WO2016136130A1 - 表示装置、表示方法および表示プログラム - Google Patents

Abstract

自分の体が傾いている程度を患者が容易に認識でき、体の傾きをなくす訓練をし易い装置を提供する。表示装置（１）は患者（２）の傾斜角度（２ｅ）を検出するセンサー装置（４）と、患者（２）の傾斜角度（２ｅ）に応じて形状を変えた表示図形を形成する図形形成部と、表示図形を表示するヘッドマウントディスプレイ（５）と、を備える。表示装置（１）は患者（２）の傾斜角度（２ｅ）の絶対値を第１判定値と比較する傾斜判定部を備え、患者（２）の傾斜角度（２ｅ）の絶対値が第１判定値より小さいとき、ヘッドマウントディスプレイ（５）は"Ｇｏｏｄ"の文字を表示する。

Description

表示装置、表示方法および表示プログラム

　本発明は、表示装置、表示方法および表示プログラムに関するものである。

　脳卒中等の脳障害の後には、様々な要因により姿勢やバランスの異常が出現することがある。特徴的な姿勢調節障害の１つにプッシャー症候群（ｐｕｓｈｅｒ　ｓｙｎｄｒｏｍｅ）が知られている。このような障害を改善するには、リハビリテーションが重要である。リハビリテーションは略してリハビリとも称される。非特許文献１にはプッシャー症候群におけるリハビリ方法が開示されている。

　プッシャー症候群の患者は、身体が麻痺側へ傾斜している状態を正しい姿勢（傾いていない）と認識してしまうため、リハビリにおいてはこの姿勢を矯正し、患者の姿勢や認識を正しい状態とする必要がある。

　患者の重心位置を測定して患者の傾きを患者に認識させる方法が特許文献１に開示されている。それによると、測定装置では３個の荷重センサー上に板がのせてある。患者が板の上に乗ると患者の重心の位置がわかるようになっている。患者の前にはハーフミラーと表示装置が設置されており、患者はハーフミラーを通して表示装置を見ることができる。表示装置には目標図像と患者の重心位置に基づく操作図像とが表示される。患者は、操作図像と目標図像との位置が重なるように自身の重心移動によって操作図像を操作する訓練を行う。

特開２０１２－１６１４１８号公報

長谷公隆　編著、「運動学習理論に基づくリハビリテーションの実践ｉｎ　ＤＶＤ」、医歯薬出版株式会社、２００８年１２月

　しかしながら、特許文献１に示す装置では、鉛直方向に対して自分がどの程度傾斜しているのかを理解するのは困難である。そこで、自分の体が傾いている程度を患者が容易に認識でき、体の傾きをなくす訓練をし易いリハビリ装置が望まれていた。

　本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。

　［適用例１］
　本適用例にかかる表示装置であって、人の傾斜角度を検出する検出部と、前記傾斜角度に応じて形状を変えた表示図形を形成する図形形成部と、前記表示図形を表示する表示部と、を備えることを特徴とする。

　本適用例によれば、検出部が人の傾斜角度を検出する。図形形成部は人の傾斜角度に応じて形状を変えた表示図形を形成する。そして、表示部が表示図形を表示する。従って、人は表示図形の形状を見て自分が傾斜している程度を認識できる。表示図形の形状の変化は識別し易い為、人は自分の傾いている程度を認識し易くなる。従って、表示装置は人が体の傾きをなくす訓練をし易くできる。

　［適用例２］
　上記適用例にかかる表示装置において、前記傾斜角度の絶対値を第１判定値と比較する判定部を備え、前記傾斜角度の絶対値が前記第１判定値より小さいとき、前記表示部は前記人の傾斜角度の絶対値が前記第１判定値より小さいことを示す表示を行うことを特徴とする。

　本適用例によれば、判定部が人の傾斜角度の絶対値を第１判定値と比較する。人の傾斜角度の絶対値が第１判定値より小さいとき、判定部は表示部に人の傾斜角度の絶対値が第１判定値より小さいことを示す情報を伝達する。そして、表示部は人の傾斜角度の絶対値が第１判定値より小さいことを示す表示を行う。

　人は表示を見て自分の傾斜角度の絶対値が第１判定値より大きいか小さいかを知る。そして、自分の傾斜角度の絶対値が第１判定値より大きいときには自分の傾斜角度を変更するように動作する。自分の傾斜角度の絶対値が第１判定値より小さいときには自分の傾斜角度を維持するように動作する。人は表示された表示図形を見ることにより自分の傾斜角度の良否がわかる為、表示装置は人が体の傾きをなくす訓練をし易くできる。

　［適用例３］
　上記適用例にかかる表示装置において、音を発する発音部を備え、前記判定部は前記傾斜角度の絶対値を第２判定値と比較し、前記傾斜角度の絶対値が前記第２判定値より大きいとき、前記発音部は前記音を変えることを特徴とする。

　本適用例によれば、表示装置は音を発する発音部を備えている。判定部が人の傾斜角度の絶対値を第２判定値と比較する。人の傾斜角度の絶対値が第２判定値より大きいとき、判定部は人の傾斜角度の絶対値が第２判定値より大きいことを示す情報を発音部に伝達する。そして、発音部は人の傾斜角度の絶対値が第２判定値より大きいことを示す音に変える。尚、“音を変える“は無音と有音との間で変えることも含まれる。さらに、音のリズムや音の音色を変えることも含まれる。

　人は音を聞いて自分の傾斜角度の絶対値が第２判定値より大きいか小さいかを知る。そして、自分の傾斜角度の絶対値が第２判定値より大きいときには自分の傾斜角度を変更するように動作する。自分の傾斜角度の絶対値が第２判定値より小さいときには自分の傾斜角度を維持するように動作する。従って、人は発音部が発する音を聞くことにより自分の傾斜角度の良否がわかる為、表示装置は人が体の傾きをなくす訓練をし易くできる。

　［適用例４］
　上記適用例にかかる表示装置において、前記発音部は前記傾斜角度の絶対値に対応して音量を変えることを特徴とする。

　本適用例によれば、発音部は人の傾斜角度の絶対値に対応して音量を変える。人は発音部が発する音を聞くことにより自分の傾斜角度の程度がわかる為、表示装置は人が体の傾きをなくす訓練をし易くできる。

