JPWO2021014667A1 - ターボファンエンジンの発電機冷却システム - Google Patents

ターボファンエンジンの発電機冷却システム Download PDF

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Abstract

ターボファンエンジンのホットセクションに配置された発電機及び当該発電機と接続された送電線を、エンジンのレーティングにかかわらず適切に冷却することができるシステムを提供する。システムは、ジャンクションボックスと、ターボファンエンジンのバイパス流路のうちファン出口より下流側の部位から抽出された空気をジャンクションボックスへ供給するためのバイパス空気配管と、ターボファンエンジンのコア流路のうち圧縮機出口より上流側の部位から抽出された空気をジャンクションボックスへ供給するためのコア空気配管と、ジャンクションボックスから発電機が収容された空間まで延びると共に、内部に送電線が収容された冷却空気配管と、を備え、バイパス空気配管及びコア空気配管のそれぞれの下流端には、互いに独立して開閉制御可能なバルブが設けられている。

Description

本開示は、ターボファンエンジンのホットセクションに配置された発電機及び当該発電機と接続された送電線を冷却するためのシステムに関する。
ターボファンエンジンは、最前部に配置されたファンと、ファンの後方にファンと同軸に配置されたコアエンジンとから構成されている。
2軸のターボファンエンジンの場合、コアエンジンは、前部(上流側)から後部(下流側)へ向かって順に、低圧圧縮機、高圧圧縮機、燃焼器、高圧タービン及び低圧タービンを備え、高圧タービンのロータは高圧シャフトを介して高圧圧縮機のロータを、低圧タービンのロータは低圧シャフトを介して低圧圧縮機及びファンのロータを、それぞれ回転駆動する。なお、高圧及び低圧シャフト(メインシャフト)は、いずれも中空のシャフトであり、低圧シャフトは高圧シャフトの内部に配置されている。
ターボファンエンジンの運転中、ファンにより吸引され圧縮された空気の一部はコアエンジンに流入し、ファン及び低圧圧縮機の回転駆動源である低圧タービンを駆動するための高温高圧ガスの発生に寄与し、残部はコアエンジンをバイパスして後方から排出され、推力の大部分の発生に寄与する。
ところで、航空機に搭載されたターボファンエンジンは、エンジン制御装置に加えて、機体に搭載された電気・電子機器に電力を供給するために、メインシャフトから抽出された動力により駆動される発電機を備えている。
従来のターボファンエンジンにおいては、その前部に配置されたフロントフレームの内部に設けられたPTO(Power Take-Off;動力抽出)シャフトを介して、高圧シャフトから動力を抽出し、これを、フロントフレームの近傍(例えば、ファンのケーシングの外側、コアエンジンを包囲するコアカウルの内側(高圧圧縮機のケーシングの外側)など)に配置されたAGB(Accessory Gear Box;補機歯車装置)を介して、当該AGBに取り付けられた発電機に伝達していた。
しかしながら、近年の航空機においては、機体に搭載された電気・電子機器の電力需要が増大する傾向にある。これは、環境負荷の低減、信頼性の向上等を目的として、舵面や降着装置を操作するアクチュエータの駆動源を、エンジン(又は航空機に搭載されたAPU(Auxiliary Power Unit;補助動力装置))の動力により生成された油圧から電気に変更したり、キャビンの空気調和のソースをエンジンから抽出された空気から電動コンプレッサにより生成された空気に変更したりしているためである。
そのため、近年のターボファンエンジンにおいては、増大する電力需要に応えるべく、高圧シャフトの動力により回転駆動される発電機(上述)に加えて、低圧シャフトの動力により回転駆動される発電機の採用が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1が開示するターボファンエンジン(turbo-fan gas turbine engine (10))においては、継手機構(coupling mechanism (44))を介して低圧シャフト(low pressure shaft (24))により駆動される発電機(electric machine (32))が、タービン排気ケース(turbine exhaust case)等の支持構造(support structure (42))に取り付けられたテールコーン(tail cone (30))の内部に配置されている(FIG.2参照)。
