WO2007114387A1 - 使い捨ておむつ - Google Patents

Abstract

【課題】止着式使い捨ておむつの止着性を向上させる。 【解決手段】止着テープとの剥離強度が製品の幅方向中心部から左右両側縁方向に向かって段階的または連続的に低くなるように構成した係止部、又は有孔被覆シート２１の孔部２１ａ、２１ａから雌基材シートの雌形素子が露出するように構成した雌材シートからなる係止部を、有する使い捨ておむつにより解決される。

Description

明 細 書

使い捨ておむつ

技術分野

[0001] 本発明は、使 、捨ておむつ、特に、背側又は腹側部の何れか一方の左右両側縁 部に配された止着テープを、対応する腹側部又は背側部の左右両側縁部間に配さ れた係止部に係止して着用する展開型の使い捨ておむつに関する。

背景技術

[0002] 液透過性の表面シートと液不透過性の裏面シートと両シート間に介在された吸収 体とを備え、背側部の左右両側縁部に配された止着テープを腹側部の所定位置〖こ 配された止着部に止着して着用する展開型の使い捨ておむつは良く知られている。 この種の使!、捨ておむつでは、止着テープの全部または一部を面ファスナーの雄 材とするとともに、腹側胴部の所定位置に幅方向にわたって雌材シートを接着して係 止部を形成し、前記雄材を係止部たる雌材に圧接係止させて止着を行うようにした、 止着機構として面ファスナー機構を採るものがある。

近年では、雌材シートを接着して係止部を形成するのではなぐ裏面シートの外面 側を不織布シートで構成するとともに、裏面シートの腹側胴部に幅方向にわたってェ ンボスカ卩ェするなどして、裏面シートそのものを係止部とした、ターゲットテープレスと も呼ばれる面ファスナー機構を採るものも知られる。

[0003] これらのような面ファスナー機構を採用した使い捨ておむつは、装着のさいに止着 テープの付けはがしをしても、係止力の低下がほとんど見られず、また、適度なせん 断力をもって止着でき装着感に優れる。

[0004] 一方、この種の面ファスナーを用いた使い捨ておむつでは、装着者の動きに対応 すべぐ止着テープが接着されているフラップに伸縮性を持たせたり、止着テープそ のものに伸縮性を持たせたり、あるいは係止部形成領域に伸張性を持たせたりして、 腹回りに伸縮性を持たせて装着者が動きやす 、ように構成するのが一般的である。 また、このように伸縮性を積極的に付与しなくとも装着者の動きに伴う構成シート素材 の伸び等によって少な力 ず腹回りは伸縮する。 しかし、従来の使い捨ておむつの係止部は、雄材との剥離強度が部位によって相 違していない構成であり、例えば、きつめに装着しょうとして止着テープを中心部側 に引つ張って係止させたときに、止着テープの収縮力等が強く作用して係止が外れ やすくなり、反対にゆるめに装着しょうとして脇部に近い位置に係止させると止着テ ープの収縮力がほとんど作用せず必要のない強さで係止されるものであった。

そしてこの構成では、腹回りが伸張した状態での必要十分な係止状態を担保しょう とすると、係止部を構成する雌材シートやエンボス領域と止着テープとの剥離強度を 強くするように構成するか、止着テープある ヽはサイドフラップを伸びやすく構成して 腹回りの伸張力をゆるくするし力ないが、剥離強度を強くする態様では止着テープの 付け直しが容易ではなくなり面ファスナーの利点が少なくなり、反対に腹回りの伸張 力を弱めると前後身頃のずれが生じやすくなつてもれ発生の原因となる。

また、例えば、装着者の年齢などに起因する腹回りの形状や、寝返りなどの多動に よっては、前後身ごろがずれることが頻繁に生ずることがあり、このときには止着テー プは、製品長さ方向に向力つて剥離させられることになることが多い。従って、このと きには製品の幅方向中心部よりも幅方向両側縁部のほうが前後身頃のずれ幅が大 きくなるために、製品の幅方向中心部よりも幅方向両側縁部のほうが剥離しにくいも のが望まれる。

ところで、面ファスナーは、繊維をループ状ある ヽはアーチ状とした雌形素子を有 する雌材シートと、前記雌形素子と係止する鈎形ある!、はきのこ状の膨頭形等の立 毛状雄形素子を有する雄材シートとを、圧接係止させて接着力を発揮させる係止部 材であり、付け剥がしが容易であり、適度な係止力を有していることから、先にも説明 のとおり使 、捨ておむつなどの止着用部材等として種々分野にぉ 、て利用されて ヽ る。

この面ファスナーの雌材シートは、従来、ナイロン、ポリエステル等の合成樹脂繊維 を用いた不織布に対して、ニードルパンチ、スパンボンド、スパンレース又は熱収縮 などを利用してループ等を顕著にして形成されている。

そして、このような合成樹脂繊維を含む雌材シートでは、係止力の調整や繊維の毛 羽立ちを防止するために、加熱したパターンロールやエンボスロールに通して、部分 的に雌形素子を溶融することを行う。

しかし、このような部分的に雌形素子を溶融して係止力を調整した雌材シートは、 溶融部分が硬化するため使い捨ておむつなど肌に触れる物品に用いる場合にはご わつき感があり好ましくはない。そして、製造するにあたり熱源を必要とするため必要 エネルギーが多く製造コストも高くなる。

また、設計変更するにあたりロールのパターンを変更しなければならないため設計 変更が容易にはできな 、欠点がある。

さらに、ー且、溶融処理をしてしまうとその後の係止力の復帰はできないため、例え ば、係止不必要時にのみ係止力を抑制するような設計ができな!/、。

特許文献 1：特開第 3490608号公報

特許文献 2：特開平 9 317号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0006] そこで、本発明は、 1)止着テープを係止部に対する止着位置がどこであっても常 に好適な強さの係止状態とすることができる、展開式の使い捨ておむつの提供を主 たる課題とし、さらに、 2)熱による繊維の溶融を要せず部分的な硬化なく係止力を調 整でき、し力も、簡易に設計変更でき、さらに不必要時にのみ係止力を抑制しておく ことも可能な、面ファスナー機構を備える使い捨ておむつ、 3)特にターゲットテープ レスの使い捨ておむつにおいては、裏面シート及び止着テープの大掛かりな設計変 更を伴うことなぐ係止力を向上させた使い捨ておむつを提供することも課題とする。 課題を解決するための手段

[0007] 上記課題を解決した本発明およびその作用効果は次記のとおりである。

<請求項 1記載の発明 >

液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、両シート間に介在された吸 収体とを備え、

背側又は腹側部の何れか一方の左右両側縁部に止着用の止着テープが配され、 この止着テープの一部または全部が面ファスナーの雄材で形成され、この雄材を腹 側部又は背側部の左右両側縁部間に配された係止部に係止して着用する展開型の 使 、捨ておむつであって、

前記係止部は、製品の幅方向中心力 左右両側縁に向力つて延在するように設け られているとともに、前記雄材との剥離強度が製品の幅方向中心部から左右両側縁 方向に向かって、かつ zまたは製品の縦方向一方縁から他方縁に向力つて、 段階的または連続的に異なるように構成されている、ことを特徴とする使い捨てお むつ。

[0008] (作用効果）

前記係止部が製品の幅方向中心力も左右両側縁に向力つて延在して設けられて いると、装着者の前後面において幅広に形成されるので係止操作がしゃすい。 また、係止部のなかで雄材が係止される部位のうち、通常、最も遠い位置となり、係 止後に腹回りの伸張や装着者の動き、さらには装着者の体型などの影響による止着 テープの左右両側縁方向への引っ張りによる影響を受けて、意図せず係止状態が 解除されやすいのは、幅方向中心部である。

一方で、左右両側縁部では通常状態ではこのような引っ張りの影響をうけに《意 図せず係止状態が解除されることはあまりないが、装着者の移動によっては、前後身 頃がずれることが頻繁に生ずることになるため、このような実態がよく起こる態様では 、むしろ製品の幅方向中心部よりも幅方向両側縁部のほうが係止状態が解除されや すいともいえる。

