《第1の実施形態》
図1(A)は第1の実施形態に係るRFIDタグ201の平面図である。図1(B)は、RFIDタグ201が備えるRFICモジュール101の搭載部分の拡大平面図である。
RFIDタグ201は、アンテナ6と、このアンテナ6に結合するRFICモジュール101とで構成される。アンテナ6は絶縁体フィルム60と、この絶縁体フィルム60に形成された導体パターン61,62とで構成される。絶縁体フィルム60は例えばポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルムであり、導体パターン61,62は例えばアルミニウム箔のパターンである。
導体パターン61は導体パターン61P,61L,61Cで構成され、導体パターン62は導体パターン62P,62L,62Cで構成される。導体パターン61,62はダイポールアンテナを構成する。
導体パターン61P,62PにはRFICモジュール101が搭載される。導体パターン61L,62Lはメアンダライン形状であって、インダクタンス成分の高い領域として作用する。また、導体パターン61C,62Cは平面形状であって、キャパシタンス成分の高い領域として作用する。このことにより、電流強度の高い領域のインダクタンス成分を大きくし、電圧強度の高い領域のキャパシタンス成分を大きくして、アンテナの導体パターン61,62の形成領域を縮小化している。
図2はRFICモジュール101の断面図である。このRFICモジュール101は、基板1と、この基板1に実装されるRFIC2とを備える。基板1は例えばポリイミド等のフレキシブル基板である。RFIC2が実装された基板1の上面には保護膜3が被覆されている。この保護膜3は例えばポリウレタン等のエラストマーやエチレン酢酸ビニル(EVA)のようなホットメルト剤である。基板1の下面にはカバーレイフィルム4が設けられている。このカバーレイフィルム4は例えばポリイミドフィルムである。したがって、基板1、保護膜3、カバーレイフィルム4のいずれもが柔らかく、このRFICモジュール101全体が柔らかい。
なお、保護膜3は熱硬化性樹脂であってもよい。この場合、保護膜3の厚さt2は基板1の厚さt1より厚くすれば、RFICモジュール101の製造時や使用時における反りが軽減される。つまり、一般的に積層体の各層を構成する材料の熱収縮に差があると、歪みが生じて積層体に反りが発生するが、保護膜3の厚さt2が基板1の厚さt1より厚いことにより、保護膜3の厚さが支配的となる。そのことで、保護膜3に対する他の層の熱収縮差の影響を受けにくくなって、上記反りが軽減される。
図3はRFICモジュール101の基板1に形成されている導体パターンを示す平面図である。図3において上部は基板1の上面に形成されている導体パターンの平面図であり、図3の下部は基板1の下面に形成されている導体パターンの平面図である。
基板1の上面には、RFIC側第1端子電極31、RFIC側第2端子電極32、第1インダクタL1の主要部の導体パターンL11、及び第2インダクタL2の主要部の導体パターンL21が形成されている。RFIC側第1端子電極31は上記導体パターンL11の一方端に繋がっていて、RFIC側第2端子電極32は上記導体パターンL21の一方端に繋がっている。これら導体パターンは例えば銅箔をフォトリソグラフィによってパターンニングしたものである。
基板1の下面には、アンテナ6の導体パターン61P,62Pに容量結合されるアンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12が形成されている。また、基板1の下面には、第1インダクタL1の一部の導体パターンL12、第2インダクタの一部の導体パターンL22、第3インダクタL3の導体パターン、第4インダクタL4の導体パターン及び第5インダクタL5の導体パターン(二点鎖線で囲む導体パターン)が形成されている。これら導体パターンも例えば銅箔をフォトリソグラフィによってパターンニングしたものである。
上記第1インダクタL1の一部の導体パターンL12の一方端及び第3インダクタL3の導体パターンの一方端は上記アンテナ側第1端子電極11に繋がっている。同様に、上記第2インダクタL2の一部の導体パターンL22の一方端及び第4インダクタL4の導体パターンの一方端は上記アンテナ側第2端子電極12に繋がっている。第3インダクタL3の導体パターンの他方端と、第4インダクタL4の導体パターンの他方端との間には第5インダクタL5の導体パターンが繋がっている。
第1インダクタL1の導体パターンL12の他方端と第1インダクタL1の主要部の導体パターンL11の他方端とはビア導体V1を介して接続されている。同様に、第2インダクタL2の導体パターンL22の他方端と第2インダクタL2の主要部の導体パターンL21の他方端とはビア導体V2を介して接続されている。
上記RFIC側第1端子電極31及びRFIC側第2端子電極32にRFIC2が搭載されている。つまり、RFIC2の端子21がRFIC側第1端子電極31に接続されていて、RFIC2の端子22がRFIC側第2端子電極32に接続されている。
第1インダクタL1及び第3インダクタL3は基板1の異なる層にそれぞれ形成され、且つコイル開口が重なる関係に配置されている。同様に、第2インダクタL2及び第4インダクタL4は基板1の異なる層にそれぞれ形成され、且つコイル開口が重なる関係に配置されている。そして、第2インダクタL2及び第4インダクタL4と、第1インダクタL1及び第3インダクタL3とは、RFIC2の搭載位置を基板1の面に沿って挟む位置関係に配置されている。
さらに、RFIC側第1端子電極31から第3インダクタL3の他端までの巻回方向と、RFIC側第2端子電極32から第4インダクタL4の他端までの巻回方向とは同方向である。図3に示す向きではいずれも右旋方向である。このことは、第1インダクタL1と第3インダクタL3との組と、第2インダクタL2と第4インダクタL4との組とが、RFIC2の搭載位置を挟んで180°回転対称関係にある、と言うこともできる。
