明 細 書
周波数分割通信システム
技術分野
[0001] 本発明は,上りリンクと下りリンクを複数の周波数を用いて多重する周波数分割通 信システムに関する。 特に、使用周波数を有効利用できるように、周波数の配置関 係が直交する関係に配置した直交周波数分割多重 (OFDM)方式に関する発明であ る。
背景技術
[0002] 従来より上りリンクと下りリンクを無線多重する通信システムには,周波数分割多重(
FDD : Frequency Division Duplex)方式あるいは,時分割多重(TDD : Time Division
Duplex)方式が採用されて 、る。
[0003] さらに,第 3世代携帯電話システムにおいては、広帯域符号分割多重接続(
W-CDMA: Wideband Code Division Multiple Access)方式で使用されている FDD方 式に比べて、 TDS (Time
Division Synchronous) - CDMAなどで採用されている TDD方式では,上りと下りのチヤ ネルを同一周波数帯で使用するために周波数を有効に使用できる。
[0004] さらに,上下リンクの割り当て時間の比率を変更することにより柔軟に通信速度を変 ィ匕させて非対称レートのデータ通信サービスを効率よく提供することができるというメ リットがある。
[0005] また、上下リンクで同一周波数を使うことにより、上下リンクの相関が高いことが期待 されるため、基地局において下りリンクのチャネル状態を上りリンクのチャネルを用い て推定できる。あるいは移動局において上りリンクのチャネル状態を下りリンクのチヤ ネルを用いて推定することができる。
[0006] このため、 FDD方式システムにおいては,チャネル情報のフィードバックが必要とな る方式 (例えば適応変調や送信ダイバーシチ等)が TDD方式にぉ ヽてはフィードバッ ク無しに行える可能性がある。
[0007] しかし, TDD方式においては,上下リンクの干渉を防ぐために高速に上下リンクを切
り替える必要がある。これは受信機及び送信機双方の構成を複雑にする。また、 TDD 方式における上下リンク割り当ては時間方向のみに限られているため、周波数方向 にさらに柔軟な割り当てが行える可能性がある。
[0008] 力かる技術の一例として特許文献 1に記載の技術が提案されている。 CDMA/T DD方式において, TDMA構造を有する信号を用い,サブフレームの最終の下りス ロットのみで報知チャネルの送受信を行うことにより種々のサービスに柔軟に対応さ ·¾:るものである。
特許文献 1:特開平 11—275036号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0009] したがって,本発明の目的は, TDD (Time Division
Duplex)と同様の利点を確保しつつ更に柔軟な上下リンク間の割り当て比率の変更 が可能となる直交周波数分割通信システムを提供することにある。
課題を解決するための手段
[0010] 上記目的を達成する周波数分割通信システムは,第 1の態様として,上りリンクと下 りリンクで接続される基地局と移動局を有し,前記上りリンクと下りリンクは,二つの周 波数が割り当てられて 、ることを特徴とする。
[0011] 上記目的を達成する周波数分割通信システムは,第 2の態様として,上りリンクと下 りリンクで接続される基地局と複数の移動局を有し,互いに直交する複数の周波数が 周波枢軸上及び時間軸上で,前記上りリンクと下りリンク及び,前記複数の移動局に 割り当てられて ヽることを特徴とする。
[0012] 上記目的を達成する周波数分割通信システムは,第 3の態様として,第 2の態様に おいて,前記基地局は,前記上りリンクと下りリンクのトラフィック比率をモニタするトラ フィックモニタ部を有し,前記トラフィックモニタ部でモニタされるトラフィック比率に応 じて前記複数の周波数の周波枢軸上及び時間軸上での割り当てが決定されることを 有することを特徴とする。
[0013] 上記目的を達成する周波数分割通信システムは,第 4の態様として,第 1または第 2の態様において,前記上りリンクと下りリンクに割り当てられる周波数は,周波数差
分が前記上りリンクと下りリンクの相関値が大きくなるように近接していることを特徴と する。
