一液常温硬化型シール剤組成物
技術分野
[0001] 本発明は、一液常温硬化型シール剤組成物に関し、铸鉄ゃアルミニウム製の金属 部材に対してだけでなぐ近年注目されている、マグネシウム合金製の部材に対して も優れた接着性を示し、エンジンオイル、ギヤオイル、オートマチックトランスミッション オイルに対する耐性にも優れている一液常温硬化型シール剤組成物に関する物で ある。
背景技術
[0002] 従来、自動車用金属部材の材料としては、铸鉄、アルミニウム等が大半を占めてお り、従来力ゝらの自動車用シール剤を使用しても該金属への接着性は十分に得られる ため、部材接着 ·シール性に特に問題はなかった。
[0003] しかしながら近年、 自動車用部材として重量がアルミニウムの約 2Z3であるマグネ シゥム合金が注目されて 、る。既に検討'実用化されて ヽる部材としてはボディ周辺 では、シートフレーム、インスツルメントパネル、ドアハンドル、ウィンド一モータハウジ ング、ラジオアンプノヽウジング、ミラーブラケット、ヘッドライトリテーナ一、シートベルト 部品、サンルーフフレーム、ウィンドーシーノレドアーム、コンバーチブルトップフレーム 、ネームプレート等、エンジン周辺では、シリンダーヘッドカバー、オイルポンプハウ ジング、オイルフィルターアダプター、エンジンオイルパン、インテークマ-ホールド、 EGRシステムバルブカバー、ターボチャージヤー部品、スロットルボディー、スタータ 一ハウジング等、駆動系周辺では、クラッチハウジング、 MTノヽウジング、 ATステータ 一、 ATサイドカバー、 ATノヽウジング、 ATピストン等、シャシ一周辺では、ホイール、 ステアリング芯金、ステアリングクラム部品、ブレーキペダルブラケット等が挙げられる
[0004] マグネシウム合金の実際の使用にお 、ては用途により化成処理 (クロム酸処理、重 クロム酸処理、改良クロム酸処理、硝酸第 2鉄処理、錫酸塩処理等)が施され防食性 •耐熱性等を向上させている。しかしながらその化成処理工程は多岐にわたるためコ
ストが非常に高ぐ近年マグネシウム合金においても表面化成処理なしで実用化され ることが望まれている。
[0005] 表面化成処理を施されたマグネシウム合金部材にお!/、ては従来の現場成形ガスケ ット(FIPG)、例えばスリーボンド 1216E、 1217F、 1280E等(株式会社スリーボンド 製)を使用することにより、接着破壊時の様式が凝集破壊 (CF: Cohesive Failure) となる程度の十分な接着性が得られており、現行品のままの使用が可能であり問題 はなかった。しかし表面化成処理を施して!/ヽな 、マグネシウム合金部材にお 、ては、 十分な接着性が得られず界面破壊 (AF: Adhesive Failure)となる。現場成形ガス ケットにおいて十分な接着性が得られていない場合、走行中の振動 ·衝撃等により接 面漏洩する危険性が高!ヽため、界面破壊でなく凝集破壊を起こすような十分な接着 性を得ることが必要である。
[0006] そこで、本出願人は特許文献 1に開示されるオルガノポリシロキサンを用いてマグネ シゥム合金素材への接着性に優れた一液常温硬化型シール剤を開示した。
特許文献 1:特開 2003 - 226862号公報
[0007] ところで、近年、エンジン部などェンジオイルやギヤ一オイルなどを高温時でシール しなければならな!/、箇所にぉ 、て、潤滑性能向上のため極圧添加剤を増加させたォ ィル類を使用する箇所が増えてきた。この部位にシリコーン榭脂を使用するとオイル 類に含まれる極圧添加剤がオルガノポリシロキサンの結合を切断してしま ヽ、シール 剤を劣化させてしまうという問題が発生するようになってきた。特に FIPGにおいては シール形状は薄膜であるためオイルとの接触により脆弱化したものは振動などにより シール剤が破壊されたり界面力 剥離したりなど重大な問題に発展する可能性があ つた。よって、特許文献 2のようにシリコーン榭脂を用いず、アクリル酸エステルを共重 合させた!/、わゆるアクリルゴムを用いたシール剤も提案されて 、る。アクリルゴムはシ リコーン榭脂に比べ、極圧添加剤による劣化は少ないものであり、そのような箇所に 対して有用である。しかしながら特許文献 2に代表されるアクリルゴムは常温で固体 であるため固形パッキンとして使用することしかできず、 FIPGに手軽に使用するとい うことはできなかった。
