明細書 光記録媒体及び光記録媒体への情報記録方法 技術分野
本発明は光記録媒体に関し、 さらに詳細には、 高速記録を行うのに 好適な光記録媒体に関する。 また、 本発明は光記録媒体への情報記録 方法に関し、 さらに詳細には、 高いデータ転送レートにて光記録媒体 へ情報を記録することが可能な方法に関する。 従来の技術
従来より、 デジタルデータを記録するための記録媒体として、 C D や D V Dに代表される光記録媒体が広く利用されており、 そのデータ 記録方式と しては、 記録すべきデータをトラックに沿った記録マーク の長さに変調するという方式が広く用いられている。 例えば、 ユーザ によるデータの書き換えが可能な光記録媒体の一種である D V D— R Wにおいては、 3丁〜 1 1丁及び1 4丁 (Tは 1クロック周期) に対 応する長さの記録マークが用いられ、 これによつてデータの記録が行 われる。
このような記録マークの形成においては、 レーザ一ビームが光記録 媒体のトラックに沿って照射され、 これによつて光記録媒体に含まれ る記録層に所定の長さを持ったァモルファス領域が形成され、 これが 記録マークとして用いられる。 記録層のうちァモルファス状態でない 部分は結晶状態となっている。
記録層に記録マークを形成する場合、 記録層に照射するレーザビー ムのパワーを高いレベル (記録パワー) に設定することによって記録 層を融点を超える温度に加熱し、 その後急冷する。 これにより、 結晶 状態がアモルファス状態に変化し、 記録マークが形成される。 一方、 既に形成された記録マークを消去する場合、 記録層に照射するレーザ ビームのパワーを比較的低いレベル (消去パワー) に設定することに
よって記録層を結晶化温度以上に加熱し、 その後徐冷する。 これによ り、 アモルファス状態が結晶状態に変化し、記録マークが消去される。 したがって、レーザビームのパワーをこのように変調することにより、 記録層の未記録領域に記録マークを形成するだけでなく、 既に記録マ ークが形成されている領域にこれと異なる記録マークを直接上書き (ダイレク トオーバーライ ト) することが可能となる。
近年、 光記録媒体に対しては、 データ転送レートのさらなる向上が 強く望まれており、 これを可能とするためには、 結晶化速度の速い相 変化材料を用いて記録層を構成することが有効である。
しかしながら、 結晶化速度の速い相変化材料は、 一般に結晶状態で ある場合とアモルファス状態である場合の絶対的な反射率差が小さく、 このため、 記録されたデータを再生した場合、 良好なジッタが得られ ないという問題があった。 しかも、 データ転送レートを高めるために 記録線速度を高めれば高めるほど、 形成された記録マークの幅が細く なる傾向があるため、 上記絶対的な反射率差の低下によるジッタの悪 化は、 記録線速度を高めれば高めるほど顕著となり、 記録線速度が 1 O m / s e c以上である場合に極めて顕著となる。
このため、 記録線速度が 1 O m Z s e c未満であれば、 反射率差の 低下によるジッタの悪化はそれほど問題とはならないものの、 記録線 速度が 1 0 s e c以上になると、 反射率差の低下によってジッタ が急速に悪化してしまうという問題があった。 発明の開示
したがって、 本発明の目的は、 高速記録を行うのに好適な光記録媒 体を提供することである。
また、 本発明の他の目的は、 高いデータ転送レートにて光記録媒体 へ情報を記録することが可能な情報記録方法を提供することである。 相変化材料からなる記録層が結晶状態である場合の反射率とァモル ファス状態である場合の反射率との差は、 一般に変調度 (M O D ) と 呼ばれるパラメータによって表現され、 これが大きいほど、 再生時に
おいて大きな出力振幅を得ることができる。 ここで、 変調度 (MOD) とは、 結晶状態である場合の反射率を R t o pとし、 アモルファス状 態である場合の反射率を R b t mと した場合、
MOD = (R t o p—R b t m) ZR t o p ( 1 ) で定義される。 ここで、 「R t o p」 及び 「R b t m」 とは、 それぞれ, 集光されたレーザビームをグループに沿って トラッキングさせたとき の結晶部分及びァモルファス部分の反射率によって定義される。
