明細書
R N A転写合成モニター方法及びその装置 技術分野
本発明は、 R N A転写合成モニター方法及びその装置に関する。 背景技術
タンパク質は DNAの塩基配列を写しとつた RNAの塩基配列をもとに、 リポソ一 ム上で合成される。 転写反応はタンパク質合成に至る最初の段階であり、 細胞の 核内に存在する DNAの塩基配列を写し取って RNAを合成する過程をいう。 具体的 には、 DNA を錡型にして相補的な RNA (アデニンはゥラシルに、 グァニンはシ トシン) を 5'から 3'の方向に合成する反応である。
RNA合成を担う RNAポリメラーゼは、 プロモ一夕一とよばれる DNA上の特定の 塩基配列に結合した後、 錶型 DNA上の転写開始部位から DNAの塩基と相補的なヌ クレオチド三リン酸 (NTP) を取り込んで RNA を合成する。 転写開始部位から数 ヌクレオチド重合した後は、 安定な重合反応が続き、 RNA鎖はさらに伸長されて
DNAの対合から離れる。 この一連の重合反応は DNA上の特定の終結配列が現れる まで続く。
インビト口転写反応は、 細胞内の転写のメ力二ズムを利用して試験管内で簡単に RNA を合成する方法であり MA ポリメラ一ゼとその補助因子、 基質 NTP 及び鎵型
DNAを必要とする。
近年では転写補助因子を必要としない T7、 T3、 SP6ポリメラーゼを利用したィ ンビトロ転写反応も多く利用されている。 T7、 T3、 SP6 ポリメラ一ゼを用いた インビトロ転写反応は、 各プロモ一夕一の下流に鎵型となる DNA断片を導入し、 各プロモーターを特異的に認識する RNAポリメラ一ゼを用いて転写反応を行い、 目的の RNA鎖を合成する方法である。
インビト口転写反応は、 自動合成機では困難な長鎖 MAをはじめキヤップ構造 やイントロンを導入した RNAを合成することも可能であり、 これらの RNAは、 ィ ンビトロ翻訳の銪型 MA、 ハイブリダィゼーシヨン用のプローブとして広く利用 されている。 キヤップ構造が付加された RNAやイントロンが導入された RNAは、 転写産物の末端や介在配列を解析するために用いられている (Current
Protocols in Molecular Biology、 Green Publ ishing Associates, Inc. and John Wiley & Sons, Inc . 1996) 。
このようにインビトロ転写 R N A合成反応は多くの研究分野で利用されている が、 一般に、 インビトロ転写反応を正常に進行させるためには、 錶型として使用 する D N A上においてプロモー夕一が適切な位置に組み込まれていること、 プロ モー夕一と R N Aポリメラ一ゼの組み合わせが適切であることなど、 いろいろな 条件が正確に満たされる必要がある。 また、 調製した試料において、 転写反応を 効率よく行うためには、 錶型 D N Aと R N Aポリメラ一ゼの量比など細かい条件 を最適値に設定する必要もある。 インビトロ転写反応を行うために調製した試料 が、 条件を満たしているか否かは、 反応を実際に行い、 その結果を解析して目的 とする反応物が生成されているか否かを確認することによりはじめて知ることが できる。 実際、 反応が進行しているか否かは、 反応溶液を一定時間毎に採取し、 R N Aを抽出後、 2 6 0 n mでの吸収値を測定することで、 反応液中の合成 R N A量が増加していることを確認することが通常である。 さらに、 合成された R N Aが完全長のものであることを確認するためには、 R N Aを抽出した後に電気泳 動法により確認することが通常である。 これらの方法は、 合成された R N Aの抽 出操作が必要であり、 この処理手順は通常極めて繁雑であり、 時間も要するもの である。 従って、 インビトロ転写反応を効率よく正常に進行させるための条件を 決定するためには、 上記の手順を繰り返しおこなわなければならず、 多大の時間 と労力を必要とするものである。
一方、 一本鎖 D N Aなど核酸の検出方法として、 当該核酸とハイプリダイズす
る 2種類の蛍光標識プロ一プを用いる方法が知られている。 これは、 それぞれ異 なる種類の蛍光色素で標識された 2種類のプローブを核酸を含む溶液に加える。 2種類のプローブが同一の核酸に互いに隣接してハイブリダィズすると、 蛍光色 素間の距離が短くなるため蛍光色素間に共鳴エネルギー移動が生じ、 その結果、 蛍光スペク トルが変化することを利用したものである (Cardullo, R.A. et al. ( 1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 85 8790-8794、 USP 4996143) 。 この方法 を一本鎖 R N Aの検出に適用するときには、 R N A上でプロ一ブがノ、ィブリダイ ズ可能な部位 (塩基配列) を実験によりあらかじめ検索する必要がある。 一般に、 数十塩基以上の長さをもつ R N Aは水溶液中で特定の立体構造 (2次構造) をと つており、 その結果、 R N A中のほとんどの部位は他の核酸とハイブリダィゼ一 シヨンをおこさない(Chiang,M. - Yつ Chan,H.et al. ,J. Biol. Chem.266, 18162- 18172, ( 1991 )) 。 R N A上でプローブがハイブリダィズする部位を確実に求め る手法は確立されておらず、 一般には、 当該 R N Aの 2次構造をコンビュ一夕— シミュレ一シヨンし ( Michael Zuker and Patrick Stiegler, Nucleic Acid Reserch , 9, 133-148, 1981) 、 その予測された構造においてプロ一ブがハイブ リダイズ可能な部位の候補をピックアツプし、 その塩基配列をもつプローブを作 製し、 各プローブと R N Aとのハイブリダィズの有無を実験的に確認している。 これらの操作は非常に繁雑で、 かつ多大な時間を要する。 また、 これらの操作を 繰り返し行っても、 当該 R N Aにハイブリダィズする部位が見い出されることが 保証されているわけではない。 これらの要因により、 100 塩基以上の長さをも つ R N Aが当該方法により検出された例は報告されていない。 発明の開示
本発明は、 上記の問題点を改善し、 R N Aの抽出操作や電気泳動操作を必要と せずにオンタイムで、 R N A転写合成反応をモニターする方法を提供するもので ある。 すなわち、 R N A転写合成反応の開始、 進行、 終了のモニタ一と、 さらに
上記反応により合成される全 RNA量の定量、 完全長 RNAの合成をモニターす る方法を提供するものである。 さらに、 上記転写反応の反応速度 (転写の回転の 速さ) を測定すること、 上記反応条件の最適化を可能とする方法を提供するもの である。
さらに、 その方法を使用したモニタ一装置を提供するものである。 図面の簡単な説明
図 1 A 本発明のモニター方法で使用するプロ一プを示す図である。
図 1 B 本発明のモニター方法で観測される蛍光スぺクトル変化を模式的に示す 図である。
図 2 本発明の RN A転写合成反応のモニタ一方法の概略を示す図である。
図 3 A 本発明のモニタ一方法で複数組のプローブを使用する態様を示す図であ り、 合成される RN Aの 3' 末端近辺と相補的な塩基配列をもつプローブ、 合成 される RN Aの中間部分と相補的な塩基配列をもつプローブ、 または合成される RNAの 5' 末端近辺と相補的な塩基配列をもつプローブがそれぞれ RN A上に ハイブリダイズする様子を模式的に示す図である。
図 3 B それぞれのプロ一ブがハイブリダィズすることにより得られる蛍光スぺ クトルを模式的に示す図である。
図 4 本発明に係るモニタ一装置の概略を示す図である。
図 5 インビトロ転写 RNA合成反応モニター装置の構成を示す図である。
図 6 1組の蛍光標識プローブで、 2 波長モニタリングする場合の測定ュニット の構成を示す図である。
図 7 2組の蛍光標識プローブで、 3波長モニタリングする場合の測定ユニッ ト の構成を示す図である。
図 8 96穴プレートを用いたインビトロ転写 RNA合成反応モニタ一装置の構 成を示す図である。
図 9 本発明に係るモニター方法により、 インビトロ転写反応の経時変化にとも ない、 蛍光スペクトルが変化することを示す図である。
図 10 A 本発明に係るモニター方法により、 インビトロ転写反応の経時変化を 蛍光スぺク トルの経時変化として測定可能であることを示す図であり、 合成 RN Aを抽出して OD260値より求めた転写 RNAの合成量の経時変化を示す図であ る。
図 10B 本発明に係るモニター方法により、 インビトロ転写反応の経時変化を 蛍光スぺクトルの経時変化として測定可能であることを示す図であり、 蛍光スぺ クトル上の 2つの波長での蛍光強度比 ( I a/I d、 Id : 515nmの蛍光強度、 la: 670nmの蛍光強度) の経時変化を示す図である。 図 11、 図 14、 図 17の 縦軸も同様。
図 11 ハイプリダイズする RN A上の部位が異なる 3組のプロ一ブを RNA転 写合成反応のモニタリングにそれぞれ用いたときの蛍光スぺクトルの 2つの波長 での蛍光強度比 (l a/I d) の経時変化を示したものである。 本方法による R NA転写合成反応のモニタリングは、 使用するプローブの RNA上でのハイプリ ダイズ部位には依存しないことを示す。
図 12A 完全長の XELF 1—ひの DNAを鍊型にして、 3'末端近辺にハイブリダィ ズする XELF— 3F プローブを転写反応液に添加して、 蛍光スペクトルの経時変化 を測定した結果を示す図である。 縦軸 I/Idは 515nmの蛍光強度 (Id) で規格化 された蛍光強度である。 図 12B、 図 13A、 図 13B、 図 15A, 図 15B, 図 18A, 図 18B, 図 18 Cの縦軸も同様。
