明 細 書
新規プロゲステロン化合物及びその用途
技術分野
本発明はステロイド系化合物に関し、 更に詳細には優れた血管新生阻害作用を 有し、 悪性腫瘍、 糖尿病性網膜症、 リューマチ等の治療剤として有用な新規プロ ゲステロン化合物及びこれを有効成分とする血管新生阻害剤に関する。
背景技術
血管新生が病因あるいは病態の悪化に重要に関与している疾患として悪性腫瘍、 糖尿病性網膜症、 リューマチ等が知られている。 このうち悪性腫瘍と血管新生の 関係にっレ、ては広く研究がなされており、 特に悪性腫瘍の転移及び予後に血管新 生が重要であることが解明されてきた。
最近、 血管新生阻害活性を示す物質がいくつか報告されており、 例えば、 硫酸 化多糖体、 血小板因子一 4 (P F— 4 ) 、 ベントサンポリサルフヱート、 TNP - 4 7 0 (糸状菌産生物のアナログ) 組織メタ口プロティナーゼインヒビタ一 (T I MP) 、 ミノサイクリン等が知られている。 しかし、 これらの血管新生阻 害作用は充分なものとはレ、えず、 より優れた血管新生阻害剤の開発が切望されて いる。
また、 子宮内膜癌や乳癌においてはその発生にエストロゲンが密接に関与して いることから、 抗エストロゲン剤や高用量のプロゲストーゲンがその治療に使用 されている。 かかる観点から、 プロゲスト一ゲンの 3である酢酸メドロキシプ 口ゲステロンは、 乳癌や子宮内膜癌の治療剤として使用されているが、 最近この 酢酸メドロキシプロゲステロンに血管新生阻害作用があることが報告されている。 しかしながら、 酢酸メドロキジプロゲステロンの血管新生阻害作用について本 発明者らが検討したところ、 その作用は弱く、 通常の臨床用量で効果が発現する かどうかは疑問である。
従って、 本発明の目的は優れた血管新生阻害作用を有する新規なプロゲステロ ン誘導体を提供することにある。
発明の開示
そこで、 本発明者らは数多くのプロゲステロン誘導体を合成し、 そのプロゲス
トーゲン作用だけでなく血管新生阻害作用につレ、てスクリーニングしたところ、 後記一般式 ( 1 ) で表わされる 9 ひ—フルオロー 6 一メチルプロゲステロン誘 導体が酢酸メドロキシプロゲステロンに比べて 2 0倍以上の強力な血管新生阻害 活性を有することを見出し、 本発明を完成するに至った。
すなわち、 本発明は次の一般式 ( 1 ) :
〔式中、 R 1は炭素数 1 〜 2 3の炭化水素基を示す〕
で表わされるプロゲステロン化合物を提供するものである。
また、 本発明は上記プロゲステロン化合物 ( 1 ) を有効成分とする血管新生阻 害剤を提供するものである。
更に、 本発明は上記プロゲステロン化合物 (1 ) 及び医薬用担体を含有する医 薬組成物を提供するものである。
更にまた、 本発明は上記プロゲステロン化合物 ( 1 ) の医薬としての使用を提 供するものである。
更にまた、 本発明は上記プロゲステロン化合物 (1 ) の有効量を投与すること を特徵とする悪性腫瘍、 糖尿病性網膜症及びリユーマチの治療方法を提供するも のである。
発明を実施するための最良の形態
本発明のプロゲステロン化合物を示す一般式 (1 ) 中、 R 1で示される炭化水 素基としては、 炭素数 〜 2 3の直鎖、 分岐鎖又は環状ののアルキル又はアルケ ニル基が挙げられるが、 このうち炭素数!〜 1 7のアルキル基がより好ましい。 R 1のより好ましい具体例としてはメチル基、 ェチル基、 n—プロピル基、 イソ
プロピル基、 n—ブチル基、 n —ペンチル基、 n—へキシル基、 n—へプチル基、 n—ォクチル基、 n—ノニル基、 n—デシル基、 n—ドデシル基、 η—トリデシ ル基、 η—テトラデシル基、 η—ペン夕デシル基等が挙げられる。 このうち、 メ チル基又は η—ペン夕デシル基が特に好ましい。
