WO2014136552A1 - 画像処理装置 - Google Patents

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Abstract

 種々の解像度の入力画像に対して適切にノイズを除去又は低減することができる画像処理装置を提供する。画像処理装置は、信号値が一定の値である輪郭方向を画素毎に推定する輪郭方向推定部(21)と、前記画素の各々について、該画素に応じた参照領域の画素である参照画素であって、前記輪郭方向推定部が推定した該画素の輪郭方向に配列された参照画素毎の信号値に基づいて該画素の信号値を平滑化する低域フィルタ部(20a)と、入力画像信号の解像度と出力画像信号の解像度との比に基づいて求められる拡大率に応じて、前記低域フィルタ部による平滑化の強さを決定するパラメータ決定部(20b)とを備える。

Description

画像処理装置
 本発明は、解像度に応じた画像変換を行う画像処理装置に関する。
 情報通信技術の普及により画像コンテンツを、制作時とは異なる条件で視聴できるようにすることで、画像コンテンツを有効に活用することが要請されている。例えば、IPTV(Internet Protocol Television)、等では、元来、携帯端末装置等で視聴するための比較的低い解像度の画像コンテンツ(いわゆるネット動画、等)を、高解像度の画像表示装置に表示する場合がある。ここで、解像度が水平方向640画素、垂直方向360画素である画像コンテンツを、水平方向1920画素、垂直方向1080画素のフルハイビジョン(フルHD、full High Definition)規格に対応したディスプレイに表示する。そのような場合には、画像コンテンツに含まれる画素毎の信号値を画素間で信号値を補間して解像度を高くして変換することがある(アップスケーリング[upscaling]、アップコンバート[upconvert]とも呼ばれる)。
 解像度を高くした画像には、次に述べるノイズが顕著に表れることがある。(1)ジャギー:斜線や曲線に表れる階段状の輪郭、(2)モスキートノイズ:圧縮符号化した符号を復号すると濃淡や色信号値が急激に変化する部分やその周辺に表れる波状のノイズ、(3)ドット妨害:コンポジット信号から輝度信号と色差信号の分離(YC分離)が不適切な場合、色彩が変化する境界に粒状に表れるノイズ。
 そこで、従来は、解像度を高くした画像に対して補間した信号値に対して低域通過フィルタを施してノイズを低減することが試みられている。例えば、特開2005-353068号公報に記載の処理装置では、入力される現フレーム/フィールド上で現ピクセルに基づいて所定サイズのウィンドウを設定し、ウィンドウの特性を判断するための固有値および固有ベクトルを算出し、算出された固有値に基づいてウィンドウの特性を判断した後、その判断結果に基づいてフィルタリングに適用すべきフィルタリング荷重値を決め、算出された固有ベクトルおよび決定されたフィルタリング荷重値に基づいてウィンドウをフィルタリングする。
 その他、補間した信号値の高周波数成分の情報を強調することによって画像を先鋭化(、尖鋭化・シャープニング[sharpening]、強調・エンハンス[enhancement]、とも呼ばれる)することが試みられている。
 また、映像の放送波の種別に応じて画像変換を行う画像処理装置が提案されている。例えば、特開2010-93856号公報に記載の画像処理装置は、第1解像度の第1映像信号を、第1映像信号の画素に対して挿入される高周波成分の画素の割合を示すパラメータに応じて、第1解像度よりも高い第2解像度の第2映像信号に変換する画像変換手段と、第1映像信号の放送波の種類に応じて、パラメータを変更するように制御する制御手段とを備える。
 このように、解像度を高くした画像に対しては、ノイズの低減処理や画像先鋭化処理は有効である。しかしながら、解像度がもともと高く補間処理の度合いが小さい画像、又は補間処理を実行していない画像に対してノイズの低減処理や画像先鋭化処理を行うことは、効果が少ないばかりか、かえってアーティファクト[artifact]を発生させてしまう。
 本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、種々の解像度の入力画像に対して適切にノイズを除去又は低減することができる画像処理装置を提供する。
 ここに開示する画像処理装置は、信号値が一定の値である輪郭方向を画素毎に推定する輪郭方向推定部と、前記画素の各々について、該画素に応じた参照領域の画素である参照画素であって、前記輪郭方向推定部が推定した該画素の輪郭方向に配列された参照画素毎の信号値に基づいて該画素の信号値を平滑化する低域フィルタ部と、入力画像信号の解像度と出力画像信号の解像度との比に基づいて求められる拡大率に応じて、前記低域フィルタ部による平滑化の強さを決定するパラメータ決定部とを備える。
 本発明によれば、種々の解像度の入力画像に対して適切にノイズを除去又は低減することができる。
本発明の第1の実施形態に係る表示装置の構成を表す概略図である。 本実施形態に係る画像処理部の構成を表す概略図である。 本実施形態に係る高周波拡張部の構成を示す概念図である。 本実施形態に係る高周波拡張部の一構成例を表す概略図である。 本実施形態に係る垂直高域通過フィルタ部の構成を表す概略図である。 本実施形態に係る水平高域通過フィルタ部の構成を表す概略図である。 本実施形態に係る非線形演算部の構成の一例を表す概略図である。 本実施形態に係る非線形演算部の構成のその他の例を表す概略図である。 輪郭の一例を表す概念図である。 参照領域の一例を表す概念図である。 x方向の差分フィルタの一例を表す概念図である。 y方向の差分フィルタの一例を表す概念図である。 x方向偏微分の一例を表す概念図である。 y方向偏微分の一例を表す概念図である。 量子化輪郭方向の候補の一例を示す。 量子化輪郭方向の計算例を示す概念図である。 参照領域荷重の一例を示す概念図である。 参照領域荷重のその他の例を示す概念図である。 方向評価値の一例を示す概念図である。 方向評価値のその他の例を示す概念図である。 方向評価領域荷重の一例を示す概念図である。 方向評価領域荷重のその他の例を示す概念図である。 平滑化対象画素の一例を表す概念図である。 本実施形態に係る画像処理を表すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る表示装置の構成を表す概略図である。 図26は、拡大率と、低域フィルタ部及び高周波拡張部による処理の強さとの関係を模式的に示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る表示装置の構成を表す概略図である。 本実施形態の変形例1に係る画像処理部の構成を表す概略図である。 本変形例に係る画像処理を表すフローチャートである。 本実施形態の変形例2に係る画像処理部の構成を表す概略図である。 本変形例に係る画像処理を表すフローチャートである。 本実施形態の変形例3に係る高周波拡張部の構成を表す概略図である。 本変形例に係る2次元高域通過フィルタ部の構成を表す概略図である。 選択参照画素の例を示す概念図である。 本変形例に係る画像処理を表すフローチャートである。 処理前後の輝度信号に係る画像の例を表す。 処理前後の画像の空間周波数特性の例を表す。 本実施形態において使用又は生成したデータの空間周波数特性を表す。 非線形演算による出力周波数の一例を表す図である。 非線形演算による出力周波数のその他の例を表す図である。
 本発明の一実施形態に係る画像処理装置は、信号値が一定の値である輪郭方向を画素毎に推定する輪郭方向推定部と、前記画素の各々について、該画素に応じた参照領域の画素である参照画素であって、前記輪郭方向推定部が推定した該画素の輪郭方向に配列された参照画素毎の信号値に基づいて該画素の信号値を平滑化する低域フィルタ部と、入力画像信号の解像度と出力画像信号の解像度との比に基づいて求められる拡大率に応じて、前記低域フィルタ部による平滑化の強さを決定するパラメータ決定部とを備える(第1の構成)。
 上記の構成によれば、各画素の信号値が輪郭方向に平滑化され、視覚上敏感な輪郭方向のノイズが除去又は低減される。さらに、上記の構成によれば、画像処理装置は、拡大率に応じて平滑化の強さを変えることできる。
 上記第1の構成において、前記入力画像信号が入力される複数の入力端子をさらに備え、前記パラメータ決定部は、前記複数の入力端子のうち、入力画像信号が入力された入力端子の種類に基づいて前記入力画像信号の解像度を判別する構成としても良い(第2の構成)。
 上記第1の構成において、前記入力画像信号の解像度と前記出力画像信号の解像度との比である解像度比を求め、前記解像度比に基づいて前記入力画像の補間を行い、前記解像度比を前記パラメータ決定部に出力するスケーリング部をさらに備え、前記パラメータ決定部は、前記前記解像度比を前記拡大率として用いる構成としても良い(第3の構成)。
 上記第1の構成において、前記入力画像信号が入力される複数の入力端子と、前記入力画像信号の解像度と前記出力画像信号の解像度との比である解像度比を求め、前記解像度比に基づいて前記入力画像の補間を行い、前記解像度比を前記パラメータ決定部に出力するスケーリング部とをさらに備え、前記パラメータ決定部は、前記複数の入力端子のうち、入力画像信号が入力された入力端子の種類から前記入力画像信号の解像度が一意に判別できる場合には、前記入力端子の種類に基づいて前記入力画像信号の解像度を判別し、前記複数の入力端子のうち、入力画像信号が入力された入力端子の種類から前記入力画像信号の解像度が一意に判別できない場合には、前記解像度比を前記拡大率として用いる構成としても良い(第4の構成)。
 上記第1~第4のいずれかの構成において、前記画素の各々について、該画素の信号値の高周波成分を生成して該画素の信号値について周波数帯域を拡張する高周波拡張部をさらに備え、前記パラメータ決定部は、前記拡大率に応じて、高周波拡張部による処理の強さを決定することが好ましい(第5の構成)。
 上記の構成によれば、高周波拡張部によって、平滑化された信号値の高周波成分が補われる。そのため、エイリアシング[aliasing]によるノイズを回避又は抑制しながら画像を先鋭化することができる。さらに上記の構成によれば、画像処理装置は、拡大率に応じて先鋭化の強さを変えることできる。
 [実施の形態]
 以下、図面を参照しながら本実施形態について説明する。
 [第1の実施形態]
 図1は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置1の構成を表す概略図である。
 表示装置1は、入力端子10a~10d、入力部11、スケーリング部13、画像処理部20、画像形式変換部14及び表示部15を含んで構成される。
 入力端子10a~10dには、外部から信号が入力される。入力端子10a~10dに入力される信号は、例えば、コンポジット[composit]映像信号、アナログテレビジョン放送に係る高周波信号、ディジタルテレビジョン放送に係る高周波信号、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)に係る信号等である。
 入力部11は、入力端子10a~10dに入力される信号の種類に対応した信号処理部11A~11Dを含んでいる。信号処理部11A~11Dは、入力信号を、ディジタルの輝度信号Y、色差信号Cb及び色差信号Crを含む所定の画像信号に変換する。
 例えば、信号処理部11Bは、アンテナ(アナログ)から入力された高周波信号から指定されたチャネルに係る変調信号を抽出し、抽出した変調信号を基底周波数帯域の変調信号に変換する。変換した変調信号を復調して画像信号を生成し、生成した画像信号からアナログの輝度信号Y、色差信号Cb及び色差信号Crに分離する。分離したそれぞれの信号を、予め定めたサンプリング周波数でアナログ信号からディジタル信号に変換する。
 入力部11は、入力部11に入力される複数の信号から1つを選択し、信号処理部11A~11Dのいずれかによって入力信号を変換してスケーリング部13に出力する。入力部11は、このとき、選択された入力信号を識別する信号Ssを画像処理部20に出力する。
 スケーリング部13は、入力部11から入力された画像信号の解像度(画素数)が、表示部15の解像度と異なる場合には、表示部15の解像度と等しくなるように入力された画像信号の解像度を調整(スケーリング)する。入力された画像の解像度よりも表示部15の解像度の方が大きい場合には、スケーリング部13は、入力された画像信号に対して、補間を行う。入力された画像の解像度よりも表示部15の解像度の方が小さい場合には、スケーリング部13は、入力された画像信号に対してダウンサンプリングを行う。スケーリング部13は、補間又はダウンサンプリングのための方式として、例えばバイキュービック(bicubic)法、バイリニア(bilinear)法、等の方式を用いる。スケーリング部13は、解像度を調整した画像信号を画像処理部20に出力する。入力された画像信号の解像度と表示部15の解像度が等しい場合には、入力された画像信号を画像処理部20に出力する。
 なお、以下の説明では、表示部15の水平方向(又は垂直方向)の画素数の、入力された画像信号の水平方向(又は垂直方向)の画素数に対する比を拡大率と呼ぶ。例えば、入力された画像信号の解像度が水平方向640画素、垂直方向360画素であり、表示部15の解像度が水平方向1920画素、垂直方向1080画素である場合には、拡大率は3である。
 画像処理部20は、スケーリング部13から入力された画像信号のうち輝度信号Yについてノイズの低減及び画像を先鋭化に係る処理を行い、ノイズが低減し先鋭化した画像を示す輝度信号Zを生成する。画像処理部20は、スケーリング部13から入力された輝度信号Yを、生成した輝度信号Zに更新し、色差信号Cb、Crと同期をとる。画像処理部20は、輝度信号Z及び色差信号Cb、Crを含んだ画像信号を画像形式変換部14に出力する。画像処理部20の構成については後述する。
 画像形式変換部14は、画像処理部20から入力された画像信号の形式を変換する。画像形式変換部14は、入力された画像信号がインターレース(interlace)信号である場合、その画像信号をプログレッシブ(progressive)信号に形式を変換する。インターレース信号とは、画素に対する水平方向への走査を1列おきに行って構成された信号であって、走査対象の列がフレーム毎に異なる信号である。プログレッシブ信号とは、画素に対する水平方向への走査を列毎に行って構成された信号である。画像形式変換部14は、入力された画像信号又は形式を変換した画像信号を表示部15に応じた表色系で表された画像信号(例えば、RGB信号、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の信号値を含む画像信号)に変換し、変換した画像信号を表示部15に出力する。