ここで、テールコーンは、ターボファンエンジンのホットセクション(燃焼器及びこれよりも下流の部位)に位置しており、その内部は、周囲を流れるタービン排気(通常、最高約600℃)の影響により高温となる。そのため、そこに配置された発電機を過熱による損傷から保護するためには、テールコーンの内部を冷却する必要がある。
特許文献1が開示するターボファンエンジンにおいては、テールコーンに冷却流体入口(cooling fluid inlet (46))及び冷却流体出口(cooling fluid outlet (48))が設けられており、空気のような冷却流体を循環させることにより、テールコーンの内部が冷却されるようになっている。
特許文献1は、上述した冷却流体としての空気の供給源について言及していないが、当該供給源は、ターボファンエンジンの主流流路(作動流体である空気の流路)のうち、エンジンのレーティングにかかわらず、発電機の使用上限温度(例えば、約200℃)を超えない温度の空気を抽出可能な部位とすべきである。そのような部位として、ターボファンエンジンのファン出口(より厳密には、ファン出口案内翼の後縁)が挙げられる。
米国特許第9,003,811号明細書
しかしながら、ターボファンエンジンのファン出口から抽出される空気は、上述したようにその温度は十分に低いものの、エンジンのレーティングが低い場合(例えば、アイドルなど)には、その圧力も低くなり、テールコーンの内部までの供給経路における圧力損失により、十分な流量が供給され得なくなる。その一方で、タービン排気は、エンジンのレーティングが低い場合であっても、発電機の使用上限温度を超える温度となっているため、テールコーンの内部に供給される冷却空気の流量が不足することにより、発電機が過熱して損傷する虞がある。
一方、テールコーンの内部に発電機を配置した場合、エンジン制御装置や機体に搭載された電気・電子機器に電力を供給するための送電線は、ターボファンエンジンのホットセクションを経て敷設されることになるため、外部から加熱されるうえ、上述した電力需要の増大に対応した大電流を送給することにより、大量の熱を発する。したがって、当該送電線も適切に冷却する必要があるが、この点について、特許文献1は言及していない。
本開示は、以上に鑑みてなされたものであって、ターボファンエンジンのホットセクションに配置された発電機及び当該発電機と接続された送電線を、エンジンのレーティングにかかわらず適切に冷却することができるシステムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本開示のシステムは、ジャンクションボックスと、前記ターボファンエンジンのバイパス流路のうちファン出口より下流側の部位から抽出された空気を前記ジャンクションボックスへ供給するためのバイパス空気配管と、前記ターボファンエンジンのコア流路のうち圧縮機出口より上流側の部位から抽出された空気を前記ジャンクションボックスへ供給するためのコア空気配管と、前記ジャンクションボックスから前記発電機が収容された空間まで延びると共に、内部に前記送電線が収容された冷却空気配管と、を備え、前記バイパス空気配管及び前記コア空気配管のそれぞれの下流端には、互いに独立して開閉制御可能なバルブが設けられている。
本開示のシステムによれば、ターボファンエンジンのホットセクションに配置された発電機及び当該発電機と接続された送電線を、エンジンのレーティングにかかわらず適切に冷却することができるという、優れた効果を得ることができる。
本開示の実施形態のシステムを採用したターボファンエンジンの概略断面図である。 本開示の実施形態のシステムにおけるジャンクションボックスの構造を示す一部破断斜視図である。 本開示の実施形態のシステムにおける発電機周りの冷却空気の流れを示す概略図である。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本開示の実施形態のシステムを採用したターボファンエンジン1の概略断面図である。
