JPWO2020149310A1 - 管用ねじ継手及び管用ねじ継手の製造方法 - Google Patents
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Abstract
優れた高トルク性能を有する管用ねじ継手及びその製造方法を提供する。管用ねじ継手は、ピン(3)と、ボックス(4)と、固体潤滑被膜(21)とを備える。ピン(3)は、ピン側ねじ部(31)を含むピン側接触表面(34)を有する。ボックス(4)は、ボックス側ねじ部(41)を含むボックス側接触表面(44)を有する。固体潤滑被膜(21)は、ピン側接触表面(34)上又はボックス側接触表面(44)上の少なくとも一方に配置される。固体潤滑被膜(21)は、結合剤、潤滑剤及びガラスフリットを含有する。
Description
本開示は、管用ねじ継手及び管用ねじ継手の製造方法に関する。
原油やガス油の採掘のための油井掘削に用いられる、チュービングやケーシングといった油井管は、一般に管状ねじ継手を用いて接続(締結)される。油井の深さは、従来は2000〜3000mであった。しかしながら、近年の海洋油田などにおける深油井では、8000〜10000mにも達する。個々の油井管の長さは典型的には十数メートルである。内部を原油などの流体が流れるチュービングの周囲を、複数のケーシングが内包する。接続される油井管の本数は千本以上といった莫大な数に達することがある。
油井管用のねじ継手には、使用環境下で油井管及び継手自体の質量に起因する軸方向引張力といった荷重、内外面圧力などの複合した圧力、さらには地中の熱が作用する。従って管用ねじ継手には、このような過酷な環境下においても破損することなく、気密性を保持することが要求される。
油井管の締結に使用される典型的な管用ねじ継手としては、雄ねじを有するピンと呼ばれる部材と、雌ねじを有するボックスと呼ばれる部材とから構成されるピン−ボックス構造が挙げられる。ピンは、鋼管の端部の外周面に形成されたピン側ねじ部(雄ねじ部)を含む。ピンはさらに、ピン側金属シール部及びピン側ショルダー部を含んでいてもよい。ボックスは、鋼管の端部の内周面に形成されたボックス側ねじ部(雌ねじ部)を含む。ボックスはさらに、ボックス側金属シール部及びボックス側ショルダー部を含んでいてもよい。鋼管同士がねじ締めされる際、雄ねじ部及び雌ねじ部が接触する。管用ねじ継手が金属シール部及びショルダー部を含む場合には、ねじ締めの際に金属シール部同士並びにショルダー部同士が接触する。
チュービングやケーシングの油井への降下作業時には、トラブルなどの種々の理由により、一度締結した管用ねじ継手を緩め、それらの継手を一旦油井から引き上げた後、再度締結して降下させることがある。ピン及びボックスのねじ部、金属シール部及びショルダー部は、鋼管のねじ締め及びねじ戻し時に強い摩擦を繰り返し受ける。これらの部位に、摩擦に対する十分な耐久性がなければ、ねじ締め及びねじ戻しを繰り返した時にゴーリング(修復不可能な焼付き)が発生する。したがって、管用ねじ継手には、摩擦に対する十分な耐久性、すなわち、優れた耐焼付き性が要求される。
従来、管用ねじ継手の耐焼付き性及び気密性の向上を図るために、「コンパウンドグリース」と呼ばれる重金属粉を含有する粘稠な液状潤滑剤(グリス潤滑油)がねじ継手の接触表面(即ち、ねじ部、又は、管用ねじ継手が金属シール部及びショルダー部を有する場合には、ねじ部、金属シール部及びショルダー部)に塗布されてきた。コンパウンドグリースの例がAPI規格BUL 5A2に記載されている。
しかしながら、コンパウンドグリースに含まれるPb等の重金属は環境に影響を与える可能性がある。このため、コンパウンドグリースを使用しない管用ねじ継手の開発が望まれている。
国際公開第2014/042144号(特許文献1)及び国際公開第2015/141159号(特許文献2)は、コンパウンドグリース無しでも耐焼付き性に優れる管用ねじ継手を提案する。
特許文献1に記載されている固体潤滑被膜形成用組成物は、水と双極性非プロトン溶媒とを含む混合溶媒中に、双極性非プロトン溶媒に対して少なくとも部分的に可溶性を有する粉末状有機樹脂を含有させた組成物である。特許文献1の固体潤滑被膜形成用組成物では、粉末状有機樹脂が混合溶媒中に溶解状態又は分散状態で存在している。これにより、コンパウンドグリースを使用せずに、錆の発生を抑制し、優れた耐焼付き性を有することができる、と特許文献1には記載されている。
特許文献2に記載されている管用ねじ継手は、接触表面上に固体潤滑被膜を備える。固体潤滑被膜は、結合剤と、フッ素系添加剤と、固体潤滑剤と、防錆添加剤とを含有する。特許文献2では、結合剤は、エチレン酢酸ビニル樹脂と、ポリオレフィン樹脂と、融点が110°C以下のワックスとを含有し、ポリオレフィン樹脂の質量に対するエチレン酢酸ビニル樹脂の質量の比が1.0〜1.8であり、ワックスの質量に対する、ポリオレフィン樹脂及びエチレン酢酸ビニル樹脂を合わせた質量の比が0.7〜1.6であることを特徴とする。これにより、極低温環境下でも、コンパウンドグリースを使用することなく、錆の発生を抑制し、優れた耐焼付き性と気密性を示し、かつ表面がべたつきにくい管用ねじ継手が得られる、と特許文献2には記載されている。
ところで、管用ねじ継手をねじ締めする際、締結完了時のトルク(以下、締結トルクという)は、ねじ干渉量の大小に関わらず、十分なシール面圧が得られるように設定されている。
ねじ締めの最終段階においては、ねじ同士の面圧が高くなる。面圧が高くなった場合でも、焼付くことなく高いトルクが維持されれば、締結トルクの調整が容易になる。したがって、管用ねじ継手には、高面圧時に高いトルクを維持する性能である、高トルク性能が要求される。
ショルダーを有する管用ねじ継手の場合、高トルク性能は、トルクオンショルダー抵抗ΔT’として表すことができる。
管用ねじ継手がショルダー部を有している場合、ねじ締めの際にはピン及びボックスのショルダー部同士が接触する。このときに生じるトルクをショルダリングトルクという。管用ねじ継手をねじ締めする際には、ショルダリングトルクに到達した後、締結が完了するまでさらにねじ締めを行う。これにより、管用ねじ継手の気密性が高まる。ねじ締めを過剰に行えば、ピン及びボックスの少なくとも一方を構成する金属が塑性変形を起こし始める。このときに生じるトルクをイールドトルクという。トルクオンショルダー抵抗ΔT’とは、上記ショルダリングトルクと上記イールドトルクとの差をいう。
管用ねじ継手がショルダー部を有している場合、トルクオンショルダー抵抗ΔT’が大きければ、締結トルクの調整が容易になる。管用ねじ継手がショルダー部を有していない場合であっても、高面圧時に高いトルクが維持されれば、締結トルクの調整は容易になる。
上述の技術によれば、コンパウンドグリース無しでも優れた耐焼付き性を得ることができる。しかしながら、十分な高トルク性能が得られない場合があった。
本開示の目的は、優れた耐焼付き性と、優れた高トルク性能とを有する管用ねじ継手及びその製造方法を提供することである。
本開示による管用ねじ継手は、ピンと、ボックスと、固体潤滑被膜とを備える。ピンは、ピン側ねじ部を含むピン側接触表面を有する。ボックスは、ボックス側ねじ部を含むボックス側接触表面を有する。固体潤滑被膜は、ピン側接触表面上又はボックス側接触表面上の少なくとも一方に配置される。固体潤滑被膜は、結合剤、潤滑剤及びガラスフリットを含有する。
本開示による管用ねじ継手の製造方法は、準備工程と、固体潤滑被膜形成工程とを備える。準備工程では、ピンと、ボックスと、固体潤滑被膜形成用組成物とを準備する。ピンは、ピン側ねじ部を含むピン側接触表面を有する。ボックスは、ボックス側ねじ部を含むボックス側接触表面を有する。固体潤滑被膜形成用組成物は、結合剤、潤滑剤及びガラスフリットを含有する。固体潤滑被膜形成工程では、ピン側接触表面上又はボックス側接触表面上の少なくとも一方に、固体潤滑被膜形成用組成物を塗布した後固化させて固体潤滑被膜を形成する。
本開示による管用ねじ継手は、優れた耐焼付き性と、優れた高トルク性能とを有する。本開示による管用ねじ継手の製造方法は、優れた耐焼付き性と優れた高トルク性能とを有する管用ねじ継手を製造することができる。
以下、図面を参照して、本実施形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
本発明者は、管用ねじ継手と、耐焼付き性及び高トルク性能との関係について、ショルダーを有する管用ねじを用いて種々検討を行った。その結果、以下の知見を得た。
鋼管同士をねじ締めする際、ねじ締めを終了する最適なトルクがあらかじめ決められている。図1は、ショルダー部を有する管用ねじ継手をねじ締めした際の、鋼管の回転数とトルクとの関係を示す図である。図1はトルクチャートとも呼ばれる。図1を参照して、管用ねじ継手をねじ締めすれば、初めは、回転数に比例してトルクが上昇する。この時のトルクの上昇率は低い。さらにねじ締めをすれば、ショルダー部同士が接触する。この時のトルクを、ショルダリングトルクという。ショルダリングトルクに達した後、さらにねじ締めをすれば、再び回転数に比例してトルクが上昇する。この時のトルクの上昇率は、ショルダリングトルクに達する前よりも、高い。トルクが所定の数値(締結トルク)に達した時点で、ねじ締めは完了する。ねじ締めの際のトルクが、締結トルクに達していれば、金属シール部同士が適切な面圧で干渉し合う。この場合、管用ねじ継手の気密性が高まる。
締結トルクに達した後さらにねじ締めを実施すれば、トルクが高くなり過ぎる。トルクが高くなり過ぎれば、ピン及びボックスの一部が塑性変形を起こす。この時のトルクをイールドトルクという。ショルダリングトルクとイールドトルクとの差であるトルクオンショルダー抵抗ΔT’が大きければ、締結トルクの範囲に余裕ができる。その結果、締結トルクの調整が容易になる。したがって、トルクオンショルダー抵抗ΔT’は大きい方が好ましい。本明細書において、優れた高トルク性能とは、管用ねじ継手がショルダー部を有する場合は、トルクオンショルダー抵抗ΔT’が大きいことを意味する。
優れた高トルク性能を得るためには、管用ねじ継手がショルダー部を有する場合、ショルダリングトルクを低下させる、若しくは、イールドトルクを高めることが有効である。本発明者は、イールドトルクを高める方法について着目した。本発明者は、固体潤滑被膜中に硬質粒子を含有させれば、高面圧時にイールドトルクが高まり、その結果、高トルク性能が高まると考えた。
しかしながら、本発明者が調査した結果、単純に硬質粒子を固体潤滑被膜に含有させても、優れた高トルク性能は得られなかった。たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は硬質粒子である。しかしながら、後述の実施例でも示すとおり、PTFEでは優れた高トルク性能は得られなかった。
本発明者は種々検討を行い、固体潤滑被膜中にガラスフリットを含有させることにより優れた高トルク性能が得られることを見出した。
図2は、固体潤滑被膜中のガラスフリット含有量とトルクオンショルダー抵抗ΔT’との関係を示す図である。図2は後述の実施例により得られた。なお、トルクオンショルダー抵抗ΔT’は、後述の実施例中の試験番号9において、固体潤滑被膜の代わりにAPI規格ドープを使用した際のトルクオンショルダー抵抗ΔT’の数値を基準(100)として求めた、本実施例のトルクオンショルダー抵抗ΔT’の相対値である。図2中の白丸印(○)は、固体潤滑被膜を形成した実施例のトルクオンショルダー抵抗ΔT’を示す。図2中の三角印(△)は、固体潤滑被膜の代わりにAPI規格ドープを使用した際のトルクオンショルダー抵抗ΔT’を示す。
図2より、固体潤滑被膜がガラスフリットを含有すれば、トルクオンショルダー抵抗ΔT’が100を超える。つまり、固体潤滑被膜がガラスフリットを含有すれば、優れた高トルク性能が得られる。
