WO2016051872A1

WO2016051872A1 - ソフトエラー率計算装置およびソフトエラー率監視方法

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Publication number: WO2016051872A1
Application number: PCT/JP2015/066654
Authority: WO
Inventors: 鳥羽　忠信; 健一新保; 巧上薗; 大坂　英樹
Original assignee: 株式会社日立製作所
Priority date: 2014-09-29
Filing date: 2015-06-10
Publication date: 2016-04-07
Also published as: JP2017227940A

Abstract

　電子機器のソフトエラーに関し、低いソフトエラー率（ＳＥＲ）による高い信頼性を確保することができる技術を提供する。ＳＥＲ計算装置は、建物の構造物の情報を含む建物データと、建物の内部に配置される電子機器を含む複数の設備の情報を含む設備データとを用いて、建物に入射する放射線が建物の内部に配置される設備の位置に到達するまでに建物の構造物によって減衰する度合いを表す減衰指標値を含むモデルを計算し、減衰の指標値を含むモデルを用いて、建物の内部に配置される設備の位置ごとのＳＥＲを計算し、設備の位置ごとのＳＥＲと建物内の位置毎の賃貸料金を含むサービス料の情報を出力する。

Description

ソフトエラー率計算装置およびソフトエラー率監視方法

　本発明は、計算装置及び情報処理の技術に関する。また本発明は、電子機器のソフトエラー率を計算する技術に関する。

　半導体デバイスの微細化及び高集積化に伴い、中性子ソフトエラー等のソフトエラーの問題が拡大している。中性子ソフトエラーとは、自然界の中性子線が半導体デバイスに入射することによって半導体デバイスのメモリの保持データが反転する現象を指す。複数の半導体デバイスを搭載する、サーバ等の各種の電子機器は、中性子ソフトエラーに起因する間欠障害が増加している。データセンタ等のシステムは、建物の内部に各種の電子機器を含む設備が多数配置され、ソフトエラーへの対策が急務である。

　ソフトエラーに関する対策の例としては、電子機器のハードウェアの二重化などの冗長化方式がある。冗長化方式により、ソフトエラーによる障害を表面化させないことにより、電子機器及びシステムの信頼性を確保している。

　中性子ソフトエラーを含むソフトエラーに関する指標として、ソフトエラー率（ＳＥＲ：Soft Error Rate）がある。ソフトエラー率は、電子機器の信頼性を示す重要な指標になりつつある。

　上記ソフトエラーに関する先行技術例として、特開２００６－１３４９３８号公報（特許文献１）、及び特開２００８－３９４５３号公報（特許文献２）が挙げられる。

　特許文献１は、半導体デバイスのソフトエラー率の検証方法として、構成要素ごとのソフトエラー率を単純総和する手法が記載されている。

　特許文献２は、コンクリートやポリエチレンによって低いエネルギー帯の中性子を減衰できることが記載されている。

特開２００６－１３４９３８号公報特開２００８－３９４５３号公報

　非特許文献1：JEDEC Standard No.89A（JESD89A）， Measurement and Reporting of Alpha Particle and Terrestrial Cosmic Ray-Induced Soft Errors in Semiconductor Devices, page69, 2006, JEDEC SOLID STATE TECHNOLOGY ASSOCIATION

　半導体デバイスを搭載する電子機器、及び電子機器を含む設備が配置されるデータセンタ等のシステム及び建物は、中性子ソフトエラーを含むソフトエラーへの対策により信頼性を確保する必要がある。また、データセンタは、建物の内部に配置される設備の数が多いため、冗長化方式ではコスト及び消費電力が増加する。

　本発明の目的は、電子機器のソフトエラーに関して計算することができ、低いソフトエラー率による高い信頼性を確保することができる技術を提供することである。本発明の他の目的は、低いソフトエラー率による高い信頼性と共に、低いコスト及び消費電力のデータセンタ等のシステム及び建物を実現できる技術を提供することである。

　さらに、データセンタ等のセキュリティ、電源安定性、温湿度等の環境安定性などの付加価値を持つ建物のスペースを有料で顧客に貸し出すビジネスにおいて、中性子によるシステム障害確率と賃貸料金と関連させて増減させるサービスを提供することである。

　本発明のうち代表的な実施の形態は、ソフトエラー率を計算する計算装置であるソフトエラー率計算装置であって、以下に示す構成を有することを特徴とする。

　一実施の形態のソフトエラー率計算装置は、建物の構造物の情報を含む建物データを格納する建物データ格納部と、前記建物の内部に配置される電子機器を含む複数の設備の情報を含む設備データを格納する設備データ格納部と、建物の構造物内の1箇所以上の中性子量データを格納する中性子量データ格納部と、前記建物データと設備データと中性子量データを用いて、前記建物の内部に配置される設備の位置ごとのソフトエラー率を計算するソフトエラー率計算部と、前期ソフトエラー率から建物内の位置毎のサービス料の増減率を表すサービス料率を計算する料率計算部と、前記設備の位置ごとのソフトエラー率と前記サービス料率を含む情報を利用者に対し出力する出力制御部とを有する。

　本発明のうち代表的な実施の形態によれば、電子機器のソフトエラーに関して計算することができ、低いソフトエラー率による高い信頼性を確保することができる。またソフトエラー率と連動したサービス料金を提示することでサービスを利用するユーザのニーズに合わせたサービスを提供できる。また高い信頼性を確保した価値をサービス料に反映することできる。また本発明のうち代表的な実施の形態によれば、低いソフトエラー率による高い信頼性と共に、低いコスト及び消費電力のデータセンタ等のシステム及び建物を実現できるとともに、建物を賃貸する等のサービスを提供する際に信頼性の高さを付加価値として提示できる。

本発明の実施の形態ソフトエラー率計算装置を含む計算システムの構成を示す図である。実施の形態１のソフトエラー率計算装置の構成の概要を示す図である。実施の形態１のソフトエラー率計算装置の処理のフロー図である。本発明の実施の形態ソフトエラー率計算装置を含む計算システムの構成を示す図である。実施の形態１のソフトエラー率計算装置の構成の概要を示す図である。実施の形態１のソフトエラー率計算装置の処理のフロー図である。実施の形態１の料金データの構成例を示す図である。実施の形態１のソフトエラー率計算結果の画面例を示す図である。実施の形態１のソフトエラー率計算装置の構成例を示す図である。実施の形態１のソフトエラー率計算装置の処理のフロー図である。実施の形態１の建物データ格納部及び建物データの構成例を示す図である。実施の形態１の設備データ格納部及び設備データの構成例を示す図である。実施の形態１の中性子減衰計算部の構成例を示す図である。実施の形態１のソフトエラー計算制御部の構成例を示す図である。実施の形態１の中性子データ部の構成例を示す図である。実施の形態１のソフトエラー断面積データ部の構成例を示す図である。実施の形態１のソフトエラー率データの構成例を示す図である。実施の形態１のデータ入力の画面例を示す図である。実施の形態１のソフトエラー率計算結果の画面例を示す図である。実施の形態１の料金変動率、料金計算結果の画面例を示す図である。実施の形態１の２次元フロアマップの第２の構成例を示す図である。実施の形態１及び実施の形態２の設定の画面例を示す図である。実施の形態１のデータ入力の画面例を示す図である。実施の形態１のデータ入力の画面例を示す図である。実施の形態１の計算モデルの例を示す図である。実施の形態１の放射線源の例を示す図である。実施の形態１の変形例による画面例を示す図である本発明の実施の形態２のソフトエラー率計算装置の構成の概要を示す図である。実施の形態２のソフトエラー率計算装置の設備配置変更処理のフロー図である。実施の形態２のソフトエラー率計算装置の建物構造変更処理のフロー図である。実施の形態２の設計変更の画面例を示す図である。実施の形態２の設備配置変更前の状態を表示する画面例を示す図である。実施の形態２の設備配置変更後の第１の状態を示す図である。実施の形態２の設備配置変更後の第２の状態を示す図である。実施の形態２の建物構造後の状態を表示する画面例を示す図である。実施の形態２の設計変更前の状態を表示する画面例を示す図である。実施の形態２の設計変更後の状態を表示する画面例を示す図である。実施の形態のＳＥＲ計測器設置例を示す図である。実施の形態のＳＥＲ計測器の構成例を示す図である。

　以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、説明上、適宜、ソフトエラー率をＳＥＲと略称する。

　＜実施の形態１＞
　図１～図２７を用いて、本発明の実施の形態１及び実施の形態２のＳＥＲ計算装置１について説明する。図１等に示す、実施の形態１のＳＥＲ計算装置１は、データセンタ等の建物の内部に配置される複数の電子機器を含む設備に関する、中性子ソフトエラーを含むソフトエラーに関するＳＥＲを計算する機能を提供する。当該機能は、建物の構造体における床や壁などの構造物による中性子線を含む放射線の遮蔽による減衰の効果を考慮した、設備ごとのＳＥＲ、及び建物全体のＳＥＲやＳＥＲに連動した建物内のサービス料率等を計算する。

　［計算システム１］
　図１は、実施の形態１及び実施の形態２のＳＥＲ計算装置１を含む計算システムの構成を示す。計算システムは、ＳＥＲ計算装置１、設計装置２、設計装置３、及び表示装置４がネットワー９を通じて接続される。利用者ＵＡは、ＳＥＲ計算装置１を操作する。利用者ＵＢは、設計装置２を操作する。利用者ＵＣは、設計装置３を操作する。利用者ＵＤは、表示装置４を操作する。ＳＥＲ計算装置１、設計装置２、設計装置３、及び表示装置４は、例えば、ＰＣ等の計算機で構成される。なお、図１の設計データ３５は、後述する実施の形態２の構成において備える。

　設計装置２は、データセンタ等の建物の構造を設計する機能を有し、公知のＣＡＤ等の設計ソフトウェアを備え、利用者ＵＢにより建物データＤ２等を作成し記憶及び管理する。建物データＤ２は、建物の構造体を表す３次ＣＡＤデータや図面データ等を含む。

　設計装置３は、複数の電子機器を含む設備を構成要素とするデータセンタ等のシステムを設計する機能を有し、公知のＣＡＤ等の設計ソフトウェアを備え、利用者ＵＣにより設備データＤ３等を作成し記憶及び管理する。設備データＤ３は、対象システムの論理的な構成を表すデータとして、構成要素となる各設備のデータを含む。設備データＤ３は、建物内の設備の配置の設計の情報を含んでもよい。利用者ＵＣは、建物データＤ２の参照に基づき、建物内の設備の配置の設計の情報を含む設備データＤ３を作成してもよい。

　表示装置４は、建物内部の一部を賃貸する際の料金データを表示する機能を有し、利用者ＵＤに提示する。

　なお、利用者ＵＡ，ＵＢ，ＵＣ，ＵＤは、同じ人でもよい。ＳＥＲ計算装置１、設計装置２、設計装置３、及び表示装置４は、一体的な装置でもよい。例えば、設計装置２と設計装置３が一体的で、利用者ＵＢ，ＵＣが同じ人でもよい。設計装置３とＳＥＲ計算装置１が一体的で、利用者ＵＣ，ＵＡが同じ人でもよい。設計装置３と表示装置４が一体的で、ＵＣ、ＵＤが同じ人でも良い。建物データＤ２の設計と設備データＤ３の設計は１つの設計として統合されてもよい。ＳＥＲ計算装置１の利用者ＵＡは、建物データＤ２及び設備データＤ３に基づき、建物内の設備の配置を設計して設備配置情報を作成してもよい。ＳＥＲ計算装置１の利用者ＵＡは表示装置４の料金データＤ４に基づき、建物内の設備配置情報を作成、変更してもよい。

　ＳＥＲ計算装置１は、制御装置２０１、記憶装置２０２、入力装置２０３、出力装置２０４、通信Ｉ/Ｆ装置２０５（Ｉ/Ｆ：インタフェース）、バス及び電源装置等を有する。制御装置２０１は、ＣＰＵ、ＲＡＭ、及びＲＯＭ等で構成される。

　制御装置２０１は、ＳＥＲ計算部２１、ＳＥＲ判定部２２、入出力制御部５１、及び設定部５２を有する。制御装置２０１は、記憶装置２０２のプログラム４０を読み出して実行することにより、ＳＥＲ計算部２１等の各部の機能及び処理を実現する。

　記憶装置２０２は、プログラム４０、画面データ４１、ＤＢ（データベース）３０、及び入出力データ等の各種のデータ情報を記憶する。ＤＢ３０は、設定情報３１、建物データ３２、設備データ３３、ＳＥＲデータ３４、設計データ３５、料金データ３６、中性子量情報３７等の各種のデータ情報が格納される。

　入力装置２０４は、キーボードやマウス、及びその入出力制御部を含む。出力装置２０５は、ディスプレイやプリンタ、及びその入出力制御部を含む。通信Ｉ/Ｆ装置２０６は、ネットワーク９との通信インタフェース処理を行う。

　建物データ３２は、設計装置２の建物データＤ２のコピーによる入力データ、またはＳＥＲ計算装置１での直接入力によるデータである。設備データ３３は、設計装置３の設備データＤ３のコピーによる入力データ、またはＳＥＲ計算装置１での直接入力によるデータである。ＳＥＲ計算装置１は、例えば、設計装置２の建物データＤ２、及び設計装置３の設備データＤ３をそれぞれネットワーク９を介して受信及び取得し、ＤＢ３０に建物データ３２及び設備データ３３として格納し管理する。

　ＳＥＲデータ３４は、ＳＥＲ計算装置１で計算及び解析した結果による、建物や設備のソフトエラー率を含むデータである。ＳＥＲデータ３４は、後述の図１８のようなテーブルのデータを含む。

　料金データ３６は、ＳＥＲデータ３４に基づいて計算された建物の内の位置毎の賃貸料金等のサービス料を含むデータである。また、中性子量情報３７は、建物の内部の位置毎の中性子の量を示すデータである。この中性子量を示すデータは、何らかの計算によって出される見積もり値や実測した結果等で、その取得方法は問わない。

　入出力制御部５１は、ＳＥＲ計算装置１の入出力制御処理を行う。入出力制御部５１は、画面データ４１を用いて、利用者ＵＡに対するグラフィカルユーザインタフェース（ＧＵＩ）となる画面を構成し、出力装置２０４のうちの表示装置に表示する。画面データ４１は、入出力制御部５１によるＧＵＩ画面を構成するためのデータである。画面データ４１は、建物や設備やＳＥＲの情報を複数の形式で表示可能とするためのデータを含む。

　設定部５２は、入出力制御部５１によるＧＵＩ画面などで利用者ＵＡによる入力を受け付けて設定情報３１を設定する処理を行う。設定情報３１は、ＳＥＲ計算装置１のプログラム４０による機能の設定情報を含み、例えば、ＳＥＲ計算装置１またはそのプログラム４０を提供する事業者による設定情報、及び利用者ＵＡにより設定される情報を含む。設定情報３１は、ＳＥＲに関する目標値や、計算時の条件などの情報や、後述の図１６のような設定画面で設定される情報を含む。

　利用者ＵＡは、ＳＥＲ計算装置１に接続される他の端末装置を操作してＳＥＲ計算装置１にアクセスしてその機能を利用してもよい。即ちＳＥＲ計算装置１はサーバ等の形態でもよい。ＳＥＲ計算装置１のプログラム４０は、ネットワーク９を通じてダウンロード及びインストールされてもよい。

　［ＳＥＲ計算装置の構成（１）］
　図２は、図１の実施の形態１のＳＥＲ計算装置１の構成の概要を示す。入出力制御部５１は、出力装置２０４のうちの表示装置を用いた表示部５２にＧＵＩ画面を表示する。入出力制御部５１は、ＧＵＩ画面を通じた、各種のデータの入力及び出力の制御処理を行う。利用者ＵＡは、表示部５３のＧＵＩ画面を見ながら操作する。ＧＵＩ画面のメニューにおいて、データ入力、データ出力、設定、ＳＥＲ計算、ＳＥＲ判定、及び後述の設計変更、等の各機能に対応したコマンドを提供し、利用者ＵＡにより選択して実行可能である。

　設定部５２は、ＧＵＩ画面で入力される情報を設定情報３１として格納する。入出力制御部５１は、ＧＵＩ画面を通じて、設計装置２からの建物データＤ２、または利用者ＵＡにより直接入力される情報を、建物データ３２として格納する。入出力制御部５１は、ＧＵＩ画面を通じて、設計装置３からの設備データＤ３、または利用者ＵＡにより直接入力される情報を、設備データ３３として格納する。

　入出力制御部５１は、上記ＳＥＲ計算及び判定の処理結果を含む各種の情報を出力するＧＵＩ画面を生成して表示部５３に表示する。

　設備計算部２１Ｃは、設備データ３３を用いて建物内の設備の配置を含む設備のモデルを作成する計算処理を行う。

　設備ＳＥＲ計算部２１Ｂは、中性子量情報３７に基づき、建物内に配置される複数の各々の設備ごとのＳＥＲを設備ＳＥＲとして計算する処理を行う。

　また、建物ＳＥＲ計算部２１Ｃは、上記モデル及び上記設備ＳＥＲに基づき、建物全体の単位でのＳＥＲを建物ＳＥＲとして計算する処理を行う。上記計算された設備ＳＥＲ及び建物ＳＥＲは、ＳＥＲデータ３４として格納される。

　入出力制御部５１は、設備ＳＥＲ計算部２１Ｂと建物ＳＥＲ計算部２１Ｃと料金計算部２６で計算されたＳＥＲデータ３４を含む情報を利用者ＵＡに対して出力するＧＵＩ画面を生成して表示部５３に表示する。また、入出力制御部５１は、上記ＳＥＲ計算結果の画面の中にＳＥＲ計算値と建物の位置情報と賃貸等のサービス料金情報とを一緒に表示する。

　［ＳＥＲ計算装置の処理］
　図３は、図２の実施の形態１のＳＥＲ計算装置１の処理フローを示す。Ｓ１０１等は処理ステップを示す。ＳＥＲ計算装置１は、例えば、利用者ＵＡの操作により画面のメニューからＳＥＲ計算の実行が選択されると、以下の処理を開始する。

　（Ｓ１０１）Ｓ１０１で、ＳＥＲ計算装置１は、建物データＤ２を入力して建物データ格納部１２に建物データ３２として格納し、設備データＤ３を入力して設備データ格納部１３に設備データ３３として格納する。

　（Ｓ１２１）Ｓ１０１で入力されたデータと中性子量情報３７に基づき、建物の位置毎のサービス料金の高低を表すサービス料率の料金変動係数を計算する。中性子量情報３７は、建物の内部の位置毎の中性子の量を示すデータであり、計算によ推定値や中性子量を計測する計測器等で実測した結果等をもとにＳＥＲ計算装置１に格納される。

