JPWO2020213041A1 - 導光棒付き視線誘導標、及びガードケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】 屋外で長期間使用しても発光性能が低下し難く、しかも、施工も容易で巻き付け後の弛みも生じ難い導光棒付き視線誘導標、及びそれを用いたガードケーブルを提供すること。【解決手段】 複数のストランドを撚って形成されたロープ部材と;このロープ部材外周のストランド間に形成される螺旋状の谷間部に密着した状態で巻き付けられた、アクリル系樹脂を主材とするコア層とフッ素系樹脂を主材とするクラッド層とを備えた周面発光型の導光棒と;この導光棒の端部に装着される光源装置とから視線誘導標を構成すると共に、前記導光棒の促進耐候性試験機による試験時間1000時間での輝度変化量を±10%の範囲内、色度[x,y]の各数値の変化量を±0.02の範囲内とし、更に前記導光棒の-20℃雰囲気下における曲げ弾性率を0.5〜5.0×103MPaとし、更に前記ロープ部材を、撚り角10°〜20°の範囲でストランドを撚って形成して、螺旋状の谷間部をピッチ100mm〜200mmの範囲で均一に形成した。【選択図】 図1
Description
本発明は、視線誘導標の改良、詳しくは、ロープ部材に巻き付けた状態で線状に発光させて視線誘導を行うことができ、また屋外で長期間使用しても発光性能が低下し難く、しかも、巻き付け後の弛みも生じ難い導光棒付き視線誘導標、及びそれを用いたガードケーブルに関するものである。
周知のとおり、高速道路等においては、支柱にワイヤーロープを張った防護柵(所謂ガードケーブル)が路肩や中央分離帯に設置されていることが多い。しかしながら、ガードケーブルは、暗い中で支柱間のワイヤーロープを視認し難いため、夜間走行中に運転手がワイヤーロープを見落として接触などの事故を招く危険がある。
そこで、従来においては、ガードケーブルのワイヤーロープのストランド間に形成された谷間に沿って蛍光性の線状体を螺旋状に巻き付ける技術が公知となっているが(特許文献1参照)、この従来技術に関しては、線状体の発光量に限界があったため、ガードケーブルに充分な視線誘導効果を付与することが難しいという問題がある。
一方、従来においては、ガードケーブルのワイヤーロープ自体に蛍光性のストランドを使用する技術も公知となっているが(特許文献2参照)、この従来技術に関しても上記と同様、発光量の問題があるだけでなく、既存のガードケーブルに適用する場合、ワイヤーロープを全て張り替える必要があるため、手間やコストがかかる。
他方、上記発光量の問題を解決するために、点発光するランプが所定間隔で付設されたロープ(LEDロープライト等)をワイヤーロープに沿って支柱間に張る方法も考えられるが、その方法の場合、通電する光源自体を張ると共に屋外に露出させる必要があるため、風雨や劣化等によって光源の故障が起こり易いという問題がある。
また従来においては、支柱上部に所定の間隔で設置されるLED式の自発光視線誘導標(デリネーター)も知られているが、このタイプの視線誘導標は断続的な点状発光であったため、走行中の運転手に対し正面発光によるグレア(眩輝)が生じてしまい、充分な視線誘導効果と安全性が得られず改善の余地があった。
本発明は、上記問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、ロープ部材に巻き付けた状態で線状に発光させて夜間または暗所での視線誘導を行うことができ、また屋外で長期間使用しても発光性能が低下し難く、しかも、施工も容易で巻き付け後の弛みも生じ難い導光棒付き視線誘導標、及びそれを用いたガードケーブルを提供することにある。
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
即ち、本発明は、屋外で使用される、複数のストランドSを撚って形成されたロープ部材3と;このロープ部材3外周のストランドS・S間に形成される螺旋状の谷間部Vに密着した状態で巻き付けられた、アクリル系樹脂を主材とするコア層11とフッ素系樹脂を主材とするクラッド層12とを備えた周面発光型の導光棒1と;この導光棒1の端部に装着される光源装置2とから導光棒付き視線誘導標を構成すると共に、前記導光棒1の促進耐候性試験機による試験時間1000時間での輝度変化量を±10%の範囲内、色度[x,y]の各数値の変化量を±0.02の範囲内とし、更に前記導光棒1の-20℃雰囲気下における曲げ弾性率を0.5〜5.0×103MPaとし、更に前記ロープ部材3を、撚り角10°〜20°の範囲でストランドS・S…を撚って形成して、螺旋状の谷間部Vをピッチ100mm〜200mmの範囲で均一に形成した点に特徴がある。
