WO2012108129A1

WO2012108129A1 - 端末移行システム

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Publication number: WO2012108129A1
Application number: PCT/JP2012/000310
Authority: WO
Inventors: 由佳小澤; 稲見　聡; 良浩氏家
Original assignee: パナソニック株式会社
Priority date: 2011-02-10
Filing date: 2012-01-19
Publication date: 2012-08-16

Abstract

　移行元端末(100)は、ユーザによるＷｅｂブラウザの操作履歴を保存する保存部(303)、操作履歴に基づいてＷｅｂブラウザによって画面表示されるＷｅｂサイト上の操作位置を取得する取得部(305)、操作位置に基づいて移行先端末(110)の画面上におけるＷｅｂサイトの表示位置を取得する取得部(306)、および表示位置とＷｅｂサイトを示す情報を移行先端末(110)へ送信する送信部(308)を備える。移行先端末(110)は、移行元端末(100)から情報を受信する受信部(311)、情報に示されたＷｅｂサイトをＷｅｂブラウザによって画面表示する制御部(302)、および情報に示された表示位置に従って画面表示されるＷｅｂサイトの位置を補正する補正部(313)を備える。

Description

端末移行システム

　本発明は、表示画面サイズや画面解像度の異なる端末間でアプリケーションの利用を引き継ぐ際、移行元端末の表示画面内でユーザが操作や注目していた箇所を移行先端末の表示画面で引き続き再現させることが可能な端末移行システムに関する。

　近年では、多くの人がデスクトップＰＣパーソナルコンピュータ（以下、ＰＣと記す）、ノートＰＣ、タブレットＰＣ、ＰＤＡ（personal digital assistant）、携帯電話、およびスマートフォンなど、アプリケーションを実行可能な情報通信端末を複数所有しており、状況に応じて複数の情報通信端末の使い分けがなされている。そして、複数の情報通信端末間で利用を切り替える際に、切り替え元の移行元端末で使用しているアプリケーションの作業内容を切り替え先の移行先端末に送信することで、移行先端末でアプリケーションを継続使用可能とするシームレスな端末移行方法が、特許文献１にて開示されている。また、特許文献１では、移行先端末の画面解像度に合わせて画面に表示させる内容を拡大または縮小して最適化したり、再生できないデータを除外したりする処理についても言及されている。

特開２００３－２４２１０６号公報

　しかしながら、上記特許文献１に記載された従来の端末移行方法では、移行元端末と移行先端末との表示画面サイズや解像度が大きく異なる場合、表示させる内容を拡大または縮小してしまうと移行先端末では画面が見づらいため、ユーザが見やすい大きさに拡大または縮小するというアクションが必要であった。さらに、表示させる内容が文字列だった場合、表示画面サイズの比率によっては、フォントサイズが準備されておらず、表示ができないという課題もある。

　例えば、移行元端末がタブレットＰＣ、移行先端末が携帯電話とし、表示画面サイズの比率が４：１程度である場合を想定する。この場合、タブレットＰＣから携帯電話への移行処理時にタブレットＰＣの画面で表示されている内容を表示画面サイズの比率で縮小してしまうと、携帯電話の画面では内容が見づらい。このため、ユーザは、縮小された表示内容を見やすい大きさに一旦拡大し、その後、スクロール操作等の画面移動によって、タブレットＰＣで見ていた箇所を探して移動するというアクションが必要となる。

　また、タブレットＰＣから携帯電話への移行処理時に拡大または縮小などの最適化処理がなされない場合であっても、タブレットＰＣの画面では表示されていたが携帯電話の画面では表示されず隠れてしまった内容は、スクロール操作等の画面移動によって、タブレットＰＣで見ていた箇所や操作していた箇所を探して移動するというアクションが必要であった。

　それ故に、本発明の目的は、移行元端末の表示画面内でユーザが操作や注目していた箇所を特定することで、移行元端末の表示画面においてユーザが操作や注目していた箇所を移行先端末の表示画面で再現させることができる端末移行システムを提供することである。

　本発明は、第１端末から第２端末へのアプリケーションの継続利用が可能な端末移行システムに向けられている。そして、上記目的を達成するために、本発明の端末移行システムでは、第１端末が、アプリケーションに対するユーザの行為に基づいて、アプリケーションによって画面表示されるプログラム上の特定位置を取得する位置情報取得部、特定位置に基づいて、第２端末の画面上におけるプログラムの表示位置を取得する表示位置情報取得部、および表示位置およびプログラムを示す情報を第２端末へ送信する情報送信部を備え、第２端末が、第１端末から情報を受信する情報受信部、情報に示されたプログラムをアプリケーションによって画面表示するアプリケーション制御部、および情報に示された表示位置に従って、画面表示されるプログラムの位置を補正する表示位置補正部を備える。

　より具体的には、第１端末に、ユーザによるアプリケーションに対する操作を受け付ける入力受付部、および入力受付部を介してユーザが行った操作を操作履歴として保持する保持部をさらに備えさせて、位置情報取得部が、操作履歴に基づいて、アプリケーションによって画面表示されるプログラム上のユーザによる操作位置を、特定位置として取得するように構成する。
　または、より具体的には、第１端末に、ユーザが注視するプログラム上の視点を特定する特定部、および特定部で特定されたユーザの視点を視点履歴として保持する保持部をさらに備えさせて、位置情報取得部が、視点履歴に基づいて、アプリケーションによって画面表示されるプログラム上のユーザによる注目位置を、特定位置として取得するように構成する。

　位置情報取得部は、最新の操作履歴または視点履歴に基づいて操作位置または注目位置を取得することが好ましい。
　また、表示位置情報取得部は、プログラムに含まれるオブジェクトのうち、操作位置または注目位置に少なくとも一番近いオブジェクトの位置、または操作位置にあるオブジェクトの操作に伴って変化する別のオブジェクトの位置を表示位置として取得することが好ましい。
　さらには、表示位置補正部は、操作位置または注目位置に少なくとも一番近いオブジェクトまたは別のオブジェクトが第２端末の画面内に収まるように、プログラムを表示する縮尺および／または表示開始位置を補正することが望ましい。

　上記本発明によれば、表示画面サイズや画面解像度の異なる端末間で利用を引き継いだ場合でも、移行元端末の表示画面内でユーザが操作や注目していた箇所を移行先端末で簡単に表示させることができる。よって、ユーザは、移行元端末で行っていた処理を移行先端末で再開するにあたり、表示内容の拡大／縮小や画面スクロールなどによって移行元の端末で注目していた箇所を探すというアクションが不要となり、スムーズな端末移行が可能となる。

図１は、本発明が提供する情報通信端末を含めた端末移行システムの構成例を示す図である。図２は、Ｗｅｂブラウザを利用したＷｅｂサイトの一画面分の表示内容例を示す図である。図３は、タブレットＰＣおよび携帯電話の表示画面における表示内容例を示す図である。図４は、本発明の第１の実施形態に係る端末移行システムを構成する移行元端末および移行先端末の構成を示す図である。図５は、アプリケーション制御部がＷｅｂサーバから取得するＨＴＭＬ文書の一例を示す図である。図６は、操作履歴情報一覧の一例を模式的に示す図である。図７は、オブジェクト情報一覧の一例を模式的に示す図である。図８Ａは、画面表示情報の一例を模式的に示す図である。図８Ｂは、画面表示情報の他の一例を模式的に示す図である。図９Ａは、操作位置情報一覧の一例を示す図である。図９Ｂは、操作位置情報一覧の他の一例を示す図である。図１０Ａは、表示位置情報一覧の一例を模式的に示す図である。図１０Ｂは、表示位置情報一覧の他の一例を模式的に示す図である。図１１は、アプリケーション再現情報の一例を示す図である。図１２は、移行先端末情報の一例を示す図である。図１３は、本発明の第１の実施形態に係る移行元端末が実行する各種情報作成処理および端末移行処理手順の一例を示すフローチャートである。図１４Ａは、操作位置情報取得部が操作位置情報一覧を取得する処理手順の一例を示すフローチャートである。図１４Ｂは、操作位置情報取得部が操作位置情報一覧を取得する処理手順の一例を示す他のフローチャートである。図１５Ａは、表示位置情報取得部が表示位置情報一覧を取得する処理手順の一例を示すフローチャートである。図１５Ｂは、表示位置情報取得部が表示位置情報一覧を取得する処理手順の他の一例を示すフローチャートである。図１６は、表示位置情報取得部が一番近いオブジェクトを特定する処理手順の一例を示すフローチャートである。図１７は、本発明の第１の実施形態に係る移行先端末の端末移行処理手順の一例を示すフローチャートである。図１８は、表示位置補正部が実行する表示位置補正処理手順の一例を示すフローチャートである。図１９は、表示位置を補正する方法の一例を示す図である。図２０は、本発明の第２の実施形態に係る端末移行システムを構成する移行元端末および移行先端末の構成を示す図である。図２１は、タブレットＰＣに設置されたカメラ部の一例を示す図である。図２２は、視点履歴情報一覧を模式的に例示した図である。図２３は、注目位置情報一覧の一例を示す図である。図２４は、本発明の第２の実施形態に係る移行元端末が実行する各種情報作成処理および端末移行処理手順の一例を示すフローチャートである。図２５Ａは、注目位置情報取得部が注目位置情報一覧を取得する処理手順の一例を示すフローチャートである。図２５Ｂは、注目位置情報取得部が注目位置情報一覧を取得する処理手順の他の一例を示すフローチャートである。図２６Ａは、表示位置情報取得部が表示位置情報一覧を取得する処理手順の一例を示すフローチャートである。図２６Ｂは、表示位置情報取得部が表示位置情報一覧を取得する処理手順の他の一例を示すフローチャートである。

　以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
　本発明では、ユーザは解像度が同等で画面サイズが異なる２つ以上の情報通信端末を所有し、使用する情報通信端末をある端末（以下、移行元端末と記す）から別の端末（以下、移行先端末と記す）に切り替える場合において、移行元端末で利用していたアプリケーションを移行先端末でも継続して利用する場面を想定している。本発明は、このような場面において、移行元端末におけるアプリケーションの作業内容に加え、移行元端末の表示画面内でユーザが操作等により注目していた箇所を示す情報を、移行先端末に送信する。これにより、移行先端末の画面では、移行元端末においてユーザが利用していたアプリケーションが移行元端末での作業内容と共に再現され、かつ、移行元端末の画面でユーザが注目していた箇所が表示される。

　図１は、本発明が提供する情報通信端末を含めた端末移行システムの構成例を示す図である。この図１に示す例では、１人のユーザが、タブレットＰＣ１０、携帯電話２０、ノートＰＣ３０など、ネットワーク４０に接続可能な複数の情報通信端末を所有している。そして、ユーザは、状況に応じてこれらの情報通信端末を使い分けている。例えば、自宅ではノートＰＣ３０やタブレットＰＣ１０を使用し、外出時には携帯電話２０を利用する。例えば、タブレットＰＣ１０にてＷｅｂサイトのインターネットニュースを見ていたユーザが出勤時間となり、携帯電話２０にてインターネットニュースの続きを見る、という利用が想定される。

　インターネットニュースを視聴する場合における、Ｗｅｂブラウザを利用して視聴可能なＷｅｂサイトの一画面分の表示内容例を、図２に示す。また、タブレットＰＣ１０の表示画面１１および携帯電話２０の表示画面２１における表示内容例を、図３に示す。

　Ｗｅｂブラウザは、ＵＲＬを指定するとＨＴＭＬ文書を取得してＷｅｂサイトを表示する。その際、表示画面の大きさに応じて文字やオブジェクトをレイアウトしたり、文字フォントやオブジェクトの大きさを決定したりして、一画面分のＷｅｂサイトを作成する。また、作成した一画面分のＷｅｂサイトが表示画面に収まりきらない場合には、Ｗｅｂサイトの一部分のみを表示画面に表示し、表示画面に収まりきらない部分については、ユーザがスクロール操作等を行うことによって視聴可能とする。このような技術は、Ｗｅｂブラウザの一般的な技術であるため、実現方法については説明を省略する。

　図２に示すＷｅｂサイトページ２００は、ＵＲＬが「ｈｔｔｐ：／／ｉｎｔｅｒｎｅｔｎｅｗｓ．ｃｏ．ｊｐ」であるＷｅｂサイトの一画面分の表示内容であるとする。このＷｅｂサイトをタブレットＰＣ１０および携帯電話２０で表示する場合、画面サイズに制限されてＷｅｂサイトページ２００の一部しか一度に表示されない。特に、携帯電話２０の表示画面２１は、タブレットＰＣ１０の表示画面１１よりも画面サイズが小さいため、携帯電話２０による表示内容は少なくなる。例えば、タブレットＰＣ１０の表示画面１１のサイズでは、図２の表示範囲２０１や２０２などが一度に表示可能であり、携帯電話２０の表示画面２１のサイズでは、図２の表示範囲２０３などが一度に表示可能である。図３は、図２の表示範囲２０２をタブレットＰＣ１０の表示画面１１に表示させた例、および図２の表示範囲２０３を携帯電話２０の表示画面２１に表示させた例である。

