以下に、本発明の実施の形態に係るタッチパネル装置、押下力算出方法、及び押下力算出プログラムを、図面を参照しながら説明する。以下の実施の形態は、例にすぎず、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
《1》実施の形態1.
《1−1》構成
図1は、実施の形態1に係るタッチパネル装置1のハードウェア構成の例を示す図である。タッチパネル装置1は、タッチパネルの操作面で行われたタッチ操作の位置を示すタッチ座標とタッチ操作によって操作面に付与された押下力とを検出することができる。タッチパネル装置1は、取得されたタッチ座標と検出された押下力とに基づいて、タッチ操作の内容を判定する。
図1に示されるように、タッチパネル装置1は、タッチセンサ20と、複数の押下力センサ30_1〜30_nと、ディスプレイとしての液晶パネル40と、制御装置100とを有している。nは、正の整数である。なお、押下力センサ30_1〜30_nの位置及び個数以外に関しては、後述する実施の形態2から6に係るタッチパネル装置のハードウェア構成も、図1のものと同様である。
タッチセンサ20の表面には接着剤(後述の図3(A)における21)によって保護ガラス(後述の図3(A)における22)が貼り付けられている。タッチセンサ20、接着剤21、及び保護ガラス22は、タッチパネル(後述の図3(A)における23)を構成する。タッチパネル23は、ユーザによってタッチ操作が行われる操作面(後述の図3(A)における24)を有している。操作面24は、保護ガラス22の表面である。
液晶パネル40は、タッチセンサ20と重なるように配置された液晶ディスプレイである。液晶パネル40は、制御装置100によって制御されて、操作用画面などを表示する。操作用画面は、アイコンなどの操作部品であるオブジェクトを含むユーザインタフェース(UI)画面である。
タッチセンサ20は、例えば、操作面24における導体の接触箇所の静電容量が変化する静電容量式のタッチセンサである。タッチセンサ20は、タッチ操作に対応する位置情報であるタッチ情報T0を制御装置100に出力する。導体は、ユーザの指、ユーザが手に持つタッチペンなどの操作補助具、などである。ただし、タッチセンサ20は、静電容量式以外のタッチセンサであってもよい。
ユーザによってタッチパネル23の操作面24に対して押下力が付与されると、押下力センサ30_1〜30_nは、タッチパネル23の操作面24に付与された押下力に応じた電気信号であるセンサ信号D0_1〜D0_nを制御装置100に出力する。なお、任意の1つの押下力センサを示す場合には、「押下力センサ30_j」とも表記する。また、任意の1つのセンサ信号を示す場合には、「センサ信号D0_j」とも表記する。jは、1以上n以下の整数である。
制御装置100は、情報処理部としてのプロセッサ51と、情報を記憶する記憶部としてのメモリ52とを有している。制御装置100は、例えば、コンピュータである。メモリ52には、プログラムがインストールされている。プログラムは、例えば、ネットワークを経由して又は情報を記憶する記憶媒体からインストールされる。プログラムは、後述される押下力算出方法を実施するための押下力算出プログラムを含んでもよい。プロセッサ51は、メモリ52に記憶されているプログラムを実行することにより、タッチパネル装置1の全体の動作を制御する。制御装置100の全体又は一部は、半導体集積回路からなる制御回路で構成されてもよい。メモリ52は、半導体記憶装置、ハードディスク装置、取り出し可能な記録媒体に情報を記録する装置などの各種の記憶装置を含んでもよい。
制御装置100は、タッチパネル23の操作面24で入力されたタッチ操作に対応する処理を行う。制御装置100は、予め決められた閾値未満の押下力でタッチパネル23の操作面24に触れるタッチ操作と、この閾値以上の押下力でタッチパネル23の操作面24に触れるタッチ操作(「押し込みタッチ操作」又は「押し込み操作」ともいう。)とを識別することができる。具体的に言えば、制御装置100は、タッチパネル23の操作面24で入力されたタッチ操作に対応するタッチセンサ20における静電容量の変化に基づくタッチ情報T0と、操作面24に付与された押下力に対応して押下力センサ30_1〜30_nから出力されるセンサ信号D0_1〜D0_nとに基づく処理を行う。例えば、制御装置100は、タッチパネル23の操作面24で入力されたタッチ操作に対応する制御信号を、タッチパネル装置1に接続された他の機器又はタッチパネル装置1と通信可能な他の機器に送信する。他の機器は、制御対象機器であり、例えば、生産設備、車両、又は家電機器、などである。
図2は、実施の形態1に係るタッチパネル装置1を示す概略平面図である。図3(A)及び(B)は、実施の形態1に係るタッチパネル装置1を図2のIII−III線で切る概略断面図である。図3(A)は、タッチ操作が行われていない状態を示し、図3(B)は、タッチ操作によって操作面24に押下力が付与されている状態を示す。
図示されるように、タッチパネル装置1は、液晶パネル40と一体に構成された基板41と、液晶パネル40に重なるようにタッチパネル23を支持する弾性部材33と、押下力センサ30_j(j=1,2,…,n)とを有している。押下力センサ30_jは、タッチセンサ20(すなわち、タッチパネル23側)に配置された第1の電極としてのセンサ電極部31_jと、センサ電極部31_jに対向して液晶パネル40側(すなわち、タッチパネル装置1の筐体側)に配置された、フレームGND(すなわち、グランド電位)に接続されたGND電極部32とを有している。図2では、センサ電極部31_jが、タッチセンサ20の4つの隅部と4つの辺の中央に備えられている。ただし、センサ電極部31_1〜31_nの位置、個数、及び形状は、図2の例のものに限定されない。
弾性部材33は、タッチパネル23を支持している。弾性部材33は、分割された複数の部分から構成されてもよい。基板41は、タッチパネル装置1の筐体に固定されている。また、タッチパネル23の平面形状は、四角形以外の形状であってもよい。
図3(B)に示されるように、タッチパネル23の操作面24に導体が接触しているときには、タッチセンサ20の導体の接触箇所の静電容量が変化する。制御装置100は、タッチセンサ20の各位置における静電容量を検出し、導体の接触箇所の位置、すなわち、タッチセンサ20における2次元座標を示すタッチ座標を取得する。制御装置100は、タッチパネル23の操作面24の各位置、すなわち、タッチセンサ20の各位置における静電容量に基づいて操作面24における導体の接触箇所の位置を示す位置座標であるタッチ座標を算出する。導体の接触箇所は、例えば、静電容量が予め定められた基準容量より大きい箇所である。導体の接触箇所の位置を示すタッチ座標は、「静電容量座標」とも言う。
また、図3(B)に示されるように、タッチパネル23の操作面24に押下力が付与されているときには、弾性部材33が圧縮され、操作面24に加えられた押下力は、押下力センサ30_1〜30_nによって検出される。押下力センサ30_1〜30_nは、押下力によって変化する静電容量を検出し、静電容量に基づくセンサ信号D0_1〜D0_nを出力する。図3(B)に示されるように、押し込みによって、弾性部材33が弾性変形して薄くなると、押下力センサ30_jのセンサ電極部31_jで検出される静電容量Coは増加する。また、図3(A)に示されるように、押下力の付与を止めることによって、弾性部材33が元の状態に復元して厚くなると、押下力センサ30_jのセンサ電極部31_jで検出される静電容量Coは減少して初期値に戻る。図3(A)及び(B)に示されるように、押下力センサ30_jは、初期状態における電極間距離d0と弾性部材33が圧縮されたときの電極間距離d1との差、すなわち、変位(d0−d1)に応じた値を示すセンサ信号D0_jを出力する。電極間距離は、センサ電極部31_jとGND電極部32との間の距離である。
押下力センサ30_1〜30_nは、操作面24に付与された押下力と押下力が付与された押圧位置とに応じたセンサ信号D0_1〜D0_nを出力する。制御装置100は、押下力センサ30_1〜30_nから出力されるセンサ信号D0_1〜D0_nと、タッチセンサ20から出力されたタッチ情報T0と、押下力を算出するために予め記憶されている複数の押下力算出方式を示す情報の1つとを用いて、押下力を算出する。なお、「押下力算出方式」は、単に「算出方式」ともいう。また、制御装置100は、センサ信号D0_1〜D0_nに基づいてタッチパネル23の操作面24における押圧位置を示す位置座標を算出することもできる。
押下力センサ30_1〜30_nは、静電容量式のものに限定されない。押下力センサ30_1〜30_nは、タッチパネル23の操作面24に押下力を付与したときにタッチパネル23の微小な歪みをセンシングする歪みセンサ、押下力に応じた電圧信号を発生する圧電センサなど、であってもよい。
図4は、実施の形態1に係るタッチパネル装置1の構成を概略的に示す機能ブロック図である。図4において、図1に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図1に示される符号と同じ符号が付される。図4に示されるように、制御装置100は、座標検出部101と、押下力検出部102と、タッチパネル23の複数の領域ごとの押下力算出方式を生成する算出方式生成部103と、複数の押下力算出方式を示す情報(以下「算出方式情報」という。)を記憶する算出方式記憶部104と、算出方式記憶部104から複数の複数の押下力算出方式を読み込み、複数の算出方式情報の内の1つを用いて押下力を算出する押下力算出部105とを有している。ただし、算出方式記憶部104は、必ずしもタッチパネル装置1の一部である必要はない。算出方式記憶部104は、タッチパネル装置1と通信可能に接続された、外部の記憶装置であってもよい。
つまり、制御装置100は、タッチパネル23の操作面24におけるタッチ操作の位置を示すタッチ座標T1を取得する座標検出部101と、操作面24に押下力が付与されたときに、センサ信号に対応する複数の検出値D1_1〜D1_nを取得する押下力検出部102と、操作面24における複数の領域と、複数の領域に対応し、予め定められた複数の押下力算出方式とを記憶する算出方式記憶部104と、複数の押下力算出方式からタッチ座標T1に対応する領域の押下力算出方式を選択し、選択された押下力算出方式と複数の検出値D1_1〜D1_nとを用いて押下力を算出する押下力算出部105とを備えている。
座標検出部101は、タッチ操作によってタッチセンサ20から出力される信号であるタッチ情報T0に基づく座標情報であるタッチ座標T1を生成する。具体的に言えば、座標検出部101は、タッチセンサ20の各位置における静電容量を検出することで、タッチパネル23の操作面24への導体の接触の有無を検出する。座標検出部101は、静電容量の検出値が予め定められた閾値容量より大きい領域である導体の接触箇所の座標を示すタッチ座標T1を算出する。座標検出部101は、タッチ座標T1を押下力算出部105などに提供する。
押下力検出部102は、タッチ操作によってタッチパネル23の操作面24に付与された押下力に基づく検出値D1を出力する。具体的に言えば、押下力検出部102は、押下力センサ30_1〜30_nから出力されるセンサ信号D0_1〜D0_nを受け取り、センサ信号D0_1〜D0_nに基づく検出値D1_1〜D1_nを出力する。
算出方式生成部103は、タッチパネル23のたわみ及び弾性部材33の沈み込みの特徴に基づくシミュレーションによって複数の押下力算出方式を示す複数の算出方式情報を生成する。押下力算出方式の例は、式(1)として後述される。複数の算出方式情報の各々は、例えば、式(1)における係数k1〜knの値の組である。また、算出方式生成部103は、複数の押下力算出方式に対応する複数の領域を決定する。複数の領域は、タッチセンサ20を分割することによって得られた領域である。複数の領域の各々は、その領域において、予め決められた目標精度を満たす押圧力を算出することができる押下力算出方式と対応付けられて、算出方式記憶部104に記憶される。つまり、算出方式生成部103は、タッチセンサ20の複数の領域と、複数の領域の各々に対応する押下力算出方式とを、算出方式記憶部104に記憶させる。
押下力算出部105は、座標検出部101で取得されたタッチ座標T1に基づいて、算出方式記憶部104に記憶されている複数の押下力算出方式からタッチ座標T1に対応する領域の押下力算出方式を選択して、読み込む。押下力算出部105は、押下力検出部102で検出された複数の検出値D1_1〜D1_nと選択された押下力算出方式とに基づいて、押下力を算出する。
図5は、実施の形態1におけるタッチパネル23の操作面24に押下力を付与したときにおけるタッチパネル23、弾性部材33、及び押下力センサ30_jの状態を示す概略断面図である。GND電極部32は、液晶パネル40に取り付けられている。押下力センサ30_jの内側に配置された弾性部材33の上面はタッチセンサ20に接着されており、弾性部材33の下面はGND電極部32に接着されている。弾性部材33は、弾性を有しており、保護ガラス22を押し込むことで弾性部材33が圧縮されて沈み込むと、押下力センサ30_jのセンサ電極部31_jとGND電極部32との間の距離が短くなり、押下力センサ30_jの静電容量Coが増加する。また、保護ガラス22を押し込むことで保護ガラス22、接着剤21、及びタッチセンサ20によって構成されるタッチパネル23にたわみが発生し、タッチパネル23の端部付近で反り上がりが発生することによりセンサ電極部31_jとGND電極部32との間の距離が多少増加する。したがって、反り上がりが発生した場合には、反り上がりが発生しない場合に比べ、押下力センサ30_jの静電容量Coが多少減少する。また、反り上がりの程度は、押下力が付与される位置に応じて異なるので、反り上がりが静電容量Coに与える影響の大きさも、押下力が付与される位置に応じて異なる。
図6は、タッチパネル23の保護ガラス22の中央部に押下力を付与したときにおける保護ガラス22の形状のシミュレーションの結果を示す図である。図6は、タッチパネル23の操作面24の中央部に1[N]の押下力を付与した場合のタッチパネル23のたわみと、タッチパネル23を支持する弾性部材33の圧縮に伴うタッチパネル23の沈み込みの例を示している。タッチパネル23の操作面24の中央部に押下力を付与した場合、図6に示されるように、タッチパネル23の四隅が反り上がる。つまり、タッチパネル23の四隅の縦軸方向の位置が、基準位置である「0」よりも上側に変位している。なお、縦軸方向は、タッチパネル23の辺に平行なX方向及びY方向の両方に直交する方向である。