本発明のプロゲステロン化合物 (1 ) は、 例えば次の反応式 Α又は反応式 Βに 従って製造することができる。
く反応式 A >
( 5 )
(10)
(1 1)
(1)
〔式中、 R1は前記と同じ意味を示す〕
すなわち、 プレグネンジオール類 (2) をァセチル化して 1 1 /8—ァセトキシ 体 (3) を得、 これにエチレングリコールを反応させてケトンを保護した後、 酸 化し、 次いでメチノレ化することにより 6位にメチル基を導入し、 得られた 6—メ チル体(6) を加水分解、 脱水反応を経てフッ素化すれば 9ひ一フルォロ体 (9) が得られる。 この 9ひ一フルォロ体 (9) をエチレングリコールによりケタール 化した後脱ケタール化を行うことにより、 9ひ一フルオロー 6ひ—メチル体
(1 1) を得、 これをァシル化すれば本発明化合物 (1) が得られる。
まず、 プレグネンジオール類 (2) のァセチル化反応は、 当該化合物 (2) に 無水酢酸に代表されるァセチル化剤を 4ージメチル了ミノピリジン等の塩基の存 在下に反応させることにより行なわれる。 また、 得られた 1 l yS—ァセトキシ体
(3) のケ夕一ル化は、 当該化合物 (3) に p—トルエンスルホン酸等の縮合剤
の存在下にエチレングリコールを反応させることにより行なわれる。 化合物 (4) の酸化反応は、 m-クロ口過安息香酸に代表される過酸を用いて行なわれ、 該酸 化反応により 5, 6—エポキシ体 (5)が得られる。 この 5, 6—エポキシ体 (5)のメチル化反応は、 臭化メチルマグネシウムのようなグリニャール試薬を 用いて行なうのが好ましい。 得られた 6—メチル体 (6)の加水分解反応は、 例 えば硫酸水素力リウム、 炭酸水素ナトリゥム、 炭酸ナトリゥム等の弱酸を用いて 行なうのが好ましい。 得られた化合物 (7)の脱水反応は、 水酸化ナトリウム、 水酸化カリウム等を用いて行なわれる。 また化合物 (8)のフッ素化反応は、 化 合物 (8)にピリジン等の塩基の存在下にフッ化水素を反応させることにより行 なわれる。 6—メチル— 9ひ一フルォロ体 (9)のケ夕一ル化は、 前記同様にェ チレングリコールを用いて行うことができ、 得られたケタール体 (10)の加水 分解も前記同様に弱酸を用いて行うことができる。 得られた 9ひ一フルオロー 6 ひ—メチル体 (1 1)のァシル化は、 p—トルエンスルホン酸等の縮合剤の存在 下に、 酸無水物、 酸ハライド等のカルボン酸 (R'COOH)の反応性誘導体を 反応させることによって行うのが好ましい。 く反応式 B>
(14) (1 5)
(1)
〔式中、 R1は前記と同じ意味を示す〕
すなわち、 6ひーメチルプレドニゾロン ( 1 2) の 1 7位のヒドロキン基をァ シル化して 17ひ—ァシル化体 (1 3) を得、 これを脱水し、 得られたメチル化 体 ( 14 ) の 1位の二重結合を還元してエノン体 ( 1 5 ) を得、 更に、 9 a位に フッ素を導入すれば、 本発明化合物 (1) が得られる。
まず、 6ひーメチルプレドニブロン (1 2) のァシル化反応は、 当該化合物 (2) にオルト酢酸トリメチル等を反応させた後、 オルトエステルを加水分解す ることにより行なわれる。 また、 得られた 1 7ひ一ァシル化体 (1 3) の水酸基 引き抜き反応は、 塩化メタンスルホニルを反応させ、 その後、 ヨウ化メチル存在 下、 加熱還流することにより行なわれる。 得られたメチル化体 (14) の還元は 、 クロロトリス (トリフエニルホスフィン) ロジウム (I)等の金属触媒の存在 下水素添加することにより行なわれる。 更に、 このエノン体 (1 5) のフッ素化 は、 ピリジン等の存在下、 フッ化水素を反応させることにより行なわれる。
