JPWO2020153374A1 - チョコレートの製造方法とそれに用いる撹拌混合機 - Google Patents

チョコレートの製造方法とそれに用いる撹拌混合機 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2020153374A1
JPWO2020153374A1 JP2020568169A JP2020568169A JPWO2020153374A1 JP WO2020153374 A1 JPWO2020153374 A1 JP WO2020153374A1 JP 2020568169 A JP2020568169 A JP 2020568169A JP 2020568169 A JP2020568169 A JP 2020568169A JP WO2020153374 A1 JPWO2020153374 A1 JP WO2020153374A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chocolate
stirring
raw material
atmosphere
powdered
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020568169A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2020153374A5 (ja
Inventor
潤 家崎
信二 藤田
岩夫 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
I-PLANT CO., LTD.
Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo KK
Original Assignee
I-PLANT CO., LTD.
Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by I-PLANT CO., LTD., Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo KK filed Critical I-PLANT CO., LTD.
Publication of JPWO2020153374A1 publication Critical patent/JPWO2020153374A1/ja
Publication of JPWO2020153374A5 publication Critical patent/JPWO2020153374A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23GCOCOA; COCOA PRODUCTS, e.g. CHOCOLATE; SUBSTITUTES FOR COCOA OR COCOA PRODUCTS; CONFECTIONERY; CHEWING GUM; ICE-CREAM; PREPARATION THEREOF
    • A23G1/00Cocoa; Cocoa products, e.g. chocolate; Substitutes therefor
    • A23G1/04Apparatus specially adapted for manufacture or treatment of cocoa or cocoa products
    • A23G1/10Mixing apparatus; Roller mills for preparing chocolate
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23GCOCOA; COCOA PRODUCTS, e.g. CHOCOLATE; SUBSTITUTES FOR COCOA OR COCOA PRODUCTS; CONFECTIONERY; CHEWING GUM; ICE-CREAM; PREPARATION THEREOF
    • A23G1/00Cocoa; Cocoa products, e.g. chocolate; Substitutes therefor
    • A23G1/04Apparatus specially adapted for manufacture or treatment of cocoa or cocoa products
    • A23G1/18Apparatus for conditioning chocolate masses for moulding
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23GCOCOA; COCOA PRODUCTS, e.g. CHOCOLATE; SUBSTITUTES FOR COCOA OR COCOA PRODUCTS; CONFECTIONERY; CHEWING GUM; ICE-CREAM; PREPARATION THEREOF
    • A23G1/00Cocoa; Cocoa products, e.g. chocolate; Substitutes therefor
    • A23G1/30Cocoa products, e.g. chocolate; Substitutes therefor
    • A23G1/32Cocoa products, e.g. chocolate; Substitutes therefor characterised by the composition containing organic or inorganic compounds

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Confectionery (AREA)

Abstract

【課題】 チョコレート原料に粉末状の配合成分を均一に分散させることができる簡便で効率的な工程を含むチョコレートの製造方法と、その製造方法に用いられる撹拌混合機を提供することを課題とし、溶けた状態のチョコレート原料と粉末状の配合成分とを減圧雰囲気下で撹拌し、前記チョコレート原料中に前記配合成分を分散させる工程を含むチョコレートの製造方法、並びにその製造方法に用いる撹拌混合機を提供することによって上記課題を解決する。