　［適用例５］
　上記適用例にかかる表示装置において、前記表示図形は、前記傾斜角度に応じて基本図形を傾斜させた図形と前記傾斜角度を示す数字とを有し、前記表示部は前記傾斜角度に応じて前記数字を傾けて表示することを特徴とする。

　本適用例によれば、表示図形は人の傾斜角度に応じて基本図形を傾斜させた図形と人の傾斜角度を示す数字である。人は数字を確認して自分の傾斜角度を知ることができる。そして、表示部は人の傾斜角度に応じて数字を傾けて表示する。従って、表示部は図形と数字とが自然に融合した見やすい図を表示できる。

　［適用例６］
　上記適用例にかかる表示装置において、前記表示部は前記人が見る景色に前記表示図形を重ねて表示することを特徴とする。

　本適用例によれば、表示部は人が見る景色に表示図形を重ねて表示する。従って、人は目の前の景色を確認しながら訓練をすることができる。従って、人は自分の周囲を確認できるので、安全に訓練できる。

　［適用例７］
　本適用例にかかる表示方法であって、人の傾斜角度を検出することと、前記傾斜角度に応じて形状を変えた表示図形を表示することと、を有することを特徴とする。

　本適用例によれば、人の傾斜角度を検出している。そして、人の傾斜角度に応じて形状を変えた表示図形を表示している。従って、人は表示図形の形状を見て自分が傾斜している程度を認識できる。表示図形の形状の変化は識別し易い為、人は自分の傾いている程度を認識し易くなる。従って、本適用例の表示方法により人が体の傾きをなくす訓練をし易くできる。

　［適用例８］
　本適用例にかかる表示プログラムであって、コンピューターを、入力された傾斜角度に応じて形状を変えた表示図形を形成する図形形成手段と、前記表示図形を表示部に出力する出力手段と、として機能させることを特徴とする。

　本適用例によれば、コンピューターを、入力された傾斜角度に応じて形状を変えた表示図形を形成する図形形成手段と、表示図形を表示部に出力する出力手段と、として機能させる。そして、傾斜角度に応じて形状を変えた表示図形を形成し、表示図形を表示部に出力している。従って、人は表示図形の形状を見て自分が傾斜している程度を認識できる。表示図形の形状の変化は識別し易い為、人は自分の傾いている程度を認識し易くなる。従って、本適用例の表示プログラムを用いてコンピューターを機能させ、人が体の傾きをなくす訓練をし易くできる。

（ａ）は、表示装置を設置した患者を正面側から見た図、（ｂ）は、表示装置を設置した患者を背中側から見た図、（ｃ）は、傾斜した患者を正面側から見た図。 表示装置の電気制御ブロック図。 図形の表示方法のフローチャート。 図形の表示方法を説明するための模式図。 図形の表示方法を説明するための模式図。 図形の表示方法を説明するための模式図。 図形の表示方法を説明するための模式図。 図形の表示方法を説明するための模式図。 図形の表示方法を説明するための模式図。

　本実施形態では、表示装置と、この表示装置を用いて患者の傾きを表示する、表示方法との特徴的な例について、図１～図９に従って説明する。以下、実施形態について図面に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
　（実施形態）
　実施形態にかかわるリハビリ装置について図１及び図２に従って説明する。図１は、表示装置の構成を示す模式図であり、図１（ａ）は、表示装置を設置した患者を正面側から見た図である。図１（ｂ）は、表示装置を設置した患者を背中側から見た図である。図１（ｃ）は、傾斜した患者を正面側から見た図である。

　図１（ａ）及び図１（ｂ）に示すように、表示装置１は人としての患者２に設置して使用される。表示装置１は主に制御部３、検出部としてのセンサー装置４及び表示部としてのヘッドマウントディスプレイ５により構成されている。制御部３にはベルト６が設置され、ベルト６を患者２の肩２ａにかけて制御部３は患者２に設置される。

　制御部３には操作入力部３ａと表示パネル３ｂとが設置されている。操作入力部３ａは複数のボタンや表示パネル３ｂに設置されたタッチパネルを備えている。患者２や患者２を補助する補助者は操作入力部３ａを操作して表示装置１に表示する内容を設定する。表示パネル３ｂには設定内容や患者２が傾斜する状態を示す情報が表示される。表示パネル３ｂには液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ、表面電界ディスプレイ等を用いることができる。

　患者２の胸２ｂにはセンサー装置４が設置される。センサー装置４は伸縮性のあるバンド７に設置されている。バンド７は輪になっており、患者２の胸２ｂ、脇の下、背中に沿って設置されている。そして、バンド７が胸２ｂからずり落ちないように、バンド７の長さが調整可能になっている。患者２の足部２ｆから頭部２ｃに向かう方向をＺ方向とする。そして、水平方向のうち患者２の背中から胸２ｂに向かう方向をＸ方向とする。水平方向のうち患者２の右の肩２ａから左の肩２ａに向かう方向をＹ方向とする。Ｘ方向、Ｙ方向及びＺ方向は互いに直交する方向である。

　センサー装置４には患者２の傾斜を検出するセンサー８が設置されている。センサー８は患者２の傾斜を検出できればよく特に限定されない。センサー８にはジャイロセンサー、加速度センサー、地磁気センサー、重力センサー等を用いることができる。本実施形態では、例えば、センサー８にジャイロセンサーを用いている。センサー８はＸ方向を軸として回転する体の角速度を検出して出力する。そして、センサー装置４はセンサー８が出力する角速度を積分する積分回路を備えている。積分回路は角速度を入力してセンサー８が回転した角度を出力する。さらに、センサー装置４はセンサー８が回転した角度の変動を５秒間に区切って平均を演算する。そして、演算結果を平均角度として出力する。センサー装置４と制御部３との間にはケーブル９が設置されている。センサー装置４は平均角度をケーブル９を介してセンサー装置４が制御部３に出力する。