かくして得られた本発明化合物 (1) はホルモン作用の解離された、 優れた血 管新生阻害作用を有し、 血管新生阻害剤として悪性腫瘍、 糖尿病性網膜症、 リュ 一マチ等の治療に用いることができる。
本発明化合物 (1) をこれらの用途に使用する場合、 通常用いられる医薬用担 体とともに医薬組成物として使用するのが好ましい。 かかる医薬組成物としては 錠剤、 顆粒剤、 カプセル剤等の経口用組成物;注射用組成物;経直腸用組成物; 経皮用組成物等が用いられる。 これらの組成物を調製するにあたっては、 賦形剤、 結合剤、 崩壊剤、 溶解剤、 矯味剤等の医薬用担体が用いられる。
本発明化合物 (1) を血管新生阻害剤として使用する場合の投与量は投与経路、 患者の症状、 年合、 体重等によって異なるが、 通常成人 1日当り 0. 1〜600 mgを 1〜5回に分けて投与するのが好ましい。
実施例
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する力 本発明は何らこれに限定され るものではない。
実施例 1
(1) 1 1 /3—ァセトキシー 1 7ひ一ヒドロキシー 4—プレグネンー 3, 20- ジオン (3)
4—プレグネンー 1 1 ;3, 1 7ひ一ジオール一 3, 20—ジオン (2) (2 g) 、 無水酢酸 (1 0^) . ピリジン (2 Οτη ) 及び 4ージメチルァミノピリジ ン (2 Omg) の混合物を室温にて 6時間攪拌した。 反応混合物を水 (5 で 希釈し、 クロ口ホルムで抽出した。 クロ口ホルム層を 1 0 %HC 、 5 % N a HC 03水溶液及び飽和食塩水にて順次洗浄したのち、 N a 2 S 04にて乾燥 し、 濃縮した。 残留物をカラムクロマトグラフィー (シリカゲル、 1 50 g) に 付し、 70%クロ口ホルム へキサン流分よりァセチル体 (3) (2. 24 g、 1 0 0%) を得た。 酢酸ェチル Zへキサンより再結晶し、 nap 1 5 9. 5 - 1 60°Cの白色結晶として得た。
!H-NMRCCDC ): 50.85(3H,s), 2.0K3H, s). 2.2K3H, s), 3.04(2H,m),
5.34-5.56C1H, m), 5.65(1H. s).
S:m/z388(M+).
元素分析 C23H3205としての計算値: C, 71.10:H.8.30.
実測値: C,71.08:H, 8.50.
(2) 6—メチルー 4—プレグネンー 1 1 8, 1 7ひ一ジォ一ルー 3, 20—ジ オン (8)
1 1一アセテート (3) (2 g) 、 エチレングリコール ( 1. l g) 、 P—ト ルエンスルホン酸 1水和物 (4 Omg) をベンゼン (1 0 中 7時間防湿下加 熱還流した (水分分離装置付) 。 反応混合物を室温に戻し、 飽和食塩水にて洗浄 し、 Na2S04にて乾燥し、 濃縮した。 (残留物はそのまま次の工程に使用す る。 )残留物 (4) (2 g) のクロ口ホルム溶液 ( 1 5 Οτ^) に 70%m—クロ 口過安息香酸 (2 g) を加え、 室温にて 1 2時間攪拌する。 反応液を Na2C03 水溶液及び飽和食塩水の順に洗浄し、 濃縮した。 得られた残留物 (5) を充分乾 燥させたのち、 無水テトラヒドロフラン (3 Οττ^) に溶かし、 激しい攪拌下臭化 メチルマグネシゥム ( 30 ml 1. 