明 細 書
固体酸化物型電池
技術分野
[0001] 本発明は、賦活時に固体炭素をアノード材料に担持させ、発電時にその固体炭素 を用レ、て発電する固体酸化物型電池に関する。
背景技術
[0002] イオン伝導性の固体酸化物 (酸化物イオン伝導体)からなる電解質層(固体電解質 層)を力ソード(空気極)とアノード (燃料極)との間に配置した積層構造を有する固体 酸化物型電池(SOFC)は、第三世代の燃料電池として期待され、その開発が進ん でいる。
[0003] 固体酸化物型電池は、アノードに還元剤、例えば、水素(H )、一酸化炭素(CO)、
2
メタン (CH )等の炭化水素を含むガス (燃料ガス)を供給し、力ソードに酸化剤、例え
4
ば、酸素(O )等を含むガス (例えば空気)を供給することにより発電するデバイスで
2
ある(例えば、下記特許文献 1参照)。
[0004] 固体酸化物型電池(SOFC)を用いた発電システムのコンパクト化を容易かつ確実 に図ることのできる構成を有する固体酸化物型電池及び固体酸化物型電池の運転 方法が提案された(特許文献 2参照)。すなわち、アノード内部で、炭素及び水素を 構成元素として少なくとも含む有機化合物の熱分解反応を進行させることにより得ら れる固体炭素を、固体の燃料 (還元剤)として発電に利用する固体酸化物型電池で ある。
[0005] 固体炭素は液体状の電極活物質 (還元剤)やガス状の電極活物質 (還元剤)に比 較してエネルギー密度が非常に高ぐ液体状やガス状の電極活物質をアノードに供 給するための装置構成が不要となり、アノードの側の装置構成を簡素化することがで きるという特徴がある。
[0006] しかしながら、上記の固体酸化物型電池は、固体炭素の生成 (賦活)に要する時間 が長ぐまた 1回の賦活による電荷移動量が小さぐ賦活後の発電は出力密度が小さ ぐ発電時間も短かった。更には、発電時に燃料極の生成物を外部に放出するため
のキャリアガスの導入が必要であったため、コンパクト化において制限があった。 特許文献 1:特開平 9 129256号公報
特許文献 2 :特開 2005— 071717号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] 本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、短時間の賦活 で、高出力密度で長時間の発電が可能であり、また、発電時にキャリアガスの導入を 不要にすることができ、そのため発電システムのコンパクトィ匕を一層容易に実現する ことのできる固体酸化物型電池を提供することにある。特に、セルや周辺部材の劣化 を小さくしたり、熱自立を容易にするために運転温度の低温化、例えば 750°C以下 にすることが望まれる。
課題を解決するための手段
[0008] 本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、アノード内部で、 下記反応式(1)が進行することと、それにより生じた一酸化炭素が下記反応式 (2)に より発電に寄与することで、発電時に、「賦活時にアノードに担持された固体炭素」の 利用効率や出力密度が向上することを見出し本発明に到達した。
CO +C → 2CO (1)
2
CO + O2" → CO + 2e- (2)
2
[0009] すなわち、本発明は、以下の構成を有する。
[0010] (1) 固体炭素が担持され、複合金属酸化物又はサーメットを含むアノード材料を有 するアノード、力ソード材料を有する力ソード、及び、アノードと力ソードとの間に配置 されたイオン伝導性の固体酸化物を含む電解質、を少なくとも有する固体酸化物型 電池における発電方法であって、アノード材料に担持された固体炭素を二酸化炭素 と反応させて気体の一酸化炭素に変換し、当該気体の一酸化炭素を酸化することに より発電することを特徴とする固体酸化物型電池の発電方法。
(2) 発電時に消費される一酸化炭素の 50モル%以上が、固体炭素と二酸化炭素と の反応により生じた一酸化炭素である上記(1)記載の発電方法。
(3) 電荷移動量の 50%以上が、固体炭素と二酸化炭素との反応により得られた一
酸化炭素の酸化に起因する、上記(1)または(2)に記載の発電方法。
(4) アノードの総面積を S (cm2)、 25°C1気圧でのアルゴンガスの流量を F (cm3/ 秒)としたとき、 F/Sの値が 3. 0 (cm/秒)となるように、 25°C1気圧のアルゴンガス をアノードに導入しながら発電した場合の電荷移動量を Ql、アルゴンガスをアノード に導入しないで発電した場合の電荷移動量を Q2としたとき、 [(Q2-Q1)/Q2] X 10 0が 50以上である上記(1)から (3)のレ、ずれかに記載の発電方法。
(5) 発電時に、反応生成ガスによる圧力上昇分以上はアノード外部に反応生成ガ スを放出させなレ、ことを特徴とする、上記(1)から (4)のレ、ずれかに記載の発電方法
(6) 発電時に、アノードにキャリアガスを実質的に導入しないことを特徴とする、上 記(1)から (5)のいずれかに記載の発電方法。
(7) 発電時に、系外からアノードへの酸素の流入を抑制することを特徴とする、上記 (1)から(6)のいずれかに記載の発電方法。
(8) 炭素と水素を構成元素として少なくとも含む有機化合物をアノードに導入し、 2 00〜1200°Cの温度条件下で、該有機化合物の熱分解反応を進行させることにより 、固体炭素が担持された、上記(1)から(7)のいずれかに記載の発電方法。
(9) 炭素と水素を構成元素として少なくとも含む有機化合物が、プロパン又はブタ ンを主成分とするものである上記(8)に記載の発電方法。
(10) アノードの総面積を S (cm2)、 25°C1気圧でのアルゴンガスの流量を F (cm3 /秒)としたとき、 F/Sの値が 6· 1 (cm/秒)となるように、 25°C1気圧のアルゴンガ スを、賦活後発電前にアノードに導入して測定した開回路電圧が 0. 6V以上である 上記(1)から (9)のいずれかに記載の発電方法。
(11) アノードの総面積を S (cm2)、 25。C1気圧でのアルゴンガスの流量を F (cm3 /秒)としたとき、 FZSの値が 0. 30 (cmZ秒)となるように、 25。C1気圧のアルゴン ガスを、賦活後発電前にアノードに導入して測定した開回路電圧が 0. 7V以上であ る上記(1)から(9)のレ、ずれかに記載の発電方法。
(12) アノードの総面積を S (cm2)、 25。C1気圧でのドライ水素ガスの流量を F (cm3 /秒)としたとき、 FZSの値が 6. l (cmZ秒)となるように、 25°C1気圧のドライ水素
ガスを、賦活後発電前にアノードに導入して測定した開回路電圧が 0. 9V以上であ る上記(1)から(9)のレ、ずれかに記載の発電方法。
(13) 賦活時の時間を T (分)、アノードの単位面積あたりの電荷移動量を Q (mAh /cm2)としたときの QZTの値が 1 (mAh/ (cm2'分))以上である上記(1)から(12) のレ、ずれかに記載の発電方法。
(14) 賦活時の時間を T (分)、出力密度を P (mWZcm2)としたときの PZTの値が 5 (mW/ (cm2'分))以上である上記(1)から(13)のレ、ずれかに記載の発電方法。
(15) 発電時の温度が 750°C以下である上記(1)から(14)のいずれかに記載の発 電方法。
(16) 発電時の温度が 750°C以下で、出力密度が 50 (mWZcm2)以上である上記 (1)から(14)のいずれかに記載の発電方法。
(17) 電流密度 9. 3mAZ cm2で発電したときの燃料利用効率が 60%以上である 上記(1)から(16)のいずれかに記載の発電方法。
(18) 電流密度 80mA/cm2で発電したときの燃料利用効率が 20%以上である上 記(1)から(17)のいずれかに記載の発電方法。
(19) アノード材料が、複合金属酸化物、又は、複合金属酸化物と金属からなるサ 一メットである上記(1)から(18)のレ、ずれかに記載の発電方法。
(20) サーメットが、 Ni/YSZ、 Ni/GDC、 Ni/ScSZ又は Ni/SDCである上記( 19)に記載の発電方法。
(21) 電解質が GDCである上記(1)から (20)のいずれかに記載の発電方法。
(22) アノード材料を有するアノード、力ソード材料を有する力ソード、及び、アノード と力ソードとの間に配置されたイオン伝導性の固体酸化物を含む電解質、を少なくと も有する固体酸化物型電池であって、該アノード材料が複合金属酸化物又はサーメ ットを含み、該アノード材料には固体炭素が担持されており、発電時にアノードにお いて、下記反応式(1)及び(2)を利用して発電することを特徴とする固体酸化物型電 池。
CO +C → 2CO (1)
2
CO + O2" → CO + 2e- (2)
(23) 反応式(2)で消費される一酸化炭素(CO)の 50モル%以上が、反応式(1)で 生成される上記(22)に記載の固体酸化物型電池。
(24) 電荷移動量の 50%以上が、固体炭素と二酸化炭素との反応により得られた 一酸化炭素の酸化に起因する、上記(22)または(23)記載の固体酸化物型電池。
(25) アノードの総面積を S (cm2)、 25。C1気圧でのアルゴンガスの流量を F (cm3 /秒)としたとき、 FZSの値が 3. 0 (cmZ秒)となるように、 25。C1気圧のアルゴンガ スをアノードに導入しながら発電した場合の電荷移動量を Ql、アルゴンガスをァノー ドに導入しないで発電した場合の電荷移動量を Q2としたとき、 [(Q2-Q1)/Q2] X 100が 50以上である、上記(22)から(24)のレ、ずれかに記載の固体酸化物型電池。