ターボファンエンジン1は、最前部に配置されたファン2と、ファン2の後方にこれと同軸に配置されたコアエンジン3と、から構成されている。
ファン2は、略円筒状のファンケース21と、ファンケース21の内部において回転可能に支持されたファンロータ(ファンディスク)2Rと、ファンロータ2Rの外周に周方向に等間隔に取り付けられた複数のファンブレード(動翼)22と、後述するバイパス流路20に周方向に等間隔に取り付けられた複数のファン出口案内翼(静翼)23と、を備えている。
ファンケース21は、略円筒状のナセル24によって取り囲まれており、当該ナセル24は、パイロンPを介して、ターボファンエンジン1を搭載する航空機の主翼(図示省略)と連結されている。
コアエンジン3は、略円筒状のコアカウル38によって取り囲まれており、当該コアカウル38は、流線形の断面を有する中空の支柱である上部バイファケーションBU及び下部バイファケーションBLを介して、ナセル24と連結されている。
2軸のターボファンエンジン1の場合、コアエンジン3は、前部(上流側)から後部(下流側)へ向かって順に、低圧圧縮機31、高圧圧縮機32、燃焼器33、高圧タービン34及び低圧タービン35を備え、高圧タービン34のロータ34Rは高圧シャフト36を介して高圧圧縮機32のロータ32Rを、低圧タービン35のロータ35Rは低圧シャフト37を介してファン2のロータ2R及び低圧圧縮機31のロータ31Rを、それぞれ回転駆動する。
なお、高圧シャフト36及び低圧シャフト37は、いずれも中空のシャフトであり、低圧シャフト37は高圧シャフト36の内部に配置されている。
また、低圧タービン35の後方には、ベアリング37Bを介して低圧シャフト37の後端部を回転可能に支持するタービン排気フレーム4が配置されている。タービン排気フレーム4は、径方向外側の環状のアウタリング41と径方向内側の環状のインナリング42とを備え、両リングは、周方向に等間隔に配置された複数の中空のストラット(支柱)43によって連結されている。アウタリング41は、その前端において低圧タービン35のケーシング35Cに連結されており、インナリング42は、その後端において略円錐状のテールコーン44を支持している。テールコーン44は、少なくともその一部が、後述するコアノズル39の流路の径方向内側境界を画定している。
ターボファンエンジン1の運転中、ファン2のファンブレード22により吸入され圧縮された空気の一部はコアエンジン3の環状のコア流路30に流入し、残部はナセル24とコアカウル38の間に形成された環状のバイパス流路20に流入する。
コア流路30に流入した空気は、低圧圧縮機31及び高圧圧縮機32において順次圧縮された後、燃焼器33に流入する。燃焼器33において燃料の燃焼により発生した燃焼ガスは、高圧タービン34及び低圧タービン35において順次膨張し、コアノズル39を経て排出される。
バイパス流路20に流入した空気は、ファン出口案内翼23を通過する際に静圧が回復すると共に旋回速度成分が除去された後、バイパスノズル25を経て排出され、推力の大部分の発生に寄与する。
本開示の実施形態のシステムを採用したターボファンエンジン1においては、テールコーン44の内部に、発電機Gが配置されている。より厳密には、発電機Gは、タービン排気によって加熱されたテールコーン44からの放射入熱を遮蔽するためのヒートシールド45の内部に配置されている。なお、テールコーン44及びヒートシールド45のそれぞれの後端部には、後述する冷却空気配管61を経て供給される冷却空気を排出するために、それぞれテールコーン排気孔44A及びヒートシールド排気孔45Aが設けられている。
発電機Gの入力軸は低圧シャフト37の後端と連結されており、当該低圧シャフト37によって回転駆動される。なお、発電機Gの入力軸と低圧シャフト37は、直接的に連結されてもよいし、継手機構を介して連結されてもよい。
また、図示された実施例においては、ナセル24内のファンケース21の外周にコンバータCが配置されており、発電機GとコンバータCは送電線50を介して接続されている。なお、発電機Gは3相交流を発生させるように構成されており、発電機GとコンバータCは、各相に対応する3本の送電線50を介して接続されている(図では、1本の送電線50のみを示している)。
