明 細 書
無線送受信装置
技術分野
本発明は、 端末から帰還される情報に応じて各アンテナ出力の位相、 振幅値を適応する送信ァンテナダイバーシチを用いた通信システムに対 応する端末装置に適用して好適な無線送受信装置に関し、 特に、 サイ ト ダイバーシチ利得が異なるチャネルが存在する場合においても、 効率よ く適切なアンテナ重み値を導出して受信品質の向上等を図った無線送受 信装置に関する。
背景技術
従来、 無線通信システムにおける受信品質を改善する一手法と して、 複数のアンテナから同一の情報を送信する送信アンテナダイバーシチ技 術が知られている。 また、 基地局が、 複数のアンテナから出力する信号 の位相及び振幅を、 受信側から帰還される情報に基づき決定する、 閉ル ープ送信アンテナダイバーシチ技術が知られている。
このよ うな無線通信システムにおいては、 受信側 (端末) において、 推定した各アンテナを介した伝搬路特性から、 受信信号強度が最大とな る各アンテナ位相及び振幅を導出する。
次に、 上記導出した位相及び振幅値を量子化し、 量子化情報を送信側 (基地局) へ送信する。
送信側 (基地局) は、 受信した位相及び振幅を示す量子化情報に応じ て各アンテナから送信する送信信号の位相及び振幅値を適応制御する。
このような送信側での適応制御は、 周期的に繰り返し実行される。 こ
れにより、 時間変動する伝搬路特性に対して、 送信信号の位相及び振幅 を最適化することができ、 受信品質の向上を図ることができるようにな つている。
以下、 理解を容易にするため、 送信アンテナ数が二つの場合を例にと つて具体的に説明する。
図 1 0は、 送信アンテナダイバーシチが適用される基地局の構成を示 すブロック図である。 この図 1 0において、 基地局は、 同期検波用パイ 口ッ ト信号とユーザデータをユーザに対して送信する。
同期検波用パイ口ッ ト信号としては、 アンテナ 1 0 1から送信するた めの第 1のパイロッ ト信号 (P i 1 o t 1 ) 、 及びアンテナ 1 0 2から 送信するための第 2のパイ口ッ ト信号 (P i 1 o t 2 ) がユーザに対し て送信される。
第 1のパイ口ッ ト信号と第 2のパイ口ッ ト信号は時間軸上で直交関 係にあり、 例えば図 1 1に示すような既知のシンボルパターンで送信さ れる。 第 1のパイロッ ト信号は、 拡散部 1 0 3で、 基地局 (セクタ) 固 有の拡散符号により、 例えば 4 M H zの帯域のデータに拡散処理され、 多重部 1 0 4に供給される。 第 2のパイロッ ト信号も同様に、 拡散部 1 0 5において、 第 1のパイロッ ト信号の拡散処理に用いた同一の拡散符 号により例えば 4 M H zの帯域のデータに拡散処理され、 多重部 1 0 6 に供給される。
ユーザデータとしては、 この例の場合、 音声等の回線交換データと、 バケツ トデータとの 2種類が存在するものとする。
回線交換データには、 符号化部 1 0 7において、 無線伝搬路における 誤りを検出し訂正するための符号化処理が施される。 この符号化処理と しては、 例えば誤り検出の際に C R C (Cyc l i c Redundancy Check) が用 いられ、誤り訂正の際に、ターボ符号や畳み込み符号などが用いられる。
この符号化処理された回線交換データは、 変調部 1 0 8で B P S K , Q P S K , Q A M等を用いて変調処理され多重部 1 0 9に供給される。 そして、 この多重部 1 0 9において、 図 1 2に示すようにバケツ トチヤ ネルのデータの有無、 及びそのレートを示すバケツ トインジケータと時 間多重される。
なお、 このパケッ トインジケータは、 別拡散符号を用いて、 別チヤネ ルに独立してマツビングしてもよい。
このよ うに多重化されたデータは、 拡散部 1 1 0において、 拡散部 1 0 3で用いられた同じ基地局固有の拡散符号及びデータチャネル識別符 号で拡散処理され多重部 1 1 1に供給される。
一方、 パケッ トデータもこの回線交換データと同様に、 符号化部 1 1 2において符号化処理され、 変調部 1 1 3において変調処理され拡散部 1 1 4に供給される。
ここで、 このバケツ トデータの場合、 図 1 3に示すように連続的な回 線交換データとは異なり、 非連続である。 このため、 基地局は、 データ の有無及びバケツ トデータレートに応じて、 前述のィンジケ一タの値を 変更して挿入する。
拡散部 1 1 4は、 変調処理されたバケツ トデータを、 拡散部 1 0 3と 同じ基地局固有の拡散符号とバケツ トデータチャネル識別符号を用いて 拡散処理し、 これを多重部 1 1 1に供給する。
多重部 1 1 1は、 各拡散部 1 1 0, 1 1 4において、 それぞれの識別 符号で拡散処理された回線交換データ及びパケッ トデータを多重化処理 することでアンテナデータを形成し、これをアンテナ重み適用部 1 1 5, 1 1 6にそれぞれ供給する。
アンテナ重み適用部 1 1 5は、 アンテナデータに対してアンテナ 1 0 1用の係数を乗算処理し、 これを多重部 1 0 4に供給する。 多重部 1 0
4は、 この乗算処理されたアンテナデータと、 拡散処理された第 1のパ イロッ ト信号とを多重化処理し、 これを送受信共用装置 1 1 7に供給す る。 送受信共用装置 1 1 7は、 この第 1のパイロッ トと多重化処理され たアンテナデータをアンテナ 1 0 1を介してユーザに送信する。
アンテナ重み適用部 1 1 6は、 アンテナデータに対してアンテナ 1 0 2用の係数を乗算処理し、 これを多重部 1 0 6に供給する。 多重部 1 0 6は、 この乗算処理されたアンテナデータと、 拡散処理された第 2のパ イロッ ト信号とを多重化処理し、 これを送信装置 1 1 8に供給する。 送 信装置 1 1 8は、 この第 2のパイロッ ト信号と多重化処理されたアンテ ナデータをアンテナ 1 0 2を介してユーザに送信する。
このようにして、 各アンテナ 1 0 1, 1 0 2からアンテナデータが送 信されるのであるが、 基地局は、 各アンテナ重み適用部 1 1 5, 1 1 6 で乗算処理される係数 (アンテナ重み値) を導出するために、 受信機能 が設けられている送受信共用装置 1 1 7側でユーザから受信したデータ を逆拡散部 1 1 9に供給する。