(26) 発電時に、反応生成ガスによる圧力上昇分以上はアノード外部に反応生成ガ スを放出させなレ、ことを特徴とする、上記(22)から(25)のレ、ずれかに記載の固体酸 化物型電池。
(27) 発電時に、アノードにキャリアガスを実質的に導入しないことを特徴とする、上 記(22)から(26)のレ、ずれかに記載の固体酸化物型電池。
(28) 発電時に、系外からアノードへの酸素の流入を抑制することを特徴とする、上 記(22)から(27)のレ、ずれかに記載の固体酸化物型電池。
(29) アノードの総面積を S (cm2)、 25°C1気圧でのアルゴンガスの流量を F (cm3 /秒)としたとき、 F/Sの値が 6· 1 (cm/秒)となるように、 25°C1気圧のアルゴンガ スを、賦活後発電前にアノードに導入して測定した開回路電圧が 0. 6V以上である 上記(22)から(28)のレ、ずれかに記載の固体酸化物型電池。
(30) アノード材料を有するアノード、力ソード材料を有する力ソード、及び、アノード と力ソードとの間に配置されたイオン伝導性の固体酸化物を含む電解質、を少なくと も有する電気化学リアクターであって、該アノード材料が複合金属酸化物又はサーメ ットを含み、該アノード材料には固体炭素が担持されており、該固体炭素を酸化させ る際に、下記反応式(1)及び (2)を利用して酸化させることを特徴とする電気化学リ アクター。
CO +C → 2CO (1)
2
CO + O2" → CO + 2e- (2)
(31) 反応式(2)で消費される一酸化炭素(CO)の 50モル%以上が反応式(1)で 生成される上記(30)に記載の電気化学リアクター。
(32) 電荷移動量の 50%以上が、固体炭素と二酸化炭素との反応により得られた 一酸化炭素の酸化に起因する、上記(30)または(31)に記載の電気化学リアクター
(33) アノードの総面積を S (cm2)、 25。C1気圧でのアルゴンガスの流量を F (cm3 /秒)としたとき、 FZSの値が 3. 0 (cmZ秒)となるように、 25。C1気圧のアルゴンガ スをアノードに導入しながら固体炭素を酸化した場合の電荷移動量を Ql、アルゴン ガスをアノードに導入しないで固体炭素を酸化した場合の電荷移動量を Q2としたと き、 [(Q2_Q1)/Q2] X 100が 50以上である上記(30)から(32)のいずれかに記載 の電気化学リアクター。
(34) 通電時に、反応生成ガスによる圧力上昇分以上はアノード外部に反応生成ガ スを放出させなレ、ことを特徴とする、上記(30)から(33)のレ、ずれかに記載の電気化 学リアクター。
(35) 通電時に、系内にキャリアガスを実質的に導入しないことを特徴とする、上記( 30)から(34)のレ、ずれかに記載の電気化学リアクター。
(36) 通電時に、系外からアノードへの酸素の流入を抑制することを特徴とする、上 記(30)から(35)のレ、ずれかに記載の電気化学リアクター。
発明の効果
[0011] 本発明によれば、賦活時に固体炭素を該アノード材料に短時間で担持させても、 高い出力密度で長時間の発電が可能であり、燃料利用効率が高ぐ発電システムの コンパクト化が容易にできる固体酸化物型電池を提供することが可能となる。
[0012] すなわち、本発明の固体酸化物型電池では、アノードの燃料 (還元剤)として固体 炭素を使用する。固体炭素は液体状の燃料 (還元剤)やガス状の燃料 (還元剤)に比 較してエネルギー密度が非常に高ぐ液体状やガス状の電極活物質をアノードに供 給するための装置構成が不要となり、アノードの側の装置構成を簡素化することがで きる。従って、本発明によれば、発電システムのコンパクトィ匕を容易に確実に達成でき る構成を有する固体酸化物型電池を提供することができる。
[0013] また、発電をして固体炭素を消費した後において、例えば、発電システムから固体 酸化物型電池又はアノードを取り外し、 200〜1200°Cの範囲で熱分解反応を行レ、、 アノード材料に固体炭素を再び生成担持させることにより、固体酸化物型電池を繰り 返し使用することも容易にできる。
[0014] また、本発明の固体酸化物型電池は、発電システムに固定し、取り外さないで使用 する構成としてもよい。このとき、担持された固体炭素を消費した後、アノード材料に 固体炭素を再び担持させて使用するが、この場合、アノードに有機化合物を供給す るための装置構成が必要となる。しかし、従来の還元剤を含むガスを供給するための 装置構成と比較してシンプルな装置構成とすることが可能となるため、この場合にも 発電システムのコンパクト化を容易かつ確実に達成することができる。また、この場合 には、固体酸化物型電池が発電システムに固定されているため、固体炭素をより迅 速かつより容易にアノード材料に固体炭素を再び担持させて繰り返し発電することが できる。
[0015] 例えば、リチウムイオン二次電池等の二次電池は充電に比較的時間がかかるという 問題があった。これに対し、固体炭素は、熱分解反応により速やかに形成させること ができるため、本発明の固体酸化物型電池は、アノードの燃料(固体炭素)のチヤ一 ジを極めて迅速に行うことができる。従って、本発明の固体酸化物型電池は、発電シ ステムにぉレ、て、リチウムイオン二次電池等の二次電池のかわりに使用することもで きる。
[0016] なお、本発明の固体酸化物型電池は、上記のように有機化合物の熱分解反応を行 う場合に、固体炭素と共に水素を反応生成物として得ることができる。そのため、本発 明の固体酸化物型電池は、水素発生装置としても利用することができる。
[0017] 更に、本願発明の固体炭素を酸化させる作用を応用して、例えば、ディーゼル排ガ ス中の固体炭素系化合物(PM : Particulate Matter)の除去にも利用可能である。す なわち、本願発明は、二次電池、燃料電池、水素発生装置としての応用のほか、上 記のような排ガス除去等への応用も可能であり、電気化学リアクター(電気化学的な 反応場を提供する装置)としての利用が可能である。
図面の簡単な説明
[図 1]本発明の固体酸化物型電池の好適な一実施形態の基本構成を示す模式断面 図である。
[図 2]ドライプロパンの導入による固体炭素析出とそれに続く発電を 6回繰り返したとき の電圧の変化を示すグラフである(実施例 1)。
[図 3]固体炭素析出を行い、電流密度をスイープして出力密度と電流密度の関係を 求めたグラフである(実施例 1)。
[図 4]固体炭素析出を行ったアノードに、 COを 900°Cでフローして排出されるガスの
2
組成を示すグラフである(実施例 1)。
[図 5]ドライメタン及びドライプロパン導入による固体炭素析出と、それに続き発電をし たときの出力密度の時間変化を示すグラフである(実施例 1)。
[図 6]GDC電解質を用いた固体酸化物型電池の、 750°Cにおける発電特性を示す グラフである(実施例 2)。
[図 7]GDC電解質を用いた固体酸化物型電池の、電流密度と電荷移動量との関係 を示すグラフである(実施例 2)。
[図 8]8YSZ電解質及び GDC電解質を用いた固体酸化物型電池の発電特性を示す グラフである(実施例 3)。
[図 9]GDC電解質を用いた固体酸化物型電池の電流密度を変えたときの発電特性 を示すグラフである(実施例 3)。
[図 10]GDC電解質を用いた固体酸化物型電池の発電開始直後の端子電圧及び出 力密度を、それぞれ電流密度に対してプロットしたグラフである(実施例 3)。
[図 11]8YSZ電解質及び ScSZ電解質を用いた固体酸化物型電池の発電特性を示 すグラフである。
[図 12]ScSZ電解質を用いた固体酸化物型電池について、アノード膜厚と重量比を 変えたときの発電特性を示すグラフである(電流密度 80mAZcm2の場合)(実施例 3)。
[図 13]ScSZ電解質を用いた固体酸化物型電池について、アノード膜厚と重量比を 変えたときの発電特性を示すグラフである(電流密度 160mAZcm2の場合)(実施 例 3)。
[図 14]ScSZ電解質を用いた固体酸化物型電池における熱分解炭素析出温度と炭 素析出量の関係を示すグラフである(実施例 3)。
[図 15]ScSZ電解質を用いた固体酸化物型電池について、熱分解炭素析出の温度 を変えたときの発電特性を示すグラフである(実施例 3)。
[図 16]ScSZ電解質を用いた固体酸化物型電池について、熱分解炭素析出時間(賦 活時の時間)と電荷移動量の関係を示すグラフである(実施例 3)。
[図 17]ドライプロパンを 900°Cで 5分間熱分解炭素析出した ScSZ電解質セルの 900
°Cでの発電特性(電流密度: 280、 320、 360mA/cm2)である(実施例 4)。
[図 18]ドライプロパンを 900°Cで 5分間熱分解炭素析出した ScSZ電解質セルの 900
°Cでの発電特性(電流密度: 80mA/cm2)である(実施例 4)。
[図 19]ドライプロパンを 900°Cで 20分間熱分解炭素析出した ScSZ電解質セルの 90
0°Cでの発電特性(電流密度: 280mA/cm2)である(実施例 4)。
[図 20]ドライプロパンを 800°Cで 5分間熱分解炭素析出した ScSZ電解質セルの 800
°Cでの発電特性(電流密度: 80mA/cm2)である(実施例 4)。
[図 21]ドライプロパンを 900°Cで 5分間熱分解炭素析出した ScSZ電解質セルの 900
°Cでの定電流発電における最大出力密度と電圧の電流密度依存性である(実施例 4
