以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下においては、説明の便宜上、LTEの後継の広帯域無線アクセス方式の一例として、LTE-A(LTEアドバンスト)方式のシステム(以下、「LTE-Aシステム」という)を用いて説明するが、これに限定されるものではない。例えば、このLTE-Aシステムの後継の広帯域無線通信システムが含まれる。
図1は、下りリンクで移動通信が行われる際の周波数使用状態を説明するための図である。図1においては、複数のコンポーネントキャリアで構成されるシステム帯域を持つ移動通信システムであるLTE-Aシステムと、1つのコンポーネントキャリアで構成されるシステム帯域を持つ移動通信システムであるLTEシステムが併存する場合の周波数使用状態を示している。LTE-Aシステムにおいては、例えば、100MHz以下の可変のシステム帯域幅で無線通信が行われ、LTEシステムにおいては、20MHz以下の可変のシステム帯域幅で無線通信が行われる。LTE-Aシステムのシステム帯域は、LTEシステムのシステム帯域を一単位とする少なくとも一つの基本周波数領域(コンポーネントキャリア:CC)となっている。このように複数の基本周波数領域を一体として広帯域化することをキャリアアグリゲーションという。
例えば、図1においては、LTE-Aシステムのシステム帯域は、LTEシステムのシステム帯域(ベース帯域:20MHz)を1つのコンポーネントキャリアとする5つのコンポーネントキャリアの帯域を含むシステム帯域(20MHz×5=100MHz)となっている。図1においては、移動端末装置UE(User Equipment)#1は、LTE-Aシステム対応(LTEシステムにも対応)の移動端末装置であり、100MHzのシステム帯域を有し、UE#2は、LTE-Aシステム対応(LTEシステムにも対応)の移動端末装置であり、40MHz(20MHz×2=40MHz)のシステム帯域を有し、UE#3は、LTEシステム対応(LTE-Aシステムには対応せず)の移動端末装置であり、20MHz(ベース帯域)のシステム帯域を有している。
このようにシステム帯域が複数のコンポーネントキャリア(CC)から構成され、送受信帯域幅が異なる移動端末装置UEが混在する環境下において、再送制御を行う際の再送単位となるトランスポートブロックを割り当てる際には、例えば、信号対干渉・雑音比(SINR:Signal-to-Interference-plus-Noise Ratio)の平均値などによってトランスポートブロックを割り当てるCCを選択し、その選択したCCの中で最もデータレートが高くなるように送信データのスケジューリングを行うことが考えられる。この場合には、単一のCC内における周波数ダイバーシチ効果を得ることが可能である。しかしながら、広帯域化されたシステム帯域で取得し得る最大限の周波数ダイバーシチ効果、言い換えると、複数のCCから成るシステム帯域で取得し得る最大限の周波数ダイバーシチ効果を得ることはできない。
本実施の形態に係る移動通信システムにおいては、このようにシステム帯域が複数のCCから構成され、送受信帯域幅が異なる移動端末装置UEが混在する環境下において、各移動端末装置UEに対して送信データを再送する場合における周波数ダイバーシチ効果を改善して移動端末装置UEにおける受信品質特性を向上するものである。具体的には、システム帯域を複数に分割して構成されたグループ帯域(例えば、CC)のうち、移動端末装置UEからの受信品質情報に基づいて特定のグループ帯域を選択し、当該グループ帯域に送信データを割り当てた結果得られるシステム全体のデータレートを比較してスケジュール情報を決定することにより、周波数ダイバーシチ効果を改善して移動端末装置UEにおける受信品質特性を向上するものである。なお、以下においては、本発明を基地局装置Node Bにおける送信データの再送制御に適用する場合について説明するが、これに限定されるものではなく、送信データの初回送信における送信制御にも適用することができる。
以下、本実施の形態に係る基地局装置Node Bにおける再送制御の際にトランスポートブロックを割り当てる際の処理の概要について説明する。図2は、本実施の形態に係る基地局装置Node Bにおけるトランスポートブロックの割り当て方法を説明するための模式図である。なお、図2においては、グループ帯域の一例として、グループ帯域がCCで構成される場合について示している。
図2に示すように、基地局装置Node Bにおけるトランスポートブロックの割り当て方法においては、後述する広帯域スケジューラ220が、概して、システム帯域を構成する複数のCCにおける受信品質情報及びデータレートに基づいて特定のCCを選択し、当該CCを構成するRBに対してトランスポートブロックを構成する送信データのスケジューリングを行う。このトランスポートブロックの割り当て方法によれば、移動端末装置UEからの受信品質情報のみでなく、システム帯域を構成する複数のCCにおけるデータレートも考慮されることから、SINRの平均値等に基づいて選択したCCの中で最もスループットが高くなるように送信データのスケジューリングを行う場合と比べて周波数ダイバーシチ効果を得ることが可能となる。特に、図2に示す例では、トランスポートブロックを割り当てる単位としてCCが選択されることから、LTEシステムとの親和性を確保することが可能となっている。