逆拡散部 1 1 9は、 ユーザから受信したデータに対して、 ユーザ固有 の拡散符号を用いて逆拡散処理し、 復調部 1 2 0に供給する。 復調部 1 2 0は、 この逆拡散処理されたデータを復調処理し、 アンテナ重み情報 抽出部 1 2 1に供給する。 アンテナ重み情報抽出部 1 2 1は、 各スロッ ト毎 (例えば、 0 . 6 6 7 m s e c毎) にユーザ側から送信されるアン テナ重み情報を抽出し、 これをアンテナ重み制御部 1 2 2に供給する。 アンテナ重み制御部 1 2 2は、 受信ビッ トとアンテナ重み情報の値を マッピング処理し、 この値に応じて各アンテナ重み適用部 1 1 5, 1 1 6のアンテナ重み値を更新する。
この受信ビッ トとアンテナ重み値の対応例を図 1 4に示す。 この例は. ユーザの端末から 1スロッ ト毎に 「 0 0 1 〜 「 1 1」 の 2ビッ トのアン
テナ重み情報が送信される場合を想定している。
例えば、 「 0 0」 のアンテナ重み情報が抽出された場合、 アンテナ重 み適用部 1 1 5のアンテナ重み値 (w l ) は 「 1. 0」 の値に制御され、 アンテナ重み適用部 1 1 6のアンテナ重み値(w 2) は「 1. 0 + j 1. 0」 の値に制御される。 同様に、 「 1 1」 のアンテナ重み情報が抽出さ れた場合、アンテナ重み適用部 1 1 5のアンテナ重み値(w 1 ) は「 1. 0」 の値に制御され、 アンテナ重み適用部 1 1 6のアンテナ重み値 (w 2) は 「一 1. 0 _ j 1. 0」 の値に制御される。
このように、 多重部 1 1 1の出カを 「3」 とし、 アンテナ重み適用部 1 1 5用のアンテナ重み値を 「w l」 、 アンテナ重み適用部 1 1 6用の アンテナ重み値を 「w 2」 とすると、 アンテナ 1 0 1からは 「w l * S」 の値のデータが出力され、 アンテナ 1 0 2からは 「w 2 * S」 の値のデ ータが出力されることとなる。
図 1 5に示すように、 各アンテナ 1 0 1, 1 0 2と、 ユーザの端末 1 3 0との間の伝搬路特性を、 それぞれ H l, H 2 (複素べクタ) とする と、 ユーザの端末 1 3 0の受信データ Rは、
R = (w l H l +w 2 H 2) * S 式 1 となる。
次に、 図 1 6に、 送信アンテナダイバーシチが適用される基地局に対 するユーザの端末装置のプロック図を示す。 この図 1 6において、 基地 局から送信された上記各アンテナ 1 0 1, 1 0 2からのアンテナデータ は、 ユーザの端末装置のアンテナ 1 30を介して送受信共用装置 1 3 1 で受信され、 逆拡散部 1 3 2 , 1 3 3に供給される。
逆拡散部 1 3 2は、 このアンテナデータを、 パイロッ トデータ用の拡 散符号を用いて復元し、 これを P i 1 o t復号部 1 3 4に供給する。 こ の復元されたデータは、 基地局のアンテナ 1 0 1からのデータ成分とァ ンテナ 1 0 2からのデータ成分とが混合したもの、 すなわち、
P [n] = (AH 1 + AH 2) 式 2
P [ n + 1 ] = (AH 1 - AH 2 ) · · '式 3である。
このため、 P i 1 o t復号部 1 34は、 以下のように各アンテナ 1 0 1, 1 0 2間の伝搬路特性 H 1, H 2を推定して伝搬路特性推定値ひ, 3を算出する。
α = H 1 = ( Ρ 〔η] + Ρ [ η + 1 ] ) * Α · · · '式 4
i3 = Η 2 = ( Ρ [ η ] 一 Ρ [η + 1 ] ) * Α · · · ·式 5
なお、 この伝搬路特性推定値の演算式は、 雑音の影饗を抑圧するため に数サンプル平均して用いる場合もある。 P i l o t復号部 1 3 4は、 このようにして算出した伝搬路特性推定値 α, を、 アンテナ重み計算 部 1 3 5及び位相補正部 1 3 6にそれぞれ供給する。
アンテナ重み計算部 1 3 5は、 上記伝搬路特性推定値 α, )3に基づい て、 式 1 (R= (w l H l + 2 H 2) * S ) における受信データ尺の 値が最大となるようなアンテナ重み値 (w 1, w 2) を、 図 1 4に示し たアンテナ重み値から選択する。 そして、 この選択したアンテナ重み値 に対応する 2ビッ トのアンテナ重み情報をアンテナ重みデータ挿入部 1 40に供給する。
アンテナ重みデータ挿入部 1 4 0は、 符号化部 1 3 9で符号化された 送信ユーザデータに、 この 2ビッ トのアンテナ重み情報を時間多重して 挿入する。 これにより、 2ビッ トのアンテナ重み情報が付加された送信 ユーザデータが、 変調部 1 4 1、 拡散部 1 4 2、 送受信共用装置 1 3 1 を介してアンテナ 1 3 0から上述の基地局へ送信されることとなる。 一方、 位相補正部 1 3 6は、 逆拡散部 1 3 3にて復元されたアンテナ データ (式 1の 「R= (w l H l +w 2 H 2) * S」 のアンテナデータ) と、 式 4及び式 5に基づいて算出された伝搬路特性推定値 α, β 、 及び 基地局側へ指示したアンテナ重み情報 w 1, w 2とに基づき、 以下の式
6の演算式に基づいて復号アンテナデータ Sを算出する。
S = R * ( w 1 a + W 2 β ) 式 6
このように算出された復号アンテナデータは、 復調部 1 4 3で復調さ れ、 復号部 1 4 4で復号化され、 ユーザデータとして受信される。
なお、 このユーザの端末装置の説明では、 1チャネルのみの受信回路 の動作を説明したが、 当該端末装置において、 複数チャネルの受信が行 われる場合には、 逆拡散部 1 3 3, 位相補正部 1 3 6, 復調部 1 4 3及 び復号部 1 4 4の系をチャネル数分設け、 各チャネルにおいて並列的に 処理を行えばよい。 なお、 このときの逆拡散処理時に用いられる拡散符 号は、 チャネル固有の値となる。
以上の説明は、 ユーザの端未装置が単一の基地局と交信している場合 であったが、 図 1 7に示すように複数の基地局から同一データが送信さ れ、 それをユーザの端末装置 1 3 0で合成するサイ トダイバーシチ (ソ フ トハンドオフ) 技術を用いた移動通信システムも知られている。
