WO2014175278A1 - 複合粒子分散液の製造方法、複合粒子、及び金属ナノ粒子分散液の製造方法 - Google Patents

複合粒子分散液の製造方法、複合粒子、及び金属ナノ粒子分散液の製造方法 Download PDF

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Abstract

 金属ナノ粒子による誘電体粒子の表面の被覆率が従来よりも高い複合粒子、そのような複合粒子を製造できる複合粒子分散液の製造方法、そのような複合粒子を有する複合体、及びそのような複合体の製造方法などの提供。 負に帯電した金属ナノ粒子を含む金属ナノ粒子分散液を製造する工程と、前記金属ナノ粒子分散液と、正に帯電した誘電体粒子を含む誘電体粒子分散液と、を混合する工程と、を有し、前記金属ナノ粒子分散液を製造する工程が、リンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基と、金属イオンと、を含む液を準備し、前記液中の金属イオンを還元して金属ナノ粒子を生成させ、前記液中のリンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基をクエン酸の共役塩基に置換する複合粒子分散液の製造方法である。

Description

複合粒子分散液の製造方法、複合粒子、及び金属ナノ粒子分散液の製造方法
 本発明は、複合粒子分散液の製造方法、複合粒子、複合体の製造方法、複合体、及び金属ナノ粒子分散液の製造方法に関する。
 金属ナノ粒子は、金属中の電子と光との相互作用によって局在表面プラズモン共鳴を起こす。複数の金属ナノ粒子を表面に有する複合粒子においては、金属ナノ粒子の局在表面プラズモン共鳴が金属ナノ粒子の間の相互作用の影響を受け、局在表面プラズモン共鳴とは異なる周波数(波長)で、複合粒子として新たな共鳴現象を起こす。複合粒子の共鳴現象を、本明細書においては「複合粒子プラズモン共鳴」と呼ぶこととする。複合粒子は、局在表面プラズモン共鳴、及び複合粒子プラズモン共鳴により、特有の光学的効果、及び磁気的効果を発現する。
 局在表面プラズモン共鳴、及び複合粒子プラズモン共鳴の少なくともいずれかを利用した新たな物質として、例えば、局在表面プラズモン共鳴による可視光線の吸収を利用した着色剤、局在表面プラズモン共鳴による光強度の増加現象を利用した高出力の発光素子、分子の結合による共鳴状態の変化を利用したバイオセンサ、局在表面プラズモン共鳴、及び複合粒子プラズモン共鳴によって可視光線に対して負の屈折率を持たせた材料、並びに局在表面プラズモン共鳴、及び複合粒子プラズモン共鳴によって可視光線の領域で磁性を発現する材料、などが検討されている。
 局在表面プラズモン共鳴、及び複合粒子プラズモン共鳴を利用する複合粒子は、通常、誘電体(酸化ケイ素、樹脂等)からなる粒子の表面に複数の金属ナノ粒子を担持させて構成される。また、複合粒子は、樹脂等のマトリックス材料中に分散した複合体の形態で用いられる。
 例えば、非特許文献1には、誘電体粒子としてのシリカの表面にスズイオン(Sn2+)を配位させ、スズイオン(Sn2+)による銀イオン(Ag)の還元を利用して、シリカの表面に金属ナノ粒子としての銀ナノ粒子を析出させ、誘電体粒子の表面に金属ナノ粒子が担持してなる複合粒子を製造する技術、及び前記技術により得られる複合粒子が提案されている。
 しかし、この提案の技術は、金属ナノ粒子による誘電体粒子の表面の被覆率が低い。そのため、複合粒子プラズモン共鳴の発現があまり期待できないという問題がある。
Chem. Mater. 2001, 13, 1630-1633
 本発明は、金属ナノ粒子による誘電体粒子の表面の被覆率が従来よりも高い複合粒子、そのような複合粒子を製造できる複合粒子分散液の製造方法、そのような複合粒子を有する複合体、及びそのような複合体の製造方法を提供することを目的とする。
 また、本発明は、複合粒子の製造に好適であり、平均一次粒子径が大きく、粒子径の均一性に優れる金属ナノ粒子を製造でき、かつ、分散性、及び生産性に優れる金属ナノ粒子分散液の製造方法を提供することを目的とする。
 本発明は以下の構成を要旨とするものである。
(1)負に帯電した金属ナノ粒子を含む金属ナノ粒子分散液を製造する工程と、
 前記金属ナノ粒子分散液と、正に帯電した誘電体粒子を含む誘電体粒子分散液と、を混合する工程と、を有し、
 前記金属ナノ粒子分散液を製造する工程が、
 リンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基と、金属イオンと、を含む液を準備し、
 前記液中の金属イオンを還元して金属ナノ粒子を生成させ、
 前記液中のリンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基をクエン酸の共役塩基に置換する
ことを特徴とする複合粒子分散液の製造方法。
(2)前記液中のリンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基をクエン酸の共役塩基に置換したあと、
 前記液中に金属酸化物の原料を添加し、マイクロウェーブを用いて金属ナノ粒子を加熱する上記(1)に記載の複合粒子分散液の製造方法。
(3)負に帯電した誘電体粒子の表面に、正に帯電したポリマーを付与して、正に帯電した誘電体粒子を得ることにより、前記正に帯電した誘電体粒子を含む誘電体粒子分散液を調製する、上記(1)又は(2)に記載の複合粒子分散液の製造方法。
(4)負に帯電した誘電体粒子の表面に、正に帯電したポリマーを付与し、ついで、負に帯電したポリマーを付与した後に正に帯電したポリマーを付与する処理を1回又は2回以上実施することにより、前記正に帯電した誘電体粒子を含む誘電体粒子分散液を調製する、上記(1)又は(2)に記載の複合粒子分散液の製造方法。
(5)誘電体粒子と、前記誘電体粒子の表面上に複数の金属ナノ粒子と、を有し、
 前記金属ナノ粒子による前記誘電体粒子の表面の被覆率が、80~100%であることを特徴とする複合粒子。
(6)誘電体粒子が、シリカ粒子である上記(5)に記載の複合粒子。
(7)金属ナノ粒子が、銀ナノ粒子である上記(5)又は(6)に記載の複合粒子。
(8)金属ナノ粒子は、0.5~5nmの厚みの金属酸化物で被覆されている上記(5)から(7)のいずれかに記載の複合粒子。
(9)誘電体粒子の平均一次粒子径が、40~150nmであり、
 金属ナノ粒子の平均一次粒子径が、5~50nmであり、
 複合粒子の平均一次粒子径が、50~200nmであり、
 前記誘電体粒子の平均一次粒子径が、前記金属ナノ粒子の平均一次粒子径よりも大きい上記(5)から(8)のいずれかに記載の複合粒子。
(10)マトリックス中に、誘電体粒子の表面上に複数の金属ナノ粒子を有する複合粒子が含まれる複合体の製造方法であって、
 上記(1)から(4)のいずれかに記載の方法で得られた複合粒子分散液、及びマトリックスの材料又は前駆体を混合して混合液を得、前記混合液から媒体を除去することを特徴とする複合体の製造方法。
(11)マトリックスと、前記マトリックス中に上記(5)から(9)のいずれかに記載の複合粒子と、を有することを特徴とする複合体。
(12)リンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基と、金属イオンと、を含む液を準備し、
 前記液中の金属イオンを還元して金属ナノ粒子を生成させ、
 前記液中のリンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基をクエン酸の共役塩基に置換する