　このように、大きな画面サイズの端末から小さい画面サイズの端末へ利用端末を移行する場合には、移行先端末の画面で表示される内容が少なくなる。そこで、本発明では、移行先端末の画面で表示される内容が少なくなっても引き継ぎ後の作業に支障が生じないように、ユーザが注目していた箇所を画面表示する制御を行う。

　下記の各実施形態では、移行元端末をタブレットＰＣ１０、移行先端末を携帯電話２０、アプリケーションをＷｅｂブラウザとし、アプリケーションによって表示されるプログラムをＷｅｂサイトとし、タブレットＰＣ１０においてＷｅｂブラウザを利用してインターネットニュースというＷｅｂサイトを視聴しているユーザが、利用する端末を携帯電話２０に切り替えた場合（端末移行と表現する）を一例に、本発明を詳細に説明する。
　なお、タブレットＰＣ１０から携帯電話２０への端末移行は、タブレットＰＣ１０に備えられる物理的なボタン１４（図３）やソフトウェアキーを介した指示に従って行われてもよいし、所定の状態変化を検出して自動的に行われてもよい。

　　＜第１の実施形態＞
　図４は、本発明の第１の実施形態に係る端末移行システムを構成する移行元端末１００および移行先端末１１０の構成を示す図である。
　移行元端末１００は、端末移行装置３００、入力受付部３０１、アプリケーション制御部３０２、操作情報保持部３０３、表示情報保持部３０４、外部接続部３０９、および表示部１０１を備える。端末移行装置３００は、操作位置情報取得部３０５、表示位置情報取得部３０６、再現情報取得部３０７、および情報送信部３０８を備える。
　移行先端末１１０は、入力受付部３１０、情報受信部３１１、アプリケーション制御部３１２、表示位置補正部３１３、外部接続部３１５、および表示部１１１を備える。

１．移行元端末１００が備える構成の概略
　入力受付部３０１は、キーボード、十字キー、マウス、タッチパネルなどの入力装置であり、ユーザによる入力を受け付ける。入力受付部３０１は、ユーザからの入力が端末移行要求であった場合には、情報送信部３０８に端末移行要求に応じた指示を行う。一方、ユーザからの入力が端末移行要求でない場合は、入力受付部３０１は、ユーザからの入力に基づいてユーザ入力情報を作成し、作成したユーザ入力情報をアプリケーション制御部３０２に送信する。このユーザ入力情報は、少なくとも表示部１０１の画面における操作位置と操作内容とを示す情報である。

　アプリケーション制御部３０２は、入力受付部３０１から取得したユーザ入力情報に従って、１つ以上のアプリケーションの実行を制御する。本実施形態におけるアプリケーションの一例は、インターネット上のＷｅｂサイトを表示するＷｅｂブラウザである。アプリケーション制御部３０２は、ＵＲＬを指定することにより外部接続部３０９を経由してインターネット上のＷｅｂサーバに接続し、Ｗｅｂサイトページ２００を記述するためのマークアップ言語であるＨＴＭＬ文書を取得する。そして、アプリケーション制御部３０２は、取得したＨＴＭＬ文書解析をして、表示部１０１に表示すべきオブジェクト（動画、静止画、音声、ボタン、文字列など）のレイアウトを決定したり、オブジェクトにフォーカスが当てられる、オブジェクトが選択されるなどした場合の処理動作情報を取得したりすることで、Ｗｅｂサイトページ２００を作成する。そして、アプリケーション制御部３０２は、表示部１０１の画面サイズに合わせて、Ｗｅｂサイトページ２００の一部、例えば図２に示した表示範囲２０２を、表示部１０１に表示する。

　この際、アプリケーション制御部３０２は、表示部１０１で表示するＷｅｂサイトページ２００に配置されている各オブジェクトのレイアウトに関する情報を、オブジェクト情報一覧（図７、詳細は後述する）として表示情報保持部３０４に保持する。また、アプリケーション制御部３０２は、Ｗｅｂサイトページ２００のうちどの部分を表示部１０１で表示しているかという情報を、画面表示情報（図８Ａや図８Ｂ、詳細は後述する）として表示情報保持部３０４に保持する。

　さらに、アプリケーション制御部３０２は、ユーザから入力があるたびに、ユーザ入力情報に基づいて、ユーザの操作意図やポインティングされているオブジェクトを判定して、対応する入力操作を実行する。入力操作とは、例えば、カーソルの移動、画面のスクロール、クリック、ジェスチャーなどである。そして、入力操作によって、オブジェクトのフォーカス切り替えやオブジェクトのクリック動作に伴うスクリプト処理が発生した場合には、発生したスクリプト処理を実行する。ここでジェスチャーとは、特定の入力動作を行うことで、アプリケーションや端末に登録された特定の操作を実行する機能のことである。例えば、マルチタッチ入力が可能なタッチパネル上で、タッチパネル上に乗せた２つの指の間隔を縮めることで画面サイズを縮小させる「ピンチイン」や、その２つの指の間隔を伸ばすことで画面サイズを拡大させる「ピンチアウト」というジェスチャーが知られている。ユーザ入力情報をどのような入力操作と解釈するかは、アプリケーションによって異なる。

　アプリケーション制御部３０２は、このユーザ入力情報に応じた一定期間の入力操作を、操作履歴情報一覧（図６、詳細は後述する）として操作情報保持部３０３に保持する。操作履歴とは、ユーザによって行われた画面操作の履歴であり、ユーザ入力情報からユーザの操作意図やポインティングされているオブジェクトを判定することによって得られる。なお、入力操作やスクリプト処理などによって、表示部１０１に表示されるＷｅｂサイトの範囲が変更された場合には、表示情報保持部３０４に保持される画面表示情報が変更される。

　なお、Ｗｅｂブラウザにおいて、ＨＴＭＬ文書を読み込んで文書解析を行い、オブジェクトをレイアウトしてＷｅｂサイトを表示したり、ユーザ入力情報を解釈して入力操作を行ったり、スクリプト処理動作を実行したりする技術は一般的に知られており、本発明の主眼ではないため詳しい説明を省略する。

　操作位置情報取得部３０５は、表示位置情報取得部３０６から操作位置情報の取得要求があると、操作情報保持部３０３から操作履歴情報一覧のうち操作位置情報を取得するために必要な１つ以上の操作履歴を取得する。そして、操作位置情報取得部３０５は、取得した操作履歴から操作位置情報一覧（図９Ａや図９Ｂ、詳細は後述する）を生成して、表示位置情報取得部３０６に送信する。ここで操作位置情報一覧とは、Ｗｅｂサイトページ２００のどの部分が操作されたかを示すための情報である。

　表示位置情報取得部３０６は、情報送信部３０８から表示位置情報の取得要求があると、操作位置情報取得部３０５に操作位置情報一覧を要求する。操作位置情報取得部３０５から操作位置情報一覧を取得すると、表示位置情報取得部３０６は、表示情報保持部３０４からオブジェクト情報一覧と画面表示情報とを取得する。そして、表示位置情報取得部３０６は、操作位置情報一覧とオブジェクト情報一覧と画面表示情報から表示位置情報一覧（図１０Ａや図１０Ｂ、詳細は後述する）を生成して、情報送信部３０８に送信する。ここで表示位置情報一覧とは、移行先端末１１０でＷｅｂサイトページ２００のどの部分を表示するかを示すための情報である。

　再現情報取得部３０７は、情報送信部３０８からアプリケーション再現情報の取得要求があると、アプリケーション制御部３０２からアプリケーションを移行先端末１１０で引き続き利用可能とするためのアプリケーション再現情報（図１１、詳細は後述する）を取得し、情報送信部３０８に送信する。アプリケーション再現情報には、少なくともアプリケーション名が含まれる。アプリケーションがＷｅｂブラウザであった場合、これに加えて、少なくとも表示中のＷｅｂサイトのＵＲＬが含まれる。アプリケーション再現情報の内容は、アプリケーションに依存する。

　情報送信部３０８は、ユーザから端末移行要求があると、表示位置情報取得部３０６から表示位置情報一覧を取得し、再現情報取得部３０７からアプリケーション再現情報を取得し、移行先端末情報（図１２、詳細は後述する）に基づいて表示位置情報一覧とアプリケーション再現情報とを移行先端末１１０に送信する。ここで、移行先端末情報とは、移行先となる端末を特定して通信を確立するために必要な端末を識別する情報であり、例えば移行先端末１１０のネットワークアドレス、ＭＡＣアドレス、端末ＩＤなどが相当する。端末の特定と通信の確立が可能であれば移行先端末情報の内容は限定しない。また、移行先端末との通信手段についても限定しない。移行先端末情報は、情報送信部３０８にて常に保持していてもよいし、端末移行要求があった際に取得してもよい。

　外部接続部３０９は、外部回線との通信機能を持ち、インターネットから情報を取得する。表示部１０１は、液晶ディスプレイなどの情報を表示する画面を有した表示装置である。本実施形態では、タブレットＰＣ１０が有する表示画面１１が該当する。

２．移行先端末１１０が備える構成の概略
　入力受付部３１０は、入力受付部３０１と同様の機能を有し、ユーザによる入力を受け付ける。
　情報受信部３１１は、移行元端末１００からアプリケーション再現情報と表示位置情報一覧とを取得する。そして、情報受信部３１１は、アプリケーション再現情報をアプリケーション制御部３１２に送信して、アプリケーションの実行を指示し、表示位置情報一覧を表示位置補正部３１３に送信する。

　アプリケーション制御部３１２は、アプリケーション制御部３０２と同等の機能を有する。さらに、アプリケーション制御部３１２は、アプリケーション再現情報に基づいてアプリケーションを起動し、移行元端末１００の作業内容を再現する。本実施形態におけるアプリケーションの一例は、インターネット上のＷｅｂサイトを表示するＷｅｂブラウザである。その場合、移行元端末１００の作業内容を再現するとは、少なくとも、移行元端末１００で表示していたＷｅｂサイトと同等のＷｅｂサイトを移行先端末１１０で表示することである。同等のＷｅｂサイトとは、同じＵＲＬのＷｅｂサイトでもよいし、当該Ｗｅｂサイトが動作環境の異なる端末ごとに別々のＵＲＬにて同等の内容のＷｅｂサイトを複数準備しているときには、同等の内容のＷｅｂサイトであってもよい。また、表示していたＷｅｂサイトだけでなく、ブックマークやヒストリーバックの情報を移行先端末１１０に引き継いでもよい。

　表示位置補正部３１３は、アプリケーション制御部３１２が作成したＷｅｂサイトページ２００のうち、表示位置情報一覧で指定された箇所が表示部１１１に表示されるよう、Ｗｅｂサイトページ２００の表示開始位置や表示範囲の補正をアプリケーション制御部３１２に指示する。
　外部接続部３１５は外部接続部３０９と同様の機能を有し、インターネットから情報を取得する。
　表示部１１１は、液晶ディスプレイなどの情報を表示する画面を有した表示装置である。本実施形態では、携帯電話２０が有する表示画面２１が表示部１１１に該当する。

３．移行元端末１００が保持する各種の情報
　図５は、Ｗｅｂサイトページ２００を作成するためにアプリケーション制御部３０２がＷｅｂサーバから取得するＨＴＭＬ文書の一例を示す図である。ＨＴＭＬ文書５００のフォーマットや各タグの意味はＷ３Ｃ（World Wide Web Consortium）で標準化されており、一般的に知られているため詳しい説明を省略する。

　図６は、操作情報保持部３０３が保持している操作履歴情報一覧６００の一例を模式的に示す図である。操作履歴情報一覧６００は、一定期間の操作履歴の集合であり、操作履歴情報一覧６００の各行が、それぞれ１つの操作履歴（例えば操作履歴６０１）を示している。操作履歴情報一覧６００は、ユーザ入力情報をどのように解釈してどのような操作に割り当てたかを示す「操作内容」と、この操作内容に記載されている操作を実行するために必要な「引数１」および「引数２」とを含む。引数の数は操作内容によって異なるが、本実施形態では２つとしている。また、操作履歴情報一覧６００は、操作内容に記載されている操作が実行された時刻を示す「操作時刻」を含んでもよい。図６に示す操作履歴情報一覧６００では、西暦年月日を表す８桁の日付情報、時分秒を表す６桁の時間情報、および１／１００秒を表す３桁のミリ秒情報を、ハイフンで結んだ形式の操作時刻を例示している。