このサイ トダイバーシチを用いた移動通信システムにおける端末装 置は、 図 1 8に示す構成となる。 この図 1 8に示す端末装置は、 2つの 基地局と交信可能なように 2チャンネルの受信回路 1 5 1, 1 5 2を有 している例である。
また、 この端末装置の場合、 各チャネルの受信回路 1 5 1, 1 5 2か らの復号アンテナデータを合成して復調部 1 4 3に供給する合成部 1 5 3を有している。
また、 この端末装置の場合、 各受信回路 1 5 1, 1 5 2は、 交信して いる基地局との間の伝搬路特性推定値 α 1, β 1 , a 2 , J3 2をそれぞ れ算出し、 アンテナ重み計算部 1 3 5に供給するようになつている。
このようなサイ トダイバーシチを用いた移動通信システムの場合、 端 末装置が選択するアンテナ重み値は、 サイ トダイバーシチ利得を考慮し
て選択する必要がある。
すなわち、
R = (w 1 (H I の 1 + H 1 の 2 + H 1 の 3 · · · Η 1 の Ν) + w 2 (H 2の 1 + H 2の 2 + H 2の 3 · · · Η 2の Ν) ) * S 式 7 で算出されるアンテナデータ Rが最大となるアンテナ重み情報の値を選 択する必要がある。
このため、この端末装置の場合、各受信回路 1 5 1, 1 5 2において、 各アンテナ間の伝搬路特性推定値 α 1, β 1 , a 2 , ]3 2をそれぞれ算 出する。 そして、 アンテナ重み計算部 1 3 5が、 この各チャネルの伝搬 路特性推定値ひ 1, β 1 , a 2 , i3 2に基づいて、
R = ( w 1 (H I の 1 + H l の 2 ) + w 2 (H 2の 1 + H 2の 2 ) ) * S 式 8
の演算式における受信データ Rの値が最大となるようにアンテナ重み値 w 1 , w 2を選択する。
なお、 ダイバーシチ受信装置及び制御方法として、 以下の国際公開第
9 7 / 2 0 4 0 0号パンフレツ トが開示されている。
し力 し、 例えば W— C DMA (Wideband Code Division Multiple
Access) や C DMA 2 0 0 0等のようなサイ トダイバーシチを用いた移 動通信システムのように、 複数のチャネルのデータが基地局からユーザ の端末装置に同時に送信される移動通信システムの場合、 サイ トダイバ ーシチ利得が有るチャネルと、 サイ トダイバーシチ利得が無いチャネル とが混在することがある。
すなわち、 上記移動通信システムの場合、 図 1 9に示すようにデータ チャネル 1 (data channel 1) である音声等の回線交換データは、 2つ の基地局から同時にユーザの端末装置に送信されるのであるが、 データ チャネル 2 (data channel 2) であるバケツ トデータは 1つの基地局か
らのみしか、 ユーザの端末装置に送信されない。
このため、 サイ トダイバーシチ利得が有るチャネル用に算出したアン テナ重み値を用いてサイ トダイバーシチ利得が無いチャネルのデータを 受信してしまうと、 このサイ トダイバーシチ利得が無いチャネルのデー タの受信特性が劣化し、 反対に、 サイ トダイバーシチ利得が無いチヤネ ル用に算出したアンテナ重み値を用いてサイ トダイバーシチ利得が有る チャネルのデータを受信してしまう と、 このサイ トダイバーシチ利得が 有るチャネルのデータの受信特性が劣化する問題を生じていた。
本発明は、 上述の課題に鑑みてなされたものであり、 複数の基地局と 交信を行うサイ トダイバーシチに対応する端末の各チャネル毎に最適な アンテナ重み値を割り当てることができるような無線受信装置の提供を 目的とする。 発明の開示
本発明は、 各受信回路で復元処理されるデータのデータ量、 又はパケ ッ トデータの状態に応じて最適なアンテナ重み値を選択して各受信回路 に割り当てる。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明を適用した第 1の実施の形態となる携帯電話機のプロ ック図である。
図 2は、 上記第 1の実施の形態の携帯電話機に設けられているチヤネ ル監視部における実行データ量の検出動作の流れを示すフローチヤ一ト である。
図 3は、 上記第 1の実施の形態の携帯電話機に設けられているアンテ ナ重み計算部におけるアンテナ重み値の算出動作の流れ流れを示すフロ
一チヤ一トである。
図 4は、 上記第 1の実施の形態の携帯電話機に設けられている第 1の 受信系に対応する実行データ量の平均レー卜の算出例を示す図である。 図 5は、 上記第 1の実施の形態の携帯電話機に設けられている第 2の 受信系に対応する実行データ量の平均レートの算出例を示す図である。 図 6は、 上記第 1の実施の形態の携帯電話機に設けられている第 1 , 第 2の受信系に対応する重み値の一例を示す図である。
図 7は、 本発明を適用した第 2の実施の形態となる携帯電話機のプロ ック図である。
図 8は、 上記第 2の実施の形態となる携帯電話機における重み値の設 定動作の流れを説明するためのフローチヤ一トである。
図 9は、 上記第 2の実施の形態となる携帯電話機におけるバケツ トデ ータの重み値の切り替え動作を説明するためのタイムチヤ一トである。 図 1 0は、 送信アンテナダイバーシチが適用される基地局の構成を示 すブロック図である。
図 1 1は、 同期検波パイロッ トのシンボルパターンを示す図である。 図 1 2は、 バケツ トデータに挿入されているィンジケータを示す図で ある。
図 1 3は、 連続的に送信される回線交換データと、 断続的に送信され るパケッ トデータを示す図である。
図 1 4は、 受信ビッ トとアンテナ重み値の対応例を示す図である。 図 1 5は、 基地局の複数のアンテナから送信されるデータの伝搬路特 性を示す図である。
図 1 6は、 送信アンテナダイバーシチが適用される基地局に対するュ —ザの端末装置のブロック図である。
図 1 7は、 サイ トダイバーシチ (ソフ トハンドオフ) 技術を用いた移
動通信システムの概要を示す図である。
図 1 8は、 サイ トダイバーシチを用いた移動通信システムに対応する ユーザの端末装置のプロック図である。