また上記導光棒1については、曲げ弾性率と導光性能を両立するためにコア層11に硬質アクリル系樹脂にアクリル系エラストマーを混合した材料を使用すると共に、その混合比率を95:5〜70:30の範囲内とするのが好ましい。
また上記導光棒1については、充分な耐候性を得るためにクラッド層(12)の主材100重量部に対し、紫外線吸収作用を有する酸化チタンを光散乱剤として0.01〜5重量部添加するのが好ましい。
また上記導光棒1については、ロープ部材3に巻き付けられた導光棒1の端部に、駆動電流30mA、光度20000mcd、指向特性20°の光源装置2から光を入射した際における光源装置2から4m離れた部位の導光棒1の発光輝度が3cd/m2以上のものを使用することが好ましい。
また上記導光棒付き視線誘導標については、所定間隔で路上に設置された複数の支柱5と組み合わせてガードケーブルG(本明細書中では側道に設置されたものだけでなく中央分離帯に設置されたものも含む)を構成することができ、その場合には、前記支柱5・5間にロープ部材3を張設すると共に、光源装置2を周面発光型の導光棒1の端部に装着した状態で支柱5に取り付ける。
本発明の導光棒付き視線誘導標は、耐候性に優れた周面発光型導光棒を使用しているため、光源装置から導光棒に光を入射して導光棒を線状に発光させることができるだけでなく、屋外用途のロープ部材(ガードケーブルや船舶係留用ロープ等)に巻き付けて使用する場合でもその発光性能を長期間維持することができる。
また本発明では、適度な曲げ弾性を有する導光棒を使用しているため、導光棒を破損させることなくスムーズにロープ部材に巻き付けることができ、また巻き付け後の弛みも生じ難いため、導光棒をロープ部材に密着させた状態を維持できる。また本発明では、光源装置によって導光棒の発光色の選択や発光量を調節することで視線誘導を効果的に行うことができる。
したがって、本発明により、夜間や暗所での視認誘導機能に優れるだけでなく、施工性や屋外使用時の耐候性の面でも有利な導光棒付き視線誘導標を提供できることから、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
『第一実施形態』
次に、本発明の第一実施形態について図1〜図2に基づいて説明する。なお図中、符号1で指示するものは、周面発光型の導光棒であり、符号2で指示するものは、光源装置である。また符号3で指示するものは、ロープ部材であり、また符号Dで指示するものは、導光棒付き視線誘導標である。
次に、本発明の第一実施形態について図1〜図2に基づいて説明する。なお図中、符号1で指示するものは、周面発光型の導光棒であり、符号2で指示するものは、光源装置である。また符号3で指示するものは、ロープ部材であり、また符号Dで指示するものは、導光棒付き視線誘導標である。
「導光棒付き視線誘導標の構成」
[1]導光棒付き視線誘導標の基本構成について
本実施形態では、図1(a)(b)及び図2(a)(b)に示すように周面発光型の導光棒1の端部に光源装置2を装着し、導光棒1を複数のストランドSを撚って形成されたロープ部材3に巻き付けて固定することで導光棒付き視線誘導標Dを構成している。また導光棒1は、ロープ部材3外周のストランドS・S間に形成される螺旋状の谷間部Vに密着した状態で巻き付けている。
[1]導光棒付き視線誘導標の基本構成について
本実施形態では、図1(a)(b)及び図2(a)(b)に示すように周面発光型の導光棒1の端部に光源装置2を装着し、導光棒1を複数のストランドSを撚って形成されたロープ部材3に巻き付けて固定することで導光棒付き視線誘導標Dを構成している。また導光棒1は、ロープ部材3外周のストランドS・S間に形成される螺旋状の谷間部Vに密着した状態で巻き付けている。
また上記導光棒1については、図2(a)(b)に示すように中心部のコア層11の外周にクラッド層12を形成して構成すると共に、コア層11の主材にアクリル系樹脂を、クラッド層12の主材にフッ素系樹脂を使用している。また導光棒1は、促進耐候性試験機による試験時間1000時間での輝度変化量が±10%の範囲内、色度[x,y]の各数値の変化量が±0.02の範囲内となるように構成し、曲げ性能についても、-20℃雰囲気下における曲げ弾性率が0.5〜5.0×103MPaとなるように全体を構成している。
また上記ロープ部材3には、撚り角10°〜20°の範囲でストランドS・S…を撚って形成し、螺旋状の谷間部Vがピッチ100mm〜200mmの範囲で均一に形成されたものを使用している。これにより、ロープ部材3に巻き付けた所定の曲げ弾性率の導光棒1が弛んで下側に垂れる問題を防止できる。また視線誘導標Dを屋外で使用した場合でも、導光棒1の耐候性が優れているため、短期間で発光性能が低下する等の問題も生じない。