なお、図2に示すトランスポートブロックの割り当て方法おいては、グループ帯域がCC(例えば、20MHz)で構成される場合について示しているが、グループ帯域の帯域幅については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、CCの帯域幅より狭い帯域で構成されるようにしても良く、CCの帯域幅よりも広い帯域で構成されるようにしても良い。
ここで、このようにトランスポートブロックを割り当てる際における基地局装置Node Bの処理について図3及び図4を用いて説明する。図3は、本実施の形態に係る基地局装置Node Bでトランスポートブロックを割り当てる際の処理を説明するためのフロー図である。図4は、本実施の形態に係る基地局装置Node Bでトランスポートブロックを割り当てる際におけるCQIの平均値の計算工程を説明するための図である。なお、ここでは、図2と同様に、グループ帯域がCCで構成される場合について説明するものとする。また、図3に示す処理の開始前において、基地局装置Node Bでは、通信対象となる全ての移動端末装置UEから下りリンクの各CCにおけるCQI(より詳しくはCCを構成するRBにおけるCQI)を取得しているものとする。
図3において、「l」は移動端末装置UEの現在の処理対象を示す番号(処理対象番号)を示し、「L」は処理対象となる移動端末装置UEの総数を示している。また、「n」はCQIの平均数に対応づけて定められたパターンの番号(パターン番号)を示し、「N」は、そのパターンの総数を示している。図3に示す処理の開始前の状態において、パターン番号nは、「0」に設定されているものとする。また、パターン番号nには「0」~「2」が設定されており、パターン番号0、1、2においては、それぞれ平均値が計算されるCQIの個数が4個、8個、12個であるものとする。なお、これらの数は一例を示したものであり、これらに限定されるものではない。
図3に示すように、トランスポートブロックを割り当てる際、基地局装置Node Bにおいては、まず、処理対象となる移動端末装置UEの処理対象番号1を初期化(l=0)する(ステップST301)。そして、この移動端末装置UE(1)に対して、各CCにおける上位P(n)個のRBのCQIの平均値を計算し、その平均値が最大となるCCを選択する(ステップST302)。このように各CCにおける最も良好な所定数のCQIの平均値に応じてCCを選択することから、システム帯域全体において移動端末装置UEに好適なCCを選択することが可能となる。なお、この場合において、P(0)個として各CCにおける上位4個のRBのCQIの平均値が計算され、その平均値が最大となるCCが選択される。
例えば、図4に示すように、システム帯域としてCC#0~#3まで存在する場合において、上位4個のRBのCQIの平均値を計算した場合(すなわち、n=0の場合)には、CC#2が選択されることとなる。同様に、上位8個のRBのCQIの平均値を計算した場合(すなわち、n=1の場合)にはCC#0が選択され、上位12個のRBのCQIの平均値を計算した場合(すなわち、n=2の場合)にはCC#0が選択されることとなる。このように平均値を計算するCQIの数量に応じて選択されるCCが変更されることが分かる。
そして、このようなCCの選択処理を全ての移動端末装置UE(l)に対して行うために、基地局装置Node Bは、現在の処理対象番号1が移動端末装置UEの総数Lより小さいか判定する(ステップST303)。現在の処理対象番号1が移動端末装置UEの総数Lより小さい場合には、処理対象番号1をカウントアップした後(ステップST304)、処理をST302に戻し、再度、カウントアップ後の処理対象番号1の移動端末装置UE(1)に対して、各CCにおける上位P(n)個のRBのCQIの平均値を計算し、その平均値が最大となるCCを選択する。
ステップST302~ST304の処理を繰り返し、ステップST303において、処理対象番号1が移動端末装置UEの総数Lより小さくなくなった場合(すなわち、処理対象となる全ての移動端末装置UEに対応するCCの選択が完了した場合)には、選択したCCに対して移動端末装置UE毎に送信データのスケジューリングを行う(ステップST305)。これにより、各移動端末装置UEに対する送信データが、選択されたCCを構成するRBに対してスループットが最も高くなるように割り当てられる。
