WO2009110324A1 - 低比重リポ蛋白質受容体の発現制御方法及び発現増強剤 - Google Patents

低比重リポ蛋白質受容体の発現制御方法及び発現増強剤 Download PDF

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Abstract

 本発明は、低比重リポ蛋白質受容体(LDLR)の発現量を増加させることが可能な新規なLDLR発現制御方法及び発現増強剤を提供する。  本発明では、ZFP36ファミリーの発現を抑制することにより、LDLRの発現量を増加させる。ZFP36ファミリーの発現を抑制するには、ZFP36ファミリーのmRNAに対するアンチセンス鎖、二本鎖RNA又は低分子干渉性RNAから選択される1以上を含有する、若しくはこれらを発現可能な発現ベクターを用いることができる。

Description

低比重リポ蛋白質受容体の発現制御方法及び発現増強剤
 本発明は、低比重リポ蛋白質受容体の発現制御方法及び発現増強剤に関する。より詳しくは、ZFP36ファミリーの発現を抑制することによって、低比重リポ蛋白質受容体の発現量を増加させる発現制御方法等に関する。
 生体内において、コレステロールは、アポタンパク質(Apoprotein)と呼ばれるタンパク質と複合体を形成し、ミセルとなって血漿中に存在している。このコレステロールを含む脂質とアポタンパク質との複合体は、リポ蛋白質(Lipoprotein)と称される。リポ蛋白質は、主としてその比重に応じて、カイロミクロン、超低比重リポ蛋白質、中間比重リポ蛋白質、低比重リポ蛋白質、高比重リポ蛋白質、超高比重リポ蛋白質に分類されている。
 このうち、低比重リポ蛋白質(Low Density Lipoprotein: LDL)は、肝臓で合成されたコレステロールの末梢組織への輸送に関与している。LDLは、俗に「悪玉コレステロール」とも呼ばれ、LDLの血漿中濃度(レベル)の増加は動脈硬化症発症の大きなリスクとなる。高脂血症において、LDLの血漿レベルが正常値を超えて増加すると、LDLが血管内壁へ沈着し、血管内膜の炎症やマクロファージの泡沫化を惹起して血管の傷害が引き起こされる。動脈硬化症や、脳梗塞や心筋梗塞、狭心症等の虚血性疾患は、この血管障害を基盤として発症すると考えられている。
 LDLは、細胞に発現するLDL受容体(Low Density Lipoprotein Receptor: LDLR)を介したエンドサイトーシスによって、血漿中から細胞内へ取り込まれる。LDLRは、LDLを構成するアポタンパク質であるアポリポプロテインB(ApoB)やアポリポプロテインE(ApoE)を認識し、これを結合させる機能を有している。特に、肝臓に発現するLDLRは、血漿LDLのクリアランスに重要な役割を果たしている。LDLR欠損症では、総コレステロール値が600mg/dl以上にもなり、重篤な動脈硬化や虚血性疾患を発症することが知られている。
 以下、本発明に関連して、「ZFP36ファミリー」と、「RNA干渉」及び「アンチセンス法」を用いた遺伝子発現制御方法について説明する。
 細胞内におけるmRNAの安定性やその翻訳量は、mRNAの5’及び3’非翻訳領域に存在する「シスエレメント(cis-element)」と呼ばれる特定配列と、これに結合する「シスエレメント結合因子」によって制御されている。シスエレメント結合因子は、「trans-acting factor」としてシスエレメントに結合し、mRNAの安定性や翻訳量を正負に制御し、mRNA にコードされる遺伝子産物(タンパク質)の発現量を調節している。「ZFP36ファミリー」は、このシスエレメントに結合するシスエレメント結合因子であり、TTP(別名ZFP36)、ZFP36L1及びZFP36L2の3遺伝子を含んでいる。ZFP36ファミリーは、シスエレメントに結合し、mRNAの不安定化・分解促進に機能していることが報告されている(非特許文献1参照)。
 従来、細胞内の遺伝子発現を抑制するための方法として、「RNA干渉(RNA interference; RNAi)」と「アンチセンス法」が知られている。「RNAi」は、標的遺伝子mRNAに相補的な「二本鎖RNA(dsRNA)」又はこのdsRNAがRNaseIIIファミリーに属するDicerと呼ばれる酵素によって分解されて生成する「低分子干渉性RNA(short interfering RNA; siRNA)」を細胞内に導入することで、siRNAと複数のタンパク質から形成されるRISC(RNA Induced Silencing Complex)によって標的遺伝子mRNAを特異的に分解させるものである。これにより、標的遺伝子の発現を特異的に抑制することが可能である。次に説明するアンチセンス法では自然に存在しないアンチセンス鎖を用いるのに対して、RNAiは細胞内の既存の遺伝子発現制御系を利用したものであるため、より安全性が高いものと期待されている。特許文献1には、dsRNAを用いた遺伝子発現抑制方法が記載されている。
 「アンチセンス法」は、標的遺伝子mRNA(センス鎖)に相補的な一本鎖RNA又はDNA(アンチセンス鎖)を細胞内へ導入し、センス鎖のタンパク質への翻訳を選択的に阻害する方法である。これにより、標的遺伝子の発現を特異的に抑制することが可能である。アンチセンス法は、遺伝子選択性が高く、標的遺伝子mRNAに直接作用するので、低毒性で高い効果を得られるものと期待されている。
米国特許第6,506,559号明細書 "Tristetraprolinand its familymembers can promote the cell-free deadenylationof AU-rich element-containing mRNAs by poly(A) ribonuclease." Molecular Cell Biology, 2003, Vol.23, No.11, p.3798-812
