WO2015076337A1

WO2015076337A1 - 吸収性物品

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Publication number: WO2015076337A1
Application number: PCT/JP2014/080780
Authority: WO
Inventors: 美帆子倉持
Original assignee: 大王製紙株式会社
Priority date: 2013-11-25
Filing date: 2014-11-20
Publication date: 2015-05-28
Also published as: US10258513B2; KR20160090320A; CN105764460A; EP3075365A1; JP2015100502A; EP3075365B1; US20160361210A1; KR102390577B1; CN105764460B; JP6005027B2; EP3075365A4

Abstract

　ウイング状フラップの先端まで手を沿わせて下着にしっかりと固定できる吸収性物品を提供する。ウイング状フラップ（Ｗ）は、本体部分から外方に延びる前側外形線（１０）と、本体部分から外方に延びる後側外形線（１１）と、前記前側外形線（１０）と後側外形線（１１）とを繋ぐ先端側外形線（１２）とからなる。前記先端側外形線（１２）は、前記前側外形線（１０）の端部（Ａ）から外方に延びる先端側外形線前部（１２ａ）と、前記後側外形線（１１）の端部（Ｃ）から外方に延びる先端側外形線後部（１２ｂ）とを有し、前記先端側外形線前部（１２ａ）と先端側外形線後部（１２ｂ）との交点（Ｂ）が、前記ウイング状フラップ（Ｗ）の幅方向最外側端部をなすとともに、前記前側外形線（１０）の端部（Ａ）と前記後側外形線（１１）の端部（Ｃ）とのナプキン長手方向長さの中央点（Ｋ／２）より前側に位置している。

Description

吸収性物品

　本発明は、下着への固定に際し、下着のクロッチ部分に巻き付けるようにして使用されるウイング状フラップを備えた吸収性物品に関する。

　従来より、生理用ナプキン、パンティライナー、おりものシート、失禁パッドなどの吸収性物品Ｎとしては、例えば図１０に示されるように、ポリエチレンシートまたはポリエチレンラミネート不織布などからなる不透液性裏面シート５０と、不織布または透孔性プラスチックシートなどからなる透液性表面シート５１との間に綿状パルプなどからなる吸収体５２を介在させたものが知られている。

　この種の吸収性物品Ｎとしては、装着状態でのズレ止めを図るために例えば非肌当接面（外面）に１または複数条の粘着剤層５３、５３を形成し、かつナプキン本体の長手方向両側部に、外方に延在するウイング状フラップＷ、Ｗを一体的に形成するとともに、このウイング状フラップＷ、Ｗの不透液性裏面シート５０側の面（外面）に粘着剤層５４、５４を設けるようにしたものが存在する（下記特許文献１，２等参照）。

　前記吸収性物品Ｎを下着６０に固定するには、図１１に示されるように、吸収性物品Ｎを下着６０の局所対応部位にあてがい、側方に突出する前記ウイング状フラップＷ、Ｗを下着より外方に突出させ、両ウイング状フラップＷ、Ｗを折返し線ＲＬ、ＲＬで折り返し、下着のクロッチ部分を巻き込むようにしながら下着６０の股間部外面に接着した後、下着を身体に装着するようにしている。

　また、この種の吸収性物品Ｎにも幾多の改良が重ねられ、例えば下記特許文献３には、ウイング部が下着の股下部側縁に沿って柔軟に折れ曲がり易く、容易且つ迅速に下着に固定することができると共に、下着の防汚性にも優れるようにするため、吸収層及び防漏層を有する吸収性本体と、排泄部対向部における吸収性本体の両側に設けられた一対のウイング部とを有する吸収性物品において、一対のウイング部それぞれの形状が、各ウイング部の先端の縁部の中点を通る幅方向横断線の前後で非対称である吸収性物品が開示されている。

