WO2006098144A1 - 特発性肺線維症の検出マーカー、検出キット及び検出方法 - Google Patents

特発性肺線維症の検出マーカー、検出キット及び検出方法 Download PDF

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Abstract

本発明の目的は、容易に特発性肺線維症を検出するための検出マーカー、検出キット及び検出方法等を提供することである。 本発明は、抗annexin 1抗体、抗phosphoglycerate kinase 1抗体、抗annexin 4抗体、抗bax inhibitor 1抗体、抗cytochrome c oxidase subunit Va抗体、抗aldehyde dehydrogenase 1抗体、抗cytochrome c-1抗体、抗macrophage migration inhibitory factor抗体、抗annexin 2抗体、抗cytochrome c reductase core 1抗体、及び、抗heme oxygenase 1抗体から成る群から選択される、特発性肺線維症の血清中に存在する自己抗体、該自己抗体から成る特発性肺線維症の検出マーカー、検出キット、及び、検出方法等に関する。

Description

明 細 書
特発性肺線維症の検出マーカー、検出キット及び検出方法
技術分野
[0001] 本発明は特発性肺線維症の検出マーカー、検出キット及び検出方法等に関する。
背景技術
[0002] 特発性肺線維症は原因不明の疾患である力 肺胞上皮に apotosisが亢進し、肺 胞上皮基底膜の破壊に伴って間質の線維芽細胞の異常増殖を伴う疾患である。
[0003] 現在の特発性肺線維症の診断には開胸 Z胸腔鏡下肺生検が重要な位置を占め ているが、病状が進行した症例では検査による侵襲が大きな問題である。その問題 を解決するために気管支肺胞洗浄検査(Bronchoalveolar lavage : 以下「BAL 」)が行われている。特発性肺線維症においては、 BALで採取した BAL液中に好中 球の軽度の増加が確認されたことの報告があり、肺胞腔や間質に浸潤した好中球が 病態に重要な役割を果たして 、るのではな 、かとの示唆がある(例えば、下記非特 許文献 1参照)。
[0004] ところ C:、、 SEREX (serological analysis of recomomant cDNA expressi on libraries)法は、約 1万個の cDNAの中で数個程度しか存在しない自己抗原発 現 cDNAに対しても検出が可能であり、微量の自己抗原の検出に適した方法である 。この SEREX法により肺癌をはじめとする様々な腫瘍関連抗原が同定されている。 同定された抗原には、転写因子、細胞の分化抗原、細胞構成蛋白などに加え、新規 遺伝子も含まれている。即ち、 SEREX法は自己抗原検索においては強力で有用な 手法であり、これを用いた報告として、全身性エリテマトーデス (SLE)や過敏性肺臓 炎関連自己抗体の検索に関する報告がある (例えば、下記非特許文献 2参照)。
[0005] また、 PCR (Polimerase Chain Reaction)法による BAL液中の T細胞 V j8鎖遺 伝子再構成の検索では、抗原特異的な T細胞増生が BAL液中に認められ、肺胞局 所において疾患特異的な抗原の存在が示唆されている(例えば、下記非特許文献 3 参照)。
[0006] 非特干文献 1: Wells et al., Bronchoalveolar lavage celiulanty: lone cryptogenic fibro sing alveolitis compared with the fibrosing alveolitis of systemic sclerosis", Am J Res pir Crit Care Med, 1998, Vol.157, p.1474-1482
非特許文献 2 : Matsunagaet al.,"A novel protein antigen of Trichosporon asahii, in s ummer— type hypersensitivity pneumonitis。ノ涛 Am J Respir Crit Care Med 2002, Vo 1.167, p.991-998
非特許文献 3 : Shimizudaniet al., Conserved CDR3 region of T cell receptor BV gen e in lymphocytes from bronchoalveolar lavage fluid of patients with indiopathic pulm onary fibrosis", Clin Exp Immunol 2002, Vol.129, ρ.140〜149
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] 確かに、上記非特許文献 1において好中球が何ら力病態に関与していることを示 唆されているが、好中球が増加する機序や肺が線維化する機序は大部分が不明で あり、し力も、好中球の増加のみによっては特発性肺線維症の診断を行うことは極め て困難である。また特に、 BALによって確かに侵襲の問題を和らげることはできるが 、より患者に負担の力からない非侵襲な診断も望まれる。
[0008] また、 SEREX法については、殆どが腫瘍関連抗原の同定のために用いられている ものであって、腫瘍関連抗原以外のものに適用した例は極めて稀である。これを用い た過敏性肺臓炎関連の報告としては上記非特許文献 2の例があるが、これ一例に過 ぎないだけでなくこの例も夏型過敏性肺臓炎に対する真菌抗原の報告に過ぎず、特 発性肺線維症にっ ヽての報告ではな ヽ。