図 1 9は、 複数の基地局から送信される回線交換データと、 単一の基 地局から送信されるバケツ トデータを説明するための図である。 発明を実施するための最良の形態
[第 1の実施の形態]
本発明に係る無線通信装置は、 W— C D M A (Wi deband Code Divi s ion Mult ipl e Access)や C D M A 2 0 0 0等のサイ トダイバーシチを用いた 移動通信システムに対応する携帯電話機に適用することができる。
このような移動通信システムにおいて、 複数の基地局から送信される 音声等の回線交換データの場合は連続的にデータの送信が行われるのに 対し、 単一の基地局から送信されるバケツ トデータの場合はバース ト的 に (断続的に) データの送信が行われる。
この本発明の第 1の実施の形態となる携帯電話機では、 このような回 線交換データ及びバケツ トデータの各データの性質の違いに鑑み、 伝搬 路にバケツ トデータが存在する場合には、 その伝搬路に対してバケツ ト データ用のアンテナ重み値を選択して用い、 伝搬路にバケツ トデータが 存在しない場合には、 各伝搬路のデータ量に応じて回線交換データ用の アンテナ重み値を割り当てて用いるようになつている。
[第 1の実施の形態の構成]
図 1に、 本発明の第 1の実施の形態となる携帯電話機のプロック図を 示す。 この図 1からわかるように、 実施の形態の携帯電話機は、 データ の送受信を行うアンテナ 1及び送受信共用装置 2と、 例えば第 1の基地 局から送信された回線交換データ或いはバケツ トデータを復元する第 1
の受信回路 3と、 第 2の基地局から送信された回線交換データを復元す る第 2の受信回路 4とを有している。
なお、 理解容易とするために、 バケツ トデータは、 第 1の受信回路 3 で復元され、 音声等の回線交換データは、 第 1の受信回路 3及び第 2の 受信回路 4で復元されることとして説明を進める。
また、 この携帯電話機は、 単一の基地局から送信されるパケッ トデー タを復元するバケツ トデータ専用の受信回路である第 3の受信回路 5と、 第 1, 第 2の受信回路 3, 4で受信されたデータを合成する合成部 6 と を有している。
また、 この携帯電話機は、 合成部 6で形成された合成データに対して 所定の復調処理を施す復調部 7と、 この復調処理された合成データに対 して復号化処理を施し、 これを受信ユーザデータとして出力する復号部 8とを有している。
また、 この携帯電話機は、 パケッ トデータ専用の受信回路である第 3 の受信回路 5からの受信ユーザバケツ トデータの実行データ量に基づい て、 パケッ トデータの復元を行う第 1の受信回路 3で用いる 「アンテナ 重み値」 を算出するための 「重み値」 を算出し、 また、 第 1, 第 2の受 信回路 3, 4で受信された回線交換データの各実行データ量に基づいて、 回線交換データの復元を行う上記第 1, 第 2の受信回路 3, 4で用いる 「アンテナ重み値」 をそれぞれ算出するための 「重み値」 を算出するチ ャネル監視部 9とを有している。
また、 この携帯電話機は、 上記第 1, 第 2の受信回路 3, 4で算出さ れた伝搬路特性推定値 (以下に説明する c l, β 1 , a 2 , β 2 ) と、 チャネル監視部 9からの重み値 (以下に説明する ψ 1, 2 ) とに基づ いて、 アンテナ重み値 (R x _W ) を算出して第 1, 第 2の受信回路 3 , 4に供給するアンテナ重み計算部 1 0と、 ユーザが送信を行うデータに
対して、 アンテナ重み計算部 1 0で算出された値のアンテナ重みデータ ( T x _W) を挿入し、 これを上記送受信共用装置 2及びアンテナ 1を介 して基地局に送信する送信回路 1 1 とを有している。
ここで、 サイ トダイバーシチを用いた移動通信システムでは、 基地局 は、 データと共に、 このデータの同期検波を行うための同期検波パイ口 ッ ト信号を携帯電話機に送信する。
このため、 携帯電話機の第 1の受信回路 3は、 受信されたデータに対 して逆拡散処理を施す逆摅散部 2 1 と、 この逆拡散処理されたデータに 対し、 P i 1 o t復号部 2 4からの伝搬路特性推定値 α 1, 3 1及び上 記アンテナ重み計算部 1 0からのアンテナ重み値 R x—Wに基づいて位 相補正処理を施す位相補正部 2 2と、 同期検波パイ口ッ ト信号に対して 逆拡散処理を施す逆拡散部 2 3と、 この逆拡散処理された同期検波パイ 口ッ ト信号に基づいて、 伝搬路特性推定値 α 1 , ^ 1を算出し、 これを 位相補正部 2 2に供給する P i 1 o t復号部 2 4 とを有している。
また、 第 2の受信回路 4も同様に、 受信されたデータに対して逆拡散 処理を施す逆拡散部 2 5 と、 この逆拡散処理されたデータに対し、 P i 1 o t復号部 2 8からの伝搬路特性推定値 α 2, β 2及び上記アンテナ 重み計算部 1 0からのアンテナ重み値 R x _Wに基づいて位相補正処理 を施す位相補正部 2 6と、 上記同期検波パイ口ッ ト信号に対して逆拡散 処理を施す逆拡散部 2 7 と、 この逆拡散処理された同期検波パイロッ ト 信号に基づいて、 伝搬路特性推定値 α 2, 2を算出し、 これを上記位 相補正部 2 6に供給する P i l o t復号部 2 8とを有している。
バケツ トデータ専用の受信回路である第 3の受信回路 5は、 受信され たバケツ トデータに対して逆拡散処理を施す逆拡散部 3 0と、 この逆拡 散処理されたバケツ トデータに対して位相補正処理を施す位相補正部 3 1 と、 この位相補正処理されたバケツ トデータに対して復調処理を施す
復調部 3 2と、 この復調処理されたバケツ トデータに対して複号化処理 を施して上記チャネル監視部 9に供給する復号部 3 3とを有している。 送信回路 1 1は、 送信を行うユーザデータに対して符号化処理を施す 符号化部 3 5と、 この符号化されたユーザデータに対して、 アンテナ重 み計算部 1 0からのアンテナ重みデータ (T x _W) を挿入するアンテナ 重みデータ挿入部 3 6 と、 このアンテナ重みデータが挿入されたユーザ データに対して変調処理を施す変調部 3 7 と、 この変調処理されたユー ザデータに対して拡散符号を用いて拡散処理し、 これを送受信共用装置 2及びアンテナ 1を介して基地局に送信する拡散部 3 8とを有している c [第 1の実施の形態の特徴的な動作]