図 12B 3'末端が欠失した XELF 1—ひの DNAを錡型にして、 3'末端近辺にハイ ブリダィズする XELF— 3F プローブを転写反応液に添加して蛍光スペクトルの経 時変化を測定した結果を示す図である。
図 13 A 完全長の XELF 1—ひの DNAを錡型にして、 5'末端近辺にハイブリダイ ズする XELF— 1F プロ一プを転写反応液に添加して蛍光スペクトルの経時変化を
測定した結果を示す図である。
図 1 3 B 3'末端が欠失した XELF 1—ひの DNA を錶型にして、 5'末端近辺にハイ プリダイズする XELF— 1F プローブを転写反応液に添加して蛍光スペクトルの経 時変化を測定した結果を示す図である。
図 14 実施例 4で作成した検量線を示す図である。
図 1 5A 実施例 5において得られた、 完全な長さの鎵型 DNA を用いた場合の蛍 光スぺクトルの経時変化を示す図である。
図 1 5B 実施例 5において得られた、 欠失した錡型 DNA を用いた場合の蛍光ス ぺクトルの経時変化を示す図である。
図 1 6 実施例 6において、 ポリメラ一ゼ添加量の減少に伴い RNA生合成量は減 少していることの確認を示す図である。
図 1 7 5'末端近辺にハイブリダィズする XELF- 1F ドナ一プローブ、 XELF-1F ァ クセプ夕一プローブを錡型 DNAに対し、 モル比で 200、 400、 800倍添加した条 件で RN A転写合成反応の経時変化を示す図である。
図 1 8 A XELF 1—ひ RNAと XE LF-1Fプローブまたは XELF-4Fプロ一ブを
1 : 1で混合してハイブリダィズさせた場合の蛍光スペクトルの結果を示す図で ある。
図 1 8B 転写反応液に XELF- 1F プローブを添加して蛍光スぺクトルの経時変化 を測定した結果を示す図である。
図 1 8 C 転写反応液に XELF- 4F プローブを添加して蛍光スぺクトルの経時変化 を測定した結果を示す図である。 発明を実施するための最良の形態
すなわち、 本発明は、 RNA転写合成反応系中の、 転写合成された RNAの塩 基配列の一部に連続してハイプリダイズする塩基配列を有する 2種類 1組のォリ ゴヌクレオチドプローブであって、 エネルギードナー蛍光分子でラベル化された
ドナープローブと、 エネルギーァクセプ夕一蛍光分子でラベル化されたァクセプ 夕一プロ—ブとからなる前記プロ—ブの蛍光を測定することにより、 前記 R N A 転写合成反応の開始、 終了及び完全長の RN Aの合成をモニターする方法を提供 するものである。
また本発明は、 RNA転写合成反応系中の、 転写合成された RNAの塩基配列 の一部に連続してハイプリダイズする塩基配列を有する 2種類 1組のオリゴヌク レオチドプローブであって、 エネルギードナ一蛍光分子でラペル化されたドナ一 プローブと、 エネルギーァクセプ夕一蛍光分子でラベル化されたァクセプ夕一プ ローブとからなる前記プロ一プの蛍光を測定することにより、 前記 R N A転写合 成反応による前記 RN A転写を定量する方法を提供するものである。
また、 本発明は、 RNA転写合成反応系中の、 転写合成された RNAの塩基配 列の一部に連続してハイプリダイズする塩基配列を有する 2種類 1組のォリゴヌ クレオチドプロ一プであって、 エネルギードナー蛍光分子でラベル化されたドナ —プローブと、 エネルギーァクセプ夕一蛍光分子でラベル化されたァクセプ夕ー プローブとからなる、 少なくとも 2組以上の前記プローブの蛍光を測定すること により、 前記 RNA転写合成反応における転写の開始と完全長 RNAを同時にモ 二夕一する方法を提供するものである。
さらに、 本発明は、 インビトロ転写 RNA合成反応のモニタ一装置であって、 RN A転写反応を行う合成反応装置と、 反応装置からサンプル溶液を導入するサ ンプル導入手段と、 前記サンプル溶液の濃度を調節する溶媒混合装置 (測定試料 調製装置) と、 蛍光測定装置と、 を備えることを特徴とする装置を提供するもの である。
より詳しくは、 本発明は、 RNA転写反応の開始、 進行、 完全長の RNAの合 成をモニタ一する方法、 さらに上記反応により合成される全 RN A量の定量、 完 全長 RN Aの合成をモニターする方法、 さらに、 上記転写反応の反応速度 (転写 の回転の速さ) を測定する方法、 上記反応条件の最適化を可能とする方法、 およ
びそのモニタ一方法を使用して転写反応で合成される RNAをモニタ一し、 かつ 反応のための最適条件を迅速に決定する装置である。
本発明に係る方法の概要は、 図 1A, Bおよび図 2に説明されている。 すなわ ち、 転写反応で合成される RNAの塩基配列のうち少なくとも一部の塩基配列に 相補的な塩基配列を有するプローブを反応溶液に添加して合成途上の R N Aとハ ィプリダイズさせ、 そのハイブリッド体の蛍光スぺクトルを測定することにより 可能とするものである。 ここで本発明に関わる方法に用いるプローブは、 2種類 の蛍光標識プローブを 1組として使用するものである。 一方のプローブはェネル ギー移動ドナ一蛍光色素でラベル化し、 他方のプローブはエネルギー移動ァクセ プ夕一蛍光色素でラベル化したものであり、 それぞれが前記 RNAの特定の部分 に連続してハイブリダィズ可能な塩基配列を有する (図 1A) 。 前記プローブ ( 2種類 1組みのプローブ) が前記 RN Aとハイプリダイズして特定の空間配置 をとると、 前記ドナ一色素とァクセプ夕一色素の空間距離が約 80オングストロ —ム以内になるこの条件で、 ドナー色素が光励起されると、 ァクセプ夕一色素へ のエネルギー移動がある確率でおこり、 その結果としてァクセプ夕一色素からの 蛍光が観測される(図 1 B) (Cardullo, R.A. et al.(1988), Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 85, 8790-8794) o 前記エネルギー移動は、 ドナーとァクセプ夕一と の距離依存的におこる相互作用であり、 距離が 80オングストロ一ム以上離れる と、 実質的に生じないことが知られている。 従って、 前記 RNAにハイブリダィ ズしない状態においては、 前記のァクセプ夕一色素からの蛍光は見られない。 すなわち、 前記プローブがハイブリダィズしていないときには、 ドナーの蛍光 (蛍光強度 Id とする) が強くァクセプ夕一の蛍光 (蛍光強度 la とする) は弱 い。 前記プローブがハイブリダィズしたときには、 ドナーの蛍光は弱くなりァク セプ夕一の蛍光が強くなる。 したがって、 ドナーの蛍光強度 (Id) とァクセプ 夕 一の蛍光強度 (la) の比率をとることにより、 前記プローブがハイブリダ ィズ する前記 RN Aの部分配列の存在の判別およびその存在量の定量をするこ
とが可能である。
図 2に模式的に示されるように、 転写反応により R N Aを合成する反応系中に 前記プローブを添加された条件下で、 R N Aポリメラ一ゼにより R N A合成が閧 始され、 前記プローブとハイブリダィズ可能な部分配列が生成されると、 前記プ ローブがハイブリダィズすることとなる。 この結果、 上で説明したように、 ドナ 一の蛍光強度が減少し、 ァクセプ夕一の蛍光強度が増加することとなる。
ここで使用するプローブにおいては、 プローブを R N Aにハイブリダイズさせ る部位は、 合成される R N Aの任意の一部を選択することが可能である。 すなわ ち、 図 2においては、 合成反応液中に多量のプローブが含まれているために、 個々の R N A分子の合成の途上において、 プローブと相補的な塩基配列をもつ部 位が合成されるとすみやかにプローブがハイブリダィズする。 したがって、 図 2 に模式的に示された方法を使用すると、 R N Aが特定の立体構造を形成した後に プローブを加えたときにはハイプリダイズがおこらない部位に対応するプローブ を使用しても、 プローブを R N Aにハイブリダィズさせることが可能である。 また、 ァクセプ夕一の蛍光波長においてドナ一の蛍光がほとんど観測されない 条件を満足するドナ一色素とァクセプ夕一色素の組み合わせを選択することも可 能であり、 この条件においては、 ァクセプ夕一色素からの蛍光強度を観測するこ とにより、 前記 R N Aの合成された部分配列の存在を判別し、 定量することが可 能となる。
なお、 本発明に係るプローブは、 連続してハイブリダィズする塩基配列を有す るものとして説明されているが、 これに限定されるものではない。 本発明に係る 2種類のプローブが互いに R N Aの一部に隣接してハイブリダイズするように塩 基配列を有する場合において、 ハイブリダィズした際の蛍光スぺクトルが有意の 変化が生じる場合には、 有効に使用可能である。 本発明に使用する 2種類のプロ —プがあまりに離れてハイプリダイズする場合には、 前記蛍光エネルギー移動が 起こる確率が小さくなり実質的に蛍光スぺクトルに変化が観測されなくなる。
より具体的に説明すると、 インビトロ転写 RNA合成反応液中に、 前記説明し た 2種類 1組のプローブを加える。 前記転写反応が起こり、 RNAの合成が開始 され、 前記プローブとハイブリダィズ可能な部分が生成すると、 前記一組みのプ ローブが隣接した位置に連続してハイプリダイズする。 ハイプリダイズすると、 前記色素間でエネルギー移動がおこり、 蛍光スペクトルが変化する。 試料から観 測される蛍光は、 R N Aにハイプリダイズしたプロ一ブからの蛍光と反応液中に フリーの状態で存在しているプロ—ブからの蛍光の混合物である。 全プローブ中 で、 RN Aとハイブリダィズしたプローブの比率が大きくなるほど、 蛍光スぺク トルの変化量は大きくなる。 すなわち、 合成される RNA量が増加するにしたが つて、 スペクトル変化は大きくなる。 ここで、 蛍光スペクトルにおいて、 例えば ドナーの蛍光波長における蛍光強度 (I d) とァクセプ夕一の蛍光波長における 蛍光強度 (la) の比 (la/Id) をとることとすると、 合成される RNA量が 増加するにつれて、 la/Id値は増加していく。
