WO2017150328A1 - 端子位置特定方法、検査方法、端子位置特定装置及び検査装置 - Google Patents

Abstract

端子付電線における端子位置の特定を好適に行う技術を提供する。検査装置１００は、電線８の端末部に端子９が接続された端子付電線８０における端子位置を特定する。検査装置１００は、端子付電線８０における端子８及び電線９の接続部分を撮像する撮像部１と、撮像部１によって取得された撮像データ、及び、端子付電線８０の一部分である特徴部位を示すテンプレートデータＴＰ１を比較することによって、撮像データにおけるテンプレートデータＴＰ１にマッチする部分領域ＰＡ１を特定するテンプレートマッチング部３２と、部分領域ＡＲ１の位置ＡＲＬ１に基づいて決定される解析範囲ＡＲ１を画像解析して、端子９と電線８の境界部位である、被覆圧着部９３の基端部９３１の位置（位置Ｙ１）を特定する端子位置特定部３３とを備える。

Description

端子位置特定方法、検査方法、端子位置特定装置及び検査装置

　この発明は、端子付電線における端子位置を特定する技術に関する。

　電線の状態を検査する手法の一つとして、検査対象となる部分を撮像して、得られた撮像データを画像解析することにより、当該部分の状態を検査するものが知られている（いわゆる「外観検査」）。

　例えば、電線は、その端部の被覆部（絶縁被覆部）が皮剥ぎされることにより芯線が露出した状態とされ、その皮剥ぎされた端部に端子が接続される。そして、この端子付電線を撮像して得た撮像データを用いて、例えば、芯線と被覆部との境界と、端子との位置関係から、電線に対して端子が適切な位置に接続されているかが検査される場合がある。

　本願発明に関連する先行技術としては、例えば特許文献１、２に記載のものがある。

特開平６－１０２１９２号公報 特開２００３－２１４８２５号公報

　ところで、上記外観検査をする対象領域（以下、「検査領域」とも称する。）の座標を設定する場合、まず、端子位置が特定される。具体的には、端子付電線の撮像データから、輝度に基づいて、端子の一部分（例えば、電線の被覆部に接続される端子の被覆バレルの基端位置等）の位置が画像解析により特定される。

　撮像データ上において、端子の一部分の位置を特定するためには、画像解析する範囲をある程度広く設定する必要があった。しかしながら、画像解析する範囲を広げると、解析範囲内において、電線の被覆部に付着した異物あるいは装飾（例えば、電線識別用のバンドマーク等）が含まれる可能性、あるいは、照明条件や背景等の撮像環境の影響を受ける可能性が高まってしまう。その結果、輝度等にバラツキが発生し、端子位置の特定が困難となるおそれがあった。

　本発明は、端子付電線における端子位置の特定を好適に行う技術を提供することを目的とする。

　上記の課題を解決するため、第１の態様は、電線の端末部に端子が接続された端子付電線における端子位置を特定する端子位置特定方法であって、端子付電線における端子及び電線の接続部分を撮像して得られる撮像データを準備する準備工程と、前記撮像データ、及び、前記端子付電線の一部分である特徴部位を示すテンプレートデータを比較することによって、前記撮像データにおける前記テンプレートデータにマッチする部分領域を特定するテンプレートマッチング工程と、前記部分領域の位置に基づいて決定される解析範囲を画像解析して、前記端子位置を特定する端子位置特定工程とを含む。

　また、第２の態様は、第１の態様に係る端子位置特定方法であって、前記テンプレートデータに示される前記特徴部位が、前記電線と前記端子との境界部位である。

　また、第３の態様は、第１または第２の態様に係る端子位置特定方法であって、前記端子位置特定工程は、前記解析範囲内において、前記端子付電線の幅を測定することによって、前記端子位置を特定する工程を含む。

　また、第４の態様は、第１または第２の態様に係る端子位置特定方法であって、前記端子位置特定工程は、前記撮像データの前記解析範囲内において、輝度を測定することによって、前記端子位置を特定する工程を含む。

