化し、その数値をテンプレートと比較する方法が用いられてもよい。

　まず、第１画像ＩＭＧ１にユーザＵの指Ｆの像が含まれていない場合を考える。この場合、第１画像ＩＭＧ１には指紋ＦＰの像が含まれていない。従って、第１画像ＩＭＧ１は特定画像である。

　この場合、ユーザＵとは異なる悪意の第３者が第１画像ＩＭＧ１を取得したとしても、当該第３者は、第１画像ＩＭＧ１から指紋ＦＰの像を盗用できない。このため、第１画像ＩＭＧ１にユーザＵの指Ｆの像が含まれていない場合には、制御部１０は、第１画像ＩＭＧ１を特定画像として、特定画像データ格納領域９５に格納する。

　つまり、第１画像ＩＭＧ１にユーザＵの指Ｆの像が含まれていない場合（第１画像ＩＭＧ１がすでに特定画像である場合）には、制御部１０は、第１画像ＩＭＧ１を処理して第２画像ＩＭＧ２を生成する処理（以下に述べる指紋隠蔽処理）を行わない。

　続いて、第１画像ＩＭＧ１にユーザＵの指Ｆの像が含まれている場合を考える。この場合、第１画像ＩＭＧ１には指紋ＦＰの像が含まれている可能性がある。従って、第３者が第１画ＩＭＧ１像を取得した場合、当該第３者が、第１画像ＩＭＧ１から指紋ＦＰの像を盗用することが懸念される。このような盗用が行われた場合、第３者が、指紋認証時にユーザＵへの成りすまし（例：不正ログイン）を行う可能性がある。そこで、以下に述べるように、スマートフォン１は、上記盗用を防止するための処理を行う。

　第１画像ＩＭＧ１にユーザＵの指Ｆの像が含まれている場合、指紋部分抽出部１３は、指Ｆの像から隠蔽対象領域を抽出する。隠蔽対象領域とは、指Ｆの像のうち、ユーザＵの指紋ＦＰの像を含む領域（部分領域）である。

　なお、第１画像ＩＭＧ１にユーザＵの指Ｆの像が含まれていたとしても、当該第１画像ＩＭＧ１に指紋ＦＰの像が含まれていない場合がある。例えば、第１画像ＩＭＧ１がユーザＵの手の甲の付近を撮影した画像である場合、当該第１画像ＩＭＧ１にはユーザＵの指紋ＦＰの像が含まれていない。この場合、指Ｆの像から隠蔽対象領域は抽出されない。従って、指Ｆの像から隠蔽対象領域が抽出されなかった場合にも、制御部１０は、第１画像ＩＭＧ１を特定画像として、特定画像データ格納領域９５に格納してよい。

　以下、第１画像ＩＭＧ１に指紋ＦＰの像が含まれている場合（すなわち、指紋部分抽出部１３によって隠蔽対象領域が抽出された場合）を考える。この場合、画像処理部１４は、隠蔽対象領域に含まれる指紋ＦＰの像の少なくとも一部を隠蔽するように、第１画像ＩＭＧ１に画像処理を施す。以下、指紋ＦＰの像の少なくとも一部を隠蔽する処理を、指紋隠蔽処理と称する。

　画像処理部１４は、第１画像ＩＭＧ１に対する指紋隠蔽処理の結果として、第２画像ＩＭＧ２を生成する。このように、画像処理部１４は、画像認証による指紋ＦＰの認証成功率を低下させるように隠蔽対象領域を画像処理し、第２画像ＩＭＧ２を生成する。

　具体的に具体的には、画像処理部１４における指紋隠蔽処理は、上記隠蔽対象領域において、（ｉ）上記指紋の像の少なくとも一部をぼかす処理、（ｉｉ）上記指紋の像の少なくとも一部の解像度を低下させる処理、（ｉｉｉ）上記指紋の像の少なくとも一部を歪ませる処理、（ｉｖ）上記指紋の像の少なくとも一部を削除する処理、および、（ｖ）上記指紋の像の少なくとも一部にマスク画像（例：スタンプ画像）を重ね合わせる処理、のうちの少なくとも１つを含んでいる。

