WO2005055850A1

WO2005055850A1 - 屈曲動作部材、多節スライダ・リンク機構、アクチュエータおよびマニピュレータ

Info

Publication number: WO2005055850A1
Application number: PCT/JP2004/018598
Authority: WO
Inventors: Takeyoshi Dohi; Nobuhiko Hata; Hiromasa Yamashita; Akihiro Iimura; Toji Nakazawa
Original assignee: Thk Co., Ltd.
Priority date: 2003-12-11
Filing date: 2004-12-13
Publication date: 2005-06-23
Also published as: EP1693018A4; US20070219581A1; EP1693018A1

Abstract

　屈曲動作部材およびマニピュレータの先端部分を、先端側の第１関節部の屈曲動作の終了後に、後端側の第２関節部の動作が開始する多節スライダ・リンク機構により構成する。中空部にリンク部材２３を覆って摺接ガイドするガイドリンク部２６を封入して、空気漏れを防ぐ。多節機構において、第２関節部の屈曲動作の開始に要するモーメントの大きさを、第１関節部の屈曲動作に要するモーメントより大きくするために、接合部の２つのフレームを互いに順テーパとする。マニピュレータをアクチュエータ部と屈曲鉗子部とからなり、互いに着脱可能とする。アクチュエータ部に、モータとリンク部材２３に連結する嵌合穴を設けたプレートを有するジョイントアーム１３を設ける。屈曲鉗子部内部のリンク部材２３の着脱側一端に連結ピン２１を設け、ジョイントアーム１３の弾性体１３ａの嵌合穴１３ｃに嵌合させて、相互に連結・分離可能とする。

Description

明細書

屈曲動作部材、多節スライダ'リンク機構、ァクチユエータおよびマニピュレータ

技術分野

[0001] この発明は、屈曲動作部材、多節スライダ'リンク機構、ァクチユエータおよびマニピユレータに関し、特に、大気圧より高い圧力の空間内に挿入して作業を行う際に用いられるマニピュレータに適用して好適なものである。また、複数の関節部を有し、隣り合う 2つの関節のうちの先端側の関節の屈曲動作の終了後に後端側の屈曲動作が開始される多節スライダ'リンク機構を有するマニピュレータに適用して好適なものである。また、低侵襲外科手術などの医療用に用いられるマニピュレータに適用して好適なものである。

背景技術

[0002] 近年、外科手術の発達の一分野として重要なものの一つに低侵襲外科手術を挙げること力 Sできる。

[0003] すなわち、通常、外科手術においては、治療を行う際に治療を施す部位のみならず、この治療部位に到達するまでのアプローチパスの確保および手術作業領域の確保のために、正常な組織の切開などが必要となる。たとえば、胆嚢を摘出する場合においては、おなかの皮および筋肉を切り、腹腔内にハサミなどの手術器具を挿入する必要がある。

[0004] そこで、手術時において患者に対するダメージ、およびダメージを与える可能性を低減した手術が必要となり、このようなダメージを抑制することができる手術として、低侵襲手術が採用されている。

[0005] し力しながら、患者に対するダメージの低減という利点を有する低侵襲手術においては、低侵襲性の実現のため、種々の問題を有している。その問題点は、主として、手術に用いられる腹腔鏡や長鉗子などの手術器具の有する自由度の低さが原因である。

[0006] 具体的には、これらの手術器具が腹壁上の切開孔ゃトロカールを通じて腹腔内に導入されるため、切開孔などの点がほぼ固定されていることを考慮すると、患部へのアプローチは限られた方向からのみとなる。これによつて、手術手技の制限をもたらす結果となり、手テの難易度があがってしまうという問題があった。

[0007] そこで、このような問題を解決するため、従来の手術器具に新たな自由度を付加したマニピュレータの開発が進められ、種々の提案がされている。

[0008] このようなマニピュレータに関する開発に伴って、多節スライダ'リンク機構を用いた鉗子マニピュレータが提案されている。この鉗子マニピュレータの多節スライダ.リンク機構の部分を図 6に示す。

[0009] 図 6に示すように、この従来技術による鉗子マニピュレータにおいては、スライダ'リンク機構の 1自由度の屈曲機構力 3つのフレーム 101， 102, 103と、 ±45度に回転可能な 2ピンの回転軸 104, 105 (2ピンジョイント）と、駆動用リンク節 106， 107, 1 08と、拘束用リンク節 109， 110とから構成されている。

[0010] そして、駆動用リンク節 108を所定方向にスライドさせることによって、それぞれのフレーム 101 , 102, 103に対して、回転車由 104, 105の周りのモーメントを与える。また、拘束用リンク節 109, 110は、先端側のフレーム 101が ±45度回転した後に、初めて 2番目のフレームが回転動作を開始するように、動作に制限をかけるためのリンク節である。

[0011] このような構成によって、 1自由度について両側 ± 90度の屈曲が可能となる。そして、この 1自由度屈曲機構を、その屈曲する方向において互いに 90度になるように前後に 2つ連結させることにより、互いに独立して 90度まで屈曲可能なマニピユレ一タを構成することができる。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0012] し力ながら、上述した従来のマニピュレータにおいては、次のような問題があった

[0013] すなわち、マニピュレータを用いて低侵襲手術を行う場合、例えば、先端の可動部に手術器具を配設したマニピュレータを、腹壁上の切開孔などを通じて腹腔内に導入する場合などにおいては、手術をできる限り容易にするために、腹腔内を加圧して大気圧より高圧にし、視野の拡大や手術を行うための空間をある程度確保する方法が採られる。

[0014] そして、この腹腔内が加圧されている状態において、マニピュレータの先端部分を腹腔内に導入すると、腹腔内の空気が漏れ出てしまうという問題があった。腹腔内の気体が漏出してしまうと、腹腔内を再度加圧したり、常時空気を供給したりする必要力あるという負担が生じてしまう。

[0015] そこで、本発明者が、この空気の漏出の原因を検討したところ、空気の漏出について次の理由が存在することを知見するに至った。

[0016] すなわち、上述のようなマニピュレータの先端部におけるリンク機構からなる可動部を動作させるためには、隣接するフレームの屈曲部において、屈曲用の空間（例えば、くさび状部分）が必要になるとともに、このフレームを動かすために、先端部分の可動部に駆動力を伝達しなければならなレ、。

[0017] そして、この先端部分にまで駆動力を伝えるためには、図 6に示すように、駆動用リンク節 108などのリンク部材が必要となる。さらに、このリンク部材を可動部と連結させて先端部分まで保持し収納するために中空部分を有する管も必要になる。

[0018] 本発明者は、これらのマニピュレータの構造上の制約に着目し、大気圧より高圧になっている空間内の気体がフレームの屈曲部および管の中空部分を通じて外部に漏れ出てしまうことが、腹腔内の空気の漏出の原因の一つであることを想起するに至つに。