図4はRFICモジュール101の回路図である。RFICモジュール101はRFIC2とインピーダンス整合回路7とで構成されている。インピーダンス整合回路7は、RFIC側第1端子電極31、RFIC側第2端子電極32、アンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12に接続される。また、インピーダンス整合回路7は、第1インダクタL1、第2インダクタL2、第3インダクタL3、第4インダクタL4及び第5インダクタL5を含んで構成される。
第1インダクタL1は、図3に示した導体パターンL11,L12で構成され、第2インダクタL2は、図3に示した導体パターンL21,L22で構成される。第1インダクタL1はアンテナ側第1端子電極11とRFIC側第1端子電極31との間に接続されている。第2インダクタL2はアンテナ側第2端子電極12とRFIC側第2端子電極32との間に接続されている。第3インダクタL3の一端はアンテナ側第1端子電極11に接続されていて、第4インダクタL4の一端はアンテナ側第2端子電極12に接続されていて、第5インダクタL5は第3インダクタL3の他端と第4インダクタL4の他端との間に接続されている。
ここで、RFIDタグ201における、アンテナ6に対するRFICモジュール101の搭載位置の断面構造を示す。図5(A)は図1(B)におけるY−Y部分の断面図であり、図5(B)は図1(B)におけるX−X部分の断面図である。この図5(A)、図5(B)に表れているように、アンテナ6の絶縁体フィルム60に接着剤層5を介してRFICモジュール101が接着されている。この接着剤層5は絶縁性接着材の層であり、例えばアクリル系接着剤である。アンテナ側第1端子電極11は接着剤層5を介してアンテナ6の導体パターン61Pに対向し、アンテナ側第2端子電極12は接着剤層5を介してアンテナ6の導体パターン62Pに対向する。この構造により、アンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12はアンテナ6の導体パターン61P,62Pにそれぞれ容量結合する。
なお、インダクタL1,L2,L3,L4,L5の導体パターンの形成領域の長手方向と、アンテナ6の導体パターン61,62の形成領域の長手方向とは直交する関係としている。そのため、RFICモジュール101を搭載するためのスペースが最小限なものとなり、RFIDタグが小型化できる。
次に、本実施形態のRFICモジュール及びRFIDタグの有利な作用効果について順に示す。
図6及び図7は、上記インピーダンス整合回路7の各インダクタ形成用コイルによる閉磁路の形成について示す図である。
図6は上記インピーダンス整合回路7の各インダクタについての電流及び磁束の関係を示す図である。図6において、実線の矢印は、RFIC2を主体にみて流れる電流の向きを示す。また、破線はコイルの開口を通る磁束を示す。電流の向きが図6に示す向きであるとき、第2インダクタL2及び第4インダクタL4のコイル開口を通り、且つ、第1インダクタL1及び第3インダクタL3のコイル開口を通る磁束が生じる。
このように、第1インダクタL1を構成するコイル、第2インダクタL2を構成するコイル、第3インダクタL3を構成するコイル、及び第4インダクタL4を構成するコイルで発生する、ほぼY−Z面に沿った磁束が閉磁路を形成する。つまり、第2インダクタL2及び第4インダクタL4のコイル開口と、第1インダクタL1及び第3インダクタL3のコイル開口との間(近接するコイル開口の間)に発生する磁束が閉じた関係となるため、漏れ磁束が減少し、外乱に対して影響を受けにくくなる。また、上記近接するコイル間は正の結合となっているので、磁束を互いに強め合い、インダクタL1,L2,L3,L4のQ値が向上する。
図7は、二つのRFIDタグ201A,201Bが近接しているときの、上記閉磁路形成の利点を示す図である。図7においては、RFICモジュール101の構造及びアンテナの導体パターン61,62の形状を簡略化している。図7において破線は上記閉磁路の磁束を表している。
例えば複数の書類や書籍にそれぞれRFIDタグが設けられていて、それらが重なっているとき、RFIDタグ同士が近接する場合がある。RFIDタグは、リーダ/ライタから送信された電波を反射することで通信を行うが、従来のRFIDタグでは、その際に、他のRFIDタグで電波のエネルギーが大きく吸収されてしまい、適正な通信ができない。また、他RFIDタグが近接することにより、自RFIDタグのRFICからみたインピーダンスが規定値から外れると、適正な通信ができなくなる。
これに対し、本実施形態のRFIDタグでは、RFIDタグ201A,201BのRFICモジュール101同士の不要な磁界結合が抑制されるので、各RFIDタグのRFIDタグとしての特性劣化が抑制される。
図8及び図9は、RFICモジュール101の導体パターンのずれに対する特性の安定性について示す図である。
図8は、第3インダクタL3、第4インダクタL4と、アンテナの導体パターン61,62との接続関係を示す図である。図8中のキャパシタCaはアンテナの導体パターン61,62間に生じる容量成分である。また、キャパシタC11はアンテナの導体パターン61とアンテナ側第1端子電極11との間に生じる容量成分であり、キャパシタC12はアンテナの導体パターン62とアンテナ側第2端子電極12との間に生じる容量成分である。インダクタL3,L4のインダクタンスと、キャパシタCa,C11,C12のキャパシタンスとで並列共振回路が構成される。この共振回路の共振周波数は、例えばRFIDタグ201の通信周波数帯の中心周波数に合わせる。
図9はRFICモジュール101における、インダクタL1,L2,L3,L4,L5、アンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12の位置関係を示す概念的断面図である。図3、図5(A)にも示したとおり、基板1の上面に第1インダクタL1及び第2インダクタL2の主要部がそれぞれ形成されていて、基板1の下面に第3インダクタL3、第4インダクタL4及び第5インダクタL5が形成されている。そして、これら第3インダクタL3、第4インダクタL4、第5インダクタL5と共にアンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12が形成されている。