固体潤滑被膜がガラスフリットを含有すれば、優れた高トルク性能が得られる理由は定かではない。しかしながら、次のとおりと推測される。ねじ締めの最終段階においては、接触表面同士の面圧が高くなる(高面圧)。ガラスフリットは、高面圧時に接触表面上や、固体潤滑被膜及び管用ねじ継手が摩耗して生じた粉の中に存在する。ガラスフリットは、接触表面同士の摩擦係数を高める。これにより、高面圧時に高いトルクが維持され、優れた高トルク性能が得られる。ガラスフリットは高面圧時の摩擦係数を高めることにより、優れた高トルク性能を示す。したがって、ショルダーが無い管用ねじ継手を用いた場合であっても、ガラスフリットは、ねじ締めの最終段階において優れた高トルク性能を発揮する。
本発明者はさらに、固体潤滑被膜中のガラスフリットの含有量を調整すれば、優れた高トルク性能だけでなく、優れた耐焼付き性も得られることを見出した。
図3は、固体潤滑被膜中のガラスフリット含有量と耐焼付き性との関係を示す図である。図3は後述の実施例により得られた。図3において、縦軸は、焼きつかずに締結できた回数(回)を示す。
図3より、ガラスフリット含有量が10.0質量%以下であれば、焼きつかずに締結できた回数が8回以上になる。つまり、ガラスフリット含有量が10.0質量%以下であれば、優れた高トルク性能に加えて、優れた耐焼付き性が得られる。
以上の知見に基づいて完成した本実施形態による管用ねじ継手は、ピンと、ボックスと、固体潤滑被膜とを備える。ピンは、ピン側ねじ部を含むピン側接触表面を有する。ボックスは、ボックス側ねじ部を含むボックス側接触表面を有する。固体潤滑被膜は、ピン側接触表面上又はボックス側接触表面上の少なくとも一方に配置される。固体潤滑被膜は、結合剤、潤滑剤及びガラスフリットを含有する。
本実施形態による管用ねじ継手の固体潤滑被膜は、ガラスフリットを含有する。その結果、本実施形態による管用ねじ継手は、優れた高トルク性能を有する。
好ましくは、上述の固体潤滑被膜は、0.01〜10.0質量%のガラスフリットを含有する。
この場合、管用ねじ継手は、優れた高トルク性能に加え、優れた耐焼付き性も有する。
上記ガラスフリットは、質量%で、SiO2:40〜70%、Al2O3:1〜20%、CaO:0.1〜25%、B2O3:0〜40%、MgO:0〜3%、Na2O:0〜15%、K2O:0〜10%、及びZnO:0〜10%を含有してもよい。
好ましくは、上記結合剤は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂及びポリエーテルエーテルケトン樹脂からなる群から選ばれる1種又は2種以上である。
好ましくは、上記潤滑剤は、二硫化モリブデン、黒鉛、ポリテトラフルオロエチレン及びフッ化黒鉛からなる群から選ばれる1種又は2種以上である。
好ましくは、上記ピンはさらに、ピン側金属シール及びピン側ショルダー部を含み、上記ボックスはさらに、ボックス側金属シール部及びボックス側ショルダー部を含む。
本実施形態による管用ねじ継手の製造方法は、準備工程と、固体潤滑被膜形成工程とを備える。準備工程では、ピンと、ボックスと、固体潤滑被膜形成用組成物とを準備する。ピンは、ピン側ねじ部を含むピン側接触表面を有する。ボックスは、ボックス側ねじ部を含むボックス側接触表面を有する。固体潤滑被膜形成用組成物は、結合剤、潤滑剤及びガラスフリットを含有する。固体潤滑被膜形成工程では、ピン側接触表面上又はボックス側接触表面上の少なくとも一方に、固体潤滑被膜形成用組成物を塗布した後固化させて固体潤滑被膜を形成する。
上述の製造方法では、ガラスフリットを含有する固体潤滑被膜形成用組成物を用いて、固体潤滑被膜を製造する。そのため、優れた高トルク性能を有する管用ねじ継手が得られる。
上述の製造方法はさらに、固体潤滑被膜を形成する工程の前に、ピン側接触表面上及びボックス側接触表面上の少なくとも一方に、電気めっきによりZn合金めっき層を形成する工程を備えてもよい。
この場合、管用ねじ継手の耐焼付き性及び耐食性がさらに高まる。
上述の製造方法はさらに、電気めっきによりZn合金めっき層を形成する工程の前に、ピン側接触表面及びボックス側接触表面の少なくとも一方を粗くする工程を備えてもよい。
この場合、固体潤滑被膜の密着性がさらに高まる。
好ましくは、上述の製造方法では、上記ピンはさらに、ピン側金属シール及びピン側ショルダー部を含み、上記ボックスはさらに、ボックス側金属シール部及びボックス側ショルダー部を含む。
以下、本実施形態による管用ねじ継手及びその製造方法について詳述する。
[管用ねじ継手]
管用ねじ継手は、ピン及びボックスを備える。図4は、本実施形態によるカップリング型の管用ねじ継手の構成を示す図である。図4を参照して、カップリング型の管用ねじ継手の場合、管用ねじ継手は、鋼管1とカップリング2とを備える。鋼管1の両端には、外面に雄ねじ部を有するピン3が形成される。カップリング2の両端には、内面に雌ねじ部を有するボックス4が形成される。ピン3とボックス4とをねじ締めすることによって、鋼管1の端に、カップリング2が取り付けられる。なお、図示されていないが、相手部材が装着されていない鋼管1のピン3及びカップリング2のボックス4には、それぞれのねじ部を保護するため、プロテクターが装着される場合がある。
管用ねじ継手は、ピン及びボックスを備える。図4は、本実施形態によるカップリング型の管用ねじ継手の構成を示す図である。図4を参照して、カップリング型の管用ねじ継手の場合、管用ねじ継手は、鋼管1とカップリング2とを備える。鋼管1の両端には、外面に雄ねじ部を有するピン3が形成される。カップリング2の両端には、内面に雌ねじ部を有するボックス4が形成される。ピン3とボックス4とをねじ締めすることによって、鋼管1の端に、カップリング2が取り付けられる。なお、図示されていないが、相手部材が装着されていない鋼管1のピン3及びカップリング2のボックス4には、それぞれのねじ部を保護するため、プロテクターが装着される場合がある。
一方、カップリング2を使用せず、鋼管1の一方の端をピン3とし、他方の端をボックス4とした、インテグラル型の油井管用ねじ継手を用いてもよい。図5は、本実施形態によるインテグラル型の管用ねじ継手の構成を示す図である。図5を参照して、インテグラル型の管用ねじ継手の場合、管用ねじ継手は、鋼管1を備える。鋼管1の一方の端には、外面に雄ねじ部を有するピン3が形成される。鋼管1の他方の端には、内面に雌ねじ部を有するボックス4が形成される。ピン3とボックス4とをねじ締めすることによって、鋼管1同士を連結できる。本実施形態の管用ねじ継手は、カップリング型及びインテグラル型の両方の管用ねじ継手に使用できる。
図6は、管用ねじ継手の断面図である。図6では、ピン3は、ピン側ねじ部31、ピン側金属シール部32及びピン側ショルダー部33を備える。図6では、ボックス4は、ボックス側ねじ部41、ボックス側金属シール部42及びボックス側ショルダー部43を備える。ピン3とボックス4とをねじ締めした時に接触する部分を、接触表面34及び44という。具体的には、ピン3とボックス4とをねじ締めすると、ねじ部同士(ピン側ねじ部31及びボックス側ねじ部41)、金属シール部同士(ピン側金属シール部32及びボックス側金属シール部42)、及び、ショルダー部同士(ピン側ショルダー部33及びボックス側ショルダー部43)が互いに接触する。図6では、ピン側接触表面34は、ピン側ねじ部31、ピン側金属シール部32及びピン側ショルダー部33を含む。図6では、ボックス側接触表面44は、ボックス側ねじ部41、ボックス側金属シール部42及びボックス側ショルダー部43を含む。
図6では、ピン3においては、鋼管1の端から、ピン側ショルダー部33、ピン側金属シール部32及びピン側ねじ部31の順で配置される。また、ボックス4においては、鋼管1又はカップリング2の端から、ボックス側ねじ部41、ボックス側金属シール部42及びボックス側ショルダー部43の順で配置される。しかしながら、ピン側ねじ部31及びボックス側ねじ部41、ピン側金属シール部32及びボックス側金属シール部42、及び、ピン側ショルダー部33及びボックス側ショルダー部43の配置は図6の配置に限定されず、適宜変更できる。たとえば、図5において示す様に、ピン3においては、鋼管1の端から、ピン側ねじ部31、ピン側金属シール部32、ピン側ショルダー部33、ピン側金属シール部32及びピン側ねじ部31の順で配置されてもよい。ボックス4においては、鋼管1又はカップリング2の端から、ボックス側ねじ部41、ボックス側金属シール部42、ボックス側ショルダー部43、ボックス側金属シール部42及びボックス側ねじ部41の順に配置されてもよい。
図5及び図6では、金属シール部(ピン側金属シール部32及びボックス側金属シール部42)及びショルダー部(ピン側ショルダー部33及びボックス側ショルダー部43)を備える、いわゆるプレミアムジョイントを図示した。しかしながら、金属シール部(ピン側金属シール部32及びボックス側金属シール部42)及びショルダー部(ピン側ショルダー部33及びボックス側ショルダー部43)は無くてもよい。本実施形態の固体潤滑被膜は、金属シール部及びショルダー部が無い管用ねじ継手にも好適に適用可能である。金属シール部及びショルダー部無しの場合、ピン側接触表面34は、ピン側ねじ部31を含む。金属シール部及びショルダー部無しの場合、ボックス側接触表面44は、ボックス側ねじ部41を含む。
[固体潤滑被膜]
管用ねじ継手は、ピン側接触表面34上及びボックス側接触表面44上の少なくとも一方に、固体潤滑被膜を備える。図7は、本実施形態による管用ねじ継手の断面図である。固体潤滑被膜21は、後述の製造方法のとおり、固体潤滑被膜形成用組成物を、ピン側接触表面34上及びボックス側接触表面44上の少なくとも一方に塗布した後固化することで形成される。
管用ねじ継手は、ピン側接触表面34上及びボックス側接触表面44上の少なくとも一方に、固体潤滑被膜を備える。図7は、本実施形態による管用ねじ継手の断面図である。固体潤滑被膜21は、後述の製造方法のとおり、固体潤滑被膜形成用組成物を、ピン側接触表面34上及びボックス側接触表面44上の少なくとも一方に塗布した後固化することで形成される。
固体潤滑被膜21は、結合剤、潤滑剤及びガラスフリットを含有する。したがって、固体潤滑被膜21を形成するための組成物も、結合剤、潤滑剤及びガラスフリットを含有する。組成物は、無溶媒型の組成物であっても、溶媒に溶解させた溶媒型の組成物であってもよい。溶媒型の組成物の場合、各成分の質量%とは、組成物に含まれる溶媒以外の全成分を合計した質量を100%とした場合の質量%をいう。つまり、組成物中の各成分の含有量と、固体潤滑被膜21中の各成分の含有量とは、同じである。以下、固体潤滑被膜21を形成するための組成物を単に「組成物」とも称する。
以下、各成分について詳述する。
[結合剤]
結合剤は、潤滑剤及びガラスフリットの管用ねじ継手の接触表面上への付着性を高める。結合剤は、有機樹脂及び無機高分子からなる群から選択される1種又は2種である。
結合剤は、潤滑剤及びガラスフリットの管用ねじ継手の接触表面上への付着性を高める。結合剤は、有機樹脂及び無機高分子からなる群から選択される1種又は2種である。
有機樹脂は、公知のものを選択できる。有機樹脂はたとえば、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群から選択される1種又は2種である。熱硬化性樹脂はたとえば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂(熱硬化性)、不飽和ポリエステル樹脂、カゼイン樹脂、アルキド樹脂、ジアリルフタレート樹脂及びポリアミノビスマレイミド樹脂からなる群から選択される1種又は2種以上である。熱可塑性樹脂はたとえば、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリウレタン樹脂(熱可塑性)、アイオノマー樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、アクリロニトリル・スチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアリレート樹脂及びポリエーテルイミド樹脂からなる群から選択される1種又は2種以上である。