特開２００３－１１１７９９号公報特開２００４－１１３５９０号公報特開２００８－１２０９８号公報

　前記ウイング状フラップＷは、ショーツへの固定を図るには非常に有効な手段となり得るものであるが、ウイング状フラップＷを折り返す際に、不用意に折り返すと一部だけが折り返され、きっちりと折返し線ＲＬで折り返すことが出来ず、ウイング状フラップの折返し線が斜めに曲がって折り返され、ウイング状フラップがショーツにしっかりと固定できないなどの問題があった。

　また、上記特許文献３記載の吸収性物品では、ウイング部が前後一対の縁部（前側外形線及び後側外形線）とこれらの縁部から延びるウイング部先端の縁部（先端側外形線）とを有する形状で形成されるが、前記先端側外形線が、ナプキン長手方向にほぼ平行する直線で形成されるとともに、後側外形線との接続部分において、後側外形線の接線方向とほぼ直交する方向に延びるように形成されている。このため、ウイング部を折り返すのに後側外形線に沿って基端側から先端側に向けて手を沿わす動作を行った際、後側外形線の範囲でしか手を動かすことができず、それ以上の先端側へは手を動かす角度を急激に変化させる必要があるため、連続して手を沿わせる動作を行うことができなかった。したがって、ウイング状フラップの先端側を手で押さえづらく、先端側の固定が不十分なため先端側から剥がれてウイング状フラップがめくれやすいという問題があった。

　そこで本発明の主たる課題は、ウイング状フラップの先端まで手を沿わせて下着にしっかりと固定できるようにした吸収性物品を提供することにある。

　上記課題を解決するために請求項１に係る本発明として、透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸収体が介在された本体部分の両側部に夫々、装着時に下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定されるウイング状フラップが形成された吸収性物品において、
　前記ウイング状フラップは、本体部分から外方に延びる前側外形線と、本体部分から外方に延びる後側外形線と、前記前側外形線と後側外形線とを繋ぐ先端側外形線とからなり、
　前記先端側外形線は、前記前側外形線から外方に延びる先端側外形線前部と、前記後側外形線から外方に延びる先端側外形線後部とを有し、前記先端側外形線前部と先端側外形線後部との交点が、前記ウイング状フラップの幅方向最外側端部をなすとともに、前記前側外形線の端部と前記後側外形線の端部との吸収性物品の長手方向長さの中央点より前側に位置していることを特徴とする吸収性物品が提供される。

　上記請求項１記載の発明では、ウイング状フラップの平面形状を、前側外形線と後側外形線とを繋ぐ先端側外形線を有し、この先端側外形線が、先端側外形線前部と先端側外形線後部とを有する形状とし、且つ、前記先端側外形線前部と先端側外形線後部との交点が、ウイング状フラップの幅方向最外側端部をなすとともに、前記前側外形線の端部と前記後側外形線の端部との吸収性物品の長手方向長さの中央点より前側に位置する形状としている。このような形状とすることにより、後で詳述するように、後側外形線から先端側外形線後部にかけてのウイング状フラップのほぼ全幅に亘って、ウイング状フラップを折り返す際に幅方向最外側端部まで連続して手を沿わせて折り返すことが容易になり、ウイング状フラップの先端側までしっかりと下着に固定できるようになる。

　請求項２に係る本発明として、前記前側外形線は、波状線、曲線又はこれらの組み合わせからなる請求項１記載の吸収性物品が提供される。

　上記請求項２記載の発明では、前記前側外形線を波状線、曲線又はこれらの組合せで形成することにより、ウイング状フラップ前側の剛性を高めることができるため、ウイング状フラップを折り返す際に前側にシワやヨレが生じることなく装着できるようになる。

　請求項３に係る本発明として、前記先端側外形線後部は、曲線、直線又はこれらの組み合わせからなる請求項１、２いずれかに記載の吸収性物品が提供される。

　上記請求項３記載の発明では、先端側外形線後部を、曲線、直線又はこれらの組合せで構成することによって、下着にウイング状フラップを固定する際、後側外形線から先端側外形線後部に亘ってより滑らかに手を沿わせることができるようになり、下着にウイング状フラップを固定しやすくなる。

