JPWO2020202254A1 - 非燃焼型加熱喫煙物品及びその使用方法、並びに非燃焼型加熱喫煙システム - Google Patents
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Abstract
Description
たばこと、エアロゾル生成基材と、を含むたばこ充填物と、
前記たばこ充填物よりも下流に配置されたフィルターと、
を含む非燃焼型加熱喫煙物品であって、
前記たばこ充填物が、pHが7.8以下のエアロゾルを与えるたばこ充填物である。
本発明に係る非燃焼型加熱喫煙物品と、
前記たばこ充填物を加熱する加熱装置と、
を含む。
本発明に係る非燃焼型加熱喫煙物品は、たばこと、エアロゾル生成基材と、を含むたばこ充填物と、前記たばこ充填物よりも下流に配置されたフィルターと、を含む。ここで、前記たばこ充填物は、pHが7.8以下のエアロゾルを与えるたばこ充填物である。
本発明に係るたばこ充填物は、たばこと、エアロゾル生成基材とを含み、pHが7.8以下のエアロゾルを与えるものであれば特に限定されない。後述するように、該たばこ充填物は、さらに有機酸を含むことが好ましい。また、該たばこ充填物は、さらに揮発性香料成分、水等を含んでもよい。たばこ充填物は、例えばアミノ基を含む香喫味成分を含むエアロゾルであって、230℃以下で該アミノ基が塩を形成するエアロゾルを生成し得るたばこ充填物であることができる。
本発明に係るフィルターは、フィルターとして機能し、前記たばこ充填物よりも下流(エアロゾルの流れにおいて吸口側)に配置されたものであれば特に限定されない。フィルターの材料としては、例えば酢酸セルロース等のセルロース、ポリプロピレン、ポリ乳酸、パルプを主原料とする紙等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。フィルターとしては、酢酸セルロースを含むアセテートフィルターが好ましい。
本発明に係る非燃焼型加熱喫煙物品では、前記たばこ充填物の加熱温度は230℃以下であり、220℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましく、180℃以下であることがさらに好ましい。
図1に、本発明の第一の実施形態に係る非燃焼型加熱喫煙物品の断面図を示す。図1に示される円筒形の非燃焼型加熱喫煙物品100は、バッテリー101と、たばこ充填物102と、たばこ充填物102を収容するポッド103と、ポッド103を加熱可能なヒーター104と、マウスピース105と、フィルター106とを備える。バッテリー101より供給される電力によりヒーター104において発生する熱は、ポッド103内のたばこ充填物102へ伝わり、該熱によりたばこ充填物102に含まれる香喫味成分及びエアロゾル生成基材が気化する。生成した香喫味成分を含むエアロゾルは、マウスピース105及びフィルター106を通じて使用者へ供給される。
図2に、本発明の第二の実施形態に係る非燃焼型加熱喫煙物品の断面図を示す。図2に示される円筒形の非燃焼型加熱喫煙物品200は、たばこ含有セグメント201と、マウスピースセグメント202とを備える。マウスピースセグメント202は、冷却セグメント203と、センターホールセグメント204と、フィルターセグメント205とを備える。使用時、たばこ充填物206を含むたばこ含有セグメント201が加熱され、たばこ充填物206に含まれる香喫味成分及びエアロゾル生成基材が気化する。生成した香喫味成分を含むエアロゾルは、冷却セグメント203、センターホールセグメント204、及びフィルター212を含むフィルターセグメント205を通じて使用者へ供給される。なお、冷却セグメント203とセンターホールセグメント204の位置を入れ替えてもよく、センターホールセグメント204とフィルターセグメント205の位置を入れ替えてもよい。また、マウスピースセグメント202はセンターホールセグメント204を有さなくてもよい。