このような構成を有する第 1の実施の形態の携帯電話機は、 複数の基 地局から送信される回線交換データを受信した場合、 前述のようにこの 回線交換データを第 1, 第 2の受信回路 3, 4で復元する。 このため、 チャネル監視部 9は、 この回線交換データを受信した場合は、 第 1, 第 2の受信回路 3, 4で復元される回線交換データの実行データ量をそれ ぞれ検出し、 この各実行データ量に基づいて、 各受信回路 3, 4で用い るアンテナ重み値をそれぞれ制御する。
また、 単一の基地局から送信されるバケツ トデータを受信した場合、 前述のようにこのバケツ トデータを第 1の受信回路 3で復元する。 この ため、 チャネル監視部 9は、 この回線交換データを受信した場合は、 パ ケッ トデータ専用の受信回路である第 3の受信回路 5で復元されたパケ ッ トデータの実行データ量を検出し、 このバケツ トデータの実行データ 量に基づいて、 パケッ トデータの復元を行う第 1の受信回路 3で用いる アンテナ重み値を制御すると共に、 これと並列的に回線交換データの復 元を行っている第 2の受信回路のアンテナ重み値を制御する。
〔実行データ量の検出〕
図 2のフローチャートに、 チャネル監視部 9における実行データ量の 検出動作の流れを示す。 チャネル監視部 9は、 この図 2のフローチヤ一 トに示す実行データ量の検出動作を、 各受信回路 3, 4毎に実行する。
W— CDMA (Wideband Code Division Multiple Access) や C DM A 2 0 0 0等のサイ トダイバーシチを用いた移動通信システムの場合、 基地局から送信されるデータはフレーム毎に送信される。 このため、 チ ャネル監視部 9は、 まず、 ステップ S 1において、 各フレーム中に存在 するデータのデータ量を検出し、 このデータ量を各フレーム毎に積算処 理して合計データ量を検出する (total_data + =assigned data) 0 次に、 ステップ S 2において、 チャネル監視部 9は、 合計データ量を 検出するために使用した合計フレーム数を検出する (num— frame++) 。 そして、 ステップ S 3において、 チャネル監視部 9は、 ステップ S 2 で検出した合計フレーム数で、 ステップ S 1で検出した合計データ量を 除算処理することで、 そのチャネル (=上記第 1の受信回路 3, 第 2の 受信回路 4 ) の実行データ量 (data_rate) を算出する (data— rate = total_data/num_f rame; 。
具体的には、 現在受信されているデータが回線交換データの場合、 チ ャネル監視部 9は、 第 1, 第 2の受信回路 3, 4で復元された回線交換 データに基づいて、 該各受信回路 3, 4毎に回線交換データの実行デー タ量を算出する。
これに対して、 現在受信されているデータがバケツ トデータの場合、 チャネル監視部 9は、 第 3の受信回路 5で復元されたバケツ トデータに 基づいて、 該パケッ トデータの実行データ量を算出する。 すなわち、 こ の例の場合、 第 1の受信回路 3で復元されるバケツ トデータの実行デー タ量は、 パケッ トデータ専用の第 3の受信回路 5で復元されたパケッ ト データに基づいて算出している。
〔重み値の算出〕
次に、 図 3のフローチャートに、 「アンテナ重み値」 の算出動作の流 れを示す。
この図 3のフローチヤ一トにおいて、 図 2のフローチヤ一トを用いて 説明したように、 第 1の受信回路 3に対応する実行データ量を算出する と、 チャネル監視部 9は、 この図 3のフローチャートのステップ S 1 1 において、 第 1の受信回路 3の所定の複数フレームにわたる実行データ 量の平均レートを検出する。また、これと同様に、チャネル監視部 9は、 ステップ S 1 2において、 第 2の受信回路 4の所定の複数フレームにわ たる実行データ量の平均を検出する。
図 4に、 第 1の基地局 (BTS 1) から送信され上記第 1の受信回路 3で データ処理される回線交換データ (BTS 1 CS instantaneous data) , パ ケッ トデータ (BTS 1 PS instantaneous data) 、 及び第 1の受信回路 3 に対応する上記実行データ量の平均レート (BTS 1 average data) の関係 の一例を示す。
また、 図 5に、 第 2の基地局 (BTS2) から送信され上記第 2の受信回 路 4でデータ処理される回線交換データ(BTS2 CS instantaneous data), バケツ トデータ (BTS2 PS instantaneous data) 、 及ぴ第 2の受信回路 4に対応する上記実行データ量の平均レート (BTS2 average data) の関 係の一例を示す。
この図 4及び図 5は、 第 1, 第 2の基地局から回線交換データ (CS) が送信 (ソフ トハンドオーバー) される場合は、 例えば 1 2 . 2 k b p sの送信速度で送信され、各基地局からバケツ トデータ (PS) が送信(バ ース ト的に送信) される場合は、 例えば最大 3 8 4 k b p sの送信速度 で送信されることを想定したものである。
また、 図 4は、 第 1の基地局から送信されたバケツ トデータを第 1の
受信回路 3でデータ処理した例である。 このため、 図 4中符号 aの点線 で示す回線交換データ (CS) のレー トは、 約 1 0 k b p sで一定なので あるが、 図 4中符号 b の細線で示すパケッ トデータ (PS) のレートは、 各パケッ トに対応するレートで断続的に現れている。 そして、 この一定 レー トの回線交換データと、 各パケッ トに対応するレートで断続的に現 れるパケッ トデータとの平均レートを算出すると、 図 4中符号 cの太線 で示す平均レートが算出されることを示している(上記ステップ S 1 1 )。
これに対して図 5は、 第 2の基地局から送信された回線交換データを 第 2の受信回路 4でデータ処理した例である。 また、 この場合において は、 第 2の基地局からパケッ トデータの送信はない。