ことを特徴とする金属ナノ粒子分散液の製造方法。
(13)前記液中のリンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基をクエン酸の共役塩基に置換したあと、
 前記液中に金属酸化物の原料を添加し、マイクロウェーブを用いて金属ナノ粒子を加熱する上記(12)に記載の金属ナノ粒子分散液の製造方法。
 本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、金属ナノ粒子による誘電体粒子の表面の被覆率が従来よりも高い複合粒子、そのような複合粒子を製造できる複合粒子分散液の製造方法、そのような複合粒子を有する複合体、及びそのような複合体の製造方法を提供することができる。
 本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、複合粒子の製造に好適であり、平均一次粒子径が大きく、粒子径の均一性に優れる金属ナノ粒子を製造でき、かつ、分散性、及び生産性に優れる金属ナノ粒子分散液の製造方法を提供することができる。
図1は、実施例2で得られた複合粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 図2は、実施例1で得られたシリカ被覆銀ナノ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 図3は、実施例9で得られた複合粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
 本発明において、平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)を用いて30個の粒子について円相当径を求め直径を測定し、その算術平均値から求めることができる。
(複合粒子)
 本発明の複合粒子は、誘電体粒子と、誘電体粒子の表面上に複数の金属ナノ粒子と、を少なくとも有する。
 複合粒子における、金属ナノ粒子による誘電体粒子の表面の被覆率は、80~100%である。
 複合粒子プラズモン共鳴の発現が期待できる複合粒子としては、例えば、誘電体粒子であるシリカ粒子の表面に金属ナノ粒子である銀ナノ粒子を被覆したコアシェル構造の複合粒子などが挙げられる。この複合粒子については、負の屈折率を発現することが、Tretyakov, Phys. Rev. B 2009において示されている。
 本発明者らは、シリカ粒子の表面に銀ナノ粒子を被覆した複合粒子についてシミュレーションを行ったところ、複合粒子に光を入射すると、シリカ粒子の表面の銀ナノ粒子が複合粒子プラズモン共鳴を起こし、ループ状の変位電流が生じて磁場が発生し、透磁率が1から変化することを確認した。
 本発明者らは、金属ナノ粒子による誘電体粒子の表面の被覆率を高くすれば、複合粒子プラズモン共鳴の強い発現が期待できると考えたものの、これまでそのような複合粒子は、見出されていなかった。
 そこで、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、後述する本発明の複合粒子分散液の製造方法により、複合粒子において金属ナノ粒子による誘電体粒子の表面の被覆率を高くすることができることを見出し、本発明の完成に至った。
<誘電体粒子>
 誘電体粒子は、静電場が加えられたときに、誘電分極を生じるが直流電流を生じない粒子である。
 誘電体粒子の材質としては、例えば、金属酸化物、樹脂、セラミックス、ガラスなどが挙げられる。金属酸化物としては、例えば、シリカ(SiO)、酸化アルミニウムなどが挙げられる。樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリアクリレートなどが挙げられる。
 これらの中でも、誘電体粒子としては、シリカ粒子、樹脂粒子が好ましい。誘電体粒子が、シリカ粒子、樹脂粒子であることにより、マトリックス中に複合粒子を有する複合体を得る際に、誘電体粒子をマトリックスと同等の低誘電率にすることができる。
 誘電体粒子の平均一次粒子径としては、40~150nmが好ましく、50~100nmがより好ましい。誘電体粒子の平均一次粒子径が、前記好ましい範囲内であると、複合粒子の平均一次粒子径を後述する好ましい範囲内にすることができる。
 通常、誘電体粒子の平均一次粒子径は、金属ナノ粒子の平均一次粒子径よりも大きい。
 誘電体粒子の形状としては、等方性にするために、球状が好ましい。球状の誘電体粒子としては、例えば、コロイダルシリカに含まれるシリカ粒子などが挙げられる。球状とは、真球であってもよいし、真球ではなくてもよい。
<金属ナノ粒子>
 金属ナノ粒子は、プラズモン吸収を有する金属のナノ粒子である。金属としては、電気伝導率が20×10S/m以上の金属が好ましく、電気伝導率が35×10S/m以上の金属がより好ましい。金属ナノ粒子は、金、銀、アルミニウム、及び銅の少なくともいずれかのナノ粒子が好ましく、金、及び銀の少なくともいずれかのナノ粒子がより好ましく、銀ナノ粒子が特に好ましい。
 金属の電気伝導率は、0℃における文献値(「物理定数表」、第13版、朝倉書店)である。
 本明細書において「ナノ粒子」とは、平均一次粒子径が、1~100nmの粒子のことを意味する。
 金属ナノ粒子の平均一次粒子径としては、5~50nmが好ましく、7~35nmがより好ましく、10~25nmが特に好ましい。金属ナノ粒子の平均一次粒子径が、前記好ましい範囲内であると、金属ナノ粒子による誘電体粒子の表面の被覆率を向上させやすい。また、金属ナノ粒子の平均一次粒子径が、50nm以下であると、複合粒子の平均一次粒子径が光の波長と同等未満の大きさになるため、複合粒子を含む分散液又は複合体の透明性を確保できる。
 金属ナノ粒子はその表面が金属酸化物で被覆されていることが好ましい。複合粒子における、金属ナノ粒子による誘電体粒子の表面の被覆率は80%以上であれば複合プラズモン共鳴の発現が期待できる。金属ナノ粒子はお互いに接触しない、つまり導通しないことが好ましい。金属酸化物はシリカ、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)が好ましく、シリカが特に好ましい。金属酸化物の膜厚は、絶縁性能の観点から0.5nm以上が好ましく、複合粒子の被覆率の観点から5nm以下が好ましい。
 金属ナノ粒子が銀であり、金属酸化物がシリカの場合、AgとSiの重量比(Ag/Si)は、0.7から165が好ましく、5から100がより好ましい。Ag/Siが0.7以上であると、複合粒子における銀ナノ粒子間の距離が小さくなり複合粒子プラズモン共鳴を効率よく発現できる。Ag/Siが165以下であると、銀ナノ粒子の表面をシリカにより均一に被覆できる。
 複合粒子の平均一次粒子径としては、50~200nmが好ましく、70~150nmがより好ましい。複合粒子の平均一次粒子径が、50nm以上であると、複合粒子プラズモン共鳴を効率よく発現できる。複合粒子の平均一次粒子径が、200nm以下であると、複合粒子を含む分散液又は複合体の透明性を確保できる。
 複合粒子における、金属ナノ粒子による誘電体粒子の表面の被覆率は、80~100%であり、85~100%が好ましく、90~100%がより好ましい。被覆率が、80%以上であることで、複合粒子プラズモン共鳴の発現が期待できる。
<被覆率の算出方法>
 被覆率の算出方法は以下のとおりである。
 複合粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、写真撮影する。写真撮影では、一視野に、複合粒子1個の全体が入るようにする。得られたTEM写真を画像解析処理にて二値化処理する。二値化処理においては、TEM写真の濃淡レベルを0~255の256階調にデジタル値化する。