　まず、操作内容について説明する。
　操作内容はアプリケーションにより異なるが、アプリケーションがＷｅｂブラウザである場合、操作内容として「カーソル移動」、「ピンチイン／ピンチアウト」、「クリック」、および「スクロール」などが考えられる。
　アプリケーション制御部３０２は、ユーザ入力情報を解釈して操作内容を判定し、アプリケーションに対して入力操作を行う。操作内容の判定方法は、アプリケーションに依存する。また、Ｗｅｂブラウザにおいてユーザ入力情報を解釈し、アプリケーションに対して「カーソル移動」、「ピンチイン／ピンチアウト」、「クリック」、および「スクロール」などの操作が行われる処理は、一般的に知られているため説明を省略する。

　次に、各操作内容の引数を説明する。
　操作内容が「カーソル移動」の場合、「引数１」はカーソル移動前のカーソル位置（ＸＹ座標）を、「引数２」はカーソル移動後のカーソル位置（ＸＹ座標）を表す。操作内容が「ピンチイン」および「ピンチアウト」の場合、「引数１」はピンチインおよびピンチアウト操作時の中心となる位置（ＸＹ座標）を表す。「引数２」は変更前の表示画面から変更後の表示画面への拡大／縮小率を表す。操作内容が「クリック」の場合、「引数１」はクリック位置（ＸＹ座標）を表す。なお、「引数２」はないため空欄である。操作内容が「スクロール」の場合、「引数１」はスクロール移動前のカーソル位置（ＸＹ座標）を、「引数２」はスクロール移動後のカーソル位置（ＸＹ座標）を表す。なお、上記各ＸＹ座標の単位はドットである。

　図７は、表示情報保持部３０４が保持しているオブジェクト情報一覧７００の一例を模式的に示す図である。表示情報保持部３０４では、表示部１０１に表示中またはアプリケーション制御部３０２に読み込み中の１つ以上のＷｅｂサイトについて、それぞれＷｅｂサイトに含まれる全てのオブジェクトのレイアウト情報を列挙した情報を、オブジェクト情報一覧７００として保持する。従って、オブジェクト情報一覧７００の各行が、それぞれ１つのオブジェクトのレイアウト情報（例えばオブジェクト情報７０１、７０２、７０３）である。

　図７に例示したオブジェクト情報一覧７００は、Ｗｅｂサイトページ２００に含まれるオブジェクト情報一覧の一部である。オブジェクト情報一覧７００は、各オブジェクトを特定するため、オブジェクトに対応するＨＴＭＬ文書内でのタグ名を示す「タグ名」と、ＨＴＭＬ文書内で同一タグのうち何番目であるかを示す「文書内タグインデックス」とを含む。また、オブジェクトをＷｅｂサイトページ２００のどの部分にレイアウトするかを示すため、Ｗｅｂサイトページ２００内での表示開始位置のＸ座標を示す「ページ内表示開始位置Ｘ座標（Ｘｐｄ）」およびＹ座標を示す「ページ内表示開始位置Ｙ座標（Ｙｐｄ）」を含む。また、オブジェクトのＷｅｂサイトページ２００内での表示範囲を示すため、Ｗｅｂサイトページ２００内での表示範囲の幅を示す「ページ内表示範囲幅（Ｗｐｄ）」と表示範囲の高さを示す「ページ内表示範囲高さ（Ｈｐｄ）」とを含む。

　「関連タグ」は、あるオブジェクトがユーザにより操作されることに伴って、状態が更新される別のオブジェクトを特定するための情報である。ここで、状態が更新されるとは、例えば、あるオブジェクトがボタンオブジェクトである場合、ユーザがボタン押下することによって、別のオブジェクトであるビデオの再生が開始されるなどの変化を指す。本実施形態例では、状態が更新されるオブジェクトをタグ名と文書内インデックスとで特定するため、関連タグはタグ名と文書内インデックスとをカンマ（，）で区切った文字列となっている。
　なお、「ページ内表示開始位置Ｘ座標」、「ページ内表示開始位置Ｙ座標」、「ページ内表示範囲幅」、および「ページ内表示範囲高さ」の単位は、ドットである。

　ＨＴＭＬ文書５００の各タグを解析して「ページ内表示開始位置Ｘ座標」、「ページ内表示開始位置Ｙ座標」、「ページ内表示範囲幅」、および「ページ内表示範囲高さ」を決定して、Ｗｅｂサイトページ２００を作成する手段は、一般的なＷｅｂブラウザの技術として知られているため説明は省略する。
　また、ＨＴＭＬ文書５００のスクリプトを解析してあるオブジェクトがユーザにより操作された場合に、状態が更新される別のオブジェクトを特定する手段は、一般的なＷｅｂブラウザの技術として知られている。具体的には、あるオブジェクトのｏｎｃｌｉｃｋ属性を参照して関数を取得し、その関数の解析によって取り扱われているオブジェクトを特定することができる。例えば、関数内でｄｏｃｕｍｅｎｔ．ｇｅｔＥｌｅｍｅｎｔＢｙＩｄの引数にとなっているＩｄがあれば、このＩｄのタグが関数内で取り扱われていることが分かる。

　図８Ａは、表示情報保持部３０４に保持されている画面表示情報８００の一例を模式的に示す図である。画面表示情報８００は、ＷｅｂサイトであるＷｅｂサイトページ２００のどの部分がどのような倍率で表示部１０１に表示されているかを示す情報である。

　画面表示情報８００は、表示部１０１に表示されるＷｅｂサイトの実際の大きさを示す、Ｗｅｂサイトページ２００の幅および高さを記述した「Ｗｅｂサイトページ幅」および「Ｗｅｂサイトページ高さ」を含む。「Ｗｅｂサイトページ幅」および「Ｗｅｂサイトページ高さ」の単位は、ドットである。

　また、画面表示情報８００は、Ｗｅｂサイトページ２００のどの部分が表示部１０１に表示されているかを示す、表示部１０１上での表示開始位置、すなわち表示部１０１の画面左上の位置に対応するＷｅｂサイトページ２００の位置の、Ｘ座標およびＹ座標を記述した「Ｗｅｂサイトページ表示開始位置Ｘ座標」および「Ｗｅｂサイトページ表示開始位置Ｙ座標」を含む。「Ｗｅｂサイトページ表示開始Ｘ座標」および「Ｗｅｂサイトページ表示開始Ｙ座標」の単位は、ドットである。新規にＷｅｂサイトが開かれた場合に特に指定がない場合は、Ｗｅｂサイトの左上を表示開始位置とするため、「Ｗｅｂサイトページ表示開始位置Ｘ座標」および「Ｗｅｂサイトページ表示開始位置Ｙ座標」の初期値は、「０」である。

　また、Ｗｅｂサイトページ２００は、ユーザのピンチイン／ピンチアウト操作などにより、初期画面サイズから拡大／縮小されている場合がある。この場合、画面表示情報８００は、初期画面サイズからの拡大／縮小率を記述した「Ｗｅｂサイトページ表示倍率」を含んでもよい。新規にＷｅｂサイトが開かれた場合に特に指定がない場合は、初期表示からの倍率となるため、「Ｗｅｂサイトページ表示倍率」の初期値は「１．００」である。また、画面表示情報８００は、表示部１０１の画面サイズを示す、画面の幅および高さを記述した「端末画面幅」および「端末画面高さ」を含んでもよい。

　また、画面表示情報８００は、表示部１０１上でＷｅｂサイトページ２００を表示するウィンドウの表示サイズを示す、表示サイズの幅および高さを記述した「表示画面幅」および「表示画面高さ」を含む。「表示画面幅」および「表示画面高さ」の単位は、ドットである。表示部１０１上にウィンドウを全画面表示する場合には、「端末画面幅」と「表示画面幅」が、また「端末画面高さ」と「表示画面高さ」がそれぞれ等しい。
さらに、画面表示情報８００は、Ｗｅｂサイトページ２００を表示するウィンドウが表示部１０１の画面上のどこに表示されているかを示す、Ｗｅｂサイトページ２００を表示するウィンドウの左上の位置に対応する表示部１０１のＸ座標およびＹ座標を記述した「ウィンドウＸ座標」および「ウィンドウＹ座標」を含んでもよい。表示部１０１上にウィンドウを全画面表示する場合には、「ウィンドウＸ座標」および「ウィンドウＹ座標」の値は「０」である。

　図８Ｂは、図８Ａで説明した画面表示情報８００に従ってＷｅｂサイトページ２００を表示部１０１で表示していた状態から、ユーザ操作によって上方向に２００ドット分スクロールさせた後の表示部１０１の表示状態を記述した画面表示情報８０１を示す図である。図８Ｂでは、画面表示情報８００において「０」であったＷｅｂサイトページ表示開始位置Ｙ座標の値が、画面表示情報８０１で「２００」に更新されている。

　図９Ａおよび図９Ｂは、操作位置情報取得部３０５が表示位置情報取得部３０６に送信する操作位置情報一覧９００および９０２の一例を示す図である。操作位置情報一覧９００および９０２は、Ｗｅｂサイトページ２００におけるユーザの操作位置を特定するための情報であり、Ｗｅｂサイトページ２００上での操作位置のＸ座標およびＹ座標を記述した「操作位置Ｘ座標（Ｘｏｐ）」および「操作位置Ｙ座標（Ｙｏｐ）」を含む。「操作位置Ｘ座標」および「操作位置Ｙ座標」の単位は、ドットである。また、操作位置情報一覧９００および９０２は、どのような入力操作であったかを示す「操作内容」を含んでもよい。操作位置情報９０１など各行が１つの操作位置情報であり、１つ以上の操作位置情報をまとめたものが操作位置情報一覧９００および９０２である。

　図１０Ａおよび図１０Ｂは、表示位置情報取得部３０６が情報送信部３０８に送信する表示位置情報一覧１０００および１００２の一例を模式的に示す図である。表示位置情報１００１などの各行が１つの表示位置情報であり、１つ以上の表示位置情報をまとめたものが表示位置情報一覧１０００および１００２である。

　表示位置情報一覧１０００および１００２は、移行先端末１１０におけるＷｅｂサイトページ２００の表示位置を指定する情報である。本実施形態では、Ｗｅｂサイトページ２００を作成するＨＴＭＬ文書５００のタグを指定することで、Ｗｅｂサイトページ２００の表示位置を指定する。図１０Ａに例示する表示位置情報１００１は、図７に示したオブジェクト情報７０２のタグを指定している。移行先端末１１０では、指定されたタグに対応するオブジェクトが表示部１１１の画面に表示されるように、表示位置補正部３１３がＷｅｂサイトページ２００の表示位置の補正をアプリケーション制御部３１２に指示する。

　ＨＴＭＬ文書５００内のタグを指定するため、表示位置情報一覧１０００および１００２は、タグの特定方法を示す「タグ特定方法」を含んでもよい。なお、移行元端末１００と移行先端末１１０との間でタグの特定方法が固定である場合は、「タグ特定方法」の情報は不要である。図１０Ａのように、タグ特定情報として図７に示した「文書内タグインデックス」が指定された場合、表示位置情報一覧１０００には、タグを特定するためにタグの名前を示す「タグ名」とＨＴＭＬ文書５００内での同一タグの出現番号を示す「文書内タグインデックス」が含まれる。また、図１０Ｂのように、タグ特定情報として「ｉｄ」が指定された場合、表示位置情報一覧１００２は、タグを特定するためにｉｄの名前を示す「ｉｄ名」が含まれる。

　なお、上記実施形態では、タグ特定方法として文書内のタグの出現番号やｉｄ名を用いた例を説明したが、タグ特定方法はこれに限定されない。例えば、ＨＴＭＬ文書５００において、タグが出現するバイト数によってタグを特定してもよいし、タグ名や属性名や要素によってタグを特定してもよい。また、ＨＴＭＬ文書を構成している文字列によってタグを特定してもよい。また、上記実施形態では、移行先端末１１０での表示位置を、ＨＴＭＬ文書５００のタグによって指定しているが、タグ指定以外の方法を用いてもよい。例えば、Ｗｅｂサイトページ２００の座標位置によって移行先端末１１０での表示位置を指定してもよい。

　図１１は、移行元端末１００で利用中のＷｅｂブラウザを移行先端末１１０で引き続き利用可能とするために、再現情報取得部３０７が取得するアプリケーション再現情報１１００の一例を示す図である。アプリケーション再現情報１１００は、再現情報取得部３０７がアプリケーション制御部３０２から取得する。アプリケーション再現情報１１００は、移行先端末１１０で起動すべきアプリケーションを特定する「アプリケーション名」を含む。また、アプリケーション再現情報１１００は、アプリケーション名がＷｅｂブラウザである場合、Ｗｅｂブラウザを起動する際に表示すべきＷｅｂサイトを指定する「ＵＲＬ」を含む。移行元端末１００が複数のアプリケーションを起動させている場合には、アプリケーション再現情報１１００に、この複数のアプリケーションの再現情報が含まれてもよい。例えば、表示部１０１に複数のＷｅｂサイトページが表示されている場合は、アプリケーション再現情報１１００に、複数の「ＵＲＬ」が記述されていてもよいし、特定のページ、例えば一番前面に表示されているＷｅｂサイトページの「ＵＲＬ」だけが記述されていてもよい。

