明細書
光学活性プロパルギルアルコールの製造方法 技術分野
本発明は、 各種医薬品の光学活性原料として、 特に、 プロスタグランジン系化 合物に必須な ω側鎖の原料として有用な光学活性プロパルギルアルコールを製造 する方法に関する。 背景技術
本明細書に定義する式 2もしくは式 5で示される光学活性プロパルギルアルコ ールの製造方法としては、
(1) 式 2もしくは式 5で示されるプロパルギルアルコールのラセミ体混合物を フタル酸モノエステルとして光学活性アミンを光学分割剤として分割する方法 (J. Am. Chem. Soc., 94, 7827 (1972)) 、
(2) 式 2もしくは式 5で示されるプロパルギルアルコールのラセミ体混合物の エステルをリパーゼ又はパン酵母などを用いた加水分解反応により反応速度論的 分割を行い、 光学活性プロパルギルアルコールを得る方法 (特開平 3— 2 5 90 94号公報) 、
(3) 式 2もしくは式 5で示されるプロパルギルアルコールのラセミ体混合物を 光学分割カラムにより分割し、 光学活性プロパルギルアルコールを得る方法 (特 開 200 3— 6400 9号公報) 、
(4) 本明細書に定義する式 1で示されるプロパルギルケトンを不斉還元触媒を 用いて不斉還元する方法 (J. Am. Chem. Soc., 101, 5843 (1979)) 、
(5)式 1で示されるプロパルギルケトンを微生物により不斉還元する方法 (J. Am. Chem. Soc, 97, 865 (1975)) 、
(6)式 1で示されるプロパルギルケトンの α -ハロゲン置換体をラタトバチルス {Lactobacillus) 由来のアルコール脱水素酵素を用いて不斉還元し、 光学活性な
W α -ハロゲン置換されたプロパルギルアルコールを得る方法 (WO 0 2 / 6 4 5 7 9号公報) 、
( 7 ) γ—ヨウ化ァリルアルコールをシャープレス光学分割法によって光学活性 γ—ョゥ化ァリルアルコールを得、脱ョゥ化水素を経て光学活性プロパルギルァ ルコールを得る方法 (Tetrahedron Lett. , 30, 7083 (1989) ) 、
などが知られている。
しかしながら、 (1 ) の方法は低収率でかつ高価な分割剤が必要である、 (2 ) の方法は光学純度が低い、 未反応のエステルと加水分割されたアルコールの分離 が困難である、 (3 ) の方法は高価な光学分割カラムが必要であり、 (4 ) の方 法は高価な不斉還元触媒が必要、 極低温が必要、 (5 ) の方法は収率、 光学純度 共に低い、 (6 ) の方法は生産性が低い、 (7 ) の方法は高価な分割剤が必要か つ工程が複雑、など工業的な製造方法としては問題がある。 発明の開示
本発明は、 式 2もしくは式 5で示される光学活性プロパルギルアルコール、 と りわけ、 式 4で示される (S ) — 1ーシクロへキシルー 2—プロピン一 1ーォー ルもしくは式 6で示される (R) — 1ーシクロへキシルー 2—プロピン一 1—ォ ールの製造において、 光学純度の高い生成物を収率良く与えることができる製造 方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、理論収率が 5 0 %を越えない分割手法ではなく、原料を 1 0 0 % 利用可能な、 プロパルギルケトンを立体選択性の高い酵素を利用して不斉還元反 応により高い光学純度の光学活性プロパルギルアルコールを製造する方法を検討 した。
式 1の Rがシク口へキシル基である 1ーシクロへキシルプロピノン
(1-cyclohexylpropynone,以下 CHPNと略す)を基質として多くの力ルポ二ルを不 斉還元する酵素を用い、 1ーシクロへキシノレ一 2一プロピン一 1ーォーノレ (1 - cyclohexyl- 2- propyn- 1- ol、以下 CHP0と略す)合成を検討した結果、ピキア ·
フィンランディ力 Pichia finlandica) 由来の (R) — 2—ォクタノール脱水素 酵素 (配列番号 2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質) が (S) - CHP0を生 成し、 サッカロマイセス 'セレビジェ {Saccharomyces cerevisiae) 由来の力ノレポ ニル還元酵素 ScGRE2 (配列番号 4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質) 及び ScYGD9 (配列番号 6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質)、並びにト ノレラスポラ 'テノレブレッキー ( Torulaspora delbrueckii) 由来のカノレポエノレ還元 酵素 TdCRl (配列番号 8に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質) がいずれも (R)-CHPOを 9 9 % e e以上の極めて高い立体選択性で生成することを見いだし、 本宪明を完成するに至った。
(R) 一 2 _ォクタノール脱水素酵素は、ァセト酢酸ェチルを不斉還元し、 (R) 一 3—ヒドロキシ酪酸ェチルを生成することが知られているが (WO0 1/6 1 0 1 4号公報) 、 CHPNに対して活性を有するか否か、 どの程度の立体選択性を持 つて還元するか、 いずれの立体を生成するかは予測不可能であり、 9 9%e e以 上の高い選択性で (S) - CHP0を生成したことは驚くべき結果であった。
同様に、 ScGRE2 (J. Org. Chem. 63, 4996-5000 (1998)) 、 ScYGD9及び TdCRl (いずれも特願 200 3— 1 1 340 2号)は、ァセト酢酸ェチルを不斉還元し、 (S) _ 3—ヒドロキシ酪酸ェチルを生成することが報告されているが、 (R) 一 2—ォクタノール脱水素酵素の場合と同様、 CHPNに対して活性を有するか否力、 どの程度の立体選択性を持つて還元するか、 いずれの立体を生成するかは予測不 可能であり、 9 9 % e e以上の高い選択性で (R)- CHP0を生成したことは驚くべき 結果であった。 例えば、 キャンディダ 'パラプシロシス由来の (S) 特異的 2級ァ ルコール脱水素酵素 (特開平 0 7— 2 3 1 78 5号公報) は、 ァセト酢酸ェチル を不斉還元し、 (S) — 3—ヒドロキシ酪酸ェチルを生成することが報告されて いるが、 CHPNに対して実質的に活性を示さなかった。また、 TdCRlに対して 6 1% のホモロジ一を有する ScYDRl (特願 2003— 1 1 340 2号) もまた、 CHPN に対して実質的に活性を有しなかった。
また、上記反応に付随して NADHから生成する NAD+の NADHへの再生、及び、 NADPH
から生成する NADPHの NADP+への再生は、 例えばダルコース脱水素酵素、 ギ酸脱 水素酵素、アルコール脱水素酵素、アミノ酸脱水素酵素、有機酸脱水素酵素などに よって行うことができるが、 本発明者らは、 これらの遺伝子を本発明で用いるァ ルコール脱水素酵素もしくはカルボニル還元酵素をコードする DNAと同時に宿主 に導入することによって、 アルコール脱水素酵素もしくはカルボニル酵素と NAD (P) H再生酵素を同時に発現し、 該形質転換株またはその処理物を用レ、て還元 反応を行うことにより、 より効率的に光学活性プロパルギルアルコール誘導体を 製造できることを見いだした。
即ち、 本発明によれば、 以下の発明が提供される。
( 1 ) 下記 (a ) から (e ) ;
( a ) 配列番号 1に記載された塩基配列を含むポリヌクレオチド;
( b ) 配列番号 2に記載のァミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌ クレオチド;
( c ) 配列番号 2に記載のアミノ酸配列において、 1若しくは複数のアミノ酸が 置換、欠失、揷入および/または付加したアミノ酸からなるタンパク質であって、 式 1で示されるプロパルギルケトン誘導体を還元し、 式 2で示される光学活性プ 口パルギルアルコール誘導体を生成する活性を有するタンパク質をコードするポ リヌクレオチド;
( d ) 配列番号 1に記載された塩基配列からなる D N Aとストリンジ ントな条 件下でハイブリダィズするポリヌクレオチドであって、 式 1で示されるプロパル ギルケトン誘導体を還元し、 式 2で示される光学活性プロパルギルアルコール誘 導体を生成する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;又は
