明 細 書 周波数制御方法、 周波数制御装置、 及び通信端末 技術分野
本発明は、 例えば DS— CDMA (直接拡散符号分割多元接続) セルラー通信 システムに用いられる AFC (自動周波数制御) 方法、 AFC装置、 及び通信端 末に関するものである。 背景技術
第 7図は、 例えば特開平 7— 123024号公報に開示された従来の A F C装 置の構成の一例を示すブロック図である。 AFC回路 10は、 ミキサ 11と、 A ZD変換器 12と、 DMF (ディジタル ·マッチド ·フィルタ) 13と、 OSC (発振器) 14と、 周波数弁別器 15と、 D/A変換器 16と、 AFC制御回路 17と、 VCO 18とから構成されている。 この AFC回路 10は、 入力される I Fに含まれている送信側のチップクロック周波数 TxCLKに対して、 OSC 14の出力するサンプルクロック周波数 RxCLKを、 TxCLKの 1チップ周 期当たり 2サイクル程度高いか、 あるいは 2サイクル程度低い周波数として、 送 受のクロックの周波数ずれによる相関値の変動を短時間で抑制させ、 VCOl 8 の生成するクロックを早く TxCLKに同期させるよう動作する。 この AFC装 置によれば、 AFCの初期引き込みが可能になるまでに要する時間を短縮できる。 ところで、 携帯端末のような通信端末は、 通信端末が移動することにより、 通 信を行う基地局が、 基地局 Aから基地局 Bに替わるハンドオーバが行われる。 第 6図は、 ハンドオーバの動作を示した図である。 基地局 Aの発振器と基地局 Bの 発振器の周波数には誤差がある。 さらに通信端末が高速で移動している場合、 ド ップラー効果による周波数誤差も生じるので、 ハンドオーバのときに同期はずれ が生じる場合がある。 この同期はずれは周波数誤差が大きいほど発生しやすくな るが、 上記従来の技術においては、 このようなハンドオーバ時に生じる対策が施 されていない。
さらに、 周波数弁別量は、 ある第 1シンポルとある期間だけ離れた第 2シンポ ルの位相差を測定することにより得られ、 第 1シンポルと第 2シンポルの間隔が 大きくなるほど、 より細かな周波数制御ができるが、 逆に急激な大きい周波数ォ フセットが生じると、 A F Cは機能できず同期はずれが起こるという問題もある。 本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、 高速移動を伴うハンドォ ーパが行われても、 周波数オフセットに起因する同期はずれが発生しない周波数 弁別手段をもつ C DMA通信における A F C方法、 A F C装置、 及び通信端末を 提供することを目的とするものである。 発明の開示
本発明に係る周波数制御方法は、 送信局から受信局に送信される信号が、 時空 間ブロック送信アンテナダイバーシチを適応した信号又は適応しない信号のいず れかであり、 該信号を受信し、 復調処理を施すことにより受信データを獲得する 受信局での周波数制御方法において、 受信局が持つ電圧制御発振器の出力クロッ ク信号を倍周又は分周することによって搬送周波数を生成するステップと、 該生 成された搬送周波数を使って受信信号からベースバンド信号を復調するステップ と、 該べ一スパンド信号を既知のタイミングと既知の拡散符号を使って逆拡散処 理を行い受信デ一夕を復号するステツプと、 該同一の性質を有するシンポルのグ ループ内において、 1又は複数シンボル間隔を有する 2つのシンポルのペアに対 し、 位相差量の検出を行うステップと、 検出された各グループの位相差の検出量 を使つて、 受信局が持つ電圧制御発振器の周波数制御を行うステツプとを備えて なるものである。
また、 本発明に係る周波数制御方法は、 検出された各グループの受信レベルを 比較し平均受信レベルが最大となったグループの位相差の検出量を使って、 受信 局が持つ電圧制御発振器の周波数制御を行うステップをさらに備えてなるもので ある。 ここで、 前記通信状況には、 受信レベルまたは受信品質のいずれかを用い ることができる。
このような構成によれば、 通信状況に応じて周波数弁別のスパン及び精度を変 更することができ、 例えば、 高速移動を伴うハンドオーバが行われても、 周波数