　患者２の頭部２ｃにはヘッドマウントディスプレイ５が設置されている。ヘッドマウントディスプレイ５は透過型のディスプレイである。ヘッドマウントディスプレイ５が映像を表示していないときには患者２はヘッドマウントディスプレイ５を通して景色が見えるようになっている。映像において黒色の部分は映像の光が患者２に届かないので、黒色の部分には景色が見えるようになっている。映像の背景を黒色にして赤色の像をヘッドマウントディスプレイ５が表示するとき、患者２には景色と赤色の像とが重なった映像が見える。ヘッドマウントディスプレイ５と制御部３との間にはケーブル９が設置されている。制御部３はケーブル９を介してヘッドマウントディスプレイ５に映像信号を送信する。

　図１（ｃ）に示すように、患者２が麻痺しているとき患者２の体が傾斜する。脳卒中の後では様々な要因を背景として姿勢やバランスの異常が出現する。姿勢調節障害のひとつにコントラバーシブ　プッシング（ｃｏｎｔｒａｖｅｒｓｉｖｅ　ｐｕｓｈｉｎｇ）がある。コントラバーシブ　プッシングはプッシングやプッシング症候群と称される。コントラバーシブ　プッシングは病巣と反対側に向かって押すという意味をもつ。以下、コントラバーシブ　プッシングをプッシングと称す。プッシングの患者２はあらゆる姿勢で麻痺側へ傾斜する。自らの非麻痺側上下肢を使用して床や座面を押して、正中にしようとする他者の介助に抵抗する。プッシングの出現率は１．５～６３％と様々な報告があるが、脳卒中後の急性期に多くみられる。

　プッシングは時間をかければ改善するが、時間がかかると脳卒中による日常の生活動作における障害が残りやすい。このため、治療期間を短縮する理学療法が必要である。そして、急性期においてできるだけ早くプッシングを治療し、日常生活動作に向けたリハビリを早く開始することが求められている。

　患者２は腰を回転中心にして背骨２ｄをＺ方向に対して傾斜させる。背骨２ｄがＺ方向に対して傾斜する角度を傾斜角度２ｅとする。そして、患者２は両肩を結ぶ線は水平線と並行に維持する。さらに、Ｚ方向を回転軸にして首を回転する傾向がある。このとき、患者２は体が傾いているという自覚がない。身体と周囲の関係を認識できるような視覚的手がかりを与えることにより患者２は姿勢を改善できる。

　患者２がＺ方向に対して背骨２ｄを傾斜させるとき、センサー８はＸ方向を軸にして回転する。従って、センサー装置４は患者２の傾きを検出することが可能になっている。

　図２は表示装置の電気制御ブロック図である。図２において、表示装置１は表示装置１の動作を制御する制御部３を備えている。そして、制御部３はプロセッサーとして各種の演算処理を行うコンピューターとしてのＣＰＵ１０（Ｃｅｎｔｒａｌ　Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ　Ｕｎｉｔ）と、各種情報を記憶するメモリー１１とを備えている。ヘッドマウントディスプレイ５、センサー装置４、発音部としてのスピーカー１２、操作入力部３ａ及び表示パネル３ｂは入出力インターフェイス１３及びデータバス１４を介してＣＰＵ１０に接続されている。

　スピーカー１２は音声信号にて患者２にメッセージを伝える機能を備えている。患者２がリハビリ治療中のとき、ヘッドマウントディスプレイ５が表示する映像に加えて制御部３はスピーカー１２から患者２にメッセージを伝えることができる。

　メモリー１１は、ＲＡＭ、ＲＯＭ等といった半導体メモリーや、ハードディスク、ＤＶＤ－ＲＯＭといった外部記憶装置を含む概念である。機能的には、表示装置１の動作の制御手順が記述された表示プログラムとしてのシステムプログラム１５を記憶する記憶領域が設定される。他にも、ヘッドマウントディスプレイ５に表示する図形の色の設定データである表示色データ１６を記憶するための記憶領域が設定される。他にも、ヘッドマウントディスプレイ５に表示する図形の形状や図形の傾斜角等のデータである表示図形データ１７を記憶するための記憶領域が設定される。

　他にも、センサー８の駆動条件等のデータやセンサー８が出力するデータが含まれるセンサー関連データ１８を記憶するための記憶領域が設定される。他にも、スピーカー１２から出力する音声のデータである音声関連データ２１を記憶するための記憶領域が設定される。他にも、傾斜角度２ｅを判定するための判定値のデータである判定値データ２２を記憶するための記憶領域が設定される。他にも、ＣＰＵ１０のためのワークエリアやテンポラリーファイル等として機能する記憶領域やその他各種の記憶領域が設定される。

　ＣＰＵ１０は、メモリー１１内に記憶されたシステムプログラム１５に従って、表示装置１がヘッドマウントディスプレイ５に表示する制御を行うものである。具体的な機能実現部としてＣＰＵ１０は検出部としての傾斜検出部２３を有する。傾斜検出部２３はセンサー装置４に指示信号を出力し、センサー８を駆動させて患者２の傾斜角度２ｅを検出させる制御を行う。傾斜検出部２３はセンサー８が検出した傾斜角度２ｅのデータをセンサー関連データ１８としてメモリー１１に記憶する。センサー関連データ１８には傾斜角度２ｅの時系列データが含まれている。そして、患者２が訓練を行う毎に傾斜角度２ｅの時系列データの新規ファイルが作成される。補助者は傾斜角度２ｅの時系列データを解析することにより患者２の訓練効果を確認できる。

　他にも、ＣＰＵ１０は判定部としての傾斜判定部２４を有する。傾斜判定部２４は傾斜角度２ｅを判定値と比較する。そして、比較した結果により図形の色、表示する文字、発する音の種類を設定する。他にも、ＣＰＵ１０は図形形成手段及び出力手段としての図形形成部２５を有する。図形形成部２５は患者２の傾斜角度２ｅに対応して形状及び色を変えた図形を形成してヘッドマウントディスプレイ５に図形信号を出力する。他にも、ＣＰＵ１０は音声制御部２６を有する。音声制御部２６は患者２や補助者に対して告知する内容の音声の信号をスピーカー１２に出力する。尚、本実施形態では、上記の各機能がＣＰＵ１０を用いてプログラムソフトで実現することとしたが、上記の各機能がＣＰＵ１０を用いない単独の電子回路によって実現できる場合には、そのような電子回路を用いることも可能である。