本発明に係る非燃焼型加熱喫煙物品の使用方法は、本発明に係る非燃焼型加熱喫煙物品のたばこ充填物を230℃以下に加熱することを含む。前述したように、前記たばこ充填物の加熱温度が230℃以下である場合、たばこ中に含まれる成分の熱分解はわずかにしか生じず、エアロゾル粒子中に含まれる熱分解物の量は少なくなる。そのため、エアロゾル粒子の揮発性が高くなり、エアロゾル粒子に含まれる香喫味成分の揮発性も高くなる。この場合、フィルターでのエアロゾル粒子の機械的濾過に加えて、香喫味成分のガスの吸着濾過が生じる。本発明に係る方法では、前記香喫味成分のガスの吸着濾過を低減できるため、230℃以下の加熱温度での使用においても、フィルターにおける香喫味成分の濾過性を低減することができる。
本発明に係る非燃焼型加熱喫煙システムは、本発明に係る非燃焼型加熱喫煙物品と、前記たばこ充填物を加熱する加熱装置と、を含む。前記非燃焼型加熱喫煙システムは、本発明に係る非燃焼型加熱喫煙物品を備えるため、加熱装置によりたばこ充填物を230℃以下に加熱する場合にも、フィルターにおける香喫味成分の濾過性を低減することができる。本発明に係る非燃焼型加熱喫煙システムは、本発明に係る非燃焼型加熱喫煙物品と、前記加熱装置とを備えれば特に限定されず、他の構成を有していてもよい。
(たばこ充填物の調製)
バーレー種(日本)50mg及び黄色種(日本)50mgからなるたばこ刻100mgに対して、エアロゾル生成基材としてのグリセリン100mgを添加し混合することで、たばこ充填物のサンプルを調製した。なお、たばこ刻としては、乾燥したたばこ葉を予め家庭用ミキサーにて粉砕した後、ふるい(商品名:AS200、Retch製)を用いて、amplitude−1.5mm/gの条件下において2分間振動させて得られる、ふるい目径0.5mm以下のものを使用した。
前記たばこ充填物のサンプルを、図1に示す非燃焼型加熱喫煙物品(特開2014−76065参照)の専用のポッドに張り付けるように設置し、22℃、湿度60%の条件下で2日以上蔵置した。その後、前記ポッドを非燃焼型加熱喫煙物品の加熱装置に装着し、喫煙試験を行った。具体的には、非燃焼型加熱喫煙物品の吸口部に喫煙機(商品名:RM−26、Borgwaldt製)を接続し、加熱装置によりポッド内の前記サンプルを2分間予備加熱した。なお、たばこ充填物の加熱温度(安定稼働時)は、熱電対を用いた事前の計測により、160〜170℃程度であることを確認している。次に、所定の喫煙条件(55ml/2s、喫煙間隔30s)の下、15puffを行った。その間、吸口部に設けられたフィルターを通過した成分を、ケンブリッジパッド(44mmφ、Borgwaldt製)を用いて捕集した。なお、フィルターには、3.5Y35000のアセテートフィルター(通気抵抗:284mmH2O/120mm、トリアセチン含有量:9.0質量%、フィルター長さ:14mm)を用いた。アセテートフィルターに捕捉された各成分の量(フィルター捕捉量)と、アセテートフィルターを通過してケンブリッジパッドに捕集された各成分の量(フィルター通過量)から、以下の式(1)に基づいて各成分のフィルターにおける濾過率を算出した。
濾過率(%)=(フィルター捕捉量)/(フィルター捕捉量+フィルター通過量)×100
濾過増加指標値=(ニコチン濾過率(%))/(グリセリン濾過率(%))
エアロゾルのpHの測定は、超純水10mlを添加したインピンジャーに、フィルターを通過する前の30℃以下のエアロゾル10〜15mgを直接捕集させた後、溶液のpHをpHメーター(商品名:LAQUA,HORIBA Ltd.製)を用いて測定することで行った。
たばこの種類及び量を表1に示されるように変更した以外は、実施例1と同様にたばこ充填物のサンプルを調製し、ニコチン及びグリセリンの濾過率、濾過増加指標値、並びにエアロゾルのpHの測定並びに評価を行った。結果を表1に示す。