アプリケーション再現情報１１００の内容は、アプリケーションの内容に依存する。このため、再現情報取得部３０７は、移行元端末１００が実行可能な各アプリケーションについて、アプリケーション再現情報１１００を構成するのに必要な情報を予め保持しておき、端末移行処理を実行する際に必要な情報をアプリケーション制御部３０２から取得してもよい。また、再現情報取得部３０７は、アプリケーション再現情報１１００を構成するのに必要な情報を保持せず、アプリケーション制御部３０２が必要な情報を再現情報取得部３０７に送信してもよい。

　図１２は、情報送信部３０８が移行先となる端末特定して通信を確立するために使用する、移行先端末情報１２００の一例を示す図である。本実施形態では、ネットワークアドレスを移行先端末情報１２００として使用する。移行先端末情報１２００は、予め登録しておいて情報送信部３０８等で保持していてもよいし、端末移行処理を実行する際にユーザに入力させてもよい。また、移行先端末情報１２００を予め登録しておく場合、複数の端末の移行先端末情報１２００を登録しておいて、端末移行処理を実行する際にどの端末に移行するかをユーザに指定させてもよい。

４．移行元端末１００で実行される処理
　次に、図１３～図１６を用いて、本発明の第１の実施形態に係る端末移行システムを構成する移行元端末１００が実行する端末移行処理を説明する。図１３は、本発明の第１の実施形態に係る移行元端末１００が実行する各種情報作成処理および端末移行処理手順の一例を示すフローチャートである。

　アプリケーション制御部３０２は、アプリケーションの起動やすでに起動しているアプリケーションにおいて表示部１０１に表示される対象が変更された場合（別サイトへの移動など）、新たにＨＴＭＬ文書を取得してオブジェクト情報一覧７００および画面表示情報８００を作成し、表示情報保持部３０４に保持する（ステップＳ１３０２）。

　入力受付部３０１は、ユーザ入力を受付可能な状態で待機する（ステップＳ１３０３）。ユーザ入力があった場合（ステップＳ１３０３：Ｙｅｓ）、入力受付部３０１は、ユーザ入力が端末移行要求であるか否かを判定する（ステップＳ１３０４）。ユーザ入力が端末移行要求ではない場合（ステップＳ１３０４：Ｎｏ）、実行中のアプリケーションに対する入力であるため、アプリケーション制御部３０２は、入力受付部３０１が受け付けたユーザ入力情報を解析し、ユーザ入力に応じたアプリケーション制御を行う（ステップＳ１３０５）。
　なお、図１３に示していないが、リンク先をクリックする等のユーザ入力により、表示部１０１に表示される対象が変更される場合（別サイトへの移動など）は、端末移行処理がステップＳ１３０２に戻り、アプリケーション制御部３０２は、新たにＨＴＭＬ文書を取得してオブジェクト情報一覧７００および画面表示情報８００を作成し、表示情報保持部３０４に保持する（ステップＳ１３０２）。

　アプリケーション制御部３０２は、上記ステップＳ１３０５で行ったアプリケーション制御により、表示部１０１に表示される内容および／または範囲が変更されたか否かを判断する（ステップＳ１３０６）。表示内容の変更とは、例えば、新しいウィンドウが開かれて新しい画面が作成された場合、既存のウィンドウが閉じられて画面がなくなった場合や、表示内容が更新された場合などである。表示範囲の変更とは、例えば、ウィンドウの大きさが変更された場合や、ピンチイン／ピンチアウトにより表示内容の縮小／拡大がなされた場合などである。

　上記ステップＳ１３０６において表示内容が変更された場合、アプリケーション制御部３０２は、表示情報保持部３０４が保持するオブジェクト情報一覧７００を更新する（ステップＳ１３０７）。なお、表示内容が変更されていない場合には、このステップＳ１３０７の処理は不要である。また、上記ステップＳ１３０６において表示範囲が変更された場合、アプリケーション制御部３０２は、表示情報保持部３０４が保持する画面表示情報８００を更新する（ステップＳ１３０８）。なお、表示範囲が変更されていない場合には、このステップＳ１３０８の処理は不要である。そして、アプリケーション制御部３０２は、表示部１０１に表示される内容や範囲の変更を生じさせたユーザ操作を、操作情報保持部３０３が保持する操作履歴情報一覧６００に追加する（ステップＳ１３０９）。

　一方、ユーザ入力が端末移行要求であると入力受付部３０１が判定した場合（ステップＳ１３０４：Ｙｅｓ）、アプリケーション制御部３０２は、情報送信部３０８に端末移行要求を指示する（ステップＳ１３１０）。情報送信部３０８は、端末移行要求の指示を受けて、表示位置情報取得部３０６に表示位置情報一覧１０００の取得を指示し、表示位置情報取得部３０６は、操作位置情報取得部３０５に操作位置情報一覧９００の取得を指示する。この指示を受けた操作位置情報取得部３０５は、操作履歴情報一覧６００を取得し、操作位置情報一覧９００を生成する（ステップＳ１３１１）。操作位置情報取得部３０５が操作位置情報一覧９００を生成する処理については、図１４Ａを用いて後述する。表示位置情報取得部３０６は、操作位置情報取得部３０５から操作位置情報一覧９００を入力して、表示位置情報一覧１０００を生成する（ステップＳ１３１２）。表示位置情報取得部３０６が表示位置情報一覧１０００を生成する処理については、図１５Ａを用いて後述する。

　次に、情報送信部３０８は、再現情報取得部３０７にアプリケーション再現情報１１００の取得を指示し、再現情報取得部３０７は、アプリケーション制御部３０２からアプリケーション再現情報１１００を取得する（ステップＳ１３１３）。そして、情報送信部３０８は、移行先端末情報１２００を取得して移行先端末１１０との通信を確立し、再現情報取得部３０７から取得したアプリケーション再現情報１１００と表示位置情報取得部３０６から取得した表示位置情報一覧１０００とを、移行先端末１１０に送信して処理を終了する（ステップＳ１３１４）。

　ここで、図１３に示す処理を、具体例を挙げて説明する。
　以下、移行元端末１００がＷｅｂブラウザの表示画面としてＵＲＬ「ｈｔｔｐ：／／ｉｎｔｅｒｎｅｔｎｅｗｓ．ｃｏ．ｊｐ」のＷｅｂサイトページ２００（図２）を表示し、ユーザが表示画面をスクロール操作した後に、スクロール後の表示画面を移行先端末１１０に端末移行する処理について説明する。

　アプリケーション制御部３０２は、ＵＲＬ「ｈｔｔｐ：／／ｉｎｔｅｒｎｅｔｎｅｗｓ．ｃｏ．ｊｐ」のＨＴＭＬ文書５００（図５）をＷｅｂサーバから取得する。そして、アプリケーション制御部３０２は、ＨＴＭＬ文書を解釈し、各オブジェクトのレイアウト情報を決定して、Ｗｅｂサイトページ２００を作成する。本実施形態では、新規にＷｅｂサイトが開かれた場合に、Ｗｅｂサイトページ２００の左上部を基準とした表示範囲２０１が表示される。このＷｅｂサイトページ２００が作成される過程で、オブジェクト情報一覧７００が作成されると共に、Ｗｅｂサイトページ２００の幅「８００」および高さ「１２００」が、画面表示情報８００の「Ｗｅｂサイトページ幅」および「Ｗｅｂサイトページ高さ」にそれぞれ記述される。また、画面表示情報８００の「Ｗｅｂサイトページ表示開始位置Ｘ座標」および「Ｗｅｂサイトページ表示開始位置Ｙ座標」には、それぞれ初期値である「０」が、「Ｗｅｂサイトページ表示倍率」には初期値である「１．００」が、「表示画面幅」および表示画面高さには表示部１０１の画面幅「８００」および高さ「６００」が、それぞれ記述される（ステップＳ１３０２）。

　次に、ユーザが表示部１０１に収まりきらないＷｅｂサイトページ２００の内容を見るため、画面をスクロールさせる操作は、入力受付部３０１によってユーザ入力があると判定される（ステップＳ１３０３：Ｙｅｓ）。このユーザ入力は端末移行要求ではないため（ステップＳ１３０４：Ｎｏ）、アプリケーション制御部３０２は、ユーザ入力に従ってＷｅｂサイトページ２００を上方向へ２００ドット分スクロールさせる（ステップＳ１３０５）。これにより、表示部１０１に表示される内容は、表示範囲２０１から表示範囲２０２に変更される（図２）。

　表示部１０１の表示がＷｅｂサイトページ２００の上方向へ２００ドット分スクロールされたため（ステップＳ１３０６：Ｙｅｓ）、アプリケーション制御部３０２は、画面表示情報８００（図８Ａ）のＷｅｂサイトページ表示開始位置Ｙ座標を「０」から「２００」に変更する、つまり画面表示情報８０１（図８Ｂ）に更新される（ステップＳ１３０８）。なお、スクロールしても表示対象はＷｅｂサイトページ２００に変わりないため、オブジェクト情報一覧７００は更新されない。そして、このスクロールの操作履歴６０１が、操作履歴情報一覧６００に追加される（ステップＳ１３０９）。

　その後、入力受付部３０１によってユーザから端末移行要求が受け付けられると（ステップＳ１３０４：Ｙｅｓ）、情報送信部３０８は、操作位置情報一覧９００および表示位置情報一覧１０００を取得し（ステップＳ１３１１、Ｓ１３１２）、アプリケーション名「Ｗｅｂブラウザ」およびＵＲＬ「ｈｔｔｐ：／／ｉｎｔｅｒｎｅｔｎｅｗｓ．ｃｏ．ｊｐ」が記述されたアプリケーション再現情報１１００を生成する（ステップＳ１３１３）。そして、情報送信部３０８は、移行先端末情報１２００を取得して、ネットワークアドレスが「１９２．１００．１．１０」である移行先端末１１０にアクセスして通信を確立し、アプリケーション再現情報１１００および表示位置情報一覧１０００を送信する（ステップＳ１３１４）。

　次に、操作位置情報取得部３０５が実行する操作位置情報一覧９００の取得処理（図１３、ステップＳ１３１１）を説明する。図１４Ａは、操作位置情報取得部３０５が操作位置情報一覧９００を取得する処理手順の一例を示すフローチャートである。

　操作位置情報取得部３０５は、表示位置情報取得部３０６から操作位置情報取得の指示があると、表示情報保持部３０４から画面表示情報８００を取得する（ステップＳ１４０１）。また、操作位置情報取得部３０５は、操作履歴情報一覧６００の中から有効な（または重要な）操作履歴を抽出する（ステップＳ１４０２）。本実施形態では、「操作時刻」が最新の１つの操作履歴６０１を有効な操作履歴とする。なお、有効な操作履歴として、一定の期間に含まれる操作時刻を持つ操作履歴や、所定数に含まれる操作履歴や、所定の条件（操作内容など）を満たす操作履歴を、複数用いてもよい。また、ユーザがＷｅｂブラウザなどのアプリケーションに対してではない操作を表示部１０１上で行う場合には、当該アプリケーションへの操作履歴から有効な操作履歴を決定してもよい。例えば、操作履歴の「引数１」および「引数２」には移行元端末の表示画面上における座標情報が含まれているため、当該アプリケーションを表示しているウィンドウ内にこの座標が含まれているか否かを判定する。具体的には、画面表示情報の「表示画面幅」、「表示画面高さ」、「ウィンドウＸ軸情報」、「ウィンドウＹ軸情報」から、移行元端末の表示画面上における当該アプリケーションの表示範囲を特定し、操作履歴の「引数１」および「引数２」の座標情報が、表示範囲内に含まれているかどうかを判定する。次に、操作位置情報取得部３０５は、抽出した有効な操作履歴の「操作内容」が、スクロール（ステップＳ１４０３）、ピンチインまたはピンチアウト（ステップＳ１４０５）、カーソル移動（ステップＳ１４０７）、およびクリック（ステップＳ１４０９）のいずれであるか判定する。

　操作内容が「スクロール」であった場合（ステップＳ１４０３：Ｙｅｓ）、操作位置情報取得部３０５は、有効な操作履歴の「引数２」に記述されている情報および画面表示情報８００に記述されている情報に基づいて操作位置情報を求め、操作位置情報一覧９００に記述する（ステップＳ１４０４）。操作位置情報の「操作位置」は、次式［１］および［２］のようにして求められる。

　「操作位置Ｘ座標」＝（「引数２」のＸ座標－「ウィンドウＸ座標」）／「Ｗｅｂサイトページ表示倍率」＋「Ｗｅｂサイトページ表示開始位置Ｘ座標」　…［１］
　「操作位置Ｙ座標」＝（「引数２」のＹ座標－「ウィンドウＹ座標」）／「Ｗｅｂサイトページ表示倍率」＋「Ｗｅｂサイトページ表示開始位置Ｙ座標」　…［２］