 表示部15は、画像形式変換部14から入力された画像信号が表す画像を表示する。表示部15は、例えばフルハイビジョン(フルHD(full high definition)とも呼ばれる)方式、つまり解像度が水平方向1920画素、垂直方向1080画素の液晶ディスプレイである。表示部15は、赤、緑、青の各色の画素素子が2次元に配列されている。これにより表示部15は、入力された画像信号が表す画素毎の信号値に応じた輝度で、それぞれの画素素子を通じ、例えばバックライト光を放射してカラー画像を表示する。
(画像処理部20の構成)
 次に、画像処理部20の構成について説明する。
 図2は、本実施形態に係る画像処理部20の構成を表す概略図である。
 画像処理部20は、輪郭方向推定部21、低域フィルタ部20a、パラメータ決定部20b、及び高周波拡張部27を含んで構成される。
 輪郭方向推定部21は、画素毎の信号値(輝度値)に基づいて輪郭方向を画素毎に推定する。低域フィルタ部20aは、輪郭方向推定部21が推定した各画素の輪郭方向に配列された参照画素であって、各画素から予め定めた参照領域内における参照画素毎の信号値を用いて各画素の信号値をフィルタリングする。
 高周波拡張部27は、低域フィルタ部20aがフィルタリングした各画素の信号値の高周波成分を生成して画素毎の信号値の周波数帯域を拡張する。
 パラメータ決定部20bは、信号Ssに基づいてパラメータPm及びパラメータPnを決定する。パラメータ決定部20bは、パラメータPmを低域フィルタ部20aに出力し、パラメータPnを高周波拡張部27に出力する。
 パラメータPmは、低域フィルタ部20aによる処理の効果をどの程度反映させるかを決定するパラメータである。パラメータPmは、例えば、0≦Pm≦1の値をとる。Pmの値が1に近いほど低域フィルタ部20aによる処理の効果は強くなり、Pm=0の場合には低域フィルタ部20aによる処理の効果は反映されない。
 パラメータPnは、高周波拡張部27による処理の効果をどの程度反映させるかを決定するパラメータである。パラメータPnは、例えば、0≦Pn≦1の値をとる。Pnの値が1に近いほど高周波拡張部27による処理の効果は強くなり、Pn=0の場合には高周波拡張部27による処理の効果は反映されない。
 パラメータ決定部20bは、スケーリングにおける拡大率が大きいほど、パラメータPm及びパラメータPnとして1に近い値を決定する。即ち、拡大率が大きい場合には、低域フィルタ部20a及び高周波拡張部27による処理の効果が強く反映され、拡大率が小さい場合には、低域フィルタ部20a及び高周波拡張部27による処理の効果があまり反映されないように、パラメータPm及びパラメータPnを決定する。ただし、拡大率が1の場合(補間等を行わない場合)であっても、細かいノイズを消しエンハンスをするために、パラメータPm及びパラメータPnとして0よりも大きい値を決定することが好ましい。
 本実施形態では、パラメータ決定部20bは、入力部11からパラメータ決定部20bに入力された信号Ssに基づいて、パラメータPm及びPnを決定する。より具体的には、パラメータ決定部20bは、図示しないメモリを備える。メモリにはあらかじめ設定された、信号Ssに応じたパラメータPmの値及び信号Ssに応じたパラメータPnの値のテーブルが格納されている。パラメータ決定部20bは、このテーブルを参照して、パラメータPm及びパラメータPnを決定する。
 入力端子(端子)と入力解像度、並びに低域フィルタ部20a及び高周波拡張部27による処理の強さ(処理強さ)の関係の一例を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 コンポジット端子、及びアンテナ(アナログ)端子からの入力信号の解像度は、水平方向720画素、垂直方向480画素のSD(Standard Definition)である。なお、アンテナ端子からの入力信号は、チューナーでアナログかディジタルかを判別することができる。表示部15の解像度がHDの場合、拡大率は2.67又は2.25となる。パラメータ決定部20bは、SDからHDへのスケーリング(アップスケーリング)に伴うジャギー等のノイズを減少させるため、低域フィルタ部20a及び高周波拡張部27による処理を強くするようにパラメータを決定する。具体的には、パタメータ決定部20bのメモリに格納されたテーブルには、コンポジット端子、及びアンテナ(アナログ)端子に対するパラメータPm及びPnの値として、1に近い所定値(例えば0.9)が設定されている。
 アンテナ(ディジタル)端子からの入力信号の解像度は、HDである。表示部15の解像度がHDの場合、拡大率は1となる。拡大率が1の場合、又は拡大率が1に近い場合、アップスケールによって発生するノイズは少ない。このような画像に対して、低域フィルタ部20a及び高周波拡張部27による処理の効果を強く反映させると、かえってアーティファクトを発生させる原因となる。そのため、パラメータ決定部20bは、低域フィルタ部20a及び高周波拡張部27による処理の強さを弱くするようにパラメータを決定する。具体的には、例えば、パタメータ決定部20bのメモリに格納されたテーブルには、コンポジット端子、及びアンテナ(アナログ)端子に対するパラメータPm及びPnの値として、1に近い所定値(例えば0.9)が設定されている。
 HDMI端子からの入力信号は、SD~HDまでの幅広い解像度を取り得る。上述のように、低域フィルタ部20a及び高周波拡張部27による処理は、アップスケールに伴うノイズの除去に有効である一方で、拡大率が1の場合又は1に近い場合はアーティファクトを発生させる原因となる。ノイズが残るよりも、アーティファクトを発生させることの方が好ましくないため、表1の例では、パラメータ決定部20bは、低域フィルタ部20a及び高周波拡張部27による処理の強さが弱くなるようにパラメータを決定している。
 パラメータ決定部20bは、例えば所望の画像処理効果を得ること等を目的として、パラメータPmとパラメータPnとを、それぞれ異なる値に決定するように構成されていても良い。例えば、精細感を強めに感じさせるような画像にするために、パラメータ決定部20bのメモリに格納するテーブルにおいて、パラメータPmをパラメータPnよりも小さい値に設定しても良い。
 低域フィルタ部20aは、方向評価部22、参照領域荷重処理部23、前処理部24、積和演算部25及び合成演算部26を含んで構成される。
 輪郭方向推定部21は、スケーリング部13から入力された輝度信号Yが表す画素毎の信号値に基づいて輪郭方向を画素毎に推定する。輪郭方向とは、輪郭をなす線の法線に直交する方向、つまり輪郭をなす線の接線方向である。輪郭をなす線は、信号値が略一定となる空間を示す線を指し、曲線であっても直線であってもよい。従って、輪郭とは位置の変化に応じて信号値が急激に変化する領域には限られない。輪郭をなす線と信号値との間の関係は、等高線と標高の間の関係に相当する。各画素の位置は離散的に与えられたり、ジャギー、ドット妨害、モスキートノイズ等、本発明で改善対象とする輪郭周辺のノイズの影響を受けていたりするため、一定の信号値をとる画素間を通る線を、輪郭をなす線として、輪郭方向を定めることはできないことがある。ここでは、信号値が画素毎の座標を表す空間において微分可能(即ち、連続)であると仮定する。輪郭方向推定部21は、画素毎に信号値の水平方向もしくは垂直方向の差分値に基づいて、例えば式(1)に基づいて輪郭方向θを算出する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000002
 式(1)において、輪郭方向θは、水平方向(x方向)を基準とした左回りの角度である。x、yは、それぞれ水平方向、垂直方向の座標である。Y(x,y)は、座標(x,y)における信号値である。即ち、輪郭方向θは、信号値Y(x,y)のx方向への偏微分を、信号値Y(x,y)のy方向への偏微分で除算した正接値を与える角度として算出される。式(1)は、座標(x,y)が異なっても信号値Y(x,y)が一定という関係から導き出すことができる。ここで、G(x,y)、G(x,y)は、それぞれ信号値Y(x,y)のx方向への偏微分、y方向への偏微分を表す。以下の説明では、G(x,y)、G(x,y)を、それぞれx方向偏微分、y方向偏微分と呼ぶことがある。以下の説明では特に断らない限り、画素(i,j)の位置(座標)は、その画素の重心点を指す。また、その画素の位置における変数aを、a(i,j)等と表す。
 輪郭方向推定部21は、例えば、それぞれ式(2)、(3)を用いて各画素(i,j)における信号値Y(i,j)のx方向偏微分G(i,j)、y方向偏微分G(i,j)を算出する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000004
 式(2)、(3)において、i、jは、それぞれ注目画素のx方向、y方向のインデックスを示す整数値である。注目画素とは、直接の処理対象として注目される画素である。W(u’,v’)、W(u’,v’)は、それぞれx方向、y方向の差分フィルタのフィルタ係数を示す。u、vは、それぞれ、参照画素のx方向、y方向のインデックスを示す整数値である。参照画素とは、注目画素を基準にして、予め定められた規則により決まる範囲内にある画素であって、注目画素に対する処理を行う際に参照される画素である。参照画素は、注目画素を含む。u’、v’は、それぞれ、注目画素を原点としたときの参照画素のx方向、y方向のインデックスを示す整数値である。従って、u=i+u’、v=j+v’である。
 前述の差分フィルタは、例えば、x方向に2n+1個、y方向に2n+1個(計(2n+1)(2n+1)個)の参照画素の各々u’,v’に対してフィルタ係数W(u’,v’)、W(u’,v’)を有する。以下の説明では、このフィルタ係数が与えられる参照画素が属する領域を参照領域と呼ぶことがある。nは、1よりも大きい整数値(例えば、2)である。ここで、フィルタ係数W(u’,v’)、W(u’,v’)は、注目画素を基準として正方向の参照画素に対して1、注目画素と同一の差分方向(x方向)の座標値を有する参照画素に対して0、注目画素を基準として負方向の参照画素に対して-1である。即ち、x方向の差分フィルタのフィルタ係数W(u’,v’)は、1(0<u’≦n)、0(u’=0)、-1(0>u’≧-n)である。y方向の差分フィルタのフィルタ係数W(u’,v’)は、1(0<v’≦n)、0(v’=0)、-1(0>v’≧-n)である。また、nは、画像の拡大率と等しいか、その拡大率よりも大きい整数値である。これにより、注目画素に対して正方向、負方向各々に対して、信号値が平滑化されるため解像度の変化によって発生するノイズを低減することができる。但し、nが大きくとり注目画素から離れた参照画素を考慮すると、本来、局所的な値である偏微分値が正しく算出されないことがある。従って、nを、予め定めた最大値よりも小さい値、例えば、拡大率と等しい整数値もしくは拡大率の小数点以下の桁を切り上げた整数値、又はこれらの整数値の何れかよりも予め定めた値だけ大きい値と定めておく。
 輪郭方向推定部21は、算出したx方向偏微分G(i,j)、y方向偏微分G(i,j)に基づいて算出した輪郭方向θ(i,j)を量子化し、量子化した輪郭方向を表す量子化輪郭方向D(i,j)を算出する。輪郭方向推定部21は、量子化輪郭方向D(i,j)を算出する際、例えば、式(4)を用いる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000005
 式(4)において、round(…)は、実数…の小数点以下の桁を四捨五入した整数値を与える丸め関数である。Nは、量子化された輪郭方向の数(量子化輪郭方向数)を表す定数である。量子化輪郭方向数Nは、例えば、8から32の間のいずれかの値である。なお、ゼロ除算を回避するために、x方向偏微分G(i,j)の絶対値|G(i,j)|が予め定めた微小な実数値(例えば、10-6)よりも小さい場合には、tan-1をπ/2とする。
 つまり、量子化輪郭方向D(i,j)は、輪郭方向θを、量子化間隔をπ/Nで除算した値を丸め、0からN-1までのいずれかの整数で表される。これにより、輪郭方向θの自由度を制約して、後述する処理の負荷を低減する。
 輪郭方向推定部21は、算出した量子化輪郭方向D(i,j)を表す量子化輪郭方向情報を方向評価部22及び参照領域荷重処理部23に出力する。
 方向評価部22は、輪郭方向推定部21から入力された量子化輪郭方向情報が表す画素毎の量子化輪郭方向に基づいて、注目画素毎にその注目画素を中心とする参照領域に属する各参照画素の方向評価値を算出する。ここで、方向評価部22は、注目画素(i,j)の量子化輪郭方向D(i,j)と参照画素(u,v)の量子化輪郭方向D(u,v)との差が小さいほど、方向評価値が大きくなるように当該参照画素の方向評価値を定める。例えば、方向評価部22は、例えば、注目画素(i,j)に対する量子化輪郭方向D(i,j)と参照画素(u,v)に対する量子化輪郭方向D(u,v)の差分値D=D(u,v)-D(i,j)を算出する。ここで差分値Dが0、つまりD(u,v)とD(i,j)が等しいとき、方向評価値F(|ΔD|)を最大値1と定める。差分値Dが0ではない場合、つまりD(u,v)とD(i,j)が等しくない場合に、方向評価値F(|ΔD|)を最小値0と定める。
 方向評価部22は、注目画素(i,j)に対する量子化輪郭方向D(i,j)が参照画素(u,v)に対する量子化輪郭方向D(u,v)に近似するほど、つまり差分値Dの絶対値|ΔD|が小さいほど、大きくなるように方向評価値F(ΔD)を定めてもよい。例えば、方向評価部22は、F(0)=1、F(1)=0.75、F(2)=0.5、F(3)=0.25、F(|ΔD|)=0(|ΔD|>3)とする。
 量子化輪郭方向D(i,j)と量子化輪郭方向D(u,v)のうちいずれか一方が、N/2よりも大きく、他方がN/2よりも小さい場合、それぞれが示す輪郭方向が近似するにも関わらず、絶対値|ΔD|が大きくなるために、誤った方向評価値F(ΔD)が算出されることがある。例えば、D(i,j)=7、D(u,v)=0の場合、|ΔD|=7となる。しかし、量子化輪郭方向の差分はπ/8であり、本来は|ΔD|=1と定められるべきである。そこで、方向評価部22は、量子化輪郭方向D(i,j)と量子化輪郭方向D(u,v)のうちいずれか一方が、N/2よりも大きい場合、他方の量子化輪郭方向の値にNを加算して補正値を算出する。方向評価部22は、算出した補正値と一方の量子化輪郭方向との差分値に対する絶対値を算出する。このようにして算出した絶対値を、上述の|ΔD|として用いることで意図した方向評価値を定める。
 後述する積和演算部25において、上述の方向評価値F(|ΔD|)を用いることにより、注目画素(i,j)における輪郭方向とは、輪郭方向が異なる参照画素(u,v)による影響を無視又は軽視することができる。