[0019] 上述したことは、低侵襲外科手術に限らず、周辺の圧力より高い圧力空間内に、マニピユレータの先端部分や、このマニピュレータと着脱可能に構成された屈曲動作部材の先端部分を導入して駆動させる場合においても、同様に生じる問題である。

[0020] したがって、この発明の目的は、周辺の圧力より高圧の空間内に、屈曲動作部材ゃマニピュレータの先端部分を導入する場合に、この高圧の領域内部の気体が屈曲動作部材ゃマニピュレータの可動手段を通じて外部に漏出するのを防止することによつて、高圧の空間内の圧力を維持することができる屈曲動作部材およびマニピュレータを提供することにある。

[0021] また、従来の多節スライダ'リンク機構およびこれを有するマニピュレータにおいては、次のような問題があった。

[0022] すなわち、上述したように、多節スライダ'リンク機構は、端部が所定角度に切削された 3つのフレーム 101 , 102, 103と、これらのフレーム 101, 102, 103力 S相互に連結された 2つの関節部を有して構成されている。

[0023] そして、通常の屈曲動作においては、図 7Aに示すように、まず、第 1関節部 201が屈曲動作を行い、この第 1関節部 201の屈曲動作の終了後に、第 2関節 202の屈曲動作が実行される。すなわち、第 2関節部 202の屈曲動作は、第 1関節部 201の屈曲動作完了まで開始されないように構成されている。

[0024] しかしながら、図 7Bに示すように、フレーム 101 , 102, 103自体の自重や、そのほ力、の外力の作用を受けることによって、第 1関節部 201の屈曲動作終了前に第 2関節部 202が屈曲してしまったり、本来の第 2関節部 202の屈曲方向に対して、若干逆向きに屈曲してしまったりすることがある。

[0025] 第 2関節部 202において、このような屈曲が生じると、図 7Bに示すように、拘束用リンク 109とフレーム 102の内壁面とのなす角度 Θ 、図 7Aに示す通常の屈曲動作

2

時における角度 Θ に比して、大きな角度になる。

1

[0026] これによつて、拘束用リンク 109によりフレーム 102の内壁に作用する力が大きくなるため、拘束用リンク 109とフレーム 102との間の摩擦力が大きくなり、多節スライダ' リンク機構のリンク部分に、引つかかり、いわゆる「かじり」と称される現象が発生する。そして、この「かじり」という現象が発生すると、この多節スライダ'リンク機構自体が動かなくなるという問題があった。

[0027] したがって、この発明の第 2の目的は、隣り合う 2つの関節部における後端側の関節部である第 2関節部における引つ力、かり現象 (かじり現象）の発生を抑制して予期しない屈曲動作の停止を防止し、機構の動作の円滑化を図ることによって、多節スライダ 'リンク機構を有する装置を円滑に安定して動作させることができる多節スライダ'リンク機構、屈曲動作部材およびマニピュレータを提供することにある。

従来のマニピュレータにおいては、次のような問題があった。

[0028] すなわち、外科手術においては、手術用具を頻繁に交換する必要がある。また、特に低侵襲外科手術においては、手術用具として用いられるマニピュレータを体内に低侵襲状態で進入させつつ稼動させる必要があるので、大型になる。そのため、このような大型なマニピュレータを頻繁に交換するのは極めて煩雑であり、さらには手術自体の遅延も招いてしまう。

[0029] また、このような手術に使用される手術用具は、洗浄作業や滅菌作業を行う必要がある。し力ながら、このような大型の手術用具で、かつ可動系や動力系が混在するようなマニピュレータの洗浄作業や滅菌作業を行うのは、極めて煩雑であり、困難であった。

[0030] したがって、この発明の第 3の目的は、屈曲動作部材の交換を効率よく短時間で行うことができるとともに、屈曲動作部材を手術などの用途に用いる場合に、その洗浄作業や滅菌作業を簡略化することができる屈曲動作部材、ァクチユエータおよびマニピユレータを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0031] 上記第 1の目的を達成するために、この発明の第 1の発明は、

先端側の部分が屈曲可能に構成された可動手段と、

可動手段に駆動力を伝達可能に構成された駆動力伝達手段と、

可動手段と連結しているとともに、駆動力伝達手段が収納された中空部を有する部材揷通手段と、

中空部の部分に設けられた気密部材とを有する

ことを特徴とする屈曲動作部材である。

[0032] この第 1の発明において、典型的には、可動手段の先端に、少なくとも一方の鉗子部材が回転可能に構成された一対の鉗子部材が設けられ、駆動力伝達手段により伝達された駆動力に応じて、一対の鉗子部材が固形物を把持可能に構成されている。

[0033] この発明の第 2の発明は、

先端側の部分が屈曲可能に構成された可動手段と、

可動手段を動作させるための駆動力を発生可能に構成された駆動力発生手段と、駆動力発生手段により発生された駆動力を可動手段に伝達可能に構成された駆動力伝達手段と、可動手段に連結されているとともに、駆動力伝達手段が収納された中空部を有する部材揷通手段と、

中空部の部分に設けられた気密部材とを有する

ことを特徴とするマニピュレータである。

[0034] この第 2の発明において、典型的には、可動手段の先端に、少なくとも一方の鉗子部材が回転可能に構成された一対の鉗子部材が設けられ、駆動力発生手段において発生された駆動力が、駆動力伝達手段によって伝達されることにより、一対の鉗子部材により固形物を把持可能に構成されてレ、る。

[0035] これらの第 1および第 2の発明において、典型的には、駆動力伝達手段による可動手段に対する駆動力の伝達時に、気密部材が駆動力伝達手段と摺接するように構成されている。

[0036] これらの第 1および第 2の発明において、典型的には、可動手段が、複数の関節部を有して構成され、複数の関節部のうちの隣り合う 2つの関節部において、先端側の関節部の屈曲が終了した後に後端側の関節部が屈曲動作を開始するように構成されている。

[0037] 上記第 2の目的を達成するために、この発明の第 3の発明は、

複数の関節部を有して屈曲可能に構成された可動手段を有し、

複数の関節部のうちの、互いに同一側に屈曲可能に構成され、かつ隣り合う先端側の第 1関節部および後端側の第 2関節部において、第 1関節部における屈曲動作の終了後に第 2関節部における屈曲動作が開始するように構成された多節スライダ' リンク機構であって、

第 2関節部の屈曲動作の開始に要するモーメントの大きさが、第 1関節部の屈曲動作に要するモーメントの大きさより大きレ、

ことを特徴とする多節スライダ'リンク機構である。

[0038] この発明の第 4の発明は、

先端側の部分に複数の関節部を有して屈曲可能に構成された可動手段と、可動手段に駆動力を伝達可能に構成された駆動力伝達手段とを有し、複数の関節部のうちの、互いに同一側に屈曲可能に構成され、かつ隣り合う先端側の第 1関節部および後端側の第 2関節部において、第 1関節部における屈曲動作の終了後に第 2関節部における屈曲動作が開始するように構成され、