[0014] 上記目的を達成する周波数分割通信システムは,第 5の態様として,第 4の態様に おいて,前記基地局は,上りリンクの前記複数の周波数のそれぞれに対して信号対 雑音比(SIR値)を測定する SIR測定部と,前記 SIR測定部の測定値に応じて,変調 方式を決定する変調方式決定部と,前記複数の周波数のそれぞれに対して,前記 変調方式決定部により決定された変調方式を適用する変調部を有することを特徴と する。
[0015] 上記目的を達成する周波数分割通信システムは,第 6の態様として,第 4の態様に おいて,前記基地局は,上りリンクの前記複数の周波数のそれぞれに対して信号対 雑音比(SIR値)を測定する SIR測定部を有し,
前記 SIR測定部は,前記複数の移動局のそれぞれ毎に割り当てられた周波数に対 応する測定値の平均値を求め,更に前記平均値に対応する変調方式を決定する変 調方式決定部と,前記 SIR測定部で求めた測定値の平均値に応じて,対応する移 動局毎に変調方式を決定する変調方式決定部と,前記移動局毎に割り当てられた 複数の周波数に対して,前記変調方式決定部により決定された変調方式を適用する 変調部を有することを特徴とする。
[0016] 本発明の特徴は,以下に図面に従い説明される発明の実施の形態例により更に明 らかになる。
発明の効果
[0017] 本発明により上りリンクと下りリンクは、複数の周波数を用いて多重する。例えば、直 交周波数分割多重(OFDM : Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式の各サ ブキャリアに対して、上りリンクと下りリンクを柔軟に割り当てる。これにより、 TDD(Time Division Duplex)と同様の利点を確保しつつ、更に柔軟な上下リンク間の割り当て比 率の変更が可能となる。
図面の簡単な説明
[0018] [図 1]図 1は,本発明の適用の対象となる一般的な直交周波数分割多重 (OFDM :
Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式の送受信機の概略を説明する図であ
る。
[0019] [図 2]図 2は,フレーム構造を示す図である。
[0020] [図 3]図 3は,本発明の特徴を説明する図である。
[0021] [図 4]図 4は, 基地局と移動局間で上りリンク及び下りリンクを構成する場合の,時間 軸及び周波数軸上における複数移動局に対する割り当て例を示す図である。
[0022] [図 5]図 5は,基地局と移動局 # 1, # 2との間のフレーム信号の例を示し,ガードイン ターバル (GI)の意義を説明する図である。
[0023] [図 6]図 6は,基地局の同期部の動作を説明する図である。
[0024] [図 7]図 7は,サブキャリア割り当てを制御する基地局のベースバンド部の構成例を示 す図である。
[0025] [図 8]図 8は,サブキャリア割り当て ·制御部 33の動作を説明する図である。
[0026] [図 9]図 9は,図 8の構成を説明する動作フローである。
[0027] [図 10]図 10は,チャネル割り当てパターンを決定するテーブルの例を説明する図で ある。
[0028] [図 11]図 11は,適応変調方式と組み合わせた本発明に従う基地局の実施例を説明 する図である。
[0029] [図 12]図 12は,サブキャリア毎に多値変調を行う場合の概念図を図 12に示す図であ る。
[0030] [図 13]図 13は,複数のサブキャリアに対する多値変調回路における変調方式を共通 に決定する例を説明する図である。
[0031] [図 14]図 14は, W-CDMAで基地局が 2本の送信アンテナを用いる場合のシステム構 成を示す図である。
[0032] [図 15]図 15は,空間ダイバーシティによる基地局の本発明を適用した実施例構成を 示す図である。
[0033] [図 16]図 16は,図 15の実施例構成の動作概念を示す図である。
[0034] [図 17]図 17は,コヒーレント帯域内の上りリンクより下りの伝搬路状況を推定する方法 として,周波数ダイバーシティによる場合に適用する基地局の実施例構成例を説明 する図である。
[0035] [図 18]図 18は,図 17の実施例の動作概念図を示す。
発明を実施するための最良の形態
[0036] 以下に図面に従い,本発明の実施例を説明する。なお,以下に説明する実施例は ,本発明の理解のためのものであり,本発明の技術的範囲はこれに限定されるもの ではない。