図7は、タッチパネル23の保護ガラス22の隅部に押下力を付与したときにおける保護ガラス22の形状のシミュレーションの結果を示す図である。図7は、タッチパネル23の操作面24の1つの隅部に1[N]の押下力を付与した場合のタッチパネル23のたわみと、タッチパネル23を支持する弾性部材33の圧縮に伴うタッチパネル23の沈み込みの例を示している。タッチパネル23の操作面24の四隅のいずれか1つの隅部に押下力を付与した場合、図7に示されるように、押下力を付与した位置において、弾性部材33の沈み込みの影響が顕著に表れる。しかし、タッチパネル23の四隅の内の他の3つの隅部の縦軸方向の位置は、基準位置である「0」からほとんど変位していない。
図6及び図7に示されるように、タッチパネル23の操作面24の押し込み位置によって、タッチパネル23の変位の状態は大きく異なり、押下力センサ30_1〜30_nから出力されるセンサ信号D0_1〜D0_nの値も大きく異なる。このため、タッチパネル23の操作面24の押し込み位置を考慮せずに、センサ信号D0_1〜D0_nの値に基づいて押下力を算出した場合には、押下力の精度が低くなる。そこで、実施の形態1に係るタッチパネル装置1及び押下力算出方法では、押下力が付与された位置に応じて押下力算出方式を切り替えている。
《1−2》動作
まず、複数の押下力算出方式の生成処理を説明する。図8は、実施の形態1に係るタッチパネル装置1に関する押下力算出方式の生成のためのシミュレーションに用いられる複数の座標25の例を示す平面図である。図9は、実施の形態1に係るタッチパネル装置1に関する押下力算出方式の生成のための処理を示すフローチャートである。複数の座標25は、予め決められた間隔でX方向及びY方向に配列されている。複数の座標25は、図8に示されるものに限定されない。
図9のステップS10において、算出方式生成部103は、タッチセンサ20において予め定められた複数の座標25の各々についてステップS10〜S13のループ処理を行う。
ステップS11において、算出方式生成部103は、予め定められた押下力の範囲内における複数の押下力の各々において、ステップS11〜S12のループ処理を行う。予め定められた押下力の範囲内における複数の押下力は、例えば、一定の押下力の間隔を持つように決定される。ステップS12において、算出方式生成部103は、ステップS10で決定したタッチ座標をステップS11で決定した押下力で押し込んだ場合の、各押下力センサ30_1〜30_nの変位をシミュレーションで算出する。
ステップS13において、算出方式生成部103は、ステップS12で求めた各押下力センサ30_1〜30_nの変位に基づく計算によって押下力f(P)を算出するために使用される押下力算出方式を生成する。押下力算出方式は、n個の押下力センサ30_1〜30_nを有する場合、例えば、以下の式(1)で定義される。
上記計算式において、nは、正の整数である。P={p1,p2,…,pn}である。p1〜pnは、押下力センサ30_1〜30_nから出力され検出信号の値、すなわち、検出値D1_1〜D1_nである。k1〜knは、検出値p1〜pnの重み付け加算に用いられる重みを示す係数である。つまり、複数の押下力算出方式の係数k1〜knの組は、互いに異なる。
ステップS10〜S13のループ処理が終了すると、処理はステップS14に進む。ステップS14において、算出方式生成部103は、生成された複数の押下力算出方式の各々に対してステップS14〜S20のループ処理を行う。
ステップS15において、算出方式生成部103は、未処理の算出方式の1つを代表の算出方式として選択する。
次に、算出方式生成部103は、代表の算出方式の座標の周辺の座標の対象の算出方式に対して、ステップS16〜S19のループ処理を行う。
ステップS17において、算出方式生成部103は、例えば、代表の算出方式で得られたf(P)の値と対象の算出方式で得られたf(P)の値との差分が、予め定められた目標精度を満たすかどうかを判定する。例えば、算出方式が式(1)で定義される場合、算出方式生成部103は、代表の算出方式の場合の係数k1〜knの絶対値の合計と対象の算出方式の場合の係数k1〜knの絶対値の合計、又は代表の算出方式の場合の係数k1〜knと対象の算出方式の場合の係数k1〜knとの大小関係、又は代表の算出方式の場合の係数k1〜knと対象の算出方式の場合の係数k1〜knとの比率などを用いて、差分が目標精度を満たすか否かを判断する。差分が目標精度を満たす場合は、処理はステップS18に進み、満たさない場合は、処理はステップS19に進む。
ステップS18において、算出方式生成部103は、目標精度を満たす対象の算出方式を新たな代表の算出方式に設定する。
処理がステップS19に進んだ場合、算出方式生成部103は、代表の算出方式の座標と対象の算出方式の座標との間に領域の境界を設定する。
ステップS16〜S19のループ処理の後に、処理はステップS20に進み、算出方式生成部103は、ステップS15で選択した代表の算出方式とステップS19において、求めた境界(領域)情報を記憶する。
押下力算出方式として示した式(1)は、あくまでも一例であり、算出される押下力が目標精度を満たす算出方式であれば、他の方法を用いてもよい。
また、タッチ座標と異なる要素(例えば、押下力の変化)によってステップS12の押下力センサの変位の特徴が大きく変わる場合、算出方式生成部103は、同じタッチ座標にも関わらず一意に押下力算出方式が決定しない方法を採用することも可能である。この場合、算出方式生成部103は、押下力センサの変位の特徴を変化させる要因の値又は範囲とそれらに対応する押下力算出方式のテーブルを作成して算出方式記憶部に記憶させてもよい。また、図8は、シミュレーションによって押下力算出方式を取得しているが、実測を基にして押下力算出方式を取得してもよい。
図10は、実施の形態1に係るタッチパネル装置1の制御装置100が行う押下力の算出処理を示すフローチャートである。ステップS100において、座標検出部101は、タッチパネル23の操作面24のタッチ点の位置を示すタッチ座標を取得する。ステップS101において、押下力検出部102は、押下力センサ30_1〜30_nから出力されるセンサ信号D0_1〜D0_nに基づく検出値D1_1〜D1_nを取得する。
ステップS102において、押下力算出部105は、ステップS100で取得されたタッチ座標T1に基づいて、算出方式記憶部104に記憶されている複数の押下力算出方式の内の対応する押下力算出方式を選択し、読み込む。
ステップS103において、押下力算出部105は、ステップS101で取得した検出値D1_1〜D1_nと、ステップS102で読み込んだ押下力算出方式とを用いて押下力を算出する。押下力算出方式が上記式(1)である場合には、検出値D1_1〜D1_nは、p1〜pnである。
《1−3》効果
以上に説明したように、実施の形態1に係るタッチパネル装置1又は図9及び図10に示される押下力算出方法を用いれば、タッチ座標T1に応じて押下力算出方式として最適なものを使用するので、押下力の算出精度を向上させることができる。
また、目標精度を満たす押下力算出方式とタッチセンサ20の領域とが互いに関連付けられ予め記憶されているので、タッチ座標T1及び検出値D1_1〜D1_nに基づいて押下力を算出するための演算処理の量を小さくできる。よって、効率的に押下力を算出できる。
《2》実施の形態2.
実施の形態2では、複数の押下力センサ30_1〜30_nの内の、タッチパネル23に反り上がりが起こる位置の押下力センサとタッチパネル23に沈み込みが起こる位置の押下力センサとを並列駆動する。つまり、実施の形態2では、反り上がりが起こる位置の押下力センサと沈み込みが起こる位置の押下力センサとを同時に駆動する。押下力検出部102が、例えば、反り上がりが起こる位置の押下力センサと沈み込みが起こる位置の押下力センサとの合計の静電容量を検出することで、静電容量の検出精度が向上し、静電容量の検出回数が減少する。
図11は、実施の形態2に係るタッチパネル装置2の構成を概略的に示す機能ブロック図である。図11において、図4に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図4に示される符号と同じ符号が付される。図11に示されるように、タッチパネル装置2の制御装置200は、座標検出部101と、押下力検出部102と、並列型駆動パターンを記憶する駆動パターン記憶部201と、駆動パターン記憶部201から複数の並列型駆動パターンを読み込み、使用する駆動パターンを切り替える駆動パターン決定部202と、押下力センサを駆動するセンサ駆動部203と、押下力算出部205とを有している。ただし、駆動パターン記憶部201は、必ずしもタッチパネル装置2の一部である必要はない。駆動パターン記憶部201は、タッチパネル装置2と通信可能に接続された、外部の記憶装置であってもよい。
つまり、制御装置200は、操作面24における複数の領域と、複数の領域に対応し、複数の押下力センサ30_1〜30_nの複数の駆動パターンとを記憶する駆動パターン記憶部201と、複数の押下力算出方式からタッチ座標T1に対応する領域の駆動パターンを選択する駆動パターン決定部202と、複数の押下力センサの内の、選択された駆動パターンに従う押下力センサを駆動させるセンサ駆動部203と、選択された駆動パターンに従う押下力センサから出力されたセンサ信号に対応する検出値を用いて押下力を算出する押下力算出部205とを有している。
駆動パターン記憶部201は、タッチ座標T1に対応する押下力センサ30_1〜30_nの位置における反り上がり及び沈み込みを考慮した、押下力センサ30_1〜30_nの駆動パターンを記憶する。記憶される駆動パターンは、タッチ座標T1に対応して、押下力センサ30_1〜30_nの内の同時に駆動される、すなわち、並列駆動される押下力センサの組み合わせを示す。
駆動パターン決定部202は、座標検出部101で取得されたタッチ座標T1に基づいて、駆動パターン記憶部201に記憶されている複数の並列型駆動パターンの内の1つの並列型駆動パターンを選択し、読み込む。駆動パターン決定部202は、読み込んだ並列型駆動パターンをセンサ駆動部203に渡す。センサ駆動部203は、受け取った並列型駆動パターンに従って押下力センサ30_1〜30_nの内の並列型駆動パターンが指定する押下力センサを駆動する。
押下力算出部205は、並列駆動した押下力センサの検出値を受信する。押下力算出部205は、並列駆動した押下力センサの検出値を用いて押下力を算出する。
図12(A)から(D)は、実施の形態2に係るタッチパネル装置2における押下力センサ30_1〜30_nの駆動処理を示す図である。図12(A)及び(C)は、タッチパネル23の操作面24の中央部に押下力を付与した場合、図12(B)及び(D)は、タッチパネル23の操作面24の隅部に押下力を付与した場合を示している。また、図12(A)及び(B)は、タッチパネル23に沈み込みが発生する場合の押下力センサの並列駆動を示し、図12(C)及び(D)は、タッチパネル23に反り上がりが発生する場合の押下力センサの並列駆動を示す。
センサ駆動部203は、タッチ座標T1に対応する並列型駆動パターンに従って、押下力センサ30_1〜30_nの内のいくつかの押下力センサを並列駆動する。図12(A)は、沈み込みが起こる位置の(すなわち、センサ値が正数である)押下力センサ2a、2b、2c、2dを並列駆動させる例を示している。図12(B)は、沈み込みが起こる位置の(すなわち、センサ値が正数である)押下力センサ2e、2g、2hを並列駆動させる例を示している。図12(C)は、反り上がりが起こる位置の(すなわち、センサ値が負数である)押下力センサ2e、2f、2g、2hを並列駆動させる例を示している。図12(D)は、反り上がりが起こる位置の(すなわち、センサ値が負数である)押下力センサ2a、2b、2c、2d、2fを並列駆動させる例を示している。押下力算出部205は、並列駆動により得られた押下力センサの値を用いて押下力を算出する。押下力の算出は、例えば、図12(A)で検出された押下力から図12(C)で検出された押下力を差し引く、又は、図12(B)で検出された押下力から図12(D)で検出された押下力を差し引く、などによって行われる。
図13は、実施の形態2に係るタッチパネル装置2の制御装置200が行う押下力の算出処理を示すフローチャートである。ステップS200において、座標検出部101は、タッチパネル23の操作面24のタッチ点の位置を示すタッチ座標T1を取得する。
ステップS201において、駆動パターン決定部202は、ステップS200で取得されたタッチ座標T1に基づいて、駆動パターン記憶部201に記憶されている複数の駆動パターンから対応する駆動パターンを選択し、読み込む。
ステップS202において、センサ駆動部203は、ステップS201で読み込まれた駆動パターンを用いて押下力センサ30_1〜30_nの内の複数の押下力センサを並列駆動する。精度の良い検出レンジで押下力を測定するために、並列駆動する押下力センサの個数を限定して選択してもよい。
ステップS203において、押下力算出部205は、ステップS202で押下力センサの並列駆動により検出された値に基づいて押下力を算出する。
押下力算出部205は、タッチ座標T1とは異なる要素(例えば、押下力の変化)によって押下力センサから出力されるセンサ信号の正負が変わる場合、同じタッチ座標にも関わらず一意に駆動パターンが決定しない。その場合、押下力算出部205は、押下力センサの正負を変化させる要因の値又は範囲とそれらに対応する駆動パターンのテーブルを作成して、記憶してもよい。
以上に説明したように、実施の形態2に係るタッチパネル装置2又は押下力算出方法を用いれば、タッチ座標T1に応じて押下力センサの駆動パターンを切り替え、押下力センサを並列に駆動させることで、押下力センサの精度を向上させることができる。また、押下力センサの検出回数を削減し検出負荷を低減させることができる。さらに、押下力算出方式として最適なものを使用するので、押下力の算出精度を向上させることができる。
《3》実施の形態3.