いま、 合成される RN Aの 5, 末端近辺の塩基配列にハイブリダィズする塩基 配列を有するプローブを使用するとする (図 3 Aの (1) で示される部分) 。 こ のときには、 蛍光スぺクトル変化を測定することにより転写反応の開始をモニタ —することができることとなる。 比 (la/Id) を時間に対してプロットしたと き、 la/Id値の増大の速さは転写反応の回転の速さをあらわす。 すなわち、 調製した試料および使用条件において、 (1) 転写反応がおこるか否か、 (2) 反応の回転の速さ (反応条件の適切さの度合い) を知ることができる。
また、 合成される R N Aの中間部分の配列とハイプリダイズするプロ一ブを使 用したときには (図 3Aの (2) で示される部分) 、 RNA合成反応の伸長をモ 二夕一することができることとなる。 さらに、 合成 RNAの 3, 末端近辺の配列 にハイブリダィズするプローブを使用したときには (図 3Aの (3) で示される 部分) 、 完全長の RNAの合成をモニターすることが可能である。 転写反応は、 開始されたとしても、 不完全な铸型 D N Aの混在など種々の原因により不完全な
長さの R N Aが合成されることがある。 従来法では、 完全長の R N Aが合成され ているか否かは、 生成物を電気泳動で分離し、 長さの確認を行う必要がある。 3, 末端近辺にハイブリダィズするプローブを用いて本発明を使用すれば、 完全 長の R N Aであるか否かをオンタイムで確認することが可能である。
転写反応により R N A合成を行うために調製した試料において、 最適な反応条 件を得るためには、 例えば、 次のような使用方法が可能である。 まず、 5 ' 末端 近辺にハイブリダイズするプローブを使用し、 転写反応がおこるか否かを確認す る。 さらに、 転写反応の速度をモニターし、 反応速度が最も高くなる条件に設定 する。 次に、 3, 末端近辺にハイブリダィズするプローブを使用し、 設定した条 件において完全長の: R N Aが合成されることを確認する。
エネルギー移動をおこすドナ一/ァクセプ夕—の蛍光色素の組み合わせは多種 類存在するが、 本発明に係る方法は色素の組み合わせには依存しないため、 どの ような色素の組み合わせを用いても使用可能である。 したがって、 2組以上の蛍 光色素の組み合わせを同時に使用することも可能である(図 3B )。 たとえば、 5 ' 末端近辺にハイブリダィズするプロ一ブをある特定種類のドナ一/ァクセプ 夕—蛍光色素で標識し、 3 ' 末端近辺にハイプリダイズするプローブを他の種類 のドナー/ァクセプ夕一色素で標識する。 これらを同時に反応液中に添加するこ とにより、 転写反応の開始の有無と完全長の R N Aの合成の確認を同時に行うこ とも可能である。
本方法では、 反応液中に加えるプローブの量は、 任意に設定することが可能で ある。 すなわち、 錡型 D N A量に対して、 1 0倍量加えることも、 1 0 0 0倍量 加えることも可能である (モル比) 。 1 0倍量加えたときには、 合成される R N A量が錡型 D N Aの 1 0倍量までの範囲において、 蛍光スぺクトルが変化する。 R N Aがそれ以上合成されても、 蛍光スペクトルは変化しない (プローブがすべ て合成された R N Aにハイプリダイズし、 反応液中にフリーのプローブが存在し ないために、 新しく合成された R N Aにはハイプリダイズするプローブが存在し
ない) 。 したがって、 錶型 D N Aに対して、 小過剰にプロ一ブを添加して反応を おこさせたときには、 転写反応の初期段階を精度よくモニタ—することができる。 これは、 5, 末端近辺にハイブリダィズするプローブを使用し、 転写反応の有無 や速度を知ることに適している。 一方、 1 0 0 0倍量加えたときには、 合成され る R N Aが錡型 D N Aの 1 0 0 0倍量までの範囲内において、 蛍光スぺク トルが 変化する。 例えば、 合成反応が銪型 D N A量の 1 0 0 0倍量以下の R N Aを合成 したところで事実上終了したのであれば、 蛍光スぺクトルの経時変化はその時点 でおこらなくなる。 したがって、 合成反応の終了をモニタ一することに適してい る。 他方、 このように、 錡型 D N Aに対して大過剰にプローブを添加して反応を おこさせたときには、 反応の初期段階 (R N A合成量が少量のとき) に、 蛍光ス ベクトル変化が小さく、 精度よく測定することはむずかしい。 すなわち、 転写反 応がおこるか否かなど反応の初期段階をモニタ一するときには、 錶型 D N Aに対 して小過剰にプローブを加え、 反応の終了の有無など後期段階をモニタ一するこ とを目的とするときには、 銪型 D N Aに対して大過剰にプローブを加えればよい。 (プローブの構造)
本発明に関わるプロ一ブの塩基配列は、 合成される R N Aの任意の一部の部位 と実質的に相補的な塩基配列をもつものであれば、 特に制限はない。 すなわち、 当該プローブと合成された当該 R N Aがハイブリダィズするか否かをあらかじめ 実験により確認しておく必要はない。 もちろん、 合成された R N Aとハイブリダ ィズする塩基配列を実験的に検索し、 その塩基配列をもつプローブを使用しても よい。 また、 塩基の長さについても、 当該プローブが当該 R N Aに実質的に特異 的にハイブリダィズする要件を満たしていれば特に制限はない。 この長さは通常 1 5塩基以上である。
本発明に係わるプロ一プの蛍光色素の種類、 すなわち、 ドナー蛍光色素および ァクセプ夕ー蛍光色素の組み合わせの種類としては特に限定されないが、 ェネル ギー移動の臨界移動距離 (エネルギー移動効率が 5 0 %となる距離) が大きい組
み合わせが、 エネルギー移動にともなう蛍光スぺク トルの変化が大きいため好ま しい。 たとえば、 フルォロセイン系の色素をドナーとし、 口一ダミン系の色素を ァクセプ夕一とする組み合わせが好適に使用可能である。 例えばエネルギードナ 一蛍光分子としては、 B O D I P Y系 (4,4- difluoro-4-bora- 3a,4a- diaza- s - indacene モレキュラープロ一ブス社) 、 フルォレセイン系、 口一ダミン系の蛍 光色素が好適に使用可能であり、 特に本発明においては B O D I P Y、 フルォレ セインが好ましい。 エネルギーァクセプ夕一蛍光分子としては、 インドシァニン 系、 ローダミン系色素が好適に使用可能であり、 特に本発明においては C y 5, C y 3 , C y 3 . 5 (Amersham LIFE SCIENCE 、 FluoroLink, Cat.No.PA25001, PA23001, PA23501 )及びローダミンが好ましい。
さらに、 本発明においては、 上記蛍光色素をプローブと結合する結合基につい ては特に限定されないが、 上記 2種類の蛍光色素が望ましい蛍光エネルギー移動 がおこるように適当なリンカーであって、 プローブが充分水溶性を維持する種類 のものを介して結合することが可能である。 たとえば、 テトラメチレン鎖一デカ メチレン鎖が使用可能である。
さらに、 本発明においては、 プロ一ブとしてオリゴヌクレオチドとして D N A を用いて説明されているが、 特に D N Aに制限されない。 種々のヌクレオチド誘 導体も使用可能であり、 R N A上の特定の塩基配列部に実質的に特異的にハイブ リダィズ可能であればよい。 具体的には、 R N A、 ホスホロチォエート型オリゴ ヌクレオチド (S—オリゴ) 、 メチルホスホネート型オリゴヌクレオチド (M— オリゴ) 、 ホスホロアミデート型オリゴヌクレオチド (A—オリゴ) 、 ペプチド 核酸が挙げられる。
(プローブの合成方法)
上記説明した本発明に係る検出用プローブのオリゴヌクレオチド配列部を調製 する方法においては特に制限はない。 公知の核酸合成方法が好ましく使用可能で ある。 特に種々の固相合成方法に基づく自動合成方法が好ましく、 例えばアミダ
イ ト、 トリエステル等の合成法が好ましく用いられる (Edited by F. Eckstein, Modern machine-aided methods of o 1 i godeoxyr lbonuc 1 eot 1 des synthesis, Oligonucleotide and Analogues, I PL Press , 1991) 0
さらに、 プローブ中に蛍光色素を結合するための好ましいリンカ一部を導入す る方法は種々のポリべプチド修飾用試薬を用いることで可能である。 本発明にお いては、 特に 5, 末端アミノ化用試薬である 6— (トリフルォロアセチルアミ ノ) へキシル一 ( 2—シァノエチル) 一 (N , N—ジイソプロピル) 一ホスホロ アミダイ トを、 上記化学合成時に同時に使用できる。 これによりオリゴヌクレオ チド鎖の任意の位置にへキシルァミノ基 (トリフルォロアセチル基を除いた後) を導入可能となる。 また、 リンカ一部の位置およびリンカ一部の長さの選択によ り、 2種類の蛍光色素が好ましい相対的空間配置をとりうるプローブを調製する ために、 その空間配置を推定するための種々の分子モデルや、 分子モデルコンビ ユー夕プログラム等が使用可能である。 リンカ一部と必要な蛍光色素の結合方法、 または該リンカ一部をオリゴヌクレオチドプローブの適当な位置の塩基に結合す る方法については、 特に制限はなく、 化学合成方法により、 または酵素による方 法等が使用可能である。
(蛍光測定装置)
本発明で使用され得る蛍光測定手段については特に制限はない。 通常の蛍光測 定装置であり、 エネルギードナー蛍光色素を励起する励起光が発生し、 また、 ェ ネルギ一ドナー、 およびァクセプ夕ー蛍光色素の蛍光が測定可能であれば好まし く使用できる。