 二値化処理後のTEM写真において、相対的に黒い粒子部分を金属ナノ粒子とし、その金属ナノ粒子部分のみが抽出されるよう第1の閾値を定め、0~第1の閾値までの階調で抽出された部分を金属ナノ粒子の領域(MA)とする。
 次に、複合粒子全てが抽出されるように第2の閾値を定め、0~第2の閾値までの階調で抽出された部分を複合粒子の領域(CA)とする。
 なお、黒い部分が金属ナノ粒子であるかどうかは、TEMを用いて金属ナノ粒子のみ、誘電体粒子のみの形態観察をあらかじめ行い、複合粒子のTEM写真において金属ナノ粒子の形態と誘電体粒子の形態とを比較することで容易に判別ができる。また、エネルギー分散型蛍光X線分光器を備えた透過型電子顕微鏡(TEM-EDX)を用いて複合粒子の元素マッピングを行うことで、更に正確に金属ナノ粒子かどうかを判別ができる。
 そして、金属ナノ粒子の領域(MA)と、複合粒子の領域(CA)とから、下記式により、金属ナノ粒子による誘電体粒子の表面の被覆率を求める。
 被覆率(%)=100×MA/CA
 複合粒子30個について上記方法により個々の複合粒子の被覆率を求め、その算術平均値を被覆率とする。
(複合粒子分散液の製造方法)
 本発明の複合粒子分散液の製造方法は、金属ナノ粒子分散液を製造する工程(A)と、金属ナノ粒子分散液、及び誘電体粒子を含む誘電体粒子分散液を混合する工程(B)と、を少なくとも有する。好ましくは、更に誘電体粒子分散液を製造する工程(C)を有する。
<金属ナノ粒子分散液製造工程(A)>
 金属ナノ粒子分散液製造工程(A)は、負に帯電した金属ナノ粒子を含む金属ナノ粒子分散液を製造する工程である。工程(A)は、リンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基と、金属イオンと、を含む混合液(ここで得られた混合液を、以下「第一の液」ともいう)を準備し、第一の液中の金属イオンを還元して金属ナノ粒子を生成させ(ここで得られた液を、以下「第二の液」ともいう)、第二の液中のリンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基をクエン酸の共役塩基に置換することを少なくとも有する。
 本発明者らは、被覆率の向上には、以下の点が大きく寄与することを見出した。
・平均一次粒子径が大きく、粒子径の均一性に優れる金属ナノ粒子を含む金属ナノ粒子分散液の製造
・分散性に優れる金属ナノ粒子分散液の製造
 金属ナノ粒子分散液の製造において、金属ナノ粒子の凝集を防ぎ、分散性を安定に維持するために、クエン酸又はクエン酸塩(例えば、クエン酸3ナトリウム)を用いることは一般的に知られていた。しかし、本発明者らが検討したところ、クエン酸又はクエン酸塩を用いた場合には、金属ナノ粒子の平均一次粒子径を大きくすることは難しかった。本発明者らは、これは、クエン酸の共役塩基は金属ナノ粒子への配位力が強いため、金属ナノ粒子が粒径成長しにくくなるためであると考えた。また、金属ナノ粒子分散液の製造において、クエン酸塩の量を少なくすると、金属ナノ粒子の平均一次粒子径は大きくなる傾向にあったが、粒子径の均一性が低下した。
 そこで、第一の液の調製において、リンゴ酸、リンゴ酸塩、イソクエン酸及びイソクエン酸塩の少なくともいずれかを用いることにより、平均一次粒子径が大きく、かつ粒子径の均一性に優れる金属ナノ粒子(例えば、平均一次粒子径が5~50nm)を製造することができた。これは、リンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基は、金属への配位力が弱いため、粒径成長しやすいためと考えられる。
 しかし、リンゴ酸、リンゴ酸塩、イソクエン酸及びイソクエン酸塩の少なくともいずれかは、クエン酸及びクエン酸塩の少なくともいずれかよりも金属ナノ粒子の分散性を安定に維持しにくかった。そこで、クエン酸及びクエン酸塩の少なくともいずれかを、第二の液と混合することにより、リンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基をクエン酸の共役塩基に置換する。配位力の弱いリンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基から配位力の強いクエン酸の共役塩基に置換することで、金属ナノ粒子表面に付着する酸の共役塩基の量を増加させることができ、金属ナノ粒子の表面電荷の絶対値を制御し、金属ナノ粒子の分散性を安定に維持することができる。その結果、本発明は、平均一次粒子径が大きく、粒子径の均一性に優れ、かつ分散性に優れる金属ナノ粒子分散液を製造することができる。
-第一の液の調製-
 第一の液の調製は、リンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基と、金属イオンとを含む混合液を調製する処理である。
--リンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基--
 リンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基は、リンゴ酸のみの共役塩基でもよく、イソクエン酸のみの共役塩基でもよく、リンゴ酸の共役塩基及びイソクエン酸の共役塩基の両方でもよい。特に、リンゴ酸の共役塩基が好ましい。
--金属イオン--
 金属イオンは、金属ナノ粒子を作製可能な金属イオンであり、例えば、金イオン、銀イオン、アルミニウムイオン、銅イオンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
 第一の液の、金属イオン(M)と、リンゴ酸及びイソクエン酸塩の少なくともいずれかの共役塩基(A)とのモル比率(M/A)としては、0.05~1が好ましく、0.1~0.5がより好ましく、0.2~0.3が特に好ましい。モル比率(M/A)が、前記好ましい範囲内であると、粒子径の均一性、及び分散性が良好な金属ナノ粒子を得ることができる。
 第一の液の調製は、例えば、リンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基を含む水溶液と、金属イオンを含む水溶液とを混合し、混合液を調製すればよい。混合液としては、例えば懸濁液が得られる。
--リンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基を含む水溶液--
 リンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基を含む水溶液におけるリンゴ酸及びイソクエン酸の共役塩基の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
 リンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基を含む水溶液は、リンゴ酸、リンゴ酸塩、イソクエン酸及びイソクエン酸塩の少なくともいずれかを溶解させて得ることができる。例えば、リンゴ酸2ナトリウムを水に溶解させて得ることができる。リンゴ酸2ナトリウムとしては、例えば、dl-リンゴ酸2ナトリウム3水和物などが挙げられる。
 また、リンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基を含む水溶液は、例えば、イソクエン酸3ナトリウムを水に溶解させて得ることができる。イソクエン酸3ナトリウムとしては、例えば、イソクエン酸3ナトリウム3水和物などが挙げられる。