インダクタL3,L4,L5とアンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12が別の層に形成されていると、それら導体パターンの位置ずれによって、インダクタL3,L4,L5の一部がアンテナ側第1端子電極11又はアンテナ側第2端子電極12と重なるおそれがある。この重なりが生じると、インダクタL3,L4,L5のインダクタンスが低下する。これに対し、本実施形態のように、インダクタL3,L4,L5がアンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12と同一層にあると、それら導体パターンの位置ずれによって、インダクタL3,L4,L5の一部がアンテナ側第1端子電極11又はアンテナ側第2端子電極12と重なることがなく、インダクタL3,L4,L5のインダクタンスの低下による上記共振周波数のずれが生じない。このことにより安定した通信特性が得られる。
図10は、インダクタL1,L2,L3,L4とインダクタL5との不要結合の抑制について示す図である。
図10において、X方向の実線の矢印はインダクタL1,L2,L3,L4、RFIC側第1端子電極31及びRFIC側第2端子電極32に流れる電流のうち特にインダクタL5に近接する部分に流れる電流を示す。Y方向の矢印はインダクタL5に流れる電流のうち、上記X方向の電流に直交する電流を示す。また、インダクタL5に流れる電流のうちX方向の電流はインダクタL1,L2,L3,L4、RFIC側第1端子電極31及びRFIC側第2端子電極32に流れる電流と結合する電流であり、電流の向きが逆である。したがって、この結合によって、インダクタL1,L2,L3,L4,L5のインダクタンス値は減少する。ただし、本実施形態では、インダクタL5はメアンダライン形状であるので、所望のインダクタンス値を得るために導体パターン形成範囲を大きくする際、電流が直交する電極部を長くすることで、上記結合量を減らせる。このことにより、インダクタL1,L2,L3,L4,L5のインダクタンス値の低下を抑制できる。
また、図10に示す例では、第1インダクタの主要部の導体パターンL11の巻回領域が第3インダクタL3の導体パターンの巻回領域より僅かに小さく、第1インダクタの主要部の導体パターンL11と第3インダクタL3の導体パターンとの重なり部は、これら導体パターンの線幅の約1/2だけ重なっている。また、第1インダクタの主要部の導体パターンL11と第3インダクタL3の導体パターンとが相対的にずれた場合に、そのずれ方向の一方の辺での、第1インダクタの主要部の導体パターンL11と第3インダクタL3の導体パターンとの重なり量が減れば、対辺での、第1インダクタの主要部の導体パターンL11と第3インダクタL3の導体パターンとの重なり量が増える関係となっている。
同様に、第2インダクタの主要部の導体パターンL21の巻回領域が第4インダクタL4の導体パターンの巻回領域より僅かに小さく、第2インダクタの主要部の導体パターンL21と第4インダクタL4の導体パターンとの重なり部は、これら導体パターンの線幅の約1/2だけ重なっている。また、第2インダクタの主要部の導体パターンL21と第4インダクタL4の導体パターンとが相対的にずれた場合に、そのずれ方向の一方の辺での、第2インダクタの主要部の導体パターンL21と第4インダクタL4の導体パターンとの重なり量が減れば、対辺での、第2インダクタの主要部の導体パターンL21と第4インダクタL4の導体パターンとの重なり量が増える関係となっている。
このような構造により、上記「ずれ」による、層の異なる導体パターン間の磁界結合量の変動が抑制され、インダクタL1,L2,L3,L4のインダクタンス値の変動を抑制できる。
なお、第1インダクタの主要部の導体パターンL11の巻回領域と第3インダクタL3の導体パターンの巻回領域との大小関係は逆であってもよい。ただし、アンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12とは異なる層に形成されている、第1インダクタの主要部の導体パターンL11及び第2インダクタの主要部の導体パターンL21の形成領域を小さくする方が、アンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12との重なりを防止する点で好ましい。
《第2の実施形態》
第2の実施形態では、基板1の構成及び保護膜3の構成が第1の実施形態とは異なるRFICモジュールについて例示する。
図11(A)、図11(B)は、絶縁体フィルム60に貼付した、第2の実施形態に係るRFICモジュール102の断面図である。図11(A)は第1の実施形態において図1(B)に示したY−Y部分での断面図であり、図11(B)は図1(B)に示したX−X部分での断面図である。
第2の実施形態のRFICモジュール102の保護膜3の構成は第1の実施形態で示した例とは異なる。第2の実施形態では、保護膜3は基板1の全面を覆うのではなく、RFIC2を覆う箇所で、基板1の一部に形成されている。
図12(A)は絶縁体フィルム60及びRFICモジュール102の上部にラベル8を貼着した状態での断面図である。図12(B)は、絶縁体フィルム60及び比較例としてのRFICモジュール102Eの上部にラベル8を貼着した状態での断面図である。ラベル8の内面には粘着層が形成されている。ラベル8は絶縁体フィルム60及びRFICモジュール102の上部を覆い、上記粘着層を介して貼着される。このように、ラベル8が貼着された状態で、ラベル8の外面に所定の文字、マーク、絵柄等がリボン熱転写方式で印刷される。絶縁体フィルム60の下面にも粘着層が形成されていて、この粘着層を介して、RFIDタグ202は物品に貼付される。
図12(B)に示す、比較例としてのRFICモジュール102Eでは、第1の実施形態で示したように、基板1の全面に保護膜3が形成されている。そのため、ラベル8を貼着した状態で、ラベル8には、RFICモジュール102Eの厚み分の大きな凹凸が生じる。そのため、段差の大きな凹凸部の印刷性が悪く、ラベル8に鮮明な印刷ができない場合がある。
一方、図12(A)に示す、本実施形態のRFIDタグ202では、ラベル8には、RFICモジュール102の全体の厚み分より小さな凹凸しか生じない。また、絶縁体フィルム60から最も高い部分の幅WはRFICモジュール102の幅より小さい。そのため、ラベル8に鮮明な印刷ができる。