　（Ｓ１２２）Ｓ１２１で計算しいた結果である料金変動率係数と、建物の位置毎の賃貸等のサービス料金に基づき、ＳＥＲの結果に連動したサービスに対する料金を計算する。

　（Ｓ１２３）ＳＥＲ計算装置１は、入出力制御部５１により、出力制御処理として、Ｓ１０８までのＳＥＲの計算及び料金計算結果の情報を含む画面を生成して表示部５３に表示する。この画面は、対象の建物の構造、建物内の設備の配置、計算された設備ＳＥＲや建物ＳＥＲ等のＳＥＲの情報、及びサービスに対する料金情報などを含む。

　［計算システム２］
　図４は、実施の形態１にＳＥＲ計算手段を設けた実施の形態２の計算システム２の構成を示す。計算システム２は、図１で示した計算システム１の構成に加え、設計変更部２３を有す。ＳＥＲ計算装置１、設計装置２、及び設計装置３、表示装置４は、例えば、ＰＣ等の計算機で構成される。なお、図４の設計変更部２３及び設計データ３５は、後述する実施の形態２の構成において備える。

　［ＳＥＲ計算装置の構成（２）］
　図５は、図４の実施の形態２のＳＥＲ計算装置１の構成の概要を示す。入出力制御部５１は、出力装置２０４のうちの表示装置を用いた表示部５２にＧＵＩ画面を表示する。入出力制御部５１は、ＧＵＩ画面を通じた、各種のデータの入力及び出力の制御処理を行う。利用者ＵＡは、表示部５３のＧＵＩ画面を見ながら操作する。ＧＵＩ画面のメニューにおいて、データ入力、データ出力、設定、ＳＥＲ計算、ＳＥＲ判定、及び後述の設計変更、等の各機能に対応したコマンドを提供し、利用者ＵＡにより選択して実行可能である。

　ＳＥＲ計算部２１は、モデル計算部２１Ａ、設備ＳＥＲ計算部２１Ｂ、及び建物ＳＥＲ計算部２１Ｃを有する。モデル計算部２１Ａは、ＳＥＲの計算のためのモデルを作成する計算処理を行う。モデル計算部２１Ａは、放射線計算部２１ａ、建物計算部２１ｂ、設備計算部２１ｃ、及び減衰計算部２１ｄを有する。モデル計算部２１Ａは、設定情報３１を用いてモデルを設定してもよい。

　放射線計算部２１ａは、中性子線などの放射線に関するモデルを作成する計算処理を行う。建物計算部２１ｂは、建物データ３２を用いて建物のモデルを作成する計算処理を行う。設備計算部２１ｃは、設備データ３３を用いて建物内の設備の配置を含む設備のモデルを作成する計算処理を行う。減衰計算部２１ｄは、上記放射線、建物、及び設備を含むモデルを用いて、ＳＥＲの計算用のモデルを作成する計算処理を行う。このモデルは、建物に入射する放射線が建物内に配置される設備の位置に到達して貫通する際における建物の構造物による放射線の遮蔽による減衰の度合いを表す指標値を含むモデルである。

　設備ＳＥＲ計算部２１Ｂは、モデル計算部２１Ａで作成したモデルに基づき、建物内に配置される複数の各々の設備ごとのＳＥＲを設備ＳＥＲとして計算する処理を行う。また、建物ＳＥＲ計算部２１Ｃは、上記モデル及び上記設備ＳＥＲに基づき、建物全体の単位でのＳＥＲを建物ＳＥＲとして計算する処理を行う。上記計算された設備ＳＥＲ及び建物ＳＥＲは、ＳＥＲデータ３４として格納される。

　ＳＥＲ判定部２２は、設備ＳＥＲ判定部２２Ａ、及び建物ＳＥＲ判定部２２Ｂを有する。ＳＥＲ判定部２２は、ＳＥＲ計算部２１で計算された結果のＳＥＲデータ３４と、設定情報３１のうちの目標値とを用いて、各種のＳＥＲの良否ないし可否などを判定し、その結果をＳＥＲデータ３４の一部として出力する。設備ＳＥＲ判定部２２Ａは、ＳＥＲデータ３４のうちの設備ＳＥＲの値（Ｒｉとする）と、目標値のうちの目標設備ＳＥＲの値（Ｔｉとする）とを比較し、Ｒｉ≦Ｔｉである場合は良（ＯＫ）、Ｒｉ＞Ｔｉである場合は否（ＮＧ）、と判定する。建物ＳＥＲ判定部２２Ａは、ＳＥＲデータ３４のうちの建物ＳＥＲの値（Ｒallとする）と、目標値のうちの目標建物ＳＥＲの値（Ｔallとする）とを比較し、Ｒall≦Ｔallである場合は可、Ｒall＞Ｔallである場合は否、と判定する。

　［ＳＥＲ計算装置の処理］
　図６は、図５の実施の形態２のＳＥＲ計算装置１の処理フローを示す。Ｓ１０１等は処理ステップを示す。ＳＥＲ計算装置１は、例えば、利用者ＵＡの操作により画面のメニューからＳＥＲ計算の実行が選択されると、以下の処理を開始する。

　（Ｓ１０２）Ｓ１０２で、ＳＥＲ計算装置１は、中性子減衰計算部１６により、建物データ３２に含まれる建物位置情報に基づき、中性子データ部１４の自然界中性子スペクトルデータを補正することにより、地理補正中性子スペクトルデータＤ６ａを計算する。

　（Ｓ１３１）Ｓ１０１で入力されたデータと中性子量情報３７に基づき、建物の位置毎のサービス料金の高低を表すサービス料率の料金変動係数を計算する。中性子量情報３７は、建物の内部の位置毎の中性子の量を示すデータであり、計算によ推定値や中性子量を計測する計測器等で実測した結果等をもとにＳＥＲ計算装置１に格納される。

　（Ｓ１３２）Ｓ１２１で計算しいた結果である料金変動率係数と、建物の位置毎の賃貸等のサービス料金に基づき、ＳＥＲの結果に連動したサービスに対する料金を計算する。

　（Ｓ１３３）ＳＥＲ計算装置１は、入出力制御部５１により、出力制御処理として、Ｓ１０８までのＳＥＲの計算及び料金計算結果の情報を含む画面を生成して表示部５３に表示する。この画面は、対象の建物の構造、建物内の設備の配置、計算された設備ＳＥＲや建物ＳＥＲ等のＳＥＲの情報、及びサービスに対する料金情報などを含む。

　［ＳＥＲデータ］
　図７は、ＳＥＲ計算装置１のＳＥＲ計算結果の料金データ３６のテーブルの構成例を示す。

　入出力制御部５１は、図７のような料金データ３６のテーブルをサービスに対する料金計算結果として画面に表示してもよい。料金データ３６のテーブルは、列として、料金データおよび行の識別情報であるＩＤと、建物、フロア、エリア、及び分割エリアの各識別情報と、設備の識別情報と、建物内の位置毎のＳＥＲ情報と、その位置での賃貸等のサービスの基礎料金と、料金計算部２６の計算結果である料金変動率係数と、基礎料金と料金変動率係数との計算結果の料金とを有する。

　種類の列は、例えば、「建物」の場合は建物ＳＥＲ、「フロア」の場合はフロアＳＥＲ、「エリア」の場合はエリアＳＥＲ、「設備」の場合は設備ＳＥＲを示す。建物、フロア、エリア、及び分割エリアの列は、ＳＥＲ計算の対象を示し、設備ＳＥＲの場合は建物内の設備の位置を示す情報である。なお、本例ではエリアと分割エリアは別である。エリアは、フロア内の任意の区画などである。分割エリアは、ＳＥＲ計算および料金計算用に設定され、後述の図２１に示すメッシュ等により分割されたエリアを示す。料金データ３６のテーブルは更に位置座標などの列を有してもよい。

　［データ出力画面］
　図１３は、ＳＥＲ計算装置１の入出力制御部５１により提供する画面例として、ＳＥＲ計算結果を含むデータ出力画面を示す。ＳＥＲ計算装置１は、建物内に複数の設備が配置された状態の建物データ３２及び設備データ３３を入力データとして、前述のＳＥＲ計算及び判定処理を行った結果を、データ出力画面に表示する。この画面において、利用者ＵＡにより、ＳＥＲ計算及び判定の結果を確認し、データとして出力することができる。

　入出力制御部５１は、データ出力画面において、建物の構造、建物内の設備の配置、設備の位置ごとの設備ＳＥＲ等の情報を、利用者ＵＡまたは予めの設定により指定された形式で表示する。この形式は、データ情報の見せ方の形式であり、２次元形式及び３次元形式を含む複数の形式から選択可能である。

　データ出力画面において、項目１３０１は、対象の建物の建物ＳＥＲを表示する。項目１３０２は、建物データ３２、設備データ３３、及びＳＥＲデータ３４に基づき、（Ｘ，Ｙ，Ｚ）の３次元の形式で、建物の構造、建物内の設備の配置、及び各設備の位置ごとの設備ＳＥＲ等の情報を表示する。項目１３０２は、本例では、建物を斜め上から見る方向で表示し、建物の一側面に並んで見える各設備の設備ＳＥＲを表示している。項目１３０２の表示内容は、利用者ＵＡの操作により、建物を見る方向や見る部分やサイズ等を適宜変えることができる。

　項目１３０５は、建物ＳＥＲと目標値と判定結果を表示している。また、項目１３０２において利用者ＵＡの操作により設備が選択された場合、入出力制御部５１は、その設備の詳細情報を、項目１３０６に表示する。設備の詳細情報は、設備データ３３及びＳＥＲデータ３４等に基づき、例えば、設備のＩＤ、種類、位置、設備ＳＥＲ、及び判定結果などを含む。

　項目１３０６は、ポップアップ表示や他の項目や画面への表示でもよい。項目１３０６は、本例では、設備ＩＤがＳ１２３、設備種類がサーバ、設備の配置の位置が分割エリアＢ１２３、設備ＳＥＲが１２５、ＳＥＲ判定結果が良、を表示している。

　項目１３０３は、対象の建物の各フロアのフロアＳＥＲを表示する。項目１３０４は、項目１３０３で利用者ＵＡにより指定されたフロアの構成、フロア内の設備の配置、及び各設備の設備ＳＥＲ等の情報を、（Ｘ，Ｙ）の２次元のフロアマップの形式で表示する。項目１３０４は、本例では、各設備の外形を示す枠内に設備ＳＥＲの値を表示している。また、項目１３０４において利用者ＵＡの操作により設備が選択された場合、入出力制御部５１は、その設備の詳細情報を、項目１３０７に表示する。

　入出力制御部５１は、上記画面において、例えば、項目１３０２や項目１３０４にＳＥＲ判定結果情報を直接表示してもよい。また、中性子量に連動した位置毎のサービスに対する料金計算結果を表示してもよい。ＳＥＲ情報の表示については、例えば、良（ＯＫ）または否（ＮＧ）の情報、あるいは良否に応じて設備の色や形を変えた情報でもよい。例えば、否となった設備を赤色で表示してもよい。これにより、利用者ＵＡは、ＳＥＲが目標値の条件を満たさない設備を容易に認識でき、当該設備に関する設計の変更などを検討しやすい。

　［ＳＥＲ計算装置の構成（２）］
　図９は、図２の実施の形態２のＳＥＲ計算装置１の詳しい構成例を示す。図９の構成は、特に中性子ソフトエラーに関するＳＥＲ計算の機能を備える構成例を示す。ＳＥＲ計算装置１は、建物データ格納部１２、設備データ格納部１３、中性子データ部１４、ソフトエラー断面積データ部１５、中性子減衰計算部１６、ソフトエラー計算制御部１７、入出力制御部５１、設定部５２、表示部５３、及びＤＢ３０等を有する。ＳＥＲ計算装置１は、建物データ３２、設備データ３３、中性子データＤ４、ソフトエラー断面積データＤ５、ＳＥＲデータ３４、及び出力データＤ８、等のデータ情報を記憶及び管理する。

　建物データ格納部１２は、外部から入力される建物データＤ２を建物データ３２として格納する。設備データ格納部１３は、外部から入力される設備データＤ３を設備データ３３として格納する。

　中性子データ部１４は、中性子データＤ４を格納する。中性子データＤ４は、地球上に降り注ぐ自然界の中性子線のデータである、自然界中性子スペクトルデータを含む。中性子データＤ４は、公知のデータを使用してもよいし、ＳＥＲ計算装置１で計算または設定されたデータを格納してもよい。

　ソフトエラー断面積データ部１５は、ソフトエラー断面積データＤ５を格納する。ソフトエラー断面積は、電子機器のソフトエラーの起こり易さのエネルギー特性を示す。ソフトエラー断面積データＤ５は、公知のデータを使用してもよいし、ＳＥＲ計算装置１で計算または設定されたデータを格納してもよい。

　中性子減衰計算部１６は、建物データＤ２ａ、設備データＤ３ａ、及び中性子データＤ４等を用いて、地理補正中性子スペクトルデータＤ６ａと、減衰中性子スペクトルデータＤ６ｂとを計算し出力する。

　地理補正中性子スペクトルデータＤ６ａは、減衰計算に関して基準となる減衰前のデータである。地理補正中性子スペクトルデータＤ６ａは、基準となる地理的な位置における中性子スペクトルデータと、対象の建物の建物位置情報とを用いた、地理補正の演算により得られる。地理補正中性子スペクトルデータＤ６ａは、計算モデルにおける、建物に入射する自然界の中性子線に対応する。

　減衰中性子スペクトルデータＤ６ｂは、建物内の設備の配置の位置ごとにおける中性子線の減衰後の状態を表すスペクトルデータである。減衰中性子スペクトルデータＤ６ｂは、建物に入射する自然界の中性子線のスペクトルデータが、建物内に配置される設備の位置に到達するまでに、建物の構造物によってどれだけ遮蔽されて減衰されるかを表す。

　ソフトエラー計算制御部１７は、地理補正中性子スペクトルデータＤ６ａ、減衰中性子スペクトルデータＤ６ｂ、ソフトエラー断面積データＤ５、建物データＤ２ａ、及び設備データＤ３ａ等に基づき、各種のＳＥＲを計算する処理を制御する。また、ソフトエラー計算制御部１７は、計算したＳＥＲと目標値とを比較して良否を判定するＳＥＲ判定処理を制御する。ソフトエラー計算制御部１７は、ＳＥＲの計算及び判定の結果をＳＥＲデータ３４と
してＤＢ３０に保存すると共に、ＳＥＲデータＤ７として入出力制御部５１へ出力する。

　入出力制御部５１は、画面データ４１、建物データＤ２ａ、設備データＤ３ａ、及びＳＥＲデータＤ７等を用いて、建物の構成、設備の配置の構成、及びＳＥＲの計算及び判定の結果などの情報を含む画面を生成して表示部５３に表示する。入出力制御部５１は、上記情報を、利用者ＵＡにより指定または設定された形式で表示するための画面を生成する。この表示の形式は、後述の図１３等の画面例で示すように、２次元表示形式及び３次元表示形式を含む複数の形式から利用者ＵＡにより選択または設定が可能である。

　［ＳＥＲ計算装置の処理］
　図１０は、図９の実施の形態１のＳＥＲ計算装置２の処理フローを示す。Ｓ１０１等は処理ステップを示す。ＳＥＲ計算装置１は、例えば、利用者ＵＡの操作により画面のメニューからＳＥＲ計算の実行が選択されると、以下の処理を開始する。

　（Ｓ１１０）Ｓ１０３～Ｓ１０５を含むＳ１１０は、設備ごとのＳＥＲである設備ＳＥＲを計算する処理である。ＳＥＲ計算装置１は、建物内のすべての設備についてＳ１１０の処理を行う。

　（Ｓ１０３）Ｓ１０３で、ＳＥＲ計算装置１は、中性子減衰計算部１６により、建物データ３２のうちの建物構造情報、設備データ３３のうちの設備位置情報、及び中性子データＤ４等に基づき、建物内の設備の配置の位置における減衰中性子スペクトルデータＤ６ｂを計算する。

　（Ｓ１０４）Ｓ１０４で、ＳＥＲ計算装置１は、ソフトエラー計算制御部１７により、地理補正中性子スペクトルデータＤ６ａ、減衰中性子スペクトルデータＤ６ｂ、及びソフトエラー断面積データ部１５のソフトエラー断面積データＤ５等に基づき、建物内の設備の配置の位置におけるＳＥＲに関する減衰率を計算する。減衰率をＧで表す。

　（Ｓ１０５）Ｓ１０５で、ＳＥＲ計算装置１は、ソフトエラー計算制御部１７により、設備データ３３または設定情報３１による設備の基本ＳＥＲに、Ｓ１０４で得た減衰率Ｇを乗算する演算により、当該設備の実効ＳＥＲである設備ＳＥＲ（Ｒｉ）を計算する。減衰率Ｇは、設備の基本ＳＥＲ（Ｒｒとする）を用いて、Ｒｉ＝Ｒｒ×Ｇで計算できる。ソフトエラー計算制御部１７は、計算した設備ＳＥＲをＳＥＲデータ３４に格納する。

　（Ｓ１０６）Ｓ１０６で、ＳＥＲ計算装置１は、Ｓ１１０の設備ＳＥＲ計算処理を、対象の建物内のすべての設備について終了したかを確認し、終了するまでＳ１１０の処理を、対象の設備を変えながら同様に繰り返す。ＳＥＲ計算装置１は、Ｓ１１０の計算結果である全設備の設備ＳＥＲを含む情報をＳＥＲデータ３４に格納する。

　（Ｓ１０７）Ｓ１０７で、ＳＥＲ計算装置１は、対象の建物内のすべての設備の設備ＳＥＲを用いて、それら設備ＳＥＲの総和などの演算により、建物全体の単位でのＳＥＲである建物ＳＥＲ（Ｒall）を計算する。ＳＥＲ計算装置１は、計算結果である建物ＳＥＲを含む情報をＳＥＲデータ３４に格納する。

　なお、フロア単位のＳＥＲであるフロアＳＥＲや、エリア単位のＳＥＲであるエリアＳＥＲ等についても、上記と同様に計算可能である。例えば、フロアＳＥＲは、対象のフロア内の全設備ＳＥＲの総和などにより計算可能である。エリアＳＥＲは、対象のエリア内の全設備ＳＥＲの総和などにより計算可能である。

　（Ｓ１０８）Ｓ１０８で、ＳＥＲ計算装置１は、ソフトエラー計算制御部１７により、ＳＥＲ判定処理を行う。ＳＥＲ判定処理は、建物内の各々の設備について、上記計算した設備ＳＥＲと、それぞれに対応付けられた目標値である目標設備ＳＥＲとを比較して、ソフトエラーに関する良否を判定する。また、ＳＥＲ判定処理は、建物について、上記計算した建物ＳＥＲと、それに対応付けられた目標値である目標建物ＳＥＲとを比較して、ソフトエラーに関する良否を判定する。フロア等の単位についても同様に判定可能である。

