明 細 書
複数物質同時測定方法およびそれに使用する測定用デバイス 技術分野
[0001] この発明は、特に多種多様な生物種由来の試料中に存在する多種類のタンパク質 等の生体成分物質などの物質を同時に定性ならびに定量することができる複数物質 同時測定方法およびそれに使用する測定用デバイスに関する。この発明に係る複数 物質同時測定方法は、試料中において著しい量的差がある非常に多種類の物質を 同時に測定することができる。
また、この発明は、新規な被分析物質検出もしくは測定技術ならびにその技術を用 いて、健康診断、臨床応用(診断、予後などを含む)や、研究応用などに供するため に検出'分析するための被分析物質、例えば、抗原抗体などの検出もしくは測定に 使用する使用方法に関する。
更に、この発明は、特に、測定試料中の被分析物質の分離や精製などの前処理す ることなぐ試料中に存在する被分析物質を同時に検出可能な測定用アレイ、例え ばマイクロアレイなどの測定用デバイスに関する。 背景技術
[0002] 近年、バイオテクノロジー技術の進展に伴って、例えば、ヒトゲノムの全塩基配列で ある 60億塩基対ものゲノム配列が解析された。このゲノム解析に基づくその後の研 究結果から、遺伝子の数は 3万個強であることが報告されて 、る。
[0003] 遺伝子は、各生体を特徴づける設計図であり、この遺伝子こそが生物の多様性の 基本を決定している。この遺伝子によって描かれている設計図に基づいて、各生体 を構成するタンパク質が生成され、このタンパク質が生物の多様性を構成して ヽる。 また、これらの遺伝子が一体となって成長時期や外部環境に応じてタンパク質の発 現様式を様々に変えている。
単細胞生物においては、その遺伝子に基づいて自己細胞から生合成されるタンパ ク質の制御システムを解明することは、遺伝子によるタンパク質の発現制御システム の解明につながるだけである。これに対して、ヒトを含む高等生物は、多種多様な多
くの器官、組織、細胞など力も構成されていて、神経系や循環系などによって制御さ れていることから、遺伝子地図によるタンパク質の制御システムの解明は、簡単なこと ではなぐまた遺伝子発現の制御システムの解明に直接つながるものではない。診断 、予後などを含む臨床応用や研究などの分野における疾患に関連してこれまで蓄積 された膨大な量の生物に対する制御システムについての情報は、タンパク質発現の 制御システムを解明するのに非常に役立っている。
[0004] このように各生体を特徴づける遺伝子の塩基配列が突然変異などの理由により変 異すれば、当然その遺伝子は正常な発現をすることができず、その設計図も変化し てしまう。その結果、そのような変異した設計図を基に構築されるタンパク質も必然的 に変異して正常な機能を果たすことができないことになる。遺伝子変異は様々な障害 や疾患などの原因ともなっているので、遺伝子塩基配列の変異を解析することは、か 力る変異による様々な障害や疾患などの原因を解明することになる。し力しながら、こ の遺伝子解析だけでは生体内における実際の病状や病態などの把握は不可能であ る。生体内における実際の病状や病態などは、遺伝子の発現によって構築されたタ ンパク質の変異の結果として反映されて 、るからである。遺伝子の塩基配列変異の 解析は非常に重要である力 実際の病状や病態などの把握には生体内における多 種多様なタンパク質の状態をできるだけ実際の状態のままで解明することも非常に重 要である。そこで、多種多様なタンパク質全体の総合的解析は極めて重要な課題で ある。
[0005] 特に遺伝子の DNAや RNAなどの塩基配列にっ 、ての突然変異を検出する方法 は数多く開発されていて、その目的のために DNAチップや RNAチップなどのマイク ロアレイチップが汎用されるようになってきた。遺伝子は、構成成分が 4種類の塩基の み力もなりかつ構造も 1重鎖力 2重鎖と比較的単純であり、安定でもある。その上、 P CRなどによる増幅という手段も確定されていることから、 DNAチップ、 RNAチップな どのマイクロアレイチップは比較的作製するのが容易である。このようなマイクロアレイ チップは、数千力 数万の遺伝子の発現状態を同時に測定可能であるという利点を ある(例えば、非特許文献 1、 2 ;特許文献 1、 2、 3)。これらのチップは、データの再現 性 ·定量性が低 、と 、う難点があるが、遺伝子機能の解析には大きな役割を果たして
いる。
[0006] 一方、全ての生体を構成しているタンパク質は僅か 20種類のアミノ酸力も構成され ているが、そのアミノ酸で構成されている生体構成成分の数は膨大で、遺伝子と比較 して格段に多くかつ複雑である。また各タンパク質は独自の複雑な立体構造を有して いて、この立体構造力タンパク質によって非常に異なっていること、またこのタンパク 質の立体構造が生体中におけるタンパク質の安定性に大きく関与していることが、タ ンパク質の発現様式の研究を困難にしている。これらにカ卩えて、つまり、フォールディ ングの問題に加えて、タンパク質の濃度も著しく異なっていて、例えば、血清アルブミ ンのように ml当たり数十ミリグラム単位も存在するものから、他方インスリンなどのよう に数ピコグラム単位(10— 12/ml)の低濃度でしか存在しないものまであり、なんと数 百万倍という濃度差があることも、タンパク質全体の総合的解析を困難にしている問 題点の 1つとなっている。その上、タンパク質は、水溶性のものもあれば、生体膜構成 成分のように水不溶性でありながら可溶ィ匕を必要とするものまであり、さらに分子量も 1000以下のペプチドから脱水素酵素のように複合体を形成して全体として数百万と いう高分子量のものまで存在する。タンパク質はこのような複雑で多様な形態で生体 内で存在することから、かかる多種多様で複雑なタンパク質の発現様式を同時に検 出することは極めて困難であると考えられる。
[0007] このように複雑で多様な形態で生体内で存在するタンパク質のうち、生物の体液な どに、 ml当たり ngもしくは pg単位で存在する種々の微量タンパク質、例えば、インス リン、リンホカインなどのサイト力イン類、特定の抗体、補体、多様な腫瘍マーカーなど は、あらゆる生体活動にとって重要であり、また疾患、障害、不全、症状などの診断、 予後もしくは臨床的に処置などを行うためにも極めて大切である。しかし、例えば、ヒ トの疾患や障害などの異常な症状の病因となる力かるタンパク質は、その身体を構成 する 60億個の細胞のうちのほんの僅かな数の細胞に由来するものであり、またそれ らのタンパク質は、例えば、感染、傷害や、がん、自己免疫疾患、その他の原因に起 因するまたは由来する疾患、傷害などに関連して循環器中に分泌されてくるものもあ る。また、ある種のタンパク質は、疾患、障害などに対する保護手段としてまたは遺伝 子による抑制手段として循環器中に分泌されてくる。
[0008] 力かるタンパク質の発現様式の変化は、様々な障害や疾病などとして反映される。 このことから、タンパク質の発現様式の解明は、障害や疾病などの治療ば力りではな ぐ診断ならびに予防や予後にとっても極めて重要な役割を果たすことになる。しかし ながら、現状では、タンパク質全体の発現様式を同時に解析することは不可能であり 、個々のタンパク質毎に解析して 、く以外に手段がな!、。
[0009] 疾患、障害、不全などの詳細を理解し、また力かる疾患などを診断などの臨床的に 治療する手段をとるために、検査対象からの試料中に存在するかかる微量成分、例 えば、血液試料中に存在するタンパク質やそのフラグメント、そのタンパク質やそのフ ラグメントのアミノ酸配列や、力かるアミノ酸を構成するポリペプチド類、その他の疾患 関連成分などの微量成分の変化を調べ特定することは非常に重要でありかつ有用 である。
[0010] 試料中に存在する複数の測定対象物質、例えばタンパク質などを検出'診断する ためには、現在の慣用方法では、それら複数の測定対象物質を個別に、しかも異な る測定機器ならびに測定装置を用いて異なる測定手法を利用して測定する必要が ある。また、タンパク質の解析方法としてこれまで数多くの解析技法が利用されてい て、例えば、ウェスタンブロット法、 ELISA法、 HPLC、超遠心機、カラムクロマトダラ フィ一、ァフィ二ティークロマトフラフィー、電気泳動などの手法を使用した方法などが 知られている。しかし、これら従来法での測定は、手間も掛かる上に、費用も掛かって いた。その上、これらの方法はいずれも複数の測定対象物質を同時に定性ならびに 定量分析できるものではな 、。
[0011] この他にも、タンパク質解析に利用するために、遺伝子チップのように 1枚のスライド グラスほどの大きさの中に複数種類のタンパク質を固定ィ匕した 、わゆるプロテインチ ップも開発されてきている(例えば、非特許文献 3、 4、 5)。また、かかるプロテインチ ップの 1例として、 2種類以上の抗原または抗体をスライドグラス基板上に固定ィ匕した 病態解析チップが報告されている(例えば、特許文献 4)。このプロテインチップは、 血液検査での各検査項目に対して少なくとも 1種類の抗原または抗体をスライドダラ ス基板上に固定ィ匕した病態解析チップであって、特に被験者が家庭で自ら採血し全 血をこのチップに滴下して病態を解析する目的のものである(例えば、特許文献 4)。
したがって、この病態解析チップは、血液中の生体成分であるタンパク質を総合的に 解析するものではない。
[0012] そこで、本発明者らは、多種類のタンパク質を同時に解析可能なタンパク質解析手 段を開発すべく鋭意検討'研究をした結果、ニトロセルロース膜や PVDFなどの基盤 となる膜上に数多くの抗体をスポットして、別々の色素でタンパク質を色素固定した 測定用検体と測定基準となる標準検体とを所定の割合で混合した後に基盤上の抗 体と接触させて結合した結合タンパク質の相対的タンパク質発現濃度を測定すること により同時に多種類のタンパク質の発現を測定することができることを見出して、発明 を完成し、その発明についてはすでに特許出願を行った (例えば、特許文献 5、 6、 7 )。これらの特許出願の内容はいずれも本明細書の 1部を構成するものとする。
非特許文献 l : Fodor, S. P., et al, Science 251:767-773, 1991
非特許文献 2 : Schana, M, et al., Science 270:467-470, 1995
非特許文献 3 :小嶋謙ー他、化学センサー研究会、 17、 106、 2001
非特許文献 4 : Kim, T. E., et al., Exp. Mol. Med. 31:152, 2002
非特許文献 5 : Christodoulides, N., et al., Anal. Chem. 74:3030, 2002
特許文献 1: WO2002/070747号公報
特許文献 2 :WO2002/092813号公報
特許文献 3:特開 2003 - 339375号公報
特許文献 4:特開 2004 - 191129号公報
特許文献 5 :特願 2003— 423303
特許文献 6:特願 2004 - 131788
特許文献 7:特願 2004— 352233
発明の開示
[0013] 本発明者らは、上記発明を更に発展させて、多種類のタンパク質を同時に解析可 能なタンパク質解析の手法を開発すべく鋭意検討'研究をした結果、色素以外の標 識マーカーを用いて抗原 抗体反応を利用することによって測定用検体中の多種 類のタンパク質などの測定対象物質を同時に測定し検出できることを見出して、この 発明を完成するに到った。
[0014] したがって、この発明は、血液試料などの被検体試料中に存在する複数の測定対 象物質を同時に定性ならびに定量分析することができる複数物質同時測定方法およ びそれに使用するマイクロチップなどの測定用デバイスを提供することを課題とする。 また、この発明は、複数物質同時測定方法またはそのための測定用デバイスを用 いて複数測定対象物質を検出し、定量する検出'測定方法を提供することを課題と する。
[0015] さらに、この発明は、複数物質同時測定方法またはそのための測定用デバイスを用 いて複数測定対象物質を測定'検出することによりそれら測定対象物質に起因もしく は関連する症状や疾患や原因などを診断し、治療し、もしくは改善したりするために 使用する使用方法を提供することも課題とする。
さらにまた、この発明は、複数物質同時測定方法や使用方法を実施するために有 用な同時測定キットを提供することを課題とする。
[0016] したがって、この発明は、検体試料中に存在する複数測定対象物質を同時に測定 することからなる複数物質同時測定方法を提供することを目的とする。
また、この発明は、検体試料中に存在する複数測定対象物質を同時に測定するこ とによって複数測定対象物質を同時に検出することができる複数物質同時検出方法 を提供することを目的とする。
[0017] さらに、この発明は、上記複数物質同時測定方法および複数物質同時検出方法に 用いることができる測定用デバイスを提供することを目的としている。さらにまた、この 発明は、測定用デバイスを使用して複数測定対象物質を同時に測定'検出する測定 •検出方法および測定'検出するために使用する測定用デバイス使用方法を提供す ることち目的としている。
[0018] その上、この発明は、上記測定方法または上記測定用デバイスを用いて複数測定 対象物質を測定'検出することによりそれら測定対象物質に起因もしくは関連する症 状や疾患や原因などを診断し、治療し、または改善したりするために使用する使用方 法を提供することも目的としている。
[0019] さらに、この発明は、上記測定方法を簡便、迅速かつ正確に複数測定対象物質を 測定'検出することができる測定用キットを提供することも目的としている。
[0020] さらにまた、この発明は、上記測定方法によって測定した複数測定対象物質に基 づいて、複数測定対象物質の原因または発生源を特定し、力かる原因または発生源 に由来する異常状態を処理することも目的としている。
[0021] 上記目的を達成するために、この発明は、その 1つの形態として、試料中に存在す る複数測定対象物質を標識物質で標識して得られる複数標識測定対象物質を対応 するパートナー物質と結合させて得られる複合体の標識測定対象物質を測定するこ とにより複数測定対象物質を同時に検出し測定することができる複数物質同時測定 方法を提供する。また、複数測定対象物質を所定の測定目的に関連するもしくは関 連すると考えられる関連複数測定対象物質だけを選択することにより、複数測定対象 物質を同時に測定するができる。
[0022] この発明に係る複数物質同時測定方法においては、標識測定対象物質は試料に 標識物質を添加することにより得られ、得られた標識測定対象物質は担体、例えば 固相化担体などに固相化されているパートナー物質と化学的にまたは免疫学的に結 合され、また、複数標識測定対象物質とパートナー物質とが結合して得られた複合 体の標識測定対象物質は光学的、放射化学的、電気化学的または化学的に測定す ることによって複数測定対象物質が同時に測定することができる。
[0023] また、この発明に係る複数物質同時測定方法においては、所定の測定目的に関連 するもしくは関連すると考えられる複数測定対象物質 (以下「関連測定対象物質」とも いう)だけを選択して、力かる複数関連測定対象物質を同時に測定することができる ことを特徴としている。このように複数関連測定対象物質だけを同時に測定するため には、パートナー物質を力かる関連測定対象物質に対応するものに選択して、担体 に固相化させることによって実現することができる。
[0024] この発明に係る複数物質同時測定方法は、試料中の複数測定対象物質が濃度差 で等倍力も約 1000倍、好ましくは約 500倍まで、更に好ましくは約 100倍である場合 に特に有効である。
[0025] この発明は、その別の 1つ形態として、複数非標識測定対象物質を含む第 1試料と 、標識物質で標識した複数標識測定対象物質を含む第 2試料とを所定の割合で混 合し、得られる混合試料中の複数非標識測定対象物質と複数標識測定対象物質と
をそれぞれ対応するパートナー物質と結合させて得られる結合物質である複合体の 複数標識測定対象物質を測定することにより該複数標識測定対象物質を同時に測 定することからなる複数物質同時測定方法を提供する。また複数測定対象物質を所 定の測定目的に関連するもしくは関連すると考えられる関連複数測定対象物質だけ を選択することにより、複数測定対象物質を同時に測定するができる。
[0026] この発明に係る複数物質同時測定方法においては、標識測定対象物質は試料に 標識物質を添加することにより得られ、得られた標識測定対象物質は担体、一般的 には固相化担体に固相化されているパートナー物質と化学的にまたは免疫学的にま たはその他のいずれの結合形式にて結合され、また、複数標識測定対象物質とパー トナー物質とが結合して得られた複合体の標識測定対象物質は光学的、放射化学 的、電気化学的または化学的に測定することによって複数測定対象物質が同時に測 定することができる。
[0027] また、この発明に係る複数物質同時測定方法においては、所定の測定目的に関連 するもしくは関連すると考えられる複数測定対象物質だけを選択して、かかる複数関 連測定対象物質を同時に測定することができることを特徴としている。このように複数 関連測定対象物質だけを同時に測定するためには、パートナー物質をかかる関連 測定対象物質に対応するものに選択して、固相化担体に固相化させることによって 実現することができる。
[0028] この発明の形態における態様としては、第 1試料が検体試料であり、第 2試料が基 準試料であること、または、第 1試料が基準試料であり、第 2試料が検体試料であるこ とからからなる複数物質同時測定方法であることを特徴としている。
[0029] また、この発明の別の態様としての複数物質同時測定方法においては、第 1試料と 第 2試料との所定混合割合は、特に限定されるものではないが、一般的には、約 1対 9 (第 1試料対第 2試料。以下同じ)から約 9対 1、好ましくは約 2対 8から約 8対 2、更に 好ましくは約 3対 7から約 7対 3の割合であることを特徴として 、る。
[0030] この発明の形態における別の態様としては、複数非標識測定対象物質と複数標識 測定対象物質とがそれぞれ対応するパートナー物質と結合して得られる複合体の複 数非標識測定対象物質と、複数標識測定対象物質との濃度の差を測定することから
なる複数物質同時測定方法であることを特徴としている。
[0031] この発明は、更に別の態様として、この発明の複数物質同時測定方法によって測 定される混合試料中の複数標識測定対象物質と、基準試料または検体試料中の複 数標識測定対象物質との比較により複数測定対象物質を測定することからなる複数 物質同時測定方法を提供する。
[0032] この発明の更に別の態様は、複数標識測定対象物質とパートナー物質とが結合し て得られた上記複合体の標識測定対象物質を光学的、放射化学的、電気化学的ま たは化学的に測定することを特徴としている。
[0033] この発明は、更に別の形態として、上記複数物質同時測定方法を用いて複数測定 対象物質を同時に検出することからなる複数物質同時検出方法を提供する。また、こ の態様の発明においては、所定の検出目的に関連するもしくは関連すると考えられ る複数測定対象物質だけを選択し、かかる関連複数測定対象物質に対応するパート ナー物質だけを選択することによって関連複数測定対象物質を同時に検出すること ができる。