　また、第５の態様は、第４の態様に係る端子位置特定方法であって、前記端子位置特定工程は、前記撮像データにおける前記端子付電線の延びる方向に沿って、前記輝度が所定のしきい値を超えて変化する位置を特定することによって、前記端子位置を特定する。

　また、第６の態様は、端子付電線を外観検査する検査方法であって、端子付電線における端子及び電線の接続部分を撮像して得られる撮像データを準備する準備工程と、前記撮像データ、及び、前記端子付電線の一部分である特徴部位を示すテンプレートデータを比較することによって、前記撮像データにおける前記テンプレートデータにマッチする部分領域を特定するテンプレートマッチング工程と、前記部分領域の位置に基づいて決定される解析範囲を画像解析して、端子位置を特定する端子位置特定工程と、前記端子位置特定工程にて特定された前記端子位置に基づいて設定される検査領域内において、画像解析によって前記端子の接続位置を検査する検査工程とを含む。

　また、第７の態様は、電線の端末部に端子が接続された端子付電線における端子位置を特定する端子位置特定装置であって、端子付電線における端子及び電線の接続部分を撮像する撮像部と、前記撮像部によって得られた撮像データ、及び、前記端子付電線の一部分である特徴部位を示すテンプレートデータを比較することによって、前記撮像データにおける前記テンプレートデータにマッチする部分領域を特定するテンプレートマッチング部と、前記部分領域の位置に基づいて決定される解析範囲を画像解析することによって、前記端子位置を特定する端子位置特定部とを備える。

　また、第８の態様は、端子付電線を検査する検査装置であって、端子付電線における端子及び電線の接続部分を撮像する撮像部と、前記撮像部によって得られた撮像データ、及び、前記端子付電線の一部分である特徴部位を示すテンプレートデータを比較することによって、前記撮像データにおける前記テンプレートデータにマッチする部分領域を特定するテンプレートマッチング部と、前記部分領域の位置に基づいて決定される解析範囲を画像解析することによって、端子位置を特定する端子位置特定部と、前記端子位置特定部にて特定された前記端子位置に基づいて設定される検査領域内において、画像解析によって前記端子の接続位置を検査する検査部とを備える。

　第１の態様に係る端子位置特定方法によると、予めテンプレートデータにマッチする部分領域を特定することで、端子位置特定のために画像解析する解析範囲を狭小化できる。これによって、解析範囲内に、端子付電線に付着した汚れ、被覆部の装飾が含まれる可能性、あるいは、撮像環境等の影響を受ける可能性を小さくできる。これによって、端子位置の特定を高精度に行うことができる。

　第２の態様に係る端子位置特定方法によると、特徴部位である電線と端子の境界部位を示すテンプレートデータを用いてテンプレートマッチングを行うことによって、端子位置を好適に特定することができる。

　また、第３の態様に係る端子位置特定方法によると、端子付電線の幅を測定するため、リングマーク等の電線に施された装飾の影響を受けずに、端子位置を特定できる。

　また、第４の態様に係る端子位置特定方法によると、輝度の変化から端子と電線の境界位置を検出することで、端子位置を特定することができる。

　また、第５の態様に係る端子位置特定方法によると、しきい値を超えて輝度が変化する位置を特定することによって、端子位置を特定できる。

　第６の態様に係る検査方法によると、予めテンプレートデータにマッチする部分領域を特定することで、端子位置特定のために画像解析する解析範囲を狭小化できる。これによって、解析範囲内に、端子付電線に付着した汚れ、被覆部の装飾が含まれる可能性、あるいは、撮像環境等の影響を受ける可能性を小さくできる。これによって、端子位置の特定を高精度に行うことができる。

　第７の態様に係る端子位置特定装置によると、予めテンプレートデータにマッチする部分領域を特定することで、端子位置特定のために画像解析する解析範囲を狭小化できる。これによって、解析範囲内に、端子付電線に付着した汚れ、被覆部の装飾が含まれる可能性、あるいは、撮像環境等の影響を受ける可能性を小さくできる。これによって、端子位置の特定を高精度に行うことができる。