) 0
[図 22]ドライプロパンを 900°Cで 5分間熱分解炭素析出した ScSZ電解質セルの 900 °Cでの発電における電荷移動量の Ar流量依存性(電流密度: 280mA/ cm2)であ る(実施例 4)。
符号の説明
1 固体酸化物型電池
2 アノード
2a アノード材料
2b アノードの集電体
3 力ソード
3a 力ソード材料
3b 力ソードの集電体
4 電解質
発明を実施するための最良の形態
[0020] 以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。図 1は、本発明の固体酸化物型電池の好適な一実施形態の基本構成を示す模式断面 図である。
[0021] 図 1に示す固体酸化物型電池 1は、主として、アノード 2と、力ソード 3と、アノード 2と 力ソード 3との間に配置される電解質 4とから構成されている。
[0022] 図 1に示すアノード 2は、アノード材料 2a及びアノードの集電体 2bを有している。ま た、図 1に示す力ソード 3は、力ソード材料 3a及び力ソードの集電体 3bを有している。
[0023] アノード 2のアノード材料 2aは、複合金属酸化物又はサーメットである。ここで「サー メット」とは、金属と金属酸化物粉末が混合され焼結されたものをいう。複合金属酸化 物又はサーメットは多孔質であることが好ましい。複合金属酸化物又はサーメットとし ては、公知の固体酸化物型燃料電池にアノード活物質として一般に用いられている ものが好適に使用できる。アノード材料 2aの表面には、固体炭素が担持されている 必要がある。ここで、「固体炭素」には、炭素の他に、水素、酸素、ィォゥ等が含まれ ていてもよい。
[0024] 複合金属酸化物としては、固体酸化物型燃料電池にアノード活物質として一般に 用いられているものであれば特に限定はないが、発電の際に、十分な出力特性、耐 久性等を確実に得る点からは、イットリアが配合された安定化ジルコユア (Y O -Zr
2 3
〇 ) (以下、「YSZ」と略記する); Gd、 La、 Y、 Sm、 Nd、 Ca、 Mg、 Sr、 Ba、 Dy及び
2
Ybからなる群より選ばれる少なくとも 1種がドープされた Ce〇 [このうち特に、 Gdがド
2
ープされた Ce〇 (以下、「GDC」と略記する)、 Smがドープされた Ce〇 ] ; Sc〇一
2 2 2 3
ZrO (以下、「ScSZ」と略記する); Sm O _ CeO (以下、「SDC」と略記する)等が
2 2 3 2
特に好ましい。
[0025] ここで、上記 YSZの場合、 Y Oの割合(Y Oの含有量)は、 Y O —ZrOに対して
2 3 2 3 2 3 2
8〜: 10モル0 /0であることが好ましレ、。また、上記 GDCの場合、 Gdの割合(Gdの含有 量)は、ドープされた Ce〇に対して 3〜40モル0 /0が好ましぐ 8〜40モル0 /0力 Sより好
2
ましぐ 10〜40モル0 /0が更に好ましぐ 15〜40モル0 /0であることが特に好ましい。更
に、上記 Smがドープされた CeOの場合、 Smの割合(Smの含有量)は、ドープされ
2
た Ce〇に対して 15〜40モル%であることが好ましい。また、特に好ましいセリア系
2
固溶体としては、 Ce Gd O (式中、 δは酸素欠損量を示す)、 Ce Gd 〇
0. 8 0. 2 2— δ 0. 67 0. 33
(式中、 δは酸素欠損量を示す)等が挙げられる。
2- δ
[0026] また、発電の際に、十分な出力特性を得る観点からは、複合金属酸化物の導電率 は、 1000°Cにおレヽて、 0. 01〜: 10S/cmであること力 S好ましレ、。
[0027] 賦活時において、炭素と水素を構成元素として少なくとも含む有機化合物の熱分 解反応を十分に進行させて、容易に十分量の固体酸素をアノード材料に析出担持さ せ、本発明の効果をより確実に得るとともに、優れた出力特性をより確実に得る観点 から、アノード材料 2aは、サーメットであることが好ましい。
[0028] サーメットとしては、固体酸化物型燃料電池にアノード活物質として一般に用いられ ているものであれば特に限定はなレ、が、 Ni、 Pt、 Au、 Cu、 Fe、 W及び Taからなる群 より選ばれる少なくとも 1種の金属と複合金属酸化物(特に上記複合金属酸化物)と のサーメットが好ましい。発電の際に、十分な出力特性を確実に得る点等からは、二 ッケルと複合金属酸化物のサーメット等が好ましいものとして挙げられ、特に、エッケ ルと上記した複合金属酸化物とのサーメット等が好ましいものとして挙げられる。
[0029] 最も好ましくは、出力特性の点で、ニッケルと YSZとのサーメット(以下、「Ni/YSZ 」と略記する)、ニッケノレと GDCとのサーメット(以下、「Ni/GDC」と略記する)、ニッ ケノレと ScSZとのサーメット(以下、「Ni/ScSZ」と略記する)又はニッケルと SDCとの サーメット(以下、「Ni/SDC」と略記する)である。
[0030] また、サーメットにおける金属の体積分率 VIと、複合金属酸化物の体積分率 V2と が下記式で表される条件を満たしていることが、電子伝導性確保の点で、好ましい。
[0031] 0. 2≤[V1/ (V1 +V2) ]≤0. 8
ここで、 [V1/ (V1 +V2) ]が 0. 2未満となると、アノード材料 2a中の電子伝導性が 十分に確保できなくなり、固体酸化物型電池 1の出力特性が不十分となる場合があ る。また、 [V1/ (V1 +V2) S0. 8を超えると、アノード材料 2a中のイオン伝導性が 十分に確保できなくなり、固体酸化物型電池 1の出力特性が不十分となる場合があ る。アノード材料 2a中の電子伝導性とイオン伝導性を共に十分に確保する観点から
、 [Vl/ (Vl +V2) iO. 2〜0· 8であること力 S好ましく、 0. 3〜0· 7であることが特 に好ましく、 0. 4〜0. 6力 S更に好ましレ、0
[0032] 具体的には、 Ni/YSZ、 Ni/GDC、 Ni/ScSZ又は Ni/SDCにおいて、体積分 率の比として Ni/ (かかる複合金属酸化物 + Ni)の値力 上記値の範囲に入ってい るものが好ましい。
[0033] アノード膜厚は特に限定はなレ、が、通常 10 x m〜5mmであり、好ましくは 20 z m 〜: lmm、より好ましくは 30 μ m〜700 μ m、更に好ましくは 40 μ m〜400 μ m、最も 好ましくは50 111〜150 111でぁる。アノード膜厚を厚くすることで、出力密度 P (m WZcm2)や後述する PZTの値、及び、アノードの単位面積あたりの電荷移動量 Q ( mAhZ cm2)や後述する Q/Tの値を向上させることができる。ここで、 Tは賦活時の 時間である。膜厚は、後述する実施例においては触針タイプの表面粗さ計で測定し ているが、 SEMによる断面観察で測定しても良い。
[0034] なお、ここで言及したアノード (燃料極)の厚さは、後述の実施例で得られた空孔度 での最適条件である。空孔度はアノード (燃料極)への燃料ガスの供給しやすさや、 発生した一酸化炭素(CO)ガスの実効反応サイトへの移動しやすさや、熱分解炭素 が析出に供する空間量に影響するため、空孔度が変わると厚さの最適条件は変わる 可能性がある。例えば、空孔度が後述の実施例のアノード (燃料極)のものよりも大き ければ、厚さの最適値はより厚い方にシフトする可能性がある力 上記アノード膜厚 の数値を参考にして、得られた燃料極の空孔度に合わせて適宜アノード膜厚は決定 することが可能である。
[0035] 本発明の固体酸化物型電池の使用に際しては、賦活時(「賦活工程」ということもあ る)と発電時(「発電工程」ということもある)が存在する。賦活時には、固体炭素を該ァ ノード材料 2aに担持させる。
[0036] そして、発電時には、この固体炭素を使用し、少なくとも後記する反応式(1)及び反 応式(2)により電子を発生させる。また同時に、力ソードでは、酸化性ガスに電子を供 与し、イオン化した酸化物イオン (O2— )を電解質に注入する。
[0037] このことにより、発電システムのコンパクト化を容易かつ確実にできる構成を有する 固体酸化物型電池 1が提供可能となる。また、発電によって、固体炭素を消費した後
には、例えば、発電システムから固体酸化物型電池又はアノードを取り外すか若しく は取付けたままで、熱分解反応を行いアノード中のアノード材料に固体炭素を迅速 に再生成させること、すなわち賦活により、固体酸化物型電池 1を発電に繰り返し使 用することも容易にできる。
[0038] 上記のように本発明の固体酸化物型電池は、従来のもののように反応ガスをァノー ドに供給するためのボンべ、改質器等の大きな設置スペースを必要とする設備が不 要となるため、容易にコンパクトィ匕を達成できる。なお、発電時だけでなく賦活時にも 改質器が不要にできるので、それがコンパクトィ匕に寄与する。本発明の固体酸化物 型電池の大きさは特に限定はなレ、が、 0. 5cm3〜2000cm3であることが好ましぐ lc m3〜: 100cm3であることが特に好ましレ、。固体酸化物型電池の大きさが大きすぎる 場合は、本発明の上記コンパクトにできるという特徴が生かせない。
[0039] 固体酸化物型電池の発電時の出力は特に限定はないが、 0. 01kW〜500kW力 S 好ましぐ 0. 05kW〜70kWであることが特に好ましぐ 30kW〜100kWであることが 更に好ましい。本発明の固体酸化物型電池は、上記大きさの場合に上記出力を発 生できる。