上記式 ( 1 ) から明らかなように、 変調度 (MOD) を高めるため には、 R t o p と R b t mとの絶対的な差を大きくする力、、 或いは、 R t o pを小さくすれば良いことが分かる。 しかしながら、 上述のと おり、 結晶化速度の速い相変化材料ほど、 1 1 0 と 1¾ 1) 1 111との絶 対的な差は小さくなつてしまうことから、 十分な変調度 (MOD) を 確保するためには、 R t o pを小さくする必要がある。 これは、 誘電 体膜の膜厚を調整することなどにより実現可能である。
本発明の発明者らは、 このような技術的知見に基づいて、 目的とす る (到達可能な) 記録線速度と結晶状態である場合の反射率 (R t o p ) との好ましい関係を見出し、 本発明を完成するに至った。
すなわち、 本発明のかかる目的は、 相変化材料によって構成され、 1 O m/ s e c以上の線速度でのデータ記録が可能な記録層を備える 光記録媒体であって、 前記記録層を構成する相変化材料の結晶状態に おける反射率を R t o p (%) とし、 目的とする記録線速度を V (m / s e c ) とした場合、 前記 R t o p及び Vが、
1 1 - (V/ 5 ) < R t o p く 2 2 - ( 2 V/ 5 )
の条件を満たしていることを特徴とする光記録媒体によって達成され る。
また、 本発明のかかる目的は、 相変化材料によって構成され、 1 0 / s e c以上の線速度でのデータ記録が可能な記録層を備える光記 録媒体であって、 記録時において設定すべき線速度 V (m/ s e c ) に関する情報を含む記録条件設定情報を有しており、 前記記録層を構 成する相変化材料の結晶状態における反射率を R t o p (%) とした
場合、 前記 R t o p及ぴ Vが、
1 1 - (V/ 5 ) < R t o p く 2 2 - ( 2 V/ 5 )
の条件を満たしていることを特徴とする光記録媒体によって達成され る。
本発明によれば、 5 0 %以上の変調度 (MOD) が確保されること から、 1 O mZ s e c以上の高線速でデータの記録を行う場合に生じ るジッタの悪化を効果的に抑制することが可能となる。
本発明の好ましい実施態様においては、 前記 R t o p及び Vが、 1 1 - (V/ 5 ) < R t o p く 2 0 - (4 V/ 1 1 )
の条件を満たしている。
本発明の好ましい実施態様によれば、 5 5 %以上の変調度(MOD) が確保されることから、 1 O mノ s e c以上の高線速でデータの記録 を行う場合に生じるジッタの悪化をより効果的に抑制することが可能 となる。
本発明のさらに好ましい実施態様においては、 前記 R t o p及び V が、
1 1 — (Y / 5 ) < R t o p く 1 8. 3— ( V/ 3 )
の条件を満たしている。
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、 6 0 %以上の変調度(M OD) が確保されることから、 1 0 mZ s e c以上の高線速でデータ の記録を行う場合に生じるジッタの悪化をより効果的に抑制すること が可能となる。
本発明の前記目的はまた、結晶状態における反射率が R t o p (%) である相変化材料からなる記録層を備えた光記録媒体への情報記録方 法であって、 記録線速度を V (m/ s e c ) と した場合、
1 1 - (V/ 5 ) < R t o p < 2 2 - ( 2 V/ 5 )
且つ
V≥ 1 0
を満足する条件にて情報の記録を行うことを特徴とする光記録媒体へ の情報記録方法によって達成される。
本発明によれば、 5 0%以上の変調度 (MOD) が確保されること から、 1 O mZ s e c以上の高線速でデータの記録を行う場合に生じ るジッタの悪化を効果的に抑制することが可能となる。
本発明の好ましい実施態様においては、 さらに
1 1 - (V/ 5 ) < R t o p < 2 0 - (4 V/1 1 )
を満足する条件にて情報の記録を行う。