　第８の態様に係る検査装置によると、予めテンプレートデータにマッチする部分領域を特定することで、端子位置特定のために画像解析する解析範囲を狭小化できる。これによって、解析範囲内に、端子付電線に付着した汚れ、被覆部の装飾が含まれる可能性、あるいは、撮像環境等の影響を受ける可能性を小さくできる。これによって、端子位置の特定を高精度に行うことができる。

実施形態に係る端子付電線を模式的に示す側面図である。 実施形態に係る端子付電線を模式的に示す平面図である。 実施形態に係る検査装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 実施形態に係るテンプレートデータを示す画像を示す図である。 実施形態に係る検査処理部において実現される機能ブロック図である。 実施形態に係る撮像データにおける端子付電線及び検査領域を示す図である。 実施形態に係る検査装置にて実行される処理の流れを示す図である。 実施形態に係る撮像データにおける端子付電線及び当該データ上に設定される各領域を示す図である。 実施形態に係る輝度積分値の変化の一例を示す図である。

　以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。

　＜１．端子付電線８０＞
　実施形態に係る検査装置１００は、電線８（ここでは、例えば、端部に端子９が接続された端子付電線８０）の状態を外観検査する装置である。検査装置１００について説明する前に、検査装置１００にて検査対象となる端子付電線８０について、図１、図２を参照しながら説明する。

　図１は、実施形態に係る端子付電線８０を模式的に示す側面図である。図２は、実施形態に係る端子付電線８０を模式的に示す平面図である。

　端子付電線８０は、電線８の端末部に端子９が圧着接続されることにより形成される。

　電線８は、芯線部８１と、芯線部８１の外周を被覆する被覆部８２とを備える。芯線部８１は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属線の撚り合せ線又は単線によって構成される。被覆部８２は、例えば、樹脂材料を押出被覆等することによって形成される。電線８の端部は、被覆部８２が皮剥ぎされて、芯線部８１が露出している。以下、電線８の端部に露出する芯線部８１を、「露出芯線部８１」ともいう。

　端子９は、例えば、銅もしくは黄銅等の銅合金の部材、又はそれらの部材に錫（Ｓｎ）メッキもしくは錫に銀（Ａｇ）、銅（Ｃｕ）、ビスマス（Ｂｉ）等が添加された錫合金のメッキが施された導体の部材である。端子９は、例えば、端子接続部９１と、芯線圧着部９２と、被覆圧着部９３と、２つの連結部９４，９５とを備える。

　端子接続部９１は、相手側の端子と接続される部分である。端子接続部９１は、具体的には、例えば、略筒状の形状（いわゆるメス端子形状）に形成されており、ピン状、または、タブ状の接続部を有する相手側端子（いわゆるオス端子）が挿入接続可能とされている。なお、端子接続部９１は、ピン状、または、タブ状の形状（いわゆるオス端子形状）に形成されていてもよく、また、ネジ等によって相手側の部材に接続可能な環状形状等に形成されていてもよい。

　芯線圧着部９２は、電線８の露出芯線部８１に圧着されるべき部分である。芯線圧着部９２は、電線８に圧着接続される前の状態においては、例えば断面略Ｕ字状に形成されており、これが、露出芯線部８１を抱持するように圧縮変形されることによって、芯線圧着部９２が露出芯線部８１に圧着接続される。芯線圧着部９２が露出芯線部８１に圧着接続されることによって、端子９と芯線部８１とが電気的に接続される。

　被覆圧着部９３は、電線８の被覆部８２に圧着されるべき部分である。被覆圧着部９３は、電線８に圧着接続される前の状態においては、例えば断面略Ｕ字状に形成されており、これが、被覆部８２を抱持するように圧縮変形されることによって、被覆圧着部９３が被覆部８２に圧着接続される。被覆圧着部９３が被覆部８２に圧着接続されることによって、端子９が電線８に対して強固に固定される。

　２つの連結部９４，９５のうち、一方の連結部９４（第１連結部）は、端子接続部９１と芯線圧着部９２とを連結する、また、他方の連結部９５（第２連結部）は、芯線圧着部９２と被覆圧着部９３とを連結する。各連結部９４，９５は、一対の起立片と底部とによって形成される溝状の部分である。電線８に対して端子９が適切な位置に接続されている場合、連結部９５の溝状の部分には、電線８における露出芯線部８１と被覆部８２の境界位置の付近の部分が収容された状態となる。すなわち、連結部９５の溝の開口端（以下「窓部９０」ともいう）から、当該境界位置が視認可能な状態となる。