 上述の通り、高脂血症における血漿LDLレベルの増加は、動脈硬化症やこれに関連する脳梗塞や心筋梗塞、狭心症等の虚血性疾患などの主要なリスク因子となっている。従って、血漿LDLレベルを低下させることが可能な薬物は、これらの疾患を予防又は治療するため有効となる。
 これまでに、血漿脂質レベルを低下させる薬物として、HMG-CoA還元酵素阻害薬やフィブラート系薬剤等の種々の薬物が開発されてきている。現在主流となっているHMG-CoA還元酵素阻害薬は、生体内におけるコレステロール生合成の律速酵素となっているHMG-CoA(3-hydroxy-3-methylglutaryl-CoA)酵素を拮抗的に阻害し、細胞内でのコレステロール合成を抑制することで、細胞内へのLDL取り込みを亢進させ、血漿LDLレベルを低下させようとするものである。しかし、いまだ臨床において血漿LDLレベルを完全にコントロールできるにはいたっていない。
 血漿LDLのクリアランスに機能するLDLRの発現量を選択的に増強させ、細胞内へのLDL取り込みを直接促進させることができれば、HMG-CoA還元酵素阻害薬に替わる有効な治療方法となるものと考えられる。
 そこで、本発明は、LDLRの発現量を増加させることが可能な新規なLDLR発現制御方法及び発現増強剤を提供することを主な目的とする。
 上記課題解決のため、本発明は低比重リポ蛋白質受容体の発現を制御するための方法であって、ZFP36ファミリーの発現を抑制することにより、低比重リポ蛋白質受容体の発現量を増加させることを特徴とする発現制御方法を提供する。
 この発現制御方法においては、ZFP36ファミリーの発現抑制によって、低比重リポ蛋白質受容体のmRNAを安定化することで、低比重リポ蛋白質受容体の発現量を増加させることが可能である。
 ZFP36ファミリーの発現抑制のためには、RNA干渉又はアンチセンス法を好適に採用することができる。
 具体的には、配列番号1~6記載の塩基配列を有する低分子干渉性RNAを標的細胞内に導入し、ZFP36ファミリーの発現を抑制することにより、前記標的細胞における低比重リポ蛋白質受容体の発現量を増加させることができる。
 また、本発明は、ZFP36ファミリーのmRNAに対するアンチセンス鎖、二本鎖RNA又は低分子干渉性RNAから選択される1以上を含有する、若しくはこれらを発現可能な発現ベクターを含有する低比重リポ蛋白質受容体発現増強剤、及びこの低比重リポ蛋白質受容体発現増強剤を含有する、高脂血症あるいは高脂血症関連疾患を予防、改善又は治療するための医薬組成物を提供する。
 この医薬組成物を適用可能な高脂血症関連疾患としては、動脈硬化症、高血圧症、脳梗塞、心筋梗塞、狭心症、糖尿病、肥満症、癌が挙げられる。
 さらに、本発明は、低比重リポ蛋白質受容体発現増強剤製造のためZFP36ファミリーのmRNAに対するアンチセンス鎖、二本鎖RNA又は低分子干渉性RNA、若しくはこれらを発現可能な発現ベクターの使用をも提供するものである。
 本発明により、LDLRの発現量を増加させることが可能な新規なLDLR発現制御方法及び発現増強剤が提供される。
LDLR mRNAの3’UTRのうち、mRNA安定性制御に関与する領域の構造を示す模式図である。 実施例2において、ZFP36L1及びZFP36L2のLDLRmRNA 3’UTRに対する特異性を検討したウェスタンブロットの結果を示す図である。 実施例3において合成したARE1~3を欠失させたmRNAベイトの構造を示す模式図である。 実施例3において、ZFP36L1及びZFP36L2が結合するAREを検討したウェスタンブロットの結果を示す図である。 実施例4において、ARE1~3を欠失させたLDLR 3’UTRフラグメントを発現させた細胞内におけるLDLR3’UTRフラグメント量を検討したノーザンブロットの結果を示す図である。 RNAiを用いてZFP36L1及びZFP36L2の発現を抑制した場合のLDLR発現量の変化を示す図である。 本発明に係るLDLR発現制御方法のメカニズムを説明する模式図である。
 以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
 これまでにLDLR mRNAの3’非翻訳領域(UTR)内の特定領域が、mRNAの安定性制御に関与していることが報告されている(”Berberine is a novel cholesterol-lowering drug working through a unique mechanism distinct from statins.”Nature Medicine, 2004, Vol.10, No.12, p.1344-1351・Fig.2f参照)。今回、本発明者らは、この領域に結合し、LDLR mRNAの安定性制御に関与しているシスエレメント結合因子としてZFP36ファミリーを同定し、ZFP36ファミリーがLDLR mRNAの不安定化及び分解促進に機能していることを明らかにした。そしてZFP36ファミリーの発現を抑制することで、LDLRの発現量を選択的に増強できることを見出した。
 従って、本発明は、LDLRの発現を制御するための方法であって、ZFP36ファミリーの発現を抑制することにより、LDLRの発現量を増加させることを特徴とする発現制御方法を提供するものである。
 ZFP36ファミリーの発現を抑制することで、LDLR mRNAを不安定化してその分解を促進するZFP36ファミリーの機能を抑制し、LDLR mRNAを選択的に安定化させることができる。従って、この発現制御方法によれば、LDLR mRNAからのタンパク質翻訳量を増加させ、LDLRの発現量を増加させることが可能となる。