[0009] 更に、上記非特許文献 3に記載の報告では、抗原特異的な T細胞増生が認められ ているが、 PCR法のみでは症例間で HLA抗原が異なること、認識している抗原は抗 原提示細胞によって断片化されていること、から認識抗原の決定は極めて困難であ る。
[0010] そこで、本発明は、上記課題を鑑み、より容易に特発性肺線維症を検出するための 検出マーカー及び検出キットを提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0011] 発明者らは、上記課題につき検討したところ、特発性肺線維症において肺胞局所 に疾患特異的な抗原が存在し、肺にぉ ヽて疾患特異的な抗原 Z抗体反応が生じて いるのであれば、 B細胞による抗体産生には CD4陽性 T細胞の援助が必要不可欠 であり、 BAL液中の T細胞は抗原特異的な V α ν β鎖を有した Τ細胞が特異的に 増生していると考えられ、特発性肺線維症においても、特定の抗原特異的な V a Z V j8鎖を有した T細胞が oligoclonalに増生しているのではないかと検討を行った。こ の検討の結果、特定の抗原特異的な V a ZV iS鎖を有した CD4陽性 T細胞が olig oclonalに増生し疾患特異的な抗原抗体反応が強く生じた特発性肺線維症と、特定 の抗原特異的な V α /ν β鎖の増生がみられず疾患特異的な抗原抗体反応が生じ て!、な 、特発性肺線維症があることを見出した(図 1参照)。
[0012] そこで、更に本発明者らが上記について検討を行ったところ、上記の例のうち図 1 の(Β)は oligoclonalに SEREX法による自己抗体解析しやすい症例であり、図 1 (A )はそうでない症例であると考え、 SEREX法による自己抗体の解析をしやすい症例 を用いて、特発性肺線維症の主な病変部位である肺胞上皮が発現する蛋白を非常 に鋭敏な方法 (SEREX法)で解析を行うことで、特発性肺線維症の患者血清中に存 在する自己抗体の検出が可能であることを見いだし、本発明を完成した。
[0013] 即ち、本発明は以下の態様に係るものである。
[態様 1]特発性肺線維症の血清中に存在する自己抗体。
[態様 2」 amiexin 1饥'体、抗 phosphoglycerate kinase 1饥'体、抗 annexin 4饥体、 inibax inhibitor 1饥'体、抗 cytochrome c oxidase subunit Va抗体 、 iHialdehyde dehydrogenase 1抗体、 IniCytochrome c—丄饥体、 ·κηπι& Γορ]ι age migration inhibitory factor抗体、饥 annexin 2抗体、抗 cytochrome c reductase core 1饥体、及び、抗 heme oxygenase 1抗体力ら成る群力ら選 択される、特発性肺線維症の血清中に存在する自己抗体。
[態様 3]特発性肺線維症の血清中に存在する自己抗体から成る、特発性肺線維症 の検出マーカー。
[態様 4」 amiexin 1饥'体、抗 phosphoglycerate kinase 1饥'体、抗 annexin 4饥体、 inibax inhibitor 1饥'体、抗 cytochrome c oxidase subunit Va抗体 、 iHialdehyde dehydrogenase 1抗体、 IniCytochrome c—丄饥体、 ·κηπι& Γορ]ι age migration inhibitory factor抗体、抗 annexin 2抗体、抗 cytochrome c reductase core 1饥体、抗 heme oxygenase 1抗体、及び、それらのニっ以 上の任意の組み合わせから成る群から選択される、特発性肺線維症の血清中に存 在する自己抗体から成る特発性肺線維症の検出マーカー。
[fe様 5」amiexm 丄、 phosphoglycerate kinase 1、 annexm 4、 bax inhibit or 1、 cytochrome c oxidase subunit Va、 aldehyde dehydrogenase 1、 cytochrome c— 1、 macrophage migration inhibitory factor^ annexin 2 、 cytochrome c reductase core 1、 heme oxygenase 1、及び、それらの二 つ以上の任意の組み合わせから成る群から選択される抗原蛋白を構成要素として含 む特発性肺線維症の検出キット。
[態様 6]抗原蛋白を基材に吸着させて成る、態様 5記載の特発性肺線維症の検出キ ッ卜。
[態様 7]前記抗原蛋白に標識が付されて!ヽることを特徴とする、態様 5又は 6記載の 特発性肺線維症の検出キット。
[態様 8]標識が His— tag標識である、態様 7記載の検出キット。
[態様 9]検体中における態様 1又は 2記載の自己抗体の濃度を測定することを特徴 とする、特発性肺線維症の検出方法。
[態様 10]態様 6記載の検出キットを用いて、固相酵素免疫測定法 (ELISA)により 測定することを特徴とする、態様 9記載の検出方法。
発明の効果
[0014] 本発明によって、特発性肺線維症に見られる自己抗体、該自己抗体から成る特発 性肺線維症の検出マーカー、特発性肺線維症の検出方法及び検出キットが提供さ れる。該自己抗体、特に、以下に示す 11種類の具体的な自己抗体は比較的高頻度 で特発性肺線維症症例の血清中に存在し、これらを組み合わせることによって、特 発性肺線維症の正確な検出、特発性肺線維症の急性増悪の予測等の病勢フォロー に、及び血清学的診断が可能となる。
図面の簡単な説明
[0015] [図 1]SEREX 法による自己抗体解析に適した症例と適さない症例の典型例を示す 電気泳動の写真。