[0037] 図 1は,本発明の適用の対象となる一般的な直交周波数分割多重 (OFDM :
Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式の送受信機の概略を説明する図であ る。
[0038] 図 1において,送信機側に入力される送信データをビット毎に複数のサブキャリア のそれぞれに割り当てる。ついで, IFFT変換器 1により,逆高速フーリエ変換処理( IFFT: Inverse Fast Fourier Transform)を行って時間領域の信号に変換する。
[0039] 時間領域に変換された信号を, PZS変換器 2によりシリアル信号に変換し,次いで シンボル毎にガードインターバル(GI : Guard Interval)挿入回路 3により,ガードインタ 一バル (GI)が挿入する。
[0040] ここで,ガードインターバル(GI)は,図 2にフレーム構造を示すように, IFFTデータ( ノ ィロット,有効シンボル)の最後の所定期間部分をコピーし,先頭に配置される前 部ガードインターバル (GI)と IFFTデータの最初の所定期間部分をコピーし,後部に 配置される後部ガードインターバル (GI)を有する。これら前部及び後部ガードインタ 一バルと IFFTデータにより一のシンボル期間が形成される。
[0041] ガードインターノ レ (GI)が付加されたベースバンド信号は、 DZA変翻 4によりァ ナログ信号に変換され、ローパスフィルタ 5でロールオフされ,変調器 6に入力する。
[0042] 変調器 6では,アナログ信号により無線周波数の搬送波 7を変調する。変調器 6か らの無線周波数信号は、帯域フィルタ 8で帯域制限され、次いで電力増幅器 9により 増幅され、サーキユレータ 10を通してアンテナ 11から送出される。
[0043] アンテナ 11から出力された信号は,フェージング伝搬路を経て,相手側受信機の アンテナ 11によって受信される。便宜上図 1の送受信機構成により相手側の受信動 作を説明する。
[0044] 受信された無線周波数信号は,バンドパスフィルタ 12,直線増幅器 13及び復調器
14によりベースバンド信号に変換される。
[0045] さらにローパスフィルタ 15によりノイズを低減され, A/D変^ ^16によりデジタル 信号に変換される。さらに,同期が取られ,ガードインターバル除去回路 17において ,ベースバンド信号からガードインターバル(GI)を除去し,シンボル毎に FFT処理対 象を切り出す。ついで,切り出した FFT対象を, SZP変換器 18により並列信号に変 換し,高速フーリエ変換 (FFT)回路 19で高速フーリエ変換処理 (FFT:Fast
Fourier Transform)を行って,周波数領域のサブキャリア信号に変換する。
[0046] 上記構成の送受信機において,フレーム構造を示すに示すように,周波数軸上に 並べられた互!、に直交する複数のサブキャリア周波数を分割して多重使用する際に ,上りリンク (up)と下りリンク (Down)に柔軟に割り当てることにある。
[0047] すなわち,逆高速フーリエ変換処理(IFFT : Inverse
Fast Fourier Transform)対象とする送信データに対するサブキャリアを,上りリンク(u P)と下りリンク (Down)に柔軟に割り当てることにある。
[0048] これにより、上下リンクの高速な切り替えをする必要がなくなる。さらに,時間軸上で も上りリンク (Up)と下りリンク (Down)に時分割割り当てを行う。したがって,従来の 時分割多重 (TDD)よりも更に柔軟な上下リンク間の割り当て比率の変更が可能であ る。
[0049] すなわち,図 1において,送信局からの送出信号は逆高速フーリエ変換器 (IFFT) 10により直交周波数の一部に割り当てられる。上りリンクの信号と下りリンクの信号は 別々のサブキャリアに割り当てられているため、受信側で割り当てられているサブキヤ リアに関しては、送信側の逆高速フーリエ変換器 (IFFT)には「0」を入力する。
[0050] 一方、受信側では高速フーリエ変換器 (FFT) 19による FFT後に受信側で割り当 てられているサブキャリアの出力のみを使用する。
[0051] アンテナ 11端にサーキユレータ 10を付けることにより、受信機に対する送信信号の 漏れこみをある程度抑えている。しかし、多少の漏れ込みがあっても受信側の FFTに より直交成分が除去されることとなる。
