JPWO2021188993A5 - - Google Patents
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Description
本開示の一態様は、改変AAVカプシドタンパク質の集団から、ミクログリア系統の細胞などの所望の細胞型に対して優先的な指向性を示すカプシドタンパク質を同定する方法を包含する。所望の細胞型の細胞は、神経細胞であり得る。この方法は、AAVベクターをカプシド化する改変カプシドタンパク質をそれぞれが含む複数の組み換えAAVビリオン(rAAV)を生成することを含む。AAVベクターは、導入遺伝子の両側に隣接するAAV末端逆位反復配列(ITR)及びベクターをカプシド化するカプシドタンパク質に固有の(unique)識別子配列を有する。本方法は、さらに、生成されたrAAVを複数の細胞型の集団に感染させて、それぞれがrAAVを含む複数の形質導入細胞を生成することを含む。各形質導入された細胞における固有の識別子配列の配列及び各形質導入された細胞の細胞型を決定して、各細胞に存在するカプシドタンパク質を同定する。各細胞の細胞型は、各細胞についての転写プロファイルを決定することを含み得る。所望の細胞型に対する優先的な指向性を示すカプシドタンパク質を、各細胞型における該タンパク質の存在及び不在に基づいて同定し、ここで、該タンパク質が所望の細胞型に存在し、所望の細胞型以外の細胞型に不在である場合、該タンパク質は所望の細胞型に対する優先的な指向性を示す。本方法は、それぞれが所望の細胞型に対する優先的な指向性を示す、複数の改変AAVカプシドタンパク質を同定するために使用することができる。
本開示のさらに別の態様は、複数のrAAVメンバーを含む組み換えAAVビリオン(rAAV)ライブラリを包含する。各rAAVメンバーは、AAVベクターをカプシド化する改変AAVカプシドタンパク質を含み、ここで前記AAVベクターは、導入遺伝子の両側に隣接するAAV末端逆位反復配列(ITR)及び各rAAVのカプシドタンパク質に固有の識別子配列を有している。各改変AAVカプシドタンパク質は、所望の細胞型に対する優先的な指向性を示す。前記改変カプシドタンパク質は、野生型カプシドタンパク質に対して少なくとも1つの変異を含んでよく、前記変異は、挿入ペプチド、アミノ酸置換、及びアミノ酸欠失から選択されてよい。いくつかの態様において、所望の細胞型は、グリア細胞である。前記細胞がグリア細胞である場合、各挿入ペプチドは、配列番号2~183のアミノ酸配列に由来してよい。各rAAVは、所望の標的細胞型に対する優先的
な指向性を示してよい。
な指向性を示してよい。
本開示のAAVベクターは、導入遺伝子の両側に隣接するAAV ITRと、各rAAVのカプシドタンパク質に固有の識別子核酸配列(本明細書では識別子配列、固有識別子又は単に識別子とも呼ばれる)とを含む。いくつかの態様において、導入遺伝子はまた、レポーターをコードしてもよい。本明細書において、「導入遺伝子」は、任意の核酸分子、例えば、分子が導入される細胞にとって外来のものである核酸配列を有するDNA分子を指す。例えば、DNA分子は、そのDNA分子が導入された細胞にとって外来のものである目的のタンパク質をコードする核酸配列を有していてもよい。レポーターの発現は、rAAVの形質導入効率を決定し、実験中にrAAVによって正常に形質導入された細胞を同定するために使用することができる。レポーターは、本明細書の以下のセクションI(d)に記載されているようなものでよい。
実施例4.AAV2-GFP軟膜下注射
Sprague Dawleyラットに、ニューロンへのニューロン指向性が改善された約1×1013gc/mlのGFP発現rAAV2を、軟膜下注射により注入した。1ヶ月後、脊髄を採取し(図8)、形質導入について評価した。有意なトランスジーン(緑色)の発現が、脊髄の胸部及び腰部のセクション全体に見られる(図9~14)。陰性対照(低濃度のベクターを注入した脊髄)では有意なGFP発現は観察されない。強力な逆行性形質導入(すなわち、上位運動ニューロンを介したウイルスの取り込み及び脳におけるトランスジーンの発現)が、運動皮質で見られる(図15)。結果はさらに、このウイルスが一般的な血清型よりも1)高齢者、及び2)死んだ神経系でよりよく機能することを示す。
本願発明の例示的な態様を以下に記載する。
<1>
改変AAVカプシドタンパク質(engineered AAV capsid proteins)の集団から、所望の細胞型に対する優先的な指向性(preferential tropism)を示すカプシドタンパク質を同定する方法であって、前記方法は、