 本発明に係るLDLR発現制御方法おいて、ZFP36の発現を抑制するためには、公知の遺伝子発現抑制方法を広く採用することができる。特に、高い遺伝子選択性を備えるRNAi及びアンチセンス法が好適に採用される。
 RNAiによる方法では、ZFP36ファミリー mRNA(以下、単に「ZFP36 mRNA」ともいう)に相補的な塩基配列を有するdsRNA又はsiRNAを細胞内に導入することで、RISCによるZFP36 mRNAの特異的分解を誘導し、ZFP36ファミリータンパク質の発現を抑制することが可能である。
 使用するdsRNA及びsiRNAは、ZFP36 mRNAに対して少なくともその一部において相補的な塩基配列を有していることが必要であり、望ましくはその全部がZFP36 mRNAに対して相補的な塩基配列を有するものである。また、さらに望ましくは、ZFP36 mRNAのうち、特に翻訳領域に対して、相補的な塩基配列を有していることが、ZFP36ファミリーの発現を特異性高く抑制するため効果的となる。
 具体的には、例えば実施例で用いた「表1」に示す塩基配列を有するsiRNAをLDLRの発現制御対象とする細胞(以下、「標的細胞」という)内に導入することで、ZFP36 mRNAの分解を誘導することができる。なお、ここに挙げるsiRNAは例示であって、ZFP36ファミリーに対して使用可能なsiRNAはこれらに限定されない。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 dsRNA又はsiRNAは、上述の通り、ZFP36 mRNAに対し少なくとも一部において相補的な塩基配列を有していればよく、ZFP36 mRNAと二本鎖を形成することにより相互作用し得るものが広く包含されるものとする。すなわち、dsRNA又はsiRNAの塩基配列は、配列番号7に示すZFP36L1、配列番号8に示すZFP36L2、配列番号9に示すTTP(ZFP36)のいずれかの塩基配列の一部に完全に相補的であることがZFP36ファミリーに対する高い発現抑制効果、ひいては高いLDLR発現増強効果を得るために望ましい。しかし、必ずしも完全一致である必要はなく、ZFP36 mRNAと二本鎖を形成し相互作用して、RNAiを仲介し得る塩基配列を有するdsRNA又はsiRNAであれば用いることができる。
 従って、本発明において使用可能なsiRNAには、例えば「表1」に示したsiRNAにおいて、塩基配列中の1又は2以上の塩基を欠失、付加、置換、挿入した改変配列を有するRNAであって、ZFP36 mRNAと相互作用することによって、配列番号1~6のいずれかに示す塩基配列を含むRNAと同等のRNA干渉能、すなわちZFP36ファミリー発現抑制効果を発揮し得るsiRNAが含まれる。
 ZFP36ファミリーの発現を抑制するためには、上記のRNAi以外にも、例えば、公知のアンチセンス法を採用してもよい。アンチセンス法では、ZFP36 mRNA(センス鎖)に相補的な一本鎖RNAやDNA等のアンチセンス鎖を細胞内へ導入し、センス鎖のタンパク質への翻訳を選択的に阻害することで、ZFP36ファミリータンパク質の発現を抑制することが可能である。
 アンチセンス鎖の塩基配列についても、siRNAと同様に、ZFP36 mRNAの塩基配列と完全に相補的である必要はなく、LDLR mRNA二本鎖を形成し相互作用し得る塩基配列であればよい。また、アンチセンス鎖には、一本鎖RNA又はDNAの他、ヌクレアーゼ耐性を高め、細胞内への導入効率を向上させることを目的として、RNA又はDNAを修飾又は改変した核酸鎖を使用することができる。このような修飾又は改変した核酸鎖としては、例えば、LNA(Locked Nucleic Acid)やPNA, Morpholino、2'-O-methyl-RNA、チオDNA、チオRNAなどが挙げられる。
 RNAi、アンチセンス法及びその他の公知の遺伝子発現抑制方法により、ZFP36ファミリーの発現を抑制する場合、その抑制効果は、遺伝子発現抑制の対象とする被検細胞(又は組織や個体)と、比較のための対照細胞との間で、ZFP36ファミリーのタンパク質発現量を測定することによって評価できる。本発明における「ZFP36ファミリーの発現抑制」は、この評価において、対照細胞に比して、被検細胞におけるZFP36ファミリーのタンパク質量が少ないと評価される状態を指すものとする。
 ZFP36ファミリーのタンパク質発現量の測定には、ZFP36ファミリーに対する抗体を用いたウェスタンブロット法やELISA法などの公知の方法を好適に採用できる。タンパク質量の測定は、被検細胞と対照細胞として、同一の細胞種を用いて同一の条件下で測定されるべきである。また、被検個体(又は組織)と対照個体における測定も、たとえ同一でないとしても、同一動物種を用いて類似した条件の下で測定されるべきものである。
 dsRNA又はsiRNAやアンチセンス鎖は、公知の遺伝子工学的手法及び核酸合成方法により得ることができる。具体的には、dsRNAは、化学合成やインビトロ転写(in vitro translation)により調製し得る。また、siRNAは、これらの方法に加え、dsRNAをDicerによりsiRNAに切断することによって調製することができる。
 本発明に係るLDLR発現制御方法において、制御対象を細胞とする場合、dsRNA又はsiRNAやアンチセンス鎖は、細胞培養液に添加し細胞内へ取り込ませることによって、細胞内のZFP36 mRNAへ結合させることができる。また、dsRNA又はsiRNAやアンチセンス鎖をリポフェクションやマイクロインジェクションによって細胞内へ導入することにより、ZFP36 mRNAへ結合させてもよい。また、遺伝子発現の制御対象が生体臓器又は生体である場合には、経口経路、直腸経路、鼻腔経路、血管経路などの投与経路によって、又は対象臓器への直接局所投与によって、dsRNA又はsiRNAやアンチセンス鎖を生体内又は生体臓器内へ導入し、細胞内へ取り込ませる。
