明 細 書
装着型情報提示装置
技術分野
[0001] 本発明は、ユーザの体の一部に装着された状態でユーザに情報を提示する装置 に関する。
背景技術
[0002] 近年、ゴーグルやへルメットのような形状の HMD (Head Mounted Display)と呼ば れる情報提示装置が普及しつつある。 HMDを頭部に装着すると、左右の目のすぐ 前に画像が一つずつ提示される。左右の画像を少しずつ異ならせることによって、立 体感を表現することができるものもある。ユーザに提示する情報は静止画に限らない 。テレビ番組のような映像やテキストなどもユーザに提示することができる。
[0003] HMDは二つの型に大別することができる。一つは、外界光の入射を遮断して仮想 の画像のみをユーザに提示する密閉型である。もう一つは、外界光の入射による自 然画像とともに仮想の画像をユーザに提示する透過型である。
[0004] 透過型の HMDによれば、行動(歩行など)しながらも情報を視認することができる。
ただし、外界のシーンと、ユーザに提示する情報 (以下「提示情報」という)との相互作 用によって、提示情報を視認しに《なる場合がある。
[0005] 例えば、提示情報の色と、この提示情報とオーバラップする部分の外界の色とが類 似している場合は、提示情報を視認しに《なる。そこで、外界の色に応じて提示情 報の色を制御する HMDが提案されている(例えば特許文献 1)。この従来の HMD では、外界をモニターするカメラによって外界の色を検出する。そして、提示情報の 色と、この提示情報とオーバラップする部分の外界の色とが類似してレ、るかどうかを 判定し、両者が類似している場合は、提示情報の色を変更する。このようにすれば、 外界の色と類似しない色でユーザに情報を提示することができるので、外界との関係 で提示情報が視認しに《なるという問題は生じない。
[0006] し力しながら、この従来の HMDによると、テレビ番組を視聴ながら歩行等の行動を 伴う場合、テレビ番組を視聴することに没入してしまい、行動が妨げられるという課題
がある。そこで、近年では、静止状態などユーザの安全が確保されているときのみに 情報が提示される HMDも提案されている(例えば特許文献 2)。
特許文献 1:特開平 9 101477号公報
特許文献 2:特許第 3492942号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] し力しながら、特許文献 2に開示される HMDによると、ユーザの安全が確保されて レ、るときしか情報が提示されないので、行動と情報視聴とを両立することができないと レ、う課題がある。すなわち、静止状態でなくても、ある程度の情報視聴ならユーザの 安全を損なわない場合があり、このような場合は、適度に情報を提示するのが望まし レ、。
[0008] 本発明は、前記課題を解決するものであって、ユーザの安全性に配慮しながら行 動と情報視聴とを両立させ得る装着型情報提示装置を提供することを目的とする。 課題を解決するための手段
[0009] 前記目的を達成するために、本発明に係る装着型情報提示装置は、ユーザの体の 一部に装着された状態でユーザに情報を提示する装置であって、ユーザの状況を 取得する状況取得手段と、ユーザが情報を視聴することに適応している度合いを示 す視聴適応度を記憶する視聴適応度記憶手段と、前記視聴適応度記憶手段によつ て記憶されている視聴適応度の中から、前記状況取得手段によって取得されたユー ザの状況に対応する視聴適応度を決定する視聴適応度決定手段と、前記視聴適応 度決定手段によって決定された視聴適応度に基づいて、ユーザに情報を提示する 方式を決定する提示方式決定手段と、前記提示方式決定手段によって決定された 提示方式によってユーザに情報を提示する提示手段とを備える。これによつて、視聴 適応度に対応する提示方式でユーザに情報が提示されることになるので、ユーザの 安全性に配慮しながら行動と情報視聴とを両立させることが可能となる。
[0010] ここで、前記装着型情報提示装置は、さらに、前記視聴適応度の変化を判定する 変化判定手段を備え、前記提示方式決定手段は、前記視聴適応度の変化に基づい て提示方式を決定してもよい。これによつて、視聴適応度の変化が判定されるので、
刻々と変化するユーザの状況に応じて適切な提示方式が決定されることになる。
[0011] また、前記提示方式決定手段は、前記視聴適応度が低下した場合、前記提示手 段によって提示される情報のサイズを減少させる提示方式を決定し、前記視聴適応 度が上昇した場合、前記提示手段によって提示される情報のサイズを増加させる提 示方式を決定してもよい。これによつて、提示部における提示可能面積に対する実 提示面積が適切に調整されるため、必要に応じて提示情報や外景に注意を払えるよ うになる。
[0012] 前記提示方式決定手段は、前記視聴適応度が低下した場合、前記提示手段によ つて提示される情報の位置を中央から遠ざける提示方式を決定し、前記視聴適応度 が上昇した場合、前記提示手段によって提示される情報の位置をを中央に寄せる提 示方式を決定してもよい。これによつて、ユーザの意識が集中しやすい提示部の中 央部分についての提示が制御されるため、必要に応じて提示情報や外景に注意を 払えるようになる。
[0013] 前記提示方式決定手段は、前記視聴適応度が低下した場合、前記提示手段によ つて提示される情報の表示透明度を上昇させる提示方式を決定し、前記視聴適応度 が上昇した場合、前記提示手段によって提示される情報の表示透明度を低下させる 提示方式を決定してもよい。これによつて、表示透明度を上昇させるほど、提示情報 に重なる外景に注意を払えるようになる。
[0014] 前記提示方式決定手段は、前記視聴適応度が低下した場合、前記提示手段によ つて提示される情報の再生を中断する提示方式を決定し、前記視聴適応度が上昇し た場合、前記提示手段によって提示される情報の再生を再開する提示方式を決定し てもよレ、。このように、適切に再生が中断されるので、外景に注意を払えるようになる 。また、適切に再生が再開されるので、外景に注意を払っている間に提示情報の内 容に追従できなくなるという不具合や、追従するために提示情報を巻き戻さなければ ならないという不具合は生じない。
[0015] 前記視聴適応度決定手段は、ユーザの視野映像の変化量が増加した場合、前記 視聴適応度を低下させ、ユーザの視野映像の変化量が減少した場合、前記視聴適 応度を上昇させてもよい。これによつて、ユーザの目前の状況が大きく変わった時に
、外景に注意を払えるようなる。
[0016] 前記視聴適応度決定手段は、ユーザの身体動作の変化量が増加した場合、前記 視聴適応度を低下させ、ユーザの身体動作の変化量が減少した場合、前記視聴適 応度を上昇させてもよい。これによつて、ユーザが行動を始めた時や終えた時に、外 景に注意を払えるようなる。
[0017] 前記視聴適応度決定手段は、ユーザの行動範囲が変化した場合、前記視聴適応 度を低下させてもよい。これによつて、電車の乗り降りなど、ユーザの行動範囲が変わ つた時に、外景に注意を払えるようになる。
[0018] なお、本発明は、このような装着型情報提示装置として実現することができるだけで なぐこのような装着型情報提示装置が備える特徴的な手段をステップとする装着型 情報提示方法として実現したり、それらのステップをコンピュータに実行させるプログ ラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、 CD-ROM 等の記憶媒体やインターネット等の伝送媒体を介して配信することができるのは言う までもない。
[0019] また、構成図(図 3)の各機能ブロックは典型的には集積回路である LSIとして実現 される。これらは個別に 1チップィ匕されても良いし、一部又は全てを含むように 1チッ プ化されても良レ、。ここでは、 LSIとした力 集積度の違いにより、 IC、システム LSI、 スーパー LSI、ウルトラ LSIと呼称されることもある。
[0020] また、集積回路化の手法は LSIに限るものではなぐ専用回路又は汎用プロセサで 実現してもよレ、。 LSI製造後に、プログラムすることが可能な FPGA (Field Program腿 ble Gate Array)や、 LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギ ユラブル'プロセッサーを利用しても良い。
