明 細 書
Cペプチド特異的結合分子及びその用途
技術分野
[0001] 本発明は、 Cペプチド特異的結合分子及びその用途に関する。詳しくは、 Cぺプチ ド特異的結合分子を用いた Cペプチド結合剤、 Cペプチドの作用状態の評価方法、 Cペプチドの作用状態を調節する化合物のスクリーニング方法などに関する。
背景技術
[0002] インスリン製剤は、糖尿病患者の治療において無くてはならないものであり、現在、 超速効型、速効型、中間型、超長時間型など、様々な作用時間のものが開発され、 糖尿病患者の治療に寄与している。し力しながら、特にインスリンの枯渴する 1型糖 尿病においては、糖尿病合併症の発症'進展が早ぐ患者の生活の質、及び予後に 大きな影響を及ぼしている。また、 2型糖尿病においても、インスリン抵抗性と同様に Cペプチド抵抗性が存在する可能性が指摘されている。
Cペプチドは、脾ランゲノレハンス島においてプロインスリンがインスリンに分解される 際に生成される 31アミノ酸よりなるペプチドである力 長い間、生理学的活性はない と考えられてきた。近年になって Cペプチドが血管拡張作用、神経保護作用などの生 理学的活性をもつことが証明され、その作用が注目されている。し力しながら、 Cぺプ チドの作用機構は明らかではな力つた。
[0003] 非特許文献 1 : Biochem Cell Biol. 1990 Dec; 68(12): 1428- 32.
非特許文献 2 : Acta Physiol Hung. 1995; 83(4):333- 42.
非特許文献 3 : Diabetes Metab Res Rev. 2003 Sep- Oct; 19(5):375- 85.
非特許文献 4 : Comment in: Diabetes Metab Res Rev. 2003 Sep- Oct; 19(5):345- 7. 非特許文献 5 : Int J Exp Diabetes Res. 2002 Oct- Dec; 3(4):241- 5.
非特許文献 6 : Nitric Oxide. 2003 Sep; 9(2):95- 102.
非特許文献 7 : J. Biol. Chem. 2003, 278(23) 20915-24
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] Cペプチドの作用機構が明らかとなれば、 Cペプチドを薬剤として使用する場合の 実験的ェビデンスが得られるとともに Cペプチド又はその結合分子を標的とした具体 的な創薬が可能となることから、 Cペプチドを臨床応用する途が拓かれる。
Cペプチドの作用機序を明らかにするためには第一に Cペプチドのレセプター分子 、即ち Cペプチドに対して特異的に結合する分子 (Cペプチド特異的結合分子)を同 定することが必須且つ最重要となる。
一方、 Cペプチド特異的結合分子は、 Cペプチドがその作用を発揮する上で必須 の要素となることから、 Cペプチド特異的分子の発現状態 (発現量、局在など)は Cぺ プチドの作用状態 (作用量など)に直接影響する。従って、 cペプチド特異的結合分 子の発現状態を制御することによって cペプチドの作用状態を調節することができる 。このことは、 Cペプチド特異的結合分子が、 Cペプチドが関与する疾患に対する薬 剤を開発する上での標的になることを意味する。一方、 cペプチド特異的結合分子の 発現状態力 cペプチドの作用状態を間接的に評価することが可能であることから、 Cペプチド特異的結合分子を利用して、 Cペプチドが関与する疾患の病態の把握や 罹患リスクの評価などを行うこともできると考えられる。即ち、 Cペプチド特異的結合分 子の診断分野への応用も期待される。
以上のように、 Cペプチド特異的結合分子は、 Cペプチドの作用機序を解明するた めのキー分子であることに加え、それ自体が創薬及び診断分野での標的分子となる
。本発明は、このように利用価値の高い cペプチド特異的結合分子を提供することを 第一の目的とする。また、 Cペプチド特異的分子の医療用途ないし診断用途などを 提供することも目的とする。
課題を解決するための手段
[0005] 以上の目的を達成するために、本発明者らは Cペプチド特異的結合分子を同定す ることを試みた。その結果、細胞からの抽出条件の設定に主眼をおいて種々の検討 を行うことで、 Cペプチドに特異的結合性を有する二種類のタンパク質を同定すること に成功した。本発明は以上の知見に基づき完成されたものであり、以下の構成を提 供する。
本発明の第一の局面は、同定に成功した上記タンパク質 (Cペプチド特異的結合タ
ンパク質)を用いた cペプチド結合剤に関する。本発明の Cペプチド結合剤は、配列 番号 1のアミノ酸配列を有する第 1タンパク質と、配列番号 3のアミノ酸配列を有する 第 2タンパク質と、及び第 1タンパク質又は第 2タンパク質と実質的に相同なタンパク 質と、力 なる群より選択される 1以上のタンパク質を含む。当該 Cペプチド結合剤は 、 Cペプチドの作用状態を調節することに用いることができる。また、 Cペプチドの検 出、測定又は定量、 Cペプチドの分離'精製などにも利用できる。
[0006] 本発明の他の局面は、上記タンパク質 (Cペプチド特異的結合タンパク質又はそれ と実質的に相同なタンパク質)を検出することによって Cペプチドの作用状態を評価 する方法に関する。本発明の評価方法では、配列番号 1のアミノ酸配列を有する第 1 タンパク質と、配列番号 3のアミノ酸配列を有する第 2タンパク質と、及び前記第 1タン ノ^質又は前記第 2タンパク質と実質的に相同なタンパク質と、からなる群より選択さ れる 1以上のタンパク質をサンプル中で検出するステップが実施される。検出(測定) 結果を用いて Cペプチドの作用状態を評価する。 Cペプチドの作用状態を基に Cぺ プチドが関与する疾患の診断を行うことができる。当該局面の他の態様では、サンプ ル中の核酸が検出対象となる。即ち、配列番号 1のアミノ酸配列を有する第 1タンパク 質をコードする核酸と、配列番号 3のアミノ酸配列を有する第 2タンパク質をコードす る核酸と、及び前記第 1タンパク質又は前記第 2タンパク質と実質的に相同なタンパ ク質をコードする核酸と、力 なる群より選択される 1以上の核酸をサンプル中で検出 するステップを実施し、検出結果に基づ!ヽてサンプル中の Cペプチドの作用状態を 評価する。或いは、配列番号 1のアミノ酸配列を有する第 1タンパク質をコードする遺 伝子の多型と、配列番号 3のアミノ酸配列を有する第 2タンパク質をコードする遺伝子 の多型と、及び前記第 1タンパク質又は前記第 2タンパク質と実質的に相同なタンパ ク質をコードする遺伝子の多型と、からなる群より選択される 1以上の多型をサンプル 中で解析するステップを実施し、解析結果に基づ 、てサンプル中の Cペプチドの作 用状態を評価する。
[0007] 本発明のさらに他の局面は、上記タンパク質 (Cペプチド特異的結合タンパク質又 はそれと実質的に相同なタンパク質)を利用したスクリーニング方法に関する。即ち、 当該局面では Cペプチドの作用状態を調節できる化合物を見出すための手段が提
供される。本発明のスクリーニング方法では、試験化合物の存在下 (試験群)及び非 存在下 (対照群)において、 Cペプチドと上記タンパク質とを接触させるステップが実 施される。そして、試験化合物の存在による、 Cペプチドと上記タンパク質との結合態 様 (結合量、結合力など)の変化を調べる。このような手順に従って、 Cペプチドとそ の特異的結合分子との結合状態を変化させる化合物、即ち cペプチドの作用状態を 調節することができる化合物を選抜することができる。選抜された化合物は、 Cぺプチ ドが関与する疾患に対する薬剤の有力な候補、又はそのような薬剤を開発する際の 有益な材料となる。当該局面の他の態様では、細胞ベースのスクリーニング方法が 提供される。この態様では、試験化合物の存在下 (試験群)及び非存在下 (対照群) において、細胞を所定時間培養するステップを実施した後、培養後の前記細胞内に おける、上記タンパク質の発現量を測定する。そして、試験群の発現量と、対照群の 発現量と比較することで、 Cペプチドの作用状態を調節する能力を試験化合物が有 するか否か (有する場合にはその程度も)を評価する。
[0008] 本発明のさらに他の局面は、 Cペプチドの作用状態を調節することができる化合物 に関する。具体的には一態様として、 Cペプチド又は上記タンパク質に対して特異的 結合性を有し、且つ Cペプチドと上記タンパク質との結合を阻害する抗体が提供され る。当該抗体は例えば、その特異的結合性を利用して、 Cペプチドと上記タンパク質 との結合アツセィに用いることができる。また、当該抗体は、 Cペプチドの作用を抑制 ないし阻害する活性を有することから、 Cペプチドの高発現が原因となる疾患に対す る薬剤として利用され得る。
[0009] 本発明はさらに、標的細胞内において Cペプチドの作用状態を調節する方法を提 供する。この局面の一態様では、上記タンパク質 (Cペプチド特異的結合タンパク質 又はそれと実質的に相同なタンパク質)を人為的に標的細胞に導入するステップが 実施され、これによつて Cペプチドの作用量の増加が促される。他の態様では、 Cぺ プチドと上記タンパク質との結合を阻害する化合物を標的細胞に導入するステップが 実施され、これによつて Cペプチドの作用量の低下が促される。さらに他の態様では 、アンチセンス法、 RNA干渉、リボザィムの使用などによって標的細胞内の上記タン パク質の発現を阻害し、 Cペプチドの作用量を低下させる。この局面の方法によれば
、cペプチドの作用量の増加又は低下が標的細胞に及ぼす影響を調べることができ る。また、生体を構成する細胞を標的細胞とすれば、 Cペプチドの高発現又は低発 現が原因となる疾患に罹患した対象を治療するために本発明の方法を利用すること ができる。