( e ) 配列番号 2に記載のアミノ酸配列と 7 0 %以上の相同性を有するアミノ酸 配列を有し、 式 1で示されるプロパルギルケトン誘導体を還元し、 式 2で示され る光学活性プロパルギルアルコール誘導体を生成する活性を有するタンパク質を コードするポリヌクレオチド:
のいずれかに記載のポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質、 該タンパ
ク質を機能的に発現する微生物もしくは形質転換株、またはその処理物を、式 1
(式中、 Rは、 C 1一 C 1 0の置換若しくは未置換の直鎖、分岐鎖又は環状のアル キル基、アルケニル基又はアルキニル基、あるいは C 6 - C 2 0のァリール基を表 す)
で示されるプロパルギルケトン誘導体に作用させ、該ケトンを還元して式 2 :
0H
式 2
(式中、 Rは、 式 1の場合と同義である)
で示される光学活性プロパルギルアルコール誘導体を製造することを含む、 光学 活性プロパルギルアルコール誘導体の製造方法。
( 2 ) 式 1で示されるプロパルギルケトン誘導体が式 3 :
で示される 1ーシク口へキシルー 2—プロピン一 1一オンであり、 式 2で示され る光学活性プロパルギルアルコール誘導体が式 4 :
で示される(S)— 1ーシクロへキシルー 2—プロピン一 1一オールである、 (1) に記載の光学活性プ口パルギルアルコール誘導体の製造方法。
(3) (a) から (e) のいずれかに記載のポリヌクレオチドによりコードさ れるタンパク質を、 対応する補酵素、 還元型ニコチンアミ ドアデニンジヌクレオ チド(NADH)もしくは還元型ニコチンァミドアデニンジヌクレオチドリン酸
(NADPH)を再生する活性を有する脱水素酵素を共に発現する形質転換株、若しくは 該形質転換株の処理物を用いて、 式 1で示されるプロパルギルケトンを還元し、 式 2で示される光学活性プロパルギルアルコールを製造する、 (1) 又は (2) に記載の方法。
(4) NADHもしくは NADPH再生活性を有する脱水素酵素がグルコース脱水素酵 素若しくはギ酸脱水素酵素である、 (3) に記載の方法。
(5) 下記 (a) から (e) ;
( a ) 配列番号 3、 5又は 7に記載された塩基配列を含むポリヌクレオチド;
(b) 配列番号 4、 6又は 8に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコード するポリヌクレオチド;
(c) 配列番号 4、 6又は 8に記載のアミノ酸配列において、 1若しくは複数の ァミノ酸が置換、欠失、揷入およぴ /または付加したアミノ酸からなるタンパク質 であって、 式 1で示されるプロパルギルケトン誘導体を還元し、 式 5で示される 光学活性プロパルギルアルコール誘導体を生成する活性を有するタンパク質をコ
(d) 配列番号 3、 5又は 7に記載された塩基配列からなる DNAとストリンジ ヱントな条件下でハイブリダィズするポリヌクレオチドであって、 式 1で示され るプロパルギルケトン誘導体を還元し、 式 5で示される光学活性プロパルギルァ ルコール誘導体を生成する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチ ド;又は
( e ) 配列番号 4、 6又は 8に記載のアミノ酸配列と 70 %以上の相同性を有す るアミノ酸配列を有し、 式 1で示されるプロパルギルケトン誘導体を還元し、 式
5で示される光学活性プロパルギルアルコール誘導体を生成する活性を有するタ ンパク質をコードするポリヌクレオチド:
のいずれかに記載のポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質、 該タンパ ク質を機能的に発現する微生物もしくは形質転換株、またはその処理物を、式 1 :
式 1
(式中、 Rは、 C 1一 C 1 0の置換若しくは未置換の直鎖、分岐鎖又は環状のアル キル基、アルケニル基又はアルキニル基、あるいは C 6— C 2 0のァリール基を表 す)
で示されるプロパルギルケトン誘導体に作用させ、該ケトンを還元して式 5 :
(式中、 Rは、 式 1の場合と同義である)
で示される光学活性プ口パルギルアルコール誘導体を製造することを含む、 光学 活性プロパルギルアルコール誘導体の製造方法。
( 6 ) 式 1で示されるプロパルギルケトン誘導体が式 3 :
式 3 で示される 1—シクロへキシルー 2—プロピン一 1一オンであり、 式 5で示され る光学活性プロパルギルアルコール誘導体が式 6 :
式 6 で示される(R) - 1ーシク口へキシルー 2—プロピン一 1一オールである、 (5) に記載の光学活性プロパルギルアルコール誘導体の製造方法。
(7) (a) から (e) のいずれかに記載のポリヌクレオチドによりコードさ れるタンパク質を、 対応する捕酵素、 還元型ニコチンアミ ドアデニンジヌクレオ チド (NADH)もしくは還元型ニコチンァミ ドアデニンジヌクレオチドリン酸
(NADPH)を再生する活性を有する脱水素酵素を共に発現する形質転換株、若しくは 該形質転換株の処理物を用いて、 式 1で示されるプロパルギルケトンを還元し、 式 5で示される光学活性プロパルギルアルコールを製造する、 (5) 又は (6) に記載の方法。
(8) NADHもしくは NADPH再生活性を有する脱水素酵素がグルコース脱水素酵 素若しくはギ酸脱水素酵素である、 (7) に記載の方法。 図面の簡単な説明
図 1は、 ScGRE2発現プラスミ ド PSE- Y0L1の構築を示す。
図 2は、 ScGRE2及びバチルス 'サブチリス由来のグルコース脱水素酵素との共 発現プラスミ ド pSG- SCR1の構築を示す。 発明を実施するための最良の形態
本発明は、 下記 ) から (e) ;
( a ) 配列番号 1に記載された塩基配列を含むポリヌクレオチド;
( b ) 配列番号 2に記載のァミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌ クレオチド;
(c) 配列番号 2に記載のアミノ酸配列において、 1若しくは複数のアミノ酸が
置換、欠失、揷入および または付加したアミノ酸からなるタンパク質であって、 式 1で示されるプロパルギルケトン誘導体を還元し、 式 2で示される光学活性プ 口パルギルアルコール誘導体を生成する活性を有するタンパク質をコードするポ リヌクレオチド;
( d ) 配列番号 1に記載された塩基配列からなる D NAとストリンジェントな条 件下でハイプリダイズするポリヌクレオチドであって、 式 1で示されるプロパル ギルケトン誘導体を還元し、 式 2で示される光学活性プロパルギルアルコール誘 導体を生成する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;又は
( e ) 配列番号 2に記載のアミノ酸配列と 7 0 %以上の相同性を有するアミノ酸 配列を有し、 式 1で示されるプロパルギルケトン誘導体を還元し、 式 2で示され る光学活性プロパルギルアルコール誘導体を生成する活性を有するタンパク質を コードするポリヌクレオチド:
のいずれかに記載のポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質、 該タンパ ク質を機能的に発現する微生物もしくは形質転換株、またはその処理物を用いて、 式 1で示されるプロパルギルケトン誘導体を還元し、 式 2で示される光学活性プ 口パルギルアルコール誘導体を製造する方法に関するものである。
配列番号 2に記載の蛋白質としては、 例えば、 ピキア ·フィンランディ力由来 の (R)- 2 -ォクタノール脱水素酵素が挙げられる。 該酵素は、 WO O 1 Z 6 1 0 1 4号公報に記載の方法により、 ピキア 'フィンランディ力の菌体より調製する ことができる。 ピキア ' フィンランディ力としては、特に、 ピキア'フィンランデ イカ DSM 70280株が好適に利用できる。また、ピキア'フィンランディ力 DSM 70280 株由来の (R) — 2—ォクタノール脱水素酵素のアミノ酸配列である配列番号 2 に記載のタンパク質をコードする D NAを、 ピキア'フィンランディ力 DSM 70280 株などからクローニングし、 若しくは配列番号 2に記載のァミノ酸配列をコード する D N Aを化学合成し、大腸菌など異種の宿主に発現可能な形態において導入 した組換え体を用いて、 (R) — 2—ォクタノール脱水素酵素を発現し、 組換え 体より該酵素を得ることもできる。