[0040] 本発明においては、アノード材料 2aの表面に、固体炭素が担持されている必要が あるが、賦活時に、固体炭素をアノード材料 2aに担持させる方法としては、炭素と水 素を構成元素として少なくとも含む有機化合物を該アノード 2に導入し、該有機化合 物の熱分解反応を進行させる方法が挙げられる。
[0041] 熱分解反応における温度は特に限定はなレ、が、 200〜: 1200°Cの範囲力 該有機 化合物の良好な熱分解反応速度を得る点で好ましい。賦活時において、該有機化 合物の熱分解反応の温度が 200°C未満であると、該有機化合物の熱分解反応 (例 えば、メタンの場合には、 CH→C + 2H )が十分に進行せず、十分量の固体炭素を
4 2
得ることができない場合がある。また、 1200°Cを超える場合、アノード材料 2aの熱劣 化が激しくなる場合がある。上記と同様の観点から、熱分解反応の温度は 300〜10 00°Cであることが特に好ましぐ 400〜800°Cであることが更に好ましい。また、後述 の実施例に示すように、熱分解炭素析出温度を変えることで、アノードの単位面積あ たりの電荷移動量 Q (mAh/cm2)や後述する QZTの値を向上させることができる。
ここで、 Tは賦活時の時間である。
[0042] 熱分解反応に使用される「炭素と水素を構成元素として少なくとも含む有機化合物 」は、酸素及び/又は硫黄を構成元素として更に含んでいてもよい。また、該有機化 合物は 1気圧、 25°Cの条件下で、気体であってもよく液体であってもよい。更に、還 元剤として十分に機能する固体炭素をより容易かつ十分に得る観点から、有機化合 物の炭素数は、 1個〜 100個であることが好ましぐ 1個〜 10個であることが特に好ま しぐ 1個〜 6個であることが更に好ましい。
[0043] 上記のような有機化合物の好ましい例としては、メタン、ェタン、プロパン、ブタン、メ タノ一ノレ、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。中でも、取り扱い性 や入手の容易性等の観点から、メタン、プロパン、ブタン又はメタノールが特に好まし レ、。中でも、高い出力密度と電荷移動量が得られることと、液状の分解物を生じない という観点から、プロパン又はブタンが主成分のものがより好ましい。「主成分」とは、 5 0体積%以上含むことを意味する。
[0044] アノード 2の集電体 2bの構成材料は電子伝導性を有し、かつ固体酸化物型電池 1 の作動温度領域において化学的及び物理的に安定であるものであればその形状及 び構成材料はに限定されず、公知の固体酸化物型燃料電池に備えられているものと 同様のものを使用することができる。 600°C〜1200°Cで化学的及び物理的に安定 であるものが好ましい。
[0045] 集電体 2bには、賦活時に熱分解反応を行う際に、固体炭素の原料となる「炭素及 び水素を構成元素として少なくとも含む有機化合物」の供給路(図示せず)が形成さ れている。また、この集電体 2bは、固体酸化物型電池 1を複数積層して使用する場 合には、各単位セル間に配置されるセパレータとしての機能をも果たすものである。
[0046] また、アノード 2には、ガスの供給口(図示せず)及び放出口(図示せず)、並びに、 これらの供給口と放出口とに接続されたガスの内部流路(図示せず)が設けられてレ、 る。本発明の固体酸化物型電池は、一般の公知の燃料電池とは燃料の種類、使用 方法、発電原理等は全く異なるが、ガスの供給口及び放出口並びにこれらの供給口 と放出口とに接続されたガスの内部流路等の機械的外部構造については、一般の 公知の燃料電池の構造と同様のものが使用できる。
[0047] 本発明の固体酸化物型電池 1では、発電時に、アノードに対し反応生成ガスを外 部に放出させるためのキャリアガスを実質的に導入しないことが好ましい。後述するよ うに、キャリアガスを実質的に導入しないと、アノードにおいて反応式(1)で示される 反応がより効率的に起こるので好ましい。またこれにより、発電時には装置構成をより 極めてコンパクトにできる。
[0048] 発電時には、力ソード 2には、酸化剤を含むガス (例えば、空気)が供給され、カソー ド材料 3aは、酸化剤の還元反応が進行する反応場となるものである。力ソード材料 3 aの組成や形状については特に限定されず、公知の固体酸化物型燃料電池に備え られている力ソードに一般に使用されているものと同様のものを使用することができる 。例えば、(LaSr) MnO系、(LaSr) CoO系の複合金属酸化物からなる材料等を
3 3
好ましく使用することができる。特に好ましくは、例えば、 La Sr MnO等が挙
0. 85 0. 15 3 げられる。
[0049] 力ソードの集電体 3bの構成は先に述べたアノード 2の集電体 2bと同様であり、構成 材料及び形状については特に限定されず、公知の固体酸化物型燃料電池に備えら れているものと同様のものを使用することができる。なお、集電体 3bには、空気等の 酸化剤を含むガスを力ソード室 3aに供給するためのガス流路(図示せず)が形成され ている。また、この集電体 3bは、固体酸化物型電池を複数積層して使用する場合に は、各単位セル間に配置されるセパレータとしての機能をも果たすものである。
[0050] 電解質 4は、イオン伝導性の固体酸化物である。電解質 4は、酸化物イオン (02_) の移動媒体であると同時に、還元剤 (先に述べた固体炭素)と酸化剤を含むガス (例 えば空気)を直接接触させないための隔壁としても機能し、ガス不透過性の緻密な構 造を有している。この電解質 4の構成材料は特に限定されず、公知の固体酸化物型 燃料電池に用いられる材料を使用することができるが、酸化物イオンの伝導性が高く 、力ソード 3側の酸化性雰囲気からアノード 2側の還元性雰囲気までの条件下で、化 学的に安定で熱衝撃に強い材料から構成することが好ましい。
[0051] 力、かる要件を満たす材料としては、例えば、イットリア安定化ジノレコニァ (YSZ)、ス カンジァ安定化ジルコユア(ScSZ)等の安定化ジルコユア;ランタンガレート;セリア 系固溶体等が好ましいものとして挙げられる。
[0052] 安定化ジノレコニァは特に限定はなレ、が、下記一般式
(ZrO ) l -x (M O ) x
2 2 3
[式中、 Mは Y、 Sc、 Sm、 Al、 Nd、 Gd、 Yb及び Ceからなる群より選ばれた 1種以上 の元素を示す。ただしここで、 Mが Ceの場合は M Oの代わりに Ce〇である。 ]、又
2 3 2
は、下記一般式
(ZrO ) l -x (MO) x
2
[式中、 Mは Ca及び Mgからなる群より選ばれた 1種以上の元素を示す]
における、 X力 S0< x≤0. 3である固溶体が好ましい。特に好ましいものとしては、例え ば、 (ZrO ) l -x (Y Ο ) χ (式中、 0<χ≤0. 3)等が挙げられ、より好ましくは、式中
2 2 3
、 0. 08≤χ≤0. 1である。また、更に好ましいものとしては(Zr〇 ) (Y〇) 等
2 0. 92 2 3 0. 08 が挙げられる。
[0053] 電解質にイットリア安定化ジルコユア (YSZ)を用いることで、出力密度 P (mWZcm
2)や後述する P/Tの値、及び、アノードの単位面積あたりの電荷移動量 Q (mAh/ cm2)や後述する Q/Tの値を向上させることができる。ここで、 Tは賦活時の時間で ある。
[0054] なお、例えば「式中、 Aは、 Q、 R及び T力 なる群力 選ばれた 1種以上の元素を 示す」という表現は、式中、 Aが Qである固容体と八カ¾である固溶体の混合でもよレヽ ことを示すだけではなぐ Aとして Qと Rとを同時に結晶サイトに有する固溶体をも示す ものとする。以下、同様である。
[0055] ランタンガレートは特に限定はないが、一般式、 La Sr Ga Mg A O (式中
1— x x 1— y— z y z 3
、 Aは Co、 Fe、 Ni又は Cuのいずれ力 1種以上の元素を示し、 χ = 0· 05〜0. 3、 y= 0〜0. 29、 z = 0. 01〜0. 3、y + z = 0. 025〜0. 3の範囲である)で表される固溶 体が好ましレ、。具体的には、 La Sr Ga Mg Co O (式中、 δは酸素
0. 8 0. 2 0. 8 0. 15 0. 05 3— δ
欠損量を示す)等が挙げられる。
[0056] セリア系固溶体は特に限定はないが、 Ce M O (式中、MはGd、La、Y、 Sc、 S
1 2
m、 Al、 Pr、 Nd、 Ca、 Mg、 Sr、 Ba、 Dy、 Yb、 Tb、及び他の 2価又は 3価のランタノ イドからなる群から選ばれた 1種以上の元素を示す)における、 Xが 0< x≤0. 5である 固溶体が好ましい。中でも、 Mが Gdである Ce Gd O (式中、 0<x≤0. 5)、又は
1 2
、Mが Smである Ce Sm〇 (式中、 0 < x≤0. 5)力 Sより好ましく、何れの式にぉレヽ
-x 2
ても、式中、 0. 03≤x≤0. 4力 S特に好ましく、 0. 08≤x≤0. 4力 S更に好ましく、 0. 1 ≤x≤0. 4が最も好ましい。また、特に好ましいセリア系固溶体としては、 Ce Gd
0. 8 0. 2
O (式中、 δは酸素欠損量を示す)、 Ce Gd O (式中、 δは酸素欠損量
2- δ 0. 67 0. 33 2- δ
を示す)、 Ce Gd O (式中、 δは酸素欠損量を示す)等が挙げられる。特に、
0. 9 0. 1 2- δ