[0010] 本発明はさらに、上記本発明の方法を簡便に実施するためのキットを提供する。
図面の簡単な説明
[0011] [図 1]図 1は、ヒト大動脈平滑筋細胞から調製した細胞抽出液を電気泳動で分離した 結果 (染色後のゲル)を示す。左レーン:上記手順で調製したサンプル溶液の泳動結 果 (Cペプチド (+))、右レーン: Cペプチド結合カラムの代わりに、 Cペプチドを結合さ せていない NHS-activated Sepharose 4 Fast Flowを用い、それ以外は同様の手順で 調製した対照サンプルの泳動結果 (Cペプチド (-))である。尚、下段では、バンド位置 を線(1、 2)で示している。
[図 2]図 2は、 Cペプチドによる競合実験の結果 (染色後のゲル)を示す。 A:対照 1 (C ペプチド (-)カラム)、 B:対照 2 (Cペプチド (+)カラム、競合阻害なし)、 C:サンプルレ ーン (Cペプチド (+)カラム、競合阻害)である。
[図 3]ヒト血管内皮細胞 (HUVEC)、ヒト胎児腎臓細胞 (HEK)、及び HeLa細胞から調 製した cDNAを铸型とし、 HSPA5又は HSPA9B特異的プライマーで PCRを実施した結 果である。
[図 4]HSPA5発現ベクター又は HSPA9B発現ベクターで形質転換した大腸菌力も調 製したサンプルをウェスタンプロットで分析した結果である。(1)は大腸菌可溶化後の 遠心処理によって得られた沈殿画分をアプライしたレーン、(2)は大腸菌可溶化後の 遠心処理によって得られた上清画分をアプライしたレーン、(3)は大腸菌可溶化後の 遠心処理によって得られた上清を Glutachione- Sepharose 4Bで精製したものをァプラ ィしたレーン。
[図 5]HSPA5発現ベクター又は HSPA9B発現ベクター形質転換した HEK細胞力 調 製したサンプルをウェスタンプロットで分析した結果である。左欄の (1)は細胞破砕液 をアプライしたレーン、(2)は Co- beads抽出液をアプライしたレーン。右欄の (1)は細胞 破砕液をアプライしたレーン、(2)は細胞破砕液を遠心処理した後の上清をアプライし
たレーン、(3)は Co-beads抽出液をアプライしたレーン。
[図 6]HSPA5発現ベクター又は HSPA9B発現ベクターで形質転換した HEK細胞の蛍 光免疫染色像である。上段はコントロール、中段は HSPA5発現ベクターで形質転換 した HEK細胞、下段は HSPA9B発現ベクターで形質転換した HEK細胞。
[図 7]HSPA5と Cペプチドとの結合実験の実験プロトコールである。
[図 8]HSPA5と Cペプチドとの結合実験(ウェスタンブロット)の結果である。(1)は HSPA 5発現ベクターで形質転換した細胞から調製した細胞破砕液、(2)は空ベクターで形 質転換した細胞力 調製した細胞破砕液、(3)は HSPA5発現ベクターで形質転換した 細胞力 調製した細胞破砕液の上清画分の中で Cペプチドビーズに結合した成分、( 4)は Cペプチドビーズの代わりにペプチド未結合ビーズ (Noペプチド beads)を反応さ せて得られたサンプル、(5)は空ベクターで形質転換した細胞カゝら調製した細胞破砕 液の上清画分の中で Cペプチドビーズに結合した成分、(6)は空ベクターで形質転換 した細胞力 調製した細胞破砕液の上清画分の中でペプチド未結合ビーズに結合 した成分、(7)は HSPA5発現ベクターで形質転換した細胞力 調製した細胞破砕液の 上清画分をまず Cペプチドと反応させた後、 Cペプチドビーズと反応させた場合に C ペプチドに結合した成分、(8)は空ベクターで形質転換した細胞力 調製した細胞破 砕液の上清画分をまず Cペプチドと反応させた後、 Cペプチドビーズと反応させた場 合に Cペプチドに結合した成分。
[図 9]Cペプチドで刺激した HUVEC細胞の免疫染色像である。右欄は抗 HSPA5抗体 及び FITC抗ャギ抗体を反応させて得た染色像。左欄はコントロール。
[図 10]HSPノックダウン実験のプロトコールである。
[図 11]HSPノックダウン実験の結果である。 No.1 (センス鎖導入、 Cペプチド刺激なし) 、 No.2 (センス鎖導入、 Cペプチド刺激あり)、 No.3 (アンチセンス鎖導入、 Cペプチド 刺激なし)、 No.4 (アンチセンス鎖導入、 Cペプチド刺激あり)。
発明を実施するための最良の形態
(Cペプチド結合剤)
本発明の第 1の局面は Cペプチド結合剤に関する。ここで「Cペプチド」とは、脾ラン ゲルノヽンス島においてプロインスリンがインスリンに分解される際に生成される、 31ァ
ミノ酸 (配列番号 5)からなるペプチドである。 Cペプチドは糖尿病に関する診断マー カーとして利用されてきた。最近になって、 Cペプチド自体に特有の生理学的活性が あることが報告されている。
本発明の Cペプチド結合剤は、 Cペプチド特異的結合分子であると同定されたタン パク質、又はそれと実質的に相同なタンパク質 (以下、これらをまとめて「本タンパク質 」ともいう)を含む。後述の実施例に示すように本発明者らは、 Cペプチド特異的結合 分子として二種類のタンパク質の取得に成功した。アミノ酸配列解析の結果、これら のタンパク質はそれぞれ 70kDaタンパク質 9B前駆体(以下、「HSPA9B」ともいう。また 、当該タンパク質のアミノ酸配列を配列番号 1に、それをコードする塩基配列を配列 番号 2にそれぞれ示す)及び熱ショック 70kDaタンパク質 5 (以下、「HSPA5」とも!/、う。 また、当該タンパク質のアミノ酸配列を配列番号 3に、それをコードする塩基配列を配 列番号 4にそれぞれ示す)であると同定された。尚、本明細書では前者を第 1タンパ ク質、後者を第 2タンパク質と呼称することがある。
ここで、比較される二種類のタンパク質に対して本明細書で使用される用語「実質 的に相同な」とは、 Cペプチドに対する結合性を利用した用途にお!/、て同等に使用さ れ得る程度に Cペプチドに対する結合性を当該二種類のタンパク質がともに保有し ている状態をいう。ここでの「実質的な相同性」に関しては、 Cペプチドとの結合に関 与しない領域は重要度が低い。従って、 Cペプチドとの結合に関与しない領域が改 変(一部又は全部のアミノ酸の欠失や置換、或いは他のアミノ酸の付加など)されて いても実質的な相同性を認めることができる。また、他の分子ないし物質が付加され た場合においても、付加前後において実質的な相同性が保持される場合がある。一 方、比較される二種類のタンパク質が構成アミノ酸や分子量の点で相違して 、たとし ても、両者の間に実質的な相同性を認めることができる場合がある。但し、一般に、ァ ミノ酸配列に高 、相同性が認められれば、機能面にお 、ても相同である場合が多 ヽ 。尚、片方の Cペプチドに対する結合性を 100%としたときに他方のそれが少なくとも 50%以上、好ましくは 70%以上、さらに好ましくは 80%以上、一層好ましくは 90% 以上、最も好ましくは約 100%である場合に、二種類のタンパク質間に実質的な相同 性を認めることができる。
例えば、 HSPA9Bに実質的に相同なタンパク質として、配列番号 1のアミノ酸配列の 一部を改変した配列を有し Cペプチドに対して特異的結合性を有するタンパク質を 挙げることができる。同様に、 HSPA5に実質的に相同なタンパク質として、配列番号 3 のアミノ酸配列の一部を改変した配列を有し Cペプチドに対して特異的結合性を有 するタンパク質を挙げることができる。ここでのアミノ酸配列の改変とは、アミノ酸配列 を構成する 1〜数個のアミノ酸の欠失、置換、若しくは 1〜数個のアミノ酸の付加、挿 入、又はこれらの組合せによりアミノ酸配列に変化を生じさせることをいうが、このよう な改変は、 Cペプチドに対する特異的結合性という性質が高度に保持される限りにお いて行うことができる。ここでの「高度に保持される」とは、改変前の Cペプチドに対す る特異的結合性を 100%としたときに改変後のそれが 50%以上、好ましくは 70%以 上、さらに好ましくは 80%以上、一層好ましくは 90%以上、最も好ましくは約 100% である場合をいう。
このような高度の保持が認められる限り、アミノ酸配列の変化の位置は特に限定さ れない。また、複数の位置 (連続した位置でもよい)で変化を生じていてもよい。改変 にかかるアミノ酸の数は、例えば改変前のアミノ酸配列を構成する全アミノ酸の 10% 以内に相当する数、好ましくは全アミノ酸の 5%以内に相当する数、さらに好ましくは 全アミノ酸の 1%以内に相当する数である。但し、 5'末端又は 3'末端へのアミノ酸の付 加など、場合によってはこの範囲を超える大幅な改変が許容されることもある。
[0013] HSPA9B (又は HSPA5)に実質的に相同なタンパク質の他の例として、天然に存在 する変異型の HSPA9B (又は HSPA5)を挙げることができる。さらに他の例として、ヒト 以外の種の HSPA9B (又は HSPA5)を挙げることができる。ここでの「ヒト以外の種」とは 、例えばヒト以外の霊長類 (サル、チンパンジーなど)、マウス、ラット、ゥサギ、ゥシ、ゥ マ、ヒッジ、ィヌ、ネコ等である。このようなヒト以外の種由来の HSPA9B (又は HSPA5) を含む Cペプチド結合剤は、ヒト以外の種に対して好適に適用(in vivo又は ex vivo) することができる。或いは、 in vitroでの実験用として好適に利用することができる。
[0014] 本発明の Cペプチド結合剤は、本タンパク質の少なくとも一種を含んで構成される。
換言すれば、本発明の Cペプチド結合剤は、本タンパク質の二種以上を含んでいて ちょい。
典型的には、本発明の Cペプチド結合剤は、 HSPA9B又は HSPA5を単独で、又はこ れら両者を含む。本発明の Cペプチド結合剤を構成するタンパク質にメチル化、ダリ コシル化などの修飾が施されて!/、てもよ!/、。