(データ処理)
蛍光測定手段で得られたデータの処理については、 使用される色素の種類によ り最適の処理方法が応用可能であり、 特に制限されない。
エネルギードナー色素の蛍光スペクトルが、 エネルギーァクセプ夕一色素の観 測蛍光波長とほとんど重ならないように選択された場合には、 エネルギーァクセ
プ夕一色素の観測蛍光波長での蛍光強度の時間変化をそのまま使用することが可 能となる。 すなわち、 ァクセプ夕一の観測蛍光波長におけるエネルギードナー色 素からの蛍光の時間変化による影響は無視できる程度となる。
(インビト口転写 R N A合成モニタ一装置)
図 4には、 本発明に係わる方法を使用したインビトロ転写 R N A合成モニター 装置の 1態様を示す。 サンプル導入手段 3は、 種々の型、 サイズのインビトロ転 写 R N A合成反応装置 2から適当なサンプリングライン 1 0により前記反応溶液 の一部を測定溶液調製装置 5に導入する手段である。 この際、 サンプル導入手段 3は制御装置 7により、 サンプリングの時期、 溶液量を制御され得る。 また制御 装置 7により、 溶媒装置 1 1から適当な量の溶媒が溶媒混合ライン 1 2を通じて 測定溶液調製装置 5に加えられる。 測定溶液調製装置 5の希釈されたサンプルは、 蛍光測定装置 6へ導入される。
また、 合成された R N Aとハイプリダイズすることがあらかじめ実験的に確認 されているプローブを使用する場合には、 以下の形態の合成モニター装置も可能 である。 測定溶液調製装置 5にプロ一ブキットを導入するプローブ調製装置を付 け加えてもよい。
すなわち、 制御装置 7により設定された必要な種類および濃度のプローブキット がプロ一ブ調製装置よりプローブ混合ラィンを通じて混合して測定溶液調製装置
5へ導入してもよい。 前記測定溶液調製装置 5は、 制御装置 7により、 前記サン プル溶液中の合成 R N Aとプローブのハイブリダィズ条件を設定してもよい。 具 体的には、 必要な容積の混合セル、 濃度および時間である。 さらに必要ならば、 制御装置 7により時間および撹はん速度を設定されたサンプルとプロ一ブの混合 溶液を撹はんする装置があってもよい。 プローブ調製装置は、 モニター目的に適 したプローブの種類を選択し、 適当な濃度に希釈してプローブ溶液を調製して、 前記測定溶液調製装置 5に導入するものである。 この際、 圧力またはペリス夕ポ ンプ等により導入可能である。 測定溶液調製装置 5でハイブリダイズさせた後、
蛍光測定装置 6へ導入される。 ここで蛍光測定装置 6は、 制御装置 7により設定 された励起光条件等の蛍光測定の条件に従い、 蛍光スペクトル測定し、 得られた データをデ一夕処理装置 8へ送る。 測定データは、 特定の励起波長により励起さ れた場合の蛍光スぺクトルおよびその時間変化のデ一夕からなるものである。 デ 一夕のデ一夕処理装置 8への取込み手段はデータ処理装置 8内の記憶装置へ記憶 することも可能である。 データ処理装置 8へ取り込まれたデータに基づき、 イン ビト口転写 R N A合成反応における転写の開始と完全長 R N Aの合成の確認、 又 は転写 R N Aの濃度変化を算出するプログラムにより行われる。 転写 R N Aの濃 度変化を算出する手段は、 あらかじめ前記記憶装置に記憶した各エネルギーァク セプ夕一プローブの特定波長での蛍光強度とハイブリダイズした R N Aの濃度 (または分子の数) との検量線に基づき算出することも可能である。 なお、 上記 説明した手段は、 デ一夕処理装置 8により設けられた記憶装置 (図示せず) にあ らかじめ記憶されているプログラムに従って、 自動的に行うことも可能である。 係るプログラムは入出力装置 9により前記記憶装置に入力することも可能である が、 あらかじめ記憶されたプログラムを、 入出力装置 9から選択することにより 読み込ませることも可能である。 すなわち、 あらかじめプログラムされた時間、 または入力装置から入力することにより、 サンプリングラインを開き、 反応中の 溶液の一部がモニター系に導入され、 ついで、 前記制御装置によりあらかじめ用 意されているプローブ溶液を選択し、 プローブ混合装置に導入され、 混合された サンプル溶液とプローブがハイプリダイズ条件に保持され (ハイプリダイズ条件 は、 あらかじめ記憶されているパラメ一夕を、 前記制御装置内の記憶装置から読 取り前記制御装置により設定される) 、 ついで、 ハイブリダィズ終了後、 所定の 時間に蛍光スペクトル測定のために、 蛍光スペクトル測定装置に送られ、 プロ一 プに応じて設定されたエネルギードナー蛍光色素励起波長により照射し、 かつプ ローブに応じて設定されたエネルギーァクセプ夕ー蛍光色素のそれぞれの蛍光波 長での蛍光強度を測定し、 測定データを前記制御装置内の記憶装置に記憶させる
前記記憶された測定データは、 データ処理装置により読みだされ各プローブのハ イブリダィズの有無を判別し、 結果を出力する。 測定後、 サンプル溶液はドレイ ン 1 4へ排出される。
より詳しいインビト口転写 R N A合成反応モニタ一装置の 1形態を図 5に示す。 図 5に示されるように、 装置は、 反応ュニッ ト、 測定試料調製ュニット、 測定ュ ニッ ト、 コントロールユニット、 演算ユニッ トおよびモニタ一より構成される。 反応ユニッ トは、 R N A転写合成反応を行うユニットであり、 反応用キュベット と反応キュべット中の反応液を一定温度に保つ温度制御装置とから成る。 反応キ ュベッ トには、 銃型 D N A、 プローブ、 R N Aポリメラーゼ、 ヌクレオチド 3り ん酸 (A T P、 G T P、 C T P、 U T P ) 、 反応緩衝液が加えられる。 これらの 反応液に R N Aポリメラーゼまたは錶型 D N Aを添加することで反応をス夕一ト させる (時間二 0とする) 。 反応キュベット中の反応液は、 温度制御装置により 一定温度 (例えば 37°C) に保たれる。 温度制御装置としては、 ウォー夕—バス、 ホッ トプレートなどが使用可能である。 反応スタート後、 あらかじめ設定された 時間毎に、 反応液の一部を採取し、 測定試料調製ユニットの測定用キュベットへ 移す。 測定用キュベットにはあらかじめ一定量の緩衝液が分注されている。 また は、 サンプリングした試料を希釈用キュベットに移し、 これに希釈液のリザーバ —から一定量の希釈液を加えて希釈した後に、 測定用キュべットに移してもよい。 サンプリングは手動で行うことも可能であるし、 自動化してもよい。 測定試料調 製用ュニッ トは、 測定用セルが円形状に多数並んだものである。 個々の測定用セ ルは、 1箇所の 「サンプル入力ポジション」 、 1箇所の 「測定ポジション」 、 多 数の 「待機ポジション」 のいずれかに位置している。 サンプリングされた試料は 「サンプル入力ポジション」 に位置する測定用キュべッ卜に注入される。
その後、 キュベットは 「測定ポジシヨン」 へ移動する。 「測定ポジシヨン」 に移 動したキュべットは、 測定試料調製ュニットの下部に位置する測定ュニッ卜へ移 動する。 測定ュニットでは蛍光測定が行われる。 測定終了後、 キュべットは測定
試料調製ユニットの元の位置に戻る。 これで 1サイクルが完了する。 次に、 再び 反応液からサンプリングされた試料が 「サンプル入力ポジション」 の位置の測定 用キュベットに注入されると、 次のサイクルが開始される。 測定試料調製ュニッ 卜の測定用セルの並びかたは円形状に限定されるものではない。 測定ュニッ卜で はキュベット中の試料の蛍光測定が行われる。 図 6および図 7に示されるように、 励起光用の光源 (ランプなど) 、 光源からの光を波長分別するフィル夕一または 分光器、 測定用セル、 測定用セル中の試料から発せられる蛍光を波長分別するフ ィルターおよび光検出器 (フォトマルなど) から成る。 測定用セルは前記測定試 料調製ュニッ卜から測定ュニッ卜の測定用セルの位置に移動してくる。 試料から 発せられる蛍光は、 2方向または 3方向で同時に検出する。 それぞれの方向では、 波長特性がそれぞれ異なるフィルターを通して蛍光強度の測定を行う。 2方向で 測定するとき (図 6 ) には、 フィル夕一 1はドナ一の蛍光、 フィル夕一 2はァク セプ夕一の蛍光をそれぞれ選択的に透過させる波長域に対応するものである。 2 組以上の蛍光標識プローブを使用して転写反応の開始と完全長 R N Aの合成を同 時モニタリングするときは、 試料からの蛍光を 3方向で同時に検出する。 このと き (図 7 ) には、 フィルタ一 1はドナ一の蛍光、 フィル夕一 2は 2種類のァクセ プ夕一のうち 1種類のァクセプ夕一の蛍光、 フィル夕一 3は他の種類のァクセプ 夕一の蛍光をそれぞれ選択的に透過させる波長域に対応するものである。 光検出 器で測定された蛍光強度 (E M 1、 E M 2、 E M 2 ) は、 それぞれ演算ユニット に送られ、 蛍光強度比 (E M 2 /E M 1、 E M 3 /E M 1 ) が計算される。 これ らの結果はモニタ一に送られてモニター上に表示される。 上記のすべてのプロセ スはコントロールュニヅ卜で制御される。
さらに、 別の態様として、 図 8 に、 本発明に係わる方法を使用したマイクロプ レートリーダ—型インビトロ転写 MA合成モニタ一装置の一態様をしめす。
インキュベーション台は、 96 穴プレートを固定するものであり、 かつインキ ュベーシヨン機能を有しており、 温度調節はコントローラ一によって制御され得
る。 プレート及びインキュベーション台は、 プレート固定後、 コントローラ一の 制御によって自動でスライ ドし、 測定位置に移動される。