[0009] 従って、本発明では係止部を、雄材との剥離強度が製品の幅方向中心部から左右 両側縁方向に向力つて段階的または連続的に異なるように構成しうる。すなわち、幅 方向中心部から左右両側縁方向に向かって段階的あるいは連続的に剥離強度が低 くなるか、高くなる力されている、ようにすることができる。

高くなるようにする力 HSくなるようにするかは、想定する装着者年齢や装着態様によ つて設計すればよいが、例えば、乳児など動きがあまりない時期の製品であれば、中 心部から幅方向両側縁に向かって剥離強度を低くして、腹回りの伸張等により最も係 止状態が解除されやすい製品幅方向中央部でのしつ力りと係止がなされるようにして 、左右両側縁部では不要に強固に係止がなされずもって付けはがしが容易な形態と すればよい。例えば、幼児用であれば、反対に中心部から幅方向両側縁に向力つて 剥離強度を高くする形態とすればょ 、。

なお、剥離強度の左右両側縁方向に向力つて低下あるいは向上させるにあたって は、ある程度の範囲ずつ段階的に低下させてもよいし連続的に低くなるようにしても よい。

また、本発明の係止部は、雄材との剥離強度が製品の縦方向一方縁から他方縁に 向かって、段階的または連続的に異なるように構成しうる。

部分的な剥離強度の高低の相違は、想定する装着者年齢や装着態様によって適 宜設計すればよい。例えば、腹部の上部 (臍周辺）が大きく張り出した乳幼児などを 対象とした製品であれば、中心部から縦方向上側に向かって剥離強度を高くして、 腹圧により最も係止状態が解除されやすい胴回り開口縁付近でしっかりと係止がなさ れるようにして、下腹部では不要に強固に係止がなされずもって付けはがしが容易な 状態とすればよい。下腹部の張り出しの大きい成人を対象とした製品であれば、反対 に中心部力も縦方向下側に向力つて剥離強度を高くするなどすればよい。

さらに、本発明の係止部は、上記幅方向と上下方向の剥離強度の違いを組み合わ せ、例えば幼児を対象とした製品においては、係止部と雄材との剥離強度が、幅方 向中心部から左右両側縁方向に向かって剥離強度が高ぐかつ中心部力 縦方向 上側に向力つて剥離強度を高くすることもできる。

[0010] <請求項 2記載の発明 >

係止部が、多数の雌型素子が形成されて！、る面ファスナーの雌材シートを裏面シ ートに接着して形成されて 、る、請求項 1記載の使 、捨ておむつ。

[0011] (作用効果）

おむつ本体の構成を変化させることなぐ雌材シートの適宜の設計により、部分的 に係止力の相違する係止部を形成することができる。

[0012] <請求項 3記載の発明 >

裏面シートそのものの一部が、係止部とされて!/、る請求項 1記載の使!、捨ておむつ

[0013] (作用効果）

本発明では、裏面シートそのものの一部が係止部とすることができる。例えば、裏面 シートの最外層が不織布であり、この一部に雄材が係止する雌型素子を形成して係 止部とする。いわゆるターゲットテープレスとも呼ばれる態様である。係止部の形成方 法としては、エンボス加工、波加工、ピン等で毛羽をだす加工など適宜の方法を採る ことができる。

[0014] ここで、エンボス力卩ェを採るならば、剥離強度を相違させるにあたって、エンボスの 深さまたは密度を相違せしめて簡易に達成できる。例えば、エンボス加工を施すと雌 形素子が潰された状態となる。そして、この潰れ具合により剥離強度が変化すること になるが、エンボスが深くまた密であるほど雌形素子が潰れてその部分の剥離強度 が低くなる。従って、裏面シートの外面が不織布シートなどの繊維シートで形成され たターゲットテープレスの場合に、中央部力も左右両側縁に向力つてエンボスを粗に したり、エンボス深さを浅くしたりすることにより、剥離強度を相違せしめることができる

[0015] <請求項 4記載の発明 >

雌形素子の密度または高さの相違によって、雄材との剥離強度が異なるように構成 されている、請求項 2又は 3記載の使い捨ておむつ。

[0016] (作用効果）

雄材との剥離強度が部分的に異なる係止部が簡易に構成される。なお、雌形素子 とは、雌材の係止面に形成された繊維のループまたはアーチである。なお、面ファス ナ一は、このループあるいはアーチが雄材の鈎形あるいはきのこ状の膨頭形等の立 毛状雄形素子と係止して両材の接着がなされることは 、うまでもな 、。

[0017] <請求項 5記載の発明 >

係止部をなす雌材シートまたは裏面シートにエンボスが付与され、このエンボスパタ ーンが、 MD方向または CD方向に沿って配列されているパターンである、請求項 3 又は 4記載の使 、捨ておむつ。

[0018] (作用効果）

エンボスパターンが、 MD方向または CD方向に沿って配列されているパターンで あることとすると、止着テープの引き剥がし時における繊維の毛羽立ちが少ないもの となる。ここでの、 MD方向は製品前後方向、 CD方向は製品幅方向である。 [0019] <請求項 6記載の発明 >

前記係止部は；

雌形素子が多数形成されている雌基材シートの雌形素子形成面に、複数の孔部を 有する有孔被覆シートを積層して接着し、その有孔被覆シートの孔部力 露出される 雌形素子形成面を介して雄材と係止する構成の雌材シート、又は、

裏面シート自体の繊維による雌形素子が多数形成された雌材部を含む範囲が、複 数の孔部を有する有孔被覆シートにより被覆されて、その孔部から露出される雌形素 子形成面を介して、前記雄材と係止するように構成された部分である、請求項 2〜5 の何れか 1項に記載の使!、捨ておむつ。

[0020] (作用効果）

本発明では、係止力の調整を有孔被覆シートの孔部の大きさ、個数、パターンを変 更するだけで極めて簡易に行うことができる。また、雌形素子を有する雌基材シート 又は雌基材部を溶融させることがな!、ので係止力を調整するために広範にわたる硬 化部分がほとんどない。さらに、要する熱エネルギーも少なくてすむ。

特に、雌基材シートを不織布とすると、雌材シートを安価にできもってコスト安にす ることがでさる。

[0021] <請求項 7記載の発明 >

前記有孔被覆シートが、ホットメルト接着剤により、雌基材シート又は裏面シートに 接着されている、請求項 6記載の使い捨ておむつ。

[0022] (作用効果）

ホットメルト接着剤を用いることにより、硬化部分なく両シートを接着することができる

[0023] <請求項 8記載の発明 >

有孔被覆シートが伸縮性を有しているとともに、雌基材シート又は裏面シートに対し て部分的に接着されており、有孔被覆シートの伸縮により各孔部が拡縮可能に構成 されている、請求項 6又は 7記載の使い捨ておむつ。

[0024] (作用効果）

本発明は、有孔被覆シートの伸縮性により孔部が拡縮するように構成されている。 従って、使用時に被覆シートを伸張させて孔部を広げた状態で雄材と係止させること ができるとともに、係止不必要時には有孔被覆シートを縮小させた状態として孔部を 小さくして雌形素子が露出する部分を少なくすることもでき、もって不必要時に係止 力を抑止して、必要時に係止力を発揮させることができる。なお、有孔被覆シートの 伸縮性は、特には弾性伸縮性であるのがよ 、。

[0025] <請求項 9記載の発明 >

有孔被覆シートと前記雌基材シートとの間、又は有孔被覆シートと裏面シートとの 間に弾性伸縮材が配されている、請求項 6〜8の何れ力 1項に記載の使い捨ておむ つ。

[0026] (作用効果）

本発明は、雌基材シート等と有孔被覆シートとの間に弾性伸縮材が配されている。 従って、伸縮材の収縮時には雌材シート等が収縮されてシヮが生じそのシヮ間に孔 部が隠れ、伸縮材の伸張時にシヮ間から孔部が露出されるようにすることができる。も つて伸張時の孔部露出状態で雄材と係止させたのち、雌材シート等の伸張を解除し て係止に不必要な孔部をシヮ間に再度隠れるように構成することができる。