　＜２．検査装置１００＞
　＜２－１．ハードウェア構成＞
　検査装置１００のハードウェア構成について、図３を参照しながら説明する。図３は、実施形態に係る検査装置１００のハードウェア構成を示すブロック図である。

　検査装置１００は、撮像部１と検査処理部２とを主として備える。

　撮像部１は、検査対象となる端子付電線８０のうち、特に、電線８及び端子９の接続部分を撮像する。撮像部１は、例えば、二次元イメージセンサおよび結像レンズ等から構成することができる。

　検査処理部２は、撮像部１が取得した撮像データを解析することによって、端子付電線８０の状態を評価する。検査処理部２は、例えば、ＣＰＵ２０１、ＲＯＭ２０２、ＲＡＭ２０３、通信部２０４、記憶装置２０５等が、バスライン２０６を介して相互接続された一般的なコンピュータによって構成されている。ここにおいて、ＲＯＭ２０２は基本プログラム等を格納しており、ＲＡＭ２０３はＣＰＵ２０１が所定の処理を行う際の作業領域として供される。通信部２０４は、ＬＡＮ等の通信回線を介したデータ通信機能を有する。記憶装置２０５は、フラッシュメモリ、あるいは、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置によって構成されている。

　記憶装置２０５にはプログラムＰｒが格納されている。このプログラムＰｒに記述された手順に従って、主制御部としてのＣＰＵ２０１が演算処理を行うことにより、検査装置１００の各種機能が実現されるように構成されている。プログラムＰｒは、通常、予め記憶装置２０５等のメモリに格納されて使用されるものであるが、ＣＤ－ＲＯＭあるいはＤＶＤ－ＲＯＭ、外部のフラッシュメモリ等の記録媒体に記録された形態（プログラムプロダクト）で提供され（あるいは、ネットワークを介した外部サーバからのダウンロード等により提供され）、追加的または交換的に記憶装置２０５等のメモリに格納されるものであってもよい。もっとも、検査処理部２において実現される一部あるいは全部の機能は、専用の論理回路等でハードウェア的に実現されてもよい。

　図４は、実施形態に係るテンプレートデータＴＰ１を示す画像である。記憶装置２０５には、図４に示すテンプレートデータＴＰ１が保存されている。当該テンプレートデータＴＰ１は、理想形状を有する端子付電線８０の一部分である特徴部位を示すデータであって、テンプレートデータＴＰ１は、画像処理の都合上、端子付電線８０における輝度が変わる部位、あるいは、端子付電線８０の形状（特に外形状）が変化する部位（曲げ部位、幅が変わる部位等）の特徴部位を示すデータであることが望ましい。

　本例では、端子付電線８０における端子９の芯線圧着部９２と、窓部９０から露出する露出芯線部８１との境界部位の画像をテンプレートデータＴＰ１としている。この境界部位は、芯線圧着部９２の輝度と、露出芯線部８１の輝度とが異なるため、特徴部位として画像処理上識別が容易である。

　また、理想形状の端子付電線８０を撮像することで得られた撮像画像をテンプレートデータとして使用してもよい。もちろん、当該撮像画像に対して、２値化またはエッジ強調等の画像処理で適宜抽出される特徴量（代表線、代表点等）を示すデータを、テンプレートデータとしてもよい。また、端子付電線８０の設計図等から適宜抽出した代表線または代表点等の特徴量を示すデータを、テンプレートデータとすることもできる。

　検査処理部２には、さらに、入力装置２１、および、表示装置２２が接続されている。入力装置２１は、例えば、キーボード、マウス、各種スイッチ、タッチパネル等の少なくとも１つを含む入力デバイスであり、オペレータからの各種の操作（コマンドや各種データの入力といった操作）を受け付ける。表示装置２２は、液晶表示装置、ランプ等により構成されており、ＣＰＵ２０１による制御の下、各種の情報を表示する。