[0052] 図 4に例として基地局と移動局間で上りリンク及び下りリンクを構成する場合の,時 間軸 (t)上及び周波数軸 (f)上における複数移動局(図 4に示す例では # 1, # 2の 2
局)に対する割り当て例を示す。
[0053] 図 4中、例えば「Up#l」は移動局 # 1に関する上りリンク、つまり移動局 # 1から基地 局への送信信号が割り当てられることを表す。移動局 # 1では上下リンクの割り当て が対称であるのに対して、移動局 # 2では非対称となっている。
[0054] このように、各移動局におけるトラヒックの非対称性を考慮した割り当てが可能となる 。また、上下リンクの割り当て周波数の間隔は出来るだけ小さくなるように割り当てる。 これにより、基地局で上り信号のチャネル推定を行い(フレームの先頭のシンボル期 間内に埋め込まれたパイロットシンボルを用いる:図 2参照)、必要に応じて補完など の操作を行うことにより下り信号のチャネルを高い信頼度で推定することが出来る。
[0055] これは、基地局、各移動局が相互のシグナリングなしに上下リンクのチャネル情報 を共有できることを意味している。また、直交周波数分割多重(OFDM)による周波数 の有効利用により、周波数使用効率は時分割多重 (TDD)と同等である。
[0056] 図 5は,更に基地局と移動局 # 1, # 2との間のフレーム信号の例を示し,ガードィ ンターバル (GI)の意義を説明する図である。
[0057] 図 5Aは,基地局における下り送信信号と移動局 # 1, # 2からの上り受信信号を示 す。基地局は,図 6に示すような同期部を有する。図 6において,同期ビット挿入回路 20により,各移動局 # 1, # 2に対して同期確率信号を常に送信する。同時に移動 局から送られる上り信号におけるガードインターバル (GI)を用いて各移動局 # 1, # 2 力もの上り信号の受信タイミングを検出回路 21で検出する。検出された受信タイミン グと送信タイミングをタイミング比較器 22で比較する。
[0058] 下り送信信号のフレーム境界 (T )力も遅れて 、る場合は送信タイミングを早めるコ
D
マンドを、逆に進んでいる場合は送信タイミングを遅らせるコマンドを各移動局に送 信する。これにより,基地局 # 1, # 2に対する下りリンク送信タイミング aと上りリンク
0
受信タイミング b ,cを同時に保つことが可能である。
1 1
[0059] すなわち,図 5Bに移動局 # 1における下り受信信号と上り送信信号を示す。基地 局と移動局 # 1間の伝送時間に相当する遅延時間て の時間ずれが生じている。した
1
がって,基準時刻 T に対して,基地局からの下り送信信号 aは, T + τ の時刻に
D 0 D 1 下り受信信号 aとして受信する。一方,基地局で上り受信信号 bとして受信される移
動局 # 1からの上り送信信号 bは,基地局からの送信タイミングを早めるコマンドに従
0
つて, T— τ の時刻に送出される。
D 1
[0060] 図 5Cは,移動局 # 2における下り受信信号と上り送信信号を示す。同様に,基地 局と移動局 # 2間の伝送時間に相当する遅延時間て の時間ずれが生じている。す
2
なわち,基準時刻 Τ に対して,基地局からの下り送信信号 aは, T + τ の時刻に
0 0 D 2 下り受信信号 aとして受信する。一方,基地局で上り受信信号 cとして受信される移
2 1
動局 # 2からの上り送信信号 cは,基地局力もの送信タイミングを早めるコマンドに従
0
つて, Τ— τ の時刻に送出される。
0 2
[0061] さらに,図 5Β,図 5Cにおいて,移動局 # 1, # 2は,下り送信信号 a , aの有効シン
1 2 ボルの先頭にあわせて FFT処理を行う。図 6に示した上記の同期部により上下リンク の直交性が保たれるため、受信信号力 送信信号の干渉を除去することが出来る。
[0062] また,マルチパスによる遅延分散の影響は前部ガードインターバル長 (T )より
GI— FRONT も小さい場合、完全に除去できる。移動局受信においては、下り受信信号の有効シ ンボルの先頭にあわせて FFTを行う。伝播遅延時間( τ ,
1
τ )の 2倍が後部ガードインターバル長 (Τ )よりも小さ 、場合には、受信信号から
2 GI.REAR