オフセットに起因する同期はずれが発生しない周波数弁別を行うことができる。 また、 本発明に係る周波数制御装置は、 復調した受信デ一夕から、 複数の異な るシンポル間隔を計算する処理部と、 複数の異なるシンボル間隔を有する複数の シンポルペアの位相差を検出するシンポルペア位相差検出部と、 通信状況を検出 する通信状況検出部と、 前記シンボルペア位相差検出部から出力される複数のシ ンポルペアの位相差から一つのシンボルペアの位相差を前記通信状況検出部によ り検出された通信状況に基づいて選択するセレクタと、 前記セレクタにより選択 されたシンポルペアの位相差に基づいて、 前記電圧制御発振器の周波数を制御す る A F C系列制御部とを備えてなるものである。
また、 本発明において、 前記通信状況はハンドオーバに起因して生じる通信状 況であり、 前記セレクタは、 ハンドオーバが生じた場合にシンポル間隔の短いシ ンポルペアの位相差を選択するようにしている。
さらに、 本発明において、 前記通信状況検出部は、 受信レベルまたは受信品質 の少なくともいずれか一方を検出するようにすることもできる。
また、 本発明において、 前記シンボルペア位相差検出部は選択的に一つの所定 のシンポル間隔を有するシンポルペアの位相差を検出することができ、 前記通信 状況検出部により検出される第 1通信状況において、 前記シンポルペア位相差検 出部は、前記所定のシンポル間隔を有する一つのシンポルペアの位相差を検出し、 前記通信状況検出部により検出される第 2通信状況により前記シンポルペア位相 差検出部はシンボル間隔の異なる複数のシンポルペアの位相差を検出し、 前記通 信状況検出部により検出される第 3通信状況により前記セレクタは前記シンボル ペア位相差検出部から出力される複数のシンポルペアの位相差から、 一つのシン ポルペアの位相差を選択するものである。
このような構成によれば、 例えば通常時である第 1通信状況においては、 シン ポルペア位相差検出部は、 例えば精度を最も高められる一つのシンポルペアの位 相差のみを検出していれば良く、 通常時の動作は簡単となる。
さらに、 本発明において、 前記通信状況検出部により検出される第 1通信状況 は、 ハンドオーバが生じない状況であり、 前記通信状況検出部により検出される 第 2通信状況は、 ハンドオーバが生じる直前の状況であり、 前記通信状況検出部
により検出される第 3通信状況は、 ハンドオーバが生じた直後の状況であるとす ることができる。
このような構成によれば、 ハンドオーバに対して周波数誤差を検出し、 その制 御を行うために必要にして十分な処理を前もって行うことができる。
また、 本発明に係る通信端末は、 無線信号を受信するアンテナと、 前記アンテ ナにより受信された受信信号を搬送周波数を用いて復調する復調器と、 前記搬送 周波数を制御する上述した周波数制御装置とを備えてなるものである。
このような通信端末によれば、 高速移動を伴うハンドオーバが行われても、 周 波数オフセッ卜に起因する同期はずれが発生しない。 .
そして、 本発明によれば、 例えば C DMA通信における A F Cにおいて、 高速 移動を伴うハンドオーバが行われても、 周波数オフセットに起因する同期はずれ が発生しない高性能な D S一 C DMAセルラ一通信システムを提供することがで さる。 図面の簡単な説明
第 1図は、 本発明の実施の形態に係る A F C装置の構成を示すブロック図であ る。
第 2図は、 本発明の実施の形態に係る A F C装置のシンポルペア位相差検出部 を詳細に示したブロック図である。
第 3図は、 セレクタ 2 0 4の動作を示すフローチャート図である。
第 4図は、 シンポルペア位相差検出部におけるシンポル間隔の一例を示すタイ ムチヤ一卜である。
第 5図は、 検出された位相差と V C T C XOの制御の関係を示した図である。 第 6図は、 ハンドオーバを示す図である。
第 7図は、 A F C装置の従来例を示すブロック図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。 第 1図は 本実施の形態に係る携帯端末の A F C装置の構成を示すブロック図である。 この
AFC装置は、 アンテナ 101, 102と、 アンテナ選択部 103と、 逆拡散部 104と、 シンポルペア位相差検出部 105と、 平均化部 106と、 AF C系列 制御部 107と、 スクランブルコード生成部 108とから構成されている。 シン ポルペア位相差検出部 105は、 シンポル 1平均化部 109と、 シンポル 2平均 化部 110と、 位相比較部 111とから構成されている。
