WO2011132323A1

WO2011132323A1 - 乾湿両用バキュームクリーナー

Info

Publication number: WO2011132323A1
Application number: PCT/JP2010/057644
Authority: WO
Inventors: 橋本恒彦
Original assignee: 三立機器株式会社
Priority date: 2010-04-22
Filing date: 2010-04-22
Publication date: 2011-10-27

Abstract

粉塵などの固体と廃液などの液体を同時に吸引し、吸引流体から固体及び液体を分離し、かつ、固体及び液体を捕集する作用を著しく円滑に行えるようにする。　円筒状の形態を有し、固体及び液体を同時に吸引可能な吸引口（１４）に通じた開口を周面に有し、上端を上部出口（１７）とし下端を下部出口（１８）とした吸引室（１５）と、吸引室の下部出口に設けられ、捕集物を捕捉するために下向きのテーパ状に形成されたサイクロン部（３０）と、上部出口を通過した流れに含まれている微粉塵を分離するために、上記吸引室の周囲に配置したフィルター部（３６）と、上部出口を出た流れと下部出口を出た流れを分断するとともに、上部出口を出て分離された捕集物を貯溜する部分の底となる隔壁部（３１）と、下部出口を出てサイクロン部に捕捉された捕集物を本体下部にて回収するための手段（４０）とを具備する。

Description

乾湿両用バキュームクリーナー

　本発明は、固体と液体を区別せずに真空吸引可能な吸引室を本体内に有し、かつ吸引流体から固体と液体を分離する分離手段を備えている乾湿両用バキュームクリーナーに関するものである。

　粉塵などの固体と、たまり水や廃液などの液体を同時に吸引した場合、乾式掃除機では、液滴がモーター部に侵入すると使用不能となり、また微粉対応フィルターに目詰まりを起こすという問題を生じ、また湿式掃除機では、それに用いられているスポンジ状或いはメッシュ状の液体用フィルターの目開きが大きいために、液体とともに吸引される粉塵などが捕捉されずに通過してしまうという問題があった。フィルターの脱着等により乾式用湿式用と使い分ける乾湿両用機とか、乾湿兼用機と呼ばれている掃除機も存在するが、固体はともかくとしても液体の分離が悪いのが欠点であった。液体と固体を同時に吸引可能なものは殆んど例がないが、固体と液体を区別せずに吸引すると、フィルターにヘドロ状のものが付着し、洗浄に多大な手間がかかる上、フィルターの性能は完全には元に戻らず、掃除機の性能も低下することとなる。フィルターが閉塞状態のまま掃除機を使えば、抵抗増大によりモーターが過熱し焼損に到ることがあり、またヘドロ状のものに付着した細菌が繁殖しかびなどが発生すると、掃除の都度、部屋全体に細菌やカビ類を撒きちらすという問題を生ずる。
　従来のバキュームクリーナーは、図７に示したように、吸引口に連通した内筒の外側に外筒を有し、外筒の下方の部分がコニカル筒から成るサイクロン構造を構成しており、内筒内に吸引された異物と気流から成る吸引流体がサイクロン外筒において旋回する間に、吸引流体に含まれる異物が夫々の比重の差に基づいて失速し、落下して捕集されることとなる。通常、内筒の下部はサイクロン構造の上部までとされており、このため内筒外面に液滴が付着すると、旋回下降流に乗ることなく下に流れ、上昇流に乗って内筒内面を上に移動し、排気方向へ放出される現象が生じ得る。また、液体吸引では、内筒の断面積が小さいこと、サイクロン構造部内に液体が充満し易いことなどが原因となって液滴が付着し、上昇流に乗って内筒内を上に移動し、排気方向へ放出されることが起こる。その結果、相当量の液体が捕捉されず流出すると、フィルターやモーター等に好ましくない影響を及ぼすこととなる。

特開平５−１７６８７１号特表平１１−５０１８３０号

　本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は、粉塵などの固体と廃液などの液体を同時に吸引し、吸引流体から固体及び液体を分離し、かつ、固体及び液体を捕集する作用を著しく円滑に行えるようにすることである。また本発明の他の課題は、サイクロン内部における詰まりをなくすとともに、フィルターの負担を著しく軽減することができる乾湿両用バキュームクリーナーを提供することである