--金属イオンを含む水溶液--
 金属イオンを含む水溶液における金属イオンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
 金属イオンを含む水溶液を調製する方法としては、例えば、水中で金属イオンを形成可能な金属化合物を、水に溶解させる方法などが挙げられる。
 金属化合物としては、例えば、金化合物、銀化合物、アルミニウム化合物、銅化合物などが挙げられる。
 金化合物としては、例えば、塩化金酸、塩化金、臭化金などが挙げられる。
 銀化合物としては、例えば、硝酸銀、硫酸銀、酢酸銀、酸化銀などが挙げられる。
 アルミニウム化合物としては、例えば、アルミン酸ナトリウム、塩化アルミニウムなどが挙げられる。
 銅化合物としては、例えば、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、水酸化銅などが挙げられる。
 これらの中でも、硝酸銀が、水への溶解性、易還元性、及び価格の点で好ましい。
 第一の液の調製における混合の際の温度としては、例えば、0~30℃などが挙げられる。
 第一の液の調製における混合の際には、撹拌することが好ましい。撹拌の時間としては、1~30分間が好ましく、5~20分間がより好ましい。
-還元処理-
 還元処理は、第一の液と、還元剤とを混合して、金属イオンを還元して得られる金属ナノ粒子を含む第二の液を調製する処理である。
 還元処理は、還元剤を用いて行うことができる。例えば、還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、硫酸第一鉄、塩化スズ(II)、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素リチウム、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素などが挙げられる。硫酸第一鉄としては、例えば、硫酸第一鉄7水和物などが挙げられる。これらの中でも、粒子径の均一性、及び分散性が良好な金属ナノ粒子を得ることができる点で、水素化ホウ素ナトリウム、硫酸第一鉄、塩化スズ(II)が好ましく、硫酸第一鉄がより好ましい。
 還元剤は、溶液の状態で第一の液と混合してもよく、固体の状態で第一の液と混合してもよい。金属イオンを効率よく還元できる点から、還元剤は、溶液の状態で第一の液と混合することが好ましい。還元剤の溶液に用いる溶媒としては、例えば、水などが挙げられる。
 第一の液と、還元剤とを混合する際の、第一の液における金属イオン(M)と、還元剤(R)とのモル比率(M/R)としては、0.01~2.0が好ましく、0.1~1.0がより好ましい。モル比率(M/R)が、前記好ましい範囲内であると、粒子径の均一性、及び生産性の点で有利である。
 第一の液と、還元剤とを混合する際の、第一の液における金属イオンの濃度としては、3質量%以下が好ましく、0.1~1質量%がより好ましい。金属イオンの濃度が、3質量%以下であると、粒子径の均一性、及び分散性が良好な金属ナノ粒子を得ることができ、0.1質量%以上であると、工業的に生産性が良い。
 還元処理における反応温度としては、0~30℃が好ましく、0~15℃がより好ましく、0~7℃が特に好ましい。反応温度が、前記好ましい範囲内であると、粒子径の均一性、及び分散性が良好な金属ナノ粒子を得ることができる。
 金属ナノ粒子としては、例えば、本発明の複合粒子において説明した金属ナノ粒子などが挙げられる。
-分散安定処理-
 分散安定処理は、第二の液中のリンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基をクエン酸の共役塩基に置換する処理である。例えば、第二の液と、クエン酸の共役塩基を含む水溶液とを混合する処理である。
 分散安定処理において、クエン酸の共役塩基を含む水溶液を、第二の液と混合する。この処理により、第二の液中の金属ナノ粒子を保護しているリンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基を、リンゴ酸及びイソクエン酸の共役塩基よりも金属ナノ粒子の分散性を安定に維持できるクエン酸の共役塩基に置換できる。クエン酸の共役塩基に置換する分散安定処理後、金属ナノ粒子を保護しているリンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基は、残っていてもよい。
 その結果、金属ナノ粒子の平均一次粒子径が大きく(例えば、5~50nm)、かつ分散性に優れる金属ナノ粒子分散液を得ることができる。
 分散安定処理は、還元処理に続いて、即座に行うことが好ましい。例えば、還元処理において第一の液の全量と還元剤の全量との混合が終えると直ぐに分散安定処理を行うことが好ましい。
 クエン酸の共役塩基を含む水溶液は、クエン酸及びクエン酸塩の少なくともいずれかを水に溶解させることにより得ることができる。例えば、クエン酸3ナトリウム2水和物を水に溶解させることにより得ることができる。
 クエン酸の共役塩基を含む水溶液におけるクエン酸の共役塩基の含有量としては、1~15質量%が好ましく、4~12質量%がより好ましい。クエン酸の共役塩基の含有量が、前記好ましい範囲内であると、金属ナノ粒子の表面においてリンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基をクエン酸の共役塩基に効率よく置換できる。
 分散安定処理においては、第二の液と、クエン酸の共役塩基を含む水溶液とを混合して混合液を得た後に、混合液から金属ナノ粒子を取り出し、更に金属ナノ粒子とクエン酸の共役塩基を含む水溶液とを混合する処置をすることが好ましい。処置をすることにより、得られる金属ナノ粒子の表面電荷を目的に適した値に調整することが可能である。処置の回数としては、2~7回が好ましい。分散性が保たれる範囲で金属ナノ粒子の表面電荷の絶対値を小さくすることで、金属ナノ粒子同士の表面電荷の反発を低減して、金属ナノ粒子による誘電体粒子の表面の被覆率を向上させることができる。
 金属ナノ粒子分散液製造工程(A)により得られる、負に帯電した金属ナノ粒子の平均一次粒子径としては、5~50nmが好ましく、7~35nmがより好ましく、10~25nmが特に好ましい。金属ナノ粒子の平均一次粒子径が、前記好ましい範囲内であると、金属ナノ粒子による誘電体粒子の表面の被覆率を向上させやすい。
 金属ナノ粒子分散液製造工程(A)により得られる、負に帯電した金属ナノ粒子を含有する金属ナノ粒子分散液における金属ナノ粒子の表面電荷としては、-15~-45mVが好ましく、-25~-40mVがより好ましい。
 表面電荷は、例えば、ゼータ電位計により測定できる。
 金属ナノ粒子分散液における金属ナノ粒子の含有量としては、1~30質量%が好ましく、5~25質量%がより好ましく、10~20質量%が特に好ましい。金属ナノ粒子の含有量が、前記好ましい範囲内であると、後の混合工程(B)での設計自由度、及び分散安定性の点で有利である。
-金属酸化物被覆処理-
 上記金属ナノ粒子分散液製造工程(A)により負に帯電した金属ナノ粒子を得た後、金属ナノ粒子の表面を金属酸化物で被覆する処理を行ってもよい。金属酸化物被覆処理として、金属ナノ粒子分散液に金属酸化物の原料を加え、マイクロウェーブを照射し金属ナノ粒子の温度を上昇させ、金属ナノ粒子の表面を金属酸化物で被覆する方法が挙げられる。金属酸化物の原料として、シリカの形成にはテトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等が好ましく、チタニアの形成にはペルオキソチタン、チタンラクテート等が好ましく、ジルコニアの形成には塩化ジルコニルカルボン酸誘導体等が好ましい。その中でテトラエトキシシランを用いたシリカ被覆が膜厚をコントロールしやすく好ましい。重合の反応速度をコントロールするために、アンモニア等の塩基性水溶液を添加することが好ましい。