Description

本発明は、チョコレートの製造方法とそれに用いる撹拌混合機に関し、詳細には、粉末状の配合成分を分散させたチョコレートの製造方法と、その製造方法に用いられる撹拌混合機に関する。
チョコレートは、カカオマス等のカカオ分に、必要に応じて、食用油脂や、糖類、乳製品等を加えて調製される伝統的で極めてポピュラーな食品の一種であるが、近年では、チョコレートに新たな風味や、耐熱性或いは生理機能などを付与するため、チョコレート原料に種々の配合成分を添加、混合することが行われている。
例えば、特許文献1にはカルシウム成分やビタミンを混合して栄養的価値を有するとされるチョコレートが開示され、特許文献2にはウコン色素を含有させることにより酒酔い防止機能等を有するとされるチョコレートが開示されている。また、特許文献3及び特許文献4には、それぞれ、デンプン糖又はデンプン糖アルコール及び分岐α−グルカン混合物を含有させることにより、耐熱性を改善し向上させたチョコレートが、さらに、特許文献5には、特定のSFC値を有する油脂と特定のHLB値を有する乳化剤を加えることにより、新規な食感を持つとされる焼成チョコレート様食品が、それぞれ開示されている。
しかし、チョコレートに他の成分を混合し均一に分散させるのは容易ではない。特に、混合される他の成分が粉末である場合には、溶解したチョコレート又はチョコレート原料に粉末状の配合成分を単に加えて撹拌しただけでは、ダマが生じやすく、加えて、一旦生じたダマはそのままではなかなか消失し難いので、粉末状の配合成分をチョコレート中に均一に分散させるのは一般的に極めて困難である。
このため、従来は、いきなりチョコレート原料の全量と粉末成分の全量とを混合するのではなく、まずはチョコレート原料の一部を取り出して溶解し、これに粉末成分を加えてペースト状にした後、このペースト状の混合物とチョコレート原料の残部とを混合するなどの方法が行われている。しかし、この方法は工程が煩雑になり、手間や時間がかかるとの問題があった。また、予め粉末成分をペースト状として加える方法は、大量に処理する場合には適用し難く、大量生産には不向きであるとの問題もあった。また、これらの方法では、一見ダマが消失したようにみえても、粉末成分が完全には均一に分散されていないことが多く、成形したチョコレートにおいてもザラついた食感が残り、チョコレートのなめらかさが損なわれるなど、得られるチョコレートの品質にも問題が生じることがしばしばあった。
特開平10−28530号公報 特開2009−183206号公報 特開昭61−224935号公報 再公表特許第WO2014/133060号公報 再公表特許第WO2014/141915号公報
本発明は、従来技術の上述した問題点を解決するために為されたもので、チョコレート原料に粉末状の配合成分を均一に分散させることができる簡便で効率的な工程を含むチョコレートの製造方法と、その製造方法に用いられる撹拌混合機を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、本発明者らは、溶けた状態にあるチョコレート原料に粉末状の配合成分を分散させるにあたり、両者の撹拌を減圧雰囲気下で行うことにより、チョコレート原料中に粉末状の配合成分を、簡便に、かつ効率良く、均一に分散させることができることを見出した。
すなわち、本発明は、溶けた状態のチョコレート原料と粉末状の配合成分とを減圧雰囲気下で撹拌する工程を含むチョコレートの製造方法を提供することによって上記課題を解決するものである。
上記撹拌が実行される前記減圧雰囲気は、真空度−0.03乃至−0.10MPaの範囲で時間的に一定、及び/又は、時間的に変動する減圧雰囲気であるのが好ましい。なお、本明細書でいう真空度とは、大気圧を0MPaとしたゲージ圧を意味している。後述の加圧雰囲気における圧力も、ゲージ圧で表す。また、本明細書でいう「乃至」とは、「乃至」で結ばれる2つの数値を含み、例えば、真空度−0.03乃至−0.10MPaの範囲とは、真空度が、−0.03MPaと−0.10MPaを含んで、−0.03MPaから−0.10MPaの範囲にあることを意味している。
減圧雰囲気の真空度が−0.03MPaよりも小さく、大気圧に近くなると、減圧の程度が過小となり、撹拌を減圧雰囲気下で行うことにより得られる効果が期待できなくなるので好ましくない。一方、減圧雰囲気の真空度が−0.10MPaよりも大きく、絶対真空に近くなっても、所期の効果が得られないわけではないが、そのように高い真空度の達成に要する時間とエネルギーの割には、真空度が−0.10MPaよりも小さい場合と比べて得られる効果にそれ程の違いがないので、好ましくない。溶けた状態にあるチョコレート原料と粉末状の配合成分とを前記減圧雰囲気下で撹拌することにより、チョコレート原料中に粉末状の配合成分を効率良く、かつ均一に分散させることができる。
好適な一態様において、本発明は、さらに、チョコレート原料と粉末状の配合成分とを加圧雰囲気下で撹拌する工程を含んでいる。加圧雰囲気としては、圧力0.05乃至0.5MPaの範囲で、時間的に一定及び/又は時間的に変動する雰囲気であるか、大気圧乃至0.5MPaの範囲で時間的に変動する雰囲気であるのが好ましい。なお、減圧下での撹拌に加えて、加圧雰囲気での撹拌を行う場合には、分散させる粉末の種類にもよるが、粉末状の配合成分の粒子の粒度をさらに細かくできるという作用効果を得られる。なお、加圧雰囲気下での撹拌は、減圧雰囲気下での撹拌によって粉末状の配合成分をチョコレート原料中に分散させた後に行うのが好ましく、減圧雰囲気下での撹拌と加圧雰囲気下での撹拌を交互に行うのがより好ましい。
均一な分散をより効率的に短時間で実現するには、チョコレート原料と粉末状の配合成分とを撹拌する工程における前記撹拌の方向は、定期的又は不定期的に逆転されるのが好ましく、定期的に逆転されるのがより好ましい。
溶けた状態のチョコレート原料と、それに分散させる粉末状の配合成分の割合は基本的に限定されず、粉末状の配合成分を分散させることによってその配合成分によってもたらされる所期の作用効果が発揮される割合であれば良いが、通常は、前記チョコレート原料100質量部に対し、前記配合成分が0.1乃至200質量部の割合であるのが望ましい。
本発明は、さらに、溶けた状態にあるチョコレート原料と粉末状の配合成分とを減圧雰囲気下で撹拌することを特徴とする、チョコレート原料中への粉末状の配合成分の分散方法を提供することによって上記の課題を解決するものである。
チョコレートの製造方法において述べたと同様に、前記減圧雰囲気は、真空度−0.03乃至−0.10MPaの範囲で時間的に一定、及び/又は、時間的に変動する減圧雰囲気であるのが好ましい。なお、前記分散方法は、さらに、チョコレート原料と粉末状の配合成分とを加圧雰囲気下で撹拌する工程を含んでいるのが好ましい。加圧雰囲気としては、圧力0.05乃至0.5MPaの範囲で、時間的に一定及び/又は時間的に変動する雰囲気であるか、大気圧乃至0.5MPaの範囲で時間的に変動する雰囲気であるのが好ましい。好ましくは、加圧雰囲気下での撹拌は、減圧雰囲気下での撹拌工程の後に加えるのがよい。また、前記撹拌の方向は、定期的又は不定期的に逆転されるのが好ましく、定期的に逆転されるのがより好ましい。
減圧雰囲気下又は加圧雰囲気下で撹拌されるチョコレート原料と粉末状の配合成分との割合についても同様であり、前記チョコート原料100質量部に対し、粉末状の前記配合成分が0.1乃至200質量部の割合にあるのが望ましい。
本発明は、さらに、混合対象となる材料が投入される開閉自在な材料投入口と、混合済みの材料が取り出される開閉自在な材料取出口とを備えた密閉可能な混合容器と、前記混合容器内に設けられた撹拌羽根と、前記混合容器内の真空度を調節する真空度調節機構とを備えている撹拌混合機を提供することによって上記課題を解決するものである。
前記真空度調節機構は、混合容器内を、真空度−0.03乃至−0.10MPaの範囲で、時間的に一定及び/又は時間的に変動する減圧雰囲気とすることができるものであれば良く、その具体的な構成や、使用する機器に特段の制限があるわけではないが、真空度調節機構が、例えば、第一開閉弁を介して前記混合容器内部と接続される減圧手段と、前記混合容器内部を外気と連通させる連通路に設けられた第二開閉弁と、前記混合容器内の圧力を測定する圧力計とを含んでいる場合には、比較的簡単な操作で、混合容器内の真空度を調整することができるので好ましい。
すなわち、最も簡便には、減圧手段を作動させた状態で、混合容器内部と減圧手段とを接続する第一開閉弁を調節することにより適宜の真空度とすることができる。さらに、混合容器内部を外気と連通させる連通路に設けられた第二開閉弁を「開」又は「閉」とすることによって、混合容器内の真空度を時間的に変動させることができる。
このような第一、第二開閉弁の開閉動作、及び減圧手段の作動、停止は、前記圧力計によって計測される圧力値、又は予め予備実験等を行って求めておいた所定圧力値になるまでの所要時間、若しくはその双方に基づいて、作業員が手動で行っても良いし、適宜の制御装置を用いて自動的に実行されるようにしても良い。
さらに、好適な一態様において、本発明の混合撹拌機は、加圧雰囲気にするための圧力調節機構を備えていてもよい。加圧雰囲気での圧力調節機構としては、例えば、第三開閉弁を介して前記混合容器内部と接続される加圧手段を含み、加圧手段を作動させた状態で、第三開閉弁を調節することにより適宜の圧力とすることができる。さらに、混合容器内部を外気と連通させる連通路に設けられた第二開閉弁を「開」又は「閉」とすることによって、混合容器内の圧力を時間的に変動させることができる。
本発明の撹拌混合機は、その好適な一例において、前記撹拌羽根として回転軸の回りに回転する撹拌羽根を有しており、かつ、その撹拌羽根の回転方向を正方向又は逆方向に切り替える撹拌方向切り替え機構を備えている。これにより、より短い時間で効率的な粉末成分の分散を実現することが可能となる。
さらには、本発明の撹拌混合機は、その好適な一例において、前記混合容器内を所望の温度に加熱又は冷却、保持することができる温度調節機構を備えている。これにより、混合容器内に投入されたチョコレート原料を溶けた状態に保ち、粉末状の配合成分との撹拌、混合、分散を効率的に実行することができる。