[0015] 本発明の Cペプチド結合剤は、 Cペプチドの作用状態の調節に用いることができる 。例えば、本発明の Cペプチド結合剤を生体に投与すればこれに Cペプチドが結合 し、それによつて Cペプチド結合剤を介して Cペプチドの作用が発揮されることを期待 できる。従って、 Cペプチドの作用が低減した結果ある病態を呈している個体に適用 すれば病態の改善を図ることができる。
一方、本発明のペプチド結合剤を Cペプチドの検出、測定又は定量に用いることも できる。このような Cペプチドの検出等に本発明のペプチド結合剤を利用する場合に は、本発明のペプチド結合剤を検出可能な標識物質で標識ィ匕しておくことが好まし い。但し、本発明のペプチド結合剤を検出可能な他の物質を併用することにすれば 、このような標識ィ匕は不要となる。
尚、ここでの検出等は、生体内において実施しても、又は生体から分離された細胞 又は組織内にお!、て実施してもよ!/ヽ。
[0016] 本発明の Cペプチド結合剤を Cペプチドの分離'精製などに利用してもよい。例え ば、本発明の Cペプチド結合剤を支持体に結合して適当な容器に充填することによ つて、 Cペプチド親和性カラムを構築することができる。このようなカラムは、生体試料 など力もの Cペプチドの検出や分取に利用することができる。
[0017] 本発明の Cペプチド結合剤を構成する本タンパク質 (HSPA9B、 HSPA5、又はこれら の中のいずれかに相同なタンパク質)は例えば、それが存在すると予想される動物( 例えば、ヒト、サル、チンパンジーなど)の細胞ないし組織等から、抽出、精製等の手 段を利用して得ることができる(抽出方法の詳細については後述の実施例を参照さ れたい)。また、本タンパク質を、遺伝子工学的手法を用いて調製することもできる。 即ち、 目的のタンパク質をコードする DNAを適当な宿主細胞に導入し、形質転換体 内で発現されたタンパク質を回収することにより調製することができる。回収されたタ ンパク質は、 目的に応じて適宜精製される。組換えタンパク質として調製する場合は 、種々の修飾が可能である。例えば、 目的のタンパク質をコードする DNAと他の適当
な DNAとを保持させたベクターを用いて形質転換を行うことにより、 目的のタンパク質 に、当該他の DNAがコードするペプチドな 、しタンパクが連結した組換えタンパク質 を得ることができる。他の DNAを予めベクター内に組込んでおくこともできる。このよう な修飾により、組換えタンパク質の抽出、精製の簡便化、又は生物学的機能の付カロ が可能である。
[0018] (Cペプチド特異的結合分子を利用した検出 ·評価 ·診断方法)
本発明の他の局面は、上記の本タンパク質を検出することによって Cペプチドの作 用状態を評価する方法に関する。本明細書において用語「Cペプチドの作用状態」と は、本タンパク質を介して発揮される Cペプチドの作用量をいい、本タンパク質の存 在量に依存する。また、本明細書において用語「評価」は、判定及び判別と交換可能 に用いられる。
[0019] 本発明の方法では、サンプル中に存在する本タンパク質 (好ましくは HSPA9B又は HSPA5)の量を検出するステップが実施される。そして検出結果を用いてサンプル中 の Cペプチドの作用状態が評価される。本発明においてサンプルとしては例えば、対 象 (被験者)の生体より採取した細胞、組織、又は血液などや、或いは培養細胞、株 化細胞などを用いることができる。
[0020] 本タンパク質の量は例えば、本タンパク質に対して特異的に結合する化合物を用 いて検出(測定)することができる。検出方法 (又は測定方法)は、これに限定されるも のではないが、免疫学的手法によることが好ましい。免疫学的手法では上記本タン パク質に対する抗体 (具体的には抗 HSPA9B抗体又は抗 HSPA5抗体など)が使用さ れ、当該抗体の結合性 (結合量)を指標として本タンパク質が検出される。ここでの用 語「抗体」は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、 C DRグラフト抗体、ヒト化抗体、又はこれらの断片(但し、 HSPA9B等に対する特異的結 合能を有するもの)等を含む。本発明における抗体は、免疫学的手法、ファージディ スプレイ法、リボソームディスプレイ法などを利用して調製することができる。
免疫学的染色法によれば、迅速で感度のよい検出が可能となる。従ってサンプル 量が少なくてよぐ生体試料を用いる場合には被験者 (患者)への負担も小さくなる。 また、操作も簡便である。尚、検出方法としては例えば、 ELISA法、ラジオィムノアッセ
ィ、 FACS、免疫沈降法、ィムノブロッテイング等の定性的又は定量的な方法が挙げら れる。
ポリクローナル抗体の調製は次の手順で行うことができる。抗原 (HSPA9B等)を調 製し、これを用いてマウス、ラット、ゥサギ、ャギ等の動物に免疫を施す。抗原としては HSPA9B若しくはその相同タンパク質、 HSPA5若しくはその相同タンパク質、又はこれ らの中のいずれかの一部を使用することができる。低分子量のために有効な免疫惹 起作用を期待できない場合には、キャリアタンパク質を結合させた抗原を用いること が好ましい。キャリアタンパク質としては KLM (Keyhole Light Hemocyanin)、 BSA (Bov ine Serum Albumin)、 OVA (Ovalbumin)などが使用される。また、キャリアタンパク質 の結合にはカルポジイミド法、ダルタルアルデヒド法、ジァゾ縮合法、 MBS (マレイミド ベンゾィルォキシコハク酸イミド)法などを使用できる。
必要に応じて免疫を繰り返し、十分に抗体価が上昇した時点で採血し、遠心処理 などによって血清を得る。得られた抗血清をァフィユティー精製する。このようにして ポリクローナル抗体を得ることができる。一方、モノクローナル抗体については次の手 順で調製することができる。まず上記と同様の手順で免疫操作を実施する。必要に 応じて免疫を繰り返し、十分に抗体価が上昇した時点で免疫動物から抗体産生細胞 を摘出する。次に、得られた抗体産生細胞と骨髄腫細胞とを融合してハイプリドーマ を得る。続いて、このハイプリドーマをモノクローナルィ匕した後、 目的タンパク質に対し て高 ヽ特異性を有する抗体を産生するクローンを選択する。選択されたクローンの培 養液を精製することによって目的の抗体が得られる。一方、ハイプリドーマを所望数 以上に増殖させた後、これを動物 (例えばマウス)の腹腔内に移植し、腹水内で増殖 させて腹水を精製することにより目的の抗体を取得することもできる。上記培養液の 精製又は腹水の精製には、プロテイン G、プロテイン A等を用いたァフィユティークロ マトグラフィ一が好適に用いられる。また、抗原を固相化したァフィユティークロマトグ ラフィーを用いることもできる。更には、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマ トグラフィー、硫安分画、及び遠心分離等の方法を用いることもできる。これらの方法 は単独ないし任意に組み合わされて用いられる。尚、抗体の作製方法に関して Kohle r and Milstein (1975) Nature 256:495- 497;Brown et al. (1981) J. Immunol. 127:539—
46; Brown et al. (1980) J. Biol. Chem. 255:4980-83; Yeh et al. (1976) Proc. Natl. A cad. Sci. USA 76:2927—31; Yeh et al. (1982) Int. J. Cancer 29:269—75; Kozbor et al . (1983) Immunol. Today 4:72; Kenneth, R.H. in Monoclonal Antibodies: A New Dim ension In Biological Analyses, Plenum Publishing Corp., New York, New York (1980) ; Lerner, E.A. (1981) Yale J. Biol. Med. 54:387-402; Gefter, M.L. et al. (1977) Som atic Cell Genet. 3:231- 36等を参照することができる。
[0022] ファージディスプレイ法に関しては種々の文献、例えば Huse et al. (1989) Science 246: 1275-1281; McCafferty et al. (1990) Nature 348:552-554; Fuchs et al. (1991) B io/Technology 9: 1370—1372; Barbas et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:797 8-7982; Hoogenboom et al. (1991) Nucleic Acids Res. 19:4133—4137; Gram et al. (1 992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:3576-3580; Hay et al. (1992) Hum. Antibod. Hy bridomas 3:81-85; Griffiths et al. (1993) EMBO J 12:725-734; PCT国際公開第 WO 90/02809号; PCT国際公開第 WO 92/20791号; PCT国際公開第 WO 92/15679号 ; PCT国際公開第 WO 92/09690号等を参照することができる。また、ファージデイス プレイライブラリの作製及びスクリーニング用のキットが市販されており、それらを好適 に利用することができる。