　前記の課題を解決するため、本発明は、固体と液体を区別せずに真空吸引可能な吸引室を本体内に有し、かつ吸引流体から固体及び液体を分離する分離手段を備えている乾湿両用バキュームクリーナーについて、円筒状の形態を有し、固体及び液体を同時に吸引可能な吸引口に通じ、上端を上部出口とし下端を下部出口とした上記吸引室と、吸引室の下部出口に設けられ、捕集物を捕捉するために下向きのテーパ状に形成されたサイクロン部と、上部出口を通過した流れに含まれている微粉塵を分離するために、上記吸引室の周囲に配置したフィルター部と、上部出口を出た流れと下部出口を出た流れを分断するとともに、上部出口を出て分離された捕集物を貯溜する部分の底となる隔壁部と、下部出口を出てサイクロン部に捕捉された捕集物を本体下部にて回収するための手段とを具備した構成とするという手段を講じたものである。
　本発明において、吸引室は本体内に設けられており、固体と液体が区別されることなく真空吸引される最初の部屋である。吸引口に通じた周面の開口から吸引室に吸引された流れは筒状の室内壁面に沿って旋回する渦流を生じ、サイクロンコレクター（旋回流式集塵装置）によって捕捉され得る状態となる。そして、サイクロンコレクターにより、吸引流体から固体及び液体が分離され、清浄化した流れは、上昇流となって中央部を上昇し、上部出口より流出する。吸引流体が真空吸引される吸引室の上部出口に、吸引流体が上部出口に直行するのを防止するために逆テーパ状に形成された整流部を設けることができる。なお、本発明において固体と液体は気流とともに吸引され、気流から異物である液体と固体が分離されるのであって、必ずしも固体と液体とを別々に分離するものではない。しかしながら、相対的に比重の大きい液体や比較的大きく重い固体がサイクロン作用によって先に気流から分離され易く、タンクなどの回収手段に回収される、その一方で、気流と共に移動し易い微細な塵埃や液滴のみがサイクロン部よりも下流にて捕集されることになる。このため、固体及び液体から成る異物の大部分はほぼ回収手段に捕捉され、その割合は、サイクロン作用で補修される割合と比較すると、後述する通り極く僅かである。
　従来のバキュームクリーナーでは、内筒の細く長い形態により吸引流の旋回速度を高く維持し安定性を得ているのに対して、本発明の場合、吸引室への流入直後の吸引気流に見られる乱れ、例えば吸引量の変化による旋回速度の変化などに対処するため、内筒を不使用とし、吸引室に吸引流を導入するものとする。従来の細く長い内筒内の吸引流の旋回速度に比較して、本発明の吸引室内の吸引流の旋回速度は相対的に低下するが、このような状態においてサイクロン性能を従来と同等以上にするため、本発明では次のような構成を適用している。
　まず、吸引室の上部出口に吸引流が直行しては十分な捕集効果を望めないため、逆テーパ状の整流部を上部出口側に設け、初期旋回の乱れを抑え、高い分離性能が確保されるように構成されている。これにより、吸引室に流入した後、上部出口に直行する可能性があるのは中心部の限定された吸引流のみとなり、下流に対する湿気等の影響も無視できる程度となる。なお、逆テーパ状とは、吸引室（上流）から上部出口（下流）へ向かう流れ方向に対して逆テーパ状の意味であり、吸引室内側（下）の方が吸引室外側（上）の方よりも小径になっている形態である。吸引室の形態としては円筒構造が望ましく、その円形断面の内側接線方向に吸引流体が流入し、壁面に沿って旋回する流れが形成されることとなる。
　吸引室の下部出口には、サイクロン部が設けられている。サイクロン部は、吸引流体から固体及び液体の異物を捕捉するために下向きのテーパ状に形成されたサイクロン筒を有している。このテーパ状は、吸引室（上流）から下部出口（下流）へ向かう流れについてテーパ状の意味であり、吸引室内側（上）の方が吸引室外側（下）よりも大径となっている形態である。テーパ状に形成されたサイクロン筒は流れ方向に沿って少なくとも２段階に配置され、サイクロン部を構成する。上段のサイクロン筒は、吸引室の下部出口に連続的に設けられており、太く短い形状、構造を有する。次段のサイクロン筒は、上段のサイクロン筒と同軸上に配置され、同様に太く短く形成されており、上段のサイクロン筒における旋回速度の低下を補うとともに、下方の捕集タンク部からの巻き上げを抑制するために作用する。次段のサイクロン筒は、上段のサイクロン筒の外側を囲むように設けられ、上段と同等ないしそれ以下のサイクロン効果を期待することができれば良い。次段のサイクロン筒基部は、上段のサイクロン筒の外側に配置されており、それらの間に拡がり部が形成される。このような多段構成のものは、サイクロン部の全長の短縮に寄与する。なお、サイクロン筒を３段又はそれ以上設けてサイクロン部を構成することも可能である。
　本発明のクリーナーには、上部出口を通過した流れに含まれている微粉塵を分離するために、上記吸引室の周囲に配置したフィルター部と、サイクロン部の外側に設けられ、上部出口を出た流れと下部出口を出た流れを分断するとともに、上部出口を出て分離された捕集物を貯溜する部分の底となる隔壁部と、下部出口を出てサイクロン部に捕捉された捕集物を本体下部にて回収するための手段とが組み合わされている。サイクロン部の下方には捕集物を貯溜する手段としてタンク類が設けられ、そのタンク類は胴周を透明に形成することができる。隔壁は、吸引室又はサイクロン部の外側に設けて流れを分断するだけではなく、上部出口から出た流れから分離された捕集物を貯溜する手段となる一種のタンクの底としても機能する。上部出口を出た清浄な流れは、フィルター部を通過してさらに浄化され機外へ排出されることになるが、その真空吸引機の動力源としての吸引ファンなどはフィルター部よりも下流に設けることが望ましい。
　さらに、吸引室の上部出口を出た流れをフィルター部の下部に誘導するために、吸引室からサイクロン部に至る部分の外側を囲み、吸引室及びサイクロン部の外周との間に流路を形成するスリーブ部を設ける。スリーブ部は吸引室を上部からフィルター部の下部までの範囲をすっぽりと覆い、フィルター部が直に排出気流に曝されるのを防ぎ、固体微粒子による目詰まりと液体濡れによる湿潤化を防止する。スリーブ部は、吸引室の上部出口を出た上向きの流れを下向きに偏向するコーン部を、円筒状胴部の上部に有している。コーン部は微粉塵及び微液滴を含む排出気流をほぼ１８０度反転させる部分に設けられ、整流のために円錐台形状に形成されているもので、これにより、サイクロンで分離し切れなかった微粉塵及び微液滴を捕捉し、排出気流をより円滑にフィルター部に誘導することができる。