[0034] この発明は、別の形態として、上記測定用試料中に存在する測定対象物質と複合 体などを形成することができるパートナー物質を固定ィ匕している測定用デバイスを提 供することを目的としている。
また、この発明は、さらに別の態様として、上記測定用デバイスを使用して、同時に 多量のタンパク質の定性または定量を同時に行うことができる測定方法を提供するこ とを目的としている。
[0035] さらに、この発明は、上記測定に適用することができる測定用キットおよびそれを用 いた測定方法を提供することを目的としている。 1つの態様としては、測定用キットは 、好ましくは標識測定対象物質を含む基準試料と、その標識測定対象物質に対応す るパートナー物質とから構成されている測定用キットを提供する。
[0036] さらにまた、この発明は、上記測定方法によって測定した複数測定対象物質に基 づいて、複数測定対象物質の原因または発生源を特定し、力かる原因または発生源 に由来する異常状態を処理することができる方法を提供する。
図面の簡単な説明
[0037] [図 la]この発明に係る同時物質検出方法の 1具体的形態に関る測定原理を示す説 明図 (1)。
[図 lb]この発明に係る同時物質検出方法の 1具体的形態に関る測定原理を示す説 明図 (2)。
[図 lc]この発明に係る同時物質検出方法の 1具体的形態を示すフローチャート。
[図 2]試料の希釈率毎のインスリンおよび CRPのそれぞれの吸光度を示すグラフ。
[図 3]試料の別の希釈率毎のインスリンおよび CRPのそれぞれの吸光度を示すダラ フ。
[図 4]希釈率の違いによる CRPの吸光度を示すグラフ。
[図 5]希釈率の違いによるインスリンの吸光度を示すグラフ。
[図 6]インスリンと CRPとの検量線を示すグラフ。
[図 7]実施例 3によるプレート番号 a (上図)および b (下図)の発色状態を示す模式図( 上図中、 1A〜6A、 1B〜6B、 1C〜6C、 1D〜6D、 1E〜6Eおよび 1F〜6Fは全て 淡灰色を示している)。
[図 8]実施例 4によるプレート番号 1 (上図)および 2 (下図)の発色状態を示す模式図 を示す模式図。
[図 9]実施例 5によるプレート番号 1 (上図)および 2 (下図)の発色状態を示す模式図 を示す模式図(図中、 1A〜5Aおよび 1B〜5Bは全て淡灰色を示して!/、る)。
[図 10]実施例 5によるプレート番号 3 (上図)および 4 (下図)の発色状態を示す模式 図を示す模式図。
[図 11]実施例 5によるプレート番号 5の発色状態を示す模式図を示す模式図(図中、 1A〜5Aおよび 1B〜5Bは全て淡灰色を示して!/、る)。
発明を実施するための最良の形態
[0038] 以下、この発明について図面を参照して更に詳細に説明する。なお、以下の説明 は、この発明を限定する意図で記載されるものでは一切なぐこの発明を具体的に説 明するために例示的に記載するものである。以下の具体的な説明では、この発明を 各形態に分けて説明するが、各形態についての説明では、各形態に特有の事項を 主体に説明する。これに対して、 2つもしくはそれ以上の形態に共通の事項について
は一般的な事項として説明する。ただし、各形態の事項として記載した事項について も、厳密な区別に基づいて記載されているのではなぐその他の形態の事項として記 載していない形態の事項としても必要に応じて適宜適用することができるものと理解 されるベさである。
[0039] また、本明細書においては、多くの場合、測定対象体としてはヒトなどおよび試料と しては血液を例として説明する力 この発明をヒトゃ血液などの例に限定する意図で 一切使用しているのではなぐ説明を簡略にするために、例示的に記載しているもの と理解される。
[0040] 以下、この発明を形態ならびに態様によって説明するが、この発明は力かる形態な らびに態様に一切限定されるものではないことは当然である。また、下記形態ならび に態様においては、主にタンパク質を例にして説明する力 下記形態ならびに実施 態様は、この発明を具体的により明確に説明するために例示として記載するものであ つて、この発明を限定する意図で記載されるものでは一切ないことと理解することが できる。したがって、この発明は、下記形態ならびに態様力も派生するあらゆる改良 ならびに変法などもこの範囲内に包含するものと解釈すべきである。
[0041] 例えば、ヒトゃペットなどの血液などの検体試料中には多種多様なタンパク質が含 まれて 、て、その量もそのタンパク質によって極めて大きな差があることは趣致の事 実である。これらのタンパク質は、その数種類が、その測定目的に応じて、その測定 対象物質として選択され測定される。しかしながら、現在実用されている測定手法は 、その測定対象物質としてのタンパク質を個別に測定し、その測定結果を総合して疾 患などの診断や治療などを行っている。現在実用されている測定手法では、検体試 料中に含まれる測定対象物質を複数種類を同時に測定し検出できないのが現状で ある。
[0042] この発明に係る複数物質同時測定方法は、検体としての試料中に存在する複数種 類の測定対象物質を同時に測定することからなっている。この発明の方法は、特に、 健康診断や疾病診断などの血液検査などにおいて、従来では、通常、各検査項目 の 1項目毎に測定して検査されているのに対して、この発明の方法では、かかる検査 項目を複数項目または必要な全検査項目を同時に測定して検査することができる画
期的な技法であるといえる。
[0043] (測定原理)
この発明に係る複数物質同時測定方法の 1形態に関る測定原理を図 laおよび図 1 bに基づいて構成されている。なお、以下の説明においては、説明を簡潔にするため に、抗原と抗体とを固相化担体としてマイクロアレイを用いて測定すると 、う 1つの態 様について説明をする力、その他の態様についても実質的に同様に適用することが できるものと理解できる。
まず、検出すべき抗原に対する種々の抗体を当該技術分野において公知の方法 に従って作製する。ここで使用できる抗体のほんの一例を例示すると、例えば、抗ィ ンスリン抗体、抗グループ Aストレプトコッカス抗体、抗抗 B型肝炎ウィルス抗体、抗リ ユーマトイド因子抗体、抗アミラーゼ抗体、抗心筋ミオシン軽鎖抗体、抗 α—フ トプ 口ティン抗体、抗 GOT抗体、抗 GPT抗体、抗 ALP抗体、抗腫瘍マーカー抗体、抗 アンジォテンシン変換酵素抗体などが挙げられる。抗体の種類と数は、抗原の種類と 数を変えることによって適宜変えることか可能であり、また診断項目などの測定目的 に応じて適宜選択することができる。次いで、作製された抗体はマイクロアレイのゥェ ル中に常法に従って固定ィ匕される。
[0044] 一方、複数の健常人力 採血して集めた血液試料に標識物質としてピオチンを添 カロして、試料中に含まれる抗原などの測定対象物質、ピオチンでピオチンィ匕などの 標識をする。血液試料の標識は、各試料毎にまたは試料を混合して標識してもよい。 このように標識した試料を基準試料とする。なお、インスリンやアンジォテンシン変換 酵素などの低分子量成分は、ピオチンィ匕した後、基準試料に正常レベルになるよう に添カ卩してもよい。
[0045] これとは別に、健康診断受診者や疾患、障害などが疑われる被験者力 採血した 試料を検体試料として使用する。この検体試料は、上記基準試料と、所定の比率で、 例えば、約 7対 3 (検体試料対基準試料)の割合で混合して測定用試料を調製する。
[0046] 次に、検体試料 (非標識試料)と基準試料 (標識試料)との混合液からなる測定用 試料は、固相化担体としてのマイクロアレイにそのまま添加され、マイクロアレイに固 定化されている抗原と接触することにより、標識測定対象物質と非標識測定対象物
質とは、マイクロアレイに固定化されている対応する抗原とそれぞれ複合体を形成す る。これらの複合体の発色、発光、蛍光などを当該技術分野で周知の手法によって その程度を測定することによって測定対象物質を測定することができる。
[0047] 他方、非標識基準試料を、上記と同様にして測定することによって、標識測定対象 物質の量を特定することができる。この基準試料中の測定対象物質の量と、測定用 試料中の測定対象物質の量とを対比することにより、検体試料中の測定対象物質の 量をより正確に算出することができる。
[0048] 検体試料と基準試料とを混合する必要がな!、場合には、検体試料に標識物質を直 接添加して、試料中に含まれる標識測定対象物質を測定することにより測定対象物 質を検出することができる。
[0049] (発明の第 1の形態)
この発明の第 1の形態としての複数物質同時測定方法は、検体試料中に存在する 複数測定対象物質を標識物質で標識した複数標識測定対象物質を対応するパート ナー物質と結合させ、得られる複合体を測定することにより該複数標識対象測定対 象物質を同時に測定することから構成されている。この複数物質同時測定方法によ れば、ある所定の測定目的に関連するもしくは関連すると考えられる複数測定対象 物質 (以下「関連測定対象物質」とも 、う)だけを選択することによって、かかる複数関 連測定対象物質を同時に測定することができる。
[0050] 以下に、この発明に係る複数物質同時測定方法をより詳細に説明する。この方法 では、まず、例えば、ヒトゃペットなどの検体力も採取した血液などの検体試料に標識 物質を添加することによって、検体試料中に含まれる複数のタンパク質などの測定対 象物質を標識することができる。血液試料は、必要に応じて、血清や血漿に分離して 、血清や血漿を試料として使用することもできる。ただし、この発明の方法では、測定 する測定対象物質を更に分離、精製する必要はないことに注目すべきである。
[0051] 一方、力かる測定対象物質に対応する各結合性パートナー物質をマイクロプレート などの担体に固相化する。この場合に、測定対象物質を、所定の測定目的に関連す るもしくは関連すると考えられる複数測定対象物質を選択して固相化することによつ て、所定の測定対象物質だけを同時に測定することができることになる。このようにパ
一トナー物質を固相化した担体に対して、標識測定対象物質を含む試料を添加して 、標識測定対象物質とパートナー物質とを結合させることによって標識測定対象物質 とパートナー物質とが結合した結合複合体を得ることができる。複数標識測定対象物 質とパートナー物質とは、化学的、免疫学的またはその他の慣用手法によって、リン カーを介さずにもしくはリンカ一を介して結合することができる。
[0052] 次 、で、このようにして結合された得られた結合複合体は、をィムノアッセィなどの 常法の測定手法で測定することによって、光学的、放射化学的、電気化学的、化学 的またはその他の慣用手法によって測定することによって、各測定対象物質を測定 し検出することがでさる。
[0053] この発明に係る複数物質同時測定方法は、複数測定対象物質が濃度差で等倍か ら約 1000倍、好ましくは約 500倍まで、更に好ましくは約 100倍までである場合に特 に好ましい。
[0054] (発明の第 2の形態)
この発明の第 2の形態としての複数物質同時測定方法は、複数非標識測定対象物 質を含む第 1試料と、標識物質で標識した複数標識測定対象物質を含む第 2試料と を所定の割合で混合し、得られる混合試料中の複数非標識測定対象物質と複数標 識測定対象物質とをそれぞれ対応するパートナー物質と結合させ、得られる複合体 を測定することにより該複数標識測定対象物質を同時に検出し測定することからなつ ている。
[0055] この発明の方法においては、複数非標識測定対象物質を含む第 1試料が測定を する試料であり、標識物質で標識した複数標識測定対象物質を含む第 2試料が基 準試料である場合と、複数非標識測定対象物質を含む第 1試料が基準試料であり、 標識物質で標識した複数標識測定対象物質を含む第 2試料が測定をする試料であ る場合とがある。この発明では、測定すべき測定対象物質を検体中に存在する状態 に近い状態で、できるだけ人工的処理をせずに測定できるようにするために、前者の 場合が好ましい。
[0056] 第 2試料において測定対象物質を標識するには、第 2試料に標識物質を直接添カロ して、試料中に存在する測定対象物質と標識物質を接触させ結合させることによって
行うことができる。
[0057] 次に、第 1試料と第 2試料とは、所定の割合で混合して混合試料を調製する。両試 料の混合割合は、特に限定されるものではないが、一般的には、約 1対 9から約 9対 1 の範囲、好ましくは約 2対 8から約 8対 2の範囲、より好ましくは約 3対 7から約 7対 3の 範囲であるのがよい。このようにして調製した試料は測定用試料として使用することが できる。
[0058] 他方、かかる複数測定対象物質に対応する各結合性パートナー物質をマイクロプ レートなどの担体に固相化する。この場合に、測定対象物質を、所定の測定目的に 関連するもしくは関連すると考えられる複数測定対象物質を選択して固相化すること によって、所定の測定対象物質だけを同時に測定することができることになる。このよ うにパートナー物質を固相化した担体に対して、標識測定対象物質を含む試料を添 カロして、標識測定対象物質とパートナー物質とを結合させることによって標識測定対 象物質とパートナー物質とが結合した結合複合体を得ることができる。複数標識測定 対象物質とパートナー物質とは、化学的、免疫学的またはその他の慣用手法によつ て、リンカ一を介さずにもしくはリンカ一を介して結合することができる。
[0059] ここで、パートナー物質として所定の測定目的に適ったものを選択することによって 、標的とする測定対象物質を限定してより効率的に測定できることになる。換言すれ ば、測定目的が特定されれば、測定すべき測定対象物質が選択されるとともに、測 定対象物質に対応するパートナー物質も選択できる。
[0060] 上記のように調製された測定用試料は、マイクロプレートなどの固相化担体に添カロ され、例えば固相化担体のゥエルに固定ィ匕されているパートナー物質と接触し、試 料中に存在する測定対象物質と化学的にまたは免疫学的に結合して複合体を形成 する。この複合体は、第 1試料と第 2試料とを混合して調製される測定用試料に存在 する非標識測定対象物質と標識測定対象物質とのそれぞれの複合体として形成さ れる。このうちの標識測定対象物質とパートナー物質との複合体の標識を、化学的、 免疫化学的、その他の当該技術分野で周知の方法で、例えば、発色基質を使用し て測定することによって、目的とする測定対象物質を測定し検出することができる。
[0061] (発明の第 3の形態)
以下の説明では、例えば、標識基準試料を標識する標識マーカーを第 1標識マー カーとし、標識検査試料を標識する標識マーカーを第 2標識マーカーとした場合を 例として説明する。ここにおいて、前述したように、第 1標識マーカーと第 2標識マー カーとは、標識マーカーの種類は異なる力 いずれも例えば発色色素からなり、同一 手段で測定できるものを使用する。この場合、標識基準試料と標識検査試料とを所 定割合で混合して第 1標識マーカーと第 2標識マーカーとを発色させると、その発色 の程度は、理論的には、第 1標識マーカーの発色と第 2標識マーカーの発色との混 合割合に応じた混合色になる。つまり、例えば、赤色に発色する第 1標識マーカーで 標識された標識検査試料と、青色に発色する第 2標識マーカーで標識された標識基 準試料とを同量ずつ混合した場合、この測定用試料は両標識マーカーの中間色の 紫色に発色することになる。したがって、赤色の第 1標識マーカーで標識した標識検 查試料の割合が青色の第 2標識マーカーで標識した標識基準試料の割合より多くな ればなるほど紫色の発色色調は赤色を帯びてくるのに対し、青色の第 2標識マーカ 一で標識した標識基準試料の割合が多くなればなる発色色調は青色を帯びてくるこ とになる。この紫色の発色の程度を計測することによって、第 1標識マーカーと第 2標 識マーカーとの混合割合を算出でき、この結果力も検査試料中の測定対象物質を検 出することができる。そこで、標識検査試料と標識基準試料を標識する標識マーカー は、混合した場合に明瞭なコントラストが出るような組み合わせになるように選択する ことが好ましい。
[0062] 力かる標識マーカーをタンパク質などの生体成分物質などの測定対象物質に標識 する方法としては、当該技術分野に属する当業者に公知の方法であればいずれも使 用することができる。標識に際しては、例えば、試料中の標識測定対象物質がタンパ ク質の場合には、構成する同一のアミノ酸、例えばヒスチジンなどと結合することがで きる色素などの標識マーカーを選択するのが好ましい。
[0063] ところで、使用する測定用試料には、血清などの生体成分が含有されていることか ら、無色透明ではなぐ僅かでも色彩を帯びていると考えられる。そこで、測定に当た つては、力かる色彩の影響を考慮することが好ましい。そのためには、例えば、基準 試料中の血清タンパク質を青色色素で標識し、検査試料中の患者血清を赤色色素
で標識する場合を例に取ると、基準血清タンパク質についても、別に患者血清と同じ 赤色色素を固定したものを用意し、色素の違いに基づく影響を除くためのブランクと して用いるのがよい。この場合には、理論上は、中間色である紫色になり、正常値は 中間色の紫色で示されると考えられる。しかし、実際には色素の違いに基づいて中 間色力 若干のずれが生じると考えられる。従って、上記のブランクを取ることによつ て、この若干のズレを補正することができる。このようにして異常値を示すタンパク質 成分はブランクの色からのズレを測定することによって特定することができる。
[0064] (発明の第 4の形態)
この発明の別の形態である両試料を混合しないで別個に測定する場合には、標識 検査試料と、標識基準試料とを同一条件で測定して得られた測定値の差に基づ!、て 標的物質を検出することができる。この場合、検査試料と基準試料とは別々に同一標 識マーカーで標識され同一条件で測定される。この測定により、検査試料中に存在 する測定対象物質の量と基準試料中に存在する測定対象物質の量とが検出される ので、この両試料中の測定対象物質量により所望の測定対象物質を検出することが できる。
[0065] (試料または検体試料)
この発明のいずれの場合においても、この発明で使用することができる試料として は、複数測定対象物質を含むものであればいずれの試料であってもよぐ所定の測 定目的、例えば、健康診断、臨床応用(例えば、診断、予後等を含む)または研究応 用やその他のあらゆる理由のために検出もしくは測定対象の成分を含有する、感染 源や被験対象体力 採取できるあらゆる生物学的試料もしくは化学的試料などを挙 げることができる。
[0066] 上記生物学的試料とは、例えば、脊椎動物や無脊椎動物などの動物もしくは植物 などの生物などの源 (被験対象体)力 採取されるあらゆる試料を意味する。これらの 生物のうち、脊椎動物としては、例えば、ヒト、サル、ィヌ、ネコ、ゥサギ、ャギ、ゥシ、ヒ ッジ、ブタなどの哺乳動物、マウス、ラット、モルモット、ハムスターなどのネズミ科動物 、 -ヮトリなどの家禽動物などが挙げられる。
[0067] 生物学的試料には、例えば、組織試料、体液試料、細胞試料、生検試料、組織.