 さらに、dsRNA又はsiRNAやアンチセンス鎖を発現可能なベクターのトランスフェクトにより、これらを細胞内で発現させ、ZFP36 mRNAへ結合させることもできる。ベクターには、大腸菌由来や枯草菌由来、酵母由来のプラスミドや、バクテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイルス,バキュロウイルスなどの動物ウイルス又はこれらをリポソームと融合させたものなどが用いることができる。特に、dsRNA及びsiRNA、アンチセンス鎖をRNAとする場合には、レトロウイルスベクター又はこれらをリポソームと融合させたものが好適に選択される。発現ベクターの構築は、公知の遺伝子工学的手法により行うことができる。
 次に、本発明に係るLDLR発現増強剤、及びこれを含有する医薬組成物について説明する。
 本発明に係るLDLR発現増強剤は、ZFP36のmRNAに対するアンチセンス鎖、dsRNA又はsiRNAから選択される1以上を含有する、若しくはこれらを発現可能な発現ベクターを含有するものである。
 上記の通り、ZFP36 mRNAに対するdsRNA、siRNA及びアンチセンス鎖(以下、「dsRNA等」ともいう)によれば、ZFP36ファミリーの発現を抑制してその機能を抑制することで、LDLR mRNAを選択的に安定化し、LDLRの発現量を増加させることが可能である。従って、dsRNA等は、LDLR発現増強剤として利用し得るものである。
 LDLR発現増強剤を対象とする細胞や生体臓器等へ処置するための方法は、dsRNA等の細胞培養液への添加やリポフェクション等による細胞内導入、経口投与等による生体臓器内への導入、発現ベクターを用いた細胞内での発現などの方法を、適宜選択して用いることができる。
 このLDLR発現増強剤によれば、LDLRの発現を選択的に増強することが可能であるため、このLDLR発現増強剤を有効成分とする医薬組成物は、例えば特に肝臓へ適用してLDLRの発現量を増加させることで、血漿LDLコレステロールのクリアランスを高め、高脂血症及び高脂血症関連疾患を予防、改善又は治療することが可能となる。なお、ここで「予防」には、疾患を罹患する前段階の予防だけではなく、疾患治療後の再発に対する予防も含まれる。
 本発明に係る医薬組成物は、このLDLR発現増強剤を、理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造できる。この医薬組成物は、例えば、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液又は懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。本発明に係る遺伝子産物発現増強剤又は抑制剤を、生錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。
 医薬組成物の投与量や剤型の種類、投与方法は、投与対象(動物を含む)の年齢や体重、症状等を考慮して決定されるものである。投与方法は、経口経路、直腸経路、鼻腔経路、血管経路などによる投与、又は対象臓器への局所投与を適宜選択し得る。
 この医薬組成物を適用可能な高脂血症関連疾患としては、動脈硬化症やこれに関連する脳梗塞や心筋梗塞、狭心症等の虚血性疾患、さらには肥満症や糖尿病などの脂質代謝異常を伴う代謝性疾患、高血圧症や癌などが挙げられるが、この他の疾患への適用を除外するものではない。
<実施例1>
1.LDLR mRNAに結合するシスエレメント結合因子の単離同定
 これまでにLDLR mRNAの3’非翻訳領域(UTR)内の特定領域が、mRNAの安定性制御に関与していることが報告されている(”Berberine is a novel cholesterol-lowering drug working through a unique mechanism distinct from statins.”Nature Medicine, 2004, Vol.10, No.12, p.1344-1351・Fig.2f参照)。そこで、この領域に結合し、LDL mRNAの安定性制御に関与しているシスエレメント結合因子を単離することを目的として、当該領域部分をベイトとした免疫沈降を行い、これに結合したタンパク質の同定を行った。
 「図1」は、LDLR mRNAの3’UTRのうち、mRNA安定性制御に関与する領域の構造を示す模式図である。この領域は、配列番号10に示すLDLR mRNA 5175bp(GenBank Accession No.NM_000527)のうち、5’末端から2677-3585bpの領域に相当する。
 図1中、「ARE1」, 「ARE2」及び「ARE3」は、それぞれ当該領域に存在する3つの「AUリッチエレメント(AU-Rich Element: ARE)」を示す。また、「UCAU」は、「UCAU」の4塩基が4回重複して配列する「UCAUリピート」を示す。LDLR mRNAの3’UTRのうち、ARE1からARE3までが配列するこの領域が、mRNAの安定性の制御に関与する領域である。