特許文献 2:特開平 8 - 284746号公報
[0008] 一方、比較的低分子のアクリル酸エステルの共重合体の分子中に反応性官能基を 付加し、反応性官能基を反応させることにより硬化させる技術は古くから提案されて いた。それは特許文献 3などに記載され、特許文献 3記載の組成物を使用すれば、 塗布時は液状であるため簡便に塗布することが可能であり、硬化させるとアクリルゴム の耐オイル性が発現されるため非常に有用な組成物である。しかし、実際にはアタリ ル酸エステルの共重合反応において選択的に反応性官能基を付加することは困難 であり、商業的にこのような榭脂は実用化されていな力つた。近年、特許文献 4〜7な どに記載される方法により、反応性の液状アクリルゴムが開発され、実用的にも可能 になるに至った。
特許文献 3:特開昭 61— 133201号公報
特許文献 4:特開平 11— 80250号公報
特許文献 5:特開 2000— 38404号公報
特許文献 6 :特開 2001— 271055号公報
特許文献 7:特開 2002— 69121号公報
[0009] 特許文献 3〜7に記載される榭脂組成物を FIPG法の現場成形ガスケットに応用し てみると耐オイル性に優れ、前述の問題点は解決される力 さらに前述のマグネシゥ ムへの接着性は低ぐ特に表面化成処理を施して 、な 、マグネシウム合金部材にお いては、十分な接着性が得られないという問題点があった。そこで、特許文献 1に記 載のマグネシウムへの接着性向上技術をビニル系重合体に用いてみた力 マグネシ ゥム合金への接着性に優れたシール剤組成物は得られな力つた。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] 本発明の目的は、マグネシウム合金素材単体に使用しても優れた接着性及び耐薬 品性を有し、かつ従来力も使用されている铸鉄、アルミニウム部材等にも使用可能で ある一液常温硬化型シール剤組成物、即ち現場成形ガスケット (FIPG)になりうるシ ール剤組成物を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0011] すなわち本発明は (A)架橋性シリル基を分子中に少なくとも 1個有するビニル系重
合体、(B)表面を榭脂酸で処理した炭酸カルシウム、(C)エポキシ基を有する可塑 剤、および (D)アミノ基を有するシランカップリング剤を含有する一液常温硬化型シ ール剤組成物に関する。
発明の効果
[0012] 本発明の組成物は、耐薬品性、耐オイル性に優れたシール剤用組成物であり、特 に自動車用マグネシウム合金部材用の現場成形ガスケットとして優れた接着性等の 効果を示すものである。
発明を実施するための最良の形態
[0013] 以下、本発明を詳細に説明する。本発明の (A)成分は分子中に架橋性シリル基を 少なくとも 1個有するビニル系重合体である。
[0014] (A)成分の主鎖を構成するビュル系モノマーとしては特に限定されず、各種のもの を用いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メ タ)アクリル酸ェチル、(メタ)アクリル酸— n—プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル 、(メタ)アクリル酸— n—ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸— tert ーブチル、(メタ)アクリル酸—n—ペンチル、(メタ)アクリル酸—n キシル、(メタ) アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸—n プチル、(メタ)アクリル酸 n— ォクチル、(メタ)アクリル酸 2—ェチルへキシル、(メタ)アクリル酸ノエル、(メタ)ァク リル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フ ニル、(メタ)アクリル酸 トルィル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸— 2—メトキシェチル、(メタ)ァ クリル酸— 3—メトキシブチル、(メタ)アクリル酸— 2 ヒドロキシェチル、(メタ)アタリ ル酸— 2—ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジ ル、(メタ)アクリル酸 2—アミノエチル、 γ (メタクリロイルォキシプロピル)トリメトキシ シラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルォロメ チルメチル、(メタ)アクリル酸 2—トリフルォロメチルェチル、(メタ)アクリル酸 2—パー フルォロェチルェチル、(メタ)アクリル酸 2—パーフルォロェチルー 2—パーフルォロ ブチルェチル、(メタ)アクリル酸 2—パーフルォロェチル、(メタ)アクリル酸パーフル ォロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルォロメチルメチル、(メタ)アクリル酸 2—パー フルォロメチル 2—パーフルォロェチルメチル、(メタ)アクリル酸 2—パーフルォロ
へキシルェチル、(メタ)アクリル酸 2—パーフルォロデシルェチル、(メタ)アクリル酸 2 パーフルォ口へキサデシルェチル等の(メタ)アクリル酸系モノマー;スチレン、ビ- ルトルエン、 a—メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等 のスチレン系モノマー;パーフノレオ口エチレン、パーフノレオ口プロピレン、フツイ匕ビ-リ デン等のフッ素含有ビュルモノマー;ビュルトリメトキシシラン、ビュルトリエトキシシラ ン等のケィ素含有ビュル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノ アルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエス テル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、ェチルマレイミド、プロピ ルマレイミド、ブチルマレイミド、へキシルマレイミド、ォクチルマレイミド、ドデシノレマレ イミド、ステアリルマレイミド、フエ-ルマレイミド、シクロへキシルマレイミド等のマレイミ ド系モノマー;アクリロニトリル、メタタリ口-トリル等の-トリル基含有ビュル系モノマー ;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビュル系モノマー;酢酸ビュル、プロ ピオン酸ビュル、ピバリン酸ビュル、安息香酸ビュル、桂皮酸ビュル等のビニルエス テル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジェン 類;塩化ビュル、塩ィ匕ビユリデン、塩化ァリル、ァリルアルコール等が挙げられる。これ らは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。(A)成分の主鎖は( メタ)アクリル系モノマー、アクリル-トリル系モノマー、芳香族ビュル系モノマー、フッ 素含有ビュル系モノマー及びケィ素含有ビュル系モノマー力 なる群力 選ばれる モノマーを主として重合されたものが好ましい。なかでも、生成物の物性等から、スチ レン系モノマー及び (メタ)アクリル酸系モノマーが好ましい。より好ましくは、アクリル 酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーであり、特に好ましくはアクリル 酸エステルモノマーであり、更に好ましくは、アクリル酸ブチルである。本発明におい ては、上記モノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わなく 、その際は、上記モノマーが重量比で 40%以上含まれていることが好ましい。なお上 記表現形式で例えば (メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および Zあるいはメタクリル酸 を表す。