GDCを電解質 4の材料として用いると、発電時の温度が 750°C以下であっても、出 力密度を充分大きくできるので好ましい。
[0057] また、発電の際に、十分な出力特性を得る観点からは、かかる複合金属酸化物の 導電率は、 1000°Cにおレヽて、 0. 01〜: 10S/cmであることが好ましい。
[0058] 図 1に示した固体酸化物型電池 1の製造方法は特に限定されず、公知の固体酸化 物燃料電池の製造に適用されている公知の薄膜製造技術を使用することができる。 例えば、スキージ法、スクリーンプリンティング法、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプ レーティング法等の PVD法、熱 CVD法、プラズマ CVD法、レーザー CVD法等の C VD法、溶射法等が挙げられる。
[0059] 例えば、電解質 4を形成する方法としては、例えば、公知のセラミックプロセスである シート成形焼結法を例示することができる。より具体的には、原料及び溶媒を混合す ることによって得たスラリーをシート状に延ばし、乾燥させた後に、必要に応じてカツタ 一ナイフ等を用いて成形し焼成する。スラリーには、必要に応じて、バインダー、可塑 剤、分散剤等の公知の添加剤を配合させてもよい。成形、焼成等の条件は、原料の 組成に応じて適宜設定することができる。また、先に述べた PVD法、 CVD法、溶射 法等の薄膜形成法により、例えば、アノード 2又は力ソード 3上に電解質層を形成す ることちでさる。
[0060] 固体酸化物型電池 1の運転方法は、固体炭素をアノード材料に担持させる賦活ェ 程後、力ソードに酸化剤を含むガスを供給し、固体炭素を還元剤として発電する発電 工程とを少なくとも含む方法であれば特に限定されない。通常、賦活工程及び発電 工程からなる作業を繰り返して使用する。
[0061] 以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に 限定されるものではなレ、。例えば、本発明の固体酸化物型電池は、例えば、図 1に示
した固体酸化物型電池 1を複数積層した形態を有していてもよい。
[0062] 本発明の固体酸化物型電池 1の構造は特に限定されるものではなぐ例えば、平 板状の電解質の層の一方の面にアノード、他方の面に力ソードを形成した構造を有 し、セパレータを介して順次積層したスタックからなる平板型の固体酸化物型電池の 構成を有しているものであってもよぐ円筒状の支持管の円筒面上に力ソード、電解 質の層及びアノードを順次形成し、積層させた構造を有する円筒型の固体酸化物型 電池の構成を有しているものであってもよい。
[0063] 本発明においては、発電時にアノードにおいて、少なくとも、反応式(1)及び(2)を 利用して発電を行う。
[0064] CO +C → 2CO (1)
2
CO + O2" → CO + 2e- (2)
2
反応式(1)を利用することで、アノードの空間中に広く分布する固体炭素を、気体 の COに変換して燃料として消費するので、発電時において固体炭素の存在位置の 影響を極めて小さくすることが可能になる。つまり、固体酸化物型電池では、一般的 に電解質表面に近いところでの電極反応ほど発電への寄与が大きいので、電解質 表面から遠いところに分布する固体炭素は消費されにくい。そのため、反応式(1)で 示される反応が起きない場合と比べて高い燃料利用率、つまりはより長時間の発電 が可能になる。
[0065] 力 0えて、反応式(2)による COの酸化反応は、下記反応式(3)又は反応式 (4)によ る固体炭素の酸化反応よりも反応速度が大きいため、高い出力密度が得られる。反 応式(2)を支配的に起こすには、例えば、反応生成ガスによる圧力上昇分以上はァ ノード外部に反応生成ガスを放出させないようにして、(1)式や(3)式で生成した一 酸化炭素(CO)をアノードに滞留する時間を長くすることや、系外から流入する酸素 によって起こる一酸化炭素(C〇)の酸ィ匕による消費を抑える等が挙げられる。
[0066] C +〇2— → CO + 2e- (3)
C + 2〇2— → CO +4e_ (4)
2
本発明におレ、ては、反応式(2)で消費される一酸化炭素(C〇)の 50モル%以上が 反応式(1)で生成される固体酸化物型電池、すなわち、発電時に消費される一酸化
炭素の 50モル%以上が、固体炭素と二酸化炭素との反応により生じた一酸化炭素 である、固体酸化物型電池が好ましい。特に好ましくは 60モル%以上、更に好ましく は 70モル%以上である。
[0067] また、本発明においては、電荷移動量の 50%以上が、固体炭素と二酸化炭素との 反応により得られた一酸化炭素の酸化に起因する、固体酸化物型電池が好ましい。 具体的には、後述の実施例に示すように、アノードの総面積を S (cm2)、 25°C1気圧 でのアルゴンガスの流量を F (cm3Z秒)としたとき、 F/Sの値が 3. 0 (cm/秒)とな るように、 25°C1気圧のアルゴンガスをアノードに導入しながら発電した場合の電荷 移動量を Ql、アルゴンガスをアノードに導入しないで発電した場合の電荷移動量を Q2としたとき、 [(Q2_Q1)/Q2] X 100が 50以上である、固体酸化物型電池が好ま しい。
[0068] 反応式(2)を支配的に起こす手段としては、(1)式や(3)式で生成した COをァノー ドに滞留する時間を長くさせることや、系外から流入する酸素によって起こる COの酸 化による消費を抑えるために、酸素の流入を遮断すること等が挙げられる。従来は、 アノードにキャリアーガスを流していたので、反応式(2)は殆ど起こっていな力 た。
[0069] アノードにおいて反応式(1)で示される反応を起こすためには、電極反応(2)及び /又は (4)で生成した COをアノード中に長く滞留させることが大事であり、そのため
2
に発電時のキャリアガスの導入を無くすことが好ましレ、。キャリアガスの導入を無くす ためには、系外からの空気つまりは酸素の漏れこみを、シール性能を向上する等して 、極力少なくし、酸素分圧の上昇による電圧低下を防ぐことが好ましい。
[0070] 発電工程において、力ソードに供給する酸化剤を含むガスは、入手容易性から空 気であることが好ましい。また、同様の観点から、酸化剤は酸素であることが好ましレ、
[0071] また、発電時における固体酸化物型電池 1の電荷移動量や出力密度を向上させる 観点から、アノード 2に、該アノード 2における反応生成ガスを外部に放出させるため のキャリアガスを供給しなレ、ことが好ましレ、。
[0072] アノードの総面積を S (cm2)、 25。C1気圧でのアルゴンガスの流量を F (cm3Z秒)と したとき、 FZSの値が 6. 1 (cm/秒)となるように、 25。C1気圧のアルゴンガスを、賦
活後発電前にアノードに導入して測定した開回路電圧が 0. 6V以上となる上記の固 体酸化物型電池が好ましい。ここで、 F/Sは、アノードの単位面積あたりのアルゴン ガスの流量である。
[0073] FZSの値が 6. 1 (cmZ秒)となるように、アルゴンガスの流量 F (cm3/秒)を調整 して求めた開回路電圧が 0. 6V以上となるように、固体酸化物型電池の組成、構造、 設定等を調整すれば、短時間の賦活で、高出力密度で長時間の発電が可能になる 。本発明の固体酸化物型電池ではこのような条件に設定することが可能であり、また 、このような条件に設定すれば、上記性能に優れた固体酸化物型電池が得られる。 この場合の開回路電圧は、より好ましくは 0. 7V以上、特に好ましくは 0. 9V以上、更 に好ましくは 1. 0V以上である。
[0074] アルゴンガスを流量 F (cm3Z秒)でアノードに流す力 それは本発明の固体酸化物 型電池の構成を特定するためにモニターとして流すのであって、本発明の固体酸化 物型電池の使用時にその流量 F (cm3/秒)でアルゴンガスを流すことを意味しなレ、
[0075] F/Sの値が 6· 1 (cm/秒)のときの開回路電圧が 0· 6V以上となるようにするとレヽ うことは、下記反応式(1)及び(2)が効率よく進行するとレ、うことを意味してレ、る。
[0076] CO +C → 2CO (1)
2
CO + O2" → CO + 2e- (2)
2
F/Sの値が 6· 1 (cm/秒)となるように、アルゴンガスの流量 F (cm3/秒)を調整 して求めた開回路電圧が 0. 6V以上となるように固体酸化物型電池の組成、構造、 設定等を調整することが好ましい。具体的には、上記したように、系外からの空気す なわち酸素の漏れこみを、シール性能を向上する等して極力少なくしたり、アノードの 大気への開口径を小さくしたりして、大気からアノードへの酸素の流入を抑制する等 して、反応式(1)及び/又は反応式 (2)における一酸化炭素(C〇)の損失を軽減す ることによって実現される。この場合の開回路電圧は、より好ましくは 0. 7V以上、特 に好ましくは 0. 9V以上、更に好ましくは 1. 0V以上である。
[0077] また、 F/Sの値が 0. 30 (cm/秒)となるように、 25°C1気圧のアルゴンガスを、賦 活後発電前にアノードに導入して測定した開回路電圧が 0. 7V以上となるようにした
固体酸化物型電池も、上記と同様の理由で好ましい。また、それを実現する手段も上 記と同様である。この場合の開回路電圧は、より好ましくは 0. 8V以上、特に好ましく は 1. 0V以上、更に好ましくは 1. 2V以上である。