　請求項４に係る本発明として、前記後側外形線は、直線からなる請求項１～３いずれかに記載の吸収性物品が提供される。

　上記請求項４記載の発明では、前記後側外形線を直線で形成することによって、装着時にウイング状フラップを折り返す際の後側外形線に手を沿わせる動作がし易くなる。

　以上詳説のとおり本発明によれば、ウイング状フラップの先端まで手を沿わせて下着にしっかりと固定できるようになる。

本発明に係る生理用ナプキン１の一部破断展開図である。その裏面図である。図１のIII－III線矢視図である。ウイング状フラップＷの要部拡大平面図である。本発明に係るウイング状フラップＷの変形例を示す平面図である。本発明に係るウイング状フラップＷの変形例を示す平面図である。ウイング状フラップＷの平面形状を示す模式図である。ナプキンの装着要領を示す、(A)は従来のウイング状フラップの場合、(B)は本発明に係るウイング状フラップの場合である。ウイング状フラップＷの折返し時の作用力メカニズムを示す、(A)は従来のウイング状フラップの場合、(B)は本発明に係るウイング状フラップの場合である。従来の生理用ナプキンＮの展開図である。その装着状態図である。

　以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。

〔生理用ナプキン１の構造〕
　本発明に係る生理用ナプキン１は、図１～図３に示されるように、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシートなどからなる不透液性裏面シート２と、経血やおりものなどを速やかに透過させる透液性表面シート３と、これら両シート２，３間に介在された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体４と、この吸収体４の形状保持および拡散性向上のために前記吸収体４を囲繞するクレープ紙５と、前記透液性表面シート３とクレープ紙５との間に介在された親水性不織布からなるセカンドシート６と、表面両側部にそれぞれ長手方向に沿って形成されたサイド不織布７，７とから構成されている。前記吸収体４の周囲において、その上下端縁部では、前記不透液性裏面シート２と透液性表面シート３との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体４よりも側方に延出している前記不透液性裏面シート２と前記サイド不織布７とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合されている。

　以下、さらに前記生理用ナプキン１の構造について詳述すると、
　前記不透液性裏面シート２は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シートなどの少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他にポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート（この場合には防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。）などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。

　前記透液性表面シート３は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。なお、前記透液性表面シート３の上面側から各種のエンボスを付与し、体液の滞留を促進し吸収効率を高めることにより横漏れを防止するのが望ましい。

　前記不透液性裏面シート２と透液性表面シート３との間に介在される吸収体４は、たとえばフラッフ状パルプと吸水性ポリマーとにより構成されている。前記吸水性ポリマーは吸収体を構成するパルプ中に、例えば粒状粉として混入されている。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。本例のように、吸収体４を囲繞するクレープ紙５を設ける場合には、結果的に透液性表面シート３と吸収体４との間にクレープ紙５が介在することになり、吸収性に優れる前記クレープ紙５によって体液を速やかに拡散させるとともに、これら経血等の逆戻りを防止するようになる。

　前記透液性表面シート３とクレープ紙５との間に介在された親水性不織布からなるセカンドシート６は、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。親水性を付与するには、合成繊維の製造過程で親水基を持つ化合物、例えばポリエチレングリコールの酸化生成物などを共存させて重合させる方法や、塩化第２スズのような金属塩で処理し、表面を部分溶解し多孔性とし金属の水酸化物を沈着させる方法等により合成繊維を膨潤または多孔性とし、毛細管現象を応用して親水性を与えることができる。

　一方、本生理用ナプキン１の表面がわ両側部にはそれぞれ、長手方向に沿ってかつナプキン１のほぼ全長に亘ってサイド不織布７，７が設けられ、このサイド不織布７，７の一部が側方に延在されるとともに、同じく側方に延在された不透液性裏面シート２の一部とによりウイング状フラップＷ、Ｗが形成されている。このウイング状フラップＷについては後で詳述する。