励起および蛍光フィル夕一ュニット内には数種類の励起および蛍光 (検出用) フィル夕一を内蔵することが可能であり、 フィル夕一を光軸上に自動セッ 卜する ための装置も内蔵可能である。 コントローラ一を介して励起及び蛍光フィル夕一 が選択されると、 フィル夕一は光軸上のホルダ一に自動セッ トされる。 このとき、 複数の励起、 検出波長に対応できるようにフィル夕一ホルダ一は多連用のものを 用いることも可能である。 これらのホルダ一は、 コント口一ラーの制御によって 光軸上をスライ ド可変することが可能である。
ファイバ一可変ユニッ トは、 コント口一ラーから測定開始の信号が入ると、 励 起光及び蛍光 (検出光) ファイバーを 96 穴内の指定された位置に移動させる。 このとき、 ファイバ一が移動する位置はコント口一ラーによって制御される。 通 常は、 開始位置と終了位置をコントローラーで入力すると、 ファイバ一が 96 穴 上を移動して、 連続的に試料を分析することが可能である。
上記過程を経て、 励起光がプレート上の 1つの試料 (穴) を照射すると、 蛍光 は再びファイバ一内を通って蛍光用フィルターュニット内に入り、 特定の波長の みの蛍光 (フィルターセッ トした波長) が取り出される。
その後、 選別された光は、 検出ユニット内に入り、 ドナ一とァクセプ夕一の蛍 光強度を測定する。 ここまでの一連の過程はコントローラーで入力した時間毎に 行う。 得られた蛍光強度はデータ処理装置にて蛍光強度比に変換され、 時間に対 してプロットすれば、 転写反応を自動でモニタリングすることが可能である。 以下本発明の実施例を説明する。
(実施例)
本実施例においては転写反応の錶型 D N Aとしてはすべて X E L F 1 —ひ D N Aを使用し、 X E L F 1 —ひ R N Aの合成反応をモニタリングした。
試薬は全て Ambion社製、 MEGAsc ot T3キットを使用した。
錄型 DNA及び試薬
本実施例で使用した錶型 DNA、 XELF 1—ひは以下の様に調製した。
インビト口転写反応用キット (AmMon社、 MEGAscript T3 kit) 内のコント口 ール DNApTRI-Xeflを制限酵素 EcoR Iで処理し、 約 1.8kbの XELF 1一ひ DNAを取 り出した。 この DNA断片を pBluescript 11 ( STRATAGENE社製、 T0Y0B0社より入 手)にクローニングし、 pBlue'XELFl—ひの MAを得た (約 4.76kb) 。 インビト 口転写反応には、 pBlue'XELFl—ひの DNAを制限酵素 Smal で処理して直鎖状の DNA としたものを使用した。 また、 インビトロ転写反応に使用した NTP、 lOxTranscription bufferヽ T3 RNAポリメラーゼは、 Ambion社、 MEGAscript T3 kitの試薬を使用した。
プローブ合成
(a)RNAの 5' 末端近辺の塩基配列と相補的な塩基配列をもつプローブ: X E L F— 1 Fドナ一プローブ、 5, - B0DIPY493/503 - AGCCTTTTCCC ATCTC— 3' は、 XELF 1—ひの塩基配列番号(GeneBank Accession No. M25504), 184-199の塩基配列と相補的であり、 かつ B0DIPY493/503色素を 5, 末端の Aで結合したものである。
XE L F— 1 Fァクセプ夕一プローブ、 5, -AGGCATACTTG (Cy5) AAGG- 3 ' は、 XELF 1—ひの塩基配列番号、 200— 214の塩基配列と相 補的であり、 かつ Cy5色素を上記の位置 (Gと Aの間) で結合したものである。
(b)RNAの中間部分の塩基配列と相補的な塩基配列をもつプローブ: XEL
F— 2 Fドナ一プローブ、 5' - B0DIPY493/503 - TCTTGATGTATGT GC- 3' は XELF 1—ひの塩基配列番号、 566— 580 の塩基配列と相補的で あり、 かつ BODIPY493/503色素を 5, 末端の Tで結合したものである。
XE L F— 2 Fァクセプ夕一プローブ、 5, 一 GGTTGTAACCA (Cy5) AT CT— 3, は XE L F 1—ひの塩基配列番号、 581— 595 の塩基配列と相補 的でありかつ Cy5色素を上記の位置 (Aと Aの間) で結合したものである。
(c) RNAの 3, 末端近辺の塩基配列と相補的な塩基配列をもつプローブ: X E L F— 3 Fドナープローブ、 5 ' -B0DIPY493/503 - TTAAACT CTGA TGGC C- 3 ' は XEL F 1—ひの塩基配列番号、 1504—1519 の塩基配列と 相補的であり、 かつ B0DIPY493/503色素を 5, 末端の Tで結合したものである。 XE L F— 3 Fァクセプ夕ープローブ、 5, -ACCAGTCTTTT (Cy5)
ACTA— 3 ' は XE L F 1—ひの塩基配列番号、 1520— 1534 の塩基配列と相 補的であり、 かつ Cy5色素を上記の位置 (Tと Aの間) で結合したものである。
(d) RNA とハイブリダィズしにくいと予想されるプローブ: XELF— 4F ドナー プローブ、 5'— B0DIPY493/503— AGTACCAGTGATCAT— 3'は XELF 1—ひの塩基配列番 号、 346— 360の塩基配列と相補的であり、 かつ B0DIPY493/503色素を 5'末端の A で結合したものである。
XELF-4F ァクセプ夕一プローブ、 5,— ACAGTCAGCCT (Cy5) GAGA— 3,は XELF 1
—ひの塩基配列番号、 361— 375 の塩基配列と相補的であり、 かつ Cy5 色素を上 記の位置 (Tと Gの間) で結合したものである。
(e) C- F0S ドナープローブ/ C-F0Sァクセプタープロ一ブ: C-F0S ドナープ ローブ、 5,— B0DIPY493/503— TCTAGTTGGTCTGTC— 3,は c-fosR N Aの塩基配列番 号、 662-676 と相補的であり、 かつ BODIPY493/503色素を 5'末端の Aで結合し たものである。
C- F0Sァクセプ夕ープロ一ブ、 5'— GCAGACTTCTC (Cy5) ATCT— 3'は c-fosの塩 基配列番号、 677-691 と相補的であり、 かつ Cy5 色素を上記の位置 (Cと Aの 間) で結合したものである。
(f)XELF-5F プロ一ブ: XELF- 5F ァクセプ夕一プローブ、 5' - ACCCAGGCATACTTG (Cy5) —3'は XELF 1—ひ RNAの塩基配列番号、 204— 218 の塩基配列と相補的で あり、 かつ Cy5色素を 3'末端の Gで結合したものである。
上記プローブの合成には自動合成機は、 P e rk i n E lme r社の Mo d e l 394、 または P e r s e p t i v e社の E x p e d i t e Mo d e 18
909を使用して、 ?シァノエチルアミダイ ト法に従い行った。 得られた粗生成 物を DEAE— HPLCで分析し、 主成分を分取した。 保持時間は 20〜30分 であった。 さらに、 分取液を脱塩の後、 凍結乾燥した。
DEAE— HPLC (陰イオン交換) 条件:
溶媒 A : 0. 2 M HCOONH4 20 %CH3CN
溶媒 B : 1. OM H COONH4 20 CH3 CN
カラム : TSK— ge 1DEAE— 2WS 4. 6 x 250 mm (東ソ一 (株) 社製)
流量: 0. 8 m m 1 n
温度: 40 °C
Bグラジェント 35%- 85% (2 Omi n)
Cy 5色素蛍光ラベル化反応
プローブの 5, 末端修飾用、 またはプローブの中間の位置での使用として、 そ れぞれ、 6— (トリフルォロアセチルァミノ) へキシル— (2—シァノエチル) 一 (N, N—ジイソプロビル) —ホスホロアミダイ ト (TFAcへキサノールァ ミンリンカ一、 パ一キンエルマ一ジャパン社製, Cat No.400808) 、 および Uni -L ink Am inoMod i f i e r (CL0NTECH Laboratories, Inc 製、 Code NO.CL5190- 1,以下同じ) を上記自動合成機と共に使用した。
上で得られた乾固したオリゴヌクレオチドを 0. 5M NaHC03/NaH C03緩衝液 (pH9.0) 200〃1に溶解し、 。 色素を 100〃1 (1チュー ブ) の滅菌水に溶解し両者を混合し、 遮光して一晩反応した。 反応液をゲル濾過 し、 未反応の色素を除去した。 RP— HP L C (Bグラジェント 15〜 65 % (20分) ) で分析し、 20〜25分付近のピークの成分を分取した。 分光光度 計で 260 nmに吸収があること及び蛍光色素の吸収があることを確認した。 RP-HPLC (逆相 C 18)条件:
溶媒 A : 0. 05M TEAA 5% CH3CN
溶媒 B : 0. 05M TEAA 40% CH3CN
カラム : CAPCELL PAKC 18 6 x 250 mm (資生堂 (株) 社製) 流量: 1. Oml/min
温度: 40 °C
BOD I PY493/503色素蛍光ラベル化反応
プローブの 5' 末端修飾用、 またはプローブの中間の位置での使用として、 そ れそれ、 6— (トリフルォロアセチルァミノ) へキシル— (2—シァノエチル) - (N, N—ジイソプロピル) 一ホスホロアミダイ ト (TFAcへキサノ一ルァ ミンリン力一) 、 および Un i— L ink Ami n oMo d i f i e rを上記 自動合成機と共に使用した。 NHS S 2. 5mgを 30〃1、 EDAC5mgを 50〃 1の滅菌水に溶解した。 これに、 BOD I PYプロピオン酸 lmgを 50 1DMFに溶解したものを混合し、 室温で 30分反応させた。 得られた溶液を 、 乾固したオリゴヌクレオチドを 0. 5Μ NaHC03/NaHC03緩衝液 (PH9.0) 300〃 1に溶解したものと混合し、 遮光してー晚反応した。 反応液 を ゲル濾過し、 未反応の色素を除去した。