　＜２－２．機能構成＞
　検査処理部２が備える機能構成について、図５を参照しながら説明する。図５は、実施形態に係る検査処理部２において実現される機能ブロック図である。

　検査処理部２は、撮像制御部３１と、テンプレートマッチング部３２と、端子位置特定部３３と、検査領域設定部３４と、検査部３５とを備えている。これら各機能部は、上述したとおり、例えば、ＣＰＵ２０１がプログラムＰｒに従って所定の演算処理を行うことにより実現される。

　＜撮像制御部３１＞
　撮像制御部３１は、撮像部１を制御して、検査対象となる端子付電線８０を撮像させる。つまり、撮像部１と撮像制御部３１とが協働して、検査対象となる端子付電線８０を撮像して撮像データを取得する撮像データ取得部を構成する。ただし、検査対象となる端子付電線８０は、その延在方向が定められた軸に沿うような姿勢とされるとともに、窓部９０を真上に向けた状態で配置され、撮像部１は、このような姿勢で配置された端子付電線８０を真上から撮像する。撮像部１が取得した撮像データ（図５参照）は、例えば、検査処理部２の制御下で、表示装置２２に表示される。

　＜テンプレートマッチング部３２＞
　テンプレートマッチング部３２は、撮像部１によって取得された端子付電線８０の撮像データ、及び、テンプレートデータＴＰ１を比較することによって、撮像データにおける、テンプレートデータＴＰ１にマッチする部分（部分領域ＰＡ１）を検索し、その位置を特定するテンプレートマッチングを行う。

　なお、テンプレートデータとして採用される特徴点としては、例えば、芯線圧着部９２の被覆圧着部９３側の基端部９２１を、代表箇所とすることができる。この基端部９２１は、これを境に輝度が大きく変化する位置となっている。このため、テンプレートマッチング部３２は、この輝度の変化に基づいて、当該基端部９２１の位置を特定できる。

　＜端子位置特定部３３＞
　端子位置特定部３３は、テンプレートマッチング部３２によって特定された部分領域の座標位置に基づいて、端子位置を特定するための解析範囲ＡＲ１を決定する。そして、端子位置特定部３３は、当該解析範囲ＡＲ１内で端子９の一部分の位置を特定する。本例では、電線８と端子９の境界部位であって、具体的には、電線８の被覆部８２と、端子９の被覆圧着部９３との境界部位である、基端部９３１（被覆圧着部９３の芯線圧着部９２とは反対側の端部）の位置を画像解析によって特定する。この画像解析については、後述する。

　＜検査領域設定部３４＞
　検査領域設定部３４は、端子位置特定部３３によって特定された端子９（ここでは、基端部９３１）の位置に基づき、検査領域Ｍを設定する。この検査領域Ｍは、端子９の接続状態を外観検査するための領域である。

　図６は、実施形態に係る撮像データにおける端子付電線８０及び検査領域Ｍを示す図である。図６に示されるように、本例では、検査領域Ｍは矩形領域である。検査領域Ｍの平行な一対の辺の延在方向（以下「Ｙ方向」とも称する。）が、端子付電線８０の延在方向と略一致するように設定される。したがって、検査領域Ｍの他方の一対の辺の延在方向（以下「Ｘ方向」とも称する。）が、端子付電線８０の延在方向と直交する方向（以下「端子付電線８０を横断する方向」共称する。）と略一致するように設定される。

　本例では、電線８（撮像データ上の電線８）における、被覆圧着部９３が圧着されている第１の部分Ｍ１と被覆部８２が圧着されている第２の部分Ｍ２との間の部分（以下「間隙部分」ともいう）が、検査領域Ｍとされる。ただし、検査領域Ｍは、窓部９０を含まない範囲であることが好ましい。このような好ましい検査領域Ｍを規定するには、例えば、検査領域ＭのＹ方向に沿う長さを、芯線圧着部９２の基端部９２１（被覆圧着部９３側の端部）と、被覆圧着部９３の先端部９３３（芯線圧着部９２側の端部）との離間距離（撮像データ上の離間距離）と略同一とする。そして、＋Ｙ側の辺が芯線圧着部９２の基端部９２１と一致するように設定すればよい。また、検査領域ＭのＸ方向に沿う長さを、端子付電線８０の幅（撮像データ上の幅）よりも十分に大きなものとし、さらに、Ｘ方向に沿う辺の中心が、端子付電線８０の中心線上にくるように設定すればよい。