02 Μテトラヒドロフラン溶液) を加えた。 反応混合物を 1 8時間加熱還流したのち、 室温に戻し、 内容物を塩化アンモニゥ ム存在下の氷水に開けた。 この混合物をクロ口ホルムで抽出し、 クロ口ホルム層 を飽和食塩水にて洗浄し、 Na2S04にて乾燥後、 濃縮した。 残留物 (6) をァ セトン (8 Qr ) と 5%KHS〇4水溶液 (4 Οτηβ) の混液中 70°Cにて 2時間 加熱還流した。 溶媒を留去し、 残留物をクロ口ホルムにて抽出した。 クロ口ホル ム層を飽和食塩水にて洗浄し、 Na2S04にて乾燥し、 濃縮した。 続いて、 残留 物 (7) を 0. 05N NaOH ( 1 0 OOTの とメタノール ( 1 0 中室温 にて、 2時間攪拌した。 反応混合物に酢酸 i li ) を加え、 約半分量に濃縮した のち、 クロ口ホルムにて抽出した。 クロ口ホルム層を飽和食塩水にて水洗し、 Na2S04にて乾燥したのち濃縮した。 残留物をカラムクロマトグラフィー (シ リカゲ儿、 70 g) に付し、 3 0%酢酸ェチルノへキサン流分より標記化合物 (8) (23%、 化合物 (3) より) を得た。 酢酸ェチルにて再結晶し、 mp 22 1 - 225 °Cの白色結晶を得た。
〔ひ〕 +64.6° (MeOH).
^-NMRCCDCf 3):51.03(3H. s). 1.05C3H, s), 1.06C3H, d, J=7.33Hz),
1.27C3H. d, J=7.57Hz). 1.42(3H,s), 1.50C3H, s), 2.29 (3H, s). 2.30 (3H. s),
2.68-2.71(2H.m), 3. 8(1H, q, J=7.01Hz), 4.47(1H, d, J=2.43Hz), 5.73(1H, s). MS:ra/z360(M+).
元素分析 C22H3204としての計算値: C, 73.30 :H, 8.95.
実測値: C, 73.40 :H, 8.99.
(3) 9 α—フルオロー 1 7ひ一ヒドロキシー 6—メチルー 4一プレグネンー 3, 20—ジオン (9)
テフロン製容器にフッ化水素、 ピリジン 〔 4 m£、 HF : ピリジン = 7 : 3 (w/w) 〕 を入れ外温を窒素気流下、 一 1 5 °Cに保ちながら 1 1 ーヒドロキ シー 6—メチルー 4一プレグナン一 3, 20—ジオン (9) ( 200mg) を加え た。 同一温度で、 60時間攪拌したのち、 3%HC 、 5%NaHC〇3、 飽和 食塩水の順で洗浄し、 Na2S04にて乾燥後濃縮した。 残留物をカラムクロマト グラフィー (シリカゲル、 30 g) に付し、 30%酢酸ェチル /へキサンの流分 よりフッ素体 (9) (47mg、 23. 3%) を得た。 酢酸ェチルにより再結晶し、 mp 232 - 235 °Cの白色結晶を得た。
^-NMRCCDCf 3):50.75C3H, s), 0.78 (3H, s). 1.1K3H. d. J=6.35Hz).
1.20C3H, d, J=4.96Hz), 1.30(3H, s), 1.37C3H, s). 2.27(3H, s), 2.28C3H, s),
2.69-2.75 (2H, m), 2.99-3.07(1H. m), 3.82(1H. d. J=1.84Hz),
5.85(1H, d, J=3.09Hz), 5.90(1H, d, J=2.00Hz).
MS:m/z225(M+).
元素分析 C22H3〗03Fとしての計算値: C, 72.89 ;H, 8.62.
実測値: 72.95 :H, 8.75.