送電線50は、図1においては概略的に示されているが、発電機Gが配置されているテールコーン44の内部から、タービン排気フレーム4の中空のストラット43の内部を経てコアカウル38の内部の空間に入り、低圧タービン35のケーシング35Cの外周、高圧タービン34のケーシング34Cの外周及び燃焼器33のケーシング33Cの外周を順次経て、後述するジャンクションボックス60に至る送電線51と、ジャンクションボックス60から中空の上部バイファケーションBUの内部を経てナセル24の内部の空間に入り、コンバータCに至る送電線52とから成っている。
送電線51は、ターボファンエンジン1のホットセクション(燃焼器33及びこれよりも下流に位置する相対的に高温の部位)に敷設されているため、以下においては高温部送電線51と称することにする。また、送電線52は、ターボファンエンジン1のコールドセクション(ホットセクションを除く相対的に低温の部位)に敷設されているため、以下においては低温部送電線52と称することにする。
高温部送電線51は、上述したように、ターボファンエンジン1のホットセクションに敷設されているため、低圧タービン35のケーシング35C、高圧タービン34のケーシング34C及び燃焼器33のケーシング33Cからの入熱により加熱されるうえ、大電流の送給に伴って大量の熱を発するため、適切に冷却する必要がある。また、テールコーン44の内部に配置された発電機Gも、コアノズル39を通過するタービン排気の影響により高温となるため、適切に冷却する必要がある。
そこで、本開示の実施形態のシステムにおいては、テールコーン44の内部に冷却空気を供給するための冷却空気配管61が設けられると共に、高温部送電線51が当該冷却空気配管61の内部に収容されている。
冷却空気配管61は、高圧圧縮機32のケーシング32Cの外周(コールドセクション)に配置されたジャンクションボックス60から、燃焼器33のケーシング33Cの外周、高圧タービン34のケーシング34Cの外周及び低圧タービン35のケーシング35Cの外周を順次経てタービン排気フレーム4の外周に至り、そこからタービン排気フレーム4の中空のストラット43の内部を経て、テールコーン44内のヒートシールド45の内部にまで達している。
一方、ジャンクションボックス60には、バイパス流路20のうちファン出口(より厳密には、ファン出口案内翼23の後縁)より下流側の部位から空気(ファン出口空気又はバイパス空気)を抽出してジャンクションボックス60に供給するためのバイパス空気配管62と、コア流路30のうち高圧圧縮機32の出口より上流側から空気(コア空気)を抽出してジャンクションボックス60に供給するためのコア空気配管63とが接続されている。
そして、バイパス空気配管62及びコア空気配管63の下流端(ジャンクションボックス60との接続部位の直上流)には、それぞれ互いに独立して開閉制御可能なバイパス空気オン/オフ弁62V及びコア空気オン/オフ弁63Vが配置されている。これらのオン/オフ弁62V及び63V(バルブ)は、後述するように、ターボファンエンジン1の運転条件に応じて、一方が開き(オン状態)、他方が閉じる(オフ状態)ように制御される。
コア空気配管63は、圧縮機(低圧圧縮機31及び高圧圧縮機32)のケーシングのうち、高圧圧縮機32の出口より上流側に位置する部位に設けられた抽気口(図示省略)に接続されており、コア空気は当該抽気口を経て抽出される。抽気口が設けられる部位は、コア空気オン/オフ弁63Vが開くターボファンエンジン1の運転条件において、当該抽気口からジャンクションボックス60を経て冷却空気配管61に供給されるコア空気が、発電機G及び高温部送電線51を許容上限温度以下に保つための要件(圧力及び温度)を満たすような部位とされる。具体的には、より低温の空気を抽出するためにはより上流側に抽気口を設けることが望ましいが、(コア空気配管63及び冷却空気配管61における管路抵抗に抗して)より大きな流量の空気を抽出するためにはより下流側に抽気口を設けることが望ましいため、抽気口が設けられる部位は、これらのトレードオフを通じて決定される。
図2は、本開示の実施形態のシステムにおけるジャンクションボックス60の構造を示す一部破断斜視図である。