また、この (A)成分のビニル系重合体の主鎖は、限定はされないが、リビングラジカ ル重合により製造されることが好ましぐ原子移動ラジカル重合であることがより好まし
い。さらに、原子移動ラジカル重合は、限定はされないが、周期律表第 7族、 8族、 9 族、 10族、または 11族元素を中心金属とする遷移金属錯体より選ばれる錯体を触媒 とすることが好ましぐ銅、ニッケル、ルテニウム、又は鉄の錯体力 なる群より選ばれ る錯体がより好ましぐ中でも銅の錯体が特に好ましい。これらの製造方法はすでに 公知の方法であり上述の特許文献 3〜7に詳しく記載されている。
[0016] 更に、(A)成分は、特に限定されないが、ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィーで 測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(MwZMn)の値が、 1 . 8未満であるのが好ましい。
[0017] (A)成分の架橋性シリル基としては、加水分解性シリル基、水酸基、重合性の炭素 炭素二重結合、あるいはエポキシ基を有するケィ素等が挙げられるが、反応性の 良さ、扱いやすさから、加水分解性シリル基が好ましい。加水分解性シリル基の具体 例としてはアルコキシ基、アミノキシ基、ケトォキシム基、ァセトキシ基、アミノ基などを 有するケィ素基が挙げられる。
[0018] (A)成分の架橋性シリル基の位置は末端が好ましい。その他に主鎖内部に同様の 官能基を有しても構わないが、架橋させた硬化物にゴム弾性を求める場合等には末 端のみに官能基を有することが好ましい。
[0019] (A)成分の架橋性シリル基の数は、特に限定されないが、より架橋性の高い硬化 物を得るためには、 1分子当たり平均して 1個以上、好ましくは 1. 2個以上、より好ま しくは 1. 5個以上である。また、架橋性シリル基の位置は分子末端にある方が架橋点 間分子量が大きくとれるため好ましい。よって、最も好まし形態としては分子の両末端 に架橋性シリル基が存在するものである。
[0020] 架橋性シリル基を分子中に少なくとも 1個有するビニル系重合体の合成方法として は、(a)アルケニル基を少なくとも 1個有するビニル系重合体に架橋性シリル基を有 するヒドロシランィ匕合物を、ヒドロシリル化触媒存在下に付加させる方法 (b)水酸基を 少なくとも 1個有するビニル系重合体に一分子中に架橋性シリル基とイソシァネート 基のような水酸基と反応し得る基を有する化合物を反応させる方法 (c)ラジカル重合 によりビニル系重合体を合成する際に、 1分子中に重合性のァルケ-ル基と架橋性 シリル基を併せ持つ化合物を反応させる方法 (d)ラジカル重合によりビニル系重合体
を合成する際に、架橋性シリル基を有する連鎖移動剤を用いる方法 (e)反応性の高 い炭素 ハロゲン結合を少なくとも 1個有するビニル系重合体に 1分子中に架橋性シ リル基と安定な力ルバ-オンを有する化合物を反応させる方法;などがあげられる。
[0021] また、(e)の方法で用いる反応性の高い炭素—ハロゲン結合を少なくとも 1個有す るビニル系重合体の合成法は例として、
(e— 1)ラジカル重合において特開平 4— 132706号公報に示されるような、例えば 四塩化炭素、塩ィ匕エチレン、四臭化炭素、臭化メチレンのような有機ハロゲン化物を 連鎖移動剤に用いる方法 (連鎖移動剤法)。
(e— 2)前述のような有機ハロゲンィ匕物等を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒とす る原子移動ラジカル重合法;などが挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
[0022] (a)の方法で用いるアルケニル基を少なくとも 1個有するビニル系重合体は種々の 方法で得られる。以下に合成方法を例示するが、これらに限定されるわけではない。