 方向評価部22においても、参照画素(u,v)が属する参照領域の大きさ、つまり水平方向もしくは垂直方向の画素数は、2n+1個又はこの個数よりも多ければよい。なお、方向評価部22における参照領域の大きさは、輪郭方向推定部21における参照領域の大きさと異なっていてもよい。例えば、方向評価部22における参照領域の水平方向及び垂直方向の画素数は、それぞれ7であるのに対し、輪郭方向推定部21における参照領域の水平方向及び垂直方向の画素数は、それぞれ5であってもよい。
 方向評価部22は、注目画素(i,j)毎に各参照画素(u,v)の方向評価値F(ΔD)を表す方向評価値情報を積和演算部25に出力する。方向評価値F(ΔD)の数値例については、後述する。
 参照領域荷重処理部23は、輪郭方向推定部21から入力された量子化輪郭方向情報が表す画素毎の量子化輪郭方向D(i,j)に基づいて、注目画素(i,j)毎に参照領域荷重情報を定める。参照領域荷重情報とは、ある注目画素(i,j)を中心とする参照領域に属する参照画素(u’,v’)毎の重み係数R(D(i,j),u’,v’)を表す情報である。この重み係数を参照領域荷重と呼ぶことがある。参照領域荷重処理部23における参照領域の大きさは、方向評価部22における参照領域の大きさと等しくなるように予め定めておく。
 参照領域荷重処理部23は、注目画素(i,j)の量子化輪郭方向D(i,j)から予め定めた範囲の方向にある参照画素の重み係数R(D(i,j),u’,v’)を、その範囲外の方向にある参照画素の重み係数よりも大きい値に定める。参照領域荷重処理部23は、例えば、注目画素(i,j)から量子化輪郭方向又はその方向に近似する方向にある参照画素(u’,v’)の重み係数R(D(i,j),u’,v’)を1と定め、それ以外の方向にある参照画素(u’,v’)の重み係数R(D(i,j),u’,v’)を0と定める。注目画素から量子化輪郭方向又はその方向に近似する方向にある参照画素とは、具体的には注目画素(i,j)の中心から量子化輪郭方向に延びる線分が、その領域を通過する参照画素(u’,v’)である。また、参照領域荷重処理部23は、この線分がその領域を通過する距離が長い参照画素(u’,v’)ほど、大きくなるように重み係数を定めるようにしてもよい。
 なお、各量子化輪郭方向に対する各参照画素の重み係数を予め算出しておいてもよい。参照領域荷重処理部23は、算出しておいた各参照画素の重み係数を表す参照領域荷重情報を量子化輪郭方向情報と対応付けて予め記憶した記憶部を備える。参照領域荷重処理部23は、入力された量子化輪郭方向情報が表す量子化輪郭方向に対応する参照領域荷重情報を記憶部から読み出す。
 参照領域荷重処理部23は、注目画素(i,j)毎に定めた参照領域荷重情報を積和演算部25に出力する。参照領域荷重の数値例については、後述する。
 前処理部24は、スケーリング部13から入力された輝度信号Yから、注目画素(i,j)毎に、その注目画素(i,j)を中心とした参照領域に属する各参照画素(u,v)の信号値Y(u,v)を表す輝度信号を抽出する。前処理部24は、注目画素(i,j)毎に抽出した輝度信号Yを積和演算部25に出力する。なお、前処理部24における参照領域の大きさは、方向評価部22及び参照領域荷重処理部23における参照領域の大きさと等しくなるように予め定めておく。
 積和演算部25は、注目画素(i,j)毎に、方向評価部22から方向評価値情報が、参照領域荷重処理部23から参照領域荷重情報が、前処理部24から輝度信号がそれぞれ入力される。
 積和演算部25は、方向評価値情報が表す方向評価値F(|ΔD|)、参照領域荷重情報が表す参照領域荷重R(D(i,j),u’,v’)及び輝度信号が表す信号値Y(u,v)に基づいて、例えば式(5)を用いて、積和値S(i,j)を算出する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000006
 式(5)は、方向評価値F(|ΔD|)、参照領域荷重R(D(i,j),u’,v’)及び輝度信号が表す信号値Y(u,v)の積を参照画素毎に算出し、算出した積の参照領域に属する参照画素間の総和を、積和値S(i,j)として算出することを表す。
 つまり、式(5)は、積和値S(i,j)を、方向評価値F(|ΔD|)と参照領域荷重R(D(i,j),u’,v’)との積を重み係数として、信号値Y(u,v)を重み付け加算して算出するとみることもできる。方向評価値F(|ΔD|)と参照領域荷重R(D(i,j),u’,v’)との積を、方向評価領域荷重と呼ぶことがある。
 積和演算部25は、方向評価値情報が表す方向評価値F(|ΔD|)及び参照領域荷重情報が表す参照領域荷重R(D(i,j),u’,v’)に基づいて、例えば式(6)を用いて、荷重面積C(i,j)を算出する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000007
 式(6)は、方向評価値F(|ΔD|)及び参照領域荷重R(D(i,j),u’,v’)の積を参照画素毎に算出し、算出した積の参照領域に属する参照画素間の総和を、荷重面積C(i,j)として算出することを表す。つまり、荷重面積C(i,j)は、参照領域荷重R(D(i,j),u’,v’)を参照画素毎に方向評価値F(|ΔD|)で重み付けされた値、即ち式(5)の積和演算において実質的に参照される参照画素の数を表す。言い換えれば、式(6)は、荷重面積C(i,j)を、上述の方向評価領域荷重を参照領域内で総和をとって算出することを示す。また、積和演算部25は、参照領域荷重情報が表す参照領域荷重R(D(i,j),u’,v’)の参照領域に属する参照画素間の総和を参照面積N(i,j)として算出する。参照面積N(i,j)は、式(5)の積和演算において名目的に参照される参照画素の数を表す。
 積和演算部25は、注目画素(i,j)毎に算出した積和値S(i,j)を表す積和値情報、荷重面積C(i,j)を表す荷重面積情報、参照面積N(i,j)を表す参照面積情報を合成演算部26に出力する。
 合成演算部26は、積和演算部25から積和値情報、荷重面積情報及び参照面積情報が入力される。また、合成演算部26は、パラメータ決定部20bからパラメータPmが入力される。合成演算部26は、積和値情報が表す積和値S(i,j)を荷重面積情報が表す荷重面積C(i,j)で除算して方向平滑化値Y’(i,j)を算出する。即ち、算出された方向平滑化値Y’(i,j)は、注目画素(i,j)における量子化輪郭方向又はその方向を近似する方向にある参照画素であって、その輪郭方向が注目画素の輪郭方向と等しいか近似する参照画素間で平滑化された信号値を表す。
 合成演算部26は、荷重面積C(i,j)を参照面積情報が表す参照面積N(i,j)で除算して混合比w(i,j)を算出する。混合比w(i,j)は、注目画素(i,j)における量子化輪郭方向又はその方向を近似する方向にある参照画素のうち、その輪郭方向が注目画素の輪郭方向と等しいか近似する参照画素の個数比を表す。
 合成演算部26は、方向平滑化値Y’(i,j)とスケーリング部13から入力された輝度信号が表す信号値Y(i,j)を、それぞれw(i,j)Pm、(1-w(i,j)Pm)で重み付け加算(合成演算)を行って、低域通過信号値Y’’(i,j)を算出する。この重み付け加算は、式(7)で表される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000008
 パラメータPmは、既述のように、低域フィルタ部20aによる処理の効果をどの程度反映させるかを決定するパラメータである。例えば、Pm=0の場合、式(7)は、Y’’(i,j)=Y(i,j)となり、低域フィルタ部20aによる処理の効果は反映されない。一方、Pm=1の場合、Y’’(i,j)=w(i,j)Y’(i,j)+(1-w(i,j))Y(i,j)となり、低域フィルタ部20aによる処理の効果が最も強く反映される。
 合成演算部26は、算出した低域通過信号値Y’’(i,j)を表す輝度信号Y’’を生成する。合成演算部26は、生成した輝度信号Y’’を高周波拡張部27に出力する。
 次に、高周波拡張部27の構成について説明する。
 図3は、本実施形態に係る高周波拡張部27の構成を示す概念図である。
 高周波拡張部27は、k個(kは、1又は1よりも大きい整数)の非線形フィルタ部28-1~28-kと合成演算部29を含んで構成される。
 非線形フィルタ部28-1~28-kは、それぞれ合成演算部26から入力された輝度信号Y’’が表す各画素の低域通過信号値Y’’(i,j)について高周波成分値を算出し、算出した高周波成分値NL~NLを合成演算部29に出力する。
 ここで、非線形フィルタ部28-1~28-kは、それぞれ線形フィルタ部281-1~281-k及び非線形演算部282-1~282-kを備える。
 線形フィルタ部281-1~281-kは、それぞれ所定の方向を向いている線画(例えば、輪郭)を表す成分を抽出する。線形フィルタ部281-1~281-kは、それぞれ抽出した成分を表す方向成分信号を非線形演算部282-1~282-kに出力する。線形フィルタ部281-1~281-kが抽出する成分の具体例については後述する。
 非線形演算部282-1~282-kは、線形フィルタ部281-1~281-kからそれぞれ入力された方向成分信号が表す信号値に対して非線形演算を行って非線形出力値を算出する。非線形演算部282-1~282-kは、算出した非線形出力値が表す方向成分信号を生成し、生成した方向成分信号をそれぞれ合成演算部29に出力する。
 非線形演算部282-1~282-kが行う非線形演算は、例えば、入力信号値Wの高次の関数f(W)である。f(W)は、例えば、sgn(W)|W|、W、sgn(W)|W|、W…、又はこれらの線形結合である。sgn(…)は、実数…の符号関数を示す。つまり、sgn(…)は、…が0よりも大きい場合、1を与え、…が0よりも小さい場合、-1を与え、…が0の場合、0を与える関数である。これらの関数は、奇関数であるため、出力値は奇数次高調波成分を含む。
 合成演算部29は、非線形フィルタ部28-1~28-kから、高周波成分値NL~NLが入力される。また、合成演算部29は、パラメータ決定部20bからパラメータPnが入力される。合成演算部は、高周波成分値NL~NLとパラメータPnの積を加算(合成)し、更に各画素の低域通過信号値Y’’(i,j)を加算(合成)して高周波拡張信号値Z(i,j)を算出する。合成演算部29は、算出した高周波拡張信号値Z(i,j)を表す輝度信号Zを生成する。この加算は、式(8)で表される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000009
 パラメータPnは、既述のように、高周波拡張部27による処理の効果をどの程度反映させるかを決定するパラメータである。例えば、Pn=0の場合、式(8)は、Z(i,j)=Y’’(i,j)となり、高周波拡張部27による処理の効果は反映されない。一方、Pn=1の場合、Z(i,j)=Y’’(i,j)+ΣNLとなり、高周波拡張部27による処理の効果が最も強く反映される。
 次に高周波拡張部27の一構成例について説明する。
 図4は、本実施形態に係る高周波拡張部27の一構成例を表す概略図である。
 本構成例に係る高周波拡張部27は、垂直方向及び水平方向の線画を表す成分の高調波成分を生成する。高周波拡張部27は、2個の非線形フィルタ部28-v、28-h及び合成演算部29を含んで構成される。即ち、非線形フィルタ部28-v、28-hは、非線形フィルタ部28-1、28-2(図3)の一例である。
 非線形フィルタ部28-vは、合成演算部26から入力された輝度信号Y’’に基づいて垂直方向の線画を表す方向成分信号を生成する。非線形フィルタ部28-vは、垂直高域通過フィルタ部281-v及び非線形演算部282-vを含んで構成される。
 垂直高域通過フィルタ部281-v及び水平高域通過フィルタ部281-hは、上述の線形フィルタ部281-1等の一態様である。垂直高域通過フィルタ部281-vは、垂直方向を向いている線画を表す成分を抽出し、抽出した成分を表す垂直方向成分信号Wvを非線形演算部282-vに出力する。水平高域通過フィルタ部281-hは、水平方向を向いている線画を表す成分を抽出し、抽出した成分を表す水平方向成分信号Whを非線形演算部282-hに出力する。
 非線形演算部282-v、282-hは、上述の非線形演算部282-1等の一態様である。非線形演算部282-v、282-hは、垂直高域通過フィルタ部281-v、水平高域通過フィルタ部281-hから入力された方向成分信号W、Wが表す信号値にそれぞれ上述の非線形演算を行う。非線形演算部282-v、282-hは、それぞれ算出した非線形出力値が表す垂直方向高周波成分値NL、水平方向高周波成分値NLを生成し、生成した垂直方向高周波成分値NL、水平方向高周波成分値NLを合成演算部29に出力する。合成演算部29の構成は、上述の合成演算部29の構成と同様である。
 次に垂直高域通過フィルタ部281-vの構成について説明する。
 図5は、本実施形態に係る垂直高域通過フィルタ部281-vの構成を表す概略図である。
 垂直高域通過フィルタ部281-vは、遅延メモリ2811-v、フィルタ係数メモリ2812-v、乗算部2813-v及び合成演算部2814-vを含んで構成される。
 遅延メモリ2811-vは、入力された輝度信号Y’’に基づく低域通過信号値を、W、2・W、…、(2n+1)・Wサンプル遅延させた遅延信号を、それぞれ乗算部2813-vに出力する。Wは、1フレームの画像に含まれる水平方向の画素数である。従って、注目画素を中心に互いに垂直方向に隣接する2n+1画素の信号値が乗算部2813-vに出力される。
 ここで、遅延メモリ2811-vは、入力信号をWサンプル遅延させる遅延素子2811-v-1~2811-v-2n+1を2n+1個備える。遅延素子2811-v-1~2811-v-2n+1は、それぞれ直列に接続されている。遅延素子2811-v-1の一端に、輝度信号Y’’が入力され、遅延素子2811-v-1の他端は、Wサンプル遅延させた遅延信号が乗算部2813-vと、遅延素子2811-v-2の一端に出力する。遅延素子2811-v-2~2811-v-2n+1の一端は、遅延素子2811-v-1~2811-v-2nの他端からそれぞれ、W~2n・Wサンプル遅延した遅延信号が入力される。遅延素子2811-v-2~2811-v-2nの他端は、2・W~2n・Wサンプル遅延した遅延信号を、それぞれ乗算部2813-v及び遅延素子2811-v-3~2811-v-2n+1の一端に出力する。遅延素子2811-v-2n+1の他端は、(2n+1)・Wサンプル遅延した遅延信号を、それぞれ乗算部2813-vに出力する。
 フィルタ係数メモリ2812-vは、2n+1個の記憶素子2812-v-1~2812-v-2n+1を備える。記憶素子2812-v-1~2812-v-2n+1には、それぞれフィルタ係数aL+n~aL-nが記憶されている。