　なお、指紋隠蔽処理は、不可逆的な画像処理であることが好ましい。この場合、第３者が、第２画像ＩＭＧ２から第１画像ＩＭＧ１を復元することが困難となるためである。それゆえ、第２画像ＩＭＧ２に基づいて指紋ＦＰの像を盗用されるリスクを低減できる。

　図２は、指紋ＦＰを例示する図である。一般的に、指紋認証では、以下の７つの特徴的な位置（以下、特徴位置）、すなわち、
　　（１）「開始点」：指隆線が始まる位置；
　　（２）「島形線」：島形になっている位置；
　　（３）「短い隆線の点」：切れて独立している短い隆線の位置（三角州の位置）；
　　（４）「終止点」：指隆線が終わる位置；
　　（５）「接合点」：指隆線が繋がる位置；
　　（６）「分岐点」：指隆線が分裂している位置（指紋の凸部模様の枝分かれが生じる位置）；
　　（７）「中心点」：中心点の位置；
に着目して、個人（例：ユーザＵ）の照合が行われる。

　指紋認証には、公知の技術が用いられてよい。例えば、「特開平９－４４６６６号公報」または「特開２０００－１８２０５７号公報」（いずれも日本国公開特許公報）に開示されている技術を用いて、指紋認証が行われてよい。

　画像処理部１４は、上述の７つの特徴位置のうちの少なくとも一部が画像認証によって認証できない程度（レベル）まで、指紋隠蔽処理を行う。セキュリティ向上の観点から、指紋隠蔽処理では、中心点、三角洲、および分岐点の少なくとも１つが認証できない程度まで、隠蔽対象領域の画像処理が行われることが好ましい。また、指紋隠蔽処理において、７つの特徴位置のうちの全てが認証されない程度まで隠蔽対象領域の画像処理を行うことにより、さらにセキュリティを向上させることができる。

　（第１の例）
　図３は、指紋部分抽出部１３および画像処理部１４の動作を説明するための図である。まず、図３の（ａ）～（ｅ）を参照し、第１の例について述べる。図３の（ａ）は、第１の例において第１画像ＩＭＧ１に含まれる指Ｆの像を示す。図３の（ａ）の第１画像ＩＭＧ１は、指Ｆを側面から撮影することで得られた画像であるとする。第１の例における指Ｆの像には、指紋ＦＰの像および指Ｆの爪の像が含まれている。以下の例では、図３の（ａ）に示される指Ｆの像が、指識別部１２によって識別されたものとする。

　図３の（ｂ）に示されるように、指紋部分抽出部１３は、指Ｆの像から指先エリア（指Ｆの先端部）を検出する。図３の（ｂ）における指先エリアは、指Ｆの第１関節よりも先端側の部分である。但し、指先エリアには、指Ｆの第２関節よりも基端側の部分がさらに含まれていてもよい。

　続いて、指紋部分抽出部１３は、指先エリアの内側（爪とは反対の側）の領域を選択し、指紋ＦＰの像を含む隠蔽対象領域を抽出する。図３の（ｃ）は、第１の例における隠蔽対象領域を示す。図３の（ｃ）の隠蔽対象領域（指紋隠蔽処理が施される前の隠蔽対象領域）では、指紋ＦＰの像が、公知の指紋認証技術によって識別可能な程度に鮮明に表現されている。第１の例では、図３の（ｃ）における隠蔽対象領域の解像度を、当該隠蔽対象領域の解像度の基準値（１００％）とする。

　続いて、画像処理部１４は、隠蔽対象領域に指紋隠蔽処理を施す。図３の（ｄ）は、第１の例において、画像処理部１４による指紋隠蔽処理が施された後の隠蔽対象領域（以下、処理後隠蔽対象領域）を示す。

　図３の（ｄ）の例における指紋隠蔽処理は、隠蔽対象領域の解像度（より具体的には、指紋隠蔽対象領域における指紋ＦＰの像の解像度）を２０％に低下させる処理である。当該指紋隠蔽処理によれば、処理後隠蔽対象領域における指紋ＦＰの像を、公知の指紋認証技術によって識別できない程度に隠蔽できる。