a.AAVベクターをカプシド化する改変カプシドタンパク質をそれぞれ含む複数の組み換えAAVビリオン(rAAV)を生成すること、ここで前記AAVベクターは、導入遺伝子の両側に隣接するAAV末端逆位反復配列(inverted terminal repeats:ITRs)及び前記ベクターをカプシド化する前記カプシドタンパク質に固有の識別子配列を有する;
b.複数の細胞型の集団に(a)で得られたrAAVを感染させて、それぞれが(a)で得られたrAAVを含む複数の形質導入された細胞を生成すること;
c.各細胞に存在する前記カプシドタンパク質を同定するために、(b)で得られた形質導入された各細胞における前記固有の識別子配列の配列を決定すること;
d.(b)で得られた各形質導入細胞の細胞型を決定すること;及び
e.前記各細胞型における前記タンパク質の存在及び非存在に基づいて、前記所望の細胞型に対する優先的な指向性を示すカプシドタンパク質を同定すること、ここで、前記タンパク質が前記所望の細胞型に存在し、前記所望の細胞型以外の細胞型に存在しない場合、前記タンパク質は前記所望の細胞型に対する優先的な指向性を示す、
を含む、方法。
<2>
各々が所望の細胞型に対する優先的な指向性を示す、複数の改変AAVカプシドタンパク質を同定することをさらに含む、<1>に記載の方法。
<3>
各細胞の細胞型を決定することが、各細胞についての転写プロファイルを決定することを含む、<1>に記載の方法。
<4>
前記導入遺伝子がレポーターをコードする、<1>に記載の方法。
<5>
rAAVで形質導入された細胞を識別するために、前記細胞の集団中の各細胞において前記導入遺伝子を検出することをさらに含む、<4>に記載の方法。
<6>
前記所望の細胞種の細胞が、神経細胞である、<1>に記載の方法。
<7>
前記所望の細胞型の細胞が、ミクログリア系統の細胞である、<1>に記載の方法。
<8>
前記改変タンパク質が、挿入ペプチド(peptide insertion)を含む、<1>に記載の方法。
<9>
前記挿入ペプチドが、AAV2のカプシドタンパク質におけるI-261、I-381、I-447、I-534、I-573、I-587、I-453、I-520、I-588、I-584、I-585、I-588、I-46、I-115、I-120、I-139、I-161、I-312、I-319、I-459、I-496、I-657、Y257、N258、K259、S391、F392、Y393、C394、Y397、F398、Q536、Q539、及び他のAAV血清型のカプシドタンパク質における対応する位置から選択される領域にある、<8>に記載の方法。
<10>
前記改変カプシドタンパク質が、アミノ酸置換Y444F、Y500F、Y730F、T491V、R585S、R588T、R487G、若しくはその組み合わせ、又は他のAAV血清型のカプシドタンパク質における対応する置換を含むAAV2カプシドタンパク質である、<1>に記載の方法。
<11>
前記改変カプシドタンパク質が、アミノ酸置換R585S、R588T、及びR487G、又は他のAAV血清型のカプシドタンパク質における対応する置換を含むAAV2カプシドタンパク質である、<1>に記載の方法。
<12>
所望の細胞型に対する優先的な指向性を示すrAAVを同定するためのコンピュータ化システムであって、前記コンピュータ化システムは、
a.少なくとも1つのプロセッサを有する汎用コンピュータ;
b.<1>に記載の方法を用いて同定された複数の改変AAVカプシドタンパク質によって示される指向性特性のデータベースを記憶するコンピュータ可読メモリ;及び
c.前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたとき、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記データベースを照会(query)し、複数の改変AAVカプシドタンパク質から、所望の細胞型に対する優先的な指向性を示すカプシドタンパク質を選択させる前記汎用コンピュータに対する命令を含む機能モジュールを含むコンピュータ可読媒体
を含む、コンピュータ化システム。
<13>
前記データベースは、さらに、
a.各細胞型に関連する複数の細胞型特異的転写プロファイル情報;及び
b.各配列が固有の改変AAVカプシドタンパク質をコードする、複数の核酸配列
を含む、<12>に記載のコンピュータ化システム。
<14>
前記データベースが、複数の識別子配列をさらに含み、各識別子が、固有の改変AAVカプシドタンパク質をコードする核酸配列に固有である、<13>に記載のコンピュータ化システム。