ジャンクションボックス60は、平面視において等脚台形(前部)と長方形(後部)が組み合わされた形状を有する中空の筐体64と、筐体64の内部に配置された整流板65と、筐体64の上面壁64Uに配置された低温部送電線導出ポート66とを備えている。
また、筐体64の前面壁64F及び下面壁64Lには、それぞれ貫通孔が設けられており、当該貫通孔には、それぞれ上述したバイパス空気オン/オフ弁62V及びコア空気オン/オフ弁63Vが接続されている。
図示した実施例においては、筐体64の後面壁64Rに3つの貫通孔が設けられており、これらの貫通孔に3本の冷却空気配管61が接続されている。
また、各冷却空気配管61の内部には、それぞれ1本の高温部送電線51が収容されている。これら合計3本の高温部送電線51は、発電機Gで発生した3相交流の各相に対応して設けられたものである。また、3本の高温部送電線51は、発電機GからコンバータCへ大電流を送給する必要があることから、銅製の棒に絶縁コーティングを施したバスバーとして構成されている。
上述した3本の高温部送電線51に対応して、筐体64の上面壁64Uに配置された低温部送電線導出ポート66からは、3本の低温部送電線52が導出されている。3相交流の各相の高温部送電線51と低温部送電線52は、図示は省略しているが、ジャンクションボックス60の筐体64の内部で接続されている。なお、両送電線は、直接的に接続されてもよいし、筐体64の内部に配置された端子盤を介して接続されてもよい。
ジャンクションボックス60には、後述するように、バイパス空気オン/オフ弁62V及びコア空気オン/オフ弁63Vのいずれか一方を経て、バイパス空気(ファン出口空気)又はコア空気が流入するが、流入した空気を3本の冷却空気配管61に均等に分配するために、筐体64の内部には2枚の整流板65が配置されている。これらの整流板65は、筐体64の内部において後面壁64Rから前面壁64Fに向かって、コア空気オン/オフ弁63Vが接続された貫通孔の近傍まで延びている。
図3は、本開示の実施形態のシステムにおける発電機周りの冷却空気の流れを示す概略図である。
発電機Gは、低圧シャフト37と連結された発電機ロータ(回転子)GRと、当該発電機ロータGRの外周を取り囲むように配置された有底円筒状の発電機ステータ(固定子)GSとから成っており、その外周を上述したヒートシールド45が取り囲んでいる。
ヒートシールド45の前部には貫通孔が設けられており、当該貫通孔には、タービン排気フレーム4の中空のストラット43の内部に配置された冷却空気配管61の末端(下流端)が差し込まれている。また、当該冷却空気配管61の内部に収容された高温部送電線51の末端が、ヒートシールド45の内部において、発電機ステータGSの前面と接続されている。更に、有底円筒状の発電機ステータGSの底部に相当する後壁GSRには貫通孔が設けられ、当該貫通孔にはチェックバルブCVが取り付けられている。
冷却空気配管61を経て供給された冷却空気は、ヒートシールド45の内部の空間に流入した後、矢印Fで示すように、発電機ロータGRと発電機ステータGSの間に形成された環状の間隙を通過し、その際に発電機ロータGR及び発電機ステータGSを冷却する。その後、冷却空気は、発電機ステータGSの後壁GSRに取り付けられたチェックバルブCV、ヒートシールド排気孔45A、テールコーン排気孔44Aを順次経て、外部に排出される。チェックバルブCVは、冷却空気の逆流(更には、テールコーン排気孔44A及びヒートシールド排気孔45Aを経てタービン排気が侵入すること)を防止するために設けられている。
なお、図3においては1本の冷却空気配管61(及び高温部送電線51)のみを示しているが、上述したように、発電機Gで発生した3相交流の各相に対応して、冷却空気配管61(及び高温部送電線51)は3本設けられている。ここで、冷却空気配管61が通過するタービン排気フレーム4のストラット43の中空部の寸法は、特にターボファンエンジン1の周方向において比較的小さいため、2本以上の冷却空気配管61を通過させることは通常は不可能である。そのため、それぞれの冷却空気配管61(及び高温部送電線51)は、例えば連続して隣り合う3つのストラット43の内部に配置される。この場合、ヒートシールド45の内部の空間からストラット43の内部を経てコアカウル38の内部の空間に入った3本の冷却空気配管61(及び高温部送電線51)は、低圧タービン35のケーシング35Cの外周、高圧タービン34のケーシング34Cの外周及び燃焼器33のケーシング33Cの外周を順次経る際に、周方向において互いに接近し集合するように敷設され、ジャンクションボックス60に至る。