[0023] 標識ィ匕した抗体を用いることにより、上記の検出等を容易に実施することが可能で ある。抗体の標識ィ匕には例えばフルォレセイン、ローダミン、テキサスレッド、オレゴン グリーン等の蛍光色素、ホースラディッシュペルォキシダーゼ、マイクロペルォキシダ ーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、 13 D—ガラクトシダーゼ等の酵素、ルミノール、ァ クリジン色素等の化学又は生物発光化合物、 32P、 131ι、 125ι等の放射性同位体、及び ピオチン等を用いることができる。
[0024] 本タンパク質自体を検出対象とするのではなぐ本タンパク質をコードする核酸 (好 ましくは HSPA9B又は HSPA5をコードする核酸)を検出対象として本タンパク質の量を 求めることもできる。具体的には例えば、本タンパク質をコードする mRNAの量を検出 する。また、本タンパク質の量の変化に伴って、本タンパク質をコードする遺伝子のコ ピー数に変動が認められる場合にはゲノム DNAを検出対象とすることもできる。例え ば、検出の結果、本タンパク質の遺伝子のコピー数の増加が認められれば本タンパ
ク質の発現量が増大して 、ると予測できる。
尚、特定の核酸の量を測定する方法は当該分野で公知であって、例えばサザンハ イブリダィゼーシヨン法、ノーザンハイブリダィゼーシヨン法、 in situハイブリダィゼーシ ヨン法、 RT-PCT法等を用いることができる。
本発明の他の態様は、本タンパク質をコードする遺伝子の多型を利用して対象に おける Cペプチドの作用状態を評価する方法に関し、対象において本タンパク質をコ ードする遺伝子の多型 (好ましくは HSPA9B又は HSPA5をコードする遺伝子の多型) を解析するステップを含む。
一般に、遺伝子はそれを構成している DNA配列に個体差が存在する。この個体差 は遺伝子多型と呼ばれる。遺伝子多型には、 1個の塩基が他の塩基に置き換わって いるもの(SNP (single nucleotide polymorphism) )、通常 1〜数十塩基が欠失や挿入 されているもの (挿入 Z欠失型多型)、 2〜数個の塩基力 なる繰り返し配列における 繰り返し数が異なるもの(VNTR (variable number of tandem repeat)及びマイクロサ テライト多型)等が知られている。これらの遺伝子多型は、当該遺伝子の発現状態を 規定したり、当該遺伝子がコードするタンパク質中のアミノ酸を変化させてその機能 に影響を及ぼしたりする場合がある。従って、ある遺伝子の多型を解析することによつ て、当該遺伝子がコードするタンパク質の潜在的機能を評価することができる。そこ で、本タンパク質をコードする遺伝子の多型を調べることによって、本タンパク質の発 現状態及び Z又は作用状態の予測が行える。このようにして得られる予測結果は C ペプチドの作用状態を把握 ·評価することに利用できる。具体的には例えば、ある対 象における本タンパク質の遺伝子多型を解析した結果、本タンパク質が高発現する と考えられたとき又は Cペプチドとの相互作用が良好に行われる状態で本タンパク質 が発現すると考えられたときには、 Cペプチドがその作用を発揮しやすいと予測され ることから、当該対象は Cペプチドの作用が高まることによって引き起こされる疾患に 罹患するリスクが高いと判定することができる。また、当該対象に Cペプチドを投与し た場合に高い作用が得られると判定することができる。このようにして得られた情報は 、 Cペプチドを用いた医療的処置 (治療又は予防)における投与計画 (Cペプチドの 投与を中止し、他の治療手段に変更する場合も含む)を立てる際に有用である。
[0026] 上記各方法によって得られた、 Cペプチドの作用状態に関する評価結果は、 Cぺプ チドの作用量の異常によって特徴づけられる疾患 (以下、「本発明の対象疾患」とも いう)の診断に利用できる。従って、本発明は以下の診断方法も提供する。
本発明の診断方法の一態様は、 Cペプチドの作用量の異常によって特徴づけられ る疾患の診断方法であって、配列番号 1のアミノ酸配列を有する第 1タンパク質と、配 列番号 3のアミノ酸配列を有する第 2タンパク質と、及び前記第 1タンパク質又は前記 第 2タンパク質と実質的に相同なタンパク質と、力もなる群より選択される 1以上のタン パク質を、対象 (被験者)から採取されたサンプル中で検出するステップと、及び検出 結果を用 、てサンプル中の Cペプチドの作用状態を評価するステップとを含む。 また、本発明の他の態様は、 Cペプチドの作用量の異常によって特徴づけられる疾 患の診断方法であって、配列番号 1のアミノ酸配列を有する第 1タンパク質をコードす る核酸と、配列番号 3のアミノ酸配列を有する第 2タンパク質をコードする核酸と、前 記第 1タンパク質又は前記第 2タンパク質と実質的に相同なタンパク質をコードする 核酸とからなる群より選択される 1以上の核酸を、対象 (被験者)から採取されたサン プル中で検出するステップと、及び検出結果を用 、てサンプル中の Cペプチドの作 用状態を評価するステップとを含む。
本発明の更に他の態様は、 Cペプチドの作用量の異常によって特徴づけられる疾 患の診断方法であって、配列番号 1のアミノ酸配列を有する第 1タンパク質をコードす る遺伝子の多型と、配列番号 3のアミノ酸配列を有する第 2タンパク質をコードする遺 伝子の多型と、及び前記第 1タンパク質又は前記第 2タンパク質と実質的に相同なタ ンパク質をコードする遺伝子の多型と、からなる群より選択される 1以上の多型を、対 象カゝら採取されたサンプル中で解析するステップと、及び解析結果を用いてサンプ ル中の Cペプチドの作用状態を評価するステップとを含む。
[0027] 本明細書において「Cペプチドの作用量の異常によって特徴づけられる疾患」とは 、少なくとも一つの特徴として Cペプチドの高発現又は低発現を伴う疾患をいう。従つ て、 Cペプチドの高発現又は低発現が直接的原因となる疾患は勿論のこと、他の原 因によって引き起こされる疾患であっても結果として Cペプチドの高発現状態又は低 発現状態が認められるのであれば当該疾患に含まれる。
ここで、本タンパク質の一つである HSPA5 (別名 glucose regulated protein 78kDa (G RP78))と、糖尿病との間に関連性のあることが報告されている(Biochem Cell Biol. 19 90 Dec;68(12):1428-32. ; Acta Physiol Hung. 1995;83(4):333— 42.)。また、 HSPA5に はアポトーシス抑制作用も確認されている(J. Biol. Chem. 2003, 278(23) 20915-24) 。一方、 Cペプチドにもアポトーシス抑制作用があることが報告されている(Diabetes Metab Res Rev. 2003 Sep— Oct;19(5):375— 85. ; Comment in: Diabetes Metab Res Re v. 2003 Sep— Oct;19(5):345— 7. ; Int J Exp Diabetes Res. 2002 Oct— Dec;3(4):241— 5. ) o Cペプチドに関しては更に、細胞内カルシウムを増加させ eNOSを活性ィ匕すること による血管拡張作用があることが報告されている(Nitric Oxide. 2003 Sep;9(2):95- 10 2.)また、本発明者らの研究の成果として、(1)インスリンと同様に p42/p44 MAPキナ ーゼによるリン酸化を促進すること、(2)インスリンと異なり Aktによるリン酸ィ匕を抑制す ること、(3)Rhoの膜へのトランスロケーションを促進して Rhoキナーゼを活性ィ匕すること が判明し、これらの作用を通じて (4)血管平滑筋細胞の機能に Cペプチドが関与する ことが明ら力となった。
以上の事実を考慮すれば、 Cペプチドの作用量は、アポトーシスや血管拡張作用 が原因となる疾患、例えば糖尿病性合併症 (大血管障害、細小血管障害)及び代謝 異常症候群 (Metabolic syndrome)等に関連性を有すると考えられる。従って、本発 明の方法はこれらの疾患の診断に有効な手段であると期待される。また、特に Cぺプ チドの作用が異常に高い場合にこれを抑えること、又は Cペプチドの作用が異常に 低!、場合にこれを増加させることで、これらの疾患の治療 (症状の改善)又は予防す ることができると期待される。
ここで、 Cペプチドの作用量は第一に Cペプチドの発現量に依存する。即ち、 Cぺ プチドの発現量が異常であれば通常 Cペプチドの作用量も異常となる。このことを考 慮して、本明細書における用語「Cペプチドの作用量の異常によって特徴づけられる 疾患」は、用語「Cペプチドの発現量の異常によって特徴づけられる疾患」と交換可 能に用いられるものとする。従って、 Cペプチドの発現量の異常によって特徴づけら れる疾患も、本発明がその対象とする疾患に該当する。
尚、本明細書において用語「疾患」は、疾病、病気、又は病態など、正常でない状
態を表す用語と交換可能に用いられる。
[0029] Cペプチドの作用量は、本発明の対象疾患に関する有益な情報を与える。即ち、 C ペプチドの作用量と本発明の対象疾患との間には関連性が認められることから、対 象 (ヒトなど)における Cペプチドの作用量を調べることによって、本発明の対象疾患 への罹患の有無、罹患するおそれの程度、及び Z又は病態等を把握ないし評価で きる。また、 Cペプチドの作用量の変化を経時的に測定することによって病態の変動( 改善或いは悪化)をモニターすることもできる。
尚、上述のように、 Cペプチドには抗アポトーシス作用、血管拡張作用、神経保護 作用等が認められている。従って、 Cペプチドの有するこれらの作用の程度を把握な いし評価することに本タンパク質の発現状態等を利用することもできる。即ち、これら の作用の結果として生ずる疾患の判定指標としてのみならず、これらの作用を直接 把握する手段としても本タンパク質は有効である。