<15>
複数の組み換えAAVビリオン(rAAV)メンバーを含むrAAVライブラリであって、各rAAVメンバーは、AAVベクターをカプシド化する改変AAVカプシドタンパク質を含み、ここで前記AAVベクターは、導入遺伝子及び各rAAVの前記カプシドタンパク質に固有の識別子配列の両側に隣接するAAV末端逆位反復配列(inverted terminal repeats:ITRs)を有し、ここでそれぞれの改変AAVカプシドタンパク質は所望の細胞型への優先的な指向性を示す、rAAVライブラリ。
<16>
前記改変カプシドタンパク質が、野生型カプシドタンパク質に対して少なくとも1つの変異を含み、前記変異が、ペプチド挿入、アミノ酸置換、及びアミノ酸欠失から選択される、<15>に記載のrAAVライブラリ。
<17>
前記所望の細胞型がグリア細胞である、<16>に記載のrAAVライブラリ。
<18>
各ペプチド挿入物が、配列番号2~183のアミノ酸配列に由来する、<17>に記載のrAAVライブラリ。
<19>
各rAAVが、所望の標的細胞型に対する優先的な指向性を示す、<15>に記載のrAAVライブラリ。
<20>
<15>に記載のrAAVライブラリをコードする核酸構築物のライブラリ。
<21>
<15>に記載のrAAVライブラリ、<20>に記載のrAAVライブラリをコードする核酸構築物のライブラリ、又はそれらの組み合わせを含む、複数の細胞。
<22>
2つ以上の細胞型の集団における所望の細胞型への導入遺伝子の送達を最適化する方法であって、前記方法は、
a.<1>に記載の方法によって、又は<12>に記載のコンピュータ化システムによって、前記所望の細胞型に対する優先的な指向性を示す改変AAVカプシドタンパク質を同定すること、又は同定したこと;及び
b.前記所望の細胞型を含む細胞の集団を、(a)で同定された前記改変AAVカプシドタンパク質を含むrAAVで形質導入し、それにより前記所望の細胞型に前記導入遺伝子を送達すること、
を含む、方法。
<23>
前記所望の標的細胞型の細胞が中枢神経系細胞である、<22>に記載の方法。
<24>
前記所望の標的細胞型の細胞が、ミクログリア細胞又は星状細胞である、<23>に記載の方法。
<25>
所望の標的細胞型に対する優先的な指向性を示す改変AAVカプシドタンパク質を同定又は生成するためのキットであって、<15>に記載のrAAVのライブラリ、<20>に記載の核酸構築物のライブラリ、又は<21>に記載の複数の細胞を含む、キット。
Sprague Dawleyラットに、ニューロンへのニューロン指向性が改善された約1×1013gc/mlのGFP発現rAAV2を、軟膜下注射により注入した。1ヶ月後、脊髄を採取し(図8)、形質導入について評価した。有意なトランスジーン(緑色)の発現が、脊髄の胸部及び腰部のセクション全体に見られる(図9~14)。陰性対照(低濃度のベクターを注入した脊髄)では有意なGFP発現は観察されない。強力な逆行性形質導入(すなわち、上位運動ニューロンを介したウイルスの取り込み及び脳におけるトランスジーンの発現)が、運動皮質で見られる(図15)。結果はさらに、このウイルスが一般的な血清型よりも1)高齢者、及び2)死んだ神経系でよりよく機能することを示す。
本願発明の例示的な態様を以下に記載する。
<1>
改変AAVカプシドタンパク質(engineered AAV capsid proteins)の集団から、所望の細胞型に対する優先的な指向性(preferential tropism)を示すカプシドタンパク質を同定する方法であって、前記方法は、
a.AAVベクターをカプシド化する改変カプシドタンパク質をそれぞれ含む複数の組み換えAAVビリオン(rAAV)を生成すること、ここで前記AAVベクターは、導入遺伝子の両側に隣接するAAV末端逆位反復配列(inverted terminal repeats:ITRs)及び前記ベクターをカプシド化する前記カプシドタンパク質に固有の識別子配列を有する;
b.複数の細胞型の集団に(a)で得られたrAAVを感染させて、それぞれが(a)で得られたrAAVを含む複数の形質導入された細胞を生成すること;
c.各細胞に存在する前記カプシドタンパク質を同定するために、(b)で得られた形質導入された各細胞における前記固有の識別子配列の配列を決定すること;
d.(b)で得られた各形質導入細胞の細胞型を決定すること;及び
e.前記各細胞型における前記タンパク質の存在及び非存在に基づいて、前記所望の細胞型に対する優先的な指向性を示すカプシドタンパク質を同定すること、ここで、前記タンパク質が前記所望の細胞型に存在し、前記所望の細胞型以外の細胞型に存在しない場合、前記タンパク質は前記所望の細胞型に対する優先的な指向性を示す、