本発明の好ましい実施態様によれば、 5 5 %以上の変調度 (MOD) が確保されることから、 1 Om// s e c以上の高線速でデータの記録 を行う場合に生じるジッタの悪化をより効果的に抑制することが可能 となる。
本発明のさらに好ましい実施態様においては、 さらに
1 1一 (V/ 5 ) < R t o p く 1 8. 3— ( V/ 3 )
を満足する条件にて情報の記録を行う。
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、 6 0 %以上の変調度(M OD) が確保されることから、 1 0 mZ s e c以上の高線速でデータ の記録を行う場合に生じるジッタの悪化をより効果的に抑制すること が可能となる。 図面の簡単な説明
図 1は、 相変化材料により到達可能な記録線速度 (V) とこれら相 変化材料の R t o p と R b t mとの絶対的な差(R t o p - R b t m) との関係を示すグラフである。
図 2は、 変調度 (MOD) がそれぞれ 5 0 %、 5 5%、 6 0%とな る場合の到達可能な記録線速度 (V) と結晶状態である場合の反射率 (R t o p) との関係を示すグラフである。
図 3は、 本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体 1 0の構造 を概略的に示す断面図である。
図 4は、 ドライブの主要部を概略的に示す図である。
図 5は、 2 Tに対応する長さの記録マークを形成する場合のパルス パターンの一例を示す図である。
図 6は、 結晶状態である場合の反射率 (R t o p ) と得られたジッ タとの関係を示すグラフである。 発明の実施の形態
以下、 添付図面を参照しながら、 本発明の好ましい実施態様につい て詳細に説明する。
光記録媒体に対して高いデータ転送レートでの高速記録を行うため には、 上述のとおり、 記録層を構成する相変化材料の結晶化速度を高 める必要があるが、 各相変化材料により到達可能な記録線速度とこれ ら相変化材料の R t o pと R b t mとの絶対的な差 (R t o p— R b t m) との間には、 ほぼ一定の関係を見出すことができる。
図 1は、 相変化材料により到達可能な記録線速度 (V) とこれら相 変化材料の R t o p と R b t ΙΏとの絶対的な差(R t o p - R b t m) との関係を示すグラフである。
図 1に示すように、 到達可能な記録線速度 (V) が高い相変化材料 ほど、 R t o p と R b t mとの絶対的な差 (R t o p— R b t m) は 小さくなり、 その傾向ははぼ直線的であることが分かる。 かかる直線 は、 下記式 (2) によって表すことが可能である。
R t o p— R b t m = 1 1— (V/5) (2) 一方、 再生時において十分な出力振幅を得るためには、 上述のとお り、 記録層の変調度 (MOD) を高めることが有効である。 また、 記 録線速度を高めれば高めるほど、 形成された記録マークの幅が細くな ることから、 特に、 記録線速度が 1 OmZ s e c以上である場合にお いては記録層の変調度 (MOD) を十分に高める必要がある。 具体的 には、 記録線速度が 1 0m/ s e c以上である場合、 十分な出力振幅 を得るためには 5 0 %以上の変調度 (MOD) が要求され、 5 5 %以 上であることが好ましく、 6 0%以上であることがより好ましい。 変調度 (MOD) を 5 0 %以上とするために必要な条件は、 上記式 ( 1 ), (2) より求めることができる。 すなわち、 結晶状態である場 合の反射率 (R t o p) が下記式 ( 3) を満たせば、 5 0° /。以上の変
調度 (MOD) を確保することが可能となる。
R t o p < 2 2— ( 2 V/ 5 ) ( 3 ) また、 R t o pの下限値は、 式 ( 1 ) より、 アモルファス状態であ る場合の反射率 (R b t m) がゼロとなる値であり、 下記式 (4 ) に よって表すことが可能である。