[0030] (Cペプチドの作用状態を調節する化合物のスクリーニング方法)
本発明のさらに他の局面は、本タンパク質を利用したスクリーニング方法に関する。 本発明のスクリーニング方法では、本タンパク質 (好ましくは HSPA9B又は HSPA5)とじ ペプチドとを、試験化合物の存在下 (試験群)及び非存在下 (対照群)においてそれ ぞれ接触させるステップ (接触ステップ)が実施される。具体的には例えば、プレート や膜、或 、はビーズ等の不溶性支持体に固定した Cペプチドに反応用溶液内で本 タンパク質を接触させる。試験群では、試験化合物が反応溶液内に存在した状態( 即ち、試験化合物を添加した状態)でこのような接触を実施し、一方の対照群では試 験化合物が反応溶液内に存在しない状態で同様の接触を実施する。次に、所定時 間経過した後、適当な溶液で洗浄することで非特異的結合成分を除去する。続いて 、 Cペプチドと本タンパク質との複合体を検出し、試験群と対照群との間で検出量を 比較する (検出量比較ステップ)。複合体の検出は例えば、本タンパク質に特異的結 合性を有する抗体を用いた免疫学的手法等で実施することができる。
[0031] 本タンパク質と Cペプチドとを接触させる際に用 、る反応用溶液は特に限定されず 、公知又は市販の緩衝液、生理食塩水などを用いることができる。反応条件 (反応用 溶液の組成及び pH等、並びに反応温度、反応時間等)は、 Cペプチドと本タンパク
質との結合性を指標とした実験を基に容易に設定することが可能である。例えば、反 応用溶液としてはリン酸緩衝液、クェン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、トリス酢酸緩衝 液などを用いることができ、その pHは例えば pH6.0〜pH8.0、好ましくは pH6.5〜pH7. 5とする。また、反応温度は例えば 4°C〜45°C、好ましくは 4°C〜40°Cとすることができ る。反応時間については例えば 1分〜 24時間の範囲で設定できる(具体的には例え ばオーバーナイトで反応させる)。
[0032] 不溶性支持体に固定した Cペプチドに対して本タンパク質を接触させるのではなく 、本タンパク質を不溶性支持体に固定し、これに Cペプチドを接触させることにしても よい。この場合には、固相の本タンパク質に結合した Cペプチドを検出することで複 合体の量を求めることができる。
[0033] 検出量比較ステップの結果を用いて、試験化合物の存在による、 Cペプチドと本タ ンパク質との結合態様 (結合量、結合力など)の変化を調べる。具体的には例えば、 試験化合物が存在することによって Cペプチドと本タンパク質との結合量が減少すれ ば、当該試験化合物にはこれら両分子間の結合を阻害ないし抑制する作用があると 判断することができる。これとは逆に、試験化合物が存在することによって Cペプチド と本タンパク質との結合量が増加すれば、当該試験化合物にはこれら両分子間の結 合を促進ないし増強する作用があると判断することができる。このようにして、 Cぺプ チドと本タンパク質との結合性を変化させる化合物、即ち Cペプチドの作用状態を調 節することができる化合物を選抜することができる。選抜された化合物は、 Cペプチド が関与する疾患 (即ち、 Cペプチドの作用量の異常によって特徴づけられる疾患)の 医療措置に対して有効である。例えば、 Cペプチドと本タンパク質の結合を阻害ない し抑制する作用が認められたィ匕合物は、 Cペプチドの作用を抑えることに用いられる ことが期待される。従って、当該化合物は、 Cペプチドの高発現が原因となる疾患の 治療 '予防への応用が期待される。一方、 Cペプチドと本タンパク質の結合を促進な いし増強する作用が認められた化合物は、 Cペプチドの作用を高めることに用いられ 得る。従って、当該化合物は、 cペプチドの低発現が原因となる疾患の治療 '予防へ の応用が期待される。
以上のように、本発明のスクリーニング方法によって選抜された化合物は、 Cぺプチ
ドが関与する疾患に対する薬剤の有力な候補、又はそのような薬剤を開発する際の 有益な材料となる。
[0034] 本発明の他の態様では、細胞ベースのスクリーニング方法が提供される。この態様 では、試験化合物の存在によって、本タンパク質 (好ましくは HSPA9B又は HSPA5)の 細胞内発現量が変化するか否かが調べられる。例えば、試験化合物の存在下で細 胞を所定時間培養するステップ (培養ステップ)と、培養後の細胞内の本タンパク質 の発現量を測定するステップ (発現量測定ステップ)と、前記ステップで得られた本タ ンパク質の発現量を、試験化合物の非存在下で同様に細胞を培養した後の細胞内 の本タンパク質の発現量と比較するステップ (発現量比較ステップ)とを順に実施する 具体的には例えば、まず試験化合物の存在下で培養する細胞群 (試験群)と、同 種の細胞からなり試験化合物の非存在下で培養する細胞群 (対照群)とを用意し、試 験化合物の有無以外は同条件でそれぞれ培養する。培養後、各群について本タン パク質の細胞内発現量を測定する。最後に測定結果を比較する。尚、試験化合物の 非存在下での本タンパク質の細胞内発現量が予め判明している場合には、これを対 照群における本タンパク質の細胞内発現量として試験化合物を評価してもよい。この 場合には、試験化合物の非存在下での培養を省略することができることになる。
[0035] 細胞内発現量は例えば、本タンパク質に特異的結合性を有する抗体を使用する免 疫学的手法を用いて本タンパク質を直接検出することによって測定できる。或いは、 本タンパク質をコードする mRNAを検出することにしてもよい。この場合には、本タンパ ク質をコードする mRNAの量を指標として本タンパク質の発現量が把握される。 mRNA の検出には、特異的なプローブを用いた各種ハイブリダィゼーシヨン法 (例えばサザ ンブロット法)など、常法を採用できる。
[0036] 試験群と対照群との比較結果に基づいて、試験化合物の存在が本タンパク質の細 胞内発現量に影響するか否か、及び影響する場合にはその程度を求める。その結 果、試験化合物が存在することによって、本タンパク質の細胞内発現量に変化がみ られれば、本タンパク質の発現量を調節する作用を試験化合物が有すると判断する ことができる。ここで、本発明者らの検討の結果、本タンパク質は生体における Cぺプ
チドの結合物質であり、 cペプチドの作用が発揮されるキー分子であることが判明し た。即ち、生体における cペプチドの作用状態 (作用量)は本タンパク質の発現量 (及 びァフィユティー)に依存する。このことから、本タンパク質の発現量を調節する作用 を有する試験化合物は、生体において Cペプチドの作用状態を調節することができ るといえる。以上のように、細胞ベースのスクリーニング方法によっても Cペプチドの作 用状態を調節し得る化合物を選抜することができる。
[0037] 本発明のスクリーニング方法にぉ 、て試験群と対照群を同一の細胞 (細胞群)で構 成してもよい。例えば、まず試験化合物の非存在下で細胞を培養して本タンパク質 の発現量を測定した後 (対照群の測定)、培養液に試験化合物を添加し、更に所定 時間培養をする。培養終了後、本タンパク質の細胞内発現量を測定する (試験群の 測定)。
[0038] 本タンパク質を発現可能であるという条件を満たす限り、使用する細胞の種類は問 わない。例えば、 HeLa細胞、 COS細胞、 CHO細胞等、株化された細胞を使用するこ とができる。これらの細胞は ATCCなどの細胞バンク力も容易に入手可能である。ま た、生体より分離された細胞を直接用いることもできる。例えば、ヒト、サル、ゥシ、ゥマ 、マウス、ラット、ゥサギ、 -ヮトリ等力も採取した細胞を本発明のスクリーニング方法に 供することができる。
さらには、ヒト以外の動物細胞 (例えばマウス、ラット、ゥサギ、 -ヮトリなど)であること を条件として、生体から分離されて!、な 、状態 (即ち生体を構成して 、る状態)の細 胞を使用してもよい。この場合には例えば、個体に対して試験化合物を経口又は非 経口投与し、所定時間経過した後に、特定の細胞内(例えば血管平滑筋細胞、神経 系細胞など)における本タンパク質の量を測定する。そして測定量を、本タンパク質を 投与しな!、場合の本タンパク質の量と比較する。
[0039] 分散した状態の細胞ではなぐ細胞間にネットワークの形成が認められる細胞群( 例えば特定の組織を形成した細胞)をスクリーニングに使用することもできる。また、 異なる二種類以上の細胞を併用して本発明のスクリーニング方法を実施してもよい。
[0040] 使用する細胞の数は特に限定されず、本タンパク質の検出量、実験設備等を考慮 して定めることができる。例えば、 1〜105個、好ましくは 10〜104個、更に好ましくは 102
〜103個の細胞を用いることができる。
[0041] (Cペプチドの作用状態を調節する化合物)
本発明のさらに他の局面は、 Cペプチドの作用状態を調節することができる化合物 に関する。具体的には一態様として、 Cペプチド又は配列番号 1のアミノ酸配列を有 するタンパク質に対して特異的結合性を有し、且つ Cペプチドと前記タンパク質との 結合を阻害する抗体が提供される。他の態様として、 Cペプチド又は配列番号 3のァ ミノ酸配列を有するタンパク質に対して特異的結合性を有し、且つ Cペプチドと前記 タンパク質との結合を阻害する抗体が提供される。これらの抗体は例えば、その特異 的結合性を利用して、 Cペプチドと本タンパク質との結合アツセィに用いることができ る。また、当該抗体は、 Cペプチドの作用を阻害する活性を有することから、 Cぺプチ ドの高発現が原因となる疾患に対する薬剤として利用され得る。尚、抗体の作製方法 については、上記本発明の検出方法の欄に記載した方法を採用できる。
[0042] (Cペプチドの作用状態を調節する方法)