[0078] また、 F/Sの値が 6. 1 (cm/秒)となるように、 25°C1気圧のドライ水素ガスを、賦 活後発電前にアノードに導入して測定した開回路電圧が 0. 9V以上となるようにした 固体酸化物型電池も、上記と同様の理由で好ましい。また、それを実現する手段も上 記と同様である。この場合の開回路電圧は、より好ましくは 1. 2V以上、特に好ましく は 1. 25V以上、更に好ましくは 1. 3V以上である。
[0079] この場合のドライ水素ガスは、本発明の固体酸化物型電池の構成を特定するため にモニターとして流すのであって、本発明の固体酸化物型電池の使用方法に関係 するものではない。水素ガスを、賦活後発電前にアノードに導入して測定した開回路 電圧が一定の値以上になるということは、アノード反応において、反応式(1)及び(2) が効率よく進行しているということを意味し、このような構成にした固体酸化物型電池 は、短時間の賦活で、高出力密度で長時間の発電が可能になる。
[0080] 開回路電圧測定に際しての、ガスの流量 F (cm3/秒)は特に限定はなぐアノード の総面積 S (cm2)に応じて、 F/Sが所定の値になるように決められる。
[0081] また、本発明の固体酸化物型電池は、賦活時の時間を T (分)、アノードの単位面 積あたりの電荷移動量を Q (mAh/cm2)としたときの Q/Tの値を 1 (mAh/ (cm2- 分))以上にすることができる。また、 1 (mAh/ (cm2'分))以上になるように、組成、 構造、設定等が調整された固体酸化物型電池が好ましい。具体的には、上記したよ うに、系外からの空気すなわち酸素の漏れこみを、シール性能を向上する等して極 力少なくしたり、アノードの大気への開口径を小さくしたり、大気からアノードへの酸素 の流入を抑制したりして、反応式(1)及び Z又は反応式(2)における一酸化炭素(C O)の損失を軽減することによって実現される。 Q/Tの値は特に好ましくは 10 (mAh / (cm2 '分))以上、更に好ましくは 20 (mAh/ (cm2 ·分))以上である。
[0082] 賦活時の時間 T (分)とは、固体炭素をアノード材料に担持させ終わるまでの時間を レ、い、アノードの単位面積あたりの電荷移動量 Q (mAhZ (cm2'分))とは、発電時に 取り出せるアノードの単位面積あたりの電荷量をいう。 Tを短くすれば、必然的に Qは
小さくなる力 その比(Q/T)を上記の値以上にした固体酸化物型電池が好ましレ、。 ただし、賦活に要する時間 T (分)には上限があり、それ以上賦活しても Qが上昇しな い点(以下、「Tの上限値」という)が存在するので、上記比(Q/T)は、 Τ力 の上限 値以下の部分のみで定義される。「賦活時の時間 Τ (分)」とは、固体炭素をアノード 材料に担持させ終わるまでの時間である。 Τの上限値は固体炭素をアノード材料に 担持できる空間が無くなるまでの時間である。上記した(特に)好ましい Q/Tの値等 の意味は、 Τが Τの上限値になるまでの Τの何れかある 1点において上記 QZTの値 になるような固体酸化物型電池が(特に)好ましいという意味である。以下、「アノード の単位面積あたりの電荷移動量」を、単に「電荷移動量」とレ、うことがある。
[0083] QZTの値が l (mAh/ (cm2'分))以上の固体酸化物型電池において、発電時の 温度は特に限定はないが、 750°C以下に設定しても十分な性能がでるため、かかる 範囲で発電することが好ましい。
[0084] また、本発明の固体酸化物型電池は、上記賦活時の時間を T (分)、出力密度を P ( mW/cm2)としたときの P/Tの値を 5 (mW/ (cm2'分))以上にすることができる。 また、 5 (mW/cm2'分)以上になるように、組成、構造、設定等が調整された固体酸 化物型電池が好ましい。 P/Tの値は特に好ましくは 7 (mW/ (cm2'分))以上、更 に好ましくは 10 (mW/ (cm2 ·分) )以上である。
[0085] 具体的には、上記したように、系外からの空気すなわち酸素の漏れこみを、シール 性能を向上する等して極力少なくしたり、アノードの大気への開口径を小さくしたりし て、大気からアノードへの酸素の流入を抑制して、反応式(1)及び/又は反応式(2) における一酸化炭素(CO)の損失を軽減することによって実現される。
[0086] P/Tの値が 5 (mWZ (cm2'分))以上の固体酸化物型電池において、発電時の 温度は特に限定はないが、 750°C以下に設定しても十分な性能がでるため、かかる 範囲で発電することが好ましい。
[0087] 本発明の固体酸化物型電池において、賦活工程での温度は 400〜: 1000°Cが好 ましぐ 600〜900°Cが特に好ましい。温度が低すぎると、熱分解反応の反応速度が 小さくなり賦活工程の時間が長くかかる場合がある。一方、高すぎると、熱分解成分と 析出炭素の平衡関係で析出炭素量が少なくなる場合がある。また、発電工程での温
度 ίま 400〜: 1000。C力 S好ましく、 500〜900oC力 Sより好ましく、 600〜750oC力 S特に好 ましい。温度が低すぎると反応式(1)が進行しにくくなることや、セル (電極及び電解 質)の抵抗が大きくなるために、出力密度が低下する場合がある。一方、高すぎると、 セルや周辺部材の劣化が早まる場合がある。
[0088] 本発明の固体酸化物型電池は、発電時の温度 750°C以下で、出力密度が 50 (m WZcm2)以上にすることができる。また、出力密度が 50 (mWZcm2)以上になるよう に、組成、構造、設定等が調整された固体酸化物型電池が好ましい。特に、電解質 として GDCを用いることによって、発電時の温度が 750°C以下であっても、出力密度 を 50 (mWZ cm2)以上にすることができる。また、発電時の温度が 700°C以下であつ ても、電荷移動量を 17 (mAhZcm2)以上にすることができる。
[0089] また、本発明の固体酸化物型電池は、電流密度 9. 3mA/cm2で発電したときの 燃料利用効率を 60%以上にできる。また、燃料利用効率 60%以上になるように、組 成、構造、設定等が調整された固体酸化物型電池が好ましい。ここで「燃料利用効 率」とは、賦活工程でアノード材料に担持させた固体炭素量に対する、反応式 (4)を 仮定し電荷移動量から計算した消費炭素量の割合である。
[0090] また、本発明の固体酸化物型電池は、電流密度 80mA/cm2で発電したときの燃 料利用効率を 20%以上にできる。また、燃料利用効率 20%以上になるように、組成 、構造、設定等が調整された固体酸化物型電池が好ましい。ここで「燃料利用効率」 とは、賦活工程でアノード材料に担持させた固体炭素量に対する、反応式 (4)を仮 定し電荷移動量から計算した消費炭素量の割合である。特に好ましくは 30%以上、 更に好ましくは 40%以上である。
[0091] 具体的には、上記したように、系外からの空気すなわち酸素の漏れこみを、シール 性能を向上する等して極力少なくしたり、アノードの大気への開口径を小さくしたりし て大気からアノードへの酸素の流入を抑制して、反応式(1)及び/又は反応式(2) における一酸化炭素(C〇)につレ、て損失を軽減することによって実現される。
[0092] 上記は本願発明を主として燃料電池として利用する際の最良の形態の一例を示し たものであるが、本願発明は、二次電池、水素発生装置、排ガス除去等への応用、 すなわち、電気化学リアクターとしての利用も可能であり、この場合も上記に準じて適
宜実施可能である。
実施例
[0093] 以下、実施例を挙げて本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれらの 実施例に限定されるものではない。
実施例 1
電解質として厚さ 0. 3mmの 8YSZ (8モル0 /0の Y〇力 Sドープされた ZrO )ディスク
2 3 2 を使用し、アノード材料には Ni/GDC (Gdがドープされたセリア)多孔質サーメットを 、力ソード材料には La Sr MnO多孔質膜を用いた。アノード (燃料極)の厚さ
0. 85 0. 15 3
は 30 μ ΐηであった。ただし、二酸化炭素(CO )の生成量を調べた図 4の実験のみ、
2
アノード (燃料極)の厚さは 50 μ ΐηであった。なお、構成と製造方法は、一般的な固 体酸化物型燃料電池の構成と製造方法に従った。すなわち、アノード材料及びカソ ード材料の粉体を溶媒に分散し、有機バインダー等を添加してスラリーを調製する。 次いで、当該スラリーをドクターブレード法でディスクに塗布し、焼成して固体酸化物 型燃料電池を作成した。
[0094] 固体酸化物型電池の開放状態で純ドライプロパンを、ガスの供給口から、 46STP mLZ分 (ここで STPは標準条件、すなわち 25°C、 1気圧の条件を意味する)の流量 で、 900°Cにて 5分間供給し、熱分解反応により固体炭素を析出させた。
[0095] その後、アノードに純アルゴン (Ar)を 202STPmLZ分で約 1時間供給し、 CH、
4
H、 CO等の残留ガスが十分排出されたことをガスクロマトグラフィーで確認した後、
2
アルゴン (Ar)のフローを止めた。発電初期における上記残留ガスの残存濃度は 0.
02体積%以下であった。
[0096] 上記の固体酸化物型電池のアノードの総面積を S (cm2)は 0. 55cm2であったので
、 25。C1気圧でのアルゴンガスの流量 F (cm3/秒)を 3. 3 (cm3Z秒)にして、 FZS の値を 6. l (cmZ秒)とした。このように、 25。C1気圧のアルゴンガスを、上記流量 3.