R t o p > 1 1 - ( V/ 5 ) ( 4 ) また、 変調度 (MOD) を 5 5 %以上とするために必要な条件及び 60%以上とするための条件についても、 上記式 ( 1 ), (2) より求 めることができる。 すなわち、 結晶状態である場合の反射率 (R t o p) が下記式 ( 5) を満たせば、 5 5%以上の変調度 (MOD) を確 保することが可能となり、 下記式 (6) を満たせば、 6 0%以上の変 調度 (MOD) を確保することが可能となる。
R t o p < 2 0 - ( 4 V/ 1 1 ) · · · · ( 5 )
R t o p く 1 8. 3 - (V/ 3 ) · · ■ · ( 6 ) 図 2は、 変調度 (MOD) がそれぞれ 5 0 %、 5 5 %、 6 0%とな る場合の到達可能な記録線速度 (V) と結晶状態である場合の反射率 (R t o p ) との関係を示すグラフであり、 上記式 ( 3 ) 〜 (6) に 対応している。
図 2から明らかなとおり、 到達可能な記録線速度 (V) が高くなる ほど、 結晶状態である場合の反射率 (R t o p) と して設定すべき値 は低くなる。 具体的な数値を挙げて説明すると、 ( 1 , 7) R L Lの変 調方式を用いて 70Mb p sのデータ転送レー ト (フォーマツ ト効率 = 80%) を達成しょうとする場合、 必要となる記録線速度 (V) は 1 0. 5 mZ s e cであることから、 この場合、 5 0%以上の変調度 (MOD) を得るために必要な R t o pの値は 8. 7%〜 1 7. 4 % となり、 5 5%以上の変調度 (MOD) を得るために必要な R t o p の値は 8. 7 %〜 1 5. 9 %となり、 6 0 %以上の変調度 (MOD) を得るために必要な R t o pの値は 8. 7 %〜 1 4. 5 %となる。 同 様に、 ( 1 , 7) R L Lの変調方式を用いて 1 4 0Mb p sのデータ転 送レート (フォーマッ ト効率 = 8 0 %) を達成しょう とする場合、 必
要となる記録線速度 (V) は 2 1. 0 m/ s e cであることから、 こ の場合、 5 0 %以上の変調度 (MOD) を得るために必要な R t o p の値は 6. 4%〜 1 2. 9 %となり、 5 5 %以上の変調度 (MOD) を得るために必要な R t o pの値は 6. 4 %〜 1 1. 7 %となり、 6 0%以上の変調度 (MOD) を得るために必要な R t o pの値は 6. 4 %〜 ; L 0. 7 %となる。
次に、 本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の物理的な構 造について説明する。
図 3は、 本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体 1 0の構造 を概略的に示す断面図である。
図 3に示すように、 本実施態様にかかる光記録媒体 1 0は、 基板 1 1 と、 基板 1 1上に設けられた反射層 1 2と、 反射層 1 2上に設けら れた第 2の誘電体層 1 3と、 第 2の誘電体層 1 3上に設けられた記録 層 1 4と、 記録層 1 4上に設けられたバリァ層 1 5と、 ノくリア層 1 5 上に設けられた第 1の誘電体層 1 6 と、 第 1の誘電体層 1 6上に設け られた放熱層 1 7と、 放熱層 1 7上に設けられた光透過層 1 8によつ て構成され、光記録媒体 1 0の中央部分には孔 1 9が設けられている。 このような構造を有する光記録媒体 1 0に対しては、 光透過層 1 8側 からレーザビームを照射することによってデータの記録ノ再生が行わ れる。
基板 1 1は、 光記録媒体 1 0に求められる機械的強度を確保するた めの基体と しての役割を果たし、 その厚さと しては約 1. 1 mmに設 定することが好ましい。 また、 基板 1 1の材料としては特に限定され ず、 ポリカーボネートを用いることができる。