無機高分子は、ポリメタロキサンである。ポリメタロキサンとは、金属(M)及び酸素(O)の結合であるM−O結合を主鎖骨格とする高分子化合物である。ポリメタロキサンのM−O結合におけるM(金属)は、Si、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ba、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Ce、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au及びBiからなる群から選択される1種又は2種以上である。ポリメタロキサンとはたとえば、ポリチタノキサン(Ti−O)、ポリシロキサン(Si−O)、ポリアルミノキサン(Al−O)、ポリジルコノキサン(Zr−O)及びポリタンタロキサン(Ta−O)からなる群から選択される1種又は2種以上である。好ましくは、ポリメタロキサンは、ポリチタノキサン(Ti−O)及びポリシロキサン(Si−O)からなる群から選択される1種又は2種である。
好ましくは、結合剤は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂及びポリエーテルエーテルケトン樹脂からなる群から選ばれる1種又は2種以上である。これらの有機樹脂は、適切な硬度を有する。そのため、固体潤滑被膜21の耐摩耗性、耐焼付き性、及び高トルク性能がさらに高まる。
さらに好ましくは、結合剤は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリアミドイミド樹脂及びポリアミド樹脂からなる群から選択される1種又は2種以上である。
特に好ましくは、結合剤は、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂及びポリアミド樹脂からなる群から選択される1種又は2種以上である。
固体潤滑被膜21中の結合剤の含有量は、50〜90質量%であることが好ましい。結合剤の含有量が60質量%以上であれば、固体潤滑被膜21の管用ねじ継手の接触表面34又は44への密着性がさらに高まる。したがって、固体潤滑被膜21中の結合剤の含有量の下限は、より好ましくは60質量%である。
[潤滑剤]
固体潤滑被膜21は、固体潤滑被膜21の潤滑性をさらに高めるために、潤滑剤を含有する。潤滑剤とは、潤滑性を有する物質の総称である。潤滑剤は、公知のものを使用できる。
固体潤滑被膜21は、固体潤滑被膜21の潤滑性をさらに高めるために、潤滑剤を含有する。潤滑剤とは、潤滑性を有する物質の総称である。潤滑剤は、公知のものを使用できる。
潤滑剤はたとえば、以下の5種類に大別される。すなわち、潤滑剤は、以下の(1)〜(5)からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有する。
(1)滑り易い特定の結晶構造、たとえば、六方晶層状結晶構造を有することにより潤滑性を示すもの(たとえば、黒鉛、土状黒鉛、酸化亜鉛、窒化硼素及びタルク)、
(2)結晶構造に加えて反応性元素を有することにより潤滑性を示すもの(たとえば、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、フッ化黒鉛、硫化スズ、硫化ビスマス及び有機モリブデン)、
(3)化学反応性により潤滑性を示すもの(たとえば、チオ硫酸塩化合物)、
(4)摩擦応力下での塑性又は粘塑性挙動により潤滑性を示すもの(たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、銅(Cu)、メラミンシアヌレート(MCA))、及び
(5)液状又はグリース状であり、接触面の境界に存在して面と面との直接接触を防ぐことにより潤滑性を示すもの(たとえば、パーフルオロポリエーテル(PFPE))。
(1)滑り易い特定の結晶構造、たとえば、六方晶層状結晶構造を有することにより潤滑性を示すもの(たとえば、黒鉛、土状黒鉛、酸化亜鉛、窒化硼素及びタルク)、
(2)結晶構造に加えて反応性元素を有することにより潤滑性を示すもの(たとえば、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、フッ化黒鉛、硫化スズ、硫化ビスマス及び有機モリブデン)、
(3)化学反応性により潤滑性を示すもの(たとえば、チオ硫酸塩化合物)、
(4)摩擦応力下での塑性又は粘塑性挙動により潤滑性を示すもの(たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、銅(Cu)、メラミンシアヌレート(MCA))、及び
(5)液状又はグリース状であり、接触面の境界に存在して面と面との直接接触を防ぐことにより潤滑性を示すもの(たとえば、パーフルオロポリエーテル(PFPE))。
好ましくは、潤滑剤は上記(1)〜(5)からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有する。つまり、好ましくは、潤滑剤は、黒鉛、土状黒鉛、酸化亜鉛、窒化硼素、タルク、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、フッ化黒鉛、硫化スズ、硫化ビスマス、有機モリブデン、チオ硫酸塩化合物、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、銅(Cu)、メラミンシアヌレート(MCA)、パーフルオロポリエーテル(PFPE)からなる群から選択される1種又は2種以上である。より好ましくは、潤滑剤は、固体潤滑粉末である。ここで、「固体潤滑粉末」とは、潤滑性を示す固体粉末を意味する。すなわち、潤滑剤は、上記(1)〜(4)からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有するのが好ましい。潤滑剤が固体潤滑粉末である場合、好ましくは、潤滑剤は、二硫化モリブデン、黒鉛、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びフッ化黒鉛からなる群から選ばれる1種又は2種以上である。潤滑剤は、固体潤滑被膜21の密着性及び防錆性の観点からは黒鉛が好ましく、成膜性の観点からは土状黒鉛が好ましい。潤滑剤は、潤滑性の観点からは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。
固体潤滑被膜21中の潤滑剤の含有量は、5〜30質量%であることが好ましい。潤滑剤の含有量が5質量%以上であれば、耐焼付き性がさらに高まる。このため、焼付きを生じないでねじ締め及びねじ戻しができる回数が増加する。潤滑剤の含有量のさらに好ましい下限は、10質量%である。一方、潤滑剤の含有量が30質量%以下であれば、固体潤滑被膜21の強度がさらに高まる。このため、固体潤滑被膜21の損耗が抑制される。
[ガラスフリット]
本明細書において、ガラスフリットとは、ガラスの粒子をいう。ガラスフリットの形状は、繊維状ではなく、粒状、塊状及び球状である。ガラスフリットは、一般的には、ディスプレイパネルや各種電子部品の封着(封止、接着)、被覆(保護膜)及び絶縁膜など、主にエレクトロニクスの各分野で使用される。しかしながら、本発明者は、固体潤滑被膜21にガラスフリットを含有させることによって、管用ねじ継手の高トルク性能が高まることを見出した。
本明細書において、ガラスフリットとは、ガラスの粒子をいう。ガラスフリットの形状は、繊維状ではなく、粒状、塊状及び球状である。ガラスフリットは、一般的には、ディスプレイパネルや各種電子部品の封着(封止、接着)、被覆(保護膜)及び絶縁膜など、主にエレクトロニクスの各分野で使用される。しかしながら、本発明者は、固体潤滑被膜21にガラスフリットを含有させることによって、管用ねじ継手の高トルク性能が高まることを見出した。
ガラスフリットは、市販のガラスフリットを使用できる。ガラスフリットはたとえば、旭硝子株式会社製(商品名)ASF−1560及び(商品名)ASF−1561、及び、日本フリット株式会社製(商品名)VY0144及び(商品名)EY0077等の1種又は2種以上を混合して使用できる。
好ましくは、ガラスフリットの長径は1〜40μmである。長径とは、JIS Z8827−1(2008)に規定する、各粒子の最大のフェレー径(フェレー径:粒子の像を2本の平行線で挟んだ時の平行線の間隔)をいう。ガラスフリットの長径が1μm以上であれば、管用ねじ継手の優れた高トルク性能がより安定して得られる。ガラスフリットの長径が40μm以下であれば、固体潤滑被膜21の成形性が高まる。
ガラスフリットの長径は次の方法で求める。はじめに、固体潤滑被膜21の一部を採取する。固体潤滑被膜21を600℃で燃焼させ、燃焼残渣を回収する。残渣から、比重差によりガラスフリットを回収する。得られたガラスフリットを、JIS Z8827−1(2008)及びJIS Z8827−2(2010)に規定される、動的画像解析法にしたがって解析する。解析結果から、同一視野内のガラスフリットの各粒子の最大のフェレー径の算術平均を算出し、長径(μm)とする。
好ましくは、ガラスフリットのアスペクト比は10以下である。ここで、ガラスフリットのアスペクト比とは、JIS Z8827−1(2008)に規定する、各粒子の最大フェレー径を各粒子の最小フェレー径で除した値である。ガラスフリットのアスペクト比が10以下であれば、優れた高トルク性能が安定して得られる。ガラスフリットのアスペクト比はより好ましくは10未満、さらに好ましくは5以下、最も好ましくは3以下である。
ガラスフリットのアスペクト比は次の方法で求める。はじめに、固体潤滑被膜21の一部を採取する。固体潤滑被膜21を600℃で燃焼させ、燃焼残渣を回収する。残渣から、比重差によりガラスフリットを回収する。得られたガラスフリットを、JIS Z8827−1(2008)及びJIS Z8827−2(2010)に規定される、動的画像解析法にしたがって解析する。解析結果から、同一視野内のガラスフリットの各粒子の最大のフェレー径の算術平均を算出する。解析結果から、同一視野内のガラスフリットの各粒子の最小のフェレー径の算術平均を算出する。最大のフェレー径の算術平均を、最小のフェレー径の算術平均で除する。これを、ガラスフリットのアスペクト比とする。
固体潤滑被膜21に、ガラスフリットがわずかでも含有されれば、高トルク性能が高まる。したがって、固体潤滑被膜21のガラスフリットの含有量の下限はたとえば、0.001質量%である。しかしながら、固体潤滑被膜21に、ガラスフリットが0.01質量%以上含有されれば、優れた高トルク性能がより安定して得られる。そのため、ガラスフリットの含有量は0.01質量%以上であることが好ましい。ガラスフリットの含有量の下限はより好ましくは0.5質量%、さらに好ましくは1.0質量%である。
ガラスフリットの含有量の上限は、特に限定されない。ガラスフリットの含有量は、固体潤滑被膜21が結合剤、潤滑剤及びガラスフリットを含有できる範囲で適宜調整すればよい。ガラスフリットの含有量の上限はたとえば45.0質量%である。一方、ガラスフリットの含有量の上限が10.0質量%以下であれば、高トルク性能に加え、管用ねじ継手の耐焼付き性が高まる。したがって、ガラスフリットの含有量は10.0質量%以下であることが好ましい。ガラスフリットの含有量の上限は、より好ましくは8.0質量%、さらに好ましくは5.0質量%である。
ガラスフリットの化学組成は、適宜調整できる。ガラスフリットはたとえば、質量%で、SiO2:40〜70%、Al2O3:1〜20%、CaO:0.1〜25%、B2O3:0〜40%、MgO:0〜3%、Na2O:0〜15%、K2O:0〜10%、及びZnO:0〜10%を含有してもよい。
[その他の成分]
固体潤滑被膜21は、その他、公知の防錆添加剤、防腐剤等を含有してもよい。
固体潤滑被膜21は、その他、公知の防錆添加剤、防腐剤等を含有してもよい。
[防錆添加剤]
固体潤滑被膜21は、実際に使用されるまでの長期間に渡る防錆性を有する必要がある。そのため、固体潤滑被膜21は、防錆添加剤を含有してもよい。防錆添加剤とは、耐食性を有する添加剤の総称である。防錆添加剤はたとえば、トリポリリン酸アルミニウム、亜燐酸アルミニウム及びカルシウムイオン交換シリカからなる群から選択される1種又は2種以上である。好ましくは、防錆添加剤は、カルシウムイオン交換シリカ及び亜燐酸アルミニウムからなる群から選択される1種又は2種を含有する。防錆添加剤として、他に市販の反応撥水剤なども使用できる。