[0021] さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術により LSIに置き換わる集積回 路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用レ、て機能ブロックの集積化を行って もよレ、。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
発明の効果
[0022] 以上の説明から明らかなように、本発明に係る装着型情報提示装置よれば、ユー ザの安全性に配慮しながら行動と情報視聴とを両立させることが可能となる。し力も、
刻々と変化するユーザの状況に応じて適切な提示方式が決定される。 図面の簡単な説明
[0023] [図 1]図 1は、本発明に係る HMDをユーザが装着している状態を示す図である。
[図 2]図 2は、本発明に係る別の HMDをユーザが装着している状態を示す図である
[図 3]図 3は、本発明に係る装着型情報提示装置の構成図である。
[図 4]図 4は、ユーザの状況と視聴適応度との対応表を示す図である。
[図 5]図 5は、本発明に係る装着型情報提示装置の動作図である。
[図 6]図 6は、本発明に係る装着型情報提示装置の動作図である。
[図 7]図 7は、本発明に係る装着型情報提示装置の動作図である。
[図 8]図 8は、本発明に係る装着型情報提示装置の動作図である。
[図 9]図 9は、本発明に係る装着型情報提示装置の動作図である。
[図 10]図 10 (A)及び図 10 (B)は、ユーザの視野映像の変化を示す図である。
[図 11]図 11 (A)及び図 11 (B)は、ユーザの視野映像の変化を示す図である。
[図 12]図 12は、本発明に係る装着型情報提示装置の動作図である。
[図 13]図 13は、本発明に係る装着型情報提示装置の動作図である。
[図 14]図 14 (A)は、歩行中のユーザに対する提示例を示す図であり、図 14 (B)は、 電車内のユーザに対する提示例を示す図である。
符号の説明
[0024] 101 状況取得部
102 変化判定部
103 提示方式決定部
104 提示部
105 視聴適応度決定部
106 視聴適応度記憶部
発明を実施するための最良の形態
[0025] 以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[0026] (実施の形態 1)
図 1は、本発明に係る HMD (Head Mounted Display)をユーザが装着している状態 を示す図である。この HMDは、ゴーグルやへルメットのような形状の装着型情報提 示装置であって、ユーザに情報を提示するための各種制御をする計算機 11と、 LC D (Liquid Crystal Display)等の表示装置 12と、ユーザの眼前に配置される光学素子 (提示幕) 13と、音声案内用のヘッドホン 14と、当該 HMDをユーザ 1の頭部に装着 するための装着部材 15と、インターネット等から提示情報を受信するための受信機 1 6とを備える。
[0027] 光学素子 13の一方の面は凹状の非球面であり、その上にハーフミラー膜が塗布さ れて、表示装置 12に表示された情報を反射して虚像を形成する。また、光学素子 13 の他方の面は凸状の非球面であり、外界を観察できるようになつているため、ユーザ は、外界とオーバラップして表示装置 12に表示された情報を視認することになる。
[0028] 図 2は、本発明に係る別の HMDをユーザが装着している状態を示す図である。こ の HMDは、図 1に示す受信機 16に代えて、提示情報を予め格納した格納部 18と、 格納部 18を計算機 11と接続するケーブル 17とを備える。格納部 18は例えばパーソ ナルコンピュータにより実現されてもよぐまた、このパーソナルコンピュータは LAN ( Local Area Network)やインターネット等に接続されていてもよい。