　図６の操作履歴６０１で具体的に説明すると、以下の値が求められる。
　「操作位置Ｘ座標」＝（５００－０）／１．００＋０＝５００
　「操作位置Ｙ座標」＝（３６０－０）／１．００＋２００＝５６０

　操作内容が「ピンチイン」または「ピンチアウト」であった場合（ステップＳ１４０５：Ｙｅｓ）、操作位置情報取得部３０５は、有効な操作履歴の「引数１」に記述されている情報および画面表示情報８００に記述されている情報に基づいて操作位置情報を求め、操作位置情報一覧９００に記述する（ステップＳ１４０６）。なお、操作位置情報の「操作位置」は、上式［１］および［２］における引数２を引数１に置き換えることで、求めることができる。

　操作内容が「カーソル移動」あった場合（ステップＳ１４０７：Ｙｅｓ）、操作位置情報取得部３０５は、有効な操作履歴の「引数２」に記述されている情報および画面表示情報８００に記述されている情報に基づいて操作位置情報を求め、操作位置情報一覧９００に記述する（ステップＳ１４０８）。なお、操作位置情報の「操作位置」は、上式［１］および［２］で求めることができる。

　操作内容が「クリック」であった場合（ステップＳ１４０９：Ｙｅｓ）、操作位置情報取得部３０５は、有効な操作履歴の「引数１」に記述されている情報および画面表示情報８００に記述されている情報に基づいて操作位置情報を求め、操作位置情報一覧９００に記述する（ステップＳ１４１０）。なお、操作位置情報の「操作位置」は、上式［１］および［２］における引数２を引数１に置き換えることで、求めることができる。

　このようにして、有効な操作履歴に対応する操作位置情報を取得し、操作位置情報一覧９００を生成することができる。生成された操作位置情報一覧９００は、表示位置情報取得部３０６へ送信される（ステップＳ１４１１）。

　なお、本実施形態では、操作内容が「スクロール」、「ピンチイン」、「ピンチアウト」、「カーソル移動」、および「クリック」のいずれかである場合を一例に説明しているため、これらの操作に応じた操作位置情報の取得処理（ステップＳ１４０３～Ｓ１４１０）が行われている。しかし、これ以外の操作内容についても、同様に操作位置情報の取得処理を適宜挿入することが可能であることは言うまでもない。

　また、本実施形態では、有効な操作履歴が１つである場合を説明したが、上述したように有効な操作履歴が複数であってもよい。この場合、複数の操作位置情報を取得することとなるため、ステップＳ１４０３～Ｓ１４１０による処理が有効な操作履歴の数だけ繰り返して行われる。例えば、図１４Ｂに示すように、図１４ＡのフローチャートにステップＳ１４５１～Ｓ１４５４を追加して、ステップＳ１４０３～Ｓ１４１０を繰り返し行えばよい。なお、複数の操作位置情報を取得できたとしても、複数の操作位置情報から効果的な表示位置情報を作成できない可能性がある。そのため、操作内容や操作履歴の「時刻」情報などから重要度を決定して、この重要度を各操作位置情報に付与してもよい。

　なお、本実施形態では、「操作時刻」が最新の操作履歴を有効な操作履歴としているため、移行元端末１００が保持している最新の画面表示情報８００の「ウィンドウＸ座標」および「ウィンドウＹ座標」の値を使用している。しかし、ユーザ操作によって「ウィンドウＸ座標」および「ウィンドウＹ座標」の値は変化するため、最新の操作履歴以外の操作履歴を有効な操作履歴とする場合には、操作履歴の「操作時刻」における「ウィンドウＸ座標」および「ウィンドウＹ座標」を使用する必要がある。そのため、移行元端末１００は、画面表示情報８００の履歴をその画面表示情報が有効である時刻の情報と共に保持しておき、操作位置情報一覧９００を取得する際に、操作履歴の「操作時刻」に対応する画面表示情報８００を選択して、その選択された画面表示情報８００の「ウィンドウＸ座標」および「ウィンドウＹ座標」を利用してもよい。

　次に、表示位置情報取得部３０６が実行する表示位置情報一覧１０００の取得処理（図１３、ステップＳ１３１２）を説明する。図１５Ａは、表示位置情報取得部３０６が表示位置情報一覧１０００を取得する処理手順の一例を示すフローチャートである。

　表示位置情報取得部３０６は、情報送信部３０８から表示位置情報一覧取得の指示があると、表示情報保持部３０４からオブジェクト情報一覧７００を、操作位置情報取得部３０５から操作位置情報９０１を、それぞれ取得する（ステップＳ１５０１、Ｓ１５０２）。次に、表示位置情報取得部３０６は、操作位置情報９０１の「Ｘ座標（Ｘｏｐ）」および「Ｙ座標（Ｙｏｐ）」とオブジェクト情報一覧７００から、操作位置情報９０１の操作位置（図９Ａに示す例では（Ｘｏｐ，Ｙｏｐ）＝（５００，５６０）となる）に一番近いオブジェクトを特定する（ステップＳ１５０３）。操作位置情報から一番近いオブジェクトを特定する手順は、図１６を用いて後述する。そして、表示位置情報取得部３０６は、一番近いオブジェクトから表示位置情報を取得して、表示位置情報一覧１０００に追加する（ステップＳ１５０４）。

　ここで、タグ特定方法として「文書内タグインデックス」を用いる場合に、オブジェクトから表示位置情報を取得する方法について説明する。
　表示位置情報の「タグ特定方法」には「文書内タグインデックス」を記述し、「タグ名」には一番近いオブジェクトのオブジェクト情報から「タグ名」および「文書内タグインデックス」を参照して記述する。例えば、図７のオブジェクト情報７０２で示されるオブジェクトが特定された場合は、「タグ特定方法」には「文書内タグインデックス」を、「タグ名」には「ｐ」を、「文書内タグインデックス」には「５」を記述した表示位置情報１００１が、表示位置情報一覧１０００に追加される（図１０Ａ）。

次に、表示位置情報取得部３０６は、操作位置情報の操作内容がクリック、かつ、操作位置情報の座標に一番近いオブジェクトの表示範囲が含まれるか否かを判定する(ステップＳ１５０５)。

　ここで、操作位置情報の座標に一番近いオブジェクトの表示範囲が含まれるという判定は、具体的には、オブジェクト情報７０２に記述されるページ内表示開始位置のＸ座標ＸｐｄおよびＹ座標Ｙｐｄ、ページ内表示範囲の幅Ｗｐｄおよび高さＨｐｄ、および操作位置情報９０１の操作位置のＸ座標ＸｏｐおよびＹ座標Ｙｏｐに基づいて、次の式［３］に示す４つの条件を全て満足することで判定される。
　　Ｘｐｄ≦Ｘｏｐ
　　Ｘｏｐ≦Ｘｐｄ＋Ｗｐｄ
　　Ｙｐｄ≦Ｙｏｐ
　　Ｙｏｐ≦Ｙｐｄ＋Ｈｐｄ　　　‥‥［３］

　上記ステップＳ１５０５における判定結果がＹｅｓである場合、表示位置情報取得部３０６は、クリックにより変化したオブジェクトを特定する（ステップＳ１５０６）。このクリックにより変化したオブジェクトの特定は、オブジェクト情報一覧７００を参照し、クリックされたオブジェクトの「関連タグ」に記述されているオブジェクトか否かで行われる。

　または、クリックにより変化したオブジェクトの特定は、表示中のＷｅｂサイトのＨＴＭＬ文書から一番近いオブジェクトのｏｎｃｌｉｃｋ属性を参照して関数名を取得し、その関数で扱っているオブジェクトか否かで行われる。例えば、関数内で「ｄｏｃｕｍｅｎｔ．ｇｅｔＥｌｅｍｅｎｔＢｙＩｄ」の引数にとなっている「Ｉｄ」があれば、このＩｄのタグが関数内で取り扱われていることが分かる。
なお、アプリケーション制御部３０２では、クリックによって変化のあったオブジェクトを把握しているため、アプリケーション制御部３０２から変化のあったオブジェクトを通知してもらってもよい。

　さらには、クリックによって表示部１０１の画面に変化があったかどうかは、表示部１０１をキャプチャすることによっても検出できる。よって、例えば、定期的に表示部１０１のキャプチャ画面を取得し、クリック操作のあった時刻の前後で変化のあった表示部１０１の画面位置を特定し、そこからクリックにより変化したオブジェクトを特定してもよい。

　表示位置情報取得部３０６は、特定されたクリックにより変化したオブジェクトから表示位置情報を取得して、表示位置情報一覧１０００に追加する（ステップＳ１５０７）。そして、表示位置情報取得部３０６は、取得した表示位置情報一覧１０００を、情報送信部３０８へ送信する（ステップＳ１５０８）。

　なお、本実施形態では、操作位置情報が１つである場合を説明したが、操作位置情報が複数であってもよい。この場合、複数の表示位置情報を取得することとなるため、上記ステップＳ１５０３～Ｓ１５０７による処理が操作位置情報の数だけ繰り返して行われる。例えば、図１５Ｂに示すように、図１５ＡのフローチャートにステップＳ１５５１～Ｓ１５５４を追加して、ステップＳ１５０３～Ｓ１５０７を繰り返し行えばよい。なお、複数の表示位置情報を取得できたとしても、移行先端末１１０の表示部１１１では全ての表示位置情報に対応する箇所を一度に表示できない可能性がある。そのため、重要度を表示位置情報に付与してもよい。その場合、重要度は、操作位置情報取得部３０５から取得してもよいし、操作位置情報一覧９００に記述された操作位置と一番近いオブジェクトとの距離によって決定してもよい。また、重要度は、操作時刻が新しい操作履歴情報から作成された操作位置情報ほど高くしてもよい。また、同一の操作履歴情報からステップＳ１５０４およびステップＳ１５０７でそれぞれ表示位置情報が取得されるような場合には、どちらか一方の表示位置情報の重要度を高くするとよい。また、重要度を付与する代わりに、表示位置情報一覧内における並び方を工夫してもよい。また、表示位置情報取得部３０６は、複数の操作位置情報のうち情報が重複しているものがあれば、情報送信部３０８に送信する前に削除してもよい。

　ここで、複数の表示位置情報を取得する一例として、操作位置情報取得部３０５から操作位置情報一覧９０２（図９Ｂ）が送信された場合に、オブジェクト情報一覧７００から表示位置情報一覧１００２を取得する動作についても、説明する。

　表示位置情報取得部３０６は、操作位置情報一覧９０２に記述された操作位置情報９０３の「Ｘ座標（Ｘｏｐ）」および「Ｙ座標（Ｙｏｐ）」とオブジェクト情報一覧７００とから、操作位置情報９０３の操作位置（Ｘｏｐ，Ｙｏｐ）＝（１００，４８０）に一番近いオブジェクトを特定する（ステップＳ１５０３）。この例では、オブジェクト情報７０３を有するオブジェクトとなる。次に、表示位置情報取得部３０６は、一番近いオブジェクトから表示位置情報を取得して、表示位置情報一覧１０００に追加する。ここでは、タグ特定方法として「ｉｄ」を用いる。この場合、表示位置情報の「タグ特定方法」には「ｉｄ」を記述し、「ｉｄ名」にはオブジェクトのｉｄ属性である「ｐｌａｙ」を記述する。なお、本実施形態では、オブジェクト情報一覧７００に「ｉｄ」情報は含まれないが、オブジェクト情報一覧に「ｉｄ」情報を追加して保持していてもよいし、「ｉｄ」情報が必要な場合のみ、ＨＴＭＬ文書から取得してもよい。

　次に、表示位置情報取得部３０６は、操作位置情報の操作内容がクリック、かつ、操作位置情報の座標に一番近いオブジェクトの表示範囲が含まれるか否かを判定する（ステップＳ１５０５）。具体的には、上記式［３］に示した４つの条件を全て満足するか否かを判定する。
　　５０（Ｘｐｄ）≦１００（Ｘｏｐ）
　　１００（Ｘｏｐ）≦５０（Ｘｐｄ）＋１００（Ｗｐｄ）
　　４５０（Ｙｐｄ）≦４８０（Ｙｏｐ）
　　４８０（Ｙｏｐ）≦４５０（Ｙｐｄ）＋５０（Ｈｐｄ）