ことを特徴とする屈曲動作部材である。

[0039] この発明の第 5の発明は、

先端側の部分に複数の関節部を有して屈曲可能に構成された可動手段と、可動手段を動作させるための駆動力を発生可能に構成された駆動力発生手段と、駆動力発生手段により発生された駆動力を可動手段に伝達可能に構成された駆動力伝達手段とを有し、

複数の関節部のうちの、互いに同一側に屈曲可能に構成され、かつ隣り合う先端側の第 1関節部および後端側の第 2関節部において、第 1関節部における屈曲動作の終了後に第 2関節部における屈曲動作が開始するように構成され、

第 2関節部の屈曲動作の開始に要するモーメントの大きさが、第 1関節部の屈曲動作に要するモーメントの大きさより大きい

ことを特徴とするマニピュレータである。

[0040] これらの第 3から第 5の発明において、典型的には、第 2関節部は、屈曲動作の屈曲方向に垂直な回転軸を有し、回転軸を共通として、第 2関節部を構成する、第 1の骨組部材と第 2の骨組部材とにおいて、第 1の骨組部材が第 1の結合部を有し、第 2 の骨組部材が第 2の結合部を有し、第 1の結合部と第 2の結合部とが回転軸を共通として連結され、第 2関節部の屈曲動作に伴って、第 1の結合部および第 2の結合部の間において回転軸に沿った方向に生じる力が増加するように構成されている。

[0041] これらの第 3から第 5の発明において、具体的には、第 1の結合部における第 2の結合部との接触面と、第 2の結合部における第 1の結合部との接触面とが、屈曲していない状態において互いの接触面同士が倣う形状を有する順テーパ面となっている。

[0042] これらの第 3から第 5の発明において、典型的には、第 2関節部における屈曲動作に伴って、第 2関節部が屈曲していない状態に復帰する方向にモーメントが作用されるように構成されている。 [0043] これらの第 3から第 5の発明において、典型的には、可動手段の先端に、少なくとも一方の鉗子部材が回転可能に構成された一対の鉗子部材が設けられ、駆動力発生手段において発生された駆動力が、駆動力伝達手段によって伝達されることにより、一対の鉗子部材により固形物を把持可能に構成されている。

[0044] 上記第 3の目的を達成するために、この発明の第 6の発明は、

先端側の部分が屈曲可能に構成された可動手段と、

可動手段に駆動力を伝達可能に構成された駆動力伝達手段とを有し、駆動力を発生する駆動力発生手段を有するァクチユエータと着脱可能、かつ、駆動力伝達手段が駆動力発生手段からの駆動力を可動手段に伝達可能に構成されている

ことを特徴とする屈曲動作部材である。

[0045] この第 6の発明において、典型的には、可動手段が複数の関節部を有し、複数の関節部における、互いに同一側に屈曲可能に構成され、かつ隣り合う先端側の第 1 関節部および後端側の第 2関節部において、第 1関節部における屈曲動作の終了後に第 2関節部における屈曲動作が開始するように構成されている。

[0046] この第 6の発明において、典型的には、駆動力伝達手段が少なくとも 1つのリンク部材から構成され、リンク部材における着脱側の一端により第 1の連結部が構成され、第 1の連結部において駆動力発生手段と連結可能に構成されている。

[0047] この第 6の発明において、典型的には、第 1の連結部が凸部を有し、凸部が、嵌合穴が形成されているとともにァクチユエータにおける駆動力の伝達方向に対してほぼ垂直な方向に付勢する弾性体力なる第 2の連結部における嵌合穴に、嵌入可能に構成されている。

[0048] この発明の第 7の発明は、

可動手段を動作させるための駆動力を発生可能に構成された駆動力発生手段を有するとともに、先端側の部分に可動手段を有する屈曲動作部材と着脱可能に構成されている

ことを特徴とするァクチユエータである。

[0049] この第 7の発明において、典型的には、駆動力発生手段が第 2の連結部を有し、駆動力発生手段の第 2の連結部が、屈曲動作部材における可動手段に駆動力を伝達する駆動力伝達手段の第 1の連結部と連結可能に構成されている。

[0050] この第 7の発明において、典型的には、ァクチユエータにおける第 2の連結部力駆動力の伝達方向に対してほぼ垂直な方向に付勢する、嵌合穴が形成された弾性体を有し、嵌合穴が、嵌合穴に嵌合可能な凸部を有する屈曲動作部材の第 1の連結部に対して、駆動力発生手段によりァクチユエータにおける第 2の連結部がほぼ直線的に進行し、弾性体が凸部に対して付勢力を生じつつ、凸部に嵌合可能に構成されている。

[0051] この発明の第 8の発明は、

端側の部分が屈曲可能に構成された可動手段および、可動手段に外部から作用される駆動力を伝達可能に構成された駆動力伝達手段を有する屈曲動作部材と、可動手段を動作させる駆動力を発生可能に構成された駆動力発生手段を有するァクチユエ一タとを有し、

屈曲動作部材とァクチユエータとが着脱可能に構成されているとともに、駆動力発生手段の第 2の連結部と駆動力伝達手段の第 1の連結部とが連結可能に構成されている

ことを特徴とするマニピュレータである。

[0052] この第 8の発明において、典型的には、屈曲動作部材とァクチユエータとの接合後に、駆動力発生手段と駆動力伝達手段との連結動作が行われるように構成されているとともに、屈曲動作部材とァクチユエータとの分離動作に伴って、駆動力発生手段と駆動力伝達手段との連結が分離するように構成されてレ、る。

[0053] この第 8の発明において、典型的には、ァクチユエータにおける第 2の連結部力駆動力の伝達方向に対してほぼ垂直な方向に付勢する、嵌合穴が形成された弾性体を有し、屈曲動作部材における第 1の連結部が、嵌合穴に嵌合可能な凸部を有し、駆動力発生手段によって、ァクチユエータにおける第 2の連結部がほぼ直線的に進行し、凸部に対して付勢力を生じつつ嵌合されることにより、駆動力伝達手段と駆動力発生手段とが連結されるように構成されてレ、る。

[0054] この発明の技術的思想は、必ずしも上述の組み合わせに限定されるものではなぐ上述した複数の発明を、適宜、任意に組み合わせることにより実現される技術的思想をも包含するものである。