　＜検査部３５＞
　検査部３５は、検査領域設定部３４が設定した検査領域Ｍを画像解析することによって、端子９が目標の位置に接続されているかどうかを検査し、評価する。具体的には、検査領域Ｍ内において、間隙部分に露出芯線部８１と被覆部８２との両方が現れているか否か（すなわち、間隙部分に、露出芯線部８１と被覆部８２との境界が現れているか否か）を判定する。そして、露出芯線部８１と被覆部８２との両方が現れている場合には、検査部３５は、当該端子付電線８０について肯定的な評価を与える。

　なお、撮像部１、撮像制御部３１、テンプレートマッチング部３２及び端子位置特定部３３は、端子位置特定装置を構成する。

　＜２－３．処理の流れ＞
　図７は、実施形態に係る検査装置１００にて実行される処理の流れを示す図である。図７に示す流れ図おいて、ステップＳ１～ステップＳ３は、端子９の位置を特定する端子位置特定方法に相当する。また、ステップＳ１～ステップＳ４は、端子付電線８０を外観検査する検査方法に相当する。また、図８は、実施形態に係る撮像データにおける端子付電線８０及び当該データ上に設定される各領域を示す図である。

　まず、撮像制御部３１が、撮像部１を制御して、検査対象となる端子付電線８０を撮像させる。これによって、端子付電線８０の撮像データが取得される（ステップＳ１）。この工程は、撮像データを準備する準備工程に相当する。なお、予め記憶装置２０５に予め保存された撮像データが読み出されることによって、撮像データが準備されてもよい。

　続いて、テンプレートマッチング部３２が、撮影画像とテンプレートデータＴＰ１とを比較して、テンプレートデータＴＰ１にマッチする部分領域ＰＡ１を特定するテンプレートマッチングを行う（ステップＳ２）。ステップＳ２は、テンプレートマッチング工程に相当する。具体的には、図８に示すように、端子付電線８０の撮影画像上において、テンプレートデータＴＰ１（図４参照）にマッチングする部分領域ＰＡ１が特定される。そして、ここでは、当該部分領域ＰＡ１の中心を、部分領域ＰＡ１の位置ＰＡＬ１としている。

　続いて、端子位置特定部３３が、撮像データ上における部分領域ＰＡ１の位置ＰＡＬ１に基づいて、端子９の位置を特定する（ステップＳ３）。このステップＳ３は、端子位置特定工程に相当する。具体的には、図８に示すように、端子位置特定部３３が、部分領域ＰＡ１の位置ＰＡＬ１から既定の長さＬ１だけ－Ｙ方向に離れた位置に、矩形状の解析範囲ＡＲ１を設定する。ここでは、解析範囲ＡＲ１に、被覆圧着部９３の基端部９３１が含まれるように、長さＬ１が設定されている。そして、端子位置特定部３３は、当該解析範囲ＡＲ１において、基端部９３１の座標位置を取得する。これによって、端子位置が特定される。

　図９は、実施形態に係る輝度積分値の変化の一例を示す図である。図９において、横軸は、Ｙ軸方向の位置を示しており、縦軸は輝度積分値を示している。輝度積分値は、具体的には次のようにして求められる。

　まず、図８に示すように、解析範囲ＡＲ１内にて、端子付電線８０のエッジ位置（端子付電線８０と背景との境界位置。具体的には、図８に示されるエッジ位置Ｅａ１，Ｅｂ１，Ｅａ２，Ｅｂ２等）が特定される。なお、端子付電線８０のエッジは、背景に対して輝度が大きく変化する位置となっていることから、微分フィルタ等を適用することによって容易に特定可能である。