　本発明は以上の如く構成されかつ作用するものであるから、粉塵などの固体と廃液などの液体を同時に吸引し、吸引流体から固体及び液体を分離し、かつ、固体及び液体を捕集する作用を著しく円滑に行えるようにすることができ、固体と液体を区別せずに真空吸引可能なバキュームクリーナーの捕捉性能をより完璧に近付けるという効果を奏する。また、本発明によれば、サイクロン内部における詰まりをなくすとともに、フィルター部の負担を著しく軽減し、フィルターを頻繁に洗浄することから解放され、メンテナンス間隔を延長することができる。

本発明に係る乾湿両用バキュームクリーナーの要部を示す中央部断面説明図。同上要部における吸引流の状態を示す断面説明図。本発明に係る乾湿両用バキュームクリーナーの実施例を示す全体正面図。図３に対する左側面図。同じく中央部縦断図。図４のＶＩ−ＶＩ線断面図。従来のバキュームクリーナーの内部における吸引流の状態を示す断面説明図。

　以下図示の実施形態により本発明を詳細に説明する。図１は本発明に係る乾湿両用バキュームクリーナー１０の要部を説明するための縦断面であって、図２はその作用を示すものである。全体図は図３以下に示している。
　バキュームクリーナー１０は、中央筒部１１と下筒部１３とを上下に重ねた縦長筒状のもので、中央筒部１１の内部には、図外の吸引ダクト類を接続する吸引口１４にて外部と通じた吸引室１５が位置している。１６は吸引室内口であり、吸引口１４から吸引された吸引流を吸引室１５に接線方向から導入し、過流を発生するように設けられている。吸引室１５は、内径よりも軸方向長さのほうが小さい、太くて短い円筒状の形態を有しており、後述する真空吸引きの吸引性能を考慮して必要十分な旋回速度が得られる内径に設けられている。また、上下は、吸引流が排出気流として通過する上部出口１７及びサイクロン部へ通過する下部出口１８として開口している。
　上部出口１７は、吸引室１５を構成している筒体の上部に位置し、上部出口１７の口部下側には逆テーパ状の整流部１９を設け、また、その口部上側にはテーパ状の排出口カバー２１を設けている。逆テーパ状の整流部１９は、上部出口１７の開口径を絞り込むようにして、吸引室内口１６から真空吸引される吸引流体の流れが液体を含む場合には、吸引室１５の内部に形成される旋回水膜の内縁を規定し、また吸引流体の流れが上部出口１７に直行し難いように図っている（図２参照）。排出カバー２１は、吸引室１５から十分上方に離れた箇所まで先端部が伸びてテーパ状に絞られた形状を有し、かつまた、水や比較的比重の大きい吸引流体中の異物が通過するのを妨害するために、円筒状の水返し２２を先端部に上流へ向けて設けている。逆テーパ状整流部１９の下流側には排出口カバー２１を隣接して設けており、これにより吸引室内への吸引直後における直線運動から旋回運動への変化による乱流発生の問題に対処している。テーパ状の排出口カバー２１は、旋回速度の低い状態において吸引流中の飛沫の放出量を限りなく少量に抑えることを可能にする。また排出口カバー２１の部分は、整流部１９において抑えられた乱れをさらに抑制する作用も発揮する。
　下部出口１８には、接続部２３を介してテーパ状の上段サイクロン筒２５が設けられており、さらに上段サイクロン筒２５の出口部２６の下方に出口部２８を有する下段サイクロン筒２７が設けられ、２段のサイクロン部３０を構成している。下段サイクロン筒２７と上段サイクロン筒２５の出口部付近の間は拡径された拡がり部２９となっており、そこから再び縮径するテーパ部によって下段サイクロン筒２７が構成されている。例示の下段サイクロン筒２７は、下筒部１３と中央筒部１７との間に介在する、筒部３２に取り付けられた隔壁部３１の中央部に一体形成されている。また吸引室筒と一体的に設けられている上段サイクロン筒２５と、下段サイクロン筒２７との間を遮断するために、遮断筒３２が吸引室筒側に設けられている。従って、中央筒部１１を下筒部１３（回収容器）から分離すると、タンクが開口する。