なお、RFICモジュール102の基板1に形成されている導体パターンによるインピーダンス整合回路は、以上に示した回路に限らない。
《第3の実施形態》
第3の実施形態では、基板1の構成及びRFIC2の実装構造が、これまでに示した例とは異なる例を示す。
図13は、絶縁体フィルム60に、第3の実施形態に係るRFICモジュール103Aを貼着した状態での断面図である。この例では、基板1は多層基板で構成されていて、複数の基材層に導体パターンが形成されている。このように多層基板を用いると、図5(A)、図5(B)に示した例のようなカバーレイフィルム4が不要となる。カバーレイフィルムは通常、薄く接着強度が低いためブレードダイシング等の物理的な分割加工では加工条件により剥がれ、バリが発生する。本実施形態では、カバーレイフィルムが不要になることで、この現象を回避できる。
図14は、絶縁体フィルム60に、第3の実施形態に係る別のRFICモジュール103Bを貼着した状態での断面図である。この例では、多層基板による基板1にキャビティCAが形成されていて、そのキャビティCA内にRFIC2が埋設されている。このように基板1内にRFIC2を埋設することによって低背化できる。
なお、RFIC2以外に他のチップ部品を基板1内に埋設してもよい。例えば、比較的サイズの大きなハーベスティング用チップキャパシタや各種センサ等を埋設してもよい。
なお、RFICモジュール103A,103Bの基板1に形成されている導体パターンによるインピーダンス整合回路は、以上に示した回路に限らない。
《第4の実施形態》
第4の実施形態では、アンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12の位置及び形状がこれまでに示した例とは異なるRFICモジュールについて例示する。
図15は、第4の実施形態に係るRFICモジュールの基板1に形成されている導体パターンを示す平面図である。
基板1の上面には、RFIC側第1端子電極31、RFIC側第2端子電極32、第1インダクタL1の主要部の導体パターンL11、及び第2インダクタL2の主要部の導体パターンL21が形成されている。RFIC側第1端子電極31は上記導体パターンL11の一方端に繋がっていて、RFIC側第2端子電極32は上記導体パターンL21の一方端に繋がっている。
基板1の下面には、アンテナ6の導体パターン61P,62Pに容量結合されるアンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12が形成されている。また、基板1の下面には、第1インダクタL1の一部の導体パターンL12、第2インダクタの一部の導体パターンL22、第3インダクタL3の導体パターン、第4インダクタL4の導体パターン及び第5インダクタL5の導体パターンが形成されている。
上記第1インダクタL1の一部の導体パターンL12の一方端及び第3インダクタL3の導体パターンの一方端は上記アンテナ側第1端子電極11に繋がっている。同様に、上記第2インダクタL2の一部の導体パターンL22の一方端及び第4インダクタL4の導体パターンの一方端は上記アンテナ側第2端子電極12に繋がっている。第3インダクタL3の導体パターンの他方端と、第4インダクタL4の導体パターンの他方端との間には第5インダクタL5の導体パターンが繋がっている。
第1インダクタL1の導体パターンL12の他方端と第1インダクタL1の主要部の導体パターンL11の他方端とはビア導体V1を介して接続されている。同様に、第2インダクタL2の導体パターンL22の他方端と第2インダクタL2の主要部の導体パターンL21の他方端とはビア導体V2を介して接続されている。
第1の実施形態で図3に示した例とは、第1インダクタL1及び第2インダクタL2に対する、アンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12の引き出し方向が異なる。つまり、第4の実施形態では、第1インダクタL1及び第2インダクタL2に対して、アンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12を同方向に引き出している。また、第1インダクタL1のRFIC側第1端子電極31からアンテナ側第1端子電極11までの導体パターンの巻回方向と、第2インダクタL2のRFIC側第2端子電極32からアンテナ側第2端子電極12までの導体パターンの巻回方向とは逆である。
図16は、第4の実施形態に係るRFICモジュール104の、絶縁体フィルムに対する搭載部分の拡大平面図である。図16においては、絶縁体フィルムの外形線は表れていない。絶縁体フィルムには、ダイポールアンテナの端部である導体パターン61P,62Pが形成されている。RFICモジュール104のアンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12は、導体パターン61P及び導体パターン62Pにそれぞれ対向する。
本実施形態によれば、アンテナの導体パターン61P,62Pの配置間隔を狭くできるので、導体パターン61P,62Pの端子間容量が増加することでアンテナの共振周波数を低周波数側へシフトできる。これにより、所望の周波数での、導体パターン61P,62Pの配置方向についてのアンテナの長さ(形成領域)を短くできる。
なお、RFICモジュール104の基板1に形成されている導体パターンによるインピーダンス整合回路は、以上に示した回路に限らない。
《第5の実施形態》
第5の実施形態では、第1インダクタL1、第2インダクタL2、アンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12の位置や形状がこれまでに示した例とは異なるRFICモジュールについて例示する。
図17、図18、図19は、いずれも第5の実施形態に係るRFICモジュール105A,105B,105Cの、絶縁体フィルムに対する搭載部分の拡大平面図である。これらの図においては、絶縁体フィルムの外形線は表れていない。インピーダンス整合回路の基本構成はこれまでに示した例と同様である。いずれの例でも、アンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12は、第1インダクタL1及び第2インダクタL2の並び方向に対して平行に配置されている。