実施の形態3では、複数の押下力センサ30_1〜30_nの内の、タッチパネル23に反り上がりが起こる位置の押下力センサを参照電極とし、タッチパネル23に沈み込みが起こる位置の押下力センサを検出電極とし、差動駆動させることで外乱ノイズの影響を軽減する例を説明する。
図14は、実施の形態3に係るタッチパネル装置3の構成を概略的に示す機能ブロック図である。図14において、図4に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図4に示される符号と同じ符号が付される。図14に示されるように、タッチパネル装置3の制御装置300は、座標検出部101と、押下力検出部102と、差動型駆動パターンを記憶する駆動パターン記憶部301と、駆動パターン記憶部301から差動型駆動パターンを読み込み、使用する駆動パターンを切り替える駆動パターン決定部302と、押下力センサを駆動するセンサ駆動部303と、押下力算出部305とを有している。ただし、駆動パターン記憶部301は、必ずしもタッチパネル装置3の一部である必要はない。駆動パターン記憶部301は、タッチパネル装置3と通信可能に接続された、外部の記憶装置であってもよい。
駆動パターン記憶部301は、タッチ座標T1に対応する押下力センサ30_1〜30_nの位置における反り上がり及び沈み込みを考慮した、押下力センサ30_1〜30_nの差動型駆動パターンを記憶する。記憶される差動型駆動パターンは、タッチ座標T1に対応して、押下力センサ30_1〜30_nの駆動の順番などを示す。
駆動パターン決定部302は、座標検出部101で取得されたタッチ座標T1に基づいて、駆動パターン記憶部301に記憶されている複数の駆動パターンの内の1つの駆動パターンを選択し、読み込む。駆動パターン決定部302は、読み込んだ駆動パターンをセンサ駆動部303に渡す。センサ駆動部303は、駆動パターンに従って押下力センサ30_1〜30_nを駆動する。
押下力算出部305は、差動駆動した押下力センサの検出値を受信する。押下力算出部305は、差動駆動した押下力センサの検出値を用いて押下力を算出する。
図15(A)及び(B)は、押下力センサ30_1〜30_nの差動駆動の例を示す図である。図15(A)は、タッチパネル23の操作面24の中央部に押下力を付与した場合、図15(B)は、タッチパネル23の操作面24の隅部に押下力を付与した場合の例である。センサ駆動部303は、タッチ位置に対応する差動型駆動パターンに従って、押下力センサを駆動する。タッチパネル23に反り上がりが起こる位置の(すなわち、センサ値が負数である)押下力センサのセンサ電極を参照電極とし、沈み込みが起こる位置の(すなわち、センサ値が正数の)押下力センサのセンサ電極を検出電極とし、参照電極を含むキャパシタの静電容量と検出電極を含むキャパシタの静電容量との差に基づいて押下力を算出する。
図16は、実施の形態3に係るタッチパネル装置3の制御装置300が行う押下力の算出処理を示すフローチャートである。ステップS300において、座標検出部101は、タッチパネル23の操作面24のタッチ点の位置を示すタッチ座標T1を取得する。
ステップS301において、駆動パターン決定部302は、ステップS300で取得されたタッチ座標T1に基づいて、駆動パターン記憶部301に記憶されている複数の差動型駆動パターンから対応する差動型駆動パターンを選択し、読み込む。
ステップS302において、センサ駆動部303は、ステップS301で読み込まれた差動型駆動パターンを用いて押下力センサ30_1〜30_nの内の駆動パターンに基づく押下力センサを差動駆動する。精度の良い検出レンジで押下力を測定するために、差動駆動する押下力センサの個数を限定して選択してもよい。
ステップS303において、押下力算出部305は、ステップS302で押下力センサの差動駆動により検出された値に基づいて押下力を算出する。
押下力算出部305は、タッチ座標T1とは異なる要素(例えば、押下力の変化)によって押下力センサの正負が変わると、同じタッチ座標であるにも関わらず、一意に差動型駆動パターンが決定しない場合がある。その場合、押下力算出部305は、押下力センサの正負を変化させる要因の値又は範囲とそれらに対応する差動型駆動パターンのテーブルを作成し、記憶してもよい。
以上に説明したように、実施の形態3に係るタッチパネル装置3又は押下力算出方法を用いれば、タッチ座標に応じて押下力センサの差動型駆動パターンを切り替えて、押下力センサを差動駆動させることで、外乱ノイズの影響をキャンセルすることができる。
また、反り上がりと沈み込みの差を検出することで、大きな変位を効率良くセンシングすることができる。
また、実施の形態2で述べた並列駆動と組み合わせることで、1回の押下力センサの検出でタッチパネル23の操作面24の全体の押下力の検出を行うことも可能である。
なお、実施の形態2と実施の形態3は、押下力センサの検出精度が上がるように並列駆動パターン又は差動パターンを組み合わせて、指位置に応じて効率的な押下力の検出をしてもよい。
《4》実施の形態4.
実施の形態4では、タッチパネル23の操作面24に1本の指が接触するタッチ操作であるシングルタッチ操作の場合とタッチパネル23の操作面24に複数本の指が接触するタッチ操作であるマルチタッチ操作を行う場合とで、押下力算出方式を切り替える。実施の形態4では、マルチタッチ操作時の押下力算出精度の低下を軽減する例が説明される。
図17は、実施の形態4に係るタッチパネル装置4の構成を概略的に示す機能ブロック図である。図17において、図4に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図4に示される符号と同じ符号が付される。図17に示されるように、タッチパネル装置4の制御装置400は、座標検出部101と、押下力検出部102と、マルチタッチ判定部404と、算出方式記憶部406と、押下力算出部405とを有している。
つまり、制御装置400は、操作面24に押下力が付与されたときに、センサ信号に対応する複数の検出値を取得する押下力検出部102と、タッチ操作がシングルタッチ操作であるかマルチタッチ操作であるかを判定するマルチタッチ判定部404と、シングルタッチ操作が行われたときの押下力算出方式とマルチタッチ操作が行われたときの押下力算出方式とを記憶する算出方式記憶部406と、タッチ操作に応じて算出方式記憶部から押下力算出方式を選択し、選択された前記押下力算出方式と複数の検出値とを用いて押下力を算出する押下力算出部405とを備えている。ただし、算出方式記憶部406は、必ずしもタッチパネル装置4の一部である必要はない。算出方式記憶部406は、タッチパネル装置4と通信可能に接続された、外部の記憶装置であってもよい。
マルチタッチ判定部404は、操作面24で行われたタッチ操作がシングルタッチ操作であるかマルチタッチ操作であるかを判定する。押下力算出部405は、マルチタッチ判定部404の判定結果と座標検出部101によって検出されたタッチ座標T1とに基づいて、算出方式記憶部406に記憶されている押下力算出方式のいずれかを選択し、読み込む。算出方式記憶部406は、押下力絶対値算出方式406aとセンサ値の正負を考慮した押下力算出方式406bを記憶している。押下力算出方式406bは、タッチパネル23に反り上がりが起こる位置の(すなわち、センサ値が負数である)押下力センサのセンサ値と、沈み込みが起こる位置の(すなわち、センサ値が正数である)押下力センサのセンサ値と、を考慮した算出方式である。
押下力絶対値算出方式406aは、押下力センサ30_1〜30_nから出力されるセンサ信号D0_1〜D0_nの値であるセンサ値が正数であるか負数であるかを考慮しない押下力算出方式である。押下力絶対値算出方式406aは、タッチ操作なし時又は前回のタッチ操作時の状態における押下力検出部102から出力された検出値からの各押下力センサの検出値の変化量の絶対値の和を押下力とする方法である。タッチ操作なし時又は前回のタッチ操作時の状態において押下力検出部102から出力されるセンサ値をp01〜p0n、今回のタッチ操作時における押下力検出部102から出力される検出値をp11〜p1n、変化量の絶対値を|p01−p11|、|p02−p12|、…、|p0n−p1n|としたときに、押下力f0(P)は、以下の式(2)で表される。
図18は、タッチパネル装置4の制御装置400が行う押下力算出の処理を示すフローチャートである。ステップS400において、押下力検出部102は、全ての押下力センサ30_1〜30_nの検出値D1_1〜D1_n(=p11〜p1n)を取得する。
ステップS401において、マルチタッチ判定部404は、タッチ操作がシングルタッチ操作であるかマルチタッチ操作であるかを判定する。シングルタッチ操作の場合、処理はステップS402及びステップS403に進み、マルチタッチ操作の場合、処理はステップS404に進む。
ステップS402において、座標検出部101は、タッチ座標T1を取得する。次のステップS403において、押下力算出部405は、算出方式記憶部406に記憶されている、センサ値を考慮した押下力算出方式406bからステップS402において、取得されたタッチ座標を基に算出方式を読み込む。
処理がステップS401からS404に進んだ場合、押下力算出部405は、算出方式記憶部406に記憶されている押下力絶対値算出方式406aを読み込む。
ステップS405において、押下力算出部405は、ステップS400で検出された検出値D1_1〜D1_nと、ステップS403又はステップS404において、読み込んだ算出方式を用いて押下力を算出する。
図19は、実施の形態4の変形例に係るタッチパネル装置4aの構成を概略的に示す機能ブロック図である。図19において、図17に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図17に示される符号と同じ符号が付される。図19に示されるように、タッチパネル装置4aの制御装置400aは、座標検出部101と、押下力検出部102と、マルチタッチ判定部404と、算出方式記憶部406と、優先度決定部407と、押下力算出部405aとを有している。例えば、優先度決定部407は、マルチタッチ操作が行われた場合、算出方式記憶部406に記憶されている押下力算出方式の選択又は押下力算出方式の生成のために用いられるタッチ座標として、複数のタッチ点の内のいずれのタッチ座標を用いるか、すなわち、いずれのタッチ点を優先するかを決定する。
マルチタッチ判定部404は、タッチ操作がシングルタッチ操作であるかマルチタッチ操作であるかを判定する。押下力算出部405aは、マルチタッチ判定部404の判定結果と座標検出部101から出力されるタッチ座標T1とに基づいて各押下力センサに適用する押下力算出方式の優先度を決定する。押下力算出部405aは、優先度決定部407が決定した押下力算出方式の優先度に基づいて、各押下力センサに適用する押下力算出方式を生成する。
図20は、タッチパネル装置4aの制御装置400aが行う押下力算出の処理を示すフローチャートである。ステップS420において、押下力検出部102は、全ての押下力センサ30_1〜30_nの検出値D1_1〜D1_n(=p11〜p1n)を取得する。ステップS421において、座標検出部101は、タッチ座標T1を取得する。
ステップS422〜S423のループ処理において、押下力算出部405aは、各タッチ座標でステップS423を実施する。ステップS423において、押下力算出部405aは、タッチ座標T1に対応する押下力算出方式を算出方式記憶部406から読み込む。
ステップS424において、マルチタッチ判定部404は、タッチ操作がシングルタッチ操作であるかマルチタッチ操作であるかを判定する。タッチ操作がマルチタッチ操作である場合、ステップS425〜S426のループ処理とステップS427の処理を実施する。ステップS425〜S426のループ処理では、優先度決定部407は、ステップS423で読み込んだ押下力算出方式の優先度を決める。優先度決定部407は、優先度を、例えば、各タッチ座標と押下力センサ30_jとの距離に基づいて決める。例えば、優先度決定部407は、例えば、タッチ座標と押下力センサ30_jとの距離が短いタッチ点の優先度を高くする。
ステップS427において、押下力算出部405aは、ステップS423で読み込んだ押下力算出方式とステップS426で求めた優先度の高いタッチ座標とに基づいて押下力算出方式を生成する。つまり、生成された押下力算出方式では、押下力センサ30_jごとに、複数のタッチ点の内の最も近いタッチ座標に対応する押下力算出方式が適用されている。また、押下力算出方式は、押下力センサ30_jから各タッチ座標までの距離に応じた係数を、対応する押下力算出方式の計算式に掛けて、適用の度合いを変える方法であってもよい。
ステップS428において、押下力算出部405aは、シングルタッチ操作の場合にはステップS423で読み込んだ算出方式を、マルチタッチ操作の場合にはステップS427で生成した算出方式を使い、ステップS420で検出された押下力センサの値に基づいて、押下力を算出する。
以上に説明したように、タッチパネル装置4若しくは4aを用いれば、シングルタッチ操作の場合とマルチタッチ操作の場合で算出方式を切り替えることで、マルチタッチ操作時の押下力の算出精度の低下を抑制することができる。
《5》実施の形態5.
実施の形態5に係るタッチパネル装置5は、押下力センサ30_jの内側に追加の押下力センサ60_jを備え、タッチパネル23のたわみ角を算出し、より正確に押下力を算出する。
図21は、実施の形態5に係るタッチパネル装置5の構成を概略的に示す機能ブロック図である。図21において、図4に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図4に示される符号と同じ符号が付される。図21に示されるように、タッチパネル装置5の制御装置500は、座標検出部101と、押下力検出部502と、変位量推定部506と、押下力算出部505とを有している。押下力検出部502は、押下力の検出値に基づいて、沈み込みの度合(「沈み込み量」ともいう。)を検出する沈み込み検出部503と、押下力の検出値に基づいて、反り上がりの度合(「反り上がり量」ともいう。)を検出する反り上がり検出部504とを備える。
つまり、制御装置500は、押下力検出部502から出力された複数の検出値に基づいてタッチパネル23のたわみ角(すなわち、保護ガラス22のたわみ角)を算出し、たわみ角とタッチ座標とに基づいてタッチパネル23の変位量を算出する変位量推定部506と、変位量とタッチパネル23の剛性とに基づいて押下力を算出する押下力算出部505とを備えている。
図22は、タッチパネル23、弾性部材33、及び押下力センサ30_j、60_jの構成を示す概略断面図である。図23は、タッチパネル23の操作面24に押下力を付与したときの保護ガラス22の形状を示す概略断面図である。図22及び図23において、図3(A)に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図3(A)に示される符号と同じ符号が付される。
図22に示されるように、タッチパネル装置5は、GND電極部32に対向するようにタッチセンサ20の下面に備えられたセンサ電極61_jを有する押下力センサ60_jを備えている。押下力センサ60_jは、押下力センサ30_jの内側に配置されている。外側の押下力センサ30_jの静電容量をCo、内側の押下力センサ60_jの静電容量をCiと表記したときに、反り上がり検出部504は、例えば、静電容量Co−Ciに基づいてたわみ時の反り上がり量を算出することができる。また、沈み込み検出部503は、(Co+Ci)/2に基づいて弾性部材33の沈み込み量を算出することができる。
図23に示されるように、押下力センサ30_j,60_jに基づいて算出した反り上がり量と沈み込み量に基づいて、たわみ角を計算し、タッチセンサ20で検出されたタッチ位置とたわみ角とに基づいて、タッチ位置における変位量、すなわち、押し下がり量を推定する。推定したタッチ位置の変位量とタッチパネルの剛性に基づいて押下力を算出することが可能である。なお、図23においては、2つの押下力センサ30_j、60_jを1組としているが、押下力センサの個数及び配置は、図23の例のものに限定されない。
図24は、実施の形態5に係るタッチパネル装置5の制御装置500が行う押下力の算出処理を示すフローチャートである。ステップS500において、座標検出部101は、タッチ座標T1を取得する。ステップS501において、押下力検出部502は、全ての押下力センサ30_1〜30_nの検出値D1_1〜D1_nと全ての押下力センサ60_1〜60_nの検出値D2_1〜D2_nを取得する。
次に、ステップS502〜S504のループ処理が実行される。ステップS502において、変位量推定部506は、押下力センサ30_jの静電容量Coと押下力センサ60_jの静電容量CiをセットとしてステップS503及びS504の処理を実施する。ステップS503において、ステップS500で取得されたタッチ座標T1に基づいて押下力センサ30_j,60_jのセット、すなわち、押下力センサ30_jと60_jとが反り上がっているか、沈み込んでいるかを推定する。ステップS504において、変位量推定部506は、ステップS503の推定結果に基づいて、反り上がりの場合は、反り上がり検出部504が反り上がりを算出し、沈み込みの場合は、沈み込み検出部503が沈み込みを算出する。ステップS506において、変位量推定部506は、ステップS504で算出した反り上がり量と沈み込み量に基づいてたわみ角を算出し、タッチ座標の変位量を推定する。
ステップS506において、押下力算出部505は、ステップS505で推定したタッチ座標T1における変位量とタッチパネル23の剛性に基づいて押下力を算出する。
以上に説明したように、実施の形態5に係るタッチパネル装置5又は押下力算出方法を用いれば、押下力センサ30_1〜30_nに加えて押下力センサ60_1〜60_nを配置し、タッチパネル23のたわみに基づいてタッチ座標T1における変位量を求め、タッチパネル23の剛性に基づいて押下力を算出することで、正確な押下力を求めることができる。
なお、静電容量Ciを検出する押下力センサ60_1〜60_nは、弾性部材33の内側に配置してもよい。
《6》実施の形態6.