固体潤滑被膜21は、実際に使用されるまでの長期間に渡る防錆性を有する必要がある。そのため、固体潤滑被膜21は、防錆添加剤を含有してもよい。防錆添加剤とは、耐食性を有する添加剤の総称である。防錆添加剤はたとえば、トリポリリン酸アルミニウム、亜燐酸アルミニウム及びカルシウムイオン交換シリカからなる群から選択される1種又は2種以上である。好ましくは、防錆添加剤は、カルシウムイオン交換シリカ及び亜燐酸アルミニウムからなる群から選択される1種又は2種を含有する。防錆添加剤として、他に市販の反応撥水剤なども使用できる。
[防腐剤]
固体潤滑被膜21はさらに、防腐剤を含有してもよい。防腐剤とは、耐食性を有する添加剤の総称である。
固体潤滑被膜21はさらに、防腐剤を含有してもよい。防腐剤とは、耐食性を有する添加剤の総称である。
固体潤滑被膜21中のその他の成分(防錆添加剤及び防腐剤等)の含有量は合計で10質量%以下であることが好ましい。その他の成分の合計含有量が10質量%以下であれば、固体潤滑被膜21の潤滑性が安定的に高まる。
上述の結合剤、潤滑剤、ガラスフリット、必要であればその他の成分及び溶媒を混合することにより、固体潤滑被膜形成用組成物(以下単に、組成物ともいう)を製造できる。固体潤滑皮膜形成用組成物を、管用ねじ継手のピン側接触表面34上及びボックス側接触表面44上の少なくとも一方に塗布して固化することにより、固体潤滑被膜21を有する、本実施形態による管用ねじ継手を製造できる。
[固体潤滑被膜の厚さ]
固体潤滑被膜21の厚さは特に限定されない。固体潤滑被膜21の厚さはたとえば、10〜50μmである。固体潤滑被膜21の厚さが10μm以上であれば、優れた高トルク性能がより安定して得られる。固体潤滑被膜21の厚さが50μm以下であれば、固体潤滑被膜21の密着性が安定する。さらに、固体潤滑被膜21の厚さが50μm以下であれば、摺動面のねじ公差(クリアランス)が広くなるため、摺動時の面圧が低くなる。そのため、締結トルクが過剰に高くなることを抑制できる。
固体潤滑被膜21の厚さは特に限定されない。固体潤滑被膜21の厚さはたとえば、10〜50μmである。固体潤滑被膜21の厚さが10μm以上であれば、優れた高トルク性能がより安定して得られる。固体潤滑被膜21の厚さが50μm以下であれば、固体潤滑被膜21の密着性が安定する。さらに、固体潤滑被膜21の厚さが50μm以下であれば、摺動面のねじ公差(クリアランス)が広くなるため、摺動時の面圧が低くなる。そのため、締結トルクが過剰に高くなることを抑制できる。
[固体潤滑被膜の厚さの測定方法]
固体潤滑被膜21の厚さは、次の方法で測定する。固体潤滑被膜21を形成した接触表面34又は44の4箇所に対して、Helmut Fischer GmbH製、渦電流位相式膜厚計PHASCOPE PMP910を用いて、固体潤滑被膜21の厚さを測定する。測定は、ISO(International Organization for Standardization)21968(2005)に準拠する方法で行う。測定箇所は、管用ねじ継手の管周方向の4箇所(0°、90°、180°、270°の4箇所)である。測定結果の算術平均を、固体潤滑被膜21の厚さとする。
固体潤滑被膜21の厚さは、次の方法で測定する。固体潤滑被膜21を形成した接触表面34又は44の4箇所に対して、Helmut Fischer GmbH製、渦電流位相式膜厚計PHASCOPE PMP910を用いて、固体潤滑被膜21の厚さを測定する。測定は、ISO(International Organization for Standardization)21968(2005)に準拠する方法で行う。測定箇所は、管用ねじ継手の管周方向の4箇所(0°、90°、180°、270°の4箇所)である。測定結果の算術平均を、固体潤滑被膜21の厚さとする。
[固体潤滑被膜の配置]
固体潤滑被膜21は、ピン側接触表面34上及びボックス側接触表面44上の少なくとも一方に配置されればよい。図7では、固体潤滑被膜21は、ピン側接触表面34上及びボックス側接触表面44上の両方に配置されている。しかしながら、固体潤滑被膜21の配置は図7に限定されない。図8に示す様に、固体潤滑被膜21は、ピン側接触表面34上のみに配置されてもよい。また、図9に示す様に、固体潤滑被膜21は、ボックス側接触表面44上のみに配置されてもよい。
固体潤滑被膜21は、ピン側接触表面34上及びボックス側接触表面44上の少なくとも一方に配置されればよい。図7では、固体潤滑被膜21は、ピン側接触表面34上及びボックス側接触表面44上の両方に配置されている。しかしながら、固体潤滑被膜21の配置は図7に限定されない。図8に示す様に、固体潤滑被膜21は、ピン側接触表面34上のみに配置されてもよい。また、図9に示す様に、固体潤滑被膜21は、ボックス側接触表面44上のみに配置されてもよい。
また、固体潤滑被膜21は、ピン側接触表面34上及びボックス側接触表面44上の少なくとも一方の全体に配置されてもよいし、一部にのみ配置されてもよい。管用ねじ継手が、金属シール部(ピン側金属シール部32及びボックス側金属シール部42)及びショルダー部(ピン側ショルダー部33及びボックス側ショルダー部43)を有する場合は、金属シール部32及び42、ショルダー部33及び43は、ねじ締め最終段階で特に面圧が高くなる。したがって、固体潤滑被膜21を、金属シール部(ピン側金属シール部32及びボックス側金属シール部42)及びショルダー部(ピン側ショルダー部33及びボックス側ショルダー部43)を有するピン側接触表面34及びボックス側接触表面44上の少なくとも一方に部分的に配置する場合、ピン側金属シール部32、ボックス側金属シール部42、ピン側ショルダー部33及びボックス側ショルダー部43の少なくとも1か所に配置されてもよい。一方、固体潤滑被膜21をピン側接触表面34上及びボックス側接触表面44上の少なくとも一方の全体に配置すれば、管用ねじ継手の生産効率が高まる。
固体潤滑被膜21は、単層でもよいし、複層でもよい。複層とは、固体潤滑被膜21が接触表面34又は44側から2層以上積層している状態をいう。組成物の塗布と固化とを繰り返すことにより、固体潤滑被膜21を2層以上形成できる。固体潤滑被膜21は、ピン側接触表面34上又はボックス側接触表面44上の少なくとも一方に直接配置されてもよいし、後述する下地処理をした上に配置されてもよい。
[管用ねじ継手の母材]
管用ねじ継手の母材の組成は、特に限定されない。母材はたとえば、炭素鋼、ステンレス鋼及び合金鋼等である。合金鋼の中でも、Cr、Ni及びMo等の合金元素を含んだ二相ステンレス鋼及びNi合金等の高合金鋼は耐食性が高い。そのため、これらの高合金鋼を母材に使用すれば、硫化水素や二酸化炭素等を含有する腐食環境において、優れた耐食性が得られる。
管用ねじ継手の母材の組成は、特に限定されない。母材はたとえば、炭素鋼、ステンレス鋼及び合金鋼等である。合金鋼の中でも、Cr、Ni及びMo等の合金元素を含んだ二相ステンレス鋼及びNi合金等の高合金鋼は耐食性が高い。そのため、これらの高合金鋼を母材に使用すれば、硫化水素や二酸化炭素等を含有する腐食環境において、優れた耐食性が得られる。
[製造方法]
以下、本実施形態による管用ねじ継手の製造方法を説明する。本実施形態による管用ねじ継手の製造方法は、準備工程と、固体潤滑被膜形成工程とを備える。
以下、本実施形態による管用ねじ継手の製造方法を説明する。本実施形態による管用ねじ継手の製造方法は、準備工程と、固体潤滑被膜形成工程とを備える。
[準備工程]
準備工程では、ピン3、ボックス4及び固体潤滑被膜形成用組成物を準備する。ピン3は、上述のとおり、ピン側ねじ部31を含むピン側接触表面34を有する。ピン3は、上述のとおり、ピン側ねじ部31、ピン側金属シール部32及びピン側ショルダー部33を含むピン側接触表面34を有してもよい。ボックス4は、上述のとおり、ボックス側ねじ部41を含むボックス側接触表面44を有する。ボックス4は、上述のとおり、ボックス側ねじ部41、ボックス側金属シール部42及びボックス側ショルダー部43を含むボックス側接触表面44を有してもよい。ピン側接触表面34及びボックス側接触表面44の少なくとも一方に対して周知の前処理を実施してもよい。前処理はたとえば、脱脂である。脱脂により、ピン側接触表面34及びボックス側接触表面44の少なくとも一方の表面に付着している油及び油性の汚れ等を除去する。脱脂はたとえば、溶剤脱脂、アルカリ脱脂及び電解脱脂である。前処理としてさらに、酸洗を実施してもよい。酸洗により、ピン側接触表面34及びボックス側接触表面44の少なくとも一方の錆及び加工時に生じた酸化被膜等を除去できる。
準備工程では、ピン3、ボックス4及び固体潤滑被膜形成用組成物を準備する。ピン3は、上述のとおり、ピン側ねじ部31を含むピン側接触表面34を有する。ピン3は、上述のとおり、ピン側ねじ部31、ピン側金属シール部32及びピン側ショルダー部33を含むピン側接触表面34を有してもよい。ボックス4は、上述のとおり、ボックス側ねじ部41を含むボックス側接触表面44を有する。ボックス4は、上述のとおり、ボックス側ねじ部41、ボックス側金属シール部42及びボックス側ショルダー部43を含むボックス側接触表面44を有してもよい。ピン側接触表面34及びボックス側接触表面44の少なくとも一方に対して周知の前処理を実施してもよい。前処理はたとえば、脱脂である。脱脂により、ピン側接触表面34及びボックス側接触表面44の少なくとも一方の表面に付着している油及び油性の汚れ等を除去する。脱脂はたとえば、溶剤脱脂、アルカリ脱脂及び電解脱脂である。前処理としてさらに、酸洗を実施してもよい。酸洗により、ピン側接触表面34及びボックス側接触表面44の少なくとも一方の錆及び加工時に生じた酸化被膜等を除去できる。
固体潤滑被膜形成用組成物は、上述のとおり、溶媒を除いて固体潤滑被膜21と同じ組成を有する。つまり、固体潤滑皮膜形成用組成物(組成物)は、結合剤、潤滑剤及びガラスフリットを含有する。無溶媒型の組成物はたとえば、結合剤を加熱して溶融状態とし、潤滑剤及びガラスフリットを添加して混練することにより製造できる。全ての成分を粉末状として混合した粉末混合物を組成物としてもよい。
溶媒型の組成物はたとえば、溶媒中に、結合剤、潤滑剤及びガラスフリットを溶解又は分散させて混合することにより製造できる。溶媒はたとえば、水及び有機溶剤からなる群から選択される1種又は2種である。溶媒の割合は特に限定されない。溶媒の割合は、塗布方法に応じて適正な粘性に調整すればよい。溶媒の割合はたとえば、溶媒以外の全成分を100質量%として、30〜50質量%である。
[固体潤滑被膜形成工程]
固体潤滑被膜形成工程は、塗布工程と固化工程とを含む。塗布工程では、ピン側接触表面34上又はボックス側接触表面44上の少なくとも一方に、固体潤滑被膜形成用組成物を塗布する。固化工程では、ピン側接触表面34上又はボックス側接触表面44上の少なくとも一方に塗布された固体潤滑被膜形成用組成物を固化して固体潤滑被膜21を形成する。
固体潤滑被膜形成工程は、塗布工程と固化工程とを含む。塗布工程では、ピン側接触表面34上又はボックス側接触表面44上の少なくとも一方に、固体潤滑被膜形成用組成物を塗布する。固化工程では、ピン側接触表面34上又はボックス側接触表面44上の少なくとも一方に塗布された固体潤滑被膜形成用組成物を固化して固体潤滑被膜21を形成する。
[塗布工程]
塗布工程では、組成物を周知の方法でピン側接触表面34上又はボックス側接触表面44上の少なくとも一方に塗布(コート)する。
塗布工程では、組成物を周知の方法でピン側接触表面34上又はボックス側接触表面44上の少なくとも一方に塗布(コート)する。
無溶媒型の組成物の場合、ホットメルト法を用いて組成物を塗布できる。ホットメルト法では、組成物を加熱して樹脂を溶融させ、低粘度の流動状態にする。流動状態の組成物を、温度保持機能を有するスプレーガンから噴霧することにより行われる。組成物は、適当な撹拌装置を備えたタンク内で加熱して溶融され、コンプレッサーにより計量ポンプを経てスプレーガンの噴霧ヘッド(所定温度に保持)に供給されて、噴霧される。タンク内と噴霧ヘッドの保持温度は組成物中の樹脂の融点に応じて調整される。塗布方法は、スプレー塗布に替えて、刷毛塗り及び浸漬等でもよい。組成物の加熱温度は、樹脂の融点より10〜50℃高い温度とすることが好ましい。組成物を塗布する際、組成物が塗布されるピン側接触表面34上又はボックス側接触表面44上の少なくとも一方は、基剤の融点より高い温度に加熱しておくことが好ましい。それにより良好な被覆性を得ることができる。