[2]導光棒について
[2-1]コア層の材料
次に上記導光棒付き視線誘導標Dの各構成要素について説明する。まず上記導光棒1については、本実施形態ではコア層11の材料に硬質アクリル系樹脂にアクリル系エラストマーを混合したものを使用している。これによって導光棒1をより均一に発光させることができるだけでなく、ロープ部材2に巻き付けが容易で、かつ、弛みが生じ難い適度な柔軟性を付与できる。また硬質アクリル系樹脂とアクリル系エラストマーの混合比率は95:5〜70:30とするのが好ましい。
[2-1]コア層の材料
次に上記導光棒付き視線誘導標Dの各構成要素について説明する。まず上記導光棒1については、本実施形態ではコア層11の材料に硬質アクリル系樹脂にアクリル系エラストマーを混合したものを使用している。これによって導光棒1をより均一に発光させることができるだけでなく、ロープ部材2に巻き付けが容易で、かつ、弛みが生じ難い適度な柔軟性を付与できる。また硬質アクリル系樹脂とアクリル系エラストマーの混合比率は95:5〜70:30とするのが好ましい。
また上記コア層11の硬質アクリル系樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸イソブチルまたはポリメタクリル酸n−ブチルの1種または複数種を好適に使用できる。なお本明細書中においては、ガラス転移温度(Tg)が常温(25℃)以上のアクリル系樹脂を「硬質アクリル系樹脂」とする。
また上記コア層11のアクリル系エラストマーとしては、熱可塑性エラストマーであるメタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルのブロック共重合体(MMA−BAブロック共重合体)、またはアクリル酸メチルとアクリル酸ブチルのブロック共重合体の1種または複数種を好適に使用できる。
[2-2]コア層の形状
また上記コア層11の形状に関しては、本実施形態では図1に示すように断面形状が円形状のものを使用しているが、コア層11の断面形状は、図3(a)(b)に示すようにかまぼこ型の半楕円形状やロープ部材2の谷間部32に嵌合する形状、その他、楕円形状や半円形状、多角形状等を採用することもできる。
また上記コア層11の形状に関しては、本実施形態では図1に示すように断面形状が円形状のものを使用しているが、コア層11の断面形状は、図3(a)(b)に示すようにかまぼこ型の半楕円形状やロープ部材2の谷間部32に嵌合する形状、その他、楕円形状や半円形状、多角形状等を採用することもできる。
[2-3]クラッド層の材料
また上記導光棒1のクラッド層12の主材料としては、フッ素系樹脂であるエチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体(ETFE)、ヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(EFEP)、またはポリフッ化ビニリデンの1種または複数種を好適に使用できる。このようにクラッド層12の主材料に摩擦係数の小さいフッ素系樹脂を使用することで、ロープ部材2に引っ掛かりなく巻き付けることができる。
また上記導光棒1のクラッド層12の主材料としては、フッ素系樹脂であるエチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体(ETFE)、ヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(EFEP)、またはポリフッ化ビニリデンの1種または複数種を好適に使用できる。このようにクラッド層12の主材料に摩擦係数の小さいフッ素系樹脂を使用することで、ロープ部材2に引っ掛かりなく巻き付けることができる。
[2-4]クラッド層の形状
また上記クラッド層12の形状に関しては、コア層11の外周に所定の厚みで形成されていればよく、本実施形態のように一層から構成しても、図3(c)に示すように複数のクラッド層12から構成してもよい。またクラッド層12の厚みに関しては、0.1mm〜1.0mmの範囲とするのが好ましい。
また上記クラッド層12の形状に関しては、コア層11の外周に所定の厚みで形成されていればよく、本実施形態のように一層から構成しても、図3(c)に示すように複数のクラッド層12から構成してもよい。またクラッド層12の厚みに関しては、0.1mm〜1.0mmの範囲とするのが好ましい。
[2-5]光散乱剤