を含む、方法。
<2>
各々が所望の細胞型に対する優先的な指向性を示す、複数の改変AAVカプシドタンパク質を同定することをさらに含む、<1>に記載の方法。
<3>
各細胞の細胞型を決定することが、各細胞についての転写プロファイルを決定することを含む、<1>に記載の方法。
<4>
前記導入遺伝子がレポーターをコードする、<1>に記載の方法。
<5>
rAAVで形質導入された細胞を識別するために、前記細胞の集団中の各細胞において前記導入遺伝子を検出することをさらに含む、<4>に記載の方法。
<6>
前記所望の細胞種の細胞が、神経細胞である、<1>に記載の方法。
<7>
前記所望の細胞型の細胞が、ミクログリア系統の細胞である、<1>に記載の方法。
<8>
前記改変タンパク質が、挿入ペプチド(peptide insertion)を含む、<1>に記載の方法。
<9>
前記挿入ペプチドが、AAV2のカプシドタンパク質におけるI-261、I-381、I-447、I-534、I-573、I-587、I-453、I-520、I-588、I-584、I-585、I-588、I-46、I-115、I-120、I-139、I-161、I-312、I-319、I-459、I-496、I-657、Y257、N258、K259、S391、F392、Y393、C394、Y397、F398、Q536、Q539、及び他のAAV血清型のカプシドタンパク質における対応する位置から選択される領域にある、<8>に記載の方法。
<10>
前記改変カプシドタンパク質が、アミノ酸置換Y444F、Y500F、Y730F、T491V、R585S、R588T、R487G、若しくはその組み合わせ、又は他のAAV血清型のカプシドタンパク質における対応する置換を含むAAV2カプシドタンパク質である、<1>に記載の方法。
<11>
前記改変カプシドタンパク質が、アミノ酸置換R585S、R588T、及びR487G、又は他のAAV血清型のカプシドタンパク質における対応する置換を含むAAV2カプシドタンパク質である、<1>に記載の方法。
<12>
所望の細胞型に対する優先的な指向性を示すrAAVを同定するためのコンピュータ化システムであって、前記コンピュータ化システムは、
a.少なくとも1つのプロセッサを有する汎用コンピュータ;
b.<1>に記載の方法を用いて同定された複数の改変AAVカプシドタンパク質によって示される指向性特性のデータベースを記憶するコンピュータ可読メモリ;及び
c.前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたとき、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記データベースを照会(query)し、複数の改変AAVカプシドタンパク質から、所望の細胞型に対する優先的な指向性を示すカプシドタンパク質を選択させる前記汎用コンピュータに対する命令を含む機能モジュールを含むコンピュータ可読媒体
を含む、コンピュータ化システム。
<13>
前記データベースは、さらに、
a.各細胞型に関連する複数の細胞型特異的転写プロファイル情報;及び
b.各配列が固有の改変AAVカプシドタンパク質をコードする、複数の核酸配列
を含む、<12>に記載のコンピュータ化システム。
<14>
前記データベースが、複数の識別子配列をさらに含み、各識別子が、固有の改変AAVカプシドタンパク質をコードする核酸配列に固有である、<13>に記載のコンピュータ化システム。
<15>
複数の組み換えAAVビリオン(rAAV)メンバーを含むrAAVライブラリであって、各rAAVメンバーは、AAVベクターをカプシド化する改変AAVカプシドタンパク質を含み、ここで前記AAVベクターは、導入遺伝子及び各rAAVの前記カプシドタンパク質に固有の識別子配列の両側に隣接するAAV末端逆位反復配列(inverted terminal repeats:ITRs)を有し、ここでそれぞれの改変AAVカプシドタンパク質は所望の細胞型への優先的な指向性を示す、rAAVライブラリ。
<16>
前記改変カプシドタンパク質が、野生型カプシドタンパク質に対して少なくとも1つの変異を含み、前記変異が、ペプチド挿入、アミノ酸置換、及びアミノ酸欠失から選択される、<15>に記載のrAAVライブラリ。
<17>
前記所望の細胞型がグリア細胞である、<16>に記載のrAAVライブラリ。
<18>
各ペプチド挿入物が、配列番号2~183のアミノ酸配列に由来する、<17>に記載のrAAVライブラリ。