図17に示すRFICモジュール105Aでは、アンテナ6の導体パターン61P,62Pとアンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12との間に生じる容量を大きくし易く、アンテナのX方向の長さ(形成領域)を短くできる。
図17に示すRFICモジュール105Aと、図18に示すRFICモジュール105Bとでは、基板1の縦横比が異なる。第1インダクタL1及び第2インダクタL2の並び方向の幅に制限がある場合には、図18に示すRFICモジュール105Bのように、アンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12の並び方向に長くてもよい。また、第1インダクタL1及び第2インダクタL2の並び方向に対する直交方向(X方向)に、これら導体パターンを偏平化してもよい。
図19に示すRFICモジュール105Cでは、第1インダクタL1及び第2インダクタL2を挟む位置にアンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12が配置されている。また、このRFICモジュール105Cのように、アンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12の並び方向の幅に制限がある場合に、第1インダクタL1及び第2インダクタL2の並び方向(Y方向)に偏平化してもよい。
なお、RFICモジュール105A,105B,105Cの基板1に形成されている導体パターンによるインピーダンス整合回路は、以上に示した回路に限らない。
《第6の実施形態》
第6の実施形態では、アンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12の位置及び形状がこれまでに示した例とは異なるRFICモジュールについて例示する。
図20(A)、図20(B)、図20(C)は、第6の実施形態に係るRFICモジュール106A,106B,106Cの、絶縁体フィルムに対する搭載部分の拡大平面図である。これらの図においては、絶縁体フィルムの外形線は表れていない。インピーダンス整合回路の基本構成はこれまでに示した例と同様である。
図20(A)に示すRFICモジュール106Aでは、アンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12は、単純な矩形状ではなく、L字状である。
図20(B)に示すRFICモジュール106Bでは、アンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12はそれぞれ正方形状である。
上記RFICモジュール106A,106Bにおいては、アンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12は、基板1の対角線上に配置されている。
図20(C)に示すRFICモジュール106Cでは、アンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12はそれぞれ三角形状であり、基板1の対角線上に配置されている。また、第1インダクタL1及び第2インダクタL2の並び方向が基板1の辺に対して傾斜している。
本実施形態で示すように、アンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12は、基板1の対角線上に配置してもよい。また、第1インダクタL1及び第2インダクタL2の位置関係も基板1の対角線上にあってもよい。
本実施形態によれば、アンテナ側第1端子電極11とアンテナ側第2端子電極12との間に生じる不要な寄生容量を小さくできる。この寄生容量が小さいことにより、例えば貼り付け対象の誘電率や損失等による影響で、アンテナの共振周波数や利得の変化を抑制できる。
なお、RFICモジュール106A,106B,106Cの基板1に形成されている導体パターンによるインピーダンス整合回路は、以上に示した回路に限らない。
《第7の実施形態》
第7の実施形態では、アンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12の数が、これまでに示した例とは異なるRFICモジュールについて例示する。
図21は、第7の実施形態に係るRFICモジュール107Aの、絶縁体フィルムに対する搭載部分の拡大平面図であり、図22は、第7の実施形態に係る別のRFICモジュール107Bの、絶縁体フィルムに対する搭載部分の拡大平面図である。これらの図においては、絶縁体フィルムの外形線は表れていない。インピーダンス整合回路の基本構成はこれまでに示した例と同様である。
図21に示すRFICモジュール107Aでは、アンテナ側第1端子電極11A,11B及びアンテナ側第2端子電極12A,12Bを備える。アンテナ側第1端子電極11A,11Bは導通していて、第1インダクタL1及び第2インダクタL2の並び方向に対する直交方向に分離配置されている。同様に、アンテナ側第2端子電極12A,12Bは導通していて、第1インダクタL1及び第2インダクタL2の並び方向に対する直交方向に分離配置されている。
図22に示すRFICモジュール107Bでも、アンテナ側第1端子電極11A,11B及びアンテナ側第2端子電極12A,12Bを備える。アンテナ側第1端子電極11A,11Bは導通していて、第1インダクタL1及び第2インダクタL2の並び方向に分離配置されている。同様に、アンテナ側第2端子電極12A,12Bは導通していて、第1インダクタL1及び第2インダクタL2の並び方向に分離配置されている。
本実施形態で示すように、アンテナ側第1端子電極及びアンテナ側第2端子電極は複数に分離配置されていてもよい。
なお、RFICモジュール107A,107Bの基板1に形成されている導体パターンによるインピーダンス整合回路は、以上に示した回路に限らない。
《第8の実施形態》