　ソフトエラー計算制御部１７は、上記ＳＥＲ判定処理の結果情報を、ＳＥＲデータ３４として格納する。ＳＥＲ判定結果は、例えば、フラグ情報として、良（ＯＫ）の場合は０、否（ＮＧ）の場合は１、がＳＥＲデータ３４内に格納される。上記ＳＥＲ判定結果である良否は、ソフトエラーの起こり易さを２値で表している。上記目標値である目標設備ＳＥＲ及び目標建物ＳＥＲは、設定情報３１あるいは建物データ３２や設備データ３３の一部として設定される。

　（Ｓ１０９）Ｓ１０９で、ＳＥＲ計算装置１は、入出力制御部５１により、出力制御処理として、Ｓ１０８までのＳＥＲの計算及び判定の結果情報を含む画面を生成して表示部５３に表示する。この画面は、対象の建物の構造、建物内の設備の配置、計算された設備ＳＥＲや建物ＳＥＲ等のＳＥＲの情報、及びＳＥＲ判定結果情報などを含む。

　［建物データ格納部］
　図１１は、建物データ格納部１２及び建物データ３２の構成例を示す。建物データ格納部１２は、建物データ設定部１２１、建物データ格納メモリ１２２、及び建物データ書き換え部１２３を有する。建物データ３２は、建物情報３２ａと、建物位置情報３２ｂと、建物構造情報３２ｃと、構造物特性情報３２ｄと、を含む。建物構造情報３２ｃは、建物の構造体を構成する複数の各々の構造物の構造物データを含む。

　建物データ設定部１２１は、外部の設計装置２等から入力される建物データＤ２を、建物データ格納メモリ１２２に建物データ３２として設定及び格納する。建物データ３２は、ＳＥＲ計算の事前に予め全データが格納されていてもよいし、ＳＥＲ計算のタイミングに合わせて外部から個々のデータが読み込まれてもよい。

　建物データ格納メモリ１２２は、テーブルメモリ等で構成される。建物データ格納メモリ１２２に格納される建物データ３２は、識別情報となる番号などによって、各建物のデータや、建物を構成する各構造物のデータが管理される。なお、建物データ３２はＤＢ３０に格納されてもよい。

　建物データ書き換え部１２３は、識別情報によって建物データ格納メモリ１２２から、各建物データや各構造物データを建物データＤ２ａとして読み出し、中性子減衰計算部１６等に出力する。また、建物データ書き換え部１２３は、建物データ変更信号Ｄ７ａに従い、建物データ格納メモリ１２２内の指定された建物データや構造物データを書き換え、建物データ格納メモリ１２２から読み出す建物データや構造物データを変更する。建物データ３２において、建物情報３２ａは、データセンタ等の建物の識別情報、種類、サイズ、フロア及びエリア情報、等の基本的な情報を含む。なお、対象となる建物構造は、高層建築や地下階を持つ建築などを含む、任意の３次元形状の建築構造が可能である。フロア及びエリア情報は、建物内の各フロアやエリアの構成情報である。なお、建物データ３２は、後述の分割エリアの構成情報を含んでもよい。

　建物位置情報３２ｂは、建物の地理的位置情報であり、建物の建設地の緯度、経度、及び高度の情報を含む。建物位置情報３２ｂは、地理補正計算に用いる。建物位置情報３２ｂは、建物の建設地のアドレス情報やＧＰＳ測位情報に基づく変換により得てもよい。

　建物構造情報３２ｃにおける構造物データは、構造物の識別情報、種類、位置、サイズ、数量、重量、及び材質などの情報を含む。建物構造情報３２ｃは、設計装置２で作成された３次元ＣＡＤオブジェクトデータを含んでもよい。建物及び構造物のサイズは、（Ｘ，Ｙ，Ｚ）の３次元空間の形状における、幅、高さ等の情報を含む。構造物の位置情報は、建物内の構造物が設置されるフロアやエリア等の識別情報、及び建物の３次元空間の座標系における位置座標などを含む。材質は、コンクリートや鉄鋼など各種が可能である。

　構造物特性情報３２ｄは、構造物における放射線の遮蔽に関する特性の情報であり、本例では後述する減衰係数を含む。減衰係数は、減衰率Ｇを計算するために用いる、構造物ごとの係数である。構造物特性情報３２ｄは、例えば、利用者ＵＡにより設定可能である。

　［設備データ格納部］
　図１２は、設備データ格納部１３及び設備データ３３の構成例を示す。設備データ格納部１３は、設備データ設定部１３１、設備データ格納メモリ１３２、及び設備データ読出制御部１３３を有する。設備データ３３は、設備情報３３ａと、設備位置情報３３ｂと、設備特性情報３３ｃとを含む。

　設備データ設定部１３１は、外部の設計装置３から入力される設備データＤ３を、設備データ格納メモリ１３２に設備データ３３として設定及び格納する。設備データ読出制御部１３３は、識別情報となる番号などによって、設備データ格納メモリ１３２に格納されている設備データＤ３ａを読み出し、中性子減衰計算部１６やソフトエラー計算制御部１７へ出力する。設備データ読出制御部１３３は、ソフトエラー計算制御部１７からの設備選択信号Ｄ７ｂに従い、設備データ格納メモリ１３２から、指定された設備データＤ３ａを読み出して出力する。

　設備データ３３において、設備情報３３ａは、建物の内部に配置される複数の各々の設備のデータであり、識別情報、種類、サイズ、数量、重量、等の情報を含む。設備は、半導体デバイスを含む電子機器などである。設備の種類は、サーバ、ストレージ、通信機器、及び予備電源装置といった種類を示す。設備のサイズは、３次元の形状における幅や高さ等の情報を含む。設備情報３３ａは、設計装置３で作成された３次元ＣＡＤオブジェクトデータを含んでもよい。設備位置情報３３ｂは、建物内の設備の配置の位置を示す情報である。この位置情報は、建物、フロア、エリア、及び分割エリア等の識別情報や、建物の（Ｘ，Ｙ，Ｚ）の３次元の座標系における位置座標情報などにより表される。

　設備特性情報３３ｃは、設備のソフトエラーに関する特性の情報であり、例えば、基本ＳＥＲの情報を含む。基本ＳＥＲは、設備の種類などに応じた、建物による遮蔽を考えない場合における、ソフトエラーの起こり易さを表すＳＥＲである。基本ＳＥＲは、公知情報としてメーカや試験施設により提供される仕様情報や実測データがある場合はそれを用いてもよいし、無い場合は利用者ＵＡや事業者により設定されてもよい。

　基本ＳＥＲを設定する場合、例えば、代表的または類似の電子機器における公知の基本ＳＥＲ情報を参考に設定可能である。その際、公知の基本ＳＥＲ情報に基づく推定の計算により対象の設備の基本ＳＥＲを計算可能である。例えば、対象の設備に複数の半導体デバイスが搭載され、半導体デバイス単位の基本ＳＥＲが公知の場合、当該基本ＳＥＲと搭載数との乗算や、半導体デバイスの種類ごとの値の総和などにより、設備の基本ＳＥＲを計算可能である。

　また、事業者により、設備の実稼動や試験の際に設備の障害情報を収集し、当該障害情報を用いてハードウェア障害を除く障害の発生率を得ることにより、基本ＳＥＲを計算してもよい。また、事業者により、各種の代表的な設備の基本ＳＥＲなどの設備特性情報３３ｃをＤＢ化し、ＳＥＲ計算装置１またはネットワーク９上に格納してもよい。

　更に、設備データ３３は、設備ないしその構成要素を収容するラック等の情報を含んでもよい。例えば、データセンタは、多数のサーバ等の電子機器を高密度に収容するラックを用いることが多い。そこで、設備データ３３は、ラック単位のデータとして、ラックの識別情報、位置、サイズ、数量、及びＳＥＲ等の情報を管理してもよい。そして、ＳＥＲ計算装置１は、ラック単位のデータを用いて、ラック単位のＳＥＲを計算してもよい。ラック単位のＳＥＲは、例えば、ラックに収納される複数の電子機器のＳＥＲの総和などにより計算可能である。

　［中性子減衰計算部］
　図１３は、中性子減衰計算部１６の構成例を示す。中性子減衰計算部１６は、中性子源設定部１６１、遮蔽構造モデル生成部１６２、中性子遮蔽計算部１６３、及び遮蔽計算位置設定部１６４を有する。中性子減衰計算部１６は、中性子データ部１４の中性子データＤ４のうちの自然界中性子スペクトルデータ、建物データＤ２ａ、及び設備データＤ３ａに基づき、地理補正中性子スペクトルデータＤ６ａ及び減衰中性子スペクトルデータＤ６ｂを計算し、ソフトエラー計算制御部１７へ出力する。

　地理補正中性子スペクトルデータＤ６ａは、建物位置情報３２ｂと中性子データＤ４による基準の地理的位置の自然界中性子スペクトルデータとを用いて得られる、建物の位置における減衰前の中性子スペクトルデータである。減衰中性子スペクトルデータＤ６ｂは、外部から建物に入射される地理補正中性子スペクトルデータＤ６ａに対し、建物内の設備の位置ごとの建物の構造物による減衰後の状態の中性子スペクトルデータである。

　中性子源設定部１６１は、中性子データＤ４及び建物データＤ２ａを用いて、中性子減衰計算部１６３での中性子減衰計算に必要な、中性子源などの情報を含む放射線モデルを計算及び設定する。また、中性子源設定部１６１は、建物データＤ２ａに含まれる建物位置情報を用いて、中性子データＤ４に含まれる基準の地理的位置の自然界中性子スペクトルデータを補正する地理補正計算により、地理補正中性子スペクトルデータＤ６ａを得る。中性子源設定部１６１は、計算した中性子源の情報、及び地理補正中性子スペクトルデータＤ６ａを含む情報Ｄ１６１を、中性子遮蔽計算部１６３へ出力する。中性子源は、利用者ＵＡや事業者により中性子データＤ４または設定情報３１として設定されてもよい。

　遮蔽構造モデル生成部１６２は、建物データＤ２ａを用いて、中性子遮蔽計算部１６３での中性子遮蔽計算に必要な、建物の構造体による中性子線の遮蔽構造のモデルを生成する。この遮蔽構造モデルは、中性子遮蔽計算部１６３での中性子遮蔽計算の手法に合わせた形式で生成される。遮蔽構造モデル生成部１６２は、生成した遮蔽構造モデルを含む情報Ｄ１６２を、中性子遮蔽計算部１６３へ出力する。

　減衰計算位置設定部１６４は、設備データＤ３ａを用いて、中性子遮蔽計算部１６３での減衰中性子スペクトルデータＤ６ｂの計算に必要な、減衰計算位置となる建物内の設備の配置の位置情報を設定する。減衰計算位置は、建物、フロア、エリア、及び分割エリア等の識別情報や、位置座標情報などによって指定される。減衰計算位置設定部１６４は、減衰計算位置の情報Ｄ１６４を中性子遮蔽計算部１６３へ出力する。

　中性子遮蔽計算部１６３は、中性子源の情報及び地理補正中性子スペクトルデータＤ６ａを含む情報Ｄ１６１と、遮蔽構造モデルを含む情報Ｄ１６２と、減衰計算位置の情報Ｄ１６３とに基づき、減衰中性子スペクトルデータＤ６ｂを計算する。中性子遮蔽計算部１６３は、地理補正中性子スペクトルデータＤ６ａ及び計算した減衰中性子スペクトルデータＤ６ｂをソフトエラー計算制御部１７へ出力する。中性子減衰計算部１６は、計算した地理補正中性子スペクトルデータ６ａ及び減衰中性子スペクトルデータ６ｂを、ＤＢ３０または中性子データ部１４に格納して管理し、再利用してもよい。

　中性子遮蔽計算部１６３は、中性子源設定部１６１で中性子線の入射の条件を変化させながら、中性子線量の減衰計算を行い、結果を減衰中性子スペクトルデータＤ６ｂとする。また、中性子遮蔽計算部１６３は、建物内の複数の設備における設定された各減衰計算位置における減衰中性子スペクトルデータの平均値を算出し、減衰中性子スペクトルデータＤ６ｂとする。

　実施の形態２の中性子源設定部１６１における地理補正計算は、非特許文献１（JEDEC89A）で定められた、地球上の各地の中性子フラックス補正係数を使用する。この中性子フラックス補正係数は、基準となる地理的位置であるニューヨークにおける基準値を１．０として、地球上の各地での中性子フラックスの違いを表す。中性子フラックス補正係数は、例えば、日本の東京では０．６４、高度の高いメキシコシティでは３．９６となる。任意の地理的位置での地理補正計算については、非特許文献１に記載の式A.2を用いて可能である。地理補正中性子スペクトルデータＤ６ａは、上記地理補正計算後の中性子スペクトルデータである。

　実施の形態１の中性子減衰計算部１６の中性子減衰計算、及び中性子遮蔽計算部１６３の中性子遮蔽計算は、公知の放射線輸送計算コードを用いた粒子輸送計算により行われる。中性子減衰計算部１６は、外部から建物に入射する放射線を基準値として１．０とした場合に建物内の位置で放射線がどれだけ減衰するかを、上記粒子輸送計算により行う。

　［ソフトエラー計算制御部］
　図１４は、ソフトエラー計算制御部１７の構成例を示す。ソフトエラー計算制御部１７は、第１の重畳和計算部１７１、第２の重畳和計算部１７２、ＳＥＲ減衰率計算部１７３、及びＳＥＲ計算判定部１７４を有する。ＳＥＲ計算判定部１７４は、ＳＥＲ計算部１７５と、ＳＥＲ判定部１７６とを含む。

　ソフトエラー計算制御部１７は、地理補正中性子スペクトルデータＤ６ａ、減衰中性子スペクトルデータＤ６ｂ、及びソフトエラー断面積データ部１５のソフトエラー断面積データＤ５を用いて、ＳＥＲ計算に必要な、建物内の設備の配置の位置における減衰の指標値である減衰率Ｇを計算する。そして、ソフトエラー計算制御部１７は、減衰率Ｇ、及び設備データＤ３ａのうちの基本ＳＥＲ情報などを用いて、建物内の設備の配置の位置ごとのＳＥＲである設備ＳＥＲ等を計算する。

　また、ソフトエラー計算制御部１７は、建物内の全設備の設備ＳＥＲの総和などの演算により建物ＳＥＲを計算する。ソフトエラー計算制御部１７は、計算した設備ＳＥＲ及び建物ＳＥＲ等の情報をＳＥＲデータ３４として格納すると共に、ＳＥＲデータＤ７として入出力制御部５１へ出力する。ソフトエラー計算制御部１７は、各種のＳＥＲの計算値が目標ＳＥＲの設定値以下に収まるか良否を判定し、その判定結果情報をＳＥＲデータ３４として格納すると共に、ＳＥＲデータＤ７として入出力制御部５１へ出力する。

　第１の重畳和計算部１７１は、地理補正中性子スペクトルデータＤ６ａと、ソフトエラー断面積データＤ５との重畳和計算を行い、その結果である減衰前の重畳和計算値ｇａを含む情報Ｄ１７ａを出力する。第２の重畳和計算部１７２は、減衰中性子スペクトルデータＤ６ｂと、ソフトエラー断面積データＤ５との重畳和計算を行い、その結果である減衰後の重畳和計算値ｇｂを含む情報Ｄ１７ｂを出力する。

　ＳＥＲ減衰率計算部１７３は、減衰前の重畳和計算値ｇａの情報Ｄ１７ａと、減衰後の重畳和計算値ｇｂの情報Ｄ１７ｂとを用いて、ＳＥＲに関する減衰率Ｇを計算する。減衰率Ｇは、減衰の前後の重畳和計算値の比率であるｇｂ／ｇａをとることにより、Ｇ＝ｇｂ／ｇａとして計算される。ＳＥＲ減衰率計算部１７３は、計算した減衰率Ｇを含む情報Ｄ１７ｃをＳＥＲ計算判定部１７４へ出力する。ＳＥＲ減衰率計算部１７３は、計算した減衰率ＧのデータをＤＢ３０に格納し、再利用してもよい。

　ＳＥＲ計算部１７５は、減衰率Ｇを含む情報Ｄ１７ｃと、設備データＤ３ａまたは設定情報３１に含まれる各設備の基本ＳＥＲの情報とを用いて、建物内の設備の位置に応じた設備ＳＥＲ（Ｒｉ）を、Ｒｉ＝Ｒｒ×Ｇにより計算する。ＳＥＲ計算部１７５は、設備データＤ３ａの設備位置情報３３ｂに基づき、建物内の対象の全設備について設備ＳＥＲの計算を同様に繰り返す。ＳＥＲ計算部１７５は、対象の構造物を変えながらＳＥＲ計算を繰り返す場合、建物データ変更信号Ｄ７ａを建物データ格納部１２へ出力する。

　ＳＥＲ計算部１７５は、建物内の全設備の設備ＳＥＲを総和する演算により、建物ＳＥＲを計算する。また、ＳＥＲ計算部１７５は、設備ＳＥＲを用いて、フロアごとのＳＥＲであるフロアＳＥＲ、エリアごとのＳＥＲであるエリアＳＥＲ等を、同様に計算する。

　ＳＥＲ判定部１７６は、ＳＥＲ計算部１７５で計算した各種のＳＥＲを含む情報Ｄ１７ｄを用いて、各種のＳＥＲの計算値ごとに、判定用閾値である目標ＳＥＲと比較して良否を判定する。目標ＳＥＲは、例えば、利用者ＵＡにより設定情報３１または建物データ３２や設備データ３３に設定される。目標ＳＥＲは、目標設備ＳＥＲ、目標フロアＳＥＲ、目標エリアＳＥＲ、及び目標建物ＳＥＲ等がある。

　ＳＥＲ判定部１７６は、建物内の複数の各々の設備の設備ＳＥＲ（Ｒｉ）と、当該設備の目標設備ＳＥＲ（Ｔｉ）とを比較し、Ｒｉ≦Ｔｉの場合は良、Ｒｉ＞Ｔｉの場合は否とする。また、ＳＥＲ判定部１７６は、建物ＳＥＲ（Ｒall）と、当該建物の目標建物ＳＥＲ（Ｔall）とを比較し、Ｒall≦Ｔallの場合は良、Ｒall＞Ｔallの場合は否とする。フロアＳＥＲやエリアＳＥＲについても同様に判定可能である。

　［中性子データ部］
　図１５は、中性子データ部１４及び中性子データＤ４の構成例を示す。中性子データ部１４は、中性子データＤ４として、例えば、ＤＢ及びテーブルに、各種の中性子スペクトルデータを格納し管理する。中性子データＤ４のテーブルは、例えば、中性子スペクトルデータの識別情報であるＩＤ、種類、ファイル情報などを関係付けて管理する。種類は、中性子スペクトルデータの種類を示す。

　ＩＤ＝１で示す中性子スペクトルデータは、前述の基準の地理的位置における自然界中性子スペクトルデータである。中性子スペクトルデータは、例えば、横軸が中性子エネルギー、縦軸が中性子フラックスのデータである。自然界中性子スペクトルデータは、中性子エネルギーが高くなるほど中性子フラックスが低くなる特性を有する。