細胞抽出物などの試料が含まれる。組織試料として、例えば、脳、肺、胃、肝臓、腎 臓、脾臓、脾臓、腸管組織 (小腸、大腸、直腸、結腸など)、皮膚組織、神経組織、血 管組織等の各種臓器組織に由来するものであれば ヽずれも挙げることができる。細 胞試料としては、例えば、脳細胞、肝細胞、上皮細胞、内皮細胞、神経細胞、筋肉細 胞、軟骨細胞等の組織構成細胞、また赤血球、血小板細胞、白血球 ·リンパ球、例え ば、単球、好中球、好塩基球、好酸球、食細胞、肥満細胞、 T細胞、 B細胞、体腔液( 例えば、胸膜液、腹腔液、心膜内液等)の細胞、例えば、マクロファージ、 T細胞、 B 細胞、好中球、好酸球等のリンパ球などの血球系細胞、中皮細胞、精子などの細胞 などを挙げることができる。また体液試料としては、例えば、血清、血漿、血球成分、 髄液、滑液、腹水、リンパ液等の体液、唾液、汗、涙液などの分泌物、尿、糞便のよう な排泄物、喀たん、膿、毛髪、垢や耳垢などの皮膚由来物、精液、胎盤、生理おりも のに由来する生体由来試料などが挙げられる。生検試料としては、例えば、生検によ つて採取した組織試料などが挙げられる。
[0068] また、生物学的試料としては、例えば、ウィルスもしくは細菌細胞由来試料、真核細 胞ゃこれらの混合物などが挙げられる。さら〖こ、生物学的試料には、例えば、環境成 分分析、食品分析、細菌培養やファージ溶解物などの分子生物学分析、廃水分析 などに使用する試料などを挙げられる。
[0069] 環境成分など力 なる試料としては、例えば、ウィルスや細菌細胞、真核細胞、これ らの混合物などの測定対象物質を含む生物学的汚染物質などが挙げられる。例え ば、工場や家庭など力ゝらの廃水や排水などの試料であっても、原材料に由来するも しくはその加工処理中に排出されるタンパク質由来もしくは有害成分を含有して 、る 廃液もしくはその含有が疑われる廃液などの、飲食もしくは食品工業力 の生物学的 試料などが挙げられる。力かる試料としては、例えば、食品、飲料、水道水、海水、湖 沼水、河川水、工場廃液、半導体用洗浄水、医療器具等を洗浄した後の洗浄液等 の環境試料などが挙げられる。
[0070] これらの試料は、不溶性であっても、可溶性であってもいずれでもよぐ更に高分子 糖類であっても、抗原や抗体などのパートナー物質と反応できるものであれば 、ずれ でも測定することができ、いずれも、必要に応じて、水や生理食塩水、トリス緩衝液、リ
ン酸緩衝液、クェン酸緩衝液、ホウ酸塩緩衝液、炭酸塩緩衝液等の通常この分野で 用いられている緩衝液等によって可溶ィ匕処理などの処理をして使用することができる
[0071] これらの試料は、被験対象体物力 当該技術分野で慣用されている技術によって 容易に採取することができる。例えば、患者からの検体、例えば血液などの採取は注 射などの慣用手段で容易に行うことができ、また環境試料などは現場力も容器などに よって掬ったりなどして採取して行うことができる。
[0072] この発明に使用する検体試料は、被験対象体力 採取された試料であって、この 発明の方法で検出する測定対象物質を含有している測定対象試料または力かる測 定対象物質を含有して!/ヽると考えられる測定対象試料を意味して!/ヽる。この発明に おいては、検体試料は、被験対象体から採取された状態のままの未処理もしくは未 精製の状態でも使用することができるが、必要に応じて、成分分離や固形物分離、可 溶化処理等の通常の前処理を施して使用することもできる。例えば、血液試料の場 合、血液を全血のままの状態または全血力 血球成分を分離して得られる血清また は血漿などの状態で試料として使用することもできる。血清を使用する場合は、非動 化処理をすると、測定対象物質が変性してしまい検出できなくなったりまたは検出結 果に悪影響を及ぼしたりする恐れがあるので、変性などしな 、ように適正な処理を施 すのがよい。
[0073] (基準試料)
一方、この発明に使用される基準試料は、例えば、天然由来の試料であるのがよく 、その試料には、検体試料を臨床 (診断、予後などを含む)応用目的もしくはその他の 目的のために測定する場合に、その基準試料には、その検体試料中の測定すべき 測定対象物質が含有されているとともに、力かる測定すべき測定対象物質が含有さ れて ヽると疑われる測定対象物質をも含有して ヽる生物学的試料であるのがよ ヽ。
[0074] この発明において、基準試料は、測定対象物質を正常範囲内の値もしくは量を含 んでいる標準試料を意味している。例えば、検体試料が血液などの場合には、この 基準試料は、各測定対象物質が正常範囲内の値含んでいる血液試料を意味してい る。この発明では、この基準試料は、健常な単独の人力も採取した血液であってもよ
いが、複数の健常人、例えば 10名以上、できれば 20名以上の人力 採取した血液 を混合して調製するのがよい。この基準試料には、採血した血液試料を混合したまま の状態では、ある種の測定対象物質の測定が困難な場合など、必要ならば、かかる 測定対象物質を外部から添加することもできる。この場合には、検体試料にも、同一 測定対象物質を同一量添加するのがよい。これにより、両試料中の測定対象物質の 比較を容易に行うことができることになる。なお、基準試料は、必要に応じて、天然由 来の生物学的試料と同様に、各測定対象物質が正常範囲内に含有されるように、生 理食塩水などを用いて人工的に調製することも可能である。
[0075] この発明で使用する基準試料は、測定対象物質の測定値の対照としても使用する ことができる。この基準試料は、単一の状態で測定した測定値を対照値として使用す ることによって試料中の各測定対象物質の測定値と比較することによって、各測定対 象物質を検出することができる。
[0076] (測定対象物質)
この発明において測定'検出される測定対象物質は、例えば、診断、予後などの臨 床応用などにおいて、疾患、障害、機能不全、その他の容態などまたは力かる疾患 や障害などの検出、診断、治療などに有用なマーカー、例えば腫瘍もしくはがんマー カーなどに関連しているもしくは関連していると疑われる成分の指標として利用するこ とができる測定対象物を包含して 、て 、る。
[0077] なお、本明細書における「疾患」、「障害」、「機能不全」、「容態」などの用語は、医 学的に厳密な意味で使用されているものではなぐ互換して使用することができるも のであって、一般的に正常でない状態として認識される徴候ならびに Zもしくは症状 を意味するものと理解される。疾患や病態などについては、標準テキストに詳細に記 載 れて ヽる (Anthony b. Fauci, et al.: Harrison s Principles of Internal Medicine (1 4th Ed.), McGraw Hill, 1997; Ramzi S. Cotran, et al.: Robbins Pathologic Basis of D iseases (6th Ed.), W. B. Saunders Co., 1998; etc.)。
[0078] この発明に係る同時物質検出方法によって検出される測定対象物質は、通常、測 定対象物質によって特異的な認識可能な、例えば、結合能または反応性などを有す る物質 (以下、「パートナー物質」 t 、う)と結合または反応などして結合性複合体など
を形成して、この結合性複合体を測定できるものであればいずれでもよい。かかる結 合性複合体としては、例えば、抗体 抗原、レクチン 炭水化物、核酸 核酸、ピオ チン アビジン、およびその他の結合性複合体を形成する分子が挙げられる。
[0079] 力かる測定対象物質としては、例えば、抗原、抗体、ホルモン、ホルモンレセプター 、レクチン、レクチン結合性糖質、サイト力イン、サイト力インレセプター、腫瘍マーカ 一等を含む疾患関連マーカー、疾患関連マーカーレセプター、核酸、薬物もしくは 薬物代謝物またはこれらのレセプター等およびそれらの一部分が挙げられる。上記 物質の例としては下記のようなものが例示でき、またこれらの部分とは、少なくともレセ プター物質との結合能などを決定する部位を含む 1部分であってもよい。また、この 発明では、抗原やレセプターを表面に発現する細菌、例えば、大腸菌、サルモネラ 菌、リステリア菌等の病原性細菌、放線菌、酵母、かび、ウィルス等の微生物も検出 することができる。なお、本明細書で使用する用語は、厳密な定義によって分類して いるのではなぐ分類によって重複している場合もあり、単に例示的に使用しているも のと理解することができる。
[0080] この発明で使用する抗原は、抗体と抗原'抗体反応によって結合し得る物質であれ ばいずれも使用することができ、特に限定されるものではなぐ例えば、あらゆるタン パク質の他、タンパク質の抗原決定基を含むフラグメント、細胞表面受容体である C D抗原、サイト力イン、ホルモン、環境ホルモン、微生物由来タンパクまたはペプチド あるいは糖鎖抗原、リガンド、レセプター、アレルゲン、免疫グロブリン、レクチン、糖 鎖、脂質、リポ多糖、抗生物質、毒素、腫瘍マーカー等を含む疾患関連マーカー抗 原などを包含している。
[0081] この発明で使用する抗体としては、上記抗原に対して抗原'抗体反応によって結合 し得るポリクローナル抗体、モノクローナル抗体またはそれら抗体の一部分であるフラ グメント、例えば、 Fabフラグメント、 Fab'フラグメント、 F (ab,) 2フラグメント、 F (v)フラ グメント、 H鎖モノマーまたはダイマー、 L鎖モノマーまたはダイマー、 1個の H鎖およ び 1個の L鎖力もなるダイマー等も挙げられる。
[0082] なお、この発明に使用する抗体、例えば、これらのポリクローナル抗体やモノクロ一 ナル抗体などは、当該技術分野に属する当業者に周知の方法に従って作製すること
ができる。つまり、生体成分物質などの抗体結合可能物質などを抗原として、抗体を 産生することができる動物種、例えば、ヒト、モルモット、ャギ、ネズミ、ゥサギ等の動物 に免疫して、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体などの抗体を常法に従って作 製することができる。
[0083] また、 CDR領域などの抗体の一部分は、抗体をパパイン、トリプシンなどのプロテア ーゼで処理および Zまたは pHと、 2—メルカプトエタノール、ジチオスレィトール等の 還元剤で処理することによって、または当該技術分野で慣用されている遺伝子工学 的手法を用いても作製することもできる。
[0084] サイト力インおよびサイト力インレセプターとしては、例えば、インターフェロン、イン ターロイキン、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子、エリスロポエチン、上皮増殖因子、 線維芽細胞増殖因子ならびにそれらのレセプターなどが挙げられる。
[0085] ホルモンおよびホルモンレセプターとしては、例えば、下垂体ホルモン(黄体形成ホ ルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、成長ホルモン(GH)、副腎皮質ホルモン( ACTH)、チロト口ピン (TSH)、プロラクチン等)、甲状腺ホルモン(トリヨ一ドサイロ- ン(T3)、サイロキシン (T4)、サイログロブリン等)、カルシトニン、副甲状腺ホルモン( PTH)、副腎皮質ホルモン(アルドステロン、コルチゾール)、性腺ホルモン(hCG、ェ ストロゲン、テストステロン、 hPL等)、脾'消化管ホルモン (インスリン、 C ペプチド、 グルカゴン、ガストリン等)、その他のホルモン(レニン、アンジォテンシン I、 II、エンケ フアリン、エリスロポエチン、ソマトスタチン(GIH)等)などおよびそれらのレセプター などが挙げられる。また、環境ホルモンとしては、例えば、トリブチルスズ、ノユルフェノ ール、 4ーォクチルフエノール、フタル酸ジ—n—ブチル、フタル酸ジシクロへキシル、 ベンゾフエノン、オタタクロロスチレン、フタル酸ジ 2—ェチルへキシルなどが挙げら れる。
[0086] 微生物由来タンパクまたはペプチドあるいは糖鎖抗原としては、例えば、微生物、 例えば結核菌、肺炎球菌、ジフテリア菌、髄膜炎菌、淋菌、ブドウ球菌、レンサ球菌、 腸内細菌、大腸菌、へリコパクター 'ピロリ等の細菌、インフルエンザウイルス、アデノ ウィルス,炎テロウィルス、ポリオウイルス、 EBウィルス、 HAV、 HBV、 HCV、 HIV, HTLV等のウィルス、カンジダ、タリプトコッカス等の真菌、レプトスビラ、梅毒トレポネ
一マ等のスピロヘータ、クラミジァ、マイコプラズマ等の微生物由来のタンパクまたは ペプチドあるいは糖鎖抗原等が挙げられる。
[0087] リガンドとしては、例えばエストロゲン, TSH等などが挙げられ、レセプターとしては
、例えば、エストロゲン, TSH等に対するレセプターなどが挙げられる。
[0088] アレルゲンとしては、例えば、ハウスダストや、コナヒヨウダニ,ャケヒヨウダニ等のダ 二類、スギ、ヒノキ、スズメノヒェ、ハルガヤ、ライムギ等の花粉、ネコ、ィヌ、力-等の 動物、真菌、昆虫、木材、薬剤、化学物質等に由来する気管支喘息,アレルギー性 鼻炎,アトピー性皮膚炎等のアレルギーの原因となる吸入性アレルゲンや、米、麦、 そば、卵白等の食物アレルゲンなどが挙げられる。
[0089] 免疫グロブリンとしては、例えば、 IgG、 IgM、 IgA、 IgE、 IgD、これらの分解産物な どが挙げられる。
[0090] レクチンおよびレクチン結合性糖質としては、例えば、コンカナバリン八、レンズマメ レクチン、インゲンマメレクチン、ダッラレクチン、小麦胚芽レクチン等、コンカナパリン A—グリコーゲン、デキストラン、酵母マンナン等、小麦胚芽凝集素 (WGA)—キチン オリゴ糖等、インゲンマメ由来フイトへマグルチニン(PHA)— D—ガラクトース、 N— ァセチルー D—ガラクトサミン含有糖質などが挙げられる。
[0091] 糖鎖としては、例えば、 ABO抗原などが挙げられ、脂質としては、例えば、コレステ ロール等の脂質、カルジォリピン、ホスファチジルコリン等のリン脂質、スフインゴミエリ ン等のスフインゴリン脂質、リポタンパク質などが挙げられ、またリポ多糖としては、例 えばエンドトキシン等などが挙げられる。
[0092] 核酸は、それと特異的に結合し得る物質が得られるのに十分な長さを有するもので あれば特に制限はなぐ例えば、 DNA、 cDNA、 RNA、 mRNA、 tRNAなどの天然 または合成の配列、 HIV、 HBV、 HCV等のウィルス遺伝子の転写産物、各種疾患 マーカー遺伝子の転写産物、オリゴヌクレオチド等が挙げられる。
[0093] 薬物もしくは薬物代謝物は、治療目的で投与された薬物、例えば、カルバマゼピン 、プリミドン、ノ レプロ酸等の抗てんかん薬、ジゴキシン、キ-ジン、ジギトキシン、テオ フィリン等の循環器疾患薬、ゲンタマイシン、カナマイシン、ストレプトマイシン等の抗 生物質等ならびにその代謝物などを包含して 、る。
[0094] 疾患関連マーカーとしては、疾患の診断やスクリーニングの指標として使用できる 物質であればいずれも使用することができ、特に限定されるものではない。かかる物 質としては、特に血液検査での検査項目、例えば生化学検査 (例えば、血清タンパク 質、アミノ酸 ·窒素化合物、血清酵素、血清ピリルビン、脂質、電解質 ·金属等)、内分 泌学的検査 (例えば、下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎髄質,交感神経、副腎皮質、 性腺'胎盤、糖代謝、消化管ホルモン、生理活性等)、血液 '凝固'線溶系検査 (例え ば、凝固 ·線溶系検査等)、免疫血清検査 (例えば、補体、免疫グロブリン、自己抗体 等)、感染症検査 (例えば、抗酸菌、真菌、一般細菌、微生物産生物 ·代謝産物、肝 炎ウィルス等)、腫瘍'線維化マーカー (例えば、腫瘍マーカー、線維化マーカー)、尿 •糞便検査、薬物 ·毒物などによって検査される物質などが挙げられる。これらの検査 項目の検査結果から、疾患 (例えば、呼吸器疾患、循環器疾患、消化器疾患、肝,胆 ,脾疾患、代謝,栄養疾患、内分泌疾患、血液,造血器疾患、腎,尿路疾患、神経疾 患、感染症等、リウマチ性疾患、アレルギー性疾患,免疫不全症等)や各臓器の機能 などの検査が行われる。
[0095] この発明により検出できる腫瘍マーカーは、癌の診断やスクリーニングの指標として 使用することができる生体物質であれば特に制限はなぐ例えば、 OC フ トプロティ ン (AFP)、癌胎児性抗原 (CEA)、メラノーマ細胞、メラノーママーカー(NKIZC3) 、メラノーママーカー(PALZM1)、メラノーママーカー(S— 100 α、 j8 )、神経芽腫 (CE7)、神経芽腫 (AD2)、マリグニン、ぺプシノーゲン、膝癌胎児性抗原 (POA)、 塩基性フエトプロテイン (BFP)、胎児性プレアルブミン (EPA)、免疫抑制酸性蛋白( IAP)、組織ポリペプチド抗原 (TPA)、フェリチン、ポリアミン、免疫グロブリン κ鎖 · λ 鎖、 j8 2—ミクログロブリン、トリプシンインヒビター、癌抗原 (KMO— 1)、脾癌関連抗 原 (シァリル SSEA— 1)、 SCC抗原、脾癌関連抗原 (DU— PAN— 2)、脾癌関連抗 原 (SPan— 1)、癌抗原 (CSLEX- 1)、糖鎖抗原 (CA19— 9)、脾癌関連抗原 (CA 50)、炭水化物抗原 (シァリル Tn)、糖鎖抗原 (CA72-4)、糖鎖抗原 (CA72— 4) 、糖鎖抗原 (CA15— 3)、糖鎖抗原 (CA125)、偏平細胞癌(SCC)、癌抗原 (NCC — ST—439)、前立腺特異抗原(PA)、リポヌクレアーゼ (RNase)、可溶性 ICAM 1 (sICAM- 1)、 PIVKA— II、アルドラーゼ、アルカリフォスファターゼ、酒石酸抵