また本実施形態では、クラッド層12の材料に紫外線吸収作用を有する光散乱剤を添加して耐候性を高めている。具体的には、本実施形態では粉末状の酸化チタンを光散乱剤として、クラッド層12の主材100重量部に対し、0.01〜5重量部添加している。なお光散乱剤としては、酸化チタン以外の硫酸バリウム等を使用することもできる。また光拡散剤は、クラッド層12だけでなくコア層11に対して添加することもできる。
また本実施形態では、クラッド層12の材料に紫外線吸収作用を有する光散乱剤を添加して耐候性を高めている。具体的には、本実施形態では粉末状の酸化チタンを光散乱剤として、クラッド層12の主材100重量部に対し、0.01〜5重量部添加している。なお光散乱剤としては、酸化チタン以外の硫酸バリウム等を使用することもできる。また光拡散剤は、クラッド層12だけでなくコア層11に対して添加することもできる。
[2-6]導光棒の耐候性
また上記導光棒1の耐候性に関しては、促進耐候性試験機(サンシャインウェザーメーター)による試験時間1000時間での輝度変化量±10%の範囲内(好ましくは±5%の範囲内)、色度[x,y]の各数値の変化量が±0.02の範囲内(好ましくは±0.01の範囲内)となるようにするのが好ましい。なお導光棒1の促進耐候性試験は、鋼製ワイヤーロープに巻き付けた状態でも同様の結果が得られた。これにより長期間屋外で使用する場合でも、発光量の著しい低下や変色等の問題が生じない。
また上記導光棒1の耐候性に関しては、促進耐候性試験機(サンシャインウェザーメーター)による試験時間1000時間での輝度変化量±10%の範囲内(好ましくは±5%の範囲内)、色度[x,y]の各数値の変化量が±0.02の範囲内(好ましくは±0.01の範囲内)となるようにするのが好ましい。なお導光棒1の促進耐候性試験は、鋼製ワイヤーロープに巻き付けた状態でも同様の結果が得られた。これにより長期間屋外で使用する場合でも、発光量の著しい低下や変色等の問題が生じない。
[2-7]導光棒の曲げ弾性率
また上記導光棒1の曲げ弾性率に関しては、-20℃雰囲気下における曲げ弾性率が0.5〜5.0×103MPa(より好ましくは2.0〜4.0×103MPa)となるようにするのが好ましい。これにより寒冷地においても、ロープ部材Lに対する導光棒1の巻き付けをスムーズに行うことができ、また巻き付け後の導光棒1に弛みも生じ難くなる。なお曲げ弾性率が大き過ぎると、導光棒1を曲げながらロープ部材Lに巻き付けることが難しくなり、無理に巻き付けると導光棒1が弾性限界を超えて破断する。一方、曲げ弾性率が小さ過ぎると、巻き付け後に導光棒1が弛み易くなる。
また上記導光棒1の曲げ弾性率に関しては、-20℃雰囲気下における曲げ弾性率が0.5〜5.0×103MPa(より好ましくは2.0〜4.0×103MPa)となるようにするのが好ましい。これにより寒冷地においても、ロープ部材Lに対する導光棒1の巻き付けをスムーズに行うことができ、また巻き付け後の導光棒1に弛みも生じ難くなる。なお曲げ弾性率が大き過ぎると、導光棒1を曲げながらロープ部材Lに巻き付けることが難しくなり、無理に巻き付けると導光棒1が弾性限界を超えて破断する。一方、曲げ弾性率が小さ過ぎると、巻き付け後に導光棒1が弛み易くなる。
[2-8]導光棒の発光性能
また本実施形態では、上記導光棒1に、ロープ部材3に巻き付けられた導光棒1の端部に、駆動電流30mA、光度20000mcd、指向特性20°の光源装置2から光を入射した際における光源装置2から4m離れた部位の導光棒1の発光輝度が3cd/m2以上のものを使用している。
また本実施形態では、上記導光棒1に、ロープ部材3に巻き付けられた導光棒1の端部に、駆動電流30mA、光度20000mcd、指向特性20°の光源装置2から光を入射した際における光源装置2から4m離れた部位の導光棒1の発光輝度が3cd/m2以上のものを使用している。
[3]光源装置について
また上記光源装置2に関しては、本実施形態では単色のLED光源を使用しているが、用途に応じて単色発光型のものだけでなく複数色発光型のものを使用することもできる。また光源装置2は、導光棒1の一端にだけでなく両端に装着することもでき、またLED光源以外のLDやSLD、ハロゲンランプ等を使用することもできる。また光源装置2を接続する電源については、AC電源であってもDC電源であってもよく、屋外で使用する場合には太陽電池を使用することもできる。
また上記光源装置2に関しては、本実施形態では単色のLED光源を使用しているが、用途に応じて単色発光型のものだけでなく複数色発光型のものを使用することもできる。また光源装置2は、導光棒1の一端にだけでなく両端に装着することもでき、またLED光源以外のLDやSLD、ハロゲンランプ等を使用することもできる。また光源装置2を接続する電源については、AC電源であってもDC電源であってもよく、屋外で使用する場合には太陽電池を使用することもできる。