　次に、上述した表示装置１が患者２に図形を表示する表示方法について図３～図９にて説明する。図３は、図形の表示方法のフローチャートであり、図４～図９は図形の表示方法を説明するための模式図である。図３のフローチャートにおいて、ステップＳ１は初期化工程に相当する。この工程はセンサー装置４を初期化する工程である。次にステップＳ２に移行する。ステップＳ２は傾斜角度検出工程に相当する。この工程は患者２の傾斜角度２ｅをセンサー装置４が検出する工程である。次にステップＳ３に移行する。ステップＳ３は傾斜判定工程に相当する。この工程は傾斜角度２ｅを判定値と比較して図形の色、表示する文字、発する音の種類を設定する工程である。次にステップＳ４に移行する。ステップＳ４は図形形成工程に相当する。この工程は図形の形状を決定して、図形を形成する工程である。次にステップＳ５に移行する。ステップＳ５は図形表示工程に相当する。この工程はヘッドマウントディスプレイ５に図形を表示する工程である。次にステップＳ６に移行する。

　ステップＳ６は終了判断工程に相当する。この工程はヘッドマウントディスプレイ５への表示を終了するか否かを判定する工程である。ヘッドマウントディスプレイ５への表示を継続するときは次にステップＳ２に移行する。ヘッドマウントディスプレイ５への表示を終了するときは図形の表示を終了する。以上の工程により、図形を表示する工程を終了する。

　次に、図４～図９を用いて、図３に示したステップと対応させて、図形の表示方法を詳細に説明する。
　図４（ａ）はステップＳ１の初期化工程に対応する図である。図４（ａ）に示すように、補助者は患者２の背骨２ｄが延びる方向が鉛直方向と平行になるように患者２の姿勢を矯正する。なお、ここでいう「平行」とは完全に平行である場合だけでなく、多少のズレを有していてもよい。そして、操作入力部３ａを操作してセンサー装置４の積分回路をリセットする。これにより、センサー装置４は背骨２ｄが鉛直方向のときの傾斜角を０度にする。そして、背骨２ｄが鉛直方向に対して傾く傾斜角度２ｅをセンサー装置４が制御部３に出力する。

　図４（ｂ）及び図４（ｃ）はステップＳ２の傾斜角度検出工程に対応する図である。図４（ｂ）に示すように、ステップＳ２において、患者２が傾く角速度をセンサー８が検出する。図の縦軸は角速度を示し横軸は時間の経過を示す。角速度推移線２７はセンサー８が出力する角速度の推移を示している。患者２は姿勢を微動して安定させる。従って、角速度推移線２７は細かく変動する線になっている。尚、傾斜角度２ｅの角度は鉛直方向を０度として、背中側から見たときの時計回りの回転方向を正の方向とする。そして、背中側から見たときの反時計回りの回転方向を負の方向とする。角速度推移線２７は背中側から見たときに患者２が時計回りに傾く角速度の推移を示している。

　図４（ｃ）は角速度推移線２７が示す角速度を積分回路が積分して５秒間隔で平均化した角速度データを示している。図の縦軸は角度を示し横軸は時間の経過を示す。角度推移線２８はセンサー８が出力する角度の推移を示している。患者２は姿勢を微動しながら徐々に傾斜する。そして、従って、角度推移線２８は細かく変動しながら傾斜する状態を示す線になっている。

　図５（ａ）～図６（ａ）はステップＳ３の傾斜判定工程に対応する図である。ステップＳ３において傾斜判定部２４が傾斜角度２ｅの大きさを判定値と比較する。図５（ａ）において、図の縦軸は図形の表示内容を示し“Ｇｏｏｄ”の文字及び数字が記載されている。横軸は傾斜角度２ｅの絶対値を示す。表示判定線２９は傾斜判定部２４が傾斜角度２ｅの大きさを判定する線になっている。表示判定線２９は第１判定値としての表示判定値２９ａにて表示内容を切り替えている。表示判定値２９ａの設定は特に限定されないが本実施形態では、例えば、表示判定値２９ａを２度に設定した。傾斜角度２ｅの絶対値が２度以下の場合には表示内容を“Ｇｏｏｄ”とする。これは傾斜角度２ｅの大きさが小さく患者２の姿勢が良いことを示している。“Ｇｏｏｄ”は患者２の傾斜角度２ｅの絶対値が表示判定値２９ａより小さいことを示す表示である。そして、傾斜角度２ｅの絶対値が２度を超えるとき表示内容を傾斜角度２ｅを示す数字にする。

　傾斜角度２ｅの大きさの絶対値が２度以下の場合には患者２は表示内容が“Ｇｏｏｄ”であることを確認する。そして、姿勢を維持しようとする。傾斜角度２ｅの絶対値が２度を超えるとき患者２は表示内容の傾斜角度２ｅを確認する。そして、傾斜角度２ｅの大きさが０度に近づくように姿勢を変更する。患者は表示内容を見ることにより自分の傾斜角度の良否がわかる。そして、姿勢が良いときには表示内容が傾斜角度２ｅから“Ｇｏｏｄ”の文字列に変わるので、瞬時に認識できる為、表示装置は患者が体の傾きをなくす訓練をし易くできる。

　本ステップではスピーカー１２から発する音の種類を設定する。図５（ｂ）において、図の縦軸は音の種類を示し“音なし“、“注意音”及び“警告音”が記載されている。横軸は傾斜角度２ｅの絶対値を示す。音判定線３０は傾斜判定部２４が傾斜角度２ｅの大きさを判定する線になっている。音判定線３０は第２判定値としての第１音判定値３０ａ及び第２判定値としての第２音判定値３０ｂにて音の種類を切り替えている。第１音判定値３０ａ及び第２音判定値３０ｂの設定は特に限定されない。本実施形態では、例えば、第１音判定値３０ａを５度に設定し、第２音判定値３０ｂを１０度に設定した。