[0027] <請求項 10記載の発明 >

前記有孔被覆シートは、おむつ外面側に、雄材と係止する多数の雌型素子が形成 されて 、る、請求項 6〜9の何れか 1項に記載の使 、捨ておむつ。

[0028] (作用効果）

有孔被覆シートの孔部力 露出される雌形素子形成面と、有孔被覆シート自体の 雌型素子の両方が雄材と係止する構成となるため、係止力を全体に高めることがで きる。なお、係止力の高低は、孔部の形成割合によつて調整することができる。有孔 被覆シートに被覆される雌基材シートと、有孔被覆シートとが異なる剥離強度を有す る素材であれば、さらに効果的に係止力を調整することができる。

[0029] <請求項 11記載の発明 >

雌型素子を有する、前記雌材シート、前記雌基材シート、前記有効被覆シート、裏 面シートの係止領域として設定される所定範囲、の少なくとも一つに、貫通する多数 の開孔が設けてある、請求項 2〜10の何れか 1項に記載の使い捨ておむつ。 [0030] (作用効果）

多数の開孔に対して止着テープの雄材が係止するようになり、係止力を高めること ができる。特に、低目付の嵩の無い不織布等であっても、十分な係止力を与えること ができる。なお、止着テープとの係止力は開孔の形成割合によつて調整することがで きる。

[0031] <請求項 12記載の発明 >

前記開孔は、おむつ内面側となる面側からおむつ外面側となる面側に向けた開孔 処理を施すことにより形成され、開孔縁がおむつ外側に起立している、請求項 11記 載の使い捨ておむつ。

[0032] (作用効果）

開孔縁が僅かでも外面側に起立することで、フック要素が引っ掛かり易くなり、係止 力が出易くなる。

発明の効果

[0033] 以上詳述のとおり、本発明によれば、係止部のどこに止着しても常に好適な強さの 係止状態とすることができ、特に、腹回りの伸張等の影響を受けて係止が解除されや すい中央部で強固に係止でき、解除のおそれがすくない左右両則縁部で過度に強 固に係止とならな 、、展開式の使!、捨ておむつが提供される。

また、熱による繊維の溶融を要せず部分的な硬化なく係止力を調整でき、しかも、 簡易に設計変更でき、さらに不必要時にのみ係止力を抑制しておくことも可能な、面 ファスナー機構を備える使 ヽ捨ておむつが提供される。

ここで、本発明あるいは明細書中にいう剥離強度の測定方法は係止部の各部位を 測定するにあたって測定方法を変化させなければ測定方法は特に限定されないの であり、要は雄材と雌材とを接合したのち剥離させるときの力を測定できる方法で測 定されればよ!、。特に適する剥離強度の測定方法にっ 、ては後述する。

また、本明細書中において装着状態での係止部に対する止着テープの係止の外 れやすさを係止力ということがある。

発明を実施するための最良の形態

[0034] 次いで、本発明の実施の形態を図面を参照しながら以下に詳述する。 [0035] 『第 1の実施の形態』

図 1は、本発明の第 1の実施の形態に力かる止着式の使い捨ておむつ Z1である。 この使い捨ておむつ Zは、使用者の肌側に位置する透液性の表面シート 11と、製品 の外側に位置して実質的に液を透過させな 、不透液性の裏面シート 12と、これらの 間に設けられた例えば長方形又は好ましくは砂時計型のある程度剛性を有する吸収 体 13と備え、背側部の左右両側縁部に止着用の止着テープ Yl、 Υ2が配されてい る。

この止着テープ Yl, Υ2は、左右両側縁に接着されている部位と摘み部をなす先 端部位を除き面ファスナーの雄材で形成されており、この雄材が係止する係止部 XI が裏面シート 12の外面腹側部に配されて 、る。

裏面シート 12は、吸収体 13より幅広で、長手方向のほぼ中央部に左右両側縁が 円弧形状に切り取られてなる足周り縁が形成された略方形をなし、ポリエチレンフィ ルム等の不透液性フィルムシート 12Αの外面に肌触り性向上のため外装用不織布シ ート 12Bが積層されこれらがホットメルト接着剤を介して行われるエンボスカ卩ェなどに より圧着されて形成されている。前記外装不織布シート 12Bは表面の繊維ループ、 繊維アーチが密であり、前記雄材と係止はしないように構成されている。なお、本形 態では、必ずしも不織布シートを配する必要はなぐ不透液性フィルムシートのみで 裏面シートを形成することもできる。

[0036] ここで、裏面シート 12は、 0. 5〜4. 0gZl00cm2hrの透湿度を有するように構成 されているのが望ましぐまた、不透液性フィルムシート 12Aと不織布シート 12Bと力 115〜135gZ25mmの剥離強度となるようにして接着されて 、るのが望まし 、。な お、この剥離強度とは、 25°C、 65%RHの条件下の裏面シート 12を原反の幅方向（ 横方向）に幅 25mm、長さ 100mmでサンプリングし、一端から 300mmZ分の速度 で剥離する場合の 180° 剥離強度をいう。

裏面シート 12〖こ用!ヽられる不透液性フィルムシート 12Aは、吸収性物品の裏面シ ート 12として用いられる既知の不透液性フィルムシートが使用でき、特に、限定され るものではない。具体例としては、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリウレ タンシート、ポリエチレンテレフタレートシート等の各種合成樹脂性シートや、これらの 合成樹脂性シートに通気性を付与すべく多数の微細な通気孔を設けた多孔性合成 榭脂性シートなどが挙げられる。不透液性フィルムシートの厚みや剛性は、積層する 不織布シートの厚みや剛性などを考慮して、既知の基準に従って適宜選択すればよ い。

裏面シート 12に用いられる不織布シートは、吸収性物品の裏面シートに用いられる 既知の不織布シートが使用でき、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のォレ フィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンゃキュブラ等の再生繊 維、綿等の天然繊維などカゝらなるウェブに対して、スパンレース法、スパンボンド法、 サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、熱収縮法等の適宜の加工 を施して形成した不織布等を用いることができる。

[0037] 加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富むようになる点で優れ、サ 一マルボンド法は嵩高でソフトに富むようになる点で優れ、 目的に応じて適宜選択す ることができる。ここで、不織布シートは、積層不織布シートであってもよぐ例えば、ス パンボンド法によりウェブを形成したスパンボンド不織布（S)層と;メルトブローン法に よりウェブを形成したメルトブローン不織布層（M)とを 2層以上適宜積層させた不織 布積層体を素材として使用することができる。

[0038] 一方、係止部 XIは裏面シート 12に一般的な雌材シートをホットメルト接着剤によつ て貼付して形成されている。この係止部 XIは、製品腹側において製品幅方向中心 力も左右両側縁に向かって延在して設けられている。なお、図示例では、係止部は、 望ましい形態として横長矩形とされているが、特に矩形に限られるものではない。他 の形状であってもよい。裏面シート 12への接着方法は用いる雌材に応じた適宜の既 知の方法によればよい。

ここで、本形態の係止部 XIは、特徴的に、製品の幅方向中心部から左右両側縁 方向に向かって、止着テープ Yl, Y2の雄材との剥離強度が段階的に変化するよう に構成されている。図示例では、係止部 XIが 5区画に区分けされていて、図 2にその 区画と剥離強度との関係が示されるように、中央に位置する区画 D1の剥離強度が最 も高ぐそれに隣接する区画 D2、さらにその区画 D2に隣接する区画 D3の順で剥離 強度が低下するように構成されて 、る。各区画の具体的な剥離強度は適宜定めるこ とができる力 概ね、剥離強度が 100gf〜1500gf、好ましくは 140〜400gfの範囲 で差をもって段階分けするのが望ましい。なお、剥離強度が lOOgf未満である十分 な係止が得られず、 1500kgfを超えると、係止力が強すぎて着け剥がしのさいなどに 係止部の毛羽立ちが生じやすくなる。

なお、この剥離強度の測定方法は、次記のようにして測定する。まず、幅 50mm X 長さ 100mmの布テープを幅方向に二つ織りにして幅 25mm X 100mmの二つ折り 布テープとし、この布テープの一方端に止着テープをしつかりと貼付する。この際、止 着テープの雄材カ 布テープの先端よりも外方に位置するようにする。