[図 2]T細胞 V |8鎖サブファミリーに対する PCR法に用いたプライマーを示す図。
[図 3]SEREX法の概略図を示す図。
[図 4]特発性肺線維症における BAL液中の CD4陽性 T細胞 V β鎖レパートリーの解 析結果を示す図。
[図 5]SEREX法によって検出した 11種類の特発性肺線維症特異的自己抗体の認 識する自己抗原蛋白とその発現頻度を示す図。
[図 6]BAL液と BALから 3ヶ月後に得られた胸腔鏡下肺生検組織において一部に共 通の抗原を認識する T細胞 V β鎖の増生を示す電気泳動の写真。
[図 7]特発性肺線維症例(Case2)の BAL液および胸腔鏡下肺生検組織中の T細 胞の抗原認識部分である V β鎖と特発性肺線維症特異的自己抗原の一部に強!、相 同性が認められを示す図。
圆 8]RT—PCR法によって 11種類の自己抗原蛋白の発現が、 II型肺胞上皮癌培養 株 (A549)および単球系培養株 (THP- 1)の双方に確認されたことを示す電気泳 動の ·真。 AG1 ίま annexin 1、 AG2 ίま phosphoglycerate kinase 1、 AG3 ίま an nexm 4、 AG4iま Dax inhibitor Au5i3,cytochrome c oxidase subunit Va、 ALr6 ίま aldehyde dehydrogenase 1、 AG7 ίま cytochrome c— l、AG8iま macrophage migration inhibitory factor、 AG9 ίま annexin 2、 AGIO ίま cyt ochrome c reductase core 1、AG11は heme oxygenase 1の自 原蛋 白を示す。
[図 9-1] 11種類の特発性肺線維症特異的自己抗体認識抗原遺伝子を増幅するため に用いた PCRプライマーを示す図。
[図 9-2] 11種類の特発性肺線維症特異的自己抗体認識抗原遺伝子を増幅するため に用いた PCRプライマーを示す図。
圆 10]さまざまな肺疾患における血清中および BAL液中の特発性肺線維症特異的 自己抗体発現頻度を示す図。 nは解析した症例数を示す。 AG1カゝら AG11は図 8で 示した自己抗原蛋白を示す。
[図 11]特発性肺線維症急性増悪症例 (Acute exacerbation of !PF)および安定症例( Stable IPF)における血清中および BAL液中の特発性肺線維症特異的自己抗体発 現頻度を示す図。 AG1カゝら AG11は図 8で示した自己抗原蛋白を示す。右上に *で 示した自己抗体は、安定した肺線維症に比較して特発性肺線維症急性増悪例で頻 度および発現強度 (405 nmの吸光度)が有意に増加している抗体を示す。
発明を実施するための最良の形態
[0016] 以下、本発明の実施形態について説明する。
「自己抗体」とは、自己の構成成分(自己抗原)に反応する抗体を意味する。本発明 の特発性肺線維症の血清中に存在する自己抗体、特に、抗 annexin 1抗体、抗 ph osphoglycerate kinase 1仇体、 annexm 4抗体、 Jn'oax inhibitor l¾n体、 饥 cytocnrome c oxidase subunit Va¾n体、 aiaehyde denydrogenase l&i体、抗 cytochrome c— 1抗体、抗 macrophage migration inhibitory fac tor抗体、抗 annexin 2抗体、抗 cytochrome c reductase core 1抗体、及び 、抗 heme oxygenase 1抗体は、これまでに報告されていない新規な物質である。
[0017] 尚、これらの自己抗体は、例えば、特発性肺線維症患者の血清又は BAL液等を出 発原料として、当業者に耕地の適当な方法で調製することが可能である。例えば、以 下に記載の自己抗体認識抗原を結合させたァフィ-テイク口マトグラフィを使用するこ とによって容易に精製することが可能である。
[0018] 既に記載したように、本発明者は、これらの自己抗体が比較的高頻度で特発性肺 線維症症例の血清又は BAL液中に有意に存在することを新たに見出した。従って、 これらの濃度を測定することによって、特発性肺線維症の正確な検出、又は、血清学 的診断が可能となる。即ち、本発明の自己抗体は、特発性肺線維症の検出マーカー としての用途を有するものである。特に、上記の 11種類の自己抗体は既存には報告 されておらず、特発性肺線維症以外の症例ではほとんどの自己抗体は検出されず、 診断検査としての利用価値が高い。
[0019] 従って、本発明の特発性肺線維症の検出キットは、上記の自己抗体が認識する抗 原蛋白 (自己抗体認識抗原)、例 ば、 annexin 1、 phosphoglycerate kinase 1、 annexin 4、 bax inhibitor 1、 cytochrome c oxidase subunit Va、 ala ehyde dehydrogenase 1、 cytochrome c— 1、 macrophage migration inh ibitory factor ^ annexin 2、 cytochrome c reductase core 1、 heme oxy genase 1、及び、それらの二つ以上の任意の組み合わせ力 成る群力 選択され る抗原蛋白を構成要素として含むことを特徴とするものである。このような検出キットを 用いて、特発性肺線維症の疑いのある患者力 採取した、血清又は BAL液等の適 当な検体中に抗体が存在しているか否か、又はそれらの濃度を測定し、それに応じ て特発性肺線維症の検出、又はその診断をすることができる。