本発明で用いる (R) — 2—ォクタノール脱水素酵素の酵素活性の測定は次の ように確認することができる。 100 mM トリス一塩酸緩衝液 (pH 9. 0) 、 2. 5 酸 化型ニコチンアミ ドアデニンジヌクレオチド、 5 mM (R) 一 2—ォクタノール及 ぴ酵素を含む反応液中、 30°Cで反応させ、 NADHの増加に由来する 3 4 0 n mの吸 光度の増加を測定する。 1 Uは、 1分間に Ι μ ηιοΐの NADH の生成を触媒する酵素 量とした。
さらに本発明は、 下記 (a ) から (e ) ;
( a ) 配列番号 3、 5又は 7に記載された塩基配列を含むポリヌクレオチド;
( b ) 配列番号 4、 6又は 8に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコード するポリヌクレオチド;
( c ) 配列番号 4、 6又は 8に記載のアミノ酸配列において、 1若しくは複数の ァミノ酸が置換、欠失、揷入およぴ /または付加したアミノ酸からなるタンパク質 であって、 式 1で示されるプロパルギルケトン誘導体を還元し、 式 5で示される 光学活性プロパルギルアルコール誘導体を生成する活性を有するタンパク質をコ ードするポリヌクレオチド;
( d ) 配列番号 3、 5又は 7に記載された塩基配列からなる D NAとス トリンジ ヱントな条件下でハイブリダィズするポリヌクレオチドであって、 式 1で示され るプロパルギルケトン誘導体を還元し、 式 5で示される光学活性プロパルギルァ ルコール誘導体を生成する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチ ド;又は
( e ) 配列番号 4、 6又は 8に記載のアミノ酸配列と 7 0 %以上の相同性を有す るアミノ酸配列を有し、 式 1で示されるプロパルギルケトン誘導体を還元し、 式 5で示される光学活性プロパルギルアルコール誘導体を生成する活性を有するタ ンパク質をコードするポリヌクレオチド:
のいずれかに記載のポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質、 該タンパ ク質を機能的に発現する微生物もしくは形質転換株、またはその処理物を用いて、 式 1で示されるプロパルギルケトン誘導体を還元し、 式 5で示される光学活性プ
口パルギルアルコール誘導体を製造する方法に関するものである。
本発明で利用されるカルボ-ル還元酵素 ScGRE2は、 J. Org. Chem. 63, 4996-5000 (1998)に記載の方法によりパン酵母より調製することができる。また、 サッカロマイセス.セレビジェ由来の ScGRE2をコードする配列番号 3に記載の 脆を、 サッカロマイセス 'セレビジェ (例えば X2180- 1B株) (Yeast Genetic Stock Center)などから PCRなどによりクローユングし、大腸菌など異種の宿主に 発現可能な形態において導入した組換え体を用いて ScGRE2を発現し、組換え体よ り該酵素を得ることもできる。
本発明で用いる SGGRE2の酵素活性の測定は次のように確認することができる。 100 mM リン酸カリゥム緩衝液 ( H 6. 5) 、 0. 2 mM還元型-コチンアミ ドアデニ ンジヌクレオチドリン酸 (以下、 NADPH と略す) 、 20 mM ァセト酢酸ェチル及ぴ 酵素を含む反応液中で 30°Cで反応させ、 NADPHの減少に由来する 340nmの吸光度 の減少を測定する。 1Uは、 1分間に Ι μ ηιοΐの NADPH の減少を触媒する酵素量と した。
本発明で利用されるカルボニル還元酵素 ScYGD9は、 サッカロマイセス 'セレビ ジェ由来の ScYGD9をコードする配列番号 5に記載の D N Aを、例えば、特願 2 0 0 3— 1 1 3 4 0 2号に記載の方法などにより、 サッカロマイセス 'セレビジェ
(例えば X2180- 1B株) (Yeast Genetic Stock Center) などから PCRなどにより クローユングし、 大腸菌など異種の宿主に発現可能な形態において導入した組換 え体を用いて ScYGD9を発現し、組換え体より該酵素を得ることにより調製できる。 本発明で用いる ScYGD9の酵素活性は、 ScGRE2と同じ方法により確認することが できる。
本発明で利用されるカルボニル還元酵素 TdCRlは、 特願 2 0 0 3— 1 1 3 4 0 2に記載の方法により トルラスポラ'デルプレッキー ( Torulaspora
delbrueckii) より調製することができる。 また、 トルラスポラ'デルプレッキー 由来の TdCRlをコードする配列番号 7に記載の DNAを、トルラスポラ.デルプレツ キー (例えば IF0 0381株) などから PCRなどによりクローニングし、 大腸菌な
ど異種の宿主に発現可能な形態において導入した組換え体を用いて TdCRlを発現 し、 組換え体より該酵素を得ることもできる。
本発明による TdCRlの酵素活性の測定は次のように確認することができる。 100 mM リン酸カリゥム緩衝液 (pH 6. 5) 、 0. 2 mM NADPH、 5 mM 3, 4 -ジメ トキシフエ 二ルァセトン及び酵素を含む反応液中で 30°Cで反応させ、 NADPHの減少に由来す る 3 4 0 n mの吸光度の減少を測定する。 1 Uは、 1分間に l /z molの NADPHの減 少を触媒する酵素量とした。
上記酵母(サッカロマイセス 'セレビジェ、 トルラスボラ'デルプレッキー)は、 YM培地等の酵母の培養に用いられる一般的な培地で培養される。十分に增殖させ た後に菌体を回収し、 2—メルカプトェタノールゃフエニルメタンフルホニルフ ルォリ ド等の還元剤やプロテアーゼ阻害剤を加えた緩衝液中で破砕して無細胞抽 出液とする。 無細胞抽出液から、 タンパク質の溶解度による分画 (有機溶媒によ る沈澱や硫安などによる塩析など)や、陽イオン交換、陰イオン交換、ゲルろ過、 疎水性クロマトグラフィーや、 キレート、 色素、 抗体などを用いたアブイ-ティ 一クロマトグラフィ一などを適宜組み合わせることにより精製することができる c 例えば、 フエ-ルーセファロースを用いた疎水クロマトグラフィー、 M o n o Q を用いた陰イオン交換クロマトグラフィー、 ブチルーセファロースを用いた疎水 クロマトグラフィー、 ハイドロキシァパタイトを用いた吸着クロマトグラフィー 等を経て電気泳動的に単一バンドにまで精製することができる。
本発明における 1もしくは複数 (好ましくは 1〜2 0個、 より好ましくは 1〜 1 0個、 さらに好ましくは 1〜5個程度) のアミノ酸が欠失、 置換、 挿入および /または付加されたアミノ酸配列は、 配列番号 1、 3、 5又は 7に記載のポリヌ クレオチドに部位特異的変異導入法 (Nucleic Acid Res. 10, pp. 6487 (1982) , Methods in Enzymol. 100, pp. 448 (1983), Molecular Cloning 2ndEdt., Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989), PGR A Practical Approach IRL Press pp. 200 (1991) ) などを用いて、 適宜置換、 欠失、 揷入、 および Zまたは付加などの変異 を導入することにより得ることが可能である。