バーレー種(日本)からなるたばこ刻100mgに対して、エアロゾル生成基材としてのグリセリン100mgと、有機酸としてのレブリン酸10mgとを添加し混合することで、たばこ充填物のサンプルを調製した。それ以外は、実施例1と同様に、ニコチン及びグリセリンの濾過率、濾過増加指標値、並びにエアロゾルのpHの測定、評価を行った。また、以下の方法により、酸(有機酸、無機酸)のグリセリンへの溶解性及び香喫味効果の評価を行った。結果を表2に示す。
25℃における酸10mgのグリセリン1000mgへの可溶性を目視により評価した。評価は、「1」を溶けない、「5」を全て溶解する、として、1〜5の5段階で行った。ここでは、3以上の評価を「可溶」と判断した。
前記フィルターでの濾過性評価と同様の条件で、5名のパネルにより喫煙を行い、香喫味の効果について官能評価を1〜7の7段階により実施した(1:全く感じない、7:非常に強い)。5名のパネルの評価の平均値を、香喫味効果値とした。なお、たばこの原料が異なると、全体的な香喫味のバランスが大きく異なり、香喫味への効果を評価、比較することが難しいため、前記実施例1〜9及び比較例1〜4では本評価を実施しなかった。ここでの香喫味効果値とは葉たばこに由来する味香りを全て含めて評価した際の官能評価結果を示す。
酸(有機酸、無機酸)の種類を表2に示されるように変更した以外は、実施例10と同様にたばこ充填物のサンプルを調製し、濾過増加指標値及びエアロゾルのpHの測定、並びに、酸のグリセリンへの溶解性及び香喫味効果の評価を行った。結果を表2に示す。なお、参考として酸を添加しない比較例1の結果を合わせて示す。
フィルターとして、通気抵抗が176mmH2O/120mm、トリアセチン含有量が9.0質量%、巻円周24.1mmのアセテートフィルターを用いた。トリアセチンのフィルターへの添加は、マイクロシリンジを用いてトリアセチンをフィルター内部中心に1点添加し、1時間以上静置することで実施した。それ以外は、実施例1と同様にニコチン及びグリセリンの濾過率、並びに濾過増加指標値の測定、評価を行った(エアロゾルのpH:7.61)。また、本実施例ではエアロゾル粒子に含有される香喫味成分の割合の指標値として、以下の式(3)で示される香喫味の含有指標値を用いた。香喫味の含有指標値が高いと、フィルターを通過したグリセリンに対するニコチンの割合が高いことから、ニコチンを代表とした香喫味成分の割合が高くなる。結果を表3に示す。
香喫味の含有指標値=(100−ニコチン濾過率(%))/(100−グリセリン濾過率(%))
フィルターの通気抵抗を表3に示される値に変更した以外は、実施例12と同様にニコチン及びグリセリンの濾過率、濾過増加指標値、並びに香喫味の含有指標値の測定、評価を行った。結果を表3に示す。
トリアセチン9.0質量%の代わりに、プロピレングリコールを表3に示される質量割合で含むフィルターを用いた以外は、実施例12と同様にニコチン及びグリセリンの濾過率、濾過増加指標値、並びに香喫味の含有指標値の測定、評価を行った。結果を表3に示す。
フィルターにトリアセチンを添加しなかった以外は、実施例12と同様にニコチン及びグリセリンの濾過率、濾過増加指標値、並びに香喫味の含有指標値の測定、評価を行った。結果を表3に示す。
比較例1と同様にたばこ充填物のサンプルを調製した。該サンプルを図1に示す非燃焼型加熱喫煙物品専用のポッドに、該ポッドの底部に通気孔(5mmφ)を開孔した後で張り付けるように設置し、22℃、湿度60%の条件で2日以上蔵置した。その後、図6に示されるように、ポッド600内部のたばこ充填物(不図示)の加熱温度が175℃となるように、ポッド600を、セラミックヒーター601(4.0mmφ)を有する加熱装置602を用いて加熱した。加熱部603を有するセラミックヒーター601はSUS製の治具604内に配置され、加熱装置602には通気孔としての開孔605(0.5mmφ)が設けられている。たばこ充填物の加熱温度は熱電対を用いて確認し、たばこ充填物の温度が設定温度(175℃)となるように加熱装置602の出力を調整した。前記加熱温度において実施例1と同様にフィルターでの濾過性評価を行った。結果を表4に示す。