[0020] 上記の抗原蛋白に代表される自己抗体認識抗原自体は物質としては公知であり、 それらの遺伝子には本明細書中の図 5に示されるような登録番号 (受託番号)が付与 されて夫々の寄託機関に保存されており、一般に入手可能である。従って、本発明 の検出キットに含まれる自己抗体認識抗原は、当業者に公知の任意の方法で調製 することができる。例えば、本明細書の実施例に記載されているように、これら自己抗 体認識抗原をコードする遺伝子が発現するように形質転換した、例えば、大腸菌等 の各種細胞株を培養し、該形質転換細胞に自己抗体認識抗原を産生させ、それか ら適宜精製することによって得ることが出来る。
[0021] 又、自己抗体認識抗原の調製に際して、例えば、産生された自己抗体認識抗原の 溶解度の向上、精製効率の向上 (ァフィ-ティ精製)等の目的で、自己抗体認識抗 原を当業者に公知の各種の標識と融合した融合蛋白質として調製し、そのまま使用 しることも出来る。このような標識物質の例として、大腸菌を宿主とした系では、 GST ( グルタチオン S—トランスフェラーゼ)、ヒスチジン(His6)標識、 MBP (マルトース 結合蛋白質)標識、 Trx (チォレドキシン)標識、 FLAG(DYKDDDDK)標識、及び Avi Tag標識等を挙げることが出来る。
[0022] 更に、上記の自己抗体認識抗原は、本発明の自己抗体と特異的な抗原抗体反応を 示すことができる限り、元のアミノ酸配列の一部、例えば、 1個又は数個が置換、欠失 、挿入などにより変異したアミノ酸配列を有する蛋白質であっても良い。尚、このよう 蛋白質をコードする DNA配列は、以下に述べるような、当業者に公知の部位特異的 突然変異誘発等を利用して容易に作成することが出来る。
[0023] 又、上記の自己抗体認識抗原をコードする遺伝子は、例えば、 II型肺胞上皮癌培養 株 (A549)及び単球系培養株 (THP- 1)等の市販されて!ヽる適当な細胞株を用い る RT— PCR、適当な cDNAライブラリーを铸型として使用する各種の PCR及び ICA N法等の当業者に公知の任意の DNA増幅技術を用いて容易に調製することが可能 である。尚、例えば、本明細書の図 9に示されるプライマーに代表される、このような D NA増幅技術に使用するプライマーは、自己抗体認識抗原の公知の塩基配列情報 に基づいて当業者であれば適宜設計'選択することが出来る。
[0024] 又、上記遺伝子は、公知の方法(例えば、 Carruthers (1982) Cold Spring Harbor Sym p. Quant. Biol. 47:411—418; Adams (1983) J. Am. Chem. Soc. 105:661; Belousov (19 97) Nucleic Acid Res. 25:3440-3444; Frenkel (1995) Free Radic. Biol. Med. 19:373— 380; Blommers (1994) Biochemistry 33:7886—7896; Narang (1979) Meth. Enzymol. 68 :90; Brown (1979) Meth. Enzymol. 68: 109; Beaucage (1981) Tetra. Lett. 22:1859;米 国特許第 4,458,066号)に記載されているような周知の化学合成技術により、 in vitro にお 、て合成することもできる。
[0025] 或いは、上記遺伝子は当業者に周知の方法により上記 cDNAライブラリーをスクリー ユングすることによって単離することができる。更に、該遺伝子の cDNAに当業者に公 知の部位特異的突然変異誘発に基づき、市販のミューテーシヨンシステム等を用い て自己抗体認識抗原をコードする遺伝子に塩基変異を導入して調製することも可能 である。
[0026] 当業者に周知の任意の方法に従い、上記の自己抗体認識抗原をコードする遺伝 子及び必要に応じて上記の標識 (蛋白質又はペプチド)をコードする DNAを、プラス ミドベクター、ファージベクター、及び各種の混成ベクター等の適当な組換え用 DNA に挿入し、こうして得られた発現ベクターを用いて各種の細胞を形質転換することが できる。この組換え用 DNAは、当業者に公知の通常の組換え DNA手法によって取 り扱うことが可能な任意のベクターである。これらのベクターは、その導入すべき宿主 細胞に依存して適当に選択することが出来る。該ベクターは、宿主細胞の中に導入 され、自己抗体認識抗原を一過性で発現したり、或いは、宿主細胞のゲノムの中に その全体あるいはその一部がゲノム中の 1箇所以上に組込まれることができる。この ようなベクターとして、当業者に公知の各種の市販のベクターを使用することが出来 る。 [0027] 上記の発現ベクターには、典型的には、当業者に公知の、構成的発現プロモータ 一又は各種の誘導型発現プロ一ター等の各種プロモーター、ェンハンサー及びサイ レンサ一等の各種調節配列、リボソーム結合部位、シグナル配列、および翻訳開始 配列等の各種要素ならびにその他の外来性あるいは内在性タンパク質をコードする 遺伝子、各種薬剤耐性遺伝子、栄養要求性を相補する遺伝子等を任意に含むこと ができる。
[0028] 上記発現ベクターによって形質転換される宿主細胞として、原核微生物、真核微生 物、植物細胞、昆虫細胞、鳥類細胞、哺乳類細胞等を用いることができる。たとえば 、原核微生物の例としてはェシエリヒア属、バチルス属、又は、ストレプトマイセス'ダリ セウス若しくはストレプトコッカス ·セリカラー等のストレプトマイセス属を宿主とすること ができる。真核生物としては、サッカロミセス属及びピヒア属等の酵母、ァスペルギル ス 'ォリゼ及びァスペルギルス'ソーェ等のァスペルギルス属、ぺ-シリウム属、リゾプ ス属、メタリチウム属、モナスカス属、アクレモニゥム属、及びムコール属等の糸状菌、 並びに、トリコデルマ属等の担子菌など力 選択することができる。昆虫細胞としては キイ口ショウジヨウバエ、カイコ等の細胞を用いることができる。