溶媒型の組成物の場合、溶液状態となった組成物をスプレー塗布等でピン側接触表面34上又はボックス側接触表面44上の少なくとも一方に塗布する。この場合、組成物を、常温及び常圧の環境下で、スプレー塗布できるよう粘度を調整する。
[固化工程]
固化工程では、ピン側接触表面34上又はボックス側接触表面44上の少なくとも一方に塗布された組成物を固化して固体潤滑被膜21を形成する。
固化工程では、ピン側接触表面34上又はボックス側接触表面44上の少なくとも一方に塗布された組成物を固化して固体潤滑被膜21を形成する。
無溶媒型の組成物の場合、ピン側接触表面34上又はボックス側接触表面44上の少なくとも一方に塗布された組成物を冷却することにより、溶融状態の組成物が固化して固体潤滑被膜21が形成される。冷却方法は周知の方法で実施できる。冷却方法はたとえば、大気放冷及び空冷である。
溶媒型の組成物の場合、ピン側接触表面34上又はボックス側接触表面44上の少なくとも一方に塗布された組成物を乾燥させることにより、組成物が固化して固体潤滑被膜21が形成される。乾燥方法は周知の方法で実施できる。乾燥方法はたとえば、自然乾燥、低温送風乾燥及び真空乾燥である。
固化工程は、窒素ガス及び炭酸ガス冷却システム等の急速冷却によって実施してもよい。急速冷却を実施する場合、接触表面34又は44の反対面(ボックス4の場合は鋼管1又はカップリング2の外面、ピン3の場合は鋼管1の内面)から間接的に冷却する。これにより、固体潤滑被膜21の急速冷却による劣化を抑制できる。
[下地処理]
本実施形態による管用ねじ継手の製造方法は、固体潤滑被膜形成工程の前に、下地処理工程を備えてもよい。下地処理工程はたとえば、表面粗さ形成工程、Zn合金めっき層形成工程、及び、三価クロメート処理工程からなる群から選ばれる1種又は2種以上である。
本実施形態による管用ねじ継手の製造方法は、固体潤滑被膜形成工程の前に、下地処理工程を備えてもよい。下地処理工程はたとえば、表面粗さ形成工程、Zn合金めっき層形成工程、及び、三価クロメート処理工程からなる群から選ばれる1種又は2種以上である。
[表面粗さ形成工程]
表面粗さ形成工程では、ピン側接触表面34又はボックス側接触表面44の少なくとも一方を粗くする。これにより、ピン側接触表面34上又はボックス側接触表面44上の少なくとも一方に表面粗さを付与する。表面粗さは、算術平均粗さRaが1.0〜8.0μm、かつ最大高さ粗さRzが10.0〜40.0μmであるのが好ましい。算術平均粗さRaが1.0μm以上かつ最大高さ粗さRzが10.0μm以上であれば、アンカー効果により固体潤滑被膜21の密着性がさらに高まる。算術平均粗さRaが8.0μm以下かつ最大高さ粗さRzが40.0μm以下であれば、摩擦が抑制され、固体潤滑被膜21の損傷及び剥離が抑制される。
表面粗さ形成工程では、ピン側接触表面34又はボックス側接触表面44の少なくとも一方を粗くする。これにより、ピン側接触表面34上又はボックス側接触表面44上の少なくとも一方に表面粗さを付与する。表面粗さは、算術平均粗さRaが1.0〜8.0μm、かつ最大高さ粗さRzが10.0〜40.0μmであるのが好ましい。算術平均粗さRaが1.0μm以上かつ最大高さ粗さRzが10.0μm以上であれば、アンカー効果により固体潤滑被膜21の密着性がさらに高まる。算術平均粗さRaが8.0μm以下かつ最大高さ粗さRzが40.0μm以下であれば、摩擦が抑制され、固体潤滑被膜21の損傷及び剥離が抑制される。
本明細書でいう算術平均粗さRa及び最大高さ粗さRzは、JIS B 0601(2001)に基づいて、測定される。エスアイアイ・ナノテクノロジー社製 走査型プローブ顕微鏡 SPI3800Nを用いて測定する。測定条件は、取得データ数の単位としてサンプルの2μm×2μmの領域で、取得データ数1024×1024である。基準長さは2.5mmとする。
管用ねじ継手の接触表面34及び44の表面粗さは、一般に最大高さ粗さRzが3.0〜5.0μm程度である。接触表面34及び44の表面粗さが適度に大きければ、その上に形成される被膜(固体潤滑被膜21又はZn合金めっき層)の密着性が高まる。その結果、管用ねじ継手の耐焼付き性及び耐食性がさらに高まる。したがって、上述の固体潤滑被膜21を形成するための組成物が塗布される前の接触表面34又は44に、下地処理を施すことが好ましい。表面粗さの形成はたとえば、サンドブラスト処理、酸洗処理及び化成処理からなる群から選ばれる1種以上である。
[サンドブラスト処理]
サンドブラスト処理は、ブラスト材(研磨剤)と圧縮空気とを混合してピン側接触表面34又はボックス側接触表面44の少なくとも一方に投射する処理である。ブラスト材はたとえば、球状のショット材及び角状のグリッド材である。サンドブラスト処理により、ピン側接触表面34又はボックス側接触表面44の少なくとも一方の表面粗さを大きくできる。サンドブラスト処理は、周知の方法により実施できる。たとえば、コンプレッサーで空気を圧縮し、圧縮空気とブラスト材を混合する。ブラスト材の材質はたとえば、ステンレス鋼、アルミ、セラミック及びアルミナ等である。サンドブラスト処理の投射速度等の条件は、適宜設定できる。
サンドブラスト処理は、ブラスト材(研磨剤)と圧縮空気とを混合してピン側接触表面34又はボックス側接触表面44の少なくとも一方に投射する処理である。ブラスト材はたとえば、球状のショット材及び角状のグリッド材である。サンドブラスト処理により、ピン側接触表面34又はボックス側接触表面44の少なくとも一方の表面粗さを大きくできる。サンドブラスト処理は、周知の方法により実施できる。たとえば、コンプレッサーで空気を圧縮し、圧縮空気とブラスト材を混合する。ブラスト材の材質はたとえば、ステンレス鋼、アルミ、セラミック及びアルミナ等である。サンドブラスト処理の投射速度等の条件は、適宜設定できる。
[酸洗処理]
酸洗処理は、硫酸、塩酸、硝酸もしくはフッ酸等の強酸液に、ピン側接触表面34又はボックス側接触表面44の少なくとも一方を浸漬して接触表面34又は44を荒らす処理である。これにより、接触表面34又は44の表面粗さを大きくできる。
酸洗処理は、硫酸、塩酸、硝酸もしくはフッ酸等の強酸液に、ピン側接触表面34又はボックス側接触表面44の少なくとも一方を浸漬して接触表面34又は44を荒らす処理である。これにより、接触表面34又は44の表面粗さを大きくできる。
[化成処理]
化成処理は、表面粗さの大きな多孔質の化成被膜を形成する処理である。化成処理はたとえば、燐酸塩化成処理、蓚酸塩化成処理及び硼酸塩化成処理である。固体潤滑被膜21の密着性の観点からは、燐酸塩化成処理が好ましい。燐酸塩化成処理はたとえば、燐酸マンガン、燐酸亜鉛、燐酸鉄マンガン又は燐酸亜鉛カルシウムを用いた燐酸塩化成処理である。
化成処理は、表面粗さの大きな多孔質の化成被膜を形成する処理である。化成処理はたとえば、燐酸塩化成処理、蓚酸塩化成処理及び硼酸塩化成処理である。固体潤滑被膜21の密着性の観点からは、燐酸塩化成処理が好ましい。燐酸塩化成処理はたとえば、燐酸マンガン、燐酸亜鉛、燐酸鉄マンガン又は燐酸亜鉛カルシウムを用いた燐酸塩化成処理である。
燐酸塩化成処理は周知の方法で実施できる。処理液としては、一般的な亜鉛めっき材用の酸性燐酸塩化成処理液が使用できる。たとえば、燐酸イオン1〜150g/L、亜鉛イオン3〜70g/L、硝酸イオン1〜100g/L、ニッケルイオン0〜30g/Lを含有する燐酸亜鉛系化成処理を挙げることができる。管用ねじ継手に慣用されている燐酸マンガン系化成処理液も使用できる。液温はたとえば、常温から100℃である。処理時間は所望の膜厚に応じて適宜設定でき、たとえば15分である。化成被膜の形成を促すため、燐酸塩化成処理前に、表面調整を行ってもよい。表面調整は、コロイドチタンを含有する表面調整用水溶液に浸漬する処理のことである。燐酸塩化成処理後、水洗又は湯洗してから、乾燥することが好ましい。
化成被膜は多孔質である。そのため、化成被膜上に固体潤滑被膜21を形成すれば、いわゆる「アンカー効果」により、固体潤滑被膜21の密着性がさらに高まる。燐酸塩被膜の好ましい厚さは、5〜40μmである。燐酸塩被膜の厚さが5μm以上であれば、十分な耐食性が確保できる。燐酸塩被膜の厚さが40μm以下であれば、固体潤滑被膜21の密着性が安定的に高まる。
燐酸塩被膜の厚さは、次の方法で求める。燐酸塩被膜を形成した管用ねじ継手を燐酸塩被膜の厚さ方向に(管用ねじ継手の軸方向に対して垂直に)切断する。燐酸塩被膜の断面を、光学顕微鏡を用いて倍率500倍で観察し、燐酸塩被膜の厚さを測定する。上記測定方法により測定した燐酸塩被膜の厚さが10μm以下の場合、切断し直して再度測定する。この場合、管用ねじ継手の軸方向に対して垂直な方向から60°傾いた方向に管用ねじ継手を切断する。得られた燐酸塩被膜の断面を、光学顕微鏡を用いて倍率500倍で観察し、燐酸塩皮膜の厚さを測定する。燐酸塩皮膜の厚さを再度測定した場合、再測定の厚さを、燐酸塩皮膜の厚さとする。
[Zn合金めっき層形成工程]
Zn合金めっき層形成工程では、ピン側接触表面34上又はボックス側接触表面44上の少なくとも一方に、電気めっきによりZn合金めっき層を形成する。
Zn合金めっき層形成工程では、ピン側接触表面34上又はボックス側接触表面44上の少なくとも一方に、電気めっきによりZn合金めっき層を形成する。
又は、Zn合金めっき層形成工程では、ピン側接触表面34上又はボックス側接触表面44上の少なくとも一方に形成された表面粗さの上に、電気めっきによりZn合金めっき層を形成する。
Zn合金めっき層形成工程を実施すれば、管用ねじ継手の耐焼付き性及び耐食性が高まる。Zn合金めっき層形成工程はたとえば、Cu、SnもしくはNi金属による単層めっき処理、又はCu−Sn合金による単層めっき処理、Cu層とSn層との2層めっき処理、及び、Ni層、Cu層及びSn層による3層めっき処理である。Cr含有量が5%以上の鋼からなる鋼管1に対しては、Cu−Sn合金めっき処理、Cuめっき−Snめっきの2層めっき処理、及び、Niめっき−Cuめっき−Snめっきの3層めっき処理が好ましい。より好ましいのは、Cuめっき−Snめっきの2層めっき処理、及びNiストライクめっき−Cuめっき−Snめっきの3層めっき処理、Zn−Co合金めっき処理、Cu−Sn−Zn合金めっき処理、及び、Zn−Ni合金めっき処理である。
電気めっき処理は、周知の方法で実施することができる。たとえば、合金めっきに含まれる金属元素のイオンを含む浴を準備する。次に、ピン側接触表面34又はボックス側接触表面44の少なくとも一方を浴に浸漬する。浴に浸漬した接触表面34又は44に通電することにより、ピン側接触表面34上又はボックス側接触表面44上の少なくとも一方に合金めっき皮膜が形成される。浴の温度及びめっき時間等の条件は、適宜設定できる。
より詳しくは、たとえば、Cu−Sn−Zn合金めっき層を形成する場合、めっき浴は銅イオン、錫イオン及び亜鉛イオンを含有する。めっき浴の組成は好ましくは、Cu:1〜50g/L、Sn:1〜50g/L及びZn:1〜50g/Lである。電気めっきの条件はたとえば、めっき浴pH:1〜10、めっき浴温度:60℃、電流密度:1〜100A/dm2及び、処理時間:0.1〜30分である。
Zn−Ni合金めっき層を形成する場合、めっき浴は亜鉛イオン及びニッケルイオンを含有する。めっき浴の組成は好ましくは、Zn:1〜100g/L及びNi:1〜50g/Lである。電気めっきの条件はたとえば、めっき浴pH:1〜10、めっき浴温度:60℃、電流密度:1〜100A/dm2及び、処理時間:0.1〜30分である。
Zn合金めっき層の硬度は、マイクロビッカースで300以上であることが好ましい。Zn合金めっき層の硬度が300以上であれば、管用ねじ継手の耐食性がさらに安定して高まる。