　前記サイド不織布７としては、重要視する機能の点から撥水処理不織布または親水処理不織布を使用することができる。たとえば、経血やおりもの等が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの機能を重視するならば、シリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いることが望ましい。また、前記ウイング状フラップＷ、Ｗにおける経血等の吸収性を重視するならば、合成繊維の製造過程で親水基を持つ化合物、例えばポリエチレングリコールの酸化生成物などを共存させて重合させる方法や、塩化第２スズのような金属塩で処理し、表面を部分溶解し多孔性とし金属の水酸化物を沈着させる方法等により合成繊維を膨潤または多孔性とし、毛細管現象を応用して親水性を与えた親水処理不織布を用いるようにする。

　図２に示されるように、前記透液性表面シート３と不透液性裏面シート２との間に吸収体４が介在された本体部分の非肌当接面には、下着に対する固定のために適宜の塗布パターンによって複数条の、図示例では３条の本体ズレ止め粘着剤層８，８…が形成されているとともに、これら本体ズレ止め粘着剤層８，８…が図示されない本体用剥離材によって覆われている。また、前記ウイング状フラップＷ、Ｗの不透液性裏面シート２側の面には、ウイングズレ止め粘着剤層９が形成されるとともに、これらウイングズレ止め粘着剤層９，９が図示されないウイング用剥離材によって覆われている。前記剥離材は、本体用剥離材と横断方向に配置されたウイング用剥離材とを交差部で接合し、１回の剥離手間で剥離材を撤去できるようにするのが望ましく、前記ウイング状フラップＷ、Ｗは、個装状態では透液性表面シート３側に折り畳む、所謂腹折りとしても良いし、不透液性裏面シート２側に折り畳む、所謂背折りとすることでもよい。また、ウイングズレ止め粘着剤層９，９を覆う剥離材として１枚の剥離材ではなく、左右に分離させてもよい。

　前記剥離材としては、ズレ止め粘着剤層８，９に対する当接面に対し、例えばシリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、または四フッ化エチレン系樹脂などの離型処理液を塗工するかスプレー塗布し離型処理した紙またはプラスチックシートを用いることができる。

　前記ズレ止め粘着剤層８，９を形成する粘着剤としては、たとえばスチレン系ポリマー、粘着付与剤、可塑剤のいずれかが主成分であるものが好適に使用される。前記スチレン系ポリマーとしては、スチレン－エチレン－ブチレン－スチレンブロック共重合体、スチレン－ブチレン－スチレンブロック共重合体、スチレン－イソブチレン－スチレン共重合体等が挙げられるが、これらのうち１種のみを使用しても、二種以上のポリマーブレンドであってもよい。この中でも熱安定性が良好であるという点で、スチレン－エチレン－ブチレン－スチレンブロック共重合体が好ましい。また、前記粘着付与剤および可塑剤としては、常温で固体のものを好ましく用いることができ、粘着付与剤ではたとえばＣ５系石油樹脂、Ｃ９系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジン系石油樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられ、前記可塑剤では例えば、リン酸トリフレシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のモノマー可塑剤の他、ビニル重合体やポリエステルのようなポリマー可塑剤が挙げられる。

〔ウイング状フラップＷ〕
　前記ウイング状フラップＷは、詳細には図４に示されるように、本体部分から外方に延びる前側外形線１０と、本体部分から外方に延びる後側外形線１１と、前記前側外形線１０と後側外形線１１とを繋ぐ先端側外形線１２とからなる外形状を成す。

　前記先端側外形線１２は、前記前側外形線１０の端部Ａから外方に延びる先端側外形線前部１２ａと、前記後側外形線１１の端部Ｃから外方に延びる先端側外形線後部１２ｂとから構成されている。前記前側外形線１０の端部Ａ及び後側外形線１１の端部Ｃとは、図４に示されるように、前側外形線１０又は後側外形線１１が直線で形成される場合、この直線上から離れる部分を指し、前側外形線１０又は後側外形線１１が凸曲線と凹曲線との組合せからなる波状線で形成される場合、凸曲線の頂部同士を繋ぐ接線から離れる部分を指し、前側外形線１０又は後側外形線１１が曲線で形成される場合、曲率半径が急激に小さくなる又は曲率中心の位置が急激に変化する曲線が開始する部分を指す。