次に、基地局装置Node Bは、このスケジューリング後の送信データのデータレートを計算し、計算したデータレートを保存する(ステップST306)。なお、この場合におけるデータレートの計算方法については、特に限定されるものではなく、任意に基準を選択することが可能である。例えば、CQI、SINR又は変調・符号化方式(MCS:Modulation and Coding Scheme)などを基準に計算することが考えられる。CQIを基準としてデータレートを計算する場合には、例えば、各CCを構成するRBのCQIを合計することでデータレートを計算することができる。
そして、このようなデータレートの計算処理を全てのパターンについて求めるために、基地局装置Node Bは、現在のパターン番号nがパターンの総数Nより小さいか判定する(ステップST307)。現在のパターン番号nがパターンの総数Nより小さい場合には、パターン番号nをカウントアップした後(ステップST308)、処理をST301に戻し、再度、カウントアップ後のパターン番号nにおけるデータレートの計算を行い、その計算結果を保存する(ステップST301~ST306)。
このようなステップST301~ST308の処理の繰り返しにより、P(0)個として各CCにおける上位4個のRBのCQIの平均値に基づいて計算されたデータレートに加え、P(1)個として各CCにおける上位8個のRBのCQIの平均値に基づいて計算されたデータレート、並びに、P(2)個として各CCにおける上位12個のRBのCQIの平均値に基づいて計算されたデータレートが計算され、保存されていくこととなる。
そして、これらステップST301~ST308の処理を繰り返す中、ステップST307において、現在のパターン番号nがパターンの総数Nより小さくなくなった場合(すなわち、全てのパターンについてデータレートの計算・保存が完了した場合)には、ST306で保存した複数(ここでは3つ)のデータレートが比較される(ステップST309)。そして、基地局装置Node Bは、その比較結果に応じて最もデータレートが大きくなるスケジュール情報を選択する(ステップST310)。
このように各CCの上位4個、8個、12個のCQIの平均値に基づいて移動端末装置UE毎にCCを選択した後、当該CCに対する送信データのスケジューリングを行い、その結果得られる複数のデータレートを比較して最もデータレートが大きいスケジュール情報を選択するようにしたので、SINRの平均値等に基づいて選択したCCの中で最もスループットが高くなるように送信データのスケジューリングを行う場合(すなわち、単一のCC内でスケジューリングを行う場合)と比べ、高いデータレートを確保しながら大きな周波数ダイバーシチ効果を得ることができ、この結果、移動端末装置UEにおける受信品質特性を向上することが可能となる。
なお、グループ帯域がCCよりも狭い帯域や広い帯域で構成される場合、図3及び図4で「CC」と示した箇所は、「グループ帯域」と置換される。また、グループ帯域がCCよりも狭い帯域で構成される場合であって、当該グループ帯域が移動端末装置UEに対する再送制御の際に割り当てられる帯域幅よりも十分に小さい場合には、ステップST302の処理において、CQIの平均値が高い方から複数のグループ帯域が選択され、選択された複数のグループ帯域に基づいて計算されたデータレートに応じて最適なスケジュール情報が選択される。例えば、グループ帯域が10MHzで構成され、移動端末装置UEに割り当てられる最大帯域が20MHzの場合には、CQIの平均値が高い方から2つのグループ帯域が選択され、これらの2つのグループ帯域に基づいて計算されたデータレートに応じて最適なスケジュール情報が選択されることとなる。
図5は、2つのグループ帯域に基づくデータレートに応じて最適なスケジュール情報が選択された場合のシステム帯域の状態を説明するための模式図である。なお、図5においては、移動通信システムが有するシステム帯域幅が80MHzである場合について示すと共に、送信データを再送する際に各移動端末装置UEに対して最大20MHzの帯域が割り当てられる場合について示すものとする。また、移動端末装置UEに対して割り当てるグループ帯域数は2つの制限されているものとする。
図5に示すように、システム帯域は、10MHzを1単位とする複数のグループ帯域(グループ帯域#1~#8)に分割されている。この場合、基地局装置Node Bにおいては、上述したステップST302の処理において2つのグループ帯域が選択され、これらの2つグループ帯域に送信データを割り当てた結果得られるデータレートを比較してスケジュール情報が決定される。図5においては、グループ帯域#3、#5が選択され、送信データがこれらのグループ帯域#3、#5を構成するRBにスケジューリングされた場合について示している。この場合には、異なるCCに属するグループ帯域に送信データのスケジューリングを行うことが可能となるので、CCの範囲内でスケジューリングを行う場合に比べてより周波数ダイバーシチ効果を得ることができ、移動端末装置UEにおける受信品質特性を更に向上することが可能となる。