[0029] 図 3は、本発明に係る装着型情報提示装置の構成図である。この装着型情報提示 装置は、ユーザの体の一部に装着された状態でユーザに情報を提示する装置であ つて、機能的には、状況取得部 101と視聴適応度記憶部 106と視聴適応度決定部 1 05と変化判定部 102と提示方式決定部 103と提示部 104とを備えている。
[0030] 状況取得部 101は、ユーザの状況を取得するカメラ、 GPS (Global Positioning Syst em)、加速度センサ、傾きセンサ、磁気センサ、電子タグセンサ等である。ユーザの状 況には、ユーザの視野映像、ユーザの身体動作、ユーザの行動予定、ユーザの現 在位置が含まれる。
[0031] 視聴適応度記憶部 106は、視聴適応度を記憶する。視聴適応度とは、ユーザが提 示情報を視聴することに適応している度合いを示す情報である。ここでは、視聴適応 度をパーセントで表し、その値が高いほど、ユーザが提示情報を視聴することに適応 してレ、ることにする。
[0032] 視聴適応度決定部 105は、視聴適応度を決定する。例えば、図 4に示すように、ュ 一ザの状況と視聴適応度との対応表を視聴適応度記憶部 106が記憶していると仮 定する。この場合、状況取得部 101によってユーザが歩行中である旨の情報が取得 されたときは、視聴適応度が 10%である旨の決定をする。視聴適応度の決定方法は これに限定されるものではなく他の決定方法を採用することもできるが、詳細につい ては後述する。
[0033] 変化判定部 102は、視聴適応度の変化を判定する。例えば、視聴適応度が 10% 力 50%に変化した場合は、視聴適応度が上昇した旨の判定をする。逆に、視聴適 応度が 50%から 10%に変化した場合は、視聴適応度が低下した旨の判定をする。
[0034] 提示方式決定部 103は、変化判定部 102の判定結果に基づいて、ユーザに情報 を提示する方式を決定する。この提示方式には、提示情報の表示サイズ、表示位置 、表示透明度、再生状態の変更方式が含まれる。
[0035] 提示部 104は、提示方式決定部 103によって決定された提示方式によってユーザ に情報を提示する。この提示情報には、放送や通信によって取得したテレビ番組な どの音声付動画像、インターネット上のサーバや自宅のホームサーバから取得したテ キスト、静止画像、動画像、信号などが含まれる。
[0036] 力かる構成によれば、視聴適応度に対応する提示方式でユーザに情報が提示され ることになるので、ユーザの安全性に配慮しながら行動と情報視聴とを両立させること が可能となる。また、視聴適応度の変化が判定されるので、刻々と変化するユーザの 状況に応じて適切な提示方式が決定されることになる。
[0037] なお、状況取得部 101は、ユーザの状況をネットワークを経由して取得してもよい。
例えば、ユーザの行動予定は、インターネット上のサーバから取得してもよい。
[0038] なお、視聴適応度決定部 105は、視聴適応度を決定する上で、ユーザの状況以外 の情報を用いてもよい。例えば、過去の状況の履歴や、他人の状況や、事前に準備 された適応判定ノレールなどを用いてもょレ、。
[0039] なお、提示方式決定部 103は、提示方式を判定する上で、視聴適応度以外の情報 を用いてもよい。例えば、ユーザの状況や、過去の提示方式の履歴や、他人の提示 方式や、事前に準備された提示方式決定ルールなどを用いてもよい。
[0040] なお、提示部 104の具体的態様は様々あり、特に限定されるものではない。例えば 、ヘッドマウントディスプレイ、フェイスマウントディスプレイ、眼鏡型ディスプレイ、透過 型ディスプレイ、網膜投影型ディスプレイ、携帯電話や携帯テレビゃモパイル端末の 情報提示部、などを提示部 104として採用することができる。
[0041] なお、図 3における各部は、一台のコンピュータ上にあってもよいし、一台のコンビュ ータ上になくてもよい。例えば、状況取得部 101と提示部 104とが別の機器にあって もよレ、し、提示方式決定部 103がインターネット上のサーバにあってもよレ、。また、複 数のコンピュータ上に各部が分散していてもよい。また、図 3における各部は、複数存 在してもよレ、。例えば、提示部 104が 2つあってもよい。各ユーザで図 3の各部を共有 してもよい。