 乗算部2813-vは、2n+1個の乗算器2813-v-1~2813-v-2n+1を備える。乗算器2813-v-1~2813-v-2n+1は、遅延素子2811-v-1~2811-v-2n+1から入力された信号値と記憶素子2812-v-1~2812-v-2n+1に記憶されたフィルタ係数aL+n~aL-nをそれぞれ乗算する。乗算器2813-v-1~2813-v-2n+1は、乗算して得られた乗算値を、それぞれ合成演算部2814-vに出力する。
 合成演算部2814-vは、乗算器2813-v-1~2813-v-2n+1からそれぞれ入力された乗算値を加算して合成値を算出する。算出された合成値は、注目画素を中心に互いに垂直方向に隣接する2n+1画素の信号値に、それぞれフィルタ係数aL+n~aL-nを積和演算した値である。合成演算部2814-vは、算出した合成値を表す垂直方向成分信号Wvを非線形演算部282-vに出力する。
 次に水平高域通過フィルタ部281-hの構成について説明する。
 図6は、本実施形態に係る水平高域通過フィルタ部281-hの構成を表す概略図である。
 水平高域通過フィルタ部281-hは、遅延メモリ2811-h、フィルタ係数メモリ2812-h、乗算部2813-h及び合成演算部2814-hを含んで構成される。
 遅延メモリ2811-h、フィルタ係数メモリ2812-h、乗算部2813-h及び合成演算部2814-hの構成は、上述の遅延メモリ2811-v、フィルタ係数メモリ2812-v、乗算部2813-v及び合成演算部2814-vと同様である。
 但し、遅延メモリ2811-hは、入力信号をそれぞれWxサンプル遅延させる遅延素子2811-v-1~2811-v-2n+1の代わりに、入力信号をそれぞれ1サンプル遅延させる遅延素子2811-h-1~2811-h-2n+1を2n+1個備える。
 フィルタ係数メモリ2812-hは、記憶素子2812-v-1~2812-v-2n+1の代わりに、記憶素子2812-h-1~2812-h-2n+1を備える。記憶素子2812-h-1~2812-h-2n+1には、それぞれフィルタ係数aD+n~aD-nが記憶されている。
 従って、合成演算部2814-hは、注目画素を中心に互いに水平方向に隣接する2n+1画素の信号値に、それぞれフィルタ係数aD+n~aD-nを積和演算した値を算する。合成演算部2814-hは、算出した合成値を表す水平方向成分信号Wを非線形演算部282-hに出力する。
 フィルタ係数aL-n、aL-n+1、~aL+nは、信号値との積和演算によって高域通過フィルタを実現する高域通過フィルタ係数である。なお、フィルタ係数aL+n~aL-nの合計値、フィルタ係数aD+n~aD-nの合計値は、それぞれ0、即ち直流成分の伝達関数は0である。これにより、算出した合成値に直流成分が含まれないようにする。また、フィルタ係数aL+n~aL-nは、拡大を行う前の輝度信号のナイキスト周波数fnyq’よりも予め定めた周波数fだけ低い空間周波数よりも高い周波数成分を通過する特性(高域通過特性)を有する。拡大を行う前の輝度信号のナイキスト周波数fnyq’は、処理対象の輝度信号のサンプリング周波数周波数fを2n(nは、拡大率)で除算した周波数である。 例えば、フィルタ係数aL+3、aL+2、aL+1、a、aL-1、aL-2、aL-3は、それぞれ、-0.0637、0.0、0.5732、-0.0189、0.5732、0.0000、-0.0637である。また、フィルタ係数aD+3、aD+2、aD+1、a、aD-1、aD-2、aD-3は、フィルタ係数aL+3、aL+2、aL+1、a、aL-1、aL-2、aL-3とそれぞれ同様の高域通過特性を有する値であってもよい。
 次に、非線形演算部282-1等の一構成例(非線形演算部282-A)について説明する。
 図7は、本実施形態に係る非線形演算部282-Aの構成を表す概略図である。非線形演算部282-Aは、絶対値算出部2821-A、べき乗演算部2822-A、フィルタ係数メモリ2823-A、乗算部2824-A、合成演算部2825-A、符号検出部2826-A及び乗算部2827-Aを含んで構成される。
 非線形演算部282-Aは、入力された信号値Wに対するl(エル)次(lは、1よりも大きい整数である)の奇関数sgn|W|・(c・|W|+c・|W|+…+c・|W|)を非線形出力値NLとして出力する。c、c、…cは、それぞれ1、2、…l次の係数である。
 絶対値算出部2821-Aは、線形フィルタ部281-1等からそれぞれ入力された方向成分信号が示す信号値Wの絶対値|W|を算出し、算出した絶対値|W|をべき乗演算部2822-Aに出力する。
 べき乗演算部2822-Aは、l-1個の乗算器2822-A-2~2822-A-lを備え、絶対値算出部2821-Aから入力された絶対値|W|を乗算部2824-Aに出力する。乗算器2822-A-2は、絶対値算出部2821-Aから入力された絶対値|W|同士を乗算して絶対二乗値|W|を算出する。乗算器2822-A-2は、算出した絶対二乗値|W|を乗算器2822-A-3及び乗算部2824-Aに出力する。乗算器2822-A-3~2822-A-l-1は、乗算器2822-A-2~2822-A-l-2から入力された絶対二乗値|W|~絶対l-2乗値|W|l-2に、絶対値算出部2821-Aから入力された絶対値|W|を乗算して絶対三乗値|W|3~絶対l-1乗値|W|l-1をそれぞれ算出する。乗算器2822-A-3~2822-Al-1は、算出した絶対三乗値|W|~絶対l-1乗値|W|l-1をそれぞれ乗算器2822-A-4~2822-A-l及び乗算部2824-Aに出力する。乗算器2822-A-lは、乗算器2822-A-l-1から入力された絶対l-1乗値|W|l-1と絶対値算出部2821-Aから入力された絶対値|W|を乗算して絶対l乗値|W|を算出する。乗算器2822-A-lは、算出した絶対l乗値|W|を乗算部2824-Aに出力する。
 フィルタ係数メモリ2823-Aは、l個の記憶素子2823-A-1~2823-A-lを備える。記憶素子2823-A-1~2823-A-lには、それぞれ1~l次の係数c~cが記憶されている。
 乗算部2824-Aは、l個の乗算器2824-A-1~2824-A-lを備える。乗算器2824-A-1~2824-A-lは、それぞれべき乗演算部2822-Aから入力された絶対値|W|~絶対l乗値|W|に、記憶素子2823-A-1~2823-A-lに記憶された1~l次の係数c~cを乗算して乗算値を算出する。乗算器2824-A-1~2824-A-lは、算出した乗算値をそれぞれ合成演算部2825-Aに出力する。
 合成演算部2825-Aは、乗算器2824-A-1~2824-A-lからそれぞれ入力された乗算値を加算して合成値を算出する。合成演算部2825-Aは、算出した合成値を乗算部2827-Aに出力する。
 符号検出部2826-Aは、線形フィルタ部281-1等からそれぞれ入力された方向成分信号が示す信号値Wの符号、即ち正負を検出する。符号検出部2826-Aは、信号値が0よりも小さい場合、-1を符号値として乗算部2827-Aに出力する。符号検出部2826-Aは、信号値が0又は0よりも大きい場合、1を符号値として乗算部2827-Aに出力する。
 乗算部2827-Aは、合成演算部2825-Aから入力された合成値と符号検出部2826-Aから入力された符号値を乗算して、高周波成分値NLを算出する。乗算部2827-Aは、算出した高周波成分値を合成演算部29に出力する。
 上述の構成を備える非線形演算部282-Aは、比較的回路規模が大きくなるが、少数の係数を用いて出力される高周波成分値を調整することができる。
 なお、最高次数l以外の係数値c~cl-1が0である場合には、これらの次数の積和演算に係る構成を省略してもよい。省略できる構成は、非線形演算部282-Aにおいて記憶素子2823-A-1~2823-A-l-1、乗算器2824-A-1~2824-A-l-1である。例えば、f(W)=sgn(W)|W|の場合、記憶素子2823-A-1、乗算器2824-A-1を省略してもよい。
 次に、非線形演算部282-1等の他の構成例(非線形演算部282-B)について説明する。
 図8は、本実施形態に係る非線形演算部282-Bの構成を表す概略図である。
 非線形演算部282-Bは、データ選択部2828-B及び記憶部2829-Bを含んで構成される。
 記憶部2829-Bには、入力値Wと、入力値Wの高次の関数f(W)を表す出力値を対応付けて記憶されている。図8に示す例では、入力値1.0、4.0…16.0にたいして出力値1.0、4.0…256.0が対応付けられている。
 データ選択部2828-Bは、線形フィルタ部281-1等からそれぞれ入力された方向成分信号が示す信号値Wに等しい入力値を記憶部2829-Bを検索し、検索した入力値に対応する出力値を読み出す。データ選択部2828-Bは、読み出した出力値を、高周波成分値NLとして合成演算部29に出力する。
 上述の構成を備える非線形演算部282-Bは、予め設定すべき入力値と出力値が多いが、回路規模は小さい。なお、信号値Wに等しい入力値がデータ選択部2828-Bに記憶されていない場合には、非線形演算部282-Bは、信号値Wに最も近似し、かつ信号値Wよりも小さい入力値もしくは信号値Wよりも大きい入力値を選択する。非線形演算部282-Bは、選択した入力値にそれぞれ対応する出力値を補間又は外挿して、高周波成分値NLを算出してもよい。
(輪郭の例)
 次に、輪郭の例について説明する。
 図9は、輪郭の一例を表す概念図である。
 図9において、横軸はx方向を示し、縦軸はy方向を示す。画像51は、信号値Y(x,y)の大きさを濃淡で示す。明るい部分ほど信号値Y(x,y)が大きく、濃い部分ほど信号値Y(x,y)が小さい。
 注目点52、53を通過する破線は、輪郭54を示す。注目点53は、注目点52から微小量(δx,δy)だけ離れた位置に存在している。輪郭54は、注目点53を通過し、注目点52における信号値Y(x,y)と信号値が等しくなる位置を示す線分(等高線)である。一般的に、信号値Y(x,y)が座標(x,y)に対して微分可能であると仮定すると、注目点53における信号値Y(x+δx,y+δy)から注目点52における信号値Y(x,y)の差分Yは、x方向への微小変化δx・G(x,y)とy方向への微小変化δy・G(x,y)の和となる。輪郭54は、ともに注目点52、53を通過する、つまりY=0という関係から式(1)が導かれる。従って、輪郭方向推定部21は、式(1)~(3)を用いることで、空間的に位置が離散化されている画素毎の信号値Y(i,j)に基づいて、輪郭方向θを算出することができる。
(参照領域の例)
 次に、参照領域の例について説明する。
 図10は、参照領域の一例を表す概念図である。
 図10の横軸、縦軸の関係は、図9と同様である。画像61は、輝度信号Yが表す画像である。画像61に含まれる小さい四角形は、それぞれ画素を示す。各四角形の中に示されている数値は画素毎の信号値Y(i,j)を示す。各四角形の濃淡は、信号値Y(i,j)の大きさを示す。明るい部分ほど信号値Y(i,j)が大きく、濃い部分ほど信号値Y(i,j)が小さい。図10において、信号値Y(i,j)は左側よりも右側のほうが大きい。但し、信号値Y(i,j)が大きい領域と小さい領域の境界は、上下両端に近づくほど左側に偏り、中央に近づくほど右側に偏る。
 画像61の中央部より上側にある破線で囲まれた領域は参照領域62を示す。参照領域62の中心にある四角形は、注目画素63を示す。注目画素63に向かう矢印であって起点に各々i、jと示されている矢印は、注目画素63のインデックスが(i,j)であることを示す。参照領域62の最下行、最左列から4列目にある四角形は、参照画素64を示す。参照画素64に向かう矢印であって起点に各々u、vと示されている矢印は、参照画素64のインデックスが(u,v)であることを示す。
(差分フィルタの例)
 次に、差分フィルタの例について説明する。
 図11は、x方向の差分フィルタの一例(差分フィルタ65)を表す概念図である。
 図11の横軸、縦軸の関係は図10と同様である。
 差分フィルタ65に含まれる小さい四角形は、それぞれ参照画素を示す。差分フィルタ65は、x方向の画素数、y方向の画素数がともに5であるx方向の差分フィルタである。各四角形の中に示されている数値は、フィルタ係数W(u’,v’)を示す。フィルタ係数W(u’,v’)は、u’>0の場合1、u’=0の場合0、u’<0の場合-1である。差分フィルタ65の最下行、最左列から4列目にある四角形は、参照画素66を示す。参照画素66に向かう矢印であって起点に各々u’、v’と示されている矢印は、参照画素66のインデックスが(u’,v’)であって、参照画素64(図10)のインデックス(u,v)に対応することを示す。従って、式(2)に示す積和演算において、参照画素66に係るフィルタ係数1が参照画素64に係る信号値93に乗じられる。
 図12は、y方向の差分フィルタの一例(差分フィルタ67)を表す概念図である。
 図12の横軸、縦軸の関係は図10と同様である。
 差分フィルタ67に含まれる小さい四角形は、それぞれ参照画素を示す。差分フィルタ67は、x方向の画素数、y方向の画素数がともに5である垂直方向の差分フィルタである。各四角形の中に示されている数値は、フィルタ係数W(u’,v’)を示す。フィルタ係数W(u’,v’)は、v’>0の場合1、v’=0の場合0、v’<0の場合-1である。差分フィルタ67の最下行、最左列から4列目にある四角形は、参照画素68を示す。参照画素68に向かう矢印であって起点に各々u’、v’と示されている矢印は、参照画素68のインデックスが(u’,v’)であって、参照画素64(図10)のインデックス(u,v)に対応することを示す。従って、式(3)に示す積和演算において、参照画素68に係るフィルタ係数1が参照画素64に係る信号値93に乗じられる。
(偏微分の算出例)
 図13は、x方向偏微分の一例(x方向偏微分69)を表す概念図である。
 図13の横軸、縦軸、注目画素63の関係は図10と同様である。
 x方向偏微分69に含まれる小さい四角形の各々は画素を示す。各四角形の中に示されている数値はx方向偏微分G(i,j)の値を示す。図13に示すx方向偏微分G(i,j)は、図10に示す信号値Y(i,j)に基づいて式(2)を用いて算出された値である。各四角形の濃淡は、x方向偏微分G(i,j)の大きさを示す。明るい部分ほどx方向偏微分G(i,j)が大きく、濃い部分ほどx方向偏微分G(i,j)が小さい。図13において、x方向偏微分G(i,j)は左右両端において小さくなる。但し、x方向偏微分G(i,j)が大きい領域が、上下両端に近づくほど左側に偏り、中央に近づくほど右側に偏る。これは、図10において信号値Y(i,j)が大きい領域と小さい領域の境界が、上下両端に近づくほど左側に偏り、中央に近づくほど右側に偏ることに対応する。なお、注目画素63におけるx方向偏微分G(i,j)は121である。