[0023] (a— 1)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、例えば一分子中に重 合性の低 、ァルケ-ル基と比較的重合性の高 ヽァルケ二ル基を併せ持つ化合物を 第 2のモノマーとして反応させる方法。
(a— 2)リビングラジカル重合によりビュル系重合体を合成する際に、重合反応の終 期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、例えば 1, 5 へキサジェン、 1, 7—ォ クタジェン、 1, 9ーデカジエンなどのような重合'性の低いァノレケニノレ基を少なくとも 2 個有する化合物を反応させる方法。
(a— 3)反応性の高い炭素 ハロゲン結合を少なくとも 1個有するビニル系重合体 に、例えばァリルトリブチル錫、ァリルトリオクチル錫などの有機錫のようなアルケニル 基を有する各種の有機金属化合物を反応させてハロゲンを置換する方法。
(a— 4)反応性の高い炭素 ハロゲン結合を少なくとも 1個有するビニル系重合体 に、アルケニル基を有する安定ィ匕カルバ-オンを反応させてハロゲンを置換する方 法。
(a— 5)反応性の高い炭素 ハロゲン結合を少なくとも 1個有するビニル系重合体 に、例えば亜鉛のような金属単体あるいは有機金属化合物を作用させてエノレートァ ユオンを調製し、しかる後にハロゲンゃァセチル基のような脱離基を有するァルケ-
ル基含有化合物、アルケニル基を有するカルボニル化合物、アルケニル基を有する イソシァネートイ匕合物、アルケニル基を有する酸ハロゲン化物等の、ァルケ-ル基を 有する求電子化合物と反応させる方法。
(a— 6)反応性の高い炭素 ハロゲン結合を少なくとも 1個有するビニル系重合体 に、例えばァルケ-ル基を有するォキシァ-オンあるいはカルボキシレートァ-オン を反応させてハロゲンを置換する方法。
[0024] またアルケニル基を少なくとも 1個有するビニル系重合体は、水酸基を少なくとも 1 個有するビニル系重合体力 得ることも可能であり、以下に例示する方法が利用でき るがこれらに限定されるわけではない。
水酸基を少なくとも 1個有するビニル系重合体の水酸基に、
(a— 7)ナトリウムメトキシドのような塩基を作用させ、塩ィ匕ァリルのようなアルケニル基 含有ハロゲン化物と反応させる方法。
(a— 8)ァリルイソシァネート等のァルケ-ル基含有イソシァネートイ匕合物を反応させ る方法。
(a— 9) (メタ)アクリル酸クロリドのようなァルケ-ル基含有酸ハロゲン化物をピリジン 等の塩基存在下に反応させる方法。
(a- 10)アクリル酸等のアルケニル基含有カルボン酸を酸触媒の存在下に反応させ る方法;等が挙げられる。
[0025] 本発明では(a— 1) (a— 2)のようなアルケニル基を導入する方法にハロゲンが直接 関与しな!、場合には、リビングラジカル重合法を用いてビュル系重合体を合成するこ とが好ま 、。制御がより容易である点から (a— 2)の方法がさらに好ま 、。
[0026] 反応性の高い炭素 ハロゲン結合を少なくとも 1個有するビニル系重合体のハロゲ ンを変換することによりァルケ-ル基を導入する場合は、反応性の高い炭素 ハロゲ ン結合を少なくとも 1個有する有機ハロゲンィ匕物、またはハロゲン化スルホ二ルイ匕合 物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーをラジカル重合すること( 原子移動ラジカル重合法)により得られる、末端に反応性の高い炭素 ハロゲン結 合を少なくとも 1個有するビニル系重合体を用いるのが好ましい。制御がより容易であ る点から(a— 6)の方法がさらに好ま 、。
[0027] 本発明の (B)成分は表面を榭脂酸で処理された炭酸カルシウムからなる充填材で ある。この充填剤は後述するその他の成分と組み合わせることより組成物のマグネシ ゥム合金部材への接着性を向上させ、かつ耐油性を向上させる。(B)成分の配合量 は、(A)成分 100重量部に対し、通常 20〜150重量部、好ましくは 30〜: LOO重量部 である。 30重量部未満ではマグネシウム合金部材への接着性が不十分となる傾向 があり、 100重量部を越えると十分なゴム物性が得られず脆くなる傾向あるいは組成 物粘度が高くなる傾向があり、実用的でない。