実施の形態6に係るタッチパネル装置6は、タッチパネル装置6の状態に応じて押下力算出方式を切り替える。タッチパネル装置6の状態は、例えば、タッチパネル装置6がサイドマウント型の装置であるか、コンプレッションマウント型の装置であるかである。
図25は、実施の形態6に係るタッチパネル装置6の構成を概略的に示す機能ブロック図である。図25において、図4に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図4に示される符号と同じ符号が付される。図25に示されるように、タッチパネル装置6の制御装置600は、座標検出部101と、押下力検出部102と、タッチパネル装置6の設置状態を推定する設置状態推定部603と、予め押下力算出方式を記憶する算出方式記憶部606と、押下力を算出する押下力算出部605とを有している。ただし、算出方式記憶部606は、必ずしもタッチパネル装置6の一部である必要はない。算出方式記憶部606は、タッチパネル装置6と通信可能に接続された、外部の記憶装置であってもよい。
つまり、制御装置600は、タッチ操作の位置を示すタッチ座標T1を取得する座標検出部101と、操作面24に押下力が付与されたときに、センサ信号に対応する複数の検出値を取得する押下力検出部102と、複数の検出値D1_jに基づいてタッチパネル23が設置されているフレーム部の状態を推定する設置状態推定部603と、設置状態推定部603が推定したタッチパネル23が設置されているフレーム部の状態とタッチ座標T1とに基づく押下力算出方式を用いて押下力を算出する押下力算出部605とを備えている。
図26は、実施の形態6に係るタッチパネル装置6を示す概略断面図である。図6は、タッチパネル装置6における押下力センサ30_j,70_j,80_jの配置の例を示す概略断面図である。jは、1以上n以下の整数である。タッチパネル装置6では、タッチセンサ20の上部に押下力センサ80_jが配置され、タッチセンサ20の下部に押下力センサ30_j,70_jが配置される。
押下力センサ80_jは、保護ガラス22の下部に設けられたGND電極部32aと、タッチセンサ20の上部に設けられたセンサ電極部81_jとから構成される。GND電極部32aとセンサ電極部81_jとは、接着剤21の厚さに相当する間隔をあけて互いに向き合うように配置されている。押下力センサ80_jは、センサ電極部81_jとGND電極部32aとの距離と、センサ電極部81_jの面積と、電極間の比誘電率とに応じた値の静電容量Cuを有している。
押下力センサ30_jは、液晶パネル40の上部に設けられたGND電極部32と、タッチセンサ20の下部に設けられたセンサ電極部31_jとから構成される。センサ電極部31_jは、弾性部材33の外側に配置されている。GND電極部32とセンサ電極部31_jとは、弾性部材33の厚さ及び反り上がりに応じて変化する間隔をあけて配置されている。押下力センサ30_jは、センサ電極部31_jとGND電極部32との距離と、センサ電極部31_jの面積と、電極間の比誘電率とに応じた値の静電容量Coを有している。
押下力センサ70_jは、液晶パネル40の上部に設けられたGND電極部32と、タッチセンサ20の下部に設けられたセンサ電極部71_jとから構成される。センサ電極部71_jは、弾性部材33の内側に配置されている。GND電極部32とセンサ電極部71_jとは、弾性部材33の厚さ及び沈み込みに応じて変化する間隔をあけて配置されている。押下力センサ70_jは、センサ電極部71_jとGND電極部32との距離と、センサ電極部71_jの面積と、電極間の比誘電率とに応じた値の静電容量Ciを有している。
図27は、タッチパネル装置6を示す概略平面図である。弾性部材33は、タッチパネル23をGND電極部32に支持している。GND電極部32は、例えば、押下力センサ30_1〜30_n、70_1〜70_nを覆うように配置される。仮に液晶パネル40上に配置されたタッチセンサ20をGND電極部32で覆うと、タッチ操作に対するタッチセンサ20の検出感度に影響がある。このため、タッチセンサ20の外側にGND電極部32を備え、GND電極部32と重ならない領域にタッチセンサ20を備えることが望ましい。
また、押下力センサ30_j,70_j,80_jは、図27に示されるように、複数箇所に配置されることが望ましい。押下力センサ30_j,70_j,80_jのセンサ電極部31_j,71_j,81_jは、タッチセンサ20内のタッチ位置検出用の電極を同様に、タッチセンサ20内に備えられてもよい。押下力センサのセンサ電極部31_j,71_j,81_jは、例えば、透明電極であるITO(酸化インジウムスズ)又は金属の微細配線などのパターンを生成するプロセスによって形成されてもよい。
図28は、実施の形態6に係るタッチパネル装置6をコンプレッションマウントしたときの状態を示す概略断面図である。図29は、図28のタッチパネル装置6の操作面24に押下力を付与したときの状態を示す概略断面図である。コンプレッションマウントは、フラットなディスプレイデザインを実現する上で採用される設置方法である。この場合、保護ガラス22の一部がタッチパネル装置のGND電極部32の外側まで伸びていて、フレーム部を構成する支持体34によって支えられるようにタッチパネル23は、設置されている。
タッチパネル23の操作面24で押し込み操作が行われると、タッチパネル23及び押下力センサ30_j,70_j,80_jは、図29に示されるように変形する。このとき、保護ガラス22は、支持体34に支えられ、押下力によりたわむような変形が発生する。その結果、保護ガラス22は、大きくたわみ、押下力センサ80_jの静電容量Cuが最も大きく変化する。タッチパネル23の底側からの反力は、得られないため、接着剤21、弾性部材33など柔軟性を持つ素材よりも下側に重なる部材の変形は小さくなる傾向がある。このため、たわみによって発生する押下力センサ30_jの静電容量Coの変化及び押下力センサ70_jの静電容量Ciの変化は、たわみによって発生する押下力センサ80_jの静電容量Cuに比べて小さくなる。そして、弾性部材33の沈みは、ほとんど発生せず、弾性部材33が支点として働き、押下力センサ30_jのたわみに伴う反り上がり、又は、押下力センサ70_jのたわみに伴う沈み込みを受けて、静電容量(Co+Ci)の変化量は非常に小さくなる。
以上に説明したように、設置状態推定部603は、操作面24の押し込みによる静電容量Cu、Co、Ciの変化量ΔCu、ΔCo、ΔCiが、ΔCu>ΔCo且つΔCu>ΔCiを満たす場合、タッチパネル装置6は、コンプレッションマウントで設置されているものと判断する。
図30は、実施の形態6に係るタッチパネル装置6をサイドマウントしたときの状態を示す概略断面図である。図31は、図30のタッチパネル装置6の操作面24に押下力を付与したときの状態を示す概略断面図である。サイドマウントでは、液晶パネル40の外枠を構成するGND電極部32の側面を両側からフレーム部で挟み込むような形で、もしくは、フレーム部がタッチパネル23を支えるような形で、タッチパネル装置が設置される。タッチパネル23の操作面24で押し込み操作が行われると、タッチパネル23及び押下力センサ30_j,70_j,80_jは、図31に示されるように変形する。このとき、GND電極部32が支えとなり押圧に対する反力が発生する。これに伴い、弾性部材33が変形し、弾性部材33を支点にしてタッチセンサ20と保護ガラス22が同時にたわむ。このとき、タッチセンサ20のたわみ量と保護ガラス22のたわみ量との間で大きな違いが発生しないため、押下力センサ80_jの静電容量Cuはほとんど変化しない。すなわち、ΔCu≒0である。一方で、弾性部材33は沈み込み、タッチセンサ20はたわむため、押下力センサ70_jの静電容量Ciは、沈み込みとたわみの両方の発生によって、大きくなる。
以上に説明したように、設置状態推定部603は、操作面24の押し込みによる静電容量Cu、Co、Ciの変化量ΔCu、ΔCo、ΔCiが、ΔCu>ΔCo且つΔCu≒0を満たす場合、タッチパネル装置6は、サイドマウントで設置されているものと判断する。
コンプレッションマウントされたタッチパネル装置では、たわみが変形の主体であり、サイドマウントされたタッチパネル装置では、たわみと沈み込みの組み合わせが変形に現れる。したがって、サイドマウント時には、押下力算出部605は、実施の形態1の方法で押下力を算出するか、もしくは、実施の形態5の方法で押下力を算出することができる。一方、コンプレッションマウント時には、押下力算出部605は、たわみの支点及び作用点の関係上、端部に近づくほど押下力の検出値が小さくなり、中央部に近づくほど押下力の検出値が高くなる。このため、式(1)の係数k1,k2,…,knをタッチ位置に応じて異ならせることで、高精度な押下力の算出が可能となる。
なお、実施の形態6では、3つの押下力センサ30_j,70_j,80_jを複数箇所に配置した例を説明したが、コンプレッションマウントの判定に必要な押下力センサ80_j又はサイドマウントの判定に必要な押下力センサ30_j,70_j、のいずれか一方を配置してもよい。
また、液晶パネル40の中央部又は側面に歪みゲージのような感度の高い押下力センサを配置し、たわみをセンシングしてもよい。また、弾性部材33の下に圧電素子などを設置し弾性部材33に加わる押下力をセンシングしてもよい。
また、コンプレッションマウント時にたわみをセンシングするための押下力センサ、サイドマウント時に弾性部材33の変形をセンシングするための押下力センサを検出しやすい位置に配置し、制御装置600は、感度値の比較の結果に基づいて、押下力算出方式を切り替えてもよい。
《7》変形例.
図8及び図9に示される押下力算出方式の決定処理は、実施の形態2から6にも適用可能である。
また、上記実施の形態1から6のタッチパネル装置1から6の構成を適宜組み合わせることが可能である。
以下に、本発明の実施の形態に係るタッチパネル装置、押下力算出方法、及び押下力算出プログラムを、図面を参照しながら説明する。以下の実施の形態は、例にすぎず、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
《1》実施の形態1.