一方で、ステンレス製平板に、本願発明にかかる雌材を雌型素子形成面を上面とし て両面粘着テープにて貼付する。さらに、両端をクラフトテープで固定する。

次いで、雄材と雌型素子形成面とを接触させたのち、これらの上を質量 2kgのロー ラで布テープ側から一往復させて止着テープと雌材シートを圧着する。さらに、布テ 一プの止着テープ貼付反対側他方端に lkgの分銅を 10秒間吊り下げて圧着部分に せん断力をかけ係止を確実なものとする。

その後に、ステンレス平板と布テープの止着テープ貼付反対側他方端とを引張試 験機の治具でチャックする。このときステンレス平板に対して布テープの止着テープ 貼付反対側他方端をチャックする治具の引張方向が 90° となるようにする。

力べして最終剥離角度 90° となるように治具を引張試験機にセットしたのち、 300m mZminで圧着部分を剥離し、そのときに測定される凹凸加重平均値を剥離強度と する。なお、測定値は有効測定値の 3〜： L0回の平均とする。また、測定にあたって試 料の設置は、測定力 SCD対 CD方向の測定となるようにする。さらに、試験片の大きさ は、雄材 47mm± 3mm (MD方向） X 93mm (CD方向）、雌基材シート 23. 5± 1. 5 mm (MD方向） X 24mm (CD方向）となるようにする。ここでの、 MD方向は製品前 後方向を、 CD方向は製品幅方向である。

なお、剥離強度の試験には、引張試験機（SHIMADZU社製の AOUTGRAPH

AGS— G100N)を用いることができる。

他方、係止部の区画数は、図示例の 5区画に限られるものではなく 3区画でもよい し 5区画以上あってもよい。ただし、剥離強度を段階的に低下するようにするのであ れば、止着テープに形成された雄材が収まる大きさの区画であるのが望ましい。 なお、本形態では、製品幅方向中心線において線対称となる位置にある区画同士 の剥離強度が同一となるように構成されている力 必ずしも同じにする必要はない。 さらに、図 3に示す剥離強度と係止部の位置との関係のように、区画を設けずに製 品幅方向の中央部から両側縁に向力つて連続的に剥離強度が低下するように構成 してちよい。

[0039] また、係止部 XIは区画によらず、止着テープの雄材とのせん断力を、 1kg〜： LOkg 、好ましくは 3〜8kgとなるように設計するのが望ましい。 1kg未満であると係止が解除 されやすぐ反対に 10kgを超えると、係止が強すぎる。

なお、このせん断力の測定方法は、以下のようにして測定する。まず、ステンレス製 平板に、本願発明にかかる雌材シートを雌型素子形成面を上面として両面粘着テー プにて貼付する。さらに、両端をクラフトテープで固定する。このとき雌基材シートの 周囲にはステンレス製平板の余白力残るようにする。

次いで、止着テープの雄材を前記雌型素子形成面に接触させたのち、これらの上 を質量 2kgのローラで布テープ側から一往復させて雄材と雌基材シートを圧着する。 その後に、ステンレス製平板の余白部分と止着テープの一端とを引張試験機の治 具でチャックする。このときチャック間距離を 50mmにする。力べしてチヤッキングが完 了したならば、治具を雄材と雌基材シートとのせん断方向に引張速度 30mmZmin で引っ張り、最大せん断力を測定する。なお、測定値は有効測定値の 3〜： L0回の平 均とする。また、測定にあたって試料の設置は、測定が CD対 CD方向の測定となるよ うにする。さらに、試験片の大きさは、雄材 47mm± 3mm (MD方向） X 93mm (CD 方向）、雌基材シート 23. 5± 1. 5mm (MD方向） X 24mm (CD方向）となるように する。ここでの、 MD方向は製品前後方向を、 CD方向は製品幅方向である。

[0040] 一方、係止部 XIを構成する面ファスナーの雌材は、止着テープ Yl、 Υ2に設けら れた雄材との係止に適した雌型素子を備えるシート状物で構成され、従来例におけ る既知の各種雌材シートを適宜の加工等して用いることができる。

雌材シートは、例えば、一方面にループ状またはアーチ状の雌型素子を多数形成 した織布、合成繊維、再生繊維、綿等の天然繊維などカゝらなるウェブを、スパンレー ス法等の適宜の加工法を施して片面にループ状、アーチ状の雌型素子を多数顕著 に形成した不織布あるいはこれを基材シートに貼付して形成したものを用いることが できる。

ここで、上記のように係止部 XIの区画毎の段階的なあるいは連続的な剥離強度の 相違を達成せしめるにあたっては、例えば、区画毎に雌型素子の密度の相違する雌 材を用いればよい。また、一枚の雌材シートを区画毎にエンボスカ卩ェによりするなど して雌型素子を適度につぶすことによつても達成できる。

[0041] 一方、止着テープ Yl、 Υ2の一部または全部を構成する面ファスナーの雄材は、係 止部に用いられる雌材の雌形素子と係止する鈎形あるいはきのこ状の膨頭形等の立 毛状雄形素子を有する雄材シートで構成される。この雄材シートから止着テープを製 造する方法は、既知の方法による。特に限定されない。また、鈎形あるいはきのこ状 の膨頭形等の立毛状雄形素子の大きさ、密度なども雌材との関係で適当な剥離強 度となる範囲で適宜選択すればょ 、。

[0042] 他方、図示はしないが、本形態の使い捨ておむつ Z1は、止着テープ間方向に延 在する多数の弾性伸縮性の糸ゴムが配されて、背側の止着テープ Yl、 Υ2間が伸縮 するように構成されている。これにより止着時における止着テープ Yl、 Υ2の止着許 容範囲が広がり、もって装着者の体型の相違による止着可能許容範囲が広がる。ま た、伸縮によって装着時のフィット感も向上する。

糸ゴムによって背側の止着テープ Yl、 Υ2間が伸縮するようにするのではなぐ止 着テープ Υ1、Υ2の先端部と基端との間にエラストマ一シートなどの適当な伸縮部材 を介在させるとともに、その介在された伸縮部材よりも先端側に面ファスナーの雄材 を配して止着テープ Υ1、Υ2そのものが伸縮する構成としてもよい。

さらには、止着テープ Yl、 Υ2が接着さるいわゆるサイドフラップ部分と他の部分と の間にエラストマ一シートなどの伸縮部材を介在させることにより、背側の止着テープ

Yl, Υ2間が伸縮するように構成してもよい。

これらのように構成しても、フィット感の向上や体型の相違に対する許容範囲の向 上効果は得られる。

なお、糸ゴムや伸縮部材の伸張力については既知の使い捨ておむつに採用される 範囲で問題なく設計できる。

一方、表面シート 11は本形態では裏面シート 12と同形状であり吸収体 13の側縁よ り外方に延在して、裏面シート 12とホットメルト接着剤などにより接着されている。表 面シート 11は、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、 SMS不織布、ポイントボン ド不織布等の各種不織布の他、透液性を確保できる範囲でポリエチレンフィルム等 のプラスチックフィルムや、プラスチックフィルムと不織布とをラミネートしたラミネート 不織布も用いることができる。また、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート等の糸を平 織り等したネット状の素材を用いることもできる。

吸収体 13は、積繊パルプやトゥカもなる繊維集合体に吸収性ポリマーを内在させ たものをパルプシートなど包皮して形成されて ヽる。前記繊維集合体を構成する繊 維（以下、単にトウ構成繊維という）としては、例えば、多糖類又はその誘導体 (セル口 ース、セルロースエステル、キチン、キトサンなど）、合成高分子（ポリエチレン、ポリプ ロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ボリラクタアミド、ポリビュルアセテートなど）などで あり、特に、セルロースエステルおよびセルロースが好ましい。