　続いて、Ｙ軸方向の位置が一致する一対のエッジ位置（例えば，エッジ位置Ｅａ１，Ｅｂ１、または、エッジ位置Ｅａ２，Ｅｂ２）を、Ｙ軸方向に沿って複数選択される。そして、各一対のエッジ位置を結んだ線（例えば、線Ｌ１，線Ｌ２）上に位置する複数画素の輝度値が足し合わされる。これによって、Ｙ方向の各位置における輝度積分値が算出される。

　既に説明したように、解析範囲ＡＲ１に含まれる、被覆圧着部９３及び被覆部８２は、それらの境界位置で輝度が大きく変化する。このため、図９に示されるように、輝度積分値の大きな変化を検出できる。端子位置特定部３３は、この輝度積分値がしきい値Ｔｈ１を超えて変化するＹ方向の位置Ｙ１を、被覆圧着部９３の基端部９３１の位置として特定する。なお、このしきい値Ｔｈ１は、絶対値として既定されたものとしてよいし、相対値としてもよい。しきい値Ｔｈ１を相対値とする場合、例えば、複数の輝度積分値の中から最大値（最大輝度積分値）を選択し、当該最大値に対する予め決められた割合の値をしきい値Ｔｈ１とすることが考えられる。

　なお、上記の例では、端子位置特定部３３は、輝度積分値に基づいて、被覆圧着部９３の基端部９３１の位置を特定している。しかしながら、端子位置特定部３３は、撮像データ上における端子付電線８０の幅の変化に基づき、被覆圧着部９３の基端部９３１の位置を特定してもよい。具体的には、各一対のエッジ間の長さを測定することで、Ｙ方向の各位置の幅を求めることができる。本例では、被覆圧着部９３の幅が、被覆部８２の幅よりも広い。このため、測定された幅が、所定のしきい値を超えて変化する位置を、基端部９３１の位置とすればよい。

　このように、端子付電線８０の幅に基づいて端子位置を特定する場合、電線８の被覆部８２に装飾（例えば電線識別用のリングマーク）等が付されている場合であっても、その影響を受けにくくなる。このため、端子位置の特定精度を高めることができる。

　図７に戻って、ステップＳ３において、端子位置特定部３３が端子位置を特定すると、端子接続の検査が行われる（ステップＳ４）。ステップＳ４は、端子９の接続位置を検査する検査工程に相当する。具体的には、検査領域設定部３４が、ステップＳ３で特定された端子位置（端子９の基端部９３１の位置）に基づき、検査領域Ｍを設定する（図６参照）。そして、検査部３５が、検査領域Ｍにおいて、間隙部分に露出芯線部８１と被覆部８２との両方が現れているか否かを判断する。

　より詳細には、検査部３５は、撮像画像の検査領域Ｍ内において、Ｙ方向に沿って輝度の変化を検出する。所定のしきい値を超える輝度の変化がある場合には、露出芯線部８１と被覆部８２の境界が現れていると判断する。また、検査部３５は、その輝度の変化を示すグラフや判断結果等を、検査結果として表示装置２２に表示することで、オペレータに通知するように構成されてもよい。

　以上のように、検査装置１００によると、予めテンプレートデータＴＰ１にマッチする部分領域ＰＡ１を特定することで、端子位置特定のために画像解析する解析範囲ＡＲ１を狭小化できる。これによって、解析範囲ＡＲ１内に、端子付電線８０に付着した汚れ、被覆部８２の装飾が含まれる可能性、あるいは、撮像環境等の影響を受ける可能性を小さくできる。これによって、端子９の位置特定を高精度に行うことができる。

　また、テンプレートマッチングを行ってからさらに画像解析を行うことで、テンプレートマッチングのみを行う場合よりも、端子位置の特定精度を大幅に向上できる。

　この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。また、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。