本発明に係るチョコレートの製造方法及び分散方法によれば、粉末状の配合成分を溶けた状態のチョコレート原料中に速やかに効率よく均一に分散できるので、品質の安定したチョコレートをより安価で且つより少ない労力で製造することができるという利点が得られる。
また、本発明に係るチョコレートの製造方法及び分散方法によれば、溶けた状態のチョコレート原料と粉末状の配合成分との撹拌が、大気圧下よりも酸素濃度が低い減圧雰囲気下で行われるので、チョコレート原料や、そこに分散させる粉末状の配合成分の酸化、変質等を抑制することができるという利点が得られる。
また、本発明に係る撹拌混合機によれば、溶けた状態のチョコレート原料と粉末状の配合成分とを、所望の減圧雰囲気下で撹拌、混合して、粉末状の配合成分をチョコレート原料中に効率良く分散させることができるという利点が得られる。
本発明に係る製造方法で得られるチョコレートは、粉末状の配合成分を含んでいるにもかかわらず、ザラつきがなく、食感に優れ、かつ、分散させる粉末状の配合成分にも依るが、耐熱性に優れ、環境の温度変化による影響を受けにくいため、スナップ性が比較的広い温度範囲で維持されるという利点を備えている。また、本発明に係る製造方法で得られるチョコレートは、焼成チョコレートを作るための原料チョコレートとしても好適である。
本発明に係る撹拌混合機の一例を示す正面部分断面図である。 本発明に係る撹拌混合機の他の一例を示す正面部分断面図である。 条件2の減圧雰囲気における混合容器内の圧力変化を示す概念図である。 条件3の減圧雰囲気における混合容器内の圧力変化を示す概念図である。 条件4の加圧雰囲気における混合容器内の圧力変化を示す概念図である。
本発明に係るチョコレートの製造方法は、上記のとおり、溶けた状態のチョコレート原料と粉末状の配合成分とを減圧雰囲気下で撹拌し、前記チョコレート原料中に前記配合成分を分散させる工程を含むチョコレートの製造方法である。
本明細書でいうチョコレートとは、カカオニブ、カカオマス、ココアバター、ココアケーキ、及び/又はココアパウダーなどのカカオ豆由来の成分を含み、いわゆるチョコレートと呼ばれる菓子又は菓子素材、或いは食品又は食品素材を意味し、例示すれば、純チョコレート、クーベルチュール、チョコレート、準チョコレート、チョコレート菓子、準チョコレート菓子、ブラックチョコレート、ビターチョコレート、スイートチョコレート、セミスイートチョコレート、ミルクチョコレート、ハイミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、原料チョコレート等が挙げられるが、規約や法規によってチョコレートとして規定されるものに限定されず、代用油脂等を使用した油脂食品も含まれる。また、ノーテンパリング型油脂を多く含有するノーテンパリング型チョコレート、テンパリング型油脂を多く含有するテンパリング型チョコレートのどちらであっても良い。
本明細書でいうチョコレート原料とは、カカオニブ、カカオマス、ココアバター、ココアケーキ、及び/又はココアパウダーなどのカカオ豆由来の成分を含み、混合工程、微粒化工程、精錬工程、調温工程、充填及び冷却工程などの通常のチョコレート製造において実行される工程のいずれか一つ又は二つ以上を経ることによって、それ自身が、上記チョコレートとなる食品材料を意味し、充填、冷却工程を経て、一旦成形されたチョコレートであっても良く、原料チョコレートも当然に本明細書でいうチョコレート原料に含まれる。
本明細書でいう粉末状の配合成分とは、チョコレートに配合、分散させる粉末状の成分を意味し、ヒトが食するチョコレートに配合可能なものである限り特に限定されない。通常、チョコレートに甘味や風味、又は耐熱性などの有利な特性や、所期の生理機能などを賦与するものが選ばれる。本発明においては、例えば、糖質、タンパク質、抹茶、ほうじ茶又はウーロン茶などの茶葉由来の粉末、大豆粉、コーヒー粉末、乳酸菌、粉乳、塩類、香料、香辛料、調味料などから選ばれる一種又は二種以上が有利に利用できる。なお、いずれの粉末状の配合成分も、水分含量が多いとチョコレートの物性に影響するため、水分含量が多くとも10質量%を超えないものが好ましい。なお、減圧雰囲気とすることにより、粉末に含まれた水分を効率的に除去できるとの効果を得ることができる。
上記粉末状の配合成分のうち、糖質としては、特に限定されないが、単糖、オリゴ糖、多糖、又は糖アルコールなど適宜の糖が好適に使用できる。中でも、汎用性の高いグルコースを構成糖とするオリゴ糖又は多糖が好ましく、デンプン、デキストリン、グリコーゲン、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、イソマルトデキストリン、デキストラン、サイクロデキストリン、サイクロデキストラン、サイクロイソマルトオリゴ糖又は環状四糖を含む環状糖、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、マルトース、トレハロースなどが有利に使用できる。構成糖としてグルコース以外の糖を含む糖質、例えば、スクロース、フラクトオリゴ糖、乳糖、ガラクトオリゴ糖なども使用可である。これらの糖質は、一種だけを用いても良いし、適宜の二種以上を組み合わせて用いるようにしても良い。
粉末状の配合成分として特に好適な糖質としては、グルコースを構成糖とする糖質で、その水溶性食物繊維含量が40質量%以上である糖質が挙げられる。なお、本明細書でいう水溶性食物繊維含量とは、平成8年5月厚生省告示第146号の栄養表示基準、「栄養成分等の分析方法等(栄養表示基準別表第1の第3欄に掲げる方法)」における第8項、「食物繊維」に記載された、「高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)」に準じて求められる水溶性食物繊維含量である。
粉末状の配合成分としてさらに好適な糖質としては、グルコースを構成糖とする糖質で、その水溶性食物繊維含量が40質量%以上であるとともに、イソマルトデキストラナーゼ(EC3.2.1.94)消化により、消化物の固形物当たりイソマルトースを25質量%以上50質量%以下生成する糖質が挙げられる。
このような糖質としては、例えば、特開2014−218677号公報に開示されている分岐α−グルカン混合物が挙げられる。当該分岐α‐グルカン混合物は、グルコースを構成糖とし、水溶性食物繊維含量が40質量%以上であるとともに、イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり25質量%以上50質量%以下生成する糖質であり、加えて、その混合物全体としての構造が、メチル化分析における下記(1)乃至(4)の特徴によって特徴付けられる糖質である;
(1)2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールの比が1:0.6乃至1:4の範囲にある;
(2)2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールとの合計が部分メチル化グルシトールアセテートの60%以上を占める;
(3)2,4,6−トリメチル−1,3,5−トリアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上10%未満である;及び
(4)2,4−ジメチル−1,3,5,6−テトラアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上である。
上記分岐α−グルカン混合物は、どのような製造方法によって製造されたものであっても良く、市販品がある場合には、それを使用しても良い。因みに、上記分岐α−グルカン混合物の市販品としては株式会社林原が製造販売するイソマルトデキストリン(商品名「ファイバリクサ」)があり、本発明に係るチョコレートの製造方法において、特に有利に利用できる。
本発明に係るチョコレートの製造方法において、チョコレート原料とともに撹拌される粉末状の配合成分は、チョコレート製造における任意の工程でチョコレート原料に添加すれば良く、粉末状の配合成分を添加する工程は特に限定されない。例えば、カカオニブを粉砕してカカオマスを得る工程など原材料の処理工程から、コンチング(精錬)工程を経てチョコレートの形態とした後までの、任意の工程で添加することができる。粉末状の配合成分が、新たな機能や特性、風味を付与するものであって、通常、チョコレートの必須成分ではない場合には、当該粉末状の配合成分以外のチョコレートの基本成分を全て含みチョコレートの形態に製造されたものを原料チョコレートとして使用し、これに粉末状の配合成分を添加するのが望ましく、一旦成形したチョコレートを再び溶解した後に添加することもできる。
チョコレート原料に分散させる粉末状の配合成分の量は、チョコレートの食感や物性等を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは、チョコレート原料と粉末状の配合成分との質量比が100:0.1〜1:2の範囲であるのが良く、分散させることによって粉末状の配合成分が有する所期の効果が発揮され、かつ、チョコレートとしての食感や、製造工程時の作業性等に悪影響を及ぼさない範囲で適宜選択できる。
例えば、粉末状の配合成分を分散させた後、テンパリング(調温)処理を行う場合は、油脂の結晶化に影響を与えないようにする必要があり、通常、チョコレート原料100質量部に対し、粉末状の配合成分が0.1乃至20質量部の割合であるのが好ましく、1乃至10質量部の割合であるのが、粉末状の配合成分をチョコレート中に分散するうえで特に好ましい。
粉末状の配合成分を溶けた状態のチョコレート原料に分散させる方法としては、溶けた状態のチョコレート原料と粉末状の配合成分とを共存させた状態で、減圧雰囲気とし、減圧雰囲気下で両者を撹拌すれば良い。
減圧雰囲気としては、原則として、大気圧よりも減圧された雰囲気であれば良いが、粉末状の配合成分を効率良く分散させるには、真空度が−0.03MPa乃至−0.10MPaの範囲の減圧雰囲気とするのが良い。
減圧の程度は、撹拌工程中、一定でも良いが、圧力を時間的に変動させるのが好ましい。変動の範囲は真空度−0.03MPa乃至−0.10MPaの範囲外とならなければ特に限定されないが、真空度−0.03乃至−0.10MPaの範囲内で変動させるのが好ましく、真空度−0.05MPa乃至−0.09MPaの範囲内で変動させるのがさらに好ましく、真空度−0.06MPa乃至−0.08MPaの範囲内で変動させるのがさらに好ましい。なお、変動の幅は、時間的に変化しても良いが、撹拌中一定であるのが望ましく、変動の幅は、上限と下限との間に少なくとも0.02MPa以上の差があるのが好ましい。