　本実施形態では、上記の通り４つの条件を全て満足するので、表示位置情報取得部３０６は、クリックにより変化したオブジェクトを特定する（ステップＳ１５０６）。表示位置情報取得部３０６は、一番近いオブジェクトであると判定されたｉｄ名が「ｐｌａｙ」のオブジェクトに、関連タグがあるかどうかを判定する。ｉｄ名が「ｐｌａｙ」のオブジェクトは、オブジェクト情報７０３であるため、関連タグ欄に記載された「（ｖｉｄｅｏ，１）」の値から、ＨＴＭＬ文書５００内で１番目に出現する、タグ名が「ｖｉｄｅｏ」のオブジェクト、すなわちｉｄ名が「ｔｏｐｎｅｗｓ」であるオブジェクトを特定する。特定したオブジェクトからタグ特定方法「ｉｄ」およびｉｄ名「ｔｏｐｎｅｗｓ」である表示位置情報一覧１００４を取得して、表示位置情報一覧１００２に追加する。（ステップＳ１５０７）。
　ここで、クリックにより変化したオブジェクトの別の特定方法について説明する。表示位置情報取得部３０６は、表示中のＷｅｂサイトページ２００のＨＴＭＬ文書５００を取得し、一番近いオブジェクトであると判定されたｉｄ名が「ｐｌａｙ」のオブジェクトのｏｎｃｌｉｃｋ属性を参照して、関数名である「ｐｌａｙＶｉｄｅｏ」を取得する。そして、表示位置情報取得部３０６は、その関数の中で「ｄｏｃｕｍｅｎｔ．ｇｅｔＥｌｅｍｅｎｔＢｙＩｄ」の引数にとなっているＩｄから、ｉｄ名が「ｔｏｐｎｅｗｓ」であるオブジェクトを特定する。特定したオブジェクトからタグ特定方法「ｉｄ」、ｉｄ名「ｔｏｐｎｅｗｓ」である表示位置情報一覧１００４を取得して、表示位置情報一覧１００２に追加する。（ステップＳ１５０７）。

　次に、表示位置情報取得部３０６が実行する操作位置情報から一番近いオブジェクトを特定する処理（図１５Ａ、Ｓ１５０３）を説明する。図１６は、表示位置情報取得部３０６が一番近いオブジェクトを特定する処理手順の一例を示すフローチャートである。

　表示位置情報取得部３０６は、オブジェクト情報一覧７００から任意の１つのオブジェクト情報について、ページ内表示開始位置のＸ座標（Ｘｐｄ）およびＹ座標（Ｙｐｄ）、ページ内表示範囲の幅（Ｗｐｄ）および高さ（Ｈｐｄ）を取得し、また操作位置情報９０１の操作位置のＸ座標（Ｘｏｐ）およびＹ座標（Ｙｏｐ）を取得する（ステップＳ１６０２）。また、変数ＸＤと変数ＹＤに「０」が代入される（ステップＳ１６０３）。

　次に、表示位置情報取得部３０６は、取得したオブジェクト情報の「ページ内表示開始位置Ｘ座標」の値が「操作位置Ｘ座標」の値より小さいか否かを判定する（ステップＳ１６０４）。このステップＳ１６０４の判定結果がＮｏであれば、変数ＸＤに「ページ内表示開始位置Ｘ座標」－「操作位置Ｘ座標」の値が代入され、ステップＳ１６０８に進む（ステップＳ１６０５）。一方、ステップＳ１６０４の判定結果がＹｅｓであれば、表示位置情報取得部３０６は、「操作位置Ｘ座標」の値が「ページ内表示開始位置Ｘ座標」＋「ページ内表示範囲幅」によって得られた値より小さいか否かを判定する（ステップＳ１６０６）。

　上記ステップＳ１６０６の判定結果がＮｏであれば、変数ＸＤに「操作位置Ｘ座標」－「ページ内表示開始位置Ｘ座標」＋「ページ内表示範囲幅」の値が代入され、ステップＳ１６０８に進む（ステップＳ１６０７）。一方、上記ステップＳ１６０６の判定結果がＹｅｓ、もしくはステップＳ１６０５またはＳ１６０７の処理を終了した場合、表示位置情報取得部３０６は、「ページ内表示開始位置Ｙ座標」の値が「操作位置Ｙ座標」の値より小さいか否かを判定する（ステップＳ１６０８）。

　上記ステップＳ１６０８の判定結果がＮｏであれば、変数ＹＤに「ページ内表示開始位置Ｙ座標」－「操作位置Ｙ座標」の値が代入され、ステップＳ１６１２に進む（ステップＳ１６０９）。一方、上記ステップＳ１６０８の判定結果がＹｅｓであれば、表示位置情報取得部３０６は、「操作位置Ｙ座標」の値が「ページ内表示開始位置Ｙ座標」＋「ページ内表示範囲高さ」によって得られた値より小さいか否かを判定する（ステップＳ１６１０）。

　上記ステップＳ１６１０の判定結果がＮｏであれば、変数ＹＤに「操作位置Ｙ座標」－「ページ内表示開始位置Ｙ座標」＋「ページ内表示範囲高さ」の値が代入され、ステップＳ１６１２に進む（ステップＳ１６１１）。一方、上記ステップＳ１６１０の判定結果がＹｅｓ、もしくはステップＳ１６０９またはＳ１６１１の処理を終了した場合、表示位置情報取得部３０６は、（ＸＤ×ＸＤ＋ＹＤ×ＹＤ）の値をオブジェクトと対応付けて記憶する（ステップＳ１６１２）。

　上記ステップＳ１６０３～Ｓ１６１２の処理は、オブジェクト情報一覧７００に記述される全てのオブジェクト情報を対象として繰り返し実行される（ステップＳ１６０１、Ｓ１６０２、Ｓ１６１３、Ｓ１６１４）。そして、全てのオブジェクトに対して処理が完了すると、表示位置情報取得部３０６は、（ＸＤ×ＸＤ＋ＹＤ×ＹＤ）の値が一番小さなオブジェクト情報のオブジェクトを一番近いオブジェクトと特定する（ステップＳ１６１５）。

　例えば、本実施形態では、操作位置情報９０１は「操作位置Ｘ座標」＝「５００」および「操作位置Ｙ座標」＝「５６０」であり、オブジェクト情報７０１は「ページ内表示開始位置Ｘ座標」＝「５０」、「ページ内表示開始位置Ｙ座標」＝「２５０」、「ページ内幅」＝「３２０」、および「ページ内高さ」＝「１８０」である。

　この場合、ステップＳ１６０４がＹｅｓかつステップＳ１６０６がＮｏであるため、変数ＸＤに「５００」－（「５０」＋「３２０」）の値である「１３０」が代入される。また、ステップＳ１６０８がＹｅｓかつステップＳ１６１０がＮｏであるため、変数ＹＤに「５６０」－（「２５０」＋「１８０」）の値である「１３０」が代入される。そして、変数ＸＤの値が「１３０」、変数ＹＤの値が「１３０」であるため、（ＸＤ×ＸＤ＋ＹＤ×ＹＤ）の値である「３３８００」が、オブジェクト情報７０１で表されるオブジェクトと対応付けて記憶される。

５．移行先端末１１０で実行される処理
　次に、図１７～図１９を用いて、本発明の第１の実施形態に係る端末移行システムを構成する移行先端末１１０が実行する端末移行処理を説明する。
　図１７は、本発明の第１の実施形態に係る移行先端末１１０の端末移行処理手順の一例を示すフローチャートである。

　この図１７に示す処理は、移行先端末１１０が移行元端末１００からデータを受信すると開始される。情報受信部３１１は、移行元端末１１０からデータ受信すると（ステップＳ１７０１）、受信したデータにアプリケーション再現情報が含まれているか否かを判定する（ステップＳ１７０２）。アプリケーション再現情報が含まれている場合（ステップＳ１７０２：Ｙｅｓ）、アプリケーション制御部３１２は、アプリケーション再現情報で指定されているアプリケーションを起動して、（ステップＳ１７０３）アプリケーションを制御する（ステップ１７０４）。本実施形態では、ＵＲＬ「ｈｔｔｐ：／／ｉｎｔｅｒｎｅｔｎｅｗｓ．ｃｏ．ｊｐ」が指定されているため、アプリケーション制御部３１２は、ＨＴＭＬ文書５００をＷｅｂサーバから取得してＨＴＭＬ文書を解釈し、各オブジェクトのレイアウト情報を決定して、Ｗｅｂサイトページ２００を作成する。なお、移行元端末１００と同様の手法で、この過程においてオブジェクト情報一覧および画面表示情報も作成してもよい。

　次に、情報受信部３１１は、受信したデータに表示位置情報が含まれているか否かを判定する（ステップＳ１７０５）。表示位置情報が含まれている場合（ステップＳ１７０５：Ｙｅｓ）、アプリケーション制御部３１２は、表示位置情報に基づいて表示位置を制御する（ステップＳ１７０６）。表示位置の制御については、図１８を参照して後述する。
　一方、移行元端末１００から受信したデータに、アプリケーション再現情報も表示位置情報も含まれていない場合には、この端末移行処理は実行されずに終了する。

　次に、表示位置補正部３１３が実行する表示位置補正処理（図１７、ステップＳ１７０６）を説明する。図１８は、表示位置補正部３１３が実行する表示位置補正処理手順の一例を示すフローチャートである。

　始めに、変数Ｎに「１」、変数ｍｉｎＸに「０」、変数ｍｉｎＹに「０」、変数ｍａｘＸに「０」、変数ｍａｘＹに「０」、変数ｓｃａｌｅに「１」が、それぞれ代入される（ステップＳ１８０１）。表示位置補正部３１３は、Ｎ番目の表示位置情報を取得し（ステップＳ１８０２）、このＮ番目の表示位置情報に対応するオブジェクトの「ページ内表示開始位置Ｘ座標（Ｘｐｄ）」、「ページ内表示開始位置Ｙ座標（Ｙｐｄ）」、「ページ内表示範囲幅（Ｗｐｄ）」、および「ページ内表示範囲高さ（Ｈｐｄ）」を取得する（ステップＳ１８０３）。

　次に、表示位置補正部３１３は、「ｍｉｎＸ＞ページ内表示開始位置Ｘ座標」もしくは「Ｎ＝１」のいずれかを満たすか否かを判定する（ステップＳ１８０４）。ステップＳ１８０４の判定結果がＹｅｓであれば、変数ｍｉｎＸに「ページ内表示開始位置Ｘ座標（Ｘｐｄ）」の値が代入される（ステップＳ１８０５）。
　次に、表示位置補正部３１３は、「ｍｉｎＹ＞ページ内表示開始位置Ｙ座標」もしくは「Ｎ＝１」のいずれかを満たすか否かを判定する（ステップＳ１８０６）。ステップＳ１８０６の判定結果がＹｅｓであれば、変数ｍｉｎＹに「ページ内表示開始位置Ｙ座標（Ｙｐｄ）」の値が代入される（ステップＳ１８０７）。
　次に、表示位置補正部３１３は、「ｍａｘＸ＜ページ内表示開始位置Ｘ座標＋ページ内表示範囲幅」を満たすか否かを判定する（ステップＳ１８０８）。ステップＳ１８０８の判定結果がＹｅｓであれば、変数ｍａｘＸに「ページ内表示開始位置Ｘ座標（Ｘｐｄ）＋ページ内表示範囲幅（Ｗｐｄ）」の値が代入される（ステップＳ１８０９）。
　最後に、表示位置補正部３１３は、「ｍａｘＹ＜ページ内表示開始位置Ｙ座標＋ページ内表示範囲高さ」を満たすか否かを判定する（ステップＳ１８１０）。ステップＳ１８１０の判定結果がＹｅｓであれば、変数ｍａｘＹに「ページ内表示開始位置Ｙ座標（Ｙｐｄ）＋ページ内表示範囲高さ（Ｈｐｄ）」の値が代入される（ステップＳ１８１１）

　上記ステップＳ１８０３～Ｓ１８１１の処理は、表示位置情報の数だけ繰り返して実行される（ステップＳ１８０２、Ｓ１８０３、Ｓ１８１２、Ｓ１８１３）。全てのオブジェクトについて上記ステップＳ１８０３～Ｓ１８１１の処理が終了すると（ステップＳ１８１３：Ｎｏ）、表示位置補正部３１３は、「画面表示幅／（ｍａｘＸ－ｍｉｎＸ）＜ｓｃａｌｅ」を満たすか否かを判定する（ステップＳ１８１４）。ステップＳ１８１４の判定結果がＹｅｓであれば、変数ｓｃａｌｅに「画面表示幅／（ｍａｘＸ－ｍｉｎＸ）」の値が代入される（ステップＳ１８１５）。
　また、表示位置補正部３１３は、「画面表示高さ／（ｍａｘＹ－ｍｉｎＹ）＜ｓｃａｌｅ」を満たすか否かを判定する（ステップＳ１８１６）。ステップＳ１８１６の判定結果がＹｅｓであれば、変数ｓｃａｌｅに「画面表示高さ／（ｍａｘＹ－ｍｉｎＹ）」の値が代入される（ステップＳ１８１７）。