送信信号の干渉を完全に除去することが可能となる。
[0063] さらに、下り受信信号の遅延分散に関しては、上り信号と同様に前部ガードインタ 一バル長 (Τ
GI— frontはりも小さい場合、完全に除去できる。
[0064] ここで,本発明を適用する際,基地局は各移動局からの各サブキャリアの受信品質 推定値及び各移動局のトラヒックの非対称性を考慮して各サブキャリアへの移動局お よび上下リンクの割り当てを決定する。
[0065] 送信側移動局においては、割り当てられたサブキャリアに送信シンボルを、それ以 外の周波数にっ 、ては「0」を割り当てて IFFT回路 1にお 、て,逆高速フーリエ変換 処理を行う。一方、受信側移動局においては、 FFT回路 19で高速フーリエ変換処理 後に割り当てられたサブキャリアのみを用いてその後の信号処理を行う。
[0066] 割り当てたサブキャリアは予め移動局に通知する必要があるため、下り制御チヤネ ル等を準備する。専用のサブキャリアを制御チャネルとして使用する場合は、例えば 制御データを d、その他の個別データを dとし、これらを周波数 fのサブキャリアにて
直交変調を行うことで式(1)のように表すことができる。
[0067] [数 1]
"。( = « + « / ) exp 2 。 0 · · · ( 1 ) 移動機では上記 dを復号することにより基地局からの制御情報を受信することがで きる。
[0068] 図 7に,上記サブキャリア割り当てを制御する基地局のベースバンド部の構成例を 示す。基地局の送信側において, IFFT回路 1における逆高速フーリエ変換処理に先 立って,サブキャリア割り当てが行われる。
[0069] 複数の移動局 1一 Nの各々に対する下り送信データに対し,符号器 30及び変調器 31で対応する符号ィ匕変調処理を行いサブキャリア割り当て回路 32に入力する。
[0070] 一方,基地局の受信側において,受信信号は, FFT回路 19で高速フーリ変換処理 を行いサブキャリア選択回路 34に入力される。サブキャリア割り当て回路 32及びサ ブキャリア選択回路 34は,サブキャリア割り当て ·制御部 33により制御される。
[0071] サブキャリア割り当て ·制御部 33の動作を図 8により説明する。図 8では,図 7におけ る送信側の符号ィ匕回路 30と変調器 31を下りデータ生成部 300とし,受信側のチヤネ ル推定'復調回路 35と復号ィ匕回路 36を上りデータ復号部 301として略示する。また , IFFT回路 1の後段及び FFT回路 19の前段に高周波回路部 40, 41を示している。 さらに,上下トラフィック比率モニタ 302を有している。
[0072] 図 9は,図 8の構成を説明する動作フローである。このフロー図に従い説明すると, 上下トラフィック比率モニタ 302により,各ユーザ (移動局)毎に下りデータ生成部 30 0への入力データトラフィックと上りデータ復号部 301の出力データトラフィックを監視 して上下トラフィックの比率を定期的に求める (ステップ S 1)。
[0073] サブキャリア割り当て ·制御部 33は,トラフィック比率モニタ回路 302によりモニタさ れる上下トラフィックの比率をトラフィック情報として入力し,チャネル割り当てが常に 最適となるようにサブキャリア割り当て回路 32及び,サブキャリア選択部 34を制御す る。
[0074] すなわち,トラフィック情報に基づき,サブキャリア割り当て '制御部 33は,算出され
た比率が前回と同じであればチャネル割り当ての変更は行わな ヽ (ステップ S2, no)
[0075] 前回と異なる比率であれば (ステップ S2, yes) ,図 10に示すテーブルの例に従つ てチャネル割り当てパターンを決定する (ステップ S3)。例えば, 1: 1から 2: 1に変化 した場合はパターン番号 1からパターン番号 2へと割り当てを変化するように,サブキ ャリア割り当て部 32を制御する。この割り当て情報は,下り制御チャネルに乗せて移 動機 MSへ通知する必要があるため、下りデータ列生成部 300へも情報を渡す (ステ ップ S4)。
[0076] また、サブキャリア選択部 34に対しては,この情報を基に選択するサブキャリアの追 加 ·削除を行うように制御する (ステップ S5)。
[0077] ここで,無線環境 (受信信号対雑音比 [SIR: Signal