[0042] なお、ここでは HMDを例示しているが、本発明に係る装着型情報提示装置が装着 される位置は頭部に限定されるものではない。すなわち、ユーザの体の一部に装着 された状態でユーザに情報を提示する装置である以上、本発明を適用することがで きる。
[0043] 図 5は、本発明に係る装着型情報提示装置の動作図である。ここでは、通勤途中の ユーザが透過型 HMDを装着してテレビ番組を視聴してレ、る場面を想定し、その状 況に応じて提示部 104におけるテレビ番組の表示サイズを変更する動作について説 明する。
[0044] 状況取得部 101は、ユーザの状況を取得する(S201)。
視聴適応度決定部 105は、状況取得部 101によって取得されたユーザの状況に基 づいて視聴適応度を決定する(S202)。
[0045] 変化判定部 102は、視聴適応度決定部 105によって決定された視聴適応度に基 づいて視聴適応度の変化を判定する(S203)。
[0046] 提示方式決定部 103は、視聴適応度が低下した場合、表示サイズを減少させる提 示方式を決定する(S204)。逆に、視聴適応度が上昇した場合、表示サイズを増加 させる提示方式を決定する(S205)。
[0047] 提示部 104は、提示方式決定部 103によって決定された提示方式によってテレビ 番組を提示する(S206)。
[0048] 以上の動作(S201〜S206)を繰り返すことによって、刻々と変化するユーザの状 況に応じて適切な提示方式が決定されることになる。すなわち、提示部 104における 表示可能面積に対する実表示面積が適切に調整されるため、必要に応じて提示情 報や外景に注意を払えるようになる。
[0049] なお、表示サイズを減少させる動作には、表示サイズを 0にして情報が表示されな いようにする動作も含まれる。
[0050] なお、表示サイズの変更に伴って、その変更の過程をアニメーション表示してもよい 図 6は、本発明に係る装着型情報提示装置の動作図である。ここでは、提示部 104 におけるテレビ番組の表示位置を変更する動作について説明する。
[0051] 状況取得部 101は、ユーザの状況を取得する(S301)。
視聴適応度決定部 105は、状況取得部 101によって取得されたユーザの状況に基 づいて視聴適応度を決定する(S302)。
[0052] 変化判定部 102は、視聴適応度決定部 105によって決定された視聴適応度に基 づいて視聴適応度の変化を判定する(S303)。
[0053] 提示方式決定部 103は、視聴適応度が低下した場合、表示位置を中央から遠ざけ る提示方式を決定する(S304)。逆に、視聴適応度が上昇した場合、表示位置を中 央に寄せる提示方式を決定する(S305)。
[0054] 提示部 104は、提示方式決定部 103によって決定された提示方式によってテレビ 番組を提示する(S306)。
[0055] 以上の動作(S301〜S306)を繰り返すことによって、刻々と変化するユーザの状 況に応じて適切な提示方式が決定されることになる。すなわち、ユーザの意識が集 中しやすい提示部 104の中央部分についての提示が制御されるため、必要に応じて 提示情報や外景に注意を払えるようになる。
[0056] なお、表示位置を中央から遠ざける動作には、表示位置を中央から遠ざけて情報 が表示されなレ、ようにする動作も含まれる。
[0057] なお、前記「表示位置の中央」は、提示部 104の情報提示領域の中央でもよいし、 ユーザの視野の中央でもよいし、移動中のユーザの移動方向に対応する領域でもよ
レ、。
[0058] なお、表示位置の変更に伴って、その変更の過程をアニメーション表示してもよレ、。
図 7は、本発明に係る装着型情報提示装置の動作図である。ここでは、提示部 104 におけるテレビ番組の表示透明度を変更する動作について説明する。
[0059] 状況取得部 101は、ユーザの状況を取得する(S401)。
視聴適応度決定部 105は、状況取得部 101によって取得されたユーザの状況に基 づレ、て視聴適応度を決定する(S402)。
[0060] 変化判定部 102は、視聴適応度決定部 105によって決定された視聴適応度に基 づいて視聴適応度の変化を判定する(S403)。
