明 細 書
CD40リガンドの変異体およびその使用
技術分野
[0001] 本発明は、 CD40リガンド(CD40L)の非切断性変異体、これをコードする核酸分 子、該核酸分子を含むベクター、該ベクターによって形質転換された細胞に関する。 本発明はまた、該変異体により細胞の免疫反応性を改変する方法に関する。本発明 はさらに、 CD40陽性腫瘍、 CD40— CD40リガンド相互作用の異常に起因する疾 患、または CD40— CD40リガンド相互作用を強化することにより予防および Zもしく は治療が期待できる疾患を処置するための医薬、または、免疫増強剤、ならびにそ の製造方法にも関する。
背景技術
[0002] 動物の体内では、細胞同士が様々な方法で情報を伝達し合うことにより、協調して 種々の機能を担っている。中でも免疫系の細胞は局所で作用する機会が多ぐ細胞 間の情報伝達には細胞表面上に存在する種々のタンパク質分子を介した接触が重 要な役割を果たしている。力かるタンパク質分子の 1つに CD40L (CD154ともいう) 力 Sある。
CD40Lは、 TNFファミリーに属する約 39kDの II型膜タンパク質であり、活性化 CD 4+T細胞を始め、活性化 CD8+T細胞、好塩基球、肥満細胞、血小板などに発現し ている。 CD40Lは、 B細胞、マクロファージ、濾胞性樹状細胞などの抗原提示細胞、 上皮細胞、胸腺上皮細胞、血小板、線維芽細胞、および種々の癌細胞などに発現 する膜タンパク質である CD40と結合し、これを活性化する。
CD40Lの結合により活性化された CD40は、発現している細胞を活性化に導き、 B細胞においては、 CD23、 CD25、 CD80、 CD54、 MHCクラス IIの発現増強、凝 集の誘導、増殖の誘導、クラススィッチなどをもたらすことが、抗 CD40抗体を用いた 実験によって明らかにされている。また CD40陽性腫瘍細胞の一部 (膀胱癌、腎癌、 口腔癌など)では、 CD40Lの結合がアポトーシス誘導、細胞増殖抑制などをもたら すことが明らかになつている。
[0003] 一方、免疫系が腫瘍細胞を排除する能力を有することが分かっている。例えば、へ ルパー T細胞は、腫瘍細胞自身または抗原提示細胞との接触によって活性化される と、それ自身提示された腫瘍抗原を認識して腫瘍細胞と接触し Fas— FasL相互作 用によりアポトーシスに導くほか、 IL一 2、 IFN- yなどのサイト力インを放出すること により細胞傷害性 T細胞を活性化させ、当該細胞の腫瘍攻撃を補助する。しかしな がら、腫瘍細胞が免疫系による排除を回避する機構を有していることも分かっている 。かかる機構としては、例えば腫瘍細胞の免疫原性の欠如や、腫瘍細胞による免疫 系の抑制(免疫抑制分子の分泌、 T細胞シグナル伝達異常、癌細胞上の Fasリガンド 発現による T細胞アポトーシス誘導など)、腫瘍細胞上の免疫関連分子の欠失などが 考えられている。
[0004] 腫瘍免疫の要となる T細胞の活性化には、 T細胞レセプター (TCR)からの抗原刺 激の他に種々の補助刺激分子からの刺激が必要であることが明らかになつており、 T CRからの刺激のみを受けた場合、この T細胞は活性化しないば力りでなぐその後 同じ抗原刺激に不応答性となることが知られている。この機序は、免疫系構築の初期 段階で、自己抗原に対する免疫寛容を誘導するのに有用であるが、腫瘍に対する免 疫寛容をも誘導し得るため、腫瘍免疫には抑制的に作用する。力かる補助刺激分子 のうち、腫瘍免疫で最も重要なものの 1つに CD28があり、当該分子のリガンドは CD 80である。
[0005] CD40陽性の腫瘍細胞は、 CD80を発現していないことが多ぐしたがって MHCを 発現してレ、る場合には T細胞を不応答性にし、免疫系による排除を回避してレ、ると考 えられる。しかし、 CD40を刺激すると、力かる細胞も CD80を発現するので、免疫系 が認識できるようになる。このような効果を期待して、種々の可溶性 CD40Lまたは抗 CD40抗体を用いて CD40を刺激する試みがなされてきた力 これらの分子は細胞 膜上に発現される CD40リガンドほど有効ではなぐまた、肺に炎症反応を起こすな ど好ましくない生理的効果を惹起する可能性があるため(非特許文献 1参照)、臨床 的に使用できるものではな力 た。
[0006] かかる弊害を改善するために、 CD40Lをコードする遺伝子を腫瘍細胞に導入して 細胞表面上に発現させる試みがなされた (非特許文献 2、特許文献 1参照)。当該方
法によれば、細胞表面に発現した CD40Lが他の腫瘍細胞表面の CD40を次々と刺 激して CD80の発現を誘導するため、 CD80遺伝子を直接導入するより非常に効率 力 い。ところ力 上記の方法においては、ヒト腫瘍細胞にヒト CD40Lを導入しても in vivoでの発現および生物活性が十分ではなかった。そこで、ヒト CD40Lの代わりにマ ウス CD40Lを導入したところ、ヒト CD40リガンドを導入する方法に比べ比較的高レヽ 効果が認められた (非特許文献 2参照)。ヒト腫瘍細胞に導入したヒト CD40Lとマウス CD40Lとの間で力、かる違いが生じる原因は現在のところ不明である力 臨床試験で はマウス CD40リガンドを発現させる方法がとられ、ヒトの腫瘍治療においてある程度 の成果を収めている(非特許文献 3参照)。
[0007] し力、しながら、マウス CD40リガンドはヒトにとつて異種のタンパク質であり、抗原抗 体反応など望ましくない現象を惹起する恐れがあるとともに、動物実験においては、 上記方法を用いた場合、関節炎、浮腫、下痢などの炎症性病態の発症が認められて おり、ヒトにおいてもかかる副作用が生じる可能性があった。そこで、 CD40陽性腫瘍 の治療において、より副作用の危険の少ない方法が求められていた。
一方、非特許文献 4には、 111〜123位のアミノ酸を欠失させた非切断性のヒト CD 40L変異体を作製し、 CD40Lの可溶化体と膜結合型との機能的な違いを、 B細胞 の増殖能および IgE産生能について調査したところ、両者の間に実質的な違いが認 められな力 たことが記載されている。し力しながら、かかる変異体は、前記調査のた めに便宜的に作製されたに過ぎず、その応用やその他用途等については何ら言及 されていない。
[0008] 特許文献 1 :特表 2001— 505782号公報
非特許文献 1:「ザ'ジャーナノレ 'ォブ 'ィムノロジー(The Journal of Immunology)」、米 国、平成 9年 3月 15日、第 158卷、第 6号、 p. 2932- 2938
非特許文献 2 :「ジャーナノレ 'ォブ 'タリ二力ノレ'インベストメント(Journal of Clinical
Investment)」、米国、平成 10年 3月、第 101卷、第 5号、 p. 1133— 1141
非特許文献 3 :「ブラッド(Blood)」、米国、平成 12年 11月 1日、第 96卷、第 9号、 p. 2
917- 2924
非特許文献 4 :「ョ一口ビアン 'ジャーナノレ 'ォブ 'ィムノロジー(European Journal of
Immunology)」、ドイツ、平成 8年 3月、第 26卷、第 3号、 p. 725— 728 発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0009] 本発明は、 CD40陽性腫瘍、 CD40— CD40L相互作用の異常に起因する病態、 および CD40— CD40リガンド相互作用を強化することにより予防および/もしくは治 療が期待できる疾患を処置するための新規な分子、および、細胞の免疫反応性を改 変するための新規な方法の提供を目的とする。
課題を解決するための手段
[0010] 本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行う中で、ヒト細胞へのヒト CD40 Lの導入によって所望の効果が得られないのは、遺伝子導入によって発現した該 CD 40L力 S、生体内の酵素であるマトリックス 'メタ口プロテアーゼ(MMP)によって切断さ れ、細胞から脱離して可溶化体となるために、細胞表面上の発現が低く抑えられてい ると考えた。そして、かかる着眼点を基に、 MMPに切断されず、かつ、 CD40刺激活 性を保持したヒト CD40Lの変異体の作製を試みたところ、 CD40L中の特定のァミノ 酸を変異させた変異体が、ヒト腫瘍細胞においても高い発現率を示すとともに、上記 のような炎症性の副作用も少なぐし力も優れた CD40刺激効果を奏することを見出 し、本発明を完成するに至った。
[0011] すなわち本発明は、アミノ酸の置換を有することにより非切断性となっており、 CD4 0刺激活性を有する、 CD40リガンドの非切断性変異体に関する。
また本発明は、アミノ酸の置換が、切断予想部位および/またはその近傍に位置す る上記変異体に関する。
さらに本発明は、 CD40リガンドがヒト由来である上記変異体に関する。 さらにまた本発明は、配列番号 1〜4のいずれかのアミノ酸配列を有する変異体、 および該アミノ酸配列に任意の変異を有するが、なお該変異体と同等の機能を有す る変異体からなる群から選択される上記変異体に関する。
本発明はまた、上記の変異体をコードする核酸配列またはその相補配列からなる 核酸分子、その断片、およびこれらの核酸分子にストリンジェントな条件でハイブリダ ィズする核酸分子からなる群から選択される、核酸分子に関する。
本発明はさらに、配列番号 7〜: 10のいずれかの核酸配列を有する核酸分子、およ び該核酸配列に任意の変異を有するが、なお該核酸分子がコードする変異体と同 等の機能を有する変異体をコードする核酸分子からなる群から選択される、上記核 酸分子に関する。
[0012] 本発明はさらにまた、上記核酸分子を含むベクターに関する。
また本発明は、ウィルスベクターである上記ベクターに関する。
さらに本発明は、ウィルスベクターがレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイ ノレス、ヘルぺスウィルス、レンチウィルスおよびバキュロウィルスからなる群から選択さ れる、上記ベクターに関する。
さらにまた本発明は、ウィルスファイバーに RGD配列を含む、上記ベクターに関す る。
本発明はまた、非ウィルスベクターである上記ベクターに関する。
本発明はさらに、非ウィルスベクター力 合成ウィルスまたはプラスミドベクターであ る、上記ベクターに関する。
本発明はさらにまた、上記のベクターで形質転換した細胞に関する。
また本発明は、腫瘍細胞である上記細胞に関する。
さらに本発明は、ヒトに由来する上記細胞に関する。
[0013] さらにまた本発明は、対象から採取した細胞を、上記のベクターで形質転換するこ とを含む、上記細胞の作製方法に関する。
本発明はまた、前記変異体、前記核酸分子、前記ベクター、および、前記細胞から なる群から選択される成分を含む、医薬組成物に関する。
本発明はさらに、 CD40リガンドの非切断性機能的変異体を、非ヒト動物の細胞上 に発現させることにより、該細胞の免疫反応性を改変する方法に関する。
本発明はさらにまた、 CD40リガンドの非切断性機能的変異体を、生体から単離し た細胞上に発現させることにより、該細胞の免疫反応性を改変する方法に関する。 また本発明は、変異体が、上記いずれかの変異体である上記方法に関する。 さらに本発明は、変異体が、該変異体をコードする核酸分子を含むベクターを介し て細胞上に発現される、上記方法に関する。
さらにまた本発明は、ベクターがアデノウイルスベクターである、上記方法に関する 本発明はまた、アデノウイルスベクターがウィルスファイバーに RGD配列を含む、 上記方法に関する。
[0014] 本発明はさらに、細胞が腫瘍細胞または正常細胞である、上記方法に関する。
本発明はさらにまた、腫瘍細胞が、白血病、リンパ腫、骨髄腫、黒色腫、瞎臓癌、前 立腺癌、頭類部癌、乳癌、肺癌、大腸癌、胃癌、食道癌、卵巣癌、扁平上皮癌、肝 細胞癌、胆管癌、中皮腫および類表皮癌由来細胞からなる群から選択され、正常細 胞カ 間質細胞、線維芽細胞、ストローマ細胞、間葉系幹細胞、血管内皮細胞、造 血幹細胞、造血前駆細胞、リンパ球、単球、樹状細胞および多核白血球からなる群 から選択される、上記方法に関する。
また本発明は、細胞がヒト細胞である上記方法に関する。
[0015] さらに本発明は、前記変異体、前記核酸分子、前記ベクター、および前記細胞から なる群から選択される成分の、 CD40陽性腫瘍、 CD40— CD40リガンド相互作用の 異常に起因する疾患、または CD40— CD40リガンド相互作用を強化することにより 予防および/もしくは治療が期待できる疾患を処置するための医薬、または、免疫増 強剤の製造への使用に関する。
さらにまた本発明は、腫瘍が、白血病、リンパ腫、急性骨髄性白血病、急性骨髄単 球性白血病、急性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病 、慢性リンパ球性白血病、多発性骨髄腫、黒色腫、膝臓癌、前立腺癌、頭頸部癌、 乳癌、肺癌、大腸癌、胃癌、食道癌、卵巣癌、扁平上皮癌、肝細胞癌、胆管癌、中 皮腫および類表皮癌からなる群から選択され、 CD40— CD40リガンド相互作用の 異常に起因する疾患が、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、 自己免疫性血 管炎、ァテローム性動脈硬化症および X連鎖型高 IgM症候群からなる群から選択さ れ、 CD40— CD40リガンド相互作用を強化することにより予防および/または治療 が期待できる疾患が、ウィルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、寄生虫感染症か らなる群より選択される、上記使用に関する。
発明の効果
[0016] 本発明の変異体を細胞表面に発現させることにより、 CD40Lの可溶化体への開裂 が抑えられ、可溶化体の産生が顕著に減少するとともに、細胞上にとどまる CD40L の量を実質的に増やすことができる。これにより、少ない副作用でより効果的に CD4 0陽性腫瘍、ならびに X連鎖型高 IgM症候群や全身性エリテマトーデス(SLE)、慢 性関節リウマチ、自己免疫性血管炎などの自己免疫性疾患病およびァテローム性動 脈硬化などの CD40— CD40L相互作用の異常に起因する疾患を治療することが可 能となり、力かる難病に苦しむ多くの患者を救うことができる。さらに、本発明の変異 体による CD40— CD40L相互作用の増強は、免疫力の強化をもたらすので、種々 の感染症などの予防、治療効果が期待される。また、本発明の変異体は MMPによ る切断を受けないため、 CD40Lが細胞膜に結合した状態で長期間存在することが 可能になることから、これまでに十分ではなかった、 CD40Lの膜結合形態および可 溶化形態の生体内での機能の解明に貢献することができる。
図面の簡単な説明
[0017] [図 1]野生型 hCD40Lのクローニングの手順を示した模式図である。
[図 2]野生型 hCD40Lと、その種々の非切断性変異体の核酸配列およびアミノ酸配 歹 IJを比較した図である。図中、置換されたアミノ酸および塩基を太字で、制限酵素サ イトを下線で示した。
[図 3]変異型 hCD40L核酸 hCD40LMl〜4を作製するための変異導入の戦略を示し た模式図である。
[図 4]変異型 hCD40L核酸 hCD40LMl〜3の発現ベクターへのクローニングの手順 を示した模式図である。
[図 5]変異型 hCD40L核酸 hCD40LM4の発現ベクターへのクローニングの手順を示 した模式図である。
[0018] [図 6]コスミド pWEAx_F/RGDおよび pAx3のクローニングサイトを示した模式図である
[図 7]レトロウイルスベクター pRxlbsrの模式図である。
[図 8]野生型または変異型 hCD40Lトランスフヱクタントの細胞膜上の CD40Lの発 現状態を示したグラフである。
[図 9]野生型または変異型 hCD40Lトランスフエクタントから産生される可溶化体 CD 40Lの量と、 MMP阻害剤による影響を示したグラフである。
[図 10]野生型または変異型 hCD40Lトランスフヱクタントから産生される可溶化体 CD 40Lの量を示したグラフである。
[図 11]野生型または変異型 hCD40Lトランスフヱクタントと共培養した B細胞性白血 病細胞における、細胞表面抗原の誘導の程度を示したグラフである。
[図 12]野生型または変異型 hCD40Lトランスフヱクタントと共培養した B細胞性リンパ 腫細胞における、細胞表面抗原の誘導の程度を示したグラフである。
[図 13]野生型または変異型 hCD40Lトランスフヱクタントの移植マウスへの影響を示 した写真である。
[0019] [図 14]野生型または変異型 hCD40Lトランスフヱクタント移植マウスにおける関節炎 の程度を示した写真である。
[図 15]野生型 hCD40Lトランスフヱクタント移植マウスの肝組織標本の写真である。
[図 16]変異型 hCD40Lトランスフヱクタント移植マウスの肝組織標本の写真である。
[図 17]野生型または変異型 hCD40Lトランスフエクタント移植マウス血清中の可溶化 体 CD40L値を示したグラフである。
[図 18]アデノウイルスベクターで導入した野生型または変異型 hCD40Lトランスフエ クタントの、細胞膜上の CD40Lの発現状態を示したグラフである。
[図 19]アデノウイルスベクターで導入した野生型または変異型 hCD40Lトランスフエ クタントによる可溶化体 CD40Lの産生量を示したグラフである。
発明を実施するための最良の形態
[0020] 本明細書中に別記のない限り、本発明に関して用いられる科学的および技術的用 語は、当業者に通常理解されている意味を有するものとする。一般的に、本明細書 中に記載された細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝子およ びタンパク質および核酸化学ならびにハイブリダィゼーシヨンに関して用いられる用 語、およびその技術は、当該技術分野においてよく知られ、通常用いられているもの とする。一般的に、別記のない限り、本発明の方法および技術は、当該技術分野に おいてよく知られた慣用の方法に従って、本明細書中で引用され、議論されている
種々の一般的なおよびより専門的な参考文献に記載されたとおりに行われる。かかる 文献としては、例えは、 SambrooK et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)および Sambrook et al. , Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3d ed.,し old Spring Harbor Press (2001); Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing
Associates (1992,および 2000のネ甫遺); Ausubel et al. , Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology - 4th Ed., Wiley & Sons (1999); Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, し old Spring Harbor Laboratory Press (1990);および Harlow and Lane, Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1999)など が挙げられる。
[0021] 酵素反応および精製技術は、製造者の仕様書に従い、当該技術分野において通 常なされているとおりに、または本明細書に記載のとおりに行うものとする。本明細書 中に記載された分析化学、合成有機化学ならびに医薬品化学および薬化学に関し て用いられる用語、ならびにその実験手順および技術は、当該技術分野においてよ く知られ、通常用いられているものである。標準的な技術を、化学合成、化学分析、 薬剤の製造、製剤および送達、ならびに対象の処置に用いるものとする。
[0022] 本発明の一側面は、 CD40刺激活性を有する、 CD40Lの非切断性変異体に関す る。
本発明において、「CD40リガンド(CD40L)」は、 CD40、またはその相同体もしく は断片(以下 CD40等という)に結合し得るポリペプチドを意味する。本発明における CD40Lは、好ましくは天然の CD40L、その相同体、変異体、およびそれらの断片 であり、特に好ましくは野生型のヒト CD40Lである。野生型 CD40Lのアミノ酸配列は 、例えば EMBL受託番号 CAA78737 (ヒト)、同 CAA46448 (マウス)として開示されてい る。野生型ヒト CD40Lのアミノ酸配列を配列番号 5として示す。本発明において、 CD 40Lは好ましくは細胞膜上に発現しており、より好ましくは CD40等との結合に関与 する部分が細胞外に存在するように細胞膜を貫通してレ、る。
[0023] 本発明において、「CD40Lの変異体」は、野生型 CD40Lからの少なくとも 1つのァ
ミノ酸の置換、欠失、または挿入によって特徴づけられる、 CD40Lまたはその断片を 意味する。このような変異体は、例えば、 CD40Lをコードする核酸配列に変異を導 入することによって得ること力 Sできる。
本発明において、「非切断性変異体」は、細胞膜上に発現した変異体の、細胞外に 存在する CD40等との結合に関与する部分が、生体内で、例えば酵素などの作用に より、細胞膜から分離されないような変異体を意味する。し力、しながら、該非切断性は 、上記分離が 100%生じないことを包含するのは勿論、野生型 CD40Lに比べて可 溶化 CD40Lの発生量が 50%未満であることを含む。この割合は、好ましくは 40% 未満、より好ましくは 30%未満、最も好ましくは 20%未満であり、 10%未満であること が特に好ましい。可溶化体の発生量が少ないもの程非切断性が優れており、本発明 においては好ましい。可溶化 CD40Lの発生量は、例えば、本明細書中の実施例 12 に記載の方法などにより容易に決定することができる。
[0024] 本発明において、「CD40刺激活性」とは、変異体が、細胞膜上に発現した CD40 に結合し、その活性化を介して該細胞内に種々の変化を生じさせる能力を意味する 。力かる変化としては、例えば、 B細胞においては、細胞増殖の惹起、 CD23、 CD2 5、 CD54、 CD80、 CD83、 Fas、 MHCクラス II分子などの発現増強、凝集の誘発、 IL— 4共存下における IgE産生の誘導、 IL—10共存下における IgG、 IgA、 IgMの 産生誘導などが、榭状細胞においては、 CD80、 CD86、 MHCクラス II分子などの 補助刺激分子の発現増強、 CD25、 CD83などの成熟マーカー分子発現誘導、 IL 12産生における NK細胞、 T細胞の 2次的活性化などが挙げられる。本明細書に おいては、 CD40刺激活性を有する変異体を「機能的変異体」と呼ぶこともある。
[0025] 上記活性は、例えば、本発明の変異体の CD40への結合能によって評価すること ができる。かかる結合能は、例えば、野生型 CD40Lに対する抗体の該変異体への 結合の程度を、免疫沈降法、免疫細胞化学、フローサイトメトリー法などの当業者に 周知の技法を用いて決定することにより評価することができる。また、上記活性は、 C D40Lの CD40への結合によって発現が増強される分子の発現量を決定することに より評価することができる。かかる分子の例としては、 CD23、 CD25、 CD54、 CD80 、 CD83、 CD86、 Fas、 MHCクラス IIなどが挙げられる。当該発現量の決定方法とし
ては、例えば、当該分子に特異的な抗体を用いた、免疫沈降法、免疫細胞化学、フ ローサイトメトリー法などの技法が挙げられる。上記活性はまた、細胞の増殖活性を 測定することによって評価することもできる。増殖活性は、例えば、 [H3]—ゥリジンま たは [H3]—チミジンの取込みの測定などによって容易に評価することができる。上記 活性は、さらに B細胞の IgEの産生誘導を測定することなどによっても評価できる。上 記評価方法は、当業者であればレ、ずれも容易に行うことができる。
[0026] 本発明の好ましい態様において、本発明の変異体は、アミノ酸の置換を有すること により非切断性となっている。すなわち、該変異体の非切断性に関与しているのは野 生型 CD40Lに対するアミノ酸の置換であって、アミノ酸の欠失や付カ卩ではなレ、。例 えば、非特許文献 4に示されるアミノ酸欠失 CD40L (配列番号 6)は非切断性を有し ているが、後述のとおり、 CD40Lとしての生物活性力 S、野生型 CD40Lや本発明の 変異体に比べて減弱していることが本発明者らによって確認されているし、アミノ酸付 加体は活性発現に必要な 3量体の形成を妨げ、結果として活性を有さないか、有す るとしても野生型 CD40Lに比べて低いレベルであることが予想される。
し力 ながら、上記態様に係る変異体は、非切断性に関与せず、かつ CD40刺激 活性を損なわなレ、任意のアミノ酸の置換、欠失および/または付加を含むことができ る。非切断性に関与する置換の個数は特に制限されなレ、が、好ましくは 1〜: 10アミノ 酸、より好ましくは 1〜8アミノ酸、最も好ましくは 2〜6アミノ酸である。力かる置換は、 連続して位置するアミノ酸に位置してもよぐまたは、連続して位置しないアミノ酸に 位置してもよレ、。野生型 CD40Lの生物活性をよりよく維持するためには、一般的によ り少ない数の置換の方力 タンパク質の構造に与える影響が少ないために好ましい。
[0027] 非切断性に関与する置換は、好ましくは切断予想部位および Zまたはその近傍、 より好ましくはプロテアーゼ切断予想部位および Zまたはその近傍に位置する。切断 予想部位とは、 CD40Lの CD40等との結合に関与する部分が細胞から分離される 際に、当該分離の原因となる物理的および/または化学的な作用を受けると考えら れる CD40Lの部位を意味する。例えば、野生型 CD40Lはマトリックスメタ口プロテア ーゼにより切断され、細胞から分離した可溶化体を生ずるが、この場合、切断予想部 位の 1つは、当該野生型 CD40Lのアミノ酸配列上における、可溶化体との重複部分
の細胞側末端に位置するアミノ酸と、そのさらに細胞側に位置するアミノ酸との間の 部位であり得る。ヒト野生型 CD40Lの場合、力かる切断予想部位の 1つは第 115アミ ノ酸 (リジン)と第 116アミノ酸 (グリシン)との間の位置である。し力 ながら、かかる例 は、本発明における切断予想部位の範囲を限定するものではない。
[0028] 本発明において、アミノ酸配列上のある部位の「近傍」とは、当該部位の前後 13アミ ノ酸を含む部分を意味する。かかる部分は、好ましくは当該部位の前後 10アミノ酸、 より好ましくは 8アミノ酸、最も好ましくは 6アミノ酸を含む。
したがって、好ましい態様において、本発明の変異体は、切断予想部位の前後 13 アミノ酸、好ましくは 10アミノ酸、より好ましくは 8アミノ酸、最も好ましくは 6アミノ酸の 範囲に、好ましくは 1〜: 10個、より好ましくは 1〜8個、最も好ましくは 2〜6個の非切 断性に関与する置換を有する。し力 ながら、本発明の変異体は、かかる範囲以外 に位置するが、該変異体に非切断性を与える置換を有してもよい。
[0029] また、本発明の好ましい変異体は、非キメラ変異体である。本明細書において、用 語「キメラ変異体」は、その遺伝子の一部が第二の異なる遺伝子から誘導されて第一 の遺伝子と合し、その結果得られるキメラ遺伝子に、少なくとも各遺伝子の一部が存 在するような遺伝子から誘導された変異体を意味する。変異体のアミノ酸配列のどこ か一部分が、第二のそして異なる遺伝子から誘導されているならば、その変異体はキ メラであり得る。典型的なキメラ変異体は、一つの遺伝子由来の特定の機能的ドメイ ンが第二の遺伝子に移され、そして第二の遺伝子の類似ドメインに取って代わって いる遺伝子から誘導される変異体を包含する。例えば、かかるキメラ変異体は、マウ ス遺伝子から誘導された一つのドメインと、ヒト遺伝子から誘導された幾つかのドメイ ンを有し得る。これらのドメインは、 5個〜数百個のアミノ酸の大きさの範囲であり得る 。したがって、力かるキメラ変異体は、本発明の好ましい変異体に包含されなレ、。 CD 40Lのヒト—マウスキメラ遺伝子は、例えば特許文献 1に配列番号 3〜7として記載さ れている。しかし、このようなキメラ変異体力 非切断性と CD40刺激活性の両方を有 することはこれまでに報告がなぐまた、力、かる変異体においては 3量体形成が不十 分になることが予想され、活性が弱くなることが推測される。
[0030] さらに好ましい態様では、本発明の変異体は配列番号:!〜 4のアミノ酸配列を含み
、より好ましくは配列番号 1〜4のアミノ酸配列からなる。ただし、これらの変異体は、 当該変異体の機能を損なうことのない任意の変異を含むことができるものとする。
[0031] 本発明の変異体は、当業者に公知の任意の技法を用いて作製することができる。
該変異体は、例えば、 CD40Lをコードする核酸分子に変異を導入し、該核酸を発 現させることによって得ることができる。 CD40Lをコードする核酸配列は、例えば GenBank受託番号 L07414 (ヒト)や、同 X65453 (マウス)として開示されている。該核酸 分子は、例えば、適切な細胞から抽出した RNAから、 RT—PCR法により容易に得る こと力 Sできる。また、適切な cDNAライブラリーから、通常の PCR法などによって得る こともできる。得られた核酸分子は、エラーブローン PCR、部位特異的変異導入、ァ センブリ PCR、 DNAシャッフリング、 in vivo変異導入、カセット変異導入、リカーシブ アンサンブル変異導入、およびエタスポネンシャルアンサンブル変異導入を含む力 これらに限定されない、当該技術分野で知られた任意の方法によって変異させること ができる。
[0032] 本発明においては、部位特異的変異導入が好ましい。該技法においては、例えば 、自動 DNA合成装置で所望の変異を含んだプライマーを作製し、野生型 CD40Lを テンプレートに PCRを行うことによって、所望の部位に所望の変異を含んだ変異型核 酸分子を容易に得ることができる。次に、得られた核酸分子を適切なベクターに組込 み、適切な細胞に導入し、発現させることにより、上記の変異型核酸分子がコードす る所望の変異体を得ることができる。
[0033] 本発明の他の側面は、上記の CD40Lの非切断性機能的変異体をコードする核酸 分子、その相補鎖、これらの断片、および、ストリンジヱントな条件下にこれらの核酸 分子とハイブリダィズする他の核酸分子を含む。本発明の核酸分子は、好ましくは、 アミノ酸の置換を有することにより非切断性となっている、 CD40Lの非切断性機能的 変異体をコードする核酸分子を含み、より好ましくは、配列番号:!〜 4のアミノ酸配列 を有する変異体をコードするヌクレオチド配列であって、それぞれ配列番号 7〜: 10の 配列を含むものを包含する。
[0034] 本明細書で用いる「ストリンジェントな条件」という用語は、当該技術分野において 周知のパラメータである。核酸のハイブリダィゼーシヨンのパラメータは、標準的なプ
ロ卜コノレ集、 f列えば Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3d ed., Cold Spring Harbor Press (2001)や、 Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates (1992)などに記載されている。
[0035] 具体的には、本明細書において用いるストリンジヱントな条件は、 65°Cでの、 3. 5
X SSC,フイコーノレ 0. 02ο/ο、ポリビ、ニノレヒ。口リドン 0. 02%,クシ血、?青ァノレブミン 0. 0 2%、 NaH P〇 25mM (pH7)、 SDSO. 05%、 EDTA2mMからなるハイブリダィゼ
2 4
ーシヨンバッファーによるハイブリダィゼーシヨンを指す。なお、上記のうち、 SSCは 0 . 15M塩化ナトリウム /0. 15Mクェン酸ナトリウム、 pH7であり、 SDSはドデシル硫 酸ナトリウムであり、また EDTAはエチレンジァミン四酢酸である。ハイブリダィゼーシ ヨン後、 DNA力 S移された膜は、 2 X SSCにて室温にぉレヽて、次レヽで 0. 1 ~0. 5 X SS C/0. 1 X SDSにて 68。Cまでの温度において洗浄される。あるいは、ストリンジェント なハイブリダィゼーシヨンは、 ExpressHyb (登録商標)緩衝液(Clontech社製)などの 市販のハイブリダィゼーシヨンバッファーを用いて、製造者によって記載されたハイブ リダィゼーシヨンおよび洗浄条件で行ってもよい。
[0036] 同程度のストリンジエンシーを生じる結果となる使用可能な他の条件、試薬等が存 在するが、当業者は力かる条件に通じていると思われるため、これらについては、本 明細書中に特段記載はしていない。し力 ながら、本発明の変異体をコードしている 核酸の相同体または対立遺伝子の明確な同定ができるよう、条件を操作することが 可能である。
[0037] 一般的に相同体および対立遺伝子は、典型的には少なくとも 90%のアミノ酸の同 一性、および/または少なくとも 75%のヌクレオチドの同一性を本発明の変異体のァ ミノ酸配列に対して、または力、かるポリペプチドをコードしている核酸に対してそれぞ れ有し得る。レ、くつかの例においては、相同体および対立遺伝子は、少なくとも 90% のヌクレオチドの同一性および Zまたは少なくとも 95%のアミノ酸の同一性を有し得 、さらに別の例では、少なくとも 95%のヌクレオチドの同一性および Zまたは少なくと も 99%のアミノ酸の同一性を有し得る。上記の核酸の相補体もまた本発明に含まれ る。
[0038] 本発明の変異体をコードしている核酸についてのスクリーニングにおいて、サザン
ブロットまたはノーザンブロットなどの核酸のハイブリダィゼーシヨンは、上記の条件で
、検出可能に標識されたプローブ (例えば、 32Pなどの放射性標識、化学発光標識、 蛍光標識)を用いて行ってもよい。本発明の変異体をコードしている DNAが最終的 に移された膜の洗浄後、放射性シグナルを検出すベぐ X線フィルム、フォスフォイメ 一ジャーまたは他の検出装置に当該膜を設置することができる。
[0039] 本発明の核酸分子はまた、本発明の変異体と同一のアミノ酸配列をコードする代替 コドンを含む核酸配列を含む。したがって本発明は、遺伝子コードの縮重のため、コ ドンの配列において、本発明の変異体をコードしている配列番号 7〜10のヌクレオチ ド配歹 IJを含む核酸分子とは異なる、縮重された核酸分子を含む。
また本発明の核酸分子は、発現ベクターにおける、ならびに原核性 (例えば大腸菌 )または真核性 (例えば間質細胞、線維芽細胞、ストローマ細胞、間葉系幹細胞、血 管内皮細胞などの腫瘍関連細胞や、造血幹細胞、造血前駆細胞、リンパ球、単球、 榭状細胞、多核白血球などの正常細胞、白血病、リンパ腫、骨髄腫、黒色腫、膝臓 癌、前立腺癌、頭頸部癌、乳癌、肺癌、大腸癌、胃癌、食道癌、卵巣癌、扁平上皮 癌、肝細胞癌、胆管癌、中皮腫および類表皮癌由来細胞などの腫瘍細胞、 CHO細 胞、 COS細胞、 TOP10細胞、 BOSC23糸田胞、 φ CRIP— P131細胞、 U251細胞 などの細胞系、酵母の発現系、および昆虫細胞における組換えバキュロウィルスの 発現系)の宿主細胞または細胞系をトランスフエタトするために用いることができる。
[0040] 本発明はさらに、本発明の核酸分子を含むベクターに関する。本明細書に用いる 場合、「ベクター」は、異なる遺伝的環境間の移送のため、または宿主細胞における 発現のために、ダイジェストまたはライゲーシヨンによって所望の核酸分子を導入でき る任意の核酸を意味する。ベクターは典型的には DNA力 構成される力 RNAベタ ターを用いることもできる。ベクターは、ファージ、レトロウイルス、アデノウイルス、アデ ノ随伴ウィルス、ヘルぺスウィルス、レンチウィルス、バキュロウィルスなどのウィルス ベクター、ファージミド、コスミドなどのプラスミドや合成ウィルスなどを包含する非ウイ ルスベクターを含むがこれらに限定されなレ、。クローニングベクターは、 自律的に、あ るいはゲノムへの組込みの後に、宿主細胞中で複製することができるものであり、そ れはさらに 1または 2以上のエンドヌクレアーゼ制限部位によって特徴づけられ、当該
ベクターはその部位で決定可能な様式で切断され、そこに所望の核酸配列を連結 することができ、これにより、新規な組換えベクターは宿主中で目的とする核酸分子を 複製することが可能となる。プラスミドの場合には、宿主細菌内のプラスミドのコピー 数が増えることにより、所望の核酸分子が何度も複製されもてよぐあるいは細胞分裂 によって宿主が再生される前に宿主あたり 1回だけ複製されてもよい。ファージの場 合には、複製は溶菌相の間は積極的に、あるいは溶原相の間は受動的に起きてもよ レ、。
[0041] 発現ベクターは、その中に所望の核酸配列がダイジェストおよびライゲーシヨンによ り揷入され、それが調節配列に対して作動可能に連結されて、転写物として発現され るようにするものである。発現ベクターはさらに、当該ベクターによって形質転換また はトランスフエタトされた力 \またはされていない細胞を同定するのに適当な 1または 2 以上のマーカー配列を含んでもよレ、。マーカーは、例えば抗生物質または他の化合 物に対する抵抗性または感受性のいずれかを亢進または低下させるタンパク質をコ ードしている遺伝子、その活性が当該技術分野における標準的な分析法によって検 出可能な酵素(例えば、 β ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、またはアルカリホスフ ァターゼ)をコードする遺伝子、および形質転換またはトランスフエタトされた細胞、宿 主、コロニー、またはプラークの表現型に視覚的に影響する遺伝子を含む。好ましい 発現ベクターは自律的な複製と、それに対してベクターが作動可能に連結されてい る DNAセグメントに存在する構造遺伝子産物の発現が可能なベクターである。
[0042] 本明細書においては、コード配列および調節配列は、当該コード配列の発現また は転写が、当該調節配列の影響または支配下にあるように位置される様式において 連結されている場合、「作動可能に」連結されているということとする。もし当該コード 配列を機能的なタンパク質に翻訳することが望まれる場合には、 2つの DNA配列は 、もし 5'調節配列におけるプロモーターによる誘導の結果、当該コード配列の転写 が生じ、またもし当該 2つの DNA配列の間の連結の性質力 (1)フレームシフト突然 変異を誘導する結果とならず、 (2)当該コード配列の転写を指示するための当該プロ モーターの能力を妨害せず、あるいは(3)タンパク質に翻訳されるべき対応する RN Α転写物の能力を妨害しなレ、場合には、「作動可能に」連結されてレ、るとレ、われる。
したがってプロモーター領域は、もし当該プロモーター領域力 S、結果として得られる 転写物が所望のタンパク質またはポリペプチドに翻訳されるように、その DNA配列を 転写できれば、作動可能にコード配列に連結されていることになる。
[0043] 本発明において有用なベクターは、所望により、例えば哺乳動物、微生物、ウィル ス、または昆虫遺伝子から誘導される適当な転写または翻訳調節配列と機能的に結 合した本発明の変異体をコードしている核酸分子を含む。かかる調節配列は、遺伝 子発現において調節的役割を有する配歹、例えば転写プロモーターまたはェンハン サー、転写を調節するためのオペレーター配列、メッセンジャー RNA内部のリボソ一 ム結合部位をコードしている配歹 IJ、ならびに、転写、翻訳開始または転写終了を調節 する適切な配列を包含する。
[0044] 遺伝子発現に必要な調節配列の詳細な性質は、生物種または細胞種によって異 なってもよいが、一般的には、少なくとも、 TATAボックス、キヤッピング配歹 IJ、 CAAT 配列などの、各々転写および翻訳の開始に関与する 5 '非転写、および 5'非翻訳配 列を含み得る。特に、かかる 5'非転写調節配列は、作動可能に連結された遺伝子の 転写調節のためのプロモーター配列を含む、プロモーター領域を含み得る。調節配 列はまた、ェンハンサー配列か、または所望の上流のァクチべ一ター配列を含んで もよレ、。本発明のベクターは、任意に 5'リーダーまたはシグナル配列を含んでもよい 。適切なベクターの選択および設計は、当業者の能力および自由裁量の範囲内に ある。
[0045] 特に有用な調節配列は、種々の哺乳動物、ウィルス、微生物、および昆虫遺伝子 由来のプロモーター領域を包含する。このプロモーター領域は、その遺伝子の転写 の開始を指令し、そして補助分子リガンド遺伝子を含む DNAの全ての転写をもたら す。有用なプロモーター領域は、 CAプロモーター、レトロウイルスの dLTRプロモー ター、サイトメガロウィルス (CMV)ェンハンサ一/プロモーター領域、 RSVの LTRプ 口モーター、 lacプロモーター、およびアデノウイルスから分離したプロモーターを包 含するが、真核生物、原核生物、ウィルス、または微生物細胞での遺伝子発現に有 用な、当業者に公知の他の任意のプロモーターを用いることもできる。
[0046] 真核生物細胞内で、遺伝子およびタンパクを発現するのにとりわけ有用なその他の
プロモーターは、哺乳動物細胞プロモーター配列およびェンハンサー配歹 lj、例えば ポリオ一マウィルス、アデノウイルス、 SV40ウイノレス、およびヒトサイトメガロウィルスか ら誘導されるものを包含する。典型的には SV40などのウィルスのウィルス複製起点 に隣接して見出される、ウィルスの初期および後期プロモーターが、特に有用である 。特定の有用なプロモーターの選択は、その細胞株、および、特定の細胞株内部で 本発明の変異体を発現させるために使用する核酸構築物についての、他の様々な パラメータに依存する。さらに、本発明において有用な充分高いレベルで、標的細胞 に遺伝子を発現させることが知られている任意のプロモーターを選択することができ る。
[0047] 本発明のベクターは、所望により、発現ベクターから生成される mRNAの、タンパク 質への効率的な翻訳を可能にするリボソーム結合部位、本発明の核酸分子に機能 的に結合していてもよい種々のシグナルペプチドをコードしている核酸配列を包含す る、種々のさらなる調節配列を含むことができる。シグナルペプチドは、もし存在する ならば、翻訳されたポリペプチドの細胞外分泌の改善を可能にする前駆体アミノ酸と して発現される。
したがって、本発明の核酸構築物は、プロモーター配列またはプロモーターおよび ェンハンサー配列のいずれかと作動可能に結合し、さらに mRNAの終止およびポリ アデ二ル化を指令するポリアデニル化配列に機能的に結合した、本発明の核酸分子 の様々な型を包含する。本発明の核酸構築物は、所望の細胞内部でのその構築物 の効率的な複製および発現を可能にするその他の遺伝子配列を含み得る。かかる 配列は、天然 CD40L遺伝子、またはウィルス遺伝子等から誘導されるイントロンを包 含し得る。
[0048] 本発明のベクターはさらに、直接細胞に感染して本発明の核酸分子を該細胞に導 入することのできる、遺伝子治療用のベクターをも包含する。これらの遺伝子治療用 ベクターは、対象から分離した細胞を直接感染させるのに役立ち、または、対象の内 部に直接導入し、それによりその対象中の所望の細胞を直接感染させることができる なお、本発明において用いる用語「対象」は、任意の生物個体を意味し、好ましくは
動物、さらに好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはヒトの個体である。本発明におい て、対象は健常であっても、何らかの疾患に罹患していてもよいものとする力 疾患の 処置が企図される場合には、該疾患に罹患している患者である。
また、用語「処置」は、疾患の治癒、一時的寛解または予防(防止)などを目的とす る医学的に許容される全てのタイプの予防的および/または治療的介入を包含する ものとする。例えば、疾患が癌の場合、「処置」の用語は、癌の進行の遅延または停 止、癌の退縮または消失、癌の発症の予防または再発の予防などを含む種々の目 的の医学的に許容される介入を包含する。
[0049] 遺伝子を適切に送達し、所望の核酸分子の発現をもたらすことのできる数多くの種 類の遺伝子治療用ベクターが開発され、例えば、 Current Comm. Mol. Biol., Cold Springs Harbor Laboratory, New York (1987)などの文献に記載されてきた。さらに、 燐酸カルシウムトランスフエクシヨン(Berman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81 :7176 (1984))、 DEAE—デキストラントランスフエクシヨン、プロトプラスト融合( Deans et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81 : 1292 (1984))、電気穿孔、リボソーム融 合、ポリプレンを用いたトランスフエクシヨンおよび細胞膜のレーザー微穿孔による遺 伝子の直接的な送達を包含する、周知の多数の技法によって、裸の DNAを、ヒト細 胞などの真核生物細胞中に物理的に導入することができる。当業者は、 DNAを細胞 のゲノムに組込み、所望遺伝子の発現を可能にするように細胞内に適切に導入する ことのできる上記以外のレ、かなる技術も、本発明に用いることができる。特に、遺伝子 の送達のための組換え感染性ウィルス粒子を利用した遺伝子治療ベクターがよく知 られている(例えば、 Brody, S. L. and R. G. Crystal, Ann. N. Y. Acad. Sci., 716:90 (1994)、 Srivastava, A., Blood. Cells, 20:531 (1994)、 Jolly, D., Cancer Gene Ther., 1 :51 (1994)、 Russell, S. J" Eur. J. Cancer, 30A: 1165 (1994)、 Yee, J. K" T.
Friedmann, and J. C. Burns, Methods Cell Biol., 43 Pt A:99 (1994)、 Boris-Lawrie, K. A. and H. M. Temin, Curr. Opin. Genet. Dev., 3: 102 (1993)、 Tolstoshev, P., Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol., 33:573 (1993)、および Carter, B. J., Curr.
Biotechnol., 3:533 (1992)等を参照)。
[0050] 本発明は、本発明の核酸分子を細胞内に導入することにより、該細胞の免疫反応
性を改変するための遺伝子治療ベクターを企図している。
本発明において、免疫反応性とは、免疫系に何らかの影響を与え、および/また は、免疫系から何らかの影響を受ける能力のことをレ、い、例えば、サイト力インなどの 免疫伝達物質の分泌、細胞表面分子を介した他の免疫系細胞への情報伝達、受容 体などを介した免疫伝達刺激の受容などを包含するが、これらに限定されない。した がって、免疫反応性を改変するとは、例えば、これまで有していなかった免疫反応性 の獲得、これまで有していた免疫反応性の喪失、増強もしくは減弱などを包含し得る 。本発明における好ましい免疫反応性は、 CD40刺激能の獲得または増強である。 現在多くのウィルスベクターが遺伝子治療ベクターとして使用されており、それらに は、 SV40ゥイノレス、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウィルス、ヘルぺスゥ イノレス、レンチウィルスおよびバキュロウィルスなど力、ら誘導されるウィルスベクターが 包含される。また、合成ウィルスやプラスミドベクターなどの非ウィルスベクターも同様 に遺伝子治療ベクターとして使用されている。これらのベクターは、本発明において も勿論使用することができる。本発明における有用な遺伝子治療ベクターは、本発明 の核酸分子を標的細胞中に直接導入し、その核酸分子を細胞に存続させて本発明 の変異体を該細胞内で、所望の様式で発現させるようにできるベクターであり得る。 本発明の遺伝子治療ベクターは、本発明の核酸分子を、ヒト細胞などの様々な哺 乳動物細胞に導入するのに用いることができる。力かるベクターを用いて本発明の核 酸分子を、造血またはリンパ系幹細胞、抗原提示細胞、胚性幹細胞、および、 CD40 をその表面に有する細胞を包含する、免疫系の中で抗原提示可能なその他の細胞 に導入することができる。さらに、かかる遺伝子治療ベクターは、本発明の核酸分子 を、ヒト腫瘍細胞、例えば急性骨髄性白血病 (AML)、急性骨髄単球性白血病 (AM ML)、急性リンパ球性白血病 (ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球 性白血病(CMML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)などの白血病、リンパ腫、骨髄 腫、黒色腫、瞎臓癌、前立腺癌、頭頸部癌、乳癌、肺癌、大腸癌、胃癌、食道癌、卵 巣癌、扁平上皮癌、肝細胞癌、胆管癌、中皮腫および類表皮癌由来細胞、または、 抗原提示細胞としてもしくはバイスタンダー抗原提示細胞を刺激することのできる細 胞として機能し得る任意の腫瘍細胞に導入することができる。また、本発明の遺伝子
治療ベクターは、非腫瘍性の間質細胞、線維芽細胞、ストローマ細胞、間葉系幹細 胞、血管内皮細胞などの腫瘍関連細胞や、造血幹細胞、造血前駆細胞、リンパ球、 単球、榭状細胞、多核白血球などを包含する正常細胞にも用いることができる。さら に、免疫系に抗原を提示できるよう改変した細胞に、本発明の遺伝子治療ベクター を用いて、本発明の核酸分子を導入することもできる。
[0052] 本発明の好ましい態様においては、かかるベクターは、本発明の核酸分子の導入 を企図する細胞に標的化されている。特定の細胞に標的化されたベクターとしては、 例えば、特開 2002— 330789に記載の改変アデノウイルスが挙げられる。該アデノ ウィルスは、野生型アデノウイルスに対する主要なレセプターである CAR (コクサツキ 一アデノウイルスレセプター)との結合能を実質的に有しないファイバータンパク質に 、特定のタイプの細胞および Zまたは組織に対する特異性を有する分子を接続した 改変ファイバータンパク質、および/または、実質的に CARとの結合能を有しないフ アイバータンパク質を、特定のタイプの細胞および/または組織に対する特異性を有 するように改変した改変ファイバータンパク質を有する。
[0053] ここで、特定のタイプの細胞および/または組織に対する特異性を有する分子とし ては、細胞表面上に存在する分子と特異的に相互作用する分子、例えば特異的レ セプターのリガンドが好ましレ、。そのような分子としては、例えば、メラノーマの MSH ( メラニン細胞刺激ホルモン)レセプターと結合する分子、インテグリンレセプターと結 合する分子、へパラン硫酸含有レセプターに結合する分子、コンドロイチン硫酸プロ テオダリカン NG2レセプターと結合する分子などが挙げられる。例えば、 MSH (メラ二 ン細胞刺激ホルモン)レセプターと結合する分子としてアミノ酸配列
SYSMEHFRWGKPVを含むペプチド、インテグリンレセプターと結合する分子として R GD (Arg-Gly-Asp)モチーフを含む分子、へパラン硫酸含有レセプターに結合する 分子としてポリリジンを含む分子、コンドロイチン硫酸プロテグリカン NG2レセプターと 結合する分子としてアミノ酸配列 TAAまたは LTLRWVGLMSを含む分子などが挙げら れる。アミノ酸配歹 IJSYSMEHFRWGKPVはメラノーマ細胞に対して、 RGDモチーフは 頭類部癌、内皮細胞、平滑筋細胞等に対して、 K7はマクロファージ、内皮細胞、平 滑筋細胞、線維芽細胞、 T細胞に対して、 TAASGVRSMおよび LTLRWVGLMSはメラ
ノーマ、脳腫瘍細胞等に対してそれぞれ親和性が高いため、これらの細胞を標的と する場合にそれぞれ適してレ、る。
[0054] 力かる改変アデノウイルスベクターは、当該技術分野で周知の分子生物学的手法 、例えば、ウィルスゲノムの両端に共有結合した末端タンパク質を保持したままの、ゲ ノム一末端タンパク質複合体(以下 DNA—TPCと略す)を用いる方法 (Yoshida et al. Hum. Gene Ther. 9:2503-1515 (1998)等を参照)などによって作製することができ る。力かる手法はいずれも当業者に良く知られたものである。典型的には、まず、 pA xCw、 pAxCAwt等のコスミドカセットに目的とする遺伝子を組み込んだコスミドを作 製する一方、ウィルスから DNA—TPCを調製し、適当な制限酵素で切断しておく。 次に、前述のコスミドおよび制限酵素処理した DNA— TPCを適切な宿主細胞、例え ば 293細胞にコトランスフエクシヨンする。その後、適当な条件で一定期間培養し、培 養液中にウィルス粒子として放出された組換えアデノウイルス粒子を回収することが できる。
[0055] 本発明はまた、本発明のベクターで形質転換した細胞に関する。力かる細胞は本 発明の変異体をコードしている核酸分子を含んでいる。これらの細胞は、微生物細胞 、真核生物細胞、昆虫細胞、およびヒト細胞を包含する種々の哺乳動物細胞である こと力 Sできる。また、力かる細胞は生体力 採取したものであっても、培養用に樹立さ れたものであってもよい。本発明の好ましい態様では、これらの細胞は、ヒトの腫瘍細 胞を包含する様々な腫瘍細胞を包含する。これらの腫瘍細胞はレ、かなる細胞型であ つてもよく、免疫系の細胞、およびその他の血液細胞を包含する。免疫系の中で抗 原提示細胞として機能できる腫瘍細胞、または本発明の変異体の発現によってバイ スタンダー抗原提示細胞を刺激することのできる腫瘍細胞が特に好ましレ、。典型的 には、免疫系に抗原を提示するよう機能できるこれらの腫瘍は、 CD40分子を細胞表 面に持っている力 \または持っていたものである。一般に、これらの細胞は、本来免 疫系に抗原提示することができるものであるが、本発明は、本来は免疫系に抗原を 提示できない細胞であつたが、免疫系に抗原提示ができるよう遺伝的に改変されたも のに、本発明の核酸分子を導入することをも企図している。典型的には、これらの細 胞は、腫瘍化した様々な既知の細胞種、例えば単球、マクロファージ、 B細胞、ランゲ
ルハンス細胞、指状嵌入細胞、濾胞榭状細胞またはクッパー細胞等を包含する。さら に、本発明はまた、本明細書に記載した核酸構築物を含む、種々の癌腫、例えば A ML、 AMML、 ALL, CML、 CMML、 CLLなどの白血病、リンパ腫、骨髄腫、黒色 腫、膝臓癌、前立腺癌、頭頸部癌、乳癌、肺癌、大腸癌、胃癌、食道癌、卵巣癌、扁 平上皮癌、肝細胞癌、胆管癌、中皮腫および類表皮癌由来の細胞を包含する。
[0056] 別の好ましレ、態様では、本発明の核酸分子を細胞に導入し、該細胞を、腫瘍床ま たは関節などの処置部位に注入することができる。例えば、本発明の核酸分子を線 維芽細胞に導入し、その細胞表面で本発明の変異体を発現させ、次いでこの線維 芽細胞を処置部位に注入することにより、該細胞表面に存在する本発明の変異体に 起因する所望の免疫効果を惹起することができる。力、かる細胞はまた、その処置部位 に存在する別の免疫細胞 (バイスタンダー細胞)を刺激することができる。上記方法 により、免疫系に所望の効果をもたらすことができる。
[0057] 本発明の別の側面は、 CD40Lの非切断性機能的変異体をコードする核酸分子を 細胞中に導入することにより、該変異体が該細胞表面に発現されるようにすることを 含む、細胞の免疫反応性を改変する方法に関する。かかる方法は、免疫系の標的と して、または外来標的に応答する免疫系の一部として免疫反応に参加する任意の細 胞にとって有用である。本発明のこの側面には、上記核酸分子を所望の細胞に導入 するための、極めて多様な方法を包含する。かかる方法は、 ex vivo法、 in vivo法、お よび、該核酸分子を含むベクターの動物またはヒトへの注入 (任意の動物またはヒト に存在する腫瘍床の中への直接注入を包含する)を含む、様々な方法を包含する。
[0058] 本発明の一態様では、上記核酸分子を導入すべき細胞を対象から採取し、次いで 該核酸分子を、適当な方法を用いて当該分離された細胞内に導入する、 ex vivo法 が企図される。有用な ex vivo法の例は、例えば S. E" M. Grossman, D. J. Rader, J. G. Thoene, B. J. Clark, D. M. Kolansky, D. W. Muller, and J. M. Wilson, Ann. Surg., 223: 116 (1996)、 Lu,し, R. N. Shen, and H. E. Broxmeyer, Crit. Rev. Oncol. HematoL , 22: 61 (1996)、 Koc,〇· N., J. A. Allay, K. Lee, B. M. Davis, J. S. Reese, and S. L. Gerson, Semin. Oncol., 23: 46 (1996)、 Fisher, L. J. and J. Ray,し urr. ◦pin. NeurobioL, 4: 735 (1994)および Goldspiel, B. R.,し Green, and K. A. Calis,
Clin. Pharm., 12: 488 (1993)などに記載されている。
[0059] 本発明の方法は、 CD40Lの非切断性機能的変異体をコードする核酸分子を対象 力 採取した細胞に適切に導入した後、該細胞を、対象の特定の部位にまたは直接 循環中に導入することを包含し得る。本発明の好ましい態様では、腫瘍マーカーまた は対象となる細胞に特異的な細胞表面マーカーを用いて、これらの細胞を特異的に 対象から分離する。当業者には、このような分離法は良く知られており、例えば、蛍光 活性化セルソーティング(FACS)、ァフィ二ティカラムなど様々な態様を含む種々の 免疫学的選別法が挙げられる。また、密度勾配遠心法などの物理学的選別法を用 レ、ることあでさる。
[0060] 本発明はさらに、細胞を対象から分離することなぐ上記核酸分子を対象の体内で 所望の細胞に導入することを企図する。核酸分子を、 in vivoで、または対象の体内で 特定の細胞内に導入する方法は良く知られており、これは、遺伝子治療ベクターの 使用および対象への様々な核酸構築物の注入を包含する。有用な方法の例は、 Danko, I. and J. A. Wolff, Vaccine, 12: 1499 (1994)、 Raz, E" A. Watanabe, S. M. Baird, R. A. Eisenberg, T. B. Parr, M. Lotz, T. J. Kipps, and D. A. Carson, Pro Natl. Acad. Sci. U. S. A., 90: 4523 (1993)、 Davis, H. L., R. G. Whalen, and B. A. Demeneix, Hum. Gene Ther., 4: 151 (1993)、 Sugaya, S. , K. Fujita, A. Kikuchi, H. Ueda, K. Takakuwa, S. Kodama, and K. Tanaka, Hum. Gene Ther., 7: 223 (1996)、 Prentice, H., R. A. Kloner, Y. Li, L. Newman, and L. Kedes, J. Mol. Cell Cardio., 28: 133 (1996)、 Soubrane, C , R. Mouawad, O. Rixe, V. Calvez, A. Ghoumari, O. Verola, M. Weil, and D. Khayat, Eur. J. Cancer, 32A: 691 (1996)、 Kass— Eisler, A., K. Li, and L. A. Leinwand, Ann. N. Y. Acad. Sci. , 772: 232 (1995)、 DeMatteo, R. P., S. E. Raper, M. Ahn, K. J. Fisher, C. Burke, A. Radu, G. Widera, B. R. Claytor, C. F. Barker, and J. F. Markmann, Ann. SURG. , 222: 229 (1995)、 Addison, C.し, T. Braciak, R. Ralston, W. J. Muller, J. Gauldie, and F. L. Graham, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 92: 8522 (1995)、 Hengge, U. R., P. S. Walker, and J. C. Vogel, J. Clin. Invest., 97: 2911 (1996)、 Feigner, P. L., Y. J. Tsai,し Sukhu, C. J.
Wheeler, M. Manthorpe, J. Marshall, and S. H. Cheng, Ann. N. Y. Acad. Sci., 772:
126 (1995)、 Furth, P. A., A. Shamay, and L. Hennighausen, Hybridoma, 14: 149 (1995)などに記載されている。
[0061] 典型的な適用におレ、ては、上記核酸分子を含む遺伝子治療ベクターを、対象の循 環内に、または限局した部位に導入し、該遺伝子治療ベクターが所望の細胞に特異 的に感染できるようにする。別の好ましい態様では、遺伝子治療ベクターを、前記核 酸分子を導入すべき細胞を含む対象の腫瘍床に直接注入する。
本発明はさらに、プロモーター、上記核酸分子、およびこれに続くポリアデニルイ匕 配列を有する核酸構築物を、対象に直接注入することをも企図する。かかる方法の 有用な例は、 Vile, R. G. and I. R. Hart, Ann. Oncol., 5 Suppl 4: 59 (1994)に記載さ れている。かかる核酸構築物は、対象の筋肉またはその他の部位、または対象の腫 瘍床に直接注入することができる。
[0062] 本発明の好ましい態様では、上記核酸分子を細胞内に導入することによって、該細 胞の免疫反応または応答を改変することができる。かかる細胞は、特に限定されない 力 好ましくはヒト細胞または非ヒト動物細胞、特にヒト抗原提示細胞を包含する。本 態様において好ましい細胞は、細胞表面に CD40を有する細胞である。また、かかる 細胞は、免疫系を刺激することのできる細胞、または細胞表面に CD80などの補助 刺激分子を発現する能力を有する腫瘍化抗原提示細胞であってよい。幾つかの態 様にぉレ、て、上記核酸分子を導入すべき細胞の表面に存在する補助刺激分子の量 は極めて少ない。これは、補助刺激分子のダウンレギュレーションに起因する。 幾つかの態様においては、上記核酸分子を導入すべき細胞は、少なくとも低レべ ルの CD40が細胞表面に存在する力、または、細胞表面に CD40Lを発現していた 力 その発現が低下または消失してしまった細胞である。
[0063] 特定の細胞の免疫活性を改変する本発明の方法は、ヒト細胞を包含する動物細胞 に適用可能である。力かる細胞には、種々の腫瘍細胞や正常細胞が包含される。腫 瘍細胞の例としては白血病、リンパ腫、骨髄腫、黒色腫、膝臓癌、前立腺癌、頭頸部 癌、乳癌、肺癌、大腸癌、胃癌、食道癌、卵巣癌、扁平上皮癌、肝細胞癌、胆管癌、 中皮腫および類表皮癌由来細胞が、正常細胞の例としては非腫瘍性の間質細胞、 線維芽細胞、ストローマ細胞、間葉系幹細胞、血管内皮細胞などの腫瘍関連細胞、
造血幹細胞、造血前駆細胞、リンパ球、単球、榭状細胞、多核白血球、さらにはマク 口ファージ、 B細胞、ランゲルハンス細胞、指状嵌入細胞、濾胞樹状細胞、クッパー 細胞などが挙げられる力 これらに限定されない。
[0064] 本発明の好ましい態様において、かかる細胞は、上記変異体が細胞に発現された 場合に免疫活性が改変されるリンパ球であり得る。別の好ましい態様においては、該 細胞は、該変異体が細胞に発現された場合にバイスタンダー抗原提示細胞を刺激 することのできる、腫瘍細胞または正常細胞であってもよい。本発明はまた、本来免 疫系に対する抗原提示能を有しない細胞を、抗原提示に必要な分子をコードしてい る遺伝子を導入するよう遺伝的に改変し、それによりこれらの細胞が人工的な抗原提 示細胞として振る舞うようにした上で、上記変異体をコードする核酸分子をこれら人工 の抗原提示細胞中に導入することも企図している。細胞が抗原提示能を有するか否 力、は、例えば細胞増殖またはリンホカインの産生といった、公知の様々な試験によつ て決定すること力できる。
[0065] 上記の正常な細胞に加え、本発明はまた、腫瘍細胞または悪性細胞中に、上記核 酸分子を導入することをも企図している。力かる腫瘍細胞は、 AML細胞、 AMML細 胞、 ALL細胞、 CMML細胞、 CML細胞、 CLL細胞などの白血病細胞、リンパ腫細 胞、骨髄腫細胞、黒色腫、勝臓癌、前立腺癌、頭頸部癌、乳癌、肺癌、大腸癌、胃 癌、食道癌、卵巣癌、扁平上皮癌、肝細胞癌、胆管癌、中皮腫および類表皮癌由来 細胞、および、該核酸分子がその細胞内に導入される時にバイスタンダー抗原提示 細胞を刺激することのできる任意の腫瘍細胞を包含する。力かる細胞は、好ましくは 、抗原提示細胞として機能することができるものである。さらに、抗原提示細胞として 挙動できる、または挙動するよう改変した、上記の腫瘍細胞もまた企図される。しかし ながら本発明による免疫反応性の改変は、上記以外の悪性腫瘍細胞にも適用可能 であり、したがって、動物またはヒトの免疫系の中で抗原を提示できる任意の腫瘍細 胞、または、上記核酸分子がそれらの細胞中に導入された後に抗原提示細胞として 挙動できる、またはバイスタンダー抗原提示細胞を刺激できる任意の細胞を包含す る。
[0066] 細胞の免疫活性を変える本方法は、免疫活性の改変が望まれる細胞の中に上記
核酸分子を導入することを企図している。また、本発明の方法は、 CD40Lの非切断 性機能的変異体をコードする核酸分子を含んでいる、遺伝子治療ベクターなどのべ クタ一および核酸構築物の使用を企図する。典型的には、上記遺伝子治療ベクター などのベクターおよび核酸構築物は、上記核酸分子と機能的に結合したプロモータ 一、およびこれに続くポリアデニルイ匕配列を有している。この外、本発明の方法には、 少なくとも上記核酸分子を含む任意のベクターまたは核酸構築物を用いることができ る。
[0067] 本発明はさらに、腫瘍細胞中に、上記核酸分子を導入し、その結果、上記変異体 がその腫瘍細胞の表面で発現されるようにすることを含む、腫瘍を処置する方法をも 企図する。本発明の方法は、 in vivoでも ex vivoでも適用可能である。したがって、本 発明は、上記核酸分子を含む様々な核酸分子を対象内部に直接注入することによ つて、腫瘍を処置することを企図する。しかし、該方法は、腫瘍細胞中に当該核酸分 子を導入し、 CD40Lの非切断性機能的変異体が該細胞の表面で発現されるように する工程を少なくとも含んでいれば、これ以外の任意の付加的な工程を含んでもよい 。腫瘍細胞において力かる変異体を発現させることにより、免疫系が調節され、該腫 瘍の縮小または消失をもたらす。
[0068] 好ましい態様において、上記方法は、最初に対象から腫瘍細胞を採取し、次に、上 記変異体が該細胞の表面で発現されるよう、採取された該細胞中に、上記核酸分子 を導入する工程、および、細胞表面にかかる変異体を発現している該細胞を、該対 象中に戻す工程をさらに含んでいる。対象から採取した細胞を体外で処理した後、 再び同対象に戻す方法は、当該技術分野でよく知られている。
本発明の上記方法は、リンパ腫、白血病などの悪性腫瘍を包含する種々の腫瘍に 適用できる。好ましい態様において、該腫瘍はヒト腫瘍であり、好ましくは、単球、マク 口ファージ、 B細胞、ランゲルハンス細胞、交互嵌入細胞、濾胞樹状細胞、クッパー 細胞等の、ヒト免疫系の抗原提示細胞由来の腫瘍である。別の好ましい態様では、ヒ ト腫瘍は、 AML、 AMML、 ALL, CML、 CMML、 CLLなどの白血病、リンパ腫、 多発性骨髄腫、黒色腫、瞎臓癌、前立腺癌、頭頸部癌、乳癌、肺癌、大腸癌、胃癌 、食道癌、卵巣癌、扁平上皮癌、肝細胞癌、胆管癌、ならびに中皮腫および類表皮
癌肺癌などの腫瘍である。
本発明の上記方法に有用なベクターおよび核酸構築物は上述のとおりであり、例 えば、プロモーターが上記核酸分子と作動可能に連結し、これがさらにポリアデュル 化配列と作動可能に連結している構築物を包含する。該方法は、本明細書に記載の 核酸構築物、および遺伝子治療ベクターを含むベクターの使用を企図する。さらに 本発明は、 CD40Lの非切断性機能的変異体をコードする核酸分子自体の使用を 企図する。この核酸分子は、プロモーターおよびその他の調節配列を含んでいても 含んでいなくてもよい。
[0069] 本発明の好ましい態様では、細胞は、対象内部の腫瘍床と呼ばれる少なくとも一つ の限局された部位に位置する。この腫瘍床は典型的には、腫瘍組織や腫瘍細胞を、 これらに付随する幾つかの他の細胞と共に含んでいる。本発明は、上記変異体が腫 瘍細胞表面で発現され、それにより該細胞が免疫系に認識されるようにするため、該 変異体をコードする核酸分子を対象の腫瘍床に注入することにより、腫瘍床に存在 するこうした腫瘍を処置する方法を企図する。かかる核酸分子は、核酸構築物または 遺伝子治療ベクターなどのベクターの一部として存在し得る。好ましい態様では、上 記腫瘍細胞は、細胞表面に CD40を発現している。
本発明の処置方法で使用する種々の遺伝子治療ベクターは、細胞に直接感染で きるベクターを包含する。かかるベクターは多くの文献に記載されており、本発明に 記載した方法に容易に適用できる。
[0070] 本発明の処置方法には、 Raper, S. E. et al" Ann. Surg., 223: 116 (1996)、 Lu, L. et al., Crit. Rev. Oncol. Hematol., 22: 61 (1996)、 Koc, O. N. et al., Semin. Oncol., 23: 46 (1996)、 Fisher, L. J. et al., Curr. Opin. NeurobioL , 4: 735 (1994)、 Goldspiel, B. R. et al. , Clin. Pharm., 12: 488 (1993)、 Danko, I. et al" Vaccine, 12: 1499 (1994)、 Raz, E. et al., Pro Natl. Acad. Sci. U. S. A. , 90: 4523 (1993)、 Davis, H.し et al. , Hum. Gene Ther., 4: 151 (1993)、 Sugaya, S. et [AL.,] Hum. Gene Ther" 7: 223 (1996)、 Prentice, H. et al. , J. Mol. Cell Cardiol, 28: 133 (1996)、 Soubrane, C. et al" Eur. J. Cancer, 32A: 691 (1996)、 Kass-Eisler, A. et al., ann. N. Y. Acad. Sci., 772: 232 (1995)、 DeMatteo, R. P. et al, Ann. Surg., 222: 229 (1995)、 Addison,
C.し et al. , Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 92: 8522 (1995)、 Hengge, U. R. et al., J. Clin. Invest., 97: 2911 (1996)、 Feigner, P. L. et al., Ann. N. Y. Acad. Sci. , 772: 126 (1995)、 Furth, P. A" Hybridoma, 14: 149 (1995)、 Yovandich, J. et Aし, Hum. Gene Ther., 6: 603 (1995)、 Evans, C. H. et al. , Hum. Gene Ther" 7: 1261などに記 載の方法を包含する任意のタイプの遺伝子治療の手法を用いることができる。
[0071] 本発明はまた、本発明の変異体、核酸分子、ベクターおよび形質転換細胞からな る群から選択される成分を含む医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物における 好ましい成分は、ベクターおよび/または形質転換細胞であるが、裸の核酸分子を含 むことができる。かかる成分は単独で使用してもよいが、一般には薬学的に許容でき る担体と共に使用される。そのような担体としては、水、生理食塩水、グルコース、ヒト アルブミン等の水性等張溶液が好ましい。更に、薬学的に通常使用される添加剤、 保存剤、防腐剤、香料、アジュバント等を添加することもできる。そのように調製した医 薬組成物は、治療すべき疾病に依存して適切な投与形態、投与経路によって投与 すること力 Sできる。
[0072] 投与形態としては、例えば、乳剤、シロップ剤、カプセル、錠剤、顆粒剤、注射剤、 インプラント、軟膏等が挙げられるが、これらに限定されない。注射剤やインプラントな ど、直接体内に注入または埋入する組成物は、好適には適切な滅菌処理を施す。本 発明の医薬組成物がベクターを含む場合は、通常成人一人当たり 1回に 108個のベ クタ一を、該組成物が形質転換細胞の場合は、通常成人一人当たり 1回に 109個の 細胞を投与するのがそれぞれ好ましいが、かかる用量は疾病の状態や標的細胞'組 織の性質によって適宜変更することができる。投与回数は、 1日 1回〜数回でよぐ投 与期間は 1日〜数ケ月以上にわたってもよぐ 1回〜数回の投与を 1クールとして、長 期にわたって断続的に複数のクールを投与してもよい。投与経路は、特に限定され ないが、非経腸投与が好ましぐこのうち特に好ましいのは、静脈内、筋肉内、動脈内 、皮下などへの注射、点滴注入、インプラントの埋入である。
[0073] 本発明の医薬組成物は、 CD40陽性腫瘍、または CD40— CD40リガンド相互作 用の異常に起因する疾患または CD40— CD40リガンド相互作用を強化することによ り予防、治療効果が期待される疾患の処置に好適に用いることができる。 CD40陽性
腫瘍の例としては、リンパ腫、 AML、 AMML、 ALL, CML、 CMML、 CLLなどの 白血病、多発性骨髄腫、黒色腫、勝臓癌、前立腺癌、頭頸部癌、乳癌、肺癌、大腸 癌、胃癌、食道癌、卵巣癌、扁平上皮癌、肝細胞癌、胆管癌、中皮腫および類表皮 癌などの腫瘍力 CD40— CD40リガンド相互作用の異常に起因する疾患の例とし ては、 X連鎖型高 IgM症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、慢性関節リウマチ、 自己免疫性血管炎などの自己免疫性疾患およびァテローム性動脈硬化などが挙げ られる。また、 CD40— CD40リガンド相互作用を強化することにより予防、治療効果 が期待される疾患の例としては、 HIVや HTLV_ 1、 CMVなどのウィルス感染症、 細菌感染症、真菌感染症、寄生虫感染症などの感染症などが挙げられる。
[0074] 本発明の医薬組成物は、 CD40— CD40リガンド相互作用の強化を介して免疫力 を増強することができるので、一般的な免疫増強剤として用いることもできる。例えば 、該医薬組成物を疾患に特異的なワクチンとともに対象に投与することにより、ヮクチ ンの効果を増強することが可能となる。本発明の医薬組成物の力かる使用は、免疫 機能が低下してレ、る対象、例えば AIDSなどの免疫機能の低下を伴う疾患に罹患し ている個体、老齢個体、被ストレス個体などにとりわけ有効である。
実施例
[0075] 本発明を、以下の実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれらの実 施例に限定されるものではない。
実施例 1 :野牛型ヒト CD40L (hCD40L)のクローニング
GenBank受託番号 L07414として登録された hCD40Lの cDNAの塩基配列情報を もとに、下記のプライマーを作製した。
センスプライマー:
cggaattcagcatgatcgaaacatacaaccaaac 丄 795、 ΰ歹 11¾~亏13)、
アンチセンスプライマー:
cgggatcctcagagtttgagtaagccaaaggacg (ff Γ 96、 列 ¾·"^"14)
ヒト末梢血から単核球をリンホセパール (IBL社製、カタログ番号 23010)に重層遠心 法で採取し、 RPMI1640培地 (シグマ社製)に 10%牛胎児血清 CIRH社製)を添カロ した培地にて、 OKT3抗体(ヤンセンファーマ社製、薬品コード 6399409A1029)ととも
に 48時間インキュベーションし、活性化させた。該活性化細胞から定法に従い RNA を抽出し、これをテンプレートとして、以下の条件で RT—PCRを行った。
[0076] (1) 90. 4。C、 3分
(2) 94. 0°C、 1分
(3) 60. 4°C、 1分
(4) 72. 0°C、 1分
(5) 72. 0°C、 3分
(2)〜(4)の工程は 35サイクル繰り返し、工程(5)の後に得られた PCR産物を 4°C で保存した。
[0077] 次に、該産物を EcoRIおよび BamHIで消化し、配列番号 11の核酸配列を有する 80 lbpの野生型 hCD40L核酸断片を得た。得られた hCD40L断片 7 μ 1を pGEM-Tベクタ 一(Promega社製、米国特許第 4,766, 072号参照) 1 μ 1、 10 XT4DNAリガーゼバッフ ァー 1 μ 1および T4DNAリガーゼ 1 /i 1 (合計 10 μ 1)力らなる混合液を、 16°Cで 30分 間インキュベートすることにより該断片をプラスミド pGEM-Tにクローニングし、 hCD40Lの cDNAクローン(pGEM- T_hCD40L (図 1中の「クローニングベクター」に該 当))を得た。得られたプラスミドを、製造者のプロトコルに従い TOP 10細胞に導入し 、上記断片が所望の位置および方向で挿入されたことを確認した。
[0078] 実施例 2:発現ベクターへの hCD40Lのクローニング
プラスミド pCAccAngl (Yamauchi et al., J. Gene Med., 5(11):994- 1004, 2003参照) の EcoRI/Bglllサイトに上記で得た pGEM-T_hCD40Lの EcoRI/BamHI断片をクロー二 ングし、発現ベクター pCAcchCD40L (図 1中の「発現ベクター」に該当)を得た。すな わち、 50 μ 1の pGEM_T— hCD40Lを、 8 μ 1の 10 X NEBバッファー、 8 1の10 :63八 、 5 μ 1の EcoRI、 5 μ ΐの BamHIおよび 4 μ ΐの蒸留水とともに、および 2 μ 1 (2 μ gに丰目 当)の pCAccAnglを、 2 μ 1の 10 X NEBバッファー、 2 x l<D10 X BSA、 1 μ 1の EcoRI 、 Ι μ ΐの Bglllおよび 12 μ 1の 2回蒸留水とともに、それぞれインキュベートした後、 CI ΑΡで処理し、 hCD40Lの EcoRI/BamHI断片(約 800bp)および pCAccAnglの pCAcc/EcoRI/Bglll/CIAP断片(約 4. 7kb)を切り出し、それぞれ 10 μ 1の TEに溶解 した。そして、定法に従い、上記 EcoRI/BamHI断片を含む液 6 μ 1、
pCAcc/EcoRI/Bglll/CIAP断片を含む液 2 /i 1、 10 XT4DNAリガーゼバッファー 1 μ 1および T4DNAリガーゼ 1 μ 1 (合計 10 /i l)力 なる混合液を、 16°Cで 3時間インキュ ペートすることにより pCAcchCD40L (約 5. 5kb、図 1)を得た。得られたベクターを、製 造者のプロトコルに従レ、 TOP 10細胞に導入し、 EcoRI/BamHI断片が所望の位置お よび方向で挿入されたことを確認した。
[0079] 実施例 3:置換型核酸分子 hCD40LMl〜3のクローニング
本発明のヒト CD40L変異体の例である、 hCD40LMl〜4は、それぞれ配列番号 1〜4のアミノ酸配列を有し、野生型 hCD40Lと比較すると、 hCD40LMlは、 Glnll4 が Proに、 Lysl l5が Argに、 Glnl l8が Gluに、 Asnll9が Aspに、 hCD40LM2は、 Glnll4が Proに、 Lysl l5が Argに、 Aspl l7が Gluに、 Prol20が Serに、 hCD40LM3は 、 Glnll4が Proに、 Lysl l5が Argに、 Aspl l7が Gluに、 Glnll8が Gluに、 Asnl l9が Asp に、 Prol20が Serに、そして hCD40LM4は、 Glull2が Lysに、 Metll3が lieにそれぞ れ置換されている。上記変異体は、野生型 hCD40Lをコードする核酸分子に部位特 異的変異導入を行うことにより得た。変異導入部位は、表 1の通りである。
[0080] [表 1] 本発明の変異体の変異導入部位
(変異させた塩基を下線付きの太字で示す。)
なお、アミノ酸および塩基の上記置換箇所は、図 2中太字で示してある。 上記の置換を有する変異核酸分子のクローニングは、実施例 1で得た
pGEM-T-hCD40Lをテンプレートにした、合成オリゴヌクレオチドプライマーによる PC
R法と、それに引き続く TAクローニングにより行った。
まず、置換型核酸分子 hCD40LMlのクローニングについて示す。変異導入は、該 核酸分子の前半部分 (配列番号 1の 1〜356)および後半部分(同 349〜801)にそ れぞれ対応する、以下のプライマーの組を用いた PCR法によって達成した(図 3参照
) o
[0081] 前半部分
センスプライマー:
cggaattcagcatgatcgaaacatacaaccaaac 795、 ΰ歹 11¾~亏13)
アンチセンスプライマー:
tgccctaggcatttcaaagctgttttcttt (#1998、酉己歹 IJ番号 15)
後半部分
センスプライマー:
tgccctaggggtgatgaggatcctcaaattgcgg (ff 993、酉己列番亏 1
アンチセンスプライマー:
cgggatcctcagagtttgagtaagccaaaggacg (ff Γ 96、 列 ¾·"^"14)
[0082] PCRは、いずれも以下の条件で行った。
(1) 90. 4。C、 3分
(2) 94. 0。C、 30秒
(3) 60. 4。C、 30秒
(4) 72. 0。C、 1分
(5) 72. 0。C、 3分
工程(1)〜(5)の順に行レ、、 (2)〜(4)の工程は 35サイクル繰り返し、工程(5)の後 に得られた PCR産物を 4°Cで保存した。
[0083] [表 2]
反応液の組成
容量 ( 1 )
テンプレート 0. 1
1 0 x P C Rバッファ一 2.0
2 5 mM M g C 1 2 1.6
2 . 5 mM d N T P s 1.6
2 センスプライマ一 0.5
2 アンチセンスプライマー 0.5
TAKARA Ex Taq 0. 1
2回蒸留水 13.6
合計 20.0 得られた前半部分の断片(hCD40LMl-l)および後半部分の断片(hCD40LMl-2) を、それぞれ、実施例 1と同様にして TAクローニングした。こうして、置換型核酸分子 hCD40LMlの前半部分を含むクローニングベクター pGEM-T-hCD40LMl-lおよび 後半部分を含むクローニングベクター pGEM-T-hCD40LMl-2をそれぞれ得た。
[0084] 置換型核酸分子 hCD40LM2および hCD40LM3の前半部分および後半部分のクロ 一二ングベクター(hCD40LM2前半部分: pGEM-T-hCD40LM2-l、 hCD40LM2後半 部分 pGEM-T-hCD40LM2-2、 hCD40LM3前半部分: pGEM-T-hCD40LM3_l、 hCD40LM3後半部分: pGEM-T-hCD40LM3-2)は、後半部分のセンスプライマーが 、 hCD40LM2の場合は tgccctaggggtgagcagaattctcaaattgcggcac (#1995、配列番号 17 )、および hCD40LM3の場合は tgccctaggggtgaggaggattctcaaattgcggca (#1997、配歹 Ij 番号 18)であること以外は、 hCD40LMlと同様にして得た(図 3参照)。
[0085] 実施例 4:発現ベクターへの hCD40LMl〜3のクローニング
実施例 2と同様の方法で、図 4に示すように、置換型核酸分子 hCD40LMl〜3の前 半部分(EcoRI/Avrll)、後半部分 (Avrll/BamHI)および発現ベクター pCAccの断片( EcoRI/Bglll/CIAP)を切り出し、ライゲーシヨンさせることにより、全長 hCD40LMl (配 列番号 7)、全長 hCD40LM2 (配列番号 8)または全長 hCD40LM3 (配列番号 9)をそ れぞれ含む発現ベクター pCAcchCD40LMl、 pCAcchCD40LM2または
pCAcchCD40LM3を得た。得られたベクターは、製造者のプロトコルに従い TOP10
細胞に導入し、各置換型核酸分子が所望の位置および方向で挿入されたことを確 口 '[^し 7
[0086] 実施例 5:置換型核酸分子 hCD40LM4のクローニング
置換型核酸分子 hCD40LM4の変異導入は、当該核酸分子の前半部分 (配列番号 10の 1〜360)および後半部分(同 330〜801)を、それぞれに対応する以下のプラ イマ一の組を用いた PCR法により増幅した後、得られた両部分を含む混合物をテン プレートに、実施例 1で用いたプライマーの組を用いて再度 PCR法を行う、 2段階の PCRにより達成した。こうして 1段階目の PCRで得られた前半部分および後半部分を 、 2段階目の PCRにおいてつなぎ合わせ、 hCD40Lのコード領域全長に対応する置 換型核酸分子 hCD40LM4 (配列番号 10)を得ることができる。
[0087] 前半部分
センスプライマー:
cggaattcagcatgatcgaaacatacaaccaaac (i 795、回 S歹1 J番"^ "13)
アンチセンスプライマー:
atcacctttttgtattttaaagctgttttc (#1984、酉己歹 lj番号 19)
後半部分
センスプライマー:
gaaaac agcttt aaaat ac aaaaaggt gat (#1983、酉 d列 ¾·号 20)
アンチセンスプライマー:
cgggatcctcagagtttgagtaagccaaaggacg (ff Γ 96、 列 ¾·"^"14)
[0088] PCRの条件を以下に示す。
(1) 90. 4°C、 3分
(2) 94. 0°C、 30秒
(3) 60. 4°C、 30秒
(4) 72. 0°C、 1分
(5) 72. 0°C、 3分
工程(1)〜(5)の順に行レ、、 (2)〜(4)の工程は 35サイクル繰り返し、工程(5)の後
に得られた PCR産物を 4°Cで保存した。温度条件は、 1段階目、 2段階目とも同じで ある。
[0089] [表 3]
1段階目の P C Rの反応液の組成
容量 ( 1)
テンプレート 0.1
10 XPCRバッファ一 2.0
25mM MgC 12 1.6
2.5 mM dNTP s 1.6
25 Mセンスプライマ一 0.5
25 Mアンチセンスプライマー 0.5
TAKAEA Ex Taq 0.1
2回蒸留水 13.6
口 ol 20.0
[0090] [表: 4]
2段階目の P C Rの反応液の組成
容量 ( 1)
前半部分 1.0
後半部分 1,0
10 XPCRバッファ一 10.0
25mM MgC 12 8.0
2.5mM dNTP s 8.0
2 センスプライマー 2.5
2 アンチセンスプライマ一 2.5
TAKA A Ex Taq 1.0
回蒸留水 66.0 合計 100.0 こうして、得られた断片を、実施例 1と同様にして TAクローユングし、全長変異核酸 分子 hCD40LM4を含むクローニングベクター pGEM_T-hCD40LM4を得た。得られた ベクターは、製造者のプロトコルに従レ、 TOP 10細胞に導入し、該変異核酸分子が所 望の位置および方向で揷入されたことを確認した。
[0091] 実施例 6:発現ベクターへの hCD40LM4のクローニンク"
実施例 2と同様の方法で、図 5に示すように、変異核酸分子 hCD40LM4 ( EcoRI/BamHl)および発現ベクター pCAccの断片(EcoRI/Bglll/CIAP)を切り出し、ラ ィゲーシヨンさせることにより、変異核酸分子 hCD40LM4を含む発現ベクター pCAcchCD40LM4を得た。得られたベクターは、製造者のプロトコルに従い TOP10 細胞に導入し、該変異核酸分子が所望の位置および方向で揷入されたことを確認し た。
[0092] 実施例 7:欠失型栾異体 hCD40LDlのクローニング
欠失型の非切断性 hCD40L変異体は、非特許文献 4に記載のとおりに作製した。 すなわち、野生型 hCD40Lの cDNA (実施例 1参照)を、 M13mpl8ベクターの EcoRI 制限サイトにクローユングし、 Sculptor in vitro system (Amersham製)で、オリゴヌタレ ォチド tatgacatgtggcgctgttt-tctttcttccgを用いて、部位特異的に変異導入した。こうし て、野生型 hCD40Lの Phel 11〜Alal23に相当する領域を欠く欠失型核酸分子 hCD40LDl (図 2参照)を得た。得られた核酸分子は、実施例 6と同様に発現ベクター pCAccに組込んだ。
[0093] 実施例 8:野生型および変異型 hCD40Lを含むコスミドの作製
野生型の pCAcchCD40L、および、変異型の pCAcchCD40LMl、 PCAcchCD40LM2 、 pCAcchCD40LM3、 pCAcchCD40LM4、 pCAcchCD40LDlのそれぞれから、 CAプロ モーター、野生型もしくは変異型 hCD40Lの cDNA、およびポリ A付加シグナルを含む 発現カセットを Clalダイジェストで切り出し、 Clal断片 CAcchCD40L/ClaI、
CAcchCD40LMl/ClaI、 CAcchCD40LM2/ClaIおよび CAcchCD40LM3/ClaI、 CAcchCD40LM4/ClaI、 CAcchCD40LDl/ClaIをそれぞれ得た。次に、
CAcchCD40L/ClaI (野生型)を、コスミド pWEAx_F/RGD (約 39401bp、 Hum. Gene Ther., 13(5): 613-626, 2002に記載)の Clalサイトにクローニングし、コスミド pAxCAhCD40L- F/RGDを得た。
[0094] また、変異型の CAcchCD40LMl、 CAcchCD40LM2、 CAcchCD40LM3、
CAcchCD40LM4、 CAcchCD40LDlの発現カセット (Clalフラグメント)は、コスミド pAx3 にクローニングし、それぞれコスミド pAxCAhCD40LMl、 pAxCAhCD40LM2、
pAxCAhCD40LM3、 pAxCAhCD40LM4, pAxCAhCD40LDlを得た。なお、コスミド pAx3は、 pWEAx-F/RGDから派生したプラスミドであり、 pWEAx-F/RGDのアデノウィ ルスゲノム部分の左端が nt34〜455までであるところ、 pAx3コスミドでは ntl〜357まで となっている。図 6に、コスミド pWEAx_F/RGDおよび pAx3の模式図を示す。具体的 には、コスミド pAx3は、コスミド pAdexl (東京大学医科学研究所、齋藤泉教授から入 手。 Saito, I and Stark, G.R. Pro Natl. Acad. Sci. USA, 83: 8664-8668, 1986参照) を改変して作製し、 pAdexlの右端と左端を全長とし、左端は ntl〜357であり、右端の ファイバーの HIループには F/RGD変異が導入してある。本コスミドのバックボーンに はコスミド PWE15を用いており、 F/RGD変異(CDCRGDCFC)を含む HIループ部分( 166bp、配列番号 21)は、 pWEAx-F/RGDの場合と同様に、制限酵素サイト SacII、 Asel、 XhoI、 BamHI、 Mlul、 Sailと連なっている。発現カセットである Clal断片をコスミド の Clalサイトにクローユングした場合、 CAプロモーターの方向力 アデノウイルスゲノ ムに対して、右方向または左方向であるものが作られ得る力 本実施例においては、 すべて左方向のものを用いた(図 6参照)。
[0095] 実施例 9:組み換えアデノウイルスの作成
コスミド pAxCAhCD40L_F/RGDのアデノウイルスゲノムの右端を、 Padダイジェスト で切断した。また、変異型のコスミド pAxCAhCD40LMl、 pAxCAhCD40LM2、 pAxCAhCD40LM3、 PAxCAhCD40LM4, pAxCAhCD40LDlに関しては、アデノウィル スゲノムの左端と右端の両方を Paclダイジェストで切断した。得られた断片を、それぞ れ、 293細胞にトランスフエタトし、 Yoshida et al., Human Gene Therapy, 9(17): 2503-2515, 1998などに記載された通常の方法に従って、野生型の hCD40Lを有する 組み換えアデノウイルス AxCAhCD40L_F/RGD、ならびに、変異型の hCD40Lを持つ 組み換えアデノウイルス AxCAhCD40LMl、 AxCAhCD40LM2、 AxCAhCD40LM3、 AxCAhCD40LM4、 AxCAhCD40LDlをそれぞれ樹立した。ただし、本実施例では、 上記 Yoshida et al.に記載された DNA— TPCは使わず、コスミド DNAだけを 293糸田 胞にトランスフエタトして、アデノウイルスを作製した。
[0096] 実施例 10:野牛型または栾異型 hCD40Lを発現する組み換えレトロウイルスベクタ 一の作製
まず、野生型または変異型核酸を含む、レトロウイルス発現ベクターのプラスミド DN Aを作製した。レトロウイルス発現プラスミド pRxlbsr (日本遺伝子治療学会編集:「遺 伝子治療開発研究ハンドブック」、第 3章「導入技術」、 pp332-341、ェヌ 'ティー'エス 、 1999に記載)は、 Wakimoto et al., Jp. J. Cancer Res., 88: 296-305, 1997に記載さ れた pRxプラスミドから派生したものであり、ブラスチジン耐性マーカー遺伝子を有し ている。プラスミド pRxlbsrの模式図を図 7に示す。
野生型 hCD40L核酸を含むレトロウイルス発現プラスミド(pRxlhCD40L)は、 pGEM-T_hCD40Lから EcoRI/BamHIダイジェストで hCD40Lを切り出し、得られた hCD40Lの EcoRI/BamHIフラグメント、 pRxlbsrのサイトメガロウィルスェンハンサー C MVとレトロウイルスプロモーター dLTRを含む EcoRI/XhoIフラグメント(ntl〜2057、 2057bp)、および pRxlbsrの IRES-bsrを含む BamHI/XhoIフラグメント(nt2087〜6606、 4519bp)力 なる合計 3つのフラグメントをライゲーシヨンすることによって作製した。
[0097] 変異型核酸分子 hCD40LM4を含むレトロウイルス発現プラスミド(
pRxlhCD40LM4bsr)は、実施例 5で作製したクローニングベクター
pGEM_T_hCD40LM4から EcoRI/BamHIダイジェストで得た hCD40LM4の
EcoRI/BamHIフラグメントを用いた以外は上記と同様にして作製した。
変異型核酸分子 hCD40LMlを含むレトロウイルス発現プラスミド(
PRxlhCD40LMlbsr)は、実施例 3で作製したクローニングベクター
pGEM_T-hCD40LMl_lから EcoRI/Avrllダイジェストで得た hCD40LMlの前半部分( hCD40LMl-l/EcoRI/AvrII)、および pGEM- T_hCD40LMl_2から Avrll/Notlダイジェ ストで得た hCD40LMlの後半部分(hCD40LMl_2/ Avrll/Notl)を、 pRxlbsrの EcoRI/Notlサイトにクローニングすることによって作製した。
[0098] 変異型核酸分子 hCD40LM2を含むレトロウイルス発現プラスミド(
PRxlhCD40LM2bsr)は、上記と同様に、実施例 3で作製したクローニングベクター pGEM-T- hCD40LM2-lから EcoRI/Avrllダイジェストで得た hCD40LM2の前半部分( hCD40LM2- 1/EcoRI/AvrII)、および pGEM-T- hCD40LM2_2から Avrll/SacIIダイジェ ストで得た hCD40LM2の後半部分(hCD40LM2- 2/ Avrll/SacII)を、 pRxlbsrの EcoRI/SacIIサイトにクローニングすることによって作製した。
変異型核酸分子 hCD40LM3を含むレトロウイルス発現プラスミド(
PRxlhCD40LM3bsr)は、上記と同様に、実施例 3で作製したクローニングベクター pGEM_T-hCD40LM3_lから EcoRI/Avrllダイジェストで得た hCD40LM3の前半部分( hCD40LM3- 1/EcoRI/AvrII)、 pGEM-T-hCD40LM3_2から Avrll/BamHIダイジェスト で得た hCD40LM3の後半部分(hCD40LM3-2/Avrn/BamII)、 pRxlbsrのサイトメガロ ウィルスェンハンサー(CMV)とレトロウイルスプロモーター dLTRを含む EcoRI/XhoI フラグメント(ntl〜2057、 2057bp)、および、 pRxlbsrの IRES- bsrを含む BamHI/XhoIフ ラグメント(nt2087〜6606、 4519bp)の合計 4つの部分をライゲーシヨンすることによつ て作製した。
[0099] 組み換えレトロウイルスの作製と細胞株の樹立は、前記「遺伝子治療ハンドブック」 などに記載されている方法に従って行った。すなわち、 pRxlhCD40Lbsr、
pRxlhCD40LMlbsr、 pRxlhCD40LM2bsr、 pRxlhCD40LM3bsrおよび
pRxlhCD40LM4bsrをェコトロピックレトロウイルス産生細胞である BOSC23にそれぞ れリポフエクシヨンにより導入し、得られたェコトロッピックレトロウイルスを含む培養上 清を用いて、 ci CRIP— P131細胞を培養し、アンフォト口ピックレトロウイルスを産生 する φ CRIP— P131細胞を、野生型および変異型 hCD40Lのそれぞれについて得 た。さらに、得られた各 Φ CRIP— P131細胞の培養上清を用いてヒト神経膠腫細胞 U251を培養することにより、 U251細胞にアンフォト口ピックレトロウイルスを感染させ 、ブラストサイジンによる薬剤選択を行うことにより、 hCD40Lの野生型および 4種の 変異型をそれぞれ安定に発現する U251細胞の亜株を樹立し、それぞれ、
U251/CD40L, U251/CD40LM1, U251/CD40LM2, U251/CD40LM3および
U251/CD40LM4とした。
[0100] 実施例 11:野牛型および栾異型 hCD40Lの細朐膜上での発現
レトロウイルス感染により作製した野生型 hCD40Lおよび変異型 hCD40LMl〜4 を発現するトランスフエクタントが、細胞膜上にそれぞれの遺伝子産物を実際に発現 しているかを、フローサイトメトリー法にて確認した。すなわち、各トランスフヱクタントを 、選択薬剤ブラストサイジンの存在下で培養後、トリプシン— EDTA溶液 5mlにより 5 分間室温で処理し、培養フラスコより剥離、回収した。回収した細胞は、 10%牛胎児
血清加 DMEM培地を等量添加し、 1500卬 m、 5分の遠心により洗浄した。細胞ペレ ットを再び培地で撹拌後、 5 X 104個の細胞を各チューブに入れ、陰性コントロールと してフィコエリスリン (PE)標識マウス IgGl (BD社製)を、陽性コントロールとして PE標 識抗ヒト CD40L抗体 TRAP— 1 (BD社製)をそれぞれ 10 μ 1添カ卩し、 4°Cで 45分間 反応させた。 3回遠心洗浄後、リン酸緩衝食塩水 PBSにヨウ化プロピジゥム lOOngを 添加し、フローサイトメーター(BD社製)にて解析した。その結果、図 8に示すように、 野生型ならびに 4種の変異型トランスフヱクタントの細胞膜上に機能的な hCD40Lの 発現を確認した。
[0101] 実施例 12:栾異型 hCD40Lによる可溶化体産牛の定量
実施例 10で作製したトランスフエクタント(U251/CD40L、 U251/CD40LM1, U251/CD40LM2, U251/CD40LM3および U251/CD40LM4)が可溶化体 hCD40Lを 産生するか否かについて解析した。各トランスフエクタントを 3 X 104個/ mlまたは 1 X 104個/ mlの細胞濃度で、 2日間 37°Cで培養した。細胞培養液を回収し 2000卬 mで 10分間遠心した後、 0. 45 μ πιのフィルターで濾過し、培養上清とした。
U251/CD40L, U251/CD40LM1および U251/CD40LM2については、 3 β Μの ΜΜΡ 阻害剤(カルビオケム社製、 GM 6001)または同量の DMSOのいずれかを添加し、 可溶化体産生に与える ΜΜΡの影響を評価した。
[0102] 可溶化体 hCD40Lの定量は Kato et al., J. Clin. Invest., 104: 947-955, 1999に記 載されたサンドイッチ ELISA法にて測定した。まず、 ELISA用 96穴プレート (Coster 社製)に、 5 μ g/mlの抗ヒト CD40L抗体 TRAP— 1を 50 μ 1ずつ添加し、 4°Cで 16 時間反応させた。 5%FCS加 PBSを 200 μ 1ずつ添加してブロッキングを行った後、 培養上清サンプノレを 100 μ ΐずつ添カ卩した。陽性コントロールとして、リコンビナント h CD40Lタンパク質 (Alexis社製)を lOngZmlの濃度を開始点として 2倍希釈液を順 次作製し 100 μ ΐずつ添加した。室温で 2時間反応後、非付着成分を 0. 05%Twee n加 PBSで 3回洗浄し、 2 μ § 1111のビォチン標識抗ヒト〇040し抗体810_ 24_ 31 ( eBioscience社製)を ΙΟΟ μ Ιずつ添加し、室温で 1時間反応させた。 0. 05%Tween カロ PBSで 4回洗浄後、西洋ヮサビペルォキシダーゼ(HRP)標識ストレプトアビジン (Amersham社製) 500倍希釈液を 50 μ 1ずつ添加し、室温で 1時間反応させた。
[0103] 0. 05%Tween加 PBSで 5回洗浄後、ペルォキシダーゼ発色基質溶液 (BD社製) を 100 /i lずつ添カ卩し、室温で 10分間反応させ、 2N硫酸溶液で発色反応を停止し た。発色溶液の吸光度 450nmと対照吸光度 570nmを 96穴プレートリーダーで測定 し、数値化した。測定値はコンピュータ一にて解析し、標準タンパク質の吸光度から 標準曲線および近似式を計算し、培養上清サンプノレの吸光度の値から可溶化体 hC D40L値を計算した。その結果を図 9と図 10に示す。野生型 hCD40Lのトランスフエ クタントから産生される可溶化体量に比べて、 4種の変異体のトランスフヱクタントでは 、いずれも可溶化体の産生が低下していた。また、野生型 hCD40Lのトランスフヱク タントから産生される可溶化体の量は MMP阻害剤によって顕著に減少した。
[0104] 実施例 13:野牛型および栾異型 hCD40Lの CD40刺激活件
実施例 2、 4または 7でクローユングした野生型核酸分子 hCD40L、置換型核酸分子 hCD40LM3または欠失型核酸分子 hCD40LDlを、それぞれレトロウイルスベクターを 用いて U251細胞に遺伝子導入し、ブラストサイジン薬剤存在下で 2週間培養し耐性 株を選択した。これらの細胞をさらに抗 CD40L抗体と抗マウス IgG抗体結合磁気ビ ーズを室温で 1時間反応させ、 AutoMACS (ミルテニ一社製)を用いて CD40L陽性 細胞を選択分離した。各遺伝子導入細胞を培養用 6穴プレートに 1 X 104個培養後、 ヒト B細胞性白血病細胞(B— CLL)または B細胞性リンパ腫細胞(Ramos)を 5 X 104 個添加し 37°Cで 2日間培養した。培養後、白血病細胞またはリンパ腫細胞をそれぞ れ回収し FITC標識抗 CD95抗体、 FITC標識抗 CD54抗体、 PE標識抗 CD83抗 体、 PE標識抗 CD80抗体(いずれも BD社製)を各 5ml添加し 4°Cで 1時間反応後、 FACSにて抗原の発現量を解析した。その結果、図 11および 12に示すとおり、野生 型 CD40Lと置換型 CD40LM3はともに各抗原の発現を同程度誘導した力 欠失型 CD40LD1の発現誘導効果は前二者に比べて低ぐ生物活性が弱まることが確認さ れた。
[0105] 実施例 14 :野牛型および栾異型 hCD40Lのトランスフエクタントの牛体への移入およ びその畺 ,
野生型および変異型 hCD40Lの生体内での分布および各組織に与える影響を調 ベた。野生型 hCD40Lトランスフヱクタント (U251CD40L)または変異型 hCD40Lトラ
ンスフエタタント (U251CD40LM3)を、培養フラスコからトリプシン一 EDTA溶液を用い て回収し、遠心洗浄後、 10万個の細胞をマトリジエル(BD社製) 100 /i 1に懸濁した。
BALB/cヌードマウス腹側部皮下に、 1 X 105個の各トランスフエクタントを 26G針付 注射筒を用いて移植した。
移植トランスフエクタントの生着 (腫瘤)は 1週間後に確認された。図 13に示すとおり 、移植 21日後に、野生型 hCD40Lトランスフエクタント移植マウスにおいて全身性の 血管浮腫(ェデ一マ)が認められたが、変異型 hCD40Lトランスフヱクタント移植マウ スでは認められなかった。
また、図 14に示すように、移植 28日後にぉレヽて、野生型 hCD40Lトランスフエクタ ント移植マウスの前肢および後肢に関節炎の所見が認められたが、変異型 hCD40L トランスフエクタント移植マウスでは認められなかった。
さらに、移植 28日後には、野生型 hCD40Lトランスフエクタント移植マウスにおいて 軽度の下痢症状が確認された力 変異型 hCD40Lトランスフエクタント移植マウスで は認められなかった。
[0106] 移植 35日後に、野生型 hCD40Lトランスフエクタント移植マウスおよび変異型 hCD 40Lトランスフエクタント移植マウスの肝臓、腎臓の組織学的解析を行った。深麻酔 下にて安楽死した移植マウスから肝臓および腎臓を摘出し、 4%パラホルムアルデヒ ドリン酸緩衝液(和光純薬製)中に浸潤させ、 4°Cで 24時間、組織固定を行った。各 固定組織はパラフィン包坦後、薄利切片を作製し、へマトキシリンーェォジン染色を 行った。その結果、図 15に示すように、野生型 hCD40Lトランスフエクタント移植マウ スでは、肝臓実質内および胆管周縁部に多数の炎症細胞の浸潤を確認できた(図 中の円で囲んだ部分を参照)。これに対して、変異型 hCD40Lトランスフヱクタント移 植マウスでは、図 16に示すように、明らかな炎症細胞の浸潤を認めなかった。腎臓に おいても糸球体の萎縮.損傷が野生型 hCD40Lトランスフヱクタント移植マウスでは 認められたが、変異型 hCD40Lトランスフエクタント移植マウスでは認められな力 た
[0107] 移植 35日後の野生型 hCD40Lトランスフエクタント移植マウスおよび変異型 hCD4 0Lトランスフエクタント移植マウスの末梢血中の可溶化体 hCD40L値を ELISAにて
測定した。各移植マウスの末梢血をエツペンドルフチューブに採取後、 lOOOOrpm で 5分間遠心し、その上清を血漿成分として回収した。血漿を 3倍に希釈後、実施例 12に記載の方法に従って可溶化体 hCD40L値を測定した。その結果、図 17に示す ように、野生型 hCD40Lトランスフエクタント移植マウスの血中可溶化体 hCD40L値 は 840pg/mlであった。これに対して正常非移植マウスおよび変異型 hCD40Lトラ ンスフヱクタント移植マウスの可溶化体 hCD40L値は検出限界値(20pgZml)以下 であった。
実施例 15:アデノウイルスベクターによる野牛型または栾異型 hCD40L遺伝子の導 A
実施例 9で作製したアデノウイルスベクター AxCAhCD40L-F/RGD、
AxCAhCD40LM3および AxCAhCD40LM4を用いて U251細胞に遺伝子導入を行レヽ 、細胞膜上での発現と可溶化体の産生を解析した。 U251細胞 1 X 105個に対して 各アデノウイスルベクター溶液を添加して 3日間培養した。アデノウイルス量は細胞 1 個あたり 10および 100粒子ユニット (pu)加えた。遺伝子導入細胞は培養上精液を 回収した後、 EDTA溶液で細胞を回収し、 3回遠心洗浄後、 CD40Lの発現をフロー サイトメトリー法で解析した。その結果、図 18に示すように、野生型、変異型ともに膜 上に CD40Lの発現が確認された。また図 19に示すように、培養上清中に産生され る可溶化体も、変異型の CD40LM3および CD40LM4で低下しており、これはレト ロウィルスベクターで遺伝子導入した場合と同様であった(図 9〜: 10参照)。