to Interface power Ratio])に応じて変調方式 ·符号化率を変化させる適応変調により
,データ転送速度を向上させる方式が知られている。
[0078] 例えば,無線基地局では、電波の受信状態が悪!、時 (低 SIR時)は QPSKを用い、 受信状態が良い時は 16QAMという変調方式を用いる。変調方式と共に符号ィ匕率を 変える場合もある。つまり、受信状態が悪い時は誤り訂正能力が大きい符号が、受信 状態が良い時には誤り訂正能力が小さい符号が使われるなど、受信環境に応じた選 択を自動的に行う。
[0079] このように、変調方式と符号化の組み合わせが無線環境の状態に最適化され、結 果的にデータの転送速度を向上させることができるようになる。
[0080] 本発明は,力かる適応変調方式と組み合わせることも可能である。図 11は,適応変 調方式と組み合わせた本発明に従う基地局の実施例を説明する図である。
[0081] 図 11において,受信側では,先の実施例において説明した方法により,サブキヤリ ァ選択部 34でユーザ毎にサブキャリアの周波数割り当てを判断し、復調に必要な信 号のみを受信選択回路 402から選択する。
[0082] サブキャリア選択部 34で選択されているサブキャリアに関しては,送信側で変調前 に送信選択部 400により「0」送信を行う。
[0083] 選択されたサブキャリア各々に関して,受信側において復調器 35で復調及び,チ
ャネル推定部 403でチャネル推定を行 ヽ, SIR測定部 404で SIR値を算出する。
[0084] ついで,算出された SIR値と閾値を SIR値比較部 406で比較し、変調方式決定部 40
7において予め用意されたテーブルに従って変調方式を決定する。
[0085] 一方,送信側では,同じく先の実施例について説明した方法により決定されたサブ キャリア周波数をサブキャリア割当て部 32及び送信選択部 400で割当て,選択を行 い、ノ ラレル変換されたユーザ (移動局)毎のビット列に対し多値変調部 401で多値 変調を行う。
[0086] ここで,サブキャリア毎に多値変調を行う場合の概念図を図 12に示す。
図 12は,図 11の関係する部位のみ抜き出して示して 、る。
[0087] 図 12において,多値変調部 401は,サブキャリア対応に複数の多値変調回路を有 している。チャネル推定部 403でチャネル推定を行い, SIR測定部 404で SIR値を算 出する。ついで,算出された SIR値と閾値を SIR値比較部 406で比較し、変調方式決 定部 407において予め用意されたテーブルに従ってサブキャリア対応に変調方式を 決定する。
[0088] この決定に従い,多値変調部 401の複数の多値変調回路のそれぞれにおいて,決 定された変調方式を用いて送信選択部 400から入力するデジタル信号 dにより変調
0 を行う。
[0089] また,図 13に示すように,ユーザ (移動局)毎に割り当てられている複数のサブキヤ リア(例えば, f , f , f )の平均 SIRを SIR測定回路 404で求め,これを SIR閾値と比較し
1 3 5
,所定条件で,対応する複数のサブキャリアに対する多値変調部 401の多値変調回 路における変調方式を共通に決定するようにしてもょ 、。
[0090] ここで,本発明の他の適用例を説明するために,送信ダイバーシティの一例として、 第 3世代移動通信システムである W-CDMAにおけるクローズドループ型送信ダイバ 一シティについて説明する。
[0091] W-CDMAでは 2本の送信アンテナを用いる方式が採用されている。図 14に 2本の 送信アンテナを用いる場合のシステム構成を示す。基地局の 2本の送信アンテナ AA
, ABよりパイロット信号生成部 500で生成され,互いに直交するパイロットパターン P
1
,Ρが送出される。
[0092] 移動局受信側は,受信アンテナ ACでパイロットパターン P ,Ρを受信し,制御量計
1 2
算部 501でそれぞれの既知のパイロットパターンと受信パイロット信号との相関を計 算する。
[0093] この計算される相関に基づき,基地局の各送信アンテナ AA, ΑΒから移動局受信 アンテナ ACまでのチャネルインパルス応答ベクトル h , hを推定することができる。
一 1 一 2
[0094] これらチャネル推定値を用いて電力 PWを最大とする基地局各送信アンテナの振 幅および位相制御ベクトル(ウェイトベクトル)