反射層 1 2は、 光透過層 1 8側から入射されるレーザビームを反射 し、 再び光透過層 1 8から出射させる役割を果たし、 その厚さとして は 1 0〜 3 00 nmに設定することが好ましい。 反射層 1 2の材料と しては特に限定されないが、 銀を主成分とする合金を用いることが好 ましい。
第 2の誘電体層 1 3は、 主に、 その上方に形成されている記録層 1
4に対する保護層と しての役割を果たし、 その厚さとしては 2〜 5 0 n mに設定することが好ましい。 第 2の誘電体層 1 3の材料と しては 特に限定されず、 A l 2 0 3、 Z n Sと S i O 2の混合物、 C e 0 2、 Y 2 0 3、 A 1 Ν等を用いることができる。
記録層 1 4は、 相変化材料によって構成され、 結晶状態である場合 の反射率とアモルファス状態である場合の反射率とが異なることを利 用してデータの記録が行われる。 反射率の設定は、 記録層 1 4を構成 する相変化材料の組成を調整することにより行われ、 上述のとおり 目 的とする (到達可能な) 記録線速度との関係により決定される。 目的 とする (到達可能な) 記録線速度は、 記録条件設定情報として光記録 媒体内に記録され、 実際にデータの記録が行われる際には、 ドライブ によりかかる記録条件設定情報が読み出され、 これに基づいた線速度 でのデータの記録が行われる。 ここで、 記録条件設定情報とは、 光記 録媒体 1 0に対してデータの記録を行う場合に必要な各種条件、 具体 的には記録線速度や、 その他、 例えばレーザビームのパワーや以下に 詳述するパルスパターン等を特定するために用いられる情報をいう。 記録条件設定情報は、 ゥォブルゃプレピッ トとして記録されたもので も、 情報の記録時に記録されたものでもよい。 また、 データの記録に 必要な各条件を具体的に示すもののみならず、 ドライブ内にあらかじ め格納されている各種条件のいずれかを指定することにより記録条件 の特定を行うものであっても構わない。
結晶状態である記録層 1 4をアモルファス状態に変化させるために は、光透過層 1 8側から照射されるレーザビームを書き込みパワー( Ρ w ) から基底パワー ( P b ) までの振幅を有するパルス波形とするこ とによって記録層 1 4を融点以上の温度に加熱し、 その後、 かかるレ 一ザビームのパワーを基底パワー (P b ) に設定することによって急 冷する。 これにより、 書き込みパワー P wによって溶融した領域がァ モルファス状態に変化し、 これが記録マークとなる。 一方、 ァモルフ ァス状態である記録層 1 4を結晶状態に変化させるためには、 光透過 層 1 8側から照射されるレーザビームのパワーを消去パワー (P e )
に設定することによって記録層 1 4を結晶化温度以上の温度に加熱す る。 これにより、 消去パワー P eによって結晶化温度以上の温度に加 熱された領域は、 その後徐冷されることから、 当該領域が結晶状態に 変化する。
ここで、 書き込みパワー Pw、 消去パワー P e及び基底パワー P b の関係は、
Pw> P e≥ P b
に設定される。 したがって、 レーザビームのパワーをこのように変調 すれば、記録層 1 4の未記録領域に記録マークを形成するだけでなく、 既に記録マークが形成されている領域にこれと異なる記録マークを直 接上書き (ダイレク トオーバーライ ト) することが可能となる。
記録層 1 4の具体的な材料と しては、 特に限定されるものではない が S b T e共晶系材料を用いることが好ましい。 S b T e共晶系材料 としては I n S b T e G e T bを用いることが好ましい。 記録層 1 4 の厚さとしては、 5〜 30 n mに設定することが好ましい。
第 1の誘電体層 1 6は、 第 2の誘電体層 1 3と同様、 主に、 記録層 1 4に対する保護層としての役割を果たし、 その厚さと しては 1 0〜 3 00 nmに設定することが好ましい。 第 1の誘電体層 1 6の材料と しては特に限定されないが、 Z n Sと S i O 2の混合物を用いること が好ましい。