　傾斜角度２ｅの絶対値が５度以下の場合には音の種類を“音なし”とする。これは傾斜角度２ｅの大きさが小さく患者２の姿勢が良いときにはスピーカー１２から音を出さないことを示している。そして、傾斜角度２ｅの絶対値が５度を超えて１０度以下の場合には音の種類を“注意音”とする。これは傾斜角度２ｅの大きさがやや大きいときにはスピーカー１２から注意を喚起する音を出すことを示している。傾斜角度２ｅの絶対値が１０度を超えるとき音の種類を“警告音”とする。これは傾斜角度２ｅの大きさが大きいときにはスピーカー１２から警告する音を出すことを示している。“警告音”は“注意音”より音量が大きい音になっている。従って、患者２は“警告音”と“注意音”とを容易に区別できる。

　患者２は音を聞いて自分の傾斜角度２ｅの絶対値が第１音判定値３０ａや第２音判定値３０ｂより大きいか小さいかを知る。そして、患者２が“注意音“を聞くとき、自分の傾斜角度２ｅの絶対値が第１音判定値３０ａより大きいことを患者２は認識する。このとき患者２は自分の傾斜角度２ｅを変更するように動作する。スピーカー１２から音が出ていないとき、自分の傾斜角度２ｅの絶対値が第１音判定値３０ａより小さいことを患者２は認識する。このとき患者２は自分の傾斜角度２ｅを維持するように動作する。

　患者２が“警告音“を聞くとき、自分の傾斜角度２ｅの絶対値が第２音判定値３０ｂより大きいことを患者２は認識する。このとき患者２は自分の傾斜角度２ｅを変更するように動作する。従って、患者２はスピーカー１２が発する音を聞くことにより自分の傾斜角度２ｅの良否がわかる為、表示装置１は患者２が体の傾きをなくす訓練をし易くできる。

　本ステップでは図形の色を設定する。図６（ａ）において、図の縦軸は図形の色を示し“第１表示色“、“第２表示色”及び“第３表示色”が記載されている。横軸は傾斜角度２ｅの絶対値を示す。表示色選択線３１は傾斜判定部２４が傾斜角度２ｅの大きさを判定する線になっている。表示色選択線３１は第１色判定値３１ａ及び第２色判定値３１ｂにて色の種類を切り替えている。第１色判定値３１ａ及び第２色判定値３１ｂの設定は特に限定されない。本実施形態では、例えば、第１色判定値３１ａを５度に設定し、第２色判定値３１ｂを１０度に設定した。第１表示色、第２表示色及び第３表示色の設定は特に限定されない。本実施形態では、例えば、第１表示色を緑色に設定し、第２表示色を黄色に設定した。第３表示色を赤色に設定した。

　表示色選択線３１が示すように、傾斜角度２ｅの大きさが－５度以上＋５度以下の間では表示色には第１表示色が選択される。従って、図形の色は緑色になる。傾斜角度２ｅの大きさが－１０度以上－５度未満の間及び＋５度よりも大きく＋１０度以下の間では表示色には第２表示色が選択される。従って、図形の色は黄色になる。傾斜角度２ｅの大きさが－１０度よりも小さい及び＋１０度よりも大きい場合では表示色には第３表示色が選択される。従って、図形の色は赤色になる。このように、傾斜角度２ｅの大きさに応じて図形の色を変えて設定される。

　図６（ｂ）～図８はステップＳ４の図形形成工程に対応する図である。ステップＳ４において、ヘッドマウントディスプレイ５に表示する表示図形としての図形３２を形成する。図６（ｂ）において、図形３２はヘッドマウントディスプレイ５により表示される図形である。図形３２の形状は特に限定されないが本実施形態では、例えば、図形３２は人を模した形状（人型（ひとがた））になっている。そして、図形３２がＺ方向に対して傾斜する角度を表示角度３３とする。

　図６（ｃ）において、縦軸は表示角度３３を示し、横軸は傾斜角度２ｅを示している。そして、角度対応線３４は傾斜角度２ｅに対する表示角度３３を示している。角度対応線３４が示すように、傾斜角度２ｅが０度の場合には表示角度３３は０度にする。そして、表示角度３３は傾斜角度２ｅの２倍の角度に設定する。これにより、図形３２は患者２の傾きより大きく傾く為、患者２は自分が傾いていることを容易に認識できる。

　図７（ａ）～図８（ｄ）は図形形成部２５が形成する図形３２を示している。図７（ａ）は傾斜角度２ｅが０度のときの図形３２を示している。傾斜角度２ｅが０度のときの図形３２が基本図形に相当する。図７（ｂ）は傾斜角度２ｅが－２度のときの図形３２を示している。このときの図形は基本図形を－４度傾けた図形になっている。図７（ｃ）は傾斜角度２ｅが＋２度のときの図形３２を示している。このときの図形は基本図形を＋４度傾けた図形になっている。傾斜角度２ｅの大きさが－２度以上＋２度以下の間では人の人形の図形３２の色は緑色であり、図形３２における頭部３２ａの上には“Ｇｏｏｄ”の文字列３２ｇが表示されている。患者２は、図形３２及び“Ｇｏｏｄ”の文字列３２ｇを見ることにより、自分の姿勢が傾斜の小さい良好な姿勢であることを認識し易くなっている。

　図７（ｄ）は傾斜角度２ｅの大きさが－５度のときの図形３２を示している。このとき、図形３２の色は緑色であり、図形３２における頭部３２ａの上には傾斜角度２ｅを示す“－５．０”の数字３２ｂが表示されている。図形３２及び数字３２ｂは－１０度傾けて表示されている。

　図７（ｅ）は傾斜角度２ｅの大きさが＋５度のときの図形３２を示している。このとき、図形３２の色は緑色であり、図形３２における頭部３２ａの上には傾斜角度２ｅを示す“５．０”の数字３２ｂが表示されている。図形３２及び数字３２ｂは＋１０度傾けて表示されている。

　傾斜角度２ｅの大きさが－２度よりも小さい場合及び傾斜角度２ｅの大きさが＋２度よりも大きい場合には傾斜角度２ｅを示す数字３２ｂが表示される。患者２は、図形３２及び傾斜角度２ｅを示す数字３２ｂを見ることにより、自分の姿勢がＺ方向に対してやや傾いた形態であることを容易に認識できる。傾斜角度２ｅの大きさが－５度～＋５度の場合には傾斜判定部２４はスピーカー１２から発する音の種類を“音なし”にする。従って、スピーカー１２は音を出さない。