抗性酸フォォスファターゼ (破骨細胞抗原)、 Ύ -ダルタミルトランスぺプチダーゼ、腫 瘍関連抗原 (CYFRA- 21 - 1)、前立腺酸性ホスファターゼ (PAP)、神経特異エノ ラーゼ(NSE)、 5, 一ヌクレオチドフォスフォジエステラーゼアイソザィム 、異常プロト ロンビン、サーファタタントプロテインなどの他、例えば、 NK細胞関連抗原(CD2、 C D7#、 CD8、 CD56、 CD57)、未熟リンパ球.顆粒球抗原(CD10)、汎 Tリンパ球抗 原(CD2#、 CD3、 CD5)、 Tリンパ球サブセット抗原(CD4、 CD8、 TCR α β 、 TCR γ δ #)、汎 Βリンパ球抗原(CD19#、 CD20、 CD22、 CD79a)、: Bリンパ球抗原(bcl - 2)、 Bリンパ球サブセット抗原 (IgG、 IgA、 IgM、 IgE、 IgD等)、胸腺 Tリンパ球抗 原 (TdT)、胸腺 Τリンパ球抗原 (CDla)、単球抗原 (CD14#)、顆粒球'単球抗原( CD15)、幹細胞関連 Z顆粒球抗原(CD34# 、 CD33#、 CD13#、ミエ口ペルォキシ ダーゼ、好中球エラスターゼ)、組織球抗原 (CD68、 S— 100、ライソザィム)、榭状 細胞関連抗原(CD21、 CD35、 DRC— l、 Ki— M4、 S— 100)、増殖抗原関連(C D71#、 Ki 67、 PCNA)などが挙げられる。
更に詳細には、上記腫瘍マーカーや線維化マーカーに加えて、この発明に使用す る測定対象物質は、例えば、一般的な健康診断で測定される検査項目において検 查される各種物質をも包含している。力かる検査物質としては、例えば、総タンパク、 ァノレブミン、 α ΐ グロブリン、 α 2—グロブリン、 β —グロブリン、 γ グロブリン、ァ ルブミン Ζグロブリン比、総ピリルビン量、直接ピリルビン量、 GOT、 GPT、 γ - GTP 、アルカリホスファターゼ (ALP)、乳酸脱水素酵素(LDH)、 LDHアイソザィム 1〜5 、コリンエステラーゼ(CHE)、アンジォテンシン変換酵素(ACE)、ロイシンアミノぺプ チダーゼ(LAP)、クレアチュン、クレアチンキナーゼ(CPK)、総コレステロール、中 性脂肪、 HDL コレステロール、 13—リポ蛋白、 LDL、 VLDL、レシチンコレステロ ールァシルトランスフェラーゼ(LCAT)、尿酸、血清アミラーゼ、 Pアミラーゼ、リウマト イド因子 (RA)、 C—反応性タンパク質 (CRP)、抗ストレブトリジン O価 (ASLO)、甲 状腺刺激ホルモン (TSH)、へパプラスチン、可溶性 IL— 2受容体、可溶性 CD— 4 受容体、可溶性 CD— 8受容体、可溶性 Fas (Tumor necrosis factor),可溶性 VCA M - l (Vascular adhesion molecule)、ハプテン(ジゴキシン、サイロキシン、トリョード サイロニン、コルチゾール等)、サイト力イン類 (例えば、免疫担当細胞由来サイトカイ
ンとして Th— 1サイト力イン(IFN a、 IL— 2等); Th— 2サイト力イン(IL 4、 IL— 5、 IL— 6、 IL— 10、 IL— 12、 IL 13等); Th— 3サイト力イン (TGF j8等)、炎症サイト 力インとして IL—1、 TNF、 IL 8等)、造血関連サイト力インとして IL 3、 IL— 7、 IL — 11、 G— CSF、 GM— CSF、 M— CSF等)、組織細胞成長因子として FGF、 HG F、 PDGF等)、 IgG、 IgA、 IgM、 IgE、 IgD、クリオグロブリン、非特異的 IgE、 CH50 、 C3、 C4、アレルゲン特異的 IgE抗体、リュウマトイド因子、アデノシンデアミラーゼ、 グアナーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、トリプシン IAT— T)、脾分泌性トリプシンインヒ ビター(PSTI)、エラスターゼ、脾ホスホリパーゼ A2、ぺプシノーゲン、補体、心室筋 ミオシン軽鎖 (Lc)、心室筋トロポミオシン、 III型プロコラーゲンァミノペプチド、 IV型 コラーゲン(7Sドメイン)、インスリン様成長因子— 1 (ソマトメジン C)、インスリン様結 合蛋白 3型(IGFBP— 3)、甲状腺刺激ホルモン、アルギニンパソプレシン、血漿レニ ン、グリコアルブミン、インスリン、 C—ペプチド、グルカゴン、ソルビトール脱水素酵素 、抗 GAD抗体、心房性ナトリウム利尿ペプチド、などが挙げられる。また、感染症検 查項目やウィルス検査項目として、例えば、 A群連鎖球菌抗原、風疹ウィルス、ヘル ぺスウィルス等のウィルスならびに HBs抗原、 HBs抗体、 HBe抗原、 HBe抗体、 HC V抗体、 HIV抗体、 A型肝炎ウィルス抗原、 B型肝炎ウィルス抗原、 C型肝炎ウィルス 抗原、エイズウイルス抗原等のウィルス関連抗体や抗原などが挙げられる。
(標識物質または標識マーカー)
この発明においては、一般的には、上記第 1の態様に係る方法の場合には、検体 試料に標識物質 (標識マーカーともいう)を添加することにより、また上記第 2の態様 に係る方法の場合には、検査試料または基準試料に標識物質を添加することにより 、測定対象物質を標識するのがよい。場合によっては、必要に応じて、上記パートナ 一物質も標識物質で標識することもできる。標識物質の種類は、適用する測定方法 によって変えるのがよぐまた、検査試料および Zまたは基準試料の標識は、特に特 定の標識方法に限定されるものではな 、が、各試料に標識物質を直接添加すること によって行うのがよい。これにより試料中に存在する実質的全ての測定対象物質を 標識物質で標識することができる。なお、試料中の測定対象物質の中には、使用す る標識物質で標識困難な場合もあるが、この場合には、例えば、精製した測定対象
物質を標識物質で標識して各試料に添加することもできる。
この発明において使用することができる標識物質は、通常、当該技術分野で標識 物質として使用されているものであればいずれも使用でき、特に限定されるものでは ないが、試料中の検出対象である測定対象物質の種類や測定方法などによって適 宜選択して使用するのがよい。力かる標識物質としては、ピオチンと、これと特異的に 結合するアビジンならびにストレプトアビジンの他に、例えば、酵素としてアルカリホス ファターゼ(ALP)、 β -ガラタトシダーゼ、ペルォキシダーゼ(POD)、マイクロバーオ キシダーゼ、グルコースォキシダーゼ(GOD)、グルコース 6—リン酸脱水素酵素、 リンゴ酸脱水素酵素、デヒドロゲナーゼまたはルシフェラーゼ等が使用でき、放射性 同位元素として 1311、 1251、 14C、 3H、 32P、 35Sまたは 99Tc等が使用でき、また色素 、蛍光性物質ならびに発光性物質としてメチレンブルー、ローズベンガル、プロトポル フィリン、へマトポルフィリン、アタリジン、リボフラビン、プロフラビン、ァクリフラビン、ク レゾールレッド、インドール、ピリドキサルリン酸、フルォレセイン、フルォレセイン'イソ シァネート(FITC)、ローダミン、ローダミン (RITC)、テトラメチルローダミン'イソシァ ネート(TMRITC)、カルボキシルメチルインドシァニン(Cy3)、フィコエリスリン(PE) 、ダンシル、フルォレスカミン、クマリン、ジメチルァミノナフタレンスルホン酸、ナフチ ノレアミン、ビォチン、オレゴングリーン、テキサスレッド、クーマシーブリリアントブノレー 、メチルオレンジもしくはこれらの誘導体などが挙げられる。また磁性マーカーとして は、例えば、磁性体微粒子として酸ィ匕鉄、ノ リウムフェライト、ストロンチウムフェライト 、純鉄、酸化クロム、ニッケル、コノ ルト、マンガン、銅、ニッケル、コバルト添カ卩酸化 鉄等の強磁性またはフェリ磁性物質、マグネタイト (Fe304)微粒子、マグネタイト微 粒子などの表面をデキストランなどの糖やプロテイン Aなどのタンパク質等の微粒子 に結合させた IgG抗体などの抗体 (または抗原)などが使用できる。これらの磁性マ 一力一に加えて、ポリビュルピロリドン、ポリオキシエチレン、ポリアクリルアミドなどの 末端に重合性ビュル基を有し親水性で分子量が 500〜: L000のマクロモノマーを磁 性微粒子の表面に吸着させ、カルボキシル基を有し親水性のビ-ルイ匕合物力 成る モノマーと架橋剤とをカ卩えて共重合させた SQUID磁気センサー用磁性マーカーな ども使用することができる。これら標識物質は、使用する試料や測定対象物質の種類
ならびに適用される測定原理などにより適宜選択するのがよい。
[0099] (測定用試料)
この発明の第 2の形態に係る同時物質検出方法において測定に供される試料、つ まり、測定用試料は、被験対象体から採取された検体としての検査試料と、対照とし ての基準試料とを、後述するように所定割合ずつ混合した混合試料として使用する のがよい。このようにすれば、検査試料を対照としての基準試料と混合することによつ て、検査試料に含まれる検査すべき測定対象物質を、基準試料中に含まれる対照 量の測定対象物質との割合として検出することができることになる。
[0100] この発明の形態において使用できる測定用試料は、標識物質で標識した標識基準 試料と標識マーカーで標識しない非標識検査試料とを混合して調製した測定用試 料と、標識検査試料と非標識基準試料とを混合して調製した測定用試料と、標識基 準試料と標識検査試料とを混合して調製した測定用試料とが使用することができる。 なお、標識基準試料と標識検査試料とを混合して調製した測定用試料の場合には、 標識基準試料と標識検査試料とにおいて使用する標識マーカーとしては、その種類 は変なるが、同一測定方法で測定できるものを使用する。
[0101] また、この発明は、標識検査試料と、標識基準試料とを別々に測定して、標識検査 試料の測定結果と、対照としての標識基準試料の測定結果とを比較することによって 検査試料中の測定対象物質を検出する別の形態をも包含している。この場合は、両 試料を標識する標識物質も測定方法も同一である。なお、本明細書においては、上 記混合試料について説明するが、この説明はこの別の形態の検出方法にも特段の 記載がない限り実質的に同様に適用することができる。
[0102] なお、本明細書においては、標識検査試料ならびに標識基準試料やこれらに類似 した表現をしている場合がある力 これらの表現は便宜的に使用しているのであって 、正確には、例えば、試料が標識されているのではなぐその試料中の測定対象物 質が標識物質で標識されていることを意味していると理解される。他方、非標識検査 試料や非標識基準試料などの表現も、同様に、カゝかる試料中に含まれている測定対 象物質は一切標識されて ヽな ヽ試料を意味して ヽると理解される。
[0103] 上記のようにして調製される測定用試料は、検査試料と基準試料とを所定割合ず
つ混合することによって調製される。この検査試料と基準試料との混合割合は、特に 限定されるものではなぐ両試料を検出する場合にコントラストが大きくなり、その比較 検討が確実にかつ十分にできるようにするのがよい。この発明においては、検査試料 と基準試料とは、例えば、約 1 : 9 (検査試料対基準試料。以下同じ)から約 9 : 1までの 割合、好ましくは約 2 : 8から約 8 : 2までの割合、より好ましくは約 3 : 7から約 7 : 3まで の割合であるのがよい。
[0104] この発明の第 2の形態に係る同時物質測定'検出方法によって検査試料中に存在 する測定対象物質を測定'検出するには、検査試料と標識基準試料とを所定割合で 混合することによって、検査試料中の測定対象物質は、基準試料中の測定対象物質 に対して所定割合で測定用試料中に存在することになる。従って、基準試料中の測 定対象物質は、この測定用試料中に含まれる全ての測定対象物質に対して上記混 合割合と同じ割合で測定用試料中に存在する。そこで、この基準試料中の測定対象 物質の割合を、基準試料だけからなる対照試料の測定対象物質に対する割合と対 比することによって測定することができ、その結果、検査試料中の測定対象物質を定 性 ·定量することができる。
[0105] 上記のように、本明細書にぉ ヽては、上記検査試料と基準試料とを混合した測定 用試料について説明するが、その説明は各試料を別々に測定する場合にも、特段 の場合を除いて、同様に適用できるものと理解することができる。この発明の同時物 質検出方法においては、上記検査試料と基準試料とを上記のように混合して調製す る測定用試料の他に、各試料を、それぞれ個別に混合することなしに、同様に、同一 標識物質で標識し、同一測定原理に従って測定して、各測定結果に基づいて各試 料中の測定対象物質を検出'定量することもできる。
[0106] この発明に従って調製される測定用試料は、第 1の形態ならびに第 2の形態のいず れの場合でも、その試料中の測定対象物質が下記で詳述するパートナー物質と反 応ゃ結合などにより複合体を形成するように処理される。
[0107] (パートナー物質)
この発明において、上記測定対象物質は、特異的に認識可能な、例えば、結合能 または反応性などを有する物質 (以下、「パートナー物質」という)と結合、反応などし
て複合体を形成し、その複合体を測定原理に基づいて測定することによって検出す ることができる。パートナー物質は、下記に示す固相化用担体に固定化され、測定用 試料と接触したときに、その試料中の測定対象物質、つまり「標的」物質である相補 的分子と結合などし、検出されることになる。なお、本明細書においては、パートナー 物質を、プローブもしくはノィォプローブまたはこれに類似する用語で指称すること があるが、いずれも同一概念の物質であると理解できる。
[0108] 一般的には、パートナー物質は、当該技術分野で周知の手法によって、例えば、ポ ット状やその他の形状に固相化用担体上に固相化される。その数は、例えば、数百 個から数千個、多い場合には、 1万個以上のバイオプローブを 1個の固相化用担体 上に固相化することができる。この発明においては、例えば、数百個以下、ある場合 には数十個以下という著しく少ない数のパートナー物質を 1個の固相化用担体上に 固相化してもよい。つまり、所定の分析目的が特定できれば、その分析目的に適った 関連測定対象物質ならびに関連すると考えられる物質だけを分析すればよいことに なるから、力かる関連物質を選択し、固相化用担体に固定ィ匕すればよい。 換言す れば、測定対象物質を疾患、障害などに関係する標的物質として特定すれば、担体 、つまりアレイ上に固定ィ匕するパートナー物質の種類は、問題の疾患などに慣例なら びに関連するノィォ分子、例えば、抗原や抗体などのグループ力も適切な種類を選 択して担体に固定ィ匕することができる。このように調製できるアレイは、各目的'用途 毎に、簡単にカスタムメイドで調製することが可能であり、また各目的'用途毎に市販 されれば、診断、検査などに応用でき、極めて便利になり、かつ、検査などの手間や 時間を大幅に省いたり、また短縮することができることになる。
[0109] かかるパートナー物質としては、例えば、測定対象物質と結合または反応などして 複合体などを形成でき、かつ、測定対象物質を分解や変性などしてその検出に悪影 響を及ぼさない限り、いずれの物質であっても使用することができ、特に限定されるも のではない。またパートナー物質は、検出する測定対象物質の種類によって適宜変 えることができる。かかるパートナー物質として、例えば、抗原、抗体、ホルモン、ホル モンレセプター、レクチン、レクチン結合性糖質、サイト力イン、サイト力インレセプター 、腫瘍マーカー等を含む疾患関連マーカー、疾患関連マーカーレセプター、薬物も
しくは薬物代謝物または薬物もしくは薬物代謝物レセプター、核酸、およびそれらの 部分などが好ましい。なお、上記物質の部分とは、少なくとも測定対象物質との結合 能などを決定する部位を含む 1部分であってもよい。
更に詳細には、パートナー物質としては、例えば、アルブミンに対しては抗アルブミ ン抗体、グロブリンに対しては抗グロブリン抗体、総ビリルビンに対しては抗ビリルビン 抗体、直接ピリルビンに対しては抗ビリルビン抗体、 GOTに対しては抗 γ— GOT抗 体、 GOPに対しては抗 GOP抗体、 γ— GTPに対しては抗 y GTP抗体、 GPTに対 しては抗 GPT抗体、アルカリフォスファターゼ (ALP)に対しては抗アルカリホスファタ ーゼ抗体、コリンエステラーゼに対しては抗コリンエステラーゼ抗体、アンジォテンシ ン変換酵素に対しては抗アンジォテンシン変換酵素抗体、ロイシンアミノぺプチダー ゼ(LAP)に対しては抗ロイシンアミノぺプチダーゼ(LAP)抗体、インスリンに対して は抗インスリン抗体、アルドラーゼに対しては抗アルドラーゼ抗体、クレアチュンキナ ーゼに対しては抗クレアチンキナーゼ抗体、総コレステロールに対しては抗コレステ ロール抗体、 LCATに対しては抗 LCAT抗体、中性脂肪に対しては抗中性脂肪抗 体、尿酸に対しては抗尿酸抗体、 C 反応性タンパク質に対しては C 反応性タン パク質抗体の他、ァラニンアミノトランスフェラーゼ (ALT)に対しては抗ァラニンァミノ トランスフェラーゼ (ALT)抗体、ァスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ (AST)に対 しては抗ァスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ (AST)抗体、乳酸脱水素酵素に対 しては抗乳酸脱水素酵素抗体、 CK MBに対しては抗 CK MB抗体、梅毒定性 に対しては抗梅毒菌抗体、トロポニン Tに対しては抗トロポニン T抗体、 Dダイマ一定 性に対しては抗 Dダイマー抗体、血液型に対しては抗血液型抗原抗体、へモグロビ ンに対しては抗ヘモグロビン抗体、フィラデルフィア染色体に対しては抗フイラデルフ ィァ染色体抗体、ビタミン B12に対しては抗ビタミン B12抗体、ミオシン軽鎖に対して は抗ミオシン軽鎖抗体、アルドステロン濃度に対しては抗アルドステロン抗体、ガスト リンに対しては抗ガストリン抗体、アミラーゼに対しては抗アミラーゼ抗体、 IgEに対し ては抗 IgE抗体、ハプトグロビンに対しては抗ノヽブトグロビン抗体、心筋ミオシン軽鎖 に対しては抗心筋ミオシン軽鎖抗体、トロポニン T抗体に対しては抗トロポニン T抗体 、間質性肺炎マーカー抗体に対しては抗間質性肺炎マーカー抗体、肝細胞増殖因