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ説明する。図6を参照しながら、本発明の実施例に係る移動端末装置(UE)10及び基地局装置(Node B)20を有する移動通信システム1について説明する。図6は、本実施の形態に係る移動端末装置10及び基地局装置20及びを有する移動通信システム1の構成を説明するための図である。なお、図6に示す移動通信システム1は、例えば、Evolved UTRA and UTRAN(別名:LTE(Long Term Evolution)、或いは、SUPER 3Gが包含されるシステムである。また、この移動通信システム1は、IMT-Advancedと呼ばれても良いし、4Gと呼ばれても良い。
図6に示すように、移動通信システム1は、基地局装置20と、この基地局装置20と通信する複数の移動端末装置10(101、102、103、・・・10n、nはn>0の整数)とを含んで構成されている。基地局装置20は、上位局装置30と接続され、この上位局装置30は、コアネットワーク40と接続される。移動端末装置10は、セル50において基地局装置20とEvolved UTRA and UTRANにより通信を行っている。なお、上位局装置30には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)等が含まれるが、これに限定されるものではない。
なお、各移動端末装置(101、102、103、・・・10n)は、同一の構成、機能、状態を有するので、以下においては、特段の断りがない限り移動端末装置10として説明を進める。また、説明の便宜上、基地局装置20と無線通信するのは移動端末装置10であるものとして説明するが、より一般的には移動端末装置も固定端末装置も含むユーザ装置(UE:User Equipment)でよい。
移動通信システム1においては、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDMA(直交周波数分割多元接続)が、上りリンクについてはSC-FDMA(シングルキャリア-周波数分割多元接続)が適用される。上述したように、OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC-FDMAは、システム帯域を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。
ここで、Evolved UTRA and UTRANにおける通信チャネルについて説明する。下りリンクについては、各移動端末装置10で共有される物理下りリンク共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)と、物理下りリンク制御チャネル(下りL1/L2制御チャネル)とが用いられる。この物理下りリンク共有チャネルにより、ユーザデータ、すなわち、通常のデータ信号が伝送される。送信データは、このユーザデータに含まれる。なお、基地局装置20で移動端末装置10に割り当てたCCやグループ帯域を含むスケジューリング情報は、物理下りリンク制御チャネルにより移動端末装置10に通知される。
上りリンクについては、各移動端末装置10で共有して使用される物理上りリンク共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)と、上りリンクの制御チャネルである物理上りリンク制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)とが用いられる。この物理上りリンク共有チャネルにより、ユーザデータ、すなわち、通常のデータ信号が伝送される。また、物理上りリンク制御チャネルにより、下りリンクの無線品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)等が伝送される。
ここで、図7を参照しながら、本実施の形態に係る基地局装置20の構成について説明する。図7に示すように、基地局装置20は、送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部203と、ベースバンド信号処理部204と、呼処理部205と、伝送路インターフェース206とを備えている。
下りリンクにより基地局装置20から移動端末装置10に送信されるユーザデータは、基地局装置20の上位に位置する上位局装置30から伝送路インターフェース206を介してベースバンド信号処理部204に入力される。
ベースバンド信号処理部204においては、PDCPレイヤの処理、ユーザデータの分割・結合、RLC(Radio Link Control)再送制御の送信処理などのRLCレイヤの送信処理、MAC(Medium Access Control)再送制御、例えば、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)の送信処理、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理、プリコーディング処理が行われて、送受信部203に転送される。また、下りリンク制御チャネルである物理下りリンク制御チャネルの信号に関しても、チャネル符号化や逆高速フーリエ変換等の送信処理が行われて、送受信部203に転送される。