　ＩＤ＝２で示す中性子スペクトルデータは、地理的位置として、例えば、東京の建物Ａに関する地理補正中性子スペクトルデータＤ６ａに相当するデータを示す。ＩＤ＝３で示す中性子スペクトルデータは、建物Ａ内の位置Ａにおける減衰中性子スペクトルデータＤ６ｂに相当するデータを示す。ＩＤ＝４で示す中性子スペクトルデータは、建物Ａ内の位置Ｂにおける減衰中性子スペクトルデータＤ６ｂに相当するデータを示す。

　なお、中性子データ部１４の自然界中性子スペクトルデータは、事前に格納されてもよいし、ＳＥＲ計算のタイミングに合わせて外部から取得されてもよい。なお、中性子線に限らず、アルファ線、ベータ線などの他の種類の放射線についても同様に適用可能である。

　中性子スペクトルについて補足する。中性子スペクトルは、単位時間及び単位面積あたりの中性子線量ないし微分フラックスのエネルギー特性を示す。中性子スペクトルデータは、例えば、横軸が中性子エネルギーの単位として電子ボルト、縦軸が中性子の計数値としての中性子フラックスである。中性子フラックスは、一定時間に一定空間を通過する中性子の数を示す。中性子フラックスの単位は、例えば、１秒あたりに１ｃｍ２の面積を通過する中性子数で表す。中性子スペクトルは、地理的な条件や位置などによって変化する。

　実施の形態１では、自然界中性子スペクトルデータとして、非特許文献１（JESD89A）に記載されている、４６点の基準中性子スペクトルデータを使用する。また、非特許文献１に記載の下記の式１によって計算したスペクトルデータを使用してもよい。

　ｄΦ０（Ｅ）／ｄＥ＝１．００６×１０－６ｅｘｐ［－０．３５×（ｌｎ（Ｅ））２＋２．１４５１×ｌｎ（Ｅ）］＋１．０１１×１０－３ｅｘｐ［－０．４１０６×（ｌｎ（Ｅ））２－０．６６７×ｌｎ（Ｅ）］・・・式１
　式１において、Ｅは、中性子エネルギーを示す。ｄΦ０（Ｅ）／ｄＥは、基準中性子微分フラックスを示す。ｅｘｐ［ｘ］は、自然対数の底数（ｅ）のｘ乗を示す。ｌｎ（ｘ）は、ｘの自然対数を示す。

　［ソフトエラー断面積データ部］
　図１６は、ソフトエラー断面積データ部１５及びソフトエラー断面積データＤ５の構成例を示す。ソフトエラー断面積データ部１５は、例えば、ＤＢ及びテーブルに、各種のソフトエラー断面積データＤ５を格納し管理する。ソフトエラー断面積データＤ５のテーブルは、ソフトエラー断面積データの識別情報であるＩＤ、種類、及びファイル情報とを関連付けて管理する。

　ＩＤ＝１で示すソフトエラー断面積データは、種類が「共通」であり、設備によらずに共通に適用する場合のデータである。建物内の全設備に対して共通のソフトエラー断面積データを適用することにより、ＳＥＲ計算を簡易及び高速に行うことができる。

　ＩＤ＝２で示すソフトエラー断面積データは、種類が「設備Ａ」であり、「設備Ａ」で示す個別の設備または設備種類（例えば、サーバ）に適用するデータである。同様に、ＩＤ＝３で示すソフトエラー断面積データは、種類が「設備Ｂ」であり、「設備Ｂ」で示す個別の設備または設備種類（例えば、ストレージ）に適用するデータである。

　ＳＥＲ計算装置１は、ソフトエラー断面積データ部１５に、個別の設備や設備種類ごとのソフトエラー断面積データを設定し、ＳＥＲ計算の際、設備ごとに固有のソフトエラー断面積データを適用可能である。ソフトエラー計算制御部１７は、ＳＥＲ計算の際、設備ごとのソフトエラー断面積データを用いる場合、ソフトエラー断面積データ部１５から、対象の設備に応じたソフトエラー断面積データＤ５を読み出して使用する。これにより、ＳＥＲ計算を高精度に行うことができる。

　ソフトエラー断面積データＤ５は、設備データ３２等に統合されてもよい。ソフトエラー断面積データ部１５は、代表的な電子機器や半導体デバイスごとのソフトエラー断面積データが予め設定されてもよい。

　ソフトエラー断面積について補足する。ソフトエラー断面積は、電子機器である設備のソフトエラーの起こり易さのエネルギー特性を示す指標である。ソフトエラー断面積は、例えば、単位面積あたりの中性子の衝突に対するビット反転などのソフトエラーの発生確率で表される。ソフトエラー断面積データは、例えば、横軸が中性子エネルギー、縦軸がソフトエラー断面積、によるデータである。

　［ＳＥＲデータ］
　図１７は、ＳＥＲ計算装置１のＳＥＲ計算結果のＳＥＲデータ３４のテーブルの構成例を示す。入出力制御部５１は、図１７のようなＳＥＲデータ３４のテーブルをＳＥＲ計算及び判定結果として画面に表示してもよい。ＳＥＲデータ３４のテーブルは、列として、ＳＥＲデータ及び行の識別情報であるＩＤと、ＳＥＲデータの種類と、建物、フロア、エリア、及び分割エリアの各識別情報と、設備の識別情報と、目標ＳＥＲと、計算結果のＳＥＲと、ＳＥＲ判定結果とを有する。

　種類の列は、例えば、「建物」の場合は建物ＳＥＲ、「フロア」の場合はフロアＳＥＲ、「エリア」の場合はエリアＳＥＲ、「設備」の場合は設備ＳＥＲを示す。建物、フロア、エリア、及び分割エリアの列は、ＳＥＲ計算の対象を示し、設備ＳＥＲの場合は建物内の設備の位置を示す情報である。なお、本例ではエリアと分割エリアは別である。エリアは、フロア内の任意の区画などである。分割エリアは、ＳＥＲ計算用に設定され、後述の図２１に示すメッシュ等により分割されたエリアを示す。ＳＥＲデータ３４のテーブルは更に位置座標などの列を有してもよい。

　目標ＳＥＲの列は、設定情報３１による各種の目標ＳＥＲの値が格納される。例えば、建物ＳＥＲの場合は目標建物ＳＥＲの値が格納される。ＳＥＲの列は、対応する種類の計算結果のＳＥＲの値が格納される。判定結果の列は、ＳＥＲ判定処理の結果である良（ＯＫ）または否（ＮＧ）のフラグ値が格納される。

　［中性子ソフトエラー及びＳＥＲ］
　中性子ソフトエラーを含むソフトエラー及びＳＥＲに関して補足する。自然界に存在する中性子線などの放射線が半導体デバイスに入射することにより、ソフトエラーが確率的に発生する。ソフトエラーは、一過性のエラーであり、ハードウェア故障などのハードエラーとは区別される。従来のソフトエラーは、メモリ素子の単一ビットが反転する現象が主であったが、最近では、一度に複数ビットが反転する現象や、論理素子の保持データが反転する現象などが顕在化している。単一ビットが反転する現象は、ＳＥＵ（Single Event Upset）とも呼ばれる。

　データセンタ等の建物内に配置される多数のサーバ等の電子機器に対し、建物の外部から中性子線などの放射線が入射する。これにより電子機器の構成要素である半導体デバイスにおける中性子ソフトエラーが確率的に発生する。中性子ソフトエラーによる間欠障害により、設備及びシステムの信頼性や性能に影響を与える。

　中性子線は、例えば、低いエネルギー帯の中性子線について、建物の構造物による遮蔽により減衰が可能である。構造物は、コンクリート等の材質による壁や床などである。ＳＥＲ計算装置１は、この減衰効果を考慮したＳＥＲ計算を行う。建物及び電子機器に入射する中性子線をコンクリート等の遮蔽物によって減衰できるのであれば、電子機器の中性子ソフトエラー率を低減することができる。

　また、建物の内外での中性子線量の違いについて、建物によって中性子線量が減衰することが知られている。特に、建物内の同一階における中性子の線量率は、建物の外周ないし屋外から建物の中央に向かうに従って減少することが知られている。

　非特許文献１であるJEDEC Standard No.89A（JESD89A）は、page69のA.5（Effects of shielding by buildings and other material (cont’d)）において、建物のコンクリートによる中性子フラックスの遮蔽計算について記載している。page69のA.5における式A.12として、下記の式２が記載されている。

　Φ＝Φ０ｅｘｐ（－ｘ／０．３７）・・・式２
　式２において、Φ０は、初期の中性子フラックス、Φは、減衰した中性子フラックス、ｘは、コンクリートの厚さを示す。式A.12は、遮蔽物となるコンクリートが厚いほど、指数関数による特性で中性子フラックスが減衰することが示されている。

　ＳＥＲ計算装置１は、上記公知情報を考慮し、建物内に配置される設備について、当該設備と建物外部との間の構造物による放射線の遮蔽による減衰効果により低減されるＳＥＲを計算する。実施の形態１では、ＳＥＲの単位は、ＦＩＴ（Failures-In-Time）を用いる。ＦＩＴは、時間あたりの故障等の発生率である。１ＦＩＴは、１０９時間に１回の発生率を表す。

　［データ入力画面］
　図１８は、実施の形態２のＳＥＲ計算装置１の入出力制御部５１により提供する画面例としてデータ入力画面を示す。この画面において、利用者ＵＡにより建物データ３２及び設備データ３３を入力、確認及び編集することができる。データ入力画面において、項目１２０１は、入力する建物データ３２のファイル等を利用者ＵＡにより指定できる。項目１２０２は、項目１２０１で指定された建物データ３２による建物の構造を（Ｘ，Ｙ，Ｚ）の３次元の形式で表示する。項目１２０２は、建物内に配置される設備の設備データ３３が指定されている場合、建物と設備を一緒に表示する。１２１１は設備の例である。

　項目１２０３は、項目１２０１で指定された建物におけるフロアを利用者ＵＡにより指定し、指定されたフロアの構成を、項目１２０４に２次元の形式で表示する。項目１２０４は、フロアに配置される設備の設備データ３３が指定されている場合、フロアと設備を一緒に表示する。１２１２は設備の例である。

　項目１２０５は、入力する設備データ３３のファイル等を利用者ＵＡにより指定できる。この入力する設備データ３３の内容は、建物内の各設備の配置を示す設備位置情報３３ｂを含む。また、項目１２０５は、複数の種類の設備ごとの各設備データ３３のファイルを入力可能とする例を示す。設備種類として、例えば、設備Ａ～設備Ｄを有し、サーバ、ストレージ、通信機器、予備電源装置などがある。項目１２０５で指定された設備データ３３の内容は、項目１２０２や項目１２０４に表示してもよいし、図示しない別の画面や項目に設備のみの情報を表示してもよい。

　［データ出力画面］
　図１９は、実施の形態２のＳＥＲ計算装置１の入出力制御部５１により提供する画面例として、ＳＥＲ計算結果を含むデータ出力画面を示す。ＳＥＲ計算装置１は、建物内に複数の設備が配置された状態の建物データ３２及び設備データ３３を入力データとして、前述のＳＥＲ計算及び判定処理を行った結果を、データ出力画面に表示する。この画面において、利用者ＵＡにより、ＳＥＲ計算及び判定の結果を確認し、データとして出力することができる。

　項目１３０５は、建物ＳＥＲと目標値と判定結果を表示している。また、項目１３０２において利用者ＵＡの操作により設備が選択された場合、入出力制御部５１は、その設備の詳細情報を、項目１３０６に表示する。設備の詳細情報は、設備データ３３及びＳＥＲデータ３４等に基づき、例えば、設備のＩＤ、種類、位置、設備ＳＥＲ、及び判定結果などを含む。項目１３０６は、ポップアップ表示や他の項目や画面への表示でもよい。項目１３０６は、本例では、設備ＩＤがＳ１２３、設備種類がサーバ、設備の配置の位置が分割エリアＢ１２３、設備ＳＥＲが１２５、ＳＥＲ判定結果が良、を表示している。

　入出力制御部５１は、上記画面において、例えば、項目１３０２や項目１３０４にＳＥＲ判定結果情報を直接表示してもよい。表示する情報は、例えば、良（ＯＫ）または否（ＮＧ）の情報、あるいは良否に応じて設備の色や形を変えた情報でもよい。例えば、否となった設備を赤色で表示してもよい。これにより、利用者ＵＡは、ＳＥＲが目標値の条件を満たさない設備を容易に認識でき、当該設備に関する設計の変更などを検討しやすい。

　［データ出力画面（料金データ）］
　図２０は、実施の形態１および実施の形態２のＳＥＲ計算装置１の入出力制御部５１により提供する画面例として、料金計算結果を含むデータ出力画面を示す。

　データ出力画面において、項目１３５１は、対象の建物の基本料金を表示する。本例では、建物全体のサービスに対する料金のベースとなる料金（例えば、光熱費等経費等）を示しているがなくても良い。項目１３５２は、建物データ３２、設備データ３３、及びＳＥＲデータ３４に基づき、（Ｘ，Ｙ，Ｚ）の３次元の形式で、建物の構造、建物内の設備の配置、及び各設備の位置ごとの設備ＳＥＲ等の情報、料金変動率を表示する。項目１３５２は、本例では、建物を斜め上から見る方向で表示し、建物の一側面に並んで見える各設備の設備ＳＥＲを表示している。項目１３５２の表示内容は、利用者ＵＡの操作により、建物を見る方向や見る部分やサイズ等を適宜変えることができる。

　項目１３５２において利用者ＵＡの操作により設備が選択された場合、入出力制御部５１は、その設備の詳細情報を、項目１３５６に表示する。設備の詳細情報は、設備データ３３及びＳＥＲデータ３４等に基づき、例えば、設備のＩＤ、種類、位置、設備ＳＥＲ、及び判定結果、料金変動率などを含む。項目１３５６は、ポップアップ表示や他の項目や画面への表示でもよい。項目１３５６は、本例では、設備ＩＤがＳ１２３、設備種類がサーバ、設備の配置の位置が分割エリアＢ１２３、設備ＳＥＲが１２５、料金変動率１．３５、を表示している。

　項目１３５３は、対象の建物の各フロアのフロア毎の料金を表示する。項目１３５４は、項目１３５３で利用者ＵＡにより指定されたフロアの構成、フロア内の設備の配置及び各設備の設備ＳＥＲ、料金変動率、そのエリアの料金等の情報を、（Ｘ，Ｙ）の２次元のフロアマップの形式で表示する。項目１３５４は、本例では、各設備の外形を示す枠内に設備ＳＥＲの値を表示している。また、項目１３５４において利用者ＵＡの操作により設備が選択された場合、入出力制御部５１は、その設備の詳細情報を、項目１３５７に表示する。

　入出力制御部５１は、上記画面において、例えば、項目１３５２や項目１３５４に料金情報やＳＥＲ判定結果情報を直接表示してもよい。ＳＥＲ情報の表示は、例えば、良（ＯＫ）または否（ＮＧ）の情報、あるいは良否に応じて設備の色や形を変えた情報でもよい。例えば、否となった設備を赤色で表示してもよい。これにより、利用者ＵＡは、ＳＥＲが目標値の条件を満たさない設備を容易に認識でき、当該設備に関する設計の変更などを検討しやすい。

　［フロアマップ及び分割エリア］
　図２１は、実施の形態１及び実施の形態２の図２０の画面の項目１３０４における２次元のフロアマップ及び設備ＳＥＲの表示の構成例を示す。このフロアマップは、建物のフロアのＸＹ平面の形式での表示例である。このフロアマップは、建物データ３２、設備データ３３、及びＳＥＲデータ３４等に基づき、フロアに存在する壁や柱などの構造物１４０１、フロアを区画するエリアが設定されている場合はそのエリアの構成、下記の分割エリアの構成、フロアに配置される各設備の形状、設備ごとのＩＤや設備ＳＥＲ、等の情報を表示する。エリアは、例えば、壁などで区画された領域でもよい。

　分割エリアは、ＳＥＲ計算装置１でのＳＥＲ計算用に設定及び管理される２次元または３次元の領域である。建物内のフロアを含むＸＹ平面の領域の全体は、所定のサイズの正方形などの形のメッシュ状に分割されることにより、破線で示す複数の分割エリア１４０２が構成される。また、（Ｘ，Ｙ，Ｚ）の３次元空間では、分割エリアは、立方体や長方体などの領域で構成される。分割エリア１４０２は、分割エリアＩＤ１４０３で識別される。分割エリアＩＤ１４０３は、例えば、メッシュの行列の番号などで表される。複数の分割エリア１４０２は同じ形状である。

　分割エリアは、ＳＥＲ計算装置１によりＳＥＲ計算の際に自動的に生成してもよいし、利用者ＵＡにより手動で設定してもよい。分割エリアの情報は、設定情報３１または建物データ３２等に格納される。利用者ＵＡによる設定や指定に応じて項目１３０４に分割エリア１４０２の情報が表示される。

　フロアにおいて、例えば、分割エリア１４０２に設備１４０４が配置されている。なお、分割エリア１４０２と設備１４０４との配置の関係付けは、１対１に限らず可能である。設備１４０４は、設備ＩＤ１４０５で識別される。設備１４０４は、設備データ３３及びＳＥＲデータ３４に基づき、設備ＩＤ１４０５及び設備ＳＥＲ１４０６等の情報が表示される。設備１４０４は、設備種類や設備ＳＥＲやＳＥＲ判定結果に応じて色や形を変えて表示されてもよい。設備１４０４は、ＳＥＲ判定結果の良否の情報が表示されてもよい。

　図２２は、実施の形態１及び実施の形態２の上記２次元のフロアマップ及び設備ＳＥＲの他の表示の構成例として、建物のＸＺ断面の形式での表示例を示す。データ出力画面において利用者ＵＡは見たい面を指定して表示させることができる。分割エリア１４０２は、フロアの垂直方向において１つの分割エリアとなるようにＺ方向に長い長方体で設定された例である。設備１４０４は、Ｚ方向に長いサーバラック等が配置される例を示す。

　ＳＥＲ計算装置１は、分割エリアの設定に基づき、ＳＥＲ計算時に、建物内の空間領域全体を自動的に分割エリアに分割し、設備が配置される分割エリアの位置に応じて設備ＳＥＲを計算する。この場合、設備ＳＥＲは、分割エリア単位のＳＥＲとも言える。分割エリアごとに、それに対応付けられる空間的な位置は、重心点などによって設定可能である。例えば、分割エリアの重心点が位置座標として自動的に設定される。

　ＳＥＲ計算の対象となる位置、及び当該位置に対応する単位領域である分割エリアは、必要な分解能に応じて設定可能である。例えば、利用者ＵＡは、後述の図２３の設定画面で、上記分割エリアのメッシュのサイズを、対象の建物のサイズや設備の数量などに応じて設定可能である。ＳＥＲ計算は、分割エリアのサイズが大きい場合は相対的に高速に可能であり、小さい場合は相対的に高精度に可能である。