　さらに、表示位置補正部３１３は、変数ｓｃａｌｅの値が「１」であるか否かを判定する（ステップＳ１８１８）。ステップＳ１８１８の判定結果がＹｅｓであれば、表示位置補正部３１３は、Ｗｅｂサイトの表示開始位置を補正する、すなわち表示画面の左上位置に表示されるＷｅｂサイト内の座標位置を、Ｘ座標＝ｍｉｎＸおよびＹ座標＝ｍｉｎＹに設定する（ステップＳ１８２０）。一方、ステップＳ１８１８の判定結果がＮｏであれば、表示位置補正部３１３は、Ｗｅｂサイトの表示開始位置および縮尺を補正する、すなわち表示画面の左上位置に表示されるＷｅｂサイト内の座標位置をＸ座標＝ｍｉｎＸおよびＹ座標＝ｍｉｎＹと設定し、かつＷｅｂサイトの表示サイズをｓｃａｌｅの値に従って拡大または縮小させる（ステップＳ１８１９）。

　このように、本発明の表示位置補正処理では、上記ステップＳ１８０３～Ｓ１８１１の処理を表示位置情報の数だけ繰り返して実行することで、表示位置情報で指定された全てのオブジェクトが表示画面の端で欠けることがなく全て表示させるために必要なＷｅｂサイトのサイズが幅「ｍａｘＸ－ｍｉｎＸ」および高さ「ｍａｘＹ－ｍｉｎＹ」として求めることができる。
さらに、本発明の表示位置補正処理では、上記ステップＳ１８１４～Ｓ１８１８の処理により、移行先端末１１０の表示画面の幅および高さと、表示位置情報で指定された全てのオブジェクト表示するために必要なＷｅｂサイトの幅「ｍａｘＸ－ｍｉｎＸ」および高さ「ｍａｘＹ－ｍｉｎＹ」とを比較することで、表示位置情報で指定された全てのオブジェクトを表示画面中に表示可能かどうかを判定している。
　そして、本発明の表示位置補正処理では、全てのオブジェクトを表示可能な場合は、Ｗｅｂサイトの表示開始位置を補正して表示する。また、全てのオブジェクトが表示不可能な場合には、この例ではＷｅｂサイトの表示を縮小して表示画面に表示することで、表示位置情報で指定された全てのオブジェクトを表示画面に表示する。
　これにより、表示位置や縮尺を補正することで、移行元端末１００でユーザが注目していた部分を移行先端末１１０に表示することができる。

　なお、表示位置情報で指定された全てのオブジェクトの一部が表示されればよい場合には、ステップＳ１８０８、Ｓ１８０９で用いる「ページ内表示範囲幅（Ｗｐｄ）」およびステップＳ１８１０、Ｓ１８１１で用いる「ページ内表示範囲高さ（Ｈｐｄ）」を、それぞれ「０」以上の任意の値に置き換えてもよい。

　なお、表示位置情報で指定された全てのオブジェクトが表示画面中に表示できない場合、変数ｓｃａｌｅの値に従ってＷｅｂサイトを縮小すると、文字や画像が小さくなりすぎて見にくくなることがある。そのため、ステップＳ１８１９とは異なる方法で表示を補正してもよい。
　例えば、方法Ａ）表示位置情報で指定されたオブジェクトのうち、なるべく多くのオブジェクトが表示される表示範囲を検索して、表示位置を補正してもよい。また、方法Ｂ）表示位置情報一覧の先頭もしくは優先度の高い表示位置情報として指定されたオブジェクトがなるべく多く表示される表示範囲を検索して、表示位置を補正してもよい。また、方法Ｃ）表示位置情報一覧の先頭もしくは優先度の一番高い表示位置情報として指定されたオブジェクトが表示され、かつ、それ以外の表示位置情報として指定されたオブジェクトがより少ないユーザ操作で表示可能な表示範囲を検索して、表示位置を補正してもよい。なお、上記方法Ａ、Ｂ、およびＣによる補正の際、Ｗｅｂサイトの縮尺は行わなくてもよいし、変数ｓｃａｌｅとは異なる値でＷｅｂサイトを縮尺してもよい。

　図１９は、上記方法Ｃによる表示位置を補正する方法の一例を示す図である。
　Ｗｅｂサイトページ２００において、文字列「海外」のオブジェクト１９０１が表示位置情報一覧の優先度の一番高い表示位置情報として指定されたオブジェクトであり、文字列「経済」のオブジェクト１９０２が表示位置情報一覧の優先度が低い表示位置情報として指定されたオブジェクトであるとする。この場合、Ｗｅｂサイトページ２００上で、オブジェクト１９０２はオブジェクト１９０１の左上にあるため、オブジェクト１９０１が右下に来るように表示範囲１９０３を設定する。これにより、オブジェクト１９０１が左上に来るように表示範囲を設定した場合に比べて、より少ないスクロール動作でオブジェクト１９０２を表示することが可能となる。

　なお、Ｗｅｂブラウザでは、アンカータグなどを用いて、Ｗｅｂサイトページ２００をページの先頭ではなく、特定のタグなどから表示する技術は、一般的に知られている。よって、アプリケーション制御部３１２および表示位置補正部３１３において、表示位置情報一覧１０００を用いて表示位置を補正する技術については、説明を省略する。

　以上のように、本発明の第１の実施形態に係る端末移行システムによれば、端末移行処理時には、移行元端末１００の表示部１０１においてユーザが操作や視聴をしていた表示箇所が、移行先端末１１０の表示部１１１にも引き継いで表示される。
　これにより、移行元端末１００で行っていた処理を移行先端末１１０で再開するにあたり、ユーザは、表示内容の拡大／縮小や画面スクロールなどのアクションを行う必要がなくなり、スムーズな端末移行が可能となる。

　　＜第２の実施形態＞
　図２０は、本発明の第２の実施形態に係る端末移行システムを構成する移行元端末１２０および移行先端末１１０の構成を示す図である。移行元端末１２０は、端末移行装置３２０、入力受付部３０１、アプリケーション制御部３０２、操作情報保持部３０３、表示情報保持部３０４、外部接続部３０９、表示部１０１、カメラ部３２６を備える。端末移行装置３２０は、注目位置情報取得部３２５、表示位置情報取得部３０６、再現情報取得部３０７、および情報送信部３０８を備える。

　図２０に示すように、本第２の実施形態に係る端末移行システムは、上記第１の実施形態に係る端末移行システムと、移行元端末１２０におけるカメラ部３２６および注目位置情報取得部３２５の構成が異なる。第２の実施形態に係る端末移行システムにおけるその他の構成は、上記第１の実施形態に係る端末移行システムと同様であるため説明を省略する。なお、第２の実施形態では、操作情報を使用しないため操作情報保持部３０３を省略することが可能である。

１．移行元端末１２０が備える構成の概略および保持する情報
　以下、図２１および図２２をさらに用いて、上記第１の実施形態に係る端末移行システムと異なる構成である、カメラ部３２６および注目位置情報取得部３２５の概要およびそれらが保持する情報を説明する。

　カメラ部３２６は、ＣＭＯＳやＣＣＤなどのイメージセンサを備えた撮像装置であり、例えば図２１に示すように、表示部１０１を見ているユーザの顔を撮影できる位置に設けられる。このカメラ部３２６は、一定時間ごとに撮影を行い、撮影された写真に写っているユーザの眼球の向き（視線）やカメラと表示部１０１の画面との位置関係から、ユーザが表示画面のどの位置を見ているか（視点）を特定する。そして、カメラ部３２６は、各写真で特定したユーザの視点を視点履歴情報一覧として保持する。なお、カメラによる視線検出の技術は一般的に知られているため、ここでは説明を省略する。

　図２２は、カメラ部３２６が保持している視点履歴情報一覧２２００を模式的に例示した図である。視点履歴情報一覧２２００は、ユーザの画面上の視点位置を時系列に一定期間保存した情報である。視点履歴情報一覧２２００には、視点の表示部１０１上での座標位置をＸＹ座標で示す「視点座標」を含む。視点座標の単位はドットである。また、視点履歴情報一覧２２００は、視点履歴が入力された時刻を示す「時刻」を含んでいてもよい。図２２の視点履歴情報一覧２２００では、西暦年月日を表す８桁の日付情報、時分秒を表す６桁の時間情報、および１／１００秒を表す３桁のミリ秒情報を、ハイフンで結んだ形式の時刻を例示している。

　上記第１の実施形態と同様、情報送信部３０８は、入力受付部３０１から端末移行要求の指示を受けて、表示位置情報取得部３０６に表示位置情報一覧の取得を指示する。この指示に応じて、表示位置情報取得部３０６は、注目位置情報取得部３２５に注目位置情報一覧の取得を指示する。注目位置情報取得部３２５は、表示位置情報取得部３０６から視点情報取得の要求があると、カメラ部３２６が保持する視点履歴情報一覧２２００から視点情報を取得するために必要な１つ以上の視点履歴を取得する。そして、注目位置情報取得部３２５は、取得した視点履歴から注目位置情報一覧を生成して、表示位置情報取得部３０６に送信する。

　図２３は、注目位置情報取得部３２５が保持する注目位置情報一覧２３００の一例を示す図である。注目位置情報一覧２３００は、Ｗｅｂサイトページ２００におけるユーザの注目位置、すなわち視点を特定するための情報であり、Ｗｅｂサイトページ２００上での注目位置の「Ｘ座標（Ｘｏｐ）」および「Ｙ座標（Ｙｏｐ）」を含む。Ｘ座標およびＹ座標の単位は、ドットである。注目位置情報一覧２３００の各行が１つの注目位置情報である。

　表示位置情報取得部３０６は、注目位置情報取得部３２５から注目位置情報一覧２３００を取得すると、表示情報保持部３０４からオブジェクト情報一覧７００および画面表示情報８００を取得する。そして、表示位置情報取得部３０６は、注目位置情報一覧２３００、オブジェクト情報一覧７００、および画面表示情報８００から表示位置情報一覧１０００を生成し、情報送信部３０８に送信する。

２．移行元端末１２０で実行される処理
　次に、図２４～図２６Ｂを用いて、本発明の第２の実施形態に係る端末移行システムを構成する移行元端末１２０が実行する端末移行処理を説明する。
　図２４は、本発明の第２の実施形態に係る移行元端末１２０が実行する各種情報作成処理および端末移行処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図２４において図１３に示した処理と同一の処理を行うステップには、同一の参照符号を付して説明を省略する。

　ステップＳ１３０４において、ユーザ入力が端末移行要求であると入力受付部３０１が判定した場合（ステップＳ１３０４：Ｙｅｓ）、アプリケーション制御部３０２は、情報送信部３０８に端末移行要求を指示する（ステップＳ１３１０）。情報送信部３０８は、端末移行要求の指示を受けて、表示位置情報取得部３０６に表示位置情報一覧１０００の取得を指示し、表示位置情報取得部３０６は、注目位置情報取得部３２５に注目位置情報一覧２３００の取得を指示する。この指示を受けた注目位置情報取得部３２５は、視点履歴情報一覧２２００を取得し、注目位置情報一覧２３００を生成する（ステップＳ２４１１）。注目位置情報取得部３２５が注目位置情報一覧２３００を生成する処理については、図２５Ａを用いて後述する。そして、表示位置情報取得部３０６は、注目位置情報取得部３２５から注目位置情報一覧２３００を入力して、表示位置情報一覧１０００を生成する（ステップＳ２４１２）。表示位置情報取得部３０６が表示位置情報一覧１０００を生成する処理については、図２６Ａを用いて後述する。

　次に、注目位置情報取得部３２５が実行する注目位置情報一覧２３００の取得処理（図２４、ステップＳ２４１１）を説明する。図２５Ａは、注目位置情報取得部３２５が注目位置情報一覧２３００を取得する処理手順の一例を示すフローチャートである。

　注目位置情報取得部３２５は、表示位置情報取得部３０６から注目位置情報取得の指示があると、表示情報保持部３０４から画面表示情報８００を取得する（ステップＳ２５０１）。また、注目位置情報取得部３２５は、視点履歴情報一覧２２００から有効な視点履歴を決定する（ステップＳ２５０２）。本実施形態では、「時刻」が最新の１つの視点履歴を有効な視点履歴とする。なお、有効な視点履歴として、一定の期間に含まれる時刻を持つ視点履歴や、所定数に含まれる視点履歴や、所定の条件（表示部１０１のある領域に多く集中するなど）を満たす視点履歴を、複数用いてもよい。

　次に、注目位置情報取得部３２５は、有効な視点履歴から注目位置情報を取得し、注目位置情報一覧２３００に追加する（ステップ２５０３）。注目位置情報の「注目位置」は、次式［４］および［５］のようにして求められる。
　「Ｘ座標」＝（「視点座標」のＸ座標－「ウィンドウＸ座標」）／（「Ｗｅｂサイトページ表示倍率」）＋「Ｗｅｂサイトページ表示開始位置Ｘ座標」　…［４］
　「Ｙ座標」＝（「視点座標」のＹ座標－「ウィンドウＹ座標」）／（「Ｗｅｂサイトページ表示倍率」）＋「Ｗｅｂサイトページ表示開始位置Ｙ座標」　…［５］