第8の実施形態では、複数のアンテナ側第1端子電極11及び複数のアンテナ側第2端子電極12の配置が、これまでに示した例とは異なるRFICモジュールについて例示する。
図23は、第8の実施形態に係るRFICモジュール108Aの平面図である。このRFICモジュール108Aは、基板1にアンテナ側第1端子電極11A,11B及びアンテナ側第2端子電極12A,12Bを備える。また、インピーダンス整合回路を構成する複数のインダクタL1,L2,L3,L4,L5が基板1に設けられている。
これまでに示した例では、インピーダンス整合回路を構成するインダクタL1〜L5の形成領域が一連であったが、この例のように、インダクタごとに分離配置されていてもよい。また、アンテナ側第1端子電極11A,11Bの配列方向と、アンテナ側第2端子電極12A,12Bの配列方向とが交差していてもよい。
図24は、第8の実施形態に係るRFICモジュール108Aの、絶縁体フィルムに対する搭載部分の拡大平面図である。この図においては、絶縁体フィルムの外形線は表れていない。アンテナ側第1端子電極11A,11Bはアンテナの導体パターン61の端部付近に対向する。また、アンテナ側第2端子電極12A,12Bはアンテナの導体パターン62の端部付近に対向する。
図25は、第8の実施形態に係るRFICモジュール108Bの平面図である。このRFICモジュール108Bは、基板1に、アンテナ側第1端子電極11A,11B、アンテナ側第2端子電極12A,12B、インピーダンス整合回路を構成する複数のインダクタL1,L2,L3,L4,L5がそれぞれ基板1に設けられている。アンテナ側第1端子電極11A,11Bの配列方向と、アンテナ側第2端子電極12A,12Bの配列方向とは平行であり、かつ基板1の辺に対して傾斜している。
図26は、第8の実施形態に係るRFICモジュール108Bの、絶縁体フィルムに対する搭載部分の拡大平面図である。この図においては、絶縁体フィルムの外形線は表れていない。アンテナ側第1端子電極11A,11Bはアンテナの導体パターン61に対向する。また、アンテナ側第2端子電極12A,12Bはアンテナの導体パターン62に対向する。
図27は、第8の実施形態に係るRFICモジュール108Cの、絶縁体フィルムに対する搭載部分の拡大平面図である。この例では、インダクタL1〜L5の形成位置の余白である、基板1の四隅に、アンテナ側第1端子電極11A,11B及びアンテナ側第2端子電極12A,12Bが配置されている。
なお、RFICモジュール108A,108B,108Cの基板1に形成されている導体パターンによるインピーダンス整合回路は、以上に示した回路に限らない。
《第9の実施形態》
第9の実施形態では、基板に対するアンテナ側第端子電極及びインピーダンス整合回路の形成位置がこれまでに示した例とは異なるRFICモジュールについて例示する。
図28(A)から図28(J)までの各図は、第9の実施形態に係るRFICモジュールの平面図である。図28(A)〜図28(F)に示す例では、基板1に、アンテナ側第1端子電極11A,11B、アンテナ側第2端子電極12A,12B及びインピーダンス整合回路7が設けられている。図28(G)〜図28(J)に示す例では、基板1に、アンテナ側第1端子電極11A,11B、アンテナ側第2端子電極12A,12B及びインピーダンス整合回路7a,7bが設けられている。
図28(A)、図28(B)、図28(C)の例では、アンテナ側第1端子電極11A,11B及びアンテナ側第2端子電極12A,12Bが一列に配置されていて、これら端子電極の列とインピーダンス整合回路7とが平行に配置されている。
図28(D)、図28(E)、図28(F)の例では、アンテナ側第1端子電極11A,11B及びアンテナ側第2端子電極12A,12Bがまとめて配置されていて、その残余部にインピーダンス整合回路7が配置されている。
図28(G)、図28(H)、図28(I)の例では、アンテナ側第1端子電極11A,11B及びアンテナ側第2端子電極12A,12Bがまとめて配置されていて、その両側にインピーダンス整合回路7a,7bが分離配置されている。
図28(A)、図28(B)、図28(C)では、アンテナ側第1端子電極11A,11B及びアンテナ側第2端子電極12A,12Bの配置順がそれぞれ異なる。図28(D)、図28(E)、図28(F)では、アンテナ側第1端子電極11A,11B及びアンテナ側第2端子電極12A,12Bの配置位置がそれぞれ異なる。図28(G)、図28(H)、図28(I)についても、アンテナ側第1端子電極11A,11B及びアンテナ側第2端子電極12A,12Bの配置位置がそれぞれ異なる。
図28(J)の例では、アンテナ側第1端子電極11A,11B及びアンテナ側第2端子電極12A,12BがT字状に交差するようには配置されていて、その残余部にインピーダンス整合回路7a,7bが分離配置されている。
なお、図28(A)〜図28(J)において、上下又は左右を反転させた配置も採り得る。また、各RFICモジュールの基板1に形成されている導体パターンによるインピーダンス整合回路は、以上に示した回路に限らない。
このように、基板に対するアンテナ側端子電極及びインピーダンス整合回路の形成位置は種々採り得る。
《第10の実施形態》
第10の実施形態では、RFICモジュールのアンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12に対するアンテナの導体パターン61P,62Pの位置関係及び大きさの関係について例示する。
図29は、第10の実施形態に係るRFIDタグの、RFICモジュール101とアンテナの導体パターン61P,62Pとの位置関係及び大きさの関係を示す平面図である。この例では、Z方向に視て(平面視で)、アンテナの導体パターン61Pの全体がアンテナ側第1端子電極11の内側に入るように配置されている。同様に、アンテナの導体パターン62Pの全体がアンテナ側第2端子電極12の内側に入るように配置されている。