3 (cm3/秒)で、賦活後発電前にアノードに導入して測定した開回路電圧は 6回の サイクノレで II匿【こ 0. 95、 1. 01、 1. 00、 0. 96、 1. 01、 1. 02Vであった。
[0097] また、 25°C1気圧でのドライ水素ガスの流量 F (cm3/秒)を 3· 3 (cm3/秒)とし、 F
/Sの値を 6. 1 (cm/秒)とした。 25°C1気圧のドライ水素ガスを、上記流量 3. 3 (c
m3/秒)で、賦活後発電前にアノードに導入して測定した開回路電圧は 1. 32Vで あった。
[0098] 発電中は力ソード側に純酸素を酸化剤として供給し、アノード側はアルゴン (Ar)ガ スをフローしなかった。セルのシールを確実にし、アノードから 3. 5mの 1Z8インチス テンレス管をつなぎ、ガスクロマトグラフ装置をはさんで 5mのビュルチューブ(内径 8 mm)で外に排気することで、大気からの空気の逆拡散を抑制した。 900°Cで電流を 80mA/cm2の一定電流密度で発電し、端子電圧をモニターして、端子電圧が 0V になったところで発電を終了した。
[0099] 純ドライプロパンの導入による熱分解炭素(固体炭素)析出とそれに続く発電実験 を 6回繰り返したときの電圧の変化を図 2に示す。 1回目のサイクルでは、 44. 2〜50 . 4mWZ cm2の出力で安定に 83分間発電した。 2回目は 45. 5〜51. OmW/cm2 で 66分 3回目 fま 44. 4〜49. lmW/cm2で 70分 、 4回目 fま 44. 1~48. 6m W/ cm2で 58分「 、 5回目 ίま 44. 3〜50. OmW/cm2で 36分 、 6回目 ίま 44. 3〜 50. OmW/cm2で 60分間であった。各回での定電流発電時間は、各々 105、 90、 83、 89、 95、 92分であった。
[0100] このこと力ら、アノードの単位面積あたりの電荷移動量を Q (mAh/ cm2)、固体炭 素析出時間 T (分)としたときの Q/Tは、各回で 28、 24、 22、 24、 25、 24 (mAh/ ( cm2'分))であった。
[0101] 出力密度 W (mW/cm2)、固体炭素析出時間 T (分)としたときの W/Tは、各回で 10、 10、 9. 8、 9. 7、 10、 10 (mW/ (cm2'分))であった。この 6回の固体炭素析出
(賦活)と発電のサイクルでは、性能劣化は見られなかった。
[0102] 図 2のサイクル 1回目から 6回目の各回の電圧変化では、発電開始直後に電圧が 少し上昇する挙動が見られた。このことから、反応式 (3)及び (4)の固体炭素の酸化 よりも反応速度の速レ、 (2)式による C〇の酸化が電極反応に寄与したことが分かった 。つまり、発電開始時に反応式(3)及び/又は「(4)→(1)」式が起こり、生成した CO の酸化反応が引き続いて始まるためである。
[0103] 次に 7回目の熱分解炭素(固体炭素)析出を行い、電流密度をスイープして出力密 度と電流密度の関係を調べた。結果を図 3に示す。図 3より、最大出力密度 52mW
/cm2が得られたことが分かった。また、 W/Tは 10 (mW/ (cm2'分))であった。
[0104] 最後に、反応式(1)がアノードで起こることの確認実験を行った。 80mA/ cm2の一 定電流密度下では、反応式 (4)を仮定すると CO量の生成量は 73STPmL/分で
2
ある。そこで、固体炭素析出を行ったアノードに、 73STPmL/分の COを 900°Cで
2 フローし、排出されるガスの組成をガスクロマトグラフィーで分析した。このとき発電は 行っていない。
[0105] 図 4に示すように、アノードに導入された C〇力 SCOに変換されたことが確認できた。
2
時間とともに C〇流量が減少するのは、析出した固体炭素が(1)式により消費されて レ、くためである。図 4中の横のラインは COの流量に相当する。固体炭素の酸化反応
2
は、電解質表面に近レ、 3相界面に限定される力 S、反応式(1)によって、アノード内の 全域に分布した固体炭素を燃料として消費することができ、出力密度の向上と 1回の 固体炭素析出、すなわち 1回の賦活工程による長時間の発電が可能になった。
[0106] また、電流密度 80mA/cm2で発電したときの燃料利用効率は、各回で順に 48. 9 、 41. 6、 38. 6、 41. 2、 44. 2、 42. 6%であった。アノード多孑し体の内咅に堆積し た固体炭素だけでなぐそれよりももっと優勢なアノードの最表面上に堆積した固体 炭素も合わせた賦活炭素の 40質量%以上が発電のために消費されていることから、 発電時には反応式(3)及び/又は (4)よりも、反応式(1)及び(2)が支配的に起こつ ていることがわかった。
[0107] 賦活工程で導入する有機化合物の種類の発電出力及び発電時間への影響を調 ベるため、ドライメタン及びドライプロパンを賦活時に導入した際の、 900°C、 9. 3mA /cm2での発電時の出力密度の時間変化を図 5に示した。用いたセルは上記実施 例と同じぐ電解質として 0. 3mmの 8YSZディスクを使用し、アノード材料には Ni/ GDC多孔質サーメットを、力ソード材料には La Sr MnO多孔質膜を用いた。
0. 85 0. 15 3
[0108] ドライ水素を 900°Cで 3. 3cm3/秒で導入したときの開回路電圧は 1. 36Vであつ た。固体炭素の賦活工程は、 900°Cで同一セルのアノードにドライメタンは 200cm3 /分で 30分間及び 240分間導入し、ドライプロパンは 200cm3/分で 30分間導入し た。
[0109] 図 5から分かるように、賦活工程でドライプロパンを導入した方がメタンよりも高出力
密度で長時間の発電ができた。アノードの単位面積あたりの電荷移動量を Q (mAh /cm
2) ,固体炭素析出時間 Τ (分)としたときの Q/Tは、ドライメタンの 30分及び 24 0分の導入では各々 0. 15
(0111
2 '分))と0. 11 (mW/ (cm
2'分))であり、ド ライプロパンの 30分の導入で 7. 8 (mW/ (cm
2'分))であった。
実施例 2
電解質として、厚さ 0. 3mmの GDC (Ce Gd O )ディスク、又は、厚さ 0. 3m
0. 9 0. 1 2-X
mの 8YSZ (8モル%の丫〇力 Sドープされた ZrO )ディスクを用いた。また、アノード
2 3 2
材料 (燃料極)として NiZGDCサーメットを用いた。アノード (燃料極)の厚さは 40 μ mであった。また、力ソード材料(空気極)としては、電解質として GDCディスクを用い た場合には SSC (Sm Sr CoO )を用レ、、電解質として 8YSZディスクを用いた場
0. 5 0. 5 3
合には LSM (La Sr MnO )を用いた。構成と製造方法は、一般的な固体酸化
0. 85 0. 15 3
物型燃料電池の構成と製造方法に従った。
[0110] 燃料電池の開放状態でドライプロパンを 50STPmL/分(ccm)の流量で、 5分間、 アノードに供給し、 700〜900°Cで熱分解反応により炭素をアノードに析出させた。こ こで、熱分解反応の温度は発電温度と同じにした。その後、 Arのみをアノードに供給 し、 CH、 H、 CO等の残留ガスが十分排出されたことをガスクロマトグラフィーで確
4 2
認した後、発電実験を行った。電流密度を一定にして、端子電圧が 0Vになったとこ ろで発電を終了した。発電温度は 700〜900°Cとした。力ソード側での酸化剤には純 酸素を用いた。
[0111] 図 6に、 GDC電解質を用いた固体酸化物型電池の 750°Cにおける発電特性を示 す。ドライプロパンを用いた 5分間の賦活で、電流密度 40mA/ cm2では 27分間、 8 OmA/cm2では 13分間の発電が可能であった。また、 80mA/cm2における最大 出力密度は 58. 9mW/cm2であった。一方、 8YSZ電解質を用いて 900°C、 80mA /cm2で発電したときの最大出力密度も、これとほぼ同じであった。すなわち、 GDC 電解質を用いた場合、 750°Cでも同等の出力密度を得ることができた。ここで、 750 °Cでの GDCの酸素イオン伝導度は 8YSZの 900°Cでのイオン伝導度と同等である が、このことだけでは本結果を説明できない。つまり、電極過電圧は低温ほど高くなる ので、 GDC電解質を用いることでアノード過電圧の低減を実現できた。
[0112] 図 7に、 GDC電解質を用いた固体酸化物型電池において、電流密度 (横軸)と、一 回の発電における「アノードの単位面積あたりの電荷移動量」(縦軸)との関係につい て示す。 40mA/cm2と 80mA/cm2の各電流密度において、電荷移動量は 17〜1 8mAhZcm2と充分であった。なお、電流密度が高いほど電荷移動量は少なくなる 傾向にあった。また、電荷移動量は、 700°Cでも、 750°Cの場合と比較して顕著な違 いは見られず充分であつた。
[0113] 一方、 8YSZ電解質を用いた固体酸化物型電池では、 900°C、 80mA/cm2での 発電において、 120mAh/cm2の電荷移動量が得られ優れていた。
実施例 3
電解質として、厚さ 0. 3mmの 8YSZ (8モル0 /0の Y O力 Sドープされた ZrO )デイス
2 3 2 ク、 ScSZ (10モノレ0 /0の Sc Oと 1モル0 /0の Ce〇力 Sドープされた ZrO )ディスク及び
2 3 2 2
GDC (Ce Ga 〇 )ディスクを使用した。アノード (燃料極)には、 Ni/GDCサ
0. 1 0. 9 2-x
一メットを用いた。 Ni/GDCの重量比は 50/50か 40/60であった。特に断らない 限りは 50/50である。アノード(燃料極)の厚さは 30〜50 /i mであった。力ソード(空 気極)には、電解質が 8YSZディスク力 ScSZディスクのときは La Sr MnOの
0. 85 0. 15 3 多孔質膜を用い、電解質が GDCディスクのときは SSC (Sm Sr Co〇)の多孔質
0. 5 0. 5 3 膜を用いた。構成と製造方法は、一般的な固体酸化物型燃料電池の構成と製造方 法に従った。
[0114] 開回路状態で純ドライプロパンを 50STPmL/分(ccm)の流量で、 5〜30分間、 アノードに供給し、 700〜900°Cで熱分解反応により炭素をアノードに析出させた。 なお、特に断らない限りは、熱分解温度と発電時間は同じである。その後、 Arのみを アノードに供給し、 C H、 H、 CO等の残留ガスが十分排出されたことをガスクロマト
3 8 2
グラフィ一で確認した後、 Arの供給を止め、発電実験を行った。電流密度を一定にし て、端子電圧が 0Vになったところで発電を終了した。発電温度は 700〜900°Cとし た。力ソード側での酸化剤には純酸素を用いた。
[0115] 炭素析出量は、発電時と同様に炭素を熱分解させた後、 Ar希釈の酸素をアノード( 燃料極)に供給して炭素を燃焼させ、排出ガスに含まれる C〇、 COの発生量をガス
2
クロマトグラフィーで測定することにより求めた。
< GDC電解質 >
図 8に、 8 YSZ電解質及び GDC電解質を用レ、たセルの固体炭素における発電特 性を示す。アノード (燃料極)の厚さは、各々 30 μ ΐηと 35 μ ΐηであった。熱分解炭素 析出はプロパンを 50ccmで供給し、時間については、 YSZ電解質は 5分、 GDC電 解質は 30分とした。また、発電時の電流密度は何れも 80mAZ cm2とした。