　［設定画面］
　図２３は、実施の形態１及び実施の形態２のＳＥＲ計算装置１の入出力制御部５１により提供する設定画面の例を示す。この設定画面において、利用者ＵＡにより各種の設定情報３１を設定できる。なお、後述の実施の形態２は同様の設定画面を提供し、項目１６０６及び項目１６１１は実施の形態２で使用される。

　設定画面において、項目１６０１は、建物ＳＥＲの目標値を設定可能である。項目１６０２は、フロアごとのフロアＳＥＲの目標値を設定可能である。項目１６０３は、例えば、設備の種類ごとの設備ＳＥＲの目標値を設定可能である。例えば、サーバ、ストレージ、通信機器、予備電源装置といった設備種類ごとに異なる値が設定可能である。これに限らず、項目１６０３は、個別の設備ごとの目標値や、設備によらない一定の目標値を設定可能としてもよい。本例では各目標値は許容値及び判定用閾値として設定される。また、１つのＳＥＲに関して２つ以上の閾値を設定可能としてもよい。その場合はＳＥＲ判定結果が２値ではなく３値以上の区分になる。

　項目１６０３のうちの項目１６１２は、設備ごとに重要度ないし防護レベルが設定可能な例を示す。重要度は、その設備自体またはその設備に格納される取り扱うデータに関する重要度である。防護レベルは、その設備に関するソフトエラーへの防護のレベルであり、放射線を浴びても誤動作しないようにするための独自の指標値である。項目１６１２は、例えば、いくつかのレベルから利用者ＵＡにより選択して設定可能である。設定部５２は、項目１６１２で設定されたレベルに応じた目標ＳＥＲを自動的に設定してもよい。その場合、利用者ＵＡは目標ＳＥＲの設定を省略可能である。設備データ３３は、上記レベルの情報が設定されてもよい。

　項目１６０４は、建物を構成する構造物ごとの特性情報を設定可能である。項目１６０４は、例えば、個別の構造物またはその種類ごとに、コンクリートや鉄鋼などの材質と、当該構造物の材質などに応じた特性である減衰係数を設定可能である。なお、項目１６０４の設定が省略されてもＳＥＲ計算は可能である。

　項目１６０５は、前述の分割エリアに関する設定が可能である。項目１６０５は、例えば、分割エリアを構成するメッシュのサイズを利用者ＵＡが選択して設定可能である。なお、項目１６０５の分割エリアの設定が省略されてもＳＥＲ計算は可能である。

　［設定画面（料金データ）］
　図２４は、実施の形態１及び実施の形態２のＳＥＲ計算装置１の入出力制御部５１により提供する設定画面の例を示す。この設定画面において、利用者ＵＡにより、建物内での賃貸などのサービス料の初期設定できる。なお、後述の実施の形態２は同様の設定画面を提供し、項目１６０６及び項目１６１１は実施の形態２で使用される。

　設定画面において、項目１６５１は、建物全体の光熱費やオペレータ人件費等の固定費情報を設定可能である。項目１６５２、建物内のフロア毎の基本料を設定可能である。ＳＥＲによって計算される料金変動率係数と項目１６５１，１６５２で設定される料金でフロア毎のサービス料を計算する。この例ではフロア毎に設定しているが、フロア内を細分化して個々に料金を設定し、個々に料金変動率係数を計算してサービス料を決定する。

　［計算モデル］
　図２５及び図２６は、実施の形態２に関する補足として、ＳＥＲ計算に用いるモデルを簡略的に示す。この計算モデルは、建物の構造体による放射線の遮蔽による減衰の効果を反映して建物内の設備の配置の位置ごとの減衰率Ｇを計算し、減衰率Ｇに基づき設備ＳＥＲを計算するためのモデルである。この計算モデルは、外部の線源からの建物への放射線の入射を含む放射線モデルと、建物による遮蔽構造モデルとを含む。

　（１）まず建物及び設備のモデルについては以下である。建物データ３２に基づき、建物の構造体は、（Ｘ，Ｙ，Ｚ）の３次元の形状を持ち、構成要素として、床、天井、梁、壁、及び柱などの構造物を有する。構造物は放射線の遮蔽物となる。建物内に入射した放射線は遮蔽物により遮蔽されて減衰される。放射線である中性子線は、ここでは簡略的に建物７０１及び地表面７０３に対し垂直方向であるＺ方向から入射する例を示す。

　図２５の例において、建物７０１の構造体は、地表面７０３上、３階建てである。建物７０１は、構造物７０５として、構造物Ｊ１～Ｊ３、構造物Ｊ４，Ｊ５を有する。構造物Ｊ１～Ｊ３は、地表面７０３に水平なＸ方向及びＹ方向の平板状の床や天井などの構造物である。構造物Ｊ４，Ｊ５は、地表面７０３に垂直なＺ方向の壁などの構造物である。

　例えば、建物７０１の１Ｆで示す１階におけるある位置の座標Ｐ｛Ｘ，Ｙ，Ｚ｝及び当該位置に対応する分割エリアＢ１において、ＳＥＲ計算の対象となる設備７０２が配置されている。設備７０２は、設備ＩＤがＳ０１であり、設備種類が、例えば、サーバであり、設備位置が１階の分割エリアＢ１及び座標Ｐ１である。設備７０２は、設備特性情報３３ｃとして基本ＳＥＲ（Ｒｒ）、及び目標設備ＳＥＲ（Ｔｉ）が設定されている。

　Ｚ方向において、設備７０２の上方には、建物外部との間に、３つの構造物Ｊ１～Ｊ３がある。３階天井に相当する第１の構造物Ｊ１は、Ｚ方向の厚さがｈ１、数量がｍ１、材質がｃ１、減衰係数がｇ１とする。同様に、２階天井に相当する第２の構造物Ｊ２は、Ｚ方向の厚さがｈ２、数量がｍ２、材質がｃ２、減衰係数がｇ２であり、１階天井に相当する第３の構造物Ｊ３は、Ｚ方向の厚さがｈ３、数量がｍ３、材質がｃ３、減衰係数がｇ３である。

　減衰係数ｇは、構造物ごとの減衰率である。減衰係数ｇは、構造物の材質や厚さや数量などに応じて異なる値が設定可能である。例えば、中性子線に関する減衰係数ｇが材質ごとの値として設定されてもよい。また、簡易な計算を行う場合、減衰係数ｇは材質によらずに一定値として設定されてもよい。

　ここでは説明を簡単にするため、各構造物Ｊ１～Ｊ３は同じ単位構造物であるとし、減衰係数ｇである各減衰係数ｇ１～ｇ３は同じであり一定値とする。数量ｍ１～ｍ３は１である。各厚さｈ１～ｈ３は同じであり厚さｈとする。各材質ｃ１～ｃ３は同じであり、例えば、所定の種類のコンクリートである。

　Ｚ方向において建物７０１の外部から入射する放射線は、設備７０２の位置に到達するまでに、各構造物Ｊ１～Ｊ３を通過する。放射線は、通過する構造物７０５における遮蔽により減衰する。当該減衰により、例えば、中性子線は中性子線量が減少し、中性子スペクトルデータにおける形状が変化する。

　（２）放射線モデルについて以下である。図２５の例において、線源Ｑは、建物７０１の外部の放射線源であり、ここでは中性子源である。放射線の入射角度θは地表面７０３を０度として約９０度とする。距離Ｋは、建物７０１と線源Ｑとの距離である。線源Ｑから照射される放射線が建物７０１のモデルに入射され、建物７０１内を通過する。線源Ｑと建物７０１との距離Ｋが大きいほど、建物に入射する放射線は減衰する。距離Ｋは、公知情報に基づき、自然界の放射線量と同じになるように設定するとよい。距離Ｋは、予め一定値として設定されてもよい。減衰率Ｇは、距離Ｋ、もしくは線源Ｑの強さを表すパラメータを用いて計算すると望ましい。

　前述の中性子源設定部１６１は、中性子源の情報として、線源Ｑの位置、距離Ｋ、入射角度θないし方向、単位時間あたりの放射線強度などの情報を設定する。中性子源の情報は、設定情報３１として利用者ＵＡにより設定可能としてもよい。

　図２６は、放射線モデルについて簡略的に示す。図２５のモデルでは建物７０１に対しＺ方向上方に線源Ｑがあるが、詳細な計算においては、図１８のように、建物７０１を中心点として距離Ｋを半径とした球面において複数の線源Ｑが設定される。点Ｐ０は３次元空間における建物７０１の中心位置とする。線源Ｑ１は、地表面７０３に対し水平なＸ方向における１つの線源であり、入射角度θ＝０度とする。線源Ｑ３は、地表面７０３に対し垂直なＺ方向における１つの線源であり、入射角度θ＝９０度とする。例えば、線源Ｑ３からの放射線は、Ｚ方向下方にある建物７０１に対して均一に照射される。

　ＳＥＲ計算装置１は、減衰計算を詳細に行う場合、球面の複数の各線源Ｑからの放射線の入射による影響を総合する演算により行う。また、ＳＥＲ計算装置１は、減衰計算を簡易に行う場合、適宜、線源Ｑの数を削減して行う。

　［効果等］
　実施の形態１及び実施の形態２によれば、データセンタ等の建物内に配置されデータセンタ等のシステムを構成する電子機器を含む設備に関する中性子ソフトエラーを含むソフトエラーに関してＳＥＲを計算及び判定することができる。これにより、当該建物及び設備に関して低いＳＥＲによる高い信頼性を実現及び確保することができる。

　実施の形態１によれば、ＳＥＲ計算機能により、建物の構造体による中性子線を含む放射線の遮蔽による減衰効果を反映した、建物内の設備の位置ごとの減衰率やＳＥＲを計算できる。また、ＳＥＲ計算機能により、設備、フロア、エリア、及び建物などの各種の単位でのＳＥＲを計算できる。また、ＳＥＲ判定機能により、建物や設備の単位でのＳＥＲの計算値が目標値の条件を満たすかどうかを判定できる。

　利用者ＵＡは、図１９や図２０等のＳＥＲ計算及び判定結果、料金データを含む画面において、建物内の設備の配置の位置ごとのＳＥＲや、建物全体のＳＥＲ等の各種のＳＥＲの計算値を、ソフトエラーに関する指標値として参照及び確認できる。また、上記画面でＳＥＲに関する自動的な判定結果を参照及び確認できる。利用者ＵＡは、上記各種のＳＥＲの大きさや判定結果の良否の情報から、建物内の設備の配置におけるソフトエラーの起こり易さや、建物内の設備の配置の適切性をわかりやすく判断できる。さらに、中性子量に連動した位置毎の賃貸等のサービス料金を確認することができ、高い信頼性が必要な設備を適切な価格でサービスを受けることができる。

　さらに、実施の形態２は、中性子量を入力することなく、ＳＥＲの計算が可能であり、サービスに対する料金を計算することができる。

　これにより利用者ＵＡは、ＳＥＲ低減を図る建物及び設備の設計を検討しやすい。利用者ＵＡは、上記結果の参照に基づき、図１８等の画面で建物内の設備の配置の状態を変更することもできる。利用者ＵＡは、例えば、ＳＥＲ判定結果が否となった設備について配置を変更し、変更後の設備データ３３等を入力データとして、ＳＥＲ計算装置１に前述のＳＥＲ計算及び判定を再度実行させる。これにより利用者ＵＡは、図１９．図２０等の画面で、変更後の状態のＳＥＲ等を同様に確認できる。

　［変形例］
　実施の形態1及び実施の形態２の変形例として以下が可能である。変形例のＳＥＲ計算装置１は、建物特性計算機能を有する。この機能は、建物データ３２を入力データとして、ＳＥＲ低減ないし放射線減衰に関する建物の特性の指標値を計算する。この機能は、建物内の設備の配置の情報の設備データ３３は入力データとして必要としない。この機能は、建物内に設備が配置されていない状態の建物構造を含む建物データ３２を入力し、前述の建物の遮蔽構造モデルを含む計算モデルを用いて、建物内の位置または位置に対応付けられた分割エリアごとにおける上記指標値を計算する。上記建物の特性の指標値は、建物内の位置ごとの前述の減衰率Ｇを用いた指標値として計算される。

　図２７は、建物特性計算機能による建物特性情報のデータ出力の画面例を示す。利用者ＵＡは、例えば、画面でメニューから建物特性計算機能の実行を指定する。これに対し、建物特性計算機能は、上記指標値の情報を含む画面を入出力制御部５１により生成して利用者ＵＡに表示する。この画面は、建物構造を、例えば、２次元で表示すると共に上記指標値の情報を表示する。本例では、建物構造をＸＺ断面で表示し、また、建物内の位置に対応付けられる分割エリアの情報を表示している。

　本例では、建物データ３２に基づく３階建ての建物１９１、及びそれを構成する構造物としてフロアの床や天井などの構造物Ｊ１～Ｊ３等がある。フロアごとに３つの分割エリア１９２がある。そして分割エリア１９２ごとに、前述の減衰率Ｇを用いた建物特性の指標値１９３が表示されている。

　本例では、外部から建物１９１に入射する放射線である、例えば、中性子線の量を基準値として１００とする。建物特性計算機能は、建物内の位置である分割エリア１９２ごとに、構造物による放射線の減衰及びＳＥＲの低減の度合いを表す指標値１９３を計算して表示する。指標値１９３の表示の形式は、本例に限らず可能である。

　３Ｆで示す３階の真ん中のＢ３１２で示す分割エリアは、減衰率Ｇ＝９０／１００＝０．９であるとする。これに対応して、建物特性計算機能は、分割エリアＢ３１２の位置の指標値１９３を、例えば、９０として表示する。この指標値１９３は、この位置では外部の放射線の１００のうち１０が構造物Ｊ１等により遮蔽され９０が透過して到達することを示す。また、３階の外壁の構造物Ｊ４，Ｊ５寄りの位置の分割エリアＢ３１１，Ｂ３１３では、指標値１９３が９５となっている。同じフロアの外壁寄りの位置よりも建物内部の中央寄りの位置の方が指標値１９３が小さく、減衰効果が大きいことがわかる。

　同様に、２階の中央の分割エリアＢ２１２は、例えば、減衰率Ｇ＝０．８５に対応して、指標値１９３を８５としている。この位置では、外部の放射線の１００のうち１５が構造物Ｊ１及びＪ２等により遮蔽され８５が透過して到達することを示す。建物のＺ方向上層階よりも下層階の位置の方が指標値１９３が小さく、減衰効果が大きいことがわかる。

　利用者ＵＡは、上記画面で建物特性情報を参照することで、建物内の位置ごとの放射線減衰ないしＳＥＲ低減の特性を確認できる。利用者ＵＡは、例えば、指標値１９３が小さい位置ほどＳＥＲ低減効果が大きいとわかる。これにより、利用者ＵＡは、建物内に設備を配置する設計などの際に当該情報を有効活用できる。利用者ＵＡは、例えば、基本ＳＥＲが大きい設備や目標ＳＥＲが低い設備を、指標値１９３が小さい位置へ優先して配置するように設計ができる。

　なお、変形例の建物特性計算機能の場合、建物内の位置における相対的なＳＥＲの優劣を計算して表示するので、絶対的なＳＥＲを計算する必要は無い。よってＳＥＲ計算装置１は前述の中性子源の情報などを含む計算モデルについて簡略化した形で上記指標値の計算が可能である。

　＜実施の形態３＞
次に、図２８～図３７を用いて、本発明の実施の形態３のＳＥＲ計算装置１について説明する。実施の形態３のＳＥＲ計算装置１は、建物の内部に電子機器を含む複数の設備を配置する設計を支援して設計を変更する機能である設計変更機能を提供する。設計変更機能は、利用者ＵＡによる手動の設計を支援するだけでなく、自動的に最適または有効な設計案を生成して提示する機能を提供する。設計変更機能は、ＳＥＲを低減するために、建物内の設備の配置及びＳＥＲを解析して設備の設計を変更する機能、及び建物の構造及びＳＥＲを解析して建物の設計を変更する機能を含む。

　［ＳＥＲ計算装置］
　図２８は、実施の形態３のＳＥＲ計算装置１の構成を示す。図２０の実施の形態２のＳＥＲ計算装置１の構成は、図１及び図２の実施の形態１または実施の形態２の構成要素に加え、設計変更部２３、及び設計データ３５を有する。設計変更部２３は、設備変更部２４、及び建物変更部２５を有する。設計データ３５はＤＢ３０に管理される。

　設計変更部２３は、建物データ３２及び設備データ３３等の入力に基づき、設備や建物のＳＥＲに関する目標値の条件をできるだけ満たすように、建物及び設備の設計及び設計変更の状態を解析し、その結果を出力する処理を行う。設計変更部２３は、解析の結果を設計案として含む設計データ３５を保存及び出力する。入出力制御部５１は、設計データ３５に基づく、設計変更結果情報を含む画面を生成して利用者ＵＡに表示する処理を行う。

　設備変更部２４は、設備ＳＥＲや建物ＳＥＲが低減されるように建物内の設備の配置を解析して変更する設備配置変更機能を実現する。設備変更部２４は、例えば、入力データである建物データ３２の建物の構造の状態を固定の条件としてその設計は変更せず、建物内の設備の配置を変更し、設計案及び設備配置設計データ３５ａとして保存及び出力する。

　建物変更部２５は、設備ＳＥＲや建物ＳＥＲが低減されるように建物の構造を解析して変更する建物構造変更機能を実現する。建物変更部２５は、例えば、入力データである設備データ３３の建物内の設備の配置の状態を固定の条件としてその設計は変更せず、建物の構造を構成する構造物を追加する変更などを行い、設計案及び建物設計データ３５ｂとして保存及び出力する。

　なお、実施の形態３は、設計変更機能として、設備変更部２４による設備配置変更機能と、建物変更部２５による建物構造変更機能との両方を備えるが、一方のみを備える形態も可能である。

　設計データ３５は、ＳＥＲ計算装置１及び利用者ＵＡにより建物データ３２及び設備データ３３を用いて建物内の設備の配置などを設計及び設計変更する場合の設計の状態や設計案などを示すデータである。設計データ３５は、設備設計データ３５ａ、建物設計データ３５ｂ、ＳＥＲ低減効果データ３５ｃを含む。また、設計データ３５は、目標クリアリスト３５ｄ及びそれに関連付けられる１つ以上の設計案のデータを含む。

　設備設計データ３５ａは、設備変更部２４による設備配置変更を行った場合の設備配置変更データを含む設計データである。設備配置変更データは、変更前後の差分データとして、建物内のどの位置のどの設備をどの位置へ移動させるかを示すデータを含む。建物設計データ３５ｂは、建物変更部２５による建物構造変更を行った場合の建物構造変更データを含む設計データである。建物構造変更データは、変更前後の差分データとして、建物の構造体を構成する構造物をどのように変更するかを示すデータを含む。ＳＥＲ低減効果データ３５ｃは、設備または建物の設計変更に伴い、ＳＥＲがどのように変化するかを示すデータを含む。