本発明におけるポリヌクレオチドのホモログとは、 配列番号 2、 4、 6又は 8 に示されるアミノ酸配列と少なくとも 7 0 %、 好ましくは少なくとも 8 0 %、 より 好ましくは 9 0 %以上のホモロジ一を有するタンパク質をコードするポリヌクレ ォチドを含む。 タンパク質のホモロジ一検索は、 例えば SWISS- PR0T, PIR,DADな どのタンパク質のアミノ酸配列に関するデータベースや DDBJ、 EMBL、 あるいは Gene-Bankなどの DNA配列に関するデータベース、 DNA配列を元にした予想ァミノ 酸配列に関するデータベースなどを対象に、 BLAST, FASTAなどのプログラムを利 用して、 例えば、 インターネットを通じて行うことができる。 本発明のホモロジ 一とは、 例えば、 BLASTプログラムを用いて identity で示される数値を指す。 本発明における配列番号 1、 3、 5又は 7に示される塩基配列からなるポリヌ クレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズできるポリヌクレオチド とは、いずれかのポリヌクレオチド配列番号に記載中の任意の少なくとも 2 0個、 好ましくは少なくとも 3 0個、 例えば 4 0、 6 0または 1 0 0個の連続した配列 を一つまたは複数選択した D NAをプローブ D N Aとし、 例えば ECL direct nucleic acia labeling and detection system (Amersham Pharmaica Biotech社 製)を用いて、 マニュアルに記載の条件 (例えば、 wash: 42°C、 0. 5x SSCを含む primary wash buffer) において、 ハイブリダイズするポリヌクレオチドを示す。 より具体的な 「ストリンジヱントな条件」 とは、 例えば、 通常、 42。C、 2 X SSC、 0. 1%SDSの条件であり、 好ましくは 50°C、 2 X SSC、 0. 1%SDSの条件であり、 さ らに好ましくは、 65°C、 0. 1 X SSCおよび 0. 1%SDSの条件であるが、 これらの条 件に特に制限されない。 ハイブリダィゼーシヨンのス トリンジエンシーに影響す る要素としては温度や塩濃度など複数の要素が考えられ、 当業者であればこれら 要素を適宜選択することで最適なストリンジエンシーを実現することが可能であ る。
本発明において利用可能なアルコール脱水素酵素又はカルボニル還元酵素をコ ードするポリヌクレオチドを、 公知の発現ベクターに挿入することにより、 各酵 素の発現ベクターが提供される。 また、 この発現ベクターで形質転換した形質転
換体を培養することにより、 本発明において利用可能なアルコール脱水素酵素、 カルボ-ル還元酵素を組換え体から得ることができる。 本発明においてアルコー ル脱水素酵素、 カルポニル還元酵素を発現させるために、 形質転換の対象となる 微生物は、 それぞれの酵素をコードするポリヌクレオチドを含む組換えベクター により形質転換され、 それぞれの酵素活性を発現することができる生物であれば 特に制限はない。 利用可能な微生物としては、 例えば以下のような微生物を示す ことができる。
ェシエリヒア(Escherichia)属、 パチノレス(Bacillus)属、 シユードモナス (Pseudomonas)属、セラチア(Serratia)属、ブレビノくクテリゥム(Brevibacterium) 属、 コリネバタテリィゥム(Corynebacterium)属、 ストレプトコッカス
(Streptococcus)属、 及びラタトバチノレス(Lactobacillus)属など宿主ベクター系 の開発されている細菌;
ロ ドコッカス(Rhodococcus)属、及ぴストレプトマイセス(Streptomyces)属など 宿主ベクター系の開発されている放線菌;
サッカロマィセス (Saccharomyces)属、クライべロマイセス (Kluyveromyces)属、 シゾサッカロマイセス (Schizosaccharomyces)属、 チゴサッカロマイセス
(Zygosaccharomycesノ属、 ャロウ ァ (Yarrowia)禹、 トリコスホロン
(Trichosporon)属、 ロ ドスポジジゥム(Rhodosporidium)属、 ピキア(Pichia)属、 及ぴキヤンディダ (Candida)属などの宿主べクタ一系の開発されている酵母; ノイロスポラ(Neurospora)属、ァスペルギノレス(Aspergillus)属、セファロスポ リゥム(Cephalosporium)属、及びトリコデノレマ(Trichoderma)属などの宿主べクタ 一系の開発されているカビ:
形質転換体の作製のための手順および宿主に適合した組み換えベクターの構築 は、 分子生物学、 生物工学、 遺伝子工学の分野において慣用されている技術に準 じて行うことができる(例えば、 Sambrookら、モレキュラー ·クロー-ング、 Cold Spring Harbor Laboratories) 。 微生物中などにおいて、 本発明で用いる NADPH を電子供与体とする力ルポニル還元酵素遺伝子を発現させるためには、 まず微生
物中において安定に存在するプラスミ ドベクターやファージベクター中にこの
DNAを導入し、 その遺伝情報を転写 ·翻訳させる必要がある。 そのためには、 転 写 ·翻訳を制御するュニットにあたるプロモーターを本発明の DNA鎖の 5' -側上 流に、より好ましくはターミネータ一を 3' -側下流に、それぞれ組み込めばよい。 このプロモーター、 ターミネータ一としては、 宿主として利用する微生物中にお いて機能することが知られているプロモーター、 ターミネータ一を用いる必要が ある。 これら各種微生物において利用可能なベクター、 プロモーター、 ターミネ 一ターなどに関して 「微生物学基礎講座 · 8遺伝子工学 ·共立出版」 、 特に酵母に 関しては、 Adv. Biochem. Eng. 43, 75—102 (1990)、 Yeast 8, 423—488 (1992)、 などに詳細に記述されている。
また、 微生物以外でも、 植物、 動物において様々な宿主 ·ベクター系が開発さ れており、 特に蚕を用いた昆虫 (Nature 315, 592-594 (1985) ) や菜種、 トウモ 口コシ、 ジャガイモなどの植物中に大量に異種タンパク質を発現させる系が開発 されており、 好適に利用できる。
本明細書に記載の式 2もしくは式 5に示される光学活性プロパルギルアルコー ル誘導体の製造の好ましい態様においては、 酵素分子、 その処理物、 酵素分子を 含む培養物、 あるいは酵素を生成する微生物等の形質転換体を反応溶液と接触さ せることにより、 目的とする酵素反応を行わせることによって、 光学活性プロパ ルギルアルコール誘導体の製造を行うことができる。 なお、 酵素と反応溶液の接 触形態はこれらの具体例に限定されるものではない。
本発明におけるアルコール脱水素酵素も.しくはカルボニル還元酵素を含む微生 物の処理物には、 具体的には界面活性剤やトルエンなどの有機溶媒処理によって 細胞膜の透過性を変化させた微生物、 あるいはガラスビーズや酵素処理によって 菌体を破砕した無細胞抽出液やそれを部分精製したものなどが含まれる。
本発明における式 1で示されるプロパルギルケトン誘導体において、 Rは、 C 1 - C 1 0の置換若しくは未置換の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、アルケニ ル基又はアルキニル基、 あるいは C 6— C 2 0のァリール基を表す。 Rとしては
例えば、 メチノレ、 ェチノレ、 プロピノレ、 プチノレ、 ペンチノレ、 へキシノレ、 へプチノレ、 ォクチル、 ノエル、 デシル、 イソプロピル、 イソプチル、 t -プチル、 2—メチル ペンチノレ、 3ーメチノレへキシノレ、 シクロペンチノレ、 シクロへキシノレ、 シクロペン チルメチル、 シクロへキシルメチル、 フエニルなどが挙げられ、 これらの置換基 は更に、 塩素、 臭素、 ヨウ素、 トリアルキルシリル、 トリアルキル錫などにより 置換されていてもよい。
本発明の好ましい態様においては、 (R) — 2—ォクタノール脱水素酵素活性 を有するタンパク質、 該酵素またはタンパク質を産生する微生物、 もしくは該微 生物の処理物を式 3に示される 1—シクロへキシルプロピノン (CHPN) に作用さ せ、 式 4に示される ( S ) 一 1—シク口へキシルー 2—プロピン一 1一オール ( (S) - CHP0)を製造することを特徴とする、 (S ) — 1—シクロへキシルー 2—プ 口ピン一 1一オールの製造方法が提供される。 また、 ScGRE2, ScYGD9、 TdCRl又 はそれらの変異体から選択される力ルポニル還元酵素活性を有するタンパク質、 該酵素またはタンパク質を産生する微生物、 もしくは該微生物の処理物を式 3に 示される 1ーシクロへキシルプロピノン (CHPN) に作用させ、 式 6に示される
(R)— 1ーシク口へキシルー 2—プロピン一 1—オール ((R) - CHP0)を製造する ことを特徴とする、 (R) — 1—シクロへキシル一2—プロピン一 1一オールの 製造方法が提供される。