前記高吸収性ポリマーとしては、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸およ びその塩類、アクリル酸塩重合体架橋物、澱粉 アクリル酸グラフト共重合体、澱粉 —アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、ポリオキシエチレン架橋物、カル ボキシメチルセルロース架橋物、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド等の水膨 欄性ポリマーを部分架橋したもの、あるいはイソプチレンとマレイン酸との共重合体等 が好適に用いられる。製品の吸湿によるブロッキング性を抑制するためにブロッキン グ防止剤が添加されたものも用いることができる。また高吸収性ポリマーとしては、粉 体状、粒子状、顆粒状、ペレット状、ゾル状、サスペンジョン状、ゲル状、フィルム状、 不織布状等のさまざまな形態をもったものがあるが、これらは 、ずれも本発明にお 、 て使用可能であり、特に粒子状のものが好適に使用される。

なお、本発明の吸収性物品はこの形態に限定されるわけではない。例えば、使い 捨ておむつ等において用いられる糸ゴムなどの弾性伸縮部材を各所に配した形態と することができる。表面シートと吸収体との間に、体液拡散等の目的でセカンドシート を設けた形態とすることもできる。 [0044] 『第 2の実施の形態』

第 1の実施形態では、止着テープ Yl、 Υ2の係止部 XIとして雌材シートを裏面シ ートに貼付した形態であつたが、本第 2の実施形態は、雌材シートを裏面シートに貼 付するのではなぐ裏面シート 12そのものの外面の一部に適宜エンボス力卩ェ等を施 すことにより雌材部を形成して、これを係止部 XIとしたいわゆるターゲットテープレス ともよばれる形態である。この第 2の実施の形態に力かる使い捨ておむつ Ζ2を図 4に 示す。以下、第 1の実施の形態と相違する点を中心に第 2の形態を説明する。

第 1の形態に力かる裏面シート 12は、力ならずしも外装用不織布シート 12Bを配す る必要はないが、第 2の形態では、肌触り性向上のためとともに係止部形成のため外 面側には常に不織布シート 12Βある 、は織布シートが配される。

[0045] 不織布シート 12Bと不透液性フィルムシート 12Aとの接着態様は、ホットメルト接着 剤を介して行われるエンボスカ卩ェなどにより圧着される。

この不織布シート 12Bの、好適な坪量は、 10〜： LOOgZm²、更〖こ好ましくは 20〜6 Og/m²である。不織布シートの坪量が 10g/m²未満であると、雄材の絡む空間が 十分に維持されず、また止着テープを剥離させる際に不織布シートの破壊が生じ、 1 OOg/m²を超えると、不織布シートの生産性が悪くなるとともに、係止部以外の部位 への止着テープの止着が顕著となるので好ましくない。

他方、本形態の裏面シート 12では、係止部 XIが形成される範囲を含む範囲にお いて、外装用不織布シート 12Bと不透液性フィルムシート 12Aとの間に、中間不織布 シート 12Cが配されている。中間不織布シート 12Cを介在させることにより、当該部位 が嵩高になり止着テープ Yl、 Y2を係止部 XIに圧接させたときの押し込み感に優れ るようになり、また、層間剥離強度が向上されて止着テープ Yl、 Υ2の着け剥がしにと もなう外装不織布シート 12Bの層間剥離が防止される。

ここで、中間不織布シート 12Cの介在部における不透液性フィルムシート 12Αと不 織布シート 12Bとは、 175〜195gZ25mmの剥離強度となるようにするのが望まし い。なお、この剥離強度は、 25°C、 65%RHの条件下の裏面シート 12を原反の幅方 向（横方向）に幅 25mm、長さ 100mmでサンプリングし、一端から 300mmZ分の速 度で剥離する場合の 180° 剥離強度をいう。 [0046] 係止部 XIを形成するためにエンボス力卩ェを採用するのであれば、エンボス付与の 方法は既知方法による。例えば、裏面シート 12を製造したのち、所定位置にェンボ ス用凸パターンを形成した凸エンボスロールと、これに対向する凸エンボスロールの 凸部が押し込まれる程度の柔軟性を備えるゴムロールを備えるエンボス装置に、不 織布シート側が凸エンボスロール側となるように供給して施すのがよ 、。

なお、凸エンボスロールの凸部に対応する凹部が形成された凹エンボスロールを 備えるエンボス装置を用いてもょ 、。

なお、本形態の係止部 XIも、第 1の形態と同様に剥離強度の相違する 5区画を備 える。区画毎の剥離強度の相違は、エンボス密度により相違せしめている。エンボス 深さによっても相違させることができる。

なお、具体的にどの程度のエンボス深さ、エンボス密度にするかは、不織布シート の坪量および雄材の構成による。適宜設計する。ここで、係止部として付与するェン ボスのパターンは、この種のターゲットテープレスタイプで行われる既知のパターンを 採用できるが、好ましくは、裏面シート形成時における MD方向または CD方向に沿 つてエンボスが配列されているパターンである。このパターンでは、通常、製品時に 長手方向または幅方向に沿ったエンボスが配されるパターンとなり、もって、止着テ ープの付けはがしによる毛羽立ちが少ないものとなる。

[0047] 特には、図示はしないが、エンボスが製品長手方向に沿って配されていると、腹回 りの伸縮性および通気性の点で優れる。ここで、本発明においては、製品長手方向 に沿って設けられているとは、必ずしも直線状のエンボスによるものに限られず、製 品長手方向側に長!、ジグザグ状のエンボスでも製品長手方向に沿うものである。ま た、図示はしないが、製品長手方向が長辺となる楕円形のエンボスパターンも製品 長手方向に沿うものである。エンボスの長手方向が製品長手方向に沿って 、ればよ い。

[0048] 『第 3の実施の形態』

第 3の実施の形態に力かる使い捨ておむつ Z3を図 5に示す。第 3の形態にかかる 使い捨ておむつ Z3は、係止部 XIが複数の係止部ユニット x、 X…の集合によって形 成されている。これら係止部ユニット χ、 χ· · ·は、面ファスナーの雌材シートを小片化し て形成されたものである。そして、係止部は、これら係止部ユニット X、 X…の大きさが 相違する 5区画から形成されており、中央に位置する区画 D1に最も大きな係止部ュ ニットが用いられていて剥離強度が最も高くされており、それに隣接する区画 D2、さ らにその区画 D2に隣接する区画 D3の順で用 、られる係止部ユニットの大きさが小さ くされ、もって両側縁に向力つて剥離強度が低下するように構成されている。なお、係 止部ユニット _x、 X…の大きさは各区画で同一として、その配置密度の相違によって各 区画における雄材との剥離強度が相違するように構成してもよ 、。その他の構成は、 第 1の実施の形態と同様である。

[0049] 『第 4の実施の形態』

次いで、第 4の実施の形態の使い捨ておむつを説明する。この第 4の実施の形態 の使い捨ておむつ Z4は、第 1の実施の形態における係止部として用いた雌材シート を、係止力の調整が容易な特徴的な面ファスナーの雌材シートを用いて構成した形 態である。

[0050] なお、この特徴的な面ファスナーの雌材シートは、本形態の使!、捨ておむつ以外 の吸収性物品や、手術衣、包装材等の使い捨て製品に利用可能なものであり、使い 捨ておむつへの利用に限定されるものではな!/、。

この特徴的な係止部以外の構成については、第 1の実施の形態と同様の構成であ る。従って、以下、主に第 1の実施の形態と相違するその雌材シートに関して説明す る。

この本形態に力かる面ファスナーの雌材シート X2は、図 6および 7に示されるように 、繊維がループ状、アーチ状となっている雌形素子 20a、 20a…が多数形成されてい る雌基材シート 20の雌形素子 20a形成面に、複数の孔部 21a, 21aを有する有孔被 覆シート 21が積層されて接着剤 22により接着されており、有孔被覆シート 21の孔部 21aから多数の雌形素子 20a, 20a形成面の一部が外面に露出されるように構成さ れたものである。

この雌材シートでは、有孔被覆シートに設けられる孔部 21の配置形態を適宜設計 して、雌型素子の露出面積を調整することで、係止部の部分的又は全体的な雄材に 対する係止力を極めて簡易に調整することができる。すなわち、均一な孔部の配置 形態の有孔被覆シートとすれば、係止部の全体的な係止力の調整が容易に達成さ れる。不均一な孔部の配置形態の有孔被覆シートとすれば、係止部の部分的な係止 力の調整が容易に達成される。