また、ベースバンド信号処理部204は、上述した報知チャネルにより、移動端末装置10に対して、セル50における通信のための制御情報を通知する。当該セル50における通信のための報知情報には、例えば、上りリンク又は下りリンクにおけるシステム帯域幅や、PRACHにおけるランダムアクセスプリアンブルの信号を生成するためのルート系列の識別情報(Root Sequence Index)等が含まれる。
送受信部203においては、ベースバンド信号処理部204から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する周波数変換処理が施され、その後、アンプ部202で増幅されて送受信アンテナ201より送信される。なお、この送受信部203が有する送信機能において、送信手段が構成される。
一方、上りリンクにより移動端末装置10から基地局装置20に送信されるデータについては、送受信アンテナ201で受信された無線周波数信号がアンプ部202で増幅され、送受信部203で周波数変換されてベースバンド信号に変換され、ベースバンド信号処理部204に入力される。
ベースバンド信号処理部204においては、入力されたベースバンド信号に含まれるユーザデータに対して、FFT処理、IDFT処理、誤り訂正復号、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ、PDCPレイヤの受信処理がなされ、伝送路インターフェース206を介して上位局装置30に転送される。
呼処理部205は、通信チャネルの設定や解放等の呼処理や、基地局装置20の状態管理や、無線リソースの管理を行う。
図8は、本実施の形態に係る基地局装置20が有するベースバンド信号処理部204の機能ブロック図である。受信信号に含まれたリファレンス信号(参照信号)は、同期検出・チャネル推定部211及びCQI測定部212に入力される。同期検出・チャネル推定部211は、移動端末装置10から受信したリファレンス信号の受信状態に基づいて上りリンクのチャネル状態を推定する。CQI測定部212は、移動端末装置10から受信される広帯域の品質測定用リファレンス信号からCQIを測定している。
一方、ベースバンド信号処理部204に入力した受信信号は、当該受信信号に付加されたサイクリックプレフィックスがCP除去部213で除去された後、高速フーリエ変換部214でフーリエ変換されて周波数領域の情報に変換される。周波数領域の情報に変換された受信信号は、サブキャリアデマッピング部215にて周波数領域でデマッピングされる。サブキャリアデマッピング部215は、移動端末装置10でのマッピングに対応してデマッピングする。周波数領域等化部216は、同期検出・チャネル推定部211から与えられるチャネル推定値に基づいて受信信号を等化する。逆離散フーリエ変換部217は、受信信号を逆離散フーリエ変換して、周波数領域の信号を時間領域の信号に戻す。そして、データ復調部218及びデータ復号部219にて、伝送フォーマット(符号化率、変調方式)に基づいて復調、復号されて送信データが再生される。
広帯域スケジューラ220には、送信信号を処理する上位局装置30からトランスポートブロック(送信データ)及び再送指示が入力される。この再送指示には、上述したようなグループ帯域の帯域幅や、移動端末装置10に割り当て可能なグループ帯域数を指定する内容が含まれている。一方、広帯域スケジューラ220には、同期検出・チャネル推定部211で推定されたチャネル推定値、並びに、CQI測定部212で測定されたCQIが入力される。広帯域スケジューラ220は、上位局装置30から入力された再送指示の内容に基づいて、これらのチャネル推定値及びCQIを参照しながら上下制御信号及び上下共有チャネル信号のスケジューリングを行う。この場合、広帯域スケジューラ220は、上述したように、システム帯域を構成する複数のグループ帯域全体における受信品質情報及びデータレートに基づいて特定のグループ帯域を選択し、当該グループ帯域を構成するRBに対してトランスポートブロックを構成する送信データのスケジューリングを行う。なお、この広帯域スケジューラ220は、スケジューリング手段として機能する。
下り共有チャネル信号生成部221は、広帯域スケジューラ220により決定されたスケジュール情報に基づいて、上位局装置30からのトランスポートブロック(送信データ)を用いて下り共有チャネル信号を生成する。下り共有チャネル信号生成部221において、トランスポートブロック(送信データ)は、データ符号化部221aで符号化された後、データ変調部221bで変調されて広帯域マッピング部223に出力される。
下り制御信号生成部222は、広帯域スケジューラ220により決定されたスケジュール情報に基づいて、下り制御信号を生成する。下り制御信号生成部222において、下り制御信号のための情報は、データ符号化部222aで符号化された後、データ変調部222bで変調されて広帯域マッピング部223に出力される。