真空度を変動させる時間的周期は特に限定されない。後述する撹拌混合機や減圧手段の容量等にも依るが、通常、5秒乃至15分の範囲内で選択すれば良い。
なお、前記減圧雰囲気下での撹拌工程に加えて、加圧雰囲気での撹拌工程を施すのが好ましい。加圧雰囲気下での撹拌工程を加える場合、加圧雰囲気としては、原則として、大気圧よりも加圧された雰囲気であれば特に限定されないが、圧力0.05乃至0.5MPaの範囲で、時間的に一定及び/又は時間的に変動する雰囲気であるか、常圧(大気圧)から圧力0.5MPaの範囲内で圧力を時間的に変動させるのが好ましく、0.05乃至0.3MPaの範囲内で雰囲気圧力を変動させるのがさらに好ましい。変動の幅は特に限定されないが、上限と下限との間に少なくとも0.02MPa以上の差があるのが好ましい。圧力を変動させる時間的周期は特に限定されないが、通常、5秒乃至15分の範囲内で選択すれば良い。
撹拌は、溶けた状態のチョコレート原料と粉末状の配合成分とが混じり合うように撹拌すれば良く、具体的な撹拌方法は特に限定されないが、均一な分散をより効率的に短時間で実現するには、撹拌の方向は、定期的又は不定期的に逆転されるのが好ましく、定期的に逆転されるのがより好ましい。また、チョコレート原料を溶けた状態に保つため、撹拌は、通常、加温状態で行われる。
粉末状の配合成分を分散させたチョコレート原料は、通常の方法で固形のチョコレートに成形することができる。例えば、粉末状の配合成分を分散し、溶けた状態にあるチョコレート原料を型に流し込み、5乃至20℃で静置することにより、固形のチョコレートにすることができる。必要に応じて、型に流し込む前に通常の方法でテンパリングを行うことも可能である。
以下、図面及び実験に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、本発明に係るチョコレートの製造方法若しくは分散方法を実行する際に使用される撹拌混合機の一例を示す正面部分断面図である。図1において、1は撹拌混合機であり、2はその混合容器である。混合容器2は、上部が開口した中空円筒形の形状を有しており、その材質は、チョコレートの風味などへの影響が小さく、撹拌する粉末状の配合成分による腐食等の影響も受けにくいステンレス製とするのが望ましい。混合容器2の容量は、例えば60リットルであり、5〜60kgのチョコレート原料を処理することができる。混合容器2の内部には、撹拌羽根3が設けられており、撹拌羽根3は混合容器2の底面から垂直に突出する回転軸4に取り付けられている。5は回転軸4を回転させる電動機である。
撹拌羽根3の枚数には特段の制限はなく、1枚であってもよいが、2枚以上であるのが好ましい。混合容器2に対する撹拌羽根3の大きさ、形状は、混合容器2内に投入されたチョコレート原料と粉末状の配合成分とを十分に撹拌することができる限り特に限定されず、混合容器2の形状や大きさに合わせて適宜最適化すればよい。ただし、撹拌羽根3の位置に関しては、通常、撹拌羽根3の最下端と混合容器2の底面との間隙、及び撹拌羽根3の先端と混合容器2の内壁面との間隙が、いずれも1cm以内となるように撹拌羽根3を配置するのが望ましい。
また、撹拌羽根3は、混合容器2の底面に対し垂直に位置していても良いが、混合容器2の底面から垂直に突出している回転軸4に対し10乃至60度、好ましくは20乃至40度の範囲で傾斜しているのが望ましい。このように撹拌羽根3が、垂直な回転軸4に対して傾斜している場合は、撹拌羽根3の回転方向を正逆切換えることにより、溶けたチョコレート原料の撹拌流方向を変化させることができるので、粉末状の配合成分をより効率的に分散させることができる。撹拌羽根3の回転方向は、垂直に対して傾斜した撹拌羽根3が、回転によりチョコレート原料をすくい上げる方向を正方向とし、逆に、回転によりチョコレート原料を押し付ける方向を逆方向と呼ぶことにする。
撹拌羽根3の回転方向の切り替えは、電動機5の回転方向を切り替えるか、電動機5と回転軸4との間にギアボックスが設けられている場合には、そのギアボックス内における回転の伝達方向を切り替えることによって、適宜行うことができる。
撹拌羽根3の回転方向の切り替えは、適宜の間隔で行えば良いが、通常、30秒乃至10分毎に行うのが好ましく、1乃至5分毎に行うのがより好ましく、2乃至4分毎に行うのが最も好ましい。撹拌羽根3の回転数は粉末状の配合成分を均一に分散できる限り特に限定されないが、通常、10乃至100rpmであるのが好ましく、20乃至80rpmであるのがより好ましい。
なお、図示の例では、撹拌羽根3は垂直軸の回りに回転することによって混合容器2内の材料を撹拌するものであるが、撹拌のモードは回転に限られず、撹拌羽根3を例えば水平方向に往復動させることによって材料を撹拌するようにしても良い。
図1において、6は混合容器2の上部開口を気密に覆うことができる蓋である。蓋6は、混合容器2に対し着脱自在に取り付けられ、蓋6を取り付けることによって、混合容器2内を外気に対して遮断された密閉空間とすることができる。
7は真空ポンプであり、減圧手段に相当する。8は、真空ポンプ7と混合容器2の内部とを接続する管路に設けられた第一開閉弁である。これにより、混合容器2の内部空間は、第一開閉弁8を介して、減圧手段に相当する真空ポンプ7と接続されることになる。なお、真空ポンプ7としては、真空空間に油等が直接接触しないドライポンプが望ましい。
9は、混合容器2の内部を外気と連通させる連通路に設けられた第二開閉弁、10は混合容器2の内部の圧力を計測する圧力計である。これら第二開閉弁9及び圧力計10は、前述した真空ポンプ7、第一開閉弁8とともに、真空度調節機構を構成している。
上記真空度調節機構による真空度の調整は、例えば、以下のようにして行われる。すなわち、まず、混合容器2の内部を外気と連通させる連通路に設けられた第二開閉弁9を「閉」とした状態で、第一開閉弁8を「開」とし、真空ポンプ7を作動させる。これにより、混合容器2の内部の圧力を下げて、真空度を高めることができる。逆に、混合容器2内部の真空度を下げる(圧力を上げる)には、混合容器2の内部を外気と連通させる連通路に設けられた第二開閉弁9を「開」とすれば良い。第二開閉弁9を介して、外気が混合容器2内に流入し、ほぼ瞬時に混合容器2内の圧力が上がり、真空度を低とすることができる。混合容器2内の真空度を再度高めるには、第二開閉弁9を再び「閉」とすれば良い。真空ポンプ7の作動により、混合容器2内部の圧力が下がり、真空度が上昇する。なお、第二開閉弁9としては、電気信号によって弁の開閉を制御できる電磁弁であるのが望ましい。
このように、混合容器2内の圧力、すなわち、真空度の調節は、真空ポンプ7の作動、停止、第一開閉弁8の開閉、及び第二開閉弁9の開閉のタイミングを適宜調節することによって実行することができる。
11は混合容器2の外周を覆う温冷水ジャケット、12は温度調節装置、13及び14は、温冷水ジャケット11と温度調節装置12との間で、温冷水を循環させる温冷水循環ラインであり、15は混合容器2内の温度を計測する温度計である。これらが温度調節機構を構成しており、このような温度調節機構を備えていることにより、混合容器2内に投入されたチョコレート原料を溶かし、溶けた状態で撹拌を実行することができる。なお、チョコレート原料は、溶けた状態で混合容器2内に投入されても良いことは勿論である。また、粉末状の配合成分は、チョコレート原料が混合容器2に投入される前にチョコレート原料に添加されていても良いし、チョコレート原料と同時又は相前後して混合容器2内に添加、投入されても良い。このように、チョコレート原料と粉末状の配合成分とは、蓋6を取り外した状態で、混合容器2の上部開口から混合容器2内に投入される。したがって、本例の撹拌混合機1においては、混合容器2の上部開口が、混合対象となる材料が投入される開閉自在な材料投入口ということになる。
上記温度調節機構は、混合容器2の内部の温度を4〜90℃の範囲内で、より好ましくは5〜80℃の範囲で制御できるものが好ましい。なお、内部に温冷水を循環させることにより温度調節を行う温冷水ジャケット11に代えて、混合容器2の側面及び底面にヒータ等の加温手段や適宜の電子冷却手段を設置し、これらを適宜作動させることによって混合容器2内の温度を調節するようにしても良い。
16はチョコレート取出バルブであり、粉末状の配合成分の分散が完了したチョコレート原料は、この取出バルブ16から取り出され、適宜次の工程へと搬出される。したがって、本例の撹拌混合機1においては、チョコレート取出バルブ16が、混合済みの材料が取り出される開閉自在な材料取出口ということになる。
図2は、本発明に係るチョコレートの製造方法若しくは分散方法を実行する際に使用される撹拌混合機の他の一例を示す正面部分断面図である。図1におけると同じ部材には同じ符号を付してある。図2に示した撹拌混合機は、真空ポンプ7、第一開閉弁8、第二開閉弁9などに加えて、加圧ポンプ17、及び加圧ポンプ17と混合容器2の内部とを接続する管路に設けられた第三開閉弁18が設けられている点で、図1に示した撹拌混合機とは異なっている。
加圧ポンプ17、第三開閉弁18は、真空ポンプ7、第一開閉弁8、第二開閉弁9、及び圧力計10とともに、圧力調節機構を構成しており、第一開閉弁8及び第二開閉弁9を「閉」とした状態で、第三開閉弁を「開」とすることによって、混合容器2の内部を大気圧よりも高い加圧状態にすることができる。圧力計10をみながら、加圧ポンプ17の作動・停止及び/又は第三開閉弁18の開閉、並びに第二開閉弁9の開閉のタイミングを適宜調節することによって、混合容器2の内部を圧力が変動する加圧状態とすることができ、加圧状態での圧力変動を実現することができる。
<実験1:チョコレート原料中へのイソマルトデキストリン粉末の分散−その1−>