上記還元反応に付随して NADHもしくは NADPHから生成する NAD+もしくは NADP +の、 NADHもしくは NADPHへの再生は、微生物の持つ NAD+, NADP+還元能(解糖系、 メチロトローフの C 1化合物資化経路など) を用いて行うことができる。 これら NAD+, NADP+還元能は、反応系にグルコースやエタノールなどを添加することによ り増強することが可能である。 また、 NAD+, NADP+から NADH, NADPHを生成する能 力を有する微生物やその処理物、 酵素を反応系に添加することによつても行うこ とができる。 例えば、 グルコース脱水素酵素、 アルコール脱水素酵素、 ギ酸脱水 素酵素、 アミノ酸脱水素酵素、 有機酸脱水素酵素 (リンゴ酸脱水素酵素など) な どを含む微生物、 その処理物、 ならびに部分精製もしくは精製酵素を用いて NADH
もしくは NADPHの再生を行うことができる。 これらの NADH, NADPH再生に必要な 反応を構成する成分は、 本発明による光学活性アルコールの製造のための反応系 に添加する、 固定化したものを添加する、 あるいは NADH、 NADPHの交換が可能な 膜を介して接触させることができる。
また本発明は、 本発明に利用可能なポリペプチドをコードするポリヌクレオチ ドを含む組換えベクターにより形質転換された形質転換体を培養する工程を含む ことができる。 本方法において、 本発明のポリヌクレオチドを含む組換えべクタ 一で形質転換した微生物の生菌体を前記光学活性アルコールの製造方法に利用す る場合には、 NADH, NADPH再生のための付加的な反応系を不要とできる場合があ る。 すなわち、 NADH, NADPH再生活性の高い微生物を宿主として用いることによ り、 形質転換体を用いた還元反応において、 NADH, NADPH再生用の酵素を添加す ることなく効率的な反応が行える。 さらに、 NADH、 NADPH再生に利用可能なグル コース脱水素酵素、 アルコール脱水素酵素、 ギ酸脱水素酵素、 アミノ酸脱水素酵 素、有機酸脱水素酵素(リンゴ酸脱水素酵素など)などの遺伝子を、本発明の NADH もしくは NADPH依存性アルコール脱水素酵素もしくはカルポニル還元酵素をコー ドする DNAと同時に宿主に導入することによって、 より効率的な NADH, NADPH再 生酵素と NADPH依存性カルポニル還元酵素の発現、 還元反応を行うことも可能で ある。 これらの 2つもしくはそれ以上の遺伝子の宿主への導入には、 不和合性を 避けるために複製起源のことなる複数のベクターに別々に遺伝子を導入した組換 えベクターにより宿主を形質転換する方法や、 単一のベクターに両遺伝子を導入 する方法、 両方、 もしくは、 片方の遺伝子を染色体中に導入する方法などを利用 することができる。
単一のベクター中に複数の遺伝子を導入する場合には、 プロモーター、 ターミ ネーターなど発現制御に関わる領域をそれぞれの遺伝子に連結する方法やラクト ースオペロンのような複数のシストロンを含むオペロンとして発現させることも 可能である。
例えば、 NADH及ぴ NADPH再生用酵素として、 バシラス ·サブチルス (Bacillus
subtilis) やサーモプラズマ 'ァシドフィラム (Thermoplasma acidophilum) に 由来するグルコース脱水素酵素が利用可能である。また、 NADH再生用酵素として、 マイコパクテリゥム'パッカェ由来のギ酸脱水素酵素およぴその変異体が好適に 利用可能である。
具体的には、 (S)- CHP0合成には、 ピキア'フィンランディ力由来の (R) —2 ーォクタノール脱水素酵素の遺伝子とマイコパクテリゥム 'パッカェ由来のギ酸 脱水素酵素の遺伝子を共に導入した共発現プラスミ ド、 PSF-PF02 (WO01/6 1014号公報) や、 バシラス 'サブチルス由来グルコース脱水素酵素遺伝子を 共に導入した共発現プラスミ ド pSG- PF01 (WOO 1/6 1014号公報) 、 PSG-PF02 (WO 01/6 1014号公報) が挙げられる。 また、 (R) - CHP0合成 には、 ScGRE2、 ScYGD9 TdCRlのいずれかのカルポニル還元酵素の遺伝子とバシ ラス ·サブチルス由来グルコース脱水素酵素遺伝子を共に導入した共発現プラス ミ ド (それぞれ、 pSG-YOLl (本発明実施例に記載), pSG-YGD9 (特願 2003- 113402) , pSG - TDR1 (特願 2003 - 113402)) が挙げられる。
本発明の酵素を用いた還元反応は、 水中もしくは水に溶解しにくい有機溶媒、 例えば、 酢酸ェチル、 酢酸ブチル、 トルエン、 クロ口ホルム、 n—へキサン、 メ チルイソブチルケトン、 メチルターシャリ一プチルエステルなどの有機溶媒中、 もしくは、 水性媒体との 2相系、 もしくは水に溶解する有機溶媒、 例えば、 メタ ノール、 エタノール、 イソプロピルアルコール、 ァセトニトリル、 アセトン、 ジ メチルスルホキシドなどとの混合系により行うことができる。 本発明の反応は、 固定化酵素、 膜リアクターなどを利用して行うことも可能である。
本発明の反応は、反応温度 4一 60 °C、好ましくは 10— 40 °C、 p H 3 _ 9、 好ましくは pH5— 7、 基質濃度 0. 01— 50%、 好ましくは 0. 1— 10%、 さらに好ましくは 0. 1— 5%で行うことができる。 本発明の反応の基質である 式 1に示されるプロパルギルケトンは一般に水中、 特に、 アルカリ側で不安定な ため、 反応は弱酸性領域で低い温度で実施することが望ましい。 また、 反応系に は必要に応じて補酵素 NAD+, NADH, NADP+もしくは NADPHが 0. 001 mM— 10
0 mM、 好ましくは、 0 · 0 1— 1 0 mM添加できる。 また、 基質は反応開始時に 一括して添加することも可能であるが、 反応液中の基質濃度が高くなりすぎない ように連続的、 もしくは非連続的に添加することが望ましい。
NADH, NADPHの再生のために、 例えば、 グルコース脱水素酵素を利用する場合 のグルコース、 アルコール脱水素酵素を利用する場合のエタノールもしくはイソ プロパノール、 ギ酸脱水素酵素を利用する場合のギ酸、 アミノ酸脱水素酵素を利 用する場合のアミノ酸、 リンゴ酸脱水素酵素を利用する場合のリンゴ酸、 グリセ ロール脱水素酵素を利用する場合のグリセロールなどが反応系に添加される。 こ れらの化合物は、 基質ケトンに対してモル比で 0 . 1〜2 0、 好ましくは 1〜5 倍過剰に添加することができる。 一方、 グルコース脱水素酵素、 アルコール脱水 素酵素、 ギ酸脱水素酵素、 アミノ酸脱水素酵素、 リンゴ酸脱水素酵素、 グリセ口 ール脱水素酵素などの、 NADH, NADPH再生用の酵素は、 本発明の NADH, NADPH依 存性酵素に比較して酵素活性で 0 . 1〜 1 0 0倍、 好ましくは 0 . 5〜 2 0倍程 度添 口することができる。
基質であるプロパルギルケトンは、例えば文献 ひ. Org. Chem. , 52, 2860 (1987) . ) に記載の方法などで合成することができる。
本発明のプロパルギルケトンの還元により生成する光学活性プロパルギルアル コールの精製は、 菌体、 タンパク質の遠心分離、 膜処理などによる分離、 溶媒抽 出、 蒸留などを適当に組み合わせることにより行うことができる。
例えば、 (S) -CHPO合成では、微生物菌体を含む反応液に直接有機溶媒、例えば、 酢酸ェチル、 酢酸プチル、 トノレェン、 へキサン、 ベンゼン、 メチルイソブチ/レケ トン、 メチノレターシャリーブチノレエーテノレ、 ブタノーノレ、 へキサン、 ヘプタンな どを添加して抽出後、 これを減圧濃縮することにより、 光学活性プロパルギルァ ルコールとして、採取することができる。さらに反応生成物の純度を上げるには、 シリカゲルカラムクロマトグラフィー、 蒸留、 結晶化などを行うことにより、 さ らに高度に精製することができる。
以下の実施例により本発明を更に詳しく説明するが、 本発明はこれに限定され
るものではない。 実施例
[実施例 1 ]ピキア · フィンランディ力由来 (R) — 2—ォクタノール脱水素酵素 とバチルス.サブチルス由来グルコース脱水素酵素の同時発現