[0028] 表面処理をするための榭脂酸はァビエチン酸'レボピマール酸'ネオアビェチン酸
•ノ ラストリン酸 ·デヒドロアビエチン酸 ·イソピマール酸 ·サンダラコピマール酸 ·ピマー ル酸 'コムル酸 ·セコデヒドロアビエチン酸 ·ジヒドロアビエチン酸等の榭脂酸、及び榭 脂酸塩が挙げられる。上記の各種処理剤は 1種または 2種以上を組み合わせて使用 される。表面処理の方法は特開昭 60— 13864号公報に記載の方法など公知の方 法で処理することができる。このような (B)成分としては丸尾カルシウム社製の MT— 100、 MSK— G、竹原化学工業のネオライト GP— 200, SA— 100が商業的に容易 に入手可能である。
[0029] 本発明の(C)成分は、エポキシ基を有する可塑剤である。この可塑剤は本願の他 の成分との組み合わせでマグネシウム合金部材への接着性を向上させる。 (C)成分 の配合量は、(A)成分 100重量部に対し、通常 1〜: L00重量部の範囲で使用される 。好ましくは 5〜30重量部である。添加量が多すぎると、硬化物の機械強度が不足す る傾向がある。 1重量部未満では、組成物のマグネシウム合金部材への接着性が向 上しない傾向がある。
[0030] (C)成分の主鎖としては、ビニル系重合体が好ましぐ主鎖を構成するビュル系モ ノマーとしては特にスチレン系モノマー及び (メタ)アクリル酸系モノマーが好まし!/、。 より好ましくは、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーである 。このような (C)成分の例としては、東亞合成社製の UG— 4010や日本油脂社製の ブレンマー CP - 50Mなどが商業的に容易に入手可能である。
[0031] 本発明の(D)成分は、アミノ基を有するシランカップリング剤である。このカップリン グ剤は本発明の他の成分との組み合わせでマグネシウム合金部材への接着性を向
上させる。特に (C)成分のエポキシ基との組み合わせにより効果を発揮する。(D)成 分の配合量は、(A)成分 100重量部に対し、通常 0. 1〜20重量部の範囲で使用さ れる。好ましくは 0. 5〜: L0重量部である。添加量が多すぎるとシーリング材組成物を 硬化させた硬化物のゴム弾性がなくなる傾向があり、シーリング材としての機能を果 たさなくなることがある。
[0032] (D)成分のシランカップリング剤の具体例としては、 γ —ァミノプロピルトリメトキシシ ラン、 γ—ァミノプロピルトリエトキシシラン、 γ—ァミノプロピルメチルジメトキシシラン 、 γ—ァミノプロピルメチルジェトキシシラン、 γ—(2—アミノエチル)ァミノプロビルト リメトキシシラン、 γ - (2—アミノエチル)ァミノプロピルメチルジメトキシシラン、 γ - ( 2—アミノエチル)ァミノプロピルトリエトキシシラン、 Ύ— (2—アミノエチル)ァミノプロ ピルメチルジェトキシシラン、 γ—ウレイドプロピルトリメトキシシラン、 Ν—フエニル一 γ—ァミノプロピルトリメトキシシラン、 Ν—ベンジノレ一 γ—ァミノプロピルトリメトキシシ ラン、 Ν—ビュルベンジル一 y—ァミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シ ラン類等を挙げることができる。
[0033] 本発明の組成物は、上記した (A)〜(D)成分の併用により、特に自動車用マグネ シゥム合金部材用の液状シール剤として優れた接着性等の効果を示すものである。 また、本願は上述の (A)〜(D)成分以外に、反応性触媒を添加することが好ましい 。反応性触媒は (A)成分の架橋性シリル基の反応を促進するものである。架橋性シ リル基が加水分解性ケィ素であるとき、例えばジブチルスズジメトキサイド、ジブチル スズジアセテート、ジブチルスズジオタテート、ジブチノレスズジラウレート、ジメチルス ズジメトキサイド、ジメチルスズジアセテート、ジォクチルスズジラウレート等の有機ス ズ化合物、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラー 2—ェチルへ キシルチタネート、ジメトキシチタンジァセチルァセトナート等の有機チタンィ匕合物、 へキシルァミン、 3—ァミノプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルダァニジルプロピル トリメトキシシラン等のアミンィ匕合物やこれらの塩、グァ-ジン化合物等の室温硬化促 進触媒が挙げられる。