　目標クリアリスト３５ｄは、建物及び設備の設計及びその設計変更に関して、目標ＳＥＲ等の条件を満たす度合いが高い順に、１つ以上の設計案の情報をリストとして記載し管理するデータである。各設計案は、例えば、個別の設計データ３５のファイルとして関連付けて管理される。設計案のデータは、設備設計データ３５ａ、建物設計データ３５ｂ、及びＳＥＲ低減効果データ３５ｃ等と関連付けて管理される。なお、設計データ３５は、建物データ３２や設備データ３３と統合して管理されてもよい。

　実施の形態２では、ＳＥＲ判定部２２によるＳＥＲと目標ＳＥＲとの比較判定結果である良否の情報において、良（ＯＫ）は、目標値を満たすので、建物内のその位置へのその設備の配置が可能または適切であることを示す。否（ＮＧ）は、目標値を満たさないので、建物内のその位置へのその設備の配置が不可能または不適切であることを示す。

　設計変更部２３は、ＳＥＲ判定部２２のＳＥＲ判定結果である良否に従い、設計を変更する処理を実行する。設計変更部２３は、例えば、否の結果となった設備及び建物について、設計変更が必要であると判断し、解析処理により、建物内の設備の配置または建物の構造の状態を変更する設計案を１つ以上作成する。設計変更部２３は、目標ＳＥＲの条件を満たす設計案を目標クリアリスト３５ｄに格納する。また設計変更部２３は、目標クリアリスト３５ｄの複数の設計案を出力する場合、目標ＳＥＲの条件を満たす度合いが高いほど推奨する設計案として優先順位を付けて出力する。

　［設計変更方針］
　設定部５２は、設定情報３１として、設計変更部２３による設計変更の方針や、設計変更を許容する範囲である変更可能範囲などを設定可能である。例えば、既設の建物の場合、建物データＤ２及び建物データ３２が固定の条件であり、建物構造は変更できない。この場合、設備データ３３を可変として、設備変更部２４により建物内の設備の配置を変更する。また、新設の建物の場合、建物構造が変更できる場合がある。この場合、建物データ３２を可変として、建物変更部２５により建物構造を変更することができる。

　また、設備変更部２４による設備配置の変更と、建物変更部２５により建物構造の変更との両方を同時に使用可能である。両方を同時に使用する場合、設備配置の変更と建物構造の変更との優先順位を設定可能である。設計変更部２３は、設定された優先順位に従い、設計変更の処理を行う。

　また、実施の形態３における設定情報３１として、設備配置の変更可能範囲の情報３１ａ、及び建物構造の変更可能範囲の情報３１ｂを含む。設備配置の変更可能範囲の情報３１ａは、設備の配置及び配置変更が可能な建物内のフロア、エリア、及び分割エリア等の領域、あるいは、配置変更を許可する設備、等が設定可能である。建物構造の変更可能範囲の情報３１ｂは、構造物の設置及びその変更が可能な建物内のフロア、エリア、及び分割エリア等の領域、あるいは、構造変更を許可する構造物、等が設定可能である。設計変更部２３は、上記設定された変更可能範囲内において建物や設備の設計変更の処理を行う。

　上記変更可能範囲の設定は、例えば、建物内の特定のフロアやエリアや分割エリア、特定の構造物、特定の設備などを、変更可能にする設定と、特定の対象を変更不可能にする設定とが可能である。具体例としては、特定の設備を特定のフロアやエリアに配置しなければならないという制約条件を設定可能である。また、フロアや天井の増設はできないが壁や柱の増設はできるという制約条件を設定可能である。

　［設備変更部］
　まず設備変更部２４による設備配置変更機能について説明する。設備変更部２４は、ＳＥＲ判定結果が否となった設備について、下記の図２９のような設備配置変更処理を実行する。設備変更部２４は、設備配置変更処理における基本的な方針あるいは設備配置変更の候補として、（１）否の設備をＺ方向の下の階の空いている位置へ移動させること、または、（２）否の設備をＸＹ方向の同じ階における建物外周から遠い建物中央寄りの空いている位置へ移動させること、が挙げられる。

　上記（１）または（２）による設備の配置の変更により、ＳＥＲの計算値の低減が期待できる。ＳＥＲ計算装置１は、上記配置変更後の設備の位置の候補について、前述のＳＥＲ計算及び判定を同様に行うことで、当該位置の候補によるＳＥＲ低減効果を確認する。この結果、ＳＥＲ低減効果がある場合、有効であるので、設備変更部２４は、その候補についての設備配置変更データ３５ａ及びＳＥＲ低減効果データ３５ｃを設計データ３５に含めて保存し、効果が無い場合は却下する。

　上記（１）及び（２）の設備配置変更の方針は、簡易な計算の場合であり、これに限らず可能である。即ち、設備変更部２４は、設備配置変更位置の立案としては、（Ｘ，Ｙ，Ｚ）の３次元空間内で任意の方向に任意の距離で移動させた位置としてもよい。特に、分割エリア単位でＸまたはＹまたはＺ方向で１つ隣の分割エリアに移動させた位置としてもよい。ＳＥＲ計算装置１は、それら移動後の位置におけるＳＥＲの計算値が移動前のＳＥＲの計算値よりも低くなる場合は好適な候補とすればよい。

　［設備配置変更処理］
図２９は、設備変更部２４による設備配置変更処理のフロー例を示す。利用者ＵＡにより画面のメニューから設計変更またはそのうちの設備配置変更が選択及び実行されると、ＳＥＲ計算装置１は以下の処理を開始する。設備変更部２４は、上述の方針や設定に対応したアルゴリズムによる設備配置変更処理を行う。

　（Ｓ２０１）Ｓ２０１で、ＳＥＲ計算装置１は、建物データ３２、設備データ３３、及び設定情報３１などを入力する。設定情報３１は、各種の目標ＳＥＲと、利用者ＵＡにより設定画面で設定される、設備配置の変更可能範囲の情報３１ａとを含む。

　（Ｓ２０２）Ｓ２０２～Ｓ２０８では、ＳＥＲ計算装置１は、設備ごとの処理を繰り返す。設備変更部２４は、処理対象として建物内の１つの設備を選択する。

　（Ｓ２０３）Ｓ２０３で、ＳＥＲ計算装置１は、前述のＳ１１０と同様に、建物内の対象の設備の配置の位置に応じた設備ＳＥＲを、減衰率Ｇ、基本ＳＥＲに基づき計算する。

　（Ｓ２０４）Ｓ２０４で、ＳＥＲ計算装置１は、前述のＳ１０７と同様に、建物ＳＥＲを全設備ＳＥＲの総和などにより計算する。ここで計算される建物ＳＥＲは、Ｓ２０３で新たに計算した設備ＳＥＲを用いて更新される。

　（Ｓ２０５）Ｓ２０５で、設備変更部２４は、対象の設備の位置がＳＥＲに関する条件を満たすかどうかを判断する。即ち、設備変更部２４は、Ｓ２０３の設備ＳＥＲが目標設備ＳＥＲ以下であり、かつ、Ｓ２０４の建物ＳＥＲが目標建物ＳＥＲ以下であるか確認する。当該条件を満たす場合（Ｙ）はＳ２０７、満たさない場合（Ｎ）はＳ２０６へ進む。

　（Ｓ２０６）Ｓ２０６で、設備変更部２４は、設備データ３３に基づく対象の設備の配置の位置をＳ２０１で設定されている変更可能範囲内で変更する処理を行う。即ち、設備変更部２４は、変更後の設備の配置の位置を候補として立案する。設備変更部２４は、例えば、設備の位置をＺ方向の下の階の位置や、ＸＹ方向の建物内側寄りの位置へ、１階分、１分割エリア分などの単位で移動させる。そして、Ｓ２０６で立案した設備の位置の候補について、Ｓ２０３～Ｓ２０５の処理が同様に行われる。

　（Ｓ２０７）Ｓ２０７で、設備変更部２４は、上記条件を満たした設備の位置の候補についての情報を設計データ３５として保存し、設計案に関するデータの状態を更新する。設備変更部２４は、目標クリアリスト３５ｄ、設備設計データ３５ａ、ＳＥＲ低減効果データ３５ｃおよびＳＥＲ計算部２１内で計算する料金変動率係数等のデータ内容を適宜更新する。設備設計データ３５ａは、変更前後の設備の位置の情報を含む。

　また、設備変更部２４は、当該設備の変更前の位置に対応するＳＥＲの値と、当該設備の変更後の位置に対応するＳＥＲの値と、それらの差分または比率などの値とを、ＳＥＲ低減効果データ３５ｃまたはＳＥＲデータ３４に格納する。また、設備変更部２４は、建物内の全設備について、Ｓ２０５の目標値の条件を満たしている場合、目標クリアリスト３５ｄに、設計案として情報を記載する。

　（Ｓ２０９）Ｓ２０９で、設備変更部２４は、Ｓ２０１で設定された変更可能範囲内における全設備についてＳ２０２～Ｓ２０８の処理を終了したか確認する。終了していない場合（Ｎ）、設備変更部２４は、変更可能範囲内の次の設備を選択してＳ２０２から同様に繰り返し、終了した場合（Ｙ）はＳ２１０へ進む。

　（Ｓ２１０）Ｓ２１０で、入出力制御部５１は、出力制御処理として、上記Ｓ２０９までの処理結果の設計データ３５に基づき、目標クリアリスト３５ｄ及び設計案の情報を含む画面を生成して表示部５３に表示する。これにより、利用者ＵＡは後述の図３１のような画面で目標クリアリスト３５ｄ及び設計案の情報を参照できる。

　更に、上記Ｓ２０６等において、設備変更部２４は、以下の処理を行ってもよい。設備変更部２４は、建物内の空いている位置へ設備を移動させるが、配置用の空きが無い場合などには、空きをつくるために、ＳＥＲに関して目標値と照らして余裕がある設備について移動させてもよい。この場合、設備変更部２４は、このＳＥＲに余裕がある設備について、例えば、Ｚ方向の上の階、またはＸＹ方向の建物外側寄りの位置へ移動させる。この移動により、当該設備は、ＳＥＲの計算値が高くなる可能性が高いので、Ｓ２０３～Ｓ２０５で条件を満たすかどうか確認する。上記空きをつくることで、ＳＥＲに関して余裕が無い設備を当該空きの位置へ移動させることができる。

　また、上記Ｓ２０６等において、設備変更部２４は、以下の処理を行ってもよい。後述の設定画面に示すように、設備種類や設備格納データ等に応じて、重要度ないし防護レベルが設定可能である。そこで設備変更部２４は、例えば、重要度が高い設備については、なるべくそのＳＥＲが低くなるように、上記設備配置変更を優先的に実行する。例えば、設備変更部２４は、設備の重要度が高い場合、設備の配置の変更後の位置を、建物のＺ方向のなるべく下の階、あるいは建物のＸＹ方向の中央の位置になるように立案する。

　上記設備配置変更処理のフローは、Ｓ２０５のように、建物ＳＥＲが目標値を満たし、かつ変更可能範囲内の全設備の設備ＳＥＲが目標値を満たすように、設計案を生成する例である。これに限らず、設備変更部２４は、一部の設備について目標値を満たさなくても、建物ＳＥＲが目標値を満たすのであれば、有効な設計案としてもよい。また、設備変更部２４は、建物ＳＥＲが目標値を満たさなくても設計案としてもよい。

　［建物変更部］
　次に、建物変更部２５による建物構造変更機能について説明する。建物変更部２５は、ＳＥＲ判定結果が否となった設備及び当該設備を含む３次元空間領域について、建物構造変更処理を実行する。建物変更部２５は、建物構造変更処理における基本的な方針あるいは変更の候補として、（１）否の設備のＺ方向上方の空いている位置に、遮蔽物となる床や天井や梁などの構造物を追加すること、または、（２）否の設備のＸＹ方向の建物外周寄りの空いている位置に遮蔽物となる壁や柱などの構造物を追加すること、が挙げられる。

　上記（１）は、否の設備のＺ方向上方にある既存の構造物の厚さまたは数量を増やすことでもよい。また、上記（２）は、否の設備のＸＹ方向にある既存の構造物の厚さまたは数量を増やすことでもよい。あるいは、上記（１）や（２）は、設備の付近にある構造物を放射線の遮蔽効果が高くなる材質の構造物へ変更することでもよい。上記建物構造の変更により、建物外部から入射して設備に到達する放射線が通過する構造物の合計厚さ等が大きくなるので、減衰効果が大きくなり、ＳＥＲ低減効果が期待できる。

　ＳＥＲ計算装置１は、上記建物構造の変更の影響を受ける各設備について、前述のＳＥＲ計算及び判定を同様に行うことで、当該変更によるＳＥＲ低減効果を確認する。この結果、ＳＥＲ低減の効果がある場合、有効であるので、建物変更部２５は、当該変更を建物設計データ３５ｂ及びＳＥＲ低減効果データ３５ｃとして設計データ３５に含めて保存し、効果が無い場合は却下する。例えば、ある設備のＸ方向において壁などの構造物が追加された場合、そのＸ方向に配置されている各設備は、追加された構造物による遮蔽の影響を受ける。

　［建物構造変更処理］
　図３０は、建物変更部２５による建物構造変更処理のフロー例を示す。利用者ＵＡにより画面のメニューから設計変更またはそのうちの建物構造変更が選択及び実行されると、ＳＥＲ計算装置１は以下の処理を開始する。建物変更部２５は、上述の方針や設定に対応したアルゴリズムによる建物構造変更処理を行う。

　（Ｓ３０１）Ｓ３０１で、ＳＥＲ計算装置１は、建物データ３２、設備データ３３、及び設定情報３１などを入力する。この際、設定情報３１は、利用者ＵＡにより設定画面で設定される、建物構造の変更可能範囲の情報３１ｂの設定を含む。

　（Ｓ３０２）Ｓ３０２～Ｓ３０８では、ＳＥＲ計算装置１は、設備ごとの処理及び構造物ごとの処理を繰り返す。建物変更部２５は、処理対象として建物内の１つの設備及び１つの構造物を選択する。

　（Ｓ３０３）Ｓ３０３で、ＳＥＲ計算装置１は、前述のＳ１１０と同様に、建物内の対象の設備の配置の位置に応じた設備ＳＥＲを計算する。

　（Ｓ３０４）Ｓ３０４で、ＳＥＲ計算装置１は、前述のＳ１０７と同様に、建物ＳＥＲを計算する。ここで計算される建物ＳＥＲは、Ｓ３０３で新たに計算した設備ＳＥＲを用いて更新される。

　（Ｓ３０５）Ｓ３０５で、建物変更部２５は、対象の設備がＳＥＲに関する条件を満たすか判断する。即ち、建物変更部２５は、Ｓ３０３の設備ＳＥＲが目標設備ＳＥＲ以下であり、かつ、Ｓ３０４の建物ＳＥＲが目標建物ＳＥＲ以下であるか確認する。当該条件を満たす場合（Ｙ）はＳ３０７、満たさない場合（Ｎ）はＳ３０６へ進む。

　（Ｓ３０６）Ｓ３０６で、建物変更部２５は、建物データ３３に基づき、対象の建物の構造物をＳ３０１で設定されている変更可能範囲内で変更する。即ち、建物変更部２５は、変更後の建物の構造物を候補として立案する。建物変更部２５は、例えば、設備のＺ方向上方やＸＹ方向の建物外周寄りに構造物を追加する。この際、建物変更部２５は、構造物を追加する単位として、例えば、所定の厚さまたは数量などによる所定の構造物を追加してもよい。そして、Ｓ３０６で立案した建物の構造に関係する各設備に関して、Ｓ３０３～Ｓ３０５の処理が同様に行われる。なお、Ｓ３０６の構造物の変更に応じて、前述の計算モデルの状態は更新され、ＳＥＲ計算装置１は、更新後のモデルに基づき、減衰中性子スペクトルデータや減衰率Ｇを計算する。

　（Ｓ３０７）Ｓ３０７で、建物変更部２５は、上記Ｓ３０５の条件を満たした設備及び建物の情報を設計データ３５として保存し、設計案に関するデータの状態を更新する。建物変更部２５は、目標クリアリスト３５ｄ、建物設計データ３５ｂ、及びＳＥＲ低減効果データ３５ｃ、およびＳＥＲ計算部２１内で計算する料金変動率係数等のデータ内容を適宜更新する。建物設計データ３５ｂは、変更前後の建物の構造物の情報を含む。

　また、建物変更部２５は、当該構造物の変更前に対応する設備のＳＥＲの値と、当該構造物の変更後に対応する設備のＳＥＲの値と、それらの差分または比率などの値を、ＳＥＲ低減効果データ３５ｃに格納する。また、建物変更部２５は、建物内の全設備についてＳ３０５の目標値の条件を満たしている場合、目標クリアリスト３５ｄに、設計案として情報を記載する。

　（Ｓ３０９）Ｓ３０９で、建物変更部２５は、Ｓ３０１で設定された変更可能範囲内における全構造物及び全設備についてＳ３０２～Ｓ３０８の処理を終了したか確認する。終了していない場合（Ｎ）、建物変更部２５は、変更可能範囲内の次の構造物及び設備を選択してＳ３０２から同様に繰り返し、終了した場合（Ｙ）はＳ３１０へ進む。

　（Ｓ３１０）Ｓ３１０で、入出力制御部５１は、出力制御処理として、上記Ｓ３０９までの処理結果の設計データ３５に基づき、目標クリアリスト３５ｄ及び設計案の情報を含む画面を生成して表示部５３に表示する。これにより、利用者ＵＡは、図２３等の画面で目標クリアリスト３５ｄ及び設計案の情報を参照できる。

　［設定画面］
　実施の形態２における前述の図１８の設定画面における設定例は以下である。設定画面は、項目１６０６、項目１６１１を有する。項目１６０６は、設計変更部２３を用いた設計変更の方針を設定可能である。項目１６０６は、設備変更部２４による設備配置変更機能を使用または優先するかどうか、及び、建物変更部２５による建物構造変更機能を使用または優先するかどうか等を利用者ＵＡにより選択して設定可能である。

　また、項目１６０６は、例えば、変更可能範囲の設定ボタンにより、それぞれの変更可能範囲を利用者ＵＡにより設定可能である。例えば、設備配置の変更可能範囲の設定ボタンにより、入出力制御部５１は、設備データ３３の内容を他の画面や項目に表示し、利用者ＵＡにより設備配置の変更可能範囲の情報３１ａを設定可能である。その場合、変更可能とする対象または範囲を選択させる形式でもよいし、変更不可能とする対象または範囲を選択させる形式でもよい。この際、入出力制御部５１は、例えば、図１４のようなフロアマップを表示し、フロア内における配置可能または配置変更可能とするエリアや分割エリア等を指定可能としてもよい。