Zn合金めっき層の硬度は、次のとおり測定する。得られた管用ねじ継手のZn合金めっき層において、任意の領域を5箇所選択する。選択された各領域において、JIS Z2244(2009)に準拠してビッカース硬さ(HV)を測定する。試験条件はたとえば、試験温度を常温(25℃)とし、試験力を2.94N(300gf)とする。得られた値(合計5個)の平均を、Zn合金めっき層の硬度と定義する。
多層めっき処理の場合、最下層のめっき層は、膜厚1μm未満とすることが好ましい。めっき層の膜厚(多層めっきの場合は合計膜厚)は5〜15μmとすることが好ましい。
Zn合金めっき層の厚さは、次のとおり測定する。Zn合金めっき層を形成した接触表面34又は44上に、ISO(International Organization for Standardization)21968(2005)に準拠する過電流位相式の膜厚測定器のプローブを接触させる。プローブの入力側の高周波磁界と、それにより励起されたZn−Ni合金めっき上の過電流との位相差を測定する。この位相差をZn合金めっき層の厚さに変換する。
[三価クロメート処理]
上述のZn合金めっき処理を実施した場合、Zn合金めっき処理の後に、三価クロメート処理を実施してもよい。三価クロメート処理とは、三価クロムのクロム酸塩の被膜を形成する処理である。三価クロメート処理により形成される被膜は、Zn合金めっき層の表面の白錆びを抑制する。これにより、製品外観が向上する。(Zn合金めっき層の白錆びは、管用ねじ継手母材の錆ではない。そのため、管用ねじ継手の耐焼付き性及び耐食性に影響は与えない。)三価クロメートによる被膜の上に固体潤滑被膜21を形成すれば、固体潤滑被膜21の密着性がさらに高まる。
上述のZn合金めっき処理を実施した場合、Zn合金めっき処理の後に、三価クロメート処理を実施してもよい。三価クロメート処理とは、三価クロムのクロム酸塩の被膜を形成する処理である。三価クロメート処理により形成される被膜は、Zn合金めっき層の表面の白錆びを抑制する。これにより、製品外観が向上する。(Zn合金めっき層の白錆びは、管用ねじ継手母材の錆ではない。そのため、管用ねじ継手の耐焼付き性及び耐食性に影響は与えない。)三価クロメートによる被膜の上に固体潤滑被膜21を形成すれば、固体潤滑被膜21の密着性がさらに高まる。
三価クロメート処理は、周知の方法で実施できる。たとえば、ピン側接触表面34又はボックス側接触表面44の少なくとも一方をクロメート処理液に浸漬又はクロメート処理液をピン側接触表面34又はボックス側接触表面44の少なくとも一方にスプレー塗布する。その後接触表面を水洗する。あるいは、接触表面34又は44をクロメート処理液に浸漬し、通電した後水洗する。あるいは、接触表面34又は44にクロメート処理液を塗布し、加熱乾燥する。三価クロメートの処理条件は適宜設定することができる。三価クロメート被膜の厚さは、固体潤滑被膜21と同様の方法で測定できる。
以上の下地処理は1種類のみを実施してもよいが、複数の下地処理を組み合わせてもよい。1種類の下地処理を実施する場合、サンドブラスト処理、酸洗処理、燐酸塩化成処理及びZn合金めっき処理からなる群から選ばれる少なくとも1種の下地処理を実施することが好ましい。下地処理は、2種類以上を実施してもよい。その場合、たとえば、サンドブラスト処理の後に燐酸塩化成処理を実施する。あるいは、サンドブラスト処理の後にZn合金めっき処理を実施する。あるいは、サンドブラスト処理の後に亜鉛合金めっき処理を実施し、さらに三価クロメート処理を実施する。これらの下地処理を施した後、固体潤滑被膜21を形成する。これにより、固体潤滑被膜21の密着性及び耐食性をさらに高めることができる。
下地処理は、ピン3とボックス4とで同じ下地処理としてもよいし、ピン3とボックス4とで異なる下地処理を実施してもよい。
本開示は実施例により制限されるものではない。実施例において、ピンの接触表面をピン表面、ボックスの接触表面をボックス表面という。また、実施例中の%は、特に指定しない限り、質量%である。
締結性能として、耐焼付き性(繰り返し締結試験)及び高トルク性能を実管(長さおよそ12m)により評価した。繰り返し締結試験は締結トルク28450Nmで実施した。締結は、ねじ部の修復不能な焼付き発生もしくは金属シール部の焼付き発生まで実施した。焼付くことなくねじ締め及びねじ戻しを繰り返すことができた回数が5回以上で合格と判断した。
実施例においては、日本製鉄(株)製の油井管用ねじ継手VAM21(登録商標)(外径:244.48mm(9インチ5分)、肉厚:11.99mm(0.472インチ))、鋼種は炭素鋼(C:0.25%、Si:0.22%、Mn:0.7%、P:0.02%、S:0.01%、Cu:0.04%、Ni:0.05%、Cr:0.95%、Mo:0.15%、残部:鉄及び不純物)を用いた。
各試験番号のピン表面及びボックス表面に対し、表1に示す下地処理(適宜)及び本実施形態に係る固体潤滑被膜形成用組成物による固体潤滑被膜又は他の潤滑被膜を形成して、各試験番号のピン及びボックスを準備した。
各試験番号のピン表面及びボックス表面に対し、表1に示すとおりの試験番号において、ブラスト加工を実施した。ブラスト加工はサンドブラスト加工(砥粒Mesh100)を実施して、表面粗さを形成した。各試験番号の算術平均粗さRa及び最大高さ粗さRzは表1に示すとおりであった。算術平均粗さRa及び最大高さ粗さRzは、JIS−B0601(2001)に基づいて測定した。算術平均粗さRa及び最大高さ粗さRzの測定には、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製 走査型プローブ顕微鏡 SPI3800Nを用いた。測定条件は、取得データ数の単位としてサンプルの2μm×2μmの領域で、取得データ数1024×1024とした。
その後、表1に示すZn−Ni合金めっき層、Cu−Sn−Zn合金めっき層、固体潤滑被膜を形成して、各試験番号のピン及びボックスを準備した。表1中、「固体潤滑被膜」の欄には、主要成分のみ記載した。固体潤滑被膜の詳細な組成は以下のとおりであった。表1中、「固体潤滑被膜」の欄の「厚さ」には、得られた固体潤滑被膜の厚さを記載する。固体潤滑被膜の厚さの測定方法は上述のとおりであった。
表1に示すガラスフリットは、表2に示すガラスフリットを用いた。図11に、ガラスフリットAの顕微鏡写真を示す。
各Zn−Ni合金めっき層、Cu−Sn−Zn合金めっき層、固体潤滑被膜の形成方法は以下のとおりであった。合金めっき層及びその他被膜層の厚さは表1に示すとおりであった。各層の厚さの測定方法は上述のとおりであった。
[試験番号1]
試験番号1では、ピン及びボックス表面に対し、機械研削仕上げを行った。その上に、固体潤滑被膜形成用組成物を塗布した。固体潤滑被膜形成用組成物は、エポキシ樹脂(残部)、PTFE粒子(20%)、ガラスフリットA(0.8%)、溶媒(水、アルコール、界面活性剤)を含有した。固体潤滑被膜形成用組成物をスプレー塗布した後、90℃で5分間加熱乾燥を行った。加熱乾燥後、210℃で20分間の固化処理を行い、固体潤滑被膜を形成した。
試験番号1では、ピン及びボックス表面に対し、機械研削仕上げを行った。その上に、固体潤滑被膜形成用組成物を塗布した。固体潤滑被膜形成用組成物は、エポキシ樹脂(残部)、PTFE粒子(20%)、ガラスフリットA(0.8%)、溶媒(水、アルコール、界面活性剤)を含有した。固体潤滑被膜形成用組成物をスプレー塗布した後、90℃で5分間加熱乾燥を行った。加熱乾燥後、210℃で20分間の固化処理を行い、固体潤滑被膜を形成した。
[試験番号2]
試験番号2では、ピン及びボックス表面に対し、機械研削仕上げを行った。その上に、固体潤滑被膜形成用組成物を塗布した。固体潤滑被膜形成用組成物は、エポキシ樹脂(残部)、PTFE粒子(10%)、ガラスフリットB(2.0%)、溶媒(水、アルコール、界面活性剤)を含有した。固体潤滑被膜形成用組成物をスプレー塗布した後、90℃で5分間加熱乾燥を行った。加熱乾燥後、210℃で20分間の固化処理を行い、固体潤滑被膜を形成した。
試験番号2では、ピン及びボックス表面に対し、機械研削仕上げを行った。その上に、固体潤滑被膜形成用組成物を塗布した。固体潤滑被膜形成用組成物は、エポキシ樹脂(残部)、PTFE粒子(10%)、ガラスフリットB(2.0%)、溶媒(水、アルコール、界面活性剤)を含有した。固体潤滑被膜形成用組成物をスプレー塗布した後、90℃で5分間加熱乾燥を行った。加熱乾燥後、210℃で20分間の固化処理を行い、固体潤滑被膜を形成した。
[試験番号3]
試験番号3では、ピン表面に対し、ブラスト加工により表面粗さを形成した。表面粗さを有するピン表面に、電気めっきによりZn−Ni合金めっきを実施して、Zn−Ni合金めっき層を形成した。Zn−Ni合金めっき浴は、大和化成株式会社製の商品名ダインジンアロイN−PLを使用した。電気めっきの条件は、めっき浴pH:6.5、めっき浴温度:25℃、電流密度:2A/dm2、及び、処理時間:18分であった。Zn−Ni合金めっき層の組成は、Zn:85%及びNi:15%であった。さらに、得られたZn−Ni合金めっき層上に、三価クロメート処理を実施して被膜を形成した。三価クロメート処理液は、大和化成株式会社製の商品名ダインクロメートTR−02を使用した。三価クロメート処理条件は、浴pH:4.0、浴温度:25℃、及び処理時間:50秒であった。
試験番号3では、ピン表面に対し、ブラスト加工により表面粗さを形成した。表面粗さを有するピン表面に、電気めっきによりZn−Ni合金めっきを実施して、Zn−Ni合金めっき層を形成した。Zn−Ni合金めっき浴は、大和化成株式会社製の商品名ダインジンアロイN−PLを使用した。電気めっきの条件は、めっき浴pH:6.5、めっき浴温度:25℃、電流密度:2A/dm2、及び、処理時間:18分であった。Zn−Ni合金めっき層の組成は、Zn:85%及びNi:15%であった。さらに、得られたZn−Ni合金めっき層上に、三価クロメート処理を実施して被膜を形成した。三価クロメート処理液は、大和化成株式会社製の商品名ダインクロメートTR−02を使用した。三価クロメート処理条件は、浴pH:4.0、浴温度:25℃、及び処理時間:50秒であった。
ボックス表面に対し、機械研削仕上げを行った。その上に、固体潤滑被膜形成用組成物を塗布した。固体潤滑被膜形成用組成物は、エポキシ樹脂(残部)、二硫化モリブデン粒子(10%)、ガラスフリットC(4.0%)、溶媒(水、アルコール、界面活性剤)を含有した。固体潤滑被膜形成用組成物をスプレー塗布した後、90℃で5分間加熱乾燥を行った。加熱乾燥後、210℃で20分間の固化処理を行い、固体潤滑被膜を形成した。
[試験番号4]
試験番号4では、ピン表面に対し、ブラスト加工により表面粗さを形成した。表面粗さを有するピン表面に、電気めっきによりZn−Ni合金めっきを実施して、Zn−Ni合金めっき層を形成した。Zn−Ni合金めっき浴は、大和化成株式会社製の商品名ダインジンアロイN−PLを使用した。電気めっきの条件は、めっき浴pH:6.5、めっき浴温度:25℃、電流密度:2A/dm2、及び、処理時間:18分であった。Zn−Ni合金めっき層の組成は、Zn:85%及びNi:15%であった。さらに、得られたZn−Ni合金めっき層上に、三価クロメート処理を実施して被膜を形成した。三価クロメート処理液は、大和化成株式会社製の商品名ダインクロメートTR−02を使用した。三価クロメート処理条件は、浴pH:4.0、浴温度:25℃、及び処理時間:50秒であった。
試験番号4では、ピン表面に対し、ブラスト加工により表面粗さを形成した。表面粗さを有するピン表面に、電気めっきによりZn−Ni合金めっきを実施して、Zn−Ni合金めっき層を形成した。Zn−Ni合金めっき浴は、大和化成株式会社製の商品名ダインジンアロイN−PLを使用した。電気めっきの条件は、めっき浴pH:6.5、めっき浴温度:25℃、電流密度:2A/dm2、及び、処理時間:18分であった。Zn−Ni合金めっき層の組成は、Zn:85%及びNi:15%であった。さらに、得られたZn−Ni合金めっき層上に、三価クロメート処理を実施して被膜を形成した。三価クロメート処理液は、大和化成株式会社製の商品名ダインクロメートTR−02を使用した。三価クロメート処理条件は、浴pH:4.0、浴温度:25℃、及び処理時間:50秒であった。