子抗体に対しては抗肝細胞増殖因子抗体、補体抗体に対しては抗補体抗体、ダル タミン酸デカルボキシラーゼ抗体に対しては抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ抗体 、リュウマトイドに対しては抗リュウマトイド因子抗体、サイト力インに対しては抗サイト 力イン抗体 (抗インターロイキン 1〜13抗体、抗 MIP— 1 α抗体、抗 M— CSF抗体、 抗 GM— CSF抗体、抗 LIF抗体、抗 SCF抗体、抗 TGF— β 1抗体、抗 TGF— β 2、 抗 TNF— a抗体、抗 TNF— β抗体、抗インターフェロン a抗体、抗インターフェロン β抗体、抗インターフェロン γ抗体等)、リュウマトイド因子に対しては抗リュウマトイド 因子抗体、レニン活性に対しては抗レニン抗体、 Α群連鎖球菌に対しては Α群連鎖 球菌抗原、風疹に対しては風疹抗原、抗 HBs抗原に対しては抗 HBs抗体、 HBe抗 原に対しては抗 HBe抗体、 HCV抗体に対しては HCV抗原、 HIV抗体に対しては H IV抗原、 HbAlcに対しては抗 HbAlc抗体、抗凝固因子 Iないし Xなどが挙げられる
[0111] この他、 αフエトプロテイン、フェリチン、 CEA、 TPA、 CA19— 9、 SCC、 PSA、 N SE、 CA72— 4、 SLX、 BCA225等の上記腫瘍マーカーに対する抗原または抗体 も使用することができる。例えば、抗腫瘍マーカータンパク質抗体として、抗 α—フエ トプロテイン抗体、抗 PIVKA抗体、抗ガン胎児性抗原抗体、抗 CA15— 3抗体、抗 Β FP抗体、抗 j8— CF抗体、抗 IAP抗体、抗 ICTP抗体、抗 CYFRY抗体、抗 CA125 抗体、抗トリプシンインヒビター抗体などに加えて、上記腫瘍マーカーに対する抗体 ならびに抗原が挙げられる。
[0112] 上記パートナー物質は、バイオ分子プローブとして使用する場合には、例えば、タ ンパク質、核酸、デォキシヌクレオチド結合体もしくは同族体力 なるポリヌクレオチド もしくは割後ヌクレオチドであるのが好ましぐそのうちでも、抗体としては、疾患、障 害、機能不全、その他の病態などの病因関連物質、つまり、起因している物質ならび に起因して 、ることが考えられる力、起因して!/、ると疑われる物質に対するポリクロー ナル抗体やモノクローナル抗体が特に好ましぐまた抗原としては力かる病因関連物 質が特に好ましい。当然のことながら、その他の物質もパートナー物質として使用す ることができ、例えば、測定対象物質の天然由来のレセプターなどが例示される。も し測定対象物質が固相化用担体に直接固定ィ匕することができるのであれば、パート
ナー物質の使用は必須ではなくなるが、一般的には、パートナー物質は測定対象物 質と高い特異性を有することから、測定の正確性や安定性などを考慮すれば、パート ナー物質を使用するのが好ましい。
[0113] この発明においては、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体は、対応する 抗体などを使用することによって当該技術分野において周知の方法を用いて作製す ることができる。ポリクローナル抗体は、例えば、同系交配種のマウス(例えば、 BAL BZcマウス)やゥサギを、フロインドアジュバンドなどの標準アジュバンドを用いて免 疫し、標準免疫プロトコルに従って常法に準じて調製することができる。またモノクロ ーナル抗体にしても、同様に、周知の種々の方法に従って、ごく簡潔に言えば、所望 の抗原で免役した動物からの脾臓細胞をミエローマ細胞と融合することによって調製 することができる(Kohler & Milstein, Eur. J. Immunol. 6:511-519, 1975)。
[0114] (固相化用担体)
この発明において測定対象物質を測定するためには、一般的には、測定対象物質 またはその測定対象物質と結合性複合体などを形成するパートナー物質のいずれ 力を固相化用担体に当該技術分野で慣用されている方法によって固定ィ匕または固 相化などするのがよい。
[0115] 固相化用担体としては、血液などの試料を保持することが可能である限り、固相化 担体の材質、形状等は特に制限されない。固相化担体の材質としては、公知の天然 の物質ならびに合成の高分子等が使用でき、例えば、ガラス、シリカゲル、シリコンな ど各種セラミックスや、磁性粒子、フェライト、鉄、ニッケル、コバルト等を主成分とした 合金といった無機系の担体や、セルロース、ニトロセルロース等のセルロース系担体 、ァガロース、デキストラン、ポリアクリルアミド、ポリスチレン系誘導体、無水マレイン 酸系重合体、ポリオレフイン、ポリウレタン、セルロースアセテート、ポリエステル、ポリ 塩化ビュル榭脂、エポキシ榭脂、フエノール榭脂、ナイロン、表面改質ナイロン、ポリ アクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリビ-リデンジフルオライド (PVDF)などの有機合 成ポリマーなど有機系の担体などが挙げられる。固相化担体の形状は、粒子状、板 状、棒状、膜状、ディスク状、ビーズ状などのいずれの形状であってもよぐ特に限定 されるものではないが、例えば、マイクロタイタープレートなどのアレイの構成であるが
好ましい。
ここで、この発明に使用できるアレイは、ノ ィオアレイ、バイオチップ、バイオチップ アレイ、タンパクチップなど種々の名称で呼ばれている力 これらはいずれも実質的 に同一の基本的構成を有している。その基本的構成は、例えば、固相化用担体の表 面に、複数個のプローブもしくは生化学的プローブがパートナー物質として一定の間 隔をお 、て秩序立って配列されて 、る形態をして 、る。当該技術分野にぉ 、て慣用 されているバイオチップは、測定対象物質としての生化学的分子の結合対の少なくと も一方を構成する生化学的分子を秩序立って配列して 、るアレイもしくはマイクロア レイ、好ましくはアドレス指定可能アレイであるのがよい。この発明の方法に使用でき るアレイとしては、好ましくは、例えば、疾患、障害、機能不全、その他の病態などに 関連しもしくは関連すると疑われる生化学的試料カゝら得られるし DNA試料中に存在 して 、る力もしくは存在して 、ることが期待されるヌクレオチド配列の少なくとも 1つの 配列に対して相補的なヌクレオチド配列力 なるいわゆるオリゴヌクレオチドチップや 、生化学的試料中に検出すべき多数のタンパク質もしくはタンパク質フラグメントまた はタンパク質もしくはそのフラグメントを構成するアミノ酸配列物またはアミノ酸配列物 が順序立てて配列されて 、る 、わゆるタンパクチップなどが挙げられる。
[0116] ここで、アドレス指定可能アレイとは、例えば、そのアレイ表面に整然と形成されるゥ エルを順序立ててアドレスで指定できるように配列し、そのゥエルに結合パートナーと しての生化学的プローブを固相化できるように構成したアレイを意味して 、る。要約 すると、この発明においては、アドレス指定可能アレイは、ゥエルなどのその各要素が それぞれ X座標と y座標とに順序立てて整然と配列されて 、るアレイを意味して 、る。
[0117] この発明においては、固相化用担体として、マイクロビーズなどのミクロスフエアなど も、プレート状、チューブ状、ディスク状などの形状の固相化用担体同様に使用可能 である。この場合には、各ビーズにそれぞれ 1種類のパートナー物質を固定ィ匕するの 力 ぐパートナー物質の種類や濃度などに応じてビーズの数を増減することができ る。
[0118] この発明の方法の顕著な独特の特質を考えると、測定用試料が添加されることから 、例えば、マイクロタイタープレートなどのアレイにおいて所定数のゥエルが配列され
ている部分、つまり、測定用試料が導入される部分を全体的に凹状に形成した箱状 にするのがよい。アレイをこのような構成にすることにより、測定用試料をアレイに添カロ した際に、測定用試料がアレイ外に漏れ出たり、溢れ出ることを防止することができる
[0119] この発明に使用するパートナー物質を基盤となる固相化担体上に固定ィヒする方法 としては、当該技術分野で常用されている方法であれば、いずれも使用することがで き、特に限定されるものではない。例えば、膜状やシート状の固相化担体を使用する 場合には、その担体上にスポットして固相化し、またはマイクロアレイプレートなどの 固相化担体を使用する場合には、そのゥエル中に固定ィ匕または固相化などするのが よい。固相化担体上にスポット固定するスポットの数は、光学的手段による限度として 、スポット間の干渉が起きない程度の密度に設定するのがよいが、使用目的に適った 数のスポットを作成するのがよい。具体的には、例えば、スライドグラスほどの大きさ当 たり数十個から数百個のスポットを固定することが可能である。更に、各スポットに別 の抗体を固定してもよいし、またはいくつかを重複して同一の抗体をスポットすること も可能である。一方、マイクロアレイプレートなどの固相化担体の場合には、使用目 的に適ったゥエルを有するものを適宜選択するのがよい。またマイクロアレイプレート のゥエルにはそれぞれ 1種類のパートナー物質を固定ィ匕するのがよぐそのパートナ 一物質としては、その種類は同一であっても、異なっていてもよいが、同一種類のパ 一トナー物質を固定ィ匕する場合は、その濃度などを変えて固定ィ匕するのがよい。
[0120] この発明において、パートナー物質の固相化担体上への固定化は、一般的には、 例えば、当該技術分野において周知の手法によって、つまり、パートナー物質として の抗原もしくは抗体を担体に共役的に架橋し、または物理的に吸着して結合すること によって固定ィ匕することができる。このようにパートナー物質を担体上に固相化するこ とによって、測定対象物質としてのタンパク質が担体表面上に結合することができる ようにドメインを追加する融合タンパク質が提供される。別の方法としては、例えば、 測定対象物質としてのタンパク質と反応性を有しかつ標的物質たるパートナー物質と の結合を阻害しな 、抗体は、固相化担体のゥエルやビーズ状の担体の表面上に誘 導され、抗体結合によってそのゥエルに捕捉されまたビーズ表面上に固定される。
[0121] パートナー物質と担体表面上とが共役結合されることが望ましい場合には、その担 体表面は、通常、複数の機能性基を有し多機能的であるか、または力かる機能性基 で多機能化するのが好ましい。機能性基としては、例えば、カルボン酸基、アルデヒ ド基、アミノ基、シァノ基、エチレン基、ヒドロキシ基、メルカプト基などが挙げられる。 広範な範囲の化合物を種々の担体表面に結合する手法は、当該技術分野において は周知であり、種々の文献に記載されている(Ichiro Chibata, Immobilized Enzymes, Halsted Press, New York, 1978; Cuatrecasas (1970) J. Biol. Chem. 245, 3059)。
[0122] 共役結合に加えて、アツセィ成分を担体表面に非共役的に結合する手法も種々使 用することができる。非共役結合の典型的な例としては、例えば、アツセィ成分を非 特異的に担体表面上に吸着して結合する手法が挙げられる。これらの非共役結合手 法も当該技術分野においては周知である。
[0123] (測定対象物質とパートナー物質との複合体)
この発明によれば、上述したように、測定対象物質とパートナー物質とは反応や結 合などして複合体を形成する。例えば、検出する測定対象物質が抗原である場合、 その測定対象物質に対するパートナー物質としては、その抗原に対する抗体、ぺプ チド、レクチンなどの組み合わせが使用できる。他方、検出する測定対象物質が抗体 である場合には、その測定対象物質に対するパートナー物質としては、その抗体と結 合し得る抗原、ペプチド、レクチンなどの組み合わせが使用できる。
[0124] また、検出する測定対象物質がホルモン、レクチン、サイト力インまたは腫瘍マーカ 一などである場合、パートナー物質としては、測定対象物質と結合能などを有する物 質であって、それぞれに対して特異的なホルモンレセプター、レクチン結合性糖質、 サイト力インレセプターまたは腫瘍マーカーレセプターなどを組み合わせて使用する のがよい。測定対象物質がそれぞれのレセプターである場合、キヤプチヤー物質は、 測定対象物質と結合能を有する物質であって、各レセプターを認識する物質、例え ば、ホルモン、レクチン、サイト力イン、腫瘍マーカーなどが使用できる。
[0125] 検出する測定対象物質が核酸の場合、測定対象物質と結合能を有するパートナー 物質は、上記した測定対象物質が抗原の場合に例示された物質の組み合わせに加 えて、測定対象物質に対して相補的な核酸もしくは核酸結合蛋白質または測定対象
物質に対して親和性を有する抗体、ペプチド、レクチン等の組み合わせなどが使用 できる。
[0126] このようにして形成される結合性複合体は、例えば、抗体—抗原、ピオチン—アビ ジンやストレプトアビジン、ホルモン一レセプター、レセプターリガンド、タンパク質 ペプチド鎖、酵素一基質、レクチン 糖鎖、核酸 核酸、 IgG プロテイン Aなどとし て形成され、かかる複合体を、例えば標識物質を指標として適正な測定手段で測定 することによって、測定対象物質を測定することができる。
[0127] (測定方法)
上記のように調製される測定用試料は、一般的には、例えば、マイクロアレイなどの 測定システムに添加され、試料中の測定対象物質がマイクロアレイなどの固相化担 体に固定ィ匕されているパートナー物質としての結合プローブに曝露され接触すること によって、測定対象物質と結合プローブとの複合体が形成され、この複合体の標識 測定対象物質を測定することによって問題の測定対象物質を測定し検出することが できる。もし測定用試料中に疾患などに関連していると考えられる抗原に対して特徴 的な抗体が含まれている場合には、抗原抗体反応により生成される生成物が担体上 に残留することになり、この生成物を確定しているアツセィ法、例えば、ィムノアッセィ 法などの測定方法で測定、つまり定性ならびに定量することができる。
この発明に利用可能な測定方法としては、当該技術分野における当業者によって 通常用いられている各種測定法であればいずれも使用することができ、例えば、酵 素結合ィムノソルベント測定法 (ELISA)等のィムノアッセィ法などの酵素免疫測定 法 (EIA)、蛍光免疫測定法 (FIA)、放射免疫測定法 (RIA)、ハイブリダィゼーシヨン 法等や、磁性マーカーを利用するレーザ磁気免疫測定法等の免疫測定法などが挙 げられる。また、フローサイトメトリー法を利用することもできる。
[0128] 酵素免疫測定法 (EIA)や放射免疫測定法 (RIA)などの免疫測定法 (ィムノアッセ ィ法)は、いずれも免疫学的特異性に基づく反応を利用して抗原'抗体または免疫複 合物を検出する免疫学的測定方法である。免疫測定法、つまりィムノアッセィ法には 、いわゆる競合法や、非競合法などがあるが、これらはいずれもこの発明の方法に適 用して使用することができる。力かるィムノアッセィ法によって腫瘍マーカーなどの抗
原物質を検出'定量する場合には、一般的には、競合法が好ましい。
[0129] ィムノアッセィ法にお 、ては、測定対象物質は、酵素免疫測定法では標識酵素の 酵素活性、例えば発色剤とされる酵素基質と酵素との反応による発光強度などを示 す吸光度などにより、また放射免疫測定法では標識放射性物質の放射活性、つまり 放射線量により測定することによっての検出'定量することができる。また、磁性マー カーを利用するレーザ磁気免疫測定法を使用する場合は、上記測定法にぉ 、て、 標識マーカーとして磁性マーカーを使用して、実質的に同様に検出'定量することが できる。この場合、試料中の測定対象物質の検出は、公知の測定装置、例えば超電 導定量干渉装置 (SQUID)を用いて、磁性マーカーの磁化の残留磁気を磁場セン サ一により測定することによって行うことができる。
[0130] 例えば、測定対象物質を酵素で標識する手法である酵素抗体法の場合、使用可 能な酵素抗体法としては、直接法、間接法、アビジン 'ピオチンィ匕ペルォキシダーゼ 複合体 (ABC)法や、非標識抗体法としてのペルォキシダーゼ ·抗ペルォキシダーゼ (PAP)法などが挙げられ、これらはいずれもこの発明の方法に容易に適用すること ができる。かかる標識酵素としては、検出する測定対象物質とそれに対する結合物 質であるパートナー物質との結合反応などを阻害せず、かつ、この酵素反応により生 成されるシグナルの検出に支障がないものである限り、特に限定されないが、通常、 西洋ヮサビペルォキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(ALP)、グルコースォ キシダーゼ(GO)等が用いられる。 FITCや HRP等で標識したアビジンや、ストレプト アビジンなどを用いることができる。この手法では、酵素の基質としては、例えば、テト ラメチルベンチジン (TMB)等が利用可能であり、またアルカリホスファターゼ (ALP) を使用する場合には、 P— -トロフエ-ル燐酸等が利用可能である。
[0131] 上記に例示した多くの確定した測定方法のうち、 ELISA法などのィムノアツセィ法 が極めて幅広 、範囲で使用されて 、て、ほぼ全ての種類の天然物もしくは合成化合 物などの有機物質を定性 '定量することにより特定するために利用されている。协 る有機物質としては、例えば、ペプチド、タンパク質、酵素、ホルモン、ビタミン、炭化 水素類、医薬品などが挙げられる。したがって、この測定は、一般的には、あらゆる分 析目的に利用できることになり、例えば、研究、検査、診断応用や法医学応用、食品
品質管理など幅広く利用することができる。
[0132] 多くのィムノアッセィ法、つまり免疫学的結合アツセィ法は当該技術分野において 周知の手法であり、その構成は所望の適用によって特定できる。ィムノアッセィ法に おいては、例えば、単一疾患関連ェピトープに対するモノクローナル抗体、単一疾患 関連抗原性成分の異なる複数ェピトープに対するモノクローナル抗体の組み合わせ 、異なる疾患関連の複数抗原のェピトープに対する複数のモノクローナル抗体、異な る疾患関連の複数抗原に対するボリクローナル抗体などが使用することができる。
[0133] 一般的には、ィムノアツセィ法は、測定対象物質を特異的に捕捉もしくは結合する ために「捕捉剤」として結合性パートナー物質を利用している。この捕捉剤は、測定 対象物質に対する抗体のようなボリペプチドやそのサブシーケンスに特異的に結合 する分子であっても、測定対象物質関連分子が測定対象物質に結合したまま残留し て 、る条件で測定対象物質関連タンパク質と結合して 、てもよ 、。測定対象物質関 連分子が捕捉されているアツセィにおいては、測定対象物質関連タンパク質は、通 常、例えば、測定対象物質に対する抗体を用いて検出することができる。タンパク質 の複合体を検出するィムノアツセィ法もまた公知である。