たばこ充填物の加熱温度を表4に示されるように変更した以外は、参考例1と同様にフィルターでの濾過性評価を行った。結果を表4に示す。
101 バッテリー
102 たばこ充填物
103 ポッド
104 ヒーター
105 マウスピース
106 フィルター
200 非燃焼型加熱喫煙物品
201 たばこ含有セグメント
202 マウスピースセグメント
203 冷却セグメント
204 センターホールセグメント
205 フィルターセグメント
206 たばこ充填物
207 ラッパー
208 筒状部材
209 穿孔
210 充填層
211 第一のインナープラグラッパー
212 フィルター
213 第二のインナープラグラッパー
214 アウタープラグラッパー
215 マウスピースライニングペーパー
300 非燃焼型加熱喫煙物品
301 加熱装置
302 ボディ
303 ヒーター
304 金属管
305 電池ユニット
306 制御ユニット
307 凹部
600 ポッド
601 セラミックヒーター
602 加熱装置
603 加熱部
604 治具
605 開孔
Claims (18)
- たばこと、エアロゾル生成基材と、を含むたばこ充填物と、
前記たばこ充填物よりも下流に配置されたフィルターと、
を含む非燃焼型加熱喫煙物品であって、
前記たばこ充填物が、pHが7.8以下のエアロゾルを与えるたばこ充填物である非燃焼型加熱喫煙物品。 - 前記たばこ充填物の加熱温度が230℃以下である請求項1に記載の非燃焼型加熱喫煙物品。
- 前記たばこが、オリエント種及び黄色種の少なくとも一方を含む請求項1又は2に記載の非燃焼型加熱喫煙物品。
- 前記たばこ充填物が、さらに有機酸を含む請求項1から3のいずれか一項に記載の非燃焼型加熱喫煙物品。
- 前記有機酸の沸点が300℃以下である請求項4に記載の非燃焼型加熱喫煙物品。
- 前記有機酸の第一酸解離定数が4.0〜5.0である請求項4又は5に記載の非燃焼型加熱喫煙物品。
- 前記有機酸の沸点(℃)の値と、前記有機酸の第一酸解離定数の値との積が、1000〜1200である請求項4から6のいずれか一項に記載の非燃焼型加熱喫煙物品。
- 前記有機酸が、25℃において固体である請求項4から7のいずれか一項に記載の非燃焼型加熱喫煙物品。
- 前記有機酸が、25℃において前記エアロゾル生成基材に可溶である請求項4から8のいずれか一項に記載の非燃焼型加熱喫煙物品。
- 前記有機酸が、安息香酸及びレブリン酸の少なくとも一方を含む請求項4から9のいずれか一項に記載の非燃焼型加熱喫煙物品。
- 前記フィルターの通気抵抗が250〜450mmH2O/120mmである請求項1から10のいずれか一項に記載の非燃焼型加熱喫煙物品。
- 前記フィルターに含まれる可塑剤の量が9.0質量%以下である請求項1から11のいずれか一項に記載の非燃焼型加熱喫煙物品。
- 前記可塑剤がトリアセチンである請求項12に記載の非燃焼型加熱喫煙物品。
- 前記フィルターに含まれる保湿剤の量が9.0質量%以下である請求項1から13のいずれか一項に記載の非燃焼型加熱喫煙物品。
- 前記保湿剤がプロピレングリコールである請求項14に記載の非燃焼型加熱喫煙物品。
- 請求項1から15のいずれか一項に記載の非燃焼型加熱喫煙物品のたばこ充填物を230℃以下に加熱することを含む、非燃焼型加熱喫煙物品の使用方法。
- 請求項1から15のいずれか一項に記載の非燃焼型加熱喫煙物品と、
前記たばこ充填物を加熱する加熱装置と、
を含む非燃焼型加熱喫煙システム。 - 前記加熱装置による前記たばこ充填物の加熱温度が230℃以下である請求項17に記載の非燃焼型加熱喫煙システム。
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