[0061] 提示方式決定部 103は、視聴適応度が低下した場合、表示透明度を上昇させ、よ り透明とする提示方式を決定する(S404)。逆に、視聴適応度が上昇した場合、表示 透明度を低下させ、より不透明とする提示方式を決定する(S405)。
[0062] 提示部 104は、提示方式決定部 103によって決定された提示方式によってテレビ 番組を提示する(S406)。
[0063] 以上の動作(S401〜S406)を繰り返すことによって、刻々と変化するユーザの状 況に応じて適切な提示方式が決定されることになる。すなわち、表示透明度を上昇さ せるほど、提示情報に重なる外景に注意を払えるようになる。
[0064] なお、表示透明度を変化させる範囲は、提示情報の全部でも一部でもよい。提示 情報の部分によって表示透明度が異なっていてもよいし、提示情報の部分によって 表示透明度を変化させる方法が異なっていてもよい。
[0065] なお、表示透明度を上昇させる動作には、表示透明度を 100%にして情報が表示 されなレ、ようにする動作も含まれる。
[0066] 図 8は、本発明に係る装着型情報提示装置の動作図である。ここでは、提示部 104 におけるテレビ番組の再生状態を変更する動作について説明する。
[0067] 状況取得部 101は、ユーザの状況を取得する(S501)。
視聴適応度決定部 105は、状況取得部 101によって取得されたユーザの状況に基 づいて視聴適応度を決定する(S502)。
[0068] 変化判定部 102は、視聴適応度決定部 105によって決定された視聴適応度に基
づいて視聴適応度の変化を判定する(S503)。
[0069] 提示方式決定部 103は、視聴適応度が低下した場合、提示情報の再生を中断す る提示方式を決定する(S504)。逆に、提示方式決定部 103は、視聴適応度が上昇 した場合、提示情報の再生を再開する提示方式を決定する(S505)。
[0070] 提示部 104は、提示方式決定部 103によって決定された提示方式によってテレビ 番組を提示する(S506)。
[0071] 以上の動作(S501〜S506)を繰り返すことによって、刻々と変化するユーザの状 況に応じて適切な提示方式が決定されることになる。すなわち、適切に再生が中断さ れるので、外景に注意を払えるようになる。また、適切に再生が再開されるので、外景 に注意を払っている間に提示情報の内容に追従できなくなるという不具合や、追従 するために提示情報を巻き戻さなければならないという不具合は生じない。
[0072] なお、再生を中断する動作には、完全に再生を中断する動作、再生速度を遅くす る動作、動画像再生時のフレームレートを下げる動作、主な箇所のみを再生するダイ ジェスト再生をする動作が含まれる。
[0073] 以上のように、本発明では、様々な提示方式を採用している。
ところで、前記の説明では、図 4に示すように、ユーザの状況と視聴適応度との対応 表を視聴適応度記憶部 106が記憶していると仮定した力 本発明はこれに限定され るものではない。すなわち、視聴適応度記憶部 106には、何らかの形で視聴適応度 が記憶されていればよぐその態様は特に限定されるものではない。以下、本発明で 採用する視聴適応度の決定方法について説明する。
[0074] 図 9は、本発明に係る装着型情報提示装置の動作図である。ここでは、ユーザの視 野映像の変化量 (後述する)に基づいて視聴適応度を変化させる動作について説明 する。
[0075] 状況取得部 101は、ユーザの状況として、ユーザの視野映像を取得する(S601)。
ユーザの視野映像は、 HMDに備えたカメラ等によって取得することができる。
[0076] 視聴適応度決定部 105は、状況取得部 101によって取得されたユーザの視野映 像の変化量を判定する(S602)。そして、ユーザの視野映像の変化量が増加した場 合、視聴適応度を低下させる旨の決定をする(S603)。逆に、ユーザの視野映像の
変化量が減少した場合、視聴適応度を上昇させる旨の決定をする(S604)。