　前記先端側外形線前部１２ａと先端側外形線後部１２ｂとの交点Ｂは、前記ウイング状フラップＷの幅方向最外側端部を構成している。ウイング状フラップＷの幅方向最外側端部とは、ウイング状フラップＷの外形線がナプキン長手方向線Ｍと最も外側で接する幅方向の先端部分のことである。

　また、前記交点Ｂは、前記前側外形線１０の端部Ａと前記後側外形線１１の端部Ｃとのナプキン長手方向長さＫの中央点（Ｋ／２）よりナプキン前側に位置している。すなわち、図４に示されるように、ＡＢ、ＢＣのナプキン長手方向長さをそれぞれａ、ｂとすると、ａ＜ｂであればよいが、好ましくはａ：ｂが１：１．５～１：３程度となるような位置に点Ｂを設けるのがよい。

　上記条件を満たす形状を模式的に示すと、図４に示されるように、前側外形線１０の端部Ａと後側外形線１１の端部Ｃとを結ぶ線ＡＣの外側に、線ＡＣの中点よりナプキン前側に偏倚したウイング状フラップＷの幅方向外側端部Ｂを頂点とする外側膨出部が形成されるようになる。この外側膨出部は、三角形ＡＢＣを基本形として、辺ＡＢ、辺ＢＣがそれぞれ曲線、直線又はこれらの組み合わせによって構成されている。図示例では、辺ＡＢ、ＢＣがそれぞれ外側に膨出する曲線で構成されている。前記外側膨出部が形成されることによって、後側外形線１１の端部Ｃより外側に、ウイング状フラップＷの幅方向外側端部Ｂに向けて、外方の斜め前方に延びる先端側外形線後部１２ｂが設けられるようになる。

　ウイング状フラップＷをこのような形状とすることにより、ナプキン装着時にウイング状フラップＷを折り返す際、ウイング状フラップＷのほぼ全幅に亘って手を沿わせて折り返すことができるようになり、先端側までしっかりと下着に固定できるようになる。具体的には、後段で詳述するように、ウイング状フラップＷを折り返す際、図８(B)に示されるように、ウイング状フラップＷの後側外形線１１を基端側から先端側方向に沿わせるようにして手を動かす動作を行うが、従来の等脚台形状のウイング状フラップＷの場合、後側外形線のウイング基端側から先端側までの長さが短く、更に先端側外形線がナプキン長手方向にほぼ平行する直線で形成されているため先端側外形線まで手を沿わせる動作を行いにくいという構造上の欠点があった。このため、ウイング状フラップが正規の折り位置できっちりと折り返せないとともに、ウイング状フラップが下着にしっかりと装着できないことがあった。特に、手を沿わすことが難しいウイング状フラップの先端が剥がれやすいという問題があった。

　そこで、本発明では、図８(B)に示されるように、前記ウイング状フラップＷを折り返す際に、手を後側外形線１１及び先端側外形線後部１２ｂに沿って前側に動かす動作を伴いながら手でウイング状フラップを折り返したとき、きっちりと正規の状態で装着できるとともに、ウイング状フラップＷの先端まで手を沿わすことができ、下着にしっかりと装着できるウイング形状としたものである。

　図４に示されるように、後側外形線１１の端部Ｃとウイング状フラップＷの幅方向最外側端部Ｂとを結ぶ直線ＢＣ（先端側外形線後部１２ｂ）と、後側外形線１１との成す角度θは、１１５°≦θ≦１６０°程度とするのがよい。この角度範囲で先端側外形線後部１２ｂを設けることにより、後側外形線１１から先端側外形線後部１２ｂにかけて連続して手を沿わせて装着し易くなる。