[0029] これらの発現ベクター(組換え用 DNA)は、例えば、塩化カルシウム法、プロトプラ スト- PEG法、エレクト口ポレーシヨン法、 Tiプラスミド法、パーティクルガン法、バキュ ロウィルス法などの当業者に公知の任意の方法によって宿主細胞へと導入でき、形 質転換体を作成することができる。更に、複数種の組換え DNAを用いるコトランスフ ェクシヨン法によっても可能である。
[0030] 上記発現ベクターの代わりに、 PCR増幅等により取得される自己抗体認識抗原を コードする遺伝子を含む適当な DNA断片自体を用いて形質転換体を得ることも可 能である。そのような場合には、カゝかる DNA断片に加えてさらに適当な緩衝液及び その他の助剤を任意に含む溶液等の組成物として形質転換に使用することができる
[0031] 自己抗体認識抗原を発現する形質転換体を該抗原蛋白の生産に好ましい条件で 培養して該抗原蛋白を発現させ、その宿主細胞および Zまたは培地力 回収するこ とにより製造することができる。宿主細胞の培養に用いる培地は、当業者に公知であ る任意の培地の中から、使用する発現ベクターの構成 (プロモーターの種類等)及び 宿主の種類等に応じて適当なものを適宜選択することができる。
[0032] 宿主細胞により産生された自己抗体認識抗原は、当業者に公知の任意の手段の 適当な組み合わせ、例えば、遠心または濾過による培地と細胞の分離、および硫酸 アンモ-ゥムの様な塩による培地のタンパク質成分の沈殿、及びこれに続く疎水クロ マトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、各種の標識との親和性を利用するァフ ィ-ティークロマトグラフィー、又はその他のクロマトグラフィーの使用により培地から 回収することができる。或いは、自己抗体認識抗原は化学合成法により製造すること も可能である。
[0033] 本発明の検出キットには、構成要素として含まれる上記の自己抗体認識抗原に加え て、自己抗体の測定方法及び原理等に応じて、当業者に公知の他の要素又は成分 、例えば、標識抗抗体 (二次抗体)、各種試薬、基質、酵素、緩衝液、反応プレート( 容器)等が適宜含まれ!/、ても良!、。
[0034] 既に記載したように、本発明においては、血清又は BAL液等の適当な検体中におけ る本発明の自己抗体の濃度を測定することにより、特発性肺線維症を検出することが 出来る。具体的な測定方法としては、当業者に公知の適当な各種の免疫アツセィ方 法、例えば、 Dot Blot法、ウェスタンプロット法、並びに、固相酵素免疫測定法 (EL ISA)、競合 EIA、及び阻害 EIA等の酵素免疫測定法 (EIA)を挙げることが出来る。
EIAには直接法と間接法があり、間接法では酵素標識抗体 (二次抗体)が用いられ る。 ELISAは抗原又は抗体を固相(基材)に吸着させて固定ィ匕して行う酵素免疫測 定法である。固相の材料及び形態は当業者に公知の任意にものから測定方法など に応じて適宜選択することが出来る。例えば、ァガロース、マイクロタイタープレート、 ラテックス粒子、ポリスチレン製、ポリカーボネイト製、ポリプロピレン製或いはポリビ- ル製のボール、スティック、微粒子、及び試験管などの種々のものを使用することが 出来る。
[0035] 上記の検出方法における二次抗体で使用可能な標識としては、西洋ヮサビプルォ キシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、ガラクトシダーゼ等の酵素を挙げることができ 、各種の酵素標識抗体が市販されている。酵素以外のその他の標識としては、酵素 基質、酵素インヒビター、補欠分子類、補酵素、酵素前駆体、アポ酵素、蛍光物質、 色素物質、化学ルミネッセンス化合物、発光物質、発色物質、磁気物質、金属粒子、 例えば金コロイドなど、放射性物質などを挙げることができる。
[0036] これら免疫アツセィ方法の一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを 参照することができる〔例えば、入江寛編, 「ラジオィムノアッセィ」,講談社,昭和 49 年発行;入江寛編, 「続ラジオィムノアッセィ」,講談社,昭和 54年発行;石川栄治ら 編, 「酵素免疫測定法」,医学書院,昭和 53年発行;石川栄治ら編, 「酵素免疫測定 法」(第 2版),医学書院,昭和 57年発行;石川栄治ら編, 「酵素免疫測定法」(第 3版 ) ,医学書院,昭和 62年発行〕。
[0037] 従って、本発明の一実施形態として、 annexin 1、 phosphoglycerate kinase 1、 annexm 4、 bax inhibitor 1、 cytochrome c oxidase subunit Va、 ala ehyde dehydrogenase 1、 cytochrome c— 1、 macrophage migration inh ibitory factor ^ annexin 2、 cytochrome c reductase core 1、 heme oxy genase 1、の少なくともいずれかの抗原蛋白を基材に吸着させてなる特発性肺線 維症の検出キットを挙げることができる。これにより、特発性肺線維症の疑いのある患 者カゝら血清又は BAL液を抽出し、この抗原蛋白が抗体と反応して ヽるか否かを調べ ることにより、特発性肺線維症の疑いがあるか否かを判定することができる。