本発明のさらに他の局面は、標的細胞内において Cペプチドの作用状態を調節す る方法に関する。この局面の一態様では、標的細胞に本タンパク質 (好ましくは HSPA 9B又は HSPA5)を人為的に導入するステップが実施される。これによつて、 Cペプチド の特異的結合分子である本タンパク質の標的細胞内存在量が増加し、それに伴い C ペプチドの作用量が増強される。従って、 Cペプチドの作用量の増加が標的細胞に 及ぼす影響を調べることができる。換言すれば、 Cペプチドの生理学的作用を調べる ために好適な実験系が提供される。ここで、標的細胞が生体を構成する細胞 (後に 生体に移植される細胞を含む)であれば、生体における Cペプチドの作用量を増大さ せることができる。従って、 Cペプチドの低発現が原因となる疾患に罹患した対象を 治療するために本発明の方法を利用することができる。
本発明の他の態様では、標的細胞に対して、 Cペプチドと本タンパク質との結合を 阻害する化合物を投与するステップが実施される。これによつて、標的細胞内におけ る、 Cペプチドの作用量を低下させることができる。従って、 Cペプチドの作用量の低 下が標的細胞に及ぼす影響を調べることができる。換言すれば、この態様において も Cペプチドの生理学的作用を調べるために好適な実験系が提供される。ここで、標
的細胞が生体を構成する細胞 (後に生体に移植される細胞を含む)であれば、生体 における Cペプチドの作用量を低下させることができる。従って、 Cペプチドの高発現 が原因となる疾患に罹患した対象を治療するために本発明の方法を利用することが できる。
[0043] 本発明の更に他の態様では、標的細胞において本タンパク質 (好ましくは HSPA9B 又は HSPA5)の発現を阻害ないし抑制することによって、 Cペプチドの作用状態を調 節する方法が提供される。本タンパク質の発現の阻害ないし抑制は、アンチセンス法 や RNA干渉によって、或!、はリボザィムの使用によって行うことができる。
[0044] アンチセンス法による発現阻害を行う場合には例えば、標的細胞内で転写されたと きに、本タンパク質をコードする mRNAの固有の部分に相補的な RNAを生成するアン チセンス 'コンストラクトが使用される。このようなアンチセンス 'コンストラクトは例えば、 発現プラスミドの形態で標的細胞に導入される。一方、アンチセンス'コンストラクトと して、標的細胞内に導入されたときに、本タンパク質をコードする mRNAZ又はゲノム DNA配列とハイブリダィズしてその発現を阻害するオリゴヌクレオチド 'プローブを採 用することもできる。このようなオリゴヌクレオチド 'プローブとしては、好ましくは、ェキ ソヌクレアーゼ及び Z又はエンドヌクレアーゼなどの内因性ヌクレアーゼに対して抵 抗性であるものが用いられる。
アンチセンス核酸として DNA分子を使用する場合、本タンパク質をコードする mRNA の翻訳開始部位 (例えば- 10〜+10の領域)を含む領域に由来するオリゴデォキシリ ボヌクレオチドが好ましい。
[0045] アンチセンス核酸と、標的核酸との間の相補性は厳密であることが好ましいが、多 少のミスマッチが存在して 、てもよ 、。標的核酸に対するアンチセンス核酸のハイブ リダィズ能は一般に、両核酸の相補性の程度及び長さの両方に依存する。通常、使 用するアンチセンス核酸が長いほど、ミスマッチの数が多くても、標的核酸との間に 安定な二重鎖 (又は三重鎖)を形成することができる。当業者であれば、標準的な手 法を用いて、許容可能なミスマッチの程度を確認することができる。
[0046] アンチセンス核酸は DNA、 RNA、若しくはこれらのキメラ混合物、又はこれらの誘導 体や改変型であってもよい。また、一本鎖でも二本鎖でもよい。塩基部分、糖部分、
又はリン酸骨格部分を修飾することで、アンチセンス核酸の安定性、ハイブリダィゼ ーシヨン能等を向上させることなどができる。また、アンチセンス核酸に、細胞膜輸送 を促す物質(例えば Letsinger et al., 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86:6553-6 556; Lemaitre et al., 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. 84:648-652; PCT Publication No. W088/09810, published December 15, 1988を参照されたい)や、特定の細胞に対す る親和性を高める物質などを付加してもよ 、。
アンチセンス核酸は例えば市販の自動 DNA合成装置 (例えばアプライド 'バイオシ ステムズ社等)を使用するなど、常法で合成することができる。核酸修飾体や誘導体 の作製には例えば、 Stein et al.(1988), Nucl. Acids Res. 16:3209や Sarin et al., (198 8), Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:7448- 7451等を参照することができる。
[0047] 標的細胞内におけるアンチセンス核酸の作用を高めるために、 pol IIや pol IIIといつ た強力なプロモーターを利用することができる。即ち、このようなプロモーターの制御 下に配置されたアンチセンス核酸を含むコンストラクトを標的細胞に導入すれば、当 該プロモーターの作用によって十分な量のアンチセンス核酸の転写を確保できる。 アンチセンス核酸の発現は、哺乳動物細胞 (好ましくはヒト細胞)で機能することが 知られている任意のプロモーター(誘導性プロモーター又は構成的プロモーター)に よって行うことができる。例えば、 SV40初期プロモーター領域(Bernoist and Chambon , 1981, Nature 290:304-310)、ラウス肉腫ウィルスの 3'末端領域由来のプロモーター( Yamamoto et al., 1980, Cell 22:787-797)、疱疹チミジン'キナーゼ 'プロモーター (Wa gner et al., 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:1441- 1445)等のプロモーターを 使用することができる。
[0048] 本発明の一態様では、 RNA干渉(RNAi)により本タンパク質の発現阻害を行う。 RN Aiは、真核細胞内で引き起こすことが可能な、配列特異的な転写後遺伝子抑制のプ ロセスである。 RNA干渉では、標的 mRNAの配列に対応する配列を有する二本鎖 RN A (dsRNA)が使用される。哺乳動物細胞は、 dsRNAの影響を受ける 2つの経路 (配列 特異的経路及び配列非特異的経路)を有することが知られて!/、る。配列特異的経路 においては、比較的長い dsRNAが短い干渉性の RNA (siRNA)に分割される。この siR NAは、それぞれが 3'末端に突出部を有する約 19ヌクレオチドの siRNAを形成する約 2
1ヌクレオチドのセンス及びアンチセンス鎖を有する。他方、配列非特異的経路は、 所定の長さ以上であれば配列に関係なぐ任意の dsRNAによって惹起されると考えら れている。この経路では、 dsRNAが二つの酵素、即ち、活性型となり翻訳開始因子 el F2をリン酸化することでタンパク質合成のすべてを停止させる PKRと、 RNAase L活性 化分子の合成に関与する 2',5'オリゴアデニル酸シンターゼが活性化される。本発明 の方法では、この非特異的経路の進行を最小限に留めるために、約 30塩基対より短 い dsRNAを使用することが好ましい (Hunter et al. (1975) J Biol Chem 250: 409-17; Manche et al. (1992) Mol Cell Biol 12: 5239—48; Minks et al. (1979) J Biol Chem 25 4: 10180-3;及び Elbashir et al. (2001) Nature 411: 494- 8を参照されたい)。
尚、 RNAiは様々な細胞種(例えば、 HeLa細胞、 NIH/3T3細胞、 COS細胞、 293細 胞等)にお 、て遺伝子発現を減少させる効果的な手段であることが確認されて 、る。 また、通常は、アンチセンス法よりも効果的に発現阻害を行える。
[0049] RNAiに使用する dsRNAは、化学合成によって、又は適当な発現ベクターを用いて i n vitro又は in vivoで調製することができる。後者の方法は、比較的長い dsRNAの調 製を行うことに特に有効である。 dsRNAの設計には通常、標的核酸に固有の配列 (連 続配列)が利用される。尚、適当な標的配列を選択するためのプログラム及びアルゴ リズムが開発されている。
[0050] 本発明の他の一態様ではリボザィムにより本タンパク質の発現阻害を行う。部位特 異的認識配列で mRNAを開裂させるリボザィムを用いて、本タンパク質をコードする m RNAを破壊することもできる力 好ましくはハンマーヘッド'リボザィムを使用する。ノヽ ンマーヘッド'リボザィムの構築方法については例えば Haseloff and Gerlach, 1988, N ature, 334:585-591を参考にすることができる。
アンチセンス法の場合と同様に、例えば安定性やターゲット能を向上させることを目 的として、修飾されたオリゴヌクレオチドを用いてリボザィムを構築してもよい。効果的 な量のリボザィムを標的細胞内で生成させるために、例えば、強力なプロモーター( 例えば pol IIや pol III)の制御下に、当該リボザィムをコードする DNAを配置した核酸 コンストラクトを使用することが好ましい。
[0051] (本発明の方法に使用されるキット)