　図４に示されるように、前記先端側外形線前部１２ａ及び先端側外形線後部１２ｂは、外方に膨出する湾曲線とすることができる。先端側外形線後部１２ｂを湾曲線で形成することにより、後側外形線１１の端部Ｃからウイング状フラップＷの幅方向最外側端部Ｂまでの外形線が滑らかな曲線によって結ばれるようになり、後側外形線１１からウイング状フラップＷの幅方向最外側端部Ｂに亘って、滑らかに手を沿わすことができるため、装着作業がより容易になる。また、先端側外形線前部１２ａを湾曲線で形成することにより、前側外形線１０の端部Ａからウイング状フラップＷの幅方向最外側端部Ｂまでが滑らかな曲線によって結ばれるため、この部分のめくれが防止できるようになる。

　前記後側外形線１１は、図４に示されるように、ウイング状フラップＷを折り返す際に手を沿わせ易くするため、直線又は若干外側に膨出する曲線で構成することが望ましい。仮に後側外形線１１を波状線や外側に大きく膨出した曲線とした場合には、後側外形線１１に沿って手を動かす際に、波状線の凹凸や曲線に指が引っ掛かってしまうため好ましくない。

　次いで、前記ウイング状フラップＷの変形例について説明すると、図５に示されるように、前記先端側外形線後部１２ｂは、直線で構成することも可能である。これにより、先端側外形線後部１２ｂにおいても直線的に手を沿わせ易くなる。なお、先端側外形線後部１２ｂと後側外形線１１との接続部分（Ｃ）においては、角部が形成されないように緩やかな曲線で結ぶことが望ましい。

　第２の変形例として、前記前側外形線１０は、図６に示されるように、波状線、曲線又はこれらの組み合わせによって形成することも可能である。このような形状とすることにより、直線で形成した場合よりウイング状フラップＷの前側の剛性が高まり、ウイング状フラップＷを折り返す際に前側にシワやヨレが生じることなく装着できるようになる。前記波状線とは、凸曲線１０ｂと凹曲線１０ａとの組合せからなり、凸曲線１０ｂと凹曲線１０ａを交互に配置することにより、凸曲線１０ｂと凹曲線１０ａの中央部を通る線に対して凸部と凹部がそれぞれ１つ以上形成されるようにしたものである。また、前記曲線は、外側に膨出する曲線とするのが望ましいが、内側に膨出する曲線としてもよい。

　また、図６に示されるように、前記先端側外形線前部１２ａを外側に膨出する湾曲線とした場合、前側外形線１０を波状線、曲線又はこれらの組み合わせによって形成することにより、前側外形線１０から先端側外形線前部１２ａにかけて波状線又は曲線が一連の連続したような形状で設けられるため、前側外形線１０を波状線などとした効果がより発揮されやすくなる。

　図６に示されるウイング状フラップＷの外形線についてより詳細に説明すると、前側外形線１０は凸曲線１０ｂと凹曲線１０ａとからなる波状線で形成され、本体部分の側縁に接続する曲線から延在するように凹曲線１０ａが設けられるとともに、その外側に凸曲線１０ｂ及び凹曲線１０ａが設けられ、更にその外側に設けられる凸曲線１０ｂの頂部（Ａ）から延在するように先端側外形線前部１２ａの外側に膨出する円弧が開始し、点Ｂまで延びている。前記先端側外形線前部１２ａは、単一の曲率半径Ｒａからなる円弧によって形成され、その曲率中心は点Ｂを通るナプキン幅方向線上に位置している。前記曲率半径Ｒａとしては、１０ｍｍ～２０ｍｍ程度が好ましい。一方、後側外形線１１は本体部分の側縁と曲線で接続された直線によって形成され、端部Ｃを境として、先端側外形線後部１２ｂの外側に膨出する曲線が開始し、点Ｂまで延びている。前記先端側外形線後部１２ｂは、複数の曲率半径を有する円弧の組み合わせによって構成され、点Ｂとの接続部分では、点Ｂを通るナプキン幅方向線上に曲率中心が位置する曲率半径Ｒｂの円弧成分を有している。前記曲率半径Ｒｂとしては、７０ｍｍ～１２０ｍｍ程度が好ましい。