 図14は、y方向偏微分の一例(y方向偏微分70)を表す概念図である。
 図14の横軸、縦軸、注目画素63の関係は図10と同様である。
 y方向偏微分70に含まれる小さい四角形の各々は画素を示す。各四角形の中に示されている数値はy方向偏微分G(i,j)の値を示す。図14に示すy方向偏微分G(,j)は、図10に示す信号値Y(i,j)に基づいて式(3)を用いて算出された値である。各四角形の濃淡は、y方向偏微分G(i,j)の大きさを示す。明るい部分ほどy方向偏微分G(i,j)が大きく、濃い部分ほどy方向偏微分G(i,j)が小さい。図14において、y方向偏微分G(i,j)は左右両端において中間値0に近似する。但し、y方向偏微分G(i,j)が大きい領域は、下端に近づくほど左側に偏り、中央に近づくほど右側に偏る。y方向偏微分G(i,j)が小さい領域は、上端に近づくほど左側に偏り、中央に近づくほど右側に偏る。y方向偏微分G(i,j)が大きい領域と、y方向偏微分G(i,j)が小さい領域は、y方向の中心軸を境にほぼ対称である。
 これは、図14において信号値Y(i,j)が大きい領域と小さい領域の境界が、上下両端に近づくほど左側に偏り、中央に近づくほど右側に偏ることに対応する。なお、注目画素63におけるy方向偏微分G(i,j)は-103である。
(輪郭方向の計算例)
 次に、輪郭方向の計算例について説明する。
 図15は、量子化輪郭方向の候補の一例を示す。
 図15において、横軸はx方向、縦軸はy方向を示す。この例では、量子化輪郭方向数Nは8である。1つの原点から放射状に延びる矢印は、それぞれ量子化輪郭方向の候補を示し、各矢印の終点の数字は、量子化輪郭方向を示す数値を示す。即ち、この数値0~7は、それぞれ輪郭方向の角度0~7π/8、又はπ~15π/8を示す。各矢印を中心として原点から延びる破線で挟まれている領域は、その矢印が示す量子化輪郭方向に量子化される輪郭方向(量子化前)の範囲を示す。例えば、輪郭方向の角度が0~π/16、15π/16~17π/16、31π/16~2πの何れかに含まれる場合には、量子化輪郭方向を示す数値は0である。
 図16は、量子化輪郭方向の計算例(量子化輪郭方向71)を示す概念図である。
 図16の横軸、縦軸、注目画素63の関係は図10と同様である。
 量子化輪郭方向71に含まれる小さい四角形の各々は画素を示す。量子化輪郭方向71の左下方にある注目画素72に向かう矢印であって起点に各々i、jと示されている矢印は、注目画素72のインデックスが(i,j)であることを示す。
 図16において、参照領域73、75は、注目画素63、72をそれぞれ中心とした、x方向の画素数が7、y方向の画素数が7の領域である。注目画素63の右下方にある参照画素74に向かう矢印であって起点に各々u、vと示されている矢印は、参照画素74のインデックスが(u,v)であることを示す。注目画素72の左下方にある参照画素76に向かう矢印であって起点に各々u、vと示されている矢印は、参照画素76のインデックスが(u,v)であることを示す。参照領域73、75、参照画素74、76については後述する。
 各四角形の中に示されている数値と矢印は量子化輪郭方向D(i,j)の値と、その値が示す輪郭方向を示す。図16に示す量子化輪郭方向D(i,j)は、図13に示すx方向偏微分G(i,j)と図14に示すy方向偏微分G(i,j)に基づいて、式(4)を用いて算出された値である。これにより、図16の中央よりも左上側の大部分の画素において量子化輪郭方向が左上向きである。中央よりも左下側の大部分の画素において量子化輪郭方向が右上向きである。これは、信号値Y(i,j)が大きい領域と小さい領域の境界が、上下両端に近づくほど左側に偏り、中央に近づくほど右側に偏ることに対応する。
 ここで、注目画素63における量子化輪郭方向D(i,j)は6である。従って、参照領域荷重処理部23は、注目画素63に対しては、参照領域荷重R(6,u’,v’)を選択する。注目画素72における量子化輪郭方向D(i,j)は2である。従って、参照領域荷重処理部23は、注目画素72に対しては、参照領域荷重R(2,u’,v’)を選択する。
(参照領域荷重の例)
 次に参照領域荷重の例について説明する。
 図17は、参照領域荷重の一例を示す概念図である。
 図17の横軸、縦軸の関係は図15、16と同様である。
 図17の中央より下側にある、1つの原点から放射状に延びる矢印と各矢印の終点に表される数値は、図15と同様に量子化輪郭方向を示す。原点の右横の数値0から反時計回りに7までの上半平面に向かう各矢印の進行方向にある、格子状の図形は、それぞれ量子化輪郭方向D(i,j)に対応した参照領域荷重R(D(i,j),u’,v’)を示す。図17は、右横から反時計回りに順に、参照領域荷重R(0,u’,v’)~R(7,u’,v’)を示す。各参照領域荷重R(D(i,j),u’,v’)に含まれる小さい四角形は、参照画像を表す。図17において、各参照領域荷重R(D(i,j),u’,v’)に含まれる参照画像の数は、水平方向7個、垂直方向7個である。各四角形の中に示されている数値は、参照領域荷重の値である。参照領域荷重の値は、参照領域の中心(注目画素)から量子化輪郭方向にある参照画素について1であり、その方向に近似する方向にある参照画素ほど大きい値である。例えば、量子化輪郭方向0に対応する参照領域荷重R(0,u’,v’)は、第4行目の参照画素について全て1であり、その他の行の参照画素については全て0である。量子化輪郭方向6に対応する参照領域荷重R(6,u’,v’)は、第1行第1列~第7行第7列の参照画素について全て1であり、その他の参照画素については全て0である。量子化輪郭方向は、必ずしも水平方向、垂直方向又は対角方向(π/4又は3π/4)とは限らない。量子化輪郭方向がそれ以外の方向の場合には、参照領域の中心から量子化輪郭方向に延びる線分が通過する距離に比例するように、参照領域荷重R(D(i,j),u’,v’)を定めておく。例えば、量子化輪郭方向1に対応する参照領域荷重R(1,u’,v’)は、最上行から第2行において最左列から第7列の画素について0.2である。第3行において第5、6、7列の画素について、それぞれ0.4、0.8、0.8である。第4行において、第2、3、4、5、6列の画素について、それぞれ0.2、0.6、1.0、0.6、0.2である。第5行において第1、2、3列の画素について、それぞれ0.8、0.8、0.4である。第6行において第1列の画素について、0.2である。それ以外の参照画素については、0である。
 図18は、参照領域荷重のその他の例を示す概念図である。
 図18の横軸、縦軸の関係、量子化輪郭方向を示す矢印、各量子化輪郭方向に対応した格子状の図形の関係は、それぞれ図17と同様である。また、量子化輪郭方向は、水平方向、垂直方向又は対角方向(π/4又は3π/4)である、量子化輪郭方向0、2、4、6に対応する参照領域荷重R(D(i,j),u’,v’)については、図17に示す例と同様である。
 それ以外の量子化輪郭方向についての参照領域荷重R(D(i,j),u’,v’)は、図17に示す例とは異なる。図18に示す例では、参照領域の中心から量子化輪郭方向に延びる線分が通過する参照画素について、参照領域荷重R(D(i,j),u’,v’)を1と定める。それ以外の参照画素については、参照領域荷重R(D(i,j),u’,v’)を1と定める。例えば、量子化輪郭方向1に対応する参照領域荷重R(1,u’,v’)は、最上行から第2行において最左列から第7列の画素について、第3行において第5、6、7列の画素について、第4行において、第2、3、4、5、6列の画素について、第5行において第1、2、3列の画素について、第6行において第1列の画素について、それぞれ1である。それ以外の参照画素については、0である。即ち、図18に示す例では、参照領域荷重R(D(i,j),u’,v’)は、参照領域の中心から量子化輪郭方向に延びる線分が通過するか否かにより、その参照画素を選択するか否かを示す。
(方向評価値の算出例)
 次に、方向評価値の算出例について説明する。
 図19は、方向評価値の一例(方向評価値77)を示す概念図である。
 図19の横軸、縦軸は図11と同様である。
 方向評価値77に含まれる小さい四角形の各々は参照画素を示す。各四角形の中に示されている数値は、注目画素63(図16参照)に対する方向評価値F(ΔD)の値を示す。この方向評価値F(ΔD)は、方向評価部22が、注目画素63(図16参照)に対するD(i,j)と、参照領域73(図16参照)に属する各参照画素(u,v)に対する量子化輪郭方向D(u,v)に基づいて算出した方向評価値である。図19において、最上行から第4行までの参照画素について、方向評価値F(ΔD)は全て1である。第5行から第7行までの参照画素について、第5行最左列の参照画素を除いて、方向評価値F(ΔD)は0である。即ち、図19は、参照領域73(図16参照)の最上行から第4行までの参照画素に係る量子化輪郭方向は、注目画素63(図16参照)に係る量子化輪郭方向と等しいことを示す。図19は、参照領域73(図16参照)の第5行から第7行までのほとんどの参照画素に係る量子化輪郭方向は、注目画素63(図16参照)に係る量子化輪郭方向と異なることを示す。
 ここで、参照画素78に向かう矢印であって起点に各々i、jと示されている矢印は、参照画素78が、同一のインデックス(i,j)を有する注目画素63に対応する参照画素であることを示す。方向評価部22は、注目画素63の量子化輪郭方向D(i,j)と参照画素としての注目画素63の量子化輪郭方向D(i,j)が等しいため、方向評価値F(ΔD)を1と定めたことが示される。
 参照画素79に向かう矢印であって起点に各々u、vと示されている矢印は、参照画素79が、同一のインデックス(u,v)を有する参照画素74に対応する参照画素であることを示す。方向評価部22は、注目画素63の量子化輪郭方向D(i,j)が5と参照画素74の量子化輪郭方向D(i,j)が4と異なるため、方向評価値F(ΔD)を0と定めたことが示される。
 図20は、方向評価値のその他の例(方向評価値80)を示す概念図である。
 図20の横軸、縦軸は図12と同様である。
 方向評価値80に含まれる小さい四角形の各々は参照画素を示す。各四角形の中に示されている数値は、注目画素72(図16参照)に対する方向評価値F(ΔD)の値を示す。この方向評価値F(ΔD)は、方向評価部22が、注目画素72(図16参照)に対するD(i,j)と、参照領域75(図16参照)に属する各参照画素(u,v)に対する量子化輪郭方向D(u,v)に基づいて算出した方向評価値である。図20において、全ての参照画素について、方向評価値F(ΔD)が1である。即ち、図20は、参照領域75(図16参照)に属する全ての参照画素に係る量子化輪郭方向は、注目画素72(図16参照)に係る量子化輪郭方向と等しいことを示す。
 ここで、参照画素81に向かう矢印であって起点に各々i、jと示されている矢印は、参照画素81が、同一のインデックス(i,j)を有する注目画素72(図16参照)に対応する参照画素であることを示す。方向評価部22は、注目画素72の量子化輪郭方向D(i,j)と参照画素としての注目画素72(図16参照)の量子化輪郭方向D(i,j)が等しいため、方向評価値F(ΔD)を1と定めたことが示される。
 参照画素82に向かう矢印であって起点に各々u、vと示されている矢印は、参照画素82が、同一のインデックス(u,v)を有する参照画素76(図16参照)に対応する参照画素であることを示す。方向評価部22は、注目画素72(図16参照)の量子化輪郭方向D(i,j)が2と参照画素76(図16参照)の量子化輪郭方向D(i,j)が2と等しいため、方向評価値F(ΔD)を1と定めたことが示される。
(方向評価領域荷重の算出例)
 次に、方向評価領域荷重の算出例について説明する。
 図21は、方向評価領域荷重の一例(方向評価領域荷重83)を示す概念図である。
 図21の横軸、縦軸は図11と同様である。
 方向評価領域荷重83に含まれる小さい四角形の各々は参照画素を示す。各四角形の中に示される数値は、その参照画素に対応する方向評価領域荷重の値を示す。この方向評価領域荷重の値は、積和演算部25が、注目画素63(図16参照)に対する参照画素毎の参照領域荷重R(6,u’,v’)(図17参照)と対応する参照画素の方向評価値F(ΔD)(図19参照)を乗じた値である。図21において、最上行最左列の参照画素から第4行第4列までの参照画素(参照画素78)について、方向評価領域荷重の値は1である。その他の参照画素については、方向評価領域荷重の値は0である。
 ここで、参照画素78に向かう矢印であって起点に各々i、jと示されている矢印は、参照画素78が、同一のインデックス(i,j)を有する参照画素78(図19参照)に相当することを示す。また、参照画素78は、注目画素63(図16参照)に対応する。つまり参照画素78に対する方向評価領域荷重の値は、参照画素78に対する方向評価値F(ΔD)(図19参照)と、その参照画素に対応する参照領域荷重R(6,0,0)(図17参照)を乗じて算出されることを示す。参照画素79に向かう矢印であって起点に各々u、vと示されている矢印は、同一のインデックス(u,v)を有する参照画素79に相当することを示す。また、参照画素79は、参照画素74(図19参照)に対応する。つまり参照画素79に対する方向評価領域荷重の値は、参照画素79に対する方向評価値F(ΔD)(図19参照)と、その参照画素に対応する参照領域荷重R(6,2,2)(図17参照)を乗じて算出されることを示す。
 図22は、方向評価領域荷重のその他の例(方向評価領域荷重84)を示す概念図である。
 図22の横軸、縦軸は図12と同様である。
 方向評価領域荷重84に含まれる小さい四角形の各々は参照画素を示す。各四角形の中に示される数値は、その参照画素に対応する方向評価領域荷重の値を示す。この方向評価領域荷重の値は、積和演算部25が、注目画素72(図16参照)に対する参照画素毎の参照領域荷重R(2,u’,v’)(図17参照)と対応する参照画素の方向評価値F(ΔD)(図19参照)を乗じた値である。図22において、最下行最左列から最上行最右列までの対角上の全ての参照画素について、方向評価領域荷重の値は1である。その他の参照画素については、方向評価領域荷重の値は0である。
 ここで、参照画素81に向かう矢印であって起点に各々i、jと示されている矢印は、参照画素81が、同一のインデックス(i,j)を有する参照画素81(図22参照)に相当することを示す。また、参照画素81は、注目画素72(図16参照)に対応する。つまり参照画素81に対する方向評価領域荷重の値は、参照画素81に対する方向評価値F(ΔD)(図20参照)と、その参照画素に対応する参照領域荷重R(2,0,0)(図17参照)を乗じて算出されることを示す。参照画素79に向かう矢印であって起点に各々u、vと示されている矢印は、同一のインデックス(u,v)を有する参照画素82に相当することを示す。また、参照画素82は、参照画素76(図16参照)に対応する。つまり参照画素82に対する方向評価領域荷重の値は、参照画素82に対する方向評価値F(ΔD)(図20参照)と、その参照画素に対応する参照領域荷重R(2,-2,2)(図17参照)を乗じて算出されることを示す。