 AREは、代表的なシスエレメントの一つである。AREには、trans-acting factor としてARE結合タンパク質が結合し、mRNAの安定性や翻訳量を主として負に制御している(“AU-rich elements and associated factors: are there unifying principles?” Nucleic Acids Research, 2005, Vol.33, No.22, p.7138-7150及び“AU-rich element-mediated translational control: complexity and multiple activities of trans-activating factors.” Biochemical Society Transactions, 2002, Vol.30, part 6, p.952-958参照)。AREは、現在、暫定的に以下の3グループに分類されている(“AU-rich elements and associated factors: are there unifying principles?” Nucleic Acids Research, 2005, Vol.33, No.22, p.7138-7150参照)。すなわち、(1)ウリジンに富む配列中に数コピーの「AUUUAペンタマー」を含む領域、(2)少なくとも2以上の重複する「UUAUUUA(U/A)(U/A)ノナマー」を含む領域、(3)「AUUUAペンタマー」を含まないがウリジンに富む領域である。
 また、UCAUリピートは、分裂酵母を用いた実験で、「K-homology-type RNA binding protein」と呼ばれる結合タンパク質を介したmRNAの安定性制御に関与することが報告されている(”Feedback regulation of MAPK signallingby an RNA-binding protein.”Nature, 2003, Vol.424, No.6951, p.961-965参照)。
1-(1).LDL mRNAベイトの合成
 LDL mRNAをin vitro translationにより合成した。5’末端にT7 promoter 配列を持つプライマーを用いてPCRによりLDLR mRNA (配列番号10)の2677-3585bp領域の増幅を行い、MEGAscript T7 キット (Cat.No.1333, Ambion)を用い、添付プロトコールに従ってRNAの合成を行った。合成されたLDL mRNAの3’末端にFlag-hydrazideを共有結合させる反応を行い、LDLR mRNAの3’末端をFlag標識した。標識mRNAをQiagen社のRNeasy Mini Kit(Cat.No.74106)を用いて精製した。なお、mRNAのFlag標識は、公知の手法(”Programmable ribozymes for mischarging tRNA with nonnatural amino acids and their applications to translation.” Methods, 2005, Vol,36, No.3, p.239-244参照)に従って行った。
1-(2).免疫沈降・タンパク質同定
 精製後のFlag標識LDLR mRNA 10pmolを抗Flag抗体ビーズ(Cat.No.F2426, Sigma)と混合、4℃で1時間反応を行った。その後、10%FBS 含有DMEM培地で培養した293T細胞から抽出した細胞抽出タンパク質3mgを加えさらに、4℃で1時間反応を行った。非結合タンパク質を洗い流した後、RNA及びRNA結合タンパク質をFlagペプチドで溶出させた。溶出させて得た試料をリジルエンドペプチダーゼ処理し、公知の手法(”A direct nanoflowliquid chromatography-tandem mass spectrometry system for interaction proteomics.” Analytical Chemistry, 2002, Vol.74, No.18, p.4725-4733参照)に従って解析を行った。マススペクトロメーターには、LC-MS/MS(QSTAR XL, アプライドバイオシステム)を用いた。
1-(3).結果
 LC-MS/MSにより「ZFP36L1」及び「ZFP36L2」が同定された。ZFP36ファミリーは、AREに結合してmRNAを不安定化し、分解を促進する機能を有することが報告されている(”Tristetraprolin and its family members can promote the cell-free deadenylation of AU-rich element-containing mRNAs by poly(A) ribonuclease.” Molecular Cell Biology, 2003, Vol.23, No.11, p.3798-812参照)。
 比較のため、beta-ActinmRNA(配列番号11, GenBank Accession No.NM_001101)の3’UTR(5’側末端から1199-1770bps)について同様にベイトを合成し、免疫沈降とLC-MS/MSによる解析を行った。AREは、現在では全遺伝子の5~8%に存在すると推定されており(“ARED: human AU-rich element-containing mRNA database reveals an unexpectedly diverse functional repertoire of encoded proteins.” Nucleic Acids Research, 2001, Vol.29, No.1, p.246-254参照)、beta-Actin mRNAの3’UTRにも「AUUUAペンタマー」が少なくとも一箇所存在していることが知られている。しかしながら、Actin mRNAをベイトとした場合には、ZFP36L1及びZFP36L2は同定されなかった。
 これらの結果から、ZFP36L1及びZFP36L2がLDLR mRNA 3’UTRの特定領域に結合することが明らかとなり、ZFP36L1及びZFP36L2が当該領域に存在するARE1~3に結合してLDLR mRNAの不安定化及び分解促進に関与していることが示唆された。
<実施例2>
2.ZFP36L1及びZFP36L2のLDLR mRNA 3’UTRに対する特異性の検討