　項目１６１１は、フロア、設備、及び構造物などの各単位での設計変更可否を利用者ＵＡにより設定可能である。項目１６０２の項目１６１１は、フロアごとの変更可否を設定可能である。項目１６０３の項目１６１１は、設備ごとの変更可否を設定可能である。項目１６０４の項目１６１１は、構造物ごとの変更可否を設定可能である。

　項目１６１１で、例えば、「可」に設定された対象については、設計変更部２３による設計変更を許可し、前述の設備配置または建物構造の変更可能範囲に含め、「不可」の対象については含めない。例えば、項目１６０３で設備Ｃである通信機器について「不可」に設定された場合、当該通信機器の配置の設計は固定となる。例えば、項目１６０４で構造物Ａである床について「不可」に設定された場合、当該床の設計は固定となる。

　更に、設備配置の変更可能範囲の情報３１ａは、設備配置を変更する際の移動の単位や最大値を設定可能としてもよい。例えば、前述のように１分割エリアの単位で移動させる設定が可能である。

　更に、建物構造の変更可能範囲の情報３１ｂは、構造物の厚さ等のサイズ、数量、及び材質などの各要素の変更可否や変更優先順位、各要素の変更可能範囲を設定可能としてもよい。例えば、構造物のサイズのみが変更可能と設定された場合、建物変更部２５は、変更の候補として構造物の厚さを大きくする。例えば、構造物のサイズの変更可能範囲として、厚さの最小値及び最大値、及び変更時の刻み幅などを設定可能としてもよい。例えば、変更優先順位として、第１に厚さの増加、第２に数量の増加、第３に材質の変更、といった設定を可能としてもよい。

　また、建物構造の変更可能範囲の情報３１ｂは、構造物の変更や追加の際の候補となる製品や部材の情報を設定可能としてもよい。例えば、既存の建物の構造物に対して放射線遮蔽効果を持つ特殊素材などの部材を追加的に設置する場合、その部材の情報を候補として設定可能としてもよい。

　また、建物構造の変更可能範囲の情報３１ｂは、新設の建物の設計の場合、フロア数やフロア面積などの変更可否及び変更可能範囲、地下階などの特定フロアの可否などを設定可能としてもよい。例えば、建物の最上階のフロアを増設可能とする場合、その増設の分、設備配置可能領域が増えると共に、遮蔽物の増加によるＳＥＲ低減効果が期待できる。

　［設計変更画面］
　図３１は、設計変更部２３による設計変更処理の情報を表示する設計変更画面の例を示す。設計変更画面において、項目２３０１は、変更前の設計データ３５の情報を示す。項目２３０１は、例えば、ある設計案を構成する、設計データ３５、建物データ３２、設備データ３３、及びＳＥＲデータ３４等のファイル情報を表示する。項目２３０１の各情報は、利用者ＵＡが適宜選択して画面に表示して確認できる。

　項目２３０２は、項目２３０１の建物及び設備の設計に関する目標値を表示する。項目２３０２は、例えば、建物ＳＥＲの目標値を表示しており、利用者ＵＡは変更ボタンにより当該目標値の設定を変更できる。

　項目２３０３は、目標クリアリスト３５ｄの情報を表示する。項目２３０３の目標クリアリストは、例えば、設計データ３５、建物データ３２、設備データ３３、及びＳＥＲデータ３４のファイル情報、ＳＥＲ低減効果データ３５ｃに基づくデータ、等を表示する。項目２３０３のリストは、１つ以上の設計案ごとの行を有する。

　項目２３０３の目標クリアリストは、ＳＥＲ計算装置１の解析結果に基づく推奨の順に複数の設計案が表示される。項目２３０３は、リスト中の複数の設計案を表示させる優先順位を利用者ＵＡにより選択できる。例えば、「建物ＳＥＲが低い順」が選択された場合、リストの上から建物ＳＥＲが低い順に複数の設計案が並び替えられて表示される。他の優先順位としては、建物内の設備ＳＥＲの最大値が小さい順、設備配置の変更度合いが少ない順、建物構造の変更度合いが少ない順、等が挙げられる。なお、設備配置の変更度合いは、設備設計データ３５ａに基づき確認可能である。建物構造の変更度合いは、建物設計データ３５ｂに基づき確認可能である。

　項目２３０４は、変更後の設計データ３５の内容を表示する。項目２３０４は、項目２３０３のリストのうちの一番上の行の最も推奨される設計案の情報、あるいは、項目２３０３のリストから利用者ＵＡにより任意に選択された設計案の情報を表示する。利用者ＵＡは、項目２３０３のリストの中から任意の設計案を選択してその内容を確認できる。項目２３０４は、設計データ３５、建物データ３２、設備データ３３、及びＳＥＲデータ３４のファイル情報、ＳＥＲ低減効果情報、等を有する。ＳＥＲ低減効果情報は、ＳＥＲ低減効果データ３５ｃに基づき、設計変更前後で建物ＳＥＲ等のＳＥＲがどの程度低減されるかを示す割合、中性子量の変動に連動した料金変動率、対象位置での料金見積もり額などの情報を表示する。

　利用者ＵＡは、項目２３０４の各列の情報を選択してその詳細内容を画面に表示して確認可能である。利用者ＵＡは、項目２３０４に表示された設計案を採用する場合、採用ボタンにより、独立した設計データ３５のファイルとして確定させてＤＢ３０に保存することができる。また、採用した設計データ３５については、そのまま利用するだけでなく、前述のように利用者ＵＡにより画面内で編集して利用することもできる。

　［設計変更例（１）］
　図３２～図３４を用いて、設計変更部２３による設計変更の例として設備変更部２４による設備配置変更の例を説明する。図３２は、設備配置変更前の状態を含む表示画面例を示す。図３３は、図３２の状態からの設備配置変更後の第１の状態、図３３は図３２の第１の状態からの変化後の第２の状態を示す。

　まず図３２において、変更前の建物、設備、及び設備ＳＥＲ等の情報を、ＸＺ断面で示している。建物は、例えば、３階建てであり、各フロアの断面はＸ方向に３つの分割エリアがある。設備配置の例として、２階の第１の分割エリアＢ２１１に第１の設備Ｓ０１、第２の分割エリアＢ２１２に第２の設備Ｓ０２、第３の分割エリアＢ２１３に第３の設備Ｓ０３がある。また、１階の分割エリアＢ１１３に第４の設備Ｓ０４がある。

　前述の計算モデルに基づくＳＥＲ計算の結果、設備Ｓ０１～Ｓ０４の各位置の設備ＳＥＲは、例えば、２００，１５０，２００，１６０である。また、全設備の目標設備ＳＥＲの設定値が、例えば、１７５である。前述のＳＥＲ判定の結果、設備Ｓ０１及びＳ０３については、否（ＮＧ）と判定されている。

　図３３において、設備の破線枠は配置変更前、実線枠は配置変更後を示す。設備変更部２４は、図３２の状態の否である設備Ｓ０１及びＳ０３について、Ｚ方向の下の階またはＸＹ方向の建物中央寄りの位置への移動を検討する。設備変更部２４は、設備Ｓ０１については、２５０１のように、１階の分割エリアＢ１１１が空いているので、その位置へ移動させる。設備変更部２４は、設備Ｓ０３については、Ｚ方向の直下の１階の分割エリアＢ１１３、及び２階のＸ方向左側の建物中央の分割エリアＢ２１２を参照するが、いずれも空いていないので移動できない。

　そこで、設備変更部２４は、設備Ｓ０３についての配置の位置の立案として、まず１階の空いている分割エリアを探し、例えば、分割エリアＢ１１２が空いているため、２５０２のように分割エリアＢ１１２に設備Ｓ０３を移動してもよい。ここで説明上、分割エリアＢ１１２は、設備配置の変更可能範囲に含まれておらず、当該分割エリアＢ１１２には配置できないとする。

　設備変更部２４は、設備Ｓ０３についての別の立案として、Ｚ方向直下の分割エリアＢ１１３またはＸ方向左側の分割エリアＢ２１２に空きを設けて移動させることを検討してもよい。分割エリアＢ２１２の設備Ｓ０２のＳＥＲ、及び分割エリアＢ１１３の設備Ｓ０４のＳＥＲは、目標値を満たす状態である。よって、設備変更部２４は、当該設備Ｓ０２，Ｓ０４を、Ｚ方向の上の階やＸＹ方向の左右の建物外周寄りの位置へ移動させることを検討する。なお、このような設計変更の検討は再帰的な処理により可能である。

　設備変更部２４は、例えば、設備Ｓ０２，Ｓ０４を、Ｚ方向上方の３階の空いている分割エリアＢ３１２，Ｂ３１３へ移動させる。この際、設備ＳＥＲの値が変動するので、設備変更部２４は、前述のＳＥＲ判定により確認し、可（ＯＫ）であれば移動させる。例えば、分割エリアＢ３１２に移動させた場合の設備Ｓ０２のＳＥＲは１７０となり目標値を満たして可となる。よって、設備変更部２４は、２５０３のように、当該設備Ｓ０２を分割エリアＢ３１２に移動させる。これにより２階の分割エリアＢ２１２に空きができる。また、分割エリアＢ３１３に移動させた場合の設備Ｓ０４のＳＥＲは１８０となり目標値を満たさず否となるので、設備変更部２４は、当該設備Ｓ０２を移動させない。

　図３４において、設備変更部２４は、２階の分割エリアＢ２１３の設備Ｓ０３を、上記空きになった分割エリアＢ２１２に移動させる。この際、設備変更部２４は、分割エリアＢ２１２に移動した場合の設備Ｓ０３のＳＥＲを確認し、目標値を満たす場合は当該位置へ移動させ、満たさない場合は移動させない。あるいは、設備変更部２４は、当該設備Ｓ０３の移動後のＳＥＲが目標値を満たさなくとも設備ＳＥＲが低減されている場合は、当該位置へ移動させてもよい。また、設備変更部２４は、設備の移動先の候補が複数存在する場合、移動先でのＳＥＲの値が一番小さくなる位置へ移動させてもよい。

　利用者ＵＡは、上記図３２等の画面で、設備配置変更後の状態の設計案の内容を確認でき、その内容でよければ当該設計案を採用する操作ができる。

　［設計変更例（２）］
　図３５を用いて、設計変更部２３による設計変更の例として、建物変更部２５による建物構造変更の場合の例を説明する。建物構造変更前の状態は、前述の図２４と同じとする。図３５は、建物構造変更後の状態を含む表示画面例を示す。

　図３５において、建物変更部２５による変更後の建物構造において、構造物Ｊ６が追加されている。３階の天井である構造物Ｊ１の全面に対し、ＸＹ平面の平板状の構造物Ｊ６が追加設置された例である。構造物Ｊ６よりもＺ方向下方に配置されている各設備Ｓ０１～Ｓ０４については、Ｚ方向において、当該設備と建物外部との間に構造物Ｊ６が遮蔽物として追加される。よって、その構造物Ｊ６のＺ方向の厚さの分、Ｚ方向の放射線減衰効果が高くなり、ＳＥＲ低減効果が生じる。各設備Ｓ０１～Ｓ０４は、ＳＥＲ計算の結果、図２４の変更前の状態よりも設備ＳＥＲが小さくなり、すべて目標設備ＳＥＲを満たす状態となった。

　上記例に限らず、構造物の変更の候補としては、既存の構造物Ｊ１やＪ２のＺ方向の厚さを大きくしてもよいし、設備のＸＹ方向において壁などの構造物が追加されてもよい。また、既存の構造物Ｊ１等の材質を、中性子線の遮蔽効果が高い特性を持つ材質に変更してもよい。また、例えば、新設の建物の設計の場合、４階などのフロアが増設されてもよい。追加される構造物は、既設の建物に対して後から設置される構造物でもよい。例えば、壁に特殊素材が
貼り付けられてもよい。

　［設計変更例（３）］
　図３６～図３７を用いて、設計変更部２３による設計変更の例として、設備変更部２４による設備配置変更、及び建物変更部２５による建物構造変更の両方を併用した場合の例を説明する。図３６は、変更前の状態を含む表示画面例を示す。図３７は、図３６からの変更後の状態を含む表示画面例を示す。

　まず図３６において、設計変更前の建物及び設備の状態をＸＺ断面で示している。建物２８１は、例えば、地上３階及び地下１階を含むデータセンタ等の建物である。入力の建物データ３２及び設備データ３３に基づき、ＳＥＲ計算装置１は、図示するモデルを作成する。建物２８１は、床や壁などの構造物２８５を有する。建物２８１の１階から３階までの各階は、ＸＹ平面にわたり、サーバ、ストレージ、及び通信機器などの各種の設備２８２が配置されている。設備２８２は、図示のように種類ごとに形や色を変えて表示してもよい。また、地下１階は、設備２８３として予備電源装置が配置されている。

　図３７において、前述の目標値、例えば、目標建物ＳＥＲを満たす１つの設計案の状態を表示している。変更後の建物２８１は、建物構造及び設備配置の両方が変更されている。まず変更後の設備の構成は、設備配置変更処理により、地上の１階～３階の各フロアにおける設備の配置の数を、Ｚ方向の上層階ほど減らし、下層階ほど増やしている。そのため、当該減らす分の上の階の設備が下の階へ移動されている。下層階ほどＺ方向での遮蔽物となる構造物２８５が多くなり、放射線の減衰によるＳＥＲ低減が期待できる。特に高い効果が期待できる地下１階には、例えば、目標ＳＥＲが小さいサーバや重要度が高いストレージ等の設備２８２が集められている。また、変更前の状態では地下１階に配置されていた設備２８３である予備電源装置については、上層階である３階へ移動されている。予備電源装置は、例えば、重量物ではあるが、ソフトエラーに関する影響は小さい特性を持つ。最上階である３階は最も中性子線の影響が大きいと考えられ、ソフトエラーに関する影響が小さい特性を持つ設備２８３を配置することで対処している。

　また、建物のフロア構成として、構造物２８５の構成は、水平方向であるＸＹ方向における床などの構造物２８５は変更されず、垂直方向であるＺ方向に立つ壁や柱などの構造物２９１が追加されている。これは、例えば、前述の建物構造の変更可能範囲の情報３１ｂの設定として床などを変更不可とする設定に対応している。壁などの構造物２９１の追加により、ＸＹ方向における建物中央寄りに配置される設備ほど、建物外部との間の遮蔽物が多くなり、ＸＹ方向での放射線の減衰によるＳＥＲ低減が期待できる。よって、設備変更部２４は、建物中央寄りの位置に、ソフトエラーに関する影響が大きい設備や、目標ＳＥＲが小さい設備を配置するようにしている。

　また、上記Ｚ方向のフロア間の設備の配置の変更に伴い、上記壁などの構造物２９１の追加により、建築強度の向上を兼ねている。特に、建物変更部２５は、重量物である予備電源装置を上層階に移動したので、それよりも下の各階に構造物２９１を追加している。設計変更部２３は、建物データ３２や設備データ３３に含まれる重量の情報や、設定情報３１に含まれるフロアごとの重量の許容値などを参照して上記設計変更処理を行う。

　上述した設計変更部２３の建物及び設備の設計変更処理については、その設計の最適化の手法として、公知のアルゴリズムの一種である山登り法に代表される局所探索法などを用いることにより、最適値などを導いてもよい。

　［効果等］
　実施の形態３によれば、実施の形態１及び実施の形態２の効果に加え、既設や新設のデータセンタ等の建物内に配置される複数の設備に関するソフトエラーに関し、低いＳＥＲによる高い信頼性を実現する建物及び設備などの設計を支援できる。実施の形態２によれば、低いＳＥＲや大きなＳＥＲ低減効果による最適または効率的な設備配置や建物構造を提案できる。実施の形態２によれば、設計変更機能により、建物内の設備の配置や建物の構造を解析し、ＳＥＲを低減できる設計変更案を自動的に作成して出力できる。さらに、低減したＳＥＲより建物内の賃貸などのサービス対価を向上することができるとともに、建物を利用するユーザの設備の信頼性を向上することが可能となる。

　これにより、利用者ＵＡは、ソフトエラー対策を含む最適な建物及び設備の設計がしやすい。利用者ＵＡは、設備配置や建物構造の工夫によってＳＥＲ低減を図る設計により、従来の冗長化方式などによる不要または冗長な設備やそのために必要な構造物などを削減できる。これにより、高い信頼性と共に低いコスト及び消費電力の建物及びデータセンタ等のシステムを実現できる。

　利用者ＵＡは、図２３等の画面の参照に基づき、前述の図１２等の画面で設計データ３５等の内容を編集する操作により、建物及び設備の設計の状態を変更できる。例えば、利用者ＵＡは画面内で設備をドラッグする操作などによって設備の配置の位置を変更できる。そして、利用者ＵＡは、変更後の設計データ３５について前述のＳＥＲ計算及び判定をＳＥＲ計算装置１に再度実行させ、その結果が適切かどうかを画面で確認できる。

　また、実施の形態２は、設計変更機能により、設備配置や建物構造やＳＥＲなどを解析して複数の設計案を自動的に作成し、図２３の画面で複数の設計案及びそのリストを利用者ＵＡに推奨情報として提示する。利用者ＵＡは、提示された中から好適な設計案を選択して採用または編集できる。よって利用者ＵＡは、ＳＥＲが低くなる最適な建物及び設備の設計を少ない労力で実現できる。

　また、実施の形態３のＳＥＲ計算装置１は、上記設計案や利用者ＵＡにより作成された設計データ３５を、ＤＢ３０に保存する。また、実施の形態２のＳＥＲ計算装置１は、設備配置や建物構造などの設計変更データ及びＳＥＲ低減効果などを含む設計データ３５をＤＢ３０に保存する。利用者ＵＡは、ＤＢ３０から過去の設計データ３５を参照することもできる。利用者ＵＡは、過去の設計データ３５を含む複数の設計案を比較して、例えば、ＳＥＲが一番低くなる設計案を選択することもできる。

　［変形例］
　実施の形態３に関する変形例として以下が可能である。第１の変形例において、設計変更部２３は、設計変更の候補として、設備の位置や建築構造は変えずに、設備自体を他の設備に取り替えるようにしてもよい。設計変更部２３は、例えば、設計変更に伴うＳＥＲ判定の結果、設備ＳＥＲが目標ＳＥＲを満たさない場合に、上記候補として設備を取り替える。また、設計変更部２３は、上記候補として、設備を収容するラック、例えば、放射線遮蔽効果を持つラックを追加するようにしてもよい。

　この場合、設備配置の変更可能範囲の情報３１ａは、候補となる設備の情報が設定可能である。例えば、新設のデータセンタの設計の際、基本ＳＥＲや目標ＳＥＲが異なる複数のサーバがある場合に、当該サーバの情報が情報３１ａに設定されてもよい。設計変更部２３は、例えば、第１のサーバでは目標値を満たせないが、第２のサーバに取り替えると目標値が満たせるので、第２のサーバに取り替える、といった立案が可能となる。