発明の効果

[0055] 以上説明したように、第 1の発明による屈曲動作部材および第 2の発明によるマ二ピユレータによれば、外気圧より圧力が高くなつているほぼ密閉された空間内に、マニピユレータゃ屈曲動作部材の可動部を挿入して作業を行う場合に、密閉領域内部の気体が外部に漏出するのを低減し、防止することができるので、密閉領域内部の空気を再度加圧したり、密閉領域の内部に気体を供給し続けたりする煩雑さを低減すること力 S可言となる。

[0056] また、第 2の発明によるマニピュレータによれば、低侵襲外科手術において、患者の腹腔内などの体内を大気圧より高い圧力にして手術を行うような場合であっても、患者の腹腔内の空気が、外部に漏出することを防止することができるので、安全性を維持しつつ、術者による低侵襲手術の容易化を図ることが可能となる。

[0057] 以上説明したように、第 3の発明による多節スライダ'リンク機構、第 4の発明による屈曲動作部材および第 5の発明によるマニピュレータによれば、同一方向に屈曲するように構成された隣り合う 2つの関節部のうちの後端側の第 2関節部における引つ力、かり現象 (かじり現象）の発生を抑制して、予期しない屈曲動作の停止を防止し、機構の動作の円滑化を図ることができるので、多節スライダ'リンク機構を有する装置を円滑に安定して動作させることができる。

[0058] また、第 3の発明による多節スライダ'リンク機構、第 4の発明による屈曲動作部材ぉよび第 5の発明によるマニピュレータによれば、低侵襲手術に用いられる場合においても、屈曲動作部材ゃマニピュレータの多節スライダ'リンク機構における、引つかかり（かじり）現象を防止して、機構を円滑に作動させることができ、屈曲動作部材ゃマニピユレータの動作を安定させることができるので、安全性を維持しつつ、術者による低侵襲手術の容易化を図ることが可能となる。

[0059] 以上説明したように、第 6の発明による屈曲動作部材および第 7の発明によるァクチユエータによれば、屈曲動作部材の交換を効率よく短時間で行うことができるとともに、屈曲動作部材を手術などの用途に用レ、る場合に、その洗浄作業や滅菌作業を簡略化することができるとともに、安全性を維持しつつ、術者による低侵襲手術の容易化を図ることが可能となる。

発明を実施するための最良の形態

[0060] 以下、この発明の一実施形態によるマニピュレータについて図面を参照しつつ説明する。図 1に、この一実施形態によるマニピュレータの全体構造を示す。

[0061] (マニピュレータ）

図 1Aに示すように、この一実施形態によるマニピュレータは、駆動力発生手段としてのァクチユエータ部 1と、ジョイント式屈曲鉗子部 2とから構成されている。

[0062] ァクチユエータ部 1は、主にステンレス綱（SUS304)力も構成され、筐体としてのァウタ一ケース 11、 3つのモータベース 12aに備えられた 3個の減速機付モータ 12、連結プレート 13aおよび連結スプリング 13bを備えた 3本のジョイントアーム 13、ジョイントアーム 13をガイドするためのアームガイド 14、ベアリングベース 15、ガイドベース 16 、ベアリングケース 17および、カップリング 18を有して構成されている。

[0063] また、図 1Aおよび図 1Bに示すように、ァクチユエータ部 1のアウターケース 11におけるジョイント部 19の側には、ジョイント式屈曲鉗子部 2のジョイント部 19と連結させるための連結ガイド溝 11aが、例えば L字状に形成されている。

[0064] このァクチユエータ部 1においては、減速機付モータ 12により駆動力が発生されるように構成されている。そして、この駆動力力ベアリングケース 17およびカップリング 18を通じて、ジョイントアーム 13に伝達される。

[0065] このジョイントアーム 13は、駆動力を、ジョイント式屈曲鉗子部 2の先端の可動部である鉗子部に伝達するためのものである。また、ジョイントアーム 13は、駆動力の発生に伴う駆動に応じて、ァクチユエータ部 1の長手方向に移動可能に構成されている。

[0066] ジョイント式屈曲鉗子部 2は、先端側の、多節スライダ'リンク機構からなる鉗子部材としての把持部を有する屈曲鉗子部 30と、他端側の、ァクチユエータ部 1と連結するためのジョイント部 19とが、中空部を有するフレーム 24により、連結されて構成されている。

[0067] これらのうちのジョイント部 19は、ジョイントケース 19aおよびグリップベース 19bと、ァクチユエータ部 1との着脱時において留め具として連結ガイド溝 11aに嵌め合わされる着脱ピン 20とを有して構成されてレ、る。

[0068] ジョイントケース 19aの内部には、上述した 3本のそれぞれのジョイントアーム 13とそれぞれ連結可能に構成された、 3組の連結ピン 21およびロケートベース 22が設けられている。これらの 3組の連結ピン 21およびロケートベース 22は、それぞれ駆動力を先端側の屈曲鉗子部 30に伝達する 3本のリンク部材 23におけるジョイント部 19側の一端にそれぞれ設けられている。

[0069] ここで、この連結ピン 21およびロケートベース 22とジョイントアーム 13との連結に関して、図面を参照しつつ説明する。図 2Aに、この一実施形態によるジョイントアーム 1 3を示し、図 2Bに、この一実施形態によるリンク部材 23の一端の連結ピン 21およびロケートベース 22を示し、図 2Cに、分離時と結合時とにおける、連結ピン 21および口ケートベース 22と、ジョイントアーム 13との位置関係の、図 1の C—C線に沿った断面図を示す。

[0070] 図 2Aに示すように、この一実施形態によるジョイントアーム 13は、連結プレート 13a とアーム本体 13eと力構成されている。連結プレート 13aは、ジョイントケース 19a側の一端の近傍に開口 13cが形成されてレ、るとともに、アーム本体 13eの外側が山型になるように「く字形」に折れ曲がった、板状の部材からなる。また、連結プレート 13a は、板状の面に対してほぼ垂直な方向に、付勢力を有しつつたわむように構成されている。

[0071] また、図 2Bに示すように、この一実施形態によるロケートベース 22は、板状に構成されているとともに、連結ピン 21の設けられた部分が段差形状となり、凸状に形成されている。また、この板状のロケートベース 22の一端部がリンク部材 23の一端部を固定するようにして折り曲げられて、リンク部材 23の一端部と接続されている。また、この一実施形態においては、連結ピン 21は、ロケートベース 22の段差状に形成された面のほぼ中央部分に設けられている。すなわち、この連結ピン 21は、上述したジョイントアーム 13の連結プレート 13aの開口 13cと嵌合可能な位置に設けられている。