次に、 AFC装置の動作について説明する。 アンテナ 101, 102で受信し た信号は、アンテナ選択部 103によってより良い通信状況である方を選択され、 逆拡散部 104へ出力される。 逆拡散部 104は、 スクランブルコード生成部 1 08から出力されるコードを用いて、 入力された信号を逆拡散し、 その結果をシ ンポル 1平均化部 109とシンポル 2平均化部 110へ出力する。 所定の間隔を 持つシンポル 1とシンボル 2は、 それぞれシンポル 1平均化部 109とシンポル 2平均化部 110で平均化される。 位相比較部 111は、 シンボルシンポル 1平 均化部 109とシンポル 2平均化部 110の出力の位相を比較し、 位相差を平均 化部 106へ出力する。平均化部 106は、位相比較部 111の出力を平均化し、 平均化された位相差を AF C系列制御部 107へ出力する。 AF C系列制御部 1 07は、 平均化された位相差に基づいて、 シンボル 1平均化部 109とシンポル 2平均化部 110のシンポル位置と、 スクランブルコード生成部 108のコード 位相と、 VCTCXOとを制御する。 また、 AFCをロックした場合は、 AFC ロック信号を出力する。
第 2図は、 第 1図のシンポルペア位相差検出部 105を詳細に示したプロック 図である。 シンポルペア位相差検出部 105は、 逆拡散信号が入力される Pa i r— 1位相検出部 201、 Pa i r— 2位相検出部 202、 Pa i r— 3位相検 出部 203と、 セレクタ 204と、 最大位相回転検出部 205とから構成されて おり、 セレクタ 204の出力は平均化部 106へ出力される。 P a i r— l位相 検出部 201は、 シンポル 1平均化部 109とシンポル 2平均化部 110と位相 比較器 111とから構成されている。 Pa i r— 2位相検出部 202、 Pa i r _ 3位相検出部 203についても同様である。
逆拡散部 104の出力は並列に、 Pa i r— 1位相検出部 201、 Pa i r— 2位相検出部 202、 Pa i r- 3位相検出部 203へ入力される。 Pa i r—
1位相検出部 201、 Pa i r— 2位相検出部 202、 P a i r- 3位相検出部 203から出力された位相差は、 セレクタ 204と最大位相回転検出部 205へ 入力される。 最大位相回転検出部 205は、 Pa i r一 1位相検出部 201、 P a i r -2位相検出部 202、 Pa i r_3位相検出部 203のそれぞれの位相 差が 45度を越えるかどうかを判定し、 判定結果をセレクタ 204へ出力する。 セレクタ 204は、以下に示す手順で選択した結果を平均化部 106へ出力する。 第 3図は、 セレクタ 204の動作を示すフローチャート図である。 処理 301 において、 Pa i r— 1位相検出部 201の位相差の絶対値が 45度を越えるか 否かの判断を行い、位相差の絶対値が 45度を越えれば(301、 Y)、 P a i r 一 1位相検出部 201を選択する (304)。一方、処理 301において前記の条 件を満たさない場合 (301、 N)、 処理 302へ移行する。
処理 302において、 Pa i r— 2位相検出部 202から入力された位相差の 絶対値が 45度を越えるか否かの判断を行い、 位相差の絶対値が 45度を越えれ ば (302、 Y)、 P a i r一 2位相検出部 202を選択する (305)。 一方、 処理 302において前記の条件を満たさない場合(302、 N)、処理 303へ移 行する。
処理 303において、 P a i r— 3位相検出部 203の絶対値が 45度を越え るか否かの判断を行い、 位相差の絶対値が 45度を越えれば(303、 Y)、 P a i r一 3位相検出部 203を選択する (306)。一方、処理 303において前記 の条件を満たさない場合(303、 N)、 AFCがロックしたと判断する。 この場 合も P a i r一 3位相検出部 203を選択する (306)。なお、 AFCがロック したと判断された後、 シンポルペア位相差検出部は、 選択的に P a i r— 3位相 検出部 203のみを動作させるようにすることができる。
第 4図は共通パイロットチャネルの送信パターンと、 シンボルペア位相差検出 部におけるシンポル間隔の一例を示すタイムチャートである。 TxAn t enn a_lと TxAn t enna— 2は、 基地局側の送信アンテナを示す。 基地局か らの送信信号が時空間ブロック送信アンテナダイバーシチ (STTD) が適用さ :れる場合、 TxAn t e nn a- 1と TxAn t e n n a— 2の両方から同時に 送信される。 一方、 STTDが適応されない場合は、 TxAn t enna— 1の