RP-HPL C (FITC、 Bグラジェント 30〜 80% (20分) ) で分析 し、 25〜35分付近のピークを分取した。 分光光度計で 26 Onmに吸収があ ること及び蛍光色素の吸収があることを確認した。 これらは凍結乾燥して保存し た。 転写反応
本発明においてモニターするインビト口転写反応の反応条件については特に制 限はなく、 使用するインビトロ転写反応に応じて変更可能である。 蛍光スぺクトル測定
日立製、 F4500形分光蛍光光度計を使用した。 480nmで励起し、 500nmから
750nm の範囲で蛍光スぺクトル測定を行い、 ドナ一に対するァクセプ夕一の蛍光 強度の比を求め、 相対蛍光強度 (la/Id) とした。
(実施例 1 )
蛍光スぺクトル変化と合成 RNA量との相関
本発明の方法において、 インビト口転写 RN A合成反応により RN Aが合成さ れるにともない蛍光スぺクトルの変化が変化していくことを確認するために以下 の実験を行った。 以下の組成の転写反応液 150 jul に 2種類 1組の蛍光標識プ ローブを加えて RN A転写合成反応を行った。 プロ一ブは、 RNAの 5, 末端近 辺と相補的な塩基配列をもつ 2種類 1組のプロ一ブ (XELF— 1 Fドナ—プロ
—ブ /XE L F— 1 Fァクセプ夕一プローブ) を使用した。 錶型 DN Aを加える ことにより反応をスタートさせた。 反応は 37°Cで行った。
<転写反応液組成 >
ATP、 GTP、 CTP、 UTP 各 75mM
XELF 1—ひ DNA 6pmol
10 Transcription buffer 15 / 1
XELF-1F (ドナ一プローブ) 2578pmol
XELF-1F (ァクセプ夕一プロ一プ) 2577pmol
T3 RNAポリメラ一ゼ 15 / 1
ジェチルビ口カーボネ一ト (DEPEC) 処理水で 150〃 1にした。 一定時間毎に 5 1ずつ反応液を分取し、 20mM EDTA を含む 1XSSC を 145 ul 添加した後、 蛍光スぺクトル測定を行った。 蛍光スぺクトルは、 520 nm付近 にドナ一プローブの Bodipy493/503 に基づく蛍光が観測され、 670 nm付近 にァクセプ夕ープローブの Cy 5に基づく蛍光が観察された。 反応時間の経過に 従って Bodipy493/503 に基づく蛍光が減少し、 C y 5に基づく蛍光は増大した
(図 9) 。 コントロ—ル実験として、 XELF— 1 Fドナ一プローブ ZXE L F - 1 Fァクセプ夕—プローブの代わりに XELF 1—ひ RNAと相補的な塩基配 列をもたない 2種類 1組のプローブ (C-F0S ドナ一プローブ/ C-F0Sァクセプ 夕一プローブ) を使用したときには、 蛍光スペクトルに変化は観察されなかった。 すなわち、 観察される蛍光スペクトル変化は、 転写反応液に添加されているプロ
—ブが合成 RN Aの特定の部位に特異的にハイプリダイズ
することにより生じたものである。 520 nmの蛍光強度 (Id) と 670 nm の蛍光強度 (l a) の比 (l a/Id) を反応時間に対してプロットしたものが 図 10 Bである。
また、 このときの合成 RNA量を以下の手順により求めた。 前記反応液中から 一定時間毎に 5〃 1 ずつ反応液を分取し、 145〃1 の反応停止液 (15 1 の 5M NH4〇Acおよび 10 OmM E D T Aと 130 1 のジェチルビロカ一 ボネート (DEPEC)処理水の混合液) を添加して、 反応を停止させた。 その 後、 フエノール 'クロ口ホルム抽出およびクロ口ホルム抽出を行い、 イソプロピ ルアルコール沈殿にて RNAを回収した。 回収した RNA沈殿物は、 20〃1 の
DEPE C処理水に溶解した後、 260 nmの吸光度により RN A量を求めた。 RN A量を反応時間に対してプロットしたものが図 1 OAである。
図 10Aと図 10Bの比較から、 蛍光スペクトル変化と RNA合成量の変化はよ い相関を示していることがわかる。
(実施例 2)
ハイプリダイズする RN A上の部位が異なる 3組のプローブによる転写反応のモ 二夕リング
本方法による RN A転写合成反応のモニタリングは、 使用するプロ一ブの RN A上でのハイブリダィゼ一シヨン部位には依存しない。
実施例 1では、 プローブとして、 RNAの 5, 末端近辺 (184-214) と相補的
な塩基配列をもつオリゴヌクレオチド (XE L F— 1 Fプロ一ブ) を使用した。 R N A上の他の部位と相補的な塩基配列をもつオリゴヌクレオチドをプローブと して使用したときにも、 同様に: RNA転写合成反応のモニタリングが可能である ことを確認するために、 RNAの中間領域 (566-595) と相補的な塩基配列をも つ XE LF— 2 Fプローブ、 RNAの 3, 末端近辺 (1504-1534) と相補的な塩 基配列をもつ XELF— 3 Fプロ一ブ、 を作製した。
?ー1 プロ一ブ、 XELF— 2Fプローブ、 ?ー3?プローブの 3組のプローブをそれぞれ転写反応液に添加した 3組の試料を調製し、 RN A転 写合成反応を行った。
ぐ転写反応液の組成 >
試料 1 : XE L F— 1 Fプローブ
ATP、 GTP、 CTP、 UTP 各 75mM
XELFl-α DNA 0.8pmol
10 x Transcription buffer 5〃1
XELF -IF ドナ一プローブ 430pmol
XELF— IFァクセプ夕一プローブ 430pmol
T3 RNAポリメラーゼ 5 1
DEPEC処理水で 50/ 1にした。
試料 2 : XE L F- 2 Fプロ一プ
ATP、 GTP、 CTP、 UTP 各 75mM
XELF 1- a DNA 0.8pmol
10 x Transcription buffer 5 1
XELF-2F ドナープローブ 430pmol
XELF— 2Fァクセプ夕一プローブ 430pmol
T3 Aポリメラ一ゼ 5 1
DEPEC処理水で 50 / 1にした。
試料 3 : XE LF— 3 Fプローブ
ATP、 GTP、 CTP、 UTP 各 75mM
XELFl-α DNA 0.8pmol
10 x Transcription buffer 5 zl
XELF-3F ドナープローブ 430pmol
XELF _ 3Fァクセプ夕一プロ一ブ 430pmol
T3 Aポリメラーゼ
DEPEC処理水で 50 zlにした。 図 11 は、 それぞれの試料について、 蛍光スペクトルの 2つの波長での蛍光強 度比 (l a/I d) を反応時間に対してプロッ トしたものである。 3つの試料の 蛍光スぺクトルの経時変化は同様の特性を示しており、 本方法による RNA転写 合成反応のモニタリングは、 使用するプローブの RN A上でのハイブリダイゼー シヨン部位に依存しないことを示している。
(実施例 3)
インビトロ転写反応の完全長 RNA生合成のモニタリング
XELF 1—ひの 3'末端が欠失した鎵型 DNAと完全長の錡型 DNAによる転写反応を 3'末端近辺と 5'末端近辺に相補的な塩基配列をもつプローブでそれぞれモニタリ ングして、 蛍光スペクトルの経時変化を観察した。
<転写反応液の組成〉
ATP、 GTP、 CTP、 UTP 各 75mM
10 x Transcription buffer Ίμ.\
XELF-3F ドナープローブ 608pmol
XELF-3Fァクセプ夕ープローブ 608pmol
T3 RNAポリメラ一ゼ 7 zl
上記反応液に 3 '末端が 1020塩基欠失した XELF 1—ひの踌型 DNA、 あるいは完 全長の XELF 1—ひの錶型 DNAをそれぞれ 3.5〃g添加した後、 DEPEC処理水で全 量を 70 1にし、 3 7 °Cで反応させた。
図 12A、 Bは 3'末端が欠失した XELF 1—ひと完全長の XELF 1—ひ の 2種類の
DNAをそれぞれ錶型にして、 3'末端近辺にハイブリダイズする XELF - 3F ドナ一プ ローブ、 XELF- 3F ァクセプ夕ープローブを添加して蛍光スペクトルの経時変化を 測定した結果である。
欠失した D N Aを錡型として 3'末端近辺にハイブリダィズする XELF- 3F ドナ一 プローブ、 XELF- 3F ァクセプ夕ープローブで蛍光スペクトルの経時変化を測定し た場合、 蛍光スペクトルの変化が観察されない (図 12 B ) のに対し、 完全長の D N Aを錶型とした場合には蛍光スぺクトルの経時変化が観察された(図 1 2 A )。 一方、 図 13A、 Bは 5'末端近辺にハイブリダィズする XELF— IF ドナープロ一 ブ、 XELF-1F ァクセプ夕一プローブを使用して蛍光スペクトルの経時変化を測定 した結果である。 欠失、 完全長いずれの錄型でも蛍光スペクトルの経時変化が観 察された。
生合成された RNAの長さを確認するためにそれぞれ反応後の転写反応液 20 / 1 に 2U/〃1の DNase Iを 1〃1添加し、 37°Cで 30min反応させた。 その後、 フエノ —ル ' クロ口ホルム抽出及びクロ口ホルム抽出を行い、 イソプロピルアルコール 沈殿にて生合成された RNAを回収した。 回収した RNA沈殿物は、 20 / 1の DEPEC 処理水に溶解し、 ァガロースゲル電気泳動にて RNAのサイズを確認した。 完全長 の鎵型を用いた場合には完全な長さ (約 1.9kb) の R N Aが合成され、 欠失した 錶型 D N Aの場合では約 l kb欠失した R N Aが合成されていた。
以上の結果より、 完全長 (目的の長さを有する) RNA の生合成をモニタリング するためには、 生合成される RNAの 3'末端近辺に相補的なプローブを転写反応液 に添加し、 蛍光スぺクトルの経時変化を観察すればよい。
(実施例 4 )