　続いて、画像処理部１４は、第１画像ＩＭＧ１の隠蔽対象領域に処理後隠蔽対象領域を重ね合わせて、第２画像ＩＭＧ２を生成する。図３の（ｄ）は、第１の例における第２画像ＩＭＧ２を示す。画像処理部１４は、第２画像ＩＭＧ２を特定画像として、記憶部９０の特定画像データ格納領域９５に格納する。

　（第２の例）
　図３の（ｆ）～（ｍ）を参照し、第２の例について述べる。図３の（ｆ）は、第２の例において第１画像ＩＭＧ１に含まれる指Ｆの像を示す。図３の（ｆ）の第１画像ＩＭＧ１は、指Ｆを当該指Ｆの腹の側から撮影することで得られた画像であるとする。第２の例における指Ｆの像には、指紋ＦＰの像が含まれているが、指Ｆの爪の像は含まれていない。以下の例では、図３の（ｆ）に示される指Ｆの像が、指識別部１２によって識別されたものとする。

　図３の（ｇ）に示されるように、指紋部分抽出部１３は、上述の図３の（ｂ）の場合と同様に、指Ｆの像から指先エリア（指Ｆの先端部）を検出する。そして、指紋部分抽出部１３は、指紋ＦＰの像を含む隠蔽対象領域を抽出する。

　図３の（ｈ）は、指紋部分抽出部１３によって抽出された隠蔽対象領域を示す。図３の（ｈ）の隠蔽対象領域においても、図３の（ｃ）の場合と同様に、指紋ＦＰの像が、公知の指紋認証技術によって識別可能な程度に鮮明に表現されている。第２の例では、図３の（ｈ）における隠蔽対象領域の解像度を、当該隠蔽対象領域の解像度の基準値（１００％）とする。

　続いて、画像処理部１４は、隠蔽対象領域に指紋隠蔽処理を施す。図３の（ｉ）～（ｍ）はそれぞれ、第２の例において、画像処理部１４による指紋隠蔽処理が施された後の隠蔽対象領域（処理後隠蔽対象領域）を示す。

　図３の（ｉ）～（ｍ）の例における指紋隠蔽処理はそれぞれ、隠蔽対象領域の解像度（より具体的には、指紋隠蔽対象領域における指紋ＦＰの像の解像度）を、８０％、６０％。４０％、２０％、および１０％に低下させる処理である。

　図３の（ｉ）～（ｍ）に示されるように、隠蔽対象領域の解像度を低くするにつれて、処理後隠蔽対象領域における指紋ＦＰの像の隠蔽の程度を向上させることができる。つまり、隠蔽対象領域の解像度を低くするにつれて、画像認証による指紋ＦＰの認証成功率を低下させることができる。以降、画像処理部１４は、第１の例の場合と同様に、第２画像ＩＭＧ２を生成する。そして、画像処理部１４は、第２画像ＩＭＧ２を特定画像として、記憶部９０の特定画像データ格納領域９５に格納する。

　（実験例）
　図４は、スマートフォン１を用いた指紋隠蔽処理の実験例を示す図である。図４の（ａ）は、当該実験例における第１画像ＩＭＧ１を示す。図４の（ａ）における第１画像ＩＭＧ１は、マーカーペンをユーザＵの手によって把持した状態が撮影された写真である。

　図４の（ｂ）は、当該実験例における指紋隠蔽処理の結果として得られた第２画像ＩＭＧ２を示す。図４の例における指紋隠蔽処理も、上述の図３の例と同様に、隠蔽対象領域の解像度を低下させる処理である。具体的には、図４の例における指紋隠蔽処理は、隠蔽対象領域に対するモザイク処理である。

　図４の（ｃ）は、第２画像ＩＭＧ２における指Ｆの付近の領域を拡大した図である。図４の（ｃ）に示されるように、指紋隠蔽処理によって指紋ＦＰの像を適切に隠蔽できることが確認された。