例えば、面積の相違する複数種類の孔部を区画毎に配したり、区画毎に孔部の配 置密度を相違させたりすることで、部分的に係止力が相違する係止部が簡易に形成 される。このようにすると、係止力の部分的な調整に雌基材シートの雌型素子を融着 したり、エンボス加工等したりして潰す場合と比較して、係止部が硬くなり難いという利 点がある。

ここで、前記雌基材シート 20は、対応する雄材シートとの係止に適した多数の雌形 素子 20a, 20aを備えるシートであって、従来例における既知の各種雌材シートその ものを用いることができる。例えば、一方面にループ状またはアーチ状の雌形素子を 多数形成した織布、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のォレフィン系、ポリエステル 系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンゃキュブラ等の再生繊維、綿等の天然繊維 などからなるウェブを、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブ ローン法、ニードルパンチ法、熱収縮法等の適宜の加工法を施して片面にループ状 、アーチ状の雌形素子を形成した不織布を用いることができる。安価に製造可能でき る点を考慮するならば不織布がより好適である。

なお、不織布に対してループ状あるいはアーチ状の雌形素子を顕著に形成する加 工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富むようになる点で優れ、サーマ ルボンド法は嵩高でソフトに富むようになる点で優れ、使用目的に応じて適宜選択す ることができる。ここで、不織布は、積層不織布であってもよぐ例えば、スパンボンド 法によりウェブを形成したスパンボンド不織布（S)層と;メルトブローン法によりウェブ を形成したメルトブローン不織布層（M)とを 2層以上適宜積層させた不織布積層体 を素材として使用することができる。

雌基材シート 20を設計するにあたっては、雌基材シート 20と対応する雄材との離 強度をどの程度にするかは用途に応じて適宜選択すればよい。当然であるが、有孔 性被覆シート 21で被覆しなくとも係止力が不足するような範囲であってはならない。 また、剥離時に上層にある有効性被覆シート 21の破損が生じたり、孔部 20a, 20aか ら繊維が引き出されて毛羽立ちが生ずるおそれが高くなるような剥離強度は付け剥 がし繰り返す用途では過度である。また、抑制するためにかなりの範囲を有孔性被覆 シート 21で被覆することになつて実質的な利点がなくなるような剥離強度も過度であ る。例えば、面積比で 98%以上の被覆を要するような場合は過度である。

具体的な数値でいえば、剥離強度が 100gf〜1500gf、好ましくは 140〜400gfと なるように設計するのが望ま U、。

なお、この剥離強度の測定方法は、以下のようにして測定する。まず、幅 50mm X 長さ 100mmの布テープを幅方向に二つ織りにして幅 25mm X 100mmの二つ折り 布テープとし、この布テープの一方端に雄材シートをしつ力りと貼付する。この際、雄 材シートの雄材が、布テープの先端よりも外方に位置するようにする。

一方で、ステンレス製平板に、本願発明にかかる雌基材シートを雌型素子形成面を 上面として両面粘着テープにて貼付する。さらに、両端をクラフトテープで固定する。 次いで、雄材と雌型素子形成面とを接触させたのち、これらの上を質量 2kgのロー ラで布テープ側から一往復させて雄材シートと雌基材シートを圧着する。さらに、布テ ープの雄材シート貼付反対側他方端に lkgの分銅を 10秒間吊り下げて圧着部分に せん断力をかけ係止を確実なものとする。

その後に、ステンレス平板と布テープの雄材シート貼付反対側他方端とを引張試験 機の治具でチャックする。このときステンレス平板に対して布テープの雄材シート貼付 反対側他方端をチャックする治具の引張方向が 90° となるようにする。

力べして最終剥離角度 90° となるように治具を引張試験機にセットしたのち、 300m mZminで圧着部分を剥離し、そのときに測定される凹凸加重平均値を剥離強度と する。なお、測定値は有効測定値の 3〜： L0回の平均とする。また、測定にあたって試 料の設置は、測定力 SCD対 CD方向の測定となるようにする。さらに、試験片の大きさ は、雄材 47mm± 3mm (MD方向） X 93mm (CD方向）、雌基材シート 23. 5± 1. 5 mm (MD方向） X 24mm (CD方向）となるようにする。ここでの、 MD方向は製品前 後方向を、 CD方向は製品幅方向である。

なお、剥離強度の試験には、引張試験機（SHIMADZU社製の AOUTGRAPH

AGS— G100N)を用いることができる。 一方、雌基材シート 20を設計するにあたって、雌基材シート 20と対応する雄材との せん断力をどの程度にする力も用途に応じて適宜選択すればよい。有孔性被覆シー ト 21で被覆しなくとも係止しないせん断力は望ましくない。また、孔部内周縁部に負 荷が力かり破損するおそれが生ずるせん断力も望ましくな 、。反対に係止感が強す ぎて硬質感があり面ファスナーの利点がなくなるようなせん断力では望ましくない。 具体的な数値でいえば、せん断力は、 1kg〜： L0kg、好ましくは 3〜8kgとなるように 設計するのが望ましい。なお、このせん断力の測定方法は、以下のようにして測定す る。まず、ステンレス製平板に、本願発明にかかる雌基材シートを雌型素子形成面を 上面として両面粘着テープにて貼付する。さらに、両端をクラフトテープで固定する。 このとき雌基材シートの周囲にはステンレス製平板の余白力残るようにする。

次いで、止着テープの雄材を前記雌型素子形成面に接触させたのち、これらの上 を質量 2kgのローラで布テープ側から一往復させて雄材と雌基材シートを圧着する。 その後に、ステンレス製平板の余白部分とファスユングテープの一端とを引張試験 機の治具でチャックする。このときチャック間距離を 50mmにする。力べしてチヤツキン グが完了したならば、治具を雄材と雌基材シートとのせん断方向に引張速度 30mm Zminで引っ張り、最大せん断力を測定する。なお、測定値は有効測定値の 3〜： L0 回の平均とする。また、測定にあたって試料の設置は、測定力 SCD対 CD方向の測定 となるようにする。さらに、試験片の大きさは、雄材 47mm± 3mm (MD方向） X 93m m (CD方向）、雌基材シート 23. 5± 1. 5mm (MD方向） X 24mm (CD方向）となる ようにする。ここでの、 MD方向は製品前後方向を、 CD方向は製品幅方向である。 他方、有孔被覆シート 21は、雌基材シート 20の雌形素子形成面を被覆して被覆し て雌基材シート 20の係止力を調整するものであるから、前記雌基材シート 20よりも雄 材に対する係止力が小さ 、シート材を用いるのがよ 、。

ただし、有孔被覆シート 21は、雄材と係止しないものに限定されるわけではなぐ例 えば、雄材が係止しうる雌型素子を有するようなものも使用できる。雌基材シートより、 雄材に対する係止力が強いシート材を用いることも可能である。このようにすると、係 止部の雄材との部分的な係止力 '剥離強度の設計のノ リエーシヨンが広がる。

有孔被覆シート 21の素材は特に限定されないが、例えば、ポリエチレンフィルムシ ートなどの各種榭脂性フィルムシート、不織布シート、織布シート、可撓性材シート、 その他各種既知のシート材を用いることができる。雌型素子を有する有孔被覆シート を用いるのであれば、雌基材シートと相違するシート材を選択すればょ 、。

有孔被覆シートとして、不織布シートを用いるのであれば、繊維目付け量を高めて 繊維密度を高めたりスパンレース法などの各種法による加工具合を調整することによ り繊維表面のループ状部、アーチ状部の数やループ高さを少なくすることで、雌基材 シート 20よりも雄材に対して係止力の小さい不織布シートとすることができる。

有孔被覆シート 21としては、肌触り感を優先させるのであれば不織布シートが適し 、係止力の抑止を優先するのであれば表面の平滑性の高 、榭脂製フィルムシートが 適する。