[0038] 具体的にはこれら抗原蛋白を基材に吸着させ、 BAL液又は血清などを塗布すること により抗原蛋白と反応させ、更に発光又は発色部位を有する二次抗体と反応させる ことで、発光等が行われるか、又はその量にもとづいて抗体が存在している力否かを 判定し、特発性肺線維症であるか否かを判定することが可能となる。この場合におい て、抗原蛋白には抗原蛋白を作成する観点力も標識が付されて 、ることが望ま 、。 特に、あら力じめ作成した自己抗原蛋白が吸着したメンブレンやプレートを利用する ことによって、迅速な検査が可能であり、 1時間程度で結果を得ることができる。その ため、病状が刻々と変化する重症例の特発性肺線維症においても迅速な対応が可 能である。特発性肺線維症が悪ィ匕した場合には、できるだけ早い治療が必要である 力 他の合併症 (感染症、悪性腫瘍)の除外に時間がかかり、診断に苦慮する場合が 多 、。本発明は特発性肺線維症自体が悪ィ匕したの力他の合併症が重なったのかを 鑑別するうえで非常に重要な情報を提供可能であり、迅速な対応に結びつくことがで きる。
[0039] 以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の 実施例の記載によって何ら限定して解釈されるものではない。又、特に記載のない 場合には、以下の実施例は、当該技術分野における常法及び当業者に公知の標準 的な方法、例 は、 bambroo and Maniatis, in Molecular Cloning- A Laboratory Man ual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989; Ausubel, F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N.Y, 1995等 に記載されている遺伝子工学及び分子生物学的技術に従い実施した。又、本明細 書中に参考文献などとして引用された文献の記載内容は本明細書の開示内容の一 部を構成するものである。
実施例 1
[0040] T細胞 V |8鎖は 25種類のサブファミリ一力も構成されているため、まずそれぞれの サブファミリーに特異的なプライマーを作成した。作成したプライマーを図 2に示す。 なお図中、 V j8 1、 V j8 2· · ·、 V j8 25は fowardプライマーとして用い、 C j8は reverse プライマーとして共通に用いた。
[0041] そして特発性肺線維症 20症例に対し BALを行い、その BALを抽出した。そしてこ の BAL液から Dyna beadsを用いて CD4陽性 T細胞の分離、 total RNAの抽出、 RT— PCR法による T細胞の V j8鎖可変部領域の増幅を行い、更にこの PCR産物を 2%ァガロースで泳動し、ナイロンメンブレンに転写し、 Southern blot法によって T 細胞 V |8鎖レパートリーについて解析した。その結果、特発性肺線維症は BAL液中 の CD4陽性 Tリンパ球の T細胞 V j8鎖レパートリーは、 25種類すベての V j8鎖サブグ ループが均等に発現している症例とごく一部の V β鎖サブグループのみが発現して いる症例に分類されることが判明した(図 1参照。図 1 (Α)は全体が発現している例で あり、図 1 (Β)はごく一部の V β鎖サブグループのみが発現している例である。 ) ο
[0042] そして、特定の V |8鎖のみが発現し V |8鎖の発現に偏りがみられた症例 12例を SE REX法による自己抗体の検索に適した症例として考え、この PCR増幅産物をさらに 2重濃度勾配ゲルに泳動し、ナイロンメンブレンに転写し、 Southern blot法によつ て oligoclonalityの有無について検討した。
[0043] 次に、上記 V β鎖の発現に偏りが見られた 12例に対し、 SEREX法を用いた。 SER ΕΧ法の概要を図 3に示す。 II型肺胞上皮癌培養株カゝら mRNAを抽出し、 cDNAラ イブラリーを作成後、得られた cDNAライブラリーを蛋白発現ベクター (ZAP発現べク ター)に組み込み作成したファージを大腸菌に感染させ、 cDNAのコードする蛋白を 大腸菌に発現させた。そして colony hybridization法によって、特発性肺線維症 の血清および BAL液中の免疫グロブリンと結合するプラークを選別し、陽性ファージ をフアジエミドベクターに変換後、シークェンスによって特異的蛋白の塩基配列を決 定した。ホモロジ一検索によって蛋白の構造を決定し、特発性肺線維症症例の血清 中および BAL液中に存在する自己抗体が認識する自己抗原の同定を行った。以上 の結果、各症例において検出された V |8鎖サブファミリーを図 4に示し、その認識さ れた自己抗体認識抗原の一覧を図 5に示す。なお図 4中 BALFは BAL液を用いて 同定した場合を、 VATSは胸腔鏡下肺生検によって取り出した組織力も同定した場 合を示している(Video— Assisted Thoracic Surgery)。また図 4の右側列に記 載されている数字は V |8鎖のサブファミリーの番号であって、特に数字の右上の *は oligoclonalityが確認されたものを示し、太字となっているものは同一症例において 時間経過した後であっても共通に同定できた V β鎖のサブファミリーを示す。