[0134] ィムノアツセィ法は、典型的には、標識抗体または標識抗原性成分 (例えば、試料 中にお 、て抗体に結合するために抗原と競合するもの)の 、ずれかを使用する。適 切な標識物質としては、上記したように、酵素ベース、蛍光性、化学発光性、放射性 、可染性分子などが使用できる。またプローブからの信号を増幅するアツセィ法も知 られていて、力かるアツセィ法としては、例えば、ピオチンとアビジンとを使用するアツ セィ法や酵素標識ィムノアッセィ法などが知られている。
[0135] 競合的アツセィ法は、試料中の未知の測定対象物質を間接的に測定するアツセィ 法である。このアツセィ法では、試料中の未知の測定対象物質は、この未知の測定 対象物質に対応する抗体から、この未知測定対象物質と競合して置換された (排除 された)外部力 追加した既知の測定対象物質の量を測定することによって間接的 に測定される。ある競合的アツセィ法においては、試料中の測定対象物質は、既知 量の測定対象物質を試料に添加し、この試料をその測定対象物質に特異的に結合 する抗体と接触させることによって測定することができる。抗体に結合した外部力 追
加する測定対象物質の量は、試料中の測定対象物質の濃度に反比例する。この競 合的アツセィ法の態様においては、抗体は固相担体に固定ィ匕するのが好ましい。ま た、担体に結合した測定対象物質の量は、測定対象物質と抗体の複合体中に存在 する測定対象物質量を測定するか、または残留する複合化しなかった測定対象物質 を測定するかのいずれかによつて測定することができる。一般的には、前者が好まし い。
[0136] 競合的アツセィ法の別の態様として、ハプテン抑制アツセィ法といわれるアツセィ法 があるが、このアツセィ法も使用することができる。このアツセィ法は、既知量の抗体( 測定対象物質に対する抗体)を試料に添加し、この試料を、既知の測定対象物質を 結合させた固相担体と接触させて試料中の測定対象物質をこの担体に結合させるこ とによって、この担体に結合している測定対象物質を測定することからなっている。こ のアツセィ法では、固相担体に固定ィ匕した抗体に結合した測定対象物質の量は、試 料中に存在する測定対象物質の量に反比例する。この方法では、固定化した抗体 の量は、固相分画または溶液中に残留する抗体の分画のいずれかを検出することに よって検出することができる。このアツセィ法においては、抗体が標識されている場合 には、測定対象物質は直接に検出することができ、他方、抗体が非標識の場合には 、抗体と特異的に結合する標識分子を添加することによって間接的に検出することが できる。
[0137] 他方、非競合的アツセィ法は、例えば、抗原などの測定対象物質の量を直接に測 定するアツセィ法である。サンドイッチ法のある態様においては、測定対象物質は、 例えば、測定対象物質に対する抗体を固相担体に直接結合し、固定化された抗体 に試料中に存在する測定対象物質を捕捉させ、この捕捉された測定対象物質を測 定する仕組みになっている。この方法では、固相担体に固定された測定対象物質は 、標識物質、例えば、標識した第 2の担体 (二次抗体)を用いて標識することができる 。更に別の態様として、第 2の抗体は標識せずに、標識した第 3の抗体を、この第 2抗 体力も派生した分子に対して特異的に結合させることも可能である。第 2または第 3抗 体は、典型的には、ピオチンなどの検出可能な分子で修飾し、この抗体に別の分子 、例えば、ストレプトアビジンなどを特異的に結合することもできる。
[0138] さらに、いわゆるサンドイッチ法について、測定対象物質が抗原である場合を例とし て説明すると、患者血清などの検査試料中に含まれる測定対象物質である抗原は、 パートナー側抗体としての固相化抗体 (パートナー物質)と、放射性物質、着色粒子 または酵素などの標識マーカーで標識された検出側抗体とによってサンドイッチされ て、 3分子からなる複合体が形成される。このように形成された複合体の標識検出側 抗体を測定することによって、測定対象物質である抗原を検出することができる。この 検出は、上記同様に行うことができ、検出側抗体を標識した標識マーカーの性質に 依存し、標識マーカーの標識量を測定することによって抗原量を検出することができ る。放射性標識であれば放射線量を、着色粒子標識であれば発色量や吸光度を、ま た酵素標識であれば吸光度を常法に従って検出して行うことができる。
[0139] 確立されている多くのィムノアッセィ法のうち、 ELISA法が最も幅広く利用されてい る力 この発明では、その ELISA法の多くの変法もまた利用することができ。かかる E LISA法としては、典型的な ELISA法の他に、競合的 ELISA法や非競合的 ELISA 法も使用することができる。 ELISA法は、例えば、検体試料もしくは基準試料をパー トナー物質と一緒に培養し、試料中の非標識測定対象物質とパートナー物質とを結 合する工程と、前の工程で培養した試料とは異なる検体試料もしくは基準試料を添 カロしてその試料中の標識測定対象物質とパートナー物質とを結合する工程とから構 成することができる。別の方法としては、検体試料もしくは基準試料をパートナー物質 と一緒に培養し、試料中の標識測定対象物質とパートナー物質とを結合する工程と 、前の工程で培養した試料とは異なる検体試料もしくは基準試料を添加してその試 料中の非標識測定対象物質とパートナー物質とを結合する工程とから構成すること ができる。または、まず、非標識もしくは標識検体試料をそれぞれ標識もしくは非標 識基準試料と混合して、この混合試料カゝらなる測定用試料をパートナー物質とを結 合する工程カゝらなっていてもよい。液体試料中で測定対象物質の存在を検出し、そ の濃度を測定することができる ELISA法においては、試料は、測定対象物質に対す るパートナー物質と接触させて、測定対象物質とパートナー物質とが実質的に完全 に結合するように十分な時間培養するのがよ 、。
[0140] ELISA法においては、パートナー物質は、通常、反応容器 (例えば、試験管やマイ
クロタイタープレートのゥエルなど)の内面もしくはビーズなどに固相化された状態で 存在する。パートナー物質は、固相に物理的に吸着していてもよぐまた共役結合に よって結合していてもよい。また、この ELISA法においては、パートナー物質は、適 切なカップリング剤を使用して結合し、また別の態様では、ピオチンや、ストレプトアビ ジンなどのアビジン誘導体などの適切なリンカ一物質を使用して結合することができ る。更に別の態様としては、パートナー物質の固定化は、試料とパートナー物質とを 培養して、試料中の測定対象物質とパートナー物質とを結合した後に行うことも可能 である。この場合には、例えば、パートナー物質はピオチンィ匕された状態であるのが よぐアビジンを保持する固相を用いて固相化するのがよい。
[0141] 試料とパートナー物質との反応の結果、試料中に存在する測定対象物質は、固相 に固定化されたパートナー物質と結合する。固相にパートナー物質を介して結合し た測定対象物質は、測定対象物質の検出を可能にする標識やマーカーを有する第 2の結合パートナーに接触させることもできる。ある ELISAの態様では、第 2の結合 パートナーは非標識の状態で使用し、その第 2の結合パートナー物質に対する標識 パートナー物質を使用して結合後に標識することもできる。この例としては、第 2の結 合パートナーとしては、問題の測定対象物質に対するマウス抗体 (ポリクローナル抗 体でもモノクローナル抗体でもよい)を使用し、その第 1のパートナー物質を介して固 相に測定対象物質を結合した後に、標識したャギ抗マウス IgGなどの抗体を固定ィ匕 した複合体に対し標識を結合するために使用することもできる。
[0142] ほとんどの ELISA法の態様においては、共通して、第 2の結合パートナーがマーカ 一などを測定対象物質に結合するために使用されている。結合パートナーを使用す る場合には、パートナー物質は、特異的な結合パートナー、例えば測定対象物質に 特異的に結合する抗体であるのが好まし 、。
[0143] この第 2の結合パートナーはマーカーを有していてもよぐまた、別の態様では、マ 一力一は、測定対象物質の第 2の結合パートナーに結合可能な物質によって保持さ れていてもよい。例えば、もし測定対象物質の第 2の結合パートナー物質が測定対 象物質に対するネズミモノクローナル抗体である場合、マーカーは、このモノクローナ ル抗体に直接結合していてもよぐまたは抗マウス IgG抗体(つまり、ネズミィムノグロ
ブリンに特異的に結合する抗体)に結合することもできる。
[0144] ィムノアッセィ法においては、一般的には、測定対象物質への標識マーカーの結 合は、測定対象物質の固相への結合と同時にまたはその前後のいずれかに行なうこ とができる。ほとんどの ELISA法では、まず測定対象物質を固定し、次いで標識マ 一力一を固定した測定対象物質に結合するのが好ましい。しかし、この発明の第 2の 形態においては、非標識もしくは標識第 1検体と、標識もしくは非標識第 2検体とをそ れぞれ混合して測定用検体を調製することから、検体を混合する前の第 1検体また は第 2検体に標識物質、つまり標識マーカーを添加する必要がある。
[0145] この発明の方法は、試料中の測定対象物質の濃度を決定することができる定量方 法であるのが好ましぐまた特定の表面での測定対象物質の濃度を決定することがで きる定量方法が好ましい。問題の表面とは、好ましくは、均一な接近表面上に堆積し 、その堆積した沈殿の定量的解析が可能であるところの、生物学的メンブレン表面、 つまり細胞膜表面や、または人工膜表面、つまり問題の天然膜表面を模倣した形成 した人工膜表面であってもよい。また、この発明は、力かる定量方法に限定されるも のではなぐ試料のバルタでもまたは特定の場所もしくは特定の表面での非常に低 濃度の測定対象物質の存在を定量的に決定するためにも有用である。
[0146] この発明においては、ィムノアッセィ法としては ELISA法を用いるのが好ましい。 E LISA法では、マーカーとして酵素を用い、検出手段として酵素に対する基質を用い るのが好ましい。さらに、酵素としては西洋ヮサビペルォキシダーゼなどが好ましぐ 基質としては 3, 3'ージァミノべンジジンまたはテトラメチルベンジジン (TMB)などが 好ましい。更に詳細には、酵素 担体の組み合わせとしては、例えば、酵素としてァ ルカリホスファターゼを用い、基質として 5—ブロモー 4 クロロー 3—インドリルホスフ エートや-トロブルーテトラゾリゥムを用いて、これらを組み合わせて使用することがで きる。また、この発明には、マーカーと、そのマーカーを保持する検出手段であって、 固相上に形成されたそのマーカーを検出できる検出手段との組み合わせであれば、 上記以外の組み合わせも包含される。
[0147] ィムノアッセィ法であっても、標識成分を使用する必要がな 、ものもある。例えば、 凝集アツセィ法は、標的抗体の検出に使用することができる。この場合、抗原で被覆
した粒子は、標的抗体からなる試料によって凝集される。この構成において、成分は 標識する必要がなぐ標的抗体の存在は単純な目視検査によって検出することがで きる。
[0148] この発明に係る固相ィムノアツセィ用デバイスは、ィムノアッセィ法がサンドイッチ手 法の非競合形式であっても、競合形式であっても、生物学的液体試料中の測定対象 物質を高感度で検出することができる。固相ィムノアツセィ用デバイスは、例えば、通 常、リガンドーレセプター対の一方、例えば抗体、抗原もしくはハプテンなどが結合す る固相化担体から構成されている。かかる固相化担体の形状は、放射ィムノアッセィ 法や酵素ィムノアッセィ法の技術分野では周知であるように、プレート状、ビーズ状、 ビーズ状などであるのがよい。また、材質としては、例えば、ナイロン、ニトロセルロー ス、セルロースアセテート、ガラス繊維などや、その他の多数の多孔性物質が使用で きる。
[0149] また、固相ィムノアツセィ用測定キットも当該技術分野においては知られていて、こ のキットには、抗原、抗体、ハプテンなどの免疫化学的成分に対する固相として上記 のような多孔性物質が含まれて 、る。
[0150] 以下、この発明に係る同時物質検出方法のうちの第 2の形態についての検出手順 について、図面を参照しながら説明するが、この発明は何ら以下の検出手順に限定 されるものではない。なお、説明を簡略にするとともに説明を具体的にするために、 試料としてはヒトの血液を例にして説明する。図 lcは、この発明に係る同時物質検出 方法の検出手順の 1例を示すフローチャートである。
[0151] 図 lcに示すように、この発明で使用する基準試料としては、例えば、一人、好ましく は複数の健常人力も採血した血液等をそのまままたは混合して未精製試料 (A— a) を使用することができるし、必要に応じて、その未精製試料から、例えば血液成分を 分離した血清または血漿等の分離試料 (A— b)を使用することもできる。特に、この発 明において血液を試料として使用する場合は、血漿試料が好ましい。また、血清試 料も使用することができるが、血清を非動化すると、タンパク質成分が失われる可能 性があるので、血清試料を使用する場合にはタンパク質成分が失われな!/ヽようにす るのがよい。
[0152] このようにして調製した未精製試料 (A— a)または分離試料 (A— b)には、まず、ビ ォチンなどの標識マーカー (A—c)を添加し、例えば室温で所定時間、例えば 3時間 以上培養を続けて、試料中に存在する測定対象物質、例えば抗原等のタンパク質な どを標識マーカーで標識する。この培養時間は、特に制限されないが、検出する測 定対象物質や標識マーカーなどに応じて適宜選択して決めるのがよい。なお、培養 温度は、室温が好ましいが、検出する測定対象物質や標識マーカーならびに培養 時間などに応じて適宜変えることができる。上記試料を所定温度で所定時間培養を 行って培養が終結すると、グリシンなどの反応停止剤 (A—d)を添加して、反応を停 止させると標識基準試料 (A—e)が得られる。なお、インスリン等の低分子物質は、ビ ォチンなどの標識物質などで標識されな力つたりもしくは標識され難い場合があれば 、精製インスリンなどを標識物質で標識してまたは非標識の状態で試料に追加して 添カロすることちでさる。
[0153] 反応停止後の標識基準試料 (A—e)中には、その試料中の測定対象物質の標識 に使用されな力つた未反応の標識マーカー (A— c)が存在している可能性がある。こ の未使用の標識マーカーが試料中に残存すると、後の処理において、例えば、測定 用試料中に存在する非標識測定対象物質と反応もしくは結合するなどの不都合を生 じて、悪影響を及ぼす恐れがあり、測定対象物質の正確な検出'定量ができなくなる 恐れが生じる。したがって、未使用の標識マーカーは完全にもしくは実質的に完全に 除外する必要がある。
この標識基準試料 (A—e)中に存在する未反応の標識マーカー (A—c)を除去す るには、当該技術分野で慣用されている手法、例えば透析等の手段に従って行うこ とができる。透析に使用する透析液としては、例えば、塩ィ匕ナトリウムのリン酸緩衝液 等の当該技術分野で使用されている溶液などを使用することができる。この透析は、 所定量の透析液を添加した後、所定量の透析液を除去し、また所定量の透析液を追 カロして添加する。つまり、このような透析液の交換操作を、通常、 2回以上、好ましくは 数回、例えば 4回、 5回もしくは 6回以上繰り返すことができる。
[0154] 一方、検査試料としては、図 lcに示すように、例えば、患者などの被験者から採血 した血液検体のような未精製検体 (B— a)をそのまま使用することができる。また、必
要に応じて、基準試料の場合同様に、分離操作を施して処理した血清や血漿等の 検体 (B— b)を検査試料として使用することもできる。また、検査試料を標識する場合 は、基準試料の場合同様に、未精製検体 (B— a)に標識マーカー (A— c)を添加す るか、または未精製検体 (B— a)を分離操作に付して調製した検体試料 (B— b)に標 識マーカー (A—c)を添加して、試料中に存在する測定対象物質を標識することもで きる。
[0155] 上記のように調製した標識血漿試料等の標識基準試料 (A— e)と、検体試料 (B— aまたは B— b)とは、上記に定めたように所定割合、例えば 7 : 3の割合に混合されて 測定用試料 (C a)に調製される。各試料の所定混合割合は、試料の種類、測定手 段などにより適宜変更するのがよい。このように標識基準試料と検体試料とを所定割 合で混合して測定用試料を調製することにより、検体試料中に存在する測定対象物 質の割合は、標識基準試料中だけに存在する測定対象物質の割合と測定試料中に 存在する測定対象物質の割合とから算出することができる。
[0156] 次に、上記のように混合して調製された測定用試料 (C— a)は、例えば、マイクロア レイプレート等の固相化担体 (D— a)上に添加される。この添カ卩により、試料中に存 在する測定対象物質は、固相化担体 (D— a)上に固定ィ匕した、測定対象物質と特異 的に結合する抗原物質などの各種パートナー物質 (D— b)と結合することになる。
[0157] 各種パートナー物質 (D— b)を固相化担体 (D— a)上に固相化する方法は、当該 技術分野で通常使用されて 、る方法であれば 、ずれも使用することができる。各種 パートナー物質 (D— b)は、検出する測定対象物質に応じてそれぞれ選択され、例 えば、それぞれ通常の緩衝液、リン酸緩衝液などで約 200倍ないし約 10、 000倍程 度に希釈した溶液の状態で、常法に従って固相化担体上に固相化することができる 。つまり、所定量のパートナー物質 (D— b)を固相化担体 (D— a)上に添加して、例 えば、室温で所定時間、例えば約 15分間以上放置することによって固相化すること 力 Sできる。固相化反応後、固定されていないパートナー物質 (D— b)を洗浄液で複 数回、好ましくは少なくとも 3回以上洗浄して除去し、固相化抗体上にパートナー物 質が実質的に残存しないように洗浄操作を十分に行う。使用する洗浄剤は当該技術 分野で通常使用されているものであればいずれも使用することができ、特に限定され
るものではない。力かる洗浄剤の組成としては、例えば、塩ィ匕ナトリウムと界面活性剤 、例えばツイーン (登録商標)とを含むリン酸緩衝液などが挙げられる。