(4) 9ひ一フルオロー 1 7ひーヒドロキシー 6ひーメチルー 4一プレグネンー
3 , 20—ジオン ( 1 1 )
6-メチルプレグネン体 (9) (4 Omg) 、 エチレングリコール (0. 0 1 4 nf)、 p—トルエンスルホン酸 (2mg) をベンゼン (20mの 中、 水分分離装置 を装着し、 3時間加熱還流した。 溶媒を留去したのち、 残留物に 5%KHS04 水溶液 ( 5 τηβ) 及びァセトン ( 5 を加え、 70 °Cにて 2時間加熱還流した。 反応混合物を濃縮し、 クロ口ホルムにて抽出した。 クロ口ホルム層を飽和食塩水 にて水洗し、 Na2S04にて乾燥し、 濃縮した。 残留物をカラムクロマトグラフ
ィー (シリカゲル、 20 g) に付し、 30%酢酸ェチルズへキサンの流分より 6 ひ—メチル体 (1 1) (23rag、 化合物 (9) より 57. 5 を得た。 酢酸ェ チルから再結晶し、 mp 237— 23 9 °Cの白色結晶を得た。
〔ひ〕 +23.76° (MeOH).
2.69- 2.79 (2H,m), 2.99-3.03(lH.m), 3.84(1H, d, J=l.80Hz),
5.89(1H. d. J=l.80Hz).
MS:ra/z362(M+).
元素分析 C22H3,03Fとしての計算値: C, 72.89;H, 8.62.
実測値: C, 72.90 :H, 8.78.
(5) 1 7ひーァセトキシ一 9 一フルオロー 6ひ一メチルプロゲステロン (1 a)
9ひ—フルォロメ ドロキシプロゲステロン ( 1 1) (2 Omg) を p—トルエン スルホン酸、 無水酢酸 (0. 4^) 及び塩化メチレン (Im と共に窒素気流下、 一 1 (TCで 5時間攪拌した。 反応混合物に水 (1 0 ) を加え、 クロ口ホルム抽 出した。 クロ口ホルム層を 5 %N a H C 03水溶液及び飽和食塩水にて洗浄し、 Na2S04にて乾燥したのち、 濃縮した。 残留物をカラムクロマトグラフィー
(シリカゲル、 20 g) に付し、 30%酢酸ェチル へキサンの流分より 1 7ひ ー了セトキシー 9ひ一フルォ π— 6ひ一メチルプロゲステロン ( l a) (8mg、
35. 896) を得た。 酢酸ェチル へキサンより再結晶し、 白色結晶を得た。
Ca) 2o +36.0° (c=0.210, CHC 3).
'Η-匿 (500MHz, CDC 3) δ :0.68 (3H. s), 1.12(3H, d, J=6.5Hz), 1.31 (3H. s), 2.05 (3H, s), 2.10C3H, s). 2.96(1H, ddd, J=2.5, 11.3, 14.3Hz),
5.90(1H, d, J=1.5Hz).
13C-NMR(126MHz,CDC 3)<5:13.3, 17.9, 21.1, 21.3(d, J=5.4Hz),
23.6, 25.0(d, J=24Hz). 26.2, 26.8, 29. l(d, J=5.5Hz),
30.3, 33.1, 33.6, 34. (d, J=3.0Hz), 37.6 (d, J=21.0Hz), 43.3(d, J=21.8Hz),
44.6, 46.1, 96.2, 99.4(d, J=181Hz). 123.9, 169.8. 170.6, 198.7, 203.6.
MS:m/z 404(M+).
High MS m/z(M+)Calcd C24H33O4F: 404.2361. Found: 404.2380.
IR(KBr)^ffiax 1742, 1709, 1674cm"1.
m. p.208-210°C.