[0054] 有孔被覆シート 21に設けられる複数の孔部 21a、 21aは、雌基材シート 20の雌形 素子 20a, 20aを外面に露出させるための露出孔 21a、 21aであり、雄材がこの孔部 21a, 21aを介して雌基材シート 20に係止する。

従って、係止部としておむつに配置したときの位置を考慮して、適宜の係止力に調 整されるように、又は適宜の位置毎に段階的或いは連続的に係止力が相違するよう に、孔部 21a、 21aの開口領域面積、数、位置などを適宜設計する。

なお、ひとつの孔部 21aの開口領域が、雄材の実質的な係止面よりも大きいと、係 止力の抑止効果が得られ難くなるので一つの孔部の開口領域は、止着テープの雄 材の実質的な係止面よりも小さくなるように設計する。

孔部 21aの形状としては、図 6に示す円形孔のほか、図 8および 9に示すように、シ 一トの幅方向や縦方向に沿って設けられた所定幅のスリット状の細長の孔部とするこ ともできる。孔部の形状は特に限定されるものではなぐ図示例には示されないが三 角孔であってもよいし、また、複数ある孔部の形状をすベて同一にする必要もない。

[0055] なお、図示例は、雌材シートの構成を説明すベぐ便宜的に、同一形状、同一大き さの、孔部、スリット孔を規則性をもって配設している力 例えば、幅方向中央から両 側部にかけて、係止力を区画毎に段階的又は連続的に変化ならしめるようにするの であれば、幅方向中央力も側部側に向力つて順次、開口面積の異なる円形孔を配 置したり、同一開口面積の円形孔の配置密度を相違させたり、スリット幅の間隔、スリ ット間隔を適宜に設計する。

他方、孔部 21a、 21aは、係止部への使用を考慮すると、雌材シート 2の総面積に 対して総開口領域 (全孔部の開口領域を合わせた総面積)を、 30〜80%程度の範 囲で調整するのがよぐまた、この場合において孔形状が円形である態様とするなら ば、 80平方 cmあたり、直径 5mm φの孔部を 200個程度設けるのがよぐ幅 l〜5m mのスリットであれば、スリット幅の 2〜5倍程度のピッチで配置するのがよい。この程 度であれば、係止力の抑制が十分に達成できるとともに、好適な強度を発現できる。 また、雌基材シート 20に対する剥離強度を 10〜50%低下させる程度の範囲で孔 部の配置形態を設計するのが適する。なお、本発明は必ずしも、この数値範囲に限 られず、用途に応じて適宜変更することができる。

雌基材シート 20と有孔被覆シート 21との接着は、各シート材質に応じて既知の接 着剤 22のな力から選択して用いることができる。接着後に硬化性が高くな 、ものが適 する。本発明は加熱に伴う雌基材の溶融に起因する剛性の向上をきらうため、熱融 着は用いないのが望ましい。熱融着でも、一つのドットの面積 5mm²が以下で、ェン ボス率が 10%以下のドットエンボスや、線幅が lmm以下で、隣り合う線同士が 3mm 以上離間した線状エンボスであれば、剛性はあまり向上しないため、用いることは可 能である。好適には不織布等のシート材同士の接着に用いられるホットメルト接着剤 による接着である。ホットメルト接着部は、接着部をほとんど硬化させずにシート材を 接着することができる。中でも、吸収性物品、衛生物品において用いられる不織布の 柔軟性を損なわれないように配慮されたホットメルト接着剤により接着するのが特に 好適である。

[0056] ここで、両シート材 20、 21を接着するにあたって接着剤は、雌基材シート側に塗布 するようにしてもよいし、有孔被覆シート側に塗布するようにしてもよい。必要に応じて 適宜の側に塗布して積層して接着すればょ 、。孔部の配置パターンをよけて雌基材 シート上に接着剤を塗布するよりも、有孔被覆シート 21に塗布したほうが製造は容易 である。

[0057] 接着剤の塗布態様としては、雌基材シート 20、有孔被覆シート 21の何れかの全面 に塗布してもよいし、ライン状あるいは点状に部分的に塗布してもよい。また、スロット コーター等の塗工機の用いて直接的にシート材に塗工してよいし、ホットメルトパウダ 一を散布する方法や、スプレーノズルを用いて散布することにより塗布するようにして もよ 、。塗布態様は特に限定されるものであな 、。

[0058] 一方、本発明の雌材シート 2では、前記有孔被覆シート 21を伸縮性を有するものと して、この伸縮によって各孔部が拡縮するように構成することができる。例えば、繊維 間の絡み合いを利用した伸縮性不織布や編みこみにより伸縮性を備えた織布が挙 げられる。伸縮によって孔部が拡縮すると雄材と係止させるときに孔部を広げて係止 させ、係止後に孔部の縮小により不要な雌形素子の露出が少なくなる態様をとること ができる。

他方、本発明の雌材シート 2では、雌基材シート 20と有孔被覆シート 21との間に糸 ゴム、エラストマ一シート、ウレタンシート、その他弾性伸縮性シートなどの弾性伸縮 材（図示せず)を配することにより、伸縮性を付与したものとすることができる。そして、 このように伸縮部材によって伸縮性が付与されると雌材シート 2が収縮されたときに生 ずるシヮ間に孔部 21a、 21aが隠れ、雌材シート 2を伸張したときに孔部 21a、 21aが 明確に露出するようになり、もって孔部 21a、 21aを露出させたときに雄材と係止させ 、その後に雌材シート X2の伸張状態を解除して係止に不必要な孔部 21a、 21aが再 度シヮ間に隠れるようにして、意図しな 、係止がなされな 、ようにする態様をとること ができる。

なお、弾性伸縮部材と各シートとの接着は、適宜選択できるが上述の雌基材シート と有孔被覆シートとの接着と同様にホットメルト接着剤を用いるのが好適である。

[0059] 『第 5の実施の形態』

図示はしないが、本発明の第 5の実施形態として、裏面シートに雌材部を設け、さら に、その雌材部を被覆するように、有孔被覆シートを配した形態を挙げることができる 。この形態は、すなわち、第 2の実施形態における係止部において、係止部の全体 的な係止力の調整のために、又は係止部の部分的な係止力の相違を達成するため に、第 4の実施の形態で述べた有孔被覆シートを採用した形態である。

おむつの基本構成については、第 2の実施の形態、有孔被覆シートについては第 4の実施の形態と同様であるので説明は省略する。 本形態で採りうる特有の構成としては、例えば、裏面シートの雌材部を含む範囲を 、有孔被覆シートで被覆することから、雌材部を係止部とする範囲のみに形成するの ではなぐそれより広い範囲、例えば、裏面シートの全体に雌材部を設け、不必要な 部分は、有孔被覆シートの孔部非配設部分等で被覆して、適当位置に係止部を設 けた構成とすることができる。なお、裏面シートと有孔被覆シートとの接着は、第 5の 実施の形態で述べた、雌基材シートと有孔被覆シートとの接着態様に従う。弾性伸 縮部材の配設等も同様である。

『第 6の実施の形態』

次いで、第 6の実施の形態を説明する。係止部においては、係止力の増大を図る 目的で、又は係止部における剥離強度の部分的な相違を形成する手段として、裏面 シートを貫通する開孔処理を施して多数の開孔を設けることができる。

図 11 (A)に上記第 2の実施の形態の係止部を構成する裏面シートの係止領域とし て設定される所定範囲に貫通する多数の開孔 30, 30· · ·を設けた例を示す。

図から明らかなとおり、係止部 XIに多数の開孔 30, 30· · ·を設けると、この開孔に 対して雄材の雄型素子 40, 40· · ·が係合するようになり、係止力を高めることができ る。特に、低目付の嵩の無い不織布等であっても、十分な係止力を与えることができ る。なお、止着テープとの係止力は開孔の形成割合によつて調整することができる。 この場合の開孔 30, 30· · ·の平面形状としては、おむつ長手方向に長い又はおむ つ幅方向に長いスリット状の線状開孔としたり、円形、楕円形又は勾玉形などの丸み を帯びた孔形状とすることができる。また、その配列は規則的或いは不規則的であつ てもよく、係止部に亘つて任意である。ただし、係止部における部分的な剥離強度の 相違を形成する手段とするのであれば、当該各部分の剥離強度を考慮して適宜、孔 形状ゃ配設密度などを設計する。