[0072] (ァクチユエータ部とジョイント式屈曲鉗子部との連結）

次に、これらの連結ピン 21と開口 13cとの嵌合について説明する。

[0073] まず、ァクチユエータ部 1とジョイント式屈曲鉗子部 2とを連結させる。すなわち、ジョイント式屈曲鉗子部 2の着脱ピン 20を、ァクチユエータ部 1の連結ガイド溝 11a (図 1 B参照）に嵌入させる。これにより、ジョイントアーム 13がジョイント式屈曲鉗子部 2のジョイント部 19の内部に進入していく。このとき、連結ピン 21およびロケートベース 22 と、ジョイントアーム 13との最初の位置関係は、図 2Cにおける点線部（分離時側）となる。

[0074] その後、連結ガイド溝 1 1aの形状に沿って嵌入を進めると、ァクチユエータ部 1とジョイント式屈曲鉗子部 2とが中心軸の周りに互いに相対的に回転される。これにより、連結ピン 21およびロケートベース 22とジョイントアーム 13との断面側からの位置関係は、図 2Cにおける実線部（接合側）となる。このァクチユエータ部 1とジョイント式屈曲鉗子部 2とが中心軸の周りに互いに相対的に回転されて連結されたのみでは、連結ピン 21と開口 13cとの嵌合がされていない状態となる。このときの状態を図 3Aに示す。

[0075] 図 3Aに示すように、ァクチユエータ部 1とジョイント式屈曲鉗子部 2とが連結された当初の状態では、連結ピン 21および開口 13cはほぼ同一の面内に位置している力レヽずれも嵌合してレ、なレ、状態となる。

[0076] その後、図 3Bに示すように、減速機付モータ 12を駆動させることによって、ジョイントアーム 13を連結ピン 21側に進行させる。このジョイントアーム 13の進行に伴って、アーム本体 13eの連結プレート 13a側の部分力ロケートベース 22の段差状の部分によって案内されるように進行する。これとともに、連結プレート 13aの先端部分が連結ピン 21の上端を摺接するように持ち上げられ、弾性力を発生しつったわむように変形される。

[0077] その後、ジョイントアーム 13をさらに進行させると、図 3Cに示すように、開口 13cと連結ピン 21とが合致して、さらに連結プレート 13aに生じていた弾性力により、連結プレート 13aの開口 13cと連結ピン 21とが嵌合される。

[0078] これらの一連の動作によって、連結ピン 21と開口 13cとが嵌合されて、ジョイントァーム 13とロケートベース 22とが連結される。これにより、減速機付モータ 12により発生される駆動力を、ジョイントアーム 13およびロケートベース 22を通じて、リンク部材 2 3に伝達させることが可能となる。

[0079] なお、ァクチユエータ部 1とジョイント式屈曲鉗子部 2とを取り外す際には、上述の結合と逆の動作を行う。すなわち、ァクチユエータ部 1とジョイント式屈曲鉗子部 2とをそれらの中心軸の周りに、図 2Cに示す分離時側に回転させる。これにより、ジョイントァーム 13は、ロケートベース 22における連結ピン 21の突出側に持ち上げられ、連結ピン 21と開口 13cとの嵌合が外される。その後、連結ガイド溝 11aの形状に沿って、着脱ピン 20を外す方向に移動させる。以上により、ァクチユエータ部 1とジョイント式屈曲鉗子部 2とが分離される。

[0080] 通常、手術においては、手術用具を頻繁に交換する必要がある力ァクチユエータ部 1とジョイント式屈曲鉗子部 2との構成を、上述のように連結可能および取り外し可能に構成することによって、重量があるァクチユエータ部 1を交換することなぐエンドエフヱクタ部としてのジョイント式屈曲鉗子部 2のみを交換することができるので、必要な用具を効率よく短時間で交換することが可能となる。

[0081] また、ジョイント式屈曲鉗子部 2などのエンドエフヱクタ部におけるジョイント部 19を、上述のように構成することによって、ァクチユエータ部 1を複数種類のエンドェフエクタ部で共用することが可能となるため、低コスト化を図ることができる。また、エンドエフェクタ部とァクチユエータ部 1とを分離可能に構成することにより、洗浄や滅菌なども容易に行うことが可能となる。

[0082] また、ァクチユエータ部 1とジョイント式屈曲鉗子部 2との連結状態下において、減速機付モータ 12の駆動力を伝達する 3本のリンク部材 23は、円筒状で中空部分を有するフレーム 24に収納されている。

[0083] (気体漏出防止機構）

このフレーム 24とジョイント部 19との連結部分の内部には、リンク部材 23を保持する、例えばポリカーボネート（PC)力なるリンクベース 25が設けられている。

[0084] また、図 4に示すように、フレーム 24の内部におけるグリップベース 19bから先端側に向かって途中部分まで、リンクガイド部 26が封入されている。このリンクガイド部 26 は、リンク部材 23a, 23b, 23cをそれぞれ保持するためのものであるとともに、先端側の屈曲鉗子部 30から進入してくる気体などの流体を遮断するためのものである。これにより、気体がフレーム 24およびジョイント部 19を通じて外部に漏出するのを、フレーム 24の内部において防止することが可能となる。 [0085] そして、リンク部材 23a, 23b, 23cがフレーム 24の長手方向に沿って駆動力を伝達する際には、これらのリンク部材 23a, 23b, 23cとリンクガイド部 26とが摺接する。そのため、このリンクガイド部 26の材料としては、リンク部材 23との摺接耐久性が高く、かつ気体の透過性（通気性）の低い材料、例えばポリカーボネート（PC)などが採用される。

[0086] (多節スライダ'リンク機構）

このような気密性が向上されたフレーム 24内に収納されたリンク部材 23によって、駆動力が伝達される可動側の屈曲鉗子部 30は、多節スライダ'リンク機構となっている。すなわち、リンク部材 23により駆動力が伝達されることにより、フレーム 24の内部において気体の透過を防止して、気密性を維持しつつ、先端側の屈曲鉗子部 30が屈曲可能に構成されている。

[0087] 具体的に、この一実施形態によるマニピュレータによる屈曲鉗子部 30においては、第 1のフレーム 31、第 2のフレーム 32、第 3のフレーム 33、第 4のフレーム 34、および第 5のフレーム 35が同軸に沿って直列に連結されて構成されている。

[0088] 第 1のフレーム 31と第 2のフレーム 32とは、第 1のフレームピン 36により連結され、第 1関節部 50を構成している。また、第 2のフレーム 32と第 3のフレーム 33とは、第 2 のフレームピン 37により連結され、第 2関節部 51を構成している。そして、これらの第 1関節部 50および第 2関節部 51は、同一面に沿った方向に屈曲するように構成されている。

[0089] 具体的に、第 1関節部 50が、第 1のフレームピン 36を回転軸として、例えば 45度の角度まで屈曲可能に構成されているとともに、第 2関節部 51が、第 1関節部 50の屈曲と同じ向きに、例えば 45度の角度まで屈曲可能に構成されている。