特許文献 (WO O 1 / 6 1 0 1 4号公報) に示された方法で得たピキア · フィ ンランディ力由来の(R)—ォクタノール脱水素酵素とバチルス ·サブチリス由来 のグルコース脱水素酵素を共発現するプラスミド pSG- PF01を保持する大腸菌 HB101株(HB101 (pSG-PFOl) ) を 2 XYT培地 (D;ifco- Tryptone 20g/L、 Difco- Yeast extract 10g/L、 NaCl 10g/L、 pH 7. 2) 50mLで培養し、 0. ImM IPTGで遺伝子の発 現を誘導した。得られた菌体を集菌後、密閉式超音波破砕装置 UCD- 200TM (コスモ バイオ) で破砕し、遠心分離した上清を無細胞抽出液とした。
[実施例 2 ]ピキア ' フィンランディ力由来 (R) — 2—ォクタノール脱水素酵素 とバチルス.サブチルス由来グルコース脱水素酵素の酵素活性
実施例 1で得られた無細胞抽出液を用い、 酵素活性を測定した。 (R) — 2— ォクタノール脱水素酵素活性の測定は、 50 111¾1 13-11 緩衝液 (PH 8. 5) 、 2. 5 mM NAD+、 5 mM (R) 一 2—ォクタノール及び酵素を含む反応液中、 30 °Cで反応さ せ、 NADHの増加に由来する 340 nmの吸光度の増加を測定した。 1Uは、 1分間に 1 μ molの NADHの生成を触媒する酵素量とした。 組換え大腸菌から得た無細胞抽 出液では、 NAD+依存的に (R) — 2—ォクタノール酸化活性を示し、 その比活性 は、 35. 9 U/mg—タンパク質であった。 また、 CHPN還元活性の測定は、 100 mMリ ン酸カリゥム緩衝液 (pH 6. 5)、 0. 2 mM NADH、 1%ジメチルスルホキシド、 2 mM CHPN 及ぴ酵素を含む反応液中で 30 °Cで反応させ、 NADHの減少に由来する 340 nmの吸 光度の減少を測定した。 1Uは、 1分間に 1 μ molの NADHの生成を触媒する酵素量 とした。 組換え大腸菌から得た無細胞抽出液では、 NADH依存的に CHPN還元活性 を示し、 その比活性は、 8. 01 U/ mg—タンパク質であった。
グルコース脱水素酵素活性の測定は、 100 mMリン酸カリゥム緩衝液 (pH 6. 5)、 2. 5 mM NAD+、 100 mM D—グルコース及び酵素を含む反応液中で 30 °Cで反応させ、 NADHの増加に由来する 340 nmの吸光度の増加を測定した。 1Uは、 1分間に l mol の NADHの生成を触媒する酵素量とした。組換え大腸菌から得た無細胞抽出液では、 その比活性は、 1. 18 U/ mg—タンパク質であった。
[実施例 3 ]ピキア 'フィンランディ力由来 (R) _ 2—ォクタノール脱水素酵素 とバチルス 'サプチルス由来グルコース脱水素酵素による(S) - CHP0の合成
実施例 1で得られた形質転換した大腸菌を 2 X YT培地 (D co- Tryptone 20 g/L、 Difco-Yeast extract 10 g/L、 NaCl 10 g/L、 pH 7. 2) 50mLで培養し、 0. ImM IPTG で遺伝子の発現を誘導した後、集菌した。 得られた菌体の半量を 400 mM リン酸力 リウム緩衝液 (pH 6. 5) 、 1% CHPN (73 mM) 、 1%ジメチルスルホキシド、 1. 6%グ ルコース(88mM)を含む 50 mLの反応液に加えて、振盪下 20 °Cで反応を開始した。 反応開始から 1時間後に集菌体の半量を更に添加し、 一晩反応を継続した。
[実施例 4 ]反応液からの(S) -CHPOの単離
実施例 3で調製した反応液に対し、 150 mLのへキサンを用いて 3回抽出を行つ た。 このへキサン抽出液の一部を取り、 ガスクロマトグラフィーで変換率の測定 を行った。分析には、 FFAP 20% Chromosorb W (AW) , 80— 100メッシュ (直径 0. 32 X 210cm, 信和化工) を用いた。 カラム室温度と注入口温度は 200 °C、検出器温度 は 230 °C、 キャリアガスには窒素、 検出には水素炎イオン化検出器を用いた。 各 化合物の保持時間は、 CHPNで 5. 0分、 CHP0で 8. 5分であった。定量の結果、変換率 は 100%であった。 有機層をろ過して不溶成分を除去した後、 減圧下に溶媒を留 去した。得られた油状物を冷却することにより、結晶が析出した。析出した結晶を ろ過によって回収し、目的物である(S) - CHP0の結晶 380 mgを得た。 収率は 75%で あった。
[実施例 5 ]合成した(S) -CHP0の光学純度
実施例 4記載のへキサン抽出液を用い、光学分割カラムを用いた高速液体クロ マトグラフィーを用いて光学純度の測定を行った。 分析には、 CHIRALCEL 0D ( φ 0. 46 X 25cm、 ダイセル化学工業) を用いた。 カラム室温度は 40。C、溶出はへキサ ン 2—プロパノール (97/3、 流速 l mL/分) 、 検出波長は 220 nmとした。 各対 掌体の保持時間は、 (S)体で 13. 0分、(R)体で 14. 9分であった。 その結果、生成物 の光学純度は 100%ee (S)であった。
[実施例 6 ]ピキア ' フィンランディ力由来 (R) — 2—ォクタノール脱水素酵素 とマイコバクテリゥム ·パッカェ由来ギ酸脱水素酵素の同時発現
特許文献 (WO O 1 / 6 1 0 1 4号公報) に示された方法で得たピキア ·フィ ンランディ力由来の(R)—ォクタノール脱水素酵素とマイコパクテリゥム .バッ カェ由来のギ酸脱水素酵素を共発現するプラスミ ド PSF - PF03を保持する大腸菌 HB101株 (HB101 (pSF - PF03) )を 2 X YT培地 (Difco-Tryptone 20 g/L、 Difco- Yeast extract 10 g/L、 NaCl 10 g/L、 pH 7. 2) 50 mLで培養し、 0. 1 mM IPTGで遺伝子 の発現を誘導した。 得られた菌体を集菌後、密閉式超音波破枠装置 UCD - 200TM (コ スモバイオ) で破砕し、遠心分離した上清を無細胞抽出液とした。
[実施例 7 ]ピキア ' フィンランディ力由来 (R) — 2—ォクタノール脱水素酵素 とマイコバクテリゥム ·パッカェ由来ギ酸脱水素酵素の酵素活性
実施例 6で得られた無細胞抽出液を用い、酵素活性を測定した。組換え大腸菌か ら得た無細胞抽出液では、 NAD+依存的に (R) — 2—ォクタノール酸化活性を示 し、 その比活性は、 18. 2 U/ mg—タンパク質であった。
ギ酸脱水素酵素活性の測定は、 100 mMリン酸カリゥム緩衝液 (pH 7. 0) 、 2. 5 mM ΝΑΌ 100 mM ギ酸ナトリゥム及び酵素を含む反応液中で 30°Cで反応させた。 1U は、 1分間に 1 /Z molの NADHの生成を触媒する酵素量とした。 組換え大腸菌から 得た無細胞抽出液では、 その比活性は、 1. 11 U/ mg—タンパク質であった。
[実施例 8 ] ピキア . フィンランディ力由来 (R) — 2—ォクタノール脱水素酵素 とマイコバクテリゥム .パッカェ由来ギ酸脱水素酵素による(S) - CHP0の合成 実施例 6で得られた形質転換した大腸菌を 2 X YT培地(Dif Co- Tryptone 2 0g/L、 Difco-Yeast extract 10 g/レ NaCl 10 g/ pH 7. 2) 50mLで培養し、 0. 1 mM IPTG で遺伝子の発現を誘導した後、集菌した。 得られた菌体の半量を 400 mM リン酸力 リウム緩衝液 (pH 6. 5)、 1%CHPN (73 mM)、 1 %ジメチルスルホキシド、 1. 6%グ ルコース (88 mM) 、 1 mM NAD+を含む 25 mLの反応液に加えて、振盪下 20 °Cで一 晚反応を継続した。 反応液に対し、 75 mLの酢酸ェチルを用いて 2回抽出を行レ、、 ガスクロマトグラフィ一で定量した結果、変換率は 84%であった。
[実施例 9 ] サッカロマイセス .セレビジェからの染色体 DNAの精製
サッカロマイセス ·セレビジェ X2180- IB (Yeast Genetic Stock Center) を YM培地で培養し、 菌体を調製した。 菌体からの染色体 DNAの精製は、 Meth. Cell Biol. 29, 39-44 (1975) に記載の方法により行った。
[実施例 1 0 ] カルボ-ル還元酵素の ScGRE2 のクロー-ング