　ところで、本生理用ナプキン１では、図７に示されるように、前記ウイング状フラップＷの形状を、生理用ナプキン１の幅方向線と前記前側外形線１０との成す角度αよりも前記生理用ナプキン１の幅方向線と前記後側外形線１１との成す角度βの方が大きく設定され、前記ウイング状フラップＷの重心１３がウイング状フラップＷの付け根と本体部分との接合線１５の中央点１４よりもΔＳだけ前側に偏倚させるようにすることが好ましい。また、前記前側外形線１０、後側外形線１１及び先端側外形線１２は、直線である必要はなく、波状線や曲線又はこれらの組合せなどであってもよい。この場合、角度α、βは、これらの波状又は曲線外形線の中心線が成す勾配を取ればよい。

　前記生理用ナプキン１の幅方向線と前記前側外形線１０との成す角度αは、０～２０°程度とし、前記生理用ナプキン１の幅方向線と前記後側外形線１１との成す角度βは２０～４５°程度とするのが望ましく、この場合、前記生理用ナプキン１の幅方向線と前記前側外形線１０との成す角度αと、前記生理用ナプキン１の幅方向線と前記後側外形線１１との成す角度βとの角度差は２５°以上とするのが望ましい。この角度差が２５°以上であると、十分な偏心距離ΔＳを確保でき、ウイング状フラップＷを折り返す際に、後述のように、手を前側に動かす動作を伴いながら手でウイング状フラップを折り返しても、きっちりと正規の状態で装着できるようになる。

　ウイング状フラップＷを上記のような外形状とすることにより、ウイング状フラップに粘着剤同士の接着や誤接着などの不具合を生じさせずに、簡単に正規の折り位置できっちりと折返し貼着できるとともに、ウイング状フラップＷの先端まで手を沿わせて下着にしっかりと装着できるなどの利点をもたらすことが可能となる。この点について、従来の等脚台形状のウイング状フラップＷ（図１０参照）との比較によって更に詳述する。

　先ず、女性が便器等に座った状態で生理用ナプキン１をショーツ２０に装着する場合は、ショーツ２０を下げ降ろした状態で行うため、図８に示されるように、身体よりも前側でナプキン１の装着作業を行うことになる。

　従来の等脚台形状のウイング状フラップＷの場合は、図８(A)に示されるように、手をナプキンの両側に添えた状態からウイング状フラップを真下方向に折り返さないとうまく装着できない構造となっている。しかし、装着位置が身体よりも前側になっていることから、注意していないと手を前側に動かす動作（図８(B)）が入ってしまい、ウイング状フラップの一部だけが折り返され、粘着剤同士が接着してしまいシワや隆起部が出来たり、ウイング状フラップＷが中間で折り返され粘着剤層に接着してしまう誤接着などの不具合が出来たりしていた。また、ウイング状フラップの折返し線が斜めに曲がって折り返されることがあった。そこで、本発明では、図８(B)に示されるように、前記ウイング状フラップＷを折り返す際に、手を前側に動かす動作を伴いながら手でウイング状フラップを折り返しても、きっちりと正規の状態で装着できるとともに、ウイング状フラップＷの先端まで手を沿わすことができるウイング形状としたものである。

　図９(A)は、従来の等脚台形状のウイング状フラップＷの折返し時の作用力メカニズムを示したものであるが、手を前側に動かす動作を伴いながら手でウイング状フラップを折り返す場合、ウイング状フラップＷの後側外形線から先端側に亘って下側に向かう荷重が作用するとし、これらの分布荷重を纏めた集中荷重ΣＰを想定すると、この集中荷重ΣＰによって生じるモーメントの基点はウイング状フラップの接合線１５の中央点１４となり、ウイング状フラップＷを折り返す際に捻れが生じ、後側外形線１１の基端から徐々に進行していく折返し線１６は外側に傾いてしまうことになる。