　下筒部１３は、捕集物の回収するための手段として有底のタンク構造を有している。下筒部１３の開口縁には、中間筒部３２が載置され、中央筒部１１は、中間筒部３２の開口縁に載置され、これによって下筒部１３と下段サイクロン部２７、中央筒部１１と上段サイクロン部２５などがすべて同心円関係を保って組み合わされることとなる。さらに中央筒部１１の開口縁には凹状に形成されたカバー３３が載置されている。カバー３３によって中央筒部１１は閉じられ、内部は吸引室１５を出た排出気流の流路となる。
　カバー３３の内側には、吸引室１５からサイクロン部３０に至る部分の外側をほぼ全体的に上方から囲み、吸引室１５及びサイクロン部３０の外周との間に流路３４を形成するスリーブ部３５が設けられている。スリーブ部３５は、吸引室１５の上部出口１７を出た上向きの流れを下向きに変向するコーン部３５ａを円筒状胴部３５ｂの上部に有しており、上部中央のコーン部３５ａで囲まれた天面３５ｃにて上部カバー３３に取り付けられている。上記スリーブ部３５としては、その外側に配置されるフィルター部３６の全高と同等の長さを有することが望ましく、フィルター部３６の長さをよりもさらに長くても良い。スリーブ部３５の外側には、微粉塵などの異物を分離する最終の手段となるフィルター部３６が配置される。例示の場合、フィルター部３６はカバー３３から吊り下げ式に設けられており、フィルター部３６のフィルターには所謂プラスチックフィルターを使用することができる。
　各図中、３７は真空吸引機の動力源であり、モーターとその動力によって回転し吸引力を発生する例えばターボファン等から成り、上筒部１２のカバー３３の凹部上に配置されている（図３ないし図６参照）。これらの下筒部１３、中間筒部３２、中央筒部１１、上筒部１２、カバー３３及び真空吸引機３８は、全て固定バックルなどの手段により固定して一体化されている。また３９は吸引用ノズルを有するダクトで、吸引口１４に接続されるもの、４０は捕集物を本体下部にて回収するための回収手段、４１はハンドル付き台車であり、本発明のバキュームクリーナー１０の移動手段である。上記の構成において、下筒部１３は実質的に回収した捕集物の貯溜のためのタンクとして使用することができる。従って、下筒部１３のタンクを透明材によって形成すれば、捕集量を胴周部にて目視により確認しながら作業を進めることができる。透明タンク構造の方が、スリット状の観察窓を設けるよりも、よりはっきりと確認できかつ強度上も不安が少なく、製造も容易である。別途用意した廃棄物回収容器（例えば、ペール缶など）を回収手段４０として使用することももちろん可能である（図２参照）。別の回収容器を使用する場合、サイクロン形成を維持し、かつ、サイクロン部３０の下端から気流が吸引されるのを防止するために、回収容器を下筒部１３の内部に配置する。なお、４２は排気を大気放出するための排気口を示す。
　本発明に係る乾湿両用バキュームクリーナー１０では、粉塵などの固体と廃液などの液体を区別なく吸引ダクト３９により吸引することができ、吸引流体は吸引室１５に流入すると渦流を生じ、遠心分離により比較的比重の重い固体や液体が管壁に衝突して減速し、回収手段４０に貯溜されることとなる。吸引室１５に流入した、吸引流体の流れは逆テーパ状の整流部１９による整流作用を受け、渦流の形成する旋回水膜が整流部１９を超えることはないため（図２参照）、直かに、つまり遠心分離の過程を経ることなく上部出口１７へ流出してしまうことはない。