 次に、0以外の値(例えば1)をとる方向評価領域荷重の値が、積和演算部25において乗じられる信号値Y(i,j)に係る画素(i,j)について説明する。以下、かかる画素を平滑化対象画素と呼ぶ。
 図23は、平滑化対象画素の一例を表す概念図である。
 図23の横軸、縦軸の関係は図10と同様である。画像61は、図10が示す画像61と同一である。図23において、注目画素63、72、参照領域73、75の位置関係は、図10における位置関係と同様である。即ち、参照領域73、75に係る方向評価領域荷重は、それぞれ上述の方向評価領域荷重83(図21参照)、方向評価領域荷重84(図22参照)と同一である。これらの方向評価領域荷重83、85は、積和演算部25が、注目画素63、72にそれぞれ対応する積和値S(i,j)、荷重面積C(i,j)、参照面積N(i,j)を算出するために用いられる。
 参照領域73、75において、太線で描かれた小さい四角形は、平滑化対象画素を示す。参照領域73に含まれる平滑化対象画素は、最上行最左列から第4行第4列までの参照画素である。参照領域75に含まれる平滑化対象画素は、最下行最左列から最上行最右列までの対角上の全ての参照画素である。従って、これらの参照画素に係る信号値Y(i,j)が、注目画素63、72に係る方向平滑化値Y’(i,j)を算出するために実質的に用いられる。これに対し、参照領域73では、第5行第5列から最下行最下列までの参照画素は、方向平滑化値Y’(i,j)を算出するためには実質的に用いられない。
 よって、本実施形態では各画素における輪郭方向を算出し、注目画素における輪郭方向もしくはその方向に近似する方向であって、その輪郭方向が注目画素と同一もしくは近似する方向である参照画素に係る信号値を用いて注目画素を平滑化する。これにより、隣接又は近接する画素とは、輪郭方向が異なる画素であるコーナ点においても、実質的に平滑化の対象とする参照画素を最大限考慮してノイズを視覚的に低減することができる。
 次に、本実施形態に係る画像処理について説明する。
 図24は、本実施形態に係る画像処理を表すフローチャートである。
(ステップS100)パラメータ決定部20bは、入力部11から入力された信号Ssに基づいてパラメータPm及びパラメータPnを決定する。パラメータ決定部20bは、パラメータPmを低域フィルタ部20aに出力し、パラメータPnを高周波拡張部27に出力する。その後、ステップS101に進む。
(ステップS101)輪郭方向推定部21は、スケーリング部13から入力された輝度信号Yが表す画素毎の信号値に基づいて輪郭方向を画素毎に算出する。輪郭方向推定部21は、算出した画素毎の輪郭方向を量子化し、量子化輪郭方向を算出する。輪郭方向推定部21は、算出した量子化輪郭方向を表す量子化輪郭方向情報を方向評価部22及び参照領域荷重処理部23に出力する。その後、ステップS102に進む。
(ステップS102)方向評価部22は、輪郭方向推定部21から入力された量子化輪郭方向情報が表す画素毎の量子化輪郭方向に基づいて、注目画素毎にその注目画素を中心とする参照領域に属する各参照画素の方向評価値を算出する。方向評価部22は、例えば、注目画素に対する量子化輪郭方向と同一又は近似する量子化輪郭方向を有する参照画素ほど大きくなるように方向評価値を算出する。方向評価部22は、注目画素毎に各参照画素の方向評価値を表す方向評価値情報を積和演算部25に出力する。その後、ステップS103に進む。
(ステップS103)参照領域荷重処理部23は、輪郭方向推定部21から入力された量子化輪郭方向情報に基づいて、注目画素毎に参照領域荷重情報を定める。参照領域荷重処理部23は、注目画素毎の量子化輪郭方向に対応する参照領域荷重情報を記憶部から読み出す。参照領域荷重情報は、注目画素の量子化輪郭方向又はその方向に近似する方向にある参照画素ほど大きくなるような重み係数を表す。参照領域荷重処理部23は、読み出した参照領域荷重情報を積和演算部25に出力する。その後、ステップS104に進む。
(ステップS104)前処理部24は、スケーリング部13から入力された輝度信号Yから、注目画素(i,j)毎に、その注目画素(i,j)を中心とした参照領域に属する各参照画素(u,v)の信号値Y(u,v)を表す輝度信号を抽出する(前処理)。前処理部24は、注目画素(i,j)毎に抽出した輝度信号Yを積和演算部25に出力する。その後、ステップS105に進む。
(ステップS105)積和演算部25は、注目画素毎に、方向評価部22から方向評価値情報が、参照領域荷重処理部23から参照領域荷重情報が、前処理部24から輝度信号がそれぞれ入力される。積和演算部25は、方向評価値情報が表す方向評価値、参照領域荷重情報が表す参照領域荷重及び輝度信号が表す信号値に基づいて、例えば式(5)を用いて、積和値を算出する。積和演算部25は、方向評価値情報が表す方向評価値及び参照領域荷重情報が表す参照領域荷重に基づいて、例えば式(6)を用いて、荷重面積を算出する。積和演算部25は、参照領域荷重情報が表す参照領域荷重の参照領域に属する参照画素間の総和を参照面積として算出する。積和演算部25は、積和値、荷重面積、参照面積をそれぞれ表す積和値情報、参照面積情報を生成し、生成した積和値情報、荷重面積情報、参照面積情報を合成演算部26に出力する。その後、ステップS106に進む。
(ステップS106)合成演算部26は、パラメータ決定部20bからパラメータPmが入力され、積和演算部25から積和値情報、荷重面積情報及び参照面積情報が入力され、スケーリング部13から輝度信号が入力される。合成演算部26は、積和値情報が表す積和値を荷重面積情報が表す荷重面積Cで除算して方向平滑化値を算出する。合成演算部26は、荷重面積を参照面積情報が表す参照面積で除算して混合比を算出する。合成演算部26は、方向平滑化値と輝度信号が表す信号値を、それぞれ混合比及びパラメータPmに基づいて重み付け加算することにより合成演算を行って、合成信号値を算出する。合成演算部26は、算出した合成信号値が表す輝度信号を高周波拡張部27に出力する。その後、ステップS107に進む。
(ステップS107)高周波拡張部27は、合成演算部26から入力された輝度信号が表す信号値に基づいて高周波成分値を算出する。高周波拡張部27は、算出した高周波成分値と入力された輝度信号が表す信号値をパラメータPnに基づいて重み付け加算して高周波拡張信号値を算出する。高周波拡張部27は、算出した高周波拡張信号値を表す輝度信号を画像形式変換部14に出力する。その後、処理を終了する。
 以上に説明したように、本実施形態では、注目画素毎の信号値に基づいて輪郭方向を画素毎に推定する。本実施形態では、推定した各注目画素の輪郭方向に配列された参照画素であって、各注目画素から予め定めた参照領域内における参照画素毎の信号値を用いて各注目画素の信号値をフィルタリングする。そして、本実施形態では、フィルタリングした各注目画素の信号値の高周波成分を生成して各注目画素の信号値の周波数帯域を拡張する。
 これにより、各注目画素の信号値が輪郭方向に平滑化され、視覚上敏感な輪郭方向のノイズが除去又は低減される。そして、平滑化された信号値の高周波成分が補われるため、エイリアシングによるノイズを回避又は抑制しながら画像を先鋭化することができる。
 また、本実施形態では、画像の拡大率に応じて、平滑化及び高周波拡張の強さを制御する。これによって、拡大率が低い場合にアーティファクトが発生することを防止できる。
 [第2の実施形態]
 図25は、本発明の第2の実施形態に係る表示装置2の構成を表す概略図である。
 表示装置1と表示装置2とは、パラメータPm及びパラメータPnの決定方法が異なる。表示装置2では、スケーリング部13が、入力画像の解像度と出力画像の解像度との比である解像度比Stを画像処理部20に出力する。より具体的には、スケーリング部13は、入力信号に含まれる水平同期信号から水平解像度を、垂直同期信号から垂直解像度をそれぞれ見積もり、出力画像の解像度との比である解像度比Stを計算する。パラメータ決定部20bは、スケーリング部13から入力された解像度比Stを拡大率として用い、パラメータPm及びパラメータPnを決定する。
 図26は、拡大率と、低域フィルタ部20a及び高周波拡張部27による処理の強さとの関係を模式的に示す図である。
 拡大率が大きいほど、ジャギーが大きくなり、ノイズが多くなる。そのため、図26に示すように、拡大率が大きいほど低域フィルタ部20a及び高周波拡張部27による処理を強くすることが好ましい。ただし、拡大率が1の場合(補間等を行わない場合)であっても、低域フィルタ部20a及び高周波拡張部27による処理を全く行わないのではなく、細かいノイズを消しエンハンスをするために、これらの処理を弱く行うことが好ましい。なお、図26では、拡大率と、低域フィルタ部20a及び高周波拡張部27による処理の強さとが比例するように図示しているが、これらの関係は非線形であっても良い。
 本実施形態によれば、第1の実施形態におけるHDMI信号の場合のように、端子の情報だけでは入力解像度が判別できない場合であっても、最適な画像処理を行うことができる。
 [第3の実施形態]
 図27は、本発明の第3の実施形態に係る表示装置3の構成を表す概略図である。
 表示装置3は、表示装置1及び表示装置2と、パラメータPm及びパラメータPnの決定方法が異なる。表示装置3では、入力部11が入力信号を識別する信号Ssを画像処理部20に出力するとともに、スケーリング部13が解像度比Stを計算し、計算された拡大率を画像処理部20に出力する。パラメータ決定部20bは、入力部11から入力された信号Ss、及びスケーリング部13から入力される解像度比Stに基づいて、パラメータPm及びパラメータPnを決定する。
 本実施形態における、入力端子(端子)と入力解像度、並びに低域フィルタ部20a及び高周波拡張部27による処理の強さ(処理強さ)の関係の一例を表2に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
 表2に示すように、コンポジット端子、アンテナ(アナログ)端子、アンテナ(ディジタル)端子からの入力信号は、端子の情報から入力解像度を判別することができる。そのため、これらの信号が選択された場合、パラメータ決定部20bは、入力部11から入力される信号Ssに基づいて処理の強さを決定する。一方、HDMI端子からの入力信号は、端子の情報だけでは入力解像度が判別できない。この場合、パラメータ決定部20bは、スケーリング部13から入力される解像度比Stを拡大率として用い、処理の強さを決定する。
 本実施形態では、端子の情報から入力解像度を判別することができない場合にだけ、解像度比Stを拡大率として用いて処理の強さを決定する。この構成によれば、第2の実施形態に係る表示装置2の場合と比較して、画像処理に係る回路を小さくすることができ、製造コストを削減することができる。
(変形例1)
 次に、本実施形態に係る変形例1について、上述の実施例と同一の構成又は処理について、同一の符号を付して説明する。本変形例に係る表示装置1(図1参照)は、画像処理部20の代わりに画像処理部30を備える。
 図28は、本変形例に係る画像処理部30の構成を表す概略図である。
 画像処理部30は、輪郭方向推定部21、方向評価部22、参照領域荷重処理部23、前処理部34、積和演算部35、合成演算部36、パラメータ決定部20b、及び高周波拡張部27を含んで構成される。即ち、画像処理部30は、画像処理部20の低域フィルタ部20aにおいて前処理部24、積和演算部25及び合成演算部26の代わりに、低域フィルタ部30aにおいて前処理部34、積和演算部35及び合成演算部36を備える。
 前処理部34は、スケーリング部13から入力された輝度信号Yから、注目画素(i,j)毎に、その注目画素(i,j)を中心とした参照領域に属する各参照画素(u,v)の信号値Y(u,v)を表す輝度信号を抽出する。前処理部34は、抽出した輝度信号が表す参照信号の信号値Y(u,v)から注目画素の信号値Y(i,j)をそれぞれ減算し、差信号値Y(u,v)-Y(i,j)を算出する。前処理部34は、算出した差信号値を表す差信号を生成し、生成した差信号を積和演算部35に出力する。
 積和演算部35は、注目画素(i,j)毎に、方向評価部22から方向評価値情報が、参照領域荷重処理部23から参照領域荷重情報が、前処理部34から差信号がそれぞれ入力される。
 積和演算部35は、差信号が表す差信号値Y(u,v)-Y(i,j)に対して、方向評価値情報が表す方向評価値F(|ΔD|)、参照領域荷重情報が表す参照領域荷重R(D(i,j),u’,v’)を積和演算して、平滑化差分値Y(i,j)を算出する。積和演算部35は、平滑化差分値Y(i,j)を算出する際、例えば、式(9)を用いる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000011
 式(9)は、方向評価値F(|ΔD|)、参照領域荷重R(D(i,j),u’,v’)及び差信号が表す差信号値Y(u,v)-Y(i,j)の積を参照画素毎に算出し、算出した積の参照領域に属する参照画素間の総和を算出することを表す。式(9)は、算出した総和に対して参照面積N(i,j)で除算して平滑化差分値Y(i,j)を算出することを表す。積和演算部35は、算出した平滑化差分値Y(i,j)を表す平滑化差分信号を生成し、生成した平滑化差分信号を合成演算部36に出力する。
 合成演算部36は、パラメータ決定部20bからパラメータmが入力され、積和演算部35から平滑化差分信号が入力され、スケーリング部13から輝度信号Yが入力される。合成演算部36は、平滑化差分信号が表す平滑化差分値ΔY(i,j)とパラメータPmとの積を輝度信号Yが表す信号値Y(i,j)に注目画素(i,j)毎に加算(合成演算)して、低域通過信号値Y’’(i,j)を算出する。この低域通過信号値Y’’(i,j)は、上述の式(7)を用いて算出された低域通過信号値Y’’(i,j)と同じ値になる。
 合成演算部36は、算出した低域通過信号値Y’’(i,j)に基づく輝度信号Y’’を高周波拡張部27に出力する。
 次に、本変形例に係る画像処理について説明する。
 図29は、本変形例に係る画像処理を表すフローチャートである。
 本変形例に係る画像処理は、図24に示す画像処理において、ステップS104-S106の代わりにステップS204-S206を有する。ステップS204は、ステップS103の後で実行する。