図1記載の撹拌混合機1を用いて、以下の手順により、チョコレート原料中への粉末状の配合成分の分散実験を行った。すなわち、チョコレート原料としてブロック状の原料チョコレート(商品名「インプレミルクコーティング」(大東カカオ株式会社販売))50kgを混合容器2内に投入し、蓋6を閉めて、撹拌羽根3を回転数30rpmで回転させて撹拌しながら45℃にて溶解した。次いで、蓋6を開けて、粉末状の配合成分として、イソマルトデキストリン粉末(商品名「ファイバリクサ」(株式会社林原販売))5kgを加え、蓋6を閉めて、混合容器3内を45℃に保ちながら、再度撹拌羽根3を30rpmで回転させ、撹拌した。イソマルトデキストリン粉末添加後の撹拌は、混合容器2内の圧力を下記表1に示す条件1〜条件3の3通りに設定して撹拌した。便宜上、条件2及び条件3の混合容器2内の圧力変化図を図3、図4に示す。
Figure 2020153374
また、条件1〜3のそれぞれにおいて、撹拌羽根3を一定方向(正方向のみ)に回転させる撹拌を行う場合と、撹拌羽根3の回転方向を3分毎に正逆交互に切り替える撹拌を行う場合との2種類の撹拌条件下で分散試験をおこなった。いずれの条件下でも、適宜のタイミングで混合容器2内のチョコレート原料の状態を肉眼観察し、ダマの有無を調べ、ダマが消失するまでの時間を計測した。結果を、表2に示す。
Figure 2020153374
表2に示すとおり、減圧を行わない条件1では、撹拌羽根3の回転方向を正方向のみとした場合のみならず、回転方向を定期的に正逆切り替えた場合にも、試験を継続した10時間以内にはダマが消失せず、イソマルトデキストリン粉末をチョコレート原料中に均一に分散させることはできなかった。
一方、真空度−0.08MPaという一定の減圧雰囲気下で撹拌を行った条件2(図3)では、撹拌羽根3の回転方向を定期的に正逆切り替えた場合には、撹拌開始後6時間で目視にてダマが確認できなくなり、その時点でイソマルトデキストリン粉末が分散したと判断された。また、回転方向を正方向のみとした場合でも、撹拌開始後8時間で、ダマが消失し、その時点でイソマルトデキストリン粉末が分散したと判断された。
さらに、撹拌を真空度が−0.04MPaと−0.08MPaとの間で定期的に変動する減圧雰囲気下で行った条件3(図4)では、撹拌羽根3の回転方向を定期的に正逆切り替えた場合には、撹拌開始後1時間で、目視にてダマが確認できなくなり、その時点でイソマルトデキストリン粉末が分散したと判断された。また、回転方向を正方向のみとした場合でも、撹拌開始後2時間で、ダマが消失し、その時点でイソマルトデキストリン粉末が分散したと判断された。
以上の結果から、溶けたチョコレート原料に粉末状の配合成分を分散させる場合、減圧雰囲気下で撹拌することが有効であり、さらに、減圧雰囲気としては、真空度が一定に保たれる減圧雰囲気よりも、真空度が一定間隔で変動する減圧雰囲気の方がより有効であることがわかった。加えて、撹拌の回転方向を定期的に切り替えると、一定方向に回転させる場合よりも、より効率よく分散できることがわかった。
<実験2:イソマルトデキストリン粉末を分散させたチョコレートの性質>
チョコレート原料に粉末状の配合成分を分散させる際の雰囲気圧力条件が、得られるチョコレートの食感に及ぼす影響を調べた。すなわち、実験1では、条件2及び条件3の減圧雰囲気下での撹拌によって、イソマルトデキストリン粉末を均一に分散させたチョコレート原料が得られたので、実験1において条件2又は条件3の減圧雰囲気下で、かつ、撹拌羽根の回転方向を定期的に正逆切り替える撹拌条件下で得られた粉末分散チョコレート原料を用い、成形後のチョコレートについて食感及び物性を比較した。なお、成形は、条件2及び条件3ともに、ダマ消失直後(分散直後)に混合容器2から取り出した粉末分散チョコレート原料に加えて、ダマ消失後、さらに同条件で1時間撹拌を継続した後に混合容器2から取り出した粉末分散チョコレート原料を用い、いずれも5℃にて、縦横40mm厚さ3mmの板状チョコレートに成形した。
食感については、成形した板状チョコレートを5人のパネラーに試食してもらい、その滑らかさを評価した。対照として、実験1においてチョコレート原料として使用したブロック状の原料チョコレート(イソマルトデキストリン粉末不含有)を45℃で溶解し、5℃にて、同じく縦横40mm厚さ3mmの板状チョコレートに成形したものを用いた。パネラーによる評価は、下記表3に示す5段階評価とし、その平均点で食感を判断した。結果を表4に示す。なお、評点の平均値の下にパネラーに共通した食感についてのコメントを付記した。
Figure 2020153374
Figure 2020153374
表4の結果に見られるとおり、撹拌時の減圧雰囲気が条件2及び条件3のいずれであっても、分散直後に成形したチョコレートよりも、分散後にさらに1時間撹拌を継続した後に成形されたチョコレートの方が、食感評価は高く、目視によるダマ消失後も一定時間撹拌を継続した方がより均一な分散が実現できることが判明した。特に、条件3の減圧雰囲気下でイソマルトデキストリン粉末を分散させたチョコレートは、分散直後に成形されたものであっても、評点4.0(=対照とほぼ同等)と評価される食感に優れるチョコレートであり、中でも、条件3の減圧雰囲気下での撹拌に加えて、分散後さらに1時間の撹拌を継続した後に成形したチョコレートは、食感が滑らかで、「4=対照とほぼ同等」を超える評点4.6と評価される食感に優れるチョコレートであった。
<実験3:チョコレート原料中へのイソマルトデキストリン粉末の分散−その2−>
図2に示す撹拌混合機を用い、実験1と同じチョコレート原料及び粉末状の配合成分を、実験1におけると同様に、条件3の減圧雰囲気下で、かつ、撹拌羽根の回転方向を定期的に切り替える撹拌条件下で1時間撹拌し、ダマを消失させた後、さらに、上記表1に示した条件3の減圧雰囲気下での撹拌と、下記表5に示す条件4の加圧雰囲気下での撹拌とを、各10分間ずつ、交互に3回ずつ繰り返す撹拌(計1時間)を行った。なお、ダマ消失後に行った減圧雰囲気下での撹拌、及び加圧雰囲気下での撹拌においても、撹拌羽根の回転方向を3分ごとに切り替えた。
Figure 2020153374
上記減圧雰囲気下での撹拌と加圧雰囲気下での撹拌とを繰り返す撹拌を計1時間行ったのち、混合容器2から粉末分散チョコレート原料を取り出し、チョコレート原料中に分散している粉末成分であるイソマルトデキストリンの粒子の大きさを測定するとともに、実験2と同様にして、縦横40mm厚さ3mmの板状チョコレートに成形し、その食感(滑らかさ)を実験2におけると同様に評価した。また、実験2で条件3の減圧雰囲気下での撹拌1時間に加えて、ダマ消失後、さらに同条件で1時間撹拌を継続して得られた粉末分散チョコレート原料についても、分散しているイソマルトデキストリンの粒子の大きさを測定した。
チョコレート原料中に分散している粉末成分であるイソマルトデキストリンの粒子の大きさを測定は以下のようにして行った。すなわち、粉末を分散させたチョコレート原料の一部をとり、マイクロメーター(株式会社ミツトヨ製、MDC−25MX)の測定面全体に塗布し、測定面で挟んでチョコレート原料がはみ出す状態でラチェットストップが空転したところの目盛りを読み、分散している粉末成分の粒子の大きさとした。この方法では、測定面に塗布されたチョコレート原料中に存在している最大粒子の大きさを測定していることになるが、本来のチョコレート原料由来の粒子の粒径は約20から30μmであるので、それよりも大きな値が得られた場合には、チョコレート原料中に分散している配合成分の粒径を反映していると考えられる。測定は、各チョコレート原料について5回ずつ行い、その平均値を求めた。結果を、食感(滑らかさ)についての評価結果とともに、表6に示した。なお、表6中、実験2で得られた粉末分散チョコレート原料の成形品についての食感評価の結果は表4から転記した。
Figure 2020153374
表6に示すとおり、ダマ消失後の攪拌工程において、減圧雰囲気下(条件3)での撹拌に加えて、加圧雰囲気下(条件4)での攪拌を加えた場合、イソマルトデキストリンの粒子の大きさは、加圧雰囲気下(条件4)での攪拌を行わない場合に比べて小さくなっていた。また、食感(滑らかさ)の評価点も向上しており、ザラツキはほとんど感じられず、粉末状の配合成分を含まない対照のチョコレートとほぼ遜色ないほど滑らかとなっていた。この結果は、減圧雰囲気下での撹拌工程に加えて、加圧雰囲気下での撹拌工程を含めることによって、粉末状の配合成分の粒径がより小さくなり、より食感に優れた粉末分散チョコレート原料又はその成形品が得られることを示している。
<実験4:ホワイトチョコレートへの抹茶の分散>
チョコレート原料としてノーテンパータイプのホワイトチョコレート(商品名「インプレホワイト」(大東カカオ株式会社販売))50kgを用い、粉末状の配合成分として抹茶2.5kgを用いた以外は、実験1と同様にして、条件1乃至条件3の条件で、ホワイトチョコレートに抹茶を分散させる実験を行った。結果を表7に示す。
Figure 2020153374
表7の結果に示されるとおり、ホワイトチョコレートに粉末状の配合成分として抹茶を分散させた場合、条件1と条件2では、撹拌条件にかかわらず、ダマは消失せず、目視においても、抹茶の色むらが観察された。一方、条件3でも、正回転のみでは均一に分散せず、抹茶の色むらが生じていたが、撹拌の回転方向を定期的に切り替えた場合、撹拌開始後2時間でダマが消失した。以上の結果から、ホワイトチョコレートに抹茶を分散させる場合においても、減圧状態で撹拌することが有効であり、さらに、減圧において真空度を一定間隔で変動させ、さらに撹拌の回転方向を定期的に切り替えると、効率よく分散できることがわかった。
<実験5:抹茶を分散させたホワイトチョコレートの性質>
実験4でダマが消失した条件3の減圧雰囲気下、かつ、回転方向正逆切り替えの撹拌条件下で得られた抹茶分散ホワイトチョコレートを用いた以外は実験2におけると同様にして、分散直後、及び分散後1時間撹拌継続後に成形された抹茶分散ホワイトチョコレートについて、パネラーによる食感についての官能検査を行った。結果を表8に示す。なお、評点の平均値の下にパネラーに共通した外観についてのコメントを付記した。
Figure 2020153374
表8に示されるとおり、条件3で得られた抹茶分散ホワイトチョコレートは、対照と変わらない滑らかな食感を有しており、抹茶の色むらもなく、鮮やかな緑色を呈していた。また、抹茶分散ホワイトチョコレートの場合には、分散直後に成形したものと、分散後さらに撹拌を継続した後に成形したもので食感や外観に大きな差はなく、抹茶はイソマルトデキストリン粉末とは異なる挙動を示した。その理由は定かではないが、糖質(イソマルトデキストリン)と抹茶という素材の違い、及び、実験1で用いられたイソマルトデキストリン粉末は平均の粒度が約150μmであるのに対し、抹茶は平均粒度が20μmと小さいという粒度の違い、これらが関与しているのではないかと考えられた。
