WO2019022071A1 - 電池パック及び電池パックを用いた電気機器 - Google Patents
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Abstract
上側及び下側電池セルが直列接続されたセルユニット146、147を有し、セルユニット146、147を直列接続又は非接続に接続状態を切り替え可能とした電池パックであって、複数の前記セルユニットの電圧のバランスを調整するためのマイコン(350)及び前記マイコンからの指示によって動作する放電回路(410、420)を設けた。
Description
本発明はモータ、照明等の負荷を有する電気機器と、このような電気機器に対して電源を供給する電池パックに関するものである。
電動工具等の電気機器が、リチウムイオン電池等の二次電池を用いた電池パックにて駆動されるようになり、電気機器のコードレス化が進んでいる。例えば、モータにより先端工具を駆動する手持ち式の電動工具においては、複数の二次電池セルを収容した電池パックが用いられ、電池パックに蓄電された電気エネルギーにてモータを駆動する。電池パックは電動工具本体に着脱可能に構成され、放電によって電圧が低下したら電池パックを電動工具本体から取り外して、外部の充電装置を用いて充電される。
コードレス型の電動工具や電気機器においては所定の稼働時間の確保や、所定の出力の確保が要求され、二次電池の性能向上に伴い高出力化や高電圧化が図られてきた。また、電池パックを電源とする電気機器が開発されるにつれ、様々な電圧の電池パックが商品化されるようになった。通常、電池パックの出力電圧は固定であるが、特許文献1では電池を収容するハウジング内に複数のバッテリユニットを設け、それらを直列接続として出力するか、並列接続として出力するかを接続手段により選択可能とすることにより、異なる電圧の機器に対応可能とした電気機器用の電源装置が提案されている。
電池パック内に複数のバッテリユニット(セルユニット)を設けると、各セルユニット間で電圧のアンバランスが生じる虞がある。例えば、一方のセルユニット側にだけ制御部を設けると、各セルユニットの消費電力が同じとならず、各セルユニット間で消費電力のアンバランスが生じる虞がある。また、電池パックの接続端子と電気機器本体の接続端子に接触不良が生じると、各セルユニット間で電圧のアンバランスが生じる虞もある。また、ユーザにとって、複数の電気機器を使用する際に、複数種類の電池パックを準備するのは煩雑であり、電圧を切り替えることで異なる電圧の電気機器に対応する使い勝手の良い電池パックの実現が望まれている。しかも、特許文献1のような電気機器本体とは別体型の電源装置ではなくて、電気機器に容易に装着できる電池パックで電圧切替式を実現することが望まれていた。
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、複数のセルユニットを直列に接続可能且つ非接続可能とした電池パックにおいて、複数のセルユニット間の電圧のバランスを良好に調整することにある。また、出力電圧を切り替え可能として、異なる電圧の電気機器間で共用できるようにした電池パック及びそれを用いた電気機器において、複数のセルユニット間の電圧のバランスを良好に保つことにある。本発明の他の目的は、高電圧と低電圧の出力電圧を切り替え可能とした電池パックにおいて、電圧が高い側のセルユニットを放電させて電圧バランスの調整をすることにある。本発明の他の目的は、電気機器本体の機器側端子との接触不良が生じた場合に、充電又は放電を停止させることにある。
本願において開示される発明のうち代表的な特徴を説明すれば次のとおりである。本発明の一つの特徴によれば、複数の電池セルが複数個ずつ直列接続されて構成される第1及び第2のセルユニットと、複数の接続端子を有し、第1及び第2のセルユニットを直列接続又は非接続に接続状態を切り替え可能とした電池パックにおいて、複数のセルユニットの電圧のバランスを調整するためのマイコン及びマイコンからの指示によって動作する放電回路を設けた。セルユニットごとに設けられ電池セルの電圧を監視する保護回路を設け、マイコンは保護回路に接続される電池セルの負荷状態を監視する。また、マイコンは、複数の前記セルユニットが互いに接続されていないときに、セルユニット間の電圧のバランスを調整するよう放電回路を動作させる。マイコンは複数のセルユニットが互いに接続されていないときにセルユニット間の電圧のアンバランス又はセルユニットを接続する接続端子の接触不良を検出した場合は、充放電を停止させるか又は充放電を停止させるための信号を電気機器本体側に伝達することにより電気機器を停止させる。また、電池パックの充電時にマイコンは、複数のセルユニットに流れる充電電流の差が閾値以上になった場合に端子の接触不良が生じたと判断して充電を停止させるようにした。
本発明の他の特徴によれば、電池パックのセルユニット毎に放電手段(放電回路)を設け、マイコンは高い電圧側のセルユニットの放電を行うことによりセルユニット間の電圧のバランスを調整する。この放電手段は、セルユニットの正極出力と負極出力間に接続された抵抗器と、抵抗器への回路を接続又は遮断するスイッチング素子を含んで構成され、マイコンはスイッチング素子を接続又は遮断することによって高い電圧のセルユニットを放電させるようにした。また、マイコンは、複数のセルユニットの非接続時に、例えば電池パックが取り外されている時にセルユニットの電圧のバランスを調整するよう放電回路を動作させるようにした。
本発明のさらに他の特徴によれば、電池パックにおいて、マイコンは、セルユニットが直列接続されていて電気機器が非駆動時に、複数のセルユニットの電圧のバランスを調整するよう放電回路を動作させるようにした。また、マイコンは、セルユニットが並列接続されている時には、複数のセルユニットの電圧のバランス調整を行わない。また、マイコンの動作用の電源を供給する電源回路と、セルユニット毎に放電手段を設け、電源回路によってマイコンが動作している時にセルユニット間の電圧のバランス調整が行われ、マイコンがシャットダウンしている時には放電手段が動作しないようにした。さらに、電池パックが電気機器本体に接続されているか否かを検出するシステム検出回路を設け、マイコンは電池パックが電気機器本体に接続されていない状態を検出された際に、セルユニット間の電圧のバランスを調整するようにした。
本発明のさらに他の特徴によれば、マイコンは電池パックが電気機器本体に接続されている状態が検出された時であって、トリガスイッチによる駆動動作が行われない状態が所定時間以上経過したら、セルユニット間の電圧のバランスを調整する。このような電池パックの装着部を有し、電池パックからの電力により負荷装置を駆動させて作業機器を稼働させる電気機器において、電気機器の本体側に電池パックから負荷装置に供給される電力を制御する機器側制御部を設け、機器側制御部は、複数のセルユニットの接続に異常が生じた場合に異常が生じたことを報知するようにした。機器側制御部は、複数のセルユニットの各々の電圧を検出し、電圧の差が所定値以上である場合に、複数のセルユニットの接続に異常が生じたと判断する。
本発明によれば、セルユニット間の電圧差を検出して、放電手段を用いてセルユニットの電圧を調整するので、セルユニット間の電圧差を少なくすることができ、寿命の長くて信頼性の高い電池パックを実現できた。また、出力電圧を切り替えるための機械的なスイッチ機構に頼ること無く、電気機器本体に装着するだけで適切な出力電圧を自動的に得ることができるので、異なる電圧の電気機器間で電池パックを共用することが可能となった。さらに、電池パックの制御部によって、接続端子と機器側端子との接触状態を監視できるので、端子部の接触不良による電池セルの劣化を効果的に防止できる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。本明細書においては、電気機器の一例として電池パックにて動作する電動工具を例示して説明するものとし、電動工具の本体側の前後左右の方向は図2に示す方向とし、電池パックの単体で見た際の前後左右、上下の方向は、電池パックの装着方向を基準として図3に示す方向であるとして説明する。尚、電池パックの装着方向は、説明の都合上、電動工具本体側を動かさずに電池パック側を移動させる状況を基準とした方向として説明する。
図1は本実施例に係る電池パックの電動工具への装着状況を説明するための図である。電気機器の一形態である電動工具は、電池パックを有し、モータによる回転駆動力を用いて先端工具や作業機器を駆動する。電動工具は種々の種類が実現されているが、図1で示す電動工具本体1、30はいずれもインパクト工具と呼ばれるものである。電動工具本体1、30は、図示しないビットやソケットレンチ等の先端工具に回転力や軸方向の打撃力を加えることにより締め付け作業を行う工具である。これらの電動工具本体1、30は、外形を形成する外枠たるハウジング2、32を備え、ハウジング2にはハンドル部3、33が形成される。ハンドル部3、33の一部であって作業者が把持した際に人差し指があたる付近には、トリガ状の動作スイッチ4、34が設けられ、ハンドル部3、33の下方には電池パック15、100を装着するための電池パック装着部10、40が形成される。
電動工具本体1は定格電圧18Vの電池パック15を用いる従来の電気機器である。電池パック15は従来の電池パックであり、矢印aの組み合わせのように18V対応の電気機器(電動工具本体1)の電池パック装着部10に装着できる。電池パック15の内部には、定格3.6Vのリチウムイオン電池のセル5本を直列接続してなるセルユニットが1組だけ収容されるか、又はこのようなセルユニットが2組収容されて互いに並列接続される。ここで「セルユニット」とは、複数の電池セルを電気的に接続したものであり、「セルユニット」の例として、電池セルを複数本直列接続させた連結体や、電池セルを複数本並列接続させた連結体や、複数の電池セルを直列かつ並列に接続させた連結体が含まれる。電圧18Vは、比較的低い電圧であるという意味で、ここでは低電圧と呼ぶことがある。同様に、定格電圧18Vの電動工具本体1または電気機器本体は、それぞれ低電圧電動工具本体または低電圧電気機器本体と呼ぶことがある。同様に、公称電圧18Vの電池パック15は、低電圧電池パックと呼ぶことがある。
電動工具本体30は、定格電圧36Vの電気機器本体であり、矢印b1に示すように36Vの出力が可能な電池パック100を電池パック装着部40に装着する。電圧36Vは、比較的高い電圧であるという意味で、ここでは高電圧と呼ぶことがある。同様に、定格電圧36Vの電動工具本体30または電気機器本体は、それぞれ高電圧電動工具本体または高電圧電気機器本体と呼ぶことがある。電池パック100の内部には、定格3.6Vのリチウムイオン電池のセルが5本直列接続されたセルユニットが2組収容され、2組のセルユニットの接続方法の変更により、18V出力と36V出力の双方を切り換えることができるようにした。本実施例では電池パック100を2電圧対応に構成して、低電圧と高電圧の出力を可能とすることにより、矢印b2で示すように電池パック100を18V対応の電動工具本体1にも装着できるし、矢印b1のように36V対応の電動工具本体30にも装着できるようにした。このように、低電圧と高電圧の出力を可能とした電池パック100は、ここでは電圧可変電池パックと呼ぶことがある。電池パック100を矢印b1、b2のように異なる電圧の電動工具本体1、30に装着するためには、電池パック装着部10、40のレール部や端子部の形状をほぼ同じ形状にすることと、電池パック100の出力電圧を切り替え可能にすることが重要である。この際、電池パック100の出力電圧が、装着される電気機器本体や電動工具本体の定格電圧と確実に対応させて、電圧設定ミスが生じないようにすることが重要である。
図2は電動工具本体1の電池パック装着部10の形状を示す斜視図である。ここで示す電動工具本体1はインパクトドライバであって、ハウジング2の胴体部分から下方に延びるハンドル部が設けられ、ハンドル部の下側に電池パック装着部10が形成される。ハンドル部にはトリガスイッチ4が設けられる。ハウジング2の前方側には出力軸たるアンビル(図示せず)が設けられ、アンビルの先端には先端工具9を装着するための先端工具保持部8が設けられる。ここでは先端工具9としてプラスのドライバービットが装着されている。電動工具だけに限られずに、電池パックを用いた電気機器全般では、装着される電池パックの形状に対応させた電池パック装着部10が形成され、電池パック装着部10に適合しない電池パックを装着できないように構成する。電池パック装着部10には、左右両側の内壁部分に前後方向に平行に延びるレール溝11a、11bが形成され、それらの間にターミナル部20が設けられる。ターミナル部20は、合成樹脂等の不導体材料の一体成形により製造され、そこに金属製の複数の端子、例えば正極入力端子22、負極入力端子27、LD端子(異常信号端子)28が鋳込まれる。ターミナル部20は、装着方向(前後方向)の突き当て面となる垂直面20aと、水平面20bが形成され、水平面20bは電池パック100の装着時に、上段面115(図3にて後述)と隣接、対向する面となる。水平面20bの前方側には、電池パック100の隆起部132(図3にて後述)と当接する湾曲部12が形成され、湾曲部12の左右中央付近には突起部14が形成される。突起部14は左右方向に2分割で形成される電動工具本体1のハウジングのネジ止め用のボスを兼ねると共に、電池パック100の装着方向への相対移動を制限するストッパの役目も果たす。
図3は本発明の実施例に係る電池パック100の斜視図である。電池パック100は電池パック装着部10、40(図1参照)に対して取り付け及び取り外しが可能であって、電動工具本体1又は30側のターミナル形状に応じて、低電圧(ここでは18V)と高電圧(ここでは36V)の出力が自動で切り替わるようにしたものである。また、従来の定格18V用の電池パック15(図1参照)と取り付け上の互換性を持たせるために、電池パック100の装着部分の形状は従来の電池パック15と同じとしている。電池パック100の筐体は、上下方向に分割可能な下ケース101と上ケース110により形成される。下ケース101と上ケース110は電気を通さない部材、例えば合成樹脂製であって4本の図示しないネジによってお互いが固定される。上ケース110は、電池パック装着部10に取り付けるために2本のレール138a、138bが形成された装着機構が形成される。レール138a、138bは、長手方向が電池パック100の装着方向と平行になるように、且つ、上ケース110の左右側面から左右方向に突出するように形成される。レール138a、138bの前方側端部は開放端となり、後方側端部は隆起部132の前側壁面と接続された閉鎖端となる。レール138a、138bは、電動工具本体1の電池パック装着部10に形成されたレール溝11a、11b(図2参照)と対応した形状に形成され、レール138a、138bがレール溝11a、11bと嵌合した状態で、ラッチの爪となる係止部142a(右側の係止部であり図3では見えない)、142bにて係止することにより電池パック100が電動工具本体1、30に固定される。電池パック100を電動工具本体1、30から取り外すときは、左右両側にあるラッチ141を押すことにより、係止部142a、142bが内側に移動して係止状態が解除されるので、その状態で電池パック100を装着方向と反対側に移動させる。
上ケース110の前方側には平らな下段面111が形成され、中央付近は下段面111よりも高く形成された上段面115が形成される。下段面111と上段面115は階段状に形成され、それらの接続部分は鉛直面となる段差部114となっている。段差部114から上段面115の前方側部分がスロット群配置領域120になる。スロット群配置領域120には、前方の段差部114から後方側に延びる複数のスロット121~128が形成される。スロット121~128は電池パック装着方向に所定の長さを有するように切り欠かれた部分であって、この切り欠かれた部分の内部には、電動工具本体1、30又は外部の充電装置(図示せず)の機器側端子と嵌合可能な複数の接続端子(図4で後述)が配設される。スロット121~128は下段面111側から電動工具本体側のターミナルを挿入可能なように、装着方向と平行な上面と鉛直面にそれぞれ切り欠きが形成されたものである。また、スロット121~128の下側であって、下段面111との間は、横方向に連続して開口する開口部113が形成される。開口部113は、中央に配置された鉛直方向に延びるリブ状の鉛直壁部185aの左右両側が、平面状に形成されるもので、平面状の部分は基板カバー180によって形成される。基板カバー180は上ケース110と別体に製造される部品である。
スロット121~128は、電池パック100の右側のレール138aに近い側のスロット121が充電用正極端子(C+端子)の挿入口となり、スロット122が放電用正極端子(+端子)の挿入口となる。また、電池パック100の左側のレール138bに近い側のスロット127が負極端子(-端子)の挿入口となる。電池パック100では通常、電力を伝達するための電力端子の正極側と負極側を十分離すようにして配置するもので、左右中心に位置する鉛直仮想面からみて、右側の十分離した位置に正極端子を設けて、左側の十分離した位置に負極端子を設けている。正極端子と負極端子の間には、電池パック100と電動工具本体1、30や外部の充電装置(図示せず)への制御に用いる信号伝達用の複数の信号端子が配置され、ここでは信号端子用の4つのスロット123~126が電力端子群の間に設けられる。スロット123は予備の端子挿入口であり、本実施例では端子は設けられない。スロット124は電池パック100の識別情報となる信号を電動工具本体又は充電装置に出力するためのT端子用の挿入口である。スロット125は外部の充電装置(図示せず)からの制御信号が入力されるためのV端子用の挿入口である。スロット126はセルに接触して設けられた図示しないサーミスタ(感温素子)による電池の温度情報を出力するためのLS端子用の挿入口である。負極端子(-端子)の挿入口となるスロット127の左側には、さらに電池パック100内に含まれる後述する電池保護回路による異常停止信号を出力するLD端子用のスロット128が設けられる。
上段面115の後方側には、隆起するように形成された隆起部132が形成される。隆起部132はその外形が上段面115より上側に隆起する形状である、その中央付近に窪み状のストッパ部131が形成される。ストッパ部131は、電池パック100を、電池パック装着部10に装着した際に、突起部14(図2参照)の突き当て面となるもので、電動工具本体1側の突起部14がストッパ部131に当接するまで挿入されると、電動工具本体1に配設された複数の端子(機器側端子)と電池パック100に配設された複数の接続端子(図4にて後述)が接触して導通状態となる。また、電池パック100のラッチ141の係止部142a(右側の係止部であり図3では見えない)、142bがばねの作用によりレール138a、138bの下部で左右方向に飛び出して、電動工具本体1のレール溝11a、11bに形成された図示しない凹部と係合することにより、電池パック100の脱落が防止される。ストッパ部131の内側には、電池パック100の内部とつながる冷却風取入口たるスリット134が設けられる。また、この電池パック100が電動工具本体1に装着された状態では、スリット134が外部から視認できないように覆われて閉鎖状態になる。スリット134は、電池パック100を図示せぬ充電装置に連結して充電を行う際に、電池パック100の内部に冷却用の空気を強制的に流すために用いられる風窓であって、電池パック100内に取り込まれた冷却風は下ケース101の前方壁に設けられた排気用の風窓たるスリット104から外部に排出される。
図4は図3の電池パック100の展開斜視図である。電池パック100の筐体は、上下方向に分離可能な上ケース110と下ケース101によって形成され、下ケース101の内部空間には、10本の電池セルが収容される。下ケース101の前方側壁面には、上ケース110とのネジ止め用に2つのネジ穴103a、103bが形成され、下から上方向にネジ穴103a、103bを貫通するようにして図示しないネジが通される。下ケース101の後方側壁面にも2つのネジ穴103c(図では見えない)、103dが形成される。複数の電池セル(図示せず)は、5本ずつ2段にスタックさせた状態で、合成樹脂等の不導体で構成されたセパレータ445にて固定される。セパレータ445は電池セルの両端部となる左右両側だけが開口するようにして複数の電池セルを保持する。
セパレータ445の上側には、回路基板150が固定される。回路基板150は複数の接続端子(161、162、164~168、171、172、177)を半田付けによって固定すると共に、これら接続端子と図示しない回路パターンとの電気的な接続を行う。回路基板150にはさらに、電池保護ICやマイクロコンピュータ、PTCサーミスタ、抵抗、コンデンサ、ヒューズ、発光ダイオード等の様々な電子素子(ここでは図示していない)を搭載する。回路基板150の材質は、素材に対して絶縁性のある樹脂を含浸した基板上に、銅箔など導電体によってパターン配線を印刷したプリント基板と呼ばれるものであり、単層基板、両面基板、多層基板を用いることができる。本実施例では、両面基板を用いて回路基板150の上面(表面であって図4から見える上側の面)と下面(裏面)に配線パターンが形成される。回路基板150の前後方向の中央よりもやや前側には、スロット群配置領域160が設けられ、そこに複数の接続端子(161、162、164~168、171、172、177)が横方向に並べて固定される。
正極端子(161、162、171、172)と負極端子(167、177)は、左右方向に大きく離れた箇所に配置され、それらの間には3つの信号端子(T端子164、V端子165、LS端子166)が設けられる。本実施例では電力端子用の部品として、水平方向に延びる腕部が上側の左右に1組、下側の左右に1組の合計2組設けられたものを用いるが、その詳細形状は図11にて後述する。尚、信号端子(164~166、168)に関しては、従来から用いられるような腕部が上下方向に1つの信号端子部品をそのまま用いることも可能である。しかしながら、本実施例では正極端子(161、162、171、172)と負極端子(167、177)における機器側端子との嵌合状態と同等にするために、信号端子側においても上下に2つの腕部を有する信号端子部品(図11にて後述)を用いるようにした。
負極端子対(167、177)の左側にはLD端子168が設けられる。LD端子168も上側と下側の2組の腕部を有するように形成される。すべての信号端子(164~166、168)は、回路基板150の形成された複数の取付孔151にそれぞれの脚部を表面から裏面にまで貫通させて、裏面側で半田付けにより固定される。本実施例では3つの信号端子(164~166)の固定方法にも特徴を有するが、その詳細は図11及び図12にて後述する。以上のように、回路基板150上に図示しない電子素子が搭載され、複数の接続端子が半田付けにより固定されたあとに、基板カバー180が設けられ、回路基板150の表面を樹脂にて固めた後に図示しないネジによってセパレータ445に固定される。尚、図4では基板カバー180の図示を省略している。
下ケース101は、上面が開口された略直方体の形状であって、底面と、底面に対して鉛直方向に延びる前面壁101a、後面壁101b、右側側壁101c、左側側壁101dにより構成される。下ケース101の内部空間はセパレータ445を収容するのに好適な形状とされ、セパレータ445を安定して保持するために底面内側に形成される多数の固定用リブ102や、壁面を補強ために鉛直方向に連続するように形成される多数のリブ105が形成される。前面壁101aのほぼ中央には、スリット104が設けられる。上ケース110のスリット134は、充電装置にて充電を行う際に電池パック100の内部空間に充電装置側から送出される冷却風を流入させるための流入口として用いられ、下ケース101のスリット104は冷却風の排出口として用いられる。
電池セル側からの出力の回路基板150との接続は、上方向に板状に延びる接続用の引出しタブ461a、466a、471a、476aを介して行われる。また直列接続された電池セルの中間接続点からのリード線の端部494b、496b~499bが上方向に延びるように配置され、回路基板上に半田付けされる。さらに、直列接続された電池セルの中間接続点からの中間引出しタブ462a、463aが回路基板150に接続されるべく、上方向に延びるように配置される。セパレータ445の上側には、回路基板150を固定する為のネジボス447a、447bが形成される。
次に図5の展開斜視図を用いてセパレータ445を用いた電池セルのスタック状況および配線方法を説明する。セパレータ445は10本の電池セル146a~146e、147a~147eを5本ずつ、上下2段にスタックしたものである。図5では電池セル146a~146e、147a~147eがセパレータ445から引き出された状態を示しているが、組立時にはセパレータ445の円筒状の空間446内に挿入され、セパレータの左右両側に露出した端子間に、接続板462~465、472~475にて相互に接続され、引出し板461、466、471、476が電池セルに接続される。その後に、絶縁のために絶縁シート482a、482bが接続板462~465、472~475や引出し板461、466、471、476の上に貼り付けられる。
各電池セルの軸線はそれぞれ平行になるように積み重ねられ、隣接するセルの向きを交互に逆になるように配置して、隣接する電池セルの正極端子と負極端子を金属製の接続板462~465、472~475を用いて接続される。電池セルの両側端子と接続板462~465、472~475は、複数箇所のスポット溶接によって固定される。ここでは上段に設置された5本の直列接続された電池セルが上側セルユニット146(図8にて後述)を形成し、下側に設置された5本の直列接続された電池セルが下側セルユニット147(図8にて後述)を形成する。尚、ここでいうセルユニットの上側、下側とは、電池セルが下ケース101内の上段にあるか下段にあるかという物理的な位置を指すのでは無くて、2つのセルユニットを直列接続した際に、グランド側に位置する方のセルユニットを“下側セルユニット”と呼び、直列接続した際に高い電圧側に位置する方のセルユニットを“上側セルユニット”と呼ぶものであり、電気的な電位を基準としている。本実施例の電池パックでは上側セルユニット146が上段に配置され、下側セルユニット147が下段に配置されているが、この配置に限られず、電池セルの配置方法は上段と下段に分けずに前側と後側に分けるようにしても良い。
電池セル146a~146e、147a~147eは、18650サイズと呼ばれる直径18mm、長さ65mmの複数回充放電可能なリチウムイオン電池セル(図示せず)が用いられる。本実施例では電池パック100からの出力電圧を切り替え可能とするために、複数のセルユニットの直列接続電圧(高電圧側出力)と、並列接続電圧(低電圧側出力)の形態が選択可能とされる。従って、本発明の思想に従えば、各セルユニットにおいて直列に接続されるセルの本数を等しくすれば、セルユニットの数は任意である。使用する電池セルは18650サイズだけに限られずに、いわゆる21700サイズの電池セルや、その他のサイズの電池セルであっても良い。また電池セルの形状は円筒形だけに限られずに、直方体のもの、ラミネート形状のもの、その他の形状であっても良い。電池セルの種類はリチウムイオン電池だけに限られずに、ニッケル水素電池セル、リチウムイオンポリマー電池セル、ニッケルカドミウム電池セル等の任意の種類の二次電池を用いても良い。電池セルの長さ方向の両端には2つの電極が設けられている。2つの電極のうち、一方は正極であり他方は負極であるが、電極を設ける位置は両端側だけに限定されるもので無く、電池パック内で容易にセルユニットが形成できるならば任意の電極配置で良い。
上側セルユニット146の正極は、引出しタブ461aが形成された引出し板461を用いて回路基板150に接続され、上側セルユニット146の負極は、引出しタブ466aが形成された引出し板466を用いて回路基板150に接続される。同様にして下側セルユニット147の正極は、引出しタブ471aが形成された引出し板471を用いて回路基板150に接続され、下側セルユニット147の負極は、引出しタブ476aが形成された引出し板476を用いて回路基板150に接続される。セパレータ445の上面には、金属の薄板を折り曲げた形状の引出し板461、466、471、476のタブを保持するためのタブホルダ450~452、455~457が形成される。タブホルダ450~452、455~457は、L字状に折り曲げられた引出しタブ461a、462a、463a、466a、471a、476aを保持するために形成されるタブ保持部であり、セパレータ445の成形時に座面、背面、両側側面を有する凹部として一体成形され、この凹部に引出しタブ461a、462a、463a、466a、471a、476aがそれぞれ嵌め込まれる。セパレータ445の上部には回路基板150をネジ止めするための2つのネジボス447a、447bが形成される。引出し板461、471と接続板463、465、473、475の右側は絶縁シート482aにて覆われ、引出し板466、476と接続板462、464、472、474の左側は絶縁シート482bにて覆われる。絶縁シート482aは電気を通さない材質であって、その内側部分はシール材が塗布されている。
次に図6を用いて、2組の電力端子の形状を説明する。図6は図4に示した回路基板150の部分図であり、回路基板150に固定された正極端子対(上側正極端子162と下側正極端子172)と、負極端子対(上側負極端子167と下側負極端子177)だけを図示したものである。出力用の正極端子は、電気的に独立した上側正極端子162と下側正極端子172が、回路基板150の取り付け位置で見て前後方向に並ぶように配置される。これらは互いに近接して配置される複数の端子(162、172)であって、電圧の切替え用に使用される切替端子群として機能する。上側正極端子162と下側正極端子172は、それぞれが前方側に延在する腕部組(腕部162aと162b、腕部172aと172b)を有する。ここでは腕部162a、162bと腕部172a、172bが上下方向に離れた位置であって、その嵌合部の前後方向位置がほぼ同一となるような形状とされる。これら正極端子対(162、172)は、単一のスロット122内に配置される。負極端子対も、正極端子対の形状と同じであって、上側負極端子167と下側負極端子177により構成され、これら負極端子対(167、177)が単一のスロット127の内部に配置される。これらは互いに近接して配置される複数の端子(167、177)であって、電圧の切替え用に使用される切替端子群として機能する。スロット127の内部では、上側に上側負極端子167の腕部組が配置され、上側負極端子167の腕部組の下側に下側負極端子177の腕部組が配置される。尚、図6では図示していないが、放電用の正極端子対(上側正極端子162と下側正極端子172)の右側には、充電用の正極端子対(上側正極端子161と下側正極端子171:図4参照)が配置される。充電用の正極端子対(161、171)の形状は、上側正極端子162と下側正極端子172と同形状である。
図7(1)は、上側端子部品260と下側端子部品280の部品単体を示す斜視図である。上側端子部品260は上側正極端子161、162、及び上側負極端子167として用いられる共通部品であり、下側端子部品280は下側正極端子171、172、及び下側負極端子177として用いられる共通部品である。上側端子部品260と下側端子部品280は、導電性の金属からなる平板をプレス加工によって切り抜いたのちに、U字形に曲げて形成したものである。上側端子部品260は、U字状の底部となる面、即ちブリッジ部262が後側になるように折り曲げられ、下側端子部品280においては、ブリッジ部282が後側になるように折り曲げられる。上側端子部品260には、下側端子部品280の上側に延びるような長い腕部265、266が形成される。腕部265、266の延びる前後方向から見て、ブリッジ部262は直交する面を有し、その面は鉛直方向に延びる鉛直面となる。
上側端子部品260は、U字状に折り曲げて平行になるように形成された右側側面263、左側側面264と、それらを接続するものであって後面となるブリッジ部262を有する。右側側面263と左側側面264の前方側には、左右両側から内側に向けて機器側端子を挟み込む腕部265、266がそれぞれ設けられる。左側側面264の前方辺部のうち下側から上端に近い位置までは鉛直方向に平面状に延び、上端に近い付近から腕部265、266が前方側に延びるように形成される。右側側面263の形状は、左側側面264と面対称に形成される。腕部265は右側側面263の上側前方辺から前側に延びるように配置され、腕部266は左側側面264の上側前方辺から前側に延びるように配置される。このように腕部265、266は、基体部261の前側辺部の上側部分から前方側、即ち電池パック100の装着方向と平行方向に延びるように形成される。腕部265、266は、左右方向にみるとお互いが対向して、最小間隔部分、即ち機器接続端子と嵌合する嵌合部がほとんど接触する位置まで近接するようにプレス加工されることによりバネ性を持たせている。ここでプレス加工とは、プレス機械を用いて行う塑性加工のことであり、板金などの素材を型に対して高い圧力で押しつけて、切断、打抜き、穴あけなどの剪断加工を施し、さらに必要に応じて曲げ加工や絞り加工を行うことにより、所要の形状に剪断、成形する。本実施例において、上側端子部品260と下側端子部品280は、例えば厚み0.8mmの平板にて形成される。これにより、上側正極端子161、162及び上側負極端子167は高い機械強度を備え、機器側端子と嵌合する際の嵌合圧力が高くなる。尚、プレス加工の後に熱処理やメッキ処理等を施すようにしても良い。
下側端子部品280も同様にして製造されるもので、U字状に折り曲げて平行なるように形成された右側側面283、左側側面284と、それらを接続するブリッジ部282からなる基体部281を有し、右側側面283と左側側面284の細長い上部付近から前方側に、腕部285、286が形成される。腕部285、286は、左右両側から内側に向けて機器側端子を挟み込むような形状とされる。上側の腕部組(265、266)の上端位置と、下側の腕部組(285、286)の下端位置の距離Sは、従来の18V用の電池パックに設けられる電力端子の幅とほぼ同等になるように構成する。一方、上側の腕部組(265、266)と、下側の腕部組(285、286)はそれぞれ上下方向に所定の距離S1を隔てるように配置される。下側の腕部組(285、286)の下方には、前方側から大きく切り欠かれた切欠き部291が形成される。下側端子部品280の後方側は、上側端子部品260の右側側面263、左側側面264と所定の隙間を隔てて互いに接触しないように前後方向に並べて固定される。
図7(2)では脚部267、268の部分にハッチングを付して、その範囲が明確になるように図示している。本明細書でいう基体部261とは、取り付けられる回路基板150の表面から上側に露出する部分であって、腕部265と266を除いた部分である。上側端子部品260の基体部261は右側側面263と左側側面264とブリッジ部262により構成される。基体部261の下辺部より下方には、脚部267、268が接続される。右側側面263と左側側面264は鉛直方向に延びる略長方形であって、上端に近い部分で前方側に腕部265、266が延びるように形成される。腕部265、266の後方側根元付近、即ち鎖線B2付近では幅(上下方向の長さ)が大きく、前方に行くに従ってその幅が徐々に小さくなり、仮想線B1よりさらに前方側では幅が一定なる。嵌合部265d、266dでは、上面視で内側に所定の曲率半径R1を有する曲面状に曲げられる。このようにU字形の基体部の上方前辺部から前方に延びるようにして腕部265、266が形成され、腕部265、266が互いに非接触状態にてバネ性を持たせるように形成される。
脚部267、268は回路基板150の取付孔(貫通孔)に挿入して、回路基板150の取付面(表面)から取付面と反対側の面(裏面)まで脚部267、268を突出させ、裏面において脚部267、268が回路基板150に半田付けされる。また、半田付けによって腕部265、266と回路基板150に搭載される電池セルや電子素子等と電気的に接続される。ここで脚部267、268の高さH1は、回路基板150の厚さよりも大きく、2倍よりも小さい程度に形成される。右側側面263と左側側面264の後辺の下側部分には、矢印262aで示すように、ブリッジ部262が後方側に湾曲するように突出するので、この突出部分が上側端子部品260と下側端子部品280の回路基板150への取り付け時の上下方向位置決め用に用いられる。右側側面263と左側側面264の下側部分の前方側には、水平方向に凸状に延ばした部分を形成して、その凸状部分を内側に折り曲げた折曲部263a(図では見えない)、264aが形成される。折曲部263a、264aの曲げ部の上側と下側には、折り曲げ加工を容易にするために略円形の切抜部が形成される。折曲部263a、264aと段差部262aは、回路基板150の取付孔近傍の上面に接するようにして、上側端子部品260の上下方向の位置決めをするために形成されるものである。
基体部261は側面視で倒立させた略L字状とされる。腕部265、266の後方部分は、後方側の接続部付近から前方に向けて右側側面263、左側側面264が同一面状に延びた平面部265a、266aが形成される。腕部265、266の先端部分は大きめの曲率半径R1にて外側に広がるように曲げられた嵌合部265d、266dが形成される。嵌合部265d、266dの内側の曲面部分が、電動工具本体1、30の端子と接触することにより、上側端子部品260が電動工具本体1、30側の接続端子と電気的に導通することになる。嵌合部265d、266dの内側は、電池パック100が電動工具本体1、30から取り外された状態ではわずかな隙間を有するような形状とされる。嵌合部265d、266dの前方側は前方に行くにつれて間隔が急激に広がるように形成され、電動工具本体1、30側の端子を案内する。
下側端子部品280は、U字状に折り曲げて平行なるように形成された右側側面283、左側側面284と、それらを接続するブリッジ部282を有し、右側側面283と左側側面284の細長い上部から、前方かつ斜め上側に向けて腕部285、286が延びるように設けられる。腕部285、286の上下方向の幅は前後方向においてほぼ一定であり、仮想線B1よりも前方側では水平方向に延びるように形成されるが、仮想線B1より後方側は斜めに配置される。下側端子部品280の腕部組(285、286)の下方には、前方側から大きく切り欠かれた切欠き部291が形成される。このように形成した結果、上側端子部品260の腕部265、266の長さ(前後方向長さであってB2よりも前方)は、下側端子部品280の腕部285、286の長さ(前後方向長さであって、矢印291位置よりも前方側)よりも長くなる。このような前後方向の長さが異なる腕部組であっても、上側端子部品260の嵌合部における嵌合圧が、下側端子部品280の嵌合圧と同一になることが好ましい。嵌合圧を均等にしないと電動工具本体1、30側の平板状の機器側端子との接触抵抗が変わって、わずかな発熱の違いが発生したり、長期にわたる使用による摩耗状況が異なる虞があるからである。本変形例では、上側端子部品260と下側端子部品280による嵌合圧のバランスをとるために、電池パックの非装着状態における初期隙間間隔が異なるようにした。即ち、電池パック100が電動工具本体1又は30に装着されていない状態(取り外し状態)において、左右の腕部265、266の最小間隔が、腕部285、286の間隔と異なる。ここでは上側端子部品260の腕部265と266の間隔が0.2mmであるのに対して、下側端子部品280の腕部285と286の最小間隔が0.5mmとなるようにした。
嵌合圧を均一にするために、上側端子部品260と下側端子部品280の形状にも工夫を施した。即ち、図7(2)に示すように、本来なら上側端子部品260では点線264bのようなほぼ直角の内角を形成すべきところ、ここでは点線264bの輪郭を矢印264eの方向に延ばして、側面視で二等辺三角形状の補強面264cが追加されるような形状とした。この結果、この内角部分の輪郭は矢印264dのように斜めになり、この形状変更によって上側端子部品の腕部265、266の取り付け剛性が向上する。上側端子部品260の内角部分の形状変更に合わせて、下側端子部品280の外角部分の形状を点線284bの部分から矢印284eの方向に切り落とすことにより、側面視で二等辺三角形状の切り落とし部284cを設けたような形状とした。この結果、この外角部分の輪郭は矢印284dのようになり、下側端子部品の腕部285、286の剛性を低下させた。矢印264dと矢印284dに示す輪郭部分は、側面視で互いにほぼ平行となるように一定の間隔を離すようにそれら輪郭が決定される。尚、切り落とし部284cを形成するとブリッジ部282の上下方向の長さが短くなってしまう。しかしながら、下側端子部品280は小さいため、上側端子部品260に比べて強度的にも十分強いので、これらの形状変更でちょうど強度的なバランスがとれる。このように上側端子部品260には補強面264cの追加をするという内角部分の形状を変更し、下側端子部品280には切り落とし部284cの形成による強度調整をするという外角部分の形状を変更することで、両者の強度のバランスをとり、腕部265と266、285と286による本体側端子への嵌合圧をほぼ同等にすることができた。
図7(3)は上側端子部品260と下側端子部品280を正面から見た図である。電池パック100の非装着時の状態では、上下の腕部組の最小間隔が異なるようにした。つまり上側の腕部265と266の左右方向の間隔に比べて、下側の腕部285と286の左右方向の間隔が大きいように構成した。これは上下に並べて配置される腕部265と266、腕部285と286の、装着方向(前後方向)の長さとは逆比例させたような関係としたものである。長い腕部265と266は初期状態において狭い間隔で対向する。逆に短い腕部285と286は広い間隔で対向する。
以上のように電力端子は、0.8mmの厚めの板厚の上側端子部品260と下側端子部品280を用いるようにした。信号端子部品に関しては微小電流しか流れないので、従来の電池パック15と同様に0.3mm程度の厚さの金属板にて製造すれば良い。本変形例では大電流が流れる電力端子の剛性が一層向上し、作業中だけでなく長期の使用にわたって嵌合状況を良好に維持することができた。尚、上下の腕部組の嵌合圧をほぼ同じとするには、嵌合部の隙間の調整と、取り付け元付近の形状の変更だけに限定されずに、その他の変更、特に板厚の調整、端子部品の材料の選択等によっても達成可能である。
次に図8を用いて電池パック100を電動工具本体1、30に装着した際の、電動工具本体1、30側のターミナル部20の形状と、電池パック100の接続端子との接続状態を説明する。図8(1)は、電池パック100を36V用の電動工具本体30に装着した状態を示す図である。前述したように電池パック100の内部には10本の電池セルが収容され、そのうちの5本が上側セルユニット146を構成し、残りの5本が下側セルユニット147を構成する。電動工具本体30は上側正極端子162と上側負極端子167と嵌合することによって駆動部35を動作させる。駆動部35は電池パック100から電力が供給される負荷装置であって、ここではモータ5(図12で後述)を有する。この際、電動工具本体30に設けられているショートバーが、点線59で示す電気的接続回路を形成するので、上側セルユニット146と下側セルユニット147は直列接続状態となる。つまり、上側セルユニット146の負極が下側セルユニット147の正極と接続され、電池パック100の正極出力として上側セルユニット146の正極が接続され、負極出力として下側セルユニット147の負極が接続される。このようにして、上側セルユニット146と下側セルユニット147の直列出力、即ち定格36Vが出力されることになる。
図8(2)は、電池パック100を18V用の電動工具本体1に装着した状態を示す図である。18V用の電動工具本体1には、上側正極端子162と下側正極端子172と同時に嵌合させる大きさの正極入力端子(図10にて後述)が設けられる。同様にして、上側負極端子167と下側負極端子177と同時に嵌合させる大きさの負極入力端子(図10にて後述)が設けられる。つまり、上側セルユニット146と下側セルユニット147の正極同士が接続された状態にて正極出力とされ、上側セルユニット146とが下側セルユニット147の負極同士が接続された状態にて負極出力とされる並列接続状態となる。この結果、電動工具本体1に接続されると自動的に定格18Vが出力されることになる。このように電池パック100の電圧の切替をおこなう切替端子群(162、167、172、174)との接続関係を変更することにより、電池パック100から得られる出力電圧を切り替えることが可能となった。
図9は(1)は本実施例の電動工具本体30のターミナル部50の斜視図であり、(2)はショートバー59単体の斜視図であり、(3)はターミナル部50と電池パック100の電力端子との接続方法を示す図である。定格36Vの電動工具本体30のターミナル部50には、電力用の入力端子として、受電用の正極入力端子52の端子部52aと、負極入力端子57の端子部57aが小さく形成されて上側に設けられる。装着時において、正極入力端子52の端子部52aは上側正極端子162だけに嵌合し、負極入力端子57の端子部57aは上側負極端子167だけに嵌合する。一方、電動工具本体30のターミナル部には、下側正極端子172と下側負極端子177を短絡させるショートバー59(59a~59c)が設けられる。図9(2)に図示されるように、ショートバー59は金属製の導電部材からなる短絡子であって、コの字形状に曲げられた部材である。ショートバー59の接続部59aの一端側に端子部59bが形成され、端子部52aの下側に配置される。ショートバー59の接続部59aの他端側に端子部59cが形成され、端子部59cは端子部57aの下側に配置される。端子部59bは下側正極端子172と嵌合し、端子部59cは下側負極端子177と嵌合する。ショートバー59は、正極入力端子52や負極入力端子57等の他の機器側端子と共に合成樹脂製の基台51(図7にて後述)に鋳込まれるようにして固定される。この際、ショートバー59は他の金属端子(52、54~58)とは接触しない。また、ショートバー59は、下側正極端子172と下側負極端子177を短絡させるためだけに用いられるため、電動工具本体の制御回路等への配線をする必要はない。
正極入力端子52は、上側正極端子162と嵌合する部分であって平板状に形成された端子部52aと、電動工具本体30側の回路基板側との結線を行うリード線を半田付けするための配線部52cと、端子部52aと配線部52cとの間を接続すると共に合成樹脂製の基台51に鋳込まれる連結部(図では見えない)により形成される。負極入力端子57も正極入力端子52と同様であって、端子部57aの高さが、他の端子部(54a~56a、58a)に比べて半分程度又は半分より小さい程度の大きさとされる。他の端子部(54a~56a、58a)は信号伝達用の端子であって、配線部54c~56c、58cを介してリード線(図示せず)により電動工具本体30側の制御回路基板に接続される。ターミナル部50の合成樹脂製の基台51の前側と後側には、ハウジングによって挟持されるための凹部51bと51cが設けられる。
図9(3)において、電池パック100を装着する際には、電池パック100を電動工具本体30に対して差し込み方向に沿って相対移動させると、正極入力端子52と端子部59bが同一のスロット122(図3参照)を通って内部まで挿入され、上側正極端子162と下側正極端子172にそれぞれ嵌合される。このとき、正極入力端子52が上側正極端子162の嵌合部間を押し広げるようにして上側正極端子162の腕部162aと162bの間に圧入され、ショートバー59の端子部59bが下側正極端子172の腕部172aと172bの間を押し広げるようにして圧入される。同様にして、負極入力端子57と端子部59cが同一のスロット127(図3参照)を通って内部まで挿入され、それぞれ上側負極端子167と下側負極端子177に嵌合される。この際、負極入力端子57の端子部57aが嵌合部間を押し広げるようにして上側負極端子167の腕部167aと167bの間に圧入される。さらに、ショートバー59の端子部59cが下側負極端子177の腕部177aと177bの間を押し広げるようにして圧入される。
端子部52a、57a、59b、59cの板厚は、各腕部の嵌合部の初期隙間(電池パック100が装着されていない時の隙間)よりもわずかに大きいので、端子部52a、57a、59b、59cの各々と上側正極端子162、下側正極端子172、上側負極端子167、下側負極端子177との嵌合点に所定の嵌合圧力が作用する。このような接続の結果、電動工具本体30の機器側端子(端子部52a、57a、59b、59c)と、電池パックの電力端子(上側正極端子162、下側正極端子172、上側負極端子167、下側負極端子177)は電気的な接触抵抗が小さくなるような状態にて良好に接触する。このようにして電動工具本体30は、単一のスロット(122に挿入されて第1及び第2の端子(162、172)のうち第1の端子(162)のみに接続される第3の端子(52a)と、単一のスロット(122)に挿入されて第2の端子(172)のみに接続される第4の端子(59b)と、を有し、電池パック100が電動工具本体30に接続されると、単一のスロット121内で、第1及び第3の端子(162と52a)が互いに接続されてともに第1の電位となり、第2及び第4の端子(172と59b)が互いに接続されてともに第1の電位とは異なる第2の電位となる。負極端子対(167、177)側でも同様に接続状態となるため、図9(3)の接続形態の実現によって、上側セルユニット146と下側セルユニット147の直列接続の出力、即ち定格36Vが電池パック100から出力されることになる。
一方、従来の18V用の電動工具本体1に電池パック100が装着された際には、図10のような接続関係となる。電池パック100が電動工具本体1に取り付けられるときは、正極入力端子22の端子部22aは、上側正極端子162と下側正極端子172の開口端部の双方を押し広げるように嵌合圧入されて、正極入力端子22の端子部22aの上側一部の領域が上側正極端子162と接触し、下側一部の領域が下側正極端子172と接触する。このように端子部22aを上側正極端子162の腕部162a、162bと下側正極端子172の腕部172a、172bに同時に嵌合させることによって、2つの正極端子(162と172)が短絡状態となる。同様にして負極入力端子27の端子部27aは、上側負極端子167と下側負極端子177の開口端部の双方を押し広げるように嵌合圧入されて、負極入力端子27の端子部27aの上側一部の領域が上側負極端子167と接触し、下側一部の領域が下側負極端子177と接触する。このように端子部27aを上側負極端子167の腕部167a、167bと下側負極端子177の腕部177a、177bに同時に嵌合させることによって、2つの負極端子(167と177)が短絡状態となり、電動工具本体1には上側セルユニット146と下側セルユニット147の並列接続の出力、即ち定格18Vが出力される。正極入力端子22の端子部22aと負極入力端子27の端子部27aは一定の厚みを有する金属板からなる。従って、上側正極端子162、上側負極端子167の腕部による嵌合圧と、下側正極端子172、下側負極端子177の腕部による嵌合圧を同等とすることが重要である。
以上のように本実施例の電池パック100は、18V用の電動工具本体1か36V用の電動工具本体30のいずれかに装着することにより、電池パック100の出力が自動的に切り替わるので、複数電圧に対応した使い勝手の良い電池パック100を実現できた。この電圧切り替えは電池パック100側にておこなうのではなくて、電動工具本体1、30側のターミナル部の形状によって自動的に行われるので、電圧設定ミスが生ずる虞が全くない。また、電池パック100側には、機械的なスイッチのような専用の電圧切替機構を設ける必要が無いので、構造が単純で故障の虞が低く、長寿命の電池パックを実現できる。この下側正極端子172と下側負極端子177を短絡させるショートバー59は、18V用電池パックの既存のターミナル部20と同スペース内に実装できるため、従来と互換性のある大きさで電圧切替式の電池パックが実現できる。さらに、外部の充電装置を用いて充電を行う際には、図10(2)のような接続方法にて充電することが可能なので、高電圧/低電圧の双方の充電をおこなうような充電装置を準備する必要が無い。
電池パック100を外部充電装置(図示せず)を用いて充電する場合は、従来の18V用電池パックと同じ充電装置にて充電が可能である。その場合の充電装置のターミナルは図10(1)と同等の形状となるが、放電用の正極端子(162、172)の代わりに、充電用の正極端子(上側正極端子161、下側正極端子171)が充電装置(図示せず)の正極端子に接続されることになる。その際の接続状況も図10(2)に示す接続関係とほぼ同等である。このように、上側セルユニット146と下側セルユニット147を並列接続させた状態として18V用の充電装置を用いて充電を行うので、本実施例の電池パック100を充電するにあたって、新しい充電装置を準備しなくて済むという利点がある。
次に図11を用いて3つの端子(164~166)に用いられる部品、即ち信号端子部品240の形状を説明する。信号端子部品240は、1枚の金属板のプレス加工に製造されるものであって、金属の薄板をU字状の底部分となるブリッジ部242が後側の鉛直面となるように曲げられた基体部241から、腕部組(腕部基部245、246)が前方側に延在し、腕部基部245は上下の腕部組(腕部251、253)に分離するように形成され、腕部基部246は水平方向に延びる切欠き溝246bが形成されることにより上下の腕部組(252、254)に分離するように形成される。プレス加工に用いる金属板は、厚み0.3mmの平板であって、電力端子に用いられる上側端子部品260、下側端子部品280の板厚0.5mmに比べて薄くて良い。上側及び下側の腕部組は、同一形状に形成され、前後方向の長さ、上下方向の幅、板厚等が同じである。上側の腕部組(腕部251と252)、及び、下側の腕部組(腕部253と254)にはそれぞれ嵌合部(251d、253d等)が形成されるが、嵌合部のために湾曲させた形状も上下で同一であり、左右の腕部が面対称の形状とされる。一方、脚部249、250の取り付け位置が前後方向に大きくずらすように配置される。基体部241の下辺部分の形状は左右で異なり、右側側面243と左側側面244の形状が非対称となる。脚部249は、従前の脚部250の位置に比べて前側に大きくずらして配置され、脚部249と250は前後方向に大きく距離を隔てる。このように脚部249と脚部250が左右方向に隣接して並ぶのでは無く、前後にずらすように配置したため、右側側面243の下辺付近には前方に大きく延ばされた延在部243aが形成され、その前端部分から下方向に脚部249が延びるように形成される。脚部249と脚部250はそれぞれ回路基板150に形成された貫通孔(図示せず)を、表面から裏面側まで貫通させて、裏面側に突出した部分が半田付けされることにより回路基板150に固定され、上側の腕部組(腕部251と252)と下側の腕部組(腕部253と254)が回路基板150に搭載される電子素子と電気的に接続されることになる。
脚部249の上方には、回路基板150の取付孔151(図4参照)への挿入量を制限するための、左方向に折り曲げた折曲部243bが形成される。折曲部243bの曲げた部分の上側と下側には、折り曲げ加工を容易にするために半円形に切り抜いた切抜部243c、249aが形成される。後方側の脚部250の回路基板150への位置決めには、脚部250の前方側と後方側に形成された段差部250a、250bを用いるようにした。段差部250aは左側側面244の下辺部分を前方側に延ばすことで形成し、段差部250bはU字状に湾曲するブリッジ部242の下側辺部を利用して形成される。このように段差部250a、250bが回路基板150の表面に当接することにより脚部250の上下方向の取り付け位置を決定することができる。脚部249と250の前後方向の取り付け位置は、回路基板150の取付孔151(図4参照)の位置によって規定される。
図11(2)は信号端子部品240単体を前方下側から見た図である。この図からわかるように腕部基部245の前方側には水平方向に延びる切欠き溝245bが形成されることにより上下の腕部組(腕部251、253)に分離される。また、右側の脚部249は左側の脚部250に比べて大きく前方側にずれるように配置される。この結果、4つの腕部251、252、253、254に対して上方向又は下方向に対する力が加わったとしても信号端子部品240を回路基板にしっかりと保持することができる。腕部251、252、253、254に対して加わる外力は、電動工具本体1、30に電池パック100を装着する時に腕部組を後方側に押すように加わり、この力は信号端子部品240を後方に倒す方向となる。逆に、電動工具本体1、30から電池パック100を取り外す時には、腕部組を前方側に押すような力となり、この力は信号端子部品240を前方に倒す方向となる。このように電池パック100の装着時と取り外し時に加わる外力を、脚部249、250の位置を前後方向にずらしたことにより効果的に受け止めることができ、信号端子部品240の取り付け剛性を大幅に強化できるので、電池パック100の耐久性を高めることができた。さらには、腕部組も上側と下側の2段に分けて形成したので、電動工具の動作中に様々な振動を受けたり外力を受けたりしても、腕部の4つの接触領域によって電動工具本体側端子との良好な接触状態を維持できる。ここで「接触領域」とは、電池パック100を電動工具本体に装着した際に、信号端子部品240の腕部251、252、253、254と、入力端子(例えば正極入力端子52と負極入力端子57)の接触する領域を指している。一方、この信号端子部品240を製造する際に必要な、回路基板150の取付孔の数や半田付け箇所の数は従来と同じであるため、製造コストの上昇は抑制できる。
本実施例の信号端子部品240は剛性向上だけでなく別の効果も奏する。従来の信号端子部品(図示せず)は、回路基板に半田付して電気的・機械的に取付ける脚部を2箇所設けているが、その脚部は左右方向に並設しており、脚部の間が狭い上に半田付け部分がつながっていることが多く、左右の脚部の間に信号用のパターンを通すような配線ができなかった。本実施例の電池パック100では、信号端子部品240の一方の脚部249を前側に配置し、他方の脚部250を後側にして両方の脚部を離して配置した。これにより、信号端子部品240の各脚部の距離が広くなり複数の配線、又は、主電流を流す太いパターンを配線することが容易になる。このような信号端子部品240は、本実施例の電池パック100、即ち、従来の電池パックに対して高機能化を図り、電圧比でみた小型化を促進したい場合には好適である。特に、電圧を高めた上に電圧切り替え機能を実現すると、回路基板150に搭載される電子素子が増加する。そこで、パターン配線の効率化を図ると共に、主電流を流す配線を太くする必要が生じた。本実施例では回路基板150を従来用いられるものよりも大型のものを用い、接続端子群の後側だけでなく前側領域にも電子素子を搭載するようになった。
図12は本実施例の電池パック100を従来の電動工具本体1に接続した状態を示す回路図である。従来の電動工具本体1は、機器側の正極入力端子22と、負極入力端子27と、LD端子28を含んで構成される。正極入力端子22と負極入力端子27の間には、トリガスイッチ4と直流式のモータ5が接続される。モータ5と負極入力端子27の間には半導体によるスイッチング素子M101が設けられる。スイッチング素子M101のドレイン-ソースがモータ5の電力供給経路に接続され、ゲートが、抵抗R101を介して正極入力端子22に接続される。また、スイッチング素子M101のゲートは、抵抗R102を介してLD端子28に接続される。通常、電池パック100側のLD端子28はハイインピーダンス状態にある。その際には、スイッチング素子M101のゲートには、抵抗R101を介して正極電圧が掛かることになり、スイッチング素子M101は導通状態にある。この際、電池パック100側から、放電禁止信号341によってLD端子168がグランド電位に落とされると、スイッチング素子M101のゲート電位は、正極入力端子22の電圧を抵抗R101、R102で分圧した電圧となり、この分圧電位はスイッチング素子M101のソース-ドレイン間を遮断させる電位となる。この結果、モータ5への電力供給経路が遮断されるためモータ5の回転が停止する。このLD端子168の電位の切替えは、電池パック100側の制御部350の制御によって行われるもので、電池セルの電圧が所定値まで下がった状態、いわゆる過放電の状態の時や、電池セルに流れる電流が規定された上限値を越えた場合、電池セルの温度が上限値を超えた場合等に実行される。
電池パック100は、図4にて示したように上側正極端子(上+)162と、下側正極端子(下+)172と、上側負極端子(上-)167と、下側負極端子(下-)177を有して構成される。また、信号端子としてLD端子168を有する。電池パック100にはこれら以外に、その他の信号端子群(T端子164、V端子165、LS端子166)が設けられるが、ここではそれらの図示を省略している。上側正極端子162と下側負極端子177には、上側セルユニット146の出力が接続される。即ち、上側セルユニット146の正極(+出力)が上側正極端子162に接続され、上側セルユニット146の負極(-出力)が下側負極端子177に接続される。同様にして、下側セルユニット147の正極(+出力)が下側正極端子172に接続され、下側セルユニット147の負極(-出力)が上側負極端子167に接続される。
上側セルユニット146と下側セルユニット147は、リチウムイオン式の電池セルが直列に5本接続されたものである。上側セルユニット146には保護IC300が接続される。保護IC300は、上側セルユニット146の各電池セルの両端電圧を入力することにより、過充電保護機能、過放電保護機能の他、セルバランス機能、カスケード接続機能、断線検出機能を実行するもので、“リチウムイオン電池用保護IC”として市販されている集積回路である。保護IC300は上側セルユニット146の電圧から、保護ICの動作電源を得る電源回路を内蔵している。また、保護IC300は、上側セルユニット146の電池セルの電圧が所定値未満に低下して過放電状態になった場合は、過放電を示す信号(ハイ信号)305を制御部350に出力し、上側セルユニット146の電池セルの電圧が充電時に所定値以上に到達して過充電状態でなった場合は、過充電を示す信号(ハイ信号)306を制御部350に出力する。
下側セルユニット147には保護IC320が接続される。ここでは、下側セルユニット147の回路中、即ち下側正極端子172と上側負極端子167の間の回路中には、制御部350がさらに設けられる。つまり、上側セルユニット146と並列に設けられる保護回路が保護IC300だけで構成されるのに対して、下側セルユニット147と並列に設けられる保護回路は、保護IC320と制御部350により構成される。制御部350は、MCU(Micro Controller Unit、いわゆる「マイコン」)を含む。制御部350には、保護IC300からの出力(過放電信号305、過充電信号306)と、保護IC320からの出力(過放電信号325、過充電信号326)と、セル温度検出手段331からの信号が入力される。制御部350のマイコンには、例えばアナログ・フロント・エンド(AFE)と呼ばれる電圧検出回路を含み、電流検出回路327の出力電圧から下側セルユニット147に流れる電流値を測定する。制御部350の駆動用の電源は、下側セルユニット147に接続される電源回路321によって生成され、駆動電源(VDD1)が制御部350に供給される。
下側セルユニット147のグランド側にはシャント抵抗329が設けられるが、上側セルユニット146側にはシャント抵抗を設けていない。これは、上側セルユニット146と下側セルユニット147が直列接続される場合は、シャント抵抗329だけで電流値が測定できるからである。一方、上側セルユニット146と下側セルユニット147が並列接続される場合は、上側セルユニット146側の実測電流値は測定できないことになる。しかしながら、制御部350は上側セルユニット146の電流値は、下側セルユニット147と同等であるとして監視を行えば良い。尚、上側セルユニット146のグランド側にシャント抵抗と電圧検出回路を設けて、制御部350のマイコンによって下側セルユニット147側の電流値も直接監視するように構成しても良い。
制御部350は、電流値やセル温度の監視を行うと共に、上側セルユニット146と下側セルユニット147の状態を監視して双方の動作状況を統合して制御する。例えば、セルユニット146、147の温度を監視し、それらの温度の差が閾値以上になった場合には接続端子の接触不良が生じたと判断して、制御部350は充放電を停止させるように制御しても良い。また、電動工具本体1の緊急的な停止が必要となった場合には、放電禁止信号341を発してLD端子168の電位を変えることによって、LD端子28を介して電動工具本体1側に動作を停止させる。これらの制御部350による監視として最も重要なものは、上側セルユニット146、下側セルユニット147に含まれる電池セルに流れる電流量である。近年の電動工具においては、電池セルの性能向上、容量増大に伴い、電池パック100から大電流を取り出すことが可能となった。しかしながら寿命や発熱の面から、電池セルは所定の電流量(電流上限値以下)に制限することが好ましい。そこで制御部350は、電池セルに流れる電流を特に監視するために、下側セルユニット147の電力供給ラインの途中に介在されたシャント抵抗329と電流検出回路327を用いて、電流値を監視する。
電流値の監視は、充電時においては接続端子(161、167、171、177)の接触不良を検出することにも役に立つ。電池パック100が図示しない外部の充電装置に接続されて定電流充電制御が行われる場合には、上側セルユニット146と下側セルユニット147に流れる充電電流は所定の電流値となる。例えば、充電装置によって12Aの充電電流を流す場合は、上側セルユニット146と下側セルユニット147には理想的には6Aずつの充電電流が流れる。しかしながら、接続端子(161、167、171、177)と充電装置側の機器側端子間のいずれかに接触不良が生じた場合には、接触不良が生じた接続端子に接続されたセルユニットに流れる電流がゼロ又は大きく低下し、残りのセルユニット側に合計電流12Vが流れることになる。そこで、マイコンは電流検出回路327の検出値が、正常電流の範囲内にあるか否かを判定し、極端に少ない場合(例えば0A近く)か、極端に多い場合(例えば10A以上)には、複数のセルユニットの接続のいずれかに異常が生じていると判断して、充電装置による充電を停止させるように構成した。以上のように、外部充電装置を用いて電池パック100の充電を行っている際にも、制御部350は充電電流によって複数のセルユニットの接続に異常が生じているかを判断し、異常発生と判定された場合は、外部の充電装置にLS端子166を介して充電停止信号を伝達するようにした。
保護IC320、制御部350、電源回路321、電流検出回路327等からなる下側セルユニット147の管理用の保護回路は、1チップ内に集積化して“電池管理IC”として構成されたものを用いても良い。一方、上側セルユニット146用の保護IC300は、従来の電池パック15(図1参照)にて広く用いられていると同じものを用いることができ、5セル用の“電池保護IC”として市販されているものである。保護IC320の動作は保護IC300とほぼ同様であり、下側セルユニット147内の電池セルの電圧が所定の下限値まで低下した状態(過放電状態)を検出した場合に過放電信号325を制御部350に送出する。また、図示しない外部の充電装置に電池パック100が装着されて、充電が行われている際に、保護IC320は電池セルの電圧が所定の上限値を越えたことを検出した場合に、過充電状態を示す過充電信号326を制御部350に送出する。制御部350は、LS端子166(図4参照)を介して図示しない充電装置に充電停止信号を送出する。以上説明したように、上側セルユニット146と下側セルユニット147にはそれぞれ電池セル用の保護回路が搭載されているので、きめ細かい電池監視によるセルバランス機能が実現できる。
本実施例では上側セルユニット146の保護回路は保護IC300だけでマイコンを含まないのに対して、下側セルユニット147の保護回路には、保護IC300に加えてマイコンを含む制御部350を設けた。そして、電源回路321が下側セルユニット147を電力によって制御部350の動作用の電源を生成する。本実施例の電池パック100は、18Vと36Vの電圧切替式なので、上側セルユニット146側の保護回路にマイコンを搭載すると、2つのセルユニットの直列接続時と並列接続時において、制御部350のグランド電位が変わってしまう。一方、下段側に電源回路321を設けるのであれば電源回路321のグランド電位は変化しない。そこで、本実施例ではマイコンを搭載した制御部350を上側セルユニット146の回路中では無くて、下側セルユニット147の回路中に設けた。このマイコンの配置により、出力電圧を定格18Vと36Vの切替式としても安定してマイコンを含む制御部350を稼働させることできる。
マイコンを含む制御部350を、一方のセルユニット側の回路中にだけ設けることは、2つのセルユニット間の消費電力のアンバランスの問題が生ずる。制御部350による消費電力はきわめてわずかであるが、下側セルユニット147側の消費電力が、上側セルユニット146側の消費電力よりも大きいことになる。消費電力のアンバランス状態が長く続くことは、下側セルユニット147側の電位が上側セルユニットに対して低くなるので好ましくない。特に、上側セルユニット146と下側セルユニット147を並列接続させて定格18Vの出力をする際に、並列接続状態になった直後にセルユニット間の電圧不均衡により循環電流が流れるためである。そこで本実施例では、消費電力が少ない上側セルユニット146の回路中に下側セルユニット147との消費電流量を調整する機能をもたせた、消費電流制御手段310を設けた。消費電流制御手段310は、2つのセルユニットのうち消費電力の少ない側、ここでは上側セルユニット146と並列に介在させるものであって、集積化された保護IC300とは別の負荷回路として回路基板150(図4参照)に搭載される。
消費電流制御手段310は制御部350の稼働と連動して動作するように制御される。制御部350に含まれるマイコンは、自身にかかる電源電圧(基準電圧VDD1)の保持と、解除を切替えることができ、通常動作状態(ノーマルモード)と動作停止状態(いわゆるスリープ状態)を有する。制御部350のマイコンが、基準電圧VDD1を保持している間は、制御信号として利用するグランドライン301の状態を切り替えることによって保護IC300も動作状態にする。本実施例では消費電流制御手段310の回路を工夫して、制御部350のマイコンが、基準電圧VDD1を保持した状態になったら、連動して消費電流制御手段310に消費電力調整用の電流が流れるように構成し、さらに消費電流制御手段310がグランドライン301の状態を切り替えるようにした。この結果、制御部350が起動すると同時に保護IC300も連動して起動する。制御部350の電源回路321は保護IC320と共用であるため、マイコンが起動すると保護IC320も同時に起動する。消費電流制御手段310によって制御部350が接続されるセル組(下側セルユニット147)と、その他のセル組(上側セルユニット146)で消費される消費電流が同じになる。
消費電流制御手段310は、FET等の複数のスイッチング素子M31~M33と、複数の抵抗器(抵抗R31~R35)を含んで構成される電気回路である。基本的な回路構成は、2つの疑似負荷となる抵抗R31、R34の直列接続が、セルユニット146の両端子間に接続されており、その回路をスイッチング素子M32によってオン又はオフの切替が行われる。スイッチング素子M32のソース端子は上側セルユニット146の正極に接続され、ドレイン端子は抵抗R31に接続される。スイッチング素子M32のゲート端子は、抵抗器R32とR35の接続点に接続される。抵抗器R32の一端はスイッチング素子M32のソース端子に接続され、他端はゲート端子に接続される。抵抗R35は一端がスイッチング素子M32のゲート端子に接続され、他端がスイッチング素子M33のドレイン端子に接続される。スイッチング素子M33は、制御部350に含まれるマイコンの電源電圧(VDD1)をゲート信号に入力させて、電源電圧VDD1に連動してオン又はオフの切替をする。スイッチング素子M33のソース端子は接地され、ソース端子とゲート端子間には、抵抗R33が接続される。抵抗R33は、ゲート信号の電圧変化によって安定してスイッチング素子M33が切り替わるように設けられるものである。このような消費電流制御手段310は、マイコンの電源電圧VDD1がオフの時は、スイッチング素子M33のゲート電位が0Vである。するとスイッチング素子M33はOFF状態になる。スイッチング素子M33はOFF状態にあると、スイッチング素子M32もオフ状態であるため、抵抗R31、R34による疑似負荷側への電流経路が遮断されため、消費電流制御手段310による電力消費はゼロである。この状態の時に保護IC300もオフになるようにするため、抵抗R31とR32の接続点の電位をゲート信号(動作信号302)として入力するスイッチング素子M31をさらに設けた。スイッチング素子M31のドレイン端子は、保護IC300の内蔵電源(図示せず)のグランドライン301に接続され、ソース端子は上側セルユニット146の負極に接続される。動作信号302は消費電流制御手段310の稼働状態を示す信号であって、ローレベルの時は、消費電流制御手段310が稼働状態している、つまり制御部350のマイコンも稼働していることを示す。一方、消費電流制御手段310が稼働状態していない、つまり制御部350のマイコンが停止中の時は、動作信号302がローとなり、グランドライン301がハイインピーダンス状態となるので、保護IC300は停止する。
上側セルユニット146の負極の電位(基準電位A)は、上側セルユニット146と下側セルユニット147の並列接続時にはグランド電位であるが、直列接続時には下側セルユニット147の正極電位と等しい。この接続状態において、抵抗R31に上側セルユニット146の電位が掛からないことは、スイッチング素子M31はオフとなるので、グランドライン301は接続されていないハイインピーダンス状態となる。一方、スイッチング素子M32がオンになって疑似負荷に電流が流れる際には、抵抗R31とR32の分圧電圧がスイッチング素子M31のゲート端子に流れるため、スイッチング素子M31がオンになる。するとグランドライン301が基準電位Aに接続されることになるので、保護IC300内の内蔵電源に電源が供給されることになり、保護IC300が起動する。以上のような接続形態にすれば、消費電流制御手段310によって下側セルユニット147側のマイコンの電力消費分を上側セルユニット146の回路内でも消費させることができる。さらに、消費電流制御手段310の可動、停止の切り替えに応じて、保護IC300自身の起動と停止制御も併せて行うことができる。よって、制御部350のマイコンは、下側セルユニット147の保護回路と上側セルユニット146の保護回路を連動して起動又は停止の制御を行うことができる。
マイコンの状態には、ノーマル、スリープ、シャットダウンの3段階がある。ノーマルはマイコンが常時起動している状態である。スリープはマイコンが自ら間欠的に起動するモードであり、1ミリ秒の起動後に49ミリ秒停止するというような動作を繰り返す。シャットダウンは、電源電圧VDD1が全く供給されない状態であって、マイコンが完全に停止している状態である。マイコンは、電池パック100が電動工具本体1に装着されている時も、装着されていないときも動作する。但し、電池パック100が装着されていない時や、装着時であっても電動工具が一定時間以上使用されていない時、例えば、トリガ操作が終了してから2時間程度トリガ操作が行われなかった場合は、マイコンはスリープ状態になる。このスリープ状態時であっても、消費電流制御手段310は、マイコンの起動に連動して動作を行い、また、消費電流制御手段310を介して保護IC300も起動する。電動工具本体1のトリガスイッチ4が引かれてモータ5に電流が流れると、制御部350のマイコンは、電流検出回路327によって検出される電流値の増加を検知してノーマル状態に復帰する。
本実施例では、複数設けたセルユニットのうち一つの保護回路中にだけマイコンを含めた構成にした場合に、電池パックの取り外し状態で長期間放置することによる複数のセルユニット間の電位差の拡大を、マイコンが設けられない他のセルユニットの保護回路にマイコン分の電力消費を行う消費電流制御手段310を付加して解決したので、複数のセルユニット毎の消費電流のバランスを調整することができ、長期にわたる保管後であってもセルユニット毎の電圧バランスが悪化しない電池パックを実現できた。
電池パック100には、電池残量を表示する残容量表示手段335が設けられ、残量表示用のスイッチ(図示せず)が押された際に複数の発光ダイオード(図示せず)の発光個数によって電池電圧が表示される。残容量表示手段335によって表示される電池残量は、上側セルユニット146と下側セルユニット147のうち、一方のセルユニットの両端電圧を基準に表示しても良いし、又は、10本の電池セルのうち最低の電圧値に基づいて表示させるようにしても良い。
制御部350には、上側正極端子162に接続される上側セルユニット電圧検出回路322の出力が入力される。この出力は、電池パック100が電動工具本体1、30や充電装置(図示せず)に装着されていない場合は、上側セルユニット146の電位を示す。一方、低電圧(18V)用の電動工具本体1に装着された場合、上側正極端子162と下側正極端子172が接続されるため、上側セルユニット146と下側セルユニット147の各々の正極が同電位となり、各々の負極が同電位となる。このことから制御部350に含まれるマイコンは、上側正極端子162の電位と、下側正極端子172の電位を比較することによって、電池パック100が非装着の状態であるか、低電圧機器本体に装着されているか、高電圧機器に装着されているかを判別することができる。尚、下側正極端子172の電位検出のためには、下側セルユニット147内の電池セルのうち最上位の電池セル147aの正極電位を制御部350が取得できるように構成すると良い。このように下側セルユニット147の回路中に設けたマイコンは、電池パック100の上側セルユニット146と下側セルユニット147が直列接続されている状態(36V機器に装着されている状態)にあるか、又は、並列接続されている状態(18V機器の装着されている状態)にあるかを判断することができる。このようにして、マイコンは電源電圧を取得している範囲(下側セルユニット147内の電圧)を越えた上側セルユニット146側の電圧値も監視できるようにしたので、電圧切替方式の電池パック100の接続状態の判定と、判定された接続状態に応じた最適な制御を行うことができる。
LD端子168は、電池パック100側からの電動工具本体1を停止させる信号、又は、図示しない電池パックを電源とする電気機器の動作を停止させる信号を伝達するための端子である。LD端子168の状態を変更させるために、制御部350は半導体のスイッチング素子M41に入力されるゲート信号(放電禁止信号341)を通常のロー状態(電池パック100からの“放電許可”)から、ハイ状態(電池パック100からの“放電禁止”)に切り替える。スイッチング素子M41は、例えばP型の電界効果トランジスタ(FET)であって、ドレイン側がLD端子168に接続され、ソース側が接地される。このため、スイッチング素子M41の通常時(放電禁止信号341がロー)では、LD端子28はハイインピーダンス状態にあって、LD端子28の電位は電動工具本体1側の正極入力端子22の電圧とほぼ等しい。一方、制御部350からの制御により、放電禁止信号341がハイに切り替えられると、スイッチング素子M41のソース-ドレイン間が導通により接地されるため、電動工具本体1側のLD端子28の電位がグランド電位に落ちることになる。この結果、電動工具本体1側のスイッチング素子M101のゲート電位、即ち分圧抵抗R101とR102による分圧電位の低下によって、スイッチング素子M101のソース-ドレイン間が非導通状態になって、電動工具本体1の電力回路が遮断され、モータ5の回転が阻止される。このように、電池パック100の制御部350が発する放電禁止信号341によって電動工具本体1のモータ5の回転を阻止できるので、制御部350は、電池パック100からの電力供給を止めなければならない事態、例えば、放電時の過大電流、放電時のセル電圧の低下(過放電)、セル温度の異常上昇(過温度)等が生じた際に電動工具や電気機器の動作を素早く停止させることができ、電池パック100だけでなく電動工具本体1の保護を図ることができる。
図13は本実施例の電池パック100の回路図であり、本体側マイコン付きの18V用の電動工具本体1Aに接続した状態を示す図である。ここでは電池パック100側の内部構成は、図12で示したものと完全同一であり、電動工具本体1A側の構成だけが異なる。図12で示す電動工具本体1側にはマイコンが含まれていない。しかしながら、近年の電動工具においては、モータ5の制御にマイコンを有する制御部60を用いることが増えてきた。電動工具本体1Aには、電源回路61が含まれ、電源回路61によって生成される一定の低電圧(基準電圧VDD2)によって制御部60が動作する。制御部60にはマイコンが含まれ、マイコンによって電動工具本体1A内の種々の状態の監視や制御を行う。本実施例では正極入力端子22と負極入力端子27との間の電源経路中に、直流式のモータ35が設けられ、その回路中にはモータ35の回転のオン又はオフをするための動作スイッチ34が設けられる。また電池電圧検出回路62が設けられ、モータ35に印加される電池パックからの電圧が測定され、制御部60に出力される。さらに動作スイッチ34が接続状態(オン状態)にあるか遮断状態(オフ状態)にあるかを検出するスイッチ(SW)状態検出回路63が設けられ、その信号が制御部60に出力される。モータ35と負極入力端子27との間には、半導体のスイッチング素子M101とシャント抵抗R111が挿入される。スイッチング素子M101は、例えばFET(電界効果トランジスタ)であって、そのゲート信号が制御部60によって送出される。シャント抵抗R111の両端電圧は電流検出回路64によって検出され、その値が制御部60に出力される。この回路図においては、モータ35はブラシ付きの直流モータとして図示されているが、公知のインバータ回路を用いて3相ブラシレスモータを駆動する構成としても良い。その場合は、図示しないインバータ回路に入力される電力経路中にスイッチング素子M101を直列に接続するか、スイッチング素子M101の代わりに制御部60がインバータ回路に含まれる図示しないスイッチング素子を制御することによりモータ35の回転を停止させれば良い。
電動工具本体1AのLD端子28は、抵抗R112を介して制御部60に接続される。抵抗R112の制御部60側にはさらに、基準電圧VDD2が抵抗R113を介して接続される。従って、LD端子28がハイインピーダンス状態の場合は、制御部60の入力線65には基準電圧VDD2に近い電圧が加わることになり、LD端子28がグランド電位に落ちた場合は、抵抗R113とR112の分圧電圧、即ち基準電圧VDD2よりも大幅に低い電圧が入力線65により制御部60の入力ポートに伝達される。制御部60はこの入力線65の電位の変化を検出して、スイッチング素子M101のゲート信号を制御して、モータ35への電力供給を許容又は停止させるように制御する。
このように電動工具本体1A側において、LD端子168、28を介して入力される放電禁止信号に従って、モータ35を停止させるようにする回路が設けられるが、電動工具本体1A側に制御部60を有する場合は、電池パック100側の制御部350が過電流の監視を行って電動工具本体1A側のモータ5を停止させるのでは無くて、電動工具本体1A側の制御部60が電流検出回路64を用いて過電流の監視を直接行う方が好ましい。電池パック100側の制御部350が過電流の監視を行う場合には、複数の電動工具本体に適用できるような平均的な制御条件(過電流の閾値)を設定せざるを得ない。しかしながら、電動工具本体1A側の制御部60が過電流の監視を行う場合には、電動工具本体1Aに最適な制御条件(過電流の高めの閾値)を設定できるので、制御部350が平均的な制御条件(過電流の低めの閾値)を設定することによる電動工具の出力制限を回避できる。この出力制限の回避は、今後発売される新型の電動工具において特に有効であり、新型の電動工具本体1Aの能力を最大限に生かした制御を実現できる。
本実施例では電池パック100側の制御部350が、電池パック100が装着された電動工具本体1又は1A側にマイコンを有する制御部60が含まれているか否かを判定し、判定結果に応じて電池パック100側の過負荷保護のための条件を変更するようにした。具体的には、図12のように電動工具本体1側にマイコンが含まれない場合は、低電圧出力時の過電流制限値をマイコン無し電動工具本体1A用の閾値、例えば20A(デフォルト値)に設定する。このデフォルト値をどの程度にするかは、用いられる電池セルの容量や性能に応じて適宜設定すれば良い。この過電流制限値は、従来の電池パック15で設定されていた値と同等にするので、従来のマイコン無し電動工具本体1Aを、本実施例の電池パック100を用いて駆動させることができる。一方、電動工具本体1A側にマイコンが含まれる場合は、低電圧出力時の過電流制限値を電池パック100側では設定しないようにし、過電流値の監視を電動工具本体1A側の制御部60のマイコンに任せるようにした。この結果、制御部60は使用されているモータ5の特性や、電動工具本体1A等の構成上の特性に沿った最適な電流監視が可能となり、電池パック100側において過電流制限値を制限しすぎることによる電動工具本体1Aが有する能力を有効に発揮できないという問題を回避できる。また、電動工具本体1Aは電池パック100の能力を最大限生かして、高出力の電動工具を実現できる。このように電池パック100側の過負荷保護のための条件を、低電圧側と高電圧側において変更することは、今後新たに販売される低電圧用の電動工具本体の更なる高出力化、更なる改良の余地を残しつつ、電動工具本体1Aに最適な過負荷保護を、電動工具本体側の制御部60が行うことができることを意味する。
電動工具本体1又は1A側に、マイコンを有する制御部60が含まれているか否かの判定のために、LD端子28に印加されている電圧値を検出するためのLD端子電圧検出回路328が新たに設けられる。LD端子電圧検出回路328は、接続線342によってLD端子168に接続され、LD端子電圧検出回路328は端子電圧に応じた出力を制御部350に出力する。制御部350に含まれるマイコンは、電池パック100が装着された後であって、放電禁止信号341が発せられていないときのLD端子電圧を測定することにより、電動工具本体側にマイコンを含む制御部60が存在するか否かを判定する。マイコンを持たない電動工具本体1の場合は、図12の回路図からわかるように、LD端子28にはほぼ正極入力端子22に加わる電圧と等しい電圧が印加される状態にある。制御部350のマイコンは、上側セルユニット電圧検出回路322によって上側正極端子162の電圧を検出しているので、上側正極端子162の電圧とLD端子電圧を比較することにより、電動工具本体1にマイコンが含まれているか否かを判別できる。一方、図13の回路図からわかるように、マイコンを持つ電動工具本体1Aの場合は、LD端子28には、マイコンの駆動用の基準電圧VDD2(例えば5V又は3.3V)にほぼ等しい電圧が印加されている。よって制御部350のマイコンは、上側セルユニット電圧検出回路322によって上側正極端子162の電圧と比較するまでも無く、LD端子電圧を検出するだけで電動工具本体1にマイコンが含まれることを容易に判別できる。以上のように、接続線342とLD端子電圧検出回路328を設けたことにより、制御部350は電動工具本体、又は、電気機器本体側にマイコン等の低電圧駆動の制御部が含まれる電子制御対応工具か、非対応工具かを容易に判断することができる。また、判断結果に応じて制御部350は、電池セル監視のための制御パラメータ、例えば過負荷保護条件を変更することができる。ここで、変更する制御パラメータの値は、マイコンに含まれる不揮発性メモリ内に予め格納しておいて、判断結果に応じて格納された値のいずれかを読み出してセットするようにすれば良い。
図14は高負荷に対応できる電動工具本体30に電池パック100を装着した状態の回路図である。高負荷に対応できる電動工具本体30の特徴点として、電池パック100の正極端子(162、172)と負極端子(167、177)のそれぞれに対応する機器側の端子(正極入力端子52、負極入力端子57、ショートバー59の端子部59b、59c)を有することである。ショートバー59は、一方に端子部59bを有し、他方に端子部59cを有する金属部品であり、電池パック100が電動工具本体30側に装着されるとショートバー59によって下側正極端子172と下側負極端子177が短絡される。また、電動工具本体30の正極入力端子52は上側正極端子162に接続され、負極入力端子57は上側負極端子167に接続される。このようにそれぞれ2分割された本体側端子の形状を用いて、上側セルユニット146と下側セルユニット147の直列接続による出力、即ち定格36Vを得ることができる。電動工具本体30側の構成は、図13で示した電動工具本体1Aの内部構成とほぼ同じである。モータ45は定格36V用のモータであるが、図13で示したモータ35と同様に、インバータ回路を用いてブラシレスDCモータを駆動しても良い。モータ45への電力回路と直列にスイッチング素子M101が設けられる。スイッチング素子M101は、制御部60から出力されるゲート信号によってオン又はオフが制御され、スイッチング素子M101をオフにすることによりモータ45の回転が停止される。高電圧用の電動工具本体30においても、電池パック100側からの放電禁止信号341の送出手順は、図12、図13で示す回路と全く同じである。即ち、電池パック100側の制御部350の制御によりスイッチング素子M41のソース-ドレイン間が導通し、LD端子168がグランド電位に落とされると、その状態が制御部60に含まれるマイコンの入力ポートに伝達されるので、制御部60は電池パック100側からの放電禁止信号として検知することができる。しかしながら、36Vの電動工具本体1では、過電流による放電禁止制御は工具本体側の制御部60が行うようにして、電池パック100側では過電流に関しての監視に関与しないか、又は、過電流による停止の閾値を電池セルの限界値付近まで十分高くしておいて、制御部350のマイコンが実質的に電流値の監視に関与しなくてすむように構成した。この結果、電池パック100の更なる高出力化と、従来の電池パック15との互換性維持を良好に両立できる。
次に図15を用いて電池パック100の別の機能を説明する。図15は電池パック100内の回路構成のうち、制御部350が接触不良状態を検出するための回路に注目して図示したものである。ここでは、図12~図14にて示した回路図に対して、下側電圧検出回路332、接続状態検出手段400、上側セルユニット放電手段(放電回路)410、下側セルユニット放電手段(放電回路)420、システム検出回路430、充電停止回路440が加わったものである。接続状態検出手段400、上側セルユニット放電手段410、下側セルユニット放電手段420は、図示の関係上から上側セルユニット146と、下側セルユニット147を分離して図示しているが、基本的な回路構成は図12~図14と同じである。但し、図12~図14に図示した部分のうち、図15で示す特徴に関係ない部分の図示を省略しているので注意されたい。
上側セルユニット146(セル組A)には上側セルユニット146用の保護IC300が接続され、下側セルユニット147(セル組B)には下側セルユニット147用の保護IC320が接続され、これらを調整する制御は、マイコンを含んで構成される制御部350によって行われる。ここでは、接続状態検出手段400を設けて、電池パック100側の電力用の接続端子と、電気機器本体側の機器側端子、又は、外部の充電装置(図示せず)の接続端子との間の接触不良により充放電されないセルユニットが発生した場合に、制御部350のマイコンによってこれを検出し、充電又は放電を停止させるようにした機能を追加したことに特徴がある。本実施例では、2つのセルユニット(146、147)が含まれ、それらセルユニット毎に別々に設けた充放電用の接続端子(161又は162、177、171又は172と167)を有し、充放電端子に接続される相手機器の端子配線形態に応じて各セルユニットの接続状態が直列又は並列に切り替わる。尚、外部充電装着時においては、放電用の正極端子対(162、172)の代わりに、充電用の正極端子対(161、171)を用いる。上側正極端子161と171は、セルフコントロールプロテクタを介して接続されるので同電位である。そこで、図15では説明の便宜上、これらを区別して説明しないで、上側正極端子162と、下側正極端子172として説明する。ここで、直列接続状態の出力(定格36V)の放電の場合は、充放電用の接続端子と電動工具本体側の接続端子が接触不良になると、電流が全く流れないことになるので、電動工具が動作しない。従って、作業者はその接続不良状態の発生を容易に気がつくことができるので、電池パック100を電動工具本体1、30から取り外して、ゴミ等を取り除いたあとに再度装着することが可能となる。
問題となるのは、並列接続状態の出力(定格18V)の放電又は充電の場合である。この場合は、充放電用の接続端子と電動工具本体側の接続端子のいずれかが接触不良になっても、電池パック100側の2つのセルユニット(146、147)の片側から放電が継続され、又は、片側への充電が継続される虞が生ずる。この一方のセルユニットのみに接続され、他方のセルユニットへの接続が不良の状態が続くと、上側セルユニット146と下側セルユニット147に著しい電圧のアンバランスが生じて好ましくない。そこで、マイコンは、上側セルユニット電圧検出回路322と下側セルユニット電圧検出回路332によって検出された上側セルユニット146と下側セルユニット147の電圧を監視し、接続状態検出手段400の出力信号(接続状態信号A345、接続状態信号B346)を用いて、接続端子(162、167、172、177)のいずれかにおいて接続不良が起きているか否かを検出する。前述のように検出しなければならない接触不良状態は、上側セルユニット146と下側セルユニット147の並列接続状態のときであるため、接触不良の虞がある接続点は、電池パック100が装着される相手側機器が18V用の電動工具本体1の場合は、正極入力端子22(図6参照)と上側正極端子162、正極入力端子22と下側正極端子172、負極入力端子27(図6参照)と上側負極端子167、負極入力端子27と下側負極端子177の4箇所である。
最初に、制御部350に含まれるマイコンは、上側セルユニット電圧検出回路322と下側セルユニット電圧検出回路332を用いて、上側正極端子162の電圧と、下側正極端子172の電圧を測定し、その差を監視する。ここでは、上側セルユニット電圧検出回路322はマイコンからゲート信号が送出されてスイッチング素子M82がオンになったら、スイッチング素子M82のドレイン端子と上側セルユニット146のプラス電位(VbatA)との間を2つの分圧抵抗R81、R82で分けた電圧をスイッチング素子M81のゲート信号に入力させる。すると、スイッチング素子M81は遮断状態から接続状態になるため、上側セルユニット146のプラス電位(VbatA)と基準電位B(ここでは、下側セルユニット147のマイナス側電位である)との間が導通し、これらの間に介在された分圧抵抗R83、R84の中間電位が制御部350のマイコンに上側セルユニット電圧323として入力される。マイコンは内蔵するアナログ・フロント・エンド(AFE)を用いて基準電位Bに対する電圧値を測定することができる。
下側セルユニット電圧検出回路332はマイコンからゲート信号が送出されてスイッチング素子M86がオンになったら、スイッチング素子M86のドレイン端子と下側セルユニット147のプラス電位(VbatB)との間を2つの分圧抵抗R85、R86で分けた電圧をスイッチング素子M85のゲート信号に入力させる。すると、スイッチング素子M85は遮断状態から接続状態になるため、下側セルユニット147のプラス電位(VbatB)と基準電位B(下側セルユニット147のマイナス側電位)との間が導通し、これらの間に介在された分圧抵抗R87、R88の中間電位が制御部350のマイコンに上側セルユニットの電圧検出333として入力される。マイコンは内蔵するアナログ・フロント・エンド(AFE)を用いて基準電位Bに対する電圧値を測定することができる。以上のように、マイコンは上側セルユニット146と下側セルユニット147の電圧を測定するが、その際の消費電力を極力減らすために、マイコンは電圧を測定する時だけ、スイッチング素子M82とM86をオンにする。上側セルユニット電圧検出回路322によって検出される電圧は、基準電位Aに対する電位では無く、基準電位Bとの相対的な電位である。下側セルユニット電圧検出回路332によって検出される電圧も基準電位Bとの相対的な電位である。下側負極端子177が上側負極端子167の電位と異なる場合、例えば、負極端子側(177、178)で接触不良が生じているような状態では、正極側電位が等しいと判定された場合であっても、上側セルユニット146の両端電圧と下側セルユニット147の両端電圧が異なる場合が生じうる。そのような正極端子、負極端子のいずれかにおける接触不良の有無を確認するために設けた回路が接続状態検出手段400である。
接続状態検出手段400で検出できるのは正極端子の接触不良である。接続状態検出手段400にて検出できない点としては、負極端子のいずれか側(図6(2)に示す上側負極端子167と負極入力端子27、又は、下側負極端子177と負極入力端子27)の接触不良による電力遮断である。電池パックが接続される電動工具本体1が18V機器の場合は、制御部350のマイコンから見て、片方のセルユニットの電圧しか掛かっていない状態であっても、負極端子側の接触不良が生じている他方のセルユニットの電圧も同じ電位と検出される場合がある。例えば、上側セルユニット146の両極間電圧が18.0Vで、下側セルユニット147の両極間電圧が17.9Vのように異なる場合でも、上側セルユニット146の基準電位Aが、下側セルユニット147の基準電位Bに対して0.1V低いような場合は、上側セルユニット電圧検出回路322と下側セルユニット電圧検出回路332がともに18.0Vで等しくなる。
接続状態検出手段400においては、2つのセルユニット(146、147)の負極側の電位(基準電位Aと基準電位B)に所定の差が生じるとスイッチング素子M60が切り替わるようにしている。マイコンはスイッチング素子M60の切り替わりで異常状態かどうかを検出できる。例えば、上側セルユニット146の電圧が高く、下側セルユニット147の電圧が低い場合においては、上側セルユニット146の基準電位Aと下側セルユニット147の基準電位Bとの間に設けられた2つの分圧抵抗R61、R62の分圧電圧がスイッチング素子M61のゲート端子に加わる。ここで基準電位Aと基準電位Bに電位差が無い場合は、スイッチング素子M61はオフのままであるが、電位差が所定値以上になるとスイッチング素子M61がオンになる。尚、分圧抵抗R61の一端側は下側セルユニット147の負極に接続されるが、その間にスイッチング素子M60が設けられている。スイッチング素子M60は、分圧抵抗R61、R62と、分圧抵抗R63、R64への回路を接続又は遮断するための切り替え回路であり、ゲート信号にマイコン駆動信号VDD1を入力することにより、駆動信号VDD1が供給されてマイコンが起動したら合わせてスイッチング素子M60がオンになり、マイコンがシャットダウンされるとスイッチング素子M60が遮断状態となる。抵抗R65はスイッチング素子M60のゲート信号がオープンになった場合に、ゲート-ソース間を0Vにするための接地抵抗である。
スイッチング素子M61がオンになると、上側セルユニット146の基準電位Aの抵抗R68、R69による分圧電圧がスイッチング素子M62のゲート信号に加わる。このため、上側セルユニット146の正極電位(VbatA)のR70、R72による分圧電圧がスイッチング素子M65のゲート信号に入力される。スイッチング素子M65のドレイン端子は抵抗R71を介してVDD1に接続され、ソース側は基準電位Bに接地されている。従って、スイッチング素子M65がオフの状態では、接続状態信号A345はハイの状態にある。スイッチング素子M65がオンになることにより接続状態信号A345がローとなる。接続状態信号A345は、負極端子側において接触不良が生じていることを示す信号である。正常の状態(負極端子で接触良好)の場合はハイであって、これがローになったらセルユニットのマイナス側の電位がそろっていないことを意味するので、制御部350のマイコンは、充電又は放電を直ちに停止させる。
次に、上側セルユニット146の電圧が低くなって、下側セルユニット147の電圧が低くなった場合の動作を説明する。この状況は、例えば18Vの電動工具本体1に接続された状態において、電動工具を稼働させて電池パック100からの放電の際に、上側負極端子167と負極入力端子27(図6(2)参照)の接触不良により、上側セルユニット146側からだけ放電され、上側セルユニット146の電圧だけ低下していく場合に発生する。この状態では正極側端子(162、172)は正極入力端子22に共通接続されていて同電位にあるため、基準電池Bに対して基準電位Aが相対的に高くなる。すると、スイッチング素子M61、M62、M65はオフのままであるが、スイッチング素子M63のゲート電圧たる抵抗R63とR64の分圧電圧が所定値以上になるため、スイッチング素子M63がオンになる。スイッチング素子M63のゲート端子には、下側セルユニット147の下側正極端子172と基準電池Bとの抵抗R66、R74による分圧電圧が掛かる。しかしながら、その分圧点にスイッチング素子M63のドレイン端子が接続され、スイッチング素子M64のソース端子がスイッチング素子M63のソース端子に接続されるため、スイッチング素子M63がオンになるとスイッチング素子M64もオンになり、スイッチング素子M66もオンになる。尚、電池パック100が取り外されている時に各セルユニットの電圧を検出できるように、スイッチング素子M64が設けられる。スイッチング素子M64には小さい値の抵抗R67を入れている。このようにしてスイッチング素子M64を介して上側セルユニット146のマイナス電位と、下側セルユニット147のマイナス電位が比較できるので、電池パック100が非接続の時も、各セルユニットのバランスを監視することができる。スイッチング素子M64のドレイン端子には、抵抗R67とスイッチング素子M64を介して上側セルユニット146の負極端子(177)が接続される。スイッチング素子M66がオンになることにより、VDD1と基準電位Bの間が抵抗R73を介して導通するので、接続状態信号B346がハイの状態からローの状態に切り替わる。接続状態信号B346は、電池パックが装着されていない時は、スイッチング素子M63はオンしない。スイッチング素子M64は検出には関係せず、スイッチング素子M66がオンになるので、接続状態信号B346はローになる。並列接続にて電圧が正常に出力されているときの接続状態信号B346もローになる。以上のようにして、接続状態検出手段400によって18V用の接続時における負極端子(167、177)側での接触不良状態を認識することができる。
電池パック100を取り外した状態、即ち上側正極端子162と下側正極端子172が開放状態(非導通状態)にあり、同様に上側負極端子167と下側負極端子177が開放状態(非導通状態)にある場合であっても、接続状態信号A345とB346の検出は可能である。この状態で電源回路321から駆動電圧VDD1が供給されて制御部350のマイコンが起動すると、スイッチング素子M60のゲート端子に信号に電圧が掛かることによりソース-ドレイン間が導通し、分圧抵抗R61とR62、及びR63とR64の並列回路により上側セルユニット146の負極側と下側セルユニット147の負極側が導通される。この結果、上側セルユニット146と下側セルユニット147のグランド電位が揃うことになる。この状態ではM61、M63はオフの状態にあるので、スイッチング素子M62、M65もオフになるので、接続状態信号A345はハイとなる。一方、スイッチング素子M64にはオフ状態を保つが、スイッチング素子M66のゲート端子には、下側セルユニット147の電池電圧(VbatB)が分圧抵抗R66を介して接続されるため、分圧抵抗R66とR74の分圧電圧によってスイッチング素子M66がオンとなる。従って、接続状態信号B346はローとなる。以上の説明が、接続状態検出手段400の動作である。
図15に示す回路には、電池パック100が何らかの機器、即ち外部充電装置(図示せず)又は電気機器本体(例えば図1に記載された電動工具本体1、30)に接続されているかを検出するためのシステム検出回路430が含まれる。システム検出回路430の出力は制御部350に入力される。電池パック100が取り外されている時には、システム検出信号431はハイとなり、外部充電装置(図示せず)又は電気機器本体に装着されている際には、システム検出信号431はローとなる。スイッチング素子M92は、LD端子電圧がゲート信号に入力され、ゲート-ソース間には、接地抵抗R94が設けられる。ここでスイッチング素子M92のソース端子は、下側セルユニット147の負極側に接地される。図12及び図13で説明したように、電動工具本体1、30のような電気機器が装着されると、LD端子168の電圧がハイとなる。その結果、スイッチング素子M92のドレイン-ソース間の接続がオンとなるため、システム検出信号431はグランド電位(基準電位B)に落ちるためローとなる。
V端子165においても同様の方法で接続の有無が検出される。外部充電装置(図示せず)に接続されていれば、V端子165には外部充電装置の制御部用の駆動電圧(例えば5V)印加されている。従って、システム検出回路430において、V端子165の電圧の有無を検出することによって、外部充電装置に繋がれているかどうかの判定ができる。ここではスイッチング素子M91は、V端子電圧が抵抗R93を介してゲート信号に入力される。ゲート-ソース間には接地抵抗R92が設けられる。ここでスイッチング素子M92のソース端子は、下側セルユニット147の負極側に接地され、ドレイン端子はマイコンの入力ポートと、分圧抵抗R91を介して駆動電圧(VDD1)に接続される。ここではスイッチング素子M91とM92のドレイン端子が、システム検出信号431として共通の入力ポートに接続されるように図示されている。この入力は、OR回路を介して入力するようにしても良いし、マイコン側に2つの入力ポートを設けてスイッチング素子M91とM92のドレイン端子を別々に接続するようにしても良いし、切り替え回路を設けて1つの入力ポートにより2つのスイッチング素子M91とM92の出力を時系列に順次検出するようにしても良い。
以上のようにシステム検出回路430を設けて、V端子165かLD端子168の電圧値が高くなっているか否かを検出することによって、電池パック100が電気機器に装着されたか、充電工具に装着されたか、又は非装着状態であるかを制御部350のマイコンが判定することができる。電池パック100が非装着状態の時には、V端子165とLD端子168の電圧は共にゼロとなる。電池パック100が電気機器に装着された場合は、LD端子信号に、本体側のマイコン電圧又は電池電圧が加わるので検出できる。LD端子に加えて、又はV端子165にだけ外部充電装置のマイコン電圧が加わっている場合には、電池パック100が外部充電装置に接続されていると判定できる。しかしながら、LD端子168を利用しない電動工具本体や電気機器本体に電池パック100が接続された場合には、システム検出回路430を用いた検出ができないことなる。その場合は、電流検出回路327を用いて電動工具や電気機器の稼働時、又は、充電時に装着の有無の検出ができることになる。尚、V端子165とLD端子168の双方に相手側機器(電動工具本体又は外部充電装置)のマイコン電圧が印加されている場合は、制御部350のマイコンは電池パック100が相手側機器に接続されているということは判定できても、それが電気機器本体なのか、外部充電装置なのかを識別できない。その場合は、電流検出回路327によって検出される電流値によって充電装置か電気機器本体かを判断すれば良い。一定の充電電流が流れていれば外部充電装置と判断できるし、電流の方向を判定することでも外部充電装置か電気機器本体かを判定できる。以上のようにして、いずれの場合であってもマイコンは、システム接続状態の検出を正しく行うことが可能となる。
LD端子168には、更に放電停止回路435とLD端子電圧検出回路328が設けられる。放電停止回路435は、抵抗R46を介してLD端子と基準電池Bとの間を短絡するためのスイッチング素子M41が含まれる。制御部350のマイコンは、電動工具の動作を異常停止させなければならない際に放電禁止信号341をローからハイにする。放電禁止信号341はスイッチング素子M41のゲート信号であるため、放電禁止信号341がハイになるとLD端子168の電位が抵抗R46を介して接地されることになり、ロー電位になる。LD端子電圧検出回路328は図12、図13にて説明したとおりであるため、ここでの繰り返しの説明は省略する。
充電停止回路440は、制御部350のマイコンの制御によりLS端子166を介して外部の充電装置の充電動作を停止させる信号を伝達するために設けられる。LS信号は充電装置に対して使うため、電動工具本体1、30との接続時には使われない。充電停止信号441は通常ではローであるが、充電時において電池パック100側のマイコンが充電動作を停止すべきと判断した際に、充電装置に対してその判断を伝達する為に、充電停止信号441をローからハイに切り替える。制御部350のマイコンが充電停止信号441をハイに切り替えると、充電停止信号441がゲート信号に入力されているスイッチング素子M95、M96が共にオンになる。スイッチング素子M95がオンになると、V端子165と基準電位Bの間が導通することになり、その間に介在される抵抗R96、R97の分圧電圧がスイッチング素子M93のゲート端子に伝達されるため、スイッチング素子M93が導通する。また、スイッチング素子M96がオンになるため、スイッチング素子M94のゲート電位がグランド(基準電位B)に落とされるため、スイッチング素子M94のソース-ドレイン間が遮断される。この結果、サーミスタTH1の出力がLS端子166から図示しない充電装置に伝達される状態(通常状態)から遮断される。一方、スイッチング素子M93がオンになるので、LS端子166はV端子165と同電位、即ちハイになる。LS端子166には、充電装置側の電源電圧5Vを分圧する分圧抵抗(図示せず)が設けられ、電池パック100が充電装置に接続されていない場合は、3Vくらいの分圧電圧が充電装置側のLS端子に出力されている。電池パック100が充電装置に装着されると、通常状態(充電正常)では3Vより低い値がLS端子166に伝達されるが、電池パック100側で異常状態(充電停止すべき状態)が発生したら、制御部350のマイコンはLS端子電圧を3Vより高い値にする。この結果、外部の充電装置はLS端子166の状態がハイになったことを検出することにより充電を停止させる。
電池パック100には、制御部350によって上側セルユニット146と下側セルユニット147の電圧の違いを検出した際に、それらの電圧のバランスをとるための電圧調整手段を有する。電圧のバランスをとるためには、高い電圧のセルユニットを放電することにより行う。放電手段A410は上側セルユニット146の回路に含まれる放電手段であって、放電手段B420は下側セルユニット147の回路に含まれる放電手段であって、それぞれは制御部350のマイコンから、放電実行信号A411又は放電実行信号B421を送出することによって任意のタイミング、任意の期間だけ放電を行うことができる。放電手段A410は、放電用の疑似抵抗R51を含んで構成され、疑似抵抗R51は上側セルユニット146の正極と負極に接続され、電流を熱に変換することによって電力を消費する。ここでは、疑似抵抗R51として例えば2kΩの抵抗器を用いる。上側セルユニット146の実電圧が20Vとすると、10mAの電流が抵抗器に流れるため、数日~1週間くらいという長い時間を要して上側セルユニット146側の電位を下げて下側セルユニット147と同じになるように調整できる。スイッチング素子M51は抵抗R51を接続又は遮断するためのスイッチで、スイッチング素子M51のゲート端子には抵抗R52とR53の分圧電圧が入力される。抵抗R52はスイッチング素子M52を介して下側セルユニット147の基準電位Bに接続されている。スイッチング素子M52のゲート端子には制御部350からの放電実行信号A411が入力される。
放電手段B420は、放電用の疑似抵抗R54を含んで構成され、疑似抵抗R54は下側セルユニット147の正極と負極に接続される。疑似抵抗R54の値や動作原理は放電手段A410側と同じである。スイッチング素子M54は抵抗R54を接続又は遮断するためのスイッチで、ゲート端子には制御部350からの放電実行信号B421が直接入力される。
次に図16のフローチャートを用いて、制御部350のマイコンによる電池パック100の接続端子の接続状態の正常異常の判定手順を説明する。図16にて示す手順は、制御部350のマイコンにあらかじめ格納されたプログラムによってソフトウェア的に実行可能であって、マイコンが起動したら他の制御プログラムとともに実行され、マイコンがシャットダウンするまでその実行が継続される。最初にマイコンは、システム検出回路430を用いて電池パック100が電動工具本体等の電気機器本体又は外部の充電装置に接続されているか否かを判定する(ステップ501)。接続されている場合は、システム検出信号431がローとなり、接続されていない場合はハイとなる。次に、マイコンは、上側セルユニット電圧検出回路322の電圧検出323と下側セルユニット電圧検出回路332の電圧検出333を測定して、それらの測定結果を比較する(ステップ502)。次に、マイコンは接続状態検出手段400の2つの出力信号、即ち、接続状態信号A345と接続状態信号B346を検出する(ステップ503)。次にマイコンは電流検出回路327の出力から下側セルユニット147に流れる電流を測定する(ステップ504)。次に、マイコンはステップ501~504の検出結果を用いて、電池パック100の接続状態と、端子接続状態の正常又は異常の判定を行い、判定結果に応じた動作を行う(ステップ505、506)。ステップ506における判定の仕方と、その時の対応動作をまとめたのが図17である。
図17は、制御部350のマイコンによる電池パック100の接続状態の判定と、端子接続状態の正常又は異常の判定の仕方、及び判定結果に対する対応動作を示す一覧表である。ここではNo.1~11に示すモードに分けた判定を行うが、判定区分数をさらに増やしても良いし、11区分以下にさらに単純化しても良い。図16のステップ501に示したように、最初にシステム接続があるかないかを判定する。ここではシステム検出回路430の出力がロー(L:システム検出有り)とハイ(H:システム検出無し)によって判定できるので、先ず、モードNo1~8か、9~11のどちらかが区分される。ここでシステム検出無し(H)とは、電池パック100が電気機器本体又は外部充電装置から取り外された状態にあることを示している。
図16のステップ502において、マイコンはシステム接続があるかないかを判定される。ここで上側セルユニット146と下側セルユニット147の電圧が等しいか、又は所定の範囲(±0.5V以内)にある場合には、電池パック100の状態が正常と判断される1つの条件を満たしたことになる。次に、図16のステップ503において、マイコンは接続状態信号A345、B346を検出する。接続状態信号A345は正常時にはハイ(H)で、異常時にはロー(L)になるので、これがLとなる組み合わせがあれば(ここではNo.8)、その時点で即座に異常状態と判定される。この状態は上側セルユニット146だけ充電されたような場合、又は、下側セルユニットだけが放電された場合に該当する。接続状態信号B346は、接続状態信号A345が正常状態を示すハイ(H)にある場合は、直列接続状態の時はハイ(H)になり、並列接続状態又は取り外し状態の時はロー(L)になる判定信号である。
システム検出がH(無し)の場合には、セルユニット間の電圧が±0.5V以内の場合は、モードNo.9に示すように判定結果は“(電池パック100が)非接続/(電極の状態が)正常”であり、制御部350のマイコンは何もせずに待機する。また、システム検出がH(無し)の場合であって、セルユニット間の電圧が1V以上ある場合は、上側セルユニット146の電圧Aが下側セルユニット147の電圧Bより高い場合は、モードNo.10に示すように判定結果は“非接続/セル組電圧バランス異常(A>B)”と判定される。この際は、放電手段A410を動作させて上側セルユニット146を放電し、セルユニット間の電圧バランスの調整を行う。この調整の結果、セルユニット間の電圧アンバランスが±0.5V以内になったら放電手段A410による放電動作を解除する。同様にして、システム検出がH(無し)の場合であって、上側セルユニット146の電圧Aが下側セルユニット147の電圧Bより低い場合は、モードNo.11に示すように判定結果は“非接続/セル組電圧バランス異常(A<B)と判定される。この際は、放電手段B420を動作させて下側セルユニット147を放電し、セルユニット間の電圧バランスの調整を行う。この調整の結果、セルユニット間の電圧アンバランスが±0.5V以内になったら放電手段B420による放電動作を解除する。
システム検出がL(有り)の場合であって、接続状態信号B346がH(ハイ)の場合は電池パックが36V機器に接続されており、セルユニットが直列接続であることを示している。36V機器に接続されたときは、上側セルユニット146の負極側の電位は下側セルユニットの負極側の電位より高くなるので、接続状態検出手段400のスイッチング素子M63はオンになり、スイッチング素子M66はオフになるので、接続状態信号B346はハイ(H)になる。従って、そのパターンは、No1~3のいずれかに該当する。この場合は、上側セルユニット146と下側セルユニット147との電位差が第1の所定値以内、例えば±0.5V以内であるかを判定する。ここで第1の所定値(=検出レンジ)を0又は0近くにしてしまうとハンチングしてしまうので、許容範囲を決めている。ここではセルユニットの電圧が18.0Vなので、第1の所定値を0.5(V)くらいにしている。電位差±0.5V以内の場合は、モードNo.1に示すように“直列接続(36V)/正常”であるので、制御部350のマイコンは電圧調整のための制御は行わずに待機する。上側セルユニット146と下側セルユニット147との電位差が第2の所定値以上、例えば1V以上の差がある場合は、“直列接続(36V)/セル組電圧バランス異常”として判定する。モードNo.2が上側セルユニット(セル組A)146の電圧が高い場合であって、モードNo.3が下側セルユニット(セル組B)147の電圧が高い場合である。モードNo.2の場合は、制御部350は放電実行信号A411をハイにして放電手段A410を稼働させて電圧の調整(上側セルユニット146の放電)を行う。同様にして、モードNo.3の場合は、制御部350は放電実行信号B421をハイにして放電手段B420を稼働させて電圧の調整(下側セルユニット147の放電)を行う。モードNo.2又は3において、上側セルユニット146と下側セルユニット147との電位差が第1の電位差(ここでは0.5V以内)になったら放電手段A410又は放電手段B420の稼働を停止させる。また、電流検出回路327によって大きな放電電流、即ち電動工具のトリガが引かれた状態又は電気機器の動作が開始された状況を検出した際には、放電手段A410又は放電手段B420の作動を一時的に解除する。
システム検出がL(有り)の場合であって、接続状態信号B346がL(つまり並列接続)である場合は、上側セルユニット146と下側セルユニット147との電位が同じであるかを判定する。電位差が無い場合(0V)の場合は、モードNo.4に示すように“並列接続(18V)/正常”であるので、制御部350のマイコンは電圧調整のための制御は行わずに待機する。上側セルユニット146と下側セルユニット147との電位差が第2の所定値以上、例えば1V以上の差がある場合は、“並列接続(18V)/セル組電圧バランス異常”として判定する。モードNo.5が上側セルユニット(セル組A)146の電圧が高い場合であって、モードNo.6が下側セルユニット(セル組B)147の電圧が高い場合である。モードNo.5の場合は、制御部350は放電実行信号A411をハイにして放電手段A410を稼働させて電圧の調整(上側セルユニット146の放電)を行う。同様にして、モードNo.6の場合は、制御部350は放電実行信号B421をハイにして放電手段B420を稼働させて電圧の調整(下側セルユニット147の放電)を行う。モードNo.5又は6において、電圧の調整中にシステム検出がLからHに切り替わった場合、即ち電池パック100が取り外された場合はモードNo.5又は6無いにおける放電動作を停止する。また、上側セルユニット146と下側セルユニット147との電位差が第1の電位差(ここでは0.5V以内)になったら放電手段A410又は放電手段B420の稼働を停止させる。さらに、電流検出回路327によって大きな放電電流、即ち電動工具のトリガが引かれた状態又は電気機器の動作が開始された状況を検出した際には、放電手段A410又は放電手段B420の稼働を一時的に解除する。
尚、並列接続状態にありながらセルユニットのマイナス端子側の接触不良によって見かけ上、上側セルユニット146と下側セルユニット147の電圧が等しく見える場合がある。それがモードNo.7であり、その場合の接続状態信号A345と接続状態信号B346はともにハイ(H)になる。この場合は、一見するとモードNo.1の組み合わせと同じであるが、制御部350のマイコンは、前述したように上側セルユニット146の電圧を上側セルユニット電圧検出回路322(図12参照)によって監視している。同様にして、下側セルユニット保護IC320(図12参照)を介して上側セルユニット146の電圧を監視している。従って、接続状態信号A345と接続状態信号B346はともにハイ(H)であっても、マイコンが直列接続/並列接続状態にあるかを判定した結果を合わせることにより、モードNo.1か7かを判定できる。モードNo.7と判定された場合は、“並列接続(18V)/-端子接触異常/+端子接触正常”であるので、制御部350のマイコンは、LD端子168又はLS端子166を介して接続されている機器側に対して信号を伝達して、充放電動作を停止させる。この状態は上側セルユニット146だけが放電されたような場合又は下バンクだけが充電されたような場合に該当し、モードNo.7において、システム検出信号がH(無し)を検出したら、充放電動作停止を解除する。
図18は、電池パック100の動作をさらに説明するためのタイミングチャートである。横軸は時間の経過(単位:秒)を示しており、一番上の欄には電池パック100の接続状態又は装着状態を示しており、一番下の欄には電池パック100の状態変更を行う時刻を丸1~丸12の数字で示している。ここでは、取り外していた電池パック100を、丸2にて36V用の電動工具本体30に装着し、丸5にて再び取り外し、丸7にて外部の充電装置に装着し、丸9にて外部の充電装置から取り外し、丸10にて18V用の電動工具本体1に接続し、丸11にて再び取り外した状態を示している。
システム検出信号431は電池パック100内に含まれるシステム検出回路430の出力信号を示している。システム検出回路430はハイ(H)とロー(L)の2つの状態があり、電池パック100が何らかの機器、即ち、電動工具本体1、30、外部充電装置(図示せず)に装着されたら、矢印431a、431c、431eのようにローになり、電池パック100が取り外されたら矢印431b、431d、431fのようにハイになる。
電圧アンバランス検出信号344は、上側セルユニット146と下側セルユニット147の電圧のうちどちらが所定量、ここでは0.5V以上高いかを示すものであり、アンバランスが検出されたらハイになり、検出されなかったらローになる。ここでは丸1~丸6までの間は、矢印344aのように上側セルユニット146の電圧Aが下側セルユニット147の電圧Bよりも0.5V以上低い状態であることを示し、丸9~丸10の間と丸11~丸12の間は、矢印344c、344eのように上側セルユニット146の電圧Aが下側セルユニット147の電圧Bよりも0.5V以上高い状態であることを示している。丸6~丸9、丸10~丸11では上側セルユニット146の電圧Aと下側セルユニット147の電圧Bの差が所定の範囲内、即ち0.5V未満に収まっており、矢印344b、344dに示すように電圧アンバランス検出信号344はローになる。
接続状態信号A345と接続状態信号B346は、図14の回路図にて示した接続状態検出手段400の出力信号である。これらは制御部350のマイコンに入力される。接続状態信号A345は、図14の説明で前述したように通常は矢印345a、345c、345eのようにハイ(H)であり、並列接続時に負極端子側で接触不良が起きた際にロー(L)になる。ここでは、丸8のタイミング、丸10のタイミングで負極端子側に接触不良が発生した状態を示しており、その場合は矢印345b、345dのように接続状態信号A345がロー(L)になる。接続状態信号B346は、接続状態信号A345が正常状態を示すハイ(H)にある場合は、直列接続状態の時はハイ(H)になり、並列接続状態又は取り外し状態の時はロー(L)になる。従って、矢印346aではハイ(H)になり、それ以外は矢印346bのようにロー(L)になる。
放電手段Aの放電実行信号A411は、図14の放電手段A410の動作を指示する信号であって、放電実行信号A411が矢印411b、411dに示すようにハイの時は放電手段A410が稼働し(ON)、矢印411a、411cのようにローの時は放電手段A410は稼働しない(OFF)。放電手段B420は、図14の放電手段B420の動作を指示する信号であって、放電実行信号B421がハイの時は放電手段B420が稼働し(ON)、ローの時は放電手段B420は稼働しない(OFF)。放電電流349は、図14で示した電流検出回路327の出力であって、縦軸が電流値となる。電動工具のトリガスイッチが引かれてモータが回転すると、矢印349a、349d、349gのように大きな始動電流が流れ、その後は矢印349b、349e、349hのようにほぼ一定の電流が流れ、作業者がトリガスイッチを戻すと矢印349c、349f、349iのように電流がほぼゼロになる。尚、放電電流349の値はあくまで一例であって、実際の電流波形がどうなるかは電動工具本体毎に異なり、更に作業内容によっても大きく異なるものである。
放電電流349が図のように3回流れることを制御部350のマイコンが検知すると、マイコンは放電手段A410、放電手段B420が動作中の場合は、その動作を停止される。図16の例で説明すると、丸1以降において、電圧アンバランス検出信号344によって上側セルユニット146の電圧Aが下側セルユニット147の電圧Bよりも低いため、矢印421aで示すように放電手段B420がON(作動状態)になる。一方、矢印411aにて示すように放電手段A410はOFF(非動作)のままである。放電手段B420が作動中に、丸3のタイミングで制御部350のマイコンがトリガスイッチの動作を検出したら、マイコンは矢印421bに示すように、即座に放電手段B420の動作を停止される。そして、トリガレバーの操作が解除された後に一定時間Tが経過したら、丸4で示すように再び放電手段B420をON(作動状態)にする。同様にして、矢印421c、421eにおいても、トリガレバー操作がオフになって所定時間Tが経過した後に放電手段B420がON(作動状態)になる。尚、図16の例では電圧A<電圧Bであって、放電手段B420側を作動させる状況を説明したが、電圧A>電圧Bであって、放電手段A410側を作動させる状況であっても、トリガレバー操作がオフになって所定時間Tが経過した後に放電手段A420がON(作動状態)になる。丸5から丸6まで放電手段B420が動作し、丸9~丸10、丸11~丸12までは放電手段A410が作動するが、このときは電池パック100が取り外されている状態であるので、制御部350は電池パック100以外の機器に影響されずに電圧調整動作が行われる。
充放電禁止信号453は、電池パック100が接続されている電動工具本体1、30又は充電装置(図示せず)の動作を禁止するための出力で、電動工具本体1、30に対する充放電禁止信号453は図14の放電禁止信号341であり、充電装置(図示せず)に対する充放電禁止信号453は図14の充電停止信号441である。ここでは丸8において充電装置に対して充電停止を指示すべく矢印453bのように充放電禁止信号453が送出され、丸10において18V用電動工具本体1に対して放電禁止を指示すべく矢印453dのように充放電禁止信号453が送出される。
以上説明したように、本実施例では電池パック100に含まれる上側セルユニット146と下側セルユニット147の電圧を比較して、電圧の高い側のセルの放電を行うようにしたので、セルユニットの電圧を均等に保つことができる。また、セルユニットの並列接続状態で放電中又は充電中においても、各接続端子間の接触不良の発生を検出できるので、接触不良発生時に迅速に放電又は充電を停止することができる。
次に実施例2を用いて本発明の第2の実施例を説明する。第1の実施例においては電池パック100内の上側セルユニット146と下側セルユニット147の電圧不均衡を、電池パック100内の制御部350のマイコンが検出するようにした。第2の実施例においては、電気機器本体側のマイコンが検出するように構成したものである。図19は、本発明の第2の実施例に係る電動工具を示す概略図である。図19(1)の電動工具1は、定格18Vで動作する電動工具であって、モータ5による負荷装置が電池パック100の並列出力の電源によって動作する。ここでは、上側セルユニット146と下側セルユニット147が並列接続された電圧がモータ5に印加され、機構部6が駆動される。
図19(2)の電動工具630はマイコン660を有する制御部(機器側制御部)を含んで構成される。マイコン(MCU)660は、モータ635へ供給される電圧、即ち上側セルユニット146の正極と下側セルユニット147の負極間の電圧を監視する。さらに、マイコン660は、上側セルユニット146と下側セルユニット147の中間電位を測定できるように構成した。この中間電位はショートバー689の電位をマイコン660に入力させれば良い。このようにマイコン660は中間電位を測定することにより、上側セルユニット146の電圧と下側セルユニット147の電圧を比較し、セルユニット間に電圧のアンバランスが存在するか否かを検出できる。電圧の差が所定値以上である場合に、複数のセルユニットの接続に異常が生じたと判断することも可能である。さらに、上側セルユニット146と下側セルユニット147の電圧の差が所定の閾値(例えば1V以上)になったら、マイコン660は、モータ635の運転を停止及び禁止することにより、電池パック100から負荷装置(モータ635)への電力の供給を停止ないし制限する。また、放電停止を示すアラームとして、LED665を点滅させることによって作業者に対して異常が生じたことを報知する。図19(2)では放電停止、即ち電動工具の動作停止を示す報知手段として、光によって報知するLED665を用いたが、図20の電動工具630Aに示すように、音によって報知するブザー手段665Aを用いるようにしても良い。
以上、本発明を複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上述の実施例だけに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上述の実施例では18Vと36Vの電圧切替式の電池パックで説明したが、切り替えられる電圧や、電圧比はこれだけに限られずにその他の電圧比であっても良い。また、上側セルユニット電圧検出回路322、下側セルユニット電圧検出回路332、接続状態検出手段400、放電手段A410、放電手段B420の回路構成は上述のものだけに限られずに、別の回路構成によって同等の機能を実現するものであっても良い。
1,1A…電動工具本体、2…ハウジング、3…ハンドル部、4…トリガスイッチ(動作スイッチ)、5…モータ、6…機構部、8…先端工具保持部、9…先端工具、10…電池パック装着部、11a,11b…レール溝、12…湾曲部、14…突起部、15…電池パック、20…ターミナル部、20a…垂直面、20b…水平面、21…基台、22…正極入力端子、22a…端子部、24…T端子、24a…端子部、25…V端子、25a…端子部、26…LS端子、26a…端子部、27…負極入力端子、27a…端子部、28…LD端子、28a…端子部、30…電動工具本体、32…ハウジング、33…ハンドル部、34…動作スイッチ、35…モータ、40…電池パック装着部、45…モータ、50,50A…ターミナル部、51…基台、51b…凹部、52…正極入力端子、52a,52b…端子部、52c…配線用端子部、54…T端子、54a…端子部、54c~56c,58c…配線用端子部、55…V端子、55a…端子部、56…LS端子、56a…端子部、56c…配線部、57…負極入力端子、57a…端子部、58…LD端子、58a…端子部、58c…配線部、58f…端子部、59…ショートバー、59a…接続部、59b,59c…端子部、60…制御部、61…電源回路、62…電池電圧検出回路、63…スイッチ状態検出回路、64…電流検出回路、65…入力線、100…電池パック、101…下ケース、101a…前面壁、101b…後面壁、101c…右側側壁、101d…左側側壁、102…固定用リブ、103a~103d…ネジ穴、104…スリット(風窓)、105…リブ、110…上ケース、111…下段面、113…開口部、114…段差部、115…上段面、120…スロット群配置領域、121~128…スロット、131…ストッパ部、132…隆起部、134…スリット(風窓)、138a,138b…レール、141…ラッチ、142a,142b…係止部、146…上側セルユニット、146a~146e…電池セル、147…下側セルユニット、147a~147e…電池セル、150…回路基板、151…取付孔、160…スロット群配置領域、161…上側正極端子、162…上側正極端子、162a,162b…腕部、164…T端子、165…V端子、166…LS端子、167…上側負極端子、167a…腕部、168…LD端子、171,172…下側正極端子、172a,172b…腕部、177…下側負極端子、177a,177b…腕部、180…基板カバー、185a…鉛直壁部、240…信号端子部品、241…基体部、242…ブリッジ部、243…右側側面、243a…延在部、243b…折曲部、243c…切抜部、244…左側側面、245…腕部基部、245b…切欠き溝、246…腕部基部、246b…切欠き溝、249,250…脚部、250a,250b…段差部、251~254…腕部、260…上側端子部品、261…基体部、262…ブリッジ部、262a…段差部、263…右側側面、263a…折曲部、264…左側側面、264c…補強面、265,266…腕部、265a…平面部、265d…嵌合部、267,268…腕部、280…下側端子部品、281…基体部、282…ブリッジ部、283…右側側面、284…左側側面、284c…切り落とし部、285,286…腕部、291…切欠き部、301…グランドライン、302…動作信号、305…過放電信号、306…過充電信号、310…消費電流制御手段、321…電源回路、322…上側セルユニット電圧検出回路、323…上側セルユニット,電圧、325…過放電信号、326…過充電信号、327…電流検出回路、328…LD端子電圧検出回路、329…シャント抵抗、331…セル温度検出手段、332…下側セルユニット電圧検出回路、333…下側セルユニット電圧、335…残容量表示手段、341…放電禁止信号、342…接続線、344…電圧アンバランス検出信号、349…放電電流、350…制御部、400…接続状態検出手段、410…上側セルユニット放電手段、411…放電実行信号A、420…下側セルユニット放電手段、421…放電実行信号B、430…システム検出回路、431…システム検出信号、435…放電停止回路、440…充電停止回路、441…充電停止信号、453…充放電禁止信号、445…セパレータ、446…空間、447a,447b…ネジボス、450~452,455~457…タブホルダ、461,466,471,476…引出し板、461a,466a,471a,476a…引出しタブ、462~465,472~475…接続板、462a,463a…中間引出しタブ、482a,482b…絶縁シート、494b…端部、601,630,630A…電動工具、605,635…モータ、660…マイコン、665A…ブザー手段、689…ショートバー、VDD1…電源電圧(基準電圧)、VDD2…基準電圧
Claims (16)
- 複数の電池セルが複数個ずつ直列接続されて構成される第1及び第2のセルユニットと、複数の接続端子を有し、前記第1及び第2のセルユニットを直列接続又は非接続に接続状態を切り替え可能とした電池パックにおいて、
複数の前記セルユニットの電圧のバランスを調整するためのマイコン及び前記マイコンからの指示によって動作する放電回路を設けたことを特徴とする電池パック。 - 前記セルユニットごとに設けられ前記電池セルの電圧を監視する保護回路を設け、前記マイコンは、前記保護回路に接続され前記電池セルの負荷状態を監視することを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
- 前記マイコンは、複数の前記セルユニットが互いに接続されていないときに、前記セルユニット間の電圧のバランスを調整するよう前記放電回路を動作させることを特徴とする請求項1又は2に記載の電池パック。
- 前記マイコンは、複数の前記セルユニットが互いに接続されていないときに前記セルユニット間の電圧のアンバランス又は前記セルユニットの接触不良を検出した場合は、充放電を停止させるか、又は充放電を停止させるための信号を電気機器本体に伝達することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電池パック。
- 複数の前記セルユニットに流れる充電電流の差が閾値以上になった場合には、前記接続端子の接触不良が生じたと判断して、充電を停止させることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電池パック。
- 前記セルユニット毎に前記放電回路を設け、前記マイコンは高い電圧側の前記セルユニットの放電を行うことにより前記セルユニット間の電圧のバランスを調整することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電池パック。
- 前記放電回路は、前記セルユニットの正極出力と負極出力間に接続された抵抗器と、前記抵抗器への回路を接続又は遮断するスイッチング素子を含んで構成され、前記マイコンは、前記スイッチング素子を接続又は遮断することによって高い電圧の前記セルユニットを放電させることを特徴とする請求項6に記載の電池パック。
- 前記マイコンは、複数の前記セルユニットの非接続時に、前記セルユニットの電圧のバランス調整を行うことを特徴とする請求項7に記載の電池パック。
- 前記マイコンは、前記セルユニットが直列接続されていて電気機器が非駆動時に、複数の前記セルユニットの電圧のバランスを調整するよう前記放電回路を動作させることを特徴とする請求項1又は2に記載の電池パック。
- 前記マイコンは、前記セルユニットが並列接続されている時には、複数の前記セルユニットの電圧のバランス調整を行わないことを特徴とする請求項9に記載の電池パック。
- 前記マイコンの動作用の電源を供給する電源回路と、前記セルユニット毎に前記放電回路を設け、
前記電源回路によって前記マイコンが動作している時に前記セルユニット間の電圧のバランス調整が行われ、前記マイコンがシャットダウンしている時には前記放電回路が動作しないことを特徴とする請求項10に記載の電池パック。 - 前記電池パックが電気機器本体に接続されているか否かを検出するシステム検出回路を設け、
前記マイコンは前記電池パックが電気機器本体に接続されていない状態を検出された際に、前記セルユニット間の電圧のバランスを調整することを特徴とする請求項11に記載の電池パック。 - 前記マイコンは前記電池パックが電気機器本体に接続されている状態が検出された時であって、トリガスイッチによる駆動動作が行われない状態が所定時間以上経過したら、前記セルユニット間の電圧のバランスを調整することを特徴とする請求項12に記載の電池パック。
- 請求項1から13のいずれか一項に記載の前記電池パックを装着する電池パック装着部を有し、前記電池パックからの電力により負荷装置を駆動させて作業機器を稼働させる電気機器。
- 前記電気機器の本体側に、前記電池パックから前記負荷装置に供給される電力を制御する機器側制御部を設け、
前記機器側制御部は、前記複数のセルユニットの接続に異常が生じた場合に異常が生じたことを報知することを特徴とする請求項14に記載の電気機器。 - 前記機器側制御部は、前記複数のセルユニットの各々の電圧を検出し、電圧の差が所定値以上である場合に、前記複数のセルユニットの接続に異常が生じたと判断することを特徴とする請求項15に記載の電気機器。
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