　（スマートフォン１の効果）
　例えば、第１画像ＩＭＧ１が、指紋認証のセキュリティを考慮することなく、無作為に撮影された画像である場合を考える。このような場合、第１画像ＩＭＧ１には、１人以上の人物の指紋ＦＰの像（例：ユーザＵ自身の指紋ＦＰの像、および、ユーザＵとは別の人物の指紋ＦＰの像の少なくともいずれか）が含まれている可能性がある。

　悪意の第３者が指紋ＦＰの像を盗用することを避けるためには、第１画像ＩＭＧ１から指紋ＦＰの像を隠蔽することが好ましい。しかしながら、従来では、ユーザＵ自身が第１画像ＩＭＧ１に対する画像処理のための操作（例：指紋ＦＰの像にモザイク処理を施すための操作）を手動で行い、当該第１画像ＩＭＧ１から指紋ＦＰの像を隠蔽する必要があった。従って、指紋認証におけるセキュリティを確保するためには、ユーザＵに煩雑な操作を行わせる必要があった。

　これに対して、スマートフォン１によれば、上述の指紋隠蔽処理を自動で行うことにより、第１画像ＩＭＧ１から第２画像ＩＭＧ２を生成できる。つまり、ユーザＵに煩雑な操作を行わせることなく、指紋認証におけるセキュリティを向上させることができる。このため、ユーザＵの操作の利便性を向上させつつ、指紋認証におけるセキュリティを確保することが可能となる。

　なお、実施形態１の指紋隠蔽処理は、動画像に対しても適用可能である。つまり、スマートフォン１は、第１動画像（例：撮像部８０によって撮像された動画像）を処理し、第２動画像を生成してもよい。なお、第１動画像は、記憶部９０にあらかじめ格納された動画像（過去に撮影された動画像）であってもよい（後述の実施形態２も参照）。

　具体的には、スマートフォン１は、第１動画像に含まれるＮ個のフレームのそれぞれを第１画像ＩＭＧ１として、上述の指紋隠蔽処理を行えばよい。そして、スマートフォン１は、Ｎ個の第２画像ＩＭＧ２を生成する。続いて、スマートフォン１は、Ｎ個の第２画像ＩＭＧ２をフレーム番号順に合成して、第２動画像を生成する。これにより、指紋認証におけるセキュリティが第１動画像に比べて向上した第２動画像を得ることができる。

　なお、本発明の一態様に係る画像処理装置は、スマートフォン１に限定されない。一例として、静止画および動画像を撮影可能なデジタルカメラに当該画像処理装置の機能を付与してもよい。

　〔実施形態２〕
　図５は、実施形態２のスマートフォン２（画像処理装置）の要部の構成を示す機能ブロック図である。スマートフォン２は、実施形態１のスマートフォン１から撮像部８０を取り除いた構成である。スマートフォン２の制御部を、制御部２０と称する。制御部２０は、制御部１０の画像取得部１１を、画像取得部２１に置き換えた構成である。

　実施形態２の記憶部９０には、任意の画像データを格納するための領域として、画像データ格納領域９４が設けられている。画像データ格納領域９４は、実施形態１・３の記憶部９０に設けられてもよい。実施形態２では、画像データ格納領域９４に第１画像ＩＭＧ１が格納されているものとする。

　画像取得部２１は、画像データ格納領域９４から第１画像を取得する。そして、スマートフォン２は、実施形態１と同様の指紋隠蔽処理を行い、第２画像ＩＭＧ２を生成する。このように、本発明の一態様に係る画像処理装置における指紋隠蔽処理の対象となる第１画像ＩＭＧ１は、撮像部８０によってリアルタイムで撮影された画像に限定されない。当該画像処理装置は、過去に撮影された第１画像ＩＭＧ１に対しても、指紋隠蔽処理を施すことができる。

　このため、例えば、スマートフォン２が、過去に撮影された第１画像ＩＭＧ１を外部装置に通信する場合（例：第１画像ＩＭＧ１をＳＮＳ上にアップロードする場合）においても、指紋認証におけるセキュリティを向上させることが可能となる。