バリア層 1 5は、 第 1の誘電体層 1 6に含まれる S (硫黄) が記録 層 1 4に到達するのを抑制する役割を果たし、 その厚さとしては 2〜 20 n mに設定することが好ましい。 バリァ層 1 5の材料と しては特 に限定されず、 A】 203、 S i N、 Y203等を用いることができる。 但し、 本発明において光記録媒体 1 0にバリア層 1 5を設けることは 必須でなく、 これを省略しても構わない。
放熱層 1 7は、 記録層 1 4に与えられた熱を効率的に放熱させるた めの層であり、 光記録媒体 1 0のパワーマージンを拡大する役割を果 たす。 したがって、 放熱層 1 7の熱伝導率は、 少なく とも第 1の誘電 体層 1 6の熱伝導率よりも高いことが求められ、 このような材料と し
ては A 1 2 0 3や A 1 N等を用いることが好ましい。 また、 放熱層 1 7 の厚さとしては、 1 0〜 2 0 0 n mに設定することが好ましく、 3 0 〜 1 0 0 n mに設定することがより好ましい。 但し、 本発明において 光記録媒体 1 0に放熱層 1 7を設けることは必須でなく、 これを省略 しても構わない。
光透過層 1 8は、 レーザビームの入射面を構成し、 その厚さと して は 1 0 ~ 3 Ο 0 μ mに設定することが好ましく、 5 0〜: L 5 0 /i mに 設定することが特に好ましい。 光透過層 1 8の材料と しては特に限定 されないが、 紫外線硬化性樹脂を用いることが好ましい。
次に、 本実施態様にかかる光記録媒体 1 0に対してデータの記録を 行うことが可能なドライブについて説明する。
図 4は、 ドライブの主要部を概略的に示す図である。
ドライブは、 図 4に示すように光記録媒体 1 0を回転させるための スピン ドルモータ 2と、 光記録媒体 1 0にレーザビームを照射すると ともにその反射光を受光するヘッ ド 3と、 スピンドルモータ 2及びへ ッ ド 3の動作を制御するコントローラ 4と、 ヘッ ド 3にレーザ駆動信 号を供給するレーザ駆動回路 5と、 へッ ド 3にレンズ駆動信号を供給 するレンズ駆動回路 6とを備えている。
さらに、 図 4に示すように、 コン トローラ 4にはフォーカスサーボ 追従回路 7、 トラッキングサーボ追従回路 8及びレーザコン トロール 回路 9が含まれている。フォーカスサーボ追従回路 7が活性化すると、 回転している光記録媒体 1 0の記録面にフォーカスがかかった状態と なり、 トラッキングサーボ追従回路 8が活性化すると、 光記録媒体 1 0の偏芯している信号トラックに対して、 レーザビームのスポッ トが 自動追従状態となる。 フォーカスサーボ追従回路 7及びトラッキング サーボ追従回路 8には、 フォーカスゲインを自動調整するためのォー トゲインコントロール機能及びトラッキングゲインを自動調整するた めのオートゲインコントロール機能がそれぞれ備えられている。また、 レ一ザコント口ール回路 9は、 レーザ駆動回路 5により供給されるレ 一ザ駆動信号を生成する回路であり、 光記録媒体 1 0に記録されてい
る記録条件設定情報に基づいて、適切なレーザ駆動信号の生成を行う。 尚、 これらフォーカスサーボ追従回路 7、 トラッキングサーボ追従 回路 8及びレーザコン ト口ール回路 9については、 コン トローラ 4内 に組み込まれた回路である必要はなく、 コン トローラ 4 と別個の部品 であっても構わない。 さらに、 これらは物理的な回路である必要はな く、コン トローラ 4内で実行されるソフ トウエアであっても構わない。 このよ うな構成からなる ドライブを用いて本実施態様にかかる光記 録媒体 1 0に対するデータの記録を行う場合、 光記録媒体 1 0に記録 されている記録条件設定情報が読み出され、 これに基づいて記録線速 度やレーザビームのパワー、 パルスパターン等が決定される。 パルス パターンと しては、 特に限定されるものではないが、 本発明が高線速 で記録を行う場合に特に効果的であることを考慮すれば、 (1 , 7 ) R L Lの変調方式を用いることが好ましい。 ( 1, 7 ) R L Lの変調方式 においては、 2 T〜 8 Τに対応する長さの記録マークが記録層 1 4に 形成される。
図 5は、 2 Τに対応する長さの記録マークを形成する.場合のパルス パターンの一例を示す図である。