[0044] また図 5によると、 11種類の抗体のうち、抗 annexin 1抗体は、 SEREX法によつ て解析した特発性肺線維症 12例中 5例 (41 %)の血清及び BAL液中に存在した。 抗 phosphoglycerate kinase 1抗体は特発性肺線維症 12例中 4例(33%)の血 清および BAL液中に存在が認められた。抗 annexin 4抗体、抗 bax inhibitor 1 抗体及び cytochrome c oxidase subunit Va 抗体は特発性肺線維症 12例 中 3例(25%)の血清及び BAL液中に存在してした。更に、抗 aldehyde dehydrog enase 1仇体、 inicytochrome c— 1抗体、饥 .macrophage migration mhioit ory factor抗体及び抗 annexin 2抗体は特発性肺線維症 12例中 2例(17%)に、 饥 cytochrome c reductase core 1抗体及び饥 heme oxygenase 丄饥体【ま 12例中 1例(8. 3%)に存在していた。これにより、自己抗体を検出することによって、 特発性肺線維症の有無を判定することができることを確かめた。 [0045] また、図 4における特発性肺線維症例 2 (Case2)にお!/ヽては、 BAL液と、この BAL 液採取から 3ヶ月後に得られた胸腔鏡下肺生検組織において一部に共通の抗原を 認識する T細胞 V |8鎖の増生が認められた(図 6参照)。この所見は、肺胞腔に存在 する同一抗原に対して反応する Tリンパ球が長期間、同一生体の肺に存在すること を示す。このような CD4陽性 Tリンパ球の V |8鎖の抗原反応性可変部領域の遺伝子 解析を行ったところ、今回検出した annexin 1の一部と強い相同性があり(図 7)、本 発明の自己抗体反応抗原蛋白のひとつである annexin 1に対して肺胞局所で強!ヽ 免疫反応が生じて 、ることを示して 、る。
[0046] 近年、 annexin 1の特定のアミノ酸部分 (EYVQTVK)は、好中球が血管内腔か ら血管外への遊走を阻止する機能を有すると 、う報告がなされて 、る (Walther A et al. , Molecular Cell 5:831— 840, 2000)。一方、ここで認められた T細胞 V β鎖可変部領域はこの EYVQTVKのアミノ酸と強い相同性が認められており、特発 性肺線維症の肺胞局所にお!、て annexin 1の EYVQTVK部分が重要な役割を果 たして ヽることが読み取れ、特発性肺線維症の病態と密接な関係のある好中球浸潤 がこの annexin 1の EYVQTVKを自己抗体がブロックするために増強して!/、る可 能性が示唆され、矛盾しな!、結果を得ることができた (図 7参照)。
[0047] また、今回検出した 11種類の自己抗原蛋白につ ヽて、 II型肺胞上皮癌培養株 (A 549)および単球系培養株 (THP- 1)の双方に対し、 RT— PCR法を用いて確認し たところ、発現を確認することができた。特発性肺線維症は肺胞腔内に病変の主座 が存在すると考えられており、肺胞腔側の構成細胞の大部分を占める II型肺胞上皮 および肺胞マクロファージの両者から自己抗体認識抗原蛋白が産生されて ヽる可能 性を確認した。この結果を図 8に示す。なお、上記 RT— PCR法においては上記に示 した自己抗体認識抗原遺伝子全体に対するプライマーを作成した。図 9にここで設 計したプライマーを示す。
実施例 2
[0048] そして更に、発見した自己抗体認識抗原蛋白を His— tag標識蛋白として人工的に 大腸菌に作成させた。以下に行った蛋白作成方法の概要を示す。
[0049] 上記の RT— PCR法によって得られた PCR産物を His— tag標識蛋白発現べクタ 一(Pqe— 30UA)にライゲーシヨンし、コンペテント M15細胞にトランスフォーメーシ ヨンを行った。得られた His— tag標識蛋白発現コロニー蛋白を-トロセルロースフィ ルターに転写後、 IPTGを含むプレートにフィルターを移し 6 X His— tag標識蛋白質 を発現させた。得られたフィルターを Penta— His HRP Conjugateを用いて免疫 染色を行 、自己抗体認識抗原蛋白発現コロニーを選別した。得られたコロニーをピ ックアップし培養液中で増殖させ、 6 X His— tag標識蛋白質の抽出を行った。 West ern blot法によって蛋白発現を確認した後、大腸菌大量培養液から、自己抗体認 識抗原蛋白(His— tag標識蛋白)の精製を行った。
[0050] これにより得られた 11種類の特発性肺線維症特異的 His— tag標識自己抗原蛋白 を The Convertible (Biometra 社)を用いて、 6mm Dotとしてナイロンメンブレ ン上に吸着させた。これにより、得られた蛋白吸着メンブレンに対し症例の血清又は BAL液で hybridizationを行!、、二次抗体として抗ヒト IgG抗体を結合させ化学発光 にて自己抗体発現の有無を 11種類同時に検出した。 Dot blot法および Western blot法による検索では、特発性肺線維症例の血清および BAL液を用いた場合にの み His— tag標識蛋白に対して陽性バンドを検出することができ、またバンドの発現 強度は、病勢が悪ィ匕した場合に強く検出される傾向が認められた。
実施例 3
[0051] また、上記により得られた 11種類の特発性肺線維症特異的 His— tag標識自己抗 原蛋白を Ni— NTA標識 ELISAプレートに添カ卩し 4度でー晚インキュベートし固定し た。これにより His— tag標識蛋白を Ni—NTAに結合させることができ、これにより得 られた ELISAプレートを用いて症例血清又は BAL液を自己抗原蛋白と結合させ、さ らに 2次抗体としてアルカリフォスファターゼ標識した抗ひと IgG抗体を反応させ、アル カリフォスファターゼ発色基質にて発色後、 405應の吸光度を測定することによって 自己抗体濃度を決定した。 ELISAの結果を図 10に示す。健常人 50例における結 果の平均値力 標準偏差の 3倍以上を陽性とした。今回検出した 11種類の自己抗 体は 30例のサルコイドーシス (sarcoidosis)、 10例の好酸球性肺炎(eosinophilic pne umonia)、 10例の過敏性肺臓炎(hypersensitivity pneumonitis: HP)では血清中およ び BAL液中いずれにおいても検出されな力つた。