 ZFP36L1及びZFP36L2のLDLR mRNA 3’UTRに対する特異性を検討するため、Actin-mRNAに加えて、Histone mRNA(GenBank Accession No.BC001629)とHNRNPA2B1(GenBank Accession No.NM_002137)の3’UTRについても同様にベイトを合成し、ZFP36L1及びZFP36L2の結合能の評価を行った。
2-(1).LDL mRNAベイトの合成
 実施例1中「1-(1).LDLR mRNAベイトの合成」で説明した方法に従い、Histone mRNA(配列番号12)の39-549bp領域とHNRNPA2B1(hnA/B) mRNA(配列番号13)の39-549bp領域についても、Flag標識mRNAを調製した。hnA/B mRNAの3’UTRには、Actinと同様に、少なくとも一箇所の「AUUUAペンタマー」が存在している。他方、Histone mRNAの3’UTRにはAREは存在しない。
2-(2).免疫沈降
 実施例1中「1-(2).免疫沈降・タンパク質同定」で説明した方法に従い、精製後のFlag標識mRNAを抗Flag抗体ビーズと混合・反応を行った後、MycタグをフューズしたZFP36L1及びZFP36L2(Myc-tagged-ZFP36L1/ ZFP36L2)を強制発現させた293T細胞から抽出した細胞抽出タンパク質3mgと混合し反応を行なった。免疫沈降後、溶出させた試料について、抗Myc抗体(Cat.No.1667149, Roche)を用いてウエスタンブロッティングを行った。
2-(3).結果
 ウェスタンブロットの結果を「図2」に示す。上段は抗Myc抗体検出のMyc-tagged-ZFP36L2バンド、下段はMyc-tagged-ZFP36L1バンドを示す。
 Myc-tagged-ZFP36L1/ ZFP36L2が含まれる細胞抽出タンパク質をFlag標識LDLR 3’UTR (LDLR 3’UTR-Flag)と混合し、抗Flag抗体で免疫沈降させて得た試料(図中レーン4)では、ZFP36L1及び多量のZFP36L2が検出された。
 一方、同様にARE(AUUUAペンタマー)を有しているActin 3’UTR-Flag(レーン2)やhnA/B 3’UTR-Flag(レーン5)との反応で得られた試料ではZFP36L1及びZFP36L2はほとんど検出されなかった。また、ARE が存在しないHistone 3’UTR-Flag(レーン3)についても、ZFP36L1及びZFP36L2は検出されなかった。
 これらの結果から、ZFP36L1及びZFP36L2がLDLR mRNA 3’UTRに存在するAREに対して高い特異性をもって結合することが確認され、ZFP36L1及びZFP36L2が特にLDLR mRNAの不安定化及び分解促進に関与していることが示唆された。
<実施例3>
3.ZFP36L1及びZFP36L2が結合するAREの同定
 図1に示した領域において、ZFP36L1及びZFP36L2が結合するAREを同定するため、ARE1~3を欠失させたベイトを合成し、ZFP36L1及びZFP36L2の結合能の評価を行った。
3-(1).LDL mRNAベイトの合成
 「図3」に合成したmRNAベイトの構造を示す。図3(A)は、LDLR mRNAの2677-3585bp領域を含むmRNAベイト(LDLR 3’UTR-(WT)-Flag)である。また(B)及び(C)は、それぞれARE1部分を欠失させたmRNAベイト(LDLR 3’UTR-(Δ-ARE1)-Flag)とARE2及びARE3を欠失させたmRNAベイト(LDLR 3’UTR-(Δ-ARE2,3)-Flag)である。各mRNAベイトの合成は、実施例1中「(1)LDLR mRNAベイトの合成」で説明した方法に従って行った。
3-(2).免疫沈降
 実施例2中「2-(2).免疫沈降」で説明した方法に従い、精製後のFlag標識mRNAを抗Flag抗体ビーズと混合・反応を行った後、Myc-tagged-ZFP36L1/ ZFP36L2を強制発現させた293T細胞から抽出した細胞抽出タンパク質3mgと混合し反応を行なった。免疫沈降後、溶出させた試料について、抗Myc抗体(Cat.No.1667149, Roche)を用いてウエスタンブロッティングを行った。
3-(3).結果
 ウェスタンブロットの結果を「図4」に示す。上段は抗Myc抗体検出のMyc-tagged-ZFP36L2バンド、下段はMyc-tagged-ZFP36L1バンドを示す。
 全領域を含むLDLR 3’UTR-(WT)-Flag、又はARE2及びARE3を欠失させたLDLR 3’UTR-(Δ-ARE2,3)-Flagを、Myc-tagged-ZFP36L1/ ZFP36L2が含まれる細胞抽出タンパク質と混合し、抗Flag抗体で免疫沈降させて得た試料(図中レーン2, 3)では、ZFP36L1及びZFP36L2が検出された。
 これに対して、ARE1を欠失させたLDLR 3’UTR-(Δ-ARE1)-Flagとの反応により得られた試料(レーン4)ではZFP36L1及びZFP36L2はほとんど検出されなかった。
 この結果は、ZFP36L1及びZFP36L2が、図1に示したLDLR mRNA 3’UTRの特定領域中において、特にARE1に結合していることが明らかにするものである。
<実施例4>
4.ZFP36L1及びZFP36L2の機能解析
 実施例1~3の結果から、ZFP36L1及びZFP36L2は、LDLR mRNA 3’UTRのARE1に結合して、LDLR mRNAの安定性制御、特に不安定化及び分解促進、に関与しているものと考えられる。これを確認するため、ARE1~3を欠失させたLDLR 3’UTRフラグメントを細胞に発現させ、その安定性の評価を行った。
4-(1).LDLR 3’UTRフラグメント発現ベクターの構築