<19>
各rAAVが、所望の標的細胞型に対する優先的な指向性を示す、<15>に記載のrAAVライブラリ。
<20>
<15>に記載のrAAVライブラリをコードする核酸構築物のライブラリ。
<21>
<15>に記載のrAAVライブラリ、<20>に記載のrAAVライブラリをコードする核酸構築物のライブラリ、又はそれらの組み合わせを含む、複数の細胞。
<22>
2つ以上の細胞型の集団における所望の細胞型への導入遺伝子の送達を最適化する方法であって、前記方法は、
a.<1>に記載の方法によって、又は<12>に記載のコンピュータ化システムによって、前記所望の細胞型に対する優先的な指向性を示す改変AAVカプシドタンパク質を同定すること、又は同定したこと;及び
b.前記所望の細胞型を含む細胞の集団を、(a)で同定された前記改変AAVカプシドタンパク質を含むrAAVで形質導入し、それにより前記所望の細胞型に前記導入遺伝子を送達すること、
を含む、方法。
<23>
前記所望の標的細胞型の細胞が中枢神経系細胞である、<22>に記載の方法。
<24>
前記所望の標的細胞型の細胞が、ミクログリア細胞又は星状細胞である、<23>に記載の方法。
<25>
所望の標的細胞型に対する優先的な指向性を示す改変AAVカプシドタンパク質を同定又は生成するためのキットであって、<15>に記載のrAAVのライブラリ、<20>に記載の核酸構築物のライブラリ、又は<21>に記載の複数の細胞を含む、キット。
Claims (25)
- 改変AAVカプシドタンパク質(engineered AAV capsid proteins)の集団から、所望の細胞型に対する優先的な指向性(preferential tropism)を示すカプシドタンパク質を同定する方法であって、前記方法は、
a.AAVベクターをカプシド化する改変カプシドタンパク質をそれぞれ含む複数の組み換えAAVビリオン(rAAV)を生成すること、ここで前記AAVベクターは、導入遺伝子の両側に隣接するAAV末端逆位反復配列(inverted terminal repeats:ITRs)及び前記ベクターをカプシド化する前記カプシドタンパク質に固有の識別子配列を有する;
b.複数の細胞型の集団に(a)で得られたrAAVを感染させて、それぞれが(a)で得られたrAAVを含む複数の形質導入された細胞を生成すること;
c.各細胞に存在する前記カプシドタンパク質を同定するために、(b)で得られた形質導入された各細胞における前記固有の識別子配列の配列を決定すること;
d.(b)で得られた各形質導入細胞の細胞型を決定すること;及び
e.前記各細胞型における前記タンパク質の存在及び非存在に基づいて、前記所望の細胞型に対する優先的な指向性を示すカプシドタンパク質を同定すること、ここで、前記タンパク質が前記所望の細胞型に存在し、前記所望の細胞型以外の細胞型に存在しない場合、前記タンパク質は前記所望の細胞型に対する優先的な指向性を示す、
を含む、方法。 - 各々が所望の細胞型に対する優先的な指向性を示す、複数の改変AAVカプシドタンパク質を同定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 各細胞の細胞型を決定することが、各細胞についての転写プロファイルを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記導入遺伝子がレポーターをコードする、請求項1に記載の方法。
- rAAVで形質導入された細胞を識別するために、前記細胞の集団中の各細胞において前記導入遺伝子を検出することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
- 前記所望の細胞種の細胞が、神経細胞である、請求項1に記載の方法。
- 前記所望の細胞型の細胞が、ミクログリア系統の細胞である、請求項1に記載の方法。
- 前記改変タンパク質が、挿入ペプチド(peptide insertion)を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記挿入ペプチドが、AAV2のカプシドタンパク質におけるI-261、I-381、I-447、I-534、I-573、I-587、I-453、I-520、I-588、I-584、I-585、I-588、I-46、I-115、I-120、I-139、I-161、I-312、I-319、I-459、I-496、I-657、Y257、N258、K259、S391、F392、Y393、C394、Y397、F398、Q536、Q539、及び他のAAV血清型のカプシドタンパク質における対応する位置から選択される領域にある、請求項8に記載の方法。