実施例 2
(1) 1 7ひ一ァセトキシー 1 1 /5, 2 1—ジハイ ドロキン一 6ひーメチルー 1 , 4一プレグナジェンー 3, 20—ジオン (1 3)
6 一メチルプレドニゾロン (6ひ一メチル— 1 1 1 7ひ, 2 1— トリノ、 イ ド口キシー 1, 4-プレグナジェンー 3, 20—ジオン) (1 2) (2. 1 3 g) のジクロロメタン溶液 ( 6 Οτηβ に ρ-トルエンスルホン酸ピリジニゥ ム ( 28. Omg) 、 オルト酢酸トリメチル ( 1. 0 1 m を加え、 室温 (20— 25°C) にて 5時間攪拌した。 反応終了後、 反応溶液を濃縮し得られた残留物を アセトン (3 0OTC> に溶解した。 氷冷下、 ρ—トルエンスルホン酸一水和物
(1. 1 9 g) の水溶液 (3 Οτη を加え、 氷冷下 30分攙拌した。 反応終了後、 飽和 NaHCOs水溶液を加え、 酢酸ェチルで抽出した。 飽和食塩水で洗浄し、 Na2S04で乾燥し、 溶媒留去後、 シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し
(シリカゲル 40 g) 、 50%酢酸ェチル へキサン流分より 1 7 —ァセトキ シー 1 1 S, 21—ジハイド口キシー 6ひーメチルー 1, 4一プレグナジェンー
3, 20—ジオン (1 3) (2. 1 1 , 89%) を得た。
〔 〕^ +18. (c=0.490. CHC 3).
'Η-画 (500MHz, CDC s) δ :0.97(3H. s). 1.13(3H, d. J=6.0Hz), 1.46(3H, s), 2.02(3H. s), 2.74-2.82(lH.m), 4.24(1H, dd, J=4.0, 18.0Hz),
4.33(1H. dd, J=3.5, 18.0Hz), 6.04(1H, s), 6.28C1H, d, J=10.0Hz),
7.25C1H, d, J=10.0Hz).
m.p.159-161°C.
(2) 1 7ひーァセトキシー 1 1 β—八ィ ドロキシー 6ひーメチルー 1, 4ープ レグナジェンー 3, 20—ジオン ( 1 4)
1 7ひーァセトキシー 1 1 yS, 2 1—ジハイ ド口キシ一 6ひーメチルー 1, 4 一プレグナジェンー 3, 2 0—ジオン ( 1 3 ) ( 5 5 7mg) のピリジン溶液
(1 m に、 塩化メタンスルホニル (0. 1 5m を加え、 外温 0— 5 Cにて 3時間攪拌した。 反応終了後、 反応液に氷水、 酢酸ェチルを加え、 1 0%HC£、 飽和 NaHC03水溶液、 飽和食塩水の順に洗浄し、 Na2S04で乾燥した。 溶 媒留去後、 得られた残留物をピリジン ( 1 Οτηβ に溶解し、 ヨウ化ナトリウム
(447mg) を加え 50分加熱還流した。 反応終了後、 飽和 Na2S〇3水溶液を 加え、 酢酸ェチルで抽出した。 1 0 %H C 、 飽和 N aHC 03水溶液、 飽和食 塩水で洗浄し、 N a 2 S 04で乾燥した。 溶媒留去後、 得られる残留物をシリ力ゲ ルカラムクロマトグラフィーに付し (シリカゲル 1 6 g) 、 5 0%酢酸ェチル へキサン流分より 1 7ひーァセトキシー 1 1 /S—ハイ ドロキシー 6ひーメチルー
1, 4一プレグナジェンー 3, 20—ジオン (1 4) (3 1 6mg, 5 9 %)を得 た。
〔 〕^ +13.2。 (c=0. 30. CHC s).
1 H-NMR (500MHz, CDC 3) 5 :0.95(3H, s), 1.13(3H, d, J=6.5Hz), 1.46C3H, s), 2.06C3H, s). 2.05 (3H, s), 2.90-2.98(lH.ra), 6.05(1H, t,J=2. OHz).
6.29(1H. dd. J=2.0, 10. OHz), 7.25 (1H, d, J=10. OHz).
MS:m/'z 400(M+).
m. p.l38-140°C.