 マイクロウェーブの照射エネルギーは、金属酸化物の原料を加えた金属ナノ粒子分散液20gに対して、400W~800Wが好ましく、500W~700Wがより好ましい。照射エネルギーが400W以上であると、溶媒よりも金属ナノ粒子の温度が相対的に上昇しやすいので、金属酸化物が単独で反応して金属酸化物ナノ粒子を生成することなく、金属ナノ粒子の表面に選択的に金属酸化物の被覆膜が形成される。照射エネルギーが800W以下であると、金属ナノ粒子が急速に加熱されすぎて金属ナノ粒子同士が融合することなく、金属酸化物で表面被覆できる。
 金属ナノ粒子が銀であり、金属酸化物がシリカの場合、AgとSiの重量比(Ag/Si)は、0.7から165が好ましく、5から100がより好ましい。Ag/Siが0.7以上であると、複合粒子における銀ナノ粒子間の距離が小さくなり複合粒子プラズモン共鳴を効率よく発現できる。Ag/Siが165以下であると、銀ナノ粒子の表面をシリカにより均一に被覆できる。
<混合工程(B)>
 混合工程(B)は、負に帯電した金属ナノ粒子を含む金属ナノ粒子分散液と、正に帯電した誘電体粒子を含む誘電体粒子分散液とを混合する工程である。
 混合の方法としては、例えば、金属ナノ粒子分散液に、誘電体粒子分散液を滴下し、撹拌する方法などが挙げられる。
 撹拌の時間としては、例えば、10~60分間などが挙げられる。
 金属ナノ粒子分散液と、誘電体粒子分散液との混合比率(金属ナノ粒子分散液中の金属ナノ粒子:誘電体粒子分散液中の誘電体粒子(質量比))としては、10:1~1:10が好ましく、5:1~1:5がより好ましく、2:1~1:2が特に好ましい。金属ナノ粒子分散液と、誘電体粒子分散液との混合比率は、誘電体粒子の表面を覆うことができる充分な量の金属ナノ粒子が存在するように決めればよい。混合比率が、前記好ましい範囲内であると、被覆率が高い複合粒子を得られる点で有利である。
 複合粒子分散液の製造方法では、複合粒子における、金属ナノ粒子による誘電体粒子の表面の被覆率を高くすることができる。
 複合粒子における、金属ナノ粒子による誘電体粒子の表面の被覆率としては、80~100%が好ましく、85~100%がより好ましく、90~100%が特に好ましい。
<誘電体粒子分散液調製工程(C)>
 誘電体粒子分散液調製工程(C)は、付与処理を少なくとも有し、好ましくは、交互付与処理を有する。
 誘電体粒子分散液調製工程(C)は、正に帯電した誘電体粒子を含む誘電体粒子分散液を調製する工程である。
-付与処理-
 付与処理は、負に帯電した誘電体粒子の表面に正に帯電したポリマーを付与する処理である。
--負に帯電した誘電体粒子--
 誘電体粒子の材質は、前述の「誘電体粒子」で挙げた材質であればよい。
--正に帯電したポリマー--
 正に帯電したポリマー(カチオン性ポリマー)としては、例えば、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PDDA)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルアミン(PVAm)、ポリ(ビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルアクリル酸)共重合体などが挙げられる。これらの中でも、PDDAが、付与し易さの点で好ましい。
 正に帯電したポリマーを、負に帯電した誘電体粒子の表面に付与する方法としては、例えば、正に帯電したポリマーを溶解した水溶性無機塩の水溶液に、負に帯電した誘電体粒子の分散液を添加し、得られた混合液を撹拌する方法などが挙げられる。水溶性無機塩としては、例えば、塩化ナトリウムなどが挙げられる。
-交互付与処理-
 交互付与処理は、付与処理により得られた誘電体粒子の表面への、負に帯電したポリマーの付与と、正に帯電したポリマーの付与とをこの順で行う処理である。
 交互付与処理は、1回以上行うことが好ましく、2回以上行うことがより好ましい。上限は特に限定されないが、5回以下が好ましい。
--負に帯電したポリマー--
 負に帯電したポリマー(アニオン性ポリマー)としては、例えば、ポリ(p-スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)、ポリビニル硫酸(PVS)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMA)などが挙げられる。これらの中でも、PSSが、付与し易さの点で好ましい。
 付与処理により得られた誘電体粒子の表面への、負に帯電したポリマーの付与の方法としては、例えば、負に帯電したポリマーを溶解した水溶性無機塩の水溶液に、誘電体粒子の分散液を添加し、得られた混合液を撹拌する方法などが挙げられる。水溶性無機塩としては、例えば、塩化ナトリウムなどが挙げられる。
 負に帯電したポリマーを付与した後に、正に帯電したポリマーを付与する方法としては、例えば、正に帯電したポリマーを溶解した水溶性無機塩の水溶液に、負に帯電したポリマーが付与された誘電体粒子の分散液を添加し、得られた混合液を撹拌する方法などが挙げられる。水溶性無機塩としては、例えば、塩化ナトリウムなどが挙げられる。
 正に帯電したポリマーの誘電体粒子への付与、及び負に帯電したポリマーの誘電体粒子への付与の後には、それぞれ、遠心分離、蒸留水の添加、及び分散(例えば、超音波分散)を行い、誘電体粒子へ付与されていない余分なポリマーを除去する処理を行うことが好ましい。
 付与処理における正に帯電したポリマーと、交互付与処理における正に帯電したポリマーとは、同じポリマーであってもよいし、異なる種類のポリマーであってもよい。
 交互付与処理を複数回行う場合、使用する負に帯電したポリマー、及び正に帯電したポリマーは、それぞれ同じポリマーであってもよいし、異なる種類のポリマーであってもよい。
 交互付与処理を行うことにより、誘電体粒子の表面を、負に帯電した金属ナノ粒子による正に帯電した誘電体粒子の表面の被覆率を向上させるのに適した状態にすることができる。
 被覆率の向上には、以下の点が大きく寄与すると考えられる。
(1)金属ナノ粒子分散液製造工程(A)によって、平均一次粒子径が大きく、粒子径の均一性、分散性、及び生産性に優れる金属ナノ粒子分散液が製造できること。
(2)金属ナノ粒子分散液製造工程(A)(特に、分散安定処理)によって、金属ナノ粒子の表面電荷を調整し、分散性を得るために必要最低限の表面電荷に制御することで、金属ナノ粒子同士の表面電荷の反発を低減できること。
(3)誘電体粒子分散液製造工程(C)(特に、交互付与処理)によって、金属ナノ粒子が被覆しやすい表面状態を有する誘電体粒子が製造できること。
 本発明の複合粒子分散液の製造方法では(1)~(2)、好ましい態様において(1)~(3)を備えるため、被覆率を非常に高くすることができる。
 複合粒子分散液の製造方法は、本発明の複合粒子の製造方法として好適である。
(金属ナノ粒子分散液の製造方法)
 本発明の金属ナノ粒子分散液の製造方法は、第一の液調製処理と、還元処理と、分散安定処理とを少なくとも有する。
 第一の液調製処理は、本発明の複合粒子分散液の製造方法における第一の液調製処理(第一の液の調製)と同じである。好ましい態様も同じである。