　図７（ｆ）は傾斜角度２ｅの大きさが－１０度のときの図形３２を示している。このとき、図形３２の色は黄色であり、図形３２における頭部３２ａの上には“－１０．０”の数字３２ｂが表示されている。図形３２及び数字３２ｂは－２０度傾けて表示されている。

　図７（ｇ）は傾斜角度２ｅの大きさが－７．５度のときの図形３２を示している。このとき、図形３２の色は黄色であり、図形３２における頭部３２ａの上には“－７．５”の数字３２ｂが表示されている。図形３２及び数字３２ｂは－１５度傾けて表示されている。

　図７（ｈ）は傾斜角度２ｅの大きさが＋７．５度のときの図形３２を示している。このとき、図形３２の色は黄色であり、図形３２における頭部３２ａの上には“７．５”の数字３２ｂが表示されている。図形３２及び数字３２ｂは＋１５度傾けて表示されている。

　図７（ｊ）は傾斜角度２ｅの大きさが＋１０度のときの図形３２を示している。このとき、図形３２の色は黄色であり、図形３２における頭部３２ａの上には“１０．０”の数字３２ｂが表示されている。図形３２及び数字３２ｂは＋２０度傾けて表示されている。

　傾斜角度２ｅの大きさが－５度よりも小さく－１０度以上の場合及び傾斜角度２ｅの大きさが＋５度よりも大きく＋１０度以下の場合には図形３２の色は黄色である。そして、図形３２における頭部３２ａの上には傾斜角度２ｅを示す数字３２ｂが表示されている。患者２は、図形３２及び傾斜角度２ｅを示す数値の文字を見ることにより、自分の姿勢がＺ方向に対して傾いた形態であることを認識し易くなっている。患者２はヘッドマウントディスプレイ５が表示する画面を見て自分の体の傾斜角度２ｅを０度にするように訓練できる。

　さらに、傾斜角度２ｅの大きさが－５度よりも小さく－１０度以上の場合及び傾斜角度２ｅの大きさが＋５度よりも大きく＋１０度以下の場合には、傾斜判定部２４がスピーカー１２から発する音の種類を“注意音”にする。従って、音声制御部２６がスピーカー１２から注意を喚起する音を出す。これにより、患者２は自分の姿勢がＺ方向に対して傾いた形態であることを容易に認識できる。

　図８（ａ）は傾斜角度２ｅの大きさが－１５度のときの図形３２を示している。このとき、図形３２の色は赤色であり、図形３２における頭部３２ａの上には“－１５．０”の数字３２ｂが表示されている。図形３２及び数字３２ｂは－３０度傾けて表示されている。

　図８（ｂ）は傾斜角度２ｅの大きさが－１２．５度のときの図形３２を示している。このとき、図形３２の色は赤色であり、図形３２における頭部３２ａの上には“－１２．５”の数字３２ｂが表示されている。図形３２及び数字３２ｂは－２５度傾けて表示されている。

　図８（ｃ）は傾斜角度２ｅの大きさが＋１２．５度のときの図形３２を示している。このとき、図形３２の色は赤色であり、図形３２における頭部３２ａの上には“１２．５”の数字３２ｂが表示されている。図形３２及び数字３２ｂは＋２５度傾けて表示されている。

　図８（ｄ）は傾斜角度２ｅの大きさが＋１５度のときの図形３２を示している。このとき、図形３２の色は赤色であり、図形３２における頭部３２ａの上には“１５．０”の数字３２ｂが表示されている。図形３２及び数字３２ｂは＋３０度傾けて表示されている。

　傾斜角度２ｅの大きさが－１０度よりも小さく－１５度以上の場合及び傾斜角度２ｅの大きさが＋１０度よりも大きく＋１５度以下の場合には図形３２の色は赤色である。そして、図形３２における頭部３２ａの上には傾斜角度２ｅを示す数字３２ｂが表示されている。患者２は、図形３２及び傾斜角度２ｅを示す数値の文字を見ることにより、自分の姿勢がＺ方向に対してかなり傾いた形態であることを認識し易くなっている。患者２はヘッドマウントディスプレイ５が表示する画面を見て自分の体の傾斜角度２ｅを０度にするように訓練できる。

　さらに、傾斜角度２ｅの大きさが－１０度よりも小さく－１５度以上の場合及び傾斜角度２ｅの大きさが＋１０度よりも大きく＋１５度以下の場合には、傾斜判定部２４がスピーカー１２から発する音の種類を“警告音”にする。従って、音声制御部２６がスピーカー１２から警告する音を出す。これにより、自分の姿勢がＺ方向に対してかなり傾いた形態であることを認識できる。

　図７（ａ）～図８（ｄ）において、図形３２の表示角度３３は傾斜角度２ｅの２倍の角度に回転させて表示されている。これにより、患者２は自分が傾いていることを容易に認識できる。

　図９はステップＳ５の図形表示工程に対応する図であり、患者２がヘッドマウントディスプレイ５を用いて見る映像を表示している。図９（ａ）に示すように、ヘッドマウントディスプレイ５は透過型であり、四角形の枠に囲まれた領域がヘッドマウントディスプレイ５の視野領域５ａである。患者２にはヘッドマウントディスプレイ５をとおして背景の景色が見える。そして、画面の中程には景色と重ねて人形の図形３２が表示されている。図は患者２の傾斜角度２ｅの大きさが－２度以上＋２度以下の範囲にあるときの表示を示している。従って、図形３２の色は緑色であり、図形３２の頭部３２ａの上には“Ｇｏｏｄ”の文字列３２ｇが表示されている。患者２は背景と図形３２を見て自分の姿勢に対する傾斜が小さく良好な姿勢であることを認識できる。