　第２の変形例において、ＳＥＲ計算装置１は、設備自体に放射線の遮蔽に関する特性を設定し、当該設備の特性を前述の減衰の計算に反映する。この場合、ＳＥＲ計算装置１は、ＳＥＲを計算する対象となる設備の位置と建物外部との間の放射線の方向において、遮蔽物として介在する設備について、その遮蔽の特性を減衰計算に反映することにより、前述の減衰率Ｇ等を計算する。例えば、設備の種類として、ラック内に複数の装置が格納される設備である場合、ラック自体に遮蔽効果が期待できる。その場合、設備データ３３は、ラックの情報と、ラックに対応した遮蔽の特性の情報とが設定される。

　[変形例]（ＳＥＲ測定器を用いたサービス品質維持方式）
　次に図３８、図３９を用いて本発明の実施の形態４を示す。図３８は、建物構造および設備設置例と、設備を配置している複数のエリアにＳＥＲ計測器３６１を設置した例を示す。

　ＳＥＲ計測器３６１は、中性子ソフトエラーの発生状態を監視する計測器であり、実施形態１および実施形態２によって計算されるサービスに対する料金変動率係数の妥当性を評価するための情報を収集する。

　図３９にＳＥＲ計測器３６１の構成例を示す。本構成例では、中性子ソフトエラー率を計数するためのリファレンス半導体デバイスとして中性子エラー検出ＬＳＩ３７０１を１個以上搭載し、その計数結果を中性子エラー計測部が収集する。収集した結果は、計測結果通信部３７０３が通信手段を経由して、計測結果収集部３７０４に送り、収集結果表示部３７０５で表示する。

　これにより、サービスに対する料金設定の妥当性を評価、検証することができ、サービスの品質を維持することができる。

　＜他の実施の形態＞
　以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。本発明は、データセンタに限らず、電子機器を設置する各種の建物及び情報処理システム、例えば、企業や公共機関におけるビルや工場及びそのシステムに関して同様に適用可能である。本発明は、中性子ソフトエラーに限らず、放射線に起因するソフトエラーに関して同様に適用可能である。

　（１）一実施の形態のＳＥＲ計算装置は、設定情報、建物データ、設備データ、放射線データ、及び計算用モデル等のデータ情報の格納部と、減衰計算部と、ＳＥＲ計算部と、ＳＥＲ判定部と、設計解析部と、出力制御部と、設計データ格納部とを有する。減衰計算部は、建物に入射する放射線が建物内に配置される設備の位置に到達するまでに建物の構造物によって減衰する度合いを表す指標値を減衰指標値として計算する。ＳＥＲ計算部は、減衰指標値に基づき、設備の位置ごとのＳＥＲを設備ＳＥＲとして計算し、また、建物内の各設備の設備ＳＥＲを用いて建物全体の単位でのＳＥＲを建物ＳＥＲとして計算する。ＳＥＲ判定部は、設備ＳＥＲまたは建物ＳＥＲの計算値と、設定情報に含まれる条件とを比較し、計算値が条件を満たすか判定する。

　設計解析部は、ＳＥＲの計算値が条件を満たすように、建物内の設備の配置の条件、または建物の構造の条件を解析し、当該条件を満たす設計案または設計変更案を作成する。出力制御部は、ＳＥＲ計算結果、ＳＥＲ判定結果、及び設計案または設計変更案を含むデータ情報を、選択された形式で利用者に対し出力する。設計データ格納部は、ＳＥＲ計算結果を含む建物及び設備の設計の設計案、またはＳＥＲの変化の情報を含む設計変更案を含む設計データを、データベースに格納して参照可能とする。

　（２）上記（１）のＳＥＲ計算装置は、放射線が中性子線である場合の放射線スペクトルデータである中性子スペクトルデータを格納する。上記モデル計算部は、建物に入射する中性子線の中性子スペクトルデータを用いて、減衰指標値を含むモデルを計算する。

　（３）上記（１）のＳＥＲ計算部は、建物の内部の全設備の設備ＳＥＲの総和を含む演算により、建物ＳＥＲを計算する。

　（４）上記（１）の出力制御部は、設備ＳＥＲに関する閾値を利用者により設定する画面を提供し、上記ＳＥＲ判定部は、設備ＳＥＲが閾値以下で
ある場合は良と判定する。また、上記出力制御部は、建物ＳＥＲに関する閾値を利用者により設定する画面を提供し、上記ＳＥＲ判定部は、建物ＳＥＲが閾値以下である場合は良と判定する。

　（５）上記（１）のＳＥＲ計算装置は、設備ＳＥＲを用いて、建物のフロアごとのＳＥＲをフロアＳＥＲとして計算する、フロアＳＥＲ計算部と、フロアＳＥＲと設定された閾値とを比較して良否を判定するフロアＳＥＲ判定部と、を有する。上記出力制御部は、フロアＳＥＲと、フロアＳＥＲに関する判定の結果とを含む情報を出力する。

　（６）上記（１）のＳＥＲ計算装置は、設備ＳＥＲを用いて、建物の内部のエリアごとのＳＥＲをエリアＳＥＲとして計算する、エリアＳＥＲ計算部と、エリアＳＥＲと設定された閾値とを比較して良否を判定するエリアＳＥＲ判定部と、を有する。上記出力制御部は、エリアＳＥＲと、エリアＳＥＲに関する判定の結果とを含む情報を出力する。

　（７）上記（１）のモデル計算部は、建物の内部に配置される設備と建物外部との間にある構造物の合計の厚さまたは数量を用いて、建物の内部の設備の配置の位置における放射線の減衰率を計算する。

　（８）上記（１）のモデル計算部は、設備に適用されるソフトエラー断面積データと、建物に入射する放射線スペクトルデータとの重畳を含む演算により、設備の配置の位置における放射線の減衰率を計算する。

　（９）上記（１）のＳＥＲ計算部は、設備の特性である基本ＳＥＲと、建物の内部の設備の配置の位置における放射線の減衰率との演算により、設備ＳＥＲを計算する。

　（１０）上記（１）のモデル計算部は、基準となる地理的位置における自然界の放射線スペクトルデータと、建物の位置情報とを用いた地理補正計算により、建物の位置に対応した建物に入射する放射線スペクトルデータである地理補正放射線スペクトルデータを計算し、地理補正放射線スペクトルデータを用いて、建物の内部の設備の配置の位置における減衰した状態の放射線スペクトルデータを計算する。

　（１１）上記（１）のモデル計算部は、建物データを用いて建物による放射線の遮蔽構造のモデルを作成し、建物に入射する放射線の線源の情報を設定し、放射線の線源の情報と、遮蔽構造のモデルとを用いて、建物の内部の設備の配置の位置における減衰した状態の放射線スペクトルデータを計算する。

　（１２）上記（１）の出力制御部は、建物の内部に配置される複数の各々の設備の設備ＳＥＲを含む情報をテーブルの形式で表示する画面を提供する。

　（１３）上記（１）の出力制御部は、建物の内部の空間を分割したエリアである分割エリアを利用者により設定する画面を提供する。上記モデル計算部は、分割エリアに対応付けられた位置の単位で減衰指標値を計算する。上記ＳＥＲ計算部は、分割エリアに対応付けられた位置の単位で設備ＳＥＲを計算する。

　（１４）上記（１）の出力制御部は、建物及び設備を含む設計の状態を表示して利用者により手動で当該設計の状態を変更可能とする画面を提供する。上記ＳＥＲ計算部は、利用者による変更後の設計の状態を入力データとして、設備ＳＥＲを再計算する。上記出力制御部は、利用者による変更後の設計の状態と再計算による設備ＳＥＲの情報とを含む画面を表示する。

　（１５）一実施の形態のＳＥＲ計算装置は、建物データを用い、設備データを用いずに、建物に入射する放射線が建物の内部の位置に到達するまでに建物の構造物によって減衰する度合いを表す指標値を計算し、当該指標値を用いて建物の内部の位置ごとのＳＥＲの低減の指標値を計算する、建物特性計算部と、上記指標値またはＳＥＲの低減の指標値を含む情報を出力する出力制御部と、を有する。

　（１６）上記（１）のＳＥＲ計算装置は、建物データ、設備データ、及びＳＥＲの情報を用いて、ＳＥＲに関する設定された条件を満たすように、建物の内部に配置される設備または建物の構造の少なくとも一方を変更する処理を行う、設計変更部を有する。上記出力制御部は、設計変更部による建物及び設備の設計の変更結果を含む情報を出力する。上記設計変更部は、ＳＥＲに関する設定された条件を満たす、建物及び設備の設計の変更による１つ以上の設計案を生成し、ＳＥＲの情報を含め、リストに記載する。上記出力制御部は、リストの１つ以上の設計案を、ＳＥＲの情報を用いて推奨する順に並べて出力し、リストから利用者により設計案を選択可能とする画面を提供する。

　（１７）上記（１６）の設計変更部は、建物データ、設備データ、及び設備ＳＥＲを用いて、設備ＳＥＲまたは建物ＳＥＲが変更前よりも低くなるように、建物の内部の設備の配置の位置を変更する処理を行う、設備変更部を有する。上記出力制御部は、設備変更部による設備の配置の変更結果を含む情報を出力する。上記設備変更部は、建物の内部の設備の配置の位置を変更する際、変更の候補として、建物の垂直方向における下方向へ所定の単位で移動させること、または、建物の水平方向における建物中央寄りの位置へ所定の単位で移動させること、を含む。

　（１８）上記（１６）の設計変更部は、建物データ、設備データ、及び設備ＳＥＲを用いて、設備ＳＥＲまたは建物ＳＥＲが変更前よりも低くなるように、建物を構成する構造物を変更する処理を行う、建物変更部を有する。上記出力制御部は、建物変更部による建物の構造物の変更結果の情報を出力する。上記建物変更部は、建物の構造物を変更する際、変更の候補として、設備と建物外部との間の位置に構造物を追加すること、設備と建物外部との間の位置にある構造物の厚さを増加すること、または当該構造物の材質を変更すること、を含む。

　（１９）上記（１６）の出力制御部は、建物の内部に配置される設備または建物の構造物の設計の変更可能範囲を利用者により設定する画面を提供する。上記設計変更部は、変更可能範囲内において設備の配置または構造物を変更する。

　以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。

１…ＳＥＲ計算装置、２…設計装置、３…設計装置、１２…建物データ格納部、
１３…設備データ格納部、１４…中性子データ部、１５…ソフトエラー断面積データ部、１６…中性子減衰計算部、１７…ソフトエラー計算制御部、
２１…ＳＥＲ計算部、２１Ａ…モデル計算部、２１Ｂ…設備ＳＥＲ計算部、２１Ｃ…建物ＳＥＲ計算部、２１ａ…放射線計算部、２１ｂ…建物計算部、２１ｃ…設備計算部、２１ｄ…減衰計算部、２２…ＳＥＲ判定部、２２Ａ…設備ＳＥＲ判定部、２２Ｂ…建物ＳＥＲ判定部、２３…設計変更部、２４…設備変更部、２５…建物変更部、２６…料金計算部、
３０…ＤＢ、３１…設定情報、３２，Ｄ２…建物データ、３３，Ｄ３…設備データ、３４…ＳＥＲデータ、３５…設計データ、３６…料金データ、３７…中性子量情報、
５１…入出力制御部、５１…設定部、５３…表示部、
Ｄ４…中性子データ、Ｄ５…ソフトエラー断面積データ、Ｄ６…料金データ

Claims

　建物の構造物の情報を含む建物データを格納する建物データ格納部と、
　前記建物の内部に配置される電子機器を含む複数の設備の情報を含む設備データを格納する設備データ格納部と、
　建物の構造物内の1箇所以上の中性子量データを格納する中性子量データ格納部と、
　前記建物データと設備データと中性子量データを用いて、前記建物の内部に配置される設備の位置ごとのソフトエラー率を計算するソフトエラー率計算部と、
　前期ソフトエラー率から建物内の位置毎のサービス料の増減率を表すサービス料率を計算する料率計算部と、
　前記設備の位置ごとのソフトエラー率と前記サービス料率を含む情報を利用者に対し出力する出力制御部と、
を有することを特徴とするソフトエラー率計算装置。
　建物の構造物の情報を含む建物データを格納する建物データ格納部と、
　前記建物の内部に配置される電子機器を含む複数の設備の情報を含む設備データを格納する設備データ格納部と、
　前記建物データ及び設備データを用いて、前記建物に入射する放射線が前記建物の内部に配置される設備の位置に到達するまでに前記建物の構造物によって減衰する度合いを表す減衰指標値を含むモデルを計算するモデル計算部と、
　前記減衰指標値を含むモデルを用いて、前記建物の内部に配置される設備の位置ごとのソフトエラー率を計算するソフトエラー率計算部と、
　前期ソフトエラー率から建物内の位置毎のサービス料の増減率を表すサービス料率を計算する料率計算部と、
　前記設備の位置ごとのソフトエラー率と前記サービス料率を含む情報を利用者に対し出力する出力制御部と、
を有することを特徴とするソフトエラー率計算装置。
　請求項１または２において、
　建物の構造物内の1箇所以上に設置した中性子量を計測する手段からの中性子量データを収集する手段と、
　前記収集した中性子量データを格納する中性子量データ格納部と、
　前記中性子量データを用いて、前記サービス料率の妥当性を判定する手段と、
　前記妥当性の判定結果を格納する判定結果格納部と、
を有することを特徴とするソフトエラー率計算装置。
　請求項１または２において、
　前記設備の位置ごとのソフトエラー率と設定された閾値とを比較して良否を判定するソフトエラー率判定部を有し、
　前記出力制御部は、前記設備の位置ごとのソフトエラー率に関する前記判定の結果を含む情報を出力することを特徴とするソフトエラー率計算装置。
　請求項１または２において、
　前記設備の位置ごとのソフトエラー率を用いて、前記建物の全体の単位でのソフトエラー率を建物ソフトエラー率として計算する建物ソフトエラー率計算部と、
　前記建物ソフトエラー率と設定された閾値とを比較して良否を判定する建物ソフトエラー率判定部と、
を有し、
　前記出力制御部は、前記建物ソフトエラー率と、前記建物ソフトエラー率に関する前記判定の結果と、を含む情報を出力する
ことを特徴とするソフトエラー率計算装置。
　請求項１または２において、
　前記ソフトエラー率計算部は、前記建物の内部の設備の位置ごとの減衰指標値と、当該設備に適用されるソフトエラー断面積データと、に基づき、当該設備の位置ごとのソフトエラー率を計算することを特徴とするソフトエラー率計算装置。
　請求項６において、
　前記設備ごとに固有に適用されるソフトエラー断面積データを格納するソフトエラー断面積データ格納部を有し、
　前記ソフトエラー率計算部は、前記設備ごとに固有に適用されるソフトエラー断面積データを用いて、前記設備の位置ごとのソフトエラー率を計算することを特徴とするソフトエラー率計算装置。
　請求項１または２において、
　前記建物に入射する放射線に関する放射線スペクトルデータを格納する放射線スペクトルデータ格納部を有し、
　前記ソフトエラー率計算部は、前記建物の構造物に入射する前の放射線スペクトルデータと、前記建物の構造物に入射した後の放射線スペクトルデータと、の比率に基づき、前記減衰指標値を計算することを特徴とするソフトエラー率計算装置。
　請求項１または２において、
　前記ソフトエラー率計算部は、前記設備の特性である基本ソフトエラー率と、前記減衰指標値と、の演算により、前記設備の位置ごとのソフトエラー率を計算することを特徴とするソフトエラー率計算装置。
　請求項１または２において、
　前記出力制御部は、前記建物、設備、及びソフトエラー率を含む情報を、３次元表示形式及び２次元表示形式を含む複数の形式のうち指定された形式で出力する画面を生成して表示する処理を行うことを特徴とするソフトエラー率計算装置。
　請求項１または２において、
　前記建物データ、前記設備データ、及び前記設備の位置ごとのソフトエラー率を用いて、前記設備の位置のソフトエラー率が変更前よりも低くなるように、前記建物の内部に配置される設備または前記建物の構造の少なくとも一方を変更する処理を行う設計変更部を有し、
　前記出力制御部は、前記設計変更部による前記建物及び設備の設計の変更結果を含む情報を出力することを特徴とするソフトエラー率計算装置。
　請求項１１において、
　前記設備の位置ごとのソフトエラー率を含む前記設計変更部による前記建物及び設備の設計の変更前後のデータ、または当該変更前後のソフトエラー率の変化の情報とサービス料率の変化を含む変更差分データ、を含む設計データを格納する設計データ格納部を有し、
　前記出力制御部は、前記設計データの内容を含む画面を生成して表示することを特徴とするソフトエラー率計算装置。
　請求項１１において、
　前記設計変更部は、前記設計の変更による１つ以上の設計案を生成し、当該設計案の情報をリストに記載し、前記出力制御部は、前記リストと前記設計案とを含む画面を生成して表示することを特徴とするソフトエラー率計算装置。
　請求項１１において、
　前記設計変更部は、前記建物データ、前記設備データ、及び前記設備の位置ごとのソフトエラー率を用いて、前記設備の位置ごとのソフトエラー率が変更前よりも低くなるように、前記建物の内部の設備の配置の位置を変更する処理を行う設備変更部を有し、
　前記出力制御部は、前記設備変更部による前記設備の配置の変更結果とサービス料率の変更結果を含む情報を出力することを特徴とするソフトエラー率計算装置。
　請求項１４において、
　前記設備の位置ごとのソフトエラー率と設定された閾値とを比較して良否を判定するソフトエラー率判定部を有し、
　前記設備変更部は、前記設備の位置ごとのソフトエラー率に関する前記判定の結果が否となった設備の位置について、当該判定の結果が良となるように、当該設備の配置の位置を変更することを特徴とするソフトエラー率計算装置。
　請求項１１において、
　前記設計変更部は、前記建物データ、前記設備データ、及び前記設備の位置ごとのソフトエラー率を用いて、前記設備の位置ごとのソフトエラー率が変更前よりも低くなるように、前記設備の位置に影響する前記建物を構成する構造物を変更する処理を行う建物変更部を有し、
　前記出力制御部は、前記建物変更部による前記建物の構造物の変更結果の情報を出力することを特徴とするソフトエラー率計算装置。
　請求項１６において、
　前記設備の位置ごとのソフトエラー率と設定された閾値とを比較して良否を判定するソフトエラー率判定部を有し、
　前記建物変更部は、前記設備の位置ごとのソフトエラー率に関する前記判定の結果が否となった設備の位置について、当該判定の結果が良となるように、当該設備の位置に影響する構造物のサイズ、数量、または材質の少なくとも１つを変更することを特徴とするソフトエラー率計算装置。
　請求項１乃至１７のいずれかのソフトエラー率計算装置において用いられるソフトエラー率監視方法であって、
　建物内部の複数個所にソフトエラー率を計測し、
　前記計測した情報を収集する手段と、
　前記収集した情報をもとにサービス料率の妥当性検証手段と、
　前記収集した情報を表示することを特徴とするソフトエラー率監視方法。