このため、 図 5中符号 aの点線で示す回線交換データ (CS) のレー ト は、 約 1 2 k b p sで一定なのであるが、 図 5中符号 bの細線で示すパ ケッ トデータ (PS) のレー トは 「 0 (データ無し) 」 である。 そして、 この一定レー トの回線交換データと、 データレート 「 0」 のパケッ トデ ータとの平均レー トを算出すると、 図 5中符号 cの太線で示す平均レー トが算出されることを示している (ステップ S 1 2 ) 。
次に、 図 3のフローチャー トのステップ S 1 3では、 チヤネル監視部 9が、 ステップ S 1 1及びステップ S 1 2で算出した各平均レートに基 づいて、 以下の演算を行うことで、 アンテナ重み計算部 1 0が第 1の受 信回路 3の 「アンテナ重み値」 を算出する際に用いる 「重み値 ψ 1 =
BTS l_we i ght」 及び第 2の受信回路 4の 「アンテナ重み値」 を算出する際 に用いる 「重み値 φ 2 = BTS2_we i ght」 を算出する。
なお、 以下の式では、 第 1の受信回路 3に対応する平均レートを 「BTSし avg_rate」 として記載し、第 2の受信回路 4に対応する平均レー トを 「BTS2_avg— rate」 として記載している。
φ =BTS 1— wei ght
=0.5*(l+(BTS2_avg_rate/ (BTSl_avg_rate+BTS2_avg_rate) )
φ 2=BTS2_weight=l.0— BTS1— weight
チャネル監視部 9は、 このような演算式に基づいて算出した各重み値 φ 1 , φ 2をアンテナ重み計算部 1 0に供給する。
このように算出された各重み値 Φ 1, φ 2の一例を図 6に示す。 この 図 6において、 符号 aの実線が第 1の受信回路 3用の重み値 φ 1 (= BTSl_weight) の変遷を示し、符号 の点線が第 2の受信回路 4用の重み 値 Φ 2 ( = BTS2一 weight) の変遷を示している。
なお、 チャネル監視部 9にはミニマムオペレータが設けられており、 このミニマムオペレータにより、 演算式で算出される各重み値 φ 1, φ 2が、 例えば 「 0. 7 5以上、 0. 2 5以下」 とならないように、 各重 み値 ψ 1, ψ 2の値を調整するようになっている。
〔アンテナ重み値の算出〕
次に、 アンテナ重み計算部 1 0は、 このようにして算出された各重み 値 ^ 1, φ 2と、 第 1の受信回路 3の P i 1 o t復号部 2 4からの伝搬 路特性推定値 α 1, 3 1、 及び第 2の受信回路 4の P i l o t復号部 2 8からの伝搬路特性推定値 α 2, i3 2に基づいて、 以下の演算式におけ る受信データ Rの値 (受信強度) が最大となるようにアンテナ重み値 W 1, W 2を選択する。
R = ( 1 W 1 ( α 1 + 3 1 ) + φ 2 W 2 ( a 2 + β 2 ) ) * S
そして、 アンテナ重み計算部 1 0は、 この演算式に基づいて選択した アンテナ重み値 W 1を、 第 1の受信回路 3の位相補正部 2 2に供給し、 アンテナ重み値 W 2を、 第 2の受信回路 4の位相補正部 2 6に供給する (この様子は、 図 1中、 R x— W l、 R x— W 2で表記) 。
なお、 アンテナ重み計算部 1 0で算出されたアンテナ重み値は、 図 1 に示す送信回路 1 1により、 送信ユーザデータに挿入され、 基地局にフ
イードバックされる。
次に、 第 1の受信回路 3の位相補正部 2 2は、 P i 1 o t復号部 2 4 からの伝搬路特性推定値 α 1, i3 1、 及び上記アンテナ重み計算部 1 0 からの第 1の受信回路 3用のアンテナ重み値 W 1に基づいて、 逆拡散部 2 1からのデータに対して位相補正処理を施す。
同様に、 第 2の受信回路 4の位相補正部 2 6は、 P i l o t復号部 2 8からの伝搬路特性推定値 α 2, 3 2、 及びアンテナ重み計算部 1 0か らの第 2の受信回路 4用のアンテナ重み値 W 2に基づいて、 逆拡散部 2 1からのデータに対して位相補正処理を施す。
前述のように、 各位相補正部 2 2, 2 6に供給されるアンテナ重み値 W 1 , W 2は、 各受信回路 3, 4でデータ処理される実行データ量に対 応した値となっている。 このため、 各受信回路 3, 4で復元される第 1 の基地局からのデータ及び第 2の基地局からのデータの位相及び振幅値 を最適なものとすることができる。 従って、 合成部 6、 復調部 7及び復 号部 8により復号化される受信ユーザデータの位相及び振幅値を最適な ものとすることができる。
[第 1の実施の形態の効果]
以上の説明から明らかなように、 第 1の実施の形態の携帯電話機は、 複数の基地局からのデータを、 携帯電話機の複数の受信回路で受信して 復号する際に、 チャネル監視部 9で各受信回路で処理されるデータの実 行データ量を検出し、 この検出した実行データ量に基づいて、 各受信回 路のデータのアンテナ重み値を可変制御する。
これにより、 各受信回路で処理されるデータの実行データ量に対応す るアンテナ重み値を用いることができるため、 各受信回路で復元される 受信ユーザデータの位相及び振幅値を最適なものとすることができる。 従って、 時間変動する伝搬路特性に対応して受信品質の向上を図ること
ができる。
[第 2の実施の形態]
次に、 本発明の第 2の実施の形態となる携帯電話機の説明をする。 上 述の第 1の実施の形態の携帯電話機は、 各受信回路 3, 4で処理される データの実行データ量に基づいてアンテナ重み値を可変制御するもので あつたが、 この第 2の実施の形態の携帯電話機は、 「パケッ トデータの データの状態」 に応じて各受信回路 3, 4のアンテナ重み値を可変制御 するようにしたものである。
[第 2の実施の形態の構成]
この第 2の実施の形態の携帯電話機の場合、 図 7に示すようにインジ ケータ抽出部 5 0を有している。 このインジケータ抽出部 5 0には、 パ ケッ トデータを受信した場合に、 そのバケツ トデータの復元処理を行う 第 1の受信回路からのデータが入力されるようになっている。 また、 こ のインジケータ抽出部 5 0から出力されるバケツ トデータの状態を示す データは、 チャネル監視部 9に供給されるようになっている。