　図９（ｂ）は患者２の傾斜角度２ｅの大きさが＋７．５度のときの表示を示している。視野領域５ａが水平線に対して７．５度傾いた状態になっている。従って、図形３２の色は黄色であり、図形３２の頭部３２ａの上には“７．５”の数字３２ｂが表示されている。画面の中程には景色と重ねて人形の図形３２が表示されている。図形３２及び数字３２ｂは＋１５度傾けて表示されている。スピーカー１２からは注意を喚起する音が出ている。患者２は背景と図形３２を見て自分の姿勢が鉛直方向に対してやや傾いた姿勢であることを認識できる。

　図９（ｃ）は患者２の傾斜角度２ｅの大きさが＋１２．５度のときの表示を示している。視野領域５ａが水平線に対して１２．５度傾いた状態になっている。従って、図形３２の色は赤色であり、図形３２の頭部３２ａの上には“１２．５”の数字３２ｂが表示されている。画面の中程には景色と重ねて人形の図形３２が表示されている。図形３２及び数字３２ｂは＋２５度傾けて表示されている。スピーカー１２からは警告する音が出ている。患者２は背景と図形３２を見て自分の姿勢が鉛直方向に対してかなり傾いた姿勢であることを認識できる。

　ステップＳ６の終了判断工程において、患者２が訓練を終了したいときには患者２または補助者が操作入力部３ａを操作して表示装置１の動作を終了する。患者２が訓練を継続するときにはステップＳ２に移行する。以上の工程により図形を表示する工程を終了する。

　上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
　（１）本実施形態によれば、センサー装置４が患者２の傾斜角度２ｅを検出する。図形形成部２５は患者２の傾斜角度２ｅに応じて形状を変えた図形３２を形成する。そして、ヘッドマウントディスプレイ５が図形３２を表示する。従って、患者２は図形３２の形状を見て自分が傾斜している程度を認識できる。図形３２の形状の変化は識別し易い為、患者２は自分の傾いている程度を認識し易い。従って、表示装置１は患者２が体の傾きをなくす訓練をし易くできる。

　（２）本実施形態によれば、傾斜判定部２４が患者２の傾斜角度２ｅの絶対値を表示判定値２９ａと比較する。患者２の傾斜角度２ｅの絶対値が表示判定値２９ａより小さいとき、傾斜判定部２４はヘッドマウントディスプレイ５に“Ｇｏｏｄ”の文字列３２ｇを表示する判定をする。

　患者２は“Ｇｏｏｄ”の文字列３２ｇの表示を見て自分の傾斜角度２ｅの絶対値が表示判定値２９ａより小さいことを知る。そして、自分の傾斜角度２ｅの絶対値が表示判定値２９ａより大きいときには自分の傾斜角度２ｅを変更するように動作する。自分の傾斜角度２eの絶対値が表示判定値２９ａより小さいときには自分の傾斜角度２ｅを維持するように動作する。従って、患者２は表示された図形３２を見ることにより自分の傾斜角度２ｅの良否がわかる為、表示装置１は患者２が体の傾きをなくす訓練をし易くできる。

　（３）本実施形態によれば、表示装置１は音を発するスピーカー１２を備えている。傾斜判定部２４が患者２の傾斜角度２ｅの絶対値を第１音判定値３０ａ及び第２音判定値３０ｂと比較する。患者２の傾斜角度２ｅの絶対値が第１音判定値３０ａ～第２音判定値３０ｂの場合には、スピーカー１２は注意する音を発する。そして、患者２の傾斜角度２ｅの絶対値が第２音判定値３０ｂより大きいとき、スピーカー１２は警告する音を発する。

　患者２は音を聞いて自分の傾斜角度２ｅの絶対値が第１音判定値３０ａ及び第２音判定値３０ｂより大きいか小さいかを知る。そして、自分の傾斜角度２ｅの絶対値が第１音判定値３０ａ及び第２音判定値３０ｂより大きいときには自分の傾斜角度２ｅを変更するように動作する。自分の傾斜角度２ｅの絶対値が第１音判定値３０ａより小さいときには自分の傾斜角度２ｅを維持するように動作する。従って、患者２はスピーカー１２が発する音を聞くことにより自分の傾斜角度２ｅの良否がわかる為、表示装置１は患者２が体の傾きをなくす訓練をし易くできる。

　（４）本実施形態によれば、スピーカー１２は患者２の傾斜角度２ｅの絶対値に対応して音量を変える。患者２はスピーカー１２が発する音を聞くことにより自分の傾斜角度２ｅの程度がわかる為、表示装置１は患者２が体の傾きをなくす訓練をし易くできる。

　（５）本実施形態によれば、図形は患者２の傾斜角度２ｅに応じて基本図形を傾斜させた図形３２と患者２の傾斜角度２ｅを示す数字３２ｂである。または、図形は図形３２と文字列３２ｇである。患者２は数字３２ｂまたは文字列３２ｇを確認して自分の傾斜角度２ｅを知ることができる。そして、ヘッドマウントディスプレイ５は患者２の傾斜角度２ｅに応じて数字３２ｂまたは文字列３２ｇを傾けて表示する。従って、ヘッドマウントディスプレイ５は図形３２と数字３２ｂとが自然に融合した図を表示できる。

　（６）本実施形態によれば、ヘッドマウントディスプレイ５は患者２が見る景色に図形３２を重ねて表示する。従って、患者２は目の前の景色を確認しながら訓練できる。従って、患者２は自分の周囲を確認できるので、安全に訓練できる。

　（７）本実施形態によれば、センサー装置４は表示装置１の胸２ｂに設置されている。患者２は首の動きによらず体の傾斜角度２ｅを知ることができる。従って、首の回転が不自由な人においても体の傾斜をなくす訓練を容易に行うことができる。

　（８）本実施形態によれば、表示装置１は患者２に装着して用いられる。従って、患者２は移動しながらでもリハビリを行うことができる。従って、患者２はリハビリを行いたい場所で行うことができる。

　尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
　（変形例１）
　前記実施形態では、センサー装置４を患者２の胸２ｂに設置した。センサー装置４を設置する場所は患者２の傾きを検出可能な場所であれば良く特に限定されない。患者２の背中でも良く、脇でも良い。センサーは身体装着型だけでなく撮影装置にて患者２を撮影して患者２の傾きを検出しても良い。センサー装置４を患者２に適した物に選択しやすくすることができる。