上記実験1、2、4、5の結果は、粉末状の配合成分の種類が異なっても、チョコレートに粉末状の配合成分を分散させる場合、減圧雰囲気とし、その真空度を一定間隔で変動させ、かつ、撹拌の回転方向を定期的に切り替えることが有効であることを物語っている。
<実験6:各種糖質を分散させたチョコレートの性質>
<実験6−1:分散試験>
粉末状の配合成分として、イソマルトデキストリン粉末に代えて、難消化性デキストリン(商品名「ファイバーソル2」(松谷化学工業株式会社販売))、又はグアガム分解物(商品名「サンファイバー」(太陽化学株式会社販売))を用い、撹拌時の減圧雰囲気を条件3のみとし、撹拌の回転方向を3分毎に正逆切り替えた以外は、実験1と同様にして、チョコレート原料と粉末状の配合成分のそれぞれとを撹拌し、粉末状の配合成分のそれぞれをチョコレート原料中に分散させる試験を行った。結果を表10に示す。なお、表10に示したイソマルトデキストリン粉末の分散までの時間は、表2から転記したものである。
<実験6−2:食感・風味試験>
上記分散試験において、目視によるダマの消失後、さらに1時間撹拌を継続した後、粉末状の配合成分のそれぞれを分散させたチョコレート原料を混合容器から取り出して、実験2におけると同様に板状チョコレートに成形した。成形した板状チョコレートについて、実験2におけると同様にして食感についてパネラーによる官能検査を行った。対照としては、実験2における対照と同じものを用いた。なお、各パネラーに食感について評価してもらう際に、風味についても併せて評価してもらった。加えて、実験2で、本実験6−2におけると同様に、分散後、さらに1時間の撹拌を継続した後に成形して得られたイソマルトデキストリン粉末を分散させた板状チョコレートについても、風味についての官能評価を行った。風味の評価は下記表9に示す10段階評価で行った。
Figure 2020153374
結果を表10に併せて示す。なお、表10に示したイソマルトデキストリン粉末を分散させたチョコレートの分散までの時間は表2から、食感の評点は表4から、それぞれ転記したものである。
Figure 2020153374
表10に見られるとおり、粉末状の配合成分として、いずれの糖質粉末を用いた場合にも、条件3の減圧雰囲気下における撹拌で、粉末状の配合成分を効率よく分散することができた。ただし、グアガム分解物を用いた場合、風味の評価は4.4と高く、特に問題はなかったが、分散後撹拌を継続してもザラつきが残っており、食感は良好ではなく、3.2と評価された。また、難消化性デキストリンを用いた場合、ザラつきはなく、食感は良好で、4.4と評価されたが、風味は低下し、3.8と比較的低い評点であった。これに対し、イソマルトデキストリン粉末を用いた場合には、食感、風味ともに評点が高かった。特に風味に関しては、対照よりも大いに優れるという結果となったが、その主な要因としては、今回原料として用いたチョコレートに含まれるパーム油由来の油脂臭がマスキングされ、カカオ本来の風味が増強されたためと考えられた。
<実験7:耐熱性試験>
<実験7−1:耐熱性試験>
実験6において、食感及び風味についての官能検査の対象とした難消化性デキストリンを分散させたチョコレート、グアガム分解物を分散させたチョコレート、及び実験2において、前記二者と同じ条件下で製造されたイソマルトデキストリン粉末を分散させたチョコレートについて、その耐熱性を評価した。すなわち、それぞれの粉末を分散させたチョコレートを、縦19mm、横19mm、高さ14mmのブロック状に成形し、100℃で7分間加熱した後、冷却し、チョコレートの高さを測定した。なお、対照として、粉末状の配合成分を分散させない以外は同様にして成形されたチョコレートを用いた。結果を表11に示す。
<実験7−2:油脂安定性試験>
また、油脂の安定性の指標として、油滲み出し試験をおこなった。すなわち、それぞれの粉末を分散させたチョコレートを縦17mm、横17mm、高さ6.5mmのブロック状に成形し、これを濾紙の上に置き、35℃で60分間加温した後、5℃で冷却した。濾紙からチョコレートを除き、濾紙にしみ込んだ油のシミの面積により、油脂の溶けだしやすさを評価した。なお、対照として、粉末状の配合成分を分散させない以外は同様にして成形されたチョコレートを用いた。結果を表11に併せて示す。
Figure 2020153374
表11に示されるとおり、いずれの糖質粉末を分散させたチョコレートの場合でも、粉末状の配合成分を分散させない対照(無添加)のチョコレートよりも、加熱後の油の滲み出し面積は小さく、また、耐熱性試験におけるチョコレートブロックの高さの低下も小さかった。以上の結果は、いずれの糖質粉末を分散させたチョコレートにおいても、糖質粉末の分散により耐熱性が向上しており、油脂も安定した状態になっていることを示している。特に、イソマルトデキストリン粉末を分散させたチョコレートは耐熱性に優れており、特に焼成チョコレートの製造に有用と考えられた。また、油が溶けだしにくいことは、手で持った時にべたつきにくい等、比較的融点の低い油の影響を抑制する効果にも優れることを物語っている。
<実験8:その他の物性試験>
<実験8−1:スナップ性試験>
実験7で耐熱性を評価したのと同じ、イソマルトデキストリン粉末又は難消化性デキストリンを分散させたチョコレートについて、チョコレート特有の物性の指標であるスナップ性を評価する試験を行った。すなわち、実験7でブロック状に成形したのと同じイソマルトデキストリン粉末分散チョコレート、及び難消化性デキストリン分散チョコレートを、それぞれ、縦34mm、横17mm、高さ6.5mmの板状に成形し、レオメーターに供し、25℃で、中心部を球状のプランジャーで押して、チョコレートが折れるときの力を測定してスナップ性を評価した。対照としては、粉末状の配合成分を分散させない以外は同様にして成形されたチョコレートを用いた。結果を表12に示す。
<実験8−2:モールド性試験>
併せて、実験8−1で用いたと同じ粉末分散チョコレートを用いて、成形後の型からの外れやすさの指標として、モールド性を試験した。すなわち、実験7でブロック状に成形したのと同じイソマルトデキストリン粉末分散チョコレート、及び難消化性デキストリン分散チョコレートを、それぞれ、縦34mm、横17mm、高さ6.5mmの型に流し込み、5℃で冷却し、固まった後、型から容易に剥離できるまでの時間で評価した。対照としては、粉末状の配合成分を分散させない原料チョコレートを用いた結果を表12に併せて示す。
Figure 2020153374
表12に示されるとおり、スナップ性については、対照とした粉末無添加のチョコレートは、25℃では80N以上の力を加えても、折れて切断されることはなく曲がってしまうという結果となり、実質的にスナップ性は失われていると評価された。これに対し、粉末糖質を分散させたチョコレートの場合は、42.91N又は53.48Nで折れ、スナップ性を示した。この結果は、糖質粉末を分散させたチョコレートは、試験した25℃という常温程度の比較的高い温度でもスナップ性を維持していることを物語っている。スナップ性に関しては、イソマルトデキストリン粉末を分散させたチョコレートにおいて、特に優れていた。
一方、モールド性については、糖質粉末を分散させたチョコレートは、いずれも、短時間で型から外れやすくなっており、モールド性は向上していた。特に、イソマルトデキストリン粉末を分散させたチョコレートが最も短時間で型から剥離しやすく、チョコレートの製造効率を向上できるとともに、結露やブルームを抑制するうえでも、チョコレート製造において取扱やすい有利な性質を有することが分かった。
<焼成チョコレート>
実験7−1で耐熱性試験に用いたイソマルトデキストリン粉末を分散させたチョコレートを、縦横19mm、高さ14mmに成形した後、170℃で1分間加熱し、焼成チョコレートを製造した。得られた焼成チョコレートは、ほぼ焼成前の形状を保ち、表面が硬く、内部が滑らかな焼成チョコレートであった。
比較のため、イソマルトデキストリン粉末を分散させていないチョコレート(対照)を、同様にして、成形し、加熱したところ、加熱途中で成形体が溶解し、形状が失われ、焼成チョコレートを製造することができなかった。
<コーヒー風味のチョコレート>
図1に記載された撹拌混合機1に、ブロック状のチョコレート(商品名「インプレミルク」(大東カカオ株式会社販売))50kgを投入し、撹拌羽根3を回転数60rpmで回転させて撹拌しながら45℃にて溶解した。次いで、混合容器2内にコーヒー粉末3kgを加え、減圧下で撹拌混合を行った。真空度は、−0.08MPaから瞬間的にリークし−0.06MPaに下げ、再度−0.08MPaに上げる操作を繰り返しながら行った。また、撹拌の回転方向は、3分毎に切り替えた。添加したコーヒー粉末は約1.5時間の撹拌で、チョコレート原料中に均一に分散し、分散後、さらに1時間同条件で撹拌を継続した後、板チョコレートに成形した。得られた板チョコレートは、滑らかな食感を有し、コーヒーの風味を有する香り高いチョコレートであった。
<板チョコレート>
実験3で加圧雰囲気下(条件4)で攪拌する工程を含む工程で得られたチョコレート原料を、縦横30mm、高さ5mmの板状に成形して、板チョコレートを得た。得られた板チョコレートは、滑らかな食感を有し、風味も良好なチョコレートであった。
以上説明したとおり、本発明に係るチョコレートの製造方法及び撹拌混合機によれば、粉末状の配合成分を効率良く、かつ容易にチョコレート中に分散させることができる。本発明は、チョコレート中への粉末状の配合成分の効率的かつ容易な分散技術を通じて、チョコレートの物性改善や機能性付与に大きく貢献するものであり、その産業上の利用可能性は多大である。
1 撹拌混合機
2 混合容器
3 撹拌羽根
4 回転軸
5 電動機
6 蓋
7 真空ポンプ
8 第一開閉弁
9 第二開閉弁
10 圧力計
11 温冷水ジャケット
12 温度調節装置
13、14 温冷水循環ライン
15 温度計
16 チョコレート取出バルブ
17 加圧ポンプ
18 第三開閉弁