[0095] [数 2] w = [w ,w2 f · · ·式 (2 ) を計算し,これを量子化してフィードバック情報として多重化回路 502により上りチヤ ネル信号に多重化して送信アンテナ ADより基地局側に伝送する。
[0096] 但し,上記位相制御ベクトル(ウェイトベクトル)における, w , wの両方の値を伝送
1 2
する必要は無く, w = 1として求めた場合の wの値のみを伝送すればよい。
1 2
[0097] ここで,電力 PWは,次式(3)により表される。
[0098] [数 3]
PW = wHH HH w · · · ( 3 )
[0099] [数 4] = [h ,h2] · · · ( 4 ) 式(3)の h , hはそれぞれアンテナ AAおよびアンテナ ABからのチャネルインパル
一 1 一 2
ス応答ベクトルである。
インパルス応答の長さを Lとすると, は,次式(5)で表される。
[0100] [数 5]
[ ぃ 2,···Α]7 ( 5 ) ソフトハンドオーバ時には(3)式の代わりに次式 (6)を最大とする制御ベクトルを計算 する。
[0101] 園
ここで Hは k番目の基地局からの信号のチャネルインパルス応答である。
k
[0102] W-CDMAでは,重み係数 wを 1ビットに量子化するモード 1と, 4ビットに量子化す
2
るモード 2の 2通りの方法が規定されて!、る。
[0103] モード 1では 1ビットのフィードバック情報を毎スロット伝送して制御するため,制御 速度が速 、反面,量子化が粗 、ため正確な制御が出来な 、。
[0104] 一方,モード 2では 4ビットの情報で制御するため,より精度の高い制御ができる反 面,各スロットで 1ビットずつ伝送して 4スロットで 1ワードのフィードバック情報を伝送 する。このため,フェージング周波数が高い場合にはこれに追従できずに特性が劣 化する。
[0105] このように,フィードバック情報を伝送するための上りチャネル信号伝送レートが限ら れている場合,制御精度とフェージング追従速度はトレードオフの関係にある。
[0106] W-CDMAの Release-99規格では,フィードバック情報伝送による上りチャネル伝送 効率の低下を回避するため,送信アンテナ数として 2本より多い場合は考慮されてい ない。しかしながらフィードバック情報の増加や更新速度の低減を許容すれば, 3本 以上への拡張も可能である。
[0107] 送信アンテナ数が N本の場合,無線基地局で N個のお互いに直交するパイロット信 号 P (t), P (t), · · ·Ρ (t) をそれぞれ異なる送信アンテナを用いて送信する。
1 2 N
[0108] これらパイロット信号間には次の式(7)の関係がある。
[0109] [数 7]
上記(6)式で,各パイロット信号はそれぞれフェージングによる振幅および位相変 動を受け,これらの合成信号が移動局受信アンテナ ACに入力される。
[0110] 移動局受信機では受信パイロット信号に対して, P (t), P (t), - - ·Ρ (t)との相関を制
1 2 N
御量計算部 501でそれぞれ求めることにより,各パイロット信号のチャネルインパルス 応答ベクトル h , h - - -11を推定することが出来る。
1 2 N
[0111] これらチャネルインパルス応答ベクトルを用いて, (8)式で示す電力 PWを最大とす る基地局各送信アンテナの振幅および位相制御ベクトル (ウェイトベクトル)
[0112] [数 8]
を計算し,これを量子化してフィードバック情報として上りチャネル信号に多重化して アンテナ ADより基地局側に伝送する。
[0113] 但し,この場合でも w =1として求めた場合の w , w -wの値を伝送すればよい。
1 2 3 N
[0114] [数 9]
PW = wHHHHw · · · ( 8 )
[0115] [数 10] = h h2 - -,hN] · · · ( 9 ) 基地局側は,受信アンテナ AEで力かるフィードバック情報を受信し,フィードバック 情報抽出回路 503で抽出する。フィードバック情報抽出回路 503は,抽出したフィー ドバック情報に基づき,振幅'位相制御回路 504を制御する。
[0116] このように W-CDMAにおけるクローズドループ型送信ダイバーシティにおいて,下り リンクの電力を移動局側力もフィードバック情報として基地局に送るように構成されて
いる。