[0090] したがって、第 1関節部 50と第 2関節部 51とにより、第 3のフレーム 33から第 1のフレーム 31は、例えば 90度の角度まで屈曲可能に構成されている。また、これらの第 1 関節部 50および第 2関節部 51は、多節スライダ'リンク機構を構成しているため、第 1 関節部 50の屈曲動作が終了するまで、第 2関節部 51の屈曲動作が開始しないようになっている。

[0091] また、後端側の、第 3のフレーム 33と第 4のフレーム 34とは、第 3のフレームピン 38 により連結されている。第 4のフレーム 34と第 5のフレーム 35とは、ガイドピン 39により連結されている。そして、これらの第 3のフレーム 33、第 4のフレーム 34および第 5のフレーム 35は、それぞれの接合部において、それぞれ第 3のフレームピン 38とガイドピン 39とを回転軸として、同一面内に沿った方向に屈曲可能に構成されている。

[0092] すなわち、第 3のフレーム 33から第 5のフレーム 35においても、第 1のフレーム 31 力第 3のフレーム 33の場合と同様に、第 1関節部 50と第 2関節部 51とを有する多節スライダ ·リンク機構から構成されてレ、る。

[0093] そして、この第 3のフレーム 33から第 5のフレーム 35により構成される多節スライダ' リンク機構の屈曲方向と、第 1のフレーム 31から第 3のフレーム 33により構成される多節スライダ 'リンク機構の屈曲方向とは、互いに垂直方向になるように構成されてレ、る

[0094] これにより、屈曲鉗子部 30の先端における所定面に沿った屈曲と、この面に直交する面内に沿った屈曲とを組み合わせて、屈曲動作に関する自由度の増加が図られている。

[0095] (第 2関節部の接合部構造）

以上の第 1関節部 50および第 2関節部 51を有する多節スライダ'リンク機構は、上述したように、第 2関節部 51の屈曲動作が、第 1関節部 50の屈曲動作完了まで開始されないとともに、第 1関節部 50の屈曲する向きと第 2関節部 51の屈曲向きとが同じ向きになる構成である。ところが、屈曲鉗子部 30が、それ自体の自重やそのほかの外力の作用を外部から受けることによって、第 1関節部 50の屈曲動作終了前に、第 2 関節部 51が屈曲してしまったり、第 1関節部 50における屈曲動作に対して、第 2関節部 51が本来の屈曲の向きとは反対の向きに若干屈曲してしまったりすることがある

[0096] この第 2関節部 51に、このような現象が生じると、多節スライダ'リンク機構のリンク部分に、引つかかり、いわゆる「かじり」と称される現象が発生する場合があり、場合によつては屈曲鉗子部 30自体が動かなくなる。

[0097] 通常、このような「かじり」を防止するためには、潤滑剤を用いる方法が考えられるが、この一実施形態によるマニピュレータを、たとえば低侵襲外科手術に用いる場合には、これらの第 1関節部 50や第 2関節部 51などの可動部分に、潤滑剤を用いることができず、 V、わゆる無潤滑動作させる必要がある。

[0098] そこで、この一実施形態による第 2関節部 51においては、潤滑剤を用いることなぐ多節スライダ'リンク機構のかじり現象を防止する構成について説明する。図 5Aに、この第 2関節部 51を示し、この第 2関節部 51の接合部 51aにおける B—B線に沿った部分断面図を、図 5Bに示す。なお、以下の説明においては、第 2のフレーム 32および第 3のフレーム 33とから構成される第 2関節部 51を例に説明するが、第 4のフレーム 34と第 5のフレーム 35とから構成される第 2関節部 51においても同様の構成が採用される。

[0099] 図 5Aに示すように、この一実施形態による第 2関節部 51においては、それぞれの第 2のフレーム 32および第 3のフレーム 33の間の連結する側の一端がリング状に形成されており、互いに第 2のフレームピン 37によって連結されて、接合部 51aが構成されている。

[0100] そして、図 5Bに示すように、この接合部 51aにおいては、第 2のフレーム 32および第 3のフレーム 33における第 2のフレームピン 37により連結されているリング状の部分力互いにテーパ状に構成されている。

[0101] 具体的には、第 2のフレーム 32における、第 3のフレーム 33との接合部 51aの内側接触面が、根本になるほど厚みが大きい順テーパ形状に形成されているとともに、第 3のフレーム 33の接合部 51aと接する外側接触面力屈曲されていない状態下で第 2のフレーム 32の接合部 51aにおける順テーパ形状に倣うようにして、順テーパ形状に形成されている。

[0102] そして、 2つのフレームの順テーパ形状に形成された接合部 51aにおいては、第 2 のフレームピン 37が軸となって第 2関節部 51が屈曲されると、屈曲動作の進行に伴つて、第 2のフレーム 32および第 3のフレーム 33における順テーパ形状のより厚みの大きい部分同士が重なり合うようになる。

[0103] このような屈曲動作に伴って、順テーパ形状の厚みの大きい部分同士が重なり合うようになると、屈曲していない状態（屈曲角度： 0° )において接合部 51aの 2つの部材間で作用しあう力に比して、その力は大きくなり、力学的に不安定な状態になる。 [0104] すなわち、第 2関節部 51の屈曲動作が進むのに伴って、第 2のフレーム 32の接合部 51aにおける内側に作用する力が大きくなるとともに、第 3のフレーム 33の接合部 5 laにおける外側に作用する力が大きくなる。これにより、接合部 51aにおける力が大きくなつて、力学的エネルギーが増加し、力学的に不安定な状態になる。

[0105] 通常、力学的エネルギーは、その大きさが極小になるように力が作用される。そのため、第 2関節部 51が屈曲している状態において、接合部 51 aには、相互作用する力が最小になる方向にモーメントが作用するため、第 2関節部 51の屈曲動作に要するモーメントの大きさが、第 1関節部 50を屈曲させるモーメントの大きさに比して大きくなる。

[0106] これとともに、第 2関節部 51には、屈曲していない状態に復帰する方向に力が生じる。これにより、第 2関節部 51において、所望としない屈曲動作が発生しに《なり、外部から所定以上の力を作用させない限り屈曲動作を開始させないようにすることができる。

[0107] したがって、第 2のフレーム 32と第 3のフレーム 33との接合部 51aにおける接合面（接触面）を、屈曲されていない状態で互いの形状に倣うように、互いに順テーパ形状とすることにより、第 2関節部 51において、所望しない屈曲動作の発生を抑制することができるので、第 2関節部 51での引つ力かりを防止することができ、これによつて、屈曲鉗子部 30の動作を円滑、かつ安定させることが可能となる。

[0108] また、上述したような第 2関節部 50の接合部 51aの接合面 (接触面）を順テーパ形状にする方法以外にも、第 2関節部 51の屈曲に要する力の大きさを第 1関節部 50の屈曲に要する力の大きさより大きくなるように構成しつつ、第 2関節部 51を、その屈曲角度が 0° の状態を維持しょうとする力を作用させる種々の方法を採用することが可能である。