図 5に示されるように、 2 Τに対応する長さの記録マークを形成す る場合、 レーザビームのパルス数は 「 1」 に設定される。 ここで、 レ —ザビームのパルス数とは、 レーザビームのパワーが P wまで高めら れた回数によって定義される。 より詳細には、 レーザビームが記録マ 一クの始点に位置するタイミングを時刻 t s と し、 レーザビームが記 録マークの終点に位置するタイ ミングを時刻 t e と した場合、 時刻 t sから時刻 t eまでの間に、レーザビームのパワーが一旦 P wとされ、 次に、 ノ、。ヮー P bとされる。 ここで、 時亥 ij t s以前におけるレーザビ ームのパワーは P e に設定されており、 時刻 t sにおいてレーザビー ムの立ち上げが開始される。 また、 時刻 t eにおけるレーザビームの パワーは P eまたは P bに設定される。
T p u 1 s eの期間においては、 光記録媒体 1 0の記録層 1 4は高 いエネルギーを受けてその温度が融点を超え、 T e l の期間において
は、 光記録媒体 1 0の記録層 1 4は急速に冷却される。 これにより、 光記録媒体 1 0の記録層 1 4には、 2丁に対応する長さの記録マーク が形成される。
他の長さの記録マーク ( 3丁〜 8 T) を形成する場合も、 上記 2 T に対応する長さの記録マークを形成する場合と同様、 レーザビームの パワーが P w、 P e或いは P bに設定され、 各々所定数のパルスによ つて所望の長さをもつ記録マークが形成される。
以上説明したように、 本実施態様によれば、 高線速、 特に l O mZ s e c以上の線速度でデータの記録を行う場合に生じるジッタの悪化 を効果的に抑制することが可能となることから、 より高いデータ転送 レー 卜での情報の記録が可能となる。
本発明は、 以上の実施態様に限定されることなく、 特許請求の範囲 に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、 それらも本発 明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、 上記実施態様においては、 光記録媒体 1 0の具体的な構造 として図 3に示す構造を挙げたが、 本発明による光記録媒体の構造が これに限定されることはない。
以上説明したように、 本発明によれば、 高線速でデータの記録を行 う場合に生じるジッタの悪化を効果的に抑制することが可能となるこ とから、 より高いデータ転送レー 卜での情報の記録が可能となる。 実施例
図 3に示した構造を有し、 基板 1 1が厚さ 1 . 1 mmのポリカーボ ネートからなり、 反射層 1 2が厚さ 1 0 0 n mの銀を主成分とする合 金からなり、 第 2の誘電体層 1 3が厚さ 3 n mの Z n Sと S i O 2の 混合物 (モル比 = 5 0 : 5 0 ) からなり、 記録層 1 4が厚さ 1 4 n m の I n S b T e G e T b力 らなり、 ノ リァ層 1 5が厚さ 5 n mの A 1 2 O 3からなり、 第 1の誘電体層 1 6が Z n Sと S i O 2の混合物 (モ ル比- 8 0 : 2 0 ) からなり、 放熱層 1 7が厚さ 1 0 0 n mの A 1 N からなり、 光透過層 1 8が厚さ 1 0 0 μ mの紫外線硬化性樹脂からな
る光記録媒体 1 0— 1〜 1 0— 4を作製した。 これら光記録媒体 1 0 — 1〜 1 0— 4は、 第 1の誘電体層 1 6の厚さにおいてのみ互いに相 違し、 これにより、 結晶状態である場合の反射率 (R t o p) が互い に相違している。 第 1の誘電体層 1 6の厚さは、 光記録媒体 1 0— 1 では 30 n m、 光記録媒体 1 0— 2では 4 0 n m、 光記録媒体 1 0― 3では 4 2 n m、 光記録媒体 1 0— 4では 4 5 n mである。 また、 記 録層 1 4を構成する相変化材料は、 線速度を 2 1. Om/ s e c (フ ォーマツ ト効率を 8 0%とした場合のデータ転送レートが 1 40Mb p s ) に設定してデータの記録を行う場合に最適な結晶化速度を有し ている。