　〔実施形態３〕
　図６は、実施形態３のスマートフォン３（画像処理装置）の要部の構成を示す機能ブロック図である。スマートフォン３の制御部を、制御部３０と称する。制御部３０は、制御部１０に対して、モード切替部３５および警告部３６を付加した構成である。

　実施形態３では、スマートフォン３の動作モードとして、第１モードと第２モードとが設定されている。モード切替部３５は、第１モードと第２モードとを切り替える。第１モードとは、画像処理部１４に指紋隠蔽処理を行わせるモード（画像処理部１４に隠蔽対象領域を画像処理させるモード）である。第１モードは、画像処理部１４に第２画像ＩＭＧ２を生成させるモードとも表現できる。

　第２モードとは、画像処理部１４に指紋隠蔽処理を行わせないモード（画像処理部１４に隠蔽対象領域を画像処理させないモード）である。第２モードは、画像処理部１４に第２画像ＩＭＧ２を生成させないモードとも表現できる。

　第１画像ＩＭＧ１の用途によっては、当該第１画像ＩＭＧ１に対して指紋隠蔽処理を施さないことが好ましいことも考えられる。例えば、ユーザＵが指紋ＦＰを意図的に特定の人物に提示したいと考えている場合には、第１画像ＩＭＧ１に対して指紋隠蔽処理を施さないことが好ましい。

　モード切替部３５によれば、スマートフォン３の動作モードとして、第１モードまたは第２モードの一方を選択できる。それゆえ、スマートフォン３に第１画像ＩＭＧ１に対する指紋隠蔽処理を行わせるか否かを、ユーザＵに随意に選択させることができる。

　実施形態３において、画像処理部１４は、第２画像ＩＭＧ２が隠蔽対象領域に対する画像処理の結果として生成されたことを示す識別情報を、当該第２画像ＩＭＧ２に付加してもよい。

　一例として、識別情報は、「指紋隠蔽処理を実行しました」という文字データであってよい。あるいは、識別情報は、スマートフォン３によって指紋隠蔽処理が実行されたことをユーザＵに示唆する画像（例：スタンプ画像またはマーク）であってもよい。また、識別情報は、スマートフォン３による指紋隠蔽処理が実行された履歴を示す管理番号であってもよい。

　第２画像ＩＭＧ２に識別情報が付加されることにより、第２画像ＩＭＧ２は特定画像として生成された画像である旨を、ユーザＵに報知できる。従って、指紋ＦＰが盗用される可能性がある第１画像ＩＭＧ１を、ユーザＵが誤って第３者に提示するリスクを低減できる。

　警告部３６（報知部）は、ユーザがスマートフォン３に画像を外部装置に送信させる操作を行った場合に、送信対象となる画像（以下、送信対象画像）に識別情報が付されているか否かを判定する。そして、警告部３６は、送信対象画像に識別情報が付されていない場合には、その旨をユーザＵに警告（報知）する。

　一例として、警告部３６は、ユーザがスマートフォン３に第１画像ＩＭＧ１を外部装置に送信させる操作を行った場合には、当該第１画像ＩＭＧ１に識別情報が付されていない旨をユーザＵに警告する。例えば、警告部３６は、「この画像には識別情報が付されていません。本当にこの画像を送信しますか？」という文字データ（メッセージ）を、表示部８１に表示させる。

　他方、警告部３６は、送信対象画像に識別情報が付されている場合（例：第２画像ＩＭＧ２が送信対象画像である場合）には、上記警告を行わない。この場合、スマートフォン３は、警告部３６において上記警告が行われなかったことを確認した後、当該画像を外部装置に送信してもよい。

　警告部３６によれば、指紋ＦＰが盗用される可能性がある第１画像ＩＭＧ１を、ユーザＵが誤って外部装置に送信するリスクを低減できる。このため、指紋認証におけるセキュリティをさらに向上させることが可能となる。

　なお、画像処理部１４は、第２画像ＩＭＧ２を特定画像データ格納領域９５に格納する場合に、当該第２画像ＩＭＧ２にセキュリティレベルを付与してもよい。例えば、画像処理部１４は、第２画像ＩＭＧ２に、「高」、「中」、または「低」の３通りのうちの、いずれか１つのセキュリティレベルを付与してもよい。