みからの送信となる。 移動体機での受信信号は、 STTDが適用されている場合 には、 (TxAn t enna_l) + (TxAn t enna— 2) であるから、 フ レームの先頭から順に、 A + A, A— A, A-A, A + A, A + A, · · ·となり、 STTDが適用されない場合には、 TxAn t e nn a— 2は 0なので、 フレー ムの先頭から順に、 A, A, A, A, A, A, A, となる。 ここで、 A は I—Q座標で 1 + jを表し, 一 Aは— 1一 jを表す。 周波数誤差はシンポル列 のあらかじめ決められた 2つを取り出してその位相差を求めることにより得られ る。 Pa i r— 1、 Pa i r— 2、 P a i r— 3はそれぞれ異なる時間間隔で取 り出される 2つのシンポルのペアを示している。
S TTDが適用されている場合には、どのシンポルペアを選ぶかが重要である。 受信信号 A + Aが A— Aと等しい、 又は大きければ、 第 4図の P a i rの上段の シンボルペアを選ぶ。 逆に小さければ、 上段のシンポルペアを選ぶようにする。 これにより、 S TTDが適用されている場合での適切な位相差検出が可能となる。 STTDが適用されない場合にも、 STTDが適用されている場合に行つた方法 で問題なく位相差検出が可能である。 この実施の形態のように、 STTDが適用 されている、 いないにかかわらず適切な位相差検出が可能である。
P a i r— 1は、 隣り合うシンポルの位相差を計算し、 VCTCXOを ±0. 5 p pm以内で制御する。 P a i r— 2は、 基準シンポルと基準シンポルから 4 シンポル後のシンボルとの位相差を計算し、 VCTCXOを ±0. 2ppm以内 で制御する。 P a i r— 3は、 基準シンポルと基準シンポルから 12シンポル後 のシンポルとの位相差を計算し、 VCTCXOを ±0. l ppm以内で制御する。 第 5図は検出された位相差と VCTCXOの制御の関係を示した図である。 例 えばセレクタ 204によって P a i r-1が選択された場合、 検出された位相差 が A 3と A 2の範囲にあれば、 VCTCXOに一 0. 5 ppmの制御を行う。 検 出された位相差が A 1の範囲にあれば、 VCTCXOに一 0. 2ppmの制御を 行う。 検出された位相差が B 1の範囲にあれば、 VCTCXOに +0. 2 p pm の制御を行う。 検出された位相差が B 3と B 2の範囲にあれば、 V C T C X〇に + 0. 5ppmの制御を行う。 P a i r— 2、 P a i r— 3についても同様に、 表に示された値の制御を行う。
すなわち、 周波数をより細かく制御できるものから並べると、 Pa i r— 3、 Pa i r— 2、 Pa i r— 1の順となる。 P a i r— 3の状態において、 高速移 動時でのハンドオーバのような大きな周波数誤差が発生すると、 その変化に対応 できなくなり同期はずれが発生する。 しかし、 P a i r— 1または P a i r-2 での位相差の導出処理を行うことで、 同期はずれを防止することができる。
移動局は移動中に現在通信中の無線基地局からの信号の受信レベルと通信品質 を測定している。 受信レベルまたは通信品質の両方が、 予め定めたしきい値以上 である間は、 ハンドオーバの判定を開始せずに現在通信中の無線基地局との間で 通信を続ける。 もし、 受信レベルまたは通信品質の内の少なくとも一方がしきい 値より低下したときには、 他の受信可能な全ての無線基地局から送出されている 制御信号の受信レベルと通信品質の変化の割合を調べる。 同時に、 Pa i r_3 の AFC動作に加えて Pa i r— l、 または P a i r— 2の動作を開始させる。 AFCの動作により周波数誤差が小さくなり、 Pa i r— 3の状態でロックする。 この一連の手続きは、 端末内の AFC系列制御部 107が行う。 産業上の利用の可能性
以上に詳述したように本発明によれば、 例えば高速移動を伴うハンドオーバ等 通信状況の変動が生じても、 周波数オフセットに起因する同期はずれが発生しな い高性能な D S— CDMAセルラー通信システムを提供することができる。