このような光記録媒体 1 0— 1〜 1 0— 4に対し、 表 1に示す条件 のもと、 ( 1 , 7 ) R L Lの変調方式を用いて 2 T〜 8 Tに対応する長 さの記録マークからなる混合信号を形成した。
クロック周波数 262.5MHz クロック周期 (1T) 3.8nsec 線速度 21.0m/sec 変調方式 (1,7)RLL
Ί "―タ転送レート 175Mbps フォーマット効率 80%
Ί "一タ転送レート
1 0Mbps
(効率を考慮) チャンネルビット長 0.12 m/bit 開口数 (ΝΑ) 0.85 レーザ波長 405nm
Pw 7.0〜8.0mW
Pe 2.2mW
Pb 0.1 mW
次に、 光記録媒体 10— 1〜10— 4に形成された混合信号のクロ ックジッ夕を測定した。 測定においては、 タイムイン夕一バルアナラ ィザにより再生信号の 「ゆらぎ (び)」 を求め、 び/ Tw (Tw :クロ ックの 1周期) により算出した。測定の結果を表 2に示す。 表 2には、 光記録媒体 10— 1〜 10— 4それそれについて、 記録層 14が結晶 状態である場合の反射率 (R t 0 p) が併せて示されている。
表 2
差替え用紙 (規則 26)
Jitter Rtop 光記録媒体 10-1 1 1.8% 12.5%
光記録媒体 10-2 10.9% 11.0%
光記録媒体 10-3 10.4% 7.3%
光記録媒体 10-4 12.7% 17.0%
ここで、 反射率 (R t o p ) は、 次の方法により算出した。
まず、 互いに厚さの異なる反射層 1 2のみが形成された複数の測定 用媒体を作製し、 これら測定用媒体のミラー面部分 (グループゃビッ トを有さない平らな部分) に記録/再生に用いるレーザビームと同じ 波長のレーザビームを照射し、 その反射率を分光光度計により測定し た。 これにより、 反射層 1 2の膜厚と反射率との関係を得た。 さらに、 これら測定用媒体のミラー面部分に、 評価装置を用いて記録/再生に 用いるレーザビームを再生パワーでフォーカスオンさせ、 和信号出力 電圧値を測定した。 これにより、 反射層 1 2の膜厚と和信号出力電圧 値との関係を得た。
このようにして得られた反射層 1 2の膜厚と反射率との関係及び反 射層 1 2の膜厚と和信号出力電圧値との関係から、 反射率と和信号出 力電圧値との関係を導き出した。
そして、 光記録媒体 1 0— 1 ~ 1 0— 4に対し、 記録層 1 4が結晶 状態である領域にグループに沿ってレーザビームを再生パワーでトラ ッキングさせ、 得られた和信号出力電圧値及び上述した反射率と和信 号出力電圧値との関係から当該領域の反射率を算出し、 これを R t 0 pとした。 尚、 R b t mについても同じ方法により算出することがで ぎる。
表 2に示すように、 形成された混合信号のジッ夕は、 結晶状態であ る場合の反射率 (R t o p ) が低い記録層 1 4をもつ光記録媒体ほど 差替え用紙(繊! ]26)
良好な値となっている。 次に、 表 2に示す値を用いて、 結晶状態であ る場合の反射率 (R t o p ) と得られたジッタとの関係を示すグラフ を作成した。
図 6は、 結晶状態である場合の反射率 (R t o p ) と得られたジッ タとの関係を示すグラフである。
図 6に示すように、 結晶状態である場合の反射率 (R t o p) と得 られたジッタとの間には一定の関係が認められ、 結晶状態である場合 の反射率 (R t o p ) が低いほど、 ジッタが低下していることが分か つた。 ここで、 光記録媒体 1 0— 1の反射率は上述した式 ( 3) を満 たしており、 実用レベルの上限である 1 2 %以下 ( 1 1. 8 %) のジ ッタが得られている。 また、 光記録媒体 1 0— 2の反射率は上述した 式 (5) を満たしており、 1 1 %以下 ( 1 0. 9 %) のジッタが得ら れている。 さらに、 光記録媒体 1 0— 3の反射率は上述した式 (6) を満たしており、 1 0. 5 %以下 ( 1 0. 4 %) のジッタが得られて いる。 これに対し、 光記録媒体 1 0— 4の反射率は上述した式 ( 3) を満たしておらず、 ジッタが実用レベルの上限である 1 2 %を超えて いることが分かった。