《1−1》構成
図1は、実施の形態1に係るタッチパネル装置1のハードウェア構成の例を示す図である。タッチパネル装置1は、タッチパネルの操作面で行われたタッチ操作の位置を示すタッチ座標とタッチ操作によって操作面に付与された押下力とを検出することができる。タッチパネル装置1は、取得されたタッチ座標と検出された押下力とに基づいて、タッチ操作の内容を判定する。
図1に示されるように、タッチパネル装置1は、タッチセンサ20と、複数の押下力センサ30_1〜30_nと、ディスプレイとしての液晶パネル40と、制御装置100とを有している。nは、正の整数である。なお、押下力センサ30_1〜30_nの位置及び個数以外に関しては、後述する実施の形態2から6に係るタッチパネル装置のハードウェア構成も、図1のものと同様である。
タッチセンサ20の表面には接着剤(後述の図3(A)における21)によって保護ガラス(後述の図3(A)における22)が貼り付けられている。タッチセンサ20、接着剤21、及び保護ガラス22は、タッチパネル(後述の図3(A)における23)を構成する。タッチパネル23は、ユーザによってタッチ操作が行われる操作面(後述の図3(A)における24)を有している。操作面24は、保護ガラス22の表面である。
液晶パネル40は、タッチセンサ20と重なるように配置された液晶ディスプレイである。液晶パネル40は、制御装置100によって制御されて、操作用画面などを表示する。操作用画面は、アイコンなどの操作部品であるオブジェクトを含むユーザインタフェース(UI)画面である。
タッチセンサ20は、例えば、操作面24における導体の接触箇所の静電容量が変化する静電容量式のタッチセンサである。タッチセンサ20は、タッチ操作に対応する位置情報であるタッチ情報T0を制御装置100に出力する。導体は、ユーザの指、ユーザが手に持つタッチペンなどの操作補助具、などである。ただし、タッチセンサ20は、静電容量式以外のタッチセンサであってもよい。
ユーザによってタッチパネル23の操作面24に対して押下力が付与されると、押下力センサ30_1〜30_nは、タッチパネル23の操作面24に付与された押下力に応じた電気信号であるセンサ信号D0_1〜D0_nを制御装置100に出力する。なお、任意の1つの押下力センサを示す場合には、「押下力センサ30_j」とも表記する。また、任意の1つのセンサ信号を示す場合には、「センサ信号D0_j」とも表記する。jは、1以上n以下の整数である。
制御装置100は、情報処理部としてのプロセッサ51と、情報を記憶する記憶部としてのメモリ52とを有している。制御装置100は、例えば、コンピュータである。メモリ52には、プログラムがインストールされている。プログラムは、例えば、ネットワークを経由して又は情報を記憶する記憶媒体からインストールされる。プログラムは、後述される押下力算出方法を実施するための押下力算出プログラムを含んでもよい。プロセッサ51は、メモリ52に記憶されているプログラムを実行することにより、タッチパネル装置1の全体の動作を制御する。制御装置100の全体又は一部は、半導体集積回路からなる制御回路で構成されてもよい。メモリ52は、半導体記憶装置、ハードディスク装置、取り出し可能な記録媒体に情報を記録する装置などの各種の記憶装置を含んでもよい。
制御装置100は、タッチパネル23の操作面24で入力されたタッチ操作に対応する処理を行う。制御装置100は、予め決められた閾値未満の押下力でタッチパネル23の操作面24に触れるタッチ操作と、この閾値以上の押下力でタッチパネル23の操作面24に触れるタッチ操作(「押し込みタッチ操作」又は「押し込み操作」ともいう。)とを識別することができる。具体的に言えば、制御装置100は、タッチパネル23の操作面24で入力されたタッチ操作に対応するタッチセンサ20における静電容量の変化に基づくタッチ情報T0と、操作面24に付与された押下力に対応して押下力センサ30_1〜30_nから出力されるセンサ信号D0_1〜D0_nとに基づく処理を行う。例えば、制御装置100は、タッチパネル23の操作面24で入力されたタッチ操作に対応する制御信号を、タッチパネル装置1に接続された他の機器又はタッチパネル装置1と通信可能な他の機器に送信する。他の機器は、制御対象機器であり、例えば、生産設備、車両、又は家電機器、などである。
図2は、実施の形態1に係るタッチパネル装置1を示す概略平面図である。図3(A)及び(B)は、実施の形態1に係るタッチパネル装置1を図2のIII−III線で切る概略断面図である。図3(A)は、タッチ操作が行われていない状態を示し、図3(B)は、タッチ操作によって操作面24に押下力が付与されている状態を示す。
図示されるように、タッチパネル装置1は、液晶パネル40と一体に構成された基板41と、液晶パネル40に重なるようにタッチパネル23を支持する弾性部材33と、押下力センサ30_j(j=1,2,…,n)とを有している。押下力センサ30_jは、タッチセンサ20(すなわち、タッチパネル23側)に配置された第1の電極としてのセンサ電極部31_jと、センサ電極部31_jに対向して液晶パネル40側(すなわち、タッチパネル装置1の筐体側)に配置された、フレームGND(すなわち、グランド電位)に接続されたGND電極部32とを有している。図2では、センサ電極部31_jが、タッチセンサ20の4つの隅部と4つの辺の中央に備えられている。ただし、センサ電極部31_1〜31_nの位置、個数、及び形状は、図2の例のものに限定されない。
弾性部材33は、タッチパネル23を支持している。弾性部材33は、分割された複数の部分から構成されてもよい。基板41は、タッチパネル装置1の筐体に固定されている。また、タッチパネル23の平面形状は、四角形以外の形状であってもよい。
図3(B)に示されるように、タッチパネル23の操作面24に導体が接触しているときには、タッチセンサ20の導体の接触箇所の静電容量が変化する。制御装置100は、タッチセンサ20の各位置における静電容量を検出し、導体の接触箇所の位置、すなわち、タッチセンサ20における2次元座標を示すタッチ座標を取得する。制御装置100は、タッチパネル23の操作面24の各位置、すなわち、タッチセンサ20の各位置における静電容量に基づいて操作面24における導体の接触箇所の位置を示す位置座標であるタッチ座標を算出する。導体の接触箇所は、例えば、静電容量が予め定められた基準容量より大きい箇所である。導体の接触箇所の位置を示すタッチ座標は、「静電容量座標」とも言う。
また、図3(B)に示されるように、タッチパネル23の操作面24に押下力が付与されているときには、弾性部材33が圧縮され、操作面24に加えられた押下力は、押下力センサ30_1〜30_nによって検出される。押下力センサ30_1〜30_nは、押下力によって変化する静電容量を検出し、静電容量に基づくセンサ信号D0_1〜D0_nを出力する。図3(B)に示されるように、押し込みによって、弾性部材33が弾性変形して薄くなると、押下力センサ30_jのセンサ電極部31_jで検出される静電容量Coは増加する。また、図3(A)に示されるように、押下力の付与を止めることによって、弾性部材33が元の状態に復元して厚くなると、押下力センサ30_jのセンサ電極部31_jで検出される静電容量Coは減少して初期値に戻る。図3(A)及び(B)に示されるように、押下力センサ30_jは、初期状態における電極間距離d0と弾性部材33が圧縮されたときの電極間距離d1との差、すなわち、変位(d0−d1)に応じた値を示すセンサ信号D0_jを出力する。電極間距離は、センサ電極部31_jとGND電極部32との間の距離である。
押下力センサ30_1〜30_nは、操作面24に付与された押下力と押下力が付与された押圧位置とに応じたセンサ信号D0_1〜D0_nを出力する。制御装置100は、押下力センサ30_1〜30_nから出力されるセンサ信号D0_1〜D0_nと、タッチセンサ20から出力されたタッチ情報T0と、押下力を算出するために予め記憶されている複数の押下力算出方式を示す情報の1つとを用いて、押下力を算出する。なお、「押下力算出方式」は、単に「算出方式」ともいう。また、制御装置100は、センサ信号D0_1〜D0_nに基づいてタッチパネル23の操作面24における押圧位置を示す位置座標を算出することもできる。
押下力センサ30_1〜30_nは、静電容量式のものに限定されない。押下力センサ30_1〜30_nは、タッチパネル23の操作面24に押下力を付与したときにタッチパネル23の微小な歪みをセンシングする歪みセンサ、押下力に応じた電圧信号を発生する圧電センサなど、であってもよい。
図4は、実施の形態1に係るタッチパネル装置1の構成を概略的に示す機能ブロック図である。図4において、図1に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図1に示される符号と同じ符号が付される。図4に示されるように、制御装置100は、座標検出部101と、押下力検出部102と、タッチパネル23の複数の領域ごとの押下力算出方式を生成する算出方式生成部103と、複数の押下力算出方式を示す情報(以下「算出方式情報」という。)を記憶する算出方式記憶部104と、算出方式記憶部104から複数の複数の押下力算出方式を読み込み、複数の算出方式情報の内の1つを用いて押下力を算出する押下力算出部105とを有している。ただし、算出方式記憶部104は、必ずしもタッチパネル装置1の一部である必要はない。算出方式記憶部104は、タッチパネル装置1と通信可能に接続された、外部の記憶装置であってもよい。
つまり、制御装置100は、タッチパネル23の操作面24におけるタッチ操作の位置を示すタッチ座標T1を取得する座標検出部101と、操作面24に押下力が付与されたときに、センサ信号に対応する複数の検出値D1_1〜D1_nを取得する押下力検出部102と、操作面24における複数の領域と、複数の領域に対応し、予め定められた複数の押下力算出方式とを記憶する算出方式記憶部104と、複数の押下力算出方式からタッチ座標T1に対応する領域の押下力算出方式を選択し、選択された押下力算出方式と複数の検出値D1_1〜D1_nとを用いて押下力を算出する押下力算出部105とを備えている。
座標検出部101は、タッチ操作によってタッチセンサ20から出力される信号であるタッチ情報T0に基づく座標情報であるタッチ座標T1を生成する。具体的に言えば、座標検出部101は、タッチセンサ20の各位置における静電容量を検出することで、タッチパネル23の操作面24への導体の接触の有無を検出する。座標検出部101は、静電容量の検出値が予め定められた閾値容量より大きい領域である導体の接触箇所の座標を示すタッチ座標T1を算出する。座標検出部101は、タッチ座標T1を押下力算出部105などに提供する。
押下力検出部102は、タッチ操作によってタッチパネル23の操作面24に付与された押下力に基づく検出値D1を出力する。具体的に言えば、押下力検出部102は、押下力センサ30_1〜30_nから出力されるセンサ信号D0_1〜D0_nを受け取り、センサ信号D0_1〜D0_nに基づく検出値D1_1〜D1_nを出力する。
算出方式生成部103は、タッチパネル23のたわみ及び弾性部材33の沈み込みの特徴に基づくシミュレーションによって複数の押下力算出方式を示す複数の算出方式情報を生成する。押下力算出方式の例は、式(1)として後述される。複数の算出方式情報の各々は、例えば、式(1)における係数k1〜knの値の組である。また、算出方式生成部103は、複数の押下力算出方式に対応する複数の領域を決定する。複数の領域は、タッチセンサ20を分割することによって得られた領域である。複数の領域の各々は、その領域において、予め決められた目標精度を満たす押圧力を算出することができる押下力算出方式と対応付けられて、算出方式記憶部104に記憶される。つまり、算出方式生成部103は、タッチセンサ20の複数の領域と、複数の領域の各々に対応する押下力算出方式とを、算出方式記憶部104に記憶させる。
押下力算出部105は、座標検出部101で取得されたタッチ座標T1に基づいて、算出方式記憶部104に記憶されている複数の押下力算出方式からタッチ座標T1に対応する領域の押下力算出方式を選択して、読み込む。押下力算出部105は、押下力検出部102で検出された複数の検出値D1_1〜D1_nと選択された押下力算出方式とに基づいて、押下力を算出する。
図5は、実施の形態1におけるタッチパネル23の操作面24に押下力を付与したときにおけるタッチパネル23、弾性部材33、及び押下力センサ30_jの状態を示す概略断面図である。GND電極部32は、液晶パネル40に取り付けられている。押下力センサ30_jの内側に配置された弾性部材33の上面はタッチセンサ20に接着されており、弾性部材33の下面はGND電極部32に接着されている。弾性部材33は、弾性を有しており、保護ガラス22を押し込むことで弾性部材33が圧縮されて沈み込むと、押下力センサ30_jのセンサ電極部31_jとGND電極部32との間の距離が短くなり、押下力センサ30_jの静電容量Coが増加する。また、保護ガラス22を押し込むことで保護ガラス22、接着剤21、及びタッチセンサ20によって構成されるタッチパネル23にたわみが発生し、タッチパネル23の端部付近で反り上がりが発生することによりセンサ電極部31_jとGND電極部32との間の距離が多少増加する。したがって、反り上がりが発生した場合には、反り上がりが発生しない場合に比べ、押下力センサ30_jの静電容量Coが多少減少する。また、反り上がりの程度は、押下力が付与される位置に応じて異なるので、反り上がりが静電容量Coに与える影響の大きさも、押下力が付与される位置に応じて異なる。
図6は、タッチパネル23の保護ガラス22の中央部に押下力を付与したときにおける保護ガラス22の形状のシミュレーションの結果を示す図である。図6は、タッチパネル23の操作面24の中央部に1[N]の押下力を付与した場合のタッチパネル23のたわみと、タッチパネル23を支持する弾性部材33の圧縮に伴うタッチパネル23の沈み込みの例を示している。タッチパネル23の操作面24の中央部に押下力を付与した場合、図6に示されるように、タッチパネル23の四隅が反り上がる。つまり、タッチパネル23の四隅の縦軸方向の位置が、基準位置である「0」よりも上側に変位している。なお、縦軸方向は、タッチパネル23の辺に平行なX方向及びY方向の両方に直交する方向である。
図7は、タッチパネル23の保護ガラス22の隅部に押下力を付与したときにおける保護ガラス22の形状のシミュレーションの結果を示す図である。図7は、タッチパネル23の操作面24の1つの隅部に1[N]の押下力を付与した場合のタッチパネル23のたわみと、タッチパネル23を支持する弾性部材33の圧縮に伴うタッチパネル23の沈み込みの例を示している。タッチパネル23の操作面24の四隅のいずれか1つの隅部に押下力を付与した場合、図7に示されるように、押下力を付与した位置において、弾性部材33の沈み込みの影響が顕著に表れる。しかし、タッチパネル23の四隅の内の他の3つの隅部の縦軸方向の位置は、基準位置である「0」からほとんど変位していない。
図6及び図7に示されるように、タッチパネル23の操作面24の押し込み位置によって、タッチパネル23の変位の状態は大きく異なり、押下力センサ30_1〜30_nから出力されるセンサ信号D0_1〜D0_nの値も大きく異なる。このため、タッチパネル23の操作面24の押し込み位置を考慮せずに、センサ信号D0_1〜D0_nの値に基づいて押下力を算出した場合には、押下力の精度が低くなる。そこで、実施の形態1に係るタッチパネル装置1及び押下力算出方法では、押下力が付与された位置に応じて押下力算出方式を切り替えている。
《1−2》動作
まず、複数の押下力算出方式の生成処理を説明する。図8は、実施の形態1に係るタッチパネル装置1に関する押下力算出方式の生成のためのシミュレーションに用いられる複数の座標25の例を示す平面図である。図9は、実施の形態1に係るタッチパネル装置1に関する押下力算出方式の生成のための処理を示すフローチャートである。複数の座標25は、予め決められた間隔でX方向及びY方向に配列されている。複数の座標25は、図8に示されるものに限定されない。
図9のステップS10において、算出方式生成部103は、タッチセンサ20において予め定められた複数の座標25の各々についてステップS10〜S13のループ処理を行う。
ステップS11において、算出方式生成部103は、予め定められた押下力の範囲内における複数の押下力の各々において、ステップS11〜S12のループ処理を行う。予め定められた押下力の範囲内における複数の押下力は、例えば、一定の押下力の間隔を持つように決定される。ステップS12において、算出方式生成部103は、ステップS10で決定したタッチ座標をステップS11で決定した押下力で押し込んだ場合の、各押下力センサ30_1〜30_nの変位をシミュレーションで算出する。
ステップS13において、算出方式生成部103は、ステップS12で求めた各押下力センサ30_1〜30_nの変位に基づく計算によって押下力f(P)を算出するために使用される押下力算出方式を生成する。押下力算出方式は、n個の押下力センサ30_1〜30_nを有する場合、例えば、以下の式(1)で定義される。
上記計算式において、nは、正の整数である。P={p1,p2,…,pn}である。p1〜pnは、押下力センサ30_1〜30_nから出力され検出信号の値、すなわち、検出値D1_1〜D1_nである。k1〜knは、検出値p1〜pnの重み付け加算に用いられる重みを示す係数である。つまり、複数の押下力算出方式の係数k1〜knの組は、互いに異なる。
ステップS10〜S13のループ処理が終了すると、処理はステップS14に進む。ステップS14において、算出方式生成部103は、生成された複数の押下力算出方式の各々に対してステップS14〜S20のループ処理を行う。
ステップS15において、算出方式生成部103は、未処理の算出方式の1つを代表の算出方式として選択する。
次に、算出方式生成部103は、代表の算出方式の座標の周辺の座標の対象の算出方式に対して、ステップS16〜S19のループ処理を行う。
ステップS17において、算出方式生成部103は、例えば、代表の算出方式で得られたf(P)の値と対象の算出方式で得られたf(P)の値との差分が、予め定められた目標精度を満たすかどうかを判定する。例えば、算出方式が式(1)で定義される場合、算出方式生成部103は、代表の算出方式の場合の係数k1〜knの絶対値の合計と対象の算出方式の場合の係数k1〜knの絶対値の合計、又は代表の算出方式の場合の係数k1〜knと対象の算出方式の場合の係数k1〜knとの大小関係、又は代表の算出方式の場合の係数k1〜knと対象の算出方式の場合の係数k1〜knとの比率などを用いて、差分が目標精度を満たすか否かを判断する。差分が目標精度を満たす場合は、処理はステップS18に進み、満たさない場合は、処理はステップS19に進む。
ステップS18において、算出方式生成部103は、目標精度を満たす対象の算出方式を新たな代表の算出方式に設定する。
処理がステップS19に進んだ場合、算出方式生成部103は、代表の算出方式の座標と対象の算出方式の座標との間に領域の境界を設定する。
ステップS16〜S19のループ処理の後に、処理はステップS20に進み、算出方式生成部103は、ステップS15で選択した代表の算出方式とステップS19において、求めた境界(領域)情報を記憶する。
押下力算出方式として示した式(1)は、あくまでも一例であり、算出される押下力が目標精度を満たす算出方式であれば、他の方法を用いてもよい。
また、タッチ座標と異なる要素(例えば、押下力の変化)によってステップS12の押下力センサの変位の特徴が大きく変わる場合、算出方式生成部103は、同じタッチ座標にも関わらず一意に押下力算出方式が決定しない方法を採用することも可能である。この場合、算出方式生成部103は、押下力センサの変位の特徴を変化させる要因の値又は範囲とそれらに対応する押下力算出方式のテーブルを作成して算出方式記憶部に記憶させてもよい。また、図8は、シミュレーションによって押下力算出方式を取得しているが、実測を基にして押下力算出方式を取得してもよい。
図10は、実施の形態1に係るタッチパネル装置1の制御装置100が行う押下力の算出処理を示すフローチャートである。ステップS100において、座標検出部101は、タッチパネル23の操作面24のタッチ点の位置を示すタッチ座標を取得する。ステップS101において、押下力検出部102は、押下力センサ30_1〜30_nから出力されるセンサ信号D0_1〜D0_nに基づく検出値D1_1〜D1_nを取得する。
ステップS102において、押下力算出部105は、ステップS100で取得されたタッチ座標T1に基づいて、算出方式記憶部104に記憶されている複数の押下力算出方式の内の対応する押下力算出方式を選択し、読み込む。
ステップS103において、押下力算出部105は、ステップS101で取得した検出値D1_1〜D1_nと、ステップS102で読み込んだ押下力算出方式とを用いて押下力を算出する。押下力算出方式が上記式(1)である場合には、検出値D1_1〜D1_nは、p1〜pnである。
《1−3》効果
以上に説明したように、実施の形態1に係るタッチパネル装置1又は図9及び図10に示される押下力算出方法を用いれば、タッチ座標T1に応じて押下力算出方式として最適なものを使用するので、押下力の算出精度を向上させることができる。
また、目標精度を満たす押下力算出方式とタッチセンサ20の領域とが互いに関連付けられ予め記憶されているので、タッチ座標T1及び検出値D1_1〜D1_nに基づいて押下力を算出するための演算処理の量を小さくできる。よって、効率的に押下力を算出できる。
《2》実施の形態2.