　サイクロン部において遠心分離される吸引流体の流れは、本発明における上段サイクロン筒２５が太く短いため旋回速度の低下を生じているが、下段サイクロン筒２７を設けて下へ向かう吸引流体に含まれる捕集物の流れを２段階に制御し、徐々に落下させるようにしたので、捕集効果は低下しない。むしろ２段階の遠心分離部により、単段の場合よりも旋回速度の変化が少なく、定速を維持できると考えられ、遠心力の変化も少なくなり安定した遠心分離が可能となるので、ほとんどの捕集物を下筒部１３のタンク又は他の回収容器から成る回収手段４０に回収することができる。例えば、金属加工で生じる切粉と切削油は下筒部１３の側に捕集され、微粉塵のみ上部の中央筒部１１における隔壁部３１を底とするタンク構造に捕集されることとなる。捕集された物はバックルを外して下筒部１３を開き、また中間筒部３２も取り外して、下筒部１３から外部に廃棄する。
　吸引流体は上記のサイクロン部３０において異物をほぼ分離し、分離し切れなかった比較的微細な異物が上部出口１７からフィルター部３６に至る。特に、排出気流は上部出口１７を出ると直ぐにほぼ１８０度向きを変えることになるが、本発明においては、この周囲にコーン部３５ａが配置されているため、空気だまりを作らず、非常にスムーズに変向がなされる。さらに、本発明の装置では吸引室１５の上部出口１７を出た流れをフィルターの下部に誘導するため、吸引室１５からサイクロン部３０に至る部分の外側が、すっぽりと上方から囲むスリーブ部３５が設けられている。上部出口１７からフィルター部３６へ向かって排出される排出流体は、吸引室１５及びサイクロン部３０の外周面とスリーブ部３６の内周面との間を流路として移動する。この微細粉塵及び微細液滴を含んだ排出流体は回転運動量を有する旋回流であり、そのままでは下流のフィルター部３６まで遠心力がおよび、微細粉塵及び微細液滴の渦流にさらされやすい状態になる。しかし、本発明の装置ではフィルター部３６のほぼ全高に渡る長さのスリーブ部３５があり、排出気流はこの長い流路３４を通過することによって旋回エネルギーを失い、下方へ向かう整流となり、フィルター部３６に下方から流入する。このため、排出気流が旋回エネルギーを伴ってフィルター部３６の衝突することはなくなり、フィルターに目詰まりを起こす恐れも減少する。そして、排出気流がフィルター部３６を通過する管に最終的に除塵、除滴がなされ、排気口４２から大気放出されることになる。なお、実験では、液体を本発明装置により真空吸引したところ、下筒部に９９~９９．７％捕集され、中間筒部３２の隔壁部３１に１％以下を捕集することができた。なお、フィルター部３６は耐久性も良好である。
　このように、本発明の乾湿両用バキュームクリーナー１０は、　粉塵などの固体と廃液などの液体を区別することなく真空吸引し、かつ吸引流体から固体及び液体を分離し、捕集することが可能であり、乾湿両用機や乾湿兼用機といった従来の機種には期待することができなかった効果を奏する。また本発明によれば、液体分離にもサイクロン式遠心分離法を適用することにより、内部の自己洗浄能力を期待することができるとともに、中心部にコーンを有しないサイクロン方式であることによってサイクロン内部の詰まりをなくすことができ、またフィルターを付けたままで液体吸引が可能であるから、粉塵等も問題なく捕捉される。