　図２２の視点履歴２２０１で具体的に説明すると、以下の値が求められる。
　「注目位置Ｘ座標」＝（５００－０）／１．００＋０＝５００
　「注目位置Ｙ座標」＝（３６０－０）／１．００＋２００＝５６０

　このようにして、有効な視点履歴に対応する注目位置情報を取得し、注目位置情報一覧２３００を生成することができる。生成された注目位置情報一覧２３００は、表示位置情報取得部３０６へ送信される（ステップＳ２５０４）。

　また、本実施形態では、有効な視点履歴が１つである場合を説明したが、上述したように有効な視点履歴が複数であってもよい。この場合、複数の視点位置情報を取得することとなるため、ステップＳ２５０３による処理が有効な視点履歴の数だけ繰り返して行われる。例えば、図２５Ｂに示すように、図２５ＡのフローチャートにステップＳ２５５１～Ｓ２５５４を追加して、ステップＳ２５０３を繰り返し行えばよい。なお、複数の視点位置情報を取得できたとしても、複数の視点位置情報から効果的な表示位置情報を作成できない可能性がある。そのため、視点履歴の時刻などから重要度を決定して、この重要度を各操作位置情報に付与してもよい。

　次に、表示位置情報取得部３０６が実行する表示位置情報一覧１０００の取得処理（図２４、ステップＳ２４１２）を説明する。図２６Ａは、表示位置情報取得部３０６が表示位置情報一覧１０００を取得する処理手順の一例を示すフローチャートである。

　表示位置情報取得部３０６は、情報送信部３０８から表示位置情報一覧取得の指示があると、表示情報保持部３０４からオブジェクト情報一覧７００を、注目位置情報取得部３２５から注目位置情報２３０１を、それぞれ取得する（ステップＳ２６０１、Ｓ２６０２）。次に、表示位置情報取得部３０６は、注目位置情報２３０１の「Ｘ座標（Ｘｏｐ）」および「Ｙ座標（Ｙｏｐ）」とオブジェクト情報一覧７００から、注目位置情報２３０１の注目位置（図２３に示す例では（Ｘｏｐ，Ｙｏｐ）＝（５００，５６０）となる）に一番近いオブジェクトを特定する（ステップＳ２６０３）。注目位置情報から一番近いオブジェクトを特定する手順は、上記第１の実施形態において図１６を用いて説明した手順と同じであり、「操作位置」を「注目位置」に置き換えることで実現できる。そして、表示位置情報取得部３０６は、一番近いオブジェクトから表示位置情報を取得して、表示位置情報一覧１０００に追加する（ステップＳ２６０４）。なお、文書内タグインデックスまたはｉｄ名を用いるタグ特定方法は、上記第１の実施形態と同様である。表示位置情報取得部３０６は、表示位置情報一覧１０００を情報送信部３０８へ送信する（ステップＳ２６０５）。

　なお、本実施形態では、注目位置情報で示される注目位置に一番近いオブジェクトから表示位置情報を取得しているが、一番近いオブジェクトを特定した後、特定した一番近いオブジェクトの次に表示されるオブジェクトから表示位置情報を取得してもよい。これは、ユーザによっては、移行直前に移行元端末１００で見ていた箇所は既に視聴済みなので、それ以降のＷｅｂサイトページ２００を見たいという場合も考えられるからである。

　ここで、特定した一番近いオブジェクトの次に表示されるオブジェクトとは、ＨＴＭＬ文書５００において、当該一番近いオブジェクトに対応するタグの次に記載されているタグに対応するオブジェクトや、Ｗｅｂサイトページ２００において、当該一番近いオブジェクトに隣接して表示されているオブジェクトである。

　なお、注目位置情報で示される注目位置に一番近いオブジェクトから表示位置情報を取得するか、特定した一番近いオブジェクトの次に表示されるオブジェクトから表示位置情報を取得するかは、ユーザの視点履歴から決定してもよい。例えば、視点履歴の座標位置が一定以上移動しているユーザは流し読みをしていると考えられるので、特定した一番近いオブジェクトの次に表示されるオブジェクトから表示位置情報を取得し、表示部１０１の画面上のある領域に多くの視点履歴があれば、ユーザは一点を注視しているため、特定した一番近いオブジェクトから表示位置情報を取得するようにしてもよい。

　以上のように、本発明の第２の実施形態に係る端末移行システムによれば、端末移行処理時には、移行元端末１２０の表示部１０１においてユーザが注目をしていた表示箇所が、移行先端末１１０の表示部１１１にも引き継いで表示される。
　これにより、移行元端末１００で行っていた処理を移行先端末１１０で再開するにあたり、ユーザは、表示内容の拡大／縮小や画面スクロールなどのアクションを行う必要がなくなり、スムーズな端末移行が可能となる。

　また、本発明の各実施形態における端末移行システムを構成する一部または全部の機能ブロックは、中央処理装置（ＣＰＵ）、記憶装置（メモリ（ＲＯＭ、ＲＡＭ等）、ハードディスク等）、および入出力装置などのハードウエア資源を用いることで実現され、典型的には集積回路であるＩＣ（ＬＳＩ、システムＬＳＩ、スーパーＬＳＩ、ウルトラＬＳＩ等とも称される）として具現化される。これらの機能ブロックは、個別に１チップ化されてもよいし、一部または全部を含むように１チップ化されてもよい。
　また、集積回路化の手法は、ＩＣに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。また、ＩＣ製造後にプログラムすることが可能なＦＰＧＡ（Ｆｉｅｌｄ　Ｐｒｏｇｒａｍｍａｂｌｅ　Ｇａｔｅ　Ａｒｒａｙ）や、ＩＣ内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
　さらには、半導体技術の進歩または派生する別の技術により、ＩＣに置き換わる集積回路化の技術（バイオ技術など）が登場すれば、当然その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。

　また、上述した本発明の各実施形態における端末移行システムが実行する端末移行方法は、記憶装置に格納された端末移行方法の手順を実行可能な所定のプログラムデータが、ＣＰＵによって解釈実行されることで実現されてもよい。この場合、プログラムデータは、ＣＤ－ＲＯＭやフレキシブルディスク等の記録媒体を介して記憶装置内に導入されてもよいし、記録媒体上から直接実行されてもよい。なお、記録媒体は、ＲＯＭやＲＡＭやフラッシュメモリ等の半導体メモリ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクメモリ、ＣＤ－ＲＯＭやＤＶＤやＢＤ等の光ディスクメモリ、およびメモリカードなどをいう。また、記録媒体は、電話回線や搬送路などの通信媒体も含む概念である。

　本発明の端末移行システムは、表示画面サイズや画面解像度の異なる端末間でアプリケーションの利用を引き継ぐ場合などに利用可能であり、特に移行元端末の表示画面内でユーザが操作や注目していた箇所を移行先端末の表示画面でも引き続いて表示したい場合などに有用である。

１０　タブレットＰＣ
１１、２１　表示画面
１４　ボタン
２０　携帯電話
３０　ノートＰＣ
４０　ネットワーク
１００、１２０　移行元端末
１０１、１１１　表示部
１１０　移行先端末
２００　Ｗｅｂサイトページ
２０１～２０３、１９０３　表示範囲３００、３２０　端末移行装置
３０１、３１０　入力受付部
３０２、３１２　アプリケーション制御部
３０３　操作情報保持部
３０４　表示情報保持部
３０５　操作位置情報取得部
３０６　表示位置情報取得部
３０７　再現情報取得部
３０８　情報送信部
３０９、３１５　外部接続部
３１１　情報受信部
３１３　表示位置補正部
３２５　注目位置情報取得部
３２６　カメラ部
５００　ＨＴＭＬ文書
６００　操作履歴情報一覧
６０１　操作履歴
７００　オブジェクト情報一覧
７０１、７０２、７０３　オブジェクト情報
８００、８０１　画面表示情報
９００、９０２　操作位置情報一覧
９０１、９０３　操作位置情報
１０００、１００２　表示位置情報一覧
１００１、１００３、１００４　表示位置情報
１１００　アプリケーション再現情報
１２００　移行先端末情報
１９０１、１９０２　オブジェクト
２２００　視点履歴情報一覧
２２０１　視点履歴
２３００　注目位置情報一覧
２３０１　注目位置情報

Claims

　第１端末から第２端末へのアプリケーションの継続利用が可能な端末移行システムであって、
　前記第１端末は、
　　前記アプリケーションに対するユーザの行為に基づいて、前記アプリケーションによって画面表示されるプログラム上の特定位置を取得する位置情報取得部、
　　前記特定位置に基づいて、前記第２端末の画面上における前記プログラムの表示位置を取得する表示位置情報取得部、および
　　前記表示位置および前記プログラムを示す情報を前記第２端末へ送信する情報送信部を備え、
　前記第２端末は、
　　前記第１端末から前記情報を受信する情報受信部、
　　前記情報に示された前記プログラムを前記アプリケーションによって画面表示するアプリケーション制御部、および
　　前記情報に示された前記表示位置に従って、画面表示される前記プログラムの位置を補正する表示位置補正部を備える、端末移行システム。
　前記第１端末は、
　　ユーザによる前記アプリケーションに対する操作を受け付ける入力受付部、および
　　前記入力受付部を介してユーザが行った操作を操作履歴として保持する保持部をさらに備え、
　前記位置情報取得部は、前記操作履歴に基づいて、前記アプリケーションによって画面表示されるプログラム上のユーザによる操作位置を、前記特定位置として取得する、請求項１に記載の端末移行システム。
　前記第１端末は、
　　ユーザが注視する前記プログラム上の視点を特定する特定部、および
　　前記特定部で特定されたユーザの視点を視点履歴として保持する保持部をさらに備え、
　前記位置情報取得部は、前記視点履歴に基づいて、前記アプリケーションによって画面表示されるプログラム上のユーザによる注目位置を、前記特定位置として取得する、請求項１に記載の端末移行システム。
　前記位置情報取得部は、最新の操作履歴に基づいて前記操作位置を取得する、請求項２に記載の端末移行システム。
　前記位置情報取得部は、最新の視点履歴に基づいて前記注目位置を取得する、請求項３に記載の端末移行システム。
　前記表示位置情報取得部は、前記プログラムに含まれるオブジェクトのうち、前記操作位置に少なくとも一番近いオブジェクトの位置を前記表示位置として取得する、請求項２に記載の端末移行システム。
　前記表示位置情報取得部は、前記操作履歴が複数存在する場合、前記プログラムに含まれるオブジェクトのうち、当該複数の操作履歴の１つに基づいた前記操作位置に少なくとも一番近いオブジェクトの位置を前記表示位置として取得する、請求項２に記載の端末移行システム。
　前記表示位置情報取得部は、前記プログラムに含まれるオブジェクトのうち、前記操作位置にあるオブジェクトの操作に伴って変化する別のオブジェクトの位置を前記表示位置として取得する、請求項２に記載の端末移行システム。
　前記表示位置情報取得部は、前記プログラムに含まれるオブジェクトのうち、前記注目位置に少なくとも一番近いオブジェクトの位置を前記表示位置として取得する、請求項３に記載の端末移行システム。
　前記表示位置補正部は、前記操作位置に少なくとも一番近いオブジェクトが前記第２端末の画面内に収まるように、前記プログラムを表示する縮尺を補正する、請求項６に記載の端末移行システム。
　前記表示位置補正部は、前記操作位置に少なくとも一番近いオブジェクトが前記第２端末の画面内に収まるように、前記プログラムを表示する縮尺を補正する、請求項７に記載の端末移行システム。
　前記表示位置補正部は、前記別のオブジェクトが前記第２端末の画面内に収まるように、前記プログラムを表示する縮尺を補正する、請求項８に記載の端末移行システム。
　前記表示位置補正部は、前記操作位置に一番近いオブジェクトが前記第２端末の画面内に収まるように、前記プログラムを表示する表示開始位置を補正する、請求項６に記載の端末移行システム。
　前記表示位置補正部は、前記操作位置に少なくとも一番近いオブジェクトが前記第２端末の画面内に収まるように、前記プログラムを表示する表示開始位置を補正する、請求項７に記載の端末移行システム。
　前記表示位置補正部は、前記別のオブジェクトが前記第２端末の画面内に収まるように、前記プログラムを表示する表示開始位置を補正する、請求項８に記載の端末移行システム。
　前記表示位置補正部は、前記注目位置に少なくとも一番近いオブジェクトが前記第２端末の画面内に収まるように、前記プログラムを表示する縮尺を補正する、請求項９に記載の端末移行システム。
　前記表示位置補正部は、前記注目位置に少なくとも一番近いオブジェクトが前記第２端末の画面内に収まるように、前記プログラムを表示する表示開始位置を補正する、請求項９に記載の端末移行システム。