[0109] 具体的には、第 2関節部 51における接合部 51aを、フレーム同士のしまりバメにより構成して、屈曲に要する力を大きくしたり、第 2関節部 51の接合部 51aを、ばね座金を用いて構成したりする方法を採用することも可能である。

[0110] また、力、じり現象の原因自体を抑制するために、第 2関節部 51を構成する第 2のフレーム 32と、この第 2関節部 51を屈曲させるための可動用リンクまたは拘束用リンク（いずれも図示せず）との接触部分の摩擦力を最小限にする方法を採用することも可能である。具体的には、可動用リンクまたは拘束用リンクを構成する材料を、フレームを構成する材料より硬度の大きい材料としたり、リンク部材に表面処理を施したりすることも可能である。

[0111] また、屈曲鉗子部 30の先端には、例えば 60度の角度に開き、開閉可能で所定の大きさの有体物を把持可能な可動鉗子 40が設けられている。この可動鉗子 40は、固定把持歯 40aと移動把持歯 40bとからなる。

[0112] 固定把持歯 40aは、第 1のフレーム 31の先端側に固定されている。他方、移動把持歯 40bは、図示省略したばねなどの弾性体と、上述した 3本のリンク部材 23のうちの 1本のリンク部材 (例えばリンク部材 23c)を通じた操作とにより、所定角度 Θ (例えば 60° 程度）まで開閉可能に構成されている。

[0113] 以上により、この一実施形態によるマニピュレータが構成されている。

[0114] なお、この発明は、必ずしもマニピュレータのみならず、内部の圧力が外気圧より高い圧力となっている領域において、先端部に可動部が設けられた装置を用いて、この先端部を高圧部分に挿入しリンク部材によって駆動力を伝達して作業を行うような

、あらゆる装置に適用することが可能である。

[0115] なお、この発明は、必ずしもマニピュレータのみならず、多節スライダ'リンク機構を有するあらゆる装置に適用することが可能である。

図面の簡単な説明

[0116] [図 1]この発明の一実施形態によるマニピュレータを示す断面図、アウターケースを示す側面図、および先端部を示す断面図である。

[図 2]この発明の一実施形態によるマニピュレータにおけるジョイントアームを示す斜視図、連結する連結ピンを示す斜視図、およびァクチユエータ部とジョイント部との接合および分離における位置関係を示す断面図である。

[図 3]この発明の一実施形態によるマニピュレータにおけるァクチユエータ部とジョイント部との連結方法を示す斜視図である。

[図 4]この発明の一実施形態によるマニピュレータにおけるフレーム内のリンクガイド部を示す斜視切断面図である。園 5]この発明の一実施形態によるマニピュレータに備えられた第 2関節部を示す斜視図、および接合部を示す断面図である。

園 6]従来技術による多節スライダ'リンク機構を説明するための略線図である。園 7]従来技術による多節スライダ'リンク機構における引つ力かり現象（かじり現象）を説明するための略線図である。

符号の説明

1 ァクチユエータ部

2 ジョイント式屈曲鉗子部

11 アウターケース

11a 連結ガイド溝

12 減速機付モータ

12a モータベース

13 ジョイントアーム

13a 連結プレート

13b 連結スプリング

13c 開口

13e アーム本体

14 アームガイド

15 ベアリングベース

16 ガイドベース

17 ベアリングケース

18 カップリング

19 ジョイント部

19a ジョイントケース

19b グリップベース

20 着脱ピン

21 連結ピン

22 ロケートベース , 23a, 23b, 23c ジンク部材フレーム

リンクベース

リンクガイド部

屈曲鉗子部

第 1のフレーム

第 2のフレーム

第 3のフレーム

第 4のフレーム

第 5のフレーム

第 1のフレームピン第 2のフレームピン第 3のフレームピンガイドピン

可動鉗子

a 固定把持歯

b 移動把持歯

第 1関節部

第 2関節部

a 接合部

1 , 102, 103 フレーム4 ， 105 回転軸

6 , 107, 108 駆動用リンク節8 駆動用リンク節

9 ， 110 拘束用リンク節

Claims

請求の範囲

[1] 先端側の部分が屈曲可能に構成された可動手段と、

上記可動手段に駆動力を伝達可能に構成された駆動力伝達手段と、上記可動手段と連結しているとともに、上記駆動力伝達手段が収納された中空部を有する部材揷通手段と、

上記中空部の部分に設けられた気密部材とを有する

ことを特徴とする屈曲動作部材。

[2] 上記駆動力伝達手段による上記可動手段に対する駆動力の伝達時に、上記気密部材が上記駆動力伝達手段と摺接するように構成されている

ことを特徴とする請求項 1記載の屈曲動作部材。

[3] 上記可動手段が、複数の関節部を有して構成され、

上記複数の関節部のうちの隣り合う 2つの関節部において、先端側の関節部の屈曲が終了した後に後端側の関節部が屈曲動作を開始するように構成されていることを特徴とする請求項 1または 2記載の屈曲動作部材。

[4] 上記可動手段の先端に、少なくとも一方の鉗子部材が回転可能に構成された一対の鉗子部材が設けられ、

上記駆動力伝達手段により伝達された駆動力に応じて、上記一対の鉗子部材が固形物を把持可能に構成されている

ことを特徴とする請求項 1から 3のいずれ力、 1項記載の屈曲動作部材。

[5] 先端側の部分が屈曲可能に構成された可動手段と、

上記可動手段を動作させるための駆動力を発生可能に構成された駆動力発生手段と、

上記駆動力発生手段により発生された駆動力を上記可動手段に伝達可能に構成された駆動力伝達手段と、

上記可動手段に連結されているとともに、上記駆動力伝達手段が収納された中空部を有する部材挿通手段と、

上記中空部の部分に設けられた気密部材とを有する

ことを特徴とするマニピュレータ。

[6] 上記駆動力伝達手段による上記可動手段に対する駆動力の伝達時に、上記気密部材が上記駆動力伝達手段と摺接するように構成されている

ことを特徴とする請求項 5記載のマニピュレータ。

[7] 上記可動手段が、複数の関節部を有して構成され、

上記複数の関節部のうちの隣り合う 2つの関節部において、先端側の関節部の屈曲が終了するまで後端側の関節部が屈曲動作を開始しないように構成されていることを特徴とする請求項 5または 6記載のマニピュレータ。