さらに、開孔の断面形状は、その開孔の縁が、おむつの表面に対してフラットになる ような形状であってもよいし、図 11 (B)に示すように、おむつ外側に起立する形状で あってもよい。開孔縁 30e, 30e'，'が僅かでも外面側に起立することで、雄材が引つ 掛かり易くなり、係止力が出易くなる。

なお、雄材との適度な係止力の確保又は不織布の強度維持などの観点から、前記 開孔の開孔率は、前記係止部の、 30〜80%の面積割合で形成するのが望ましい。 開孔率が 30%を下回ると開孔に侵入する雄型素子が減少して十分な係止力が得ら れず、 80%を超えると不織布自体の強度が弱くなり破れのおそれが高まる。

また、前記開孔は、スリット状に形成するのであれば、スリット幅は 0. 2〜5mm、好 ましくは 0. 5〜2mmとし、そのスリット中心間隔は l〜15mm、好ましくは 5〜10mm とすることが望ましい。円孔等に形成するのであれば、 1つの円の直径 (最大径）は 0 . 5〜： LOmm、好ましくは 1. 0〜5mmとし、孔の中心間隔は 5〜15mm、好ましくは 7 〜10mmとすることが望ましい。なお、円以外の楕円形状又は勾玉形状で形成する 場合、 1つの形状は 5mm X 5mmの寸法内に収まる大きさとするのが望まし 、。 なお、本形態に力かる開孔を設ける技術は、裏面シートの係止領域として設定され る所定範囲に限らず、雌型素子を有雌材シート、雌基材シート、有孔被覆シートに対 しても行うことができ、上記第 1〜第 5の実施形態においても採用できる。従って、係 止部に開孔を設ける構成以外の構成、例えば、表面シート、吸収体、係止部の位置 、範囲、大きさ、止着テープの構成などは第 1〜5の実施の形態に基づいて適宜設 計できる。

[0061] 『その他の実施の形態』

上記各態様は、製品幅方向中心部から左右両側縁に向かって剥離強度が低くなる 態様であつたが、本発明においては反対に、係止部を製品幅方向中心部から左右 両側縁に向力つて剥離強度が高くなるようにした形態とすることができる。

また、本発明においては、係止部は、製品縦方に一方縁から他方縁に向力つて剥 離強度が高くなる、または低くなるようにした形態とすることができる。

さらに、本発明においては、係止部を製品幅方向中心部から左右両側縁に向かつ て剥離強度が高くなり、または低くなり、かつ製品縦方向の一方縁から他方縁に向か つて剥離強度が高くなる、または低くなるようにした形態とすることができる。

これらの形態における、雄材との係止力が部分的に相違する係止部の形成は、上 記各形態の説明に基づ 、て適宜設計変更すればょ 、。

産業上の利用可能性

[0062] 以上の本発明は、面ファスナー機構を用いた使い捨ておむつのほか、面ファスナ 一機構を用 ヽた手術衣、包装材等の使!ヽ捨て製品にも利用可能である。 図面の簡単な説明

[0063] [図 1]本発明にかかる止着テープ式の使い捨ておむつを示す第 1の形態の展開図で ある。

[図 2]剥離強度の段階的な相違を説明するための図である。

[図 3]剥離強度が連続的に変化する場合を説明するための図である。

[図 4]第 2の形態の使 、捨ておむつの平面図である。

[図 5]第 3の形態の使 、捨ておむつの平面図である。

[図 6]本発明にかかる面ファスナーの雌材シートの第 1の形態を示す模式図である。

[図 7]その II II断面図である。

[図 8]本発明にかかる面ファスナーの雌材シートの第 2の形態を示す模式図である。

[図 9]本発明にかかる面ファスナーの雌材シートの第 3の形態を示す模式図である。

[図 10]本発明に力かる面ファスナーを採用した止着式紙おむつの展開図である。

[図 11]第 6の形態の使い捨ておむつの平面図である。

符号の説明

[0064] XI· ··係止部、 Χ2· ··雌材シート (雌材シートにより構成される係止部）、 Υ1、 Υ2· ·· 止着テープ、 Z1, Ζ2, Ζ3, Ζ5…使い捨ておむつ、 11· ··表面シート、 12…裏面シー ト、 12Α· ··不透液性フィルムシート、 12B, 12C…不織布シート、 Ε· ··エンボス、 ST- -- 腹側長手方向端縁、 Z…紙おむつ、 20a…雌形素子、 20· ··雌基材シート、 21…有 孔被覆シート、 21a…孔部、 22· ··ホットメルト接着部、 14· ··セカンドシート。

Claims

請求の範囲

[1] 液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、両シート間に介在された吸 収体とを備え、

背側又は腹側部の何れか一方の左右両側縁部に止着用の止着テープが配され、 この止着テープの一部または全部が面ファスナーの雄材で形成され、この雄材を腹 側部又は背側部の左右両側縁部間に配された係止部に係止して着用する展開型の 使 、捨ておむつであって、

前記係止部は、製品の幅方向中心力 左右両側縁に向力つて延在するように設け られているとともに、前記雄材との剥離強度が製品の幅方向中心部から左右両側縁 方向に向かって、かつ Zまたは製品の縦方向一方縁から他方縁に向力つて、 段階的または連続的に異なるように構成されている、ことを特徴とする使い捨てお むつ。

[2] 係止部が、多数の雌型素子が形成されている面ファスナーの雌材シートを裏面シ ートに接着して形成されて 、る、請求項 1記載の使 、捨ておむつ。

[3] 裏面シートそのものの一部が、係止部とされて!/、る請求項 1記載の使!、捨ておむつ

[4] 雌形素子の密度または高さの相違によって、雄材との剥離強度が異なるように構成 されている、請求項 2又は 3記載の使い捨ておむつ。

[5] 係止部をなす雌材シートまたは裏面シートにエンボスが付与され、このエンボスパタ ーンが、 MD方向または CD方向に沿って配列されているパターンである、請求項 3 又は 4記載の使 、捨ておむつ。

[6] 前記係止部は；

雌形素子が多数形成されている雌基材シートの雌形素子形成面に、複数の孔部を 有する有孔被覆シートを積層して接着し、その有孔被覆シートの孔部力 露出される 雌形素子形成面を介して雄材と係止する構成の雌材シート、又は、

裏面シート自体の繊維による雌形素子が多数形成された雌材部を含む範囲が、複 数の孔部を有する有孔被覆シートにより被覆されて、その孔部から露出される雌形素 子形成面を介して、前記雄材と係止するように構成された部分である、請求項 2〜5 の何れか 1項に記載の使!、捨ておむつ。

[7] 前記有孔被覆シートが、ホットメルト接着剤により、雌基材シート又は裏面シートに 接着されている、請求項 6記載の使い捨ておむつ。

[8] 有孔被覆シートが伸縮性を有しているとともに、雌基材シート又は裏面シートに対し て部分的に接着されており、有孔被覆シートの伸縮により各孔部が拡縮可能に構成 されている、請求項 6又は 7記載の使い捨ておむつ。

[9] 有孔被覆シートと前記雌基材シートとの間、又は有孔被覆シートと裏面シートとの 間に弾性伸縮材が配されている、請求項 6〜8の何れ力 1項に記載の使い捨ておむ つ。

[10] 前記有孔被覆シートは、おむつ外面側に、雄材と係止する多数の雌型素子が形成 されて 、る、請求項 6〜9の何れか 1項に記載の使 、捨ておむつ。

[11] 雌型素子を有する、前記雌材シート、前記雌基材シート、前記有効被覆シート、裏 面シートの係止領域として設定される所定範囲、の少なくとも一つに、貫通する多数 の開孔が設けてある、請求項 2〜10の何れか 1項に記載の使い捨ておむつ。

[12] 前記開孔は、おむつ内面側となる面側からおむつ外面側となる面側に向けた開孔 処理を施すことにより形成され、開孔縁がおむつ外側に起立している、請求項 11記 載の使い捨ておむつ。