(ステップS204)前処理部34は、スケーリング部13から入力された輝度信号Yから、注目画素(i,j)毎に、その注目画素(i,j)を中心とした参照領域に属する各参照画素(u,v)の信号値Y(u,v)を表す輝度信号を抽出する。前処理部34は、抽出した輝度信号に基づいて、差信号値Y(u,v)-Y(i,j)を算出する(前処理)。前処理部34は、算出した差信号値を表す差信号を積和演算部35に出力する。
その後、ステップS205に進む。
(ステップS205)積和演算部35は、注目画素(i,j)毎に、方向評価部22から方向評価値情報が、参照領域荷重処理部23から参照領域荷重情報が、前処理部34から差信号がそれぞれ入力される。積和演算部35は差信号が表す差信号値Y(u,v)-Y(i,j)、方向評価値情報が表す方向評価値F(|ΔD|)、参照領域荷重情報が表す参照領域荷重R(D(i,j),u’,v’)に基づいて、例えば式(8)を用いて平滑化差分値Y(i,j)を算出する。積和演算部35は、算出した平滑化差分値Y(i,j)を表す平滑化差分信号を合成演算部36に出力する。
その後、ステップS206に進む。
(ステップS206)合成演算部36は、積和演算部35から入力された平滑化差分信号が表す平滑化差分値Y(i,j)とパラメータPmとの積を、スケーリング部13から入力された輝度信号Yが表す信号値Y(i,j)に加算して、低域通過信号値Y’’(i,j)を算出する。合成演算部36は算出した低域通過信号値Y’’(i,j)を表す輝度信号Y’’を高周波拡張部27に出力する。その後、ステップS107に進む。
 以上に説明したように、本変形例では、各画素の輪郭方向から予め定めた範囲の方向にある参照画素間で、各参照画素の信号値に基づく差信号値について積和演算を行った値を用いて、各画素の合成信号値を算出する。これにより、視覚上敏感な輪郭方向のノイズを除去又は低減するという効果を損なわずに、処理量を低減することができる。
(変形例2)
 次に、本実施形態に係る他の変形例2について、上述の実施例と同一の構成又は処理について、同一の符号を付して説明する。本変形例に係る表示装置1(図1参照)は、画像処理部20の代わりに画像処理部40を備える。
 図30は、本変形例に係る画像処理部40の構成を表す概略図である。
 画像処理部40は、輪郭方向推定部21、方向評価部22、参照領域荷重処理部43、前処理部34、積和演算部35、合成演算部36、パラメータ決定部20b、及び高周波拡張部27を含んで構成される。即ち、画像処理部40は、画像処理部30の低域フィルタ部30aにおける参照領域荷重処理部23の代わりに、低域フィルタ部40aにおいて参照領域荷重処理部43を備える。
 参照領域荷重処理部43は、参照領域荷重処理部23と同様に輪郭方向推定部21から入力された量子化輪郭方向情報が表す画素毎の量子化輪郭方向D(i,j)に基づいて、重み係数R(D(i,j),u’,v’)を定める。参照領域荷重処理部43は、重み係数R(D(i,j),u’,v’)のうち、(D(i,j),u’,v’)が零以外の値をとる参照画素(u’,v’)毎の重み係数R(D(i,j),u’,v’)を選択する。かかる参照画素は、注目画素(i,j)から輪郭方向又は輪郭方向に近似する方向に位置するため、輪郭方向参照画素と呼ぶ。参照領域荷重処理部43は、各輪郭方向参照画素に係る重み係数R(D(i,j),u’,v’)を表す参照領域荷重情報を生成し、生成した参照領域荷重情報を積和演算部35に出力する。
 参照領域荷重処理部43は、入力された量子化輪郭方向情報から各輪郭方向参照画素に係る量子化輪郭方向D(u,v)を表す量子化輪郭方向情報を抽出する。参照領域荷重処理部43は、抽出した量子化輪郭方向情報を方向評価部22に出力する。
 参照領域荷重処理部43は、スケーリング部13から入力された輝度信号から各輪郭方向参照画素に係る信号値Y(u,v)を表す輝度信号を抽出する。参照領域荷重処理部43は、抽出した輝度信号を前処理部34に出力する。
 前処理部34、方向評価部22、及び積和演算部35は、それぞれ輪郭方向参照画素毎に方向評価値F(|ΔD|)、重み係数R(D(i,j),u’,v’)及び差分値Y(u,v)-Y(i,j)を積和演算して平滑化差分値Y(i,j)を算出する。ここで、積和演算部35は、式(9)の代わりに式(10)を用いる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000012
 式(10)において、Rs(D(i,j))は、注目画素(i,j)に係る参照画素のうち輪郭方向参照画素を選択する関数(領域選択関数)を表す。つまり、u’,v’∈Rs(D(i,j))は、輪郭方向参照画素を示す。従って、積和演算部35は、式(9)を用いた場合に算出される平滑化差分値Y(i,j)と等しい平滑化差分値Y(i,j)を算出することができる。
 上述したように、参照領域荷重処理部43は輪郭方向参照画素毎に係る信号値または係数を抽出するため、変形例1と同様な演算結果を得つつ前処理部34、方向評価部22、及び積和演算部35における計算量を低減することができる。
 次に、本変形例に係る画像処理について説明する。
 図31は、本変形例に係る画像処理を表すフローチャートである。
 本変形例に係る画像処理は、図29に示す画像処理において、ステップS103の代わりにステップS303を有する。ステップS303は、ステップS101の後で実行する。ステップS102の後で、ステップS204を実行する。ステップS204-S206は、注目画素毎の各参照画素の代わりに各輪郭方向参照画素について実行する。
(ステップS303)参照領域荷重処理部43は、輪郭方向推定部21から入力された量子化輪郭方向情報に基づいて、画素毎に重み係数R(D(i,j),u’,v’)を定める。参照領域荷重処理部43は、定めた重み係数R(D(i,j),u’,v’)のうち、零以外の値をとる重み係数R(D(i,j),u’,v’)を、輪郭方向参照画素毎の重み係数R(D(i,j),u’,v’)として選択する。参照領域荷重処理部43は、選択した重み係数R(D(i,j),u’,v’)を表す参照領域荷重情報を積和演算部35に出力する。参照領域荷重処理部43は、入力された量子化輪郭方向情報から各輪郭方向参照画素に係る量子化輪郭方向D(u,v)を表す量子化輪郭方向情報を抽出し、抽出した量子化輪郭方向情報を方向評価部22に出力する。参照領域荷重処理部43は、スケーリング部13から入力された輝度信号から各輪郭方向参照画素に係る信号値Y(u,v)を表す輝度信号を抽出し、抽出した輝度信号を前処理部34に出力する。その後、ステップS102に進む。
 以上に説明したように、本変形例では、各画像の輪郭方向から予め定めた範囲の方向にある参照画素毎の重み係数、評価値及び信号値を抽出し、抽出した参照画素毎の重み係数、評価値及び信号値を用いて積和演算を行う。これにより、演算結果に寄与しない重み係数、評価値及び信号値が除外される。従って、視覚上敏感な輪郭方向のノイズを除去又は低減するという効果を損なわずに、演算に係る処理量や記憶部の記憶容量を低減することができる。
(変形例3)
 次に、本実施形態に係る他の変形例3について、上述の実施例と同一の構成又は処理について、同一の符号を付して説明する。本変形例に係る表示装置1(図1参照)は、画像処理部20(図2)、画像処理部30(図28)又は画像処理部40(図30)において、高周波拡張部27の代わりに高周波拡張部37を備える。
 図32は、本変形例に係る高周波拡張部37の構成を表す概略図である。
 高周波拡張部37は、非線形フィルタ部38及び合成演算部39を含んで構成される。
 非線形フィルタ部38は、2次元高域通過フィルタ部381及び非線形演算部382を含んで構成される。
 2次元高域通過フィルタ部381は、合成演算部26(又は合成演算部36)から輝度信号Y’’が入力され、輪郭方向推定部21から量子化輪郭方向情報が入力される。2次元高域通過フィルタ部381は、輝度信号Y’’が表す低域通過信号値Y’’(i,j)に対して量子化輪郭方向情報が表す量子化輪郭方向D(i,j)に係る高域成分を表す輪郭方向成分信号W2Dを算出する。2次元高域通過フィルタ部381は、算出した輪郭方向成分信号W2Dを非線形演算部382に出力する。2次元高域通過フィルタ部381の構成については後述する。
 非線形演算部382は、上述の非線形演算部282-A又は282-Bと同様な構成を備える。非線形演算部382は、2次元高域通過フィルタ部381から入力された方向成分信号W2Dが表す信号値に上述の非線形演算を行う。非線形演算部382は、算出した非線形出力値が表す高周波成分値NL2Dを合成演算部39に出力する。
 合成演算部39は、上述の合成演算部29と同様な構成を備える。合成演算部39は、非線形演算部382から、入力された高周波成分値NL2DとパラメータPnとの積に低域通過信号値Y’’(i,j)を加算(合成)して高周波拡張信号値Z(i,j)を算出する。合成演算部39は、算出した高周波拡張信号値Z(i,j)を表す輝度信号Zを生成し、スケーリング部13から入力された輝度信号Yを、輝度信号Zに更新し、色差信号Cb、Crと同期をとる。合成演算部39は、輝度信号Z及び色差信号Cb、Crを含んだ画像信号を画像形式変換部14に出力する。
 次に、2次元高域通過フィルタ部381の構成について説明する。
 図33は、本変形例に係る2次元高域通過フィルタ部381の構成を表す概略図である。
 2次元高域通過フィルタ部381は、遅延メモリ3811、方向選択部3812、乗算部3813、フィルタ係数メモリ3814及び合成演算部3815を含んで構成される。遅延メモリ3811は、入力信号を2n+1個のWサンプル遅延させる遅延素子3811-1~3811-2n+1を備える。遅延素子2811-v-1~2811-v-2n+1は、それぞれ入力信号をWx-2n、Wx-2n+1、…、Wサンプル遅延させた2n+1サンプルの信号値を含む遅延信号を方向選択部3812に出力する。
 遅延素子3811-1~3811-2n+1は、それぞれ直列に接続されている。遅延素子3811-1の一端に、輝度信号Y’’が表す低域通過信号値Y’’(i,j)が入力され、遅延素子3811-1の他端は、Wサンプル遅延させた遅延信号を遅延素子3811-2の一端に出力する。遅延素子3811-2~3811-2n+1の一端は、遅延素子3811-1~3811-2nの他端からそれぞれ、W~2n・Wサンプル遅延された遅延信号が入力される。遅延素子3811-2n+1の他端は、(2n+1)・Wサンプル遅延させた遅延信号を、それぞれ方向選択部3812に出力する。従って、輝度信号Y’’を表す信号値であって、注目画素を中心に互いに水平方向及び垂直方向に隣接する(2n+1)・(2n+1)画素の信号値が方向選択部3812に出力される。これらの信号値に対応する画素は、注目画素を中心とする参照領域に属する参照画素である。
 方向選択部3812は、輪郭方向推定部21から入力された量子化輪郭方向情報が表す画素毎の量子化輪郭方向D(i,j)に基づいて、注目画素(i,j)から量子化輪郭方向D又はその方向に近似する方向にある参照画素(u’,v’)を選択する。選択される参照画素は、例えば次の条件を満足する参照画素である。(1)注目画素(i,j)の中心から量子化輪郭方向に延びる線分が、その領域を通過する参照画素(u’,v’)である。(2)当該線分が通過する水平方向又は垂直方向の長さが、0.5画素又は0.5画素よりも長い。(3)水平方向、垂直方向のうち少なくとも一方向の2n+1個の各座標について各1個の参照画素を選択する。以下、選択された参照画素を選択参照画素と呼ぶことがある。
 方向選択部3812は、2n+1個の各座標について各1個の参照画素が選択された方向(以下、選択座標方向と呼ぶことがある)が、水平方向、垂直方向又はその両者かを判断する。方向選択部3812は、例えば、選択座標方向のインデックスの降順に2n+1個の選択参照画素に係る信号値を乗算部3813に出力する。
 なお、方向選択部3812は、量子化輪郭方向毎の選択参照画素を表す選択参照画素情報が予め記憶された記憶部を備え、注目画素(i,j)の量子化輪郭方向D(i,j)に対応した選択参照画素情報を選択してもよい。これにより、方向選択部3812は、選択した選択参照画素情報が表す選択参照画素に係る信号値を乗算部3813に出力する。
 次に、選択参照画素の例について説明する。
 図34は、選択参照画素の例を示す概念図である。
 図34の横軸、縦軸の関係、量子化輪郭方向を示す矢印は、それぞれ図17と同様である。
 原点の右横の数値0から反時計回りに7までの上半平面に向かう各矢印の進行方向にある格子状の図形は、それぞれ量子化輪郭方向D(i,j)に対応した選択参照画素R(D(i,j),u’,v’)を示す。図34において、参照画像の数は、水平方向7個、垂直方向7個である。格子状の図形に含まれる各四角形の中に示されている数値は、各画素が選択参照画素であるか否かを示す数値R(0,u’,v’)である。1は、選択参照画素であることを示し、0は、選択参照画素ではないことを示す。
 例えば、量子化輪郭方向0に対応する選択参照画素R(0,u’,v’)は、第4列目の全ての参照画素である。その他の列の参照画素については全て選択参照画素ではない。即ち、量子化輪郭方向0に対する選択座標方向は垂直方向である。量子化輪郭方向5に対応する選択参照画素は、第5行第1列、第5行第2列、第4行第3列、第4行第4列、第4行第5列、第3行第6列、第3行第7列である。即ち、量子化輪郭方向5に対する選択座標方向は垂直方向よりも水平方向に近い右斜め上の方向である。
 図33に戻り、乗算部3813は、2n+1個の乗算器3813-1~3813-2n+1を含んで構成される。乗算器3813-1~3813-2n+1は、方向選択部3812から入力された各信号値と、フィルタ係数メモリ3814から読み出した各フィルタ係数を乗算し、乗算値をそれぞれ合成演算部3815に出力する。ここで、乗算器3813-1~3813-2n+1の順序が、その各々に入力される信号値の順序(選択座標方向のインデックスの降順)が一致するように、当該信号値が入力される。
 フィルタ係数メモリ3814は、乗算器3813-1~3813-2n+1で各々用いられる2n+1個のフィルタ係数aD-n、aD-n+1、~aD+nが予め記憶されている。フィルタ係数aD-n、aD-n+1、~aD+nは、信号値との積和演算によって高域通過フィルタを実現する高域通過フィルタ係数である。この高域通過フィルタ係数は、上述のフィルタ係数aD-n、aD-n+1、~aD+nと同様な高域通過特性を有し、直流成分を遮断する特性を有する値であってもよい。合成演算部3815は、乗算部3813から入力された2n+1個の乗算値を加算して、それらの総和である信号値を有する輪郭方向成分信号W2Dを生成する。合成演算部3815は、生成した輪郭方向成分信号W2Dを非線形演算部382に出力する。
 次に、本変形例に係る画像処理について説明する。
 図35は、本変形例に係る画像処理を表すフローチャートである。