[0034] さらに本発明には従来公知な各種添加剤を添加することができる。例えば、難燃剤 、硬化性調整剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、金属不活性剤、ォ
ゾン劣化防止剤、顔料などである。また、(B)〜(D)成分以外の無機充填剤、可塑剤 、シランカップリング剤も添加しても良いが、本発明の趣旨に反しない範囲で添加す る必要がある。
実施例
[0035] 以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、本発明は、下記 実施例に限定されるものではない。なお、下記実施例および比較例中「部」および「 %」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
[0036] 下記実施例中、「数平均分子量」および「分子量分布 (重量平均分子量と数平均分 子量の比)」は、ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチ レン換算法により算出した。ただし、 GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填し たもの(shodex GPC K— 804 ;昭和電工 (株)製)、 GPC溶媒としてクロ口ホルムを 用いた。
[0037] (製造例 1)
還流管および攪拌機付きの 10Lのセパラブルフラスコに、 CuBr (42. 0g、 0. 293 mol)を仕込み、反応容器内を窒素置換した。ァセトニトリル(559mL)を加え、オイ ルバス中 70°Cで 45分間攪拌した。これにアクリル酸ブチル(1. 00kg)、 2, 5—ジブ ロモアジピン酸ジェチル(176g、 0. 488mol)、ペンタメチルジェチレントリァミン(4. 00mL、 3. 32g、 19. 2mmol) (これ以降トリァミンと表す)をカ卩え、反応を開始した。 70°Cで加熱攪拌しながら、アクリル酸ブチル (4. 00kg)を 190分かけて連続的に滴 下した。アクリル酸ブチルの滴下途中にトリァミン(4. 00mL、 3. 32g、 0. 0192mol) を追カ卩した。反応開始より 310分経過後に 1, 7—ォクタジェン(1. 44L、 1. 07kg, 9 . 75mol)、トリァミン(20. 5mL、 17. 0g、 98. lmol)を加え、引き続き 70。Cで 210 分加熱攪拌した。
[0038] 反応混合物をへキサンで希釈し、活性アルミナカラムを通した後、揮発分を減圧留 去することによりアルケニル基末端重合体 (重合体 [1])を得た。重合体 [1]の数平均 分子量は 14000、分子量分布は 1. 3であった。
[0039] 還流管付 10Lセパラブルフラスコに、重合体 [1] (2. 7kg)、安息香酸カリウム(142 g)、 N, N—ジメチル酢酸アミド(2. 7L)を仕込み、窒素気流下 70°Cで 25時間加熱
攪拌した。加熱減圧下で N, N—ジメチル酢酸アミドを除去した後、トルエンで希釈し た。トルエンに不溶な固体分 (KBrおよび余剰な安息香酸カリウムを活性アルミナ力 ラムで濾過した。ろ液の揮発分を減圧留去することにより重合体 [2]を得た。
[0040] 還流管付 2L丸底フラスコに、重合体 [2] (2. 7kg)、珪酸アルミ(540g、協和化学 製、キヨ一ワード 700PEL)、トルエン(2. 7L)を仕込み、窒素気流下 100°Cで 5時間 加熱攪拌した。珪酸アルミを濾過により除去した後、ろ液のトルエンを減圧留去する ことにより重合体 [3]を得た。