 還元処理は、本発明の複合粒子分散液の製造方法における還元処理と同じである。好ましい態様も同じである。
 分散安定処理は、本発明の複合粒子分散液の製造方法における分散安定処理と同じである。好ましい態様も同じである。
 金属ナノ粒子分散液の製造方法は、複合粒子に好適に使用できる金属ナノ粒子を製造できる。
(複合体)
 本発明の複合体は、マトリックスと、マトリックス中に本発明の複合粒子と、を少なくとも有する。
 複合体において、複合粒子は、マトリックス中に分散されていることが好ましい。
<マトリックス>
 マトリックスは、有機材料であってもよいし、無機材料であってもよい。有機材料としては、例えば、水溶性樹脂、油溶性樹脂などが挙げられる。水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。無機材料としては、例えば、ゾル-ゲル法により調製された無機材料などが挙げられる。ゾル-ゲル法により調製された無機材料としては、例えば、アルコキシシランの加水分解縮合物などが挙げられる。
 これらの中でも、マトリックスとしては、複合粒子の分散性に優れる点から、水溶性樹脂が好ましく、ポリビニルピロリドンがより好ましい。
 複合体における複合粒子と、マトリックスとの質量比率(複合粒子:マトリックス)としては、5:95~50:50が好ましく、10:90~45:55がより好ましく、15:85~40:60が特に好ましい。質量比率が、前記好ましい範囲内であると、複合粒子の分散性、及び複合粒子プラズモン共鳴の発現の点で有利である。
(複合体の製造方法)
 本発明の複合体の製造方法は、複合粒子分散液、及びマトリックスの材料又は前駆体を混合して混合液を得、混合液から媒体を除去する。
 複合粒子分散液は、前述の製造方法、すなわち工程(A)、及び工程(B)により製造すればよい。複合粒子分散液は、さらに工程(C)を有する製造方法により製造してもよい。また、複合粒子分散液は、蒸留水などで希釈し、複合粒子の含有量を適宜調整してもよい。
 マトリックスの材料又は前駆体としては、前述のマトリックスの説明で挙げた材料又はその前駆体を用いればよい。マトリックスの材料又は前駆体は、溶液の状態で用いてもよく、固体(粉末)の状態で用いてもよい。複合粒子分散液と混合する際に各成分が均一に混合される点から、マトリックスの材料又は前駆体としては、溶液又は分散液を用いることが好ましい。
 混合の方法としては、例えば、複合粒子分散液にマトリクスの材料又は前駆体を加える方法、マトリックスの材料又は前駆体に複合粒子分散液を加える方法、複合粒子分散液とマトリックスの材料又は前駆体とを別の容器に同時に加える方法、又は複合粒子分散液とマトリックスの材料又は前駆体とを混合装置(例えばミキサなど)に供給する方法などが挙げられる。
 複合粒子分散液、及びマトリックスの材料又は前駆体を混合する際には撹拌することが好ましい。撹拌時間としては、5~100分間が好ましく、10~50分間がより好ましい。また、混合する際の温度としては、0~30℃が好ましく、5~20℃がより好ましい。
 複合粒子分散液、及びマトリックスの材料又は前駆体の混合比率は、前述の複合体における複合粒子と、マトリックスとの質量比率(複合粒子:マトリックス)が満たされる範囲とすればよい。
 混合液から媒体を除去する方法としては、例えば、混合液を加熱して媒体を揮発させる方法を用いることができ、揮発後に残渣として複合体を得ることができる。このとき、加熱は減圧下で行ってもよい。また、混合液を基材に塗布して膜を形成し、膜を乾燥させる方法を用いることができ、乾燥させることで複合体からなる塗膜を形成することができる。
 以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
<被覆率の算出方法>
 本実施例における被覆率の算出方法は、前述の被覆率の算出方法のとおりである。
-複合粒子分散液のTEM測定試料-
 複合粒子分散液のTEM測定試料は、以下の通りに作製した。複合粒子分散液を複合粒子の濃度が0.05質量%になるように蒸留水で希釈し、サンプル液とした。TEMグリッドはエラスチックカーボンELS-C10、STEM、Cu100P仕様を使用した。TEMグリッドにサンプル液を載せて一晩室温乾燥した後、デシケーター内で減圧乾燥させてTEM測定試料を作製した。
(実施例1)
<銀ナノ粒子分散液の調製>
-クエン酸の共役塩基を含む水溶液の調製-
 クエン酸3ナトリウム2水和物180gを蒸留水1700gに溶解させ、クエン酸3ナトリウム水溶液を調製した。この液を4セット準備した。
-第一の液調製処理-
 dl-リンゴ酸2ナトリウム3水和物140gを蒸留水1700gに溶解させた水溶液に、硝酸銀30gを蒸留水300gに溶解させた水溶液を5分間かけて滴下して加え、10分間撹拌し第一の液(懸濁液)を調製した。調製する際の温度は、2℃で行った。
-還元処理-
 続いて、懸濁液に、硫酸第一鉄7水和物60gを蒸留水300gに溶解させた液を加え銀イオンの還元を行い、銀ナノ粒子を含む第二の液(銀ナノ粒子含有液)を調製した。調製は、2℃で行った。
-分散安定処理-
 続いて、銀ナノ粒子含有液を調製した後すぐに、銀ナノ粒子含有液にクエン酸3ナトリウム水溶液を加えて、30分間撹拌した。
 遠心分離機を用いて、銀ナノ粒子を沈降させた後、上澄み液を除去することで、得られた銀ナノ粒子を液中から取り出し、クエン酸3ナトリウム水溶液を加えて、30分間撹拌した。その後、遠心分離機を用いて銀ナノ粒子を液中から取り出し、クエン酸3ナトリウム水溶液を加えて30分間撹拌するという操作を、更に2回繰り返した。その後、遠心分離機を用いて銀ナノ粒子を液中から取り出し、蒸留水1700gを加えて30分間撹拌した。
 得られた銀ナノ粒子分散液を、MICROZAラボモジュール(旭化成社製、UF膜 AHP-1010)を用いて限外ろ過を行い、不要なイオンを除去後、濃縮することで銀ナノ粒子分散液を得た(固形分18質量%)。銀ナノ粒子分散液の総量が約100mLのときの導電率が0.5mS/cmとなるまでイオンを除去した時点を限外ろ過の終点とした。
 透過型電子顕微鏡で観察したところ、銀ナノ粒子の平均一次粒子径は、15nmであった。また、銀ナノ粒子の一次粒子は、均一な大きさであり、銀ナノ粒子分散液の分散性も優れるものであった。
 なお、第一の液調製処理において、dl-リンゴ酸2ナトリウム3水和物に代えて、イソクエン酸3ナトリウム3水和物を用いても、実施例1と同様に、得られる銀ナノ粒子の一次粒子は、均一な大きさであり、かつ分散液の分散性も優れるものであった。
(比較例1)
 比較例1では、分散保護剤としてクエン酸塩を用いて銀ナノ粒子分散液を調製した。具体的には、クエン酸3ナトリウム水溶液180gを蒸留水1700gに溶解させた液に、硝酸銀30gを蒸留水300gに溶解させた液を5分間かけて滴下して加え、10分間撹拌し、懸濁液を調製した。調製する際の温度は、2℃で行った。
 続いて、懸濁液に、硫酸第一鉄7水和物60gを蒸留水300gに溶解させた液を加え銀イオンの還元を行い、銀ナノ粒子分散液を調製した。還元する際の温度は、2℃で行った。
 得られた銀ナノ粒子分散液を、実施例1と同じ操作で限外ろ過、不要なイオンの除去、濃縮を行うことで銀ナノ粒子分散液を得た(固形分18質量%)。
 透過型電子顕微鏡で観察したところ、銀ナノ粒子の平均一次粒子径は、7nmであった。
(比較例2)
 比較例2では、実施例1の還元処理で得られた第二の液(銀ナノ粒子含有液)を、クエン酸3ナトリウム水溶液を加えることなく、実施例1と同じ操作で限外ろ過、不要なイオンの除去、濃縮を行うことで銀ナノ粒子分散液を得た(固形分3質量%)。