なお、図8においては、複数(ここでは、3つ)のトランスポートブロック(送信データ)が上位局装置30から到来し、これに対応可能に複数(ここでは、3つ)の下り共有チャネル信号生成部221及び下り制御信号生成部222を有する場合について示している。なお、これらの下り共有チャネル信号生成部221及び下り制御信号生成部222の数は、その一例として示したものであり、上位局装置30から到来するトランスポートブロック(送信データ)の数に応じて適宜変更される。
広帯域マッピング部223は、下り共有チャネル信号生成部221から入力される下り共有チャネル信号、並びに、下り制御信号生成部222から入力される下り制御信号のサブキャリアに対するマッピングを行う。この場合、広帯域マッピング部223は、広帯域スケジューラ220により指定されたスケジュール情報に従って、下り共有チャネル信号及び下り制御信号を、選択されたCC又はグループ帯域のサブキャリアにマッピングすることとなる。
広帯域マッピング部223によりマッピングされた送信データは、逆高速フーリエ変換部224で逆高速フーリエ変換されて周波数領域の信号から時系列の信号に変換された後、サイクリックプレフィックス付加部(CP付加部)225でサイクリックプレフィックスが付加される。なお、サイクリックプレフィックスは、マルチパス伝搬遅延の差を吸収するためのガードインターバルとして機能する。サイクリックプレフィックスが付加された送信データは、送受信部203に送出される。
次に、図9を参照しながら、本実施の形態に係る移動端末装置10の構成について説明する。図9に示すように、移動端末装置10は、送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部103と、ベースバンド信号処理部104と、アプリケーション部105とを備えている。
下りリンクのデータについては、送受信アンテナ101で受信された無線周波数信号がアンプ部102で増幅され、送受信部103で周波数変換されてベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号は、ベースバンド信号処理部104でFFT処理や、誤り訂正復号、再送制御の受信処理等がなされる。この下りリンクのデータの内、下りリンクのユーザデータは、アプリケーション部105に転送される。アプリケーション部105は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理等を行う。また、下りリンクのデータの内、報知情報も、アプリケーション部105に転送される。
一方、上りリンクのユーザデータについては、アプリケーション部105からベースバンド信号処理部104に入力される。ベースバンド信号処理部104においては、再送制御(H-ARQ(Hybrid ARQ))の送信処理や、チャネル符号化、DFT処理、IFFT処理等が行われて送受信部103に転送される。送受信部103においては、ベースバンド信号処理部104から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する周波数変換処理が施され、その後、アンプ部102で増幅されて送受信アンテナ101より送信される。
図10は、本実施の形態に係る移動端末装置10が有するベースバンド信号処理部104の機能ブロック図である。送受信部103から出力される受信信号がOFDM信号復調部111で復調される。受信品質測定部112においては、受信したリファレンス信号の受信状態から受信品質を測定する。受信品質測定部112は、基地局装置20が下りリンクのOFDM通信で使用する広帯域に渡るチャネルの受信品質を測定し、測定した受信品質情報を後述する上り制御信号生成部116に通知する。下り制御信号復号部113においては、OFDM復調された下りリンクの受信信号から下り制御信号を復号し、これらに含まれるスケジュール情報を後述するサブキャリアマッピング部117に通知する。下り制御信号に含まれるスケジュール情報は、OFDM信号復調部111におけるOFDM復調に反映される。これにより、移動端末装置10において、基地局装置20で当該移動端末装置10に割り当てられたCC又はグループ帯域を特定することができるものとなっている。下り共有チャネル信号復号部114においては、OFDM復調された下りリンクの受信信号から下り共有チャネルを復号する。下り共有チャネル信号復号部114において、受信信号は、データ復調部114b及びデータ復号部114cにて、伝送フォーマット(符号化率、変調方式)に基づいて復調、復号されて送信データが再生される。
上り共有チャネル信号生成部115は、アプリケーション部105から与えられる送信データを用いて上り共有チャネル信号を生成する。上り共有チャネル信号生成部115において、送信データは、データ符号化部115aで符号化され、データ変調部115bで変調された後、離散フーリエ変換部115cで逆フーリエ変換されて時系列の情報が周波数領域の情報に変換されてサブキャリアマッピング117に出力される。