 「図3」に示したmRNAベイト(LDLR 3’UTR-(WT)-Flag, LDLR 3’UTR-(Δ-ARE1)-Flag, LDLR 3’UTR-(Δ-ARE2,3)-Flag)と同様の構造を有するLDLR 3’UTRフラグメント(LDLR 3’UTR-(WT), LDLR 3’UTR-(Δ-ARE1), LDLR 3’UTR-(Δ-ARE2,3))を発現するプラスミドを構築した。
 プラスミドは、Invitrogen社の pDEST 12.2 Vector (Cat. No. 11808-011) をもとにして、挿入領域の5'側にRFPタンパク質をコードする配列を加えたプラスミドベクターを構築した。さらにInvitrogen社の添付プロトコールに従って、PCR反応およびLR組み替え反応を行ない、発現ベクターpDEST 12.2-RFP-LDLR 3’UTR-(WT), pDEST 12.2-RFP-LDLR 3’UTR-(Δ-ARE1), pDEST 12.2-RFP-LDLR 3’UTR-(Δ-ARE2,3)を作成した。
4-(2).細胞内LDLR 3’UTRフラグメント量の評価
 293T細胞を、6-well プレートに8.0×105cells / wellで播種し、10%FBS 含有DMEM培地を用いて培養した。培養24時間後、発現ベクターをリポフェクション(Lipofectamine 2000, Cat.No.11668-019, Invitrogen)によって細胞にトランスフェクトした。発現ベクター2.0μgを100μlのOpti-MEMで希釈した。また、4μlのLipofectamine2000を100μlのOpti-MEMで希釈した。希釈後、室温にて5分間静置し、発現ベクターとLipofectamine希釈液を混合し、さらに20分静置後、全量を6-well プレートに加えた。トランスフェクト24時間後に、細胞からトータルRNAを抽出し、定法によりノーザンブロットを行った。プローブは、LDLR mRNA (配列番号10)の2677-3585bp領域についてDIGノーザンスターターキット(Cat.No.2039672, Roche)によりDig ラベルしたアンチセンスRNAを用いた。
4-(3).結果
 ノーザンブロットの結果を「図5」に示す。図(A)は、LDLR 3’UTRフラグメントの検出バンドを示す。また、図(B)には、検出バンド濃度の定量値を、LDLR 3’UTR-(WT)フラグメント(図(A)中レーン1)を100とした相対比によって示す。
 ARE1を欠失させたLDLR 3’UTR-(Δ-ARE1)を過剰発現させた細胞(レーン3)では、全領域を含むLDLR 3’UTR-(WT) 又はARE2及びARE3を欠失させたLDLR 3’UTR-(Δ-ARE2,3)を過剰発現させた細胞(レーン1, 5)に比べ、トータルRNA中に検出されたLDLR 3’UTRフラグメントの量が増加した。
 この傾向は、トランスフェクト24時間後のトータルRNA抽出に先立って、細胞をActiomycinD処理(終濃度5μg/ml, 2時間)することにより、細胞内のRNA合成を阻害した場合、さらに顕著であった。
 すなわち、LDLR 3’UTR-(WT) 又はLDLR 3’UTR-(Δ-ARE2,3)を過剰発現させた細胞をトランスフェクト後、ActiomycinD(ActD)処理した細胞(レーン2, 6)では、ActDによって新たなLDLR 3’UTRフラグメントの合成が阻害される結果、フラグメントの分解が優位となり、検出されるフラグメントの量は20%程度にまで減少する(レーン1, 5と比較)。
 これに対して、ARE1を欠失させたLDLR 3’UTR-(Δ-ARE1) を過剰発現させ、ActD処理を行った細胞(レーン4)では、ActD処理をしていない細胞(レーン3)に対する検出量の減少が顕著に抑制され、多量のLDLR 3’UTRフラグメントを検出することができた。
 これは、LDLR 3’UTR-(Δ-ARE1) を過剰発現させた細胞では、ActDによって新たなLDLR 3’UTRフラグメントの合成を阻害しても、ARE1を欠失させたことによってLDLR 3’UTRフラグメントの分解が抑制され、フラグメント量の減少が抑えられたことによるものと考えられた。
 以上のように、ARE1の欠失によってLDLR 3’UTRフラグメントの検出量が増加したことは、ARE1がLDLR mRNAの不安定化及び分解促進に関与していることを示すものであり、これはARE1に結合するZFP36L1及びZFP36L2の機能によるものであることが強く示唆された。
<実施例5>
5.ZFP36L1及びZFP36L2の発現抑制によるLDLRの発現制御実験
 実施例3の結果から、ZFP36L1及びZFP36L2が、LDLR mRNA 3’UTRに存在するARE1に結合し、LDLR mRNAの不安定化及び分解促進に機能しているものと考えられた。このことは、ZFP36L1及びZFP36L2の発現を抑制し、その機能を抑制することで、LDLR mRNAを安定化し、LDLRの発現量を増強できる可能性を示唆している。そこで、これを確認するため、RNAiを用いてZFP36L1及びZFP36L2の発現を抑制した場合のLDLR発現量の変化について検討を行った。
5-(1)ZFP36L1及びZFP36L2の発現抑制
 Hela細胞を、6-well プレートに4.0×105 cells / wellで播種し、10%FBS 含有DMEM培地を用いて培養した。培養24時間後、siRNAをリポフェクション(Lipofectamine 2000, Cat.No.11668-019, Invitrogen)によって細胞にトランスフェクトした。siRNAを200pmolを100μlをOpti-MEMで希釈した。また、10μlのLipofectamine2000を100μlのOpti-MEMで希釈した。希釈後室温にて5分間静置し、siRNA希釈液とLipofectamine希釈液を混合し、さらに20分静置後、全量を6-well プレートの各ウェルに加えた。