図30(A)、図30(B)は、第10の実施形態に係るRFIDタグの、RFICモジュール101と導体パターン61P,62Pとの位置関係及び大きさの関係を示す平面図である。図30(A)に示す例では、平面視で、アンテナの導体パターン61PのX方向の全幅がアンテナ側第1端子電極11の内側に入るように配置されている。同様に、アンテナの導体パターン62PのX方向の全幅がアンテナ側第2端子電極12の内側に入るように配置されている。図30(B)に示す例では、平面視で、アンテナの導体パターン61PのY方向の略全幅がアンテナ側第1端子電極11の内側に入るように配置されている。同様に、アンテナの導体パターン62PのY方向の略全幅がアンテナ側第2端子電極12の内側に入るように配置されている。
図31(A)、図31(B)は、第10の実施形態に係るRFIDタグの、RFICモジュール101と導体パターン61P,62Pとの位置関係及び大きさの関係を示す平面図である。いずれの例でも、平面視で、アンテナの導体パターン61PのX方向の先端部が、第1インダクタL1及び第2インダクタL2等によるインピーダンス整合回路の形成領域に重なる。図31(B)の例では、アンテナ側第1端子電極11の全体がアンテナの導体パターン61Pの内側に入るように配置されている。同様に、アンテナ側第2端子電極12の全体がアンテナの導体パターン62Pの内側に入るように配置されている。
図30(A)、図31(A)に示す例では、アンテナの導体パターンが形成された絶縁体フィルムに対するRFICモジュール101のX方向の位置ずれがあっても、アンテナの導体パターン61P,62Pに対するアンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12の結合容量変化は小さい。また、図29、図30(A)、図30(B)、図31(A)、図31(B)に示すいずれの例でも、アンテナの導体パターンが形成された絶縁体フィルムに対するRFICモジュール101のY方向の位置ずれがあっても、上記結合容量変化は小さい。
なお、本実施形態で示したRFICモジュール101の基板1に形成されている導体パターンによるインピーダンス整合回路は、以上に示した回路に限らない。
《第11の実施形態》
第11の実施形態では、RFIC2と共に他の部品を備えたRFICモジュールについて例示する。
図32(A)は第11の実施形態に係るRFIDタグ211の平面図である。図32(B)は、RFIDタグ211が備えるRFICモジュール111Aの搭載部分の拡大平面図である。
RFIDタグ211は、アンテナ6と、このアンテナ6に結合するRFICモジュール111Aとで構成される。アンテナ6は絶縁体フィルム60と、この絶縁体フィルム60に形成された導体パターン61,62とで構成される。絶縁体フィルム60及び導体パターン61,62の構成は第1の実施形態で示したとおりである。
導体パターン61は導体パターン61P,61L,61Cで構成され、導体パターン62は導体パターン62P,62L,62Cで構成される。導体パターン61,62はダイポールアンテナを構成する。導体パターン61P,62PにはRFICモジュール111Aが搭載される。
図33はRFICモジュール111Aの断面図である。このRFICモジュール111Aは、基板1と、この基板1に実装されるRFIC2及びチップキャパシタCC1とを備える。RFIC2及びチップキャパシタCC1が実装された基板1の上面には保護膜3が被覆されている。基板1の下面にはカバーレイフィルム4が設けられている。基板1の基本構成は第1の実施形態で示したとおりである。
図34はRFICモジュール111Aの基板1に形成されている導体パターンを示す平面図である。図34において上部は基板1の上面に形成されている導体パターンの平面図であり、図34の下部は基板1の下面に形成されている導体パターンの平面図である。
基板1の上面には、RFIC側第1端子電極31、RFIC側第2端子電極32、第1インダクタL1の主要部の導体パターンL11、及び第2インダクタL2の主要部の導体パターンL21が形成されている。RFIC側第1端子電極31は上記導体パターンL11の一方端に繋がっていて、RFIC側第2端子電極32は上記導体パターンL21の一方端に繋がっている。
基板1の下面には、アンテナ6の導体パターン61P,62Pに容量結合されるアンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12が形成されている。また、基板1の下面には、第1インダクタL1の一部の導体パターンL12、第2インダクタの一部の導体パターンL22、第3インダクタL3の導体パターン、第4インダクタL4の導体パターン及び第5インダクタL5の導体パターンが形成されている。これらの導体パターンは第1の実施形態で示したとおりである。
RFIC側第1端子電極31及びRFIC側第2端子電極32にRFIC2が搭載されている。つまり、RFIC2の端子21がRFIC側第1端子電極31に接続されていて、RFIC2の端子22がRFIC側第2端子電極32に接続されている。また、RFIC側第1端子電極31及びRFIC側第2端子電極32にチップキャパシタCC1が搭載されて、チップキャパシタCC1がRFIC側第1端子電極31とRFIC側第2端子電極32との間に接続されている。
図35はRFICモジュール111Aの回路図である。RFICモジュール111Aは、RFIC2と、インピーダンス整合回路7とで構成されている。インピーダンス整合回路7は、RFIC側第1端子電極31、RFIC側第2端子電極32、アンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12に接続される。インピーダンス整合回路7は、第1インダクタL1、第2インダクタL2、第3インダクタL3、第4インダクタL4、第5インダクタL5及びチップキャパシタCC1を含んで構成される。チップキャパシタCC1は、RFIC側第1端子電極31とRFIC側第2端子電極32との間に接続される。
第1インダクタL1は、図34に示した導体パターンL11,L12で構成され、第2インダクタL2は、図34に示した導体パターンL21,L22で構成される。第1インダクタL1はアンテナ側第1端子電極11とRFIC側第1端子電極31との間に接続されている。第2インダクタL2はアンテナ側第2端子電極12とRFIC側第2端子電極32との間に接続されている。第3インダクタL3の一端はアンテナ側第1端子電極11に接続されていて、第4インダクタL4の一端はアンテナ側第2端子電極12に接続されていて、第5インダクタL5は第3インダクタL3の他端と第4インダクタL4の他端との間に接続されている。