(3) 1 7ひ一ァセトキシー 1 1 S—ハイドロキシー 6 α—メチルー 4一プレグ ネン一 3, 20—ジオン ( 1 5)
1 7ひ一ァセトキシ一 1 1 β—八ィドロキシー 6ひーメチルー 1 , 4一プレグ ナジェンー 3, 20—ジオン (1 4) (3 1 6mg) のジクロロメタン一エタノー ル ( 1 : 1 )溶液 (3 Οτηβ にクロ口トリス (トリフエニルホスフィン) ロジゥ ム ( I ) ( 8. 5 lmg) を加え、 水素気流下 1. 5 kg/cm2, 室温 (20— 25 °C) にて 27時間攪拌した。 反応終了後、 反応溶液を濃縮し、 シリカゲルカラム クロマトグラフィーに付し (シリカゲル 1 0 g:) 、 50%酢酸ェチル へキサン 流分より 1 7ひ一ァセトキシー 1 1 —八ィドロキシー 6ひーメチルー 4ープレ グネン— 3, 20—ジオン ( 1 5 ) ( 285 mg, 90%) を得た。
〔ひ〕 0 +55.4° (c=0.773, CHC s).
3H-NMR( 500MHz, CDC 3) δ :0.93C3H, s). 1.06C3H. d, J=6.5Hz), 1.43(3H, s).
2.06(3H. s), 2.07(3H,s), 2.92- 2.98(1 H, m). 5.73(1H, d. J=1.5Hz).
MS:m/z 362(M+).
m. p.193- 195で.
(4) 1 7ひーァセトキシー 9ひ一フルオロー 6ひ一メチルプロゲステロン (1 a)
1 7ひーァセトキシー 1 1 β ィドロキシー 6ひ一メチルー 4ープレグネン 一 3, 20—ジオン (1 5) (1 45mg) を外温一 1 5°Cにてフッ化水素ピリジ ン (4. 0^) に溶解し、 外温一 1 5°Cにて 6 5時間攪拌した。 反応終了後、 反 応液に氷水を加え、 酢酸ェチル (5 Qni 3 Οτηβ) で抽出した。 有機層を 1 0% HC 、 飽和 NaHC〇3、 飽和食塩水の順に洗浄し、 Na2S〇4で乾燥した。 溶媒留去後、 得られる残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し (シ リカゲル 6 g) 、 40%酢酸ェチルズへキサン流分溶出部より 1 7ひーァセトキ シー 9ひ一フルオロー 6ひ一メチルプロゲステロン ( 1 a) (37. 9mg, 26 %) を得た。
試験例 1
血管新生阻害作用:
血管新生阻害作用は、 受精鶏卵の漿尿膜を用いる CAM (cho r i o a 1 1 a n t o i c m emb r a n e ) 法により試験した。 すなわち、 3 7てで 4. 5日間孵卵器内で培養した鶏受精卵の卵殻の 2か所にキリを用いて穴を開け、 側部の穴から注射器を用レ、て卵白を約 3 ml吸弓 I除去した。 気室下部の卵殻膜から 漿尿膜を離した後、 気室上部の卵殻と卵殻膜を除去し胚と漿尿膜を露出させた。 直径 3〜 5 mmの漿尿膜を実験に使用した。 漿尿膜上に中心をあわせる様に内径 3 議のシリコンリングをのせ、 その中に種々の用量の本発明化合物を含む EV (ェ チレンビニールアセテートコポリマー) ペレツトを静置した。 対照群としては、 検体を含有しない EVペレツトを静置した。 陽性対照群には血管新生抑制作用を 示すことが知られている酢酸メドロキンプロゲステロン (MPA) を用いた。 鶏卵上部をテフロンコートした金属キャップで覆し、、 更に 37でで 2日間培養 後、 漿尿膜上の血管網を見やすくするために適当量の脂肪乳材を漿尿膜内に注入 した。
血管新生阻害作用は、 漿尿膜上の無血管野を測定することにより判定した。 す なわち、 怪 3議以上の無血管野を陽性とし、 陽性の出現頻度を観察した。 その結 果を表 1に示した。
表 1 化合物 用量 使用した 無血管野を示 無血管野出現 P値'
( g/egg ) 漿尿膜数 す漿尿膜数 頻度 (%)
化合物 0 26 0 0