そして、 チャネル監視部 9は、 インジケータ抽出部 5 0から供給され るバケツ トデータの状態を示すデータに基づいて、 上述の重み値 φ 1, φ 2 ( = BTS l_wei ght, BTS2_we ight) を形成し、 これらをアンテナ重み 計算部 1 0に供給するようになつている。
なお、 この図 7において、 上述の第 1の実施の形態の携帯電話機と同 じ動作を示す箇所には同じ符号を付してある。 従って、 この図 7におい て、 上述の第 1の実施の形態の携帯電話機と同じ符号を付した箇所の説 明は、 上述の第 1の実施の形態の説明を参照されたい。
[第 2の実施の形態の動作]
W— C D M Aや C D M A 2 0 0 0等のサイ トダイバーシチを用いた 移動通信システムで送受信されるバケツ トデータには、 そのバケツ ト内
にデータが存在するか否かを示すィンジケータが挿入されている。
このため、 インジケータ抽出部 5 0は、 バケツ トデータを受信した場 合、 この受信したパケッ トデータからインジケータを抽出し、 これをチ ャネル監視部 9に供給する。
これに対して、 上記第 3の受信回路 5の復号部 3 3は、 バケツ トデー タを受信した場合、 この受信したパケッ トデータが正常に受信 (復号) できたか否かを示すフラグを形成し、 これをチャネル監視部 9に供給す る。
チャネル監視部 9は、 インジケータによりバケツ トデータの受信が検 出された場合には、 パケッ トデータのデータ処理を行う受信回路 (この 場合は、 第 1の受信回路 3 ) で用いるアンテナ重み値 W 1の値に重みを 置くために、 重み値 φ 1の値を所定の大きな値とする。
また、 チャネル監視部 9は、 断続的に送信されるパケッ トデータの性 質を利用し、 インジケータによりバケツ トデータの受信が検出されてか ら所定時間の間は、 パケッ トデータのデータ処理を行うアンテナ重み値 用の重み値 φ 1の値を所定の大きな値に保持する。
さらに、 パケッ トデータが正常に受信されなかった場合には、 携帯電 話機から基地局に対して、 そのパケッ トデータの再送要求がなされ、 基 地局から正常に受信されなかったバケツ トデータが、 該携帯電話機に対 して再送される。
このため、 チャネル監視部 9は、 復号部 3 3から、 バケツ トデータが 正常に受信されなかったことを示すフラグが供給された場合には、 基地 局から再送されるバケツ トデータ (正常に受信されなかったバケツ トデ ータ) に備えて、 重み値 φ 1の値を保持する時間を延長制御して、 重み 値 φ 1の値を所定時間以上の間、 保持する。
図 8のフローチャートに、 このようなチャネル監視部 9の動作の流れ
を示す。 まず、 このフローチャートは、 携帯電話機のメイン電源が投入 されることでスタートとなる。 ステップ S 2 1では、 チャネル監視部 9 が、 インジケータ抽出部 5 0から供給されるィンジケータの有無を判別 することで、 バケツ トデータが受信されたか否かを判別する。
パケッ トデータの受信が検出されなかった場合、 チャネル監視部 9は、 ステップ S 2 2において、タイムオーバーか否かを判別する。すなわち、 前述のようにバケツ トデータは、 基地局から断続的に送信されるため、 チャネル監視部 9は、 バケツ トデータを受信したタイミングでタイマに よる計時を開始し (ステップ S 2 6 ) 、 このタイマにより計時される所 定時間の間 (例えば数秒) は、 重み値 φ 1の値を保持するようになって いる。
このため、 このステップ S 2 2では、 チヤネル監視部 9が、 パケッ ト データが検出されなくなつてからタイマにより計時される所定時間が経 過したか否かを判別する。 そして、 タイマにより計時される所定時間が 経過した場合は、 その後、 基地局からパケッ トデータが送信されてくる 可能性は低いため、 ステップ S 2 3において、 回線交換データ用のアン テナ重み値 W 1, W 2がアンテナ重み計算部 1 0で算出されるように、 重み値 φ 1の値を、 例えば 0 . 6等の所定の小さな値 ( a 1 = 0 . 6 ) とし、 これをアンテナ重み計算部 1 0に供給する。
次に、 チャネル監視部 9は、 ステップ S 2 4において、 この小さな値 とした重み値 Φ 1の値と、 回線交換データ用のアンテナ重み値 W 1, W 2を算出するための重み値 φ 2の値を加算して 「 1」 となるように、 重 み値 <ί> 2の値を調整し ( φ 2 = 1— ψ ΐ ) 、 これをアンテナ重み計算部 1 0に供給する。
これにより、 上述のようにアンテナ重み計算部 1 0において、 この重 み値 φ 1, φ 2に基づいて、 各受信回路 3, 4において回線交換データ
に重みを置いたデータ処理が行われるようにアンテナ重み値 W 1 , W 2 が算出されることとなる。
これに対して、 タイマにより計時される所定時間が経過していない場 合には、 その後、 連続して基地局からパケッ トデータが送信されてくる 可能性が高い。 そして、 チャネル監視部 9は、 最初にパケッ トデータを 受信したタイミングで、 重み値 φ 1の値を、 バケツ トデータ用のアンテ ナ重み値 W 1, W 2がアンテナ重み計算部 1 0で算出される値である、 例えば 0 . 7 5等の所定の大きな値( a 1 = 0 . 7 5 ) に設定している。
このため、 チャネル監視部 9は、 ステップ S 2 2において、 タイマに より計時される所定時間が経過していないと判別した場合には、 ステツ プ S 2 5において、 パケッ トデータ用のアンテナ重み値 W 1, W 2を算 出するための重み値として、 先に設定されている重み値 φ 1の値を、 例 えば 0 . 7 5等の所定の大きな値のまま保持する。
そして、 ステップ S 2 4において、 この大きな値のまま保持した重み 値 φ 1の値と、 重み値 φ 2の値を加算して 「 1」 となるように、 重み値 Φ 2の値を調整し (φ 2 = 1— φ ΐ ) 、 これらをアンテナ重み計算部 1 0に供給する。