インビトロ転写モニタリングによる MA生合成の定量
蛍光スペクトルから求めたドナーの蛍光強度 (Id) に対するァクセプ夕一の蛍 光強度 (la) の比 (la/Id) に対し、 生合成された RNA濃度をプロットした検量 線を作成することにより、 RNA量 (濃度) を知ることが可能である。
(検量線の作成)
下記の転写反応液に XELF 1—ひの錶型 DNA2.5 /g、 XELF-1 Fプローブを錶型 DNA に対しモル比で 1000 倍量添加し、 DEPEC 処理水で全量を 50/z lにした後 37°Cで反応させた。 この転写反応液より一定時間毎に蛍光スペクトル測定と RNA 抽出のためにそれぞれ 2.5 1ずつ反応液を採取した。
<転写反応液の組成〉
ATP、 GTP、 CTP、 UTP 各 75mM
XELF 1—ひ DNA 0.8pmol
10 x Transcription buffe 5 / 1
XELF - IF ドナープローブ 820pmol
XELF— IFァクセプ夕一プロ一ブ 820pmol
T3 RNAポリメラーゼ 5 1
DEPEC処理水で 50 / 1にした。 蛍光スぺクトル測定は、 147.5 / 1の 20mM EDTAを含む l x SSCで希釈した後、 蛍光スぺクトル測定を行った。 生合成された RNA量は一定時間毎に分取した転写 溶液から実施例 1 と同様な方法で RNA抽出を行い、 260匪の吸光度値より算出し た。 また、 吸光度 260歷による定量では、 反応液中に存在する未反応のリボヌク レオチドゃ錶型 DNA を含めた値が定量されてしまう。 この影響を補正する為、 MA生合成前の試料溶液の 260nmの吸光度を同様な抽出操作を行って定量し、 こ
の値を各定量値から差し引いた結果を用いて検量線を作成した。
上記方法によって得られた検量線を図 14に示す。 この検量線は錡型 DNAに対 しモル比で 1000 倍量のプローブを添加した場合である。 実際の定量は、 蛍光ス ぺクトルの変化から蛍光強度比 (la/Id) を求め、 前述した検量線から RNA 生合 成濃度を算出するものである。
プロ一ブの添加量に応じた検量線をあらかじめ作成しておくことで蛍光スぺク トルのモニタリングを行いながらリアルタイムで生合成された RNA量を知ること ができる。 (実施例 5 )
インビト口転写反応の開始及び完全長 RNAの同時モニタリング
2 組以上の蛍光標識プローブを同時に使用すると、 インビトロ転写反応の開始 と完全な長さ (目的の長さ) の RNAが合成されている様子を同時に確認すること が可能である。
1組は 5'末端近辺にハイプリダイズするプローブで転写反応の開始をモニタリン グするためのものであり、 他の 1組は 3'末端近辺にハイブリダイズするプロ一ブ で、 完全長 (目的の長さ) の RNAが生合成されているかどうかをモニタリングす るためのものである。 本実施例では 5'末端にハイブリダイズする 2種類 1組のプ 口一ブを B0DIPY493/503、 XRITC の組み合わせで、 3'末端にハイブリダィズする 2種類 1組のプローブを BODIPY493/503、 Cy5の組み合わせで標識した。
<モニタリングに使用したプローブ >
5'末端にハイブリダイズするプローブ
XELF - 1F ドナ一プローブ (5,— BODIPY493/503— GCCTTTTCCCATCTC)
XELF- 1Fァクセプ夕一プローブ (5,一 AGGCATACTTG(XRITC)AAGG)
3'末端にハイブリダイズするプロ一ブ
XELF - 3F ドナ一プロ一ブ (5,一 B0DIPY493/503— TTAAACTCTGATGGCC)
XELF— 3Fァクセプ夕一プローブ (5'- ACCAGTCTTTT(Cy5)ACTA) 完全長の錡型 DNA、 または 3'末端を欠失させた錶型 DNAを添加した 1種類の転 写反応液を以下のように調製した。
<転写反応液組成 >
3'末端を欠失した錡型 DNAを添加した場合
ATP、 GTP、 CTP、 UTP 各 75mM
XELF1—ひ DNA (欠失) lpmol
10 x Transcription buffer 5 /1
XELF -IF ドナープローブ 820pmol
XELF -IFァクセプ夕ープローブ 820pmol
XELF-3F ドナ一プローブ 820pmol
XELF— 3Fァクセプ夕一プロ一ブ 820pmol
T3 RNAポリメラ一ゼ 5 1
DEPEC処理水で 50 zlにした。 完全長の錡型 DNAを添加した場合
ATP、 GTP CTP、 UTP 各 75mM
XELF 1 -a DNA (完全長) 0.8pmol
10 x Transcription buffer 5 l
XELF -IF ドナープローブ 820pmol
XELF -IFァクセプ夕一プローブ 820pmol
XELF-3F ドナ一プローブ 820pmol
XELF-3Fァクセプ夕一プローブ 820pmol
T3 RNAポリメラーゼ
DEPEC処理水で 50 / 1にした。
図 15Aは、 完全な長さの錶型 DNAを用いた場合の蛍光スぺクトルの経時変化で あり、 図 15Bは欠失した錡型 MAを用いた場合の蛍光スぺクトルの経時変化であ る。 図 15Aの蛍光スぺクトルは、 610nm付近に XRITCの蛍光の増加と 670nm付近 に Cy 5の蛍光の増加が同時に観察された。
一方図 15Bの蛍光スぺクトルは XRITCの蛍光の増加は観察されるが、 Cy5によ る蛍光スぺクトルの変化は観察されなかった。
以上の結果から、 適切な蛍光色素の組み合わせを有する 2組以上のプローブを 使用することによって、 転写反応の開始と完全長の RNAの合成を同時にモニタリ ングすることが可能である。
(実施例 6 )
転写反応速度のモニタリング
以下に T3ポリメラーゼの添加量の異なる 2組の転写反応液を調製した。
<転写反応液組成 >
ATP、 GTP、 CTP、 UTP 各 75mM
XELF1 - a DNA 0.8pmol
10 x Transcription buffe S j l
XELF - 1F ドナープローブ 820pmol
XELF— IFァクセプ夕一プローブ 820pmol 上記反応液に T3 RNAポリメラ一ゼを 5〃1 (図 1 6 : normal ) 添加した転写反 応液と 2.5〃1 (図 1 6 : 1/2) 添加した転写反応液 50 1を調製した。
蛍光スぺクトルより求めた蛍光強度比 (la/Id) を前記検量線を用いて MA 濃度 に変換し、 反応時間に対してプロットした。
図 16は、 ポリメラ一ゼ量が減少すると RNA生合成量も減少していた。 従って、 転写反応速度が速いか遅いかを判断するには、 反応の初期を短い間隔でモニタリ
ングし、 その経時変化の傾きを求めればよい
(実施例 7)
プロ一ブの添加量変化による効果
上記 RN Aの 5'末端近辺と相補的な塩基配列をもつプローブ XELF- 1F ドナ一 プ ローブ及びァクセプ夕ープローブを鍊型 (テンプレート) DNAである XEL Fl- MAに対し、 モル比で 200倍、 400倍、 800倍添加し、 以下の転写反応 液を 調製し、 蛍光スぺクトルの経時変化を測定した。
<転写反応液組成 >
錶型 DNA:プローブ (1: 200)
ATP、 GTP、 CTP、 UTP 各 75mM
XELF 1—ひ DNA 0.8pmol
10 Transcription buffer 5 1
XELF -IF ドナープローブ 160pmol
XELF— IFァクセプ夕ープロ一ブ 160pmol
T3 MAポリメラ一ゼ 5 zl
錶型 DNA: プローブ (1: 400)
ATP、 GTP、 CTP、 UTP 各 75mM
XELF 1—ひ DNA 0.8pmol
10 x Transcription buffer 5 1
XELF -IF ドナ一プローブ 320pmol
XELF -IFァクセプ夕ープローブ 320pmol
T3 RNAポリメラ一ゼ 5 l
錡型 DM:プローブ (1: 800)
ATP、 GTP、 CTP、 UTP 各 75mM
XELF 1—ひ DNA 0.8pmol
10 x Transcription buffe 5jul
XELF-1F ドナープローブ 640pmol
XELF一 IFァクセプ夕ープロ一ブ 640pmol
T3 Aポリメラーゼ この結果からドナーの蛍光波長における蛍光強度 (Id) とァクセプ夕一の蛍光 波長における蛍光強度 (la) の比を転写反応時間に対してプロッ トした (図 17) 。 銪型 DNAに対し小過剰にプローブを添加した場合 (1: 200) 、 反応の初期 段階 での la/Id値の変化量は大きいが、 約 1. 6時間後以降は変化しない。 こ れに対 して錡型 DNAに対しプロ一ブを 400倍添加した場合は約 4時間後まで蛍 光スぺ クトルは変化した。 この結果は、 RNA合成は、 鍊型の 200倍以上おこ ることを示している。 また、 800 倍添加した場合においても約 4時間後まで蛍光 スぺクトルは変化した。 この結果は RNAの合成量が錡型 DNAに対し 200倍か ら 400倍の間であることを示す。
また、 鍩型 DNAに対し小過剰にプローブを添加した場合には、 蛍光スペクトル 変化が反応初期において大きく、 精度よく転写反応がモニタリングできる。 一方、 錡型 DNAに対し大過剰にプローブを添加した場合 (1 : 800) 、 la/Id値の変化量 が小さいため、 転写反応の初期段階を蛍光スぺクトルで精度よくモニタリングす ることはできないが合成反応の終了点をモニタ一することが可能となる。 従って、 本実施例の転写反応は、 反応の初期段階をモニタリングするためには、 錶型 DNA とプローブの比を 1:200に設定し、 転写反応の終了までモニタリングするために は、 錡型 MAとプローブの比を 1:400或いは 1: 800に設定すればよいことが示 される。 (実施例 8)
本発明に使用するプローブがハイブリダィズする当該 RN A上の部位は任意であ