上記本発明の各方法 (本タンパク質を検出対象とした検出方法、本タンパク質を利 用したスクリーニング方法など)を、キットィ匕した試薬等を用いて実施してもよい。本発 明の他の局面はこのような目的に使用されるキットを提供する。例えば、本タンパク質 を検出対象とした検出方法に使用されるキットの場合、その構成要素 (成分)として、 本タンパク質に特異的結合性を有する試薬 (第 1試薬)を含む。第 1試薬は好ましくは 抗体又は抗体断片である。また、第 1試薬として、検出可能な標識物質が結合したも のを用いれば、当該標識物質の量を指標として直接的な検出 (測定)が可能となる。 他方、当該試薬に対して特異的に結合する試薬 (第 2試薬)であって、標識物質が結 合したもの (例えば標識ィ匕二次抗体)を用いれば、第 1試薬を介して結合した第 2試 薬力 得られる標識量を指標として、第 1試薬の結合量を間接的に検出することが可 能である。以上の試薬に加えて本発明のキットには、第 1試薬等を使用する反応に必 要な希釈液、反応液、反応容器等を含めることができる。
一方、本発明のスクリーニング方法に使用されるキットの場合、典型的には、その構 成要素 (成分)として、 Cペプチドを含む第 1試薬と、本タンパク質 (例えば、 HSPA9B 又は HSPA5)を含む第 2試薬とを含む。 Cペプチド又は本タンパク質が不溶性支持体 に結合した状態であってもよい。第 1試薬又は第 2試薬を予め標識ィ匕しておけば、 C ペプチドと本タンパク質との結合量を直接検出可能なキットとなる。一方、 Cペプチド 又は本タンパク質に対して特異的結合性を有し、標識化された化合物 (例えば抗体) をキットに同梱することにしてもよい。力かるキットを使用した場合には、標識化化合 物の量 (標識量)を指標にして Cペプチドと本タンパク質の結合量が間接的に検出さ れる。
尚、本発明のキットには通常、使用説明書が添付される。
実施例 1
[0052] < Cペプチドに特異的結合性を有するタンパク質の分離'精製、及び同定 >
1. Cペプチド結合カラムの作製
約 lmlの NHS- activated Sepharose 4 Fast Flow (アマシャムバイオサイエンス、 71-50
00-14)に Cペプチド 2mgを製造元より供与された所定の方法に従 、結合させた。
[0053] 2. Cペプチド特異的結合タンパク質の分離 ·精製
以下の手順で、 cペプチドに特異的結合性を有するタンパク質の分離'精製を試み た。
(1) 10%FCS添加 DMEM、 5%CO、 37°Cの条件で培養したヒト大動脈平滑筋細胞を 15c
2
mシャーレ 10枚より回収した (細胞数約 1 X 108個)。
(2)回収した細胞を、 Lysis buffer 1.5ml : 25mM Tris- HCl(pH7.5)、 1% NP40、インヒビタ 一(Complete Mini,ロッシュ、 1 836 153)に懸濁し、 4°Cで 30min放置した。この処理に よって細胞を可溶ィ匕した。
(3)上記処理後、 15,000 X g、 lOminの条件で遠心処理し、上清を回収した (細胞抽出 液、約 lml)。
(4)細胞抽出液と、 1.で作製した Cペプチド結合カラム(lml)とを室温で反応させた。
(5)反応終了後、 Lysis buffer (lml)で洗浄し (3回)、 Cペプチド結合カラムに非特異的 に結合した成分を除去した。
(6) 0.1Mグリシン (pH3.0) lmlによって、洗浄処理後の Cペプチド結合カラム力も結合 成分を溶出させた(1回)。尚、溶出液は直ちにグリシン (pH 3.0)で中和させた。
(7)中和後の溶出液を、ポリエチレングリコールを用いて約 100 1 (約 10倍濃縮)にな るまで濃縮した (サンプル溶液)。
(8)以上の手順で得られたサンプル溶液を SDS-PAGEにて分離した後、銀染色に供し た。
[0054] 染色後のゲルを図 1上段に示す。左レーン:上記手順で調製したサンプル溶液の 泳動結果 (Cペプチド (+))、右レーン: Cペプチド結合カラムの代わりに、 Cペプチドを 結合させていない NHS- activated Sepharose 4 Fast Flowを用い、それ以外は同様の 手順で調製した対照サンプルの泳動結果 (Cペプチド (-))である。尚、図 1下段では、 バンド位置を線(1、 2)で示している。図 1から明らかなように、左レーン (Cペプチド (+ ))では二つのバンドが認められる。即ち、 Cペプチド結合カラムに特異的に結合する 二種類のタンパク質が得られた。泳動度より、これらのタンパク質の分子量はそれぞ れ約 70kDa及び約 68kDaと推定された。
[0055] 3. Cペプチド特異的結合タンパク質の同定
次に、分離に成功した二種類のタンパク質の同定を試みた。まず、上記と同様の手
順 ((1)〜 ))でサンプル溶液を調製した後、 SDS-PAGEによる分離及び PVDF膜への 転写を行い、 MALDI- TOF/MS解析(PMF解析)を実施した。その結果、 SDS- PAGE で約 70kDaのバンドとして観察されたタンパク質は熱ショック 70kDaタンパク質 9B前駆 体(ACCESSION: NP— 004125, DEFINITION: heat shock 70kDa protein 9B precurso r; heat shock 70kD protein 9; stress— 70 protein, mitochondrial; 75 kDa glucose regu lated protein; peptide— binding protein 74; mortalin, perinuclear; p66— mortalin; heat shock 70kD protein 9B (mortalin— 2) [Homo sapiens], Entrez Protein, NCBI, http:// www.ncbi.nlm.nih.gov/)であることが判明した。他方、 SDS- PAGEで約 68kDaのバンド として観察されたタンパク質は熱ショック 70kDaタンパク質 5 (ACCESSION: NP.005338 , DEFINITION: heat shock 70kDa protein 5 (glucose- regulated protein, 78kDa); He at- shock 70kD protein- 5 (glucose-regulated protein, 78kD); heat shock 70kD prote in 5 (glucose-regulated protein, 78kD) [Homo sapiens], Entrez Protein, NCBI, http: //www.ncbi.nlm.nih.gov/)であることが半 IJ明した。
実施例 2
<同定された二種類のタンパク質の機能確認 >
同定された二種類のタンパク質の Cペプチドに対する結合能を確認するために、以 下の手順で競合実験を実施した。
(1) 10%FCS添加 DMEM、 5%CO、 37°Cの条件で培養したヒト大動脈平滑筋細胞を 15c
2
mシャーレ 10枚より回収した (細胞数約 1 X 108個)。
(2)回収した細胞を、 Lysis buffer 1.5ml : 25mM Tris- HCl(pH7.5)、 1% NP40、インヒビタ 一(Complete Mini,ロッシュ、 1 836 153)に懸濁し、 4°Cで 30min放置した。この処理に よって細胞を可溶ィ匕した。
(3)上記処理後、 15,000 X g、 lOminの条件で遠心処理し、上清を回収した (細胞抽出 液、約 lml)。
(4)細胞抽出液と Cペプチド結合カラム(実施例 1の 1.を参照、 1ml)とを、 Cペプチド の存在下、室温で反応させた。対照 1 (Cペプチド (-)カラム)として、細胞抽出液を、 C ペプチドを結合させていない NHS- activated Sepharose 4 Fast Flowと同様の条件で 反応させた。また、対照 2 (競合阻害なし)として、細胞抽出液と Cペプチド結合カラム
とを cペプチドの非存在下で同様に反応させた。
(5)反応終了後、 Lysis buffer (lml)で洗浄した (3回)。
(6) 0.1Mグリシン (pH3.0) lmlによって溶出させた(1回)。尚、溶出液は直ちにグリシ ン (pH 3.0)で中和させた。
(7)中和後の溶出液を、ポリエチレングリコールを用いて約 100 1 (約 10倍濃縮)にな るまで濃縮した (サンプル溶液)。
(8)以上の手順で得られたサンプル溶液を SDS-PAGEにて分離した後、銀染色に供し た。
[0057] 染色後のゲルを図 2に示す。 A:対照 1 (Cペプチド (-)カラム)、 B:対照 2 (Cペプチド (+)カラム、競合阻害なし)、 C :サンプルレーン (Cペプチド (+)カラム、競合阻害)であ る。図 2から明らかなように、 Cペプチドの競合阻害によって、 70kDa付近に認められ た 2種類のバンド(約 70kDa、約 68kDa)が消失した。このことから、過剰のフリーの Cぺ プチドが、カラムとこれら 2種類のタンパク質の結合を競合的に阻害したことが分かる 。すなわち、 Cペプチド結合カラムで精製されてきた 2種類のタンパク質は Cペプチド に対して特異的結合性を有すると言える。
実施例 3
[0058] <同定されたタンパク質の発現実験及び機能の検証 >
1.ヒト由来細胞における HSPA5及び HSPA9Bの存在確認
ヒト血管内皮細胞(HUVEC)、ヒト胎児腎臓細胞(HEK)、 HeLa細胞力も Total RNA を抽出した後、 cDNAに変換し、 HSPA5又は HSPA9B特異的プライマーを用いて PCR を実施した。 PCR後の反応液を電気泳動に供した。電気泳動の結果を図 3に示す。 図 3の上段には HSPA5特異的プライマーによる増幅産物が示され、同下段には HSP A9B特異的プライマーによる増幅産物が示される。 PCRに使用した铸型は次の通りで ある。左のレーンから順に (l)HUVEC cDNA、 (2)HUVEC Total RNA、 (3)HEK cDNA 、 (4)HEK Total RNA、(5)HeLa cDNA、 (6)HeLa Total RNA、(7)铸型なし。