[0077] 提示方式決定部 103は、視聴適応度決定部 105によって決定された視聴適応度 に基づいて提示方式を決定する(S605)。この提示方式の決定方法は、特に限定さ れるものではない。すなわち、前記した対応表(図 4参照)に基づいて決定してもよい し、あるいは、視聴適応度の変化(図 5〜図 8参照)に基づいて決定してもよい。
[0078] 提示部 104は、提示方式決定部 103によって決定された提示方式によってテレビ 番組を提示する(S606)。
[0079] 以上の動作(S601〜S606)を繰り返すことによって、刻々と変化するユーザの状 況に応じて適切な提示方式が決定されることになる。すなわち、ユーザの目前の状 況が大きく変わった時に、外景に注意を払えるようなる。
[0080] ここで、ユーザの視野映像の変化量について説明する。
ユーザの視野映像の変化量を算出する方法は特に限定されるものではないが、例 えば、ユーザの視野映像中の物体の移動量に着目する方法を採用することができる
[0081] 図 10 (A)及び図 10 (B)は、ユーザの視野映像の変化を示す図である。ここでは、 時刻 tlから時刻 t2にかけて飛行機が移動する様子を示している。この場合、図 10 ( A)に示す物体の移動量 (飛行機の移動量)よりも、図 10 (B)に示す物体の移動量( 飛行機の移動量)の方が大きい。
[0082] そこで、視聴適応度決定部 105は、物体の移動量の移動量の増減を判定し、その 判定結果に基づいて視聴適応度を決定する(S603、 S604)。もっとも、物体の移動 量の増減を判定するためには基準値が必要となる。この基準値は特に限定されるも のではないが、例えば、時刻 tOから時刻 tlにかけての物体の移動量を採用すること ができる。なお、時刻 tOとは、時刻 tlよりも 1単位前の時刻を意味する。
[0083] ユーザの視野映像の変化量を算出する方法はこれに限定されるものではない。別 の方法としては、ユーザの視野映像中で変化があった領域 (以下「変化領域」という) の面積に着目する方法を採用することができる。
[0084] 図 11 (A)及び図 11 (B)は、ユーザの視野映像の変化を示す図である。この場合、 図 11 (A)に示す変化領域の面積 (飛行機部分の面積)よりも、図 11 (B)に示す変化
領域の面積(空部分の面積)の方が広レ、。
[0085] そこで、視聴適応度決定部 105は、変化領域の面積の増減を判定し、その判定結 果に基づいて視聴適応度を決定する(S603、 S604)。もっとも、変化領域の面積の 増減を判定するためには基準値が必要となる。この基準値として時刻 tOから時刻 tl にかけての変化領域の面積を採用することができる点は前記と同様である。
[0086] 図 12は、本発明に係る装着型情報提示装置の動作図である。ここでは、ユーザの 身体動作の変化量に基づいて視聴適応度を変化させる動作について説明する。
[0087] 状況取得部 101は、ユーザの状況として、ユーザの身体動作を取得する(S801)。
ユーザの身体動作は、 HMDに備えた各種センサ等によって取得することができる。
[0088] 視聴適応度決定部 105は、状況取得部 101によって取得されたユーザの身体動 作の変化量を判定する(S802)。そして、ユーザの身体動作の変化量が増加した場 合、視聴適応度を低下させる旨の決定をする(S803)。逆に、ユーザの身体動作の 変化量が減少した場合、視聴適応度を上昇させる旨の決定をする(S804)。
[0089] 提示方式決定部 103は、視聴適応度決定部 105によって決定された視聴適応度 に基づいて提示方式を決定する(S805)。この提示方式の決定方法は、特に限定さ れるものではない。
[0090] 提示部 104は、提示方式決定部 103によって決定された提示方式によってテレビ 番組を提示する(S806)。
[0091] 以上の動作(S801〜S806)を繰り返すことによって、刻々と変化するユーザの状 況に応じて適切な提示方式が決定されることになる。すなわち、ユーザが行動を始め た時や終えた時に、外景に注意を払えるようなる。
[0092] なお、身体動作には、歩行や走行の速度や向きや速度変化、首の向きや動き、 目 や視線の動きや向き、手足や指の動きやその変化、地理的位置やその変化、脈や 呼吸や体温や汗、声、しぐさ、着席や歩行などの行動パターン、が含まれる。