ることを示す実施例
XE LF 1—aRNAの 2次構造をコンビュ一夕一シミュレーションによって 予測した (日立ソフトエンジニアリング製 DNASIS DNA—シーケンス入力解析シ ステム) 。 一般にプローブがハイブリダィズしやすいと予想されるループ構造を とる部位 (塩基配列番号 184-214) 、 およびプローブがハイブリダィズしにくい と予想されるステム構造をとる部位 (塩基配列番号 346-375) をそれぞれ選択し、 その部位の塩基配列と相補的な塩基配列をもつ 2種類 1組の蛍光標識プローブを 作製した。
XELF— 1 Fドナ一プローブ: 184-199 の部位と相補的な塩基配列をもつ。 XE LF— 1 Fァクセプ夕一プロ一ブ: 200-214 の部位と相補的な塩基配列 をもつ。
XE LF-4 Fドナ一プローブ: 346-360の部位と相補的な塩基配列をもつ。 XE LF— 4 Fァクセプ夕一プロ一ブ: 36卜 375 の部位と相補的な塩基配列を もつ。
XE L F- 1 Fドナープローブと XE L F— 1 Fァクセプ夕一プローブを 1対 1 に混合した溶液、 および XELF— 4Fドナープローブと XELF— 4 Fァクセ プ夕一プローブを 1対 1に混合した溶液をそれぞれ調製し、 蛍光スぺクトルを測 定した。 次に、 これらの溶液に XE LF 1—ひ RNAをプローブに対して 1対 1 の比率でそれぞれ添加して室温で 30分反応させた後に蛍光スぺクトルの変化を 測定した。 結果を図 18Aに示す。 XELF— 1 Fプローブに XELF 1—ひ R
N Aを加えたときには Cy 5の蛍光量が大きく増大した蛍光スぺクトルが得られ たが、 XELF— 4 Fプローブに XELF 1—ひ R N Aを加えたときには蛍光ス ぺクトル変化は小さかった。 蛍光スぺクトルの変化はプローブが RNAにハイプ リダイズして蛍光色素間に共鳴エネルギー移動がおこつたことを示している。 す なわち、 図 18Aの結果は、 XELF 1—ひ RNAの 2次構造から予想されたと おり、 XELF— 1 Fプロ一ブは XELF 1—ひ R N Aによくハイブリダィズす
るが、 XELF— 4 Fプローブは XELF 1—ひ R N Aにあまりハイブリダィズ しないことを示している。
次に、 これらのプローブを用いて本発明のィンビト口転写 RN A合成反応モニ 夕リング法を行った。 XELF— 1 Fドナ一プローブと XELF— 1 Fァクセプ 夕一プローブを含む転写反応液と、 XELF— 4 Fドナ一プローブと XELF— 4 Fァクセプ夕ープローブを含む転写反応液をそれぞれ調製し、 蛍光スぺクトル の経時変化をモニターした。
<反応転写液の組成 >
XELF- 1 Fドナープローブと XE L F— 1 Fァクセプ夕ープローブ XELF 1—ひ DNA 0.8pmol
10 Transcription buffer 5 /1
XELF -IFドナ一プローブ 640pmol
XELF— IFァクセプ夕ープローブ 640pmol
T3 MAポリメラーゼ 5 1
XE L F-4Fドナープローブと XE L F— 4Fァクセプ夕ープロ一ブ
XELF 1—ひ DNA 0.8pmol
10 X Transcript ion bufier
XELF-4F ドナ一プローブ 640pmol
XELF— 4Fァクセプ夕ープロ一ブ 640pmol
T3 RNAポリメラ一ゼ 結果を図 18Bおよび Cに示す。 図 18Bおよび Cから明らかなように、 XEL F— 4 Fプローブを使用したときにも、 XE L F_ 1 Fプローブを使用したとき と同様の蛍光スペクトルの経時変化が観察された。 これらの結果は、 特有の 2次 構造をとっている R N Aにハイブリダィズしない塩基配列をもつプロ一ブであつ ても、 転写合成反応液にあらかじめ加えておいたときには合成されてくる RNA
にハイブリダィズすることを示している。
すなわち、 本発明にもとづく R N A転写合成反応のモニタリングを行うときに 使用するプローブは当該 R N Aの一部と相補的な塩基配列をもっていればよく、 R N A上のどの部位にハイブリダイズさせるかの選択は任意であることがわかる。
(実施例 9 )
隣接プローブによるインビトロ転写 R N A合成のモニタリング
前記実施例 1から 8で使用したプローブは、 合成された R N Aとハイブリダィ ズすると、 2種類のプローブは連続してハイプリダイズする。
本発明で使用するプローブが、 連続してハイブリダィズするプローブに限定さ れず、 互いに隣接してハイブリダィズするようなプロ一ブでも使用可能であるこ とを以下の実験で確認した。
<使用したプローブと塩基配列 >
連続してハイブリダイズするプロ一ブ
XELF-1F ドナープローブ 5,- BODIPY493/503- AGCCTTTTCCCATCTC - 3,
XELF-1Fァクセプ夕ープローブ 5'- AGGCATACTTG(Cy5 )AAGG-3,
隣接してハイブリダィズするプロ一ブ
XELF-1F ドナ一プローブ 5'- B0D IPY493/503- AGCCTTTTCCCATCTC - 3'
XELF-5Fァクセプ夕ープローブ 5'- ACCCAGGCATACTTG (Cy5) - 3'
R N Aとのハイブリッ ド体において、 プローブ間の一本鎖の部分は 4塩基となる <
<反応転写液の組成〉
連続プロ一ブを使用した場合
ATP、 GTP、 CTP、 UTP 各 75mM
XELFl - α DNA 6 pmol
10 Transcription buffer 10/z l
XELF - 1F ドナ一プローブ 432pmol
XELF一 5Fァクセプ夕ープロ一ブ 432pmol
T3 RNAポリメラ一ゼ 10〃 1
DEPEC処理水で 100 / 1にした。
隣接プローブを使用した場合
ATP、 GTP、 CTP、 UTP 各 75mM
XELF 1—ひ DNA 6pmol
10 x Transcript ion buffer 10 z l
XELF - IF ドナープローブ 432pmol
XELF一 IFァクセプ夕ープロ一ブ 432pmol
T3 MAポリメラーゼ 10 1
DEPEC処理水で 100 / 1にした。
上記反応液を 37°Cで反応させ、 一定時間毎に 5〃1ずつ反応液を採取し、 145 i l の 20m EDTAを含む IxSSCで希釈した後、 蛍光スぺクトル測定を行った。
その結果、 連続してハイブリダィズするプローブと同様、 隣接してハイブリダィ ズするプローブを用いても反応時間の経過に従って、 B0DIPY493/503 に基づく蛍 光が減少し、 Cy5に基づく蛍光が増加した。
520nmの蛍光強度(Id)と 670nmの蛍光強度(la) の比( la/Id)を時間に対してプ ロットした結果を、 連続プローブと隣接プローブで比較したところ、 蛍光強度比 の経時変化は一致した。
従って、 本発明に係わるプロ一ブは連続してハイブリダィズするプローブに限 定されず、 2種類のプローブが R N Aの一部に隣接してハイプリダイズするプロ ーブでも使用可能である。
配列表
配列番号: 1 配列の長さ : 16 配列の型:核酸 鎖の数: 1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類: DNA 配列
AGCCTTTTCC CATCTC 16 配列番号: 2 配列の長さ : 15 配列の型:核酸 鎖の数: 1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類: DNA 配列
AGGCATACTT GAAGG 15 配列番号: 3 配列の長さ : 15 配列の型:核酸 鎖の数: 1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類: DNA 配列
TCTTGATGTA TGTGC 15 配列番号: 4
配列の長さ: 15 配列の型:核酸 鎖の数: 1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類: DNA 配列
GGTTGTAACC AATCT 15 配列番号: 5 配列の長さ : 16 配列の型:核酸 鎖の数: 1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類: DNA 配列
TTAAACTCTG ATGGCC 16 配列番号: 6 配列の長さ : 15 配列の型:核酸 鎖の数: 1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類: DNA
配列
ACCAGTCTTT TACTA 15 配列番号: 7 配列の長さ: 15 配列の型:核酸 鎖の数: 1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類: D N A 配列
AGTACCAGTG ATCAT 15 配列番号: 8 配列の長さ : 15 配列の型:核酸 鎖の数: 1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類: D N A 配列
ACAGTCAGCC TGAGA 15 配列番号: 9 配列の長さ : 15 配列の型:核酸 鎖の数: 1本鎖 トポロジー:直鎖状
配列の種類: DNA 配列
TCTAGTTGGT CTGTC 15 配列番号: 10 配列の長さ : 15 配列の型:核酸 鎖の数: 1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類: DN A 配列
GCAGACTTCT CATCT 15 配列番号: 11 配列の長さ : 15 配列の型:核酸 鎖の数: 1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類: DNA 配列
ACCCAGGCAT ACTTG 15