Claims (21)

  1. 溶けた状態のチョコレート原料と粉末状の配合成分とを減圧雰囲気下で撹拌する工程を含むチョコレートの製造方法。
  2. 前記減圧雰囲気が、真空度−0.03乃至−0.10MPaの範囲で、時間的に一定、及び/又は、時間的に変動する雰囲気である請求項1記載のチョコレートの製造方法。
  3. さらに、加圧雰囲気下で撹拌する工程を含む請求項1又は2記載のチョコレートの製造方法。
  4. 前記加圧雰囲気が、圧力0.05乃至0.5MPaの範囲で、時間的に一定及び/又は時間的に変動する雰囲気であるか、大気圧乃至0.5MPaの範囲で時間的に変動する雰囲気である請求項3記載のチョコレートの製造方法。
  5. 前記撹拌する工程における前記撹拌の方向が定期的又は不定期的に逆転される請求項1乃至4のいずれかに記載のチョコレートの製造方法。
  6. 前記撹拌する工程において撹拌される前記チョコレート原料と前記配合成分の割合が、前記チョコレート原料100質量部に対し、前記配合成分が0.1乃至200質量部の割合である請求項1乃至5のいずれかに記載のチョコレートの製造方法。
  7. 前記配合成分が、糖質、タンパク質、茶葉由来の粉末、大豆粉、コーヒー粉末、乳酸菌、粉乳、塩、香料、香辛料、及び調味料から選ばれる1種又は2種以上である請求項1乃至6のいずれかに記載のチョコレートの製造方法。
  8. 前記糖質が、単糖、オリゴ糖、多糖、及び糖アルコールから選ばれる1種又は2種以上の糖質である請求項7記載のチョコレートの製造方法。
  9. 前記オリゴ糖又は多糖が、デンプン、デキストリン、グリコーゲン、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、イソマルトデキストリン、デキストラン、サイクロデキストリン、サイクロデキストラン、サイクロイソマルトオリゴ糖又は環状四糖を含む環状糖、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、スクロース、フラクトオリゴ糖、乳糖、ガラクトオリゴ糖、マルトース、トレハロースから選ばれる1種又は2種以上である請求項8記載のチョコレートの製造方法。
  10. 前記糖質が、グルコースを構成糖とする糖質であり、その水溶性食物繊維含量が40質量%以上である請求項8記載のチョコレートの製造方法。
  11. 前記糖質が、イソマルトデキストラナーゼ(EC3.2.1.94)消化により、消化物の固形物当たりイソマルトースを25質量%以上50質量%以下生成する糖質である請求項10記載のチョコレートの製造方法。
  12. 溶けた状態にあるチョコレート原料と粉末状の配合成分とを減圧雰囲気下で撹拌する工程を含む、チョコレート原料中への粉末状の配合成分の分散方法。
  13. 前記減圧雰囲気が、真空度−0.03乃至−0.10MPaの範囲で、時間的に一定、及び/又は、時間的に変動する雰囲気である請求項12記載のチョコレート原料中への粉末状の配合成分の分散方法。
  14. さらに、加圧雰囲気下で撹拌する工程を含む請求項12又は13記載のチョコレート原料中への粉末状の配合成分の分散方法。
  15. 前記加圧雰囲気が、圧力0.05乃至0.5MPaの範囲で、時間的に一定及び/又は時間的に変動する雰囲気であるか、大気圧乃至0.5MPaの範囲で時間的に変動する雰囲気である請求項14記載のチョコレート原料中への粉末状の配合成分の分散方法。
  16. 前記撹拌の方向が定期的又は不定期的に逆転される、請求項12乃至15のいずれかに記載のチョコレート原料中への粉末状の配合成分の分散方法。
  17. 前記チョコレート原料と前記粉末状の配合成分との割合が、前記チョコート原料100質量部に対し、粉末状の前記配合成分が0.1乃至200質量部の割合である請求項12乃至16のいずれかに記載のチョコレート原料中への粉末状の配合成分の分散方法。
  18. 混合対象となる材料が投入される開閉自在な材料投入口と、混合済みの材料が取り出される開閉自在な材料取出口とを備えた密閉可能な混合容器と、前記混合容器内に設けられた撹拌羽根と、前記混合容器内の真空度を調節する真空度調節機構とを備えている撹拌混合機。
  19. 前記真空度調節機構が、第一開閉弁を介して前記混合容器内部と接続される減圧手段と、前記混合容器内部を外気と連通させる連通路に設けられた第二開閉弁と、前記混合容器内の圧力を測定する圧力計とを含んでいる請求項18記載の撹拌混合機。
  20. さらに、第三開閉弁を介して前記混合容器内部と接続される加圧手段を含む圧力調節機構を備えている請求項18又は19記載の撹拌混合機。
  21. 前記撹拌羽根が回転軸の回りに回転する撹拌羽根であり、その回転方向を正逆自在に切り替える撹拌方向切り替え機構を備えている請求項18乃至20のいずれかに記載の撹拌混合機。
JP2020568169A 2019-01-22 2020-01-21 チョコレートの製造方法とそれに用いる撹拌混合機 Pending JPWO2020153374A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019008684 2019-01-22
JP2019008684 2019-01-22
PCT/JP2020/001980 WO2020153374A1 (ja) 2019-01-22 2020-01-21 チョコレートの製造方法とそれに用いる撹拌混合機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2020153374A1 true JPWO2020153374A1 (ja) 2021-12-02
JPWO2020153374A5 JPWO2020153374A5 (ja) 2023-01-26