[0093] 図 13は、本発明に係る装着型情報提示装置の動作図である。ここでは、ユーザの 行動範囲の変化に基づいて視聴適応度を変化させる動作について説明する。
[0094] 状況取得部 101は、ユーザの状況として、ユーザの行動予定とユーザの現在位置 とを取得する(S901)。ユーザの行動予定は、インターネット上のサーバ等から取得
することができ、ユーザの現在位置は、 HMDに備えた GPS等によって取得すること ができる。
[0095] 視聴適応度決定部 105は、状況取得部 101によって取得されたユーザの行動予 定とユーザの現在位置とに基づいて、ユーザの行動範囲が変化したか否かを判定す る(S902)。そして、ユーザの行動範囲が変化した場合、視聴適応度を低下させる旨 の決定をする(S903)。ユーザの行動範囲が変化しなかった場合、特別な処理は行 わない。なお、ユーザの行動範囲とは、電車内、屋内、屋外など、ユーザの状況が大 きく変化しなレ、ことが予想される範囲をレ、う。
[0096] 提示方式決定部 103は、視聴適応度決定部 105によって決定された視聴適応度 に基づいて提示方式を決定する(S905)。この提示方式の決定方法は、特に限定さ れるものではない。
[0097] 提示部 104は、提示方式決定部 103によって決定された提示方式によってテレビ 番組を提示する(S906)。
[0098] 以上の動作(S901〜S906)を繰り返すことによって、刻々と変化するユーザの状 況に応じて適切な提示方式が決定されることになる。すなわち、電車の乗り降りなど、 ユーザの行動範囲が変わった時に、外景に注意を払えるようになる。
[0099] なお、行動予定には、歩行中や乗車中や乗換え中などの移動工程、さらに、階段 の始まりや階段の終わりや曲がり角や改札口や横断歩道や歩道橋や店などの中間 地点を表す対象を含んでもよい。
[0100] 図 14 (A)は、歩行中のユーザに対する提示例を示す図であり、図 14 (B)は、電車 内のユーザに対する提示例を示す図である。ここでは、前記した提示方式を組み合 わせた場合にっレ、て説明する。
[0101] ユーザが歩行中である場合は、図 14 (A)に示すように、外景に重ねてテレビ画面 が左下に小さく半透明で表示される。一方、ユーザが電車内にいる場合は、図 14 (B )に示すように、外景に重ねてテレビ画面が中央に大きく不透明で表示される。
[0102] すなわち、歩行中は電車内と比較して視野映像の変化量が増加し、また、身体動 作の変化量も増加するため、視聴適応度を減少させている。その結果、テレビ画面 の表示サイズを減少させ、表示位置を中央から遠ざけ、表示透明度を上昇させて、テ
レビ番組を提示することになる。
[0103] なお、視聴適応度決定部 105が視聴適応度を決定してから提示方式決定部 103 が提示方式を決定するまでの時間は、即時でもよいし、時間をおいてもよい。また、 提示方式決定部 103が提示方式を決定してから提示部 104が情報を提示するまで の時間は、即時でもよいし、時間をおいてもよい。
[0104] なお、本発明における「増カロ」や「上昇」には、増加量や増加度合いが 0、すなわち 増加量や増加度合いを変更しないことも含まれる。同様に、「減少」や「低下」には、 減少量や低下度合いが 0、すなわち減少量や低下度合いを変更しないことも含まれ る。
[0105] なお、本発明における提示方式は、断続的に変更されてもよい。例えば、表示サイ ズを減少させる際は、一旦表示を中止した後に前より小さいサイズで再表示してもよ いし、一瞬表示サイズを増加させた後に表示サイズを減少させてもよい。また、視聴 適応度が変化した場合は一旦表示を中断し、一定時間が経過した後に、若しくは視 聴適応度の変化が安定した後に表示を再開してもよい。
産業上の利用可能性
[0106] 本発明に係る装着型情報提示装置は、ユーザの安全性に配慮しながら行動と情報 視聴とを両立させることが必要なヘッドマウントディスプレイ、フェイスマウントディスプ レイ、眼鏡型ディスプレイなどの用途にも応用できる。