膠原病性間質性肺炎(collagen va scular disease associated interstitial pneumonia: IP— CVD)で ίまー咅 |5の抗体力 Sごく少 数にみられたのみで大部分は陰性であった。一方、特発性肺線維症 (IPF)において は血清中および BAL液中の自己抗体は 5%から 25%の頻度で陽性であり、これらの 抗体を組み合わせることによって約 80%の特発性肺線維症の診断が可能であった。 このことから、我々の発見した 11種類の自己抗体の測定は特発性肺線維症の診断 に有用であることが確認された。図 10において PM/DMは多発性筋炎(polymyositis) /皮膚筋炎(dermatomyositis)、シエーダレン症候群(Sjogren)、全身性硬化症(syste mic sclerosis: SSc)、関節リュウマチ(rheumatoid arthritis: RA)ゝ全身性エリテマトー デス(systemic lupus erythematosus: SLE)を示す。さらに、特発性肺線維症急性増 悪症 1列にお ヽ" t f 、特に annexin 1、 phosphoglycerate Kinase 1、 annexin 4、 Dax inh ibitor 1、 cytochrome c reductase core 1に対する自己抗体力 S、安定した月巿線維症症 例よりも有意にその頻度および発現強度 (405 nmの吸光度)が高い傾向が認められ た(図 11)。特に、 annenxin 1、 phosphoglycerate kinase 1に対する自己抗体は特発 性肺線維症急性増悪例においては、血清中および BAL液中で 50— 60%と高率に 陽性であった。 1ヶ月以内に呼吸困難が増悪し、胸部 X線にて浸潤影が増力!]した特 発性肺線維症症例で感染症や心不全が除外された症例を急性増悪例とした。これら 5種類の自己抗体を経時的にフォローすることによって、特発性肺線維症の急性増 悪の予測が可能である。本発明の ELISA解析は、特発性肺線維症の病勢フォロー に有用な指標であった。
産業上の利用可能性
本発明によって、特発性肺線維症の治療前後の BAL液または経時的に採取した血 清による連続的な疾患特異的自己抗体の解析が可能となる。特に、 His— tag標識 自己抗原蛋白を用いた自己抗体の測定は、病勢フォローやステロイドなどの治療効 果判定に最適な検査法となる。

Claims

請求の範囲
[1] 特発性肺線維症の血清中に存在する自己抗体。
[2」 抗 amiexin 1 体、 Jn'phosphoglycerate kinase 1 体、 Jn'annexin 4饥体、 ■tnbax inhibitor 丄饥'体、 inicytochrome c oxidase subunit Vaini体、饥 aid ehyde dehydrogenase 丄饥体、 ·κηογΐ )θ]ι:ΓοιηΘ c— 1抗体、饥 macrophage m lgration inhibitory lactor饥.体、 iniannexm 2仇体、 inicytochrome c reau ctase core 1抗体、及び、抗 heme oxygenase 1饥体 »ら成る群力ら選択 れ る、特発性肺線維症の血清中に存在する自己抗体。
[3] 特発性肺線維症の血清中に存在する自己抗体から成る特発性肺線維症の検出マ 一力一。
[4J ^ annexin 1 体、 Jn'phosphoglycerate kinase 1 体、 Jn'annexin 4饥体、 ■tnbax inhibitor 丄饥'体、 inicytochrome c oxidase subunit Vaini体、饥 aid ehyde dehydrogenase 丄饥体、 ·κηογΐ )θ]ι:ΓοιηΘ c— 1抗体、饥 macrophage m lgration inhibitory lactor饥.体、 iniannexm 2仇体、 inicytochrome c reau ctase core 1抗体、抗 heme oxygenase 1抗体、及び、てれらの二つ以上の任 意の組み合わせから成る群から選択される、特発性肺線維症の血清中に存在する 自己抗体から成る特発性肺線維症の検出マーカー。
[5] annexm 1、 phosphoglycerate kinase 1、 annexm 4、 bax inhibitor 1、 cy tochrome c oxidase subunit Va、 aldehyde dehydrogenase 1、 cytochr ome c— 1、 macrophage migration inhibitory factor、 annexin 2、 cytoch rome c reductase core 1、 heme oxygenase 1、及び、それらの二つ以上の 任意の組み合わせから成る群から選択される抗原蛋白を構成要素として含む特発性 肺線維症の検出キット。
[6] 抗原蛋白を基材に吸着させて成る、請求項 5記載の特発性肺線維症の検出キット。
[7] 前記抗原蛋白に標識が付されて ヽることを特徴とする、請求項 5又は 6記載の特発性 肺線維症の検出キット。
[8] 標識が His— tag標識である、請求項 7記載の検出キット。
[9] 検体中における請求項 1又は 2記載の自己抗体の濃度を測定することを特徴とする、 特発性肺線維症の検出方法。
請求項 6記載の検出キットを用いて、固相酵素免疫測定法 (ELISA)により測定する ことを特徴とする、請求項 9記載の検出方法。
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