本実施形態において、チップキャパシタCC1は、インピーダンス整合回路7の一部である。第1の実施形態において図8に示したキャパシタCa,C11,C12のキャパシタンスは、RFICモジュール101の導体パターンの構成によって定まり、一定である。一方、基板1に搭載されるRFIC2の特性は必ずしも一定ではない。このような状況下で、RFIC2の入出力部のインピーダンスと導体パターン61,62によるアンテナとのインピーダンス整合を適正に行うために、RFIC2の特性に応じたキャパシタンスのチップキャパシタCC1を選定すればよい。したがって、本実施形態によれば、入出力部のインピーダンスの異なる複数種のRFIC2を採用可能となる。
図36は、第11の実施形態に係る別のRFICモジュール111Bの平面図である。この例では、RFIC側第1端子電極31、RFIC側第2端子電極32から延出された導体パターンが形成されていて、その導体パターンにチップキャパシタCC1が実装されている。このようにして、チップキャパシタCC1をRFIC2から分離してもよい。
なお、RFICモジュール111A,111Bのインピーダンス整合回路は、以上に示した回路に限らない。
《第12の実施形態》
第12の実施形態では、アンテナの特性に応じたチップキャパシタを実装可能としたRFICモジュール及びRFIDタグの例を示す。
図37(A)は第12の実施形態に係るRFIDタグ212の平面図である。図37(B)は、RFIDタグ212が備えるRFICモジュール112Aの搭載部分の拡大平面図である。
RFIDタグ212は、アンテナ6と、このアンテナ6に結合するRFICモジュール112Aとで構成される。アンテナ6は、絶縁体フィルム60と、この絶縁体フィルム60に形成された導体パターン61,62とで構成される。
第11の実施形態で示した例と同様に、導体パターン61は導体パターン61P,61L,61Cで構成され、導体パターン62は導体パターン62P,62L,62Cで構成される。導体パターン61,62はダイポールアンテナを構成する。
導体パターン61P,62PにはRFICモジュール112A及びチップキャパシタCC2が搭載される。
図38はRFIDタグ212の回路図である。RFICモジュール112AはRFIC2と、インピーダンス整合回路7とで構成されている。インピーダンス整合回路7は、第1インダクタL1、第2インダクタL2、第3インダクタL3、第4インダクタL4及び第5インダクタL5を含んで構成される。チップキャパシタCC2は、導体パターン61の根元部と導体パターン62の根元部との間に接続される。
上記チップキャパシタCC2は、図8に示した、アンテナの導体パターン61,62間に生じる容量成分であるキャパシタCaに並列接続される。
図8に示したキャパシタCa,C11,C12のキャパシタンスは、RFICモジュール112Aの導体パターンの構成によって定まり、一定である。一方、アンテナ6とRFICモジュール112Aとは個別の部品であり、独立して設計できる。本実施形態によれば、導体パターン61,62間に生じる容量成分であるキャパシタCaの値をチップキャパシタCC2のキャパシタンスによって変更できるので、アンテナ6の導体パターン61,62は必ずしも一定でなくてもよい。つまり、このような状況下で、導体パターン61,62に応じたキャパシタンスのチップキャパシタCC2を選定して実装すればよい。
図39は第12の実施形態に係る別のRFICモジュール112Bの回路図である。RFICモジュール112BはRFIC2と、インピーダンス整合回路7とで構成されている。インピーダンス整合回路7は、第1インダクタL1、第2インダクタL2、第3インダクタL3、第4インダクタL4、第5インダクタL5及びチップキャパシタCC2を含んで構成される。チップキャパシタCC2は、アンテナ側第1端子電極11とアンテナ側第2端子電極12との間に接続される。この本実施形態によれば、アンテナ側第1端子電極11とアンテナ側第2端子電極12との間のキャパシタンスをチップキャパシタCC2のキャパシタンスによって変更できるので、アンテナ6の導体パターン61,62は必ずしも一定でなくてもよい。つまり、このような状況下で、導体パターン61,62に応じたキャパシタンスのチップキャパシタCC2を選定して実装すればよい。
なお、RFICモジュール112A,112Bのインピーダンス整合回路は、以上に示した回路に限らない。
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形及び変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
例えば、図5(B)に示した例では、アンテナ側第1端子電極11とアンテナの導体パターン61Pとが容量結合し、アンテナ側第2端子電極12とアンテナの導体パターン62Pとが容量結合するようにしたが、この容量結合部分を直接(直流的に)接続してもよい。また、一方を直接接続し、他方を容量結合させてもよい。
図17に示すRFICモジュール105Aと、図18に示すRFICモジュール105Bとでは、基板1の縦横比が異なる。第1インダクタL1及び第2インダクタL2の並び方向の幅に制限がある場合には、図18に示すRFICモジュール105Bのように、基板1はアンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12の並び方向に長くてもよい。また、第1インダクタL1及び第2インダクタL2の並び方向(X方向)に、これら導体パターンを偏平化してもよい。
図19に示すRFICモジュール105Cでは、第1インダクタL1及び第2インダクタL2を挟む位置にアンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12が配置されている。また、このRFICモジュール105Cのように、アンテナ側第1端子電極11及びアンテナ側第2端子電極12の並び方向の幅に制限がある場合に、第1インダクタL1及び第2インダクタL2を、その並び方向に対する直交方向(Y方向)に偏平化してもよい。