[4]ロープ部材について
また上記導光棒1を巻き付けるロープ部材3に関しては、本実施形態では金属製のワイヤーロープを使用しているが、炭素繊維製のワイヤーロープ、アラミド繊維製のワイヤーロープ、これらを組み合わせたものを好適に使用することができる。またワイヤーロープ以外にも、天然繊維や合成樹脂繊維から成る紐や綱をロープ部材3として使用することもできる。
また上記導光棒1を巻き付けるロープ部材3に関しては、本実施形態では金属製のワイヤーロープを使用しているが、炭素繊維製のワイヤーロープ、アラミド繊維製のワイヤーロープ、これらを組み合わせたものを好適に使用することができる。またワイヤーロープ以外にも、天然繊維や合成樹脂繊維から成る紐や綱をロープ部材3として使用することもできる。
また上記ロープ部材3に関しては、本実施形態では図1(a)(b)に示すように金属線を束ねた3本のストランドS・S…を撚って形成した直径18mm(好ましくは5mm〜50mm)のワイヤーロープを使用しているが、ストランドSの太さや本数、撚り数は任意に変更することができる。なおストランドSの太さや本数、撚り数によって、形成される谷間部Vの数や深さ、幅、螺旋のピッチが変わるため、使用する導光棒1の本数や太さ、可撓性を使用するロープ部材3に対応させる必要がある。
[5]導光棒の固定手段について
また本実施形態では、上記導光棒1をロープ部材3に対してリング状の固定具4によって固定しているが、ベルト状の固定具4を導光棒1・1…の上からロープ部材3に巻き付けて固定することもできる。また導光棒1の固定手段としては、固定具4を用いる方法以外にも接着等の手段を採用することもできる。
また本実施形態では、上記導光棒1をロープ部材3に対してリング状の固定具4によって固定しているが、ベルト状の固定具4を導光棒1・1…の上からロープ部材3に巻き付けて固定することもできる。また導光棒1の固定手段としては、固定具4を用いる方法以外にも接着等の手段を採用することもできる。
[6]用途について
また上記ロープ部材用視線誘導標の用途としては、ガードケーブル用ロープ(詳しくは後述する)や船舶係留用ロープ、建築現場等に使用される足場用ロープ、イルミネーション用ロープ、農業分野で使用される害獣侵入防止用ロープを始めとして屋外で使用されるロープ部材に好適に使用することができる。
また上記ロープ部材用視線誘導標の用途としては、ガードケーブル用ロープ(詳しくは後述する)や船舶係留用ロープ、建築現場等に使用される足場用ロープ、イルミネーション用ロープ、農業分野で使用される害獣侵入防止用ロープを始めとして屋外で使用されるロープ部材に好適に使用することができる。
『第二実施形態』
「ガードケーブルの構成」
[1]ガードケーブルの基本構成について
次に本発明の第二実施形態について図4〜図5に基づいて説明する。本実施形態においては、図4に示すように、路上に所定間隔で設置された複数の支柱5・5…間にロープ部材3を張設する共に、ロープ部材3に導光棒1を螺旋状に巻き付け、更に導光棒1の端部に装着した光源装置2を支柱5に取り付けてガードケーブルGを構成している。
「ガードケーブルの構成」
[1]ガードケーブルの基本構成について
次に本発明の第二実施形態について図4〜図5に基づいて説明する。本実施形態においては、図4に示すように、路上に所定間隔で設置された複数の支柱5・5…間にロープ部材3を張設する共に、ロープ部材3に導光棒1を螺旋状に巻き付け、更に導光棒1の端部に装着した光源装置2を支柱5に取り付けてガードケーブルGを構成している。
これにより上記光源装置2を起動させれば、光源装置2から入射された光が導光棒1内を通過することで導光棒1の外周が発光するため、ロープ部材3の外周が螺旋状に発光させることができる。またロープ部材3の螺旋状の谷間部Vを利用することで導光棒1の巻き付けと固定も容易に行える。
[2]支柱について
また上記支柱5に関しては、本実施形態では基部を道路に埋設して設置する金属製の円柱体を使用しているが、屋内に載置して使用される土台部を備えた形状を採用することもできる。また支柱5の形状は、円柱状のものに限らず角柱型のものや複数の円柱や角柱を接合一体化したものを使用することもできる。
また上記支柱5に関しては、本実施形態では基部を道路に埋設して設置する金属製の円柱体を使用しているが、屋内に載置して使用される土台部を備えた形状を採用することもできる。また支柱5の形状は、円柱状のものに限らず角柱型のものや複数の円柱や角柱を接合一体化したものを使用することもできる。
[3]光源装置の取り付け構造について