 透過型電子顕微鏡で観察したところ、銀ナノ粒子の平均一次粒子径は、20nmであった。しかし、銀ナノ粒子が凝集しており、分散性が良くなかった。
(実施例2)
<複合粒子の製造>
 以下の方法により、誘電体粒子分散液を製造した。
-PDDA水溶液の調製-
 カチオン性ポリマーとして、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PDDA:Poly(diallyl dimethyl ammonium chloride))を用いた。0.5mol/Lの塩化ナトリウム水溶液43gに、20質量%のPDDA水溶液(アルドリッチ社製、Mw=100000~200000)を16g添加し、撹拌してPDDA水溶液を調製した。
-PSS水溶液の調製-
 アニオン性ポリマーとして、ポリ(p-スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS:Poly(sodium 4-styrenesulfonate))を用いた。0.5mol/Lの塩化ナトリウム水溶液34gに、30質量%のPSS水溶液(アルドリッチ社製、Mw=70000)を8g添加し、撹拌してPSS水溶液を調製した。
-酸性シリカ粒子分散液の調製-
 誘電体粒子としてのシリカ粒子として、コロイダルシリカ(日揮触媒化成社製、SI-45P、固形分44.6質量%、平均一次粒子径80nm)を用いた。蒸留水310gにコロイダルシリカ39gを入れ、更に陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、SK1BH)175gを入れて一晩撹拌した。その後、ろ過で陽イオン交換樹脂を除き、酸性シリカ粒子分散液(固形分5.5質量%)を得た。
-シリカ粒子分散液の調製-
 PDDA水溶液59gに酸性シリカ粒子分散液376gを投入し、マグネチックスターラーで30分間撹拌し、シリカ粒子表面にPDDAを吸着させた。その後、30000gの遠心加速度で、20分間の遠心分離を行なって取り出したシリカ粒子に、100gの蒸留水を加え、ソニファイアー(BRANSON社製、Model-450D、出力160W)を用いて5分間超音波で再分散させた。この遠心分離-蒸留水添加-超音波再分散の工程を3回繰り返した。
 同様にして、PSS水溶液を用いて、シリカ粒子表面にPSSを吸着させた。
 更に、PDDA、PSS、及びPDDAの順で同様の処理を行い、シリカ粒子表面にPDDAとPSSとを交互に吸着させた。最終的に正電荷を帯びたポリマー被覆シリカ粒子分散液(誘電体粒子分散液)を得た。
-複合粒子分散液及び複合粒子コンポジット液の製造-
 続いて、複合粒子分散液を製造した。
 実施例1と同様の方法で調製した銀ナノ粒子分散液を蒸留水で希釈した銀ナノ粒子分散液(固形分4.1質量%)2gに、上記で調製したポリマー被覆シリカ粒子分散液(固形分1.7質量%)3gを滴下し、スターラーで30分間撹拌することで、シリカ粒子の周りに銀ナノ粒子が吸着した複合粒子分散液を得た。これにポリビニルピロリドン(PVP) K90水溶液(東京化成工業社製、Mw=630000、固形分30質量%)を3.3g滴下し、スターラーで30分間撹拌した後、超音波分散を行うことで、複合粒子コンポジット液を得た。
 得られた複合粒子の平均一次粒子径は、130nmであった。
 続いて、得られた複合粒子における被覆率を測定した。
 調製した測定試料を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、写真撮影した(図1)。
 前述の被覆率の算出方法に従って銀ナノ粒子の領域(MA)を決定した。銀ナノ粒子の領域(MA)は、8,485pixelであった。
 また、前述の被覆率の算出方法に従って複合粒子の領域(CA)を決定した。複合粒子の領域(CA)は、60,268pixelであった。
 そして、被覆率を求めたところ、97%であった。
 同様にして合計30個の複合粒子について、被覆率を測定し、その平均値を求めたところ、被覆率は、97%であった。
(実施例3)
<複合粒子の製造>
-複合粒子分散液及び複合粒子コンポジット液の製造-
 実施例1と同様の方法で調製した銀ナノ粒子分散液を、実施例2とは異なる固形分濃度となるよう蒸留水で希釈した銀ナノ粒子分散液(固形分3.9質量%)2gに、実施例2と同様の方法で調製したポリマー被覆シリカ粒子分散液(固形分1.7質量%)3gを滴下し、スターラーで30分間撹拌することで、シリカ粒子の周りに銀ナノ粒子が吸着した複合粒子分散液を得た。これにポリビニルピロリドン(PVP) K90水溶液(東京化成工業社製、Mw=630000、固形分30質量%)を3.3g滴下し、スターラーで30分間撹拌した後、超音波分散を行うことで、複合粒子コンポジット液を得た。
 得られた複合粒子の平均一次粒子径は、128nmであった。
 続いて、実施例2と同様に、合計30個の複合粒子について、被覆率を測定し、その平均値を求めたところ、被覆率は、90%であった。得られた複合粒子は、実施例2に記載の複合粒子と同様に、被覆率が高かった。
(実施例4)
<複合粒子の製造>
-複合粒子分散液及び複合粒子コンポジット液の製造-
 実施例1と同様の方法で調製した銀ナノ粒子分散液を、実施例2とは異なる固形分濃度となるよう蒸留水で希釈した銀ナノ粒子分散液(固形分3.6質量%)を用いた。その他の条件は実施例2と同様にした。
 得られた複合粒子の平均一次粒子径は、125nmであった。
 得られた複合粒子の被覆率(合計30個の複合粒子の平均値)は、81%であった。得られた複合粒子は、実施例2に記載の複合粒子と同様に、被覆率が高かった。
(実施例5)
<複合体の製造>
 実施例2で得られた複合粒子コンポジット液を蒸留水で希釈し、複合粒子を2.32質量%、及びPVP(K=90)を5.41質量%含む混合液を得た。これを、30分間撹拌することで複合粒子コンポジット液を作製した。
 基板としては石英基板(シグマ光機社製、20mm×20mm×2mm)を用いた。石英基板を酸化セリウムで研磨し、蒸留水で十分にすすいだ後、乾燥させた。この石英基板の接触角を、全自動接触角計(協和界面科学社製、DM701)で3か所測定したところ、接触角の平均値は8.0°であった。
 上記研磨済み石英基板に、複合粒子コンポジット溶液を2mL載せてスピンコート(回転速度を20秒間かけて2000rpmにした後、2000rpmで20秒間維持)し、100℃で30分間乾燥させることで複合粒子コンポジット膜付き基板(複合体付き基板)を作製した。
(実施例6)
<複合体の製造>
 実施例3で得られた複合粒子コンポジット液を蒸留水で希釈し、複合粒子を2.32質量%、及びPVP(K=90)を5.41質量%含む混合液を得た。これを、30分間撹拌することで複合粒子コンポジット液を作製した。その他の条件は実施例5と同様にした。
(実施例7)
<複合体の製造>
 実施例4で得られた複合粒子コンポジット液を蒸留水で希釈し、複合粒子を2.32質量%、及びPVP(K=90)を5.41質量%含む混合液を得た。これを、30分間撹拌することで複合粒子コンポジット液を作製した。その他の条件は実施例6と同様にした。
(比較例3)
 Chem. Mater. 2001, 13, 1630-1633において作製された複合粒子について、その被覆率を測定した。
 具体的には、Chem. Mater. 2001, 13, 1630-1633に記載のTEM画像を用いて、被覆率を求めた。
 前述の被覆率の算出方法に従って金属ナノ粒子の領域(MA)を決定した。
 また、前述の被覆率の算出方法に従って複合粒子の領域(CA)を決定した。