 本変形例に係る画像処理は、図31に示す画像処理において、ステップS107の代わりにステップS407を有する。
(ステップS407)高周波拡張部37は、合成演算部26(又は合成演算部36)から入力された輝度信号Y’’について、輪郭方向推定部21から入力された量子化輪郭方向情報が表す量子化輪郭方向D(i,j)に係る高域成分を表す輪郭方向成分信号W2Dを算出する。高周波拡張部37は、輪郭方向成分信号W2Dが表す信号値に対して非線形演算を行い、高周波成分を表す高周波成分値NL2Dを算出する。高周波拡張部37は、高周波成分値NL2DとパラメータPnとの積を輝度信号Y’’が表す低域通過信号値Y’’(i,j)と合成して高周波拡張信号値Z(i,j)を算出する。高周波拡張部27は、算出した高周波拡張信号値Z(i,j)を表す輝度信号を画像形式変換部14に出力する。その後、処理を終了する。
 以上に説明したように、本変形例では、各注目画像の輪郭方向の高周波成分を生成し、生成した高周波成分と、輪郭方向に平滑化された低域成分を合成する。これにより、視覚上敏感な輪郭方向のノイズを除去又は低減し、輪郭方向に垂直な接線方向に延びる画像を先鋭化することができる。
(処理例)
 次に、本実施形態に係る処理を行って生成した画像の例について説明する。以下では、パラメータPnの値を1、パラメータPmの値を1として説明する。
 図36は、処理前後の輝度信号に係る画像の例(画像86-88)を表す。
 画像86は、低解像度画像に係る輝度信号を拡大率3倍でスケーリングした輝度信号が表す画像である。画像86の明るい領域と暗い領域の境界に階段状のノイズ(ジャギー)が発生し、不明瞭な境界(ぼけ)が表されている。
 画像87は、画像86に係る輝度信号に対して本実施形態例に係る処理を行って得られた輝度信号が表す画像である。画像87において、明るい領域と暗い領域の境界は滑らかであり、階段状のノイズが解消し、境界が明瞭に表されている。
 画像88は、画像86に係る輝度信号に対して、従来から行われていた高域成分を強調する処理によって得られた輝度信号が表す画像である。画像88では、明るい領域と暗い領域の境界は、画像86よりも明瞭であるが、画像86に表れていた階段状のノイズも明瞭に表されている。
 これにより、本実施形態に係る処理によりノイズが低減するとともに画像が先鋭化することが明瞭に示されている。
 図37は、処理前後の画像の空間周波数特性の例(画像89-92)を表す。
 画像89-92の左右方向は、水平方向の空間周波数、上下方向は、垂直方向の空間周波数を表す。画像89-92の中心は、それぞれ空間周波数がゼロ、即ち直流成分を表す。画像89-92は、各空間周波数におけるレベルの大きさを濃淡で示す画像である。明るい部分ほどレベルが大きく、暗い部分ほどレベルが小さい。
 画像89は、上述の低解像度画像の空間周波数特性を表す。画像89において、右斜め上から左斜め下に分布する各点は、対応する空間周波数成分が上述の低解像度画像に含まれることを表す。
 画像90は、画像86の空間周波数特性を表す画像である。画像90では、右斜め上から左斜め下に分布する点が表されているが、上端、下端の破線で囲まれた部分に点が表れていない。このことは、画像86を生成する際のスケーリングの過程で高域成分が遮断されたことを表す。この高域成分の欠落が、境界が不明瞭になる原因になる。他方、画像90の左右両側の一点破線で囲まれた部分に点が表れている。これは、スケーリングに伴ってエイリアシングが発生していることを表す。このエイリアシングが画像86に階段状のノイズに対応する。
 画像91は、画像87、つまり本実施形態に係る処理により得られた画像の空間周波数特性を表す画像である。画像91では、破線で囲まれた部分でも画像89と同様な点が表れている。これは、画像86で欠落した高域成分が補われ、画像87において境界が明瞭になることを示す。また、画像91には、画像90の一点破線で囲まれた部分と同一の周波数領域で点が表れていない。これは、画像86に表れた階段状のノイズが除去されたことを表す。
 画像92は、画像86、つまり高域成分を強調する処理により得られた画像の空間周波数特性を表す画像である。画像92の左上及び右下の一点破線で囲まれた部分に、点が画像90よりも顕著に表れている。これは、高域成分を強調することによってエイリアシングも強調され、画像88において階段状のノイズが明瞭に表れることを示す。
 次に、本実施形態において使用又は生成したデータの例について説明する。
 図38は、本実施形態において使用又は生成したデータの空間周波数特性(画像93-97)を表す。
 画像93-97の左右方向は水平方向の空間周波数、上下方向は垂直方向の空間周波数を表す。画像93-97の中心が、空間周波数がそれぞれゼロ、即ち直流成分を表す。画像94、96、97において、明るい部分ほどレベルが大きく、暗い部分ほどレベルが小さいことを示す。
 画像93は、低域フィルタ部20aの輝度信号Yに対するフィルタ特性を示す画像である。画像93において、塗りつぶされた領域が遮断領域、白抜きの領域が通過領域を示す。通過領域は、右上から左下に延びる、帯状の領域である。従って、低域フィルタ部20aは、輪郭方向に対応する空間周波数成分のうち、遮断周波数よりも低い周波数成分を通過させ、その他の方向に対応する空間周波数成分を帯域制限せずに通過する。これにより、低域フィルタ部20aは、輪郭方向への信号値の平滑化を行う。遮断周波数は、選択される方向評価領域荷重によって異なる可能性があるが、参照領域の大きさ(一方向の画素数)を上述のように2n+1と定めておけば、平均的にf/(2・n)よりも小さくなる。fは、処理対象の輝度信号のサンプリング周波数であり、f/(2・n)は拡大される前の輝度信号のナイキスト周波数fnyq’に相当する。
 画像94は、低域フィルタ部20aが出力する低域通過信号値Y’’(i,j)で表される輝度信号Y’’の空間周波数特性を表す画像である。画像94において、画像90のうち中央部を通過する各点が表され、左右両側の各点が表れていない。これは、低域フィルタ部20aにより、輪郭方向に対応する空間周波数成分が抽出されたことによる。これにより、エイリアシングによって生じた階段状のノイズが除去されていることを示す。
 画像95は、水平高域通過フィルタ部281-hのフィルタ特性と垂直高域通過フィルタ部281-vのフィルタ特性を合成したフィルタ特性を示す画像である。画像93において、塗りつぶされた領域が遮断領域、白抜きの領域が通過領域を示す。通過領域は、原点を中心とする四角形の遮断領域を囲む枠状の領域である。
 画像96は、低域通過信号値Y’’(i,j)に水平高域通過フィルタ部281-hと垂直高域通過フィルタ部281-vを通過させて得られる方向成分信号Wの空間周波数特性を示す画像である。画像96の中心部では、画像94に表された点が表れていない。このことは、画像94が示す空間周波数成分のうち、画像95が示す通過帯域の成分が抽出されることを示す。
 画像97は、非線形演算部282-Aに方向成分信号Wを入力して得られた高周波成分値NLの空間周波数特性を示す画像である。ここで、画像97は、画像96には表れていないか、不明瞭だった上端及び下端付近の点が明瞭に表れている。このことは、輪郭方向に垂直な方向に対する高周波数成分が生成されたことを表す。また、画像91が示す空間周波数特性は、画像97が示す空間周波数特性と画像94が示す空間周波数特性が相補したものに相当し、画像89の空間周波数特性を近似する。このことからも、本実施形態において、低域通過信号値Y’’(i,j)と高周波成分値NLAを合成して高周波拡張信号値Z(i,j)を生成することによって、ノイズを低減しながら画像が先鋭化できることを裏付ける。
 次に、非線形演算によって生成した高周波成分の例について説明する。
 ここで、入力値xとして入力周波数の正弦波に対して、関数f(x)を演算して得られる出力値yの出力周波数を示す。
 図39は、非線形演算による出力周波数の一例を表す図である。
 図39において、縦軸は入力周波数、横軸は出力周波数を示す。図39では、入力周波数が0からf/4まで変化させた場合に、関数f(x)=sgn(x)|x|を用いて得られる出力周波数を示す。fsは、サンプリング周波数である。図39において、入力周波数を太い実線で示し、出力値のうち最もレベルの高い成分の周波数を太い破線で表す。太い破線は、入力周波数が0からf/4まで変化させた場合、出力周波数が0から3・f/4まで変化することを示す。即ち、入力周波数の3倍である3倍高調波が主に出力される。これにより、入力値xに関数f(x)を演算することで、入力値xには含まれていない高周波成分が得られることが示される。
 図40は、非線形演算による出力周波数のその他の例を表す図である。
 図40において、縦軸、横軸、入力周波数については、図39と同様である。但し、図40では、関数f(x)=|x|を用いて得られる出力周波数を示す。図40において、出力周波数を太い破線で表す。太い破線は、入力周波数が0からf/4まで変化させた場合、出力周波数が0から3・f/4まで変化することを示す。入力周波数の3倍である3倍高調波がもっぱら出力される。図39に示す場合と同様に、入力値xに関数f(x)を演算することで、入力値xには含まれていない高周波成分が得られるが、3倍高調波以外の成分は出力されない。
 上述した実施形態では、アンテナは、テレビジョン放送に係る電波に限らず、公衆無線通信に係る電波を受信するものであってもよい。
 上述では、生成した画像信号の表色系がYCbCr表色系であることを前提として説明した。生成した画像信号が、各色の輝度を示す信号値からなる表色系で表されている場合(例えば、RGB表色系)には、画像処理部20は、各色の信号値に対して処理を行うようにしてもよい。
 上述した実施形態において、輪郭方向推定部21は、画素毎に算出した輪郭方向θ(量子化前)を、注目画素を中心とする予め定めた数(例えば、水平方向3個、垂直方向3個、計9個)の互いに隣接した画素からなる画像ブロック内で平均してもよい。輪郭方向推定部21は、平均した輪郭方向を量子化する。これにより、局所的に顕著に生じうる輪郭方向の誤差を画素間で平滑化して、全体として自然な画像を再現することができる。
 上述した実施形態において、差分フィルタにおいて、フィルタ係数W(u’,v’)が1である差分方向(x方向)の範囲とフィルタ係数W(u’,v’)が-1である差分方向の範囲は、差分方向と垂直な方向(y方向)に対して同一でなくてもよい。フィルタ係数Wx(u’,v’)が1である差分方向の範囲とフィルタ係数W(u’,v’)が-1である差分方向の範囲が、u’=0に対して対称であって、v’=0の場合にn又はnよりも大きければよい。例えば、フィルタ係数W(u’,v’)が1である差分方向の範囲が、v’=0の場合にnであって、v’≠0の場合にnよりも小さくてもよい。同様に、フィルタ係数Wy(u’,v’)が1である差分方向(y方向)の範囲とフィルタ係数W(u’,v’)が-1である差分方向の範囲は、差分方向と垂直な方向(x方向)に対して同一でなくてもよい。フィルタ係数W(u’,v’)が1である差分方向の範囲とフィルタ係数W(u’,v’)が-1である差分方向の範囲が、v’=0に対して対称であって、u’=0の場合にn又はnよりも大きければよい。例えば、フィルタ係数W(u’,v’)が1である差分方向の範囲が、u’=0の場合にnであって、u’≠0の場合にnよりも小さくてもよい。
 なお、上述した実施形態における表示装置1の一部、例えば、入力部11、スケーリング部13、画像形式変換部14、及び画像処理部20、30、40をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、表示装置1に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
 また、上述した実施形態における表示装置1の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現しても良い。表示装置1の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化しても良い。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いても良い。
 以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。

Claims (5)

  1.  信号値が一定の値である輪郭方向を画素毎に推定する輪郭方向推定部と、
     前記画素の各々について、該画素に応じた参照領域の画素である参照画素であって、前記輪郭方向推定部が推定した該画素の輪郭方向に配列された参照画素毎の信号値に基づいて該画素の信号値を平滑化する低域フィルタ部と、
     入力画像信号の解像度と出力画像信号の解像度との比に基づいて求められる拡大率に応じて、前記低域フィルタ部による平滑化の強さを決定するパラメータ決定部とを備える、画像処理装置。
  2.  前記入力画像信号が入力される複数の入力端子をさらに備え、
     前記パラメータ決定部は、前記複数の入力端子うち、入力画像信号が入力された入力端子の種類に基づいて前記入力画像信号の解像度を判別する、請求項1に記載の画像処理装置。
  3.  前記入力画像信号の解像度と前記出力画像信号の解像度との比である解像度比を求め、前記解像度比に基づいて前記入力画像の補間を行い、前記解像度比を前記パラメータ決定部に出力するスケーリング部をさらに備え、
     前記パラメータ決定部は、前記解像度比を前記拡大率として用いる、請求項1に記載の画像処理装置。
  4.  前記入力画像信号が入力される複数の入力端子と、
     前記入力画像信号の解像度と前記出力画像信号の解像度との比である解像度比を求め、前記解像度比に基づいて前記入力画像の補間を行い、前記解像度比を前記パラメータ決定部に出力するスケーリング部とをさらに備え、
     前記パラメータ決定部は、
     前記複数の入力端子うち、入力画像信号が入力された入力端子の種類から前記入力画像信号の解像度が一意に判別できる場合には、前記入力端子の種類に基づいて前記入力画像信号の解像度を判別し、
     前記複数の入力端子うち、入力画像信号が入力された入力端子から前記入力画像信号の解像度が一意に判別できない場合には、前記解像度比を前記拡大率として用いる、請求項1に記載の画像処理装置。
  5.  前記画素の各々について、該画素の信号値の高周波成分を生成して該画素の信号値について周波数帯域を拡張する高周波拡張部をさらに備え、
     前記パラメータ決定部は、前記拡大率に応じて、高周波拡張部による処理の強さを決定する、請求項1~4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
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