Family

ID=71735609

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020568169A Pending JPWO2020153374A1 (ja) 2019-01-22 2020-01-21 チョコレートの製造方法とそれに用いる撹拌混合機

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JPWO2020153374A1 (ja)
TW (1) TW202045020A (ja)
WO (1) WO2020153374A1 (ja)

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS606163A (ja) * 1983-06-23 1985-01-12 Meiji Seika Kaisha Ltd 脱気油脂性菓子の製造方法
JPH07121197B2 (ja) * 1986-07-19 1995-12-25 株式会社ロツテ 気泡入りチヨコレ−ト菓子およびその製造方法
JPH09285725A (ja) * 1996-04-23 1997-11-04 Nagata Jozo Kikai Kk 発酵タンク用撹拌装置
JP2919453B1 (ja) * 1998-02-27 1999-07-12 東京ネームプレート工業協同組合 脱泡粘稠液分配ポッティング装置
JP2000076540A (ja) * 1998-08-28 2000-03-14 Fuji Electric Co Ltd カップ式飲料自動販売機の飲料攪拌装置
JP4542023B2 (ja) * 2005-11-08 2010-09-08 株式会社 オヴァールリエゾン 新規チョコレート及び新規チョコレート菓子
JP2009232795A (ja) * 2008-03-28 2009-10-15 Fuji Oil Co Ltd チョコレート様食品
JP4881967B2 (ja) * 2009-02-18 2012-02-22 梶原工業株式会社 攪拌調理装置
WO2013099933A1 (ja) * 2011-12-27 2013-07-04 株式会社明治 植物粉末含有ホワイトチョコレート含浸食品およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
TW202045020A (zh) 2020-12-16
WO2020153374A1 (ja) 2020-07-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Aidoo et al. Optimization of inulin and polydextrose mixtures as sucrose replacers during sugar-free chocolate manufacture–Rheological, microstructure and physical quality characteristics
JP5580490B2 (ja) チョコレート及び該チョコレートが被覆されたチョコレート被覆食品の製造方法、ならびにチョコレート生地の粘度上昇抑制方法
TW201201708A (en) White chocolate-impregnated food and process of producing the same
JP2014064574A (ja) ムース
JP7404270B2 (ja) 含水チョコレート様菓子及び含水チョコレート様菓子の製造方法
Rasouli-Pirouzian et al. Rheological properties of sugar-free milk chocolate: comparative study and optimisation.
KR20170059439A (ko) 내열성 초콜릿 및 그 제조 방법
Yeganehzad et al. Formulation, development and characterization of a novel functional fruit snack based on fig (Ficus carica L.) coated with sugar-free chocolate
JP2010148475A (ja) 含気グミキャンディ及びその製造方法
CN104394711A (zh) 可食材料及其制造
US3784714A (en) Protective coatings for confectioneries and bakery products
WO2020153374A1 (ja) チョコレートの製造方法とそれに用いる撹拌混合機
KR101852660B1 (ko) 소성 복합 과자 및 그의 제조 방법
JP7119021B2 (ja) 油脂性菓子、複合菓子及び油脂性菓子の製造方法
JP6347506B2 (ja) 油性菓子の製造方法
JP6063717B2 (ja) チョコレート複合食品の製造方法
JP2021036856A (ja) カカオパルプパウダーおよびその製造方法、ならびに、チョコレートおよび油脂加工品
CN107846921B (zh) 即溶巧克力饮品用组合物、巧克力饮品的制造法
JP2009261382A (ja) 製菓用マシュマロ及びその製造方法
JP7265335B2 (ja) チョコレート様食品の製造方法
JP5807367B2 (ja) チョコレート様食品の製造方法
JPH09155A (ja) ベーカリー生地用センター材およびベーカリー製品
JP2017000028A (ja) 含水ホワイトチョコレート様食品
JP7041573B2 (ja) 焼チョコレート様菓子およびその製造方法
Kamilovna METHODS OF IMPROVING THE COMPOSITION OF CHOCOLATE MASS

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230116

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230116

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20230203

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20230203

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240227