(1 a) 0.01 12 2 17 >0.05
0.1 12 4 33 く 0.05
1 12 6 50 く 0.001
10 12 9 75 く 0.001
100 12 12 100 く 0.001 PA 100 12 6 50 く 0.001
300 12 9 75 く 0.001
*血管新生阻害作用に関するデータの統計処理は F i s c h e rの正確確率検 定法で行った。 Pく 0. 05の場合、 統計学的に有意とした。
試験例 2
血管内皮細胞により培養液中に分泌されるゥロキナーゼ型プラスミノ一ゲンァ クチベータ一 (uPA) 活性:
血管内皮細胞により培養液中に分泌される u P Aに対する本発明化合物の効果 を以下に示す方法で測定した。 すなわち、 1 0%牛胎児血清を含有する 1 mlの基 礎培養液 (Du l b e c c o' s mo d i f i e d Ea g l e' s me d
1 urn (DMEM) + 2 5mM HE P E S+ 4. 5 g mi グルコース + 0. 58 Amg/τηβ グルタミン + 1 0 0単位 ペニシリン + 1 00 zg ストレプトマイシン) を含む 24穴マルチディッシュ (Fa 1 c on 24 - mu 1 t i we 1 1 d i s he s) に血管内皮細胞 ( 2 x 1 05 c e 1 1 s / we 1 1 ) を添加した。 これを、 37°C、 5 %C02— 95 %a i r加湿インキ ュベータ一内にて 1 6時間培養後、 細胞を無血清基礎培養液で 2回洗浄し、 種々 の濃度の本発明化合物を含む 1 の無血清基礎培養液中で同様の条件で培養した。
24時間培養後、 無血清培養液を回収し遠心分離した。 上清中の uP A活性はプ ラスミノーゲンと合成基質 S— 225 1を用いて測定した。 活性は、 培養上清 1 当たりのゥロキナーゼ単位 (U) で表した。 血管新生阻害作用を示す酢酸メド
キロシプロゲステロンが血管内皮細胞からの u P A分泌を抑制することから、 れを陽性対照に用いた。 その結果を表 2に示した。
表 2 化合物 濃度 ο uPA活性 (UZ1 培養上清) * 化合物 (1 a) 0 0.88±0.16
10"9 0.71±0.16
10"8 0.61±0.12
10-7 0.36±0.10
10"6 0.22±0.04
MPA 10"6 0.22±0.05 氺平均値土標準偏差
実施例 3
以下の処方の 1錠あたり 1 0 Omgの錠剤を得た。
実施例 1の化合物 1 0 (mg)
乳糖 70
トウモロコシデンプン 1 6
ヒドロキシプロピルセルロース 3
ステアリン酸マグネシウム 1
実施例 4
以下の処方の 1錠あたり 1 0 Omgの錠剤を得た。
実施例 1の化合物 1 (mg)
乳糖 75
トウモロコシデンプン 20
ヒドロキンプロピルセルロース 3
ステアリン酸マグネシウム 1
実施例 5
以下の処方の 1錠あたり 1 0 Omgの錠剤を得た。
実施例 1の化合物 1 0 (mg)
^—シクロデキストリン 30
乳糖 46
トウモロコシデンプン 1 0
ヒドロキシプロピルセルロース 3
ステアリン酸マグネシウム 1
実施例 6
以下の処方の 1錠あたり 1 0 O mgの錠剤を得た。
実施例 1の化合物 1 (mg)
/S—シクロデキストリン 3
乳糖 6 4
トウモロコシデンプン 2 8
ヒドロキンプロピルセルロース 3
ステアリン酸マグネシウム 1
以上の結果より、 本発明化合物が血管新生阻害作用ならびに血管内皮細胞によ るプラスミノーゲンァクチベー夕一分泌に対して抑制作用を示すことが確認され た。 また本発明化合物による血管新生抑制作用は、 既知の血管新生阻害物質酢酸 メドロキシプロゲステロンよりも 2 0倍以上強力なものであることが判明した。 産業上の利用可能性
本発明化合物 (1 ) は強力な血管新生阻害作用を有し、 悪性腫瘍、 糖尿病性網 膜症、 リュゥマチ等における血管新生阻害に基づく治療剤として有用である。