 そして、被覆率を求めたところ、50%であった。
(実施例8)
<シリカ被覆銀ナノ粒子分散液の調製>
 実施例1で得られた銀ナノ粒子分散液に、絶縁性の担保のためシリカ被覆を行った。シリカ被覆を施す際の加熱にはAnton Paar社製マイクロウェーブ反応システムSynthos3000(以下、マイクロウェーブ反応機と記す。)を用いた。実施例1で得られた銀ナノ粒子分散液を希釈して得られた1.49質量%銀ナノ粒子分散液13.4gをマイクロウェーブ反応機用のPTFE容器に入れた。そこへ1.38質量%テトラエトキシシラン-エタノール溶液5.0gを加えた。さらに、溶液を撹拌しながら0.28質量%アンモニア水溶液1.6gを添加した後、マイクロウェーブ反応機で出力500Wで3分50秒加熱した。このときの最高到達温度は約160℃であった。冷却後、シリカ被覆銀ナノ粒子分散液を別の容器に回収した。
 この操作を繰り返し行い必要量のシリカ被覆銀ナノ粒子分散液を合成した後、エバポレーターでエタノールを除去した。さらに、MICROZAラボモジュール(旭化成社製、UF膜 AHP-1010)を用いて、シリカ被覆銀ナノ粒子分散液の濃度が約5質量%のときの導電率が0.5mS/cmとなるまでイオンを除去し、最終的にシリカ被覆銀ナノ粒子の濃度が約5.5質量%となるように濃縮した。
 得られたシリカ被覆銀ナノ粒子の透過型電子顕微鏡写真を図2に示す。シリカ被覆層の平均厚さは、約2nmであった。また、シリカ被覆銀ナノ粒子の一次粒子は、均一な大きさであり、シリカ被覆銀ナノ粒子分散液の分散性も優れるものであった。
(実施例9)
<複合粒子の製造>
 実施例8と同様の方法で調製したシリカ被覆銀ナノ粒子分散液を蒸留水で希釈したシリカ被覆銀ナノ粒子分散液(固形分5.0質量%)1gに、実施例2で調製したポリマー被覆シリカ粒子分散液を希釈して得られた固形分0.2質量%の液1.34gを滴下し、スターラーで30分間撹拌することで、シリカ粒子の周りにシリカ被覆銀ナノ粒子が吸着した複合粒子分散液を得た。
 この操作を繰り返すことで必要量の複合粒子分散液を合成した後、1100gの遠心加速度で1分間遠心分離を行い、複合化されていないシリカ被覆銀ナノ粒子を上澄み液として除去し、沈殿として複合微粒子を得た。この沈殿に純水を加えて再分散し、濃度3質量%の複合微粒子分散液を得た。
 この複合微粒子分散液5gにポリビニルピロリドン(PVP) K90水溶液を0.33g滴下し、スターラーで30分間撹拌した後、超音波分散を行うことで、複合粒子コンポジット液を得た。得られた複合粒子の平均一次粒子径は、130nmであった。
 続いて、得られた複合粒子における被覆率を測定した。
 調製した測定試料を透過電子顕微鏡(TEM)で観察し、写真を撮影した(図3)。実施例2と同様に被覆率を求め、得られた複合粒子の被覆率(合計30個の複合粒子の平均値)は、95%であった。得られた複合粒子は、実施例2に記載の複合粒子と同様に、被覆率が高かった。
(実施例10)
<複合体の製造>
 実施例9で得られた複合粒子コンポジット液をそのまま塗布液として用い、その他の条件は実施例5と同様にして塗布し複合体を得た。
 本発明の複合体粒子は、局在表面プラズモン共鳴、及び複合粒子プラズモン共鳴の発現が期待でき、負の屈折率を持たせた材料などに好適に用いることができる。
 なお、2013年4月24日に出願された日本特許出願2013-091293号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (13)

  1.  負に帯電した金属ナノ粒子を含む金属ナノ粒子分散液を製造する工程と、
     前記金属ナノ粒子分散液と、正に帯電した誘電体粒子を含む誘電体粒子分散液と、を混合する工程と、を有し、
     前記金属ナノ粒子分散液を製造する工程が、
     リンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基と、金属イオンと、を含む液を準備し、
     前記液中の金属イオンを還元して金属ナノ粒子を生成させ、
     前記液中のリンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基をクエン酸の共役塩基に置換する、
    ことを特徴とする複合粒子分散液の製造方法。
  2.  前記液中のリンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基をクエン酸の共役塩基に置換したあと、
     前記液中に金属酸化物の原料を添加し、マイクロウェーブを用いて金属ナノ粒子を加熱する請求項1に記載の複合粒子分散液の製造方法。
  3.  負に帯電した誘電体粒子の表面に、正に帯電したポリマーを付与して、正に帯電した誘電体粒子を得ることにより、前記正に帯電した誘電体粒子を含む誘電体粒子分散液を調製する、請求項1又は2に記載の複合粒子分散液の製造方法。
  4.  負に帯電した誘電体粒子の表面に、正に帯電したポリマーを付与し、ついで、負に帯電したポリマーを付与した後に正に帯電したポリマーを付与する処理を1回又は2回以上実施することにより、前記正に帯電した誘電体粒子を含む誘電体粒子分散液を調製する、請求項1又は2に記載の複合粒子分散液の製造方法。
  5.  誘電体粒子と、前記誘電体粒子の表面上に複数の金属ナノ粒子と、を有し、
     前記金属ナノ粒子による前記誘電体粒子の表面の被覆率が、80~100%であることを特徴とする複合粒子。
  6.  誘電体粒子が、シリカ粒子である請求項5に記載の複合粒子。
  7.  金属ナノ粒子が、銀ナノ粒子である請求項5又は6に記載の複合粒子。
  8.  金属ナノ粒子は、0.5~5nmの厚みの金属酸化物で被覆されている請求項5から7のいずれかに記載の複合粒子。
  9.  誘電体粒子の平均一次粒子径が、40~150nmであり、
     金属ナノ粒子の平均一次粒子径が、5~50nmであり、
     複合粒子の平均一次粒子径が、50~200nmであり、
     前記誘電体粒子の平均一次粒子径が、前記金属ナノ粒子の平均一次粒子径よりも大きい請求項5から8のいずれかに記載の複合粒子。
  10.  マトリックス中に、誘電体粒子の表面上に複数の金属ナノ粒子を有する複合粒子が含まれる複合体の製造方法であって、
     請求項1から4のいずれかに記載の方法で得られた複合粒子分散液、及びマトリックスの材料又は前駆体を混合して混合液を得、前記混合液から媒体を除去することを特徴とする複合体の製造方法。
  11.  マトリックスと、前記マトリックス中に請求項5から9のいずれかに記載の複合粒子と、を有することを特徴とする複合体。
  12.  リンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基と、金属イオンと、を含む液を準備し、
     前記液中の金属イオンを還元して金属ナノ粒子を生成させ、
     前記液中のリンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基をクエン酸の共役塩基に置換する、
    ことを特徴とする金属ナノ粒子分散液の製造方法。
  13.  前記液中のリンゴ酸及びイソクエン酸の少なくともいずれかの共役塩基をクエン酸の共役塩基に置換したあと、
     前記液中に金属酸化物の原料を添加し、マイクロウェーブを用いて金属ナノ粒子を加熱する請求項12に記載の金属ナノ粒子分散液の製造方法。
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