　また、例えば、フルインセルパネル内のセンサを用いてユーザＵに指紋認証を行わせる場合を考える。ここで、第１画像ＩＭＧ１が、ユーザＵによってあらかじめ登録された認証用の画像（基準画像）であるとする。この場合、第２画像ＩＭＧ２（第１画像ＩＭＧ１に指紋隠蔽処理が施された画像）をガイド画像として用いることもできる。一例として、ガイド画像は、ユーザＵの指Ｆの輪郭が表現された画像であるとする。

　当該構成によれば、ユーザＵは、ガイド画像に示された指Ｆの輪郭を位置の目安として、センサ上に指Ｆを載置できる。それゆえ、指紋認証の成功率を向上させることができる。また、上述のように、ガイド画像では指紋ＦＰの像が隠蔽されている。このため、第３者によってガイド画像から指紋ＦＰが盗用されることを防止できる。

　〔ソフトウェアによる実現例〕
　スマートフォン１～３の制御ブロック（特に制御部１０～３０）は、集積回路（ＩＣチップ）等に形成された論理回路（ハードウェア）によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。

　後者の場合、スマートフォン１～３は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも１つのプロセッサ（制御装置）を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも１つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の一態様の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばＣＰＵ（Central Processing Unit）を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ＲＯＭ（Read Only Memory）等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するＲＡＭ（Random Access Memory）などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体（通信ネットワークや放送波等）を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。

　〔まとめ〕
　本発明の態様１に係る画像処理装置（スマートフォン１）は、生体の像（ユーザＵ）を含む画像を第１画像（ＩＭＧ１）として、上記第１画像に含まれる上記生体の指（Ｆ）の像から、当該生体の指紋（ＦＰ）の像を含む領域である隠蔽対象領域を抽出する抽出部（指紋部分抽出部１３）と、上記指紋の像の少なくとも一部を隠蔽するように上記隠蔽対象領域を画像処理し、第２画像（ＩＭＧ２）を生成する画像処理部（１４）と、を備えている。

　上記の構成によれば、第１画像の隠蔽対象領域を画像処理し（つまり、上述の指紋隠蔽処理を行って）、第２画像を生成できる。すなわち、第２画像として、上述の特定画像（指紋ＦＰによるユーザＵの識別を行うことが不可能または困難である画像）を生成できる。このため、第１画像から指紋を盗用されるリスクを低下させることができるので、指紋認証におけるセキュリティを向上させることが可能となる。

　本発明の態様２に係る画像処理装置は、上記態様１において、上記画像処理部における画像処理が、上記隠蔽対象領域において上記指紋の像の少なくとも一部をぼかす処理、上記指紋の像の少なくとも一部の解像度を低下させる処理、上記指紋の像の少なくとも一部を歪ませる処理、上記指紋の像の少なくとも一部を削除する処理、および、上記指紋の像の少なくとも一部にマスク画像を重ね合わせる処理、のうちの少なくとも１つを含んでいることが好ましい。

　上記の構成によれば、指紋隠蔽処理を適切に行うことができる。

　本発明の態様３に係る画像処理装置は、上記態様１または２において、上記第１画像に上記生体の指の像が含まれているか否かを判定する指判定部（指識別部１２）をさらに備えていることが好ましい。

　上記の構成によれば、第１画像に生体の指の像が含まれている場合（第１画像から指紋を盗用される可能性がある場合）にのみ、画像処理部に指紋隠蔽処理を行わせることができる。つまり、第１画像から指紋を盗用される可能性がない場合（第１画像に生体の指の像が含まれていない場合）には、当該画像処理部に指紋隠蔽処理を行わせないことができる。

　本発明の態様４に係る画像処理装置は、上記態様１から３のいずれか１つにおいて、上記画像処理部に上記隠蔽対象領域を画像処理させるモードを第１モードとして、上記画像処理部に上記隠蔽対象領域を画像処理させないモードを第２モードとして、上記第１モードと上記第２モードとを切り替えるモード切替部（３５）をさらに備えていることが好ましい。