[0158] 次に、パートナー物質 (D— b)以外の非特異的結合をブロッキング剤(D— c)を使 用してブロッキング処理する。ブロッキング剤としては、例えば、スキムミルクなどが使 用することができ、その濃度は約 10%程度が好ましい。ブロッキング処理操作は、ブ ロッキング剤を添加後、所定時間、例えば 10分以上、好ましくは 30分間以上室温で 放置することによって行うことができる。ブロッキング処理操作完了後、上記洗浄液で 例えば複数回、好ましくは 3回以上洗浄して固相化担体 (D— d)を得ることができる。
[0159] 上記のように、標識血漿試料等の標識基準試料 (A— e)と、非標識検体試料 (B— aまたは B— b)とを所定割合に混合して調製した測定用試料 (C— a)を固相化担体( D-d)に添加することにより、試料中の測定対象物質は、固相化担体上に固相化し たパートナー物質と結合して結合性複合体などを形成する。この結合性複合体は、 非標識検査試料中の非標識測定対象物質とパートナー物質との複合体と、標識基 準試料 (A— f)中の標識 (例えば、ピオチン標識)測定対象物質とパートナー物質と の複合体とが、各試料の混合割合に応じて混在していることになる。この複合体が固 相化している固相化担体に、試料中の標識測定対象物質の標識マーカーと結合ま たは反応などして複合体などを形成し得る結合性物質などを添加する。この結合性 物質に、例えばアビジンやストレプトアビジンなどの別の標識物質を添加して、基質と して西洋ヮサビペルォキシダーゼなどを使用して形成される複合体 (例えば、ビォチ ン ·アビジン ·ペルォキシダーゼ複合体)を、例えばテトラメチルベンチジン (TMB)な どの発色剤で発光させることによって、この結合性物質が結合している検査試料の測 定対象物質を上記混合割合に基づ ヽて検出'定量することができる。
[0160] さらに、この発明の別の形態を固相化担体としてタンパク質チップを例にして更に 詳細に説明する。ただし、この発明は、下記説明に一切限定されるものではないこと は当然である。
この発明に係るタンパク質チップは、例えば、ニトロセルロース、 PVDF、ガラス、ァ ルミ-ゥム、プラスチックなどの基盤となる膜上に数多くの上記抗体、例えば、数百種 類のヒト血清成分向け抗体(アンチアルブミン、アンチガンマグロブリン、アンチアルフ
ァ 1アンチトリプシン、アンチインシュリン等)を数マイクロリットルずつスポットして固定 することによって作製することができる。このスポット固定法は、当該技術分野で慣用 されている方法であればいずれも使用することができる。なお、通常のウェスタンブロ ットの手技に則って非特異的タンパク質の吸着防止操作を行うのがよい。
[0161] 血清以外の他の生物成分を測定用検体とする場合には、目的とする処理を行う前 の基底状態の生物成分由来で、測定用検体と同一方法で採取した検体を基準検体 として用意する。基準検体の 8割程度をタンパク質色素などで通常用いられている方 法で染色固定する。染色固定後、遊離の色素はゲル濾過や透析またはクロマトダラ フィ一などで分離して除去することができる。
なお、基準用検体の残りの一部は、測定時には測定用色素で同様に処理するため にブランク用として保存するのがよ 、。
[0162] 続いて、基準用検体と測定用検体とは別の色の色素などの標識剤でそれぞれ固定 する。色素固定後、固定反応を停止させるか、または色素固定基準検体タンパク質と 測定用検体タンパク質とが混合時に新たな色素固定反応が起きないような条件に設 定するのがよい。
更に、保存しておいて基準検体の残りの一部を測定用色素で同様にブランク用とし て処理する。
[0163] 次に、上記のように別々の色素などの標識剤で標識して調製した測定用タンパク質 検体と基準用タンパク質検体とを所定の割合で、特に好ましくは 50%ずつ混合して 混合検体を調製する。両検体を同量ずつ混合することによって、別々の色素などの 標識剤で標識した検体の中間色を測定するのが容易になるが、場合に応じてその混 合割合を変えることも可能である。
[0164] このようにして得られた混合検体を上記タンパク質チップに接触させて、混合検体 に含まれる第 1標識抗体結合可能物質である基準タンパク質と第 2標識抗体結合可 能物質である測定タンパク質とを結合対象抗体に結合させ、非結合タンパク質など は洗浄除去する。このように基準タンパク質と測定タンパク質とを含む混合検体を固 相化担体に固定した数多くの抗体と接触させて反応させることによって、かかるタン パク質と反応結合する結合対象抗体がその抗体中に含まれて!/ヽる場合には、そのタ
ンパク質とその結合対象抗体とが反応結合することになる。
基準タンパク質と測定タンパク質が抗体と結合した後は、ウェスタンプロットで通常 行われて 、る方法で洗浄し結果を観察する。
もし測定タンパク質が正常であって何ら異常がなければ、つまり、測定タンパク質が 基準タンパク質と同一であれば、同一結合対象抗体に結合している標識タンパク質 は正常の数値、つまり色素で標識した場合には正常な中間色を示すはずである。反 対に、測定タンパク質が異常な発現様式を示している場合には、同一結合対象抗体 に結合している標識タンパク質は異常の数値、例えば、中間色から若干ずれた色を 示すはずである。この若干のずれを測定することによって、測定タンパク質を定性ま たは定量することがでさること〖こなる。
[0165] つまり、この発明に係るタンパク質チップによって、測定用タンパク質検体と同一の 色素で基準タンパク質検体と上記のように色素固定した基準タンパク質検体とを 50 %づつ混合した混合検体と、同様に抗体と反応させて洗浄処理したスポットとを比較 することによって、相対的タンパク質発現濃度を一度に大量に測定することができる。
[0166] 例えば、ヒト患者血清の異常を診断するときには、ヒト正常血清と、調べようとするヒト 患者血清とをそれぞれ別の色素で染色して 50%ずつ混合し、数百のヒト血清成分向 け抗体(アンチアルブミン、アンチガンマグロブリン、アンチアルファ 1アンチトリプシン 、アンチインシュリン等)をスポットした担体上に混合血清を流して血清中のタンパク 質と基盤上の抗体とを反応させる。非特異的な結合を洗浄して除去する。この後、こ れを上記と同様に処理することによって、相対的タンパク質発現濃度を測定すること ができる。
[0167] 基準タンパク質検体はあら力じめ多量の色素で固定して、使用時まで分注して保 存可能である。色素固定後の遊離色素の除去は、ゲル濾過による除去、酸アルカリ による反応停止、透析による除去などのさまざまな公知の方法を使用することができ る。
[0168] 測定用タンパク質検体の色素固定は、使用時調整となるのでできるだけ簡便な方 法を採用するのがよい。例えば、基準タンパク質検体の色素結合部位と測定タンパク 質検体の色素結合部位として、例えばヒスチジンなどの同一アミノ酸残基を選ぶこと
によって、色素固定した基準タンパク質検体に、遊離色素の混じった測定用タンパク 質検体を混合しても、遊離の色素が基準検体タンパク質に固定されないようにするの がよい。
[0169] この発明において、基準タンパク質検体と測定用タンパク質検体との混合検体を複 数種類の抗体を固定した担体 に接触させた操作終了後の測定は、 目視、光学的 手段、蛍光的手段による測定等いずれも使用可能であるが、当然のことであるが、正 確に定性 ·定量を行なうためには、光学的手段や蛍光的手段などによる機器計測測 定を行なうのがよい。
[0170] 結果の判断は、患者の検体と同じ色素で同一の方法で処理した基準用検体と、色 素固定基準用検体をそれぞれ 50%ずつ混合して処理したものをブランクとして各ス ポット毎にブランクよりも色が基準検体の色素の色に近いか、または患者検体の色素 の色に近いかどうかを目視などによって比較することによって、基準用検体と比較し た相対的タンパク質発現濃度を測定して行なうことができる。
[0171] 例えば、赤色と黄色の色素を使った場合には、基準用検体と測定用検体とが正常 であれば、赤色と黄色の中間色であるオレンジ色になるはずである力 もしそのスポ ットが赤色や黄色もしくは中間色のオレンジ色力 ずれた色彩をしていれば、測定用 検体に含まれるタンパク質は異常ではないかと判断することができる。したがって、こ のようなシステムを臨床試験に用いたときには、数百のスポットの大多数は中間色の オレンジ色になると考えられるが、いくつかのスポットは異常な黄色もしくは赤色また はそれらの色に近 、色を示す容易に見 、だすことができることになる。このような場合 には、タンパク質に何らかの異常がある力も知れないとの判断を行なうことができる。 また、かかる異常の程度は、光学的手法などの計測技術を用いることによって濃度比 などを求めることによって正確に測定することも可能である。
[0172] (測定用デバイス)
この発明に係る測定用デバイスは、基準試料、好ましくは標識基準試料と、固相化 担体と、標識物質および標識認識物質 (なお、基準試料として標識基準試料を使用 するときには、標識認識物質だけでよい)と、力も構成されるのがよい。
使用目的毎に含まれる測定対象物質、好ましくは標識測定対象物質を変えること
により、測定用デバイスに固定ィ匕するパートナー物質も変えることができ、測定をより 簡単にかつ迅速に行うことができる。
[0173] (疾患等)
この発明に係る複数物質同時測定法ならびに検出法によって、例えば、血液試料 中に存在する複数測定対象物質の種類や量などが測定され検出されると、その測定 結果からそれらの複数測定対象物質が起因する疾患、障害、機能不全、病態などの 診断ができ、必要に応じて、必要な処置を施すなどの治療に適用することができるこ とになる。この発明が適用可能な疾患などとしては、特に限定されるものではなぐ例 えば、力かる疾患などに起因する抗原に対する抗体が調製することができる限りにお いて使用することができる。かかる疾患としては、例えば、がん、腫瘍、自己免疫疾患 、炎症性疾患、免疫不全疾患などが挙げられる。なお、本特許出願の優先権主張の 基本出願であるアメリカ特許出願番号第 60/576,410号明細書に、がん、腫瘍、白 血病、自己免疫疾患、神経変性障害、免疫不全疾患、炎症性疾患、その他の疾患、 障害、機能不全などを例示しているので、上記アメリカ特許出願明細書の記載も本 明細書の記載の一部を構成するものと理解できる。
実施例
[0174] 以下、この発明を実施例により詳細に説明する。ただし、この発明は、下記実施例 によって一切限定されるものではなぐ下記実施例は、この発明を具体的に説明する ために例示的に記載するものであると理解できる。
[0175] (実施例 1)
標準色素標識検体は次のようにして調製した。正常ゥサギ血清を 56°Cで 30分間処 理した後、 0. 45 mのフィルターで濾過した。この血清 2mlに、ヒト C—反応性タン パク質 (ヒト CRP; lmg/ml)およびヒトインスリン(1 μ g/ml)を添加した(下表 1参照 )。各検体を室温で 20分間攪拌した後、 1M炭酸緩衝液 (pH9. 6)を添加して pH8. 5に調整した後、この検体に 1Mグリシン 100 1を添カ卩して反応停止させた。続いて 、この血清検体を 10mMリン酸緩衝液 (PBS : 0. 15M炭酸ナトリウム; pH7. 2)を用 いて 4°Cで透析を行った。次に、このように透析をした検体にピオチンを各 15mgず つ加えて室温(25°C)で 3時間間攪拌してピオチン標識を行った後、各検体に上記
緩衝液を添加してその容量を 2mlにした。各検体中の各物質の最終濃度は下表 2に 示すようになるよう調製した。
[0176] [表 1]
[0178] マイクロプレート(Maxi-Sorp :ヌンク社製)に対して、抗ヒト CRPャギ IgG抗体ならび に抗ヒトインスリンマウス IgG抗体の 0. lM炭酸緩衝液(CB : pH8. 5 ; 10 8/1111)を 各ゥエル当たり 100 μ 1の割合でそれぞれ添カ卩して、プレートを 25°Cで 2時間放置し た後、 10mM PBS (リン酸緩衝液 /0. 15M CB ;pH7. 2) .0. 02%ツイーン 20 (登 録商標)からなる洗浄液で 3回洗浄した。このように調製したプレートに対して、 25% ブロックエース(登録商標)/ 10mM PBSと 0. 05%ナトリウムアジドを各ゥエルに 250 1ずつ添加した後、プレートを 25°Cで 2時間放置し、次いで上記洗浄液で 3回洗浄 した。
[0179] 一方、上記で作製したピオチン標識検体 (試料番号 A、 B、 C、 D、 E)をそれぞれ 8 段階(10m=0、 1、 2、 6、 7)に 10mM PBS (pH7. 2)で希釈し、上記プレートの各 ゥエルに 100 1ずつ添カ卩した後、プレートを 25°Cで 2時間放置し、上記洗浄液で 3 回洗浄した。次に、このように調製したプレートの各ゥエルに対して、アビジン'西洋ヮ サビペルォキシダーゼ結合物を 10mM PBS (pH7. 2)で 5000倍希釈したものを 1 00 1ずつ添加し、プレートを 25°Cで 30分間放置し、上記洗浄液で 3回洗浄した。 続 、て、発色剤としてテトラメチルベンチジン (TMB)を各ゥエル当たり 100 μ 1ずつ 添カロした後、プレートを 25°Cで 20分間放置した後、 1M塩酸を各ゥエル当たり 100 1ずつ添加して反応を停止し、次に波長 450nmで吸光度を測定した。インスリンと CR Pにつ ヽてそれぞれ得られた結果を表 3と表 4に示す。またこれらの結果を図示すると それぞれ図 4および図 5に示される。
[0180] [表 3]
[0181] [表 4]
[0182] (実施例 2)
正常ゥサギ血清を採取し、 56°Cで 30分間処理した後、 0. 45マイクロメーターのフ ィルターで濾過した。このゥサギ血清 2mlに、ヒト C—反応性タンパク質 (ヒト CRP ; lm gZml)を濃度が 3 /z lになるように添加した後、室温で(25°C)で 20分間攪拌し、 1M 炭酸緩衝液 (PH9. 6)で pH8. 5に調整した。この血清試料にピオチンを 15mg加え て室温(25°C)で 3時間間攪拌してピオチン標識を行った後、 1Mグリシン 100 1を 添加して反応停止させた。得られた反応溶液を 10mM PBS (pH7. 2 ;リン酸緩衝液 + 0. 15M炭酸ナトリウム)で透析チューブを用いて 4°Cで透析した。
[0183] 一方、精製ヒトインスリン(1 μ 1)を室温で(25°C)で 20分間攪拌し、 1M炭酸緩衝液
(pH9. 6)で pH8. 5に調整した。この血清試料にピオチンを 15mg加えて室温(25 °C)で 3時間間攪拌してピオチン標識を行った後、 1Mグリシン 100 1を添加して反 応停止させた。得られた反応溶液を 10mM PBS (pH7. 2 ;リン酸緩衝液 +0. 15M 炭酸ナトリウム)で透析チューブを用いて 4°Cで透析した。
[0184] 上記のようにして調製したピオチン標識 CRP検体とピオチン標識インスリン検体とを 表 5で示す濃度になるように混合して検体 (各 2ml;試料番号 1 2 3, 4, 5)を調製し た。
[0185] [表 5]
試料 ¾ 1 2 3 4 5 ヒトインスリン(ng/ml) 0 1 0 3 0 1 0 0 3 0 0
ヒト CRP ( g/ml) 3 0 1 0 3 1 0
[0186] これらの検体は実施例 1と同様に吸光度 (450— 620nm)を測定して、 CRPについ ての結果を表 6と表 7に、またインスリンについての結果を表 8および表 9に示す。
[0187] [表 6]
[0188] [表 7]
表 7:各検体中の CRP濃度(続き
[0189] [表 8]
[0190] [表 9]
表 9:各試料中のインスリン濃度 (続き)
[0191] 上記の結果力 検量線を求めた結果を図 6に示す。この結果は、ヒト CRPもインスリ ンも容量依存的にカーブを描くことができることを示していることから、この発明の方 法は、血液試料中の他の多くのタンパク質成分などの測定対象物質も同時に検出 ·
定量できることを示唆して 、る。
[0192] (実施例 3)
成人男子 2名および成人女子 1名から各 20mlずつ採血した血液試料にそれぞれ 1 OOmM EDTA' 2Naの 1Z20容量 (vZv)を添カ卩した後、 3000rpmZ分で 10分間 低速遠心して得られた上清を血漿として採取した。この血漿をそれぞれ 0. 9mlずつ 混合して lMNaHC03の 0. 54mlを添カ卩して pH8. 5に調整した。この血漿試料に ピオチン(5mgZ0.1ml DMSO) 20mgを添カ卩してゆっくり振とうして反応させた。 3時 間後、 1Mグリシン 135 /z lZ2. 7mlを添加して反応を停止させた。透析チューブを 用いて透析液(10mMリン酸緩衝液 + 0. 88%NaCl溶液) 500mlで透析した。透析 液は数時間毎に合計 6回交換して、ピオチン標識ヒト血漿試料を得た。
[0193] ピオチン標識ヒト血漿試料による各血漿タンパク質成分の容量依存的結合実験に ついて説明する。
60穴テラサキプレートを 5枚用意し (プレート番号 a、 b、 c、 d、 e)、そのテラサキプレ 一トの各穴に抗体 (抗アルブミン抗体、抗プラスミノーゲン抗体、抗 α—フエトプロティ ン抗体、抗ヒト成長ホルモン抗体、抗 CRP抗体、抗ヒ HL— 6抗体の 6種類)を、次の ように希釈した各抗体を添カ卩して固相化した (Fig. B- ltoB— 5)。
抗アルブミン抗体は試薬原液の 400倍希釈、 1200倍希釈、 3600倍および 10800 倍希釈溶液の 10 1を各プレートの穴 (1A、 1B、 1Cおよび ID)にそれぞれ添カ卩した 。抗プラスミノーゲン抗体は試薬原液の 200倍希釈、 600倍希釈、 1800倍希釈およ び 5400倍希釈溶液の 10 1を各プレートの穴 (2A、 2B、 2Cおよび 2D)にそれぞれ 添加した。また抗 α—フヱトプロテイン抗体、抗ヒト成長ホルモン抗体、抗 CRP抗体 および抗ヒト IL一 6抗体は試薬原液の 50倍希釈、 150倍希釈、 450倍希釈および 13 50倍希釈溶液の 10 μ 1をそれぞれ同様に添加した (抗 a—フエトプロテイン抗体は各 プレートの穴 (3A、 3B、 3Cおよび 3D);抗ヒト成長ホルモン抗体は各プレートの穴 (4 A、 4B、 4Cおよび 4D) ;抗 CRP抗体は各プレートの穴 (5A、 5B、 5Cおよび 5D) ;およ び抗ヒト IL一 6抗体は各プレートの穴 (6A、 6B、 6Cおよび 6D) ;コントロールは穴(7A および 7B)にそれぞれ添加した)。このように調製した各プレートは、 30分間以上室 温で放置した後、洗浄液(10mMリン酸緩衝液 /0. 88%NaCl- 0. 1 %ツイーン 20 (
登録商標)溶液)を用いて各穴毎に 3回洗浄した(10から 15 /z l洗浄液 Z穴)。その 後プレート全体(7〜15mlZプレート)を同洗浄液で 1回洗浄した。
[0194] 非特異的結合をブロックするため、 10%ブロックエース(登録商標)/ 10mMリン酸 緩衝液 +0. 88%NaCl溶液をプレート毎に添カ卩して室温で 30分間以上放置した後 、上記洗浄液でプレートを 3回以上(7〜15mlZプレート)洗浄した。
ピオチン標識ヒト血漿試料を下記の濃度(表 10)〖こなるように添カ卩した PBS (10mM リン酸緩衝液 +0. 88%NaCl溶液) 10mlをテラサキプレートにそれぞれ投入し、室 温で 1時間以上ゆっくり振とうした。その後、上記洗浄液で各プレートを 3回以上(7か ら 15mlZプレート)洗浄した。
[0195] [表 10]
表 1 0 : プレートのゥエル中のピオチン標識ヒ ト血漿濃度
[0196] 上記各プレートに対して、西洋ヮサビペルォキシダーゼ結合アビジン(10mMリン 酸緩衝液 0. 88%NaCl溶液)を 2 μ l/10mlを添加して室温で 30分間放置した後、 上記洗浄液で 3回洗浄して、各穴中の水分を抗体 ·抗原 ·ペルォキシダーゼ複合体 に影響しないように細心の注意もして丁寧に除去した。続いて、発色色素 TMBlO /z 1を各穴毎に添カ卩して正確に 20分後に 1M硫酸 5 1を添カ卩して反応を停止した。この ように調製したプレートを実施例 1と同様に吸光度を測定した。
それらの結果から、アルブミン、プラスミノーゲンおよび CRPは、対照と比較してこの 順序に強く発色して測定できた。成長ホルモンおよび IL 6は対照よりもわずかに強 く発色し検出された。しかし、 α—フエトプロテインは対照と同程度の発色で目視では 検出が困難であった。更に、血漿中のタンパク質成分は 0. 3 1Zプレートでも検出 された。それらの結果のうち、図 7は、プレート番号 bにおけるプラスミノーゲンについ ての発色を模式的に図示したものであって、黒色の丸印は強度の発色を、濃灰色の 丸印は中強度の発色を、また淡灰色の丸印は弱度の発色を示して 、る。
(実施例 4)
実施例 3と同様に、 60穴テラサキプレートを 5枚 (プレート番号 1、 2、 3、 4および 5) 用意し、各プレートの穴に抗体 (抗アルブミン抗体、抗プラスミノーゲン抗体、抗 α— フ トプロテイン抗体、抗ヒト成長ホルモン抗体、抗 CRP抗体、抗ヒト IL一 6抗体の 6 種類)を次のように添加した。抗アルブミン抗体は、その試薬原液の 400倍希釈溶液 、 800倍希釈溶液および 1600倍希釈溶液 10 1をテラサキプレートの各穴に 2個ず つそれぞれ添加した (400倍希釈溶液を、各プレートの 1 Αおよび 1Bの穴に、 800倍 希釈溶液は 1Cおよび 1Dの穴に;そして 1600倍希釈溶液を 1Eおよび 1Fの穴に、そ して 1600倍希釈溶液を 1Eおよび 1Fの穴にそれぞれ添加した)。同様に、抗プラスミ ノーゲン抗体は、その試薬原液の 200倍希釈溶液、 400倍希釈溶液および 800倍 希釈溶液 10 μ 1を、各プレートの穴 (2Αおよび 2Β)、穴(2Cおよび 2D)および穴(2Ε および 2F)にそれぞれ添加した。抗 CRP抗体は、その試薬原液の 200倍希釈溶液、 400倍希釈溶液および 800倍希釈溶液 10 1を、各プレートの穴 (3Αおよび 3Β)、穴 (3Cおよび 3D)および穴(3Εおよび 3F)にそれぞれ添カ卩した。抗ヒト成長ホルモン抗 体は、その試薬原液の 200倍希釈溶液、 400倍希釈溶液および 800倍希釈溶液 10 μ 1を、各プレートの穴 (4Αおよび 4Β)、穴(4Cおよび 4D)および穴(4Εおよび 4F)に それぞれ添加した。そして、抗ヒ HL— 6抗体は、その試薬原液の 200倍希釈溶液、 4 00倍希釈溶液および 800倍希釈溶液 10 1を、各プレートの穴 (5Αおよび 5Β)、穴( 5Cおよび 5D)および穴(5Εおよび 5F)にそれぞれ添カ卩した。同様に、コントロールを 各プレートの穴 (6A〜6F)にそれぞれ添カ卩した。このように調製したプレートを 30分 以上室温で放置した後、上記洗浄液を用いて各穴毎に 3回洗浄して(10から 15 1 洗浄液 Z穴)、続いてプレート全体(7〜15mlZプレート)を上記洗浄液で 1回洗浄 した。
洗浄後、非特異的結合をブロックするため 10%ブロックエース (登録商標)(10mM リン酸緩衝液 +0. 88%NaCl溶液)をプレート毎に添加して室温で 30分間以上放置 して、各プレートを上記洗浄液で 3回以上(7〜15ml/プレート)洗浄した。
次 、で、下表 11に示す容量のピオチン処理血漿および正常血漿を 10mMリン酸 緩衝液/ 0. 88%NaCl溶液 100mlを添加した。別に、プラスチック容器に上記溶液
を数 100ml入れて、このプラスチック容器中にテラサキプレートをそれぞれ入れて、 室温で 1時間以上ゆつくり振とうしながら放置した。
[表 11]
[0199] その後、プレートを上記洗浄液で 3回以上(7から 15ml/プレート)洗浄した。洗浄し た各プレートにアビジン'西洋ヮサビペルォキシダーゼ結合 0. 2 μ 1/lOmMリン酸緩 m/0. 88%NaCl溶液 10ml/プレートずつ添カ卩して室温で 30分間放置した。次に 、各プレートを上記洗浄液で 3回洗浄し、各穴中の水分を抗体 ·抗原 ·ペルォキシダ ーゼ複合体に影響しな 、ように細心の注意を払って丁寧に洗浄液を除去した。その 後、各穴に発色色素テトラメチルベンチジン (TMB) 10 1を添加して 20分後に 1M 硫酸 5 μ 1を添加して反応を停止した。
このように発色させた各プレートの発色の程度は上記と実質的に同様であった。そ れらの結果のうち、図 8は、プレート番号 bにおけるプラスミノーゲンについての発色を 模式的に図示したものであって、黒色の丸印は強度の発色を、濃灰色の丸印は中強 度の発色を、また淡灰色の丸印は弱度の発色を示している。
[0200] (実施例 5)
スライドガラス程の大きさの-トロセルロース膜を調製し、ヒト血清成分に対する抗体 として、抗 GOT、抗 GPT、抗 γグロブリン、抗アルブミンおよび抗凝固因子 Iを 5 1ず つ-トロセルロース膜上にスポットして、スキムミルクでブロッキングして固定した。 正常患者血清の 5名(各 10ml)を用意して混合して、その 40mlをメチレンブルーで 染色した。染色後、 G— 25によるゲル濾過で遊離の色素を分離した。メチレンブルー 色素固定正常者血清は 5mlずつ分注して凍結保存した。凍結保存したメチレンブル 一色素固定正常者血清の一部を使用時融解して基準試料を調製した。
[0201] 残りの正常者血清は、色素固定せずに 5mlずつ分注して、使用時に患者血清と同 じ色素で同一条件に色素固定して、患者血清に対するブランク血清として使用する
ために凍結保存した。
次に、活動期の A型肝炎患者の血清 5mlを用意し、ローズベンガル (赤色色素)で 染色して患者検体とした。
このように調製した患者検体 5mlと基準検体 5mlとを 50%ずつ混合して混合検体 を調製した。この混合検体は淡紫色を呈していた。
その後、この混合検体を抗体力 Sスポット固定された担体上に注入して抗体と結合さ せるためにこの状態で 30分間放置した。その後、通常行われているウェスタンブロッ ト法で非特異的結合を洗浄して除去した。
一方、ブランク(前述のようにローズベンガル色素固定基準検体とメチレンブルー色 素固定基準検体との 50%混合物と抗体スポットとを反応させたもの)を対照として、 結果を観察した。
[0202] その結果、抗 GOTおよび抗 GPTが赤色を帯びた色に染色されたのに対し、他の 抗体は紫色を帯びた中間色に染色されていた。このことから、 A型肝炎患者の血清 中に存在する血清タンパク質が異常値を示して 、て 、ることが診断できた。
それらの結果のうち、図 9は、プレート番号 2におけるプラスミノーゲンについての発 色を模式的に図示したものであって、黒色の丸印は強度の発色を、濃灰色の丸印は 中強度の発色を、また淡灰色の丸印は弱度の発色を示している。
[0203] (実施例 6)
直径 3〜30 μ m、好ましくは 4〜10 μ mのプラスチック榭脂製ビーズを用意し、ビー ズ表面にカルボキシル基またはアビジン基をコーテングした。これらのビーズ表面に 10段階の濃淡をもった蛍光色素ローズベンガルと蛍光色素メチレンブルーをそれぞ れ結合させて 100種類のビーズを作成した。このように色素を結合した 100種類のビ ーズ表面には、それぞれのビーズ種毎に抗 CRP抗体または抗インスリン抗体を結合 した。
一方、 3名の正常者力 採血した血液力 分離した血清 (標準血清)の一部にその まま上記蛍光色素を添加して標識を行った。この場合、インスリンは、血清そのもので は蛍光色素標識ができな力 たので、精製インスリンを蛍光色素標識して添加して蛍 光色素標識標準血清 (基準試料)を作成した。
[0204] この蛍光色素標識標準血清に検体血清 (検査試料)を一定の割合、つまり 3: 7 (前 者:後者)で混合した。この混合血清に上記抗体結合ビーズを投入してよく反応させ た。洗浄後、レーザー光を利用してビーズの種類とビーズ毎の抗原'抗体結合量を 測定した。測定は、上記標準血清の残りを上記と同様に処理して基準値を求めた。こ の基準値力もの増減によって、検体血清中の各成分の定量を行ったところ、上記実 施例と同様の結果が得られた。
したがって、この方法を使用すれば、各ゥエル毎に一人の患者の血清 ·血漿を用い て約 100種類の臨床検査の同時実施が可能となる。
[0205] (実施例 7)
健常人から 10%クェン酸で採血した血液 16mlを 10分間 3000回/分の低速遠心 分離して血漿 8mlを得た。この血漿 3mlに対して 1M炭酸水素ナトリウム(pH9. 6)わ 0. 6mlを添加して pH8. 5に調整した。これにピオチン(5mg/100 1DMSO) 22. 5mgを添カ卩して 3時間振とうした。この後、 1Mグリシン 60 1を添カ卩して反応を停止し 、 lOmMPBS緩衝液で透析を行った。これによりピオチン化血漿 5. 16mlを得、 0. 5 mlずつ分注した。
[0206] 改良型 96ゥエルィムノプレート(液槽を設け、その中に 96ゥエルを配置した)に、 n
= 3で抗アルブミン抗体(1 lmgタンパク質/ ml)、抗プラスミノーゲン抗体 (4. lmgタ ンパク質/ ml)、抗 CRP抗体(0. 9mgタンパク質/ ml)、抗生長ホルモン抗体(2mgタ ンパク質/ ml)および抗 IL 6抗体(0. 1 -0. 2mgタンパク質/ ml)を lOmMPBS緩 衝液で 400倍希釈して、そのプレートの各ゥエルに 100 1づっ添カ卩して貼り付けた。 その後、上記各ゥエルを lOmMPBS緩衝液 100 1で 3回洗浄し、またプレート上の 液槽全体を同緩衝液で 2回洗浄した。その後、 lOmMPBS緩衝液 100 1で希釈し た 10%ブロッキング剤 (ブロックエース (登録商標)大日本製薬社製) 30mlを添加し て 1時間放置した。次に、プレート上の液槽全体を同緩衝液で 3回洗浄した。
上記調製したピオチン化血漿 0. 1 1、 1 1、 10 1および 100 μ 1を lOmMPBS緩 衝液 30mlで希釈して、各プレートの液層に添加した。次に、プレートを 1時間ゆっくり 振とうした後、プレートの液槽全体を同緩衝液で 3回洗浄した。
その後、西洋ヮサビペルォキシダーゼ結合アビジン 0. 2 gを lOmMPBS緩衝液
30mlで希釈して、各プレートの液槽に添加した。 1時間放置した後、プレートの液槽 全体を同緩衝液で 3回洗浄し、 TMB50 1を各ゥエルに添カ卩して 20分後に、各ゥェ ルに 1M硫酸溶液 50 1を添加して反応を停止した。次に、 450nmの吸光度を測定 した。その結果を下表 12に示す。
[0207] [表 12]
[0208] (実施例 8)
改良型 96ゥエルィムノプレートに、 n= 3で抗アルブミン抗体(1 lmgタンパク質/ ml )、抗プラスミノーゲン抗体 (4. lmgタンパク質/ ml)、抗 CRP抗体(0. 9mgタンパク 質/ ml)、抗生長ホルモン抗体(2mgタンパク質/ ml)および抗 IL 6抗体 (0. 1—0. 2mgタンパク質/ ml)を lOmMPBS緩衝液で 400倍希釈して、そのプレートの各ゥェ ルに 100 1づっ添カ卩して貼り付けた。その後、上記各ゥエルを lOmMPBS緩衝液 1 00 1で 3回洗浄し、またプレート上の液槽全体を同緩衝液で 2回洗浄した。
その後、 lOmMPBS緩衝液 100 μ 1で希釈した 10%ブロッキング剤(ブロックエー ス (登録商標)大日本製薬社製) 30mlを添加して 1時間放置した。次に、プレート上 の液槽全体を同緩衝液で 3回洗浄した。
[0209] 実施例 7で作製したピオチンィ匕血漿を抗プラスミノーゲン抗体と抗 IL— 6抗体と混 合して下記試料を調製した。この各試料を lOmMPBS緩衝液で希釈して容量を 30 mlにした。なお、ピオチンィ匕血漿だけの試料をコントロールとして使用した。
試料 a:ピオチン化血漿 3 μ 1
試料 b :ピオチンィ匕血漿 3 μ 1+抗プラスミノーゲン抗体 3 μ 1+抗 6抗体3 μ 1 試料 c :ピオチン化血漿 3 1+抗プラスミノーゲン抗体 10 1+抗 IL 6抗体 10 1 試料 d:ピオチン化血漿 3 μ 1+抗プラスミノーゲン抗体 30 μ 1+抗 IL 6抗体 30 μ 1 上記試料をそれぞれ各プレートの液槽に添加して、 1時間ゆっくり振とうした後、プ レートの液槽全体を同緩衝液で 3回洗浄した。
その後、西洋ヮサビペルォキシダーゼ結合アビジン 0. 2 gを lOmMPBS緩衝液 30mlで希釈して、各プレートの液槽に添加した。 1時間放置した後、プレートの液槽 全体を同緩衝液で 3回洗浄し、 TMB50 1を各ゥエルに添カ卩して 20分後に、各ゥェ ルに 1M硫酸溶液 50 1を添加して反応を停止した。次に、 450nmの吸光度を測定 した。その結果を下表 13に示す。
[0210] [表 13]
[0211] 以上の結果から、試料 bと試料 dは、抗プラスミノーゲン抗体および抗 IL— 6抗体の 作用によって抗体の投与量に依存して中和された。
産業上の利用可能性
[0212] 例えば、ヒトの血液試料中には、タンパク質成分は、インスリンなどの数ピコグラム単 位(10— 12/ml)の低濃度のものから、アルブミンなどの ml当たり数十ミリグラム単位 と高濃度のものまで存在して 、る。このように著しく異なる量のタンパク質などの測定 対象物質を同時に測定し検出することができる方法は知られていない。ところが、驚 いたことに、この発明に係る複数物質同時測定方法では、検体試料中に存在する複 数種類の、しかも存在量が著しく異なるタンパク質などの測定対象物質を測定検出 することができる。その上、この発明の方法は、し力も採取した試料を分離や精製な どの前処理をすることなしに、試料が血液試料の場合には、全血のままでも、好ましく は血清や血漿に分離し、これらの血液成分を前処理なしに、同時に測定することが でき極めて有用である。
[0213] 従来、健康診断や疾病診断などの血液検査などにおいては、通常、各検査項目の 1項目毎に測定して検査されているのに対して、この発明の同時物質検出方法では 、かかる検査項目を複数項目または必要な全検査項目を同時に測定して検査するこ
とができる画期的な技法である。また、この発明の方法は、特に、疾患診断や健康診 断などでの血液検査において測定される検体試料中の複数の疾患関連物質を同時 に測定検出することができ非常に有用である。
[0214] この発明に係る測定方法は、遺伝子チップのような 1枚のスライドグラスの大きさの 中で一度に数十種類力も数百種類のタンパク質などの生体成分物質を固定ィ匕して、 その固定化担体に、例えば全血のような試料にそのまま標識マーカーを添加して標 識した試料を添加して接触させるだけで、多種類のタンパク質を同時に解析可能に するという極めて大きな効果がある。この発明の測定用デバイスおよびそれを用いた 測定方法はまた極めて単純にかつ簡単に多量のタンパク質などの生体成分物質を 同時に検出することができると!/、う効果も有して 、る。
[0215] つまり、この発明の方法では、例えば、診断したい疾患、障害、機能不全もしくは病 態毎にまたはそれらのグループ毎に標識基準試料およびマイクロアレイを調製すれ ば、必要な全ての測定対象物質を同時にまた簡単に測定検出することができ極めて 有用である。例えば、糖尿病の診断や検査をする場合、糖尿病の診断や検査に必 要な関連測定対象物質に対応するパートナー物質をマイクロアレイに固相化し、また 標識基準試料を調製すれば、必要な関連測定対象物質が一度に同時に、簡単にか つ迅速に測定できることになる。したがって、この発明の方法は、従来の方法が検査 項目を別々に測定する必要があることに比べて著しく労力を省くことができると共に、 時間を短縮できることになる。
[0216] したがって、この発明は、タンパク質発現様式を一度に大量にかつ安価に、更に簡 単'迅速に測定可能となるので、タンパク質の機能ば力りではなぐ遺伝子の機能を も解析するのに有用であり、その上疾病、障害、機能不全、病態などの診断や予防 ば力りではなぐ疾病などの治療などにも役立てることができる。
また、この発明に係るタンパク質チップによる測定の目的も、疾病などの治療ゃ予 防'診断をはじめ、遺伝子の機能解析等の研究用から遺伝子操作後の発現遺伝子 の安全性確認など非常に幅広い分野において利用することができる。更に、この発 明は、医薬品や機能性食品などの効果効能や安全性などの確認や評価にも迅速に かつ安価で的確に対応することができる。