図 3から明らかなように、 HUVEC細胞、 HEK細胞及び HeLa細胞において HSPA5及 び HSPA9Bが発現して!/、ることが確認された。
[0059] 2. HSPA5及び HSPA9Bのクロー-ング
まず、 HEK細胞から PCRにて HSPA5及び HSPA9Bをクローユングした。次に、 Gatew ayシステム (インビトロジェン)を利用するため、クローユングした cDNAを組み込んだ エントリークローンを作製した。得られたエントリークローンを用いて大腸菌発現用及 び哺乳類発現用ベクターをそれぞれ作製した。尚、大腸菌発現用として cDNAクロー ンの C末端側に GST-tagが付加されるようにし、哺乳類発現用として cDNAクローンの C末端側に His- tag、 GFP- tagが付カ卩されるようにした。
[0060] 3.大腸菌での発現
2.で得た大腸菌発現用ベクター(HSPA5発現ベクター、 HSPA9B発現ベクター)で 大腸菌を形質転換した。 IPTGで発現誘導させた後、菌体破砕液より GST融合タンパ ク質を精製し、ウェスタンプロットに供した。ウェスタンプロットの結果を図 4に示す。左 側のレーン ((1)〜(3))は、 HSPA5発現ベクターで形質転換した大腸菌力も得たサン プルについての結果、右側のレーン ((1)〜(3))は HSPA9B発現ベクターで形質転換 した大腸菌力も得たサンプルについての結果である。また、(1)は大腸菌可溶化後の 遠心処理によって得られた沈殿画分をアプライしたレーン、(2)は大腸菌可溶化後の 遠心処理によって得られた上清画分をアプライしたレーン、(3)は大腸菌可溶化後の 遠心処理によって得られた上清を Glutachione- Sepharose 4Bで精製したものをァプラ ィしたレーンである。
図 4からわかるように、予想される位置 (矢印)より低 、位置にバンドが観察される。 また、 HSPA9Bについては、 GSPビーズで抽出される量の減少が認められる。これらの 結果より、 目的のタンパク質 (HSPA5及び HSPA9B)が完全長の状態で発現されて!ヽ ないと推測された。
[0061] 4.哺乳類細胞での発現
(1)ウェスタンプロットによる発現確認
2.で得た哺乳類発現用ベクター(HSPA5発現ベクター、 HSPA9B発現ベクター)で HEK細胞を形質転換した。形質転換には Effecteneを利用した。細胞破砕液より Co b eadsを利用して His-tag融合タンパク質を抽出し、ウェスタンブロットに供した。ウェス タンプロットの結果を図 5に示す。左欄及び右欄ともに、左から順に空ベクターで形質 転換した HEK細胞から得たサンプルレーン(コントロール)、 HSPA5発現ベクターで形
質転換した HEK細胞から得たサンプルレーン(HSPA5)、 HSPA9B発現ベクターで形 質転換した HEK細胞力も得たサンプルレーン(HSPA9B)である。左欄において、(1) は細胞破砕液をアプライしたレーン、(2)は Co-beads抽出液をアプライしたレーンであ る。同様に右欄において、(1)は細胞破砕液をアプライしたレーン、(2)は細胞破砕液 を遠心処理した後の上清をアプライしたレーン、(3)は Co-beads抽出液をアプライした レーンである。
図 5に示すように、 Co beadsで抽出されたサンプルをアプライしたレーンにおいて、 予想される位置にバンドが観察され、 HSPA5、 HSPA9Bともに完全長の状態で発現さ れていることがわ力る。
[0062] (2)蛍光免疫染色による発現確認
まず、 35mm dishに HEK細胞を播いた。続いて、 2.で得た哺乳類発現用ベクター( HSPA5発現ベクター、 HSPA9B発現ベクター)で HEK細胞を形質転換した(HSPA5- H is (0.4ug)、 HSPA9B- His (0.4ug) )。形質転換には Effecteneを利用した。形質転換後 の細胞を回収し、 1 X 1ガラスチャンバ一に播種した。 Anti-V5 (Alexa 488 mouse)、へ キストを用いた蛍光免疫染色を行った。染色結果を図 6に示す。図 6の上段はコント口 ール (空ベクターで形質転換した HEK細胞の染色結果)である。中段は HSPA5発現 ベクターで形質転換した HEK細胞の染色結果であり、蛍光が観察される。同様に、 下段は HSPA9B発現ベクターで形質転換した HEK細胞の染色結果であり、蛍光が観 察される。これらの結果から明らかなように、哺乳類細胞において HSPA5-His及び HS PA9B-Hisを強制発現させることに成功した。
[0063] 5. Cペプチドとの結合実験
ウェスタンブロットで HSPA5の Cペプチド結合性を検証した。図 7に示すプロトコール に従ってサンプルを調製し、ウェスタンブロットに供した。ウェスタンブロットの結果を 図 8に示す。各レーンにアプライしたサンプルは次の通りである。即ち、(3)は HSPA5 発現ベクターで形質転換した細胞力 調製した細胞破砕液の上清画分の中で Cぺ プチドビーズに結合した成分、(4)は Cペプチドビーズの代わりにペプチド未結合ビー ズを反応させて得られたサンプルである。また、(1)は HSPA5発現ベクターで形質転 換した細胞力 調製した細胞破砕液、(2)は空ベクターで形質転換した細胞力 調製
した細胞破砕液、(5)は空ベクターで形質転換した細胞力 調製した細胞破砕液の上 清画分の中で Cペプチドビーズに結合した成分、(6)は空ベクターで形質転換した細 胞力 調製した細胞破砕液の上清画分の中でペプチド未結合ビーズに結合した成 分、(7)は HSPA5発現ベクターで形質転換した細胞力 調製した細胞破砕液の上清 画分をまず Cペプチドと反応させた後、 Cペプチドビーズと反応させた場合に Cぺプ チドに結合した成分、(8)は空ベクターで形質転換した細胞力 調製した細胞破砕液 の上清画分をまず Cペプチドと反応させた後、 Cペプチドビーズと反応させた場合に Cペプチドに結合した成分である。
図 8から明らかなように、(3)のレーンに明確なバンドが認められる。また、(4)のレー ンにもかすかにバンドが観察される。また、その他のレーンではバンドが認められな い。これらの結果より、非特異的な結合が僅かに認められものの、強制発現させた HS PA5が Cペプチドに結合することが確認された。
[0064] 6.細胞膜表面での発現確認
HUVEC細胞を 1 X 1ガラスチャンバ一に播き、 Cペプチド(0.3nM、 lOmin)及び TG (ト リグリセリド luM、 5hr)で刺激した後、抗 HSPA5抗体(2次抗体として FITC抗ャギ抗体 を使用)を用いて免疫染色し、蛍光を観察した。免疫染色の結果を図 9に示す。図 9 の右欄は抗 HSPA5抗体及び FITC抗ャギ抗体を反応させて得た染色像である。一方 、左欄は FITC抗ャギ抗体のみを反応させた場合 (コントロール)の染色結果である。 図 9から明らかなように、 HSPA5が膜表面に存在していることが示唆された。
[0065] 7. HSPノックダウン時の Cペプチドに対する反応
Cペプチド刺激による細胞応答の指標として ERK活性ィ匕を解析した。もし、 HSPがこ の反応に関与しているのであれば、 HSPノックダウンにより ERK活性ィ匕が抑制されるこ とになる。
実験手順の概要は次の通りである(詳細を図 10に示す)。まず、 HSPA5に対するモ ルフォリノオリゴで構成されるセンス鎖、アンチセンス鎖を Endo-Porterにより HUVEC 細胞に導入した。所定の時間後 Cペプチド刺激を行い、 ERK活性ィ匕を抗リン酸化 ER K抗体によるウェスタンブロッテイングにて評価した。
結果を図 11に示す。センス鎖を導入した HUVEC細胞では Cペプチド刺激により ER
Kの活性化が認められたが(図 11の Νο.2)、アンチセンス鎖を導入した HUVEC細胞 では ERK活性ィ匕が有意に抑制された(図 11の Νο.4)。この結果より、 Cペプチド刺激 による ERK活性ィ匕の機序の一つとして HSPを介した経路の存在が示唆された。
産業上の利用可能性
[0066] 本発明によって、 Cペプチド特異的結合分子が明らかとなり、その医療'診断分野 への応用が図られる。また、 Cペプチドの作用機序の解明などにとっても有益な手段 が提供される。
本発明における Cペプチド特異的結合分子は、インスリン抵抗性のみならず Cぺプ チド抵抗性がある場合に特に有効な治療ターゲットになると予想される。また、 Cぺプ チドの枯渴する 1型糖尿病については、当該分子のァゴ-ストなど、当該分子の活性 化を制御する薬剤によって抗アポトーシス作用や血管拡張作用を発揮させることによ つて、糖尿病性合併症の発症 (大血管障害、及び細小血管障害)を抑制できる可能 '性がある。
現在、ペプチドに関連して糖尿病の範疇で特に注目されているのは血管拡張作用 と神経保護作用による神経障害の治療効果である。これらについて、本発明におけ る Cペプチド特異的結合分子が関与している可能性は高い。従って、 Cペプチドの作 用機構の解明に必須であるのみならず、この分子そのものが今後の創薬ターゲットに なると考免られる。
[0067] この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものでは ない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々 の変形態様もこの発明に含まれる。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その 全ての内容を援用によって引用することとする。