　これに対して、本発明の場合は、図９(B)に示されるように、傾斜した後側外形線１１の中央部分に下側に向かう荷重が作用するとし、これらの分布荷重を纏めた集中荷重ΣＰを想定すると、この集中荷重ΣＰによって生じるモーメントの基点はウイング状フラップの接合線１５の中央点１４よりも前側にシフトした重心分割点１３’（接合線１５のほぼ１：２分割点）となり、ウイング状フラップＷを折り返す際の捻れが少ないため、後側外形線１１の基端から徐々に進行していく折返し線１６は接合線１５と一致し、正規の折返し位置で折り返されることになる。また、図９(B)に示される本発明に係るウイング状フラップＷの場合、後側外形線１１から先端側外形線後部１２ｂにかけてのフラップ後側の外形線を手でなぞるようにして折り返されるため、折返し線１６が確実に後側外形線１１の基端から前側に向けて徐々に進行していくようになる。

　また、ウイング状フラップＷの後側外形線１１が大きく傾斜した形状となっているため、ウイング状フラップＷに粘着剤同士の接着や誤接着などの不具合を生じさせることなく、折返し線ＲＬできっちりと折り畳まれるようになる。

　一方、前記ウイング状フラップＷの突出長Ｌは、４０～５０mmとし、好ましくはショーツ２０のクロッチ幅の半分の長さよりも長くするのがよい。ショーツ２０のクロッチ幅の半分の長さよりも長くすることによって、ショーツへの固定がしっかりとできるようになる。

　他方で、前記ウイング状フラップＷの裏面側に設けられるウイングズレ止め粘着剤層９は、図２に示されるように、ナプキン１の長手方向幅が、基端側ＮＬよりも先端側ＳＬを狭くした形状、具体的には略三角形状又は略等脚台形状或いは不等脚台形状とするのが望ましい。これにより、折り返した際に、接着剤同士の接着や誤接着が起こり難くなる。

　１…生理用ナプキン、２…不透液性裏面シート、３…透液性表面シート、４…吸収体、５…クレープ紙、６…セカンドシート、７…サイド不織布、８…本体ズレ止め粘着剤層、９…ウイングズレ止め粘着剤層、１０…前側外形線、１１…後側外形線、１２…先端側外形線、１２ａ…先端側外形線前部、１２ｂ…先端側外形線後部、Ａ…前側外形線１０の端部、Ｂ…ウイング状フラップＷの幅方向最外側端部、Ｃ…後側外形線１１の端部、Ｗ…ウイング状フラップ

Claims

　透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸収体が介在された本体部分の両側部に夫々、装着時に下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定されるウイング状フラップが形成された吸収性物品において、
　前記ウイング状フラップは、本体部分から外方に延びる前側外形線と、本体部分から外方に延びる後側外形線と、前記前側外形線と後側外形線とを繋ぐ先端側外形線とからなり、
　前記先端側外形線は、前記前側外形線から外方に延びる先端側外形線前部と、前記後側外形線から外方に延びる先端側外形線後部とを有し、前記先端側外形線前部と先端側外形線後部との交点が、前記ウイング状フラップの幅方向最外側端部をなすとともに、前記前側外形線の端部と前記後側外形線の端部との吸収性物品の長手方向長さの中央点より前側に位置していることを特徴とする吸収性物品。
　前記前側外形線は、波状線、曲線又はこれらの組み合わせからなる請求項１記載の吸収性物品。
　前記先端側外形線後部は、曲線、直線又はこれらの組み合わせからなる請求項１、２いずれかに記載の吸収性物品。
　前記後側外形線は、直線からなる請求項１～３いずれかに記載の吸収性物品。