- 前記改変カプシドタンパク質が、アミノ酸置換Y444F、Y500F、Y730F、T491V、R585S、R588T、R487G、若しくはその組み合わせ、又は他のAAV血清型のカプシドタンパク質における対応する置換を含むAAV2カプシドタンパク質である、請求項1に記載の方法。
- 前記改変カプシドタンパク質が、アミノ酸置換R585S、R588T、及びR487G、又は他のAAV血清型のカプシドタンパク質における対応する置換を含むAAV2カプシドタンパク質である、請求項1に記載の方法。
- 所望の細胞型に対する優先的な指向性を示すrAAVを同定するためのコンピュータ化システムであって、前記コンピュータ化システムは、
a.少なくとも1つのプロセッサを有する汎用コンピュータ;
b.請求項1に記載の方法を用いて同定された複数の改変AAVカプシドタンパク質によって示される指向性特性のデータベースを記憶するコンピュータ可読メモリ;及び
c.前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたとき、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記データベースを照会(query)し、複数の改変AAVカプシドタンパク質から、所望の細胞型に対する優先的な指向性を示すカプシドタンパク質を選択させる前記汎用コンピュータに対する命令を含む機能モジュールを含むコンピュータ可読媒体
を含む、コンピュータ化システム。 - 前記データベースは、さらに、
a.各細胞型に関連する複数の細胞型特異的転写プロファイル情報;及び
b.各配列が固有の改変AAVカプシドタンパク質をコードする、複数の核酸配列
を含む、請求項12に記載のコンピュータ化システム。 - 前記データベースが、複数の識別子配列をさらに含み、各識別子が、固有の改変AAVカプシドタンパク質をコードする核酸配列に固有である、請求項13に記載のコンピュータ化システム。
- 複数の組み換えAAVビリオン(rAAV)メンバーを含むrAAVライブラリであって、各rAAVメンバーは、AAVベクターをカプシド化する改変AAVカプシドタンパク質を含み、ここで前記AAVベクターは、導入遺伝子の両側に隣接するAAV末端逆位反復配列(inverted terminal repeats:ITRs)及び各rAAVの前記カプシドタンパク質に固有の識別子配列を有し、ここでそれぞれの改変AAVカプシドタンパク質は所望の細胞型への優先的な指向性を示す、rAAVライブラリ。
- 前記改変カプシドタンパク質が、野生型カプシドタンパク質に対して少なくとも1つの変異を含み、前記変異が、ペプチド挿入、アミノ酸置換、及びアミノ酸欠失から選択される、請求項15に記載のrAAVライブラリ。
- 前記所望の細胞型がグリア細胞である、請求項16に記載のrAAVライブラリ。
- 各ペプチド挿入物が、配列番号2~183のアミノ酸配列に由来する、請求項17に記載のrAAVライブラリ。
- 各rAAVが、所望の標的細胞型に対する優先的な指向性を示す、請求項15に記載のrAAVライブラリ。
- 請求項15に記載のrAAVライブラリをコードする核酸構築物のライブラリ。
- 請求項15に記載のrAAVライブラリ、請求項20に記載のrAAVライブラリをコードする核酸構築物のライブラリ、又はそれらの組み合わせを含む、複数の細胞。
- 2つ以上の細胞型の集団における所望の細胞型への導入遺伝子の送達を最適化する方法であって、前記方法は、
a.請求項1に記載の方法によって、又は請求項12に記載のコンピュータ化システムによって、前記所望の細胞型に対する優先的な指向性を示す改変AAVカプシドタンパク質を同定すること、又は同定したこと;及び
b.前記所望の細胞型を含む細胞の集団を、(a)で同定された前記改変AAVカプシドタンパク質を含むrAAVで形質導入し、それにより前記所望の細胞型に前記導入遺伝子を送達すること、
を含む、方法。 - 前記所望の標的細胞型の細胞が中枢神経系細胞である、請求項22に記載の方法。
- 前記所望の標的細胞型の細胞が、ミクログリア細胞又は星状細胞である、請求項23に記載の方法。
- 所望の標的細胞型に対する優先的な指向性を示す改変AAVカプシドタンパク質を同定又は生成するためのキットであって、請求項15に記載のrAAVのライブラリ、請求項20に記載の核酸構築物のライブラリ、又は請求項21に記載の複数の細胞を含む、キット。
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