[0116] 8YSZ電解質では 900°Cにおいて 44〜52mWZcm2で約 80分の安定発電が可 能であった。一方、 GDC電解質においては 700°Cにおいて 44〜57mW/cm2で約 40分間の安定発電が可能であった。 GDC電解質を用いることで 700°Cにおいて、 Y SZ電解質を用いた 900°Cの発電と同等の出力密度が得られたが、電荷移動量は Y SZ電解質を用いて 900°Cで発電した場合の方が大き力 た。 GDC電解質を用いた 場合の高い出力密度は、アノード過電圧が低減したためである。
[0117] 図 9に、 800°Cにおいて 80〜200mAZcm2で発電したときの GDC電解質を用い たセルの発電特性を示す。アノード (燃料極)の厚さは何れも 35 μ ΐηであった。熱分 解炭素析出時間はそれぞれ 30分とした。電流密度の上昇と共に出力密度は増加し 、 200mA/cm2において最大出力密度 138mW/cm2を達成した。
[0118] 図 10に、それぞれの電流密度の発電における、発電開始直後の端子電圧及び出 力密度を、電流密度に対してプロットしたものを示す。ここで電流密度 OmA/cm2の ときの端子電圧は固体炭素発電の開始直前の開回路電圧 OCVを示しており 0. 81 9Vであった。また、電流密度を 80〜200mA/cm2の範囲で変化させた場合、開始 直後の端子電圧は 0. 775-0. 690Vと電位低下は少なぐ固体炭素燃料でも良好 な特性が得られた。
< ScSZ電解質 >
図 11に、 ScSZを電解質に用いたセルの発電特性を 8YSZと比較したものを示す。 何れもアノード (燃料極)の厚さは 30 a mであった。熱分解炭素析出は 900°Cにおい てプロパンを 50ccmで 5分間供給して行った。発電実験は 900°Cで 80mA/cm2の 電流密度で行なった。電荷移動量 Q (mAh/cm2)、及び、熱分解炭素析出時間( 賦活時の時間)を T (分)としたときの Q/Tの値は、 ScSZ電解質で、それぞれ Q = 2 34mAhZcm2、及び、 Q/T=46. 8mAh/ (cm2'分))であった。また、 YSZ電解
質で、それぞれ 119mAh/cm2、及び、 Q/T= 23. 8mAh/ (cm2'分))であった
<アノード膜厚の影響 >
図 12と図 13に、 ScSZを電解質に用いたセルの発電特性を、アノードの厚さとァノ ードの組成 (Ni/GDCの重量比)について調べたものを示す。熱分解炭素析出は、 900°Cにおいてプロパンを 50ccmで 5分間供給して行った。発電実験は、 900°Cで 電流密度 80mA/cm2と 160mAZcm2で行った。
[0119] アノードの膜厚が厚い 50 x mの方が高い出力密度と長い発電時間が得られた。す なわち、電流密度が 80mAZcm2のとき、最大出力密度は 72. 4mW/cm2 (P/T = 14. 5mW/ (cm2'分))で、電荷移動量は 302mAhZcm2 (QZT=60. 4mAh / (cm2'分))であった。また、電流密度が 160mA/cm2のときは、最大出力密度は 134mW/cm2 (P/T= 26. 8mWZ (cm2'分))で、電荷移動量は 310mAhZcm 2 (Q/T=62. 0mAh/ (cm2'分))であった。アノードの組成は Ni/GDC = 50/5 0の方が 40/60よりも出力密度と発電時間点で良好であった。
[0120] 図 14に、 ScSZ電解質を用いたセルにおける熱分解炭素析出温度と炭素析出量 の関係を示す。熱分解炭素析出は、所定の温度において、プロパンを 50ccmで 5分 間供給して行った。アノード膜厚を変化させた場合、膜厚が厚いほど炭素析出量が 多くなつたことから、膜厚を厚くすることによる電荷移動量の向上は、析出炭素量の増 加が主要因と考えられる。プロパンの熱分解反応による炭素析出量は 700°C付近で 最大となった。
<炭素析出温度の影響 >
図 15に、 ScSZを電解質に用いて、熱分解炭素析出の温度を変えたときの、発電 特性を示す。アノードの膜厚は 50 x mであった。熱分解炭素析出は、 800°C力 900 。Cにおいて、プロパンを 50ccmで 5分間供給することで行レ、、 900。Cにおレ、て 80m A/cm2の電流密度で発電実験を行なった。
[0121] 炭素析出温度が 900°Cのときは、 50〜62mW/cm2で約 200分の安定発電が可 能で、電荷移動量は 302mAhZcm2 (QZT= 60. 4mAh/ (cm2'分))であった。 炭素析出温度が 800°Cの場合は 45〜55mW/cm2で約 400分の長時間発電が可
能で、電荷移動量は613111八11/(:1112 (0/丁= 123111八11/ ((:1112 '分))と、約 2倍の 発電時間、電荷移動量の向上を得た。なお、熱分解炭素析出後の温度変化による セルの顕著な劣化は見られなかった。
[0122] 図 16に、熱分解炭素析出時間(賦活時の時間)と 1回の発電における電荷移動量 の関係を示す。電荷移動量は熱分解炭素析出時間 (賦活時の時間)とともに増加し た。
実施例 4
<アノード (燃料極)の厚さを 80 μ mにした場合 >
電解質として厚さ 0. 3mmの ScSZ (10モル0 /0の Sc〇と 1モル0/。の CeOがドープ
2 3 2 された Zr〇 )ディスクを使用した。アノード(燃料極)には厚さ 80 μ mの Ni/GDC (G
2
DC : Ce Gd O )サーメットを用いた。 NiZGDCの重量比は 50/50であつ
0. 67 0. 33 2— S
た。力ソード(空気極)には厚さ力 ¾0 x mの La Sr MnO (LSM)と GDC力、
0. 85 0. 15 3— δ
らなる多孔質コンポジット膜で、 LSM/GDCの重量比が 60/40で、厚さ力 0 μ m の多孔質コンポジット膜を用いた。構成と製造方法は、一般的な固体酸化物型燃料 電池の構成と製造方法に従った。
[0123] 開回路状態で純ドライプロパンを 50ccmの流量で、 5分〜 20分間、アノードに供給 し、 800°Cあるいは 900°Cで熱分解反応により炭素をアノードに析出させた。その後 、 Arのみをアノード極に供給し、 C H、 H、 CO等の残留ガスが十分排出されたこと
3 8 2
をガスクロマトグラフィーで確認した後、 Arの供給を止め発電実験を行った。
[0124] 電流密度を一定にして、端子電圧が 0Vになったところで発電を終了した。発電温 度は熱分解温度と同じ温度にし、 800°Cか 900°Cであった。酸化剤には純酸素を用 いた。一つの燃料電池セルを用いて、熱分解炭素析出条件、発電温度、電流密度 等の条件を表 1に記載したように逐次変えて発電特性を調べた。発電時間に対する 出力の変化を図 17〜20に示す。
[0125] 最大出力密度については、瞬間的ではあるが、図 17 (表 1の実験番号 4、 5)に示 す通り、 900。Cにおレヽて電流密度 320111八/( 1112及び360111八/«112のときに、 250 mWZcm2を超えた(PZT= 50mWZ (cm2'分))。電荷移動量については、図 18 ( 表 1の実験番号 7)の 900°Cにおいて電流密度 80mA/cm2のときに 323mAh/cm
2 (Q/T=64. 5mAh/ (cm2'分))、図 20 (表 1の実験番号 14)の 800°Cで電流密 度 80mA/cm2のときに 1014mAh/cm2 (Q/T= 203mAh/ (cm2'分))であつ た。図 19 (表 1の実験番号 10)の熱分解炭素析出時間を 20分間にした場合、 900°C で電流密度 280mA/cm2のときに約 150mW/cm2の高出力で約 120分安定的に 発電できた。このときの電荷移動量は、 646mAh/cm2 (Q/T= 32. 3mAh/ (cm 2·分))であった。
[0126] 以上の発電実験で、 900°Cで発電した場合の最大出力密度と電圧の電流密度依 存性を図 21に示した。
[0127] 発電時のアルゴン (Ar)ガスフロー(以下、「Arフロー」と略記する)の影響を調べる ため、本実施例の上記で用いた同一の燃料電池セルを用いて、 900°Cで発電時に アルゴン(Ar)ガスを lOccm及び lOOccmフローして、電荷移動量のアルゴン(Ar) ガス流量依存性を調べた。熱分解炭素析出の条件は、これまで同様に純ドライプロ パンを 50ccmの流量で 5分間、アノードに供給し、 900°Cで熱分解炭素析出した。発 電は 900°Cで 280mA/ cm2の定電流で行った。
[0128] 図 22 (表 1の実験番号 3、 11、 12)のように、 Arフローが無いときの電荷移動量 280 mAh/cm2は、 lOOccmの Arフローによって、 21mAh/cm2まで大幅に減少した。 燃料利用率は Arフローが無いときの 45. 6%力ら、 lOOccmの Arフローにより 3. 3% に低下した。これは、 Arフローによってアノード近傍の COや COガスの排出が促進
2
され、反応式(1)及び(2)を利用した発電が起きにくくなつたためである。 Arフロー時 の発電反応は反応式 (3)や (4)が主になり、析出した固体炭素のごく一部しか発電 に利用できなかった。
[0129] Arフローでの発電完了に引き続いて、 Arフローを止めた状態で、同じく 280mA/ cm2で発電を行ったところ(表 1の実験番号 11— 2、 12— 2)、電荷移動量は 247mA h/cm2 (Arフロー lOOccmの発電完了後)及び 235mAhZcm2 (Arフロー lOccm の発電完了後)が得られ、 Arフロー時と Arフロー無しでの電荷移動量を合わせると、 最初から Arフロー無しで発電したときの電荷移動量に近レ、値が得られた。 Arフロー 時には利用できずに残った固体炭素が、 Arフローを止めたことで、反応式(1)及び( 2)によって発電に利用できたことが分かった。本実施例 4において、 Arフローが無い
ときの発電の電荷移動量の内、反応式(1)及び(2)の寄与の割合は、 100 X (280 21) /280 = 93%と見積もられた。
[0130] 表 1は、ドライプロパンを熱分解炭素析出した ScSZ電解質セルを用いた実験条件 と結果である。 1つのセルを用いて実験番号の順に実施した。
[0131] [表 1]
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲 を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明ら かである。
[0132] 本出願は、
2006年 3月 23日出願の日本特許出願(特願 2006— 081679)、
2006年 8月 11日出願の日本特許出願(特願 2006— 220265)、
2006年 12月 4日出願の日本特許出願(特願 2006— 327130)、及び
2007年 1月 19日出願の日本特許出願(特願 2007— 010359)
に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
産業上の利用可能性
[0133] 本発明の固体酸化物型電池は、携帯機器 (小型電子機器)等の電源、そのバック アップ用電源、ノ、イブリツド車向けの補助電源等として広く利用することができるもの である。