ボックス表面に対し、ブラスト加工により表面粗さを形成した。表面粗さを有するボックス表面上に、電気めっきによりZn−Ni合金めっきを実施して、Zn−Ni合金めっき層を形成した。Zn−Ni合金めっき浴は、大和化成株式会社製の商品名ダインジンアロイN−PLを使用した。電気めっきの条件は、めっき浴pH:6.5、めっき浴温度:25℃、電流密度:2A/dm2、及び、処理時間:18分であった。Zn−Ni合金めっき層の組成は、Zn:85%及びNi:15%であった。さらに、得られたZn−Ni合金めっき層上に、固体潤滑被膜形成用組成物を塗布した。固体潤滑被膜形成用組成物は、ポリアミドイミド樹脂(残部)、フッ化黒鉛粒子(10%)、ガラスフリットD(8.0%)、溶媒(水、アルコール、界面活性剤)を含有した。固体潤滑被膜形成用組成物をスプレー塗布した後、90℃で5分間加熱乾燥を行った。加熱乾燥後、230℃で20分間の固化処理を行い、固体潤滑被膜を形成した。
[試験番号5]
試験番号5では、ピン表面に対し、機械研削仕上げを行った。その上に、電気めっきによりZn−Ni合金めっきを実施して、Zn−Ni合金めっき層を形成した。Zn−Ni合金めっき浴は、大和化成株式会社製の商品名ダインジンアロイN−PLを使用した。電気めっきの条件は、めっき浴pH:6.5、めっき浴温度:25℃、電流密度:2A/dm2、及び、処理時間:18分であった。Zn−Ni合金めっき層の組成は、Zn:85%及びNi:15%であった。さらに、得られたZn−Ni合金めっき層上に、三価クロメート処理を実施して被膜を形成した。三価クロメート処理液は、大和化成株式会社製の商品名ダインクロメートTR−02を使用した。三価クロメート処理条件は、浴pH:4.0、浴温度:25℃、及び処理時間:50秒であった。
試験番号5では、ピン表面に対し、機械研削仕上げを行った。その上に、電気めっきによりZn−Ni合金めっきを実施して、Zn−Ni合金めっき層を形成した。Zn−Ni合金めっき浴は、大和化成株式会社製の商品名ダインジンアロイN−PLを使用した。電気めっきの条件は、めっき浴pH:6.5、めっき浴温度:25℃、電流密度:2A/dm2、及び、処理時間:18分であった。Zn−Ni合金めっき層の組成は、Zn:85%及びNi:15%であった。さらに、得られたZn−Ni合金めっき層上に、三価クロメート処理を実施して被膜を形成した。三価クロメート処理液は、大和化成株式会社製の商品名ダインクロメートTR−02を使用した。三価クロメート処理条件は、浴pH:4.0、浴温度:25℃、及び処理時間:50秒であった。
ボックス表面に対し、ブラスト加工により表面粗さを形成した。表面粗さを有するボックス表面上に、電気めっきによりZn−Ni合金めっきを実施して、Zn−Ni合金めっき層を形成した。Zn−Ni合金めっき浴は、大和化成株式会社製の商品名ダインジンアロイN−PLを使用した。電気めっきの条件は、めっき浴pH:6.5、めっき浴温度:25℃、電流密度:2A/dm2、及び、処理時間:18分であった。Zn−Ni合金めっき層の組成は、Zn:85%及びNi:15%であった。さらに、得られたZn−Ni合金めっき層上に、固体潤滑被膜形成用組成物を塗布した。固体潤滑被膜形成用組成物は、フェノール樹脂(残部)、PTFE粒子(15%)、ガラスフリットA(10.0%)、溶媒(水、アルコール、界面活性剤)を含有した。固体潤滑被膜形成用組成物をスプレー塗布した後、90℃で5分間加熱乾燥を行った。加熱乾燥後、230℃で20分間の固化処理を行い、固体潤滑被膜を形成した。
[試験番号6]
試験番号6では、ピン表面に対し、機械研削仕上げを行った。その上に、電気めっきによりZn−Ni合金めっきを実施して、Zn−Ni合金めっき層を形成した。Zn−Ni合金めっき浴は、大和化成株式会社製の商品名ダインジンアロイN−PLを使用した。電気めっきの条件は、めっき浴pH:6.5、めっき浴温度:25℃、電流密度:2A/dm2、及び、処理時間:18分であった。Zn−Ni合金めっき層の組成は、Zn:85%及びNi:15%であった。さらに、得られたZn−Ni合金めっき層上に、三価クロメート処理を実施して被膜を形成した。三価クロメート処理液は、大和化成株式会社製の商品名ダインクロメートTR−02を使用した。三価クロメート処理条件は、浴pH:4.0、浴温度:25℃、及び処理時間:50秒であった。
試験番号6では、ピン表面に対し、機械研削仕上げを行った。その上に、電気めっきによりZn−Ni合金めっきを実施して、Zn−Ni合金めっき層を形成した。Zn−Ni合金めっき浴は、大和化成株式会社製の商品名ダインジンアロイN−PLを使用した。電気めっきの条件は、めっき浴pH:6.5、めっき浴温度:25℃、電流密度:2A/dm2、及び、処理時間:18分であった。Zn−Ni合金めっき層の組成は、Zn:85%及びNi:15%であった。さらに、得られたZn−Ni合金めっき層上に、三価クロメート処理を実施して被膜を形成した。三価クロメート処理液は、大和化成株式会社製の商品名ダインクロメートTR−02を使用した。三価クロメート処理条件は、浴pH:4.0、浴温度:25℃、及び処理時間:50秒であった。
ボックス表面に対し、ブラスト加工により表面粗さを形成した。表面粗さを有するボックス表面上に、電気めっきによりCu−Sn−Zn合金めっきを実施して、Cu−Sn−Zn合金めっき層を形成した。Cu−Sn−Zn合金めっき浴は、日本化学産業株式会社製のめっき浴を用いた。Cu−Sn−Zn合金めっき層は電気めっきにより形成された。電気めっきの条件は、めっき浴pH:14、めっき浴温度:45℃、電流密度:2A/dm2及び、処理時間:40分であった。Cu−Sn−Zn合金めっき層の組成は、Cu:60%、Sn:30%、Zn:10%であった。さらに、得られたCu−Sn−Zn合金めっき層上に、固体潤滑被膜形成用組成物を塗布した。固体潤滑被膜形成用組成物は、ポリアミド樹脂(残部)、黒鉛粒子(5%)、ガラスフリットA(8.0%)、溶媒(水、アルコール、界面活性剤)を含有した。固体潤滑被膜形成用組成物をスプレー塗布した後、90℃で5分間加熱乾燥を行った。加熱乾燥後、230℃で20分間の固化処理を行い、固体潤滑被膜を形成した。
[試験番号7]
試験番号7では、ピン表面に対し、機械研削仕上げを行った。その上に、電気めっきによりZn−Ni合金めっきを実施して、Zn−Ni合金めっき層を形成した。Zn−Ni合金めっき浴は、大和化成株式会社製の商品名ダインジンアロイN−PLを使用した。電気めっきの条件は、めっき浴pH:6.5、めっき浴温度:25℃、電流密度:2A/dm2、及び、処理時間:18分であった。Zn−Ni合金めっき層の組成は、Zn:85%及びNi:15%であった。さらに、得られたZn−Ni合金めっき層上に、三価クロメート処理を実施して被膜を形成した。三価クロメート処理液は、大和化成株式会社製の商品名ダインクロメートTR−02を使用した。三価クロメート処理条件は、浴pH:4.0、浴温度:25℃、及び処理時間:50秒であった。
試験番号7では、ピン表面に対し、機械研削仕上げを行った。その上に、電気めっきによりZn−Ni合金めっきを実施して、Zn−Ni合金めっき層を形成した。Zn−Ni合金めっき浴は、大和化成株式会社製の商品名ダインジンアロイN−PLを使用した。電気めっきの条件は、めっき浴pH:6.5、めっき浴温度:25℃、電流密度:2A/dm2、及び、処理時間:18分であった。Zn−Ni合金めっき層の組成は、Zn:85%及びNi:15%であった。さらに、得られたZn−Ni合金めっき層上に、三価クロメート処理を実施して被膜を形成した。三価クロメート処理液は、大和化成株式会社製の商品名ダインクロメートTR−02を使用した。三価クロメート処理条件は、浴pH:4.0、浴温度:25℃、及び処理時間:50秒であった。
ボックス表面に対し、ブラスト加工により表面粗さを形成した。表面粗さを有するボックス表面上に、電気めっきによりZn−Ni合金めっきを実施して、Zn−Ni合金めっき層を形成した。Zn−Ni合金めっき浴は、大和化成株式会社製の商品名ダインジンアロイN−PLを使用した。電気めっきの条件は、めっき浴pH:6.5、めっき浴温度:25℃、電流密度:2A/dm2、及び、処理時間:18分であった。Zn−Ni合金めっき層の組成は、Zn:85%及びNi:15%であった。さらに、得られたZn−Ni合金めっき層上に、固体潤滑被膜形成用組成物を塗布した。固体潤滑被膜形成用組成物は、エポキシ樹脂(残部)、PTFE粒子(10%)、ガラスフリットA(15.0%)、溶媒(水、アルコール、界面活性剤)を含有した。固体潤滑被膜形成用組成物をスプレー塗布した後、90℃で5分間加熱乾燥を行った。加熱乾燥後、210℃で20分間の固化処理を行い、固体潤滑被膜を形成した。
[試験番号8]
試験番号8では、ピン表面に対し機械研削仕上げを行った。その上に、電気めっきによりZn−Ni合金めっきを実施して、Zn−Ni合金めっき層を形成した。Zn−Ni合金めっき浴は、大和化成株式会社製の商品名ダインジンアロイN−PLを使用した。電気めっきの条件は、めっき浴pH:6.5、めっき浴温度:25℃、電流密度:2A/dm2、及び、処理時間:18分であった。Zn−Ni合金めっき層の組成は、Zn:85%及びNi:15%であった。さらに、得られたZn−Ni合金めっき層上に、三価クロメート処理を実施して被膜を形成した。三価クロメート処理液は、大和化成株式会社製の商品名ダインクロメートTR−02を使用した。三価クロメート処理条件は、浴pH:4.0、浴温度:25℃、及び処理時間:50秒であった。
試験番号8では、ピン表面に対し機械研削仕上げを行った。その上に、電気めっきによりZn−Ni合金めっきを実施して、Zn−Ni合金めっき層を形成した。Zn−Ni合金めっき浴は、大和化成株式会社製の商品名ダインジンアロイN−PLを使用した。電気めっきの条件は、めっき浴pH:6.5、めっき浴温度:25℃、電流密度:2A/dm2、及び、処理時間:18分であった。Zn−Ni合金めっき層の組成は、Zn:85%及びNi:15%であった。さらに、得られたZn−Ni合金めっき層上に、三価クロメート処理を実施して被膜を形成した。三価クロメート処理液は、大和化成株式会社製の商品名ダインクロメートTR−02を使用した。三価クロメート処理条件は、浴pH:4.0、浴温度:25℃、及び処理時間:50秒であった。
ボックス表面に対し、ブラスト加工により表面粗さを形成した。表面粗さを有するボックス表面上に、電気めっきによりZn−Ni合金めっきを実施して、Zn−Ni合金めっき層を形成した。電気めっきの条件はピン表面と同様であった。Zn−Ni合金めっき層の上に、固体潤滑被膜形成用組成物を塗布した。固体潤滑被膜形成用組成物は、エポキシ樹脂(残部)、PTFE粒子(10%)、溶媒(水、アルコール、界面活性剤)を含有した。固体潤滑被膜形成用組成物をスプレー塗布した後、90℃で5分間加熱乾燥を行った。加熱乾燥後、210℃で20分間の固化処理を行い、固体潤滑被膜を形成した。
[試験番号9]
試験番号9では、ピン及びボックス表面に対し、機械研削仕上げを行った。その上に、API規格ドープを刷毛で塗布した。API規格ドープとは、API Bul 5A2に準拠して製造された油井管用ねじ用コンパウンドグリースである。API規格ドープの組成はグリースを基材とし、質量%で、黒鉛粉:18±1.0%、鉛粉:30.5±0.6%、及び銅フレーク:3.3±0.3%含有すると規定されている。なお、この成分範囲においては、油井管用ねじ用コンパウンドグリースは同等の性能を有すると理解されている。
試験番号9では、ピン及びボックス表面に対し、機械研削仕上げを行った。その上に、API規格ドープを刷毛で塗布した。API規格ドープとは、API Bul 5A2に準拠して製造された油井管用ねじ用コンパウンドグリースである。API規格ドープの組成はグリースを基材とし、質量%で、黒鉛粉:18±1.0%、鉛粉:30.5±0.6%、及び銅フレーク:3.3±0.3%含有すると規定されている。なお、この成分範囲においては、油井管用ねじ用コンパウンドグリースは同等の性能を有すると理解されている。
[試験番号10]