　（変形例２）
　前記実施形態では、ヘッドマウントディスプレイ５が図形３２を表示した。図形３２を表示する表示部にはフラットパネルディスプレイやプロジェクター等の表示装置を用いることができる。患者２の見やすい表示装置及び見やすい形態で見ることができる。

　（変形例３）
　前記実施形態では、傾斜判定部２４は“音なし”、“注意音”、“警告音”の３種類から音の種類を選択した。これ以外の選択数にしても良い。“音なし”及び“注意音”の２種類から選択しても良く、４種類以上の音から選択してもよい。各音の旋律やリズムは特に限定されない。患者２が聞いたときに区別可能であれば良い。旋律やリズムを異なる音にして音量を同じにしても良い。“音なし”に変えて心地よい音にしてもよい。音量の変化を無段階にして連続的に変化させてもよい。音のサンプルを提示して患者２や補助者に選択させても良い。さらに、患者２や補助者が認識し易い色に設定できる。

　（変形例４）
　前記実施形態では、図形３２を人形の形にしたが、この図形に限らず図形３２に患者２の写真を用いても良い。他にも抽象的な図形にしても良い。患者２が自分の傾きを認識し易くすることができる。また、前記実施形態では、図形３２を傾けたが、他にも、図形３２の大きさを変えてもよい。他にも、図形３２は異なる図形を複数用意し交換してもよい。他にも、図形３２が動く動画にしても良い。

　（変形例５）
　前記実施形態では、制御部３とセンサー装置４との通信はケーブル９を介して行われた。制御部３とセンサー装置４との通信は無線通信にて行ってもよい。同様に、制御部３とヘッドマウントディスプレイ５との通信はケーブル９を介して行われた。制御部３とヘッドマウントディスプレイ５との通信は無線通信にて行ってもよい。ケーブル９をなくすることにより患者２が動きやすくなる。

　（変形例６）
　前記実施形態では、図形３２の色は第１表示色～第３表示色の３色を切り替えて表示した。図形３２の色は２色でもよく、４色以上でもよい。患者２が認識し易い色の変化にすることができる。

　（変形例７）
　前記実施形態では、表示角度３３は傾斜角度２ｅの２倍の角度にした。表示角度３３は傾斜角度２ｅの２倍以下の角度でも良く、２倍以上の角度でもよい。図形３２の角度変化を患者２が認識し易い角度変化にすることができる。

　（変形例８）
　前記実施形態では、制御部３は可搬可能な装置であった。制御部３は机上に設置される装置でもよい。制御部３はパーソナルコンピューターを用いても良い。制御部３に統計処理や解析するための機能を多機能にすることができる。

　（変形例９）
　前記実施形態の初期化工程においては、背骨の延びる方向が鉛直方向と平行になるように患者２の姿勢を矯正し、この状態で傾斜角を０度としていたが、これに限定されるものではない。患者の状態によっては姿勢を大きく矯正できない場合があるため、鉛直方向に対する傾斜角度が０度でない姿勢を始点とし、その状態を０度として設定してもよい。

　（変形例１０）
　前記実施形態では、傾斜角度２ｅを頭部３２ａの上に表示させたが、傾斜角度２ｅの一部または全部が図形３２と重なるように表示させてもよい。

　（変形例１１）
　前記実施形態では、患者２に対して図形３２を認識させていたが、医師や療法士等の介助者も図形３２を認識できるように、他の表示装置に図形３２を表示させてもよい。患者だけでなく介助者も図形３２の回転や色の変化に応じて適切な介助を行うことができる。

　１…表示装置、２…人としての患者、２ｅ…傾斜角度、４…検出部としてのセンサー装置、５…表示部としてのヘッドマウントディスプレイ、１０…コンピューターとしてのＣＰＵ、１２…発音部としてのスピーカー、１５…表示プログラムとしてのシステムプログラム、２３…検出部としての傾斜検出部、２４…判定部としての傾斜判定部、２５…図形形成手段及び出力手段としての図形形成部、２９ａ…第１判定値としての表示判定値、３０ａ…第２判定値としての第１音判定値、３０ｂ…第２判定値としての第２音判定値、３２…表示図形としての図形、３２ｂ…数字。

Claims (8)

1. 　人の傾斜角度を検出する検出部と、
   　前記傾斜角度に応じて形状を変えた表示図形を形成する図形形成部と、
   　前記表示図形を表示する表示部と、を備えることを特徴とする表示装置。
2. 　請求項１に記載の表示装置であって、
   　前記傾斜角度の絶対値を第１判定値と比較する判定部を備え、
   　前記傾斜角度の絶対値が前記第１判定値より小さいとき、前記表示部は前記人の傾斜角度の絶対値が前記第１判定値より小さいことを示す表示を行うことを特徴とする表示装置。
3. 　請求項２に記載の表示装置であって、
   　音を発する発音部を備え、
   　前記判定部は前記傾斜角度の絶対値を第２判定値と比較し、
   　前記傾斜角度の絶対値が前記第２判定値より大きいとき、前記発音部は前記音を変えることを特徴とする表示装置。
4. 　請求項３に記載の表示装置であって、
   　前記発音部は前記傾斜角度の絶対値に対応して音量を変えることを特徴とする表示装置。
5. 　請求項１～４のいずれか一項に記載の表示装置であって、
   　前記表示図形は、前記傾斜角度に応じて基本図形を傾斜させた図形と前記傾斜角度を示す数字とを有し、
   　前記表示部は前記傾斜角度に応じて前記数字を傾けて表示することを特徴とする表示装置。
6. 　請求項１～５のいずれか一項に記載の表示装置であって、
   　前記表示部は前記人が見る景色に前記表示図形を重ねて表示することを特徴とする表示装置。
7. 　人の傾斜角度を検出することと、
   　前記傾斜角度に応じて形状を変えた表示図形を表示することと、を有する表示方法。
8. 　コンピューターを、
   　入力された傾斜角度に応じて形状を変えた表示図形を形成する図形形成手段と、
   　前記表示図形を表示部に出力する出力手段と、として機能させるための表示プログラム。

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