　１　撮像部
　１００　検査装置
　２　検査処理部
　２０５　記憶装置
　２１　入力装置
　２２　表示装置
　３１　撮像制御部
　３２　テンプレートマッチング部
　３３　端子位置特定部
　３４　検査領域設定部
　３５　検査部
　８　電線
　８０　端子付電線
　８１　芯線部（露出芯線部）
　８２　被覆部
　９　　端子
　９０　窓部
　９１　端子接続部
　９２　芯線圧着部
　９２１　基端部
　９３　被覆圧着部
　９３１　基端部
　９３３　先端部
　ＡＲ１　解析範囲
　Ｍ　検査領域
　ＰＡ１　部分領域
　ＰＡＬ１　位置（部分領域の位置）
　Ｐｒ　プログラム
　ＴＰ１　テンプレートデータ
　Ｔｈ１　しきい値
　Ｙ１　位置（端子位置）

Claims (8)

1. 　電線の端末部に端子が接続された端子付電線における端子位置を特定する端子位置特定方法であって、
   　端子付電線における端子及び電線の接続部分を撮像して得られる撮像データを準備する準備工程と、
   　前記撮像データ、及び、前記端子付電線の一部分である特徴部位を示すテンプレートデータを比較することによって、前記撮像データにおける前記テンプレートデータにマッチする部分領域を特定するテンプレートマッチング工程と、
   　前記部分領域の位置に基づいて決定される解析範囲を画像解析して、前記端子位置を特定する端子位置特定工程と、
   を含む、端子位置特定方法。
2. 　請求項１に記載の端子位置特定方法であって、
   　前記テンプレートデータに示される前記特徴部位が、前記電線と前記端子との境界部位である、端子位置特定方法。
3. 　請求項１または請求項２に記載の端子位置特定方法であって、
   　前記端子位置特定工程は、
   　前記解析範囲内において、前記端子付電線の幅を測定することによって、前記端子位置を特定する工程を含む、端子位置特定方法。
4. 　請求項１または請求項２に記載の端子位置特定方法であって、
   　前記端子位置特定工程は、
   　前記撮像データの前記解析範囲内において、輝度を測定することによって、前記端子位置を特定する工程を含む、端子位置特定方法。
5. 　請求項４に記載の端子位置特定方法であって、
   　前記端子位置特定工程は、
   　前記撮像データにおける前記端子付電線の延びる方向に沿って、前記輝度が所定のしきい値を超えて変化する位置を特定することによって、前記端子位置を特定する、端子位置特定方法。
6. 　端子付電線を外観検査する検査方法であって、
   　端子付電線における端子及び電線の接続部分を撮像して得られる撮像データを準備する準備工程と、
   　前記撮像データ、及び、前記端子付電線の一部分である特徴部位を示すテンプレートデータを比較することによって、前記撮像データにおける前記テンプレートデータにマッチする部分領域を特定するテンプレートマッチング工程と、
   　前記部分領域の位置に基づいて決定される解析範囲を画像解析して、端子位置を特定する端子位置特定工程と、
   　前記端子位置特定工程にて特定された前記端子位置に基づいて設定される検査領域内において、画像解析によって前記端子の接続位置を検査する検査工程と、
   を含む、検査方法。
7. 　電線の端末部に端子が接続された端子付電線における端子位置を特定する端子位置特定装置であって、
   　端子付電線における端子及び電線の接続部分を撮像する撮像部と、
   　前記撮像部によって得られた撮像データ、及び、前記端子付電線の一部分である特徴部位を示すテンプレートデータを比較することによって、前記撮像データにおける前記テンプレートデータにマッチする部分領域を特定するテンプレートマッチング部と、
   　前記部分領域の位置に基づいて決定される解析範囲を画像解析することによって、前記端子位置を特定する端子位置特定部と、
   を備える、端子位置特定装置。
8. 　端子付電線を外観検査する検査装置であって、
   　端子付電線における端子及び電線の接続部分を撮像する撮像部と、
   　前記撮像部によって得られた撮像データ、及び、前記端子付電線の一部分である特徴部位を示すテンプレートデータを比較することによって、前記撮像データにおける前記テンプレートデータにマッチする部分領域を特定するテンプレートマッチング部と、
   　前記部分領域の位置に基づいて決定される解析範囲を画像解析することによって、端子位置を特定する端子位置特定部と、
   　前記端子位置特定部にて特定された前記端子位置に基づいて設定される検査領域内において、画像解析によって前記端子の接続位置を検査する検査部と、
   を備える、検査装置。

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