また上記光源装置2の支柱5への取り付け構造に関しては、本実施形態では図5に示すように支柱5にロープ部材3を挿通した状態で、支柱5の蓋部材Cに固定したバッテリーに光源装置2・2…を接続して行っている。なおDC電源であるバッテリーを支柱5の内壁に固定する構造や、支柱5の内部にAC電源を導入する構造を採用することもできる。また光源装置2は、支柱5にハウジングと共に外付けすることもできる。
また上記光源装置2の支柱5への取り付け構造に関しては、本実施形態では図5に示すように支柱5にロープ部材3を挿通した状態で、支柱5の蓋部材Cに固定したバッテリーに光源装置2・2…を接続して行っている。なおDC電源であるバッテリーを支柱5の内壁に固定する構造や、支柱5の内部にAC電源を導入する構造を採用することもできる。また光源装置2は、支柱5にハウジングと共に外付けすることもできる。
[効果の実証試験]
次に本発明の効果の実証試験について説明する。まず本試験では、導光棒のコア層の材料が異なる複数のサンプル(下記実施例1〜6)を作製し、これらの各サンプルについて、耐候性および曲げ弾性率の評価を行った。以下に実施例1〜6の各サンプルの製造条件、並びに各試験の方法及び結果について説明する。
次に本発明の効果の実証試験について説明する。まず本試験では、導光棒のコア層の材料が異なる複数のサンプル(下記実施例1〜6)を作製し、これらの各サンプルについて、耐候性および曲げ弾性率の評価を行った。以下に実施例1〜6の各サンプルの製造条件、並びに各試験の方法及び結果について説明する。
「実施例1」
この実施例1では、断面形状が円形型の直径3.5mm(コア層:直径3.1mm、クラッド層:厚み0.2mm)の周面発光型導光棒を共押出成形により作製した。またコア層の主材料には、硬質アクリル系樹脂であるポリメタクリル酸メチルを使用し、クラッド層の主材料には、フッ素系樹脂であるETFEを使用した。またクラッド層には、光散乱剤である酸化チタンをクラッド層の主材100重量部に対し0.065重量部添加した。
この実施例1では、断面形状が円形型の直径3.5mm(コア層:直径3.1mm、クラッド層:厚み0.2mm)の周面発光型導光棒を共押出成形により作製した。またコア層の主材料には、硬質アクリル系樹脂であるポリメタクリル酸メチルを使用し、クラッド層の主材料には、フッ素系樹脂であるETFEを使用した。またクラッド層には、光散乱剤である酸化チタンをクラッド層の主材100重量部に対し0.065重量部添加した。
「実施例2」
この実施例2では、実施例1と同様、直径3.5mm(コア層:直径3.1mm、クラッド層:厚み0.2mm)の丸棒状の周面発光型導光棒を共押出成形により作製した。またコア層の主材料には、硬質アクリル系樹脂であるポリメタクリル酸メチルにアクリル系エラストマーであるMMA−BAブロック共重合体を、重量比で95:5の割合で混ぜたものを使用し、クラッド層の主材料には、フッ素系樹脂であるETFEを使用した。またクラッド層には、光散乱剤である酸化チタンをクラッド層の主材100重量部に対し0.065重量部添加した。
この実施例2では、実施例1と同様、直径3.5mm(コア層:直径3.1mm、クラッド層:厚み0.2mm)の丸棒状の周面発光型導光棒を共押出成形により作製した。またコア層の主材料には、硬質アクリル系樹脂であるポリメタクリル酸メチルにアクリル系エラストマーであるMMA−BAブロック共重合体を、重量比で95:5の割合で混ぜたものを使用し、クラッド層の主材料には、フッ素系樹脂であるETFEを使用した。またクラッド層には、光散乱剤である酸化チタンをクラッド層の主材100重量部に対し0.065重量部添加した。
「実施例3」
この実施例3では、実施例1と同様、直径3.5mm(コア層:直径3.1mm、クラッド層:厚み0.2mm)の丸棒状の周面発光型導光棒を共押出成形により作製した。またコア層の主材料には、硬質アクリル系樹脂であるポリメタクリル酸メチルにアクリル系エラストマーであるMMA−BAブロック共重合体を、重量比で90:10の割合で混ぜたものを使用し、クラッド層の主材料には、フッ素系樹脂であるETFEを使用した。またクラッド層には、光散乱剤である酸化チタンをクラッド層の主材100重量部に対し0.065重量部添加した。
この実施例3では、実施例1と同様、直径3.5mm(コア層:直径3.1mm、クラッド層:厚み0.2mm)の丸棒状の周面発光型導光棒を共押出成形により作製した。またコア層の主材料には、硬質アクリル系樹脂であるポリメタクリル酸メチルにアクリル系エラストマーであるMMA−BAブロック共重合体を、重量比で90:10の割合で混ぜたものを使用し、クラッド層の主材料には、フッ素系樹脂であるETFEを使用した。またクラッド層には、光散乱剤である酸化チタンをクラッド層の主材100重量部に対し0.065重量部添加した。
「実施例4」