実施の形態2では、複数の押下力センサ30_1〜30_nの内の、タッチパネル23に反り上がりが起こる位置の押下力センサとタッチパネル23に沈み込みが起こる位置の押下力センサとを並列駆動する。つまり、実施の形態2では、反り上がりが起こる位置の押下力センサと沈み込みが起こる位置の押下力センサとを同時に駆動する。押下力検出部102が、例えば、反り上がりが起こる位置の押下力センサと沈み込みが起こる位置の押下力センサとの合計の静電容量を検出することで、静電容量の検出精度が向上し、静電容量の検出回数が減少する。
図11は、実施の形態2に係るタッチパネル装置2の構成を概略的に示す機能ブロック図である。図11において、図4に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図4に示される符号と同じ符号が付される。図11に示されるように、タッチパネル装置2の制御装置200は、座標検出部101と、押下力検出部102と、並列型駆動パターンを記憶する駆動パターン記憶部201と、駆動パターン記憶部201から複数の並列型駆動パターンを読み込み、使用する駆動パターンを切り替える駆動パターン決定部202と、押下力センサを駆動するセンサ駆動部203と、押下力算出部205とを有している。ただし、駆動パターン記憶部201は、必ずしもタッチパネル装置2の一部である必要はない。駆動パターン記憶部201は、タッチパネル装置2と通信可能に接続された、外部の記憶装置であってもよい。
つまり、制御装置200は、操作面24における複数の領域と、複数の領域に対応し、複数の押下力センサ30_1〜30_nの複数の駆動パターンとを記憶する駆動パターン記憶部201と、複数の押下力算出方式からタッチ座標T1に対応する領域の駆動パターンを選択する駆動パターン決定部202と、複数の押下力センサの内の、選択された駆動パターンに従う押下力センサを駆動させるセンサ駆動部203と、選択された駆動パターンに従う押下力センサから出力されたセンサ信号に対応する検出値を用いて押下力を算出する押下力算出部205とを有している。
駆動パターン記憶部201は、タッチ座標T1に対応する押下力センサ30_1〜30_nの位置における反り上がり及び沈み込みを考慮した、押下力センサ30_1〜30_nの駆動パターンを記憶する。記憶される駆動パターンは、タッチ座標T1に対応して、押下力センサ30_1〜30_nの内の同時に駆動される、すなわち、並列駆動される押下力センサの組み合わせを示す。
駆動パターン決定部202は、座標検出部101で取得されたタッチ座標T1に基づいて、駆動パターン記憶部201に記憶されている複数の並列型駆動パターンの内の1つの並列型駆動パターンを選択し、読み込む。駆動パターン決定部202は、読み込んだ並列型駆動パターンをセンサ駆動部203に渡す。センサ駆動部203は、受け取った並列型駆動パターンに従って押下力センサ30_1〜30_nの内の並列型駆動パターンが指定する押下力センサを駆動する。
押下力算出部205は、並列駆動した押下力センサの検出値を受信する。押下力算出部205は、並列駆動した押下力センサの検出値を用いて押下力を算出する。
図12(A)から(D)は、実施の形態2に係るタッチパネル装置2における押下力センサ30_1〜30_nの駆動処理を示す図である。図12(A)及び(C)は、タッチパネル23の操作面24の中央部に押下力を付与した場合、図12(B)及び(D)は、タッチパネル23の操作面24の隅部に押下力を付与した場合を示している。また、図12(A)及び(B)は、タッチパネル23に沈み込みが発生する場合の押下力センサの並列駆動を示し、図12(C)及び(D)は、タッチパネル23に反り上がりが発生する場合の押下力センサの並列駆動を示す。
センサ駆動部203は、タッチ座標T1に対応する並列型駆動パターンに従って、押下力センサ30_1〜30_nの内のいくつかの押下力センサを並列駆動する。図12(A)は、沈み込みが起こる位置の(すなわち、センサ値が正数である)押下力センサ2a、2b、2c、2dを並列駆動させる例を示している。図12(B)は、沈み込みが起こる位置の(すなわち、センサ値が正数である)押下力センサ2e、2g、2hを並列駆動させる例を示している。図12(C)は、反り上がりが起こる位置の(すなわち、センサ値が負数である)押下力センサ2e、2f、2g、2hを並列駆動させる例を示している。図12(D)は、反り上がりが起こる位置の(すなわち、センサ値が負数である)押下力センサ2a、2b、2c、2d、2fを並列駆動させる例を示している。押下力算出部205は、並列駆動により得られた押下力センサの値を用いて押下力を算出する。押下力の算出は、例えば、図12(A)で検出された押下力から図12(C)で検出された押下力を差し引く、又は、図12(B)で検出された押下力から図12(D)で検出された押下力を差し引く、などによって行われる。
図13は、実施の形態2に係るタッチパネル装置2の制御装置200が行う押下力の算出処理を示すフローチャートである。ステップS200において、座標検出部101は、タッチパネル23の操作面24のタッチ点の位置を示すタッチ座標T1を取得する。
ステップS201において、駆動パターン決定部202は、ステップS200で取得されたタッチ座標T1に基づいて、駆動パターン記憶部201に記憶されている複数の駆動パターンから対応する駆動パターンを選択し、読み込む。
ステップS202において、センサ駆動部203は、ステップS201で読み込まれた駆動パターンを用いて押下力センサ30_1〜30_nの内の複数の押下力センサを並列駆動する。精度の良い検出レンジで押下力を測定するために、並列駆動する押下力センサの個数を限定して選択してもよい。
ステップS203において、押下力算出部205は、ステップS202で押下力センサの並列駆動により検出された値に基づいて押下力を算出する。
押下力算出部205は、タッチ座標T1とは異なる要素(例えば、押下力の変化)によって押下力センサから出力されるセンサ信号の正負が変わる場合、同じタッチ座標にも関わらず一意に駆動パターンが決定しない。その場合、押下力算出部205は、押下力センサの正負を変化させる要因の値又は範囲とそれらに対応する駆動パターンのテーブルを作成して、記憶してもよい。
以上に説明したように、実施の形態2に係るタッチパネル装置2又は押下力算出方法を用いれば、タッチ座標T1に応じて押下力センサの駆動パターンを切り替え、押下力センサを並列に駆動させることで、押下力センサの精度を向上させることができる。また、押下力センサの検出回数を削減し検出負荷を低減させることができる。さらに、押下力算出方式として最適なものを使用するので、押下力の算出精度を向上させることができる。
《3》実施の形態3.
実施の形態3では、複数の押下力センサ30_1〜30_nの内の、タッチパネル23に反り上がりが起こる位置の押下力センサを参照電極とし、タッチパネル23に沈み込みが起こる位置の押下力センサを検出電極とし、差動駆動させることで外乱ノイズの影響を軽減する例を説明する。
図14は、実施の形態3に係るタッチパネル装置3の構成を概略的に示す機能ブロック図である。図14において、図4に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図4に示される符号と同じ符号が付される。図14に示されるように、タッチパネル装置3の制御装置300は、座標検出部101と、押下力検出部102と、差動型駆動パターンを記憶する駆動パターン記憶部301と、駆動パターン記憶部301から差動型駆動パターンを読み込み、使用する駆動パターンを切り替える駆動パターン決定部302と、押下力センサを駆動するセンサ駆動部303と、押下力算出部305とを有している。ただし、駆動パターン記憶部301は、必ずしもタッチパネル装置3の一部である必要はない。駆動パターン記憶部301は、タッチパネル装置3と通信可能に接続された、外部の記憶装置であってもよい。
駆動パターン記憶部301は、タッチ座標T1に対応する押下力センサ30_1〜30_nの位置における反り上がり及び沈み込みを考慮した、押下力センサ30_1〜30_nの差動型駆動パターンを記憶する。記憶される差動型駆動パターンは、タッチ座標T1に対応して、押下力センサ30_1〜30_nの駆動の順番などを示す。
駆動パターン決定部302は、座標検出部101で取得されたタッチ座標T1に基づいて、駆動パターン記憶部301に記憶されている複数の駆動パターンの内の1つの駆動パターンを選択し、読み込む。駆動パターン決定部302は、読み込んだ駆動パターンをセンサ駆動部303に渡す。センサ駆動部303は、駆動パターンに従って押下力センサ30_1〜30_nを駆動する。
押下力算出部305は、差動駆動した押下力センサの検出値を受信する。押下力算出部305は、差動駆動した押下力センサの検出値を用いて押下力を算出する。
図15(A)及び(B)は、押下力センサ30_1〜30_nの差動駆動の例を示す図である。図15(A)は、タッチパネル23の操作面24の中央部に押下力を付与した場合、図15(B)は、タッチパネル23の操作面24の隅部に押下力を付与した場合の例である。センサ駆動部303は、タッチ位置に対応する差動型駆動パターンに従って、押下力センサを駆動する。タッチパネル23に反り上がりが起こる位置の(すなわち、センサ値が負数である)押下力センサのセンサ電極を参照電極とし、沈み込みが起こる位置の(すなわち、センサ値が正数の)押下力センサのセンサ電極を検出電極とし、参照電極を含むキャパシタの静電容量と検出電極を含むキャパシタの静電容量との差に基づいて押下力を算出する。
図16は、実施の形態3に係るタッチパネル装置3の制御装置300が行う押下力の算出処理を示すフローチャートである。ステップS300において、座標検出部101は、タッチパネル23の操作面24のタッチ点の位置を示すタッチ座標T1を取得する。
ステップS301において、駆動パターン決定部302は、ステップS300で取得されたタッチ座標T1に基づいて、駆動パターン記憶部301に記憶されている複数の差動型駆動パターンから対応する差動型駆動パターンを選択し、読み込む。
ステップS302において、センサ駆動部303は、ステップS301で読み込まれた差動型駆動パターンを用いて押下力センサ30_1〜30_nの内の駆動パターンに基づく押下力センサを差動駆動する。精度の良い検出レンジで押下力を測定するために、差動駆動する押下力センサの個数を限定して選択してもよい。
ステップS303において、押下力算出部305は、ステップS302で押下力センサの差動駆動により検出された値に基づいて押下力を算出する。
押下力算出部305は、タッチ座標T1とは異なる要素(例えば、押下力の変化)によって押下力センサの正負が変わると、同じタッチ座標であるにも関わらず、一意に差動型駆動パターンが決定しない場合がある。その場合、押下力算出部305は、押下力センサの正負を変化させる要因の値又は範囲とそれらに対応する差動型駆動パターンのテーブルを作成し、記憶してもよい。
以上に説明したように、実施の形態3に係るタッチパネル装置3又は押下力算出方法を用いれば、タッチ座標に応じて押下力センサの差動型駆動パターンを切り替えて、押下力センサを差動駆動させることで、外乱ノイズの影響をキャンセルすることができる。
また、反り上がりと沈み込みの差を検出することで、大きな変位を効率良くセンシングすることができる。
また、実施の形態2で述べた並列駆動と組み合わせることで、1回の押下力センサの検出でタッチパネル23の操作面24の全体の押下力の検出を行うことも可能である。
なお、実施の形態2と実施の形態3は、押下力センサの検出精度が上がるように並列駆動パターン又は差動パターンを組み合わせて、指位置に応じて効率的な押下力の検出をしてもよい。
《4》実施の形態4.