試験番号10では、ピン表面に対し、機械研削仕上げを行った。その上に、電気めっきによりZn−Ni合金めっきを実施して、Zn−Ni合金めっき層を形成した。Zn−Ni合金めっき浴は、大和化成株式会社製の商品名ダインジンアロイN−PLを使用した。電気めっきの条件は、めっき浴pH:6.5、めっき浴温度:25℃、電流密度:2A/dm2、及び、処理時間:18分であった。Zn−Ni合金めっき層の組成は、Zn:85%及びNi:15%であった。さらに、得られたZn−Ni合金めっき層上に、三価クロメート処理を実施して被膜を形成した。三価クロメート処理液は、大和化成株式会社製の商品名ダインクロメートTR−02を使用した。三価クロメート処理条件は、浴pH:4.0、浴温度:25℃、及び処理時間:50秒であった。
試験番号10では、ピン表面に対し、機械研削仕上げを行った。その上に、電気めっきによりZn−Ni合金めっきを実施して、Zn−Ni合金めっき層を形成した。Zn−Ni合金めっき浴は、大和化成株式会社製の商品名ダインジンアロイN−PLを使用した。電気めっきの条件は、めっき浴pH:6.5、めっき浴温度:25℃、電流密度:2A/dm2、及び、処理時間:18分であった。Zn−Ni合金めっき層の組成は、Zn:85%及びNi:15%であった。さらに、得られたZn−Ni合金めっき層上に、三価クロメート処理を実施して被膜を形成した。三価クロメート処理液は、大和化成株式会社製の商品名ダインクロメートTR−02を使用した。三価クロメート処理条件は、浴pH:4.0、浴温度:25℃、及び処理時間:50秒であった。
ボックス表面に対し、ブラスト加工により表面粗さを形成した。表面粗さを有するボックス表面上に、電気めっきによりZn−Ni合金めっきを実施して、Zn−Ni合金めっき層を形成した。電気めっきの条件はピン表面と同様であった。Zn−Ni合金めっき層の上に、固体潤滑被膜形成用組成物を塗布した。固体潤滑被膜形成用組成物は、フェノール樹脂(残部)、PTFE粒子(15%)、溶媒(水、アルコール、界面活性剤)、ガラス繊維を模擬した丸尾カルシウム株式会社製ウィスカ−(商品名)ウイスカルA(10%)を含有した。固体潤滑被膜形成用組成物をスプレー塗布した後、90℃で5分間加熱乾燥を行った。加熱乾燥後、210℃で20分間の固化処理を行い、固体潤滑被膜を形成した。
[高トルク性能評価試験]
試験番号1〜試験番号10のピン及びボックスを用いて、トルクオンショルダー抵抗ΔT’を測定した。具体的には、締付け速度10rpm、締付けトルク42.8kN・mでねじ締めを行った。ねじ締めの際にトルクを測定し、図10に示す様なトルクチャートを作成した。図10中のTsは、ショルダリングトルクを現す。図10中のMTVは、線分Lと、トルクチャートとが交わるトルク値を現す。線分Lは、ショルダリング後のトルクチャートにおける線形域の傾きと同じ傾きを持ち、同線形域と比べて回転数が0.2%多い直線である。通常、トルクオンショルダー抵抗ΔT’を測定する場合には、Ty(イールドトルク)を使用する。しかしながら、本実施例では、イールドトルク(ショルダリング後におけるトルクチャートにおける、線形域と非線形域との境界)が不明瞭であった。そのため、線分Lを用いて、MTVを規定した。MTVとTsとの差分を、本実施例のトルクオンショルダー抵抗ΔT’とした。トルクオンショルダー抵抗ΔT’は、試験番号9において、固体潤滑被膜の代わりにAPI規格ドープを使用した際のトルクオンショルダー抵抗ΔT’の数値を基準(100)として求めた、各試験番号のトルクオンショルダー抵抗ΔT’の相対値である。結果を表3に示す。
試験番号1〜試験番号10のピン及びボックスを用いて、トルクオンショルダー抵抗ΔT’を測定した。具体的には、締付け速度10rpm、締付けトルク42.8kN・mでねじ締めを行った。ねじ締めの際にトルクを測定し、図10に示す様なトルクチャートを作成した。図10中のTsは、ショルダリングトルクを現す。図10中のMTVは、線分Lと、トルクチャートとが交わるトルク値を現す。線分Lは、ショルダリング後のトルクチャートにおける線形域の傾きと同じ傾きを持ち、同線形域と比べて回転数が0.2%多い直線である。通常、トルクオンショルダー抵抗ΔT’を測定する場合には、Ty(イールドトルク)を使用する。しかしながら、本実施例では、イールドトルク(ショルダリング後におけるトルクチャートにおける、線形域と非線形域との境界)が不明瞭であった。そのため、線分Lを用いて、MTVを規定した。MTVとTsとの差分を、本実施例のトルクオンショルダー抵抗ΔT’とした。トルクオンショルダー抵抗ΔT’は、試験番号9において、固体潤滑被膜の代わりにAPI規格ドープを使用した際のトルクオンショルダー抵抗ΔT’の数値を基準(100)として求めた、各試験番号のトルクオンショルダー抵抗ΔT’の相対値である。結果を表3に示す。
[耐焼付き性評価試験]
試験番号1〜試験番号10のピン及びボックスを用いて、ハンドタイト(人力で締結する状態)により、締結初期にねじがかみ合うまで締結した。ハンドタイトでの締結後、パワートングでねじ締め及びねじ戻しを繰り返し、耐焼付き性を評価した。ねじ締め及びねじ戻しを1回行うごとに、ピン表面及びボックス表面を目視により観察した。目視観察により、焼付きの発生状況を確認した。焼付きが軽微であり、回復可能な場合には、焼付き疵を補修して試験を続行した。回復不能な焼付きを生ずることなく、ねじ締め及びねじ戻しができた回数を測定した。結果を表3の「耐焼付き性(焼付かずに締結できた回数(回))」欄に示す。
試験番号1〜試験番号10のピン及びボックスを用いて、ハンドタイト(人力で締結する状態)により、締結初期にねじがかみ合うまで締結した。ハンドタイトでの締結後、パワートングでねじ締め及びねじ戻しを繰り返し、耐焼付き性を評価した。ねじ締め及びねじ戻しを1回行うごとに、ピン表面及びボックス表面を目視により観察した。目視観察により、焼付きの発生状況を確認した。焼付きが軽微であり、回復可能な場合には、焼付き疵を補修して試験を続行した。回復不能な焼付きを生ずることなく、ねじ締め及びねじ戻しができた回数を測定した。結果を表3の「耐焼付き性(焼付かずに締結できた回数(回))」欄に示す。
なお、試験番号9においては、ねじ締め及びねじ戻しを1回行うごとに、新しくAPI規格ドープを塗りなおした。これは、通常、API規格ドープは、ねじ締め及びねじ戻しを1回行うごとに新しく塗りなおして使用されているためである。また、API規格ドープはそのような使用方法しか想定されていない。一方、試験番号1〜8及び試験番号10では、試験終了まで固体潤滑被膜を形成しなおすことなしに試験を続けた。
[評価結果]
表1及び表3を参照して、試験番号1〜試験番号7の管用ねじ継手は、ピン及びボックスの少なくとも一方の接触表面に、固体潤滑被膜を有した。固体潤滑被膜は、結合剤と、潤滑剤と、ガラスフリットとを含有した。そのため、試験番号1〜試験番号7の管用ねじ継手は、トルクオンショルダー抵抗ΔT’が100を超え、優れた高トルク性能を示した。
表1及び表3を参照して、試験番号1〜試験番号7の管用ねじ継手は、ピン及びボックスの少なくとも一方の接触表面に、固体潤滑被膜を有した。固体潤滑被膜は、結合剤と、潤滑剤と、ガラスフリットとを含有した。そのため、試験番号1〜試験番号7の管用ねじ継手は、トルクオンショルダー抵抗ΔT’が100を超え、優れた高トルク性能を示した。
試験番号1〜試験番号6の管用ねじ継手はさらに、固体潤滑被膜のガラスフリット含有量が0.01〜10.0質量%であった。そのため、ガラスフリット含有量が15.0質量%であった試験番号7と比較して、耐焼付き性が優れた。
一方、試験番号8の管用ねじ継手は、ボックス表面に固体潤滑被膜を有したものの、固体潤滑被膜がガラスフリットを含有しなかった。そのため、優れた高トルク性能が得られなかった。
試験番号9は従来のコンパウンドグリースを使用した比較例である。
試験番号10は、固体潤滑被膜に、ガラスフリットの代わりにガラス繊維を含有させた場合を模擬して試験した。しかしながら、ガラス繊維では、優れた高トルク性能が得られなかった。図12に、ウイスカルの顕微鏡写真を示す。
以上、本開示の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本開示を実施するための例示に過ぎない。したがって、本開示は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。
1 鋼管
2 カップリング
3 ピン
4 ボックス
21 固体潤滑被膜
31 ピン側ねじ部
32 ピン側金属シール部
33 ピン側ショルダー部
34 ピン側接触表面
41 ボックス側ねじ部
42 ボックス側金属シール部
43 ボックス側ショルダー部
44 ボックス側接触表面
2 カップリング
3 ピン
4 ボックス
21 固体潤滑被膜
31 ピン側ねじ部
32 ピン側金属シール部
33 ピン側ショルダー部
34 ピン側接触表面
41 ボックス側ねじ部
42 ボックス側金属シール部
43 ボックス側ショルダー部
44 ボックス側接触表面
Claims (10)
- 管用ねじ継手であって、
ピン側ねじ部を含むピン側接触表面を有するピンと、
ボックス側ねじ部を含むボックス側接触表面を有するボックスと、
前記ピン側接触表面上又は前記ボックス側接触表面上の少なくとも一方に、結合剤、潤滑剤及びガラスフリットを含有する固体潤滑被膜とを備える、管用ねじ継手。 - 請求項1に記載の管用ねじ継手であって、
前記固体潤滑被膜は、
0.01〜10.0質量%の前記ガラスフリットを含有する、管用ねじ継手。 - 請求項1又は請求項2に記載の管用ねじ継手であって、
前記ガラスフリットは、質量%で、
SiO2:40〜70%、
Al2O3:1〜20%、
CaO:0.1〜25%、
B2O3:0〜40%、
MgO:0〜3%、
Na2O:0〜15%、
K2O:0〜10%、及び
ZnO:0〜10%を含有する、管用ねじ継手。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の管用ねじ継手であって、
前記結合剤は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂及びポリエーテルエーテルケトン樹脂からなる群から選ばれる1種又は2種以上である、管用ねじ継手。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の管用ねじ継手であって、
前記潤滑剤は、二硫化モリブデン、黒鉛、ポリテトラフルオロエチレン及びフッ化黒鉛からなる群から選ばれる1種又は2種以上である、管用ねじ継手。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の管用ねじ継手であって、
前記ピンはさらに、ピン側金属シール部及びピン側ショルダー部を含み、
前記ボックスはさらに、ボックス側金属シール部及びボックス側ショルダー部を含む、管用ねじ継手。 - 管用ねじ継手の製造方法であって、
ピン側ねじ部を含むピン側接触表面を有するピンと、ボックス側ねじ部を含むボックス側接触表面を有するボックスと、結合剤、潤滑剤及びガラスフリットを含有する固体潤滑被膜形成用組成物とを準備する工程と、
前記ピン側接触表面上又は前記ボックス側接触表面上の少なくとも一方に、前記固体潤滑被膜形成用組成物を塗布した後固化させて固体潤滑被膜を形成する工程とを備える、管用ねじ継手の製造方法。 - 請求項7に記載の管用ねじ継手の製造方法であってさらに、
前記固体潤滑被膜を形成する工程の前に、
前記ピン側接触表面上及び前記ボックス側接触表面上の少なくとも一方に、電気めっきによりZn合金めっき層を形成する工程を備える、管用ねじ継手の製造方法。 - 請求項8に記載の管用ねじ継手の製造方法であってさらに、
前記電気めっきによりZn合金めっき層を形成する工程の前に、
前記ピン側接触表面及び前記ボックス側接触表面の少なくとも一方を粗くする工程を備える、管用ねじ継手の製造方法。 - 請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の管用ねじ継手の製造方法であって、
前記ピンはさらに、ピン側金属シール部及びピン側ショルダー部を含み、
前記ボックスはさらに、ボックス側金属シール部及びボックス側ショルダー部を含む、管用ねじ継手の製造方法。
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