　本発明は、本来の目的であるバキュームクリーナーのほか、従来は静電気的手法で行われていた集塵機を構成することが可能であり、また、ミストセパレータと称せられている液体分離機としても適用することができる。

　１０　乾湿用バキュームクリーナー
　１１　中央筒部
　１３　下筒部
　１４　吸引口
　１５　吸引室
　１６　吸引室内口
　１７　上部出口
　１８　下部出口
　１９　整流部
　２１　排出カバー
　２５　上段サイクロン筒
　２７　下段サイクロン筒
　３０　サイクロン部
　３１　隔壁部
　３３　カバー
　３４　流路
　３６　フィルター部
　３５　スリーブ部
　３７　真空吸引きの動力源
　４０　回収手段

Claims

固体と液体を区別せずに真空吸引可能な吸引室を本体内に有し、かつ、吸引流体から固体及び液体を分離する分離手段を備えている乾湿両用バキュームクリーナーであって、円筒状の形態を有し、固体及び液体を同時に吸引可能な吸引口に通じ、上端を上部出口とし下端を下部出口とした上記吸引室と、吸引室の下部出口に設けられ、捕集物を捕捉するために下向きのテーパ状に形成されたサイクロン部と、上部出口を通過した流れに含まれている微粉塵を分離するために、上記吸引室の周囲に配置したフィルター部と、上部出口を出た流れと下部出口を出た流れを分断するとともに、上部出口を出て分離された捕集物を貯溜する部分の底となる隔壁部と、下部出口を出てサイクロン部に捕捉された捕集物を本体下部にて回収するための手段とを具備することを特徴とする乾湿両用バキュームクリーナー。
吸引室の上部出口を出た流れをフィルター部の下部に誘導するために、吸引室からサイクロン部に至る部分の外側を上方から囲み、吸引室及びサイクロン部の外周との間に流路を形成するスリーブ部を有している請求項１記載の乾湿両用バキュームクリーナー。
スリーブ部は、吸引室の上部出口を出た上向きの流れを下向きに偏向するコーン部を、円筒状胴部の上部に有している請求項１記載の乾湿両用バキュームクリーナー。
サイクロン部は、少なくとも上段と下段の２段のサイクロン筒から成り、かつ、上段のサイクロン筒は、吸引室の下端に連続して設けられている請求項１記載の乾湿両用バキュームクリーナー。
サイクロン部の下方に配置し、捕集物を回収するための手段として透明タンク構造を有している請求項１記載の乾湿両用バキュームクリーナー。