[0117] これに対し,本発明の適用により,コヒーレント帯域内の上りリンクより下りの伝搬路 状況を推定することで、移動機からのフィードバックを省略することが可能である。
[0118] 図 15に空間ダイバーシティによる基地局の本発明を適用した実施例構成を、図 16 にその動作概念図を示す。
[0119] 図 15に示す基地局構成は,第 1のアンテナ 11aの属する送受信系と第 2のアンテ ナ l ibの属する送受信系を有する。
[0120] かかる基地局において, 2本のアンテナ 11a, l ibより受信した信号からあるユーザ の信号を抜き出す。図 15に示す実施例では移動機 1は下りに f ,f ,f、上りに f の
0 2 4 1 3 5 それぞれのサブキャリアを使用している場合である。
[0121] 例えば,移動機 1の下りリンクにおけるサブキャリア fの伝搬路推定には,サブキヤリ
0
ァ f
0と直交する,即ち隣り合う上りリンクに使用されるサブキャリア f
1のチャネル推定値 を用いる。
[0122] すなわち,図 15において,第 1のアンテナ 11aで受信される上りリンクの信号カもサ ブキャリア選択部 34aでサブキャリア fの信号を選択し,チャネル推定部 403aでチヤ
1
ネル推定する。同様に,第 2のアンテナ l ibで受信される上りリンクの信号力もサブキ ャリア選択部 34bでサブキャリア fの信号を選択し,チャネル推定部 403bでチャネル
1
推定する。
[0123] これらの推定値は位相 ·振幅比較部 410に入力され,図 16に示すように,アンテナ 11a, 1 lbそれぞれの fのチャネル推定値を位相比較部 410で振幅及び位相比較し
1
,その比較結果に基づき複素ウェイト生成部 411において,上記式(3)の電力 PWを 最大にするような式 (2)で示されるウェイトベクトルを算出する。ついで,算出されたゥ エイトベクトルを乗算器 413で乗算し,下りリンクの電力を制御する。
[0124] 図 17は,コヒーレント帯域内の上りリンクより下りの伝搬路状況を推定する方法とし て,周波数ダイバーシティによる場合に適用する基地局の実施例構成例を説明する 図である。図 18にその動作概念図を示す。
[0125] すなわち,この実施例は周波数ダイバーシティを行う場合の例である力 空間ダイ バーシティにおける図 15,図 16に示す実施例と同様に、隣り合うキャリアのチャネル
推定値を基に下り伝搬路の推定を行うことで移動機力ものフィードバックを省略する ことができる。
[0126] 図 17,図 18において,例えば,周波数ダイバーシティを行うサブキャリア fと f につ
0 n いて,下りリンクの伝搬路状態の把握は,サブキャリア f に対しては隣接し,直交する
0
サブキャリア fを用い,サブキャリア f に対しては隣接し,直交するサブキャリア f を
1 n n+1 用いる。
[0127] サブキャリア選択部 34においてサブキャリア f と f を選択し,復調器 35で復調及
1 n+1
び,チャネル推定部 403でチャネル推定を行う。ついで,それぞれのチャネル推定値 を位相比較部 410で振幅及び位相比較し,その比較結果に基づき複素ウェイト生成 部 411にお 、て,上記式(3)の電力 PWを最大にするような式(2)で示されるウエイト ベクトルを算出する。ついで,算出されたウェイトベクトルを乗算器 413で乗算し,下り リンクの電力を制御する。
[0128] ここで,図 17,図 18の実施例において,サブキャリア fと fはなるべくダイバーシティ
0 n
効果を得られるように相関の低い周波数を選択する。一方下りに関しては同じ複素シ ンボル列 dを異なるサブキャリア f、 fにて変調を行い送信する。未使用および上りリン
0 0 1
クとして使用されているキャリアに関しては 0を挿入する。
[0129] 本発明の実施の形態は OFDMを用いて説明した力 ダウンリンクとアップリンクのサ ブキャリア周波数の関係は直交状態である必要はなく。 単なる FDMのシステムでも 適用可能である。
産業上の利用可能性
[0130] 上記に説明したように,上りリンクと下りリンクを直交周波数を用いて多重化すること により,上りリンクと下りリンクを柔軟に割り当てることができる。これにより、 TDD(Time Division Duplex)と同様の利点を確保しつつ、更に柔軟な上下リンク間の割り当て比 率の変更を可能とするシステムが提供可能である。