[8] 上記可動手段の先端に、少なくとも一方の鉗子部材が回転可能に構成された一対の鉗子部材が設けられ、

上記駆動力発生手段において発生された駆動力が、上記駆動力伝達手段によつて伝達されることにより、上記一対の鉗子部材により固形物を把持するように構成されている

ことを特徴とする請求項 5から 7のいずれ力 1項記載のマニピュレータ。

[9] 複数の関節部を有して屈曲可能に構成された可動手段を有し、

上記複数の関節部のうちの、互いに同一側に屈曲可能に構成され、かつ隣り合う先端側の第 1関節部および後端側の第 2関節部において、第 1関節部における屈曲動作の終了後に第 2関節部における屈曲動作が開始するように構成された多節スライダ ·リンク機構であって、

上記第 2関節部の屈曲動作の開始に要するモーメントの大きさが、上記第 1関節部の屈曲動作に要するモーメントの大きさより大きい

ことを特徴とする多節スライダ'リンク機構。

[10] 上記第 2関節部が、上記屈曲動作の屈曲方向に垂直な回転軸を有し、

上記回転軸を共通として、上記第 2関節部を構成する、第 1の骨組部材と第 2の骨組部材とにおいて、

上記第 1の骨組部材が第 1の結合部を有し、

上記第 2の骨組部材が第 2の結合部を有し、

上記第 1の結合部と上記第 2の結合部とが上記回転軸を共通として連結され、上記第 2関節部の屈曲動作に伴って、上記第 1の結合部および上記第 2の結合部の間におレ、て上記回転軸に沿った方向に生じる力が増加するように構成されてレ、ることを特徴とする請求項 9記載の多節スライダ'リンク機構。

[11] 上記第 1の結合部における上記第 2の結合部との接触面と、上記第 2の結合部における上記第 1の結合部との接触面とが、屈曲していない状態において互いの接触面同士が倣う形状の順テーパ面となってレ、る

ことを特徴とする請求項 10記載の多節スライダ'リンク機構。

[12] 先端側の部分に複数の関節部を有して屈曲可能に構成された可動手段と、上記可動手段に駆動力を伝達可能に構成された駆動力伝達手段とを有し、上記複数の関節部のうちの、互いに同一側に屈曲可能に構成され、かつ隣り合う先端側の第 1関節部および後端側の第 2関節部において、第 1関節部における屈曲動作の終了後に第 2関節部における屈曲動作が開始するように構成され、

ことを特徴とする屈曲動作部材。

[13] 先端側の部分に複数の関節部を有して屈曲可能に構成された可動手段と、上記可動手段を動作させるための駆動力を発生可能に構成された駆動力発生手段と、

上記駆動力発生手段により発生された駆動力を上記可動手段に伝達可能に構成された駆動力伝達手段とを有し、

上記複数の関節部のうちの、互いに同一側に屈曲可能に構成され、かつ隣り合う先端側の第 1関節部および後端側の第 2関節部において、第 1関節部における屈曲動作の終了後に第 2関節部における屈曲動作が開始するように構成され、

ことを特徴とするマニピュレータ。

[14] 上記可動手段の先端に、少なくとも一方の鉗子部材が回転可能に構成された一対の鉗子部材が設けられ、

上記駆動力発生手段において発生された駆動力が、上記駆動力伝達手段によつて伝達されることにより、上記一対の鉗子部材により固形物を把持可能に構成されている

ことを特徴とする請求項 13記載のマニピュレータ。

[15] 先端側の部分が屈曲可能に構成された可動手段と、

上記可動手段に駆動力を伝達可能な少なくとも 1つのリンク部材力構成された駆動力伝達手段とを有し、

上記リンク部材における上記先端側と反対側の一端により第 1の連結部が構成され上記第 1の連結部において、駆動力を発生する駆動力発生手段と連結可能に構成されているとともに、上記駆動力伝達手段が上記駆動力発生手段からの駆動力を上記可動手段に伝達可能に構成されている

ことを特徴とする屈曲動作部材。

[16] 上記可動手段が複数の関節部を有し、

上記複数の関節部における、互いに同一側に屈曲可能に構成され、かつ隣り合う先端側の第 1関節部および後端側の第 2関節部において、第 1関節部における屈曲動作の終了後に第 2関節部における屈曲動作が開始するように構成されていることを特徴とする請求項 15記載の屈曲動作部材。

[17] 上記第 1の連結部が凸部を有し、

上記凸部が、

嵌合穴が形成されているとともに上記駆動力の伝達方向に対してほぼ垂直な方向に付勢する弾性体力なる第 2の連結部における上記嵌合穴に、嵌入可能に構成されている

ことを特徴とする請求項 15または 16記載の屈曲動作部材。

[18] 可動手段が先端側の部分に設けられているとともに第 1の連結部を有する屈曲動作部材と着脱可能に構成され、

上記可動手段を動作させるための駆動力を発生可能に構成された駆動力発生手段を有し、

上記駆動力発生手段が、上記駆動力の伝達方向に対してほぼ垂直な方向に付勢する、嵌合穴が形成された弾性体を有する第 2の連結部を有し、

上記第 2の連結部が、

上記駆動力の方向に沿ってほぼ直線的に進行し、上記嵌合穴に嵌合可能な凸部を有する上記第 1の連結部に対し、上記弾性体による付勢力を及ぼしつつ上記凸部に上記嵌合穴を嵌合させることにより、上記第 1の連結部と連結可能に構成されている

ことを特徴とするァクチユエータ。

[19] 先端側の部分が屈曲可能に構成された可動手段および、上記可動手段に外部から作用される駆動力を伝達可能に構成された駆動力伝達手段を有する屈曲動作部材と、

上記可動手段を動作させる駆動力を発生可能に構成された駆動力発生手段を有するァクチユエ一タとを有し、

上記屈曲動作部材と上記ァクチユエータとが着脱可能に構成されているとともに、上記駆動力伝達手段に設けられた第 1の連結部と、上記駆動力発生手段に設けられた第 2の連結部とが、連結可能かつ分離可能に構成され、

上記屈曲動作部材と上記ァクチユエータとの接合後に、上記第 1の連結部と上記第 2の連結部との連結動作が実行されるように構成されているとともに、

上記屈曲動作部材と上記ァクチユエータとの分離動作に伴って、上記第 1の連結部と上記第 2の連結部とが分離するように構成されている

ことを特徴とするマニピュレータ。

[20] 上記第 2の連結部が、上記駆動力の伝達方向に対してほぼ垂直な方向に付勢する、嵌合穴が形成された弾性体を有し、

上記第 1の連結部が、上記嵌合穴に嵌合可能な凸部を有し、

上記駆動力発生手段によって上記第 2の連結部が上記駆動力の伝達方向に沿つてほぼ直線的に進行されて、上記凸部に対して付勢力を生じつつ上記嵌合穴と嵌合することにより、上記第 1の連結部と上記第 2の連結部とが連結して、上記駆動力伝達手段と上記駆動力発生手段とが接続するように構成されていることを特徴とする請求項 19記載のマニピュレータ。