[0041] 1L耐圧反応容器に重合体 [3] (760g)、ジメトキシメチルヒドロシラン (46. 3mL、 0 . 38mol)、オルトぎ酸メチル(13. 7mL、 0. 13mmol)、および 0価白金の 1, 1, 3, 3—テトラメチル— 1, 3—ジビュルジシロキサン錯体を仕込んだ。ただし、白金触媒 の使用量は、重合体のアルケニル基に対してモル比で 10— 3当量とした。反応混合 物を 100°Cで 1時間加熱した。混合物の揮発分を減圧留去することにより、シリル基 末端重合体 (重合体 [4] )を得た。得られた重合体の数平均分子量は GPC測定 (ポリ スチレン換算)により 15000、分子量分布は 1. 4であった。重合体 1分子当たりに導 入された平均のシリル基の数を 1H NMR分析により求めた
ところ、 2. 0個であった。
[0042] (実施例 1〜6及び比較例 1〜: LO)
製造例 1で得られた重合体 [4] lOOgと表 1に記載の配合物を配合量で混練し、実 施例 1のシール剤組成物を得た。同様に実施例 2〜6,比較例 1〜10の組成物も表 の通り調製した。ただし、表中の語句は以下の通りである。
オリゴマー A:両末端にメトキシシリル基を有するアクリル共重合体、 OR300S (鐘淵 化学社製)
炭酸カルシウム 1:榭脂酸で表面処理した炭酸カルシウム、ネオライト GP— 20 (竹 原化学社製)
炭酸カルシウム 2:脂肪酸で表面処理した炭酸カルシウム、白艷華 CCR (白石工業 社製)
シリカ粉:シリカ粉フューズレックス ZA— 30 (龍森社製)
可塑剤 1:エポキシ基を有するアクリル系可塑剤、 UG— 4010 (東亞合成社製)
可塑剤 2 :水酸基を有するアクリル系可塑剤、 UH— 2041 (東亞合成社製) 可塑剤 3:官能基のな 、アクリル系可塑剤、 UP- 1000 (東亞合成社製) カップリング剤 1 : γ—ァミノプロピルトリメトキシシラン、 Α— 1110 (日本ュ-カー社 製)
カップリング剤 2 : γ—グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、 Α— 187 (日本ュ-カ 一社製)
カップリング剤 3 : γ—メルカプトプロピルトリメトキシシラン、 Α— 189 (日本ュニカー 社製)
酸化防止剤: AO— 50 (旭電化社製)
硬化触媒:ジブチル錫ジァセチルァセトナート
脱水剤:メチルトリメトキシシラン、 A— 163 (日本ュ-カー)
[0043] 得られた各シール剤を厚さ 2mmのシート状に成型し、 23± 2°C X 50± 5%RHの 雰囲気下で 7日養生し、ゴム弾性体を得た。それを JIS K 6249に従い物性 (硬さ、 引張り強さ、伸び率)を測定したところ表 1に示す結果が得られた。
[0044] また接着性を確認するために、幅 25mm、長さ 100mmのアルミニウム被着体同士 あるいはマグネシウム合金被着体とアルミニウム被着体をシール剤厚み lmm、ラップ 幅 10mmにて貼合せ接着面積 2. 5cm2のせん断接着テストピースを作製し、 23 ± 2 °C X 50士 5%RHの雰囲気下で 7日養生後、 50mmZminの速度でせん断方向に 引張り、引張せん断接着強さを測定した。同時に接着面のシール剤破壊状態 (凝集 破壊率: CF率)を目視にて確認した。これ〖お IS K 6249に準じて行った。その結 果を表 1に示す。
[表 1]
さらに、上述の接着力測定のテストピースと同様のものを作成しギヤオイルに浸漬し 150°Cで 240時間放置した。その後、室温に冷却したものについて同様に引張せ
ん断接着強さを測定した。その結果を表 1に表す。
[0046] 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲 を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明ら かである。
本出願は、 2004年 4月 1日出願の日本特許出願 (特願 2004— 109040)に基づくもの であり、その内容はここに参照として取り込まれる。
産業上の利用可能性
[0047] 本発明は自動車部品のシール剤に適するものであり、特にマグネシウム素材を使 用した部品のシール剤として利用可能である。