実施の形態4では、タッチパネル23の操作面24に1本の指が接触するタッチ操作であるシングルタッチ操作の場合とタッチパネル23の操作面24に複数本の指が接触するタッチ操作であるマルチタッチ操作を行う場合とで、押下力算出方式を切り替える。実施の形態4では、マルチタッチ操作時の押下力算出精度の低下を軽減する例が説明される。
図17は、実施の形態4に係るタッチパネル装置4の構成を概略的に示す機能ブロック図である。図17において、図4に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図4に示される符号と同じ符号が付される。図17に示されるように、タッチパネル装置4の制御装置400は、座標検出部101と、押下力検出部102と、マルチタッチ判定部404と、算出方式記憶部406と、押下力算出部405とを有している。
つまり、制御装置400は、操作面24に押下力が付与されたときに、センサ信号に対応する複数の検出値を取得する押下力検出部102と、タッチ操作がシングルタッチ操作であるかマルチタッチ操作であるかを判定するマルチタッチ判定部404と、シングルタッチ操作が行われたときの押下力算出方式とマルチタッチ操作が行われたときの押下力算出方式とを記憶する算出方式記憶部406と、タッチ操作に応じて算出方式記憶部から押下力算出方式を選択し、選択された前記押下力算出方式と複数の検出値とを用いて押下力を算出する押下力算出部405とを備えている。ただし、算出方式記憶部406は、必ずしもタッチパネル装置4の一部である必要はない。算出方式記憶部406は、タッチパネル装置4と通信可能に接続された、外部の記憶装置であってもよい。
マルチタッチ判定部404は、操作面24で行われたタッチ操作がシングルタッチ操作であるかマルチタッチ操作であるかを判定する。押下力算出部405は、マルチタッチ判定部404の判定結果と座標検出部101によって検出されたタッチ座標T1とに基づいて、算出方式記憶部406に記憶されている押下力算出方式のいずれかを選択し、読み込む。算出方式記憶部406は、押下力絶対値算出方式406aとセンサ値の正負を考慮した押下力算出方式406bを記憶している。押下力算出方式406bは、タッチパネル23に反り上がりが起こる位置の(すなわち、センサ値が負数である)押下力センサのセンサ値と、沈み込みが起こる位置の(すなわち、センサ値が正数である)押下力センサのセンサ値と、を考慮した算出方式である。
押下力絶対値算出方式406aは、押下力センサ30_1〜30_nから出力されるセンサ信号D0_1〜D0_nの値であるセンサ値が正数であるか負数であるかを考慮しない押下力算出方式である。押下力絶対値算出方式406aは、タッチ操作なし時又は前回のタッチ操作時の状態における押下力検出部102から出力された検出値からの各押下力センサの検出値の変化量の絶対値の和を押下力とする方法である。タッチ操作なし時又は前回のタッチ操作時の状態において押下力検出部102から出力されるセンサ値をp01〜p0n、今回のタッチ操作時における押下力検出部102から出力される検出値をp11〜p1n、変化量の絶対値を|p01−p11|、|p02−p12|、…、|p0n−p1n|としたときに、押下力f0(P)は、以下の式(2)で表される。
図18は、タッチパネル装置4の制御装置400が行う押下力算出の処理を示すフローチャートである。ステップS400において、押下力検出部102は、全ての押下力センサ30_1〜30_nの検出値D1_1〜D1_n(=p11〜p1n)を取得する。
ステップS401において、マルチタッチ判定部404は、タッチ操作がシングルタッチ操作であるかマルチタッチ操作であるかを判定する。シングルタッチ操作の場合、処理はステップS402及びステップS403に進み、マルチタッチ操作の場合、処理はステップS404に進む。
ステップS402において、座標検出部101は、タッチ座標T1を取得する。次のステップS403において、押下力算出部405は、算出方式記憶部406に記憶されている、センサ値を考慮した押下力算出方式406bからステップS402において、取得されたタッチ座標を基に算出方式を読み込む。
処理がステップS401からS404に進んだ場合、押下力算出部405は、算出方式記憶部406に記憶されている押下力絶対値算出方式406aを読み込む。
ステップS405において、押下力算出部405は、ステップS400で検出された検出値D1_1〜D1_nと、ステップS403又はステップS404において、読み込んだ算出方式を用いて押下力を算出する。
図19は、実施の形態4の変形例に係るタッチパネル装置4aの構成を概略的に示す機能ブロック図である。図19において、図17に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図17に示される符号と同じ符号が付される。図19に示されるように、タッチパネル装置4aの制御装置400aは、座標検出部101と、押下力検出部102と、マルチタッチ判定部404と、算出方式記憶部406と、優先度決定部407と、押下力算出部405aとを有している。例えば、優先度決定部407は、マルチタッチ操作が行われた場合、算出方式記憶部406に記憶されている押下力算出方式の選択又は押下力算出方式の生成のために用いられるタッチ座標として、複数のタッチ点の内のいずれのタッチ座標を用いるか、すなわち、いずれのタッチ点を優先するかを決定する。
マルチタッチ判定部404は、タッチ操作がシングルタッチ操作であるかマルチタッチ操作であるかを判定する。押下力算出部405aは、マルチタッチ判定部404の判定結果と座標検出部101から出力されるタッチ座標T1とに基づいて各押下力センサに適用する押下力算出方式の優先度を決定する。押下力算出部405aは、優先度決定部407が決定した押下力算出方式の優先度に基づいて、各押下力センサに適用する押下力算出方式を生成する。
図20は、タッチパネル装置4aの制御装置400aが行う押下力算出の処理を示すフローチャートである。ステップS420において、押下力検出部102は、全ての押下力センサ30_1〜30_nの検出値D1_1〜D1_n(=p11〜p1n)を取得する。ステップS421において、座標検出部101は、タッチ座標T1を取得する。
ステップS422〜S423のループ処理において、押下力算出部405aは、各タッチ座標でステップS423を実施する。ステップS423において、押下力算出部405aは、タッチ座標T1に対応する押下力算出方式を算出方式記憶部406から読み込む。
ステップS424において、マルチタッチ判定部404は、タッチ操作がシングルタッチ操作であるかマルチタッチ操作であるかを判定する。タッチ操作がマルチタッチ操作である場合、ステップS425〜S426のループ処理とステップS427の処理を実施する。ステップS425〜S426のループ処理では、優先度決定部407は、ステップS423で読み込んだ押下力算出方式の優先度を決める。優先度決定部407は、優先度を、例えば、各タッチ座標と押下力センサ30_jとの距離に基づいて決める。例えば、優先度決定部407は、例えば、タッチ座標と押下力センサ30_jとの距離が短いタッチ点の優先度を高くする。
ステップS427において、押下力算出部405aは、ステップS423で読み込んだ押下力算出方式とステップS426で求めた優先度の高いタッチ座標とに基づいて押下力算出方式を生成する。つまり、生成された押下力算出方式では、押下力センサ30_jごとに、複数のタッチ点の内の最も近いタッチ座標に対応する押下力算出方式が適用されている。また、押下力算出方式は、押下力センサ30_jから各タッチ座標までの距離に応じた係数を、対応する押下力算出方式の計算式に掛けて、適用の度合いを変える方法であってもよい。
ステップS428において、押下力算出部405aは、シングルタッチ操作の場合にはステップS423で読み込んだ算出方式を、マルチタッチ操作の場合にはステップS427で生成した算出方式を使い、ステップS420で検出された押下力センサの値に基づいて、押下力を算出する。
以上に説明したように、タッチパネル装置4若しくは4aを用いれば、シングルタッチ操作の場合とマルチタッチ操作の場合で算出方式を切り替えることで、マルチタッチ操作時の押下力の算出精度の低下を抑制することができる。
《5》実施の形態5.
実施の形態5に係るタッチパネル装置5は、押下力センサ30_jの内側に追加の押下力センサ60_jを備え、タッチパネル23のたわみ角を算出し、より正確に押下力を算出する。
図21は、実施の形態5に係るタッチパネル装置5の構成を概略的に示す機能ブロック図である。図21において、図4に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図4に示される符号と同じ符号が付される。図21に示されるように、タッチパネル装置5の制御装置500は、座標検出部101と、押下力検出部502と、変位量推定部506と、押下力算出部505とを有している。押下力検出部502は、押下力の検出値に基づいて、沈み込みの度合(「沈み込み量」ともいう。)を検出する沈み込み検出部503と、押下力の検出値に基づいて、反り上がりの度合(「反り上がり量」ともいう。)を検出する反り上がり検出部504とを備える。
つまり、制御装置500は、押下力検出部502から出力された複数の検出値に基づいてタッチパネル23のたわみ角(すなわち、保護ガラス22のたわみ角)を算出し、たわみ角とタッチ座標とに基づいてタッチパネル23の変位量を算出する変位量推定部506と、変位量とタッチパネル23の剛性とに基づいて押下力を算出する押下力算出部505とを備えている。
図22は、タッチパネル23、弾性部材33、及び押下力センサ30_j、60_jの構成を示す概略断面図である。図23は、タッチパネル23の操作面24に押下力を付与したときの保護ガラス22の形状を示す概略断面図である。図22及び図23において、図3(A)に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図3(A)に示される符号と同じ符号が付される。
図22に示されるように、タッチパネル装置5は、GND電極部32に対向するようにタッチセンサ20の下面に備えられたセンサ電極61_jを有する押下力センサ60_jを備えている。押下力センサ60_jは、押下力センサ30_jの内側に配置されている。外側の押下力センサ30_jの静電容量をCo、内側の押下力センサ60_jの静電容量をCiと表記したときに、反り上がり検出部504は、例えば、静電容量Co−Ciに基づいてたわみ時の反り上がり量を算出することができる。また、沈み込み検出部503は、(Co+Ci)/2に基づいて弾性部材33の沈み込み量を算出することができる。
図23に示されるように、押下力センサ30_j,60_jに基づいて算出した反り上がり量と沈み込み量に基づいて、たわみ角を計算し、タッチセンサ20で検出されたタッチ位置とたわみ角とに基づいて、タッチ位置における変位量、すなわち、押し下がり量を推定する。推定したタッチ位置の変位量とタッチパネルの剛性に基づいて押下力を算出することが可能である。なお、図23においては、2つの押下力センサ30_j、60_jを1組としているが、押下力センサの個数及び配置は、図23の例のものに限定されない。
図24は、実施の形態5に係るタッチパネル装置5の制御装置500が行う押下力の算出処理を示すフローチャートである。ステップS500において、座標検出部101は、タッチ座標T1を取得する。ステップS501において、押下力検出部502は、全ての押下力センサ30_1〜30_nの検出値D1_1〜D1_nと全ての押下力センサ60_1〜60_nの検出値D2_1〜D2_nを取得する。
次に、ステップS502〜S504のループ処理が実行される。ステップS502において、変位量推定部506は、押下力センサ30_jの静電容量Coと押下力センサ60_jの静電容量CiをセットとしてステップS503及びS504の処理を実施する。ステップS503において、ステップS500で取得されたタッチ座標T1に基づいて押下力センサ30_j,60_jのセット、すなわち、押下力センサ30_jと60_jとが反り上がっているか、沈み込んでいるかを推定する。ステップS504において、変位量推定部506は、ステップS503の推定結果に基づいて、反り上がりの場合は、反り上がり検出部504が反り上がりを算出し、沈み込みの場合は、沈み込み検出部503が沈み込みを算出する。ステップS506において、変位量推定部506は、ステップS504で算出した反り上がり量と沈み込み量に基づいてたわみ角を算出し、タッチ座標の変位量を推定する。
ステップS506において、押下力算出部505は、ステップS505で推定したタッチ座標T1における変位量とタッチパネル23の剛性に基づいて押下力を算出する。
以上に説明したように、実施の形態5に係るタッチパネル装置5又は押下力算出方法を用いれば、押下力センサ30_1〜30_nに加えて押下力センサ60_1〜60_nを配置し、タッチパネル23のたわみに基づいてタッチ座標T1における変位量を求め、タッチパネル23の剛性に基づいて押下力を算出することで、正確な押下力を求めることができる。
なお、静電容量Ciを検出する押下力センサ60_1〜60_nは、弾性部材33の内側に配置してもよい。
《6》実施の形態6.