DDBJに登録されている予想タンパク質 Y0L151w (SWISS - PR0T Accession No. Z74893-1) に対応する DNA配列 (DDBJ Accession No. Z74893) を基に PCR用プラ イマ一 Y0L1- ATG1 (配列番号: 9) 、 YOL-XbaIR (配列番号: 10) 、 YOL- XbalF (配 列番号: 11) 、 Y0L1-TAA1 (配列番号: 12) を合成した。
配列番号 9 :
Y0L-ATG1: GACACATGTCAGTTTTTGTTTCAGGTGCTAAC
配列番号 1 0 :
YOL-XbaIR: TCCTCTAGAAATTCCCAAGCTG
配列番号 1 1 :
Y0L-XbaIF: CTGTCTAGAGGAGAATCGTGACTCTGTAAAATTC
配列番号 1 2 :
Y0L-TAA1: GTCGAATTCCTCTATTAAATACGGCCCTCAAATTTTAAAATTTGGGAG
プライマー Y0L - ATG1, YOL-XbaIRを各 2 5 p m o 1、 dNTP 1 0 n m o 1、 サッ 力口マイセス ·セレビジェ由来染色体 DNA 5 0 n g、 Pfu DNA polymerase用緩衝 液 (STRATAGENE製)、 Pfu DNA polymerase 2 U (STRATAGENE製)を含む 5 0 L の反応液を用い、 変性 (9 5 °C、 4 5秒) 、 ァニール (5 5。C、 3 0秒) 、 伸長 ( 7 2 °C、 1分 2 0秒) を 30サイクル、 GeneAmp PCR System 2400 (パーキンェ ルマー製)を用いて PCRを行った結果、 特異的な增幅産物が得られた。
増幅産物をフエノール処理後、制限酵素 BspLUllI, Xbalで 2重消化し、得られ た断片を精製した。
次に、プライマー Y0L - XbalF, Y0L-TAA1を各 2 5 p m o 1、 dNTP 1 0 n m o 1、 サッカロマイセス 'セレビジェ由来染色体 DNA 5 0 n g、 Pfu DNA polymerase用 緩衝液 (STRATAGENE製)、 Pfu DNA polymerase 2 U (STRATAGENE製)を含む 5 0 の反応液を用い、 変性 (9 5 °C、 4 5秒) 、 ァニール (5 5。C、 3 0秒) 、 伸長 (7 2 °C、 1分 2 0秒) を 30サイクル、 GeneAmp PCR System 2400 (パーキ ンエルマ一製)を用いて PCRを行った結果、 特異的な増幅産物が得られた。
得られた增幅産物をフヱノール処理後、 制限酵素 Xbal, EcoRIで 2重消化し、 得られた断片を精製した。
得られた 2種類の制限酵素消化済み P C R増幅 DNA断片を、 制限酵素 Ncol, EcoRIで 2重消化したべクタ一 pSE420D (特開 2000-189170号公報) と TAKARA Ligation Kitによりライゲーシヨンした。 ラィゲーションした DNAにより大腸菌 JM109株を形質転換し、 アンピシリン (5 0 m g / L ) を含む LB培地で生育し、 得られた形質転換株よりプラスミドを FlexiPrepにより精製した。 得られたブラ スミドの揷入 DNA部分の塩基配列を解析した結果、 プライマー部分を除き、 DDBJ に登録されている塩基配列と完全に一致した。 得られたプラスミドを pSE - Y0L1 とした。 プラスミド構築の過程を図 1に示した。
[実施例 1 1 ]カルポニル還元酵素 ScGRE2と枯草菌由来のグルコース脱水素酵素 遺伝子を共発現するプラスミド PSG- SCR1の構築
PSE-Y0L1を Nhel, Csp45Iで 2重消化し、 719 bpからなる DNA断片を精製した。 更に、 同プラスミドを Csp45I, EcoRIで 2重消化し、 469 bpからなる DNA断片を 精製した。枯草菌由来のグルコース脱水素酵素遺伝子を含むプラスミド pSE-BSGl
(特願 2000-374593号)を Nhel、 EcoRIの 2つの制限酵素で二重消化し、 pSE- Y0L1 から切り出した上記 2 DNA断片と Takara Ligation Kitを用いてライゲーション した。 ライゲーシヨンした DNAにより大腸菌 J1109株を形質転換し、 アンピシリ ン (5 O m g Z L ) を含む LB培地で生育し、得られた形質転換株よりプラスミド を FlexiPrepにより精製し、グルコース脱水素酵素と ScGRE2を同時に発現可能な プラスミ ドである pSG-SCRlを得た。 プラスミド構築の過程を図 2に示した。
[実施例 1 2 ]カルボニル還元酵素 ScGRE2と枯草菌由来グルコース脱水素酵素の 同時発現
実施例 1 1で得られた pSG- SCR1で形質転換した大腸菌 HB101株 (E. coli HB101 (pSG-SCRl) ) をアンピシリン 50 mg/Lを含む LB培地で終夜培養後、 IPTGを 0. 1 mM 添加して遺伝子の発現を誘導し、 更に 4時間培養した。 得られた菌体を集菌後、 密閉式超音波破碎装置 UCD- 200TM (コスモバイオ製) で破砕し、 遠心分離した上 清を無細胞抽出液とした。
[実施例 1 3 ]カルポニル還元酵素 ScGRE2の酵素活性
実施例 1 2で得られた無細胞抽出液を用い、酵素活性を測定した。 CHPN還元活 性の測定は、 100 mMリン酸カリウム緩衝液 (pH 6. 5) 、 0. 2 mM NADPH 2 mM CHPN、 l°/oジメチルスルホキシド及び酵素を含む反応液中で、 25 °Cで反応させた。 1Uは、 1分間に 1 μ ηιοΐの MDHの生成を触媒する酵素量とした。 組換え大腸菌から得た 無細胞抽出液では、 NADPH依存的に CHPN還元活性を示し、 その比活性は、 10. 8 U/mg-抽出液であった。
W
[実施例 1 4 ]カルポニル還元酵素 ScGRE2を用いた(R) - CHP0の合成
200 mM リン酸カリゥム緩衝液 (pH 6. 5) 、 1 mM NADP+、 CHPN 50 mM、 D -ダルコ ース 250 mM、 BSA 0. 1%、 グルコース脱水素酵素 (ァマノ製) 2 U、 及び ScGRE2 酵素溶液 1 Uを含む反応液を振盪下、 25 °Cで一晩反応させた。
[実施例 1 5 ] (R) - CHP0の光学純度
実施例 1 4で調整した反応液に対し、 2倍容の酢酸ェチルで抽出を行った。 減 圧下に溶媒を留去し、残渣を 1倍容のへキサン / 2 _プロパノール(97/3)に溶解 した。 このサンプルの光学分割カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーを用 いた光学純度の測定を行った。 分析は、 実施例 5に記載の方法により行った。 そ の結果、生成物の光学純度は 99. 8%ee (R)であった。
[実施例 1 6 ] (R)-CHPOの変換率
実施例 1 4で調整したサンプルを用い、実施例 4に記載の方法によりガスクロ マトグラフィ一で変換率の測定を行った。 ピーク面積から算出した変換率は 28. 4%であった。
[実施例 1 7 ]カルポニル還元酵素 ScYGD9のクローニング及びカルボニル還元酵 素 ScYGD9と枯草菌由来のグルコース脱水素酵素遺伝子を共発現するプラスミド PSG-YGD9の構築
特願 2003-113402号の記載の方法に従って、 以下の通り行つた。
( 1 ) カノレポ二ノレ還元酵素のホモログ YGL039w のクローニング
DDBJに登録されている予想タンパク質 YGL039w (SWISS - PROT Accession No. P53183) に対応する DNA配列 (DDBJ Accession No. Z72561) を基に PCR用プ ライマー YGL2-ATG2 (配列番号 1 3 ) 、 YGL2-TAA2 (配列番号 1 4 ) を合成した。 プライマーを各 2 5 p m o 1、 dNTP 1 0 n m o 1、 サッカロマイセス ·セレビジ
ェ由来染色体 DNA 5 0 n g、 Pfu DNA polymerase用緩衝液 (STRATAGENE製)、 Pfu DNApolymerase 2 U (STRATAGENE製)を含む 5 0 μ Lの反応液を用い、変性( 9 5。C 4 5秒) 、 ァニール (5 0 °C、 3 0秒) 、 伸長 (7 2 °C、 1分 1 5秒) を 30サイ クル、 GeneAmp PCR System 2400 (パーキンエルマ一製)を用いて PCRを行った結 果、 特異的な増幅産物が得られた。