 使用したsiRNAはInvitrogen社から購入した。ZFP36L1及びZFP36L2のそれぞれについて使用した3種類のsiRNAのCat.No.を「表2」に示す。比較のためのコントロールsiRNA7-9には、Stealth RNAiNegative Control  (Cat.No.12935-100, Invitrogen)を使用した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
5-(2)LDLRの発現量の評価
 トランスフェクション60時間後の細胞を回収し抽出したタンパク質を用いてウェスタンブロットを行い、LDLRの発現量を評価した。
 ウェスタンブロットの結果を「図6」に示す。図(A)上段にはLDLRの検出バンド、中段及び下段には比較のためβ-actinの検出バンドを示す。また、図(B)には、検出バンド濃度の定量値を、コントロールsiRNA7をトランスフェクトした細胞(図(A)中レーン1)を1とした相対比によって示す。
 コントロールsiRNA7~9をトランスフェクトした細胞に比べて、siRNA1~3のいずれかとsiRNA4~6のいずれかを組み合わせてトランスフェクトし、ZFP36L1及びZFP36L2の発現を抑制した細胞では、LDLRの発現量が顕著に増強された。
 一方、β-actinについては、siRNA1~6をトランスフェクトしても、その発現量に有意な変化は認められなかった。
 以上のように、ZFP36L1及びZFP36L2の発現を阻害するsiRNAのトランスフェクトによって、LDLR発現量を選択的に増強できることが明らかとなった。
 本実施例1~5の結果から、ZFP36L1及びZFP36L2がLDLR mRNA 3’UTRに存在する特定のARE(ARE1)に高い特異性をもって結合して、LDLR mRNAを不安定化し、分解を促進する機能を発揮していることが明らかになった。そして、ZFP36L1及びZFP36L2の発現を抑制することにより、このZFP36L1及びZFP36L2の機能発現を阻害して、LDLRの発現量を選択的に増強させ得ることが示された(図7参照)。
 今回、TTP(ZFP36)については詳細な検討を行っていないが、ZFP36ファミリーに関しては、TTP, ZFP36L1及びZFP36L2が共通してmRNAの不安定化・分解促進に機能していることが報告されていることから(上記非特許文献1参照)、ZFP36L1及びZFP36L2のみならず、TTPの発現抑制によっても、同様にLDLR発現量を増加させられるものと考えられた。
 本発明により、LDLRの発現量を増加させることが可能な新規なLDLR発現制御方法及び発現増強剤が提供される。
 この低比重リポ蛋白質受容体発現増強剤を含有する医薬組成物は、高脂血症あるいは高脂血症関連疾患を予防、改善又は治療するための医薬組成物として有用である。この医薬組成物を適用可能な高脂血症関連疾患としては、動脈硬化症、高血圧症、脳梗塞、心筋梗塞、狭心症、糖尿病、肥満症、癌が挙げられる。
 本国際出願は、2008年3月4日に出願された日本国特許出願2008-052931に基づく優先権を主張するものであり、その全内容をここに参照して取り入れる。また、本特許出願で引用した先行刊行物及び特許の開示は全て本出願で参照して取り入れる。

Claims (10)

  1.  低比重リポ蛋白質受容体の発現を制御するための方法であって、ZFP36ファミリーの発現を抑制することにより、低比重リポ蛋白質受容体の発現量を増加させることを特徴とする発現制御方法。
  2.  ZFP36ファミリーの発現抑制によって、低比重リポ蛋白質受容体のmRNAを安定化することを特徴とする請求項1に記載の発現制御方法。
  3.  RNA干渉又はアンチセンス法によってZFP36ファミリーの発現を抑制することを特徴とする請求項2に記載の発現制御方法。
  4.  ZFP36ファミリーのmRNAに対するアンチセンス鎖、二本鎖RNA又は低分子干渉性RNAから選択される1以上を含有する、若しくはこれらを発現可能な発現ベクターを用いてZFP36ファミリーの発現を抑制することを特徴とする請求項3に記載の発現制御方法。
  5.  配列番号1~6記載の塩基配列を有する低分子干渉性RNAを標的細胞内に導入し、ZFP36ファミリーの発現を抑制することにより、前記標的細胞における低比重リポ蛋白質受容体の発現量を増加させることを特徴とする請求項4に記載の発現制御方法。
  6.  ZFP36ファミリーのmRNAに対するアンチセンス鎖、二本鎖RNA又は低分子干渉性RNAから選択される1以上を含有する、若しくはこれらを発現可能な発現ベクターを含有する低比重リポ蛋白質受容体発現増強剤。
  7.  前記低分子干渉性RNAが、配列番号1~6記載の塩基配列を有するものであることを特徴とする請求項6に記載の低比重リポ蛋白質受容体発現増強剤。
  8.  請求項6又は7に記載の低比重リポ蛋白質受容体発現増強剤を含有する、高脂血症あるいは高脂血症関連疾患を予防、改善又は治療するための医薬組成物。
  9.  前記疾患が、動脈硬化症、高血圧症、脳梗塞、心筋梗塞、狭心症、糖尿病、肥満症、癌からなる群より選択される一以上の疾患であることを特徴とする請求項8に記載の医薬組成物。
  10.  低比重リポ蛋白質受容体発現増強剤製造のためZFP36ファミリーのmRNAに対するアンチセンス鎖、二本鎖RNA又は低分子干渉性RNA、若しくはこれらを発現可能な発現ベクターの使用。
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