この実施例4では、実施例1と同様、直径3.5mm(コア層:直径3.1mm、クラッド層:厚み0.2mm)の丸棒状の周面発光型導光棒を共押出成形により作製した。またコア層の主材料には、硬質アクリル系樹脂であるポリメタクリル酸メチルにアクリル系エラストマーであるMMA−BAブロック共重合体を、重量比で80:20の割合で混ぜたものを使用し、クラッド層の主材料には、フッ素系樹脂であるETFEを使用した。またクラッド層には、光散乱剤である酸化チタンをクラッド層の主材100重量部に対し0.065重量部添加した。
この実施例4では、実施例1と同様、直径3.5mm(コア層:直径3.1mm、クラッド層:厚み0.2mm)の丸棒状の周面発光型導光棒を共押出成形により作製した。またコア層の主材料には、硬質アクリル系樹脂であるポリメタクリル酸メチルにアクリル系エラストマーであるMMA−BAブロック共重合体を、重量比で80:20の割合で混ぜたものを使用し、クラッド層の主材料には、フッ素系樹脂であるETFEを使用した。またクラッド層には、光散乱剤である酸化チタンをクラッド層の主材100重量部に対し0.065重量部添加した。
「実施例5」
この実施例5では、実施例1と同様、直径3.5mm(コア層:直径3.1mm、クラッド層:厚み0.2mm)の丸棒状の周面発光型導光棒を共押出成形により作製した。またコア層の主材料には、硬質アクリル系樹脂であるポリメタクリル酸メチルにアクリル系エラストマーであるMMA−BAブロック共重合体を、重量比で70:30の割合で混ぜたものを使用し、クラッド層の主材料には、フッ素系樹脂であるETFEを使用した。またクラッド層には、光散乱剤である酸化チタンをクラッド層の主材100重量部に対し0.065重量部添加した。
この実施例5では、実施例1と同様、直径3.5mm(コア層:直径3.1mm、クラッド層:厚み0.2mm)の丸棒状の周面発光型導光棒を共押出成形により作製した。またコア層の主材料には、硬質アクリル系樹脂であるポリメタクリル酸メチルにアクリル系エラストマーであるMMA−BAブロック共重合体を、重量比で70:30の割合で混ぜたものを使用し、クラッド層の主材料には、フッ素系樹脂であるETFEを使用した。またクラッド層には、光散乱剤である酸化チタンをクラッド層の主材100重量部に対し0.065重量部添加した。
「実施例6」
この実施例6では、実施例1と同様、直径3.5mm(コア層:直径3.1mm、クラッド層:厚み0.2mm)の丸棒状の周面発光型導光棒を共押出成形により作製した。またコア層の主材料には、アクリル系エラストマーであるMMA−BAブロック共重合体を使用し、クラッド層の主材料には、フッ素系樹脂であるETFEを使用した。またクラッド層には、光散乱剤である酸化チタンをクラッド層の主材100重量部に対し0.065重量部添加した。
この実施例6では、実施例1と同様、直径3.5mm(コア層:直径3.1mm、クラッド層:厚み0.2mm)の丸棒状の周面発光型導光棒を共押出成形により作製した。またコア層の主材料には、アクリル系エラストマーであるMMA−BAブロック共重合体を使用し、クラッド層の主材料には、フッ素系樹脂であるETFEを使用した。またクラッド層には、光散乱剤である酸化チタンをクラッド層の主材100重量部に対し0.065重量部添加した。
<耐候性の評価>
次に上記実施例1〜6の長さ300mmの各サンプルについて、ブラックパネル温度:63℃×1000hの条件下で促進耐候性試験機(サンシャインウェザーメーター)を用いて耐候性試験を行った。そして各サンプルについて試験前及び試験後の発光色の色度、並びに試験前と試験後の発光色の色度の変化率を調べたところ、下記表1〜3に示すように試験時間1000時間での輝度変化量が±10%の範囲内、色度[x,y]の各数値の変化量が±0.02の範囲内に収まることが確認できた。また実施例1〜4のサンプルについては、試験時間1000時間での輝度変化量が±5%の範囲内、色度[x,y]の各数値の変化量が±0.01の範囲内に収まることが確認できた。
次に上記実施例1〜6の長さ300mmの各サンプルについて、ブラックパネル温度:63℃×1000hの条件下で促進耐候性試験機(サンシャインウェザーメーター)を用いて耐候性試験を行った。そして各サンプルについて試験前及び試験後の発光色の色度、並びに試験前と試験後の発光色の色度の変化率を調べたところ、下記表1〜3に示すように試験時間1000時間での輝度変化量が±10%の範囲内、色度[x,y]の各数値の変化量が±0.02の範囲内に収まることが確認できた。また実施例1〜4のサンプルについては、試験時間1000時間での輝度変化量が±5%の範囲内、色度[x,y]の各数値の変化量が±0.01の範囲内に収まることが確認できた。