上り制御信号生成部116は、アプリケーション部105から与えられる送信データ、並びに、受信品質測定部112から通知された受信品質情報に基づいて上り制御信号を生成する。上り制御信号生成部116において、上り制御信号のための情報は、データ符号化部116aで符号化され、データ変調部116bで変調された後、離散フーリエ変換部116cで逆フーリエ変換されて時系列の情報が周波数領域の情報に変換されてサブキャリアマッピング117に出力される。
サブキャリアマッピング部117は、上り共有チャネル信号生成部115から入力される上り共有チャネル信号、並びに、上り制御信号生成部116から入力される上り制御信号のサブキャリアに対するマッピングを行う。この場合、上り共有チャネル信号及び上り制御信号は、下り制御信号復号部113から通知されたスケジュール情報に応じて、基地局装置20から指定されたCC又はグループ帯域にマッピングされる。
サブキャリアマッピング部117によりマッピングされた送信データは、逆高速フーリエ変換部118で逆高速フーリエ変換されて周波数領域の信号から時系列の信号に変換された後、サイクリックプレフィックス付加部(CP付加部)119でサイクリックプレフィックスが付加される。なお、サイクリックプレフィックスは、マルチパス伝搬遅延及び基地局装置20における複数ユーザ間の受信タイミングの差を吸収するためのガードインターバルとして機能する。サイクリックプレフィックスが付加された送信データは、送受信部103に送出される。
このように本実施の形態に係る移動通信システム1においては、基地局装置20から、システム帯域を複数に分割して構成されたグループ帯域のうち、移動端末装置10からの受信品質情報に基づいてグループ帯域を選択し、当該グループ帯域に送信データを割り当てた結果得られるシステム全体のデータレートを比較してスケジュール情報を選択し、このスケジューリング情報に従ってスケジューリングされた送信データを下りリンクで移動端末装置10に送信するようにしている。これにより、移動端末装置10からの受信品質情報のみでなく、当該受信品質情報から選択されるグループ帯域に送信データを割り当てた結果として得られるシステム全体のデータレートも考慮してスケジュール情報が選択されることから、システム帯域における最適なグループ帯域を移動端末装置10に割り当てることができるので、システム帯域幅が拡張される場合においても、周波数ダイバーシチ効果を改善でき、移動端末装置10における受信品質特性を向上することが可能となる。
特に、移動端末装置10からの受信品質情報に基づいて複数のグループ帯域を選択し、複数のグループ帯域に基づいて計算されるデータレートを比較してスケジュール情報を選択する場合には、異なるCCに属するグループ帯域に送信データのスケジューリングを行うことが可能となるので、CCの範囲内でスケジューリングを行う場合に比べてより周波数ダイバーシチ効果を得ることができ、移動端末装置UEにおける受信品質特性を更に向上することが可能となる。
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
例えば、上記実施の形態においては、基地局装置20から移動端末装置10に対して単一の送信系列(送信ストリーム)で情報送信を行う場合について説明しているが、本発明の適用対象としては、この場合に限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、多入力多出力(MIMO:Multiple Input Multiple Output)機能を基地局装置20が備える場合には、複数の送信系列に本願発明の情報送信方法を適用することが可能である。例えば、送信系列毎に上述した広帯域スケジューラ220を備え、トランスポートブロックを構成する送信データを1又は複数のグループ帯域に割り当てることが考えられる。この場合には、多入力多出力(MIMO:Multiple Input Multiple Output)機能を基地局装置20が利用される移動通信システムにおいても、上述した本願発明の効果を得ることが可能となる。
また、上記実施の形態においては、基地局装置20におけるトランスポートブロックの割り当て法を下りリンクに適用する場合について説明しているが、これに限定されるものではなく、上りリンクにも適用することが可能である。この場合、基地局装置20においては、CQI測定部212により上りリンクの受信品質を測定し、この測定結果に基づいて上述したトランスポートブロックの割り当て法によるトランスポートブロックの割り当てを行う。そして、この割り当て情報を含む下り制御信号で各移動端末装置10に送信する。移動端末装置10においては、この割り当て情報で指定されたグループ帯域(例えば、CC)において上り送信データを送信する。このように上りリンクに本発明に係るトランスポートブロックの割り当て法を適用することにより、上りリンクにおいても、本願発明の効果を得ることが可能となる。
本出願は、2009年3月16日出願の特願2009-063595に基づく。この内容は、全てここに含めておく。