これにより、 上述のようにアンテナ重み計算部 1 0において、 この重 み値 Ψ 1, ψ 2に基づいて、 各受信回路 3, 4においてパケッ トデータ に重みを置いたデータ処理が行われるようにアンテナ重み値 W 1, W 2 が算出されることとなる。
一方、 ステップ S 2 1においてバケツ トデータの受信が検出された場 合、 チャネル監視部 9は、 ステップ S 2 6において、 このパケッ トデー タを検出したタイミングでタイマによる計時をスタートする。
そして、 ステップ S 2 7において、 重み値 φ 1の値を、 パケッ トデー タ用の例えば 0 . 7 5等の所定の大きな値 ( a 2 ) に設定し、 これをァ
ンテナ重み計算部 1 0に供給する。
次に、 チャネル監視部 9は、 ステップ S 2 8において、 パケッ トデー タの復元を行う第 3の受信回路 5の復号部 3 3からのフラグに基づいて、 バケツ トデータの受信が正常に行われたか否かを判別する。 バケツ トデ ータの受信が正常に行われている場合は、 ステップ S 2 5で設定した重 み値 Φ 1に対応する重み値 Φ 2をステップ S 2 4で設定し、 これらをァ ンテナ重み計算部 1 0に供給する。
これに対して、 バケツ トデータの受信が正常に行われなかった場合は、 前述のように携帯電話機から基地局に対して、 そのパケッ トデータの再 送要求がなされる。 そして、 この再送要求に応えて即座に基地局からパ ケッ トデータの送信が行われる可能性が高い。
このため、 チャネル監視部 9は、 ステップ S 2 9において、 タイマの 計時時間を所定時間分延長する。 これにより、 基地局からパケッ トデー タが再送された場合に、 この再送されたパケッ トデータを、 最適な値の 重み値 φ 1で処理することができる。
図 9 ( a ) 〜 (d) に、 このように重み値 φ 1, φ 2が可変制御され る様子を示す。 この図 9 ( a ) 〜 (d) のうち、 図 9 ( a ) は、 チヤネ ル監視部 9で設定される重み値 φ 1の値を、 図 9 ( b ) は、 バケツ トデ ータの受信タイミングを、 図 9 ( c ) は、 インジケータ抽出部 5 0で検 出されたィンジケータがチャネル監視部 9に供給されるタイミングを、 図 9 ( d) は、 パケッ トデータに受信エラーが生じた際に復号部 3 3か らチャネル監視部 9に、 受信エラーを示すフラグが供給されるタイミン グを示している。
このような図 9 ( a ) 〜 (d) において、 まず、 図 9 ( b ) に示すよ うに時刻 t 1にパケッ トデータが受信されたとすると、 図 9 ( c ) に示 すように、 この受信のタイミングで復号部 3 3によりインジケータが抽
出されチャネル監視部 9に供給される。 チャネル監視部 9は、 このイン ジケータが供給されると、 上述のようにバケツ トデータ用の重み値 a 2 ( 1 = a 2 )を選択してアンテナ重み計算部 1 0に供給する。そして、 チャネル監視部 9は、 図 9 ( a ) に示すように、 このパケッ トデータ用 の重み値 a 2を、 予め決められた時刻 t 1〜時刻 t 2の間、 保持する。 次に、 図 9 ( a ) に示すように、 時刻 t 2で、 バケツ トデータ用の重 み値 a 2を保持する時間が切れたとすると、 チャネル監視部 9は、 この 時間切れのタイミングでパケッ トデータ用の重み値を重み値 a 2から重 み値 a 1に変更してアンテナ重み計算部 1 0に供給する。
そして、 図 9 ( b ) , ( c ) の時刻 t 3に示すように、 再度、 バケツ トデータが受信されィンジケータが供給されたタイミングで、 バケツ ト データ用の重み値を重み値 a 2に変更してアンテナ重み計算部 1 0に供 給する。
〔タイマの延長動作〕
ここで、 図 9 ( b ) 中、 斜線で示すように、 時刻 t 3で受信されたパ ケッ トデータの後半部分が欠損し受信エラーを生じた場合、 図 9 ( d ) の時刻 t 4に示すように復号部 3 3からチャネル監視部 9に対して受信 エラーを示すフラグが供給される。
チャネル監視部 9は、 図 9 ( b ) の時刻 t 3でパケッ トデータが受信 されると、 図 9 ( a ) の時刻 t 3〜時刻 t 5に示すように所定時間、 重 み値 a 2をアンテナ重み計算部 1 0に供給するのであるが、 受信エラー を示すフラグが供給されると、 図 9 ( a ) の時刻 t 5〜時刻 t 7に示す ように重み値 a 2を保持する時間を延長する。
これにより、 図 9 ( b ) の時刻 t 6に示すように、 受信エラーにより 再送されたパケッ トデータを、 この延長した時間内に受信して、 最適な 重み値 a 2で処理可能とすることができる。
[第 2の実施の形態の効果]
以上の説明から明かなように、 第 2の実施の形態の携帯電話機は、 パ ケッ トデータのデータの状態 (パケッ トデータの有無、 パケッ トデータ 受信の可能性、 及びパケッ トデータの受信エラー等) に応じて、 アンテ ナ重み計算部 1 0に供給する重み値 φ 1, ψ 2を切り替え制御する。
これにより、 最適な重み値でバケツ トデータを処理することを可能と することができ、当該携帯電話機の受信品質の向上を図ることができる。
なお、 上述の重み値としては、 パケッ トデータ処理用の重み値及び回 線交換データ処理用の重み値を、 前述のバケツ トデータの状態に応じて 切り替えて用いればよい。 このため、 この第 2の実施の形態の説明にお いて、 重み値 φ 1の値を 0 . 6や 0 . 7 5 とする等のように具体的な数 値を掲げて説明したが、 この重み値の値は、 設計等に応じて適宜設定す ればよい。
上述の各実施の形態は本発明の一例である。 このため、 本発明は、 上 述の実施形態に限定されることはなく、 各実施の形態以外であっても、 本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、 設計等に応じて種 々の変更が可能であることは勿論であることを付け加えておく。 産業上の利用可能性
本発明は、 複数の基地局と交信を行うサイ トダイバーシチに対応する 端末の各チャネル毎に最適なアンテナ重み値を割り当てることができ、 端末の受信特性の向上を図ることができる。