<曲げ弾性率及び曲げ応力の評価>
上記実施例1〜6のサンプルについて、JIS K 6911(熱硬化性プラスチック一般試験方法)5.17.3 積層棒の曲げ試験方法に準拠し、23℃及び-20℃雰囲気下においてそれぞれ試験を実施した。その結果、下記表に示すとおり実施例1〜6の各サンプルにおける-20℃雰囲気下の曲げ弾性率が0.5〜5.0×103Mpaの範囲内に収まることが確認できた。また実施例1〜5の各サンプルについては-20℃雰囲気下の曲げ弾性率が2.0〜4.0×103Mpaの範囲内に収まることが確認できた。
上記実施例1〜6のサンプルについて、JIS K 6911(熱硬化性プラスチック一般試験方法)5.17.3 積層棒の曲げ試験方法に準拠し、23℃及び-20℃雰囲気下においてそれぞれ試験を実施した。その結果、下記表に示すとおり実施例1〜6の各サンプルにおける-20℃雰囲気下の曲げ弾性率が0.5〜5.0×103Mpaの範囲内に収まることが確認できた。また実施例1〜5の各サンプルについては-20℃雰囲気下の曲げ弾性率が2.0〜4.0×103Mpaの範囲内に収まることが確認できた。
<導光棒の発光性能の評価>
次に上記実施例1及び2の導光棒について、ロープ部材に巻き付けられた状態の導光棒の端部に、駆動電流30mA、光度20000mcd、指向特性20°の光源装置から光を入射した際における光源装置から4m離れた部位の発光輝度を測定した。その結果、実施例1の発光輝度は5.1cd/m2、実施例2の発光輝度は3.6cd/m2であった。
次に上記実施例1及び2の導光棒について、ロープ部材に巻き付けられた状態の導光棒の端部に、駆動電流30mA、光度20000mcd、指向特性20°の光源装置から光を入射した際における光源装置から4m離れた部位の発光輝度を測定した。その結果、実施例1の発光輝度は5.1cd/m2、実施例2の発光輝度は3.6cd/m2であった。
1 導光棒
11 コア層
12 クラッド層
2 光源装置
3 ロープ部材
4 固定具
5 支柱
D 視線誘導標
S ストランド
11 コア層
12 クラッド層
2 光源装置
3 ロープ部材
4 固定具
5 支柱
D 視線誘導標
S ストランド
Claims (5)
- 屋外で使用される、複数のストランド(S)を撚って形成されたロープ部材(3)と;このロープ部材(3)外周のストランド(S)(S)間に形成される螺旋状の谷間部(V)に密着した状態で巻き付けられた、アクリル系樹脂を主材とするコア層(11)とフッ素系樹脂を主材とするクラッド層(12)とを有する周面発光型の導光棒(1)と;この導光棒(1)の端部に装着される光源装置(2)と;を含んで構成される導光棒付き視線誘導標であって、
前記導光棒(1)の促進耐候性試験機による試験時間1000時間での輝度変化量が±10%の範囲内、色度[x,y]の各数値の変化量が±0.02の範囲内であり、かつ、前記導光棒(1)の-20℃雰囲気下における曲げ弾性率が0.5〜5.0×103MPaであり、
更に前記ロープ部材(3)が、撚り角10°〜20°の範囲でストランド(S)(S)…を撚って形成されて、螺旋状の谷間部(V)がピッチ100mm〜200mmの範囲で均一に形成されていることを特徴とする導光棒付き視線誘導標。 - 導光棒(1)のコア層(11)において、硬質アクリル系樹脂にアクリル系エラストマーを混合した材料が使用されると共に、その混合比率が95:5〜70:30の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の導光棒付き視線誘導標。
- 導光棒(1)のクラッド層(12)の主材100重量部に対し、紫外線吸収作用を有する酸化チタンが光散乱剤として0.01〜5重量部添加されていることを特徴とする請求項1または2に記載の導光棒付き視線誘導標。
- ロープ部材(3)に巻き付けられた導光棒(1)の端部に、駆動電流30mA、光度20000mcd、指向特性20°の光源装置(2)から光を入射した際における光源装置(2)から4m離れた部位の導光棒(1)の発光輝度が3cd/m2以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の導光棒付き視線誘導標。
- 請求項4記載の導光棒付き視線誘導標と、所定間隔で路上に設置された複数の支柱(5)とを含んで構成されるガードケーブルであって、
前記支柱(5)(5)間にロープ部材(3)が張設されると共に、光源装置(2)が周面発光型の導光棒(1)の端部に装着された状態で支柱(5)に取り付けられていることを特徴とするガードケーブル。
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