以上のように構成された本開示の実施形態のシステムの作動態様について、以下で説明する。
ここで、ファン出口空気(バイパス空気)の圧力が、バイパス空気配管62及び冷却空気配管61における管路抵抗に抗して十分な流量の空気をテールコーン44の内部に供給するために必要な下限値となるターボファンエンジン1のレーティングを、抽気切り換えレーティング(所定の下限レーティング)と称することにする。
本開示の実施形態のシステムは、ターボファンエンジン1が、抽気切り換えレーティング及びこれよりも高いレーティングで運転されている場合は、バイパス空気オン/オフ弁62Vが開かれ、コア空気オン/オフ弁63Vは閉じられる。このとき、ジャンクションボックス60には、バイパス空気配管62を経てバイパス空気のみが流入し、当該バイパス空気は、冷却空気配管61を経てテールコーン44の内部に供給され、高温部送電線51及び発電機Gを冷却する。冷却に供されたバイパス空気は、その後、上述したように、発電機ステータGSの後壁GSRに取り付けられたチェックバルブCV、ヒートシールド排気孔45A、テールコーン排気孔44Aを順次経て、外部に排出される。
一方、ターボファンエンジン1が、抽気切り換えレーティングよりも低いレーティングで運転されている場合は、コア空気オン/オフ弁63Vが開かれ、バイパス空気オン/オフ弁62Vは閉じられる。このとき、ジャンクションボックス60には、コア空気配管63を経てコア空気のみが流入し、当該コア空気は、冷却空気配管61を経てテールコーン44の内部に供給され、高温部送電線51及び発電機Gを冷却する。冷却に供されたバイパス空気は、その後、上述したように、発電機ステータGSの後壁GSRに取り付けられたチェックバルブCV、ヒートシールド排気孔45A、テールコーン排気孔44Aを順次経て、外部に排出される。なお、コア空気配管63を経てジャンクションボックス60に流入したコア空気が、バイパス空気配管62を逆流してバイパス流路20に流出することを確実に防止するために、バイパス空気配管62のうちバイパス空気オン/オフ弁62Vより上流側の部位に、チェックバルブを設けてもよい。
このように、本開示の実施形態のシステムによれば、ターボファンエンジン1が相対的に高いレーティングで運転されている場合は、高温部送電線51及び発電機Gを冷却するための空気としてファン出口空気(バイパス空気)のみが抽出され、コア空気は抽出されないので、エンジン性能の低下を抑制することができる。一方、ターボファンエンジン1が相対的に低いレーティングで運転されている場合は、ファン出口空気(バイパス空気)によって高温部送電線51及び発電機Gを十分に冷却することができないため、これらを冷却するための空気としてコア空気が用いられる。これにより、ターボファンエンジン1が如何なるレーティングで運転されている場合であっても、高温部送電線51及び発電機Gを適切に冷却することが可能となる。
なお、以上においては、バイパス空気オン/オフ弁62V及びコア空気オン/オフ弁63Vの切り換え(開閉)を、ターボファンエンジン1のレーティングに基づいて行う場合について説明したが、当該切り換えは、ファン出口空気の圧力を検出するセンサの出力信号に基づいて行われてもよい。この場合、センサにより検出されたファン出口空気の圧力が所定の下限値以上である場合は、バイパス空気オン/オフ弁62Vが開かれ、コア空気オン/オフ弁63Vは閉じられる。一方、センサにより検出されたファン出口空気の圧力が所定の下限値未満である場合は、コア空気オン/オフ弁63Vが開かれ、バイパス空気オン/オフ弁62Vは閉じられる。
また、以上においては、冷却空気配管61(及び高温部送電線51)が3本設けられる場合について説明したが、これらの配管及び送電線の数は、任意である。更に、以上においては、発電機Gに接続された送電線50が、ナセル24内のファンケース21の外周に配置されたコンバータCと接続される場合について説明したが、送電線50を介して発電機Gと接続される電気機器及びその配置は、任意である。ただし、当該電気機器は、ターボファンエンジン1のコールドセクション又はパイロンP及びこれよりも機体側に配置される。
(本開示の態様)
本開示の第1の態様のシステムは、ジャンクションボックスと、前記ターボファンエンジンのバイパス流路のうちファン出口より下流側の部位から抽出された空気を前記ジャンクションボックスへ供給するためのバイパス空気配管と、前記ターボファンエンジンのコア流路のうち圧縮機出口より上流側の部位から抽出された空気を前記ジャンクションボックスへ供給するためのコア空気配管と、前記ジャンクションボックスから前記発電機が収容された空間まで延びると共に、内部に前記送電線が収容された冷却空気配管と、を備え、前記バイパス空気配管及び前記コア空気配管のそれぞれの下流端には、互いに独立して開閉制御可能なバルブが設けられている。
本開示の第2の態様のシステムにおいて、前記発電機は、タービン排気フレームによって支持されたテールコーンの内部に配置され、前記ジャンクションボックスは、高圧圧縮機のケーシングの外周に配置されており、前記冷却空気配管は、前記ジャンクションボックスから前記発電機が収容された空間まで至る経路上で、前記タービン排気フレームの中空のストラットの内部を通過する。
本開示の第3の態様のシステムにおいて、前記ターボファンエンジンのレーティングが所定の下限レーティング以上である場合は、前記バイパス空気配管の下流端に設けられた前記バルブが開かれる一方、前記コア空気配管の下流端に設けられた前記バルブは閉じられ、前記ターボファンエンジンのレーティングが所定の下限レーティング未満である場合は、前記コア空気配管の下流端に設けられた前記バルブが開かれる一方、前記バイパス空気配管の下流端に設けられた前記バルブは閉じられる。
1 ターボファンエンジン
4 タービン排気フレーム
20 バイパス流路
32C 高圧圧縮機のケーシング
43 ストラット
44 テールコーン
50 送電線
51 高温部送電線
52 低温部送電線
60 ジャンクションボックス
61 冷却空気配管
62 バイパス空気配管
62V バイパス空気オン/オフ弁(バルブ)
63 コア空気配管
63V コア空気オン/オフ弁(バルブ)
G 発電機

Claims (3)

  1. ターボファンエンジンのホットセクションに配置された発電機及び当該発電機と接続された送電線を冷却するためのシステムであって、
    ジャンクションボックスと、
    前記ターボファンエンジンのバイパス流路のうちファン出口より下流側の部位から抽出された空気を前記ジャンクションボックスへ供給するためのバイパス空気配管と、
    前記ターボファンエンジンのコア流路のうち圧縮機出口より上流側の部位から抽出された空気を前記ジャンクションボックスへ供給するためのコア空気配管と、
    前記ジャンクションボックスから前記発電機が収容された空間まで延びると共に、内部に前記送電線が収容された冷却空気配管と、を備え、
    前記バイパス空気配管及び前記コア空気配管のそれぞれの下流端には、互いに独立して開閉制御可能なバルブが設けられている、システム。
  2. 前記発電機は、タービン排気フレームによって支持されたテールコーンの内部に配置され、
    前記ジャンクションボックスは、高圧圧縮機のケーシングの外周に配置されており、
    前記冷却空気配管は、前記ジャンクションボックスから前記発電機が収容された空間まで至る経路上で、前記タービン排気フレームの中空のストラットの内部を通過する、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記ターボファンエンジンのレーティングが所定の下限レーティング以上である場合は、前記バイパス空気配管の下流端に設けられた前記バルブが開かれる一方、前記コア空気配管の下流端に設けられた前記バルブは閉じられ、
    前記ターボファンエンジンのレーティングが所定の下限レーティング未満である場合は、前記コア空気配管の下流端に設けられた前記バルブが開かれる一方、前記バイパス空気配管の下流端に設けられた前記バルブは閉じられる、請求項1又は2に記載のシステム。
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