実施の形態6に係るタッチパネル装置6は、タッチパネル装置6の状態に応じて押下力算出方式を切り替える。タッチパネル装置6の状態は、例えば、タッチパネル装置6がサイドマウント型の装置であるか、コンプレッションマウント型の装置であるかである。
図25は、実施の形態6に係るタッチパネル装置6の構成を概略的に示す機能ブロック図である。図25において、図4に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図4に示される符号と同じ符号が付される。図25に示されるように、タッチパネル装置6の制御装置600は、座標検出部101と、押下力検出部102と、タッチパネル装置6の設置状態を推定する設置状態推定部603と、予め押下力算出方式を記憶する算出方式記憶部604と、押下力を算出する押下力算出部605とを有している。ただし、算出方式記憶部604は、必ずしもタッチパネル装置6の一部である必要はない。算出方式記憶部604は、タッチパネル装置6と通信可能に接続された、外部の記憶装置であってもよい。
つまり、制御装置600は、タッチ操作の位置を示すタッチ座標T1を取得する座標検出部101と、操作面24に押下力が付与されたときに、センサ信号に対応する複数の検出値を取得する押下力検出部102と、複数の検出値D1_jに基づいてタッチパネル23が設置されているフレーム部の状態を推定する設置状態推定部603と、設置状態推定部603が推定したタッチパネル23が設置されているフレーム部の状態とタッチ座標T1とに基づく押下力算出方式を用いて押下力を算出する押下力算出部605とを備えている。
図26は、実施の形態6に係るタッチパネル装置6を示す概略断面図である。図6は、タッチパネル装置6における押下力センサ30_j,70_j,80_jの配置の例を示す概略断面図である。jは、1以上n以下の整数である。タッチパネル装置6では、タッチセンサ20の上部に押下力センサ80_jが配置され、タッチセンサ20の下部に押下力センサ30_j,70_jが配置される。
押下力センサ80_jは、保護ガラス22の下部に設けられたGND電極部32aと、タッチセンサ20の上部に設けられたセンサ電極部81_jとから構成される。GND電極部32aとセンサ電極部81_jとは、接着剤21の厚さに相当する間隔をあけて互いに向き合うように配置されている。押下力センサ80_jは、センサ電極部81_jとGND電極部32aとの距離と、センサ電極部81_jの面積と、電極間の比誘電率とに応じた値の静電容量Cuを有している。
押下力センサ30_jは、液晶パネル40の上部に設けられたGND電極部32と、タッチセンサ20の下部に設けられたセンサ電極部31_jとから構成される。センサ電極部31_jは、弾性部材33の外側に配置されている。GND電極部32とセンサ電極部31_jとは、弾性部材33の厚さ及び反り上がりに応じて変化する間隔をあけて配置されている。押下力センサ30_jは、センサ電極部31_jとGND電極部32との距離と、センサ電極部31_jの面積と、電極間の比誘電率とに応じた値の静電容量Coを有している。
押下力センサ70_jは、液晶パネル40の上部に設けられたGND電極部32と、タッチセンサ20の下部に設けられたセンサ電極部71_jとから構成される。センサ電極部71_jは、弾性部材33の内側に配置されている。GND電極部32とセンサ電極部71_jとは、弾性部材33の厚さ及び沈み込みに応じて変化する間隔をあけて配置されている。押下力センサ70_jは、センサ電極部71_jとGND電極部32との距離と、センサ電極部71_jの面積と、電極間の比誘電率とに応じた値の静電容量Ciを有している。
図27は、タッチパネル装置6を示す概略平面図である。弾性部材33は、タッチパネル23をGND電極部32に支持している。GND電極部32は、例えば、押下力センサ30_1〜30_n、70_1〜70_nを覆うように配置される。仮に液晶パネル40上に配置されたタッチセンサ20をGND電極部32で覆うと、タッチ操作に対するタッチセンサ20の検出感度に影響がある。このため、タッチセンサ20の外側にGND電極部32を備え、GND電極部32と重ならない領域にタッチセンサ20を備えることが望ましい。
また、押下力センサ30_j,70_j,80_jは、図27に示されるように、複数箇所に配置されることが望ましい。押下力センサ30_j,70_j,80_jのセンサ電極部31_j,71_j,81_jは、タッチセンサ20内のタッチ位置検出用の電極を同様に、タッチセンサ20内に備えられてもよい。押下力センサのセンサ電極部31_j,71_j,81_jは、例えば、透明電極であるITO(酸化インジウムスズ)又は金属の微細配線などのパターンを生成するプロセスによって形成されてもよい。
図28は、実施の形態6に係るタッチパネル装置6をコンプレッションマウントしたときの状態を示す概略断面図である。図29は、図28のタッチパネル装置6の操作面24に押下力を付与したときの状態を示す概略断面図である。コンプレッションマウントは、フラットなディスプレイデザインを実現する上で採用される設置方法である。この場合、保護ガラス22の一部がタッチパネル装置のGND電極部32の外側まで伸びていて、フレーム部を構成する支持体34によって支えられるようにタッチパネル23は、設置されている。
タッチパネル23の操作面24で押し込み操作が行われると、タッチパネル23及び押下力センサ30_j,70_j,80_jは、図29に示されるように変形する。このとき、保護ガラス22は、支持体34に支えられ、押下力によりたわむような変形が発生する。その結果、保護ガラス22は、大きくたわみ、押下力センサ80_jの静電容量Cuが最も大きく変化する。タッチパネル23の底側からの反力は、得られないため、接着剤21、弾性部材33など柔軟性を持つ素材よりも下側に重なる部材の変形は小さくなる傾向がある。このため、たわみによって発生する押下力センサ30_jの静電容量Coの変化及び押下力センサ70_jの静電容量Ciの変化は、たわみによって発生する押下力センサ80_jの静電容量Cuに比べて小さくなる。そして、弾性部材33の沈みは、ほとんど発生せず、弾性部材33が支点として働き、押下力センサ30_jのたわみに伴う反り上がり、又は、押下力センサ70_jのたわみに伴う沈み込みを受けて、静電容量(Co+Ci)の変化量は非常に小さくなる。
以上に説明したように、設置状態推定部603は、操作面24の押し込みによる静電容量Cu、Co、Ciの変化量ΔCu、ΔCo、ΔCiが、ΔCu>ΔCo且つΔCu>ΔCiを満たす場合、タッチパネル装置6は、コンプレッションマウントで設置されているものと判断する。
図30は、実施の形態6に係るタッチパネル装置6をサイドマウントしたときの状態を示す概略断面図である。図31は、図30のタッチパネル装置6の操作面24に押下力を付与したときの状態を示す概略断面図である。サイドマウントでは、液晶パネル40の外枠を構成するGND電極部32の側面を両側からフレーム部で挟み込むような形で、もしくは、フレーム部がタッチパネル23を支えるような形で、タッチパネル装置が設置される。タッチパネル23の操作面24で押し込み操作が行われると、タッチパネル23及び押下力センサ30_j,70_j,80_jは、図31に示されるように変形する。このとき、GND電極部32が支えとなり押圧に対する反力が発生する。これに伴い、弾性部材33が変形し、弾性部材33を支点にしてタッチセンサ20と保護ガラス22が同時にたわむ。このとき、タッチセンサ20のたわみ量と保護ガラス22のたわみ量との間で大きな違いが発生しないため、押下力センサ80_jの静電容量Cuはほとんど変化しない。すなわち、ΔCu≒0である。一方で、弾性部材33は沈み込み、タッチセンサ20はたわむため、押下力センサ70_jの静電容量Ciは、沈み込みとたわみの両方の発生によって、大きくなる。
以上に説明したように、設置状態推定部603は、操作面24の押し込みによる静電容量Cu、Co、Ciの変化量ΔCu、ΔCo、ΔCiが、ΔCu>ΔCo且つΔCu≒0を満たす場合、タッチパネル装置6は、サイドマウントで設置されているものと判断する。
コンプレッションマウントされたタッチパネル装置では、たわみが変形の主体であり、サイドマウントされたタッチパネル装置では、たわみと沈み込みの組み合わせが変形に現れる。したがって、サイドマウント時には、押下力算出部605は、実施の形態1の方法で押下力を算出するか、もしくは、実施の形態5の方法で押下力を算出することができる。一方、コンプレッションマウント時には、押下力算出部605は、たわみの支点及び作用点の関係上、端部に近づくほど押下力の検出値が小さくなり、中央部に近づくほど押下力の検出値が高くなる。このため、式(1)の係数k1,k2,…,knをタッチ位置に応じて異ならせることで、高精度な押下力の算出が可能となる。
なお、実施の形態6では、3つの押下力センサ30_j,70_j,80_jを複数箇所に配置した例を説明したが、コンプレッションマウントの判定に必要な押下力センサ80_j又はサイドマウントの判定に必要な押下力センサ30_j,70_j、のいずれか一方を配置してもよい。
また、液晶パネル40の中央部又は側面に歪みゲージのような感度の高い押下力センサを配置し、たわみをセンシングしてもよい。また、弾性部材33の下に圧電素子などを設置し弾性部材33に加わる押下力をセンシングしてもよい。
また、コンプレッションマウント時にたわみをセンシングするための押下力センサ、サイドマウント時に弾性部材33の変形をセンシングするための押下力センサを検出しやすい位置に配置し、制御装置600は、感度値の比較の結果に基づいて、押下力算出方式を切り替えてもよい。
《7》変形例.
図8及び図9に示される押下力算出方式の決定処理は、実施の形態2から6にも適用可能である。
また、上記実施の形態1から6のタッチパネル装置1から6の構成を適宜組み合わせることが可能である。
《8》付記.
以上の各実施の形態に記載されている発明の内容を「付記」として記載する。本願の特許請求の範囲には、「発明1」が記載されている。以下の「付記1〜3」には、「発明2」が記載され、「付記4〜7」には、「発明3」が記載され、「付記8〜10」には、「発明4」が記載され、「付記11〜13」には、「発明5」が記載されている。
「付記1」(出願当初の請求項4に対応する。)
タッチ操作が行われる操作面を有するタッチパネルと、
前記タッチパネルを支持する弾性部材と、
前記操作面に付与された押下力に応じたセンサ信号を出力する複数の押下力センサと、
前記タッチ操作の位置を示すタッチ座標を取得する座標検出部と、
前記操作面に押下力が付与されたときに、前記センサ信号に対応する複数の検出値を取得する押下力検出部と、
前記操作面における複数の領域と、前記複数の領域に対応し、前記複数の押下力センサの複数の駆動パターンとを記憶する駆動パターン記憶部から前記複数の駆動パターンを読み込み、前記複数の駆動パターンから前記タッチ座標に対応する領域の駆動パターンを選択する駆動パターン決定部と、
前記複数の押下力センサの内の、前記選択された駆動パターンに従う押下力センサを駆動させるセンサ駆動部と、
前記選択された駆動パターンに従う前記押下力センサから出力された前記センサ信号に対応する検出値を用いて前記押下力を算出する押下力算出部と
を有することを特徴とするタッチパネル装置。
「付記2」(出願当初の請求項5に対応する。)
前記センサ駆動部は、前記選択された駆動パターンに従う前記押下力センサとして、前記押下力の付与によって沈み込みが生じる位置の押下力センサを並列駆動させる、又は前記押下力の付与によって反り上がりが生じる位置の押下力センサを並列駆動させることを特徴とする「付記1」に記載のタッチパネル装置。
「付記3」(出願当初の請求項6に対応する。)
前記センサ駆動部は、前記選択された駆動パターンに従う前記押下力センサとして、前記押下力の付与によって沈み込みが生じる位置の押下力センサと前記押下力の付与によって反り上がりが生じる位置の押下力センサとを駆動させることを特徴とする「付記1又は2」に記載のタッチパネル装置。
「付記4」(出願当初の請求項7に対応する。)
タッチ操作が行われる操作面を有するタッチパネルと、
前記タッチパネルを支持する弾性部材と、
前記操作面に付与された押下力に応じたセンサ信号を出力する複数の押下力センサと、
前記タッチ操作の位置を示すタッチ座標を取得する座標検出部と、
前記操作面に押下力が付与されたときに、前記センサ信号に対応する複数の検出値を取得する押下力検出部と、
前記タッチ操作がシングルタッチ操作であるかマルチタッチ操作であるかを判定するマルチタッチ判定部と、
算出方式記憶部に記憶されている前記シングルタッチ操作が行われたときの押下力算出方式と前記マルチタッチ操作が行われたときの押下力算出方式とから、前記タッチ操作に応じて押下力算出方式を選択し、選択された前記押下力算出方式と前記複数の検出値とを用いて前記押下力を算出する押下力算出部と
を有することを特徴とするタッチパネル装置。
「付記5」(出願当初の請求項8に対応する。)
前記押下力算出部は、前記シングルタッチ操作が行われたときの押下力算出方式として、前記タッチパネルに反り上がりが起こる位置の押下力センサのセンサ値と前記タッチパネルに沈み込みが起こる位置の押下力センサのセンサ値とに基づく算出方式を使用することを特徴とする「付記4」に記載のタッチパネル装置。
「付記6」(出願当初の請求項9に対応する。)
前記押下力算出部は、前記マルチタッチ操作が行われたときの押下力算出方式として、
前記タッチ操作なし時又は前回のタッチ操作時の状態における前記押下力検出部から出力された検出値からの前記押下力センサの検出値の変化量の絶対値の和に基づく算出方式を使用することを特徴とする「付記4又は5」に記載のタッチパネル装置。
「付記7」(出願当初の請求項10に対応する。)
前記マルチタッチ操作が行われたときに、前記タッチ座標と前記押下力センサとの距離に応じて前記算出方式記憶部に記憶されている押下力算出方式の優先度を決める優先度決定部をさらに有し、
前記押下力算出部は、前記優先度を用いて前記押下力算出方式を決定する
ことを特徴とする「付記4」に記載のタッチパネル装置。
「付記8」(出願当初の請求項11に対応する。)
タッチ操作が行われる操作面を有するタッチパネルと、
前記タッチパネルを支持する弾性部材と、
前記操作面に付与された押下力に応じたセンサ信号を出力する複数の押下力センサと、
前記タッチ操作の位置を示すタッチ座標を取得する座標検出部と、
前記操作面に押下力が付与されたときに、前記センサ信号に対応する複数の検出値を取得する押下力検出部と、
前記複数の検出値に基づいて前記タッチパネルのたわみ角を算出し、前記たわみ角と前記タッチ座標とに基づいて前記タッチパネルの変位量を算出する変位量推定部と、
前記変位量と前記タッチパネルの剛性とに基づいて前記押下力を算出する押下力算出部と、
を有することを特徴とするタッチパネル装置。
「付記9」(出願当初の請求項12に対応する。)
前記複数の押下力センサは、前記弾性部材の外側において、前記タッチパネルの反り上がり又は沈み込みを検出する押下力センサを含むことを特徴とする「付記8」に記載のタッチパネル装置。
「付記10」(出願当初の請求項13に対応する。)
前記複数の押下力センサは、前記弾性部材の内側において、前記タッチパネルの沈み込みを検出する押下力センサを含むことを特徴とする「付記8又は9」に記載のタッチパネル装置。
「付記11」(出願当初の請求項14に対応する。)
タッチ操作が行われる操作面を有するタッチパネルと、
前記タッチパネルを支持する弾性部材と、
前記操作面に付与された押下力に応じたセンサ信号を出力する複数の押下力センサと、
前記タッチ操作の位置を示すタッチ座標を取得する座標検出部と、
前記操作面に押下力が付与されたときに、前記センサ信号に対応する複数の検出値を取得する押下力検出部と、
前記複数の検出値に基づいて前記タッチパネルが設置されているフレーム部の状態を推定する設置状態推定部と、
前記設置状態推定部が推定した前記タッチパネルが設置されているフレーム部の状態と前記タッチ座標とに基づく押下力算出方式を用いて押下力を算出する押下力算出部と、
を有することを特徴とするタッチパネル装置。
「付記12」(出願当初の請求項15に対応する。)
前記複数の押下力センサは、
前記弾性部材の外側において前記タッチパネルの反り上がり又は沈み込みを検出する押下力センサと、
前記弾性部材の内側において前記タッチパネルの沈み込みを検出する押下力センサと、
を含むことを特徴とする「付記11」に記載のタッチパネル装置。
「付記13」(出願当初の請求項16に対応する。)
前記複数の押下力センサは、前記タッチパネルの表面を構成する保護ガラスと、前記保護ガラスに接着剤を介して張り付けられたタッチセンサとの間の距離を検出する押下力センサを含むことを特徴とする「付記11又は12」に記載のタッチパネル装置。
本発明の一態様に係るタッチパネル装置は、タッチ操作が行われる操作面を有するタッチパネルと、前記タッチパネルを支持する弾性部材と、前記操作面に付与される押下力の大きさと前記押下力が付与される前記操作面上の位置とに応じて、前記タッチパネルに沈み込みが生じる場合と反り上がりが生じる場合とがある設置位置であって、前記弾性部材より外側の前記設置位置に配置され、前記押下力の前記大きさと前記操作面上の前記位置とに応じたセンサ信号を出力する複数の押下力センサと、前記タッチ操作の位置を示すタッチ座標を取得する座標検出部と、前記操作面に前記押下力が付与されたときに、前記センサ信号に対応する複数の検出値を取得する押下力検出部と、前記操作面における複数の領域と、前記複数の領域に対応し、予め定められた複数の押下力算出方式とを記憶する算出方式記憶部から前記複数の押下力算出方式を読み込み、前記複数の押下力算出方式から前記タッチ座標に対応する領域の押下力算出方式を選択し、選択された前記押下力算出方式と前記複数の検出値とを用いて前記押下力を算出する押下力算出部とを有することを特徴とする。