増幅産物をフエノール処理後、 制限酵素 BspHI, Nhelで 2重消化し、 制限酵素 Ncol, Xbalで 2重消化したベクター pSE420Dと TAKARA Ligation Kit によりライ ゲーシヨンした。 ライゲーシヨンした DNAにより大腸菌 J1109株を形質転換し、 アンピシリン ( 5 0 m gノ L ) を含む LB培地で生育し、得られた形質転換株より プラスミ ドを FlexiPrepにより精製した。 プラスミドの揷入 DNA部分の塩基配列 を解析し、 その結果を配列番号 1 5に示した。 得られた塩基配列は、 DDBJに登録 されている塩基配列と完全に一致した。 得られたプラスミ ドを pSE - YGD9とした。 ( 2 ) カルボエル還元酵素のホモログ YGL039wと枯草菌由来のグルコース脱水素 酵素遺伝子を共発現するブラスミ ド pSG- YGD9の構築
PSE-YGD9を EcoRI、 Hindlllの 2つの制限酵素で二重消化し、 枯草菌由来のグ ルコース脱水素酵素遺伝子を含むプラスミ ド pSE- BSG1 (特開 2000- 189170) から 同酵素で切り出したグルコース脱水素遺伝子を含む DNA断片と Takara Ligation Kitを用いてライゲーションした。 ライゲーシヨンした DNAにより大腸菌 JM109 株を形質転換し、 アンピシリン (5 0 m g / L ) を含む LB培地で生育し、得られ た形質転換株よりプラスミドを FlexiPrepにより精製し、 グルコース脱水素酵素 と YGL039wを同時に発現可能なプラスミドである PSG-YGD9を得た。
[実施例 1 8 ] カルボニル還元酵素 ScYGD9の発現
実施例 1 7で得られた pSG- YGD9で形質転換した大腸菌 HB101株(E. coli HB101 (pSG-YGD9) ) をアンピシリン 50 mg/Lを含む LB培地で終夜培養後、 IPTGを 0. 1 mM 添加して遺伝子の発現を誘導し、 更に 4時間培養した。 得られた菌体を集菌後、 密閉式超音波破碎装置 UCD- 200TM (コスモバイオ製) で破枠し、 遠心分離した上
清を無細胞抽出液とした
[実施例 1 9 ] カルポニル還元酵素 ScYGD9の酵素活性
実施例 1 8で得られた無細胞抽出液を用い、 実施例 1 3の方法に従って酵素活 性を測定した。組換え大腸菌から得た無細胞抽出液では、 NADPH依存的に CHPN還 元活性を示し、 その比活性は、 22. 7 U/mg-抽出液であった。
[実施例 2 0 ]カルボ-ル還元酵素 ScYGD9を用いた(R) - CHP0の合成
200 mMリン酸カリゥム緩衝液 (pH 6. 5) 、 1 mM NADP+、 CHPN 50 raM、 D -ダルコ ース 250 mM、 BSA 0· 1%、 グルコース脱水素酵素 (ァマノ製) 2U、 及ぴ ScYGD9酵 素溶液 1Uを含む反応液を振盪下、 25°Cでー晚反応させた。
[実施例 2 1 ] (R) -CHPOの光学純度
実施例 2 0で調整した反応液に対し、 実施例 5と同様の方法で光学純度の測定 を行った。 その結果、生成物の光学純度は 99. 3%ee (R)であった。
[実施例 2 2 ] (R) -CHPOの変換率
実施例 2 0で調整したサンプルを用レ、、実施例 4と同様の方法で変換率の測定 を行った。 その結果、ピーク面積から算出した変換率は 11. 6%であった。
[実施例 2 3 ] カルボニル還元酵素 TdCRlのクローニング及びカルボニル還元酵 素 TdCRlと枯草菌由来のグルコース脱水素酵素遺伝子を共発現するプラスミド pSG-TDRlの構築
文献 (特願 2003-113402) 記載の方法に従って、 以下の通り行った。
( 1 ) カルポニル還元酵素遺伝子 TdCRlの一部を含むプラスミ ド pUC- TDXの構築 カルボ-ル還元酵素遺伝子の 0RFの Xbal部位から 3'末端までをクローニング するために、 プライマー Td - XbaF (配列番号 1 6 ) 、 Td-TAAl (配列番号 1 7 ) を
合成した。
プライマー Td-XbaFと Td- TM1を各 50 pmol、 dNTPIO nmol、 トルラスポラ ·デ ルブレッキー由来染色体 DNA 50ng、 Pfu Turbo DNA polymerase用緩衝液
(STRATAGENE製)、 Pfu Turbo DNA polymerase 3. 75 U (STRATAGENE製)を含む 50 L の反応液を用い、変性(95°C、 2分 30秒)、ァニール (55°C、 1分)、伸長(72°C、 1分) を 30サイクル、 GeneAmp PCR System 2400 (パーキンエルマ一製)を用いて 行つた。 得られた PCR産物を Td- PCR2とした。
得られた PCR産物を、フエノール-クロロホルム抽出後、エタノール沈殿として 回収した。 Td- PCR2を Xbalで消化した後、 ァガロースゲル電気泳動を行い、 目的 とするパンドの部分を切り出し、 Sephaglas BandPrep Kit (フアルマシア製)によ り精製した。
制限酵素消化された Td- PCR2は、 Xbalで消化した pUC18 (宝酒造製) と TakaraLigation Kitを用いてライゲーシヨンし、大腸菌 JM109株を形質転換した。 形質転換株をアンピシリンを含む LB培地で生育させ、挿入断片の塩基配列を解析 した。 ここで得られたプラスミドを pUC-TDXとした。
( 2 ) カルポニル還元酵素遺伝子 TdCRlと枯草菌由来のグルコース脱水素酵素遺 伝子を共発現するプラスミド pSG- TDR1の構築
プラスミド pUC- TDXを制限酵素 Xbalで消化し、ェタノール沈殿後、ァガロース 電気泳動を行い、 TdCRl遺伝子の一部を含む約 0. 8 bpのバンドを切り出し、 SephaglasBandPrep (Amersham Pharmacia Biotech製)により精製、 回収した。 得 られた DNA靳片と、 同制限酵素で消化し、 アルカリフォスファターゼ処理後、 フ ヱノール抽出、 フヱノール-クロ口ホルム抽出、 クロ口ホルム抽出、エタノール沈 殿したプラスミド pSG- TDXを、 TaKaRa Ligation Kitを用いてライゲーシヨンし た。 ライゲーシヨンした DNAによって大腸菌 JM109株を形質転換し、 アンピシリ ン(50 mg/L)を含む LB培地で生育させ、 得られた形質転換株よりプラスミ ドを FlexiPrepにより精製した。 その結果、 グルコース脱水素酵素と TdCRlを同時に 発現可能なプラスミドである pSG-TDRlを得た。
[実施例 2 4 ] カルボニル還元酵素 TdCRlと枯草菌由来のグルコース脱水素酵素 の同時発現
実施例 2 3で得られた pSG-TDRlで形質転換した大腸菌 HB101株 (E. coli HB101 (pSG-TDRl) ) をアンピシリン 50 mg/Lを含む LB培地で終夜培養後、 IPTGを 0. 1 mM 添加して遺伝子の発現を誘導し、 更に 4時間培養した。 得られた菌体を集菌後、 密閉式超音波破砕装置 UCD- 200TM (コスモバイオ製) で破枠し、 遠心分離した上 清を無細胞抽出液とした。
[実施例 2 5 ] カルボニル還元酵素 TdCRlの酵素活性
実施例 2 4で得られた無細胞抽出液を用い、 実施例 1 3の方法に従って酵素活 性を測定した。組換え大腸菌から得た無細胞抽出液では、 NADPH依存的に CHPN還 元活性を示し、 その比活性は、 5. 7 U/mg -蛋白質であった。
[実施例 2 6 ]カルボニル還元酵素 TdCRlを用いた(R) - CHP0の合成
200 mM リン酸カリゥム緩衝液 (pH 6. 5) 、 1 mM NADP+、 CHPN 50 raM、 D -ダルコ ース 250 mM、 BSA O. 1%、 グルコース脱水素酵素 (ァマノ製) 1U、 及ぴ TdCRl酵素 溶液 0. 5Uを含む反応液を振盪下、 25°Cでー晚反応させた。
[実施例 2 7 ] (R)-CHPOの光学純度
実施例 2 6で調整した反応液に対し、 実施例 5と同様の方法で光学純度の測定 を行った。 その結果、生成物の光学純度は 99. 7%ee (R)であった。
[実施例 2 8 ] (R) -CHPOの変換率
実施例 2 6で調整したサンプルを用い、実施例 4と同様の方法で変換率の測定 を行った。 その結果、ピーク面積から算出した変換率は 9. 0%であった。
産業上の利用可能性
本発明により、 高い光学純度を有する光学活性プロパルギルアルコールを効率 よく製造する方法を提供することが可能になった。