　上記の構成によれば、画像処理装置に指紋隠蔽処理を行わせるか否かを、ユーザに随意に選択させることができる。

　本発明の態様５に係る画像処理装置は、上記態様１から４のいずれか１つにおいて、上記画像処理部は、上記第２画像が上記隠蔽対象領域に対する画像処理の結果として生成されたことを示す識別情報を、当該第２画像に付加することが好ましい。

　上記の構成によれば、第２画像に識別情報が付加されることにより、当該第２画像は特定画像として生成された画像である旨を、ユーザに報知できる。従って、指紋が盗用される可能性がある第１画像を、ユーザが誤って第３者に提示するリスクを低減できる。

　本発明の態様６に係る画像処理装置は、上記態様５において、上記画像処理装置が外部装置への送信対象とする画像を送信対象画像（例：第１画像ＩＭＧ１）として、上記送信対象画像に上記識別情報が付加されていない場合に、その旨を報知する報知部（警告部３６）をさらに備えていることが好ましい。

　上記の構成によれば、指紋が盗用される可能性がある送信対象画像を、ユーザが誤って外部装置に送信するリスクを低減できる。このため、指紋認証におけるセキュリティをさらに向上させることが可能となる。

　本発明の各態様に係る画像処理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記画像処理装置が備える各部（ソフトウェア要素）として動作させることにより上記画像処理装置をコンピュータにて実現させる画像処理装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の一態様の範疇に入る。

　〔付記事項〕
　本発明の一態様は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の一態様の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成できる。

　１、２、３　スマートフォン（画像処理装置）
　１２　指識別部（指判定部）
　１３　指紋部分抽出部（抽出部）
　１４　画像処理部
　３５　モード切替部
　３６　警告部（報知部）
　Ｆ　指
　ＦＰ　指紋
　ＩＭＧ１　第１画像、送信対象画像
　ＩＭＧ２　第２画像
　Ｕ　ユーザ（生体）

Claims

　生体の像を含む画像を第１画像として、
　上記第１画像に含まれる上記生体の指の像から、当該生体の指紋の像を含む領域である隠蔽対象領域を抽出する抽出部と、
　上記指紋の像の少なくとも一部を隠蔽するように上記隠蔽対象領域を画像処理し、第２画像を生成する画像処理部と、を備えていることを特徴とする画像処理装置。
　上記画像処理部における画像処理は、
　上記隠蔽対象領域において
　　上記指紋の像の少なくとも一部をぼかす処理、
　　上記指紋の像の少なくとも一部の解像度を低下させる処理、
　　上記指紋の像の少なくとも一部を歪ませる処理、
　　上記指紋の像の少なくとも一部を削除する処理、および、
　　上記指紋の像の少なくとも一部にマスク画像を重ね合わせる処理、のうちの少なくとも１つを含んでいることを特徴とする請求項１に記載の画像処理装置。
　上記第１画像に上記生体の指の像が含まれているか否かを判定する指判定部をさらに備えていることを特徴とする請求項１または２に記載の画像処理装置。
　上記画像処理部に上記隠蔽対象領域を画像処理させるモードを第１モードとして、
　上記画像処理部に上記隠蔽対象領域を画像処理させないモードを第２モードとして、
　上記第１モードと上記第２モードとを切り替えるモード切替部をさらに備えていることを特徴とする請求項１から３のいずれか１項に記載の画像処理装置。
　上記画像処理部は、上記第２画像が上記隠蔽対象領域に対する画像処理の結果として生成されたことを示す識別情報を、当該第２画像に付加することを特徴とする請求項１から４のいずれか１項に記載の画像処理装置。
　上記画像処理装置が外部装置への送信対象とする画像を送信対象画像として、
　上記送信対象画像に上記識別情報が付加されていない場合に、その旨を報知する報知部をさらに備えていることを特徴とする請求項５に記載の画像処理